自己形成光導波路の製造方法
【課題】 自己形成光導波路の製造において、未硬化の光硬化性樹脂を取り除く工程を経ることなく、きわめて簡単に製造することが可能な自己形成光導波路の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 光硬化性樹脂10へ照射する光5のエネルギ量を照射すべき部位によって差を設けることにより光硬化樹脂10の硬化に伴う屈折率の変化に相違を生じさせ、それによってコア部11とクラッド部12を形成することを特徴とする。光硬化樹脂10は照射する光5のエネルギによって硬化すると共に屈折率が上昇する。そこで、コア部11になるべき部分により多くの光のエネルギを与え、それ以外の部分にはそれよりも少ない光のエネルギを与えることで屈折率に相違を生じさせ、それによってコア部11とクラッド部12をそれぞれ形成するものである。
【解決手段】 光硬化性樹脂10へ照射する光5のエネルギ量を照射すべき部位によって差を設けることにより光硬化樹脂10の硬化に伴う屈折率の変化に相違を生じさせ、それによってコア部11とクラッド部12を形成することを特徴とする。光硬化樹脂10は照射する光5のエネルギによって硬化すると共に屈折率が上昇する。そこで、コア部11になるべき部分により多くの光のエネルギを与え、それ以外の部分にはそれよりも少ない光のエネルギを与えることで屈折率に相違を生じさせ、それによってコア部11とクラッド部12をそれぞれ形成するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己形成光導波路の製造方法に関し、さらに詳しくは、VCSEL(面発光レーザ:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)やPD(Photo Diode)等の光デバイスに光接続手段である自己形成光導波路を形成する自己形成光導波路の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信技術の急速な発展によりネットワークでやり取りされる通信トラフィックは増大の一途を辿っている。それに伴い、コンピュータをはじめとする情報処理装置に搭載されている半導体素子の集積度も飛躍的に上昇している。そのため、これらの半導体素子を実装し、情報処理装置を構成する電子回路基板内の配線本数も半導体の集積度上昇に比例し増加している。しかし、従来の電気配線では、配線の高密度化が進むとクロストークや輻射等のボトルネックが浮き彫りになっていた。
【0003】
このような電気配線における問題を解決する手段として、光信号を用いる光配線技術の導入がある。光信号は相互干渉が非常に少なく、配線密度が上がっても配線同士の干渉によるノイズが少ないため、高品質で大容量の情報伝送に適している。基板内における配線は、基板上に実装したVCSEL等の光源(発光素子)と、PDなどの光検出器(受光素子)、光伝達手段である光導波路からなる。光源から出射した光信号は光導波路を伝わって伝送され光検出器に達する。
【0004】
しかし、電気配線と光配線では多くの相違点がある。例えば、素子と配線を接続する作業において、電気配線ならばはんだ等を用いて結合させれば簡単に接続が完了するが、光配線では光学素子と光導波路、または光導波路同士の接続の際には非常に精密な位置合わせ(調芯)が必要であり、その接続は困難である。この問題を解決するための一つの方法として自己形成光導波路による接続方法が提案されている。
【0005】
自己形成光導波路による接続方法について図1を参照しつつ説明する。まず、コア層103の周囲にクラッド層101を備えた光ファイバ100の一方側の端部であって自己形成光導波路を形成させたい側の端部近傍に光硬化性樹脂110を充填する(図1(a))。そして、光ファイバ100の反対側の端部から光を入射し、入射した光が光硬化性樹脂110内を透過して基板200上に配置されたVCSEL140の開口部141に至るように照射する。これにより、光が照射された部分の屈折率が上がると共に硬化する(図1(b))。そして、未硬化の光硬化性樹脂を除去することにより光ファイバ100の端部に自己形成光導波路120を形成することができる(例えば、特開2003−131063号公報、特開2003−131064号公報(特許文献1、2))。このようにして既設の光導波路を伝搬する光によって自己形成光導波路を形成させれば、既設の光導波路や光学素子と自己形成光導波路の接続が容易となる。
【0006】
一方、他の自己形成光導波路製造方法の一つに、フォトマスク転写法がある。フォトマスクとはクロムなどの光を遮蔽する膜に光を透過させるために複数箇所の開口部を設けたものであり、自己形成光導波路形成における「型」ともいえる。フォトマスク転写法による自己形成光導波路の形成手順は、図2に示すように、まず配置されたフォトマスク130の下部に光硬化性樹脂110を充填する(図2(a))。そして、フォトマスク130の上部から光を照射することにより、光はフォトマスク130に複数設けられた開口部131を通過して光硬化性樹脂110に照射される。照射された光は光硬化性樹脂110内を透過し、透過した部分の光硬化性樹脂110の屈折率が上がると同時に硬化する(図2(b))。そして、フォトマスク130を取り除き、未硬化の光硬化性樹脂110を除去することによって自己形成光導波路120を形成することが出来る(例えば、特開2006−078606号公報(特許文献3))。
【0007】
フォトマスク転写法を用いることにより、1回のプロセスで複数のチャネルの自己形成光導波路を一括転写によって形成することができ、また、自己形成光導波路の高さ(長さ)は、例えば、スペーサを用いること等により適宜調整することが出来る。また、開口部の形状を変化させることにより、様々な形状の自己形成光導波路を形成することができる。そのため、フォトマスク転写法は光配線の多層化に容易に対応することができる。
【0008】
上述したように、自己形成光導波路は光接続が必要とされる様々な場面での利用範囲が広く、その多様化にも容易に対応することができるという利点を有している。
しかし、自己形成光導波路を含む一般的な光導波路の製造方法においては、光の照射によってコアとなった部分以外の未硬化の光硬化性樹脂は一旦除去し、新たに性質の異なる別の光硬化性樹脂をコアの周囲に充填し、再度光を照射することによってコアの周囲に屈折率の異なるクラッドを形成するか(例えば、特開2005−347441号公報(特許文献4))、あるいは、光硬化性樹脂を熱硬化の機能を持たせることで未硬化の光硬化性樹脂を加熱によって硬化させることによってクラッドを形成する(例えば、特開2004−102220号公報(特許文献5)というものが通常であった。
一方、高屈折率成分と低屈折率成分の屈折率の異なる2種類の混合液に波長の異なる2種類の光を照射することによって自己形成光導波路を製造する技術や光硬化樹脂に光増感剤を混合することにより光増感剤の存在下において光を照射して自己形成光導波路を製造する技術も提案されている(例えば、非特許文献1、特許文献6、7)。
さらに増感剤を混合した光硬化性樹脂を硬化させた場合、増感剤の吸光ピーク波長より、若干短波長側では、その樹脂の屈折率は低くなり、かつ若干長波長側では逆に高くなるという特性を利用して光導波路を作製する方法も提案されている。しかし、現在その吸光ピーク波長はグリーン波長より短く、応用が限定され、実用的でないという問題がある。さらに吸光波長に近い波長の導波光にのみに有効であるあるため、光吸収損失が大きくなるという問題がある。(特許文献8)
【0009】
【特許文献1】特開2003−131063号公報
【特許文献2】特開2003−131064号公報
【特許文献3】特開2006−078606号公報
【特許文献4】特開2005−347441号公報
【特許文献5】特開2004−102220号公報
【特許文献6】特開2000−347043公報
【特許文献7】特開2003−294968公報
【特許文献8】特開2004−212775公報
【非特許文献1】社団法人電子情報通信学会 信学技報(TECHNIACL REPORT OF IEICE.)OME2001-80,OPE2001-69(2001-10) 「自己形成光導波路における屈折率分布と光伝送特性」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、光硬化性樹脂に対して光を照射することによってコアを形成した後、未硬化の光硬化性樹脂を取り除き、再度別の光硬化性樹脂をコアの周囲に充填し、しかる後光を照射して硬化させてクラッドを形成するという一連の工程は手間がかかり、簡略化したいという要望があった。また、屈折率の異なる2種類の光硬化性樹脂からなる混合液に波長の異なる2種類の光を照射するという作業も面倒であり、光増感剤の含有量や照射する光の波長により屈折率の変化が左右されることから工程がさらに簡略化できれば好都合である。
また、熱硬化性の機能も併せ持った未硬化の光硬化性樹脂を加熱することでクラッドを形成する方法においても光照射の設備と加熱のための設備の両方が必要となるという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、光導波路の製造において、きわめて簡単に製造することが可能な自己形成光導波路の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために請求項1に記載の本発明は、光硬化性樹脂へ照射する光のエネルギ量を照射すべき部位によって差を設けることにより光硬化樹脂の硬化に伴う屈折率の変化に相違を生じさせ、それによってコア部とクラッド部を形成することを特徴とする自己形成光導波路の製造方法を提供する。光硬化樹脂は照射する光のエネルギによって硬化すると共に屈折率が上昇する。そこで、コア部になるべき部分により多くの光のエネルギを与え、それ以外の部分にはそれよりも少ない光のエネルギを与えることで屈折率に相違を生じさせ、それによってコア部とクラッド部をそれぞれ形成するものである。照射する光のエネルギ量は照射時間の長短、光の照射強度等によって調整することができる。
【0013】
上記課題を解決するために請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法において、未硬化の光硬化性樹脂のうちコア部を形成すべき所定部分に光を照射してその部分の屈折率を上昇させることによりコア部となるべき部分を形成するコア部予備形成工程と、そして、屈折率が上昇したコア部となるべき部分を含む光硬化性樹脂に光を照射することによりコア部となるべき部分の屈折率をさらに上昇させてコア部を形成すると共に、それ以外の部分の屈折率を上昇させてクラッド部を形成するコア部・クラッド部形成工程とを含み構成されてなることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するために請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法において、未硬化の光硬化性樹脂に光を照射して屈折率を上昇させ、クラッド部を形成するクラッド形成工程と、そして、屈折率が上昇した光硬化性樹脂のうちコア部を形成すべき所定部分に光を照射してその部分の屈折率をさらに上昇させることによりコア部を形成するコア部形成工程とを含み構成されてなることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために請求項4に記載の本発明は、請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法において、未硬化の光硬化性樹脂に、異なる方向から同時に光を照射することにより屈折率を上昇させ、それによってコア部とクラッド部を同時に形成することを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するために請求項5に記載の本発明は、請求項2から4のいずれか1項に記載の自己形成光導波路の製造方法において、光硬化性樹脂のコア部となるべき部分又はコア部を形成すべき所定部分への光の照射は、開口部を有するフォトマスク又は光ファイバを介して行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る自己形成光導波路の製造方法によれば、光硬化樹脂に照射する光のエネルギ量に相違を設けることで屈折率の相違を生じさせることとしたので、異なる波長の光を照射したり、光増感剤の含有量や波長に制限されることなくきわめて簡単にコア部とクラッド部を形成することができるという効果がある。
【0018】
また、本発明に係る自己形成光導波路の製造方法によれば、光硬化性樹脂の塗布は1回で済み、未硬化の光硬化性樹脂を洗い流して他の光硬化性樹脂を再度塗布するという手間がなく、また、加熱処理を行う必要もないため加熱設備も不要であり、自己形成光導波路の製造が極めて簡単かつ僅かの設備で行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係る自己形成光導波路の製造方法について図面を参照しつつ以下詳細に説明する。図3は本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第一の実施形態におけるフローチャート、図4及び図5は各工程における概略説明図である。
【0020】
まず初めに、図4(a)に示すように、光デバイス、例えば、VCSEL140が実装された基板20上に光硬化性樹脂10を塗布する(ステップS1)。光硬化性樹脂10は、光を照射することによって硬化し、それに伴って屈折率が高くなる性質を備えた樹脂である。光硬化性樹脂10の一例としては、例えば、紫外光を照射することによって硬化する紫外光硬化樹脂があり、具体的には、日本化薬株式会社(東京都千代田区)のDVD003等のアクリル系樹脂がある。他には、光硬化性樹脂10に特定の波長の光を吸収する色素を混合させ、その色素が最も吸収する波長の光を照射することによって硬化させ屈折率を上昇させるようにした色素混合樹脂がある。色素混合樹脂の一例としては、例えば波長532nmのグリーンレーザ照射によって硬化する色素混合樹脂があり、この場合、照射する光は、色素混合樹脂が紫外光(10−400nm)以外で最も良く吸収する波長の光を照射することによって光硬化性樹脂10を硬化させる。尚、光硬化性樹脂10はこれらのものに限定されるものではなく、光硬化の性質を備えた樹脂であれば利用可能である。
【0021】
次に、基板20上に塗布された光硬化性樹脂10の上部側にフォトマスク30を配置する(ステップS2)。フォトマスク30の配置は、塗布された光硬化性樹脂10の周囲を囲む所定の位置に好ましくは4箇所にスペーサ15を基板20上に配置し、そのスペーサ15の上にフォトマスク30を配置する。これにより光硬化性樹脂10はフォトマスク30と基板20との間に挟み込まれた状態となる。フォトマスク30は、光を通過させる開口部(アパーチャ)31が設けられた平板上の部材であり、開口部31からは光が通過するようになっているが、図4(b)に示すように、開口部31以外の部分は金属によりマスクされており、光の透過を阻止するようになっている。従って、光は開口部31だけを通過して光硬化性樹脂10に対して照射される。図示されたフォトマスク30には3つ開口部31が設けられているが、その数は3つに限らず任意に設けることができる。このようにして、フォトマスク30の上部側から光を照射すると照射された光は開口部31部分のみを通過し、それ以外の光はフォトマスク30によって遮光される。尚、スペーサ15の高さ、すなわち、基板20とフォトマスク30との間の高さは0.1〜20.0mm、開口部31の直径は50〜100μmのサイズであると自己形成光導波路の形成効率が良い。
【0022】
次に、図4(b)に示すように、フォトマスク30の上部側から光を照射する。照射する光は光硬化性樹脂10との組み合わせにより適宜選択されるものであり、例えば、光硬化性樹脂10が紫外光によって硬化する性質のものである場合には紫外光を照射し、波長532nmのグリーンレーザ照射によって硬化する色素混合樹脂の場合には、上述のように、この色素混合樹脂が紫外光以外で最も良く吸収する波長の光を照射する。尚、図示された実施形態においては光硬化性樹脂10が紫外光硬化樹脂で、照射する光が紫外光5として説明する。
【0023】
フォトマスク30の上部側から紫外光5を照射すると、紫外光5はフォトマスク30の開口部31のみを通過し開口部31の真下に位置する光硬化性樹脂10内を透過して基板20上に載置されたVCSEL140の開口部141に達する。これにより、図4(c)に示すように、紫外光5が透過した部分が硬化してコア部11が予備形成される(ステップ3)。
【0024】
紫外光5の照射強度に関しては、使用する光硬化性樹脂10の性質にもよるが、上述のDVD003を使用して約250mW/cm2の強度の紫外光を約2.2秒照射したところ、開口部31の直径が約50μm、基板側の直径が約52μm、長さが約400μmの自己形成光導波路を形成することができた。
【0025】
次に、図5(a)に示すように、基板20上の光硬化性樹脂10に対して横方向(基板20と略平行な方向)から紫外光5を照射し、光硬化性樹脂10のほぼ全体にわたって硬化させる。これにより、未硬化であった光硬化性樹脂10も硬化して未硬化の部分の光硬化性樹脂10の屈折率が高くなる。一方、予備形成されたコア部11も基板20の横方向から照射される紫外光5によってさらに屈折率が高くなる。これにより屈折率の高いコア部11が形成されると共に、その周囲にそれよりも屈折率の低いクラッド部12(図5(b)参照)が形成されて光導波路構造が形成される。ここで、図7は、紫外光5の照射エネルギ量と屈折率との関係を示したグラフである。コア部11はフォトマスク30の開口部31からと基板20の横方向からの紫外光5の照射により屈折率が次第に高くなっていく。尚、所定の数値に達した後は屈折率は変化しない。一方、クラッド部12は、当初はフォトマスク30により遮光されているので屈折率の変化はなく、その後、基板20の横方向からの紫外光5の照射によって屈折率が次第に上昇していく状態を示している。そして、コア部11の屈折率がほぼ上昇した時点(図7における点線で示した時点)で紫外光5の照射を終了することが好ましい。
【0026】
ここで、本実施形態では紫外光5を横方向から照射することによって光硬化性樹脂10全体に紫外光5を照射しているが、照射は1箇所ではなく複数箇所から行うこともできる。また、フォトマスク30を除去した後で、光硬化性樹脂10の上部側から紫外光5を照射することにより光硬化性樹脂10全体に紫外光5を照射することもできる。この場合、紫外光5の発光器は少なくとも1つあればよいことになる。尚、光硬化性樹脂10からのフォトマスク30の剥離性を良くするために予め光硬化性樹脂10と接する側のフォトマスク30の表面に離型材を塗布しておくとフォトマスク30をスムーズに取り外すことができる。
【0027】
上述したような製造工程に沿って製造された自己形成光導波路は光硬化性樹脂10を硬化させる性質を有する光が侵入すると光硬化性樹脂10の硬化がさらに進行するおそれがあり、そうなるとコア部11とクラッド部12との屈折率のバランスが変化し、初期の性能を維持できなくなることが考えられる。そのため、図6に示すように上記のようにして形成された自己形成光導波路の周囲に光硬化性樹脂10を硬化させるような機能を有する光(例えば、紫外光5)が入り込まないようにその周囲の遮光を行う(ステップS5)。遮光は、例えば、遮光手段として、紫外光5が通過しないようなコーティングがなされたケース7内に収容する。これにより、コア部11及びクラッド部12の外部からの光による性状の変化を防止することができる。
【0028】
次に、本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第二の実施形態について説明する。図8は本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第二の実施形態におけるフローチャート、図9及び図10は各工程における概略説明図である。尚、第二の実施形態において第一の実施形態と同じ部材には同じ符号を付しその説明は省略する。
【0029】
初めに、図9(a)に示すように、光デバイス、例えば、VCSEL140が実装された基板20上に光硬化性樹脂10を塗布し(ステップS11)、基板20上に配置したスペーサ15の上にフォトマスク30を配置(図9(b))する(ステップS12)。フォトマスク30は、第一の実施形態のものと同様のものであり、その配置は光硬化性樹脂10の周囲を囲む基板20上の所定位置に好ましくは4箇所に配置したスペーサ15の上に配置して行う。そして、基板20上の光硬化性樹脂10に対して横方向(基板20と略平行な方向)から紫外光5を照射し(図9(c))、基板20上に塗布された光硬化性樹脂10を半硬化させて屈折率を上昇させてクラッド部12を形成する(ステップS13)。次に、フォトマスク30の上部側から紫外光5を照射(図10(a))し、開口部31を通過してクラッド部12内を透過した紫外光5によってコア部11を形成する(図10(b))(ステップS14)。最後に、第一の実施形態と同様に、自己形成光導波路の周囲を遮光する(ステップS15)。尚、上述のように横と上の2方向からの紫外光5照射に替え、フォトマスク30を配置せずに上方から光硬化性樹脂10に紫外光5を照射して先ず全体を適度に硬化させ、次に同マスクを配して今一度上方から同光を照射し、コア部11とクラッド部12を形成することもできる。
【0030】
次に、本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第三の実施形態について説明する。図11は本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第三の実施形態におけるフローチャート、図12及び図13は各工程における概略説明図である。尚、第三の実施形態において第一又は第二の実施形態と同じ部材には同じ符号を付しその説明は省略する。
【0031】
初めに、図12(a)に示すように、光デバイス、例えば、VCSEL140が実装された基板20上に光硬化性樹脂10を塗布する(ステップS21)。そして、基板20上に塗布された光硬化性樹脂10の上部側に光コネクタ41に保持された光ファイバ40を配置させる(ステップS22)。光ファイバ40の配置は、例えば、基板20に掛止部21を設け、この掛止部21に光コネクタ41の掛止爪17を掛止させることにより行うことができる。すなわち、図12(b)に示すように、光ファイバ40を保持した光コネクタ41の掛止爪17を基板20に設けられた掛止部21に掛止させることにより両者を嵌合させ、これにより光ファイバ40を所定位置に配置させる。図示された光コネクタ41には3つの光ファイバ40が接続されているが、その数は特に限定されるものではなく、3つに限らず任意に設けることができる。そして、このようにして配置した光ファイバ40に紫外光5を導入すると(図12(c))紫外光5は光ファイバ40の先端から出射され、光硬化性樹脂内部を透過し、透過した部分の屈折率が上昇して半硬化し、コア部11が予備形成される(ステップS23)。
【0032】
次に、図13(a)に示すように、基板20上の光硬化性樹脂10に対して横方向(基板20と略平行な方向)から紫外光5を照射し、光硬化性樹脂10のほぼ全体にわたって硬化させ屈折率を上昇させる。尚、図13(a)において側面側は掛止部21によって紫外光5の照射が遮られているように見えるが、掛止部21には紫外光5が照射可能な図示しない開口部が形成されており、紫外光5の照射は何ら阻害されないようになっている。これにより、未硬化であった光硬化性樹脂10も半硬化し、未硬化の部分の光硬化性樹脂10の屈折率が高くなる。一方、予備形成されたコア部11は照射された紫外光5によって硬化してさらに屈折率が高くなる。これにより屈折率の高いコア部11が形成されると共にその周囲にそれよりも屈折率の低いクラッド部12(図13(b)参照)が形成されて光導波路構造が形成される。最後に、第一の実施形態と同様に、自己形成光導波路の周囲を遮光する(ステップS25)。
【0033】
次に、本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第四の実施形態について説明する。図14は本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第四の実施形態におけるフローチャート、図15及び図16は各工程における概略説明図である。尚、第四の実施形態において第一から第三の実施形態と同じ部材には同じ符号を付しその説明は省略する。
【0034】
初めに、図15(a)に示すように、光デバイス、例えば、VCSEL140が実装された基板20上に光硬化性樹脂10を塗布する(ステップS31)。そして、塗布された光硬化性樹脂10の上部側に光ファイバ40を保持した光コネクタ41を配置する(ステップS32)。光コネクタ41は、第二の実施形態のものと同様のものであり、基板20に設けられた掛止部21に光コネクタの掛止爪17を掛止させることにより両者を嵌合させ、これによって光ファイバ40を所定位置へ配置する(図15(b)参照)。そして、基板20上の光硬化性樹脂10に対して横方向(基板20と略平行な方向)から紫外光5を照射し(図15(c))、基板20上に塗布された光硬化性樹脂10を半硬化させて屈折率を上昇させ、クラッド部12を形成する(ステップS33)。そして、光ファイバ40を介して紫外光5を照射(図16(a))し、コア部11を形成する(図16(b))(ステップS34)。最後に、第一の実施形態と同様に、自己形成光導波路の周囲を遮光する(ステップS35)。
尚、第二の実施形態の場合のように、横と上の2方向からの紫外光5照射に替え、フォトマスク30を配置せずに上方から光硬化性樹脂10に紫外光5を照射して先ず全体を適度に硬化させ、次に同マスクを配して今一度上方から同光を照射し、コア部11とクラッド部12を形成することもできる。
【0035】
次に、本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第五の実施形態について説明する。図17は本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第五の実施形態におけるフローチャート、図18は各工程における概略説明図である。尚、第五の実施形態において第一から第四の実施形態と同じ部材には同じ符号を付しその説明は省略する。
【0036】
初めに、図18(a)に示すように、光デバイス、例えば、VCSEL140が実装された基板20上に光硬化性樹脂10を塗布する(ステップS41)。そして、基板20上に塗布された光硬化性樹脂10の上部側にフォトマスク30を配置する(ステップS42)。次に、紫外光5を異なる方向から同時に照射する。すなわち、図18(b)に示すように、フォトマスク30の上部側及び光硬化性樹脂10に対して横方向(基板20と略平行な方向)から紫外光5を同時に照射する。フォトマスク30の上部側から照射された紫外光5はフォトマスク30の開口部31を通過して開口部31の真下に位置する光硬化性樹脂10内を透過して基板20上に載置されたVCSEL140の開口部141に達する。一方、基板20の横方向から同時に照射された紫外光5によって光硬化性樹脂10の略全体が硬化して屈折率が上昇する。このとき、横方向から照射された紫外光5はフォトマスク30の開口部31を介して光硬化性樹脂10内に照射された部分(コア部分)にも照射されるのでこの部分に照射される光のエネルギ量は他の部分よりも相対的に多くなるので、より屈折率が高くなる。これにより相対的に屈折率の高いコア部11が形成されると共に、その周囲にそれよりも屈折率の低いクラッド部12(図18(c)参照)が形成されて光導波路構造が形成される。最後に、他の実施形態と同様に、自己形成光導波路の周囲を遮光する(ステップS45)。
【0037】
上述したように、本発明に係る自己形成光導波路の製造方法によれば、コア部11を形成した後の未硬化の光硬化性樹脂10を除去することなくそのまま利用してクラッド部12を形成するようにしたので光硬化性樹脂の塗布は1回で済み、未硬化の光硬化性樹脂を洗い流して他の光構成樹脂を再度塗布するという手間がなく、また、加熱処理を行う必要もないため加熱設備も不要であり、自己形成光導波路の製造が極めて簡単かつ僅かの設備で行うことができる。
また、コア部11の形成に際して、第三又は第四の実施形態のように光ファイバ40を介して紫外光5を導入してコア部11を形成するようにすれば、煩わしい光ファイバ40との調芯作業行うことなく光接続を完了させることができる。
さらに、第五の実施形態のように、一回の紫外光5の照射によってコア部とクラッド部を形成させることで簡単且つ短時間に自己形成光導波路の製造を行うことができる。
【0038】
以上のように、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】(a)、(b)は公知の自己形成光導波路の製造を示す説明図である。
【図2】(a)、(b)は公知のフォトマスク転写法による自己形成光導波路の製造を示す説明図である。
【図3】本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第一の実施形態におけるフローチャートである。
【図4】(a)〜(c)は、第一の実施形態の自己形成光導波路の製造方法の各工程における概略説明図である。
【図5】(a)、(b)は、第一の実施形態の自己形成光導波路の製造方法の各工程における概略説明図である。
【図6】遮光されたケース内に収容された自己形成光導波路の概要を示す斜視図である。
【図7】紫外光の露光量と屈折率との関係を示したグラフである。
【図8】本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第二の実施形態におけるフローチャートである。
【図9】(a)〜(c)は、第二の実施形態の自己形成光導波路の製造方法のの各工程における概略説明図である。
【図10】(a)、(b)は、第二の実施形態の自己形成光導波路の製造方法の各工程における概略説明図である。
【図11】本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第三の実施形態におけるフローチャートである。
【図12】(a)〜(c)は、第三の実施形態の自己形成光導波路の製造方法のの各工程における概略説明図である。
【図13】(a)、(b)は、第三の実施形態の自己形成光導波路の製造方法の各工程における概略説明図である。
【図14】本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第四の実施形態におけるフローチャートである。
【図15】(a)〜(c)は、第四の実施形態の自己形成光導波路の製造方法のの各工程における概略説明図である。
【図16】(a)、(b)は、第四の実施形態の自己形成光導波路の製造方法の各工程における概略説明図である。
【図17】本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第五の実施形態におけるフローチャートである。
【図18】(a)〜(c)は、第五実施形態の自己形成光導波路の製造方法のの各工程における概略説明図である。
【符号の説明】
【0040】
5 紫外光
7 ケース
10 光硬化性樹脂
11 コア部
12 クラッド部
15 スペーサ
17 掛止爪
20 基板
21 掛止部
30 フォトマスク
31 開口部
40 光ファイバ
41 光コネクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己形成光導波路の製造方法に関し、さらに詳しくは、VCSEL(面発光レーザ:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)やPD(Photo Diode)等の光デバイスに光接続手段である自己形成光導波路を形成する自己形成光導波路の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信技術の急速な発展によりネットワークでやり取りされる通信トラフィックは増大の一途を辿っている。それに伴い、コンピュータをはじめとする情報処理装置に搭載されている半導体素子の集積度も飛躍的に上昇している。そのため、これらの半導体素子を実装し、情報処理装置を構成する電子回路基板内の配線本数も半導体の集積度上昇に比例し増加している。しかし、従来の電気配線では、配線の高密度化が進むとクロストークや輻射等のボトルネックが浮き彫りになっていた。
【0003】
このような電気配線における問題を解決する手段として、光信号を用いる光配線技術の導入がある。光信号は相互干渉が非常に少なく、配線密度が上がっても配線同士の干渉によるノイズが少ないため、高品質で大容量の情報伝送に適している。基板内における配線は、基板上に実装したVCSEL等の光源(発光素子)と、PDなどの光検出器(受光素子)、光伝達手段である光導波路からなる。光源から出射した光信号は光導波路を伝わって伝送され光検出器に達する。
【0004】
しかし、電気配線と光配線では多くの相違点がある。例えば、素子と配線を接続する作業において、電気配線ならばはんだ等を用いて結合させれば簡単に接続が完了するが、光配線では光学素子と光導波路、または光導波路同士の接続の際には非常に精密な位置合わせ(調芯)が必要であり、その接続は困難である。この問題を解決するための一つの方法として自己形成光導波路による接続方法が提案されている。
【0005】
自己形成光導波路による接続方法について図1を参照しつつ説明する。まず、コア層103の周囲にクラッド層101を備えた光ファイバ100の一方側の端部であって自己形成光導波路を形成させたい側の端部近傍に光硬化性樹脂110を充填する(図1(a))。そして、光ファイバ100の反対側の端部から光を入射し、入射した光が光硬化性樹脂110内を透過して基板200上に配置されたVCSEL140の開口部141に至るように照射する。これにより、光が照射された部分の屈折率が上がると共に硬化する(図1(b))。そして、未硬化の光硬化性樹脂を除去することにより光ファイバ100の端部に自己形成光導波路120を形成することができる(例えば、特開2003−131063号公報、特開2003−131064号公報(特許文献1、2))。このようにして既設の光導波路を伝搬する光によって自己形成光導波路を形成させれば、既設の光導波路や光学素子と自己形成光導波路の接続が容易となる。
【0006】
一方、他の自己形成光導波路製造方法の一つに、フォトマスク転写法がある。フォトマスクとはクロムなどの光を遮蔽する膜に光を透過させるために複数箇所の開口部を設けたものであり、自己形成光導波路形成における「型」ともいえる。フォトマスク転写法による自己形成光導波路の形成手順は、図2に示すように、まず配置されたフォトマスク130の下部に光硬化性樹脂110を充填する(図2(a))。そして、フォトマスク130の上部から光を照射することにより、光はフォトマスク130に複数設けられた開口部131を通過して光硬化性樹脂110に照射される。照射された光は光硬化性樹脂110内を透過し、透過した部分の光硬化性樹脂110の屈折率が上がると同時に硬化する(図2(b))。そして、フォトマスク130を取り除き、未硬化の光硬化性樹脂110を除去することによって自己形成光導波路120を形成することが出来る(例えば、特開2006−078606号公報(特許文献3))。
【0007】
フォトマスク転写法を用いることにより、1回のプロセスで複数のチャネルの自己形成光導波路を一括転写によって形成することができ、また、自己形成光導波路の高さ(長さ)は、例えば、スペーサを用いること等により適宜調整することが出来る。また、開口部の形状を変化させることにより、様々な形状の自己形成光導波路を形成することができる。そのため、フォトマスク転写法は光配線の多層化に容易に対応することができる。
【0008】
上述したように、自己形成光導波路は光接続が必要とされる様々な場面での利用範囲が広く、その多様化にも容易に対応することができるという利点を有している。
しかし、自己形成光導波路を含む一般的な光導波路の製造方法においては、光の照射によってコアとなった部分以外の未硬化の光硬化性樹脂は一旦除去し、新たに性質の異なる別の光硬化性樹脂をコアの周囲に充填し、再度光を照射することによってコアの周囲に屈折率の異なるクラッドを形成するか(例えば、特開2005−347441号公報(特許文献4))、あるいは、光硬化性樹脂を熱硬化の機能を持たせることで未硬化の光硬化性樹脂を加熱によって硬化させることによってクラッドを形成する(例えば、特開2004−102220号公報(特許文献5)というものが通常であった。
一方、高屈折率成分と低屈折率成分の屈折率の異なる2種類の混合液に波長の異なる2種類の光を照射することによって自己形成光導波路を製造する技術や光硬化樹脂に光増感剤を混合することにより光増感剤の存在下において光を照射して自己形成光導波路を製造する技術も提案されている(例えば、非特許文献1、特許文献6、7)。
さらに増感剤を混合した光硬化性樹脂を硬化させた場合、増感剤の吸光ピーク波長より、若干短波長側では、その樹脂の屈折率は低くなり、かつ若干長波長側では逆に高くなるという特性を利用して光導波路を作製する方法も提案されている。しかし、現在その吸光ピーク波長はグリーン波長より短く、応用が限定され、実用的でないという問題がある。さらに吸光波長に近い波長の導波光にのみに有効であるあるため、光吸収損失が大きくなるという問題がある。(特許文献8)
【0009】
【特許文献1】特開2003−131063号公報
【特許文献2】特開2003−131064号公報
【特許文献3】特開2006−078606号公報
【特許文献4】特開2005−347441号公報
【特許文献5】特開2004−102220号公報
【特許文献6】特開2000−347043公報
【特許文献7】特開2003−294968公報
【特許文献8】特開2004−212775公報
【非特許文献1】社団法人電子情報通信学会 信学技報(TECHNIACL REPORT OF IEICE.)OME2001-80,OPE2001-69(2001-10) 「自己形成光導波路における屈折率分布と光伝送特性」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、光硬化性樹脂に対して光を照射することによってコアを形成した後、未硬化の光硬化性樹脂を取り除き、再度別の光硬化性樹脂をコアの周囲に充填し、しかる後光を照射して硬化させてクラッドを形成するという一連の工程は手間がかかり、簡略化したいという要望があった。また、屈折率の異なる2種類の光硬化性樹脂からなる混合液に波長の異なる2種類の光を照射するという作業も面倒であり、光増感剤の含有量や照射する光の波長により屈折率の変化が左右されることから工程がさらに簡略化できれば好都合である。
また、熱硬化性の機能も併せ持った未硬化の光硬化性樹脂を加熱することでクラッドを形成する方法においても光照射の設備と加熱のための設備の両方が必要となるという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、光導波路の製造において、きわめて簡単に製造することが可能な自己形成光導波路の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために請求項1に記載の本発明は、光硬化性樹脂へ照射する光のエネルギ量を照射すべき部位によって差を設けることにより光硬化樹脂の硬化に伴う屈折率の変化に相違を生じさせ、それによってコア部とクラッド部を形成することを特徴とする自己形成光導波路の製造方法を提供する。光硬化樹脂は照射する光のエネルギによって硬化すると共に屈折率が上昇する。そこで、コア部になるべき部分により多くの光のエネルギを与え、それ以外の部分にはそれよりも少ない光のエネルギを与えることで屈折率に相違を生じさせ、それによってコア部とクラッド部をそれぞれ形成するものである。照射する光のエネルギ量は照射時間の長短、光の照射強度等によって調整することができる。
【0013】
上記課題を解決するために請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法において、未硬化の光硬化性樹脂のうちコア部を形成すべき所定部分に光を照射してその部分の屈折率を上昇させることによりコア部となるべき部分を形成するコア部予備形成工程と、そして、屈折率が上昇したコア部となるべき部分を含む光硬化性樹脂に光を照射することによりコア部となるべき部分の屈折率をさらに上昇させてコア部を形成すると共に、それ以外の部分の屈折率を上昇させてクラッド部を形成するコア部・クラッド部形成工程とを含み構成されてなることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するために請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法において、未硬化の光硬化性樹脂に光を照射して屈折率を上昇させ、クラッド部を形成するクラッド形成工程と、そして、屈折率が上昇した光硬化性樹脂のうちコア部を形成すべき所定部分に光を照射してその部分の屈折率をさらに上昇させることによりコア部を形成するコア部形成工程とを含み構成されてなることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために請求項4に記載の本発明は、請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法において、未硬化の光硬化性樹脂に、異なる方向から同時に光を照射することにより屈折率を上昇させ、それによってコア部とクラッド部を同時に形成することを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するために請求項5に記載の本発明は、請求項2から4のいずれか1項に記載の自己形成光導波路の製造方法において、光硬化性樹脂のコア部となるべき部分又はコア部を形成すべき所定部分への光の照射は、開口部を有するフォトマスク又は光ファイバを介して行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る自己形成光導波路の製造方法によれば、光硬化樹脂に照射する光のエネルギ量に相違を設けることで屈折率の相違を生じさせることとしたので、異なる波長の光を照射したり、光増感剤の含有量や波長に制限されることなくきわめて簡単にコア部とクラッド部を形成することができるという効果がある。
【0018】
また、本発明に係る自己形成光導波路の製造方法によれば、光硬化性樹脂の塗布は1回で済み、未硬化の光硬化性樹脂を洗い流して他の光硬化性樹脂を再度塗布するという手間がなく、また、加熱処理を行う必要もないため加熱設備も不要であり、自己形成光導波路の製造が極めて簡単かつ僅かの設備で行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係る自己形成光導波路の製造方法について図面を参照しつつ以下詳細に説明する。図3は本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第一の実施形態におけるフローチャート、図4及び図5は各工程における概略説明図である。
【0020】
まず初めに、図4(a)に示すように、光デバイス、例えば、VCSEL140が実装された基板20上に光硬化性樹脂10を塗布する(ステップS1)。光硬化性樹脂10は、光を照射することによって硬化し、それに伴って屈折率が高くなる性質を備えた樹脂である。光硬化性樹脂10の一例としては、例えば、紫外光を照射することによって硬化する紫外光硬化樹脂があり、具体的には、日本化薬株式会社(東京都千代田区)のDVD003等のアクリル系樹脂がある。他には、光硬化性樹脂10に特定の波長の光を吸収する色素を混合させ、その色素が最も吸収する波長の光を照射することによって硬化させ屈折率を上昇させるようにした色素混合樹脂がある。色素混合樹脂の一例としては、例えば波長532nmのグリーンレーザ照射によって硬化する色素混合樹脂があり、この場合、照射する光は、色素混合樹脂が紫外光(10−400nm)以外で最も良く吸収する波長の光を照射することによって光硬化性樹脂10を硬化させる。尚、光硬化性樹脂10はこれらのものに限定されるものではなく、光硬化の性質を備えた樹脂であれば利用可能である。
【0021】
次に、基板20上に塗布された光硬化性樹脂10の上部側にフォトマスク30を配置する(ステップS2)。フォトマスク30の配置は、塗布された光硬化性樹脂10の周囲を囲む所定の位置に好ましくは4箇所にスペーサ15を基板20上に配置し、そのスペーサ15の上にフォトマスク30を配置する。これにより光硬化性樹脂10はフォトマスク30と基板20との間に挟み込まれた状態となる。フォトマスク30は、光を通過させる開口部(アパーチャ)31が設けられた平板上の部材であり、開口部31からは光が通過するようになっているが、図4(b)に示すように、開口部31以外の部分は金属によりマスクされており、光の透過を阻止するようになっている。従って、光は開口部31だけを通過して光硬化性樹脂10に対して照射される。図示されたフォトマスク30には3つ開口部31が設けられているが、その数は3つに限らず任意に設けることができる。このようにして、フォトマスク30の上部側から光を照射すると照射された光は開口部31部分のみを通過し、それ以外の光はフォトマスク30によって遮光される。尚、スペーサ15の高さ、すなわち、基板20とフォトマスク30との間の高さは0.1〜20.0mm、開口部31の直径は50〜100μmのサイズであると自己形成光導波路の形成効率が良い。
【0022】
次に、図4(b)に示すように、フォトマスク30の上部側から光を照射する。照射する光は光硬化性樹脂10との組み合わせにより適宜選択されるものであり、例えば、光硬化性樹脂10が紫外光によって硬化する性質のものである場合には紫外光を照射し、波長532nmのグリーンレーザ照射によって硬化する色素混合樹脂の場合には、上述のように、この色素混合樹脂が紫外光以外で最も良く吸収する波長の光を照射する。尚、図示された実施形態においては光硬化性樹脂10が紫外光硬化樹脂で、照射する光が紫外光5として説明する。
【0023】
フォトマスク30の上部側から紫外光5を照射すると、紫外光5はフォトマスク30の開口部31のみを通過し開口部31の真下に位置する光硬化性樹脂10内を透過して基板20上に載置されたVCSEL140の開口部141に達する。これにより、図4(c)に示すように、紫外光5が透過した部分が硬化してコア部11が予備形成される(ステップ3)。
【0024】
紫外光5の照射強度に関しては、使用する光硬化性樹脂10の性質にもよるが、上述のDVD003を使用して約250mW/cm2の強度の紫外光を約2.2秒照射したところ、開口部31の直径が約50μm、基板側の直径が約52μm、長さが約400μmの自己形成光導波路を形成することができた。
【0025】
次に、図5(a)に示すように、基板20上の光硬化性樹脂10に対して横方向(基板20と略平行な方向)から紫外光5を照射し、光硬化性樹脂10のほぼ全体にわたって硬化させる。これにより、未硬化であった光硬化性樹脂10も硬化して未硬化の部分の光硬化性樹脂10の屈折率が高くなる。一方、予備形成されたコア部11も基板20の横方向から照射される紫外光5によってさらに屈折率が高くなる。これにより屈折率の高いコア部11が形成されると共に、その周囲にそれよりも屈折率の低いクラッド部12(図5(b)参照)が形成されて光導波路構造が形成される。ここで、図7は、紫外光5の照射エネルギ量と屈折率との関係を示したグラフである。コア部11はフォトマスク30の開口部31からと基板20の横方向からの紫外光5の照射により屈折率が次第に高くなっていく。尚、所定の数値に達した後は屈折率は変化しない。一方、クラッド部12は、当初はフォトマスク30により遮光されているので屈折率の変化はなく、その後、基板20の横方向からの紫外光5の照射によって屈折率が次第に上昇していく状態を示している。そして、コア部11の屈折率がほぼ上昇した時点(図7における点線で示した時点)で紫外光5の照射を終了することが好ましい。
【0026】
ここで、本実施形態では紫外光5を横方向から照射することによって光硬化性樹脂10全体に紫外光5を照射しているが、照射は1箇所ではなく複数箇所から行うこともできる。また、フォトマスク30を除去した後で、光硬化性樹脂10の上部側から紫外光5を照射することにより光硬化性樹脂10全体に紫外光5を照射することもできる。この場合、紫外光5の発光器は少なくとも1つあればよいことになる。尚、光硬化性樹脂10からのフォトマスク30の剥離性を良くするために予め光硬化性樹脂10と接する側のフォトマスク30の表面に離型材を塗布しておくとフォトマスク30をスムーズに取り外すことができる。
【0027】
上述したような製造工程に沿って製造された自己形成光導波路は光硬化性樹脂10を硬化させる性質を有する光が侵入すると光硬化性樹脂10の硬化がさらに進行するおそれがあり、そうなるとコア部11とクラッド部12との屈折率のバランスが変化し、初期の性能を維持できなくなることが考えられる。そのため、図6に示すように上記のようにして形成された自己形成光導波路の周囲に光硬化性樹脂10を硬化させるような機能を有する光(例えば、紫外光5)が入り込まないようにその周囲の遮光を行う(ステップS5)。遮光は、例えば、遮光手段として、紫外光5が通過しないようなコーティングがなされたケース7内に収容する。これにより、コア部11及びクラッド部12の外部からの光による性状の変化を防止することができる。
【0028】
次に、本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第二の実施形態について説明する。図8は本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第二の実施形態におけるフローチャート、図9及び図10は各工程における概略説明図である。尚、第二の実施形態において第一の実施形態と同じ部材には同じ符号を付しその説明は省略する。
【0029】
初めに、図9(a)に示すように、光デバイス、例えば、VCSEL140が実装された基板20上に光硬化性樹脂10を塗布し(ステップS11)、基板20上に配置したスペーサ15の上にフォトマスク30を配置(図9(b))する(ステップS12)。フォトマスク30は、第一の実施形態のものと同様のものであり、その配置は光硬化性樹脂10の周囲を囲む基板20上の所定位置に好ましくは4箇所に配置したスペーサ15の上に配置して行う。そして、基板20上の光硬化性樹脂10に対して横方向(基板20と略平行な方向)から紫外光5を照射し(図9(c))、基板20上に塗布された光硬化性樹脂10を半硬化させて屈折率を上昇させてクラッド部12を形成する(ステップS13)。次に、フォトマスク30の上部側から紫外光5を照射(図10(a))し、開口部31を通過してクラッド部12内を透過した紫外光5によってコア部11を形成する(図10(b))(ステップS14)。最後に、第一の実施形態と同様に、自己形成光導波路の周囲を遮光する(ステップS15)。尚、上述のように横と上の2方向からの紫外光5照射に替え、フォトマスク30を配置せずに上方から光硬化性樹脂10に紫外光5を照射して先ず全体を適度に硬化させ、次に同マスクを配して今一度上方から同光を照射し、コア部11とクラッド部12を形成することもできる。
【0030】
次に、本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第三の実施形態について説明する。図11は本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第三の実施形態におけるフローチャート、図12及び図13は各工程における概略説明図である。尚、第三の実施形態において第一又は第二の実施形態と同じ部材には同じ符号を付しその説明は省略する。
【0031】
初めに、図12(a)に示すように、光デバイス、例えば、VCSEL140が実装された基板20上に光硬化性樹脂10を塗布する(ステップS21)。そして、基板20上に塗布された光硬化性樹脂10の上部側に光コネクタ41に保持された光ファイバ40を配置させる(ステップS22)。光ファイバ40の配置は、例えば、基板20に掛止部21を設け、この掛止部21に光コネクタ41の掛止爪17を掛止させることにより行うことができる。すなわち、図12(b)に示すように、光ファイバ40を保持した光コネクタ41の掛止爪17を基板20に設けられた掛止部21に掛止させることにより両者を嵌合させ、これにより光ファイバ40を所定位置に配置させる。図示された光コネクタ41には3つの光ファイバ40が接続されているが、その数は特に限定されるものではなく、3つに限らず任意に設けることができる。そして、このようにして配置した光ファイバ40に紫外光5を導入すると(図12(c))紫外光5は光ファイバ40の先端から出射され、光硬化性樹脂内部を透過し、透過した部分の屈折率が上昇して半硬化し、コア部11が予備形成される(ステップS23)。
【0032】
次に、図13(a)に示すように、基板20上の光硬化性樹脂10に対して横方向(基板20と略平行な方向)から紫外光5を照射し、光硬化性樹脂10のほぼ全体にわたって硬化させ屈折率を上昇させる。尚、図13(a)において側面側は掛止部21によって紫外光5の照射が遮られているように見えるが、掛止部21には紫外光5が照射可能な図示しない開口部が形成されており、紫外光5の照射は何ら阻害されないようになっている。これにより、未硬化であった光硬化性樹脂10も半硬化し、未硬化の部分の光硬化性樹脂10の屈折率が高くなる。一方、予備形成されたコア部11は照射された紫外光5によって硬化してさらに屈折率が高くなる。これにより屈折率の高いコア部11が形成されると共にその周囲にそれよりも屈折率の低いクラッド部12(図13(b)参照)が形成されて光導波路構造が形成される。最後に、第一の実施形態と同様に、自己形成光導波路の周囲を遮光する(ステップS25)。
【0033】
次に、本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第四の実施形態について説明する。図14は本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第四の実施形態におけるフローチャート、図15及び図16は各工程における概略説明図である。尚、第四の実施形態において第一から第三の実施形態と同じ部材には同じ符号を付しその説明は省略する。
【0034】
初めに、図15(a)に示すように、光デバイス、例えば、VCSEL140が実装された基板20上に光硬化性樹脂10を塗布する(ステップS31)。そして、塗布された光硬化性樹脂10の上部側に光ファイバ40を保持した光コネクタ41を配置する(ステップS32)。光コネクタ41は、第二の実施形態のものと同様のものであり、基板20に設けられた掛止部21に光コネクタの掛止爪17を掛止させることにより両者を嵌合させ、これによって光ファイバ40を所定位置へ配置する(図15(b)参照)。そして、基板20上の光硬化性樹脂10に対して横方向(基板20と略平行な方向)から紫外光5を照射し(図15(c))、基板20上に塗布された光硬化性樹脂10を半硬化させて屈折率を上昇させ、クラッド部12を形成する(ステップS33)。そして、光ファイバ40を介して紫外光5を照射(図16(a))し、コア部11を形成する(図16(b))(ステップS34)。最後に、第一の実施形態と同様に、自己形成光導波路の周囲を遮光する(ステップS35)。
尚、第二の実施形態の場合のように、横と上の2方向からの紫外光5照射に替え、フォトマスク30を配置せずに上方から光硬化性樹脂10に紫外光5を照射して先ず全体を適度に硬化させ、次に同マスクを配して今一度上方から同光を照射し、コア部11とクラッド部12を形成することもできる。
【0035】
次に、本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第五の実施形態について説明する。図17は本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第五の実施形態におけるフローチャート、図18は各工程における概略説明図である。尚、第五の実施形態において第一から第四の実施形態と同じ部材には同じ符号を付しその説明は省略する。
【0036】
初めに、図18(a)に示すように、光デバイス、例えば、VCSEL140が実装された基板20上に光硬化性樹脂10を塗布する(ステップS41)。そして、基板20上に塗布された光硬化性樹脂10の上部側にフォトマスク30を配置する(ステップS42)。次に、紫外光5を異なる方向から同時に照射する。すなわち、図18(b)に示すように、フォトマスク30の上部側及び光硬化性樹脂10に対して横方向(基板20と略平行な方向)から紫外光5を同時に照射する。フォトマスク30の上部側から照射された紫外光5はフォトマスク30の開口部31を通過して開口部31の真下に位置する光硬化性樹脂10内を透過して基板20上に載置されたVCSEL140の開口部141に達する。一方、基板20の横方向から同時に照射された紫外光5によって光硬化性樹脂10の略全体が硬化して屈折率が上昇する。このとき、横方向から照射された紫外光5はフォトマスク30の開口部31を介して光硬化性樹脂10内に照射された部分(コア部分)にも照射されるのでこの部分に照射される光のエネルギ量は他の部分よりも相対的に多くなるので、より屈折率が高くなる。これにより相対的に屈折率の高いコア部11が形成されると共に、その周囲にそれよりも屈折率の低いクラッド部12(図18(c)参照)が形成されて光導波路構造が形成される。最後に、他の実施形態と同様に、自己形成光導波路の周囲を遮光する(ステップS45)。
【0037】
上述したように、本発明に係る自己形成光導波路の製造方法によれば、コア部11を形成した後の未硬化の光硬化性樹脂10を除去することなくそのまま利用してクラッド部12を形成するようにしたので光硬化性樹脂の塗布は1回で済み、未硬化の光硬化性樹脂を洗い流して他の光構成樹脂を再度塗布するという手間がなく、また、加熱処理を行う必要もないため加熱設備も不要であり、自己形成光導波路の製造が極めて簡単かつ僅かの設備で行うことができる。
また、コア部11の形成に際して、第三又は第四の実施形態のように光ファイバ40を介して紫外光5を導入してコア部11を形成するようにすれば、煩わしい光ファイバ40との調芯作業行うことなく光接続を完了させることができる。
さらに、第五の実施形態のように、一回の紫外光5の照射によってコア部とクラッド部を形成させることで簡単且つ短時間に自己形成光導波路の製造を行うことができる。
【0038】
以上のように、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】(a)、(b)は公知の自己形成光導波路の製造を示す説明図である。
【図2】(a)、(b)は公知のフォトマスク転写法による自己形成光導波路の製造を示す説明図である。
【図3】本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第一の実施形態におけるフローチャートである。
【図4】(a)〜(c)は、第一の実施形態の自己形成光導波路の製造方法の各工程における概略説明図である。
【図5】(a)、(b)は、第一の実施形態の自己形成光導波路の製造方法の各工程における概略説明図である。
【図6】遮光されたケース内に収容された自己形成光導波路の概要を示す斜視図である。
【図7】紫外光の露光量と屈折率との関係を示したグラフである。
【図8】本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第二の実施形態におけるフローチャートである。
【図9】(a)〜(c)は、第二の実施形態の自己形成光導波路の製造方法のの各工程における概略説明図である。
【図10】(a)、(b)は、第二の実施形態の自己形成光導波路の製造方法の各工程における概略説明図である。
【図11】本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第三の実施形態におけるフローチャートである。
【図12】(a)〜(c)は、第三の実施形態の自己形成光導波路の製造方法のの各工程における概略説明図である。
【図13】(a)、(b)は、第三の実施形態の自己形成光導波路の製造方法の各工程における概略説明図である。
【図14】本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第四の実施形態におけるフローチャートである。
【図15】(a)〜(c)は、第四の実施形態の自己形成光導波路の製造方法のの各工程における概略説明図である。
【図16】(a)、(b)は、第四の実施形態の自己形成光導波路の製造方法の各工程における概略説明図である。
【図17】本発明に係る自己形成光導波路の製造方法の第五の実施形態におけるフローチャートである。
【図18】(a)〜(c)は、第五実施形態の自己形成光導波路の製造方法のの各工程における概略説明図である。
【符号の説明】
【0040】
5 紫外光
7 ケース
10 光硬化性樹脂
11 コア部
12 クラッド部
15 スペーサ
17 掛止爪
20 基板
21 掛止部
30 フォトマスク
31 開口部
40 光ファイバ
41 光コネクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性樹脂へ照射する光のエネルギ量を照射すべき部位によって差を設けることにより前記光硬化性樹脂の硬化に伴う屈折率の変化に相違を生じさせ、それによってコア部とクラッド部を形成することを特徴とする自己形成光導波路の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法において、
未硬化の前記光硬化性樹脂のうちコア部を形成すべき所定部分に光を照射してその部分の屈折率を上昇させることによりコア部となるべき部分を形成するコア部予備形成工程と、そして、
屈折率が上昇したコア部となるべき部分を含む前記光硬化性樹脂に光を照射することによりコア部となるべき部分の屈折率をさらに上昇させてコア部を形成すると共に、それ以外の部分の屈折率を上昇させてクラッド部を形成するコア部・クラッド部形成工程と、
を含み構成されてなることを特徴とする自己形成光導波路の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法において、
未硬化の前記光硬化性樹脂に光を照射して屈折率を上昇させ、クラッド部を形成するクラッド形成工程と、そして、
屈折率が上昇した前記光硬化性樹脂のうちコア部を形成すべき所定部分に光を照射してその部分の屈折率をさらに上昇させることによりコア部を形成するコア部形成工程と、
を含み構成されてなることを特徴とする自己形成光導波路の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法において、
未硬化の前記光硬化性樹脂に、異なる方向から同時に光を照射することにより屈折率を上昇させ、それによってコア部とクラッド部を同時に形成することを特徴とする自己形成光導波路の製造方法。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載の自己形成光導波路の製造方法において、
前記光硬化性樹脂の前記コア部となるべき部分又は前記コア部を形成すべき所定部分への光の照射は、開口部を有するフォトマスク又は光ファイバを介して行われることを特徴とする自己形成光導波路の製造方法。
【請求項1】
光硬化性樹脂へ照射する光のエネルギ量を照射すべき部位によって差を設けることにより前記光硬化性樹脂の硬化に伴う屈折率の変化に相違を生じさせ、それによってコア部とクラッド部を形成することを特徴とする自己形成光導波路の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法において、
未硬化の前記光硬化性樹脂のうちコア部を形成すべき所定部分に光を照射してその部分の屈折率を上昇させることによりコア部となるべき部分を形成するコア部予備形成工程と、そして、
屈折率が上昇したコア部となるべき部分を含む前記光硬化性樹脂に光を照射することによりコア部となるべき部分の屈折率をさらに上昇させてコア部を形成すると共に、それ以外の部分の屈折率を上昇させてクラッド部を形成するコア部・クラッド部形成工程と、
を含み構成されてなることを特徴とする自己形成光導波路の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法において、
未硬化の前記光硬化性樹脂に光を照射して屈折率を上昇させ、クラッド部を形成するクラッド形成工程と、そして、
屈折率が上昇した前記光硬化性樹脂のうちコア部を形成すべき所定部分に光を照射してその部分の屈折率をさらに上昇させることによりコア部を形成するコア部形成工程と、
を含み構成されてなることを特徴とする自己形成光導波路の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法において、
未硬化の前記光硬化性樹脂に、異なる方向から同時に光を照射することにより屈折率を上昇させ、それによってコア部とクラッド部を同時に形成することを特徴とする自己形成光導波路の製造方法。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載の自己形成光導波路の製造方法において、
前記光硬化性樹脂の前記コア部となるべき部分又は前記コア部を形成すべき所定部分への光の照射は、開口部を有するフォトマスク又は光ファイバを介して行われることを特徴とする自己形成光導波路の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−15214(P2009−15214A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−179504(P2007−179504)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(000125369)学校法人東海大学 (352)
【出願人】(000205122)大宏電機株式会社 (78)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(000125369)学校法人東海大学 (352)
【出願人】(000205122)大宏電機株式会社 (78)
【Fターム(参考)】
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