説明

薄膜トランジスタ、その製造方法及び液晶表示装置

【課題】オフ電流が小さく、電位保持特性が優れており、消費電力が低いと共に、動作速度も速い低温ポリシリコントランジスタを含む薄膜トランジスタ、この薄膜トランジスタの製造方法及びそれを使用した液晶表示装置を提供する。
【解決手段】ガラス基板10上にゲート電極11、ゲート絶縁膜12、チャネル領域、ソース・ドレイン電極15a,15bを形成した逆スタガ構造の薄膜トランジスタである。このチャネル領域は、ポリシリコン膜13と、このポリシリコン膜13の上面及び側面を覆うa−Si:H膜14とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆スタガ構造の薄膜トランジスタに関し、特に、液晶表示装置の表示部の画素トランジスタに好適の薄膜トランジスタと、その製造方法及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
逆スタガ構造の薄膜トランジスタとしては、絶縁性基板上にCr又はAl等の金属層によりゲート電極を形成し、次いで、このゲート電極を含む基板上にゲート絶縁膜として例えばSiN膜を形成し、その後、全面に水素化アモルファスシリコン(以下、a−Si:Hと記載する)膜を形成したアモルファスシリコントランジスタがある。このアモルファスシリコントランジスタは、更に、a−Si:H膜上に、例えば、nSi膜を形成し、a−Si:H膜及びnSi膜をゲート電極上の所定領域にアイランド状にパターニングし、更に金属層によりソース・ドレイン電極を形成した後、このソース・ドレイン電極をマスクとしてnSi膜をエッチングし、チャネル領域予定領域の上方のnSi膜を除去することにより、a−Si:H膜とSiNゲート絶縁膜との境界で、チャネル領域を形成し、その後、全面にパッシベーション膜を形成することにより、完成する。この逆スタガ構造のアモルファスシリコン薄膜トランジスタは、オフ電流IOFFが小さいため、例えば、液晶表示装置の画素トランジスタとして使用されている。
【0003】
しかしながら、アモルファスシリコントランジスタは、a−Si:H膜をチャネル領域に使用しているので、チャネル領域における電荷の移動度が小さいという難点がある。近時、画素部が形成された基板の周辺部に駆動回路を形成した液晶表示装置が提案されているが、この液晶表示装置において、アモルファスシリコントランジスタは、画素部の画素トランジスタとしては使用可能レベルではあるものの、より高速な書換が必要な周辺駆動回路の構成トランジスタとしては、チャネル領域の電荷移動度が小さすぎて、使用することが困難である。
【0004】
そこで、a−Siにレーザを照射してアニールすることにより、a−Siを多結晶シリコン(以下、ポリシリコンという)に結晶化させ、チャネル領域にポリシリコン膜を形成した逆スタガ構造の低温ポリシリコントランジスタが提案されている(特許文献1)。
【0005】
特許文献1に記載された低温ポリシリコントランジスタは、以下のようにして形成される。即ち、図7に示すように、ガラス基板101上にCr又はAl等のゲート電極102を形成し、更に、ゲート電極102を含む基板101の全面にSiNからなるゲート絶縁膜103を形成し、更にその上にa−Si:H膜を10〜40nmの厚さに形成する。そして、このa−Si:H膜に対し、ライン状にレーザビームを照射するレーザ照射部材を、前記ラインに垂直の方向にスキャンさせることにより、a−Si:H膜の全面にエキシマレーザ光を照射してアニールし、a−Si:H膜の全体をポリシリコン膜104に改質させる。そして、改質後のポリシリコン膜104上に、再度、a−Si:H膜105を形成し、更に、a−Si:H膜105上にnSi膜106を形成し、これらのnSi膜106、a−Si:H膜105及びポリシリコン膜104を、ゲート電極102の上方でアイランド状にエッチング加工する。そして、このアイランド状Si3層膜の上に、ソース・ドレイン電極107を形成し、このソース・ドレイン電極107をマスクとして、nSi膜106を除去し、その後、全面に、パッシベーション膜108を形成する。
【0006】
このようにして形成した低温ポリシリコントランジスタは、チャネル領域がポリシリコン膜104とa−Si:H膜105との2層膜で構成され、ポリシリコン膜104がSiNゲート絶縁膜103に接触しているので、チャネル領域の電荷移動度が速く、オン電流が高くなり、動作速度が速くなるため、液晶表示装置の周辺駆動回路用のトランジスタとして十分に使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−63196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の従来の低温ポリシリコントランジスタは、オン電流が高いものの、オフ電流も高くなり、電位保持特性が低いと共に、漏洩する電流が多くなるため、消費電力が高いという問題点がある。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、オフ電流が小さく、電位保持特性が優れており、消費電力が低いと共に、動作速度も速い低温ポリシリコントランジスタを含む薄膜トランジスタ、この薄膜トランジスタの製造方法及びそれを使用した液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る薄膜トランジスタは、絶縁性基板と、この絶縁性基板の上に形成されたゲート電極と、このゲート電極上に形成されたゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜上の前記ゲート電極に対応する位置にアイランド状に形成されたポリシリコン膜と、このポリシリコン膜の上面及び側面を覆うように形成されたアモルファスシリコン膜と、このアモルファスシリコン膜の両端部に電気的に接続するように形成されたソース・ドレイン電極と、を有することを特徴とする逆スタガ構造の薄膜トランジスタである。
【0011】
前記ゲート絶縁膜は、例えば、SiN膜である。
【0012】
本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法は、絶縁性基板上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極を含む前記基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に第1のアモルファスシリコン膜を形成する工程と、前記第1のアモルファスシリコン膜に対し前記ゲート電極に対応するアイランド状領域にレーザ光を照射してこの領域をポリシリコン膜に改質する工程と、この改質ポリシリコン領域及び第1のアモルファスシリコン領域上に第2のアモルファスシリコン膜を形成する工程と、前記改質ポリシリコン膜の上面及び側面を覆うアモルファスシリコン膜を残して他の部分のアモルファスシリコン膜を除去する工程と、残存したアモルファスシリコン膜の両端部に電気的に接続するようにソース・ドレイン電極を形成する工程と、を有することを特徴とする逆スタガ構造の薄膜トランジスタの製造方法である。なお、上記アモルファスシリコン膜には、水素を含まない膜(a−Si膜)の他、水素を含む水素化アモルファスシリコン膜(a−Si:H膜)等も含む。
【0013】
前記レーザ光の照射工程においては、複数個のマイクロレンズを配置したマイクロレンズアレイによりレーザ光を集光して複数個のレーザビームを得、マトリクス状に配置された複数個の薄膜トランジスタの前記アイランド状領域を前記各レーザビームにより照射して、複数個の薄膜トランジスタのポリシリコン領域を形成することができる。
【0014】
また、本発明に係る液晶表示装置は、前記薄膜トランジスタを、表示部の画素トランジスタ及び周辺駆動回路の駆動トランジスタとして使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る薄膜トランジスタによれば、SiN膜等のゲート絶縁膜とポリシリコン膜との境界にて、チャネル領域が形成されているので、電荷の移動速度が速く、オン電流が高く、書き込み速度が速いため、動作速度が速い。そして、ポリシリコン膜の側面をアモルファスシリコン膜が覆っており、このアモルファスシリコン膜は電荷の移動速度が遅いので、アモルファスシリコン膜が存在しない場合に比してリーク電流が低減され、電位の保持特性が優れていると共に、消費電力が低減される。
【0016】
また、本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法によれば、第1のアモルファスシリコン膜に対し、ゲート電極に対応するアイランド状領域に局部的にレーザ光を照射して、この領域をポリシリコン膜に改質し、更に、このポリシリコン膜及び第1のアモルファスシリコン膜上に、第2のアモルファスシリコン膜を形成した後、前記ポリシリコン膜とこのポリシリコン膜の側面及び上面を覆うアモルファスシリコン膜からなるチャネル領域を形成するから、本発明の薄膜トランジスタを容易に製造することができる。
【0017】
更に、本発明に係る液晶表示装置によれば、駆動回路の動作が速く、漏れ電流が少なく、低消費電力化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタを示し、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線による断面図、(c)は(a)のC−C線による断面図である。
【図2】本発明の実施形態における液晶表示装置の表示部の1画素を示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る製造方法にて使用するマイクロレンズアレイを使用したレーザ照射装置を示す図であり、(a)は全体図、(b)はマイクロレンズアレイを示す。
【図4】(a)乃至(c)は本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタの製造方法を工程順に示す断面図である。
【図5】(a)乃至(c)は本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタの製造方法を工程順に示す断面図であり、図4の次の工程を示す。
【図6】(a)乃至(c)は本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタの製造方法を工程順に示す断面図であり、図5の次の工程を示す。
【図7】従来の逆スタガ構造の薄膜トランジスタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタを示し、図2は液晶表示装置の表示部の1画素を示す平面図である。液晶表示装置においては、表示部と、この表示部の周辺部に駆動用の周辺回路とが配置されており、表示部においては、図2に示すように、複数本の走査線SLと複数本の信号線DLとが直交するように形成されており、この走査線SLと信号線DLとに囲まれた単位領域に1画素が形成される。各画素には、ITO(Indium Tin Oxide)からなる透明電極TEとスイッチングトランジスタTが形成されており、このトランジスタTのゲート電極は走査線SLに接続され、トランジスタTのドレインは信号線DLに接続され、ソースはITOからなる透明電極TEに接続されている。
【0020】
図1(a)はトランジスタ1(T)の平面図、図1(b)は図1(a)のB−B線による断面図、図1(c)は図1(a)のC−C線による断面図である。図1(a)に示すように、トランジスタTは、そのゲートGが走査線SLに接続され、そのドレインDが信号線DLに接続され、ソースSが透明電極TEに接続されている。チャネル領域を構成するアイランドILがゲートGの上方に形成されており、ドレインD及びソースSが、アイランドILの上方にて適長間隔をおいて対向するように形成されている。
【0021】
図1(b)及び図1(c)に示すように、本実施形態の薄膜トランジスタ1(T)においては、透明絶縁性のガラス基板10上に、走査線SLに接続されたゲート電極11(G)が形成されており、このゲート電極11上を含めて基板10上に、SiNからなるゲート絶縁膜12が形成されている。ゲート電極11は、Cr又はAl等の金属層であり、スパッタ法により形成することができる。ゲート絶縁膜12上には、ゲート電極11上の位置に、アイランド(IL)状にポリシリコン膜13が形成されており、このポリシリコン膜13の上面及び側面を覆うようにして、水素化アモルファスシリコン膜(以下、a−Si:H膜という)14が形成されている。このa−Si:H膜14の両端部上に重なるようにして、信号線DLに接続されたドレイン電極15a(D)及び画素の透明電極(TE)に接続されたソース電極15b(S)が形成されている。そして、全面にSiNからなる保護膜16が形成されている。
【0022】
このように構成された逆スタガ構造の薄膜トランジスタにおいては、a−Si:H膜14がドレイン電極15a及びソース電極15bに電気的に接続されており、このa−Si:H膜14とポリシリコン膜13とによりチャネル領域が形成されている。そして、トランジスタの動作時には、電荷は、ポリシリコン膜13とSiNゲート絶縁膜12との境界に生成し、この境界を移動するので、本実施形態の薄膜トランジスタは、電荷移動度が高く、オン電流が高い。このように、本実施形態の薄膜トランジスタは、オン電流が高いため、書き込み時間が短く、高速動作が可能である。
【0023】
しかも、このポリシリコン膜13からなるアイランドの周囲、即ち、ポリシリコン膜13の側面には、非晶質a−Si:H膜14が形成されているので、アイランドの周囲を経路とする漏れ電流が少なく、オフ電流が低い。このように、オフ電流が低いため、電位の保持特性が優れており、液晶表示装置の表示部の画素トランジスタの電位が経時的に低下することを防止できる。このように、本実施形態によれば、オン電流が高く、オフ電流が低いトランジスタを得ることができる。従って、このトランジスタは、高速動作が可能であると共に、電位保持特性が優れており、消費電力が小さい。
【0024】
次に、上述のごとく構成された薄膜トランジスタの製造方法について説明する。図4(a)乃至(c)、図5(a)乃至(c)及び図6(a)乃至(c)は、本実施形態の製造方法を工程順に示す断面図である。図4(a)に示すように、ガラス基板1上に、Mo、Cr又はAl等の金属膜からなるゲート電極2を、スパッタにより例えば2000〜3000Åの厚さに形成する。このゲート電極は、走査線SLと同時にガラス基板1上にパターン形成することができる。
【0025】
次に、図4(b)に示すように、例えば、シラン及びHガスを原料ガスとし、250〜300℃の低温のプラズマCVD法により、全面にSiN膜からなるゲート絶縁膜3を、例えば2500〜5000Åの厚さに形成する。その後、図4(c)に示すように、ゲート絶縁膜3上に、例えば、プラズマCVD法により、第1のa−Si:H膜4aを、例えば200〜1000Åの厚さに形成する。このa−Si:H膜4aは、SiN膜の形成後、基板を空気中に出さずに、別のチャンバに移動させて連続的に成膜する。a−Si:H膜4aは、シランとアンモニアとHガスを原料ガスとして成膜するが、Hガスの混合は膜質改善に寄与するものの、その添加は任意である。その後、基板を取り出して、a−Si:H膜4aに対し、図3(a)に示すマイクロレンズアレイを使用したレーザアニールにより、チャネル領域形成予定領域のみにレーザ光を照射してアニールし、このチャネル領域形成予定領域を多結晶化し、ポリシリコン膜4を形成する。
【0026】
図3に示すように、このマイクロレンズアレイを使用したレーザアニール装置は、光源31から出射されたレーザ光を、レンズ群32により平行ビームに成形し、マイクロレンズアレイ35を介して被照射体36に照射する。レーザ光源31は、例えば、波長が308nm又は353nmのレーザ光を例えば50Hzの繰り返し周期で放射するエキシマレーザである。マイクロレンズアレイ35は、透明基板34に多数のマイクロレンズ35が配置されたものであり、レーザ光を被照射体36としての薄膜トランジスタ基板に設定された薄膜トランジスタ形成領域に集光させるものである。透明基板34は被照射体36に平行に配置され、マイクロレンズ35は、トランジスタ形成領域の配列ピッチの2以上の整数倍(例えば2)のピッチで配置されている。本実施形態の被照射体36は、薄膜トランジスタ1であり、図4(c)に示すチャネル領域形成予定領域にマイクロレンズ35により集光されたレーザ光を照射する。なお、レンズ群32により平行ビームに整形されたレーザビームは、その途中に遮光部材33が配置されており、この遮光部材33により、マイクロレンズ34により集光されて被照射体36に照射されたレーザビームのビーム形状を、例えば、矩形に整形することができる。従って、図1(a)に示すように、チャネル領域形成予定領域が矩形であっても、マイクロレンズ34によりその領域を選択的に照射することができる。
【0027】
次いで、図5(a)に示すように、ポリシリコン膜4及び第1のa−Si:H膜4aの層の上の全面に、第2のa−Si:H膜5aを、例えば2000〜3000Åの厚さに形成する。この第2のa−Si:H膜5aの成膜条件は、第1のa−Si:H膜4aの成膜条件と同様である。その後、基板をチャンバから取り出さずに連続的に、図5(b)に示すように、a−Si:H膜5aの上に、nSi膜6aを、例えば500Å程度の厚さに形成する。このnSi膜6aは、シランにホスフィン等のPを含有するガスを混合したガスを原料ガスとして、プラズマCVDにより成膜することができる。この場合に、Hガスを原料ガスに混合することもできる。次いで、基板を取り出し、図5(c)に示すように、a−Si:H膜4a、a−Si:H膜5a及びn膜6aを、ポリシリコン膜4の上方の部分と、ポリシリコン膜4の側面のa−Si:H膜4aのみを残して、他の部分を除去し、アイランド状のチャネル領域をパターン形成する。
【0028】
その後、図6(a)に示すように、nSi膜6aの端部に接触するようにして、ドレイン電極7a及びソース電極7bを、例えば2000〜5000Åの厚さに形成する。次いで、図6(b)に示すように、これらのドレイン電極7a及びソース電極7bをマスクとして、nSi膜6aをエッチング除去することにより、ドレイン電極7a及びソース電極7bとa−Si:H膜5との間にのみn膜6を残す。
【0029】
その後、図6(c)に示すように、SiN膜からなる保護膜8を全面に形成する。図6(c)には、図1(b)の構造の対応する部分の符号を括弧書きで示している。図6(c)に示す構造は、ソース・ドレイン電極とa−Si:H膜との間に、nSi膜6を設けた点が、図1(b)の構造と異なる。このnSi膜6は、ソース・ドレイン電極とa−Si:H膜との間の密着性を高め、接触抵抗を下げるためのものである。しかし、このnSi膜の形成は任意であり、図1に示すようにnSi膜を形成しなくても良く、又は他の手段で、ソース・ドレイン電極とa−Si:H膜との間の接触抵抗の低減を図ってもよい。
【0030】
このようにして、図1に示す薄膜トランジスタを製造することができる。上記製造方法においては、マイクロレンズアレイを使用して、薄膜トランジスタのチャネル領域にのみレーザビームを照射することができるので、このレーザビームの照射によるa−Si:H膜のアニールにより、チャネル領域形成予定領域のみ結晶化してアイランド状のポリシリコン膜4を形成することができる。よって、ポリシリコン膜13(4)の側面及び上面をa−Si:H膜14(4a)が覆う構造の薄膜トランジスタを容易に製造することができる。
【0031】
また、上述の説明から明らかなように、本実施形態の逆スタガ構造の薄膜トランジスタを、液晶表示装置の表示部の画素トランジスタとして使用することにより、表示部の画素トランジスタの高速化及び漏れ電流の低減による電位安定化が可能となる。また、本実施形態の逆スタガ構造の薄膜トランジスタを、液晶表示装置の周辺駆動回路のトランジスタとして使用することもでき、本実施形態の薄膜トランジスタは、チャネル領域にポリシリコン膜を使用しているので、高速動作が可能である。いずれにおいても、本実施形態の薄膜トランジスタは、オン電流が高く、オフ電流が低いので、液晶表示装置のトランジスタとして好適である。
【符号の説明】
【0032】
1,10:ガラス基板
2,11:ゲート電極
3,12:ゲート絶縁膜
4,13:ポリシリコン膜
4a,5,5a,14:a−Si:H膜
6,6a:n
7a,15a:ドレイン電極
7b,15b:ソース電極
8,16:保護膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基板と、この絶縁性基板の上に形成されたゲート電極と、このゲート電極上に形成されたゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜上の前記ゲート電極に対応する位置にアイランド状に形成されたポリシリコン膜と、このポリシリコン膜の上面及び側面を覆うように形成されたアモルファスシリコン膜と、このアモルファスシリコン膜の両端部に電気的に接続するように形成されたソース・ドレイン電極と、を有することを特徴とする逆スタガ構造の薄膜トランジスタ。
【請求項2】
前記ゲート絶縁膜はSiN膜であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項3】
絶縁性基板上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極を含む前記基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に第1のアモルファスシリコン膜を形成する工程と、前記第1のアモルファスシリコン膜に対し前記ゲート電極に対応するアイランド状領域にレーザ光を照射してこの領域をポリシリコン膜に改質する工程と、この改質ポリシリコン領域及び第1のアモルファスシリコン領域上に第2のアモルファスシリコン膜を形成する工程と、前記改質ポリシリコン膜の上面及び側面を覆うアモルファスシリコン膜を残して他の部分のアモルファスシリコン膜を除去する工程と、残存したアモルファスシリコン膜の両端部に電気的に接続するようにソース・ドレイン電極を形成する工程と、を有することを特徴とする逆スタガ構造の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項4】
前記レーザ光の照射工程において、複数個のマイクロレンズを配置したマイクロレンズアレイによりレーザ光を集光して複数個のレーザビームを得、マトリクス状に配置された複数個の薄膜トランジスタの前記アイランド状領域を前記各レーザビームにより照射して、複数個の薄膜トランジスタのポリシリコン領域を形成することを特徴とする請求項3に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項5】
前記請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタを、表示部の画素トランジスタとして使用することを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−29411(P2011−29411A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173709(P2009−173709)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(500171707)株式会社ブイ・テクノロジー (283)
【Fターム(参考)】