薄膜トランジスタとその製造方法と電気光学装置と電子機器
【課題】 非晶質シリコンTFTの特性を大幅に向上させつつ、その製造プロセスにおける膜飛びを抑制する。
【解決手段】まず、基板10上にゲート電極11を形成する。次に、基板10上に、ゲート電極11を平面視で覆うゲート絶縁膜12を形成し、その上に、チャネル領域13cとソース領域13sとドレイン領域13dとを有する非晶質の半導体膜13を形成し、その上に、チャネル領域13cを平面視で覆うチャネル保護層14を形成する。次に、半導体膜13とチャネル保護層14とにレーザーを照射することにより、チャネル領域13cを微結晶化する。次に、半導体膜13上に、チャネル保護層14を平面視で覆い、ソース領域13sとドレイン領域13dとに平面視で重なる導電膜を形成する。次に、導電膜をエッチングしてソース電極16sとドレイン電極16dとを形成する。
【解決手段】まず、基板10上にゲート電極11を形成する。次に、基板10上に、ゲート電極11を平面視で覆うゲート絶縁膜12を形成し、その上に、チャネル領域13cとソース領域13sとドレイン領域13dとを有する非晶質の半導体膜13を形成し、その上に、チャネル領域13cを平面視で覆うチャネル保護層14を形成する。次に、半導体膜13とチャネル保護層14とにレーザーを照射することにより、チャネル領域13cを微結晶化する。次に、半導体膜13上に、チャネル保護層14を平面視で覆い、ソース領域13sとドレイン領域13dとに平面視で重なる導電膜を形成する。次に、導電膜をエッチングしてソース電極16sとドレイン電極16dとを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶質シリコン(a-Si)TFT(薄膜トランジスタ)の製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、非晶質シリコンTFTの特性は、多結晶シリコン(p-Si)TFTの特性よりも悪い。例えば、非晶質シリコンTFTの移動度は、0.8cm2/Vs以下が一般的であり、多結晶シリコンTFTの移動度よりも遥かに低い。つまり、オン電流が小さい。また例えば、非晶質シリコンTFTの閾値電圧は、多結晶シリコンTFTの閾値電圧よりも大きく変動する。つまり、動作の信頼性が低い。
【0003】
非晶質シリコンTFTの特性の改善には、TFTのチャネル領域に微結晶(マイクロクリスタル)シリコンを用いることが有効である。特許文献1及び特許文献2には、TFTのチャネル領域に微結晶シリコンを用いたエッチ・ストッパ型のTFTが開示されている。特許文献1のTFTの製造方法では、微結晶シリコン層上に密着性向上層を形成し、その上にチャネル保護層を形成している。特許文献2のTFTの製造方法では、微結晶シリコンで形成されたチャネル層の上にチャネル保護層を形成し、その上に複数の微結晶シリコン層を積層させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−231641号公報
【特許文献2】特開2008−91599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
微結晶シリコン層を簡単に形成する方法としては、第1に、成膜条件や成膜装置を改善する方法が挙げられる。しかし、この方法では、移動度を大幅に向上させることは困難である。第2に、固相成長を利用した炉などによるアニールが挙げられる。しかし、この方法では、基板が高温環境に長時間さらされて反ってしまう。第3に、レーザーを用いたアニール(レーザーアニール)が挙げられる。レーザーアニールであれば、基板にダメージを与えることなく、移動度を大幅に向上させることができる。
【0006】
したがって、非晶質シリコンTFTの特性を大幅に向上させるためには、その製造プロセスに、レーザーアニールによる微結晶シリコン層の形成工程を入れることが望ましい。例えば、特許文献1及び2に記載の製造方法において、密着性向上層やチャネル保護層を形成する前に、非晶質シリコン膜にレーザーを照射して微結晶シリコン層を形成する。この場合、所望の結晶粒径を得るためには、照射条件(照射エネルギー密度)を十分に高くする必要がある。しかし、照射条件が高いほど、非晶質シリコン膜の膜飛び(膜中残留水素起因のアブレーション)が発生し易くなる。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みて、非晶質シリコンTFTの特性を大幅に向上させつつ、その製造プロセスにおける膜飛びを抑制することを解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係るTFTの製造方法は、基板上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に、非晶質の半導体膜を形成する工程と、前記半導体膜上の前記ゲート電極に平面視で重なる領域にチャネル保護層を形成する工程と、前記半導体膜と前記チャネル保護層とにレーザーを照射することにより、前記半導体膜のうち前記チャネル保護層と重なる部分を微結晶化する工程と、前記半導体膜に接続されたソース電極とドレイン電極とを形成する工程とを有する。
この製造方法によれば、チャネル保護層越しのレーザーの照射条件を、半導体膜のうちチャネル保護層と平面視で重ならない部分の少なくとも一部が非晶質のまま残るように低くしても、チャネル保護層の蓄熱作用により、半導体膜のうちチャネル保護層と平面視で重なる部分を微結晶化させることができる。つまり、この製造方法によれば、レーザーの照射条件を低く抑制して膜飛びを抑制することができる。また、この製造方法によって製造されたTFTでは、半導体膜のうち、チャネル保護層と平面視で重なる部分が微結晶化されているから、その特性は、微結晶化されていない従来のものに比べて大幅に向上する。また、このTFTでは、チャネル保護層と平面視で重ならない部分の少なくとも一部が非晶質のまま残るから、多層化せずともオフ電流を抑制することができる。
【0009】
前記半導体膜の厚さとしては、30nm以上100nm以下が好ましく、50nmが最適である。前記チャネル保護層の厚さとしては、30nm以上80nm以下が好ましく、50nmが最適である。また、前記レーザーは、紫外線を用いたエキシマレーザーであってもよいし、可視光を用いた固体レーザーであってもよい。
【0010】
前記レーザーが、可視光を用いた固体レーザーである場合、前記ゲート絶縁膜の厚さを150nm以上200nm以下とし、前記微結晶化する工程では、前記レーザーの照射により、前記半導体膜のうち前記ゲート電極と平面視で重なる部分を微結晶化するようにしてもよい。この製造方法によれば、ゲート絶縁膜の膜厚が一般的な非晶質シリコンTFTのゲート絶縁膜よりも薄く、ゲート電極で反射されてゲート絶縁膜に入射する可視光の光量が多くなるから、ゲート絶縁膜の蓄熱作用が強くなる。このため、半導体膜のうち、ゲート電極と平面視で重なる部分を微結晶化し、ゲート電極と平面視で重ならない部分を非晶質のまま残すことができる。したがって、上述と同様の効果が得られる。また、微結晶化する範囲をゲート電極のパターニングによって調整することができるから、設計の自由度が高いという利点がある。
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明に係るTFTは、基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成され、非晶質のソース領域とドレイン領域、並びに微結晶化されたチャネル領域とを有する半導体膜と、前記半導体膜のチャネル領域を覆うチャネル保護層と、前記ソース領域に重なるソース電極と、前記ドレイン領域に重なるドレイン電極とを備えたことを特徴とする。
このTFTでは、半導体膜のうち、チャネル保護層と平面視で重なる部分が微結晶化されているから、その特性は、微結晶化されていない従来のものに比べて大幅に向上する。また、このTFTでは、ゲート電極と平面視で重ならない部分は非晶質のままであるから、多層化せずともオフ電流を抑制することができる。また、このTFTの製造工程において、チャネル保護層越しにレーザーを照射するようにし、その照射条件を、半導体膜のうちゲート電極と平面視で重ならない部分が非晶質のまま残るように低くしても、チャネル保護層及びゲート絶縁膜の蓄熱作用により、半導体膜のうちゲート電極と平面視で重なる部分を微結晶化させることができる。つまり、このTFTによれば、その製造工程において、レーザーの照射条件を低く抑制して膜飛びを抑制することができる。
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明に係る電気光学装置は、上記のTFTと、前記基板上に形成され、供給された電気エネルギーに応じて光学特性が変化する電気光学素子とを備え、前記薄膜トランジスタは、前記電気光学素子に供給する電気エネルギーを制御することを特徴とする。また、上記の課題を解決するために、本発明に係る電子機器は、上記の電気光学装置を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係るTFTの製造工程を示す断面図である。
【図2】図1に示す工程の次の工程を示す断面図である。
【図3】グリーンレーザーの照射条件と結晶粒径との関係をチャネル保護層14の膜厚L3毎に示す図である。
【図4】紫外線を用いたエキシマレーザーの照射条件と結晶粒径との関係を例示する図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るTFTの製造工程を示す断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るTFTを適用した液晶装置の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係るTFTを適用したEL装置の構成を示す断面図である。
【図8】本発明に係る電気光学装置を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る電気光学装置を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る電気光学装置を適用した携帯情報端末の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ただし、各図においては、適宜、各部の寸法および縮尺を実際のものと異ならせてある。また、以下の説明では、本発明に直接的に関係しない配線や層(膜)、処理には触れないが、これらの配線や層(膜)、処理を含む形態も本発明の範囲に含まれうる。また、以下の説明で登場する各部を構成する材料は、適宜に変更可能である。
【0015】
<A:第1実施形態>
図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係るTFTの製造工程を示す断面図である。本実施形態に係るTFTは、ボトムゲート構造を有するエッチ・ストッパ型のTFTであり、その製造工程は、一部を除いて、ボトムゲート構造を有するエッチ・ストッパ型の非晶質シリコンTFTを製造するための一般的な工程と同様であり、具体的には次に述べる通りである。
【0016】
まず、図1の(a)に示すように、基板10上にゲート電極11をパターニングする(ゲート電極を形成する工程)。次に、図1の(b)に示すように、基板10上に窒化シリコン(SiNx)でゲート絶縁膜12を形成する(ゲート絶縁膜を形成する工程)。この形成では、ゲート絶縁膜12がゲート電極11を平面視で覆うようにする。このときのゲート絶縁膜12の膜厚(ゲート絶縁膜12とゲート電極11との接触面と、ゲート絶縁膜12の、ゲート電極11とは反対側の面との距離)をL1としたとき、L1は、一般的な非晶質シリコンTFTのゲート絶縁膜の膜厚と同様であればよく、本実施形態では300nmである。
【0017】
次に、図1の(c)に示すように、ゲート絶縁膜12上に非晶質の半導体膜13を形成する(半導体膜を形成する工程)。この形成では、半導体膜13がゲート電極11を平面視で覆うようにする。このときの半導体膜13の膜厚をL2とする。L2としては、30nm以上100nm以下が好ましく、本実施形態では最適な50nmである。そして、半導体膜13において、ゲート電極11と平面視で重なる領域の少なくとも一部にチャネル領域13cが形成され、また、チャネル領域13cに隣接し、一部がゲート電極11と平面視で重なる領域が、ソース領域13s及びドレイン領域13dとなる。完成したTFTにおいて、チャネル領域13cはチャネルとして機能し、ソース領域13sはソースとして機能し、ドレイン領域13dはドレインとして機能する。
【0018】
次に、図1の(d)に示すように、半導体膜13上に酸化膜または窒化シリコン膜(SiO2またはSiNx)でチャネル保護層14をパターニングする(チャネル保護層を形成する工程)。この形成では、チャネル保護層14がチャネル領域13cを平面視で覆うようにする。チャネル保護層14は、チャネル領域13cを後述のエッチングによる劣化から保護するための層である。本実施形態では、チャネル保護層14は、平面視でチャネル領域13cのみと重なるが、チャネル領域13cに隣接する領域にも重なるようにしてもよい。また、チャネル保護層14の膜厚L3としては、30nm以上80nm以下が好ましいく、本実施形態では最適な50nmである。
【0019】
次に、レーザーアニールを行う(微結晶化する工程)。すなわち、半導体膜13とチャネル保護層14とにレーザーを照射することにより、半導体膜13のうちチャネル保護層14と平面視で重なる部分、すなわちチャネル領域13cを微結晶化する。本実施形態では、可視光を用いた固体レーザー、より具体的には波長が532nmのグリーンレーザーを用いる。レーザーの照射条件については、次に述べる通りに定められる。
【0020】
図3は、グリーンレーザーの照射条件(照射エネルギー密度)と結晶粒径との関係をチャネル保護層14の膜厚(L3)毎に示す図である。この図では、照射条件が、L3=0nmの場合、すなわちチャネル保護層14が存在しない場合に通常の結晶粒径Aが得られる照射条件(通常条件)を100%としたときの百分率で示されている。本実施形態では、微結晶化が目的であり、得ようとする結晶粒径Bは結晶粒径Aよりも小さいから、チャネル保護層14が存在しなかったとしても、照射条件は約90%となる。
【0021】
なお、得ようとする結晶粒径が小さくなれば照射条件が低くなるのは、グリーンレーザーに限らない。例えば、紫外線(例えば波長が308nmの紫外線)を用いるエキシマレーザーの場合には、図4に例示するように、チャネル保護層14が存在しない場合に通常の結晶粒径Aが得られる照射エネルギー密度を100%としたとき、約70%の照射条件で結晶粒径Bを得ることができる。
【0022】
また、図3から明らかなように、照射条件と結晶粒径との関係は、チャネル保護層14の膜厚(L3)に依存する。具体的には、0nm<L3の範囲では、L3が短いほど、照射条件が低下する。例えば、L3=100nmの場合の照射条件は100%以上となるが、L3=80nmの場合の照射条件は約90%となり、L3=70nmの場合の照射条件は約76%となり、L3=60nmの場合の照射条件は約68%となり、L3=30nmの場合の照射条件は約63%となる。つまり、約90%以下の照射条件で微結晶化を達成するためには、L3≦80nmとする必要があり、L3を短くすれば照射条件を更に低下させることができる。
【0023】
なお、0nm<L3≦80nmの範囲において照射条件を通常条件以下とすることができるのは、この範囲のチャネル保護層14に高い蓄熱作用があるからである。「蓄熱作用」は、熱を蓄積して半導体膜13の冷却速度を低下させる作用である。チャネル保護層14に高い蓄熱作用があれば、半導体膜13の冷却速度を大幅に低下させることができるから、半導体膜13をさほど加熱しなくても十分にアニールすることができるのである。
【0024】
ところで、膜飛びは、照射条件が低いほど発生し難くなる。したがって、0nm<L3≦80nmの範囲内でL3の最短化を図るべきである。ただし、チャネル領域13cを後述のエッチングによる劣化から保護するためには、30nm≦L3が好ましい。よって、L3としては、30nm以上80nm以下が好ましく、本実施形態では50nmである。L3=50nmは、照射エネルギー密度を十分に低下させつつチャネル領域13cを十分に保護することができる最適な長さである。
【0025】
以上より、本実施形態では、L3=50nmの場合に結晶粒径Bを得ることができる照射条件(約65%)でレーザーを照射する。これにより、半導体膜13が改質される。すなわち、図2の(e)に示すように、半導体膜13のうち、チャネル保護層14に平面視で重なる部分(L3=50nmの部分:チャネル領域13c)が微結晶化する。一方、半導体膜13のうち、チャネル保護層14に平面視で重ならない部分(L3=0nmの部分:ソース領域13s及びドレイン領域13d)は非晶質のままである。これは、約65%の照射条件ではL3=0nmの場合に結晶化が起きないからである(図3参照)。
【0026】
このように、本実施形態では、十分に低い照射条件となるから、レーザーアニールにおける半導体膜13の最高温度が低く抑制される。また、本実施形態では、高い蓄熱作用のあるチャネル保護層14を採用しているから、半導体膜13の冷却速度が大幅に低下する。よって、本実施形態によれば、膜飛びを抑制することができる。次に、図2の(f)に示すように、半導体膜13上に、コンタクト層15s及び15dとソース電極16sとドレイン電極16dを形成する。詳細には、次に述べる通りである。
【0027】
まず、半導体膜13上に高濃度にドープされた非晶質の半導体膜(N+半導体膜)を形成する。この形成は、N+半導体膜が、平面視で、チャネル保護層14を覆い、ソース領域13sとドレイン領域13dとに重なるように行う。次に、N+半導体膜をエッチングすることにより、ソース領域13sに平面視で重なるコンタクト層15sと、ドレイン領域13dに平面視で重なるコンタクト層15dとを形成する。このエッチングにより、N+半導体膜のうち、チャネル領域13cと平面視で重なる部分も除去されるが、チャネル領域13cはチャネル保護層14に保護されているから、このエッチングによってチャネル領域13cが劣化する虞はない。なお、コンタクト層15s及び15dは、共に、オーミックコンタクト(オーム性接触)を実現するための層である。
【0028】
次に、半導体膜13上に金属で導電膜を形成する。この形成は、この導電膜が、平面視で、チャネル保護層14を覆い、ソース領域13sとドレイン領域13dとに重なるように行う。次に、導電膜をエッチングすることにより、コンタクト層15s(ソース領域13s)に平面視で重なるソース電極16sと、コンタクト層15d(ドレイン領域13d)に平面視で重なるドレイン電極16dとを形成する(ソース電極とドレイン電極とを形成する工程)。このエッチングにより、導電膜のうち、チャネル領域13cと平面視で重なる部分も除去されるが、チャネル領域13cはチャネル保護層14に保護されているから、このエッチングによってチャネル領域13cが劣化する虞はない。
【0029】
こうして完成したTFTは、基板10上に形成されたゲート電極11と、基板10上に形成され、ゲート電極11を平面視で覆うゲート絶縁膜12と、ゲート絶縁膜12上に半導体で形成され、チャネル領域13cとソース領域13sとドレイン領域13dとを有する半導体膜13と、半導体膜13上に形成され、チャネル領域13cを平面視で覆うチャネル保護層14と、半導体膜13上に形成され、チャネル保護層14の一端とソース領域13sとに平面視で重なるソース電極16sと、半導体膜13上に形成され、チャネル保護層14の他端とドレイン領域13dとに平面視で重なるドレイン電極16dとを備える。
【0030】
そして、本実施形態に係るTFTでは、半導体膜13のうち、チャネル保護層14と平面視で重なる部分(チャネル領域13c)は微結晶化されているから、その特性(オン電流の大きさと動作の信頼性)は、チャネル領域13cを微結晶化しない非晶質シリコンTFTに比べて大幅に良好となる。ところで、半導体膜13の全域が微結晶化されていると、TFTのオフ電流が大きくなってしまう。このオフ電流を抑制するためには、コンタクト層15s及び15dの多層化が有効であるが、構造が複雑となってしまう。これに対して、本実施形態に係るTFTによれば、チャネル保護層14と平面視で重ならない部分は非晶質のままであるから、多層化せずともオフ電流を抑制することができる。
【0031】
なお、本実施形態では、アニールにグリーンレーザーを採用したが、緑色光以外の可視光を用いる固体レーザーを採用してもよいし、紫外線を用いるエキシマレーザーを採用してもよい。例えば、図4に示す特性のエキシマレーザーを採用した場合、通常条件に対する照射条件の比率を、グリーンレーザーを採用した場合の当該比率(65/100)よりも小さくすることができる。
【0032】
<B:第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係るTFTの製造工程の一部を示す断面図である。第2実施形態に係るTFTの製造工程が第1実施形態に係るTFTの製造工程と異なるのは、ゲート電極11が可視光を反射する反射電極である点と、ゲート絶縁膜12の膜厚がL4である点と、半導体膜13のうちチャネル領域13c以外の部分もグリーンレーザーを用いたレーザーアニールによって改質される点のみである。なお、本実施形態についても、緑色光以外の可視光を用いる固体レーザーを採用してもよい。
【0033】
図5の(D)から明らかなように、第2実施形態では、前述のゲート電極を形成する工程において基板10上に反射電極であるゲート電極11をパターニングし、前述のゲート絶縁膜を形成する工程において基板10上に窒化シリコンでゲート絶縁膜12を形成する。ゲート絶縁膜12の形成では、その膜厚をL4とする。L4<L1である。L4としては、150nm以上200nm以下が好ましく、本実施形態では150nmである。また、図5の(D)に示すように、本実施形態でも第1実施形態と同様に、前述のチャネル保護層を形成する工程でチャネル保護層14をパターニングした後に前述の微結晶化する工程でレーザーアニールを行う。したがって、図5の(E)に示すように、半導体膜13のチャネル領域13cが微結晶化する。
【0034】
ところで、半導体膜13のうち、チャネル保護層14と平面視で重なっていない部分に照射されたレーザービームの一部は、半導体膜13を通過し、ゲート絶縁膜12を経てゲート電極11で反射されてゲート絶縁膜12に再入射する。また、前述のようにL4<L1である。よって、ゲート絶縁膜12の蓄熱作用は、第1実施形態におけるゲート絶縁膜12の蓄熱作用よりも大幅に強くなる。したがって、第2実施形態では、図5の(E)に示すように、チャネル領域13cのみならず、ソース領域13sのうちゲート電極11と平面視で重なる隣接領域13snも、ドレイン領域13dのうちゲート電極11と平面視で重なる隣接領域13dnも微結晶化する。
【0035】
このように、本実施形態では、半導体膜13のうち、ゲート電極11と平面視で重なる領域が、チャネル保護層14及びゲート電極11の蓄熱作用によって微結晶化する。ただし、隣接領域13sn及び隣接領域13dnの結晶粒径は、共に、チャネル領域13cの結晶粒径よりも小さい。なお、ゲート絶縁膜12の蓄熱作用を強くする観点では、L4は短い方がよい。しかし、L4が短すぎると、本体の絶縁作用が損なわれてしまう。これが、L4としては150nm以上200nm以下が好ましい理由である。
【0036】
図5の(F)に示すように、本実施形態に係るTFTは、基板10上に形成された反射電極であるゲート電極11と、基板10上に形成され、ゲート電極11を平面視で覆うゲート絶縁膜12と、ゲート絶縁膜12上に半導体で形成され、チャネル領域13cとソース領域13sとドレイン領域13dとを有する半導体膜13と、半導体膜13上に形成され、チャネル領域13cを平面視で覆うチャネル保護層14と、半導体膜13上に形成され、チャネル保護層14の一端とソース領域13sとに平面視で重なるソース電極16sと、半導体膜13上に形成され、チャネル保護層14の他端とドレイン領域13dとに平面視で重なるドレイン電極16dとを備える。
【0037】
そして、本実施形態に係るTFTでは、チャネル領域13cが微結晶化されているから、その特性(オン電流の大きさと動作の信頼性)は、チャネル領域13cを微結晶化しない非晶質シリコンTFTに比べて良好となる。また、ゲート電極11と平面視で重ならない部分は非晶質のままであるから、多層化せずともオフ電流を抑制することができる。また、半導体膜13のうち微結晶化する領域を、チャネル保護層14ではなく、ゲート電極11で制御することができるから、設計の自由度が高いという利点がある。また、隣接領域13sn及び隣接領域13dnが微結晶化されており、その結晶粒径はチャネル領域13cの結晶粒径よりも小さいから、いわゆるLDD(Lightly Doped Drain)構造を採用した場合と同様の効果が得られる。
尚、本実施形態では、微結晶化により結晶粒径B(120〜130nm)を得る例を記載しているが、これに限定されるものではない。本実施形態において、微結晶とは、粒径が多結晶と言われる粒径300nmより小さく、非晶質と言われる粒径10nmより大きい範囲を指す。結晶粒径は、電子顕微鏡で確認できる。結晶粒径が確認できない場合は、非晶質であるが、ラマン散乱測定から特定のピーク波数を検出することでも確認できる。すなわち、520cm-1付近に鋭いピークがでると、多結晶シリコン(Si)であり、全くピークが出ず480cm-1に緩やかな山があると非晶質シリコン(Si)である。
【0038】
<C:電気光学装置>
次に、第1実施形態に係るTFTを適用した電気光学装置について説明するが、第2実施形態に係るTFTについても同様の適用が可能である。電気光学装置は、供給された電気エネルギーに応じて光学特性が変化する電気光学素子を備えた装置である。電気光学装置としては、電気光学素子として液晶素子を備えた液晶装置や、電気光学素子としてEL(electro-luminescent)素子を備えたEL装置を例示可能である。
【0039】
図6は、第1実施形態に係るTFTを適用した液晶装置の構成を示す断面図である。ただし、本発明に直接的に関係しない配線や層(膜)については、図示を省略してある。図6に示す液晶装置は、反射型の液晶装置であり、TFTが形成された基板10上にTN(Twisted Nematic)方式の反射型液晶素子を形成して構成されている。反射型液晶素子は、可視光を反射する反射電極である第1電極21と、その上に形成された配向膜22と、その上に形成された液晶層23と、その上に形成された配向膜24と、その上に形成された光透過性の第2電極25とを備え、その光反射率は、第1電極21と第2電極25との間の電圧に応じて変化する。第1電極21はドレイン電極16dと接している。つまり、この液晶装置では、TFTが、反射型液晶素子の駆動電圧を制御することにより、反射型液晶素子の光反射率を制御する。
【0040】
なお、第1電極21とは別に、可視光を反射する光反射層を設けてもよい。この場合、第1電極21としては、光透過性の透明電極を採用する。また、反射型液晶素子に代えて透過型液晶素子を採用してもよい。すなわち、バックライトを備えた透過型の液晶装置としてもよい。この場合、第1電極21としては、光透過性の透明電極を採用する。また、TN方式とは異なる方式の液晶素子を採用してもよい。
【0041】
図7は、第1実施形態に係るTFTを適用したEL装置の構成を示す断面図である。ただし、本発明に直接的に関係しない配線や層(膜)については、図示を省略してある。図7に示すEL装置は、TFTが形成された基板10上にEL素子を形成して構成されている。EL素子は、有機EL素子又は無機EL素子であり、ドレイン電極16dと接する第1電極31と、その上に形成されたEL層32と、その上に形成された光透過性の第2電極33とを備え、EL層32は、第1電極31と第2電極33との間の電流又は電圧に応じた輝度で発光する。つまり、このEL装置では、TFTが、EL素子の駆動電流又は駆動電圧を制御することにより、EL素子の輝度を制御する。
【0042】
なお、基板10上に形成されるTFT及び電気光学素子は、それぞれ複数であってもよい。基板10上に形成されるTFTが複数の場合、総てのTFTについて前述の微結晶化を行うようにしてもよいし、一部のTFTについて前述の微結晶化を行うようにしてもよい。例えば、電気光学素子を画素として複数配列した電気光学装置の場合、平面視で、画素が配列された領域に重なるTFTについては微結晶化を行わず、当該領域に重ならないTFTについては微結晶化を行うようにしてもよい。
【0043】
<D:電子機器>
次に、複数の電気光学素子を備えた電気光学装置を適用した電子機器について説明するが、備える電気光学素子の数が単数の電気光学装置についても電子機器への適用が可能である。
図8は、複数の電気光学素子を備えた電気光学装置を表示装置100として採用した可搬型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、各種の画像を表示する表示装置100と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。
【0044】
図9は、複数の電気光学素子を備えた電気光学装置を表示装置200として採用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する表示装置200とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、表示装置200に表示される画面がスクロールされる。
【0045】
図10は、複数の電気光学素子を備えた電気光学装置を表示装置300として採用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す斜視図である。携帯情報端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002と、各種の画像を表示する表示装置300とを備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった様々な情報が表示装置300に表示される。
【符号の説明】
【0046】
10……基板、11……ゲート電極、12……ゲート絶縁膜、13……半導体膜、14……チャネル保護層、15s,15d……コンタクト層、16s……ソース電極、16d……ドレイン電極。
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶質シリコン(a-Si)TFT(薄膜トランジスタ)の製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、非晶質シリコンTFTの特性は、多結晶シリコン(p-Si)TFTの特性よりも悪い。例えば、非晶質シリコンTFTの移動度は、0.8cm2/Vs以下が一般的であり、多結晶シリコンTFTの移動度よりも遥かに低い。つまり、オン電流が小さい。また例えば、非晶質シリコンTFTの閾値電圧は、多結晶シリコンTFTの閾値電圧よりも大きく変動する。つまり、動作の信頼性が低い。
【0003】
非晶質シリコンTFTの特性の改善には、TFTのチャネル領域に微結晶(マイクロクリスタル)シリコンを用いることが有効である。特許文献1及び特許文献2には、TFTのチャネル領域に微結晶シリコンを用いたエッチ・ストッパ型のTFTが開示されている。特許文献1のTFTの製造方法では、微結晶シリコン層上に密着性向上層を形成し、その上にチャネル保護層を形成している。特許文献2のTFTの製造方法では、微結晶シリコンで形成されたチャネル層の上にチャネル保護層を形成し、その上に複数の微結晶シリコン層を積層させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−231641号公報
【特許文献2】特開2008−91599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
微結晶シリコン層を簡単に形成する方法としては、第1に、成膜条件や成膜装置を改善する方法が挙げられる。しかし、この方法では、移動度を大幅に向上させることは困難である。第2に、固相成長を利用した炉などによるアニールが挙げられる。しかし、この方法では、基板が高温環境に長時間さらされて反ってしまう。第3に、レーザーを用いたアニール(レーザーアニール)が挙げられる。レーザーアニールであれば、基板にダメージを与えることなく、移動度を大幅に向上させることができる。
【0006】
したがって、非晶質シリコンTFTの特性を大幅に向上させるためには、その製造プロセスに、レーザーアニールによる微結晶シリコン層の形成工程を入れることが望ましい。例えば、特許文献1及び2に記載の製造方法において、密着性向上層やチャネル保護層を形成する前に、非晶質シリコン膜にレーザーを照射して微結晶シリコン層を形成する。この場合、所望の結晶粒径を得るためには、照射条件(照射エネルギー密度)を十分に高くする必要がある。しかし、照射条件が高いほど、非晶質シリコン膜の膜飛び(膜中残留水素起因のアブレーション)が発生し易くなる。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みて、非晶質シリコンTFTの特性を大幅に向上させつつ、その製造プロセスにおける膜飛びを抑制することを解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係るTFTの製造方法は、基板上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に、非晶質の半導体膜を形成する工程と、前記半導体膜上の前記ゲート電極に平面視で重なる領域にチャネル保護層を形成する工程と、前記半導体膜と前記チャネル保護層とにレーザーを照射することにより、前記半導体膜のうち前記チャネル保護層と重なる部分を微結晶化する工程と、前記半導体膜に接続されたソース電極とドレイン電極とを形成する工程とを有する。
この製造方法によれば、チャネル保護層越しのレーザーの照射条件を、半導体膜のうちチャネル保護層と平面視で重ならない部分の少なくとも一部が非晶質のまま残るように低くしても、チャネル保護層の蓄熱作用により、半導体膜のうちチャネル保護層と平面視で重なる部分を微結晶化させることができる。つまり、この製造方法によれば、レーザーの照射条件を低く抑制して膜飛びを抑制することができる。また、この製造方法によって製造されたTFTでは、半導体膜のうち、チャネル保護層と平面視で重なる部分が微結晶化されているから、その特性は、微結晶化されていない従来のものに比べて大幅に向上する。また、このTFTでは、チャネル保護層と平面視で重ならない部分の少なくとも一部が非晶質のまま残るから、多層化せずともオフ電流を抑制することができる。
【0009】
前記半導体膜の厚さとしては、30nm以上100nm以下が好ましく、50nmが最適である。前記チャネル保護層の厚さとしては、30nm以上80nm以下が好ましく、50nmが最適である。また、前記レーザーは、紫外線を用いたエキシマレーザーであってもよいし、可視光を用いた固体レーザーであってもよい。
【0010】
前記レーザーが、可視光を用いた固体レーザーである場合、前記ゲート絶縁膜の厚さを150nm以上200nm以下とし、前記微結晶化する工程では、前記レーザーの照射により、前記半導体膜のうち前記ゲート電極と平面視で重なる部分を微結晶化するようにしてもよい。この製造方法によれば、ゲート絶縁膜の膜厚が一般的な非晶質シリコンTFTのゲート絶縁膜よりも薄く、ゲート電極で反射されてゲート絶縁膜に入射する可視光の光量が多くなるから、ゲート絶縁膜の蓄熱作用が強くなる。このため、半導体膜のうち、ゲート電極と平面視で重なる部分を微結晶化し、ゲート電極と平面視で重ならない部分を非晶質のまま残すことができる。したがって、上述と同様の効果が得られる。また、微結晶化する範囲をゲート電極のパターニングによって調整することができるから、設計の自由度が高いという利点がある。
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明に係るTFTは、基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成され、非晶質のソース領域とドレイン領域、並びに微結晶化されたチャネル領域とを有する半導体膜と、前記半導体膜のチャネル領域を覆うチャネル保護層と、前記ソース領域に重なるソース電極と、前記ドレイン領域に重なるドレイン電極とを備えたことを特徴とする。
このTFTでは、半導体膜のうち、チャネル保護層と平面視で重なる部分が微結晶化されているから、その特性は、微結晶化されていない従来のものに比べて大幅に向上する。また、このTFTでは、ゲート電極と平面視で重ならない部分は非晶質のままであるから、多層化せずともオフ電流を抑制することができる。また、このTFTの製造工程において、チャネル保護層越しにレーザーを照射するようにし、その照射条件を、半導体膜のうちゲート電極と平面視で重ならない部分が非晶質のまま残るように低くしても、チャネル保護層及びゲート絶縁膜の蓄熱作用により、半導体膜のうちゲート電極と平面視で重なる部分を微結晶化させることができる。つまり、このTFTによれば、その製造工程において、レーザーの照射条件を低く抑制して膜飛びを抑制することができる。
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明に係る電気光学装置は、上記のTFTと、前記基板上に形成され、供給された電気エネルギーに応じて光学特性が変化する電気光学素子とを備え、前記薄膜トランジスタは、前記電気光学素子に供給する電気エネルギーを制御することを特徴とする。また、上記の課題を解決するために、本発明に係る電子機器は、上記の電気光学装置を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係るTFTの製造工程を示す断面図である。
【図2】図1に示す工程の次の工程を示す断面図である。
【図3】グリーンレーザーの照射条件と結晶粒径との関係をチャネル保護層14の膜厚L3毎に示す図である。
【図4】紫外線を用いたエキシマレーザーの照射条件と結晶粒径との関係を例示する図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るTFTの製造工程を示す断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るTFTを適用した液晶装置の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係るTFTを適用したEL装置の構成を示す断面図である。
【図8】本発明に係る電気光学装置を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る電気光学装置を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る電気光学装置を適用した携帯情報端末の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ただし、各図においては、適宜、各部の寸法および縮尺を実際のものと異ならせてある。また、以下の説明では、本発明に直接的に関係しない配線や層(膜)、処理には触れないが、これらの配線や層(膜)、処理を含む形態も本発明の範囲に含まれうる。また、以下の説明で登場する各部を構成する材料は、適宜に変更可能である。
【0015】
<A:第1実施形態>
図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係るTFTの製造工程を示す断面図である。本実施形態に係るTFTは、ボトムゲート構造を有するエッチ・ストッパ型のTFTであり、その製造工程は、一部を除いて、ボトムゲート構造を有するエッチ・ストッパ型の非晶質シリコンTFTを製造するための一般的な工程と同様であり、具体的には次に述べる通りである。
【0016】
まず、図1の(a)に示すように、基板10上にゲート電極11をパターニングする(ゲート電極を形成する工程)。次に、図1の(b)に示すように、基板10上に窒化シリコン(SiNx)でゲート絶縁膜12を形成する(ゲート絶縁膜を形成する工程)。この形成では、ゲート絶縁膜12がゲート電極11を平面視で覆うようにする。このときのゲート絶縁膜12の膜厚(ゲート絶縁膜12とゲート電極11との接触面と、ゲート絶縁膜12の、ゲート電極11とは反対側の面との距離)をL1としたとき、L1は、一般的な非晶質シリコンTFTのゲート絶縁膜の膜厚と同様であればよく、本実施形態では300nmである。
【0017】
次に、図1の(c)に示すように、ゲート絶縁膜12上に非晶質の半導体膜13を形成する(半導体膜を形成する工程)。この形成では、半導体膜13がゲート電極11を平面視で覆うようにする。このときの半導体膜13の膜厚をL2とする。L2としては、30nm以上100nm以下が好ましく、本実施形態では最適な50nmである。そして、半導体膜13において、ゲート電極11と平面視で重なる領域の少なくとも一部にチャネル領域13cが形成され、また、チャネル領域13cに隣接し、一部がゲート電極11と平面視で重なる領域が、ソース領域13s及びドレイン領域13dとなる。完成したTFTにおいて、チャネル領域13cはチャネルとして機能し、ソース領域13sはソースとして機能し、ドレイン領域13dはドレインとして機能する。
【0018】
次に、図1の(d)に示すように、半導体膜13上に酸化膜または窒化シリコン膜(SiO2またはSiNx)でチャネル保護層14をパターニングする(チャネル保護層を形成する工程)。この形成では、チャネル保護層14がチャネル領域13cを平面視で覆うようにする。チャネル保護層14は、チャネル領域13cを後述のエッチングによる劣化から保護するための層である。本実施形態では、チャネル保護層14は、平面視でチャネル領域13cのみと重なるが、チャネル領域13cに隣接する領域にも重なるようにしてもよい。また、チャネル保護層14の膜厚L3としては、30nm以上80nm以下が好ましいく、本実施形態では最適な50nmである。
【0019】
次に、レーザーアニールを行う(微結晶化する工程)。すなわち、半導体膜13とチャネル保護層14とにレーザーを照射することにより、半導体膜13のうちチャネル保護層14と平面視で重なる部分、すなわちチャネル領域13cを微結晶化する。本実施形態では、可視光を用いた固体レーザー、より具体的には波長が532nmのグリーンレーザーを用いる。レーザーの照射条件については、次に述べる通りに定められる。
【0020】
図3は、グリーンレーザーの照射条件(照射エネルギー密度)と結晶粒径との関係をチャネル保護層14の膜厚(L3)毎に示す図である。この図では、照射条件が、L3=0nmの場合、すなわちチャネル保護層14が存在しない場合に通常の結晶粒径Aが得られる照射条件(通常条件)を100%としたときの百分率で示されている。本実施形態では、微結晶化が目的であり、得ようとする結晶粒径Bは結晶粒径Aよりも小さいから、チャネル保護層14が存在しなかったとしても、照射条件は約90%となる。
【0021】
なお、得ようとする結晶粒径が小さくなれば照射条件が低くなるのは、グリーンレーザーに限らない。例えば、紫外線(例えば波長が308nmの紫外線)を用いるエキシマレーザーの場合には、図4に例示するように、チャネル保護層14が存在しない場合に通常の結晶粒径Aが得られる照射エネルギー密度を100%としたとき、約70%の照射条件で結晶粒径Bを得ることができる。
【0022】
また、図3から明らかなように、照射条件と結晶粒径との関係は、チャネル保護層14の膜厚(L3)に依存する。具体的には、0nm<L3の範囲では、L3が短いほど、照射条件が低下する。例えば、L3=100nmの場合の照射条件は100%以上となるが、L3=80nmの場合の照射条件は約90%となり、L3=70nmの場合の照射条件は約76%となり、L3=60nmの場合の照射条件は約68%となり、L3=30nmの場合の照射条件は約63%となる。つまり、約90%以下の照射条件で微結晶化を達成するためには、L3≦80nmとする必要があり、L3を短くすれば照射条件を更に低下させることができる。
【0023】
なお、0nm<L3≦80nmの範囲において照射条件を通常条件以下とすることができるのは、この範囲のチャネル保護層14に高い蓄熱作用があるからである。「蓄熱作用」は、熱を蓄積して半導体膜13の冷却速度を低下させる作用である。チャネル保護層14に高い蓄熱作用があれば、半導体膜13の冷却速度を大幅に低下させることができるから、半導体膜13をさほど加熱しなくても十分にアニールすることができるのである。
【0024】
ところで、膜飛びは、照射条件が低いほど発生し難くなる。したがって、0nm<L3≦80nmの範囲内でL3の最短化を図るべきである。ただし、チャネル領域13cを後述のエッチングによる劣化から保護するためには、30nm≦L3が好ましい。よって、L3としては、30nm以上80nm以下が好ましく、本実施形態では50nmである。L3=50nmは、照射エネルギー密度を十分に低下させつつチャネル領域13cを十分に保護することができる最適な長さである。
【0025】
以上より、本実施形態では、L3=50nmの場合に結晶粒径Bを得ることができる照射条件(約65%)でレーザーを照射する。これにより、半導体膜13が改質される。すなわち、図2の(e)に示すように、半導体膜13のうち、チャネル保護層14に平面視で重なる部分(L3=50nmの部分:チャネル領域13c)が微結晶化する。一方、半導体膜13のうち、チャネル保護層14に平面視で重ならない部分(L3=0nmの部分:ソース領域13s及びドレイン領域13d)は非晶質のままである。これは、約65%の照射条件ではL3=0nmの場合に結晶化が起きないからである(図3参照)。
【0026】
このように、本実施形態では、十分に低い照射条件となるから、レーザーアニールにおける半導体膜13の最高温度が低く抑制される。また、本実施形態では、高い蓄熱作用のあるチャネル保護層14を採用しているから、半導体膜13の冷却速度が大幅に低下する。よって、本実施形態によれば、膜飛びを抑制することができる。次に、図2の(f)に示すように、半導体膜13上に、コンタクト層15s及び15dとソース電極16sとドレイン電極16dを形成する。詳細には、次に述べる通りである。
【0027】
まず、半導体膜13上に高濃度にドープされた非晶質の半導体膜(N+半導体膜)を形成する。この形成は、N+半導体膜が、平面視で、チャネル保護層14を覆い、ソース領域13sとドレイン領域13dとに重なるように行う。次に、N+半導体膜をエッチングすることにより、ソース領域13sに平面視で重なるコンタクト層15sと、ドレイン領域13dに平面視で重なるコンタクト層15dとを形成する。このエッチングにより、N+半導体膜のうち、チャネル領域13cと平面視で重なる部分も除去されるが、チャネル領域13cはチャネル保護層14に保護されているから、このエッチングによってチャネル領域13cが劣化する虞はない。なお、コンタクト層15s及び15dは、共に、オーミックコンタクト(オーム性接触)を実現するための層である。
【0028】
次に、半導体膜13上に金属で導電膜を形成する。この形成は、この導電膜が、平面視で、チャネル保護層14を覆い、ソース領域13sとドレイン領域13dとに重なるように行う。次に、導電膜をエッチングすることにより、コンタクト層15s(ソース領域13s)に平面視で重なるソース電極16sと、コンタクト層15d(ドレイン領域13d)に平面視で重なるドレイン電極16dとを形成する(ソース電極とドレイン電極とを形成する工程)。このエッチングにより、導電膜のうち、チャネル領域13cと平面視で重なる部分も除去されるが、チャネル領域13cはチャネル保護層14に保護されているから、このエッチングによってチャネル領域13cが劣化する虞はない。
【0029】
こうして完成したTFTは、基板10上に形成されたゲート電極11と、基板10上に形成され、ゲート電極11を平面視で覆うゲート絶縁膜12と、ゲート絶縁膜12上に半導体で形成され、チャネル領域13cとソース領域13sとドレイン領域13dとを有する半導体膜13と、半導体膜13上に形成され、チャネル領域13cを平面視で覆うチャネル保護層14と、半導体膜13上に形成され、チャネル保護層14の一端とソース領域13sとに平面視で重なるソース電極16sと、半導体膜13上に形成され、チャネル保護層14の他端とドレイン領域13dとに平面視で重なるドレイン電極16dとを備える。
【0030】
そして、本実施形態に係るTFTでは、半導体膜13のうち、チャネル保護層14と平面視で重なる部分(チャネル領域13c)は微結晶化されているから、その特性(オン電流の大きさと動作の信頼性)は、チャネル領域13cを微結晶化しない非晶質シリコンTFTに比べて大幅に良好となる。ところで、半導体膜13の全域が微結晶化されていると、TFTのオフ電流が大きくなってしまう。このオフ電流を抑制するためには、コンタクト層15s及び15dの多層化が有効であるが、構造が複雑となってしまう。これに対して、本実施形態に係るTFTによれば、チャネル保護層14と平面視で重ならない部分は非晶質のままであるから、多層化せずともオフ電流を抑制することができる。
【0031】
なお、本実施形態では、アニールにグリーンレーザーを採用したが、緑色光以外の可視光を用いる固体レーザーを採用してもよいし、紫外線を用いるエキシマレーザーを採用してもよい。例えば、図4に示す特性のエキシマレーザーを採用した場合、通常条件に対する照射条件の比率を、グリーンレーザーを採用した場合の当該比率(65/100)よりも小さくすることができる。
【0032】
<B:第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係るTFTの製造工程の一部を示す断面図である。第2実施形態に係るTFTの製造工程が第1実施形態に係るTFTの製造工程と異なるのは、ゲート電極11が可視光を反射する反射電極である点と、ゲート絶縁膜12の膜厚がL4である点と、半導体膜13のうちチャネル領域13c以外の部分もグリーンレーザーを用いたレーザーアニールによって改質される点のみである。なお、本実施形態についても、緑色光以外の可視光を用いる固体レーザーを採用してもよい。
【0033】
図5の(D)から明らかなように、第2実施形態では、前述のゲート電極を形成する工程において基板10上に反射電極であるゲート電極11をパターニングし、前述のゲート絶縁膜を形成する工程において基板10上に窒化シリコンでゲート絶縁膜12を形成する。ゲート絶縁膜12の形成では、その膜厚をL4とする。L4<L1である。L4としては、150nm以上200nm以下が好ましく、本実施形態では150nmである。また、図5の(D)に示すように、本実施形態でも第1実施形態と同様に、前述のチャネル保護層を形成する工程でチャネル保護層14をパターニングした後に前述の微結晶化する工程でレーザーアニールを行う。したがって、図5の(E)に示すように、半導体膜13のチャネル領域13cが微結晶化する。
【0034】
ところで、半導体膜13のうち、チャネル保護層14と平面視で重なっていない部分に照射されたレーザービームの一部は、半導体膜13を通過し、ゲート絶縁膜12を経てゲート電極11で反射されてゲート絶縁膜12に再入射する。また、前述のようにL4<L1である。よって、ゲート絶縁膜12の蓄熱作用は、第1実施形態におけるゲート絶縁膜12の蓄熱作用よりも大幅に強くなる。したがって、第2実施形態では、図5の(E)に示すように、チャネル領域13cのみならず、ソース領域13sのうちゲート電極11と平面視で重なる隣接領域13snも、ドレイン領域13dのうちゲート電極11と平面視で重なる隣接領域13dnも微結晶化する。
【0035】
このように、本実施形態では、半導体膜13のうち、ゲート電極11と平面視で重なる領域が、チャネル保護層14及びゲート電極11の蓄熱作用によって微結晶化する。ただし、隣接領域13sn及び隣接領域13dnの結晶粒径は、共に、チャネル領域13cの結晶粒径よりも小さい。なお、ゲート絶縁膜12の蓄熱作用を強くする観点では、L4は短い方がよい。しかし、L4が短すぎると、本体の絶縁作用が損なわれてしまう。これが、L4としては150nm以上200nm以下が好ましい理由である。
【0036】
図5の(F)に示すように、本実施形態に係るTFTは、基板10上に形成された反射電極であるゲート電極11と、基板10上に形成され、ゲート電極11を平面視で覆うゲート絶縁膜12と、ゲート絶縁膜12上に半導体で形成され、チャネル領域13cとソース領域13sとドレイン領域13dとを有する半導体膜13と、半導体膜13上に形成され、チャネル領域13cを平面視で覆うチャネル保護層14と、半導体膜13上に形成され、チャネル保護層14の一端とソース領域13sとに平面視で重なるソース電極16sと、半導体膜13上に形成され、チャネル保護層14の他端とドレイン領域13dとに平面視で重なるドレイン電極16dとを備える。
【0037】
そして、本実施形態に係るTFTでは、チャネル領域13cが微結晶化されているから、その特性(オン電流の大きさと動作の信頼性)は、チャネル領域13cを微結晶化しない非晶質シリコンTFTに比べて良好となる。また、ゲート電極11と平面視で重ならない部分は非晶質のままであるから、多層化せずともオフ電流を抑制することができる。また、半導体膜13のうち微結晶化する領域を、チャネル保護層14ではなく、ゲート電極11で制御することができるから、設計の自由度が高いという利点がある。また、隣接領域13sn及び隣接領域13dnが微結晶化されており、その結晶粒径はチャネル領域13cの結晶粒径よりも小さいから、いわゆるLDD(Lightly Doped Drain)構造を採用した場合と同様の効果が得られる。
尚、本実施形態では、微結晶化により結晶粒径B(120〜130nm)を得る例を記載しているが、これに限定されるものではない。本実施形態において、微結晶とは、粒径が多結晶と言われる粒径300nmより小さく、非晶質と言われる粒径10nmより大きい範囲を指す。結晶粒径は、電子顕微鏡で確認できる。結晶粒径が確認できない場合は、非晶質であるが、ラマン散乱測定から特定のピーク波数を検出することでも確認できる。すなわち、520cm-1付近に鋭いピークがでると、多結晶シリコン(Si)であり、全くピークが出ず480cm-1に緩やかな山があると非晶質シリコン(Si)である。
【0038】
<C:電気光学装置>
次に、第1実施形態に係るTFTを適用した電気光学装置について説明するが、第2実施形態に係るTFTについても同様の適用が可能である。電気光学装置は、供給された電気エネルギーに応じて光学特性が変化する電気光学素子を備えた装置である。電気光学装置としては、電気光学素子として液晶素子を備えた液晶装置や、電気光学素子としてEL(electro-luminescent)素子を備えたEL装置を例示可能である。
【0039】
図6は、第1実施形態に係るTFTを適用した液晶装置の構成を示す断面図である。ただし、本発明に直接的に関係しない配線や層(膜)については、図示を省略してある。図6に示す液晶装置は、反射型の液晶装置であり、TFTが形成された基板10上にTN(Twisted Nematic)方式の反射型液晶素子を形成して構成されている。反射型液晶素子は、可視光を反射する反射電極である第1電極21と、その上に形成された配向膜22と、その上に形成された液晶層23と、その上に形成された配向膜24と、その上に形成された光透過性の第2電極25とを備え、その光反射率は、第1電極21と第2電極25との間の電圧に応じて変化する。第1電極21はドレイン電極16dと接している。つまり、この液晶装置では、TFTが、反射型液晶素子の駆動電圧を制御することにより、反射型液晶素子の光反射率を制御する。
【0040】
なお、第1電極21とは別に、可視光を反射する光反射層を設けてもよい。この場合、第1電極21としては、光透過性の透明電極を採用する。また、反射型液晶素子に代えて透過型液晶素子を採用してもよい。すなわち、バックライトを備えた透過型の液晶装置としてもよい。この場合、第1電極21としては、光透過性の透明電極を採用する。また、TN方式とは異なる方式の液晶素子を採用してもよい。
【0041】
図7は、第1実施形態に係るTFTを適用したEL装置の構成を示す断面図である。ただし、本発明に直接的に関係しない配線や層(膜)については、図示を省略してある。図7に示すEL装置は、TFTが形成された基板10上にEL素子を形成して構成されている。EL素子は、有機EL素子又は無機EL素子であり、ドレイン電極16dと接する第1電極31と、その上に形成されたEL層32と、その上に形成された光透過性の第2電極33とを備え、EL層32は、第1電極31と第2電極33との間の電流又は電圧に応じた輝度で発光する。つまり、このEL装置では、TFTが、EL素子の駆動電流又は駆動電圧を制御することにより、EL素子の輝度を制御する。
【0042】
なお、基板10上に形成されるTFT及び電気光学素子は、それぞれ複数であってもよい。基板10上に形成されるTFTが複数の場合、総てのTFTについて前述の微結晶化を行うようにしてもよいし、一部のTFTについて前述の微結晶化を行うようにしてもよい。例えば、電気光学素子を画素として複数配列した電気光学装置の場合、平面視で、画素が配列された領域に重なるTFTについては微結晶化を行わず、当該領域に重ならないTFTについては微結晶化を行うようにしてもよい。
【0043】
<D:電子機器>
次に、複数の電気光学素子を備えた電気光学装置を適用した電子機器について説明するが、備える電気光学素子の数が単数の電気光学装置についても電子機器への適用が可能である。
図8は、複数の電気光学素子を備えた電気光学装置を表示装置100として採用した可搬型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、各種の画像を表示する表示装置100と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。
【0044】
図9は、複数の電気光学素子を備えた電気光学装置を表示装置200として採用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する表示装置200とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、表示装置200に表示される画面がスクロールされる。
【0045】
図10は、複数の電気光学素子を備えた電気光学装置を表示装置300として採用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す斜視図である。携帯情報端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002と、各種の画像を表示する表示装置300とを備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった様々な情報が表示装置300に表示される。
【符号の説明】
【0046】
10……基板、11……ゲート電極、12……ゲート絶縁膜、13……半導体膜、14……チャネル保護層、15s,15d……コンタクト層、16s……ソース電極、16d……ドレイン電極。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に、非晶質の半導体膜を形成する工程と、
前記半導体膜上の前記ゲート電極に平面視で重なる領域にチャネル保護層を形成する工程と、
前記半導体膜と前記チャネル保護層とにレーザーを照射することにより、前記半導体膜のうち前記チャネル保護層と重なる部分を微結晶化する工程と、
前記半導体膜に接続されたソース電極とドレイン電極とを形成する工程と
を有する薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項2】
前記半導体膜の厚さは30nm以上100nm以下であり、
前記チャネル保護層の厚さは30nm以上80nm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項3】
前記レーザーは、紫外線を用いたエキシマレーザー、又は可視光を用いた固体レーザーである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項4】
前記ゲート絶縁膜の厚さは150nm以上200nm以下であり、
前記レーザーは、可視光を用いた固体レーザーであり、
前記微結晶化する工程では、前記レーザーの照射により、前記半導体膜のうち前記ゲート電極と平面視で重なる部分を微結晶化する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項5】
基板上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成され、非晶質のソース領域とドレイン領域、並びに微結晶化されたチャネル領域とを有する半導体膜と、
前記半導体膜のチャネル領域を覆うチャネル保護層と、
前記ソース領域に重なるソース電極と、
前記ドレイン領域に重なるドレイン電極とを
備えたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項6】
請求項5に記載の薄膜トランジスタと、
前記基板上に形成され、供給された電気エネルギーに応じて光学特性が変化する電気光学素子とを備え、
前記薄膜トランジスタは、前記電気光学素子に供給する電気エネルギーを制御する
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電気光学装置を備える電子機器。
【請求項1】
基板上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に、非晶質の半導体膜を形成する工程と、
前記半導体膜上の前記ゲート電極に平面視で重なる領域にチャネル保護層を形成する工程と、
前記半導体膜と前記チャネル保護層とにレーザーを照射することにより、前記半導体膜のうち前記チャネル保護層と重なる部分を微結晶化する工程と、
前記半導体膜に接続されたソース電極とドレイン電極とを形成する工程と
を有する薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項2】
前記半導体膜の厚さは30nm以上100nm以下であり、
前記チャネル保護層の厚さは30nm以上80nm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項3】
前記レーザーは、紫外線を用いたエキシマレーザー、又は可視光を用いた固体レーザーである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項4】
前記ゲート絶縁膜の厚さは150nm以上200nm以下であり、
前記レーザーは、可視光を用いた固体レーザーであり、
前記微結晶化する工程では、前記レーザーの照射により、前記半導体膜のうち前記ゲート電極と平面視で重なる部分を微結晶化する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項5】
基板上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成され、非晶質のソース領域とドレイン領域、並びに微結晶化されたチャネル領域とを有する半導体膜と、
前記半導体膜のチャネル領域を覆うチャネル保護層と、
前記ソース領域に重なるソース電極と、
前記ドレイン領域に重なるドレイン電極とを
備えたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項6】
請求項5に記載の薄膜トランジスタと、
前記基板上に形成され、供給された電気エネルギーに応じて光学特性が変化する電気光学素子とを備え、
前記薄膜トランジスタは、前記電気光学素子に供給する電気エネルギーを制御する
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電気光学装置を備える電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−192771(P2011−192771A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57109(P2010−57109)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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