説明

表示装置

【課題】被検出物が表示パネルに非接触の場合でも、被検出物の位置及び動きの検出を行うことを可能とする表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、フォトセンサ及び酸化物半導体層を含む薄膜トランジスタが配置された表示パネルを有し、被対象物が表示パネルに接近する際に、被検出物が外光を遮ることで表示パネルに投影される被検出物の影がフォトセンサによって検出される。影の位置又は動きを検出することで、被検出物の位置又は動きが検出され、被検出物が表示パネルに非接触の場合でも検出可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチセンサを搭載した表示パネルが注目されている。タッチセンサには、動作原
理の違いにより、抵抗膜方式、静電容量方式、光方式などがあり、被検出物(ペン、指な
ど)が表示装置に接触することでデータを入力することができる。
【0003】
このような光方式のタッチセンサを有する装置の一例として、画像取り込みを行う密着型
エリアセンサを配置することによって画像取り込み機能を備えた表示装置が挙げられる(
例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−292276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の様なタッチセンサを入力装置として用いた表示パネルの場合、表示パネルの表面を
被検出物で触れ続けることになる。したがって、表示パネルが汚れ易く、表示品質を低下
させる恐れがある。また、表示パネルに相応の機械的強度が要求される。さらに、表示パ
ネルの表面が硬い場合には、表示パネルの利用者が疲労し易いなどの問題がある。
【0006】
上記の課題に鑑み、被検出物が表示パネルに非接触の場合でも、被検出物の位置及び動き
を検出可能とすることを目的の一とする。
【0007】
また、タッチセンサを入力装置として用いた表示パネルにはトランジスタを用いた回路が
設けられている。
【0008】
単結晶シリコントランジスタを用いると、単結晶シリコン基板の大きさによってエリアセ
ンサの大きさに制約がある。すなわち、単結晶シリコン基板を用いて大型のエリアセンサ
や大型の表示装置を兼ねたエリアセンサを形成することは、コストが高く現実的でない。
【0009】
一方、非晶質シリコンを用いた薄膜トランジスタ(Thin Film Transis
tor:TFT)は基板の大型化が容易であるが、非晶質シリコン薄膜の電界効果移動度
は低く、回路設計に制限を与える他、占有面積が増大する。
【0010】
また、多結晶シリコンを用いた薄膜トランジスタは、エキシマレーザーアニールにより結
晶化を行う手法が多く用いられており、エキシマレーザーアニールに由来する特性のバラ
ツキを有する。よって、特性にバラツキがある薄膜トランジスタで構成した回路を用いた
フォトセンサでは、検出した光の強度分布を再現性よく電気信号として生成することが難
しい。
【0011】
本発明の一態様は、大型の基板上に大量に作製でき、均質で、安定した電気的特性を有す
るタッチセンサを入力装置として用いた表示パネルを提供することを課題の一つとする。
【0012】
本発明の一態様は、高機能、及び高速応答可能なタッチセンサを入力装置として用いた表
示装置を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
タッチセンサを入力装置として用いた表示装置において、酸化物半導体層を用いたトラン
ジスタを有する回路を設ける構成とする。
【0014】
酸化物半導体は薄膜形成工程において化学量論的組成からずれが生じてしまう。例えば、
酸素の過不足によって酸化物半導体の電気伝導度が変化してしまう。また、酸化物半導体
の薄膜形成中に混入する水素や水分が酸素(O)−水素(H)結合を形成して電子供与体
となり、電気伝導度を変化させる要因となる。さらにO−Hは極性分子なので、酸化物半
導体によって作製される薄膜トランジスタのような能動デバイスに対して特性の変動要因
となる。
【0015】
本明細書で開示する酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタは、その電気的特性変動を
抑止するため、変動要因となる水素、水分、水酸基又は水素化物(水素化合物ともいう)
などの不純物を酸化物半導体層より意図的に排除し、かつ不純物の排除工程によって同時
に減少してしまう酸化物半導体を構成する主成分材料である酸素を供給することによって
、酸化物半導体層を高純度化及び電気的にI型(真性)化する。
【0016】
よって酸化物半導体中の水素及びキャリアは少なければ少ないほどよく、本明細書に開示
する薄膜トランジスタは、酸化物半導体に含まれる水素が5×1019/cm以下、好
ましくは5×1018/cm以下、より好ましくは5×1017/cm以下、または
5×1016/cm未満として、酸化物半導体に含まれる水素をゼロに近いほど極力除
去し、キャリア濃度を5×1014/cm未満、好ましくは5×1012/cm以下
とした酸化物半導体層でチャネル形成領域が形成される薄膜トランジスタである。
【0017】
薄膜トランジスタの逆方向特性では、オフ電流が少なければ少ないほど好ましい。オフ電
流(リーク電流ともいう)とは、−1V乃至−10Vの間のいずれかのゲート電圧を印加
した場合の薄膜トランジスタのソース、ドレイン間を流れる電流のことであり、本明細書
に開示する酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタのチャネル幅(w)1μmあたりの電
流値は100aA/μm以下、好ましくは10aA/μm以下、さらに好ましくは1aA
/μm以下である。さらに、pn接合がなく、ホットキャリア劣化がないため、これらに
薄膜トランジスタの電気的特性は影響を受けない。
【0018】
上記水素の濃度範囲は、二次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion
Mass Spectrometry)で得られたもの、またはそのデータに基づいて得
られる。また、キャリア濃度はホール効果測定により求めることができる。ホール効果測
定器の例として、比抵抗/ホール測定システムResiTest8310(東陽テクニカ
製)を挙げることができる。比抵抗/ホール測定システムResiTest8310は、
磁場の向きと大きさを一定の周期で変化させ、それと同期してサンプルに現れるホール起
電圧のみを検出するAC(交流)ホール測定が可能であり、移動度が小さくて抵抗率の高
い材料についても、ホール起電圧を検出できる。
【0019】
本明細書中で用いる酸化物半導体層としては、四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga
−Zn−O膜や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O膜、In−Sn−Zn−
O膜、In−Al−Zn−O膜、Sn−Ga−Zn−O膜、Al−Ga−Zn−O膜、S
n−Al−Zn−O膜や、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O膜、Sn−Zn−O膜
、Al−Zn−O膜、Zn−Mg−O膜、Sn−Mg−O膜、In−Mg−O膜や、一元
系金属酸化物であるIn−O膜、Sn−O膜、Zn−O膜などの酸化物半導体層を用いる
ことができる。また、上記酸化物半導体層にSiOを含んでもよい。
【0020】
また、酸化物半導体層は、InMO(ZnO)(m>0)で表記される薄膜を用いる
ことができる。ここで、Mは、Ga、Al、MnおよびCoから選ばれた一または複数の
金属元素を示す。例えばMとして、Ga、Ga及びAl、Ga及びMn、またはGa及び
Coなどがある。InMO(ZnO)(m>0)で表記される構造の酸化物半導体層
のうち、MとしてGaを含む構造の酸化物半導体を、上記したIn−Ga−Zn−O酸化
物半導体とよび、その薄膜をIn−Ga−Zn−O非単結晶膜ともよぶこととする。
【0021】
表示装置の一態様は、フォトセンサ及び酸化物半導体層を含む薄膜トランジスタが配置
された表示パネルを有し、被対象物が表示パネルに接近する際に、外光を遮ることで表示
パネルに投影される影をフォトセンサによって検出するものである。影の位置又は動きを
検出することで、被検出物の位置又は動きが検出される。
【0022】
また表示装置の他の一態様は、フォトセンサ及び酸化物半導体層を含む薄膜トランジスタ
が配置された表示パネルを有し、被対象物が表示パネルに接近する際に、表示パネルから
照射され被検出物で反射された光がフォトセンサによって検出されるものである。すなわ
ち、フォトセンサにより非接触の被検出物の画像を撮影することで、被検出物の位置又は
動きが検出される。(なお、本明細書において、被検出物の画像を撮影することを撮像と
呼ぶ。)
【0023】
上記により、被対象物が表示パネルに非接触の場合でも、被対象物の検出が可能となる。
【0024】
また表示装置の他の一態様は、フォトセンサ及び酸化物半導体層を含む薄膜トランジスタ
を有する画素がマトリックス状に配置された表示パネルと、画像処理部とを有し、非接触
の被検出物に対する検出機能を有する表示装置であって、フォトセンサは、表示パネルに
投影される被検出物の影を検出する手段を有し、画像処理部は、被検出物の影から被検出
物の位置を検出する手段と、影の動きから被検出物の動きを検出する手段とを有する。
【0025】
また表示装置の他の一態様は、フォトセンサ及び酸化物半導体層を含む薄膜トランジスタ
を有する画素がマトリックス状に配置された表示パネルと、画像処理部とを有し、非接触
の被検出物に対する検出機能を備えた表示装置であって、フォトセンサは、表示パネルに
投影される被検出物の影を検出する手段を有し、画像処理部は、被検出物の影の位置から
被検出物の位置を検出する手段と、影の動きから被検出物の動きを検出する手段とを有し
、被検出物の位置を検出する手段は、表示パネルを複数の領域に分割し、複数の領域のう
ち影を検出する画素を最も多く含む領域を被検出物の位置データとして取得する。
【0026】
また表示装置の他の一態様は、フォトセンサ及び酸化物半導体層を含む薄膜トランジスタ
を有する画素がマトリックス状に配置された表示パネルと、画像処理部とを有し、非接触
の被検出物に対する検出機能を備えた表示装置であって、フォトセンサは、表示パネルに
投影される被検出物の影を検出する手段を有し、画像処理部は、被検出物の影の位置から
被検出物の位置を検出する手段と、影の動きから被検出物の動きを検出する手段とを有し
、被検出物の位置を検出する手段は、表示パネルを複数の領域に分割し、複数の領域のう
ち影を検出する画素を最も多く含む領域を被検出物の位置データとして取得し、被検出物
の動きを検出する手段は、連続的に取得された位置データを比較することで、被検出物の
動きを検出する。
【0027】
また表示装置の他の一態様は、第1のフォトセンサ及び酸化物半導体層を含む第1の薄膜
トランジスタを有する画素が配置された光検出部、及び第2のフォトセンサ及び酸化物半
導体層を含む第2の薄膜トランジスタを有する画素が配置されたエリアセンサを有する表
示パネルと、画像処理部とを有し、非接触の被検出物に対する検出機能を備えた表示装置
であって、第1のフォトセンサは、表示パネルに投影される被検出物の影を検出する手段
を有し、画像処理部は、被検出物の影の位置から被検出物の位置を検出する手段と、影の
動きから被検出物の動きを検出する手段とを有する。
【0028】
また表示装置の他の一態様は、第1のフォトセンサ及び酸化物半導体層を含む第1の薄膜
トランジスタを有する画素が配置された光検出部と、第2のフォトセンサ及び酸化物半導
体層を含む第2の薄膜トランジスタを有する画素が配置されたエリアセンサとを有する表
示パネルと、画像処理部とを有し、非接触の被検出物に対する検出機能を備えた表示装置
であって、第1のフォトセンサは、表示パネルに投影される被検出物の影を検出する手段
を有し、画像処理部は、被検出物の影の位置から被検出物の位置を検出する手段と、影の
動きから被検出物の動きを検出する手段とを有し、被検出物の位置を検出する手段は、表
示パネルを複数の領域に分割し、複数の領域のうち影を検出する画素を最も多く含む領域
を被検出物の位置データとして取得する。
【0029】
また表示装置の他の一態様は、第1のフォトセンサ及び酸化物半導体層を含む第1の薄膜
トランジスタを有する画素が配置された光検出部、及び第2のフォトセンサ及び酸化物半
導体層を含む第2の薄膜トランジスタを有する画素が配置されたエリアセンサを有する表
示パネルと、画像処理部とを有し、非接触の被検出物に対する検出機能を備えた表示装置
であって、第1のフォトセンサは、表示パネルに投影される被検出物の影を検出する手段
を有し、画像処理部は、被検出物の影の位置から被検出物の位置を検出する手段と、影の
動きから被検出物の動きを検出する手段とを有し、被検出物の位置を検出する手段は、表
示パネルを複数の領域に分割し、複数の領域のうち影を検出する画素を最も多く含む領域
を被検出物の位置データとして取得し、被検出物の動きを検出する手段は、連続的に取得
された位置データを比較することで、被検出物の動きを検出する。
【0030】
また表示装置の他の一態様は、赤外光センサ及び酸化物半導体層を含む薄膜トランジスタ
を有する画素が配置された光検出部、及び可視光センサを有する画素が配置されたエリア
センサを有する表示パネルを有し、光検出部は、被検出物が表示パネルに非接触の際に、
表示パネルから照射され被検出物で反射された光を検出する手段を有し、エリアセンサは
、被検出物が表示パネルに接触する際に、表示パネルから照射され被検出物で反射された
光を検出する手段を有する。
【0031】
また、上記構成において、第2のフォトセンサの数は、第1のフォトセンサの数より多い
ことを特徴とする。
【0032】
また、上記構成において、前記第1のフォトセンサの周囲には、前記第2のフォトセンサ
が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
非接触の被対象物を検出可能とすることで、被対象物が表示パネルに触れる回数を低減し
、表示品質の低下を防止することができる。
【0034】
酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタを有することで、高機能、及び高速応答可能な
タッチセンサを入力装置として用いた表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】表示パネルの構成を説明する図。
【図2】表示パネルの構成を説明する図。
【図3】表示パネルの構成を説明する図。
【図4】タイミングチャート。
【図5】表示パネルの構成を説明する図。
【図6】表示パネルの断面図。
【図7】表示パネルの断面図。
【図8】表示パネルの構成を示す図。
【図9】表示パネルを用いた電子機器の一例を示す図。
【図10】画像処理を説明する図。
【図11】画像処理を説明する図。
【図12】薄膜トランジスタ及び薄膜トランジスタの作製方法を説明する図。
【図13】薄膜トランジスタ及び薄膜トランジスタの作製方法を説明する図。
【図14】薄膜トランジスタ及び薄膜トランジスタの作製方法を説明する図。
【図15】薄膜トランジスタ及び薄膜トランジスタの作製方法を説明する図。
【図16】薄膜トランジスタを説明する図。
【図17】薄膜トランジスタを説明する図。
【図18】酸化物半導体を用いた逆スタガ型の薄膜トランジスタの縦断面図。
【図19】(A)図18に示すA−A’断面におけるエネルギーバンド図(模式図)を示し、(B)電圧印加時のエネルギーバンド図。
【図20】(A)ゲート(G1)に正の電位(+VG)が印加された状態を示し、(B)ゲート(G1)に負の電位(−VG)が印加された状態示す図。
【図21】真空準位と金属の仕事関数(φM)、酸化物半導体の電子親和力(χ)の関係を示す図。
【図22】計算によるトランジスタの電界効果移動度と画像撮像のフレーム周波数の関係を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、以下の実施の形態は
多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなく
その形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って
、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形
態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号
を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0037】
(実施の形態1)
本実施の形態では、表示パネルについて図1乃至図5を参照して説明する。
【0038】
表示パネルの構成について、図1を参照して説明する。表示パネル100は、画素回路1
01、表示素子制御回路102及びフォトセンサ制御回路103を有する。画素回路10
1は、行列方向にマトリクス状に配置された複数の画素104を有する。各々の画素10
4は、表示素子105とフォトセンサ106を有する。
【0039】
表示素子105は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:T
FT)、保持容量、液晶層を有する液晶素子などを有する。薄膜トランジスタは、保持容
量への電荷を注入もしくは排出を制御する機能を有する。保持容量は、液晶層に印加する
電圧に相当する電荷を保持する機能を有する。液晶層に電圧を印加することで偏光方向が
変化することを利用して、液晶層を透過する光の明暗(階調)を作ることで、画像表示が
実現される。液晶層を透過する光には、光源(バックライト)によって液晶表示装置の裏
面から照射される光を用いる。
【0040】
なお、表示素子105が液晶素子を有する場合について説明したが、発光素子などの他の
素子を有していてもよい。発光素子は、電流または電圧によって輝度が制御される素子で
あり、具体的には発光ダイオード、EL素子(有機EL素子(Organic Ligh
t Emitting Diode:OLED)、無機EL素子)等が挙げられる。
【0041】
フォトセンサ106は、フォトダイオードなど、受光することで電気信号を発する機能を
有する素子と、薄膜トランジスタとを有する。なお、フォトセンサ106が受光する光は
、被検出物の影の撮像データを検出する場合は外光を利用し、被検出物自体の撮像データ
を検出する場合はバックライトからの光が被検出物に照射された際の反射光を利用する。
【0042】
表示素子制御回路102は、表示素子105を制御するための回路であり、ビデオデータ
信号線などの信号線(「ソース信号線」ともいう)を介して表示素子105に信号を入力
する表示素子駆動回路107と、走査線(「ゲート信号線」ともいう)を介して表示素子
105に信号を入力する表示素子駆動回路108を有する。例えば、走査線側の表示素子
駆動回路108は、特定の行に配置された画素が有する表示素子105を選択する機能を
有する。また、信号線側の表示素子駆動回路107は、選択された行の画素が有する表示
素子105に任意の電位を与える機能を有する。なお、走査線側の表示素子駆動回路10
8により高電位を印加された表示素子では、薄膜トランジスタが導通状態となり、信号線
側の表示素子駆動回路107により与えられる電荷が供給される。
【0043】
フォトセンサ制御回路103は、フォトセンサ106を制御するための回路であり、フォ
トセンサ出力信号線、フォトセンサ基準信号線等と接続されたフォトセンサ読み出し回路
109と、フォトセンサ駆動回路110を有する。フォトセンサ駆動回路110は、特定
の行に配置された画素が有するフォトセンサ106に対して、後述するリセット動作と選
択動作とを行う機能を有する。また、フォトセンサ読み出し回路109は、選択された行
の画素が有するフォトセンサ106の出力信号を取り出す機能を有する。なお、フォトセ
ンサ読み出し回路109は、アナログ信号であるフォトセンサの出力を、OPアンプを用
いてアナログ信号のまま表示パネル外部に取り出す構成や、A/D変換回路を用いてデジ
タル信号に変換してから表示パネル外部に取り出す構成が考え得る。
【0044】
フォトセンサを含む表示パネル100において、酸化物半導体層を用いたトランジスタを
有する回路を設ける構成とする。
【0045】
フォトセンサを含む表示パネル100に含まれる酸化物半導体層を用いた薄膜トランジス
タは、その電気的特性変動を抑止するため、変動要因となる水素、水分、水酸基又は水素
化物(水素化合物ともいう)などの不純物を酸化物半導体層より意図的に排除し、かつ不
純物の排除工程によって同時に減少してしまう酸化物半導体を構成する主成分材料である
酸素を供給することによって、酸化物半導体層を高純度化及び電気的にI型(真性)化す
る。
【0046】
よって酸化物半導体中の水素及びキャリアは少なければ少ないほどよく、本明細書に開示
する薄膜トランジスタは、酸化物半導体に含まれる水素が5×1019/cm以下、好
ましくは5×1018/cm以下、より好ましくは5×1017/cm以下、または
5×1016/cm未満として、酸化物半導体に含まれる水素をゼロに近いほど極力除
去し、キャリア濃度を5×1014/cm未満、好ましくは5×1012/cm以下
とした酸化物半導体層でチャネル形成領域が形成される薄膜トランジスタである。
【0047】
薄膜トランジスタの逆方向特性では、オフ電流が少なければ少ないほど好ましい。オフ電
流とは、−1V乃至−10Vの間のいずれかのゲート電圧を印加した場合の薄膜トランジ
スタのソース、ドレイン間を流れる電流のことであり、本明細書に開示する酸化物半導体
を用いた薄膜トランジスタのチャネル幅(w)1μmあたりの電流値は100aA/μm
以下、好ましくは10aA/μm以下、さらに好ましくは1aA/μm以下である。さら
に、pn接合がなく、ホットキャリア劣化がないため、これらに薄膜トランジスタの電気
的特性は影響を受けない。
【0048】
画素104の回路図について、図2を用いて説明する。画素104は、トランジスタ20
1、保持容量202及び液晶素子203を有する表示素子105と、フォトダイオード2
04、トランジスタ205及びトランジスタ206を有するフォトセンサ106とを有す
る。図2において、トランジスタ201、トランジスタ205及びトランジスタ206は
酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタである。
【0049】
トランジスタ201は、ゲートがゲート信号線207に、ソース又はドレインの一方がビ
デオデータ信号線210に、ソース又はドレインの他方が保持容量202の一方の電極と
液晶素子203の一方の電極に電気的に接続されている。保持容量202の他方の電極と
液晶素子203の他方の電極は一定の電位に保たれている。液晶素子203は、一対の電
極と、該一対の電極の間に液晶層を含む素子である。
【0050】
ゲート信号線207に”H”が印加されると、トランジスタ201は、ビデオデータ信号
線210の電位を保持容量202と液晶素子203に印加する。保持容量202は、印加
された電位を保持する。液晶素子203は、印加された電位により、光の透過率を変更す
る。
【0051】
酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタであるトランジスタ201、205、206は
、オフ電流が非常に小さいため、保持容量は非常に小さくてよく、また設けなくてもよい

【0052】
フォトダイオード204は、一方の電極がフォトダイオードリセット信号線208に、他
方の電極がトランジスタ205のゲートに電気的に接続されている。トランジスタ205
は、ソース又はドレインの一方がフォトセンサ基準信号線212に、ソース又はドレイン
の他方がトランジスタ206のソース又はドレインの一方に電気的に接続されている。ト
ランジスタ206は、ゲートがゲート信号線209に、ソース又はドレインの他方がフォ
トセンサ出力信号線211に電気的に接続されている。
【0053】
次に、フォトセンサ読み出し回路109の構成について、図3を用いて説明する。図3に
おいて、画素1列分のフォトセンサ読み出し回路300は、トランジスタ301、保持容
量302、を有する。また、当該画素列のフォトセンサ出力信号線211、プリチャージ
信号線303である。
【0054】
なお、本明細書における回路図において、酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタと明
確に判明できるように、酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタの記号には「OS」と
記載している。図2において、トランジスタ201、トランジスタ205、トランジスタ
206、図3においてトランジスタ301は酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタで
ある。
【0055】
フォトセンサ読み出し回路300では、画素内におけるフォトセンサの動作に先立ち、フ
ォトセンサ出力信号線211の電位を基準電位に設定する。フォトセンサ出力信号線21
1に設定する基準電位は高電位でも低電位でもよい。図3では、プリチャージ信号線30
3を”H”とすることで、フォトセンサ出力信号線211を基準電位である高電位に設定
することができる。なお、フォトセンサ出力信号線211の寄生容量が大きい場合には、
保持容量302は、特別に設けなくても良い。
【0056】
次に、本表示パネルにおけるフォトセンサの読み出し動作について、図4のタイミングチ
ャートを用いて説明する。図4において、信号401乃至信号404は、図2におけるフ
ォトダイオードリセット信号線208、トランジスタ206のゲートが接続されたゲート
信号線209、トランジスタ205のゲートが接続されたゲート信号線213、フォトセ
ンサ出力信号線211の電位に相当する。また、信号405は、図3におけるプリチャー
ジ信号線303の電位に相当する。
【0057】
時刻Aにおいて、フォトダイオードリセット信号線208の電位(信号401)を”H”
とする、換言すると、フォトダイオードに順方向バイアスが加わるように、フォトダイオ
ードと電気的に接続されたフォトダイオードリセット信号線の電位を設定する(リセット
動作)と、フォトダイオード204が導通し、トランジスタ205のゲートが接続された
ゲート信号線213の電位(信号403)が”H”となる。また、プリチャージ信号線3
03の電位(信号405)を”H”とすると、フォトセンサ出力信号線211の電位(信
号404)は”H”にプリチャージされる。
【0058】
時刻Bにおいて、フォトダイオードリセット信号線208の電位(信号401)を”L”
にする(累積動作)と、フォトダイオード204のオフ電流により、トランジスタ205
のゲートが接続されたゲート信号線213の電位(信号403)が低下し始める。フォト
ダイオード204は、光が照射されるとオフ電流が増大するので、照射される光の量に応
じてトランジスタ205のゲートが接続されたゲート信号線213の電位(信号403)
は変化する。すなわち、トランジスタ205のソースとドレイン間の電流が変化する。
【0059】
時刻Cにおいて、ゲート信号線209の電位(信号402)を”H”にする(選択動作)
と、トランジスタ206が導通し、フォトセンサ基準信号線212とフォトセンサ出力信
号線211とが、トランジスタ205とトランジスタ206とを介して導通する。すると
、フォトセンサ出力信号線211の電位(信号404)は、低下し始める。なお、時刻C
以前に、プリチャージ信号線303の電位(信号405)を”L”とし、フォトセンサ出
力信号線211のプリチャージを終了しておく。ここで、フォトセンサ出力信号線211
の電位(信号404)が低下する速さは、トランジスタ205のソースとドレイン間の電
流に依存する。すなわち、フォトダイオード204に照射されている光の量に応じてフォ
トセンサ出力信号線211の電位(信号404)が変化する。
【0060】
時刻Dにおいて、ゲート信号線209の電位(信号402)を”L”にすると、トランジ
スタ206が遮断され、フォトセンサ出力信号線211の電位(信号404)は、時刻D
以後、一定値となる。ここで、一定値となる値は、フォトダイオード204に照射されて
いる光の量に応じて変化する。したがって、フォトセンサ出力信号線211の電位を取得
することで、フォトダイオード204に照射されている光の量を知ることができる。
【0061】
上記のように、フォトダイオード204に照射されている光の量の大小で、外光が入射し
ているか、あるいは、非接触の被検出物により外光が遮られているか、すなわち、当該部
分が影になっているか、を判別することができる。
【0062】
図2のフォトセンサ106における画像撮像の周波数について、回路計算を行った結果を
図22に示す。図22は、フォトセンサ106を構成するトランジスタ205及び206
の電界効果移動度と、読み出し速度から算出した撮像のフレーム周波数と、の関係を示し
ている。
【0063】
回路計算では、次の様な条件を想定した。タッチパネルは20インチFHD規格(横19
20×RGB、縦1080画素)、各画素にフォトセンサを搭載、フォトセンサ出力信号
線211の寄生容量20pF(容量302に相当)、トランジスタ205とトランジスタ
206のチャネル長5μm及びチャネル幅16μm、トランジスタ301のチャネル長5
μm及びチャネル幅1000μm。なお、計算には、回路シミュレータSmartSpi
ce(Silvaco社製)を用いた。
【0064】
回路計算では、次の様な動作を想定した。まず、初期状態を、累積動作直後とする。すな
わち、ゲート信号線213の電位を8Vとし、ゲート信号線209の電位が0V、フォト
センサ出力信号線211の電位が8V、フォトセンサ基準信号線212の電位が8V、プ
リチャージ信号線303の電位を0Vとする。初期状態から、プリチャージ信号線303
の電位を8Vとし、フォトセンサ出力信号線211の電位が0Vに達した(プリチャージ
状態)後、プリチャージ信号線303の電位を0Vとし、ゲート信号線209の電位を8
Vとする。すなわち、選択動作を開始する。なお、基準電圧は0Vとしている。その後、
フォトセンサ出力信号線211の電位が2V、つまり、プリチャージ動作時の電位から2
Vの電位変化を生じた時点を終状態とする。以上の動作における、初期状態から終状態ま
での時間を、1行あたりの撮像時間とした。
【0065】
画像撮像に要する時間は、上記1行あたりの撮像時間の1080倍とし、画像撮像時間の
逆数を、画像撮像の周波数とした。一例として、画像撮像の周波数60Hzとは、上記1
行あたりの撮像時間が、1/60[Hz]/1080[列]=15.43[μs]である
ことに相当する。
【0066】
図22の結果より、トランジスタ205及び206の電界効果移動度を、酸化物半導体を
含むトランジスタを想定した10乃至20cm2/Vsとした場合、画像撮像の周波数は
70乃至100Hzであることがわかる。一方、トランジスタ205及び206の電界効
果移動度を、非晶質シリコンを含むトランジスタを想定した0.5cm2/Vsとした場
合、画像撮像の周波数は5Hz程度に過ぎない。すなわち、フォトセンサを構成するトラ
ンジスタを酸化物半導体トランジスタとすることが有効である。
【0067】
図5に、非接触の被検出物の影から被検出物の動きを検出する表示パネルシステム590
を示す。ここで、表示パネル100、制御回路591、画像処理回路592、画像データ
を保存する記憶装置593である。制御回路591は、表示パネルを駆動するための各種
タイミング信号を生成する。画像処理回路592は、フォトセンサで得られた非接触の被
検出物の影の画像データに対して演算処理を行い、被検出物の影の動きを検出する。また
、後の画像処理に必要となる画像データを記憶装置593に格納し、また、必要に応じて
記憶装置593に格納されたデータを読み出して演算処理を行う。
【0068】
画像処理回路592にて行う画像処理の具体的な方法の一例を、図10を用いて説明する
。図10では、画素数を12×12とした表示領域を示している。
【0069】
画像処理としては、(1)被検出物の影の画像データから被検出物の位置の抽出、(2)
連続的に取得した被検出物の位置データから被検出物の動きの検出、(3)被検出物の動
きから該当する入力データの生成等を行う。
【0070】
(1)被検出物の影の撮像データから被検出物の位置の抽出について、例えば、図10の
太枠で示すように、表示領域を領域2001、領域2002、領域2003、及び領域2
004の4領域に分割し、各々の領域における被検出物の影と認識される領域の割合を計
数する。より具体的には、各画素におけるフォトセンサで取得した光の量が、特定のしき
い値より少ない場合に、当該画素は被検出物の影を検出するとする。なお、影を検出しな
い画素を2005、影を検出する画素を2006とする。
【0071】
そして、当該領域において、全画素中の影になっている画素の割合が最も大きい領域を、
被検出物の位置として抽出する。図10では、影を検出する画素を斜線で示している。各
領域での影を検出する画素の割合は、領域2001では25/36、領域2002では1
2/36、領域2003では3/36、領域2004では6/36であり、領域2001
において影の割合が最も大きいため、領域2001を被検出物の位置として抽出し、位置
データを取得する。
【0072】
なお、表示領域の分割数をより多くすることで、より緻密な位置を抽出することができる

【0073】
次に、(2)連続的に取得した被検出物の位置データから被検出物の動きの検出について
、より具体的には、前述のようにして取得された位置データを、連続的に取得し、前後の
位置データと比較することで、被検出物の動きを知ることができる。例えば、直前の位置
データが右で、今回の位置データが左であった場合、被検出物は、右から左へ移動したと
検出できる。また、より緻密な位置情報を抽出している場合には、被検出物の移動方向に
加えて、移動速さなど、より緻密な動きを検出することもできる。
【0074】
そして、(3)被検出物の動きから該当する入力データの生成について、表示パネルの利
用目的に応じて自由に被検出物の動きと対応する入力データをあらかじめ設定しておくこ
とが有効である。例えば、被検出物を人の指とし、指を左から右に動かした場合に、動画
を再生し、指を上から下に動かした場合に動画の再生を停止する、といった応用が可能で
ある。また、より緻密な動きから文字を推定し、これを入力データとすることも有効であ
る。
【0075】
また、フォトセンサの光の量に対する感度を可変とすることが有効である。例えば、図2
の構成では、フォトセンサに印加する電位(フォトダイオードリセット信号線208の電
位、ゲート信号線209の電位、フォトセンサ基準信号線212の電位、プリチャージ信
号線303の電位)を変更することで、光の量に対する感度を可変とすることができる。
このように、フォトセンサの光の量に対する感度を可変とすることで、表示パネルの使用
環境(明るさなど)が変わっても、適宜、最適な感度に設定することで、非接触の被検出
物の影を容易に判別できる。また、非接触の被検出物の影の検出をする他、表示パネルを
密着型エリアセンサとして利用することも可能になる。すなわち、非接触の被検出物を検
出する機能と、接触した被検出物を検出する機能とを用途に応じて使い分けることができ
る。
【0076】
以上のような形態とすることで、非接触の被検出物に対しても検出可能となり、データの
入力を行うことが可能な表示パネルを提供することができる。
【0077】
また、上記の画像処理は、被検出物の影を検出する場合だけでなく、被検出物からの反射
光を用いる場合にも適用できる。反射光を用いる場合、被検出物が接近する位置に配置さ
れたフォトセンサは、他の位置と比較して強い光を受ける。すなわち、上記の画像処理を
適用し、表示領域において強い光を受光した領域を特定することで、被検出物の位置、動
き、又は形状を検出することができる。この場合、図10の例において斜線をつけた画素
は、被検出物からの反射光により強い光を受けた画素となる。
【0078】
また、表示パネルに、非接触の被検出物の検出を行う第1のフォトセンサと、接触した被
検出物の検出を行う第2のフォトセンサとを設ける事も有効である。第2のフォトセンサ
は密着型エリアセンサとして用いるものである。このような構成とすることで、非接触の
被検出物を検出可能な表示パネルでありながら、接触した被検出物に対しても検出可能な
表示パネルを提供することができる。即ち、用途に応じて2つの検出機能を使い分けるこ
とができる。
【0079】
第1のフォトセンサを有する画素と第2のフォトセンサを有する画素とが、それぞれマト
リクス状に表示パネルに配置される。その際、第2のフォトセンサの数は、第1のフォト
センサの数より多いことが望ましい。密着型エリアセンサとして用いる第2のフォトセン
サは、撮像画像において高解像度が要求されるため、第2のフォトセンサの間隔(ピッチ
)を狭くすることで解像度を高くすることができる。一方、影を検出する第1のフォトセ
ンサは、被検出物の位置が判別できれば十分であり、密着型エリアセンサとして用いる第
2のフォトセンサほどの高い解像度は必要ない。すなわち、第2のフォトセンサが配置さ
れた間隔を、第1のフォトセンサの配置された間隔より狭くすればよい。
【0080】
なお、影を検出する第1のフォトセンサを設ける画素は、密着型エリアセンサとして用い
る第2のフォトセンサを設けていない画素となる。したがって、画像処理により抜けた画
素の画像が復元できるように、影を検出するフォトセンサの周囲1乃至3画素程度には、
密着型エリアセンサとして用いるフォトセンサを設けることが望ましい。
【0081】
図11(A)に、影の検出を行う第1のフォトセンサと密着型エリアセンサとして用いる
第2のフォトセンサとを配置した画素の例を示す。図11では、画素数は12×12とし
ているが、これには限定されない。
【0082】
図11(A)において、第1のフォトセンサは斜線で示す画素に配置され、その他の画素
に第2のフォトセンサが配置され、第1のフォトセンサはそれぞれが間隔を取って配置さ
れている。上記の理由で、第2のフォトセンサの数は、第1のフォトセンサの数より多い

【0083】
なお、図11(A)のように必ずしも一定の間隔を取って配置されている必要はなく、図
11(B)のように、異なる間隔で配置されていてもよい。より実用的な画素数として6
40×480を用いた場合、10×10の100画素の領域に分割して考えると、100
画素のうち1個が第1のフォトセンサとし99個を第2のフォトセンサとすることで、被
検出物の影を検出しつつ、密着型エリアセンサとしての機能を十分に果たすことができる
。ただしこれに限定されず、第1のフォトセンサと第2のフォトセンサとを配置する割合
は、検出精度に応じて決定すればよく、例えば第1のフォトセンサと第2のフォトセンサ
とを同数とすることも可能である。
【0084】
なお、影を検出するフォトセンサと密着型エリアセンサとして用いるフォトセンサとで、
各々のフォトセンサに印加する電位(例えば、図2または図3におけるフォトダイオード
リセット信号線208の電位、ゲート信号線209の電位、フォトセンサ基準信号線21
2の電位、プリチャージ信号線303の電位)を独立に設置することが有効である。また
、各々のフォトセンサを構成するフォトダイオードのサイズやフォトセンサの回路構成を
、異なる構成とすることが有効である。
【0085】
本実施の形態は、他の実施の形態又は実施例と適宜組み合わせて実施することが可能であ
る。
【0086】
(実施の形態2)
本実施の形態では、被検出物からの反射光を用いる場合に、フォトセンサの検出精度を高
める方法を説明する。
【0087】
非接触の被検出物を検出するためには、被検出物が反射する微弱な光を効果的に検出する
必要がある。具体的には、次のような方法がある。
【0088】
赤外光を検出するセンサ(赤外光センサ)をフォトセンサとし、タッチパネルから赤外光
を照射し、被検出物から反射した光を、当該赤外光センサで検出する構成とする。赤外光
センサは、例えば、異なる色のカラーフィルタ(例えば、R(赤)とB(青)、R(赤)
とG(緑)など)を重ねてフォトセンサ上に設けることで、可視光以外(赤外)の光がフ
ォトセンサに入射する構成とすることで実現できる。カラー表示を行うために表示パネル
に設けられたカラーフィルタを、赤外光センサのフィルタとして兼用することで、工程数
を削減することができる。また、例えば、バックライトに、可視光(白色)に加えて赤外
光を発する光源も加えることで、タッチパネルから赤外光を照射することができる。赤外
光は可視光に比べ波長が長く散乱が少ないので、検出感度を高めることが容易となる。特
に被検出物が人の指や手の場合、赤外光を検出する構成が効果的である。
【0089】
赤外光センサと可視光センサとを異なる材料で形成する場合、赤外光センサには、可視光
以外(赤外)の光を吸収する材料でセンサを形成すればよい。例えば、InGaAs、P
bS、又はPbSe等により形成されたフォトセンサは効率よく赤外光を吸収する。
【0090】
実施の形態1で説明した、表示パネルに非接触の被検出物の検出を行う第1のフォトセン
サと、接触した被検出物を検出する第2のフォトセンサとを設ける構成において、第1の
フォトセンサを赤外光センサとし、第2のフォトセンサを可視光センサとすることで、非
接触の被検出物を検出する機能と、密着型エリアセンサとしての機能との、両方の精度を
高めることが可能となる。第1のフォトセンサ(赤外光センサ)及び第2のフォトセンサ
(可視光センサ)の配置は、実施の形態1と同様に行うことができる。
【0091】
また、実施の形態1で説明した画像処理を適用することができる。
【0092】
本実施の形態は、他の実施の形態又は実施例と適宜組み合わせて実施することが可能であ
る。
【0093】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る表示装置の構成について、図6を参照して説明
する。
【0094】
図6に、表示装置の断面の一例を示す。図6に示す表示装置では、絶縁表面を有する基板
501(TFT基板)上に、フォトダイオード502、トランジスタ540、トランジス
タ503、液晶素子505が設けられている。
【0095】
トランジスタ503、トランジスタ540上には酸化物絶縁層531、保護絶縁層532
、層間絶縁層533、層間絶縁層534が設けられている。フォトダイオード502は、
層間絶縁層533上に設けられ、層間絶縁層533上に形成した電極層541と、層間絶
縁層534上に設けられた電極層542との間に、層間絶縁層533側から順に第1半導
体層506a、第2半導体層506b、及び第3半導体層506cを積層した構造を有し
ている。
【0096】
電極層541は、層間絶縁層534に形成された導電層543と電気的に接続し、電極層
542は電極層541を介してゲート電極層545と電気的に接続している。ゲート電極
層545は、トランジスタ540のゲート電極層と電気的に接続しており、フォトダイオ
ード502はトランジスタ540と電気的に接続している。トランジスタ540は実施の
形態1におけるトランジスタ205に対応する。
【0097】
フォトセンサを含むタッチパネルに含まれる酸化物半導体層を用いたトランジスタ503
、トランジスタ540は、その電気的特性変動を抑止するため、変動要因となる水素、水
分、水酸基又は水素化物(水素化合物ともいう)などの不純物を酸化物半導体層より意図
的に排除し、かつ不純物の排除工程によって同時に減少してしまう酸化物半導体層を構成
する主成分材料である酸素を供給することによって、酸化物半導体層を高純度化及び電気
的にI型(真性)化する。
【0098】
よって酸化物半導体層中の水素及びキャリアは少なければ少ないほどよく、トランジスタ
503、トランジスタ540は、酸化物半導体に含まれる水素が5×1019/cm
下、好ましくは5×1018/cm以下、より好ましくは5×1017/cm以下、
または5×1016/cm未満となるように、酸化物半導体に含まれる水素をゼロに近
いほど極力除去し、キャリア濃度を5×1014/cm未満、好ましくは5×1012
/cm以下とした酸化物半導体層でチャネル形成領域が形成される薄膜トランジスタで
ある。
【0099】
トランジスタ503、540の逆方向特性では、オフ電流が少なければ少ないほど好まし
い。オフ電流とは、−1V乃至−10Vの間のいずれかのゲート電圧を印加した場合の薄
膜トランジスタのソース、ドレイン間を流れる電流のことであり、本明細書に開示する酸
化物半導体を用いた薄膜トランジスタのチャネル幅(w)1μmあたりの電流値は100
aA/μm以下、好ましくは10aA/μm以下、さらに好ましくは1aA/μm以下で
ある。さらに、pn接合がなく、ホットキャリア劣化がないため、これらに薄膜トランジ
スタの電気的特性は影響を受けない。
【0100】
図18は、酸化物半導体を用いた逆スタガ型の薄膜トランジスタの縦断面図を示す。ゲー
ト電極(GE1)上にゲート絶縁膜(GI)を介して酸化物半導体層(OS)が設けられ
、その上にソース電極(S)及びドレイン電極(D)が設けられている。
【0101】
図19は、図18に示すA−A’断面におけるエネルギーバンド図(模式図)を示す。図
19(A)はソースとドレインの間の電圧を等電位(V=0V)とした場合を示し、図
19(B)はソースに対しドレインに正の電位(V>0V)を加えた場合を示す。
【0102】
図20は、図18におけるB−B’の断面におけるエネルギーバンド図(模式図)である
。図20(A)はゲート電極(GE1)に正の電位(+V)が印加された状態であり、
ソース、ドレイン間にキャリア(電子)が流れるオン状態を示している。また、図20(
B)は、ゲート電極(GE1)に負の電位(−V)が印加された状態であり、オフ状態
(少数キャリアは流れない)である場合を示す。
【0103】
図21は、真空準位と金属の仕事関数(φM)、酸化物半導体の電子親和力(χ)の関係
を示す。
【0104】
従来の酸化物半導体は一般にn型であり、その場合のフェルミ準位(E)は、バンドギ
ャップ中央に位置する真性フェルミ準位(Ei)から離れて、伝導帯寄りに位置している
。なお、水素はドナーと成りうるため酸化物半導体においてn型化する一つの要因である
ことが知られている。
【0105】
これに対して本発明に係る酸化物半導体層は、n型不純物である水素を酸化物半導体から
除去し、不純物が極力含まれないように高純度化することにより真性(I型)とし、又は
真性型とせんとしたものである。すなわち、水素や水等の不純物を極力除去したことによ
り、高純度化されたI型(真性半導体)又はそれに近づけることを特徴としている。そう
することにより、フェルミ準位(E)は真性フェルミ準位(Ei)と同じレベルにまで
することができる。
【0106】
酸化物半導体の電子親和力(χ)は4.3eVと言われている。ソース電極及びドレイン
電極を構成するチタン(Ti)仕事関数は、酸化物半導体の電子親和力(χ)とほぼ等し
い。この場合、金属−酸化物半導体界面において、電子に対してショットキー型の障壁は
形成されない。
【0107】
すなわち、金属の仕事関数(φM)と酸化物半導体の電子親和力(χ)が等しい場合、両
者が接触すると図19(A)で示すようなエネルギーバンド図(模式図)が示される。
【0108】
図19(B)において黒丸(●)は電子を示し、ドレインに正の電位が印加されると、電
子はバリア(h)をこえて酸化物半導体層に注入され、ドレインに向かって流れる。この
場合、バリア(h)の高さは、ゲート電圧とドレイン電圧に依存して変化するが、正のド
レイン電圧が印加された場合には、電圧印加のない図19(A)のバリア(h)の高さは
バンドギャップ(Eg)の1/2よりも小さい値となる。
【0109】
このとき酸化物半導体層に注入された電子は、図20(A)で示すように酸化物半導体層
中を流れる。また、図20(B)において、ゲート電極(GE1)に負の電位が印加され
ると、少数キャリアであるホールは実質的に存在しないため、電流は限りなくゼロに近い
値となる。
【0110】
例えば、薄膜トランジスタのチャネル幅Wが1×10μmでチャネル長が3μmの素子
であっても、オフ電流が10−13A以下であり、サブスレッショルドスイング値(S値
)が0.1V/dec.(ゲート絶縁膜厚100nm)が得られる。
【0111】
このように、不純物が極力含まれないように酸化物半導体層を高純度化することにより、
薄膜トランジスタの動作を良好なものとすることができる。
【0112】
従って、上記酸化物半導体層を用いたトランジスタ503、トランジスタ540は安定な
電気特性を有する信頼性の高い薄膜トランジスタである。
【0113】
トランジスタ503、トランジスタ540に含まれる酸化物半導体層としては、四元系金
属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O膜や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−
Zn−O膜、In−Sn−Zn−O膜、In−Al−Zn−O膜、Sn−Ga−Zn−O
膜、Al−Ga−Zn−O膜、Sn−Al−Zn−O系や、二元系金属酸化物であるIn
−Zn−O膜、Sn−Zn−O膜、Al−Zn−O膜、Zn−Mg−O膜、Sn−Mg−
O膜、In−Mg−O膜や、In−O膜、Sn−O膜、Zn−O膜などを用いることがで
きる。また、上記酸化物半導体層にSiOを含んでもよい。
【0114】
また、酸化物半導体層は、InMO(ZnO)(m>0)で表記される薄膜を用いる
ことができる。ここで、Mは、Ga、Al、MnおよびCoから選ばれた一または複数の
金属元素を示す。例えばMとして、Ga、Ga及びAl、Ga及びMn、またはGa及び
Coなどがある。InMO(ZnO)(m>0)で表記される構造の酸化物半導体層
のうち、MとしてGaを含む構造の酸化物半導体を、上記したIn−Ga−Zn−O酸化
物半導体とよび、その薄膜をIn−Ga−Zn−O非単結晶膜ともよぶこととする。
【0115】
ここでは、第1半導体層506aとしてp型の導電型を有する半導体層と、第2半導体層
506bとして高抵抗な半導体層(i型半導体層)、第3半導体層506cとしてn型の
導電型を有する半導体層を積層するpin型のフォトダイオードを例示している。
【0116】
第1半導体層506aはp型半導体層であり、p型を付与する不純物元素を含むアモルフ
ァスシリコン膜により形成することができる。第1半導体層506aの形成には13族の
不純物元素(例えばボロン(B))を含む半導体材料ガスを用いて、プラズマCVD法に
より形成する。半導体材料ガスとしてはシラン(SiH)を用いればよい。または、S
、SiHCl、SiHCl、SiCl、SiF等を用いてもよい。ま
た、不純物元素を含まないアモルファスシリコン膜を形成した後に、拡散法やイオン注入
法を用いて該アモルファスシリコン膜に不純物元素を導入してもよい。イオン注入法等に
より不純物元素を導入した後に加熱等を行うことで、不純物元素を拡散させるとよい。こ
の場合にアモルファスシリコン膜を形成する方法としては、LPCVD法、気相成長法、
又はスパッタリング法等を用いればよい。第1半導体層506aの膜厚は10nm以上5
0nm以下となるよう形成することが好ましい。
【0117】
第2半導体層506bは、i型半導体層(真性半導体層)であり、アモルファスシリコン
膜により形成する。第2半導体層506bの形成には、半導体材料ガスを用いて、アモル
ファスシリコン膜をプラズマCVD法により形成する。半導体材料ガスとしては、シラン
(SiH)を用いればよい。または、Si、SiHCl、SiHCl、S
iCl、SiF等を用いてもよい。第2半導体層506bの形成は、LPCVD法、
気相成長法、スパッタリング法等により行っても良い。第2半導体層506bの膜厚は2
00nm以上1000nm以下となるように形成することが好ましい。
【0118】
第3半導体層506cは、n型半導体層であり、n型を付与する不純物元素を含むアモル
ファスシリコン膜により形成する。第3半導体層506cの形成には、15族の不純物元
素(例えばリン(P))を含む半導体材料ガスを用いて、プラズマCVD法により形成す
る。半導体材料ガスとしてはシラン(SiH)を用いればよい。または、Si
SiHCl、SiHCl、SiCl、SiF等を用いてもよい。また、不純物
元素を含まないアモルファスシリコン膜を形成した後に、拡散法やイオン注入法を用いて
該アモルファスシリコン膜に不純物元素を導入してもよい。イオン注入法等により不純物
元素を導入した後に加熱等を行うことで、不純物元素を拡散させるとよい。この場合にア
モルファスシリコン膜を形成する方法としては、LPCVD法、気相成長法、又はスパッ
タリング法等を用いればよい。第3半導体層506cの膜厚は20nm以上200nm以
下となるよう形成することが好ましい。
【0119】
また、第1半導体層506a、第2半導体層506b、及び第3半導体層506cは、ア
モルファス半導体ではなく、多結晶半導体を用いて形成してもよいし、微結晶(セミアモ
ルファス(Semi Amorphous Semiconductor:SAS))半
導体を用いて形成してもよい。
【0120】
微結晶半導体は、ギブスの自由エネルギーを考慮すれば非晶質と単結晶の中間的な準安定
状態に属するものである。すなわち、熱力学的に安定な第3の状態を有する半導体であっ
て、短距離秩序を持ち格子歪みを有する。柱状または針状結晶が基板表面に対して法線方
向に成長している。微結晶半導体の代表例である微結晶シリコンは、そのラマンスペクト
ルが単結晶シリコンを示す520cm−1よりも低周波数側に、シフトしている。即ち、
単結晶シリコンを示す520cm−1とアモルファスシリコンを示す480cm−1の間
に微結晶シリコンのラマンスペクトルのピークがある。また、未結合手(ダングリングボ
ンド)を終端するため水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませて
いる。さらに、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格
子歪みをさらに助長させることで、熱力学的安定性の高い微結晶半導体膜が得られる。
【0121】
この微結晶半導体膜は、周波数が数十MHz乃至数百MHzの高周波プラズマCVD法、
または周波数が1GHz以上のマイクロ波プラズマCVD法により形成することができる
。代表的には、SiH、Si、SiHCl、SiHClなどの水素化珪素
や、SiCl、SiFなどのハロゲン化珪素を水素で希釈して形成することができる
。また、水素化珪素及び水素に加え、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ば
れた一種または複数種の希ガス元素で希釈して微結晶半導体膜を形成することができる。
これらのときの水素化珪素に対して水素の流量比を5倍以上200倍以下、好ましくは5
0倍以上150倍以下、更に好ましくは100倍とする。さらには、シリコンを含む気体
中に、CH、C等の炭化水素ガス、GeH、GeF等のゲルマニウム化気体
、F等を混入させてもよい。
【0122】
また、光電効果で発生した正孔の移動度は電子の移動度に比べて小さいため、pin型の
フォトダイオードはp型の半導体層側を受光面とする方がよい特性を示す。ここでは、p
in型のフォトダイオードが形成されている基板501の面からフォトダイオード502
が受ける光を電気信号に変換する例を示す。また、受光面とした半導体層側とは逆の導電
型を有する半導体層側からの光は外乱光となるため、電極層は遮光性を有する導電膜を用
いるとよい。なお、n型の半導体層側を受光面として用いることもできる。
【0123】
液晶素子505は、画素電極507と、液晶508と、対向電極509と、配向膜511
と、配向膜512とを有する。画素電極507は、基板501上に形成され、画素電極5
07上に配向膜511が形成されている。また、画素電極507は、トランジスタ503
とは導電膜510を介して電気的に接続されている。また、対向電極509は、基板51
3(対向基板)上に形成され、対向電極509上には、配向膜512が形成され、配向膜
511と配向膜512の間に、液晶508が挟まれている。トランジスタ503は実施の
形態1におけるトランジスタ201に対応する。
【0124】
画素電極507と対向電極509の間のセルギャップは、スペーサー516を用いて制御
することが出来る。図6では、フォトリソグラフィで選択的に形成された柱状のスペーサ
ー516を用いてセルギャップを制御しているが、球状のスペーサーを画素電極507と
対向電極509の間に分散させることで、セルギャップを制御することも出来る。
【0125】
また液晶508は、基板501と基板513の間において、封止材により囲まれている。
液晶508の注入は、ディスペンサ式(滴下式)を用いても良いし、ディップ式(汲み上
げ式)を用いていても良い。
【0126】
画素電極507には、透光性を有する導電性材料、例えばインジウム錫酸化物(ITO)
、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜
鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(Indium Zinc Oxid
e))、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウム(Ga)を含む酸化亜鉛、酸化スズ(SnO
、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸
化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを
用いることができる。また、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成
物を用いて形成することができる。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性
高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリピロールま
たはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、若しくはこれらの2種以上の共重合
体などがあげられる。
【0127】
また、本実施の形態では、透過型の液晶素子505を例に挙げているので、画素電極50
7と同様に、対向電極509にも上述した透光性を有する導電性材料を用いることが出来
る。
【0128】
画素電極507と液晶508の間には配向膜511が、対向電極509と液晶508の間
には配向膜512が、それぞれ設けられている。配向膜511、配向膜512はポリイミ
ド、ポリビニルアルコールなどの有機樹脂を用いて形成することができ、その表面には、
ラビングなどの、液晶分子を一定方向に配列させるための配向処理が施されている。ラビ
ングは、配向膜に圧力をかけながら、ナイロンなどの布を巻いたローラーを回転させて、
上記配向膜の表面を一定方向に擦ることで、行うことが出来る。なお、酸化珪素などの無
機材料を用い、配向処理を施すことなく、蒸着法で配向特性を有する配向膜511、配向
膜512を直接形成することも可能である。
【0129】
また、液晶素子505と重なるように、特定の波長領域の光を通すことができるカラーフ
ィルタ514が、基板513上に形成されている。カラーフィルタ514は、顔料を分散
させたアクリル系樹脂などの有機樹脂を基板513上に塗布した後、フォトリソグラフィ
を用いて選択的に形成することができる。また、顔料を分散させたポリイミド系樹脂を基
板513上に塗布した後、エッチングを用いて選択的に形成することもできる。或いは、
インクジェットなどの液滴吐出法を用いることで、選択的にカラーフィルタ514を形成
することもできる。
【0130】
また、フォトダイオード502と重なるように、光を遮蔽することが出来る遮蔽膜515
が、基板513上に形成されている。遮蔽膜515を設けることで、基板513を透過し
てタッチパネル内に入射したバックライトからの光が、直接フォトダイオード502に当
たるのを防ぐことができる他、画素間における液晶508の配向の乱れに起因するディス
クリネーションが視認されるのを防ぐことができる。遮蔽膜515には、カーボンブラッ
ク、低原子価酸化チタンなどの黒色顔料を含む有機樹脂を用いることができる。また、ク
ロムを用いた膜で、遮蔽膜515を形成することも可能である。
【0131】
また、基板501の画素電極507が形成されている面とは反対の面に、偏光板517を
設け、基板513の対向電極509が形成されている面とは反対の面に、偏光板518を
設ける。
【0132】
酸化物絶縁層531、保護絶縁層532、層間絶縁層533、層間絶縁層534としては
、絶縁性材料を用いて、その材料に応じて、スパッタリング法、SOG法、スピンコート
、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセッ
ト印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を
用いて形成することができる。
【0133】
酸化物絶縁層531としては、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層、酸化アルミニウム
層、又は酸化窒化アルミニウム層などの酸化物絶縁層の単層、又は積層を用いることがで
きる。
【0134】
保護絶縁層532としては、無機絶縁材料としては、窒化シリコン層、窒化酸化シリコン
層、窒化アルミニウム層、又は窒化酸化アルミニウム層などの窒化物絶縁層の単層、又は
積層を用いることができる。またμ波(2.45GHz)を用いた高密度プラズマCVD
は、緻密で絶縁耐圧の高い高品質な絶縁層を形成できるので好ましい。
【0135】
層間絶縁層533、534としては、表面凹凸を低減するため平坦化絶縁膜として機能す
る絶縁層が好ましい。層間絶縁層533、534としては、例えばポリイミド、アクリル
、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の、耐熱性を有する有機絶縁材料を用い
ることができる。また上記有機絶縁材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロ
キサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等の単層、又は積
層を用いることができる。
【0136】
液晶素子は、TN(Twisted Nematic)型の他、VA(Vertical
Alignment)型、OCB(Optically Compensated B
irefringence)型、IPS(In−Plane Switching)型な
どであっても良い。また、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー
相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から
等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないた
め、温度範囲を改善するために5重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を用い
て液晶508に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速
度が1msec以下と短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、視野角依存
性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビン
グ処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中のタッチパネ
ルの不良や破損を軽減することができる。よってタッチパネルの生産性を向上させること
が可能となる。
【0137】
なお、本実施の形態では、画素電極507と対向電極509の間に液晶508が挟まれて
いる構造を有する液晶素子505を例に挙げて説明したが、本発明の一態様に係るタッチ
パネルはこの構成に限定されない。IPS型のように、一対の電極が、共に基板501側
に形成されている液晶素子であっても良い。
【0138】
バックライトからの光は、矢印520で示すように基板513、液晶素子505を通って
、基板501側にある被検出物521に照射される。そして、被検出物521において反
射された光は、矢印522で示すように、フォトダイオード502に入射する。
【0139】
また、外光を検出する場合、外光は基板(TFT基板)501側から照射される。被検出
物521において外光が遮られるため、フォトダイオード502への入射光が遮られる。
すなわち、フォトダイオード502は、被検出物の影を検出することになる。
【0140】
以上のような形態とすることで、非接触の被検出物の動きを検出することで、データを入
力することのできる表示パネルを提供することができる。
【0141】
また、本実施の形態の表示装置は、被検出物が表示パネルから近接した距離にある場合に
も検出することが可能である。その距離は3cm以下にすることができ、CCDイメージ
センサ等を設けた場合に比べて有効である。
【0142】
また、本実施の形態の表示装置は、フォトセンサ(フォトダイオード502)の受光面の
向きと、表示パネルの表示面(基板501側)の向きとが同一である。そのため、表示パ
ネルにおいて、被検出物を撮像することができ、CCDイメージセンサ等を設けた場合に
比べて有効である。
【0143】
本実施の形態は、他の実施の形態又は実施例と適宜組み合わせて実施することが可能であ
る。
【0144】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る表示パネルの別の構成について、図7を参照し
て説明する。
【0145】
図7に、実施の形態3とは異なる表示パネルの断面の一例を示す。図7に示すタッチパネ
ルでは、被検出物521で反射した光がpin型のフォトダイオードが形成されている基
板501と対向する、基板513を透過した後にフォトダイオード502に入射され、こ
れを電気信号に変換する例を示す。
【0146】
バックライトからの光は、矢印560で示すように基板501及び液晶素子505を通っ
て、基板513側にある被検出物521に照射される。そして、被検出物521において
反射された光は、矢印562で示すように、フォトダイオード502に入射する。なお、
遮蔽膜515は矢印562で示す光が通過する領域には設けない構造とする。フォトダイ
オード502の上部の遮蔽膜515に開口を設ける等、被検出物521で反射された光が
フォトダイオード502に入射するようにすればよい。
【0147】
また、光電効果で発生した正孔の移動度は電子の移動度に比べて小さいため、pin型の
フォトダイオードはp型の半導体層側を受光面とする方がよい特性を示す。ここでは、フ
ォトダイオード502が対向基板513を通して受ける光を電気信号に変換する。また、
受光面とした半導体層側とは逆の導電型を有する半導体層側からの光は外乱光となるため
、電極層541は遮光性を有する導電膜を用いるとよい。なお、n型の半導体層側を受光
面として用いることもできる。
【0148】
よって、本実施の形態においては、フォトダイオード502は、ゲート電極層545と接
続する電極層541側から、n型の導電型を有する第3半導体層506c、高抵抗な半導
体層(i型半導体層)である第2半導体層506b、p型の導電型を有する第1半導体層
506a、電極層542の順に積層された構造とする。
【0149】
また、フォトダイオード502の下部に遮蔽膜を設けてもよい。遮蔽膜を設けることで、
基板(TFT基板)501を透過して表示パネル内に入射したバックライトからの光が、
直接フォトダイオード502に当たるのを防ぐことができ、高精度の画像撮像が可能な表
示パネルを提供することができる。遮蔽膜には、カーボンブラック、低次酸化チタンなど
の黒色顔料を含む有機樹脂を用いることができる。または、クロムを用いた膜で、遮蔽膜
を形成することも可能である。
【0150】
フォトダイオード502において赤外光を検出する場合、フォトダイオード502上に赤
外光を透過させるカラーフィルタ514を形成すればよい。その場合、異なる色のカラー
フィルタの積層構造とすることが好ましい。
【0151】
また、外光を検出する場合、外光は基板(対向基板)513側から照射される。被検出物
521において外光が遮られるため、フォトダイオード502への入射光が遮られる。す
なわち、フォトダイオード502は、被検出物の影を検出することになる。
【0152】
被検出物と表示パネルとの距離について、及びフォトセンサの受光面と表示パネルの表示
面との向きについては、実施の形態3と同様である。フォトセンサの受光面が表示パネル
の表示面(基板513側)に向いていることで、表示パネルにおいて被検出物を撮像でき
る。
【0153】
本実施の形態は、他の実施の形態又は実施例と適宜組み合わせて実施することが可能であ
る。
【0154】
(実施の形態5)
本実施の形態は、本明細書で開示する表示パネルに適用できる薄膜トランジスタの例を示
す。本実施の形態で示す薄膜トランジスタ390は、上記実施の形態における、チャネル
形成領域を含む酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタ(例えば、実施の形態1におけ
るトランジスタ201、205、206、301、実施の形態3、4におけるトランジス
タ503、540)として適用することができる。上記実施の形態と同一部分又は同様な
機能を有する部分、及び工程は、上記実施の形態と同様に行うことができ、繰り返しの説
明は省略する。また同じ箇所の詳細な説明は省略する。
【0155】
本実施の形態の薄膜トランジスタの作製方法の一形態を、図12を用いて説明する。
【0156】
図12(A)乃至(E)に薄膜トランジスタの断面構造の一例を示す。図12(A)乃至
(E)に示す薄膜トランジスタ390は、ボトムゲート構造の一つであり逆スタガ型薄膜
トランジスタともいう。
【0157】
また、薄膜トランジスタ390はシングルゲート構造の薄膜トランジスタを用いて説明し
たが、必要に応じて、チャネル形成領域を複数有するマルチゲート構造の薄膜トランジス
タも形成することができる。
【0158】
以下、図12(A)乃至(E)を用い、基板394上に薄膜トランジスタ390を作製す
る工程を説明する。
【0159】
まず、絶縁表面を有する基板394上に導電膜を形成した後、第1のフォトリソグラフィ
工程によりゲート電極層391を形成する。形成されたゲート電極層の端部はテーパ形状
であると、上に積層するゲート絶縁層の被覆性が向上するため好ましい。なお、レジスト
マスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成
するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0160】
絶縁表面を有する基板394に使用することができる基板に大きな制限はないが、少なく
とも、後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。バリウムホ
ウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板を用いることができる。
【0161】
また、ガラス基板としては、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が730℃以上
のものを用いると良い。また、ガラス基板には、例えば、アルミノシリケートガラス、ア
ルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が用いられている
。酸化ホウ素と比較して酸化バリウム(BaO)を多く含ませることで、より実用的な耐
熱ガラスが得られる。このため、BよりBaOを多く含むガラス基板を用いること
が好ましい。
【0162】
なお、上記のガラス基板に代えて、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などの絶
縁体でなる基板を用いても良い。他にも、結晶化ガラス基板などを用いることができる。
また、プラスチック基板等も適宜用いることができる。
【0163】
下地膜となる絶縁膜を基板394とゲート電極層391との間に設けてもよい。下地膜は
、基板394からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化シリコン膜、酸化シリ
コン膜、窒化酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜から選ばれた一又は複数の膜によ
る積層構造により形成することができる。
【0164】
また、ゲート電極層391は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、
アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とする合金
材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。
【0165】
例えば、ゲート電極層391の2層の積層構造としては、アルミニウム層上にモリブデン
層が積層された2層構造、銅層上にモリブデン層を積層した2層構造、銅層上に窒化チタ
ン層若しくは窒化タンタル層を積層した2層構造、窒化チタン層とモリブデン層とを積層
した2層構造、又は窒化タングステン層とタングステン層とを積層した2層構造とするこ
とが好ましい。3層の積層構造としては、タングステン層または窒化タングステン層と、
アルミニウムとシリコンの合金層またはアルミニウムとチタンの合金層と、窒化チタン層
またはチタン層とを積層することが好ましい。なお、透光性を有する導電膜を用いてゲー
ト電極層を形成することもできる。透光性を有する導電膜としては、透光性導電性酸化物
等をその例に挙げることができる。
【0166】
次いで、ゲート電極層391上にゲート絶縁層397を形成する。
【0167】
ゲート絶縁層397は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリコ
ン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層、酸化アルミニウム層
、窒化アルミニウム層、酸化窒化アルミニウム層、窒化酸化アルミニウム層、又は酸化ハ
フニウム層を単層で又は積層して形成することができる。スパッタリング法により酸化シ
リコン膜を成膜する場合には、ターゲットとしてシリコンターゲット又は石英ターゲット
を用い、スパッタリングガスとして酸素又は、酸素及びアルゴンの混合ガスを用いて行う

【0168】
ここで、不純物を除去することによりI型化又は実質的にI型化された酸化物半導体(高
純度化された酸化物半導体)は界面準位、または、界面電荷に対して極めて敏感であるた
め、ゲート絶縁層との界面は重要である。そのため高純度化された酸化物半導体に接する
ゲート絶縁層397は、高品質が要求される。
【0169】
例えば、μ波(2.45GHz)を用いた高密度プラズマCVDは、緻密で絶縁耐圧の高
い高品質な絶縁層を形成できるので好ましい。高純度化された酸化物半導体と高品質ゲー
ト絶縁層とが接することにより、界面準位を低減して界面特性を良好なものとすることが
できるからである。
【0170】
もちろん、ゲート絶縁層として良質な絶縁層を形成できるものであれば、スパッタリング
法やプラズマCVD法など他の成膜方法を適用することができる。また、成膜後の熱処理
によってゲート絶縁層の膜質、酸化物半導体との界面特性が改質される絶縁層であっても
良い。いずれにしても、ゲート絶縁層としての膜質が良好であることは勿論のこと、酸化
物半導体との界面準位密度を低減し、良好な界面を形成できるものであれば良い。
【0171】
ゲート絶縁層397は、ゲート電極層391側から窒化物絶縁層と、酸化物絶縁層との積
層構造とすることもできる。例えば、第1のゲート絶縁層としてスパッタリング法により
膜厚50nm以上200nm以下の窒化シリコン層(SiN(y>0))を形成し、第
1のゲート絶縁層上に第2のゲート絶縁層として膜厚5nm以上300nm以下の酸化シ
リコン層(SiO(x>0))を積層する。ゲート絶縁層の膜厚は、薄膜トランジスタ
に要求される特性によって適宜設定すればよく350nm乃至400nm程度でもよい。
【0172】
ゲート絶縁層397の上に酸化物半導体層393を形成する。ここで、酸化物半導体層3
93に不純物が含まれると、不純物と酸化物半導体の主成分との結合が強い電界や高い温
度などのストレスにより切断され、生成された未結合手がしきい値電圧(Vth)のドリ
フトを誘発する。
【0173】
したがって、酸化物半導体層393やこれに接するゲート絶縁層397に、不純物、特に
水素や水等ができるだけ含まれないように形成する。これにより、安定な特性を有する薄
膜トランジスタ390を得ることができる。
【0174】
また、ゲート絶縁層397、酸化物半導体層393に水素、水酸基及び水分がなるべく含
まれないようにするために、成膜の前処理として、スパッタリング装置等の予備加熱室で
ゲート電極層391が形成された基板394、又はゲート絶縁層397までが形成された
基板394を予備加熱し、基板394に吸着した水素、水分などの不純物を脱離し排気す
ることが好ましい。なお、予備加熱の温度としては、100℃以上400℃以下好ましく
は150℃以上300℃以下である。なお、予備加熱室に設ける排気手段はクライオポン
プが好ましい。なお、この予備加熱の処理は省略することもできる。またこの予備加熱は
、酸化物絶縁層396の成膜前に、ソース電極層395a及びドレイン電極層395bま
で形成した基板394にも同様に行ってもよい。
【0175】
次いで、ゲート絶縁層397上に、膜厚2nm以上200nm以下の酸化物半導体層39
3を形成する(図12(A)参照。)。
【0176】
なお、酸化物半導体層393をスパッタリング法により成膜する前に、アルゴンガスを導
入してプラズマを発生させる逆スパッタリングを行い、ゲート絶縁層397の表面に付着
しているゴミを除去することが好ましい。逆スパッタリングとは、アルゴン雰囲気下で基
板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改質する方
法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウム、酸素などを用いてもよい。
【0177】
酸化物半導体層393はスパッタリング法により成膜する。酸化物半導体層393は、I
n−Ga−Zn−O系、In−Sn−Zn−O系、In−Al−Zn−O系、Sn−Ga
−Zn−O系、Al−Ga−Zn−O系、Sn−Al−Zn−O系、In−Zn−O系、
Sn−Zn−O系、Al−Zn−O系、In−O系、Sn−O系、Zn−O系の酸化物半
導体層を用いる。また、酸化物半導体層393は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気
下、酸素雰囲気下、又は希ガス(代表的にはアルゴン)及び酸素雰囲気下においてスパッ
タリング法により形成することができる。また、スパッタリング法を用いる場合、SiO
を2重量%以上10重量%以下含むターゲットを用いて成膜を行ってもよい。本実施の
形態では、酸化物半導体層393をIn−Ga−Zn−O系金属酸化物ターゲットを用い
てスパッタリング法により成膜する。
【0178】
酸化物半導体層393をスパッタリング法で作製するためのターゲットとして、酸化亜鉛
を主成分とする金属酸化物のターゲットを用いることができる。また、金属酸化物のター
ゲットの他の例としては、In、Ga、及びZnを含む金属酸化物ターゲット(組成比と
して、In:Ga:ZnO=1:1:1[mol比])を用いることができ
る。また、In、Ga、及びZnを含む金属酸化物ターゲットとしてIn:Ga
:ZnO=1:1:2[mol比]、又はIn:Ga:ZnO=1:1
:4[mol比]の組成比を有するターゲットを用いることもできる。金属酸化物ターゲ
ットの充填率は90%以上100%以下、好ましくは95%以上99.9%以下である。
充填率の高い金属酸化物ターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体層は緻密
な膜となる。
【0179】
減圧状態に保持された処理室内に基板を保持し、基板を400℃未満の温度に加熱する。
そして、処理室内の水分を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタリングガスを導
入し、金属酸化物をターゲットとして基板394上に酸化物半導体層393を成膜する。
処理室内の水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例え
ば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ま
しい。また、排気手段としては、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素原子、水(H
)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)等が排気される
ため、当該成膜室で成膜した酸化物半導体層に含まれる不純物の濃度を低減できる。また
、クライオポンプにより処理室内の水分を除去しながらスパッタリング成膜を行うことで
、酸化物半導体層393を成膜する際の基板温度は室温から400℃未満とすることがで
きる。
【0180】
成膜条件の一例としては、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa
、直流(DC)電源0.5kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下の条件が適用さ
れる。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、ごみが軽減でき、膜厚分布も均一とな
るために好ましい。酸化物半導体層は好ましくは5nm以上30nm以下とする。なお、
適用する酸化物半導体材料により適切な厚みは異なり、材料に応じて適宜厚みを選択すれ
ばよい。
【0181】
スパッタリング法にはスパッタリング用電源に高周波電源を用いるRFスパッタリング法
と、DCスパッタリング法があり、さらにパルス的にバイアスを与えるパルスDCスパッ
タリング法もある。RFスパッタリング法は主に絶縁膜を成膜する場合に用いられ、DC
スパッタリング法は主に金属膜を成膜する場合に用いられる。
【0182】
また、材料の異なるターゲットを複数設置できる多元スパッタリング装置もある。多元ス
パッタリング装置は、同一チャンバーで異なる材料膜を積層成膜することも、同一チャン
バーで複数種類の材料を同時に放電させて成膜することもできる。
【0183】
また、チャンバー内部に磁石機構を備えたマグネトロンスパッタリング法を用いるスパッ
タリング装置や、グロー放電を使わずマイクロ波を用いて発生させたプラズマを用いるE
CRスパッタリング法を用いるスパッタ装置がある。
【0184】
また、スパッタリング法を用いる成膜方法として、成膜中にターゲット物質とスパッタリ
ングガス成分とを化学反応させてそれらの化合物薄膜を形成するリアクティブスパッタリ
ング法や、成膜中に基板にも電圧をかけるバイアススパッタリング法もある。
【0185】
次いで、酸化物半導体層を第2のフォトリソグラフィ工程により島状の酸化物半導体層3
99に加工する(図12(B)参照)。また、島状の酸化物半導体層399を形成するた
めのレジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェ
ット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0186】
また、ゲート絶縁層397にコンタクトホールを形成する場合、その工程は酸化物半導体
層399の形成時に行うことができる。
【0187】
なお、ここでの酸化物半導体層393のエッチングは、ドライエッチングでもウェットエ
ッチングでもよく、両方を用いてもよい。
【0188】
ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、塩素を含むガス(塩素系ガス、例え
ば塩素(Cl)、塩化硼素(BCl)、塩化珪素(SiCl)、四塩化炭素(CC
)など)が好ましい。
【0189】
また、フッ素を含むガス(フッ素系ガス、例えば四弗化炭素(CF)、六弗化硫黄(S
)、三弗化窒素(NF)、トリフルオロメタン(CHF)など)、臭化水素(H
Br)、酸素(O)、これらのガスにヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガ
スを添加したガス、などを用いることができる。
【0190】
ドライエッチング法としては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etch
ing)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導
結合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。所望の加工形状にエッチングでき
るように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加さ
れる電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節する。
【0191】
ウェットエッチングに用いるエッチング液としては、燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液、ア
ンモニア過水(31重量%過酸化水素水:28重量%アンモニア水:水=5:2:2)な
どを用いることができる。また、ITO07N(関東化学社製)を用いてもよい。
【0192】
また、ウェットエッチング後のエッチング液はエッチングされた材料とともに洗浄によっ
て除去される。その除去された材料を含むエッチング液の廃液を精製し、含まれる材料を
再利用してもよい。当該エッチング後の廃液から酸化物半導体層に含まれるインジウム等
の材料を回収して再利用することにより、資源を有効活用し低コスト化することができる

【0193】
所望の加工形状にエッチングできるように、材料に合わせてエッチング条件(エッチング
液、エッチング時間、温度等)を適宜調節する。
【0194】
なお、次工程の導電膜を形成する前に逆スパッタリングを行い、酸化物半導体層399及
びゲート絶縁層397の表面に付着しているレジスト残渣などを除去することが好ましい

【0195】
次いで、ゲート絶縁層397、及び酸化物半導体層399上に、導電膜を形成する。導電
膜をスパッタリング法や真空蒸着法で形成すればよい。ソース電極層及びドレイン電極層
(これと同じ層で形成される配線を含む)となる導電膜の材料としては、Al、Cr、C
u、Ta、Ti、Mo、Wからから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金
、上述した元素を組み合わせた合金等が挙げられる。また、Al、Cuなどの金属層の一
方または双方にCr、Ta、Ti、Mo、Wなどの高融点金属層を積層させた構成として
も良い。また、Si、Ti、Ta、W、Mo、Cr、Nd、Sc、YなどAl膜に生ずる
ヒロックやウィスカーの発生を防止する元素が添加されているAl材料を用いることで耐
熱性を向上させることが可能となる。
【0196】
また、導電膜は、単層構造でも、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを
含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する2層構造、Ti
膜と、そのTi膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、さらにその上にTi膜を成膜する
3層構造などが挙げられる。
【0197】
また、ソース電極層及びドレイン電極層(これと同じ層で形成される配線を含む)となる
導電膜としては導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化
インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウ
ム酸化スズ混合酸化物(In―SnO、ITOと略記する)、酸化インジウム酸
化亜鉛混合酸化物(In―ZnO)または前記金属酸化物にシリコン若しくは酸化
シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0198】
第3のフォトリソグラフィ工程により導電膜上にレジストマスクを形成し、選択的にエッ
チングを行ってソース電極層395a、ドレイン電極層395bを形成した後、レジスト
マスクを除去する(図12(C)参照)。
【0199】
第3のフォトリソグラフィ工程でのレジストマスク形成時の露光には、紫外線やKrFレ
ーザ光やArFレーザ光を用いる。酸化物半導体層399上で隣り合うソース電極層39
5aの下端部とドレイン電極層395bの下端部との間隔幅によって後に形成される薄膜
トランジスタのチャネル長Lが決定される。なお、チャネル長L=25nm未満の露光を
行う場合には、数nm乃至数10nmと極めて波長が短い超紫外線(Extreme U
ltraviolet)を用いて第3のフォトリソグラフィ工程でのレジストマスク形成
時の露光を行う。超紫外線による露光は、解像度が高く焦点深度も大きい。従って、後に
形成される薄膜トランジスタのチャネル長Lを10nm以上1000nm以下とすること
も可能であり、かつ、回路の動作速度を高速化できる。さらに本実施の形態の酸化物半導
体層を用いた薄膜トランジスタはオフ電流値が極めて小さいため、低消費電力化も図るこ
とができる。
【0200】
なお、導電膜のエッチングの際に、酸化物半導体層399が完全に除去されないようにそ
れぞれの材料及びエッチング条件を適宜調節する。
【0201】
本実施の形態では、導電膜としてTi膜を用いて、酸化物半導体層399にはIn−Ga
−Zn−O系酸化物半導体を用いて、エッチャントとしてアンモニア過水(31重量%過
酸化水素水:28重量%アンモニア水:水=5:2:2)を用いる。
【0202】
なお、第3のフォトリソグラフィ工程では、酸化物半導体層399の一部がエッチングさ
れ、溝部(凹部)を有する酸化物半導体層となることもある。また、ソース電極層395
a、ドレイン電極層395bを形成するためのレジストマスクをインクジェット法で形成
してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しない
ため、製造コストを低減できる。
【0203】
また、フォトリソグラフィ工程で用いるフォトマスク数及び工程数を削減するため、透過
した光が複数の強度となる露光マスクである多階調マスクによって形成されたレジストマ
スクを用いてエッチング工程を行ってもよい。多階調マスクを用いて形成されたレジスト
マスクは複数の膜厚を有する形状となり、エッチングを行うことでさらに形状を変形する
ことができるため、異なるパターンに加工する複数のエッチング工程に用いることができ
る。よって、一枚の多階調マスクによって、少なくとも二種類以上の異なるパターンに対
応するレジストマスクを形成することができる。よって露光マスク数を削減することがで
き、対応するフォトリソグラフィ工程も削減できるため、工程の簡略化が可能となる。
【0204】
O、N、またはArなどのガスを用いたプラズマ処理によって露出している酸化物
半導体層の表面に付着した吸着水などを除去してもよい。また、酸素とアルゴンの混合ガ
スを用いてプラズマ処理を行ってもよい。
【0205】
プラズマ処理を行った場合、基板394を大気に触れさせることなく、引き続いて酸化物
絶縁層396を形成する(図12(D)参照)。なお、酸化物絶縁層396は酸化物半導
体層399の一部に接し、保護絶縁膜として機能する。本実施の形態では、酸化物半導体
層399がソース電極層395a、ドレイン電極層395bと重ならない領域において、
酸化物半導体層399と酸化物絶縁層396とが接するように形成する。
【0206】
本実施の形態では、酸化物絶縁層396として、欠陥を含む酸化シリコン層を室温又は1
00℃未満の温度で、水素及び水分が除去された高純度酸素を含むスパッタリングガス中
で、シリコンターゲットを用いて成膜する。
【0207】
例えば、純度が6Nで、ボロンがドープされたシリコンターゲット(抵抗値0.01Ωc
m)を用い、基板とターゲットの間との距離(T−S間距離)を89mm、圧力0.4P
a、直流(DC)電源6kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下でパルスDCスパ
ッタリング法により酸化シリコン膜を成膜する。膜厚は300nmとする。なお、シリコ
ンターゲットに代えて石英(好ましくは合成石英)を酸化シリコン膜を成膜するためのタ
ーゲットとして用いることができる。なお、スパッタリングガスとして酸素又は、酸素及
びアルゴンの混合ガスを用いる。
【0208】
この場合において、処理室内の水分を除去した後に、酸化物絶縁層396を成膜すること
が好ましい。酸化物半導体層399及び酸化物絶縁層396に水素、水酸基又は水分が含
まれないようにするためである。
【0209】
処理室内の水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例え
ば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ま
しい。また、排気手段としては、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素原子や、水(H
O)など水素原子を含む化合物等が排気されるため、当該成膜室で成膜した酸化物絶縁層
396に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0210】
なお、酸化物絶縁層396として、酸化シリコン層に代えて、酸化窒化シリコン層、酸化
アルミニウム層、または酸化窒化アルミニウム層などを用いることもできる。
【0211】
さらに、酸化物絶縁層396と酸化物半導体層399とを接した状態で100℃乃至40
0℃で加熱処理を行ってもよい。本実施の形態における酸化物絶縁層396は欠陥を多く
含むため、この加熱処理によって酸化物半導体層399中に含まれる水素、水分、水酸基
又は水素化物などの不純物を酸化物絶縁層396に拡散させ、酸化物半導体層399中に
含まれる該不純物をより低減させることができる。
【0212】
以上の工程で、水素、水分、水酸基又は水素化物の濃度が低減された酸化物半導体層39
2を有する薄膜トランジスタ390を形成することができる(図12(E)参照)。
【0213】
上記のように酸化物半導体層を成膜するに際し、反応雰囲気中の水分を除去することで、
該酸化物半導体層中の水素及び水素化物の濃度を低減することができる。それにより酸化
物半導体層の安定化を図ることができる。
【0214】
酸化物絶縁層上に保護絶縁層を設けてもよい。本実施の形態では、保護絶縁層398を酸
化物絶縁層396上に形成する。保護絶縁層398としては、窒化シリコン膜、窒化酸化
シリコン膜、窒化アルミニウム膜、又は窒化酸化アルミニウム膜などを用いる。
【0215】
保護絶縁層398として、酸化物絶縁層396まで形成された基板394を100℃乃至
400℃の温度に加熱し、水素及び水分が除去された高純度窒素を含むスパッタリングガ
スを導入しシリコンターゲットを用いて窒化シリコン膜を成膜する。この場合においても
、酸化物絶縁層396と同様に、処理室内の水分を除去した後に保護絶縁層398を成膜
することが好ましい。
【0216】
保護絶縁層398を形成する場合、保護絶縁層398の成膜時に100℃乃至400℃に
基板394を加熱することで、酸化物半導体層392中に含まれる水素若しくは水分を酸
化物絶縁層398に拡散させることができる。この場合上記酸化物絶縁層396の形成後
に加熱処理を行わなくてもよい。
【0217】
酸化物絶縁層396として酸化シリコン層を形成し、保護絶縁層398として窒化シリコ
ン層を積層する場合、酸化シリコン層と窒化シリコン層を同じ処理室において、共通のシ
リコンターゲットを用いて成膜することができる。先に酸素を含むスパッタリングガスを
導入して、処理室内に装着されたシリコンターゲットを用いて酸化シリコン層を形成し、
次にスパッタリングガスを窒素に切り替えて同じシリコンターゲットを用いて窒化シリコ
ン層を成膜する。これにより、酸化物絶縁層396を大気に曝露することなく、酸化シリ
コン層と窒化シリコン層とを連続して形成することができるため、酸化物絶縁層396表
面に水素や水分などの不純物が吸着することを防止することができる。また、保護絶縁層
398を形成した後、酸化物半導体層中に含まれる水素若しくは水分を酸化物絶縁層に拡
散させるための加熱処理(温度100℃乃至400℃)を行ってもよい。
【0218】
保護絶縁層の形成後、さらに大気中、100℃以上200℃以下、1時間以上30時間以
下での加熱処理を行ってもよい。この加熱処理は一定の加熱温度を保持して加熱してもよ
いし、室温から、100℃以上200℃以下の加熱温度への昇温と、加熱温度から室温ま
での降温を複数回くりかえして行ってもよい。また、この加熱処理を、減圧下で行っても
よい。減圧下で加熱処理を行うと、加熱時間を短縮することができる。この加熱処理によ
って、表示パネルの信頼性をさらに向上できる。
【0219】
また、上述したように、ゲート絶縁層上にチャネル形成領域とする酸化物半導体層を成膜
する際、反応雰囲気中の水分を除去することで、該酸化物半導体層中の水素及び水素化物
の濃度を低減することができる。
【0220】
上記の工程は、液晶表示パネル、エレクトロルミネセンス表示パネル、電子インクを用い
た表示装置などのバックプレーン(薄膜トランジスタが形成された基板)の製造に用いる
ことができる。上記の工程は、400℃以下の温度で行われるため、厚さが1mm以下で
、一辺が1mを超えるガラス基板を用いる製造工程にも適用することができる。また、4
00℃以下の処理温度で全ての工程を行うことができるので、表示パネルを製造するため
に多大なエネルギーを消費しないで済む。
【0221】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0222】
以上のように、酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタを有することで、安定な電気特
性を有し信頼性の高い大型のタッチパネルを提供することができる。
【0223】
(実施の形態6)
本実施の形態は、本明細書で開示する表示パネルに適用できる薄膜トランジスタの他の例
を示す。本実施の形態で示す薄膜トランジスタ310は、上記実施の形態における、チャ
ネル形成領域を含む酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタ(例えば、実施の形態1に
おけるトランジスタ201、205、206、301、実施の形態3、4におけるトラン
ジスタ503、540)として適用することができる。上記実施の形態と同一部分又は同
様な機能を有する部分、及び工程は、上記実施の形態と同様に行うことができ、繰り返し
の説明は省略する。また同じ箇所の詳細な説明は省略する。
【0224】
本実施の形態の薄膜トランジスタ及び薄膜トランジスタの作製方法の一形態を図13を用
いて説明する。
【0225】
図13(A)乃至(E)に薄膜トランジスタの断面構造の一例を示す。図13(A)乃至
(E)に示す薄膜トランジスタ310は、ボトムゲート構造の一つであり逆スタガ型薄膜
トランジスタともいう。
【0226】
また、薄膜トランジスタ310はシングルゲート構造の薄膜トランジスタを用いて説明し
たが、必要に応じて、チャネル形成領域を複数有するマルチゲート構造の薄膜トランジス
タも形成することができる。
【0227】
以下、図13(A)乃至(E)を用い、基板305上に薄膜トランジスタ310を作製す
る工程を説明する。
【0228】
まず、絶縁表面を有する基板305上に導電膜を形成した後、第1のフォトリソグラフィ
工程によりゲート電極層311を形成する。なお、レジストマスクをインクジェット法で
形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用し
ないため、製造コストを低減できる。
【0229】
絶縁表面を有する基板305に使用することができる基板に大きな制限はないが、少なく
とも、後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。バリウムホ
ウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板を用いることができる。
【0230】
また、ガラス基板としては、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が730℃以上
のものを用いると良い。また、ガラス基板には、例えば、アルミノシリケートガラス、ア
ルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が用いられている
。酸化ホウ素と比較して酸化バリウム(BaO)を多く含ませることで、より実用的な耐
熱ガラスが得られる。このため、BよりBaOを多く含むガラス基板を用いること
が好ましい。
【0231】
なお、上記のガラス基板に代えて、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などの絶
縁体でなる基板を用いても良い。他にも、結晶化ガラス基板などを用いることができる。
【0232】
下地膜となる絶縁膜を基板305とゲート電極層311との間に設けてもよい。下地膜は
、基板305からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化シリコン膜、酸化シリ
コン膜、窒化酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜から選ばれた一又は複数の膜によ
る積層構造により形成することができる。
【0233】
また、ゲート電極層311は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、
アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とする合金
材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。
【0234】
例えば、ゲート電極層311の2層の積層構造としては、アルミニウム層上にモリブデン
層が積層された2層の積層構造、銅層上にモリブデン層を積層した2層構造、銅層上に窒
化チタン層若しくは窒化タンタル層を積層した2層構造、窒化チタン層とモリブデン層と
を積層した2層構造、又は窒化タングステン層とタングステン層との2層構造とすること
が好ましい。3層の積層構造としては、タングステン層または窒化タングステン層と、ア
ルミニウムとシリコンの合金層またはアルミニウムとチタンの合金層と、窒化チタン層ま
たはチタン層とを積層することが好ましい。
【0235】
次いで、ゲート電極層311上にゲート絶縁層307を形成する。
【0236】
ゲート絶縁層307は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリコ
ン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層、又は酸化アルミニウ
ム層を単層で又は積層して形成することができる。例えば、成膜ガスとして、SiH
酸素及び窒素を用いてプラズマCVD法により酸化窒化シリコン層を形成すればよい。ゲ
ート絶縁層307の膜厚は、100nm以上500nm以下とし、積層の場合は、例えば
、膜厚50nm以上200nm以下の第1のゲート絶縁層と、第1のゲート絶縁層上の膜
厚5nm以上300nm以下の第2のゲート絶縁層の積層とする。
【0237】
本実施の形態では、ゲート絶縁層307としてプラズマCVD法により膜厚100nmの
酸化窒化シリコン層を形成する。
【0238】
次いで、ゲート絶縁層307上に、膜厚2nm以上200nm以下の酸化物半導体層33
0を形成する。
【0239】
なお、酸化物半導体層330をスパッタリング法により成膜する前に、アルゴンガスを導
入してプラズマを発生させる逆スパッタリングを行い、ゲート絶縁層307の表面に付着
しているゴミを除去することが好ましい。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウム
、酸素などを用いてもよい。
【0240】
酸化物半導体層330は、In−Ga−Zn−O系、In−Sn−Zn−O系、In−A
l−Zn−O系、Sn−Ga−Zn−O系、Al−Ga−Zn−O系、Sn−Al−Zn
−O系、In−Zn−O系、Sn−Zn−O系、Al−Zn−O系、In−O系、Sn−
O系、Zn−O系の酸化物半導体層を用いる。酸化物半導体層330は、希ガス(代表的
にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガス(代表的にはアルゴン)及び酸素雰
囲気下においてスパッタリング法により形成することができる。また、スパッタリング法
を用いる場合、SiOを2重量%以上10重量%以下含むターゲットを用いて成膜を行
ってもよい。本実施の形態では、酸化物半導体層330としてIn−Ga−Zn−O系金
属酸化物ターゲットを用いてスパッタリング法により成膜する。この段階での断面図が図
13(A)に相当する。
【0241】
酸化物半導体層330をスパッタリング法で作製するためのターゲットとして、酸化亜鉛
を主成分とする金属酸化物のターゲットを用いることができる。また、金属酸化物のター
ゲットの他の例としては、In、Ga、及びZnを含む金属酸化物ターゲット(組成比と
して、In:Ga:ZnO=1:1:1[mol比])を用いることができ
る。また、In、Ga、及びZnを含む金属酸化物ターゲットとして、In:Ga
:ZnO=1:1:2[mol比]、又はIn:Ga:ZnO=1:
1:4[mol比]の組成比を有するターゲットを用いることもできる。金属酸化物ター
ゲットの充填率は90%以上100%以下、好ましくは95%以上99.9%以下である
。充填率の高い金属酸化物ターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体層は緻
密な膜となる。
【0242】
酸化物半導体層330を成膜する際に用いるスパッタリングガスは水素、水、水酸基を有
する物質、又は水素化物などの不純物が、濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去され
た高純度ガスを用いることが好ましい。
【0243】
減圧状態に保持された処理室内に基板を保持し、基板温度を100℃以上600℃以下好
ましくは200℃以上400℃以下とする。基板を加熱しながら成膜することにより、成
膜した酸化物半導体層に含まれる不純物濃度を低減することができる。また、スパッタリ
ングによる損傷が軽減される。そして、処理室内の水分を除去しつつ水素及び水分が除去
されたスパッタリングガスを導入し、金属酸化物をターゲットとして基板305上に酸化
物半導体層330を成膜する。処理室内の水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプ
を用いることが好ましい。例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーシ
ョンポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、ターボ分子ポンプにコー
ルドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、
例えば、水素原子、水(HO)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を
含む化合物も)等が排気されるため、当該成膜室で成膜した酸化物半導体層に含まれる不
純物の濃度を低減できる。
【0244】
成膜条件の一例としては、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa
、直流(DC)電源0.5kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下の条件が適用さ
れる。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、ごみが軽減でき、膜厚分布も均一とな
るために好ましい。酸化物半導体層は好ましくは5nm以上30nm以下とする。なお、
適用する酸化物半導体材料により適切な厚みは異なり、材料に応じて適宜厚みを選択すれ
ばよい。
【0245】
次いで、酸化物半導体層330を第2のフォトリソグラフィ工程により島状の酸化物半導
体層に加工する。また、島状の酸化物半導体層を形成するためのレジストマスクをインク
ジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマ
スクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0246】
次いで、酸化物半導体層に第1の加熱処理を行う。この第1の加熱処理によって酸化物半
導体層の脱水化または脱水素化を行うことができる。第1の加熱処理の温度は、400℃
以上750℃以下、好ましくは400℃以上基板の歪み点未満とする。ここでは、加熱処
理装置の一つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導体層に対して窒素雰囲気下450
℃において1時間の加熱処理を行い、酸化物半導体層331を得る(図13(B)参照。
)。
【0247】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱
輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas
Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid
Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal An
neal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライ
ドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧
水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置
である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。気体には、ア
ルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理において被処理物と反応しない不活
性気体が用いられる。
【0248】
例えば、第1の加熱処理として、650℃乃至700℃の高温に加熱した不活性ガス中に
基板を移動させて入れ、数分間加熱した後、基板を移動させて高温に加熱した不活性ガス
中から出すGRTAを行ってもよい。GRTAを用いると短時間での高温加熱処理が可能
となる。
【0249】
なお、第1の加熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス
に水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する窒素、ま
たはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、
好ましくは7N(99.99999%)以上(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましく
は0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0250】
また、酸化物半導体層の第1の加熱処理は、島状の酸化物半導体層に加工する前の酸化物
半導体層330に行うこともできる。その場合には、第1の加熱処理後に、加熱装置から
基板を取り出し、フォトリソグラフィ工程を行う。
【0251】
酸化物半導体層に対する脱水化、脱水素化の効果を奏する加熱処理は、酸化物半導体層成
膜後、酸化物半導体層上にソース電極層及びドレイン電極層を積層させた後、ソース電極
層及びドレイン電極層上に保護絶縁膜を形成した後、のいずれで行っても良い。
【0252】
また、ゲート絶縁層307にコンタクトホールを形成する場合、その工程は酸化物半導体
層330に脱水化または脱水素化処理を行う前でも行った後に行ってもよい。
【0253】
なお、ここでの酸化物半導体層のエッチングは、ウェットエッチングに限定されずドライ
エッチングを用いてもよい。
【0254】
所望の加工形状にエッチングできるように、材料に合わせてエッチング条件(エッチング
液、エッチング時間、温度等)を適宜調節する。
【0255】
次いで、ゲート絶縁層307、及び酸化物半導体層331上に、ソース電極層及びドレイ
ン電極層(これと同じ層で形成される配線を含む)となる導電膜を形成する。導電膜をス
パッタリング法や真空蒸着法で形成すればよい。ソース電極層及びドレイン電極層(これ
と同じ層で形成される配線を含む)となる導電膜の材料としては、Al、Cr、Cu、T
a、Ti、Mo、Wからから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金、上述
した元素を組み合わせた合金等が挙げられる。また、Al、Cuなどの金属層の一方また
は双方にCr、Ta、Ti、Mo、Wなどの高融点金属層を積層させた構成としても良い
。また、Si、Ti、Ta、W、Mo、Cr、Nd、Sc、YなどAl膜に生ずるヒロッ
クやウィスカーの発生を防止する元素が添加されているAl材料を用いることで耐熱性を
向上させることが可能となる。
【0256】
また、導電膜は、単層構造でも、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを
含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する2層構造、Ti
膜と、そのTi膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、さらにその上にTi膜を成膜する
3層構造などが挙げられる。
【0257】
また、ソース電極層及びドレイン電極層(これと同じ層で形成される配線を含む)となる
導電膜としては導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化
インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウ
ム酸化スズ混合酸化物(In―SnO、ITOと略記する)、酸化インジウム酸
化亜鉛混合酸化物(In―ZnO)または前記金属酸化物にシリコン若しくは酸化
シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0258】
導電膜成膜後に加熱処理を行う場合には、この加熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせ
ることが好ましい。
【0259】
第3のフォトリソグラフィ工程により導電膜上にレジストマスクを形成し、選択的にエッ
チングを行ってソース電極層315a、ドレイン電極層315bを形成した後、レジスト
マスクを除去する(図13(C)参照)。
【0260】
第3のフォトリソグラフィ工程でのレジストマスク形成時の露光には、紫外線やKrFレ
ーザ光やArFレーザ光を用いる。酸化物半導体層331上で隣り合うソース電極層31
5aの下端部とドレイン電極層315bの下端部との間隔幅によって後に形成される薄膜
トランジスタのチャネル長Lが決定される。なお、チャネル長L=25nm未満の露光を
行う場合には、数nm乃至数10nmと極めて波長が短い超紫外線(Extreme U
ltraviolet)を用いて第3のフォトリソグラフィ工程でのレジストマスク形成
時の露光を行う。超紫外線による露光は、解像度が高く焦点深度も大きい。従って、後に
形成される薄膜トランジスタのチャネル長Lを10nm以上1000nm以下とすること
も可能であり、回路の動作速度を高速化できる。さらに本実施の形態の酸化物半導体層を
用いた薄膜トランジスタはオフ電流値が極めて小さいため、低消費電力化も図ることがで
きる。
【0261】
なお、導電膜のエッチングの際に、酸化物半導体層331は完全に除去されないようにそ
れぞれの材料及びエッチング条件を適宜調節する。
【0262】
本実施の形態では、導電膜としてTi膜を用いて、酸化物半導体層331にはIn−Ga
−Zn−O系酸化物半導体を用いて、エッチャントとしてアンモニア過水(31重量%過
酸化水素水:28重量%アンモニア水:水=5:2:2)を用いる。
【0263】
なお、第3のフォトリソグラフィ工程では、酸化物半導体層331の一部がエッチングさ
れ、溝部(凹部)を有する酸化物半導体層となることもある。また、ソース電極層315
a、ドレイン電極層315bを形成するためのレジストマスクをインクジェット法で形成
してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しない
ため、製造コストを低減できる。
【0264】
また、酸化物半導体層331とソース電極層315a及びドレイン電極層315bの間に
、酸化物導電層を形成してもよい。酸化物導電層とソース電極層及びドレイン電極層を形
成するための金属層は、連続成膜が可能である。酸化物導電層はソース領域及びドレイン
領域として機能しうる。
【0265】
ソース領域及びドレイン領域として、酸化物導電層を酸化物半導体層331とソース電極
層315a及びドレイン電極層315bとの間に設けることで、ソース領域及びドレイン
領域の低抵抗化を図ることができ、トランジスタの高速動作が可能である。
【0266】
また、フォトリソグラフィ工程で用いるフォトマスク数及び工程数を削減するため、透過
した光が複数の強度となる露光マスクである多階調マスクによって形成されたレジストマ
スクを用いてエッチング工程を行ってもよい。多階調マスクを用いて形成されたレジスト
マスクは複数の膜厚を有する形状となり、エッチングを行うことでさらに形状を変形する
ことができるため、異なるパターンに加工する複数のエッチング工程に用いることができ
る。よって、一枚の多階調マスクによって、少なくとも二種類以上の異なるパターンに対
応するレジストマスクを形成することができる。よって露光マスク数を削減することがで
き、対応するフォトリソグラフィ工程も削減できるため、工程の簡略化が可能となる。
【0267】
次いで、NO、N、またはArなどのガスを用いたプラズマ処理を行う。このプラズ
マ処理によって露出している酸化物半導体層の表面に付着した吸着水などを除去する。ま
た、酸素とアルゴンの混合ガスを用いてプラズマ処理を行ってもよい。
【0268】
プラズマ処理を行った後、酸化物半導体層を大気に触れさせることなく、酸化物半導体層
の一部に接する保護絶縁膜となる酸化物絶縁層316を形成する。
【0269】
酸化物絶縁層316は、少なくとも1nm以上の膜厚とし、スパッタリング法など、酸化
物絶縁層316に水、水素等の不純物を混入させない方法を適宜用いて形成することがで
きる。酸化物絶縁層316に水素が含まれると、その水素の酸化物半導体層への侵入、又
は水素による酸化物半導体層中の酸素に対する引き抜き、が生じ酸化物半導体層のバック
チャネルが低抵抗化(N型化)してしまい、寄生チャネルが形成されるおそれがある。よ
って、酸化物絶縁層316はできるだけ水素を含まない膜になるように、成膜方法に水素
を用いないことが重要である。
【0270】
酸化物半導体層に接して形成される酸化物絶縁層316は、水分や、水素イオンや、OH
などの不純物を含まず、これらが外部から侵入することをブロックする無機絶縁膜、代
表的には酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、または酸化窒化ア
ルミニウム膜などを用いる。本実施の形態では、酸化物絶縁層316として膜厚200n
mの酸化シリコン膜をスパッタリング法を用いて成膜する。成膜時の基板温度は、室温以
上300℃以下とすればよく、本実施の形態では100℃とする。酸化シリコン膜のスパ
ッタリング法による成膜は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、ま
たは希ガス(代表的にはアルゴン)及び酸素雰囲気下において行うことができる。また、
ターゲットとして酸化シリコンターゲットまたはシリコンターゲットを用いることができ
る。例えば、シリコンターゲットを用いて、酸素、及び窒素雰囲気下でスパッタリング法
により酸化シリコン膜を形成することができる。
【0271】
この場合において、処理室内の水分を除去しつつ酸化物絶縁層316を成膜することが好
ましい。酸化物半導体層331及び酸化物絶縁層316に水素、水酸基又は水分が含まれ
ないようにするためである。
【0272】
処理室内の水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例え
ば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ま
しい。また、排気手段としては、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素原子や、水(H
O)など水素原子を含む化合物等が排気されるため、当該成膜室で成膜した酸化物絶縁層
316に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0273】
酸化物絶縁層316を、成膜する際に用いるスパッタリングガスは水素、水、水酸基又は
水素化物などの不純物が、濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを
用いることが好ましい。
【0274】
次いで、不活性ガス雰囲気下、または酸素ガス雰囲気下で第2の加熱処理(好ましくは2
00℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下)を行う。例えば、窒素雰囲
気下で250℃、1時間の第2の加熱処理を行う。第2の加熱処理では、酸化物半導体層
は、その一部(チャネル形成領域)が酸化物絶縁層316と接した状態で加熱される。
【0275】
以上の工程を経ることによって、成膜後の酸化物半導体層は、脱水化または脱水素化のた
めの第1の加熱処理によって低抵抗化され、その後、第2の加熱処理によって酸化物半導
体層316と接する部分が選択的に酸素過剰な状態となる。その結果、ゲート電極層31
1と重なるチャネル形成領域313はI型となり、ソース電極層315aに重なる高抵抗
ソース領域314aと、ドレイン電極層315bに重なる高抵抗ドレイン領域314bと
が自己整合的に形成される。以上の工程で薄膜トランジスタ310が形成される(図13
(D)参照)。
【0276】
また、酸化物絶縁層316として欠陥を多く含む酸化シリコン層を用いると、酸化シリコ
ン層形成後の加熱処理によって酸化物半導体層中に含まれる水素、水分、水酸基又は水素
化物などの不純物を酸化物絶縁層に拡散させ、酸化物半導体層中に含まれる該不純物をよ
り低減させる効果を奏する。
【0277】
なお、ドレイン電極層315b(及びソース電極層315a)と重畳した酸化物半導体層
において高抵抗ドレイン領域314b(又は高抵抗ソース領域314a)を形成すること
により、薄膜トランジスタの信頼性の向上を図ることができる。具体的には、高抵抗ドレ
イン領域314bを形成することで、ドレイン電極層315bから高抵抗ドレイン領域3
14b、チャネル形成領域313にかけて、導電性を段階的に変化させうるような構造と
することができる。そのため、ドレイン電極層315bに高電源電位VDDを供給する配
線に接続して動作させる場合、ゲート電極層311とドレイン電極層315bとの間に高
電界が印加されても高抵抗ドレイン領域がバッファとなり局所的な高電界が印加されず、
トランジスタの耐圧を向上させた構成とすることができる。
【0278】
また、酸化物半導体層331における高抵抗ソース領域314a又は高抵抗ドレイン領域
314bは、酸化物半導体層331の膜厚が15nm以下と薄い場合は膜厚方向全体にわ
たって形成されるが、酸化物半導体層331の膜厚が30nm以上の場合は、酸化物半導
体層331の一部、すなわち、ソース電極層315a又はドレイン電極層315bと接す
る領域及びその近傍だけに形成され、ゲート絶縁膜331に近い領域はI型とすることも
できる。
【0279】
酸化物絶縁層316上にさらに保護絶縁層308を形成してもよい。保護絶縁層308は
、水分や、水素イオンや、OHなどの不純物を含まず、これらが外部から侵入すること
をブロックする無機絶縁膜を用い、窒化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化シリ
コン膜、窒化酸化アルミニウム膜などを用いる。例えば、RFスパッタリング法を用いて
窒化シリコン膜を形成する。RFスパッタリング法は、量産性がよいため、保護絶縁層の
成膜方法として好ましい。本実施の形態では、保護絶縁層306を、窒化シリコン膜を用
いて形成する(図13(E)参照。)。
【0280】
本実施の形態では、保護絶縁層306として、酸化物絶縁層316まで形成された基板3
05を100℃乃至400℃の温度に加熱し、水素及び水分が除去された高純度窒素を含
むスパッタリングガスを導入しシリコンターゲットを用いて窒化シリコン膜を成膜する。
この場合においても、酸化物絶縁層316と同様に、処理室内の水分を除去しつつ保護絶
縁層306を成膜することが好ましい。
【0281】
保護絶縁層306の形成後、さらに大気中、100℃以上200℃以下、1時間以上30
時間以下での加熱処理を行ってもよい。この加熱処理は一定の加熱温度を保持して加熱し
てもよいし、室温から、100℃以上200℃以下の加熱温度への昇温と、加熱温度から
室温までの降温を複数回くりかえして行ってもよい。また、この加熱処理を、減圧下で行
ってもよい。減圧下で加熱処理を行うと、加熱時間を短縮することができる。
【0282】
保護絶縁層306上に平坦化のための平坦化絶縁層を設けてもよい。
【0283】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0284】
以上のように、酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタを有することで、安定な電気特
性を有し信頼性の高い大型のタッチパネルを提供することができる。
【0285】
(実施の形態7)
本実施の形態は、本明細書で開示する表示パネルに適用できる薄膜トランジスタの他の例
を示す。本実施の形態で示す薄膜トランジスタ360は、上記実施の形態における、チャ
ネル形成領域を含む酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタ(例えば、実施の形態1に
おけるトランジスタ201、205、206、301、実施の形態3、4におけるトラン
ジスタ503、540)として適用することができる。上記実施の形態と同一部分又は同
様な機能を有する部分、及び工程は、上記実施の形態と同様に行うことができ、繰り返し
の説明は省略する。また同じ箇所の詳細な説明は省略する。
【0286】
本実施の形態の薄膜トランジスタ及び薄膜トランジスタの作製方法の一形態を、図14を
用いて説明する。
【0287】
図14(A)乃至(D)に薄膜トランジスタの断面構造の一例を示す。図14(A)乃至
(D)に示す薄膜トランジスタ360は、チャネル保護型(チャネルストップ型ともいう
)と呼ばれるボトムゲート構造の一つであり逆スタガ型薄膜トランジスタともいう。
【0288】
また、薄膜トランジスタ360はシングルゲート構造の薄膜トランジスタを用いて説明し
たが、必要に応じて、チャネル形成領域を複数有するマルチゲート構造の薄膜トランジス
タも形成することができる。
【0289】
以下、図14(A)乃至(D)を用い、基板320上に薄膜トランジスタ360を作製す
る工程を説明する。
【0290】
まず、絶縁表面を有する基板320上に導電膜を形成した後、第1のフォトリソグラフィ
工程によりゲート電極層361を形成する。なお、レジストマスクをインクジェット法で
形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用し
ないため、製造コストを低減できる。
【0291】
また、ゲート電極層361は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、
アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とする合金
材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。
【0292】
次いで、ゲート電極層361上にゲート絶縁層322を形成する。
【0293】
本実施の形態では、ゲート絶縁層322としてプラズマCVD法により膜厚100nmの
酸化窒化シリコン層を形成する。
【0294】
次いで、ゲート絶縁層322上に、膜厚2nm以上200nm以下の酸化物半導体層を形
成し、第2のフォトリソグラフィ工程により島状の酸化物半導体層に加工する。本実施の
形態では、酸化物半導体層としてIn−Ga−Zn−O系金属酸化物ターゲットを用いて
スパッタリング法により成膜する。
【0295】
この場合において、処理室内の水分を除去しつつ酸化物半導体層を成膜することが好まし
い。酸化物半導体層に水素、水酸基又は水分が含まれないようにするためである。
【0296】
処理室内の水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例え
ば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ま
しい。また、排気手段としては、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素原子や、水(H
O)など水素原子を含む化合物等が排気されるため、当該成膜室で成膜した酸化物半導体
層に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0297】
酸化物半導体層を成膜する際に用いるスパッタリングガスは水素、水、水酸基又は水素化
物などの不純物が濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用いるこ
とが好ましい。
【0298】
次いで、酸化物半導体層の脱水化または脱水素化を行う。脱水化または脱水素化を行う第
1の加熱処理の温度は、400℃以上750℃以下、好ましくは400℃以上基板の歪み
点未満とする。ここでは、加熱処理装置の一つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導
体層に対して窒素雰囲気下450℃において1時間の加熱処理を行った後、大気に触れる
ことなく、酸化物半導体層への水や水素の再混入を防ぎ、酸化物半導体層332を得る(
図14(A)参照。)。
【0299】
次いで、NO、N、またはArなどのガスを用いたプラズマ処理を行う。このプラズ
マ処理によって露出している酸化物半導体層の表面に付着した吸着水などを除去する。ま
た、酸素とアルゴンの混合ガスを用いてプラズマ処理を行ってもよい。
【0300】
次いで、ゲート絶縁層322、及び酸化物半導体層332上に、酸化物絶縁層を形成した
後、第3のフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成し、選択的にエッチング
を行って酸化物絶縁層366を形成した後、レジストマスクを除去する。
【0301】
本実施の形態では、酸化物絶縁層366として膜厚200nmの酸化シリコン膜をスパッ
タリング法を用いて成膜する。成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく
、本実施の形態では100℃とする。酸化シリコン膜のスパッタリング法による成膜は、
希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または希ガス(代表的にはアル
ゴン)及び酸素雰囲気下において行うことができる。また、ターゲットとして酸化シリコ
ンターゲットまたはシリコンターゲットを用いることができる。例えば、シリコンターゲ
ットを用いて、酸素、及び窒素雰囲気下でスパッタリング法により酸化シリコン膜を形成
することができる。低抵抗化した酸化物半導体層に接して形成する酸化物絶縁層366は
、水分や、水素イオンや、OHなどの不純物を含まず、これらが外部から侵入すること
をブロックする無機絶縁膜を用い、代表的には酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸
化アルミニウム膜、または酸化窒化アルミニウム膜などを用いる。
【0302】
この場合において、処理室内の水分を除去しつつ酸化物絶縁層366を成膜することが好
ましい。酸化物半導体層332及び酸化物絶縁層366に水素、水酸基又は水分が含まれ
ないようにするためである。
【0303】
処理室内の水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例え
ば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ま
しい。また、排気手段としては、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素原子や、水(H
O)など水素原子を含む化合物等が排気されるため、当該成膜室で成膜した酸化物絶縁層
366に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0304】
酸化物絶縁層366を成膜する際に用いるスパッタリングガスは水素、水、水酸基又は水
素化物などの不純物が濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用い
ることが好ましい。
【0305】
次いで、不活性ガス雰囲気下、または酸素ガス雰囲気下で第2の加熱処理(好ましくは2
00℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下)を行ってもよい。例えば、
窒素雰囲気下で250℃、1時間の第2の加熱処理を行う。第2の加熱処理を行うと、酸
化物半導体層の一部(チャネル形成領域)が酸化物絶縁層366と接した状態で加熱され
る。
【0306】
本実施の形態は、さらに酸化物絶縁層366が設けられ一部が露出している酸化物半導体
層332を、窒素のような不活性ガス雰囲気下、又は減圧下で加熱処理を行う。酸化物絶
縁層366によって覆われていない露出された酸化物半導体層332の領域は、窒素のよ
うな不活性ガス雰囲気下、又は減圧下で加熱処理を行うと、低抵抗化することができる。
例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の加熱処理を行う。
【0307】
酸化物絶縁層366が設けられた酸化物半導体層332に対する窒素雰囲気下の加熱処理
によって、酸化物半導体層332の露出領域は低抵抗化し、抵抗の異なる領域(図14(
B)においては斜線領域及び白地領域で示す)を有する酸化物半導体層362となる。
【0308】
次いで、ゲート絶縁層322、酸化物半導体層362、及び酸化物絶縁層366上に、導
電膜を形成した後、第4のフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成し、選択
的にエッチングを行ってソース電極層365a、ドレイン電極層365bを形成した後、
レジストマスクを除去する(図14(C)参照)。
【0309】
ソース電極層365a、ドレイン電極層365bの材料としては、Al、Cr、Cu、T
a、Ti、Mo、Wからから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金、上述
した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、Al、Cuなどの金属層の一方ま
たは双方にCr、Ta、Ti、Mo、Wなどの高融点金属層を積層させた構成としても良
い。また、Si、Ti、Ta、W、Mo、Cr、Nd、Sc、YなどAl膜に生ずるヒロ
ックやウィスカーの発生を防止する元素が添加されているAl材料を用いることで耐熱性
を向上させることが可能となる。
【0310】
また、ソース電極層365a、ドレイン電極層365bは、単層構造でも、2層以上の積
層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム
膜上にチタン膜を積層する2層構造、Ti膜と、そのTi膜上に重ねてアルミニウム膜を
積層し、さらにその上にTi膜を成膜する3層構造などが挙げられる。
【0311】
また、ソース電極層365a、ドレイン電極層365bとしては導電性の金属酸化物で形
成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In)、酸化スズ(
SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム酸化スズ合金(In―SnO
、ITOと略記する)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In―ZnO)または前記
金属酸化物材料にシリコン若しくは酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0312】
以上の工程を経ることによって、成膜後の酸化物半導体層に対して脱水化または脱水素化
のための加熱処理を行って低抵抗化した後、酸化物半導体層の一部を選択的に酸素過剰な
状態とする。その結果、ゲート電極層361と重なるチャネル形成領域363は、I型と
なり、ソース電極層365aに重なる高抵抗ソース領域364aと、ドレイン電極層36
5bに重なる高抵抗ドレイン領域364bとが自己整合的に形成される。以上の工程で薄
膜トランジスタ360が形成される。
【0313】
なお、ドレイン電極層365b(及びソース電極層365a)と重畳した酸化物半導体層
において高抵抗ドレイン領域364b(又は高抵抗ソース領域364a)を形成すること
により、薄膜トランジスタの信頼性の向上を図ることができる。具体的には、高抵抗ドレ
イン領域364bを形成することで、ドレイン電極層365bから高抵抗ドレイン領域3
64b、チャネル形成領域363にかけて、導電性を段階的に変化させうるような構造と
することができる。そのため、ドレイン電極層365bに高電源電位VDDを供給する配
線に接続して動作させる場合、ゲート電極層361とドレイン電極層365bとの間に高
電界が印加されても高抵抗ドレイン領域がバッファとなり局所的な高電界が印加されず、
トランジスタの耐圧を向上させた構成とすることができる。
【0314】
ソース電極層365a、ドレイン電極層365b、酸化物絶縁層366上に保護絶縁層3
23を形成する。本実施の形態では、保護絶縁層323を、窒化シリコン膜を用いて形成
する(図14(D)参照)。
【0315】
なお、ソース電極層365a、ドレイン電極層365b、酸化物絶縁層366上にさらに
酸化物絶縁層を形成し、該酸化物絶縁層上に保護絶縁層323を積層してもよい。
【0316】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0317】
以上のように、酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタを有することで、安定な電気特
性を有し信頼性の高い大型のタッチパネルを提供することができる。
【0318】
(実施の形態8)
本実施の形態は、本明細書で開示する表示パネルに適用できる薄膜トランジスタの他の例
を示す。本実施の形態で示す薄膜トランジスタ350は、上記実施の形態における、チャ
ネル形成領域を含む酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタ(例えば、実施の形態1に
おけるトランジスタ201、205、206、301、実施の形態3、4におけるトラン
ジスタ503、540)として適用することができる。上記実施の形態と同一部分又は同
様な機能を有する部分及び工程は、上記実施の形態と同様に行うことができ、繰り返しの
説明は省略する。また同じ箇所の詳細な説明は省略する。
【0319】
本実施の形態の薄膜トランジスタ及び薄膜トランジスタの作製方法の一形態を、図15を
用いて説明する。
【0320】
また、薄膜トランジスタ350はシングルゲート構造の薄膜トランジスタを用いて説明し
たが、必要に応じて、チャネル形成領域を複数有するマルチゲート構造の薄膜トランジス
タも形成することができる。
【0321】
以下、図15(A)乃至(D)を用い、基板340上に薄膜トランジスタ350を作製す
る工程を説明する。
【0322】
まず、絶縁表面を有する基板340上に導電膜を形成した後、第1のフォトリソグラフィ
工程によりゲート電極層351を形成する。本実施の形態では、ゲート電極層351とし
て、膜厚150nmのタングステン膜を、スパッタリング法を用いて形成する。
【0323】
次いで、ゲート電極層351上にゲート絶縁層342を形成する。本実施の形態では、ゲ
ート絶縁層342としてプラズマCVD法により膜厚100nmの酸化窒化シリコン層を
形成する。
【0324】
次いで、ゲート絶縁層342に、導電膜を形成し、第2のフォトリソグラフィ工程により
導電膜上にレジストマスクを形成し、選択的にエッチングを行ってソース電極層355a
、ドレイン電極層355bを形成した後、レジストマスクを除去する(図15(A)参照
)。
【0325】
次に酸化物半導体層345を形成する(図15(B)参照)。本実施の形態では、酸化物
半導体層345としてIn−Ga−Zn−O系金属酸化物ターゲットを用いてスパッタリ
ング法により成膜する。酸化物半導体層345を第3のフォトリソグラフィ工程により島
状の酸化物半導体層に加工する。
【0326】
この場合において、処理室内の水分を除去しつつ酸化物半導体層345を成膜することが
好ましい。酸化物半導体層345に水素、水酸基又は水分が含まれないようにするためで
ある。
【0327】
処理室内の水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例え
ば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ま
しい。また、排気手段としては、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素原子や、水(H
O)など水素原子を含む化合物等が排気されるため、当該成膜室で成膜した酸化物半導体
層345に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0328】
酸化物半導体層345を成膜する際に用いるスパッタリングガスは水素、水、水酸基又は
水素化物などの不純物が濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用
いることが好ましい。
【0329】
次いで、酸化物半導体層の脱水化または脱水素化を行う。脱水化または脱水素化を行う第
1の加熱処理の温度は、400℃以上750℃以下、好ましくは400℃以上基板の歪み
点未満とする。ここでは、加熱処理装置の一つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導
体層に対して窒素雰囲気下450℃において1時間の加熱処理を行った後、大気に触れる
ことなく、酸化物半導体層への水や水素の再混入を防ぎ、酸化物半導体層346を得る(
図15(C)参照)。
【0330】
また、第1の加熱処理として、650℃乃至700℃の高温に加熱した不活性ガス中に基
板を移動させて、数分間加熱した後、基板を移動させて高温に加熱した不活性ガス中から
出すGRTAを行ってもよい。GRTAを用いると短時間での高温加熱処理が可能となる

【0331】
次いで、酸化物半導体層346に接する保護絶縁膜となる酸化物絶縁層356を形成する

【0332】
酸化物絶縁層356は、少なくとも1nm以上の膜厚とし、スパッタリング法など、酸化
物絶縁層356に水、水素等の不純物を混入させない方法を適宜用いて形成することがで
きる。酸化物絶縁層356に水素が含まれると、水素が酸化物半導体層へ侵入し、また水
素が酸化物半導体層中の酸素を引き抜くことで酸化物半導体層のバックチャネルが低抵抗
化(N型化)してしまい、寄生チャネルが形成される恐れがある。よって、酸化物絶縁層
356はできるだけ水素を含まない膜になるように、成膜方法に水素を用いないことが重
要である。
【0333】
本実施の形態では、酸化物絶縁層356として膜厚200nmの酸化シリコン膜をスパッ
タリング法を用いて成膜する。成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく
、本実施の形態では100℃とする。酸化シリコン膜のスパッタリング法による成膜は、
希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または希ガス(代表的にはアル
ゴン)及び酸素雰囲気下において行うことができる。また、ターゲットとして酸化シリコ
ンターゲットまたはシリコンターゲットを用いることができる。例えば、シリコンターゲ
ットを用いて、酸素、及び窒素雰囲気下でスパッタリング法により酸化シリコンを形成す
ることができる。低抵抗化した酸化物半導体層に接して形成する酸化物絶縁層356は、
水分や、水素イオンや、OHなどの不純物を含まず、これらが外部から侵入することを
ブロックする無機絶縁膜を用い、代表的には酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化
アルミニウム膜、または酸化窒化アルミニウム膜などを用いる。
【0334】
この場合において、処理室内の水分を除去しつつ酸化物絶縁層356を成膜することが好
ましい。酸化物半導体層352及び酸化物絶縁層356に水素、水酸基又は水分が含まれ
ないようにするためである。
【0335】
処理室内の水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例え
ば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ま
しい。また、排気手段としては、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素原子や、水(H
O)など水素原子を含む化合物等が排気されるため、当該成膜室で成膜した酸化物絶縁層
356に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0336】
酸化物絶縁層356を成膜する際に用いるスパッタリングガスは水素、水、水酸基又は水
素化物などの不純物が濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用い
ることが好ましい。
【0337】
次いで、不活性ガス雰囲気下、または酸素ガス雰囲気下で第2の加熱処理(好ましくは2
00℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下)を行う。例えば、窒素雰囲
気下で250℃、1時間の第2の加熱処理を行う。第2の加熱処理を行うと、酸化物半導
体層の一部(チャネル形成領域)が酸化物絶縁層356と接した状態で加熱される。
【0338】
以上の工程を経ることによって、成膜後の酸化物半導体層に対して脱水化または脱水素化
のための加熱処理を行って低抵抗化した後、酸化物半導体層一部を選択的に酸素過剰な状
態とする。その結果、I型の酸化物半導体層352が形成される。以上の工程で薄膜トラ
ンジスタ350が形成される。
【0339】
酸化物絶縁層356上にさらに保護絶縁層を形成してもよい。例えば、RFスパッタリン
グ法を用いて窒化シリコン膜を形成する。本実施の形態では、保護絶縁層として保護絶縁
層343を、窒化シリコン膜を用いて形成する(図15(D)参照)。
【0340】
保護絶縁層343上に平坦化のための平坦化絶縁層を設けてもよい。
【0341】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0342】
以上のように、酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタを有することで、安定な電気特
性を有し信頼性の高い大型のタッチパネルを提供することができる。
【0343】
(実施の形態9)
本実施の形態は、本明細書で開示する表示パネルに適用できる薄膜トランジスタの他の例
を示す。本実施の形態で示す薄膜トランジスタ380は、上記実施の形態における、チャ
ネル形成領域を含む酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタ(例えば、実施の形態1に
おけるトランジスタ201、205、206、301、実施の形態3、4におけるトラン
ジスタ503、540)として適用することができる。
【0344】
本実施の形態では、薄膜トランジスタの作製工程の一部が実施の形態6と異なる例を図1
6に示す。図16は、図13と工程が一部異なる点以外は同じであるため、同じ箇所には
同じ符号を用い、同じ箇所の詳細な説明は省略する。
【0345】
実施の形態6に従って、基板370上にゲート電極層381を形成し、第1のゲート絶縁
層372a、第2のゲート絶縁層372bを積層する。本実施の形態では、ゲート絶縁層
を2層構造とし、第1のゲート絶縁層372aに窒化物絶縁層を、第2のゲート絶縁層3
72bに酸化物絶縁層を用いる。
【0346】
酸化物絶縁層としては、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層、酸化アルミニウム層、酸
化窒化アルミニウム層、又は酸化ハフニウム層などを用いることができる。また、窒化絶
縁層としては、窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層、窒化アルミニウム層、又は窒化酸
化アルミニウム層などを用いることができる。
【0347】
本実施の形態では、ゲート電極層381側から窒化シリコン層と酸化シリコン層とを積層
した構造とする。第1のゲート絶縁層372aとしてスパッタリング法により膜厚50n
m以上200nm以下(本実施の形態では50nm)の窒化シリコン層(SiN(y>
0))を形成し、第1のゲート絶縁層372a上に第2のゲート絶縁層372bとして膜
厚5nm以上300nm以下(本実施の形態では100nm)の酸化シリコン層(SiO
(x>0))を積層して、膜厚150nmのゲート絶縁層とする。
【0348】
次に酸化物半導体層の形成を行い、酸化物半導体層をフォトリソグラフィ工程により島状
の酸化物半導体層に加工する。本実施の形態では、酸化物半導体層としてIn−Ga−Z
n−O系金属酸化物ターゲットを用いてスパッタリング法により成膜する。
【0349】
この場合において、処理室内の水分を除去しつつ酸化物半導体層を成膜することが好まし
い。酸化物半導体層に水素、水酸基又は水分が含まれないようにするためである。
【0350】
処理室内の水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例え
ば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ま
しい。また、排気手段としては、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素原子や、水(H
O)など水素原子を含む化合物を含む化合物等が排気されるため、当該成膜室で成膜した
酸化物半導体層に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0351】
酸化物半導体層を成膜する際に用いるスパッタリングガスは水素、水、水酸基又は水素化
物などの不純物が濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用いるこ
とが好ましい。
【0352】
次いで、酸化物半導体層の脱水化または脱水素化を行う。脱水化または脱水素化を行う第
1の加熱処理の温度は、400℃以上750℃以下、好ましくは425℃以上とする。な
お、425℃以上であれば加熱処理時間は1時間以下でよいが、425℃未満であれば加
熱処理時間は、1時間よりも長時間行うこととする。ここでは、加熱処理装置の一つであ
る電気炉に基板を導入し、酸化物半導体層に対して窒素雰囲気下において加熱処理を行っ
た後、大気に触れることなく、酸化物半導体層への水や水素の再混入を防ぎ、酸化物半導
体層を得る。その後、同じ炉に高純度の酸素ガス、高純度のNOガス、又は超乾燥エア
(露点が−40℃以下、好ましくは−60℃以下)を導入して冷却を行う。酸素ガスまた
はNOガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導
入する酸素ガスまたはNOガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは
7N(99.99999%)以上(即ち酸素ガスまたはNOガス中の不純物濃度を1p
pm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0353】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、例えば、GRTA(Gas Rapid Th
ermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal
Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用
いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノン
アークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのラ
ンプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。また、LR
TA装置、ランプだけでなく、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱輻射によっ
て、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。GRTAとは高温のガスを用いて加熱
処理を行う方法である。ガスには、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処
理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。RTA法を用いて、600℃
乃至750℃で数分間加熱処理を行ってもよい。
【0354】
また、脱水化または脱水素化を行う第1の加熱処理後に200℃以上400℃以下、好ま
しくは200℃以上300℃以下の温度で酸素ガスまたはNOガス雰囲気下での加熱処
理を行ってもよい。
【0355】
また、酸化物半導体層の第1の加熱処理は、島状の酸化物半導体層に加工する前の酸化物
半導体層に行うこともできる。その場合には、第1の加熱処理後に、加熱装置から基板を
取り出し、フォトリソグラフィ工程を行う。
【0356】
以上の工程を経ることによって酸化物半導体層全体を酸素過剰な状態とすることで、高抵
抗化、即ちI型化させる。よって、全体がI型化した酸化物半導体層382を得る。
【0357】
次いで、酸化物半導体層382上に導電膜を形成し、該導電膜上にフォトリソグラフィ工
程によりレジストマスクを形成し、該導電膜を選択的にエッチングし、ソース電極層38
5a、ドレイン電極層385bを形成する。その後、第2のゲート絶縁層372b、酸化
物半導体層382、ソース電極層385a、及びドレイン電極層385b上にスパッタリ
ング法で酸化物絶縁層386を形成する。
【0358】
この場合において、処理室内の水分を除去しつつ酸化物絶縁層386を成膜することが好
ましい。酸化物半導体層382及び酸化物絶縁層386に水素、水酸基又は水分が含まれ
ないようにするためである。
【0359】
処理室内の水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例え
ば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ま
しい。また、排気手段としては、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素原子や、水(H
O)など水素原子を含む化合物等が排気されるため、当該成膜室で成膜した酸化物絶縁層
386に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0360】
酸化物絶縁層386を成膜する際に用いるスパッタリングガスは水素、水、水酸基又は水
素化物などの不純物が濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用い
ることが好ましい。
【0361】
以上の工程で、薄膜トランジスタ380を形成することができる。
【0362】
次いで、薄膜トランジスタの電気的特性のばらつきを軽減するため、不活性ガス雰囲気下
、例えば、窒素ガス雰囲気下で加熱処理(好ましくは150℃以上350℃未満)を行っ
てもよい。例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の加熱処理を行う。
【0363】
酸化物絶縁層386上に保護絶縁層373を形成する。本実施の形態では、保護絶縁層3
73として、スパッタリング法を用いて膜厚100nmの窒化シリコン膜を形成する。
【0364】
窒化物絶縁層からなる保護絶縁層373及び第1のゲート絶縁層372aは、水分や、水
素や、水素化物、水酸化物などの不純物を含まず、これらが外部から侵入することをブロ
ックする効果がある。
【0365】
従って、保護絶縁層373形成後の製造プロセスにおいて、外部からの水分などの不純物
の侵入を防ぐことができる。また、表示パネルを含む半導体装置、例えば液晶表示装置と
してデバイスが完成した後にも長期的に、外部からの水分などの不純物の侵入を防ぐこと
ができデバイスの長期信頼性を向上することができる。
【0366】
また、窒化物絶縁層からなる保護絶縁層373と第1のゲート絶縁層372aとの間に設
けられる第2のゲート絶縁層372bの一部を除去し、保護絶縁層373と第1のゲート
絶縁層372aとが接する構造としてもよい。
【0367】
従って、酸化物半導体層中の水分や、水素や、水素化物、水酸化物などの不純物を究極に
まで低減し、かつ該不純物の再混入を防止し、酸化物半導体層中の不純物濃度を低く維持
することができる。
【0368】
保護絶縁層373上に平坦化のための平坦化絶縁層を設けてもよい。
【0369】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0370】
以上のように、酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタを有することで、安定な電気特
性を有し信頼性の高い大型の表示装置を提供することができる。
【0371】
(実施の形態10)
本実施の形態は、本明細書で開示する表示パネルに適用できる薄膜トランジスタの他の例
を示す。本実施の形態で示す薄膜トランジスタは、実施の形態1乃至9の薄膜トランジス
タに適用することができる。
【0372】
本実施の形態では、ゲート電極層、ソース電極層及びドレイン電極層に透光性を有する導
電材料を用いる例を示す。従って、他は上記実施の形態と同様に行うことができ、上記実
施の形態と同一部分又は同様な機能を有する部分、及び工程の繰り返しの説明は省略する
。また同じ箇所の詳細な説明は省略する。
【0373】
例えば、ゲート電極層、ソース電極層、ドレイン電極層の材料として、可視光に対して透
光性を有する導電材料、例えばIn−Sn−O系、In−Sn−Zn−O系、In−Al
−Zn−O系、Sn−Ga−Zn−O系、Al−Ga−Zn−O系、Sn−Al−Zn−
O系、In−Zn−O系、Sn−Zn−O系、Al−Zn−O系、In−O系、Sn−O
系、Zn−O系の金属酸化物を適用することができ、膜厚は50nm以上300nm以下
の範囲内で適宜選択する。ゲート電極層、ソース電極層、ドレイン電極層に用いる金属酸
化物の成膜方法は、スパッタリング法や真空蒸着法(電子ビーム蒸着法など)や、アーク
放電イオンプレーティング法や、スプレー法を用いる。また、スパッタリング法を用いる
場合、2重量%以上10重量%以下のSiOを含むターゲットを用いて成膜を行っても
よい。
【0374】
なお、可視光に対して透光性を有する導電膜の組成比の単位は原子%とし、電子線マイク
ロアナライザー(EPMA:Electron Probe X−ray MicroA
nalyzer)を用いた分析により評価するものとする。
【0375】
また、薄膜トランジスタが配置される画素では、画素電極層、またはその他の電極層(容
量電極層など)や、その他の配線層(容量配線層など)に可視光に対して透光性を有する
導電膜を用いると、高開口率を有する表示装置を実現することができる。勿論、画素に存
在するゲート絶縁層、酸化物絶縁層、保護絶縁層、平坦化絶縁層に可視光に対して透光性
を有する膜を用いることが好ましい。
【0376】
本明細書において、可視光に対して透光性を有する膜とは可視光の透過率が75乃至10
0%である膜厚を有する膜を指し、その膜が導電性を有する場合は透明の導電膜とも呼ぶ
。また、ゲート電極層、ソース電極層、ドレイン電極層、画素電極層、またはその他の電
極層や、その他の配線層に適用する金属酸化物として、可視光に対して半透明の導電膜を
用いてもよい。可視光に対して半透明とは可視光の透過率が50乃至75%であることを
指す。
【0377】
薄膜トランジスタに透光性を持たせると、表示領域やフォトセンサと重なって設けても光
を透過し、表示や光の検出を妨げないので、開口率を向上させることができる。また、薄
膜トランジスタの構成部材に透光性を有する膜を用いることで、広視野角を実現するため
、1画素を複数のサブピクセルに分割しても高い開口率を実現することができる。即ち、
高密度の薄膜トランジスタ群を配置しても開口率を大きくとることができ、表示領域の面
積を十分に確保することができる。例えば、一つの画素内に2乃至4個のサブピクセルを
有する場合、薄膜トランジスタが透光性を有するため、開口率を向上させることができる
。また、薄膜トランジスタの構成部材と同工程で同材料を用いて保持容量を形成すると、
保持容量も透光性とすることができるため、さらに開口率を向上させることができる。
【0378】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0379】
(実施の形態11)
本実施の形態は、本明細書で開示する表示パネルに適用できる薄膜トランジスタの例を示
す。本実施の形態で示す薄膜トランジスタ650は、上記実施の形態における、チャネル
形成領域を含む酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタ(例えば、実施の形態1におけ
るトランジスタ201、205、206、301、実施の形態3、4におけるトランジス
タ503、540)として適用することができる。
【0380】
本実施の形態では、断面から見て酸化物半導体層を窒化物絶縁層で囲む例を図17に示す
。図17は、酸化物絶縁層の上面形状及び端部の位置が図12と異なる点、ゲート絶縁層
の構成が異なる点以外は同じであるため、同じ箇所には同じ符号を用い、同じ箇所の詳細
な説明は省略する。
【0381】
図17に示す薄膜トランジスタ650はボトムゲート型の薄膜トランジスタであり、絶縁
表面を有する基板394上に、ゲート電極層391、窒化物絶縁層を用いたゲート絶縁層
652a、酸化物絶縁層を用いたゲート絶縁層652b、酸化物半導体層392、ソース
電極層395a、及びドレイン電極層395bを含む。また、薄膜トランジスタ650を
覆い、酸化物半導体層392に積層される酸化物絶縁層656が設けられている。酸化物
絶縁層656上にはさらに窒化物絶縁層を用いた保護絶縁層653が形成されている。保
護絶縁層653は窒化物絶縁層であるゲート絶縁層652aと接する構成とする。
【0382】
本実施の形態では、薄膜トランジスタ650においてゲート絶縁層はゲート電極層側から
窒化物絶縁層と酸化物絶縁層との積層構造とする。また、窒化物絶縁層である保護絶縁層
653の形成前に、酸化物絶縁層656と、ゲート絶縁層652bを選択的に除去し、窒
化物絶縁層であるゲート絶縁層652aが露出するように加工する。
【0383】
少なくとも酸化物絶縁層656、ゲート絶縁層652bの上面は、酸化物半導体層392
の上面よりも広く、薄膜トランジスタ650を覆う上面形状とすることが好ましい。
【0384】
さらに酸化物絶縁層656の上面と、酸化物絶縁層656及びゲート絶縁層652bの側
面とを覆い、かつ窒化物絶縁層であるゲート絶縁層652aに接して、窒化物絶縁層であ
る保護絶縁層653を形成する。
【0385】
窒化物絶縁層からなる保護絶縁層653及びゲート絶縁層652aは、スパッタリング法
やプラズマCVD法で得られる窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化アルミニウム
膜、酸化窒化アルミニウム膜などの水分、水素イオン、OHなどの不純物を含まず、こ
れらが外部から侵入することをブロックする無機絶縁膜を用いる。
【0386】
本実施の形態では、窒化物絶縁層からなる保護絶縁層653として、酸化物半導体層39
2の下面、上面、及び側面を囲むようにRFスパッタリング法を用い、膜厚100nmの
窒化シリコン層を設ける。
【0387】
図17に示す構造とすることで、酸化物半導体層は、接して囲う様に設けられるゲート絶
縁層652b及び酸化物絶縁層656によって、水素、水分、水酸基又は水素化物などの
不純物は低減され、かつ窒化物絶縁層であるゲート絶縁層652a及び保護絶縁層653
によってさらに外部を覆うように囲まれているので、保護絶縁層653の形成後の製造プ
ロセスにおいて、外部からの水分の侵入を防ぐことができる。また、表示パネル、例えば
表示装置としてデバイスが完成した後にも長期的に、外部からの水分の侵入を防ぐことが
できデバイスの長期信頼性を向上することができる。
【0388】
また、本実施の形態では一つの薄膜トランジスタを窒化物絶縁層で囲む構成を示したが特
に限定されず、複数の薄膜トランジスタを窒化物絶縁層で囲む構成としてもよいし、画素
部の複数の薄膜トランジスタをまとめて窒化物絶縁層で囲む構成としてもよい。少なくと
もアクティブマトリクス基板の画素部の周縁を囲むように保護絶縁層653とゲート絶縁
層652aとが接する領域を設ける構成とすればよい。
【0389】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例1】
【0390】
本実施例では、本発明の表示パネルにおける、パネルと光源の配置について説明する。図
8は、本発明の表示パネルの構造を示す斜視図の一例である。図8に示す表示パネルは、
一対の基板間に液晶素子、フォトダイオード、薄膜トランジスタなどを含む画素が形成さ
れたパネル1601と、第1の拡散板1602と、プリズムシート1603と、第2の拡
散板1604と、導光板1605と、反射板1606と、複数の光源1607を有するバ
ックライト1608と、回路基板1609とを有している。
【0391】
パネル1601と、第1の拡散板1602と、プリズムシート1603と、第2の拡散板
1604と、導光板1605と、反射板1606とは、順に積層されている。光源160
7は導光板1605の端部に設けられており、導光板1605内部に拡散された光源16
07からの光は、第1の拡散板1602、プリズムシート1603及び第2の拡散板16
04によって、対向基板側から均一にパネル1601に照射される。
【0392】
なお、本実施例では、第1の拡散板1602と第2の拡散板1604とを用いているが、
拡散板の数はこれに限定されず、単数であっても3以上であっても良い。そして、拡散板
は導光板1605とパネル1601の間に設けられていれば良い。よって、プリズムシー
ト1603とパネル1601の間のみに拡散板が設けられていても良いし、プリズムシー
ト1603と導光板1605の間のみに拡散板が設けられていても良い。
【0393】
またプリズムシート1603は、図8に示した断面が鋸歯状の形状に限定されず、導光板
1605からの光をパネル1601側に集光できる形状を有していれば良い。
【0394】
回路基板1609には、パネル1601に入力される各種信号を生成もしくは処理する回
路、パネル1601から出力される各種信号を処理する回路などが設けられている。そし
て図8では、回路基板1609とパネル1601とが、FPC(Flexible Pr
inted Circuit)1611を介して接続されている。なお、上記回路は、C
OG(Chip On Glass)法を用いてパネル1601に接続されていても良い
し、上記回路の一部がFPC1611にCOF(Chip On Film)法を用いて
接続されていても良い。
【0395】
図8では、光源1607の駆動を制御する、制御系の回路が回路基板1609に設けられ
ており、該制御系の回路と光源1607とがFPC1610を介して接続されている例を
示している。ただし、上記制御系の回路はパネル1601に形成されていても良く、この
場合はパネル1601と光源1607とがFPCなどにより接続されるようにする。
【0396】
なお、図8は、パネル1601の端に光源1607を配置するエッジライト型の光源を例
示しているが、本発明の表示パネルは光源1607がパネル1601の直下に配置される
直下型であっても良い。
【0397】
例えば、被検出物である指1612をTFT基板側からパネル1601に近づけると、バ
ックライト1608からの光が、パネル1601を通過し、その一部が指1612におい
て反射し、再びパネル1601に入射する。画素104のフォトセンサ106を用いて被
検出物である指1612の撮像データを得ることが出来る。
【0398】
本実施例は、他の実施の形態又は実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例2】
【0399】
本発明の一態様に係る表示パネルは、非接触で被検出物の動きを検出することで、データ
入力を行うことができるという特徴を有している。よって、本発明の一態様に係る表示パ
ネルを用いた電子機器は、表示パネルをその構成要素に追加することにより、より高機能
のアプリケーションを搭載することができるようになる。本発明の表示パネルは、表示装
置、ノート型パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDV
D:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を
表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態
様に係る表示パネルを用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム機、
携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレ
イ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオー
ディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリ
ンター複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これ
ら電子機器の具体例を図9に示す。
【0400】
図9(A)は表示装置であり、筐体5001、表示部5002、支持台5003等を有す
る。本発明の一態様に係る表示パネルは、表示部5002に用いることができる。表示部
5002に本発明の一態様に係る表示パネルを用いることで、高分解能である撮像データ
の取得を行うことができ、より高機能のアプリケーションが搭載された表示装置を提供す
ることができる。なお、表示装置には、パーソナルコンピュータ用、TV放送受信用、広
告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0401】
図9(B)は携帯情報端末であり、筐体5101、表示部5102、スイッチ5103、
操作キー5104、赤外線ポート5105等を有する。本発明の一態様に係る表示パネル
は、表示部5102に用いることができる。表示部5102に本発明の一態様に係る表示
パネルを用いることで、高分解能である撮像データの取得を行うことができ、より高機能
のアプリケーションが搭載された携帯情報端末を提供することができる。
【0402】
図9(C)は現金自動預け入れ払い機であり、筐体5201、表示部5202、硬貨投入
口5203、紙幣投入口5204、カード投入口5205、通帳投入口5206等を有す
る。本実施例に係る表示パネルは、表示部5202に用いることができる。表示部520
2に本発明の一態様に係る表示パネルを用いることで、高分解能である撮像データの取得
を行うことができ、より高機能のアプリケーションが搭載された現金自動預け入れ払い機
を提供することができる。そして、本発明の一態様に係る表示パネルを用いた現金自動預
け入れ払い機は、指紋、顔、手形、掌紋及び手の静脈の形状、虹彩等の、生体認証に用い
られる生体情報の読み取りを、より高精度で行うことが出来る。よって、生体認証におけ
る、本人であるにもかかわらず本人ではないと誤認識してしまう本人拒否率と、他人であ
るにもかかわらず本人と誤認識してしまう他人受入率とを、低く抑えることができる。
【0403】
図9(D)は携帯型ゲーム機であり、筐体5301、筐体5302、表示部5303、表
示部5304、マイクロホン5305、スピーカー5306、操作キー5307、スタイ
ラス5308等を有する。本発明の一態様に係る表示パネルは、表示部5303または表
示部5304に用いることができる。表示部5303または表示部5304に本発明の一
態様に係る表示パネルを用いることで、高分解能である撮像データの取得を行うことがで
き、より高機能のアプリケーションが搭載された携帯型ゲーム機を提供することができる
。なお、図9(D)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部5303と表示部5304
とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
【0404】
本実施例は、他の実施の形態又は実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0405】
100 表示パネル
101 画素回路
102 表示素子制御回路
103 フォトセンサ制御回路
104 画素
105 表示素子
106 フォトセンサ
107 表示素子駆動回路
108 表示素子駆動回路
109 回路
110 フォトセンサ駆動回路
201 トランジスタ
202 保持容量
203 液晶素子
204 フォトダイオード
205 トランジスタ
206 トランジスタ
207 ゲート信号線
208 フォトダイオードリセット信号線
209 ゲート信号線
210 ビデオデータ信号線
211 フォトセンサ出力信号線
212 フォトセンサ基準信号線
213 ゲート信号線
300 回路
301 トランジスタ
302 保持容量
303 プリチャージ信号線
305 基板
306 保護絶縁層
307 ゲート絶縁層
310 薄膜トランジスタ
311 ゲート電極層
313 チャネル形成領域
314a 高抵抗ソース領域
314b 高抵抗ドレイン領域
315a ソース電極層
315b ドレイン電極層
316 酸化物絶縁層
320 基板
322 ゲート絶縁層
323 保護絶縁層
330 酸化物半導体層
331 酸化物半導体層
332 酸化物半導体層
340 基板
342 ゲート絶縁層
343 保護絶縁層
345 酸化物半導体層
346 酸化物半導体層
350 薄膜トランジスタ
351 ゲート電極層
352 酸化物半導体層
355a ソース電極層
355b ドレイン電極層
356 酸化物絶縁層
360 薄膜トランジスタ
361 ゲート電極層
362 酸化物半導体層
363 チャネル形成領域
364a 高抵抗ソース領域
364b 高抵抗ドレイン領域
365a ソース電極層
365b ドレイン電極層
366 酸化物絶縁層
370 基板
372a ゲート絶縁層
372b ゲート絶縁層
373 保護絶縁層
380 薄膜トランジスタ
381 ゲート電極層
382 酸化物半導体層
385a ソース電極層
385b ドレイン電極層
386 酸化物絶縁層
390 薄膜トランジスタ
391 ゲート電極層
392 酸化物半導体層
393 酸化物半導体層
394 基板
395a ソース電極層
395b ドレイン電極層
396 酸化物絶縁層
397 ゲート絶縁層
398 保護絶縁層
399 酸化物半導体層
401 信号
402 信号
403 信号
404 信号
405 信号



501 基板
502 フォトダイオード
503 トランジスタ
505 液晶素子
506a 半導体層
506b 半導体層
506c 半導体層
507 画素電極
508 液晶
509 対向電極
510 導電膜
511 配向膜
512 配向膜
513 基板
514 カラーフィルタ
515 遮蔽膜
516 スペーサー
517 偏光板
518 偏光板
520 矢印
521 被検出物
522 矢印
531 酸化物絶縁層
532 保護絶縁層
533 層間絶縁層
534 層間絶縁層
540 トランジスタ
541 電極層
542 電極層
543 導電層
545 ゲート電極層
590 表示パネルシステム
591 制御回路
592 画像処理回路
593 記憶装置
650 薄膜トランジスタ
652a ゲート絶縁層
652b ゲート絶縁層
653 保護絶縁層
656 酸化物絶縁層
1601 パネル
1602 拡散板
1603 プリズムシート
1604 拡散板
1605 導光板
1606 反射板
1607 光源
1608 バックライト
1609 回路基板
1610 FPC
1611 FPC
1612 指
2001 領域
2002 領域
2003 領域
2004 領域
2005 画素
2006 画素
5001 筐体
5002 表示部
5003 支持台
5101 筐体
5102 表示部
5103 スイッチ
5104 操作キー
5105 赤外線ポート
5201 筐体
5202 表示部
5203 硬貨投入口
5204 紙幣投入口
5205 カード投入口
5206 通帳投入口
5301 筐体
5302 筐体
5303 表示部
5304 表示部
5305 マイクロホン
5306 スピーカー
5307 操作キー
5308 スタイラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の画素と複数の第2の画素とを有する表示パネルと、
前記表示パネルに接続された画像処理部と、を有する表示装置であって、
前記第1の画素は、第1のフォトセンサと、酸化物半導体層を有する第1のトランジスタと、を有し、
前記第2の画素は、第2のフォトセンサと、酸化物半導体層を有する第2のトランジスタと、を有し、
前記第1のフォトセンサは、表示パネルに投影された被検出物の影を検知し、
前記第2のフォトセンサは、表示パネルに接触した前記被検出物の存在を検知し、
前記第1のフォトセンサは赤外光を検知し、
前記第2のフォトセンサは可視光を検知することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−33275(P2013−33275A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−228719(P2012−228719)
【出願日】平成24年10月16日(2012.10.16)
【分割の表示】特願2010−247038(P2010−247038)の分割
【原出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】