装置
【課題】ボイドが存在しても高い信頼性を確保可能な配線構造を提案する。
【解決手段】実施形態に係わる装置は、第1の溝10を有する絶縁層13と、第1の溝10内に形成され、上部に凹部16を有する銅を含む第1の配線層15と、第1の配線層15の凹部16の内面上に形成され、少なくとも1つのグラフェンシートから構成されるグラフェン層17とを備える。
【解決手段】実施形態に係わる装置は、第1の溝10を有する絶縁層13と、第1の溝10内に形成され、上部に凹部16を有する銅を含む第1の配線層15と、第1の配線層15の凹部16の内面上に形成され、少なくとも1つのグラフェンシートから構成されるグラフェン層17とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置の配線構造の一つとしてダマシン配線構造(damascene wiring structure)が知られている。この構造の問題点は、微細化により配線中にボイド(void)が発生することにある。ボイドが形成された部分では、配線が薄くなるため、それが、配線抵抗の上昇、ストレスマイグレーション及びエレクトロマイグレーションによる信頼性の低下、ジュール熱の発生による断線などの問題を引き起こし、配線の信頼性を低下させる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Byung Jin Kang et al; Monolayer graphene growth on sputtered thin film platinum, J.Appl.Phys.106, 104309(2009).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、ボイドが存在しても高い信頼性を確保可能な配線構造を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、装置は、第1の溝を有する絶縁層と、前記第1の溝内に形成され、上部に凹部を有する銅を含む第1の配線層と、前記第1の配線層の前記凹部の内面上に形成される少なくとも1つのグラフェンシートとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態の装置を示す斜視図。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図。
【図4】グラフェン層の構造を示す図。
【図5】銅ダマシン配線層の凹部上のコンタクトプラグを示す図。
【図6】第2の実施形態の装置を示す斜視図。
【図7】図6のVII−VII線に沿う断面図。
【図8】図6のVIII−VIII線に沿う断面図。
【図9】第2の実施形態の装置を示す斜視図。
【図10】図9のX−X線に沿う断面図。
【図11】図9のXI−XI線に沿う断面図。
【図12】コンタクトプラグとグラフェン層との接触状態を示す図。
【図13】第3の実施形態の装置を示す斜視図。
【図14】図13のXIV−XIV線に沿う断面図。
【図15】図13のXV−XV線に沿う断面図。
【図16】第4の実施形態の装置を示す断面図。
【図17】第5の実施形態の装置を示す断面図。
【図18】第5の実施形態の装置を示す断面図。
【図19】第5の実施形態の装置を示す断面図。
【図20】製造方法の例を示す断面図。
【図21】製造方法の例を示す断面図。
【図22】製造方法の例を示す断面図。
【図23】製造方法の例を示す断面図。
【図24】製造方法の例を示す断面図。
【図25】製造方法の例を示す断面図。
【図26】製造方法の例を示す断面図。
【図27】製造方法の例を示す断面図。
【図28】NANDフラッシュメモリへの適用例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。
【0008】
実施形態に係わる装置は、ボイドを有する配線構造。そのような配線構造としては、ダマシン配線構造がある。ダマシン配線構造では、配線溝に導電材料を埋め込んで配線層を形成するため、微細化により配線溝の幅が狭くなると、配線溝の間口で導電材料がピンチオフ(Pinch-off)し、ボイドが形成される。
【0009】
そこで、実施形態では、ボイドの内面を、安定かつ低抵抗なグラフェン(Graphene)層で被覆し、ボイドが形成された部分の電子伝導をグラフェン層によって担うことにより、ボイドに起因する配線抵抗の上昇、ストレスマイグレーション及びエレクトロマイグレーションによる信頼性の低下、ジュール熱の発生による断線などの問題を解消し、高い信頼性を確保する。
【0010】
また、グラフェン層は、所定の触媒上に形成される。実施形態では、この触媒として銅(Cu)又は銅合金を使用可能である点を提案する。銅又は銅合金は、上述のダマシン配線構造の材料として使用されるため、銅/銅合金とグラフェン層とからなる複合配線を形成するには好ましい。
【0011】
さらに、グラフェン層は、触媒上に形成される1つ又はそれ以上のグラフェンシートから構成される。グラフェンシートとは、量子化伝導(Ballistic伝導)を担う基本単位のことであり、1つのグラフェンシート内では非常に低抵抗であるという特徴を有する。
【0012】
以下の実施形態において、グラフェン層と言ったときは、1つ又はそれ以上のグラフェンシートを備えているものとする。
【0013】
図1は、第1の実施形態に係わる装置を示している。図2は、図1のII−II線に沿う断面図、図3は、図1のIII−III線に沿う断面図である。
【0014】
図2は、ダマシン配線構造内のボイドが形成される領域を示し、図3は、ダマシン配線構造内の正常な領域(ボイドが形成されない領域)を示している。このように、1つの配線内において、ボイドが形成される領域とボイドが形成されない領域が発生するのは、配線が細くかつ長くなることにより、配線幅のゆらぎが発生するためである。即ち、配線幅の狭い領域では、ボイドが発生し易くなる。また、配線の端部では、先細りが発生するため、配線の端部においてもボイドが発生し易い。
【0015】
ここで、本実施の形態を含めた以下の全ての説明において、このようなボイドを含む穴のことを凹部と称することにする。これは、以下の全ての実施形態が、ボイドの他、ウィスカー(whisker)状の溝などにも適用可能であるためである。
【0016】
半導体基板上に形成されるトランジスタやキャパシタなどの半導体素子は、絶縁層(例えば、酸化シリコンなど)11により覆われる。絶縁層11上には、エッチングストッパとしての絶縁層(例えば、窒化シリコン)12が形成される。
【0017】
絶縁層12上には、配線溝10を有する絶縁層13が形成される。配線溝10内には、その内面上を覆うバリアメタル層14が形成され、バリアメタル層14上には、上部に凹部16を有する銅又は銅合金からなる配線層(以下、銅ダマシン配線層)15が形成される。
【0018】
バリアメタル層14は、銅ダマシン配線層15を構成する元素の拡散を防止する機能を有する材料、例えば、Ta、Tiなどから構成される。
【0019】
銅ダマシン配線層15は、配線溝10の幅が狭くなることによりそれを完全に配線溝10内に埋め込むことが難しくなってきている。例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性半導体メモリでは、配線溝10の幅は、10nm又はそれよりも小さくなることもある。
【0020】
銅ダマシン配線層15は、例えば、まず、スパッタ法により銅シード(Cu-seed)層を配線溝10内に堆積し、この銅シード層を銅メッキ液に浸し、銅シード層上に銅メッキを施すことにより形成される。しかし、配線溝10の幅が狭くなることにより、銅シード層を形成するスパッタリングにおいて、銅シード層が配線溝10の間口を塞いでしまったり、その間口が非常に小さくなったりする。
【0021】
この場合、銅メッキ液は、その閉じたボイド内に十分に入ることができないため、ボイド内に銅メッキ層を十分な厚さで形成することができない。結果として、この後、例えば、CMP(chemical mechanical etching)により、銅シード層及び銅メッキ層からなる銅ダマシン配線層15を配線溝10内に形成すると、銅ダマシン配線層15の上部には、凹部16が形成されることになる。
【0022】
そこで、本実施形態では、銅ダマシン配線層15の凹部16の内面上に、安定かつ低抵抗なグラフェン層17を被覆する。即ち、凹部16が形成された部分の電子伝導をグラフェン層17によって担うことにより、凹部16に起因する配線抵抗の上昇、ストレスマイグレーション及びエレクトロマイグレーションによる信頼性の低下、ジュール熱の発生による断線などの問題を解消し、高い信頼性を確保する。
【0023】
また、グラフェン層17は、銅ダマシン配線層15を触媒として成長させることが可能である。従って、銅又は銅合金からなる銅ダマシン配線層15とグラフェン層17とからなる複合配線を容易に形成することができる。
【0024】
ここで、グラフェン層17は、図4に示すように、1つ又はそれ以上のグラフェンシート17−1,17−2,…17−nから構成される。グラフェンシート17−1,17−2,…17−nは、既に述べたように、量子化伝導(電子伝導)を担う基本単位となり、非常に薄く(0.34nm程度)、かつ、低抵抗である。即ち、本実施形態では、グラフェン層17は、少なくとも1つのグラフェンシートから構成されていればよい。
【0025】
グラフェン層17は、銅ダマシン配線層15を触媒として成長するため、凹部16以外の銅ダマシン配線層15上にも形成される。グラフェン層17を構成する少なくとも1つのグラフェンシートは、凹部16内の銅ダマシン配線層15上から凹部16外の銅ダマシン配線層15まで連続している。
【0026】
コンタクトプラグ18は、半導体基板上に形成されるトランジスタやキャパシタなどの半導体素子と銅ダマシン配線層15とを接続する。
【0027】
第1の実施形態によれば、銅ダマシン配線層15の凹部16の内面を被服するグラフェン層17を形成することにより、凹部16における配線抵抗の上昇を抑制することができる。また、グラフェン層17が電子伝導パスとなることにより、凹部16での電流密度の上昇を低減でき、エレクトロマイグレーションの抑制と、ジュール熱による断線不良の防止とを実現できる。さらに、グラフェン層17は、それ自体の電流密度耐性が非常に高いため、グラフェン層17を、凹部16内から凹部16外へ延びる連続した配線層(電子伝導経路)として利用することにより、更なる電流密度耐性の向上が可能である。
【0028】
また、銅又は銅合金は、応力変形し易く、特に、銅ダマシン配線層15の凹部16において、銅ダマシン配線層15のストレスマイグレーション耐性が低下する。本実施形態によれば、凹部16の内面を、高い弾性率を持ち、安定した構造を有するグラフェン層で被覆するので、凹部16におけるストレスマイグレーション不良を防止できる。
【0029】
グラフェン層17は、凹部16以外の銅ダマシン配線層15上にも形成される。グラフェン層17は、凹部16内から凹部16外へ連続して延びるため、グラフェン層17を、銅ダマシン配線層15と同様に、配線層(電子伝導経路)として利用することにより、銅ダマシン配線層15よりも配線抵抗を低減することができる。
【0030】
凹部16以外において、銅ダマシン配線層15上にグラフェン層17が形成されることは、銅ダマシン配線層15の上面(銅ダマシン配線層と絶縁層との界面)において生じるエレクトロマイグレーションを防止するのに効果的である。グラフェン層17は、耐熱性及び機械的強度が非常に高く、安定な材料であるからである。
【0031】
また、グラフェン層17は、銅ダマシン配線層15の上面及び凹部16の内面の全体を覆うため、銅ダマシン配線層15の酸化を防止する保護層としても機能する。
【0032】
図5は、銅ダマシン配線層とこれに接続されるコンタクトプラグを示している。
【0033】
図1乃至図3の装置において、凹部16上にコンタクトプラグ22が接続されるとき、二つの問題が発生する。
【0034】
一つは、同図(a)左側に示すように、凹部16上にエッチングストッパとしての絶縁層19及び層間絶縁層20を形成し、これらにコンタクトホール21を形成するときに、凹部16の底面に存在するグラフェン層17が除去されてしまう、という問題である。
【0035】
これは、絶縁層19及び層間絶縁層20を形成するときに、凹部16が空洞(cavity)として残ってしまうことに起因し、コンタクトホール21を形成するためのエッチング(RIE)において、この空洞を介してグラフェン層17が除去される。この場合、銅ダマシン配線層15の凹部16の内面を覆うグラフェン層17が少なくなることから、上述の第1の実施形態による効果が十分に得られなくなる可能性もある。
【0036】
もう一つは、同図(a)右側に示すように、仮にこのエッチングによりグラフェン層17が除去されなかったとしても、コンタクトホール21の底部には、銅ダマシン配線層15の凹部(空洞)16が残っているため、この後、コンタクトプラグ22を形成すると、新たな空洞(cavity)23が形成される、という問題である。
【0037】
この空洞23は、コンタクトプラグ22の埋め込み不良の原因となり、銅ダマシン配線層15とコンタクトプラグ22との間のコンタクト抵抗の増加や、両者の断線不良などを引き起こす可能性がある。
【0038】
そこで、第2の実施形態では、同図(b)に示すように、銅ダマシン配線層15上にこれに接続されるコンタクトプラグ22が形成されるときは、銅ダマシン配線層15の凹部を、絶縁層24により満たす構造を提案する。
【0039】
凹部を絶縁層24により埋め込んでしまえば、グラフェン層17は、この絶縁層24により保護されるため、コンタクトホールを形成するときのエッチングにおいてグラフェン層17が除去されることはない。また、コンタクトホール21の底部には、銅ダマシン配線層15の凹部(空洞)が存在しないため、この後、コンタクトプラグ22を形成するときに、新たな空洞(cavity)が形成されることもない。
【0040】
このため、コンタクトプラグ22の埋め込み不良が発生することがなく、銅ダマシン配線層15とコンタクトプラグ22との間のコンタクト抵抗の増加や、両者の断線不良などの問題は発生しない。
【0041】
但し、この場合、コンタクトプラグ22は、グラフェン層17を構成する少なくとも1つのグラフェンシートのシート面内方向の端部に接触していることが必要である。なぜなら、グラフェンシートのシート面内方向の端部は、量子化伝導(電子伝導)の起点又は終点となるからである。
【0042】
コンタクトプラグ22をグラフェン層17に必ず接触させるためには、例えば、コンタクトプラグ22の下端の幅W1を、配線溝の上端の幅W2と同じ又はそれよりも大きくすればよい。また、コンタクトプラグ22の下端の幅W1が配線溝の上端の幅W2よりも小さいときであっても、コンタクトプラグ22がグラフェン層17に接触していれば、本実施形態の効果を得ることができる。
【0043】
また、コンタクトプラグ22がグラフェン層17に接触していれば、コンタクトプラグ22は、それ以外、例えば、バリアメタル層14、銅ダマシン配線層15、絶縁層24などに同時に接触していてもよい。
【0044】
尚、絶縁層24は、銅ダマシン配線層15の凹部を満たすことができる埋め込み性の良い材料であれば、エッチングストッパとしての絶縁層19と兼用してもよい。この場合、エッチングストッパとしての絶縁層19が、絶縁層24として銅ダマシン配線層の凹部内に満たされる。
【0045】
また、絶縁層24を構成する材料は、層間絶縁層20を構成する材料と同じであっても、異なっていてもよい。例えば、絶縁層24は、SiN、SiCN、SiONなどから構成でき、層間絶縁層20は、TEOSなどから構成できる。
【0046】
図6は、第2の実施形態に係わる装置を示している。図7は、図6のVII−VII線に沿う断面図、図8は、図6のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【0047】
図7は、ダマシン配線構造内のボイドが形成される領域を示し、図8は、ダマシン配線構造内の正常な領域(ボイドが形成されない領域)を示している。
【0048】
半導体基板上に形成されるトランジスタやキャパシタなどの半導体素子は、絶縁層(例えば、酸化シリコンなど)11により覆われる。絶縁層11上には、エッチングストッパとしての絶縁層(例えば、窒化シリコン)12が形成される。
【0049】
絶縁層12上には、配線溝10を有する絶縁層13が形成される。配線溝10内には、その内面上を覆うバリアメタル層14が形成され、バリアメタル層14上には、上部に凹部16を有する銅又は銅合金からなる配線層(以下、銅ダマシン配線層)15が形成される。
【0050】
バリアメタル層14は、銅ダマシン配線層15を構成する元素の拡散を防止する機能を有する材料、例えば、Ta、Tiなどから構成される。また、銅ダマシン配線層15は、その上部に凹部16を有する。
【0051】
そこで、本実施形態では、銅ダマシン配線層15の凹部16の内面上に、安定かつ低抵抗なグラフェン層17を被覆する。即ち、凹部16が形成された部分の電子伝導をグラフェン層17によって担うことにより、凹部16に起因する配線抵抗の上昇、ストレスマイグレーション及びエレクトロマイグレーションによる信頼性の低下、ジュール熱の発生による断線などの問題を解消し、高い信頼性を確保する。
【0052】
また、グラフェン層17は、銅ダマシン配線層15の凹部16を満たしていないため、グラフェン層17上に、凹部16を満たす絶縁層19を形成する。本実施形態では、絶縁層19は、エッチングストッパとしての機能も有する。
【0053】
グラフェン層17は、銅ダマシン配線層15を触媒として成長するため、凹部16以外の銅ダマシン配線層15上にも形成される。グラフェン層17を構成する少なくとも1つのグラフェンシートは、凹部16内の銅ダマシン配線層15上から凹部16外の銅ダマシン配線層15まで連続している。
【0054】
コンタクトプラグ18は、半導体基板上に形成されるトランジスタやキャパシタなどの半導体素子と銅ダマシン配線層15とを接続する。
【0055】
図9は、図6の装置にコンタクトプラグを追加した構造を示している。図10は、図9のX−X線に沿う断面図、図11は、図9のXI−XI線に沿う断面図である。
【0056】
図10は、図7に対応し、ダマシン配線構造内のボイドが形成される領域を示している。また、図11は、図8に対応し、ダマシン配線構造内の正常な領域(ボイドが形成されない領域)を示している。
【0057】
凹部を埋め込む絶縁層19上には、層間絶縁層20が形成される。層間絶縁層20及び絶縁層19には、コンタクトホール21が形成され、コンタクトホール21内にコンタクトプラグ22が形成される。
【0058】
ここで、重要な点は、コンタクトプラグ22は、グラフェン層17を構成する少なくとも1つのグラフェンシートのシート面内方向の端部に接触していることにある。
【0059】
例えば、銅ダマシン配線層15の凹部上においては、図10から明らかなように、コンタクトプラグ22は、凹部内のグラフェン層17を構成する少なくとも1つのグラフェンシートのシート面内方向の端部に接触する。
【0060】
図10の領域Aを詳細に示すと、図12に示すようになる。グラフェン層17は、例えば、1〜10層程度のグラフェンシートから構成され、コンタクトプラグ22は、グラフェンシートのシート面内方向の端部に接触する。
【0061】
また、凹部以外の銅ダマシン配線層15上においては、図11から明らかなように、コンタクトプラグ22は、銅ダマシン配線層15上のグラフェン層17を構成する少なくとも1つのグラフェンシートのシート面内方向の端部に接触する。
【0062】
図11の領域Bを詳細に示すと、図12に示すようになる。グラフェン層17を貫通するようにコンタクトホールを形成することにより、コンタクトプラグ22は、グラフェンシートのシート面内方向の端部に接触する。
【0063】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態による効果に加え、以下の効果を得ることができる。
【0064】
銅ダマシン配線層15の凹部は、絶縁層19により埋め込まれている。このため、グラフェン層17は、絶縁層19により保護されるため、コンタクトホールを形成するときのエッチングにおいてグラフェン層17が除去されることはない。
【0065】
また、コンタクトホール21の底部には、銅ダマシン配線層15の凹部(空洞)が存在しないため、この後、コンタクトプラグ22を形成するときに、新たな空洞(cavity)が形成されることもない。
【0066】
従って、コンタクトプラグ22の埋め込み不良が発生することがなく、銅ダマシン配線層15とコンタクトプラグ22との間のコンタクト抵抗の増加や、両者の断線不良などの問題も発生しない。
【0067】
図13は、第3の実施形態に係わる装置を示している。図14は、図13のXIV−XIV線に沿う断面図、図15は、図13のXV−XV線に沿う断面図である。
【0068】
図14は、ダマシン配線構造内のボイドが形成される領域を示し、図15は、ダマシン配線構造内の正常な領域(ボイドが形成されない領域)を示している。
【0069】
第2の実施形態では、グラフェン層17により銅ダマシン配線層15の凹部が完全に満たされないため、グラフェン層17上に、銅ダマシン配線層15の凹部を完全に満たす埋め込み性の良好な絶縁層19,24を形成した。これに対し、本実施形態は、グラフェン層17により銅ダマシン配線層15の凹部を完全に満たし、第2の実施形態と同じ効果を得る構造について提案する。
【0070】
半導体基板上に形成されるトランジスタやキャパシタなどの半導体素子は、絶縁層(例えば、酸化シリコンなど)11により覆われる。絶縁層11上には、エッチングストッパとしての絶縁層(例えば、窒化シリコン)12が形成される。
【0071】
絶縁層12上には、配線溝10を有する絶縁層13が形成される。配線溝10内には、その内面上を覆うバリアメタル層14が形成され、バリアメタル層14上には、上部に凹部16を有する銅又は銅合金からなる配線層(以下、銅ダマシン配線層)15が形成される。
【0072】
バリアメタル層14は、銅ダマシン配線層15を構成する元素の拡散を防止する機能を有する材料、例えば、Ta、Tiなどから構成される。また、銅ダマシン配線層15は、その上部に凹部16を有する。
【0073】
そこで、本実施形態では、銅ダマシン配線層15の凹部16の内面上に、安定かつ低抵抗なグラフェン層17を被覆する。即ち、凹部16が形成された部分の電子伝導をグラフェン層17によって担うことにより、凹部16に起因する配線抵抗の上昇、ストレスマイグレーション及びエレクトロマイグレーションによる信頼性の低下、ジュール熱の発生による断線などの問題を解消し、高い信頼性を確保する。
【0074】
また、グラフェン層17は、銅ダマシン配線層15の凹部16を完全に満たしているため、銅ダマシン配線層15上にコンタクトホールを形成するときのエッチングにおいて凹部16内のグラフェン層17が除去されることはない。また、銅ダマシン配線層15の凹部(空洞)が存在しないため、この後、コンタクトプラグを形成するときに、新たな空洞(cavity)が形成されることもない。
【0075】
グラフェン層17は、銅ダマシン配線層15を触媒として成長するため、凹部16以外の銅ダマシン配線層15上にも形成される。グラフェン層17を構成する少なくとも1つのグラフェンシートは、凹部16内の銅ダマシン配線層15上から凹部16外の銅ダマシン配線層15まで連続している。
【0076】
コンタクトプラグ18は、半導体基板上に形成されるトランジスタやキャパシタなどの半導体素子と銅ダマシン配線層15とを接続する。
【0077】
第3の実施形態によれば、グラフェン層17は、銅ダマシン配線層15の凹部16を完全に満たしているため、第2の実施形態と同様に、銅ダマシン配線層15上にコンタクトホールを形成するときのエッチング時に凹部16内のグラフェン層17が除去されることはない。また、銅ダマシン配線層15の凹部(空洞)が存在しないため、この後、コンタクトプラグを形成するときに、新たな空洞が形成されることもない。
【0078】
従って、コンタクトプラグの埋め込み不良が発生することがなく、銅ダマシン配線層15とそれに接続されるコンタクトプラグとの間のコンタクト抵抗の増加や、両者の断線不良などの問題も発生しない。
【0079】
第3の実施形態は、第1又は第2の実施形態と組み合わせて使用することも可能である。微細化された装置に使用される配線層は、細くかつ長くなり、その配線幅は、ゆらぎによって変化する。これによって、配線層に形成される凹部のサイズもまちまちとなる。また、装置に使用される配線層には、幅の広いものや、幅の狭いものなど、様々な種類が存在する。これによっても、配線層に形成される凹部のサイズは、まちまちとなる。従って、小さなサイズの凹部は、グラフェン層により満たされ、大きなサイズの凹部は、グラフェン層のみによっては満たされない、といった構造もあり得る。
【0080】
このような構造でも、本実施形態の基本効果(第1の実施形態による効果)は得ることができるため、有効といえる。但し、グラフェン層を構成するグラフェンシートの数を制御することにより、凹部のサイズによらず、全ての凹部をグラフェン層で満たすことは可能である。
【0081】
図16は、第4の実施形態に係わる装置を示している。
【0082】
装置(LSI)が微細化され、配線幅がさらに狭くなると、同図(a)に示すように、銅ダマシン配線層15は、バリアメタル層14の一部を被覆しなくなることがある。このような状態が発生すると、グラフェン層を銅ダマシン配線層15の凹部16の内面全体に形成することが難しくなる。なぜなら、グラフェン層は、銅ダマシン配線層15を触媒として成長するためである。
【0083】
そこで、第4の実施形態では、バリアメタル層14をグラフェン層の触媒となり得る材料から構成する。但し、バリアメタル層14は、銅ダマシン配線層15を構成する元素の拡散を防止するという機能を有してなければならない。
【0084】
銅ダマシン配線層(銅又は銅合金)15を構成する元素の拡散を防止し、かつ、グラフェン層の触媒となり得る材料として、本実施形態ではコバルト(Co)又はその合金を提案する。即ち、バリアメタル層14は、コバルトを含む。
【0085】
このような構造によれば、銅ダマシン配線層15が凹部16内においてバリアメタル層14の一部を被覆しなくても、コバルトを含むバリアメタル層14と銅ダマシン配線層15とがグラフェン層の触媒となるため、同図(b)に示すように、グラフェン層17は、銅ダマシン配線層15の凹部16の内面全体に形成することができる。
【0086】
尚、第4の実施形態は、第1乃至第3の実施形態のバリアメタル層に適用することが可能である。
【0087】
図17乃至図19は、第5の実施形態に係わる装置を示している。
【0088】
装置(LSI)は、異なる配線幅の複数種類の銅ダマシン配線層を有するのが一般的である。即ち、狭い配線幅を持つ銅ダマシン配線層では、上述のような凹部が形成され、広い配線幅を持つ銅ダマシン配線層では、上述のような凹部が形成されない、といったこともあり得る。
【0089】
図17の例は、第1の実施形態の構造(図2及び図3)に関し、凹部を有する銅ダマシン配線層(左側)15と配線溝を完全に満たす正常な銅ダマシン配線層(右側)15とが1つの装置内に混在している様子を示している。
【0090】
ここで、正常部において、グラフェン層(少なくとも1つのグラフェンシート)17の下端は、配線溝の上端よりも上にある。
【0091】
図18の例は、第2の実施形態の構造(図7及び図8)に関し、凹部を有する銅ダマシン配線層(左側)15と配線溝を完全に満たす正常な銅ダマシン配線層(右側)15とが1つの装置内に混在している様子を示している。
【0092】
本例でも、正常部において、グラフェン層(少なくとも1つのグラフェンシート)17の下端は、配線溝の上端よりも上にある。
【0093】
図19の例は、第3の実施形態の構造(図14及び図15)に関し、凹部を有する銅ダマシン配線層(左側)15と配線溝を完全に満たす正常な銅ダマシン配線層(右側)15とが1つの装置内に混在している様子を示している。
【0094】
本例でも、正常部において、グラフェン層(少なくとも1つのグラフェンシート)17の下端は、配線溝の上端よりも上にある。
【0095】
図20乃至図27は、それぞれ第2の実施形態に係わる装置を製造する方法を示している。ここでは、最も構成要素の多い第2の実施形態の構造を対象とする。第1、第3、第4及び第5の実施形態に係わる構造の製造方法は、以下に説明する第2の実施形態に係わる構造の製造方法を応用することにより容易に実現できる。
【0096】
まず、図20に示すように、トランジスタやキャパシタなどの半導体素子が形成された半導体基板上を絶縁層で覆い、この絶縁層上に下部配線層25を形成する。この後、下部配線層25上に層間絶縁層11を形成し、層間絶縁層11に下部配線層25に達するコンタクトプラグ18を形成する。
【0097】
本例では、下部配線層25上にコンタクトプラグ18が接続される場合について説明するが、コンタクトプラグ18は、半導体基板や、半導体基板上のトランジスタ又はキャパシタに直接接続されていてもよい。
【0098】
層間絶縁層11は、例えば、TEOSなどのシリコンを含む酸化層、コンタクトプラグ18は、例えば、W、Cu、Alなどの単体金属層から構成される。また、コンタクトプラグ18は、それを構成する金属元素の拡散を防止する目的で、その下地にバリアメタル層を設けてもよい。バリアメタル層は、例えば、Ta、Ti、Ru、Mn、Coなどの金属材料、又は、これらの窒化物若しくは酸化物から構成される。
【0099】
本例では、コンタクトプラグ18は、その上部に形成される後述する銅ダマシン配線層(シングルダマシン配線層)とは別に形成されるが、コンタクトプラグ18は、その上部に形成される銅ダマシン配線層と同時に形成されてもよい(デュアルダマシン配線層)。
【0100】
この後、例えば、CVD法により、層間絶縁層11上にエッチングストッパ層(例えば、窒化シリコン層)12を形成する。続けて、CVD法により、エッチングストッパ層12上に層間絶縁層(例えば、TEOSなどのシリコンを含む酸化層)13を形成する。
【0101】
エッチングストッパ層12は、層間絶縁層11,13に対してエッチング選択比を大きくとれる材料から構成される。但し、層間絶縁層11と層間絶縁層13とが異なる材料から構成され、両者のエッチング選択比が大きくとれるときは、エッチングストッパ層12を省略することも可能である。
【0102】
次に、図21に示すように、例えば、PEP(photo engraving process)により、層間絶縁層13上にレジストパターンを形成する。このレジストパターンをマスクにして、例えば、RIE(reactive ion etching)により、層間絶縁層13をエッチングすると、層間絶縁層13には、コンタクトプラグ18に達する配線溝10が形成される。
【0103】
ここで、このエッチングでは、まず、層間絶縁層13がエッチングされ易い条件で層間絶縁層13をエッチングした後、エッチングストッパ層12がエッチングされ易い条件でエッチングストッパ層12をエッチングするため、配線溝10の深さは、均一に揃えることができる。
【0104】
この後、レジストパターンは、除去される。
【0105】
次に、図22に示すように、層間絶縁層13上及び配線溝10の内面上に、バリアメタル層14を形成する。バリアメタル層14は、銅元素の拡散を防止する機能を有する金属材料、例えば、厚さ約5nmのTaから構成される。バリアメタル層14は、例えば、PVD法、CVD法、ALD(原子層気相成長)法などの方法を用いて形成することができる。また、バリアメタル層14は、Ta以外に、Ti、Ru、Co、Mnなどの金属材料、又は、これらの窒化物若しくは酸化物から構成されていてもよい。
【0106】
この後、バリアメタル層14上に、電界メッキのカソード極となる銅シード層15Aを形成する。銅シード層15Aは、一般的に、スパッタ法で形成される。銅層は、蒸気圧の関係からCVD法で形成することが困難なためである。
【0107】
スパッタ法は、カバレッジ(成膜均一性)がCVD法よりも低いことが知られている。このため、配線溝10の幅が狭く、例えば、10nm以下になると、配線溝10の間口において銅の成膜速度が速なり、配線溝10の側面において銅の成膜速度が遅くなる。これにより、銅シード層15Aは、配線溝10の間口においてピンチオフし、配線溝10内には、上部が銅シード層15Aにより閉ざされたボイドが形成される。
【0108】
また、ボイドが形成される要因には、配線溝10を形成するときのリソグラフィやエッチングの加工ばらつきがある。例えば、配線溝10にボイドが形成されない条件(配線幅や銅の堆積方法など)で銅シード層15Aを形成したとしても、上述の加工ばらつきにより配線溝10の幅にはゆらぎが生じる。このゆらぎのため、同一配線溝10内において、埋め込み不良が発生する部分と発生しない部分とが生じる。
【0109】
図22の左側は、配線溝10内にボイドが形成された埋め込み不良の状態(カバレージが悪い状態)を示し、図22の右側は、配線溝10内に銅シード層15Aがカバレージ良く形成された状態を示している。
【0110】
次に、図23に示すように、電界メッキ法により、図22の銅シード層15A上に銅層を上積みし、銅ダマシン配線層15を形成する。ここで、上部が閉ざされたボイドを有する埋め込み不良の部分(同図左側)では、メッキ液がボイド内に進入することができないため、結果として、この部分は、ボイドが残ったままとなる。
【0111】
仮に、ボイドの上部が開いていても、その開口部の幅が小さいときは、メッキ液が十分にボイド内に進入することができないため、ボイドを完全に埋め込む程度までメッキが行われず、ボイドが残ることがある。
【0112】
これに対し、埋め込み不良が発生していない正常部分(同図右側)では、メッキ液が十分に配線溝10内に満たされるため、結果として、この部分は、銅ダマシン配線層15により埋め込まれる。
【0113】
次に、図24に示すように、例えば、CMP(chemical mechanical etching)により、銅ダマシン配線層15を研磨し、層間絶縁層13上の余分な銅ダマシン配線層15を除去する。その結果、同図左側に示すように、埋め込み不良の部分では、配線溝10内に凹部16が形成される。これに対し、同図右側に示すように、正常部分では、配線溝10内にこれを完全に満たす銅ダマシン配線層15が形成される。
【0114】
次に、図25に示すように、銅ダマシン配線層15を触媒として、CVD法により、少なくとも1つのグラフェンシートから構成されるグラフェン層17を形成する。
【0115】
その結果、同図左側に示すように、埋め込み不良の部分では、配線溝10の凹部16の内面上、即ち、銅ダマシン配線層15上に、凹部16を満たさないグラフェン層17が形成される。ここで、グラフェン層17は、凹部16を完全に満たしてもよく、この場合、第3の実施形態の構造が得られる。
【0116】
これに対し、同図右側に示すように、正常部分では、配線溝10内の銅ダマシン配線層15上にグラフェン層17が形成される。
【0117】
グラフェン層17をCVD法により形成するときの炭素源としては、メタン、アセチレンなどの炭化水素系ガス又はその混合ガスを使用し、キャリアガスとしては、水素や希ガスを使用する。グラフェン層17を構成するグラフェンシート数は、1〜10の範囲内とするのが好ましい。グラフェンシート数は、シート相互間の干渉を防止する観点からできるだけ少ないほうが好ましく、1シートのみでも構わない。
【0118】
次に、図26に示すように、層間絶縁層13上にエッチングストッパ層19を形成する。本例では、このエッチングストッパ層19を、埋め込み不良の部分に形成される凹部を満たす絶縁層として利用する。エッチングストッパ層19は、凹部の埋め込み性を向上させるために、例えば、ALD法や、熱CVD法などの堆積方法により形成する。エッチングストッパ層19は、例えば、緻密な構造を持つSiNから構成される。
【0119】
本例では、エッチングストッパ層19を配線溝の凹部を満たす絶縁層として兼用しているが、エッチングストッパ層19とは別に、配線溝の凹部を満たすためだけの絶縁層を別途形成しても構わない。
【0120】
この後、エッチングストッパ層19上に層間絶縁層20を形成する。
【0121】
最後に、図27に示すように、PEPにより、層間絶縁層20上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、銅ダマシン配線層15に達するコンタクトホール21を形成する。
【0122】
コンタクトホール21は、まず、層間絶縁層20がエッチングされ易い条件で層間絶縁層20をエッチングした後、エッチングストッパ層19がエッチングされ易い条件でエッチングストッパ層19をエッチングするため、コンタクトホール21の深さは、均一に揃えることができる。
【0123】
この後、レジストパターンは、除去される。
【0124】
そして、コンタクトプラグ22をコンタクトホール21内に満たし、第2の実施形態の配線構造を完成させる。
【0125】
コンタクトプラグ22は、コンタクトプラグ18と同様に、例えば、W、Cu、Alなどの単体金属層から構成される。また、コンタクトプラグ22は、それを構成する金属元素の拡散を防止する目的で、その下地にバリアメタル層を設けてもよい。バリアメタル層は、例えば、Ta、Ti、Ru、Mn、Coなどの金属材料、又は、これらの窒化物若しくは酸化物から構成される。
【0126】
以上が上述の各実施形態の配線構造を実現するためのプロセスフローである。
【0127】
図28は、第1乃至第5の実施形態をNANDフラッシュメモリに適用した場合について示している。
【0128】
NANDフラッシュメモリの大きな構成要素は、メモリセルアレイと周辺回路(ロジック回路)である。メモリセルアレイは、大容量化のため、最小加工寸法で形成されることが多い。例えば、ワード線又はビット線は、狭くかつ長くなる傾向にある。ワード線又はビット線は、ゆらぎにより配線幅が異なることがある。このため、銅ダマシン配線構造を有するワード線又はビット線には、サイズがまちまちの凹部が形成され易い。また、ワード線又はビット線の端部は、先細りし易く、かつ、ワード線又はビット線に対するコンタクト部は、その端部に設けられる。即ち、銅ダマシン配線層の凹部上にコンタクトプラグが設けられるケースが発生し易い。そこで、第2及び第3の実施形態をNANDフラッシュメモリのワード線又はビット線に適用することは、非常に有効である。
【0129】
一方、周辺回路には、メモリセルアレイ内のワード線又はビット線よりも配線幅が広い銅ダマシン配線層15が設けられる。このような銅ダマシン配線層15に対しては、配線溝内に銅ダマシン配線層15が完全に満たされるため、第1乃至第3の実施形態に示すように、コンタクトプラグ22が銅ダマシン配線層15上のグラフェン層17を貫通するようにする。このようにすることで、コンタクトプラグ22は、グラフェン層17を構成する少なくとも1つのグラフェンシートのシート面内方向の端部に接触するため、周辺回路内の銅ダマシン配線層15の低抵抗化及び信頼性の向上を図ることができる。
【0130】
以上、説明したように、実施形態によれば、ボイドが存在しても高い信頼性を確保可能な配線構造を提案できる。
【0131】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0132】
11,13,20,24: 絶縁層、 12,19: エッチングストッパ層、 14: バリアメタル層、 15: 銅ダマシン配線層、 16: 凹部、 17: グラフェン層、 18,22: コンタクトプラグ、 21: コンタクトホール、 23: 空洞、 25: 下部配線層。
【技術分野】
【0001】
実施形態は、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置の配線構造の一つとしてダマシン配線構造(damascene wiring structure)が知られている。この構造の問題点は、微細化により配線中にボイド(void)が発生することにある。ボイドが形成された部分では、配線が薄くなるため、それが、配線抵抗の上昇、ストレスマイグレーション及びエレクトロマイグレーションによる信頼性の低下、ジュール熱の発生による断線などの問題を引き起こし、配線の信頼性を低下させる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Byung Jin Kang et al; Monolayer graphene growth on sputtered thin film platinum, J.Appl.Phys.106, 104309(2009).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、ボイドが存在しても高い信頼性を確保可能な配線構造を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、装置は、第1の溝を有する絶縁層と、前記第1の溝内に形成され、上部に凹部を有する銅を含む第1の配線層と、前記第1の配線層の前記凹部の内面上に形成される少なくとも1つのグラフェンシートとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態の装置を示す斜視図。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図。
【図4】グラフェン層の構造を示す図。
【図5】銅ダマシン配線層の凹部上のコンタクトプラグを示す図。
【図6】第2の実施形態の装置を示す斜視図。
【図7】図6のVII−VII線に沿う断面図。
【図8】図6のVIII−VIII線に沿う断面図。
【図9】第2の実施形態の装置を示す斜視図。
【図10】図9のX−X線に沿う断面図。
【図11】図9のXI−XI線に沿う断面図。
【図12】コンタクトプラグとグラフェン層との接触状態を示す図。
【図13】第3の実施形態の装置を示す斜視図。
【図14】図13のXIV−XIV線に沿う断面図。
【図15】図13のXV−XV線に沿う断面図。
【図16】第4の実施形態の装置を示す断面図。
【図17】第5の実施形態の装置を示す断面図。
【図18】第5の実施形態の装置を示す断面図。
【図19】第5の実施形態の装置を示す断面図。
【図20】製造方法の例を示す断面図。
【図21】製造方法の例を示す断面図。
【図22】製造方法の例を示す断面図。
【図23】製造方法の例を示す断面図。
【図24】製造方法の例を示す断面図。
【図25】製造方法の例を示す断面図。
【図26】製造方法の例を示す断面図。
【図27】製造方法の例を示す断面図。
【図28】NANDフラッシュメモリへの適用例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。
【0008】
実施形態に係わる装置は、ボイドを有する配線構造。そのような配線構造としては、ダマシン配線構造がある。ダマシン配線構造では、配線溝に導電材料を埋め込んで配線層を形成するため、微細化により配線溝の幅が狭くなると、配線溝の間口で導電材料がピンチオフ(Pinch-off)し、ボイドが形成される。
【0009】
そこで、実施形態では、ボイドの内面を、安定かつ低抵抗なグラフェン(Graphene)層で被覆し、ボイドが形成された部分の電子伝導をグラフェン層によって担うことにより、ボイドに起因する配線抵抗の上昇、ストレスマイグレーション及びエレクトロマイグレーションによる信頼性の低下、ジュール熱の発生による断線などの問題を解消し、高い信頼性を確保する。
【0010】
また、グラフェン層は、所定の触媒上に形成される。実施形態では、この触媒として銅(Cu)又は銅合金を使用可能である点を提案する。銅又は銅合金は、上述のダマシン配線構造の材料として使用されるため、銅/銅合金とグラフェン層とからなる複合配線を形成するには好ましい。
【0011】
さらに、グラフェン層は、触媒上に形成される1つ又はそれ以上のグラフェンシートから構成される。グラフェンシートとは、量子化伝導(Ballistic伝導)を担う基本単位のことであり、1つのグラフェンシート内では非常に低抵抗であるという特徴を有する。
【0012】
以下の実施形態において、グラフェン層と言ったときは、1つ又はそれ以上のグラフェンシートを備えているものとする。
【0013】
図1は、第1の実施形態に係わる装置を示している。図2は、図1のII−II線に沿う断面図、図3は、図1のIII−III線に沿う断面図である。
【0014】
図2は、ダマシン配線構造内のボイドが形成される領域を示し、図3は、ダマシン配線構造内の正常な領域(ボイドが形成されない領域)を示している。このように、1つの配線内において、ボイドが形成される領域とボイドが形成されない領域が発生するのは、配線が細くかつ長くなることにより、配線幅のゆらぎが発生するためである。即ち、配線幅の狭い領域では、ボイドが発生し易くなる。また、配線の端部では、先細りが発生するため、配線の端部においてもボイドが発生し易い。
【0015】
ここで、本実施の形態を含めた以下の全ての説明において、このようなボイドを含む穴のことを凹部と称することにする。これは、以下の全ての実施形態が、ボイドの他、ウィスカー(whisker)状の溝などにも適用可能であるためである。
【0016】
半導体基板上に形成されるトランジスタやキャパシタなどの半導体素子は、絶縁層(例えば、酸化シリコンなど)11により覆われる。絶縁層11上には、エッチングストッパとしての絶縁層(例えば、窒化シリコン)12が形成される。
【0017】
絶縁層12上には、配線溝10を有する絶縁層13が形成される。配線溝10内には、その内面上を覆うバリアメタル層14が形成され、バリアメタル層14上には、上部に凹部16を有する銅又は銅合金からなる配線層(以下、銅ダマシン配線層)15が形成される。
【0018】
バリアメタル層14は、銅ダマシン配線層15を構成する元素の拡散を防止する機能を有する材料、例えば、Ta、Tiなどから構成される。
【0019】
銅ダマシン配線層15は、配線溝10の幅が狭くなることによりそれを完全に配線溝10内に埋め込むことが難しくなってきている。例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性半導体メモリでは、配線溝10の幅は、10nm又はそれよりも小さくなることもある。
【0020】
銅ダマシン配線層15は、例えば、まず、スパッタ法により銅シード(Cu-seed)層を配線溝10内に堆積し、この銅シード層を銅メッキ液に浸し、銅シード層上に銅メッキを施すことにより形成される。しかし、配線溝10の幅が狭くなることにより、銅シード層を形成するスパッタリングにおいて、銅シード層が配線溝10の間口を塞いでしまったり、その間口が非常に小さくなったりする。
【0021】
この場合、銅メッキ液は、その閉じたボイド内に十分に入ることができないため、ボイド内に銅メッキ層を十分な厚さで形成することができない。結果として、この後、例えば、CMP(chemical mechanical etching)により、銅シード層及び銅メッキ層からなる銅ダマシン配線層15を配線溝10内に形成すると、銅ダマシン配線層15の上部には、凹部16が形成されることになる。
【0022】
そこで、本実施形態では、銅ダマシン配線層15の凹部16の内面上に、安定かつ低抵抗なグラフェン層17を被覆する。即ち、凹部16が形成された部分の電子伝導をグラフェン層17によって担うことにより、凹部16に起因する配線抵抗の上昇、ストレスマイグレーション及びエレクトロマイグレーションによる信頼性の低下、ジュール熱の発生による断線などの問題を解消し、高い信頼性を確保する。
【0023】
また、グラフェン層17は、銅ダマシン配線層15を触媒として成長させることが可能である。従って、銅又は銅合金からなる銅ダマシン配線層15とグラフェン層17とからなる複合配線を容易に形成することができる。
【0024】
ここで、グラフェン層17は、図4に示すように、1つ又はそれ以上のグラフェンシート17−1,17−2,…17−nから構成される。グラフェンシート17−1,17−2,…17−nは、既に述べたように、量子化伝導(電子伝導)を担う基本単位となり、非常に薄く(0.34nm程度)、かつ、低抵抗である。即ち、本実施形態では、グラフェン層17は、少なくとも1つのグラフェンシートから構成されていればよい。
【0025】
グラフェン層17は、銅ダマシン配線層15を触媒として成長するため、凹部16以外の銅ダマシン配線層15上にも形成される。グラフェン層17を構成する少なくとも1つのグラフェンシートは、凹部16内の銅ダマシン配線層15上から凹部16外の銅ダマシン配線層15まで連続している。
【0026】
コンタクトプラグ18は、半導体基板上に形成されるトランジスタやキャパシタなどの半導体素子と銅ダマシン配線層15とを接続する。
【0027】
第1の実施形態によれば、銅ダマシン配線層15の凹部16の内面を被服するグラフェン層17を形成することにより、凹部16における配線抵抗の上昇を抑制することができる。また、グラフェン層17が電子伝導パスとなることにより、凹部16での電流密度の上昇を低減でき、エレクトロマイグレーションの抑制と、ジュール熱による断線不良の防止とを実現できる。さらに、グラフェン層17は、それ自体の電流密度耐性が非常に高いため、グラフェン層17を、凹部16内から凹部16外へ延びる連続した配線層(電子伝導経路)として利用することにより、更なる電流密度耐性の向上が可能である。
【0028】
また、銅又は銅合金は、応力変形し易く、特に、銅ダマシン配線層15の凹部16において、銅ダマシン配線層15のストレスマイグレーション耐性が低下する。本実施形態によれば、凹部16の内面を、高い弾性率を持ち、安定した構造を有するグラフェン層で被覆するので、凹部16におけるストレスマイグレーション不良を防止できる。
【0029】
グラフェン層17は、凹部16以外の銅ダマシン配線層15上にも形成される。グラフェン層17は、凹部16内から凹部16外へ連続して延びるため、グラフェン層17を、銅ダマシン配線層15と同様に、配線層(電子伝導経路)として利用することにより、銅ダマシン配線層15よりも配線抵抗を低減することができる。
【0030】
凹部16以外において、銅ダマシン配線層15上にグラフェン層17が形成されることは、銅ダマシン配線層15の上面(銅ダマシン配線層と絶縁層との界面)において生じるエレクトロマイグレーションを防止するのに効果的である。グラフェン層17は、耐熱性及び機械的強度が非常に高く、安定な材料であるからである。
【0031】
また、グラフェン層17は、銅ダマシン配線層15の上面及び凹部16の内面の全体を覆うため、銅ダマシン配線層15の酸化を防止する保護層としても機能する。
【0032】
図5は、銅ダマシン配線層とこれに接続されるコンタクトプラグを示している。
【0033】
図1乃至図3の装置において、凹部16上にコンタクトプラグ22が接続されるとき、二つの問題が発生する。
【0034】
一つは、同図(a)左側に示すように、凹部16上にエッチングストッパとしての絶縁層19及び層間絶縁層20を形成し、これらにコンタクトホール21を形成するときに、凹部16の底面に存在するグラフェン層17が除去されてしまう、という問題である。
【0035】
これは、絶縁層19及び層間絶縁層20を形成するときに、凹部16が空洞(cavity)として残ってしまうことに起因し、コンタクトホール21を形成するためのエッチング(RIE)において、この空洞を介してグラフェン層17が除去される。この場合、銅ダマシン配線層15の凹部16の内面を覆うグラフェン層17が少なくなることから、上述の第1の実施形態による効果が十分に得られなくなる可能性もある。
【0036】
もう一つは、同図(a)右側に示すように、仮にこのエッチングによりグラフェン層17が除去されなかったとしても、コンタクトホール21の底部には、銅ダマシン配線層15の凹部(空洞)16が残っているため、この後、コンタクトプラグ22を形成すると、新たな空洞(cavity)23が形成される、という問題である。
【0037】
この空洞23は、コンタクトプラグ22の埋め込み不良の原因となり、銅ダマシン配線層15とコンタクトプラグ22との間のコンタクト抵抗の増加や、両者の断線不良などを引き起こす可能性がある。
【0038】
そこで、第2の実施形態では、同図(b)に示すように、銅ダマシン配線層15上にこれに接続されるコンタクトプラグ22が形成されるときは、銅ダマシン配線層15の凹部を、絶縁層24により満たす構造を提案する。
【0039】
凹部を絶縁層24により埋め込んでしまえば、グラフェン層17は、この絶縁層24により保護されるため、コンタクトホールを形成するときのエッチングにおいてグラフェン層17が除去されることはない。また、コンタクトホール21の底部には、銅ダマシン配線層15の凹部(空洞)が存在しないため、この後、コンタクトプラグ22を形成するときに、新たな空洞(cavity)が形成されることもない。
【0040】
このため、コンタクトプラグ22の埋め込み不良が発生することがなく、銅ダマシン配線層15とコンタクトプラグ22との間のコンタクト抵抗の増加や、両者の断線不良などの問題は発生しない。
【0041】
但し、この場合、コンタクトプラグ22は、グラフェン層17を構成する少なくとも1つのグラフェンシートのシート面内方向の端部に接触していることが必要である。なぜなら、グラフェンシートのシート面内方向の端部は、量子化伝導(電子伝導)の起点又は終点となるからである。
【0042】
コンタクトプラグ22をグラフェン層17に必ず接触させるためには、例えば、コンタクトプラグ22の下端の幅W1を、配線溝の上端の幅W2と同じ又はそれよりも大きくすればよい。また、コンタクトプラグ22の下端の幅W1が配線溝の上端の幅W2よりも小さいときであっても、コンタクトプラグ22がグラフェン層17に接触していれば、本実施形態の効果を得ることができる。
【0043】
また、コンタクトプラグ22がグラフェン層17に接触していれば、コンタクトプラグ22は、それ以外、例えば、バリアメタル層14、銅ダマシン配線層15、絶縁層24などに同時に接触していてもよい。
【0044】
尚、絶縁層24は、銅ダマシン配線層15の凹部を満たすことができる埋め込み性の良い材料であれば、エッチングストッパとしての絶縁層19と兼用してもよい。この場合、エッチングストッパとしての絶縁層19が、絶縁層24として銅ダマシン配線層の凹部内に満たされる。
【0045】
また、絶縁層24を構成する材料は、層間絶縁層20を構成する材料と同じであっても、異なっていてもよい。例えば、絶縁層24は、SiN、SiCN、SiONなどから構成でき、層間絶縁層20は、TEOSなどから構成できる。
【0046】
図6は、第2の実施形態に係わる装置を示している。図7は、図6のVII−VII線に沿う断面図、図8は、図6のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【0047】
図7は、ダマシン配線構造内のボイドが形成される領域を示し、図8は、ダマシン配線構造内の正常な領域(ボイドが形成されない領域)を示している。
【0048】
半導体基板上に形成されるトランジスタやキャパシタなどの半導体素子は、絶縁層(例えば、酸化シリコンなど)11により覆われる。絶縁層11上には、エッチングストッパとしての絶縁層(例えば、窒化シリコン)12が形成される。
【0049】
絶縁層12上には、配線溝10を有する絶縁層13が形成される。配線溝10内には、その内面上を覆うバリアメタル層14が形成され、バリアメタル層14上には、上部に凹部16を有する銅又は銅合金からなる配線層(以下、銅ダマシン配線層)15が形成される。
【0050】
バリアメタル層14は、銅ダマシン配線層15を構成する元素の拡散を防止する機能を有する材料、例えば、Ta、Tiなどから構成される。また、銅ダマシン配線層15は、その上部に凹部16を有する。
【0051】
そこで、本実施形態では、銅ダマシン配線層15の凹部16の内面上に、安定かつ低抵抗なグラフェン層17を被覆する。即ち、凹部16が形成された部分の電子伝導をグラフェン層17によって担うことにより、凹部16に起因する配線抵抗の上昇、ストレスマイグレーション及びエレクトロマイグレーションによる信頼性の低下、ジュール熱の発生による断線などの問題を解消し、高い信頼性を確保する。
【0052】
また、グラフェン層17は、銅ダマシン配線層15の凹部16を満たしていないため、グラフェン層17上に、凹部16を満たす絶縁層19を形成する。本実施形態では、絶縁層19は、エッチングストッパとしての機能も有する。
【0053】
グラフェン層17は、銅ダマシン配線層15を触媒として成長するため、凹部16以外の銅ダマシン配線層15上にも形成される。グラフェン層17を構成する少なくとも1つのグラフェンシートは、凹部16内の銅ダマシン配線層15上から凹部16外の銅ダマシン配線層15まで連続している。
【0054】
コンタクトプラグ18は、半導体基板上に形成されるトランジスタやキャパシタなどの半導体素子と銅ダマシン配線層15とを接続する。
【0055】
図9は、図6の装置にコンタクトプラグを追加した構造を示している。図10は、図9のX−X線に沿う断面図、図11は、図9のXI−XI線に沿う断面図である。
【0056】
図10は、図7に対応し、ダマシン配線構造内のボイドが形成される領域を示している。また、図11は、図8に対応し、ダマシン配線構造内の正常な領域(ボイドが形成されない領域)を示している。
【0057】
凹部を埋め込む絶縁層19上には、層間絶縁層20が形成される。層間絶縁層20及び絶縁層19には、コンタクトホール21が形成され、コンタクトホール21内にコンタクトプラグ22が形成される。
【0058】
ここで、重要な点は、コンタクトプラグ22は、グラフェン層17を構成する少なくとも1つのグラフェンシートのシート面内方向の端部に接触していることにある。
【0059】
例えば、銅ダマシン配線層15の凹部上においては、図10から明らかなように、コンタクトプラグ22は、凹部内のグラフェン層17を構成する少なくとも1つのグラフェンシートのシート面内方向の端部に接触する。
【0060】
図10の領域Aを詳細に示すと、図12に示すようになる。グラフェン層17は、例えば、1〜10層程度のグラフェンシートから構成され、コンタクトプラグ22は、グラフェンシートのシート面内方向の端部に接触する。
【0061】
また、凹部以外の銅ダマシン配線層15上においては、図11から明らかなように、コンタクトプラグ22は、銅ダマシン配線層15上のグラフェン層17を構成する少なくとも1つのグラフェンシートのシート面内方向の端部に接触する。
【0062】
図11の領域Bを詳細に示すと、図12に示すようになる。グラフェン層17を貫通するようにコンタクトホールを形成することにより、コンタクトプラグ22は、グラフェンシートのシート面内方向の端部に接触する。
【0063】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態による効果に加え、以下の効果を得ることができる。
【0064】
銅ダマシン配線層15の凹部は、絶縁層19により埋め込まれている。このため、グラフェン層17は、絶縁層19により保護されるため、コンタクトホールを形成するときのエッチングにおいてグラフェン層17が除去されることはない。
【0065】
また、コンタクトホール21の底部には、銅ダマシン配線層15の凹部(空洞)が存在しないため、この後、コンタクトプラグ22を形成するときに、新たな空洞(cavity)が形成されることもない。
【0066】
従って、コンタクトプラグ22の埋め込み不良が発生することがなく、銅ダマシン配線層15とコンタクトプラグ22との間のコンタクト抵抗の増加や、両者の断線不良などの問題も発生しない。
【0067】
図13は、第3の実施形態に係わる装置を示している。図14は、図13のXIV−XIV線に沿う断面図、図15は、図13のXV−XV線に沿う断面図である。
【0068】
図14は、ダマシン配線構造内のボイドが形成される領域を示し、図15は、ダマシン配線構造内の正常な領域(ボイドが形成されない領域)を示している。
【0069】
第2の実施形態では、グラフェン層17により銅ダマシン配線層15の凹部が完全に満たされないため、グラフェン層17上に、銅ダマシン配線層15の凹部を完全に満たす埋め込み性の良好な絶縁層19,24を形成した。これに対し、本実施形態は、グラフェン層17により銅ダマシン配線層15の凹部を完全に満たし、第2の実施形態と同じ効果を得る構造について提案する。
【0070】
半導体基板上に形成されるトランジスタやキャパシタなどの半導体素子は、絶縁層(例えば、酸化シリコンなど)11により覆われる。絶縁層11上には、エッチングストッパとしての絶縁層(例えば、窒化シリコン)12が形成される。
【0071】
絶縁層12上には、配線溝10を有する絶縁層13が形成される。配線溝10内には、その内面上を覆うバリアメタル層14が形成され、バリアメタル層14上には、上部に凹部16を有する銅又は銅合金からなる配線層(以下、銅ダマシン配線層)15が形成される。
【0072】
バリアメタル層14は、銅ダマシン配線層15を構成する元素の拡散を防止する機能を有する材料、例えば、Ta、Tiなどから構成される。また、銅ダマシン配線層15は、その上部に凹部16を有する。
【0073】
そこで、本実施形態では、銅ダマシン配線層15の凹部16の内面上に、安定かつ低抵抗なグラフェン層17を被覆する。即ち、凹部16が形成された部分の電子伝導をグラフェン層17によって担うことにより、凹部16に起因する配線抵抗の上昇、ストレスマイグレーション及びエレクトロマイグレーションによる信頼性の低下、ジュール熱の発生による断線などの問題を解消し、高い信頼性を確保する。
【0074】
また、グラフェン層17は、銅ダマシン配線層15の凹部16を完全に満たしているため、銅ダマシン配線層15上にコンタクトホールを形成するときのエッチングにおいて凹部16内のグラフェン層17が除去されることはない。また、銅ダマシン配線層15の凹部(空洞)が存在しないため、この後、コンタクトプラグを形成するときに、新たな空洞(cavity)が形成されることもない。
【0075】
グラフェン層17は、銅ダマシン配線層15を触媒として成長するため、凹部16以外の銅ダマシン配線層15上にも形成される。グラフェン層17を構成する少なくとも1つのグラフェンシートは、凹部16内の銅ダマシン配線層15上から凹部16外の銅ダマシン配線層15まで連続している。
【0076】
コンタクトプラグ18は、半導体基板上に形成されるトランジスタやキャパシタなどの半導体素子と銅ダマシン配線層15とを接続する。
【0077】
第3の実施形態によれば、グラフェン層17は、銅ダマシン配線層15の凹部16を完全に満たしているため、第2の実施形態と同様に、銅ダマシン配線層15上にコンタクトホールを形成するときのエッチング時に凹部16内のグラフェン層17が除去されることはない。また、銅ダマシン配線層15の凹部(空洞)が存在しないため、この後、コンタクトプラグを形成するときに、新たな空洞が形成されることもない。
【0078】
従って、コンタクトプラグの埋め込み不良が発生することがなく、銅ダマシン配線層15とそれに接続されるコンタクトプラグとの間のコンタクト抵抗の増加や、両者の断線不良などの問題も発生しない。
【0079】
第3の実施形態は、第1又は第2の実施形態と組み合わせて使用することも可能である。微細化された装置に使用される配線層は、細くかつ長くなり、その配線幅は、ゆらぎによって変化する。これによって、配線層に形成される凹部のサイズもまちまちとなる。また、装置に使用される配線層には、幅の広いものや、幅の狭いものなど、様々な種類が存在する。これによっても、配線層に形成される凹部のサイズは、まちまちとなる。従って、小さなサイズの凹部は、グラフェン層により満たされ、大きなサイズの凹部は、グラフェン層のみによっては満たされない、といった構造もあり得る。
【0080】
このような構造でも、本実施形態の基本効果(第1の実施形態による効果)は得ることができるため、有効といえる。但し、グラフェン層を構成するグラフェンシートの数を制御することにより、凹部のサイズによらず、全ての凹部をグラフェン層で満たすことは可能である。
【0081】
図16は、第4の実施形態に係わる装置を示している。
【0082】
装置(LSI)が微細化され、配線幅がさらに狭くなると、同図(a)に示すように、銅ダマシン配線層15は、バリアメタル層14の一部を被覆しなくなることがある。このような状態が発生すると、グラフェン層を銅ダマシン配線層15の凹部16の内面全体に形成することが難しくなる。なぜなら、グラフェン層は、銅ダマシン配線層15を触媒として成長するためである。
【0083】
そこで、第4の実施形態では、バリアメタル層14をグラフェン層の触媒となり得る材料から構成する。但し、バリアメタル層14は、銅ダマシン配線層15を構成する元素の拡散を防止するという機能を有してなければならない。
【0084】
銅ダマシン配線層(銅又は銅合金)15を構成する元素の拡散を防止し、かつ、グラフェン層の触媒となり得る材料として、本実施形態ではコバルト(Co)又はその合金を提案する。即ち、バリアメタル層14は、コバルトを含む。
【0085】
このような構造によれば、銅ダマシン配線層15が凹部16内においてバリアメタル層14の一部を被覆しなくても、コバルトを含むバリアメタル層14と銅ダマシン配線層15とがグラフェン層の触媒となるため、同図(b)に示すように、グラフェン層17は、銅ダマシン配線層15の凹部16の内面全体に形成することができる。
【0086】
尚、第4の実施形態は、第1乃至第3の実施形態のバリアメタル層に適用することが可能である。
【0087】
図17乃至図19は、第5の実施形態に係わる装置を示している。
【0088】
装置(LSI)は、異なる配線幅の複数種類の銅ダマシン配線層を有するのが一般的である。即ち、狭い配線幅を持つ銅ダマシン配線層では、上述のような凹部が形成され、広い配線幅を持つ銅ダマシン配線層では、上述のような凹部が形成されない、といったこともあり得る。
【0089】
図17の例は、第1の実施形態の構造(図2及び図3)に関し、凹部を有する銅ダマシン配線層(左側)15と配線溝を完全に満たす正常な銅ダマシン配線層(右側)15とが1つの装置内に混在している様子を示している。
【0090】
ここで、正常部において、グラフェン層(少なくとも1つのグラフェンシート)17の下端は、配線溝の上端よりも上にある。
【0091】
図18の例は、第2の実施形態の構造(図7及び図8)に関し、凹部を有する銅ダマシン配線層(左側)15と配線溝を完全に満たす正常な銅ダマシン配線層(右側)15とが1つの装置内に混在している様子を示している。
【0092】
本例でも、正常部において、グラフェン層(少なくとも1つのグラフェンシート)17の下端は、配線溝の上端よりも上にある。
【0093】
図19の例は、第3の実施形態の構造(図14及び図15)に関し、凹部を有する銅ダマシン配線層(左側)15と配線溝を完全に満たす正常な銅ダマシン配線層(右側)15とが1つの装置内に混在している様子を示している。
【0094】
本例でも、正常部において、グラフェン層(少なくとも1つのグラフェンシート)17の下端は、配線溝の上端よりも上にある。
【0095】
図20乃至図27は、それぞれ第2の実施形態に係わる装置を製造する方法を示している。ここでは、最も構成要素の多い第2の実施形態の構造を対象とする。第1、第3、第4及び第5の実施形態に係わる構造の製造方法は、以下に説明する第2の実施形態に係わる構造の製造方法を応用することにより容易に実現できる。
【0096】
まず、図20に示すように、トランジスタやキャパシタなどの半導体素子が形成された半導体基板上を絶縁層で覆い、この絶縁層上に下部配線層25を形成する。この後、下部配線層25上に層間絶縁層11を形成し、層間絶縁層11に下部配線層25に達するコンタクトプラグ18を形成する。
【0097】
本例では、下部配線層25上にコンタクトプラグ18が接続される場合について説明するが、コンタクトプラグ18は、半導体基板や、半導体基板上のトランジスタ又はキャパシタに直接接続されていてもよい。
【0098】
層間絶縁層11は、例えば、TEOSなどのシリコンを含む酸化層、コンタクトプラグ18は、例えば、W、Cu、Alなどの単体金属層から構成される。また、コンタクトプラグ18は、それを構成する金属元素の拡散を防止する目的で、その下地にバリアメタル層を設けてもよい。バリアメタル層は、例えば、Ta、Ti、Ru、Mn、Coなどの金属材料、又は、これらの窒化物若しくは酸化物から構成される。
【0099】
本例では、コンタクトプラグ18は、その上部に形成される後述する銅ダマシン配線層(シングルダマシン配線層)とは別に形成されるが、コンタクトプラグ18は、その上部に形成される銅ダマシン配線層と同時に形成されてもよい(デュアルダマシン配線層)。
【0100】
この後、例えば、CVD法により、層間絶縁層11上にエッチングストッパ層(例えば、窒化シリコン層)12を形成する。続けて、CVD法により、エッチングストッパ層12上に層間絶縁層(例えば、TEOSなどのシリコンを含む酸化層)13を形成する。
【0101】
エッチングストッパ層12は、層間絶縁層11,13に対してエッチング選択比を大きくとれる材料から構成される。但し、層間絶縁層11と層間絶縁層13とが異なる材料から構成され、両者のエッチング選択比が大きくとれるときは、エッチングストッパ層12を省略することも可能である。
【0102】
次に、図21に示すように、例えば、PEP(photo engraving process)により、層間絶縁層13上にレジストパターンを形成する。このレジストパターンをマスクにして、例えば、RIE(reactive ion etching)により、層間絶縁層13をエッチングすると、層間絶縁層13には、コンタクトプラグ18に達する配線溝10が形成される。
【0103】
ここで、このエッチングでは、まず、層間絶縁層13がエッチングされ易い条件で層間絶縁層13をエッチングした後、エッチングストッパ層12がエッチングされ易い条件でエッチングストッパ層12をエッチングするため、配線溝10の深さは、均一に揃えることができる。
【0104】
この後、レジストパターンは、除去される。
【0105】
次に、図22に示すように、層間絶縁層13上及び配線溝10の内面上に、バリアメタル層14を形成する。バリアメタル層14は、銅元素の拡散を防止する機能を有する金属材料、例えば、厚さ約5nmのTaから構成される。バリアメタル層14は、例えば、PVD法、CVD法、ALD(原子層気相成長)法などの方法を用いて形成することができる。また、バリアメタル層14は、Ta以外に、Ti、Ru、Co、Mnなどの金属材料、又は、これらの窒化物若しくは酸化物から構成されていてもよい。
【0106】
この後、バリアメタル層14上に、電界メッキのカソード極となる銅シード層15Aを形成する。銅シード層15Aは、一般的に、スパッタ法で形成される。銅層は、蒸気圧の関係からCVD法で形成することが困難なためである。
【0107】
スパッタ法は、カバレッジ(成膜均一性)がCVD法よりも低いことが知られている。このため、配線溝10の幅が狭く、例えば、10nm以下になると、配線溝10の間口において銅の成膜速度が速なり、配線溝10の側面において銅の成膜速度が遅くなる。これにより、銅シード層15Aは、配線溝10の間口においてピンチオフし、配線溝10内には、上部が銅シード層15Aにより閉ざされたボイドが形成される。
【0108】
また、ボイドが形成される要因には、配線溝10を形成するときのリソグラフィやエッチングの加工ばらつきがある。例えば、配線溝10にボイドが形成されない条件(配線幅や銅の堆積方法など)で銅シード層15Aを形成したとしても、上述の加工ばらつきにより配線溝10の幅にはゆらぎが生じる。このゆらぎのため、同一配線溝10内において、埋め込み不良が発生する部分と発生しない部分とが生じる。
【0109】
図22の左側は、配線溝10内にボイドが形成された埋め込み不良の状態(カバレージが悪い状態)を示し、図22の右側は、配線溝10内に銅シード層15Aがカバレージ良く形成された状態を示している。
【0110】
次に、図23に示すように、電界メッキ法により、図22の銅シード層15A上に銅層を上積みし、銅ダマシン配線層15を形成する。ここで、上部が閉ざされたボイドを有する埋め込み不良の部分(同図左側)では、メッキ液がボイド内に進入することができないため、結果として、この部分は、ボイドが残ったままとなる。
【0111】
仮に、ボイドの上部が開いていても、その開口部の幅が小さいときは、メッキ液が十分にボイド内に進入することができないため、ボイドを完全に埋め込む程度までメッキが行われず、ボイドが残ることがある。
【0112】
これに対し、埋め込み不良が発生していない正常部分(同図右側)では、メッキ液が十分に配線溝10内に満たされるため、結果として、この部分は、銅ダマシン配線層15により埋め込まれる。
【0113】
次に、図24に示すように、例えば、CMP(chemical mechanical etching)により、銅ダマシン配線層15を研磨し、層間絶縁層13上の余分な銅ダマシン配線層15を除去する。その結果、同図左側に示すように、埋め込み不良の部分では、配線溝10内に凹部16が形成される。これに対し、同図右側に示すように、正常部分では、配線溝10内にこれを完全に満たす銅ダマシン配線層15が形成される。
【0114】
次に、図25に示すように、銅ダマシン配線層15を触媒として、CVD法により、少なくとも1つのグラフェンシートから構成されるグラフェン層17を形成する。
【0115】
その結果、同図左側に示すように、埋め込み不良の部分では、配線溝10の凹部16の内面上、即ち、銅ダマシン配線層15上に、凹部16を満たさないグラフェン層17が形成される。ここで、グラフェン層17は、凹部16を完全に満たしてもよく、この場合、第3の実施形態の構造が得られる。
【0116】
これに対し、同図右側に示すように、正常部分では、配線溝10内の銅ダマシン配線層15上にグラフェン層17が形成される。
【0117】
グラフェン層17をCVD法により形成するときの炭素源としては、メタン、アセチレンなどの炭化水素系ガス又はその混合ガスを使用し、キャリアガスとしては、水素や希ガスを使用する。グラフェン層17を構成するグラフェンシート数は、1〜10の範囲内とするのが好ましい。グラフェンシート数は、シート相互間の干渉を防止する観点からできるだけ少ないほうが好ましく、1シートのみでも構わない。
【0118】
次に、図26に示すように、層間絶縁層13上にエッチングストッパ層19を形成する。本例では、このエッチングストッパ層19を、埋め込み不良の部分に形成される凹部を満たす絶縁層として利用する。エッチングストッパ層19は、凹部の埋め込み性を向上させるために、例えば、ALD法や、熱CVD法などの堆積方法により形成する。エッチングストッパ層19は、例えば、緻密な構造を持つSiNから構成される。
【0119】
本例では、エッチングストッパ層19を配線溝の凹部を満たす絶縁層として兼用しているが、エッチングストッパ層19とは別に、配線溝の凹部を満たすためだけの絶縁層を別途形成しても構わない。
【0120】
この後、エッチングストッパ層19上に層間絶縁層20を形成する。
【0121】
最後に、図27に示すように、PEPにより、層間絶縁層20上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、銅ダマシン配線層15に達するコンタクトホール21を形成する。
【0122】
コンタクトホール21は、まず、層間絶縁層20がエッチングされ易い条件で層間絶縁層20をエッチングした後、エッチングストッパ層19がエッチングされ易い条件でエッチングストッパ層19をエッチングするため、コンタクトホール21の深さは、均一に揃えることができる。
【0123】
この後、レジストパターンは、除去される。
【0124】
そして、コンタクトプラグ22をコンタクトホール21内に満たし、第2の実施形態の配線構造を完成させる。
【0125】
コンタクトプラグ22は、コンタクトプラグ18と同様に、例えば、W、Cu、Alなどの単体金属層から構成される。また、コンタクトプラグ22は、それを構成する金属元素の拡散を防止する目的で、その下地にバリアメタル層を設けてもよい。バリアメタル層は、例えば、Ta、Ti、Ru、Mn、Coなどの金属材料、又は、これらの窒化物若しくは酸化物から構成される。
【0126】
以上が上述の各実施形態の配線構造を実現するためのプロセスフローである。
【0127】
図28は、第1乃至第5の実施形態をNANDフラッシュメモリに適用した場合について示している。
【0128】
NANDフラッシュメモリの大きな構成要素は、メモリセルアレイと周辺回路(ロジック回路)である。メモリセルアレイは、大容量化のため、最小加工寸法で形成されることが多い。例えば、ワード線又はビット線は、狭くかつ長くなる傾向にある。ワード線又はビット線は、ゆらぎにより配線幅が異なることがある。このため、銅ダマシン配線構造を有するワード線又はビット線には、サイズがまちまちの凹部が形成され易い。また、ワード線又はビット線の端部は、先細りし易く、かつ、ワード線又はビット線に対するコンタクト部は、その端部に設けられる。即ち、銅ダマシン配線層の凹部上にコンタクトプラグが設けられるケースが発生し易い。そこで、第2及び第3の実施形態をNANDフラッシュメモリのワード線又はビット線に適用することは、非常に有効である。
【0129】
一方、周辺回路には、メモリセルアレイ内のワード線又はビット線よりも配線幅が広い銅ダマシン配線層15が設けられる。このような銅ダマシン配線層15に対しては、配線溝内に銅ダマシン配線層15が完全に満たされるため、第1乃至第3の実施形態に示すように、コンタクトプラグ22が銅ダマシン配線層15上のグラフェン層17を貫通するようにする。このようにすることで、コンタクトプラグ22は、グラフェン層17を構成する少なくとも1つのグラフェンシートのシート面内方向の端部に接触するため、周辺回路内の銅ダマシン配線層15の低抵抗化及び信頼性の向上を図ることができる。
【0130】
以上、説明したように、実施形態によれば、ボイドが存在しても高い信頼性を確保可能な配線構造を提案できる。
【0131】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0132】
11,13,20,24: 絶縁層、 12,19: エッチングストッパ層、 14: バリアメタル層、 15: 銅ダマシン配線層、 16: 凹部、 17: グラフェン層、 18,22: コンタクトプラグ、 21: コンタクトホール、 23: 空洞、 25: 下部配線層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の溝を有する絶縁層と、
前記第1の溝内に形成され、上部に凹部を有する銅を含む第1の配線層と、
前記第1の配線層の前記凹部の内面上に形成される少なくとも1つのグラフェンシートと
を具備する配線構造を有する装置。
【請求項2】
第1の溝を有する絶縁層と、
前記第1の溝内に形成され、上部に凹部を有する銅を含む第1の配線層と、
前記第1の配線層の前記凹部の内面上及び前記凹部以外の前記第1の配線層上に形成され、前記凹部を満たさない少なくとも1つのグラフェンシートと、
前記少なくとも1つのグラフェンシート上に形成され、前記凹部を満たす絶縁層と、
前記少なくとも1つのグラフェンシートのシート面内方向の端部に接触するコンタクトプラグと
を具備する配線構造を有する装置。
【請求項3】
第1の溝を有する絶縁層と、
前記第1の溝内に形成され、上部に凹部を有する銅を含む第1の配線層と、
前記第1の配線層の前記凹部の内面上及び前記凹部以外の前記第1の配線層上に形成され、前記凹部を満たす少なくとも1つのグラフェンシートと、
前記少なくとも1つのグラフェンシートのシート面内方向の端部に接触するコンタクトプラグと
を具備する配線構造を有する装置。
【請求項4】
第1の溝を有する絶縁層と、
前記第1の溝の内面上に形成され、前記第1の溝を満たさないコバルトを含むバリアメタル層と、
前記バリアメタル層上に形成され、上部に凹部を有し、前記凹部内の一部で前記バリアメタル層を被覆しない銅を含む第1の配線層と、
前記第1の配線層の前記凹部の内面上に形成される少なくとも1つのグラフェンシートと
を具備する配線構造を有する装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置において、さらに、前記絶縁層の第2の溝内に形成される銅を含む第2の配線層と、前記第2の配線層上に形成され、下端が前記第2の溝の上端よりも上にある少なくとも1つのグラフェンシートとを具備することを特徴とする装置。
【請求項1】
第1の溝を有する絶縁層と、
前記第1の溝内に形成され、上部に凹部を有する銅を含む第1の配線層と、
前記第1の配線層の前記凹部の内面上に形成される少なくとも1つのグラフェンシートと
を具備する配線構造を有する装置。
【請求項2】
第1の溝を有する絶縁層と、
前記第1の溝内に形成され、上部に凹部を有する銅を含む第1の配線層と、
前記第1の配線層の前記凹部の内面上及び前記凹部以外の前記第1の配線層上に形成され、前記凹部を満たさない少なくとも1つのグラフェンシートと、
前記少なくとも1つのグラフェンシート上に形成され、前記凹部を満たす絶縁層と、
前記少なくとも1つのグラフェンシートのシート面内方向の端部に接触するコンタクトプラグと
を具備する配線構造を有する装置。
【請求項3】
第1の溝を有する絶縁層と、
前記第1の溝内に形成され、上部に凹部を有する銅を含む第1の配線層と、
前記第1の配線層の前記凹部の内面上及び前記凹部以外の前記第1の配線層上に形成され、前記凹部を満たす少なくとも1つのグラフェンシートと、
前記少なくとも1つのグラフェンシートのシート面内方向の端部に接触するコンタクトプラグと
を具備する配線構造を有する装置。
【請求項4】
第1の溝を有する絶縁層と、
前記第1の溝の内面上に形成され、前記第1の溝を満たさないコバルトを含むバリアメタル層と、
前記バリアメタル層上に形成され、上部に凹部を有し、前記凹部内の一部で前記バリアメタル層を被覆しない銅を含む第1の配線層と、
前記第1の配線層の前記凹部の内面上に形成される少なくとも1つのグラフェンシートと
を具備する配線構造を有する装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置において、さらに、前記絶縁層の第2の溝内に形成される銅を含む第2の配線層と、前記第2の配線層上に形成され、下端が前記第2の溝の上端よりも上にある少なくとも1つのグラフェンシートとを具備することを特徴とする装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2012−80014(P2012−80014A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226017(P2010−226017)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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