説明

複素環がグラフトされたモノマー及び関連するポリマー、並びにハイブリッド無機−有機ポリマー膜

少なくとも一つの複素環を有し、プロトン交換膜(PEM)の製造に使用できるポリマー、ポリマー先駆体及び他の材料を記載する。代表的な例において、該複素環はフッ素化されたイミダゾール環である。該複素環は低い値のpKaを有するために選択でき、及びトリアゾール環、他の窒素含有複素環又はこれらの誘導体であってもよい。ポリマー及び複合物が優秀なプロトンで伝導性をもって調製された。これら材料の適用は、燃料電池及び他のイオン伝導性用途を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連する出願への参照)
この出願は、2004年1月27日に出願した米国仮出願第60/539,641号、及び2004年9月30日に出願した第60/614,814号に基づく優先権を主張する。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、ポリマーを含む、複素環を含んだ化合物に関する。
【0003】
(発明の背景)
プロトン電解質膜(PEM)は、燃料電池、水素分離/精製、炭化水素燃料の改質/部分的な酸化、汚染物質の除去、ガス検知、並びにエネルギーの貯蔵及び転換に関連する他の方法の構成要素である。種々の電解質膜が長年研究されてきたにも関わらず、現存する膜はいまだ性能において多くの適用に適していない。
最も広く使用されているペルフルオロスルホンポリマー(主にNafion(登録商標))は、重大な不利益、例えば100℃以上における水の損失による低いプロトンの伝導性、大量の燃料クロスオーバー、水の含量による寸法変化、高いコスト及び燃料電池の使用状況下における−SO3H基の還元を有する。
これらの制限は、ナノメーターサイズの吸湿性の金属酸化物を有するポリマー電解質、スルホン化された芳香族ポリマー膜、ポリマー−H3PO4膜、並びにH3PO4、ヘテロポリ酸及び−SO3H基を含む、プロトン伝導性成分でドープしたハイブリッド無機−有機コポリマー膜を含む、多数の他のプロトン伝導性膜の開発を刺激した。
【0004】
近年開発された全ての上記プロトン伝導性膜の中で、ポリベンズイミダゾール(PBI)−H3PO4膜は、最良の性能を有する。PBI−H3PO4膜は、150℃より高い温度での高いプロトン伝導性、良好な機械的特性及び高い温度安定性を有する(J.Electrochem. Soc.1995,Vol.142,p.L121)。しかしながら、PBI−H3PO4膜において、特にH3PO4含量が高い場合、H3PO4は該純粋な有機ポリマー膜から容易に溶脱し得る。
一方、H3PO4の含量が過度に高い場合、該機械的特性は低下する。ポリビナゼン−H3PO4は、150℃から200℃で高いプロトン伝導性を有することが報告されたが、酸性条件下における−CN基の分解が、燃料電池における電解質材料としてのその適用を制限する(Abstract of ECS meeting,Orlando,FL,USA,October,2003)。
【0005】
より最近では、柔軟な側鎖で終わるイミダゾールを有するポリスチレンが合成された。該ポリスチレンは、400℃まで熱的に安定であったが、プロトン伝導性は、PEM燃料電池で使用するには低すぎる(200℃で〜10-4S/cm、Electrochimica Acta,48,2165,2003)。
従って、低い湿度における高いプロトン伝導性、高密度構造及び良好な機械的特性を有する新規の電解質膜の開発は、いまだ、高い温度のPEM燃料電池及び他の電気化学的方法の開発を成功させる鍵である。
【0006】
(発明の概要)
ポリマー及びポリマー先駆体を含み、少なくとも一つの複素環を有し及びプロトン交換膜(PEM)の製造に有用な化合物が記載される。代表的な例において、該複素環はフッ素化されたイミダゾール環である。他の代表的な例において、該複素環は、低い値のpKaを有するように選択され、及びトリアゾール環、他の窒素含有複素環又はこれらの誘導体であっても良い。良好なプロトン伝導性が得られ、かつ該材料を用いて製造されたPEMは、燃料電池及び他イオン伝導の適用において使用できる。
【0007】
(発明の詳細な説明)
ハイブリッド無機−有機コポリマーを含むポリマー、及びポリマー先駆体が記載され、これらは向上したプロトン伝導性を有するプロトン交換膜(PEM)において使用できる。
本明細書において、用語“ポリマー”は、一般的にポリマー及びコポリマーを意味するために用いられる。用語“ポリマー”は、ハイブリッド無機−有機ポリマー、例えば有機の修飾をされたシリカも意味する。複素環がグラフトされたポリマーにおけるような、用語“グラフトされた”は、ポリマー骨格に結合した基を意味し、かついかなる特定の合成方法により得られた材料にも制限されない。ポリマー先駆体は、重合でき又は他の先駆体と共に共重合できる。
略語PEMは、ポリマー電解質膜としても知られるプロトン交換膜を意味する。これら膜は、燃料電池においてプロトン伝導性材料として通常用いられる。本発明に従うポリマー及び他の化合物は、向上したPEMにおいて使用できる。PEMは、機械的、電気的又は他の特性を向上させるために選択された他の材料を含んでも良い。
【0008】
それ故、本発明に従う化合物は一般構造X−Y−Zを有し、ここでXは複素環を含み、Yは結合基であり、及びZは重合可能な基、他の官能基又はポリマー骨格である。結合基Yは、2以上の炭素原子を有するアルキル鎖を含んでも良い。基Zは重合可能な基、例えばビニル基、エポキシ基又は加水分解可能なシリコン含有基であり得る。代わりに、Zはポリマー、例えば有機ポリマー骨格又はポリマーネットワーク、例えばハイブリッド無機−有機マトリックスを含んでも良い。
複素環を含む基Xは、窒素含有複素環、例えばイミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリジン、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、ピリミジン又はこれらの誘導体を含んでも良い。基Xは、さらに、複素環に結合した1以上の電子吸引基を含んでも良い。電子吸引基は化学技術において周知であり、該基の全てを本明細書では言及しない。電子吸引基の例は以下を含む:フッ素原子、フッ素含有基(例えばフルオロアルキル基、例えばトリフルオロメチル、他のペルフルオロアルキル基、−CF2−、−CHF−、−CHF2−、−CH2F−を含む他の基等)、他のハロゲン原子(例えば塩素)、他のハロゲン化基(例えばCClF2)又は他の電子吸引基、例えば−SO2、−NO2及び−CN。それ故、本発明の例において、複素環は、置換基のような電子吸引基を1以上有する、窒素含有複素環であり得る。
【0009】
基Xは、孤立電子対を提供する少なくとも一つの原子、例えばN、O又はSを有する複素環を含むことができる。複素環は、1以上の窒素原子、又はN、O及び/又はSのいくつかの組み合わせを含んでも良い。X基は、縮合しても縮合していなくても良い1以上の環構造、及び該環構造に1以上の置換基を含んでも良い。
基Xは、7より低い、例えば約5より低い、例えば約3より低いpKaを有する複素環であっても良い。ここで、pKa=−log(Ka)、及びKaはプロトン化された複素環の自己解離の平衡定数として定義され、及び本発明において挙げられる全てのpKa値は、25℃の水中で測定された。例えば、Xは、約3より低いpKaを有するフッ素化されたイミダゾール環、例えば2−フルオロ−1−H−イミダゾールを含んでもよい。本発明の他の例において、複素環は上記検討したX基の例であっても良い。
それ故、向上したPEM(ポリマー電解質膜)は、結合基を通してポリマーに結合した窒素含有複素環、約3より低い、例えば2.6より低いpKaを有する窒素含有複素環を有するポリマーを含む。
【0010】
本発明に従う向上したPEMの他の例は、酸性基を含むポリマー及び結合基により第二の複素環に対して柔軟に相互に連結した第一の複素環を有する化合物を含むプロトン伝導性複合体である。該複素環は、同一又は異なってよく、かつ少なくとも一つの複素環は、窒素含有複素環であっても良い。例えば、該化合物は、一以上の有機基、例えばアルキル基又は他の柔軟な鎖により相互に連結された、少なくとも二つの窒素含有複素環を有しても良い。該酸性基を含むポリマーは、スルホン化されたポリマー、例えばNafion(登録商標)であり得る。例えば、該結合基は、5と20の間の原子により形成された鎖、例えばアルキル鎖であっても良い。
本発明に従う化合物の例において、イミダゾール環はフッ素化され、フッ素化イミダゾール末端側鎖を有する新たなポリマー(ハイブリッド無機−有機コポリマーを含む)を合成した。イミダゾール環のフッ素化は、イミダゾール環のプロトンの活性を増加する。例えば、イミダゾールのpKa値は6.99であるが、2−フルオロ−1−H−イミダゾールの値は2.44である。これらポリマー(コポリマーを含む)及び酸性基(遊離形態又はポリマー骨格に結合した)をベースとするプロトン電解質膜(PEM)は、高いプロトン伝導性、優秀な機械的特性、及び高い熱安定性を示す。
【0011】
さらに、低いpKa値を提供し、及びプロトン若しくはプロトン供与体(例えば水及び/又はリン酸)、又は向上したポリマー膜における他のプロトン伝導性基に対する溶媒として作用できる複素環及び置換された複素環が記載されている。
本発明の例において、新たなポリマー、例えばハイブリッド無機−有機コポリマー、又は複合物は、適切なpKa値を有する複素環基を含む。複素環の例は、一以上の窒素原子を含み、かつ低いpKa値に関連する。該環構造は、芳香族環であっても良い。
複素環の例は、1H−1,2,4−トリアゾール(pKa=2.4)、1H−1,2,3−トリアゾール(pKa=1.2)、1H−ベンゾトリアゾール(pKa=1.2)、2−F−1H−イミダゾール(pKa=2.44)、2,4,5−トリフルオロ−1H−イミダゾール(pKa=3.71)、4−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール(pKa=2.26)、プリン(pKa=2.52)、ピラゾール(pKa=2.61)、ピリミジン(pKa=1.30)、ピラジン(pKa=0.60)、ハロゲン化ピリジン(pKa=Cl−で+0.49、F−で−0.44)。
【0012】
例えば、1H−1,2,3−トリアゾール(又は異性体2H−1,2,3−トリアゾール)及び式1で図示するようなその有機誘導体は、イミダゾールよりも低いpKa値を有し、かつ、イミダゾールよりも酸化条件下においてより安定であり、該材料における効果的なプロトン伝導性基として作用できる。窒素含有複素環の誘導体は、1以上の有機置換基、例えば以下の例において述べるものを有する複素環を含む。
イミダゾール環は、典型的な燃料電池の動作状況下で、容易に酸化され得る。同じく、イミダゾール及び該酸化された生成物は、Pt電極に吸着して、電気化学的反応の活性箇所を遮断し、しばしばPt電極の毒作用を招く傾向がある。それ故、イミダゾール含有膜を用いる電気化学的機能の燃料電池は、製作することが困難である。
イミダゾール環のフッ素基は、イミダゾール環におけるN原子の電子密度をより低くする強力な電気吸引効果を有する。結果として、フッ素化されたイミダゾールは、プロトン伝導に対するよりいっそう活性なN−H基を有する。同様にPtに対するフッ素化されたイミダゾールの結合エネルギーは、イミダゾールのエネルギーよりもよりいっそう低い。フッ素化されたイミダゾールのより低い電子密度のために、その電気化学的な安定性は、イミダゾールの安定性と比較してより高くなることが期待される。これらは他のハロゲン化された複素環に関しても存在することができる。
それ故、向上したポリマー又はポリマーの先駆体の例は、複素環、例えば約3より低い、例えば約2.6以下のpKaを有する窒素含有複素環(例えばピラゾール)を含む。
【0013】
【化1】

上の式1(1−1及び1−2)は、本発明に従うポリマー又はコポリマーに取り込んでも良い例示の複素環含有化合物の可能な構造を示す。式1−1は1H−1,2,3−トリアゾール及びそれらの誘導体を表し、式1−2は2H−1,2,3−トリアゾール及びそれらの誘導体を表す。R基は、C4及び/又はC5の環であり得る。R基は、例えば水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、芳香族基、アルコキシル、エステル、スルホン、ケトン、チオ、チオール、アミノ、シリル、又は他の柔軟な鎖及び/又は官能基(例えば重合可能な基)を含んでも良いが、これらに限定されない。Rは、ポリマー骨格に結合した結合基であっても良い。
【0014】
分子構造、例えば式1に示すようなものは、ポリマー上にグラフトし得る。例えば、先駆体が式1により表され、及び重合又は共重合によりポリマーネットワークにおいて含まれる構造を有していても良い。R基は、重合され、共重合され又は現存するポリマーネットワークに対して付加できる官能基を含んでも良い。
2以上の置換基が存在してもよく、これらは同一又は異なっても良い。例えば、一の置換基がハロゲンであってもよく、他の置換基が結合基であり得、例えば一の置換基がハロゲン含有アルキル基であってもよく、他の二つの官能基が、重合のための官能基を含む結合基であっても良い。Rは結合基、例えば有機鎖、例えばポリマー鎖又はハイブリッド有機−無機マトリックスに対して複素環を結合する炭化水素鎖であっても良い。Rは、一以上の他の複素環(これらは同一又は異なり得る)に複素環を結合しても良い。Rは、複素環のpKaを変更するために選択された置換基であっても、該置換基を含んでも良い。他の例は、本明細書から明らかであろう。
【0015】
これら複素環(自由分子として、固定化された分子として、又は有機鎖を通してポリマー若しくはコポリマー骨格にグラフトされた)を含むポリマー又はコポリマーをベースとするポリマー電解質膜(PEM)は、高いプロトン伝導性、優秀な機械的特性、及び高い熱安定性を示す。
複素環(例えば低pKa値の複素環)は、式2−1及び2−2において示すように、柔らかい(柔軟な)有機鎖を通して、2以上の複素環を共に結合することにより、実質的に固定化され得る(例えばPEM中で)。固定化された複素環は、スルホネート化した又はホスホネート化したポリマー又はコポリマーマトリックス中に分散できる。加えて、これらは無機又は有機酸と混合して、高いプロトン伝導性の材料を得ることができる。
【0016】
R−(Htc)n (式2−1)
上記式2−1において、Htcは複素環;n≧1;及びRは有機鎖、例えば基又は元素としてCH2、−C64、CF2、CHF、O及び/又はS等を含む鎖である。
(Htc)−R−(Htc) (式2−2)
上記式2−2は、他の代表例を示し、該例において一組の複素環Htc(同一又は異なってもよい)は、鎖Rにより結合される。他の例において、3以上の複素環が、直線状(例えばHtc−R−Htc−R−Htc;各Htc、各Rは同一又は異なり得る)、星形、環状又は他の形状で結合されても良い。
【0017】
下の式3(3−1 〜 3−4)は、本発明に従う、複素環がグラフトしたポリマー又はコポリマーの一般構造を図示する。ここで、Htcは複素環を表し、;R1及びR4はC1からC20を有する直鎖状有機鎖であってよく;R2及びR3は、有機化合物単位であってよく;A1は酸性基であり得;並びにm及びnはポリマー又はコポリマーにおける単位の数である。R基は同一又は異なってもよい。
【化2】

グラフトされた複素環を有するポリマー(コポリマーを含む)は、式3(3−1から3−4)において示す一般構造を有するポリマーを含む。例示のポリマーの主鎖は、ポリアルケン(R2,R3=−CRCR’R’’−)、ポリエポキシ(R2,R3=−CRCR’R’’O−)、ペルフルオロアルケンポリマー(R2,R3=−CF−CF2−)、ポリシロキサン、ポリ−p−フェニレン、ポリフェニレンオキシド、ポリ−p−フェニレンスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ユーデルポリスルホン(Udel polysulfone)又はポリベンズイミダゾールを含んでも良いが、これらに限定されない。
【0018】
構造、例えば式3−3において、ポリマー骨格は、少なくとも一つの複素環を含み、及び一以上の複素環を含む繰り返し単位を含んでも良い。
低湿度環境下において膜のプロトン伝導性を高めるために、2種類の複合物材料を作ることができる:
(a)本発明に従うポリマー、例えば式3に示すようなものが、H3PO4、H2SO4、CF3SO2NHSO2CF3、CF3SO3H、CH3SO3H、CF3PO32及び/又は他の酸を含むがこれに限定されない添加された(例えば吸収により)酸を有することができる;
(b)本発明に従うポリマー、例えば式3に示すようなものが、スルホネート化、ホスホネート化又は他の酸性基を含むプロトン伝導性ポリマー又はコポリマーと混合できる。スルホネート化したポリマー又はコポリマーは、ポリ(スチレンスルホン酸)、スルホネート化したポリエーテルエーテルケトン(S−PEEK)、ペルフルオロスルホン酸及びスルホネート化したポリフェニレンスルフィド(S−PPS)を含むが、これに限定されない。
複合物は、本発明に従ういかなるポリマーを含んで形成しても良い。
【0019】
以下の式4(4−1から4−4まで)は、本発明に従う例示的なハイブリッド無機−有機コポリマーネットワークの一般構造を図示する。ここで、Htcは複素環であり;R1はC1からC20を有する直鎖状有機鎖であり得;R2、R4及びR6は、C1からC20を有する有機基であり得;R3及びR5は、飽和した直鎖状又は分枝状の鎖を有する有機化合物であり得;及びAは酸性基であり得る。
【化3】

【0020】
例示の化合物は、ハイブリッド無機−有機ポリマー骨格上にグラフトされた、1種以上の複素環を含むことができる。いくつかの可能な構造の種類のハイブリッド無機−有機コポリマーは、式4により表される。酸性基、例えば無機酸基が、ポリマー骨格に結合してもよい。
複素環末端有機側鎖を有するハイブリッド無機−有機コポリマーは、ある溶媒、例えばメタノール、エタノール及びTHF中で、他のアルコキシシラン及び有機鎖形成剤としての先駆体と共に、対応する複素環がグラフトされたアルコキシシランを、触媒としての塩酸を有する水によって加水分解することにより合成された。該膜の製造方法は、我々が以前発表した発明又は特許出願において記載されており、例えば2003年1月14日に出願した米国仮特許出願第60/439,985号であり、これは参照により本明細書に取り込まれる。
【0021】
本発明に従う他の化合物において、イミダゾール環はフッ素化され、フッ素化されたイミダゾール末端側鎖を有する新たなポリマー又はハイブリッド無機−有機コポリマーが提供された。イミダゾール環のハロゲン化は、イミダゾール環のプロトンの活性を増加させることができ、プロトン伝導性を増加させる。フッ素化されたイミダゾール環及び無機酸基(遊離酸分子、又はポリマー骨格に結合した酸性基として)を取り込んだ本発明に従うポリマーを用いて製造されたプロトン電解質膜(PEM)は、高いプロトン伝導性、優秀な機械的特性及び高い熱安定性を示す。
【0022】
式5(5−1及び5−2)は、該フッ素化されたイミダゾール環がグラフトされたポリマーの例を図示する。ポリマーの主鎖は、基、例えばポリアルケン(R2,R3=−CRCR’R’’−)、ポリエポキシ(R2,R3=−CRCR’R’’O−)、ペルフルオロアルケンポリマー(R2,R3=−CF−CF2−)等を含んでも良いが、これらに限定されない。
式5において、A1及びA2は−H、−F、−CF3又は−C25基であり得、A1及びA2の少なくとも一つはF又はフッ素含有基であり;R1及びR4はC1からC20(1−20炭素原子)を有する直鎖状有機鎖であり得;R2及びR3は、有機化合物単位であり;A3は酸性基であり;並びにm及びnはポリマー又はコポリマーにおける単位の数である。
【0023】
【化4】

低湿度の環境下において式5のポリマーを用いて形成された膜のプロトン伝導性を高めるために、該ポリマーはH3PO4、HSO4、CF3SO2NHSO2CF3、CF3SO3H、CH3SO3H、CF3PO32等を含むがこれらに限定されない酸を吸収できる。酸はポリマー骨格に結合でき、又は遊離の酸分子として含まれてもよく、ポリマー膜に吸収されてもよく、又は酸性基含有ポリマー若しくは他の化合物で形成された複合物であっても良い。
【0024】
以下の式6(6−1から6−4)は、ハイブリッド無機−有機コポリマーの例を示す。ここで、A1及びA2は−H、−F、−CF3、−C25基又は同様のものであり得、A1及びA2の少なくとも一つが、−F又はフッ素含有基であり;R1はC1からC20(1−20の炭素原子)を有する直鎖状有機鎖であり得;R2、R4及びR6はC1からC20を有する有機基であり;R3及びR5は直鎖状又は分枝状の飽和鎖を有する有機基であり;及びA3は酸性基である。有機基は同一又は異なってよい。
【化5】

【0025】
式6(6−1から6−4)は、本発明に従う、いくつかの可能な一般構造の種類のハイブリッド無機−有機コポリマーを示す。フッ素化されたイミダゾール環末端有機側鎖を有するハイブリッド無機−有機コポリマーは、ある溶媒、例えばメタノール、エタノール及びTHF中で、他のアルコキシシラン及び有機鎖形成剤としての先駆体と共に、対応するフッ素化されたイミダゾールをグラフトしたアルコキシシランの、触媒として塩酸を有する水による加水分解によって合成された。該膜の製造方法は、我々が以前発表した発明又は特許出願(例えば、2003年1月14日に出願した、米国仮特許出願第60/439,985号)において記載されている。低湿度環境下における該膜のプロトン伝導性を高めるために、式6に示すこれらポリマー又はコポリマーは、H3PO4、HSO4、CF3SO2NHSO2CF3、CF3SO3H、CH3SO3H、CF3PO32及び他の酸を含むが、これらに限定されない酸を吸収できる。
【0026】
フッ素化されたイミダゾール環を含む先駆体
式7は、フッ素化されたイミダゾール環を含むポリマー又はコポリマーの先駆体の一般構造を示し、ここで、重合のための官能基Bは基、例えば、アルケン基(−CR=CR’R’’)、エポキシ基(−CR(O)CR’R’’)又はペルフルオロアルケン基(−CF=CF2)であって良いが、これらに限定されない。該先駆体の特定の例は以下を含む:2−(ブタ−3−エニル)−5−フルオロ−1H−イミダゾール、5−フルオロ−4−(2−(オキシラン−2−イル)エチル)−1H−イミダゾール、5−フルオロ−4−(2,2,3,4,4−ペンタフルオロブタ−3−エニル)−1H−イミダゾール。
【化6】

上記式7は、フッ素化されたイミダゾール環を含むポリマー又はコポリマーの先駆体の例を図示する。ここで、A1及びA2は、−H、−F、−CF3及び−C25基であり得、A1及びA2の少なくとも一つが−F又はフッ素含有基であり;R1、R2はC1からC20(1−20の炭素原子)を有する直鎖状有機鎖であり;及びB、B1及びB2は官能基(例えば重合可能な基)である。
【0027】
フッ素化されたイミダゾールを含むモノマー及びポリマーの合成
以下の例は、フッ素化されたイミダゾール環を含むポリマー又はコポリマーの先駆体を得るための、可能な合成方法を図示する。
該先駆体は、1H−イミダゾール−4−カルボキシリック−5−アミノ−エチルエステルから合成された1H−イミダゾール−4−クロロメチル−5−フルオロエチルエステル又は1H−イミダゾール−4−クロロメチル−2,5−フルオロ−エチルエステルから合成された。いくつかの場合において、化学物質は、ゼリンスキー研究所から得られた。該合成方法は、J.Am.Chem.Soc.95(14),4619−24,1973及びJ.Org.Chem.49(11),1951−54,1984において記載されている。いくつかの特定の例示的な先駆体は、以下のように合成された。
【0028】
例1
2−(3−ブテニル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾールの合成(式8):
MeOH(6ml)中の3−ジメチルヒドラゾン−1,1,1−トリフルオロ−2プロパノン(1ミリモル)及びNH4OAc(1ミリモル)の溶液中に、4−ペンテナール(2ミリモル)を添加した。該混合物を室温で1時間、次いで、50℃で48時間攪拌した。冷却後、100ml CH2Cl2を添加し、飽和Na2CO3溶液で洗浄した。溶媒を真空下で除去した。該残渣をシリカゲルカラム(ベンゼン/AcOEt=1/1)で分離した。収率:〜50%。
【化7】

【0029】
例2
2−(2,6−ジメチル−5−ヘプテニル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾールの重合(式9)。
攪拌棒を備えるフラスコに、2gの2−(2,6−ジメチル−5−ヘプテニル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール(J.Org.Chem.,1988,53,129に記載された方法で合成された)、10mgのAIBN及び10mlのDMFを添加した。該溶液を脱気し、70℃のオイルバスに3時間置いた。該材料を除去し、及び溶媒を真空排気により除去し、生成したポリマーを得た。ポリマー膜を形成するため、該ポリマーをDMFに再溶解し、テフロン(登録商標)板にキャストし、続いてT=80℃のオーブン中で乾燥した。該プロトン伝導性は、無水状態における80℃から160℃の範囲において、10-5S/cmから10-3S/cmであった。
【化8】

【0030】
例3
2−(3−ブテニル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾールの重合(式10)。
攪拌棒を備えたフラスコに、2gの2−(3−ブテニル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール、10mgのAIBN及び10mlのDMFを添加した。該溶液を脱気し、70℃のオイルバスに3時間置いた。該材料を除去し、溶媒を真空排気により除去して、生成したポリマーを得た。ポリマー膜を形成するために、該ポリマーをDMFに再溶解し、テフロン(登録商標)板にキャストし、続いてT=80℃のオーブン中で乾燥した。プロトン伝導性は、無水状態における80℃から160℃の範囲で10-5S/cmから10-3S/cmであった。
【化9】

【0031】
例4
2−(3−ブテニル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール及びジメチルペルフルオロ(3−ビニルオキシプロピル)ホスホネートの共重合(式11)。
攪拌棒を備えたフラスコに、2gの2−(3−ブテニル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール、3gのジメチルペルフルオロ(3−ビニルオキシプロピル)−ホスホネート、25mgのAIBN及び10mlの1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタンを添加した。該溶液を脱気し、70℃のオイルバスに20時間置いた。該材料を除去し、溶媒を真空排気により除去し、生成したポリマーを得た。−PO(OCH32基を−PO32に加水分解するために、濃縮HCl溶液(50ml)を該ポリマーと混合し、結果得られた混合物をT=90℃で12時間攪拌した。HCl溶液を真空下の真空排気により除去した。ポリマー膜を形成するために、該ポリマーをDMFに再溶解し、テフロン(登録商標)板にキャストし、続いてオーブン中で乾燥した。プロトン伝導性は、80℃から160℃の無水状態で、10-4S/cmから10-2S/cmである。
【化10】

【0032】
固定された複素環の合成
例5
5−(4−(3H−1,2,3−トリアゾール−4−イルチオ)ブチルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾールの合成(式12)。
20ミリモルの5−メルカプト−1H−1,2,3−トリアゾール(ナトリウム塩)を、20mlのエタノール中で攪拌しながら溶解した。10ミリモルの1,4−ジヨードブタンを5−メルカプト−1H−1,2,3−トリアゾール(ナトリウム塩)の溶液に滴下して添加し、一晩攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させた後、該残渣を50mlの純粋H2Oで3回、次いで50mlのヘキサンで3回洗浄した。最後に、該残渣を60℃のオーブン中で24時間乾燥させた。1.8gの生成物が白色固体として得られた。収率:70%。1H NMR(DMSO):δ(ppm)7.86(2H,s)、2.85(4H,m)及び1.66(4H,m)。
【化11】

【0033】
例6
5−(8−(3H−1,2,3−トリアゾール−4−イルチオ)オクチルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール(式13):
20ミリモルの5−メルカプト−1H−1,2,3−トリアゾール(ナトリウム塩)を、20mlのエタノールに攪拌しながら溶解させた。10ミリモルの1,8−ジヨードオクタンを、5−メルカプト−1H−1,2,3−トリアゾール(ナトリウム塩)の溶液に滴下して添加し、次いで一晩攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させた後、該残渣を50mlの純粋H2Oで3回、次いで50mlのヘキサンで3回洗浄した。最後に、該残渣を60℃のオーブン中で24時間乾燥させた。1.30gの生成物が、白色固体として得られた。収率:42%。1HNMR(DMSO):δ(ppm)7.88(2H,s)、2.86(4H,t,JH-H=7.14)、1.50(4H,m)及び1.20−1.31(8H,m)。
【化12】

【0034】
例7
3−(8−(1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルチオ)オクチルチオ)−1H−1,2,4−トリアゾールの合成(式14)。
20ミリモルの3−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾール(カリウム塩)を、20mlのエタノール中に攪拌しながら溶解させた。10ミリモルの1,8−ジヨードオクタンを、3−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾール(カリウム塩)溶液に、滴下して添加し、次いで一晩攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させた後、該残渣を50mlの純粋H2Oで3回、次いで50mlのヘキサンで3回洗浄した。最後に、該残渣を60℃のオーブン中で24時間乾燥した。1.1gの生成物が、白色固体として得られた。収率:30%。1HNMR(DMSO):δ(ppm)8.34(2H,s)、3.04(4H,t,JH-H=7.14)、1.61(4H,m)及び1.23−1.32(8H,m)。
【化13】

【0035】
例8
1,2−ビス(2−(3H−1,2,3−トリアゾール−4−イルチオ)エトキシ)エタンの合成(式15)。
10mlの1,2−ビス(2−ヨードエトキシ)−エタンを、20mlエタノール中の20ミリモルの5−メルカプト−1H−1,2,3−トリアゾール(ナトリウム塩)の溶液中に滴下し、次いで室温にて24時間攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させた後、該残渣をシリカゲルカラムで分離した。最初にヘキサン/酢酸エチル(1/3)で、次いで純粋な酢酸エチルでの溶離は、粘性の固体として2.70gの生成物を与えた。収率88%。1HNMR(CDCl3):δ(ppm)7.72(2H,s)、3.74(4H,t,JH-H=6.19)、3.65(4H,s)、3.07(4H,t,JH-H=6.19)。

【化14】

【0036】
例9
2−(4−(ピリミジン−2−イルチオ)ブチルチオ)ピリミジンの合成。
【化15】

20ミリモルの2−メルカプトピリミジンを、20mlのエタノール中に攪拌しながら溶解した。20ミリモルのEtOK(エタノール中に24質量%)を該溶液に添加し、5分攪拌した。次いで、約10ミリモルの1,4−ジヨードブタンを添加し、一晩攪拌した。白色の沈殿物を濾過により除去し、濾液中の溶媒を真空下で除去した。該得られた固体をCH2Cl2に溶解し、次いでSiゲルカラム(溶媒:容積で1酢酸エチル/1ヘキサン)で分離した。収率:86%。PyrC4の1HNMR(CDCl3):δ(ppm)8.50(4H,d,JH-H=4.77)、6.94(2H,t,JH-H=4.77)、3.20(4H,t,JH-H=6.93)及び1.91(4H,t,JH-H=6.93)。
【0037】
例10
4−(4−((1H−1,2,3−トリアゾール−4−イルチオ)メチル)ベンジルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール(式17):
20ミリモルの4−メルカプト−1H−1,2,3−トリアゾール(ナトリウム塩)を、20mlのエタノールに攪拌しながら溶解した。20mlエタノール中の10モルの1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼンを、4−メルカプト−1H−1,2,3−トリアゾール(ナトリウム塩)溶液に滴下して添加し、一晩攪拌した。白色の沈殿物を濾過により分離し、次いで10mlの純水で3回洗浄した。該生成した固体を、60℃で6時間乾燥し、2.8gの生成物を得た。収率:92%。3TriArの1HNMR(DMSO):δ(ppm)7.75(2H,s)、7.14(4H,s)及び4.09(4H,s)。
【化16】

【0038】
例11
約30ミリモルのトリエチルアミンを、20mlエタノール中の20ミリモルの3−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾールの混合物に滴下して添加し、次いで該溶液が透明になるまで攪拌した。20mlエタノール中の10ミリモルの1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼンを、上溶液に滴下して添加し、一晩攪拌した。白色沈殿を濾過により分離し、10mlの純水で3回洗浄した。該生成した固体を、60℃で6時間乾燥し、生成物として2.1gの白色粉末を得た。収率:69%。4TriArの1HNMR(DMSO):δ(ppm)8.50(2H,s)、7.25(4H,s)、4.27(4H,s)。
【化17】

【0039】
複素環がグラフトした先駆体の合成
ポリマー又はコポリマーの調製に使用できる複素環含有先駆体は、C1からC20、及び重合のための官能基を有する、直鎖状有機鎖を含むことができる。重合のための官能基の例は、アルケン基(−CR=CR’R’’)、エポキシ基(−CR(O)CR’R’’)、ペルフルオロアルケン基(−CF=CF2)を含んでも良いが、これらに限定されない。該先駆体の特定の例は、以下を含む:5−フルオロ−3−ビニル−1H−ピラゾール、4−(アリルオキシ)−2,3,5,6−テトラフルオロピリジン、4−(ブタ−3−エニル)−2−フルオロピリジン、2−(ブタ−3−エニル)ピラジン、2−(ブタ−3−エニル)−6−フルオロピラジン、2−(アリルチオ)−4−フルオロピリミジン、2−(アリルチオ)ピリミジン、1−アリル−1H−[1,2,3]トリアゾール。
【0040】
例12
5−(4−ビニルベンジルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾールの合成(式19)。
10ミリモルの4−メルカプト−1H−1,2,3−トリアゾール(ナトリウム塩)を、20mlのエタノール中に攪拌しながら溶解した。10ミリモルの4−ビニルベンゼンクロライドを添加し、一晩攪拌した。該沈殿物を濾過により除去し、濾液中の溶媒を真空下で除去した。得られた固体をSiゲルカラム(溶媒:容積で1酢酸エチル/1ヘキサン)で分離した。2.1gの生成物が得られた。1HNMR(CD3Cl):7.46(1H,s)、7.31(2H,d,JH-H=8.16)、7.18(2H,d,JH-H=8.16)、6.67(1H,m)、5.71(1H,d,JH-H=16.68)、5.22(1H,d,JH-H=11.68)、4.09(2H,S)。
【化18】

【0041】
例13
2−(4−ビニルベンジルチオ)ピリミジンの合成:10ミリモルの2−メルカプトピリミジンを20mlのエタノール中に攪拌しながら溶解した。10モルのEtOKを該溶液に添加し、5分間攪拌した。その後、10ミリモルの4−ビニルベンゼンクロライドを添加し、一晩攪拌した。該白色の沈殿物を濾過により除去し、濾液中の溶媒を真空下で除去した。得られた液体を、Siゲルカラム(溶媒:1酢酸エチル/3ヘキサン)で分離した。2.1gの生成物を得た。収率:92%。1H NMR(CD3Cl):8.51(2H,d,JH-H=4.60)、7.38(4H,m)、6.94(1H,t,JH-H=4.60)、6.68(1H,m)、5.70(1H,d,JH-H=17.58)、5.21(1H,d,JH-H=10.95)、4.40(2H,s)。
【化19】

【0042】
例14
3−(4−ビニルベンジルチオ)−1H−1,2,4−トリアゾールの合成(式21):
10ミリモルの1H−1,2,4−トリアゾール−3−チオールを、20mlエタノール中に攪拌しながら溶解した。10モルのEtOKを該溶液に添加し、5分間攪拌した。次いで、10ミリモルの4−ビニルベンゼンクロライドを添加し、一晩攪拌した。該白色沈殿物を濾過により除去し、濾液中の溶媒を真空下で除去した。該濾液をSiゲルカラム(溶媒:4酢酸エチル/1ヘキサン)で分離した。白色固体として1.79gの生成物が得られた。収率:83%。1HNMR(CD3Cl):8.73(1H,s)、7.36(4H,m)、6.75(1H,m)、5.85(1H,d,JH-H=17.66)、3.25(1H,d,JH-H=10.93)、4.31(2H,S)。
【化20】

【0043】
例15
2−(アリルチオ)ピリミジンの合成(式22)
【化21】

10ミリモルの2−メルカプトピリミジンを、20mlのエタノールに攪拌しながら溶解させた。10モルのEtOKを、該溶液に添加し、5分攪拌した。最後に、約20ミリモルの(30ミリモル以下)の3−クロロプロピレンを添加し、一晩攪拌した。該白色沈殿物を濾過により除去し、濾液中の溶媒を真空下で除去した。該得た粘性液体をSiゲルカラム(溶媒:1酢酸エチル/3ヘキサン)で分離した。1HNMR(CD3Cl):δ(ppm)8.39(2H,d,JH-H=4.74)、6.86(1H,t,JH-H=4.74)、5.89(1H,m)、5.20(1H,d,JH-H=17.00)、5.00(1H,d,JH-H=9.97)、3.71(2H,d,JH-H=6.83)。収率:90%。
【0044】
例16
5−(ペンタ−4−エニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾールの合成
5−ブロモペンタ−1−エン(10ミリモル)及びNaIを、30mlのMeOHに溶解し、室温で12時間攪拌した。10ミリモルの5−メルカプト−1H−1,2,3−トリアゾール(ナトリウム塩)を上溶液に添加し、さらに24時間攪拌した。該溶媒MeOHを真空下で蒸発させた後、ヘキサンと酢酸エチルの混合物(1/1容積)100mlを添加し、5分間攪拌した。該沈殿物を濾過により除去した。濾液中の溶媒を、真空下で除去した。該残渣をSiゲルカラム(溶媒:容積で1酢酸エチル/1ヘキサン)で分離した。0.8gの生成物が、無色の油として得られた。収率47%。1HNMR(CDCl3):11.14(1H,brs.)、7.69(1H,s)、5.77(1H,m)、5.03(2H,m)、2.95(2H,t)、2.17(2H,m)、1.74(2H,m)。
【化22】

【0045】
例17
3−(ペンタ−4−エニルチオ)−1H−1,2,4−トリアゾールの合成。
5−ブロモペンタ−1−エン(10ミリモル)及びNaIを、30mlMeOH中に溶解し、室温で12時間攪拌した。10mlMeOH中の10ミリモルの3−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾール(カリウム塩)を上記溶液に添加し、さらに24時間攪拌した。溶媒MeOHを真空下で蒸発させた後、ヘキサン及び酢酸エチル(容積で1/1)の混合物100mlを添加し、5分間攪拌した。該沈殿物を濾過により除去した。濾液中の溶媒を真空下で蒸発させた。該残渣をSiゲルカラム(溶媒:容積で1酢酸エチル/1ヘキサン)で分離した。1.2gの生成物が、無色の油として得られた。収率:71%。1HNMNR(CDCl3):10.83(1H,brs.)、8.17(1H,s)、5.75(1H,m)、4.99(2H,m)、3.16(2H,t)、2.19(2H,m)、1.82(2H,m)。
【化23】

【0046】
例18
4−(アリルオキシメチル)−1H−1,2,3−トリアゾールの合成。
【化24】

200ミリモルのプロパルギルアルコール及び500ミリモルのNaOHを60mlのエーテル及び20mlのH2Oで混合し、アイスバスで冷却した。190ミリモルのp−トルエンスルホニルクロライドを、該溶液にゆっくりと添加した。1時間の攪拌後、結果として得られた混合物を、水で洗浄し、分離して及び減圧下で蒸発させた。180ミリモルのトシル化されたアリルアルコールが達成された。
15mlジオキサン及び3ml水中の60ミリモルのナトリウムアジドと混合した50ミリモルのトシル化したアリルアルコールを、室温で一晩攪拌した。次いで、アリルアルコール(17ml)及び水酸化ナトリウム(150ミリモル)を該溶液に添加し、70℃で一晩攪拌した。結果得られた溶液を、濃縮HClを用いて中和した。減圧下における蒸発の後、アセトンを添加し、塩を濾過により除去した。結果得られた混合物を蒸留した。150℃、26.66Pa(0.2torr)、10ミリモル4−(アリルオキシメチル)−1H−1,2,3−トリアゾールが達成された。
【0047】
例19
(1−(4−メトキシベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メタノールの合成
【化25】

110ミリモルの4−メトキシベンジルアルコールを、60mlジオキサン中に溶解し、150ミリモルSOCl2を該溶液にゆっくりと滴下した。該溶液を60℃で3時間攪拌し、減圧下で蒸発させた。EtOAcを添加し、及び結果得られた溶液を水で洗浄した。該分離した有機層は乾燥して、107ミリモルの1−(クロロメチル)−4−メトキシベンゼンを与えた。
【0048】
64ミリモルの1−(クロロメチル)−4−メトキシベンゼン及び90ミリモルのナトリウムアジドを、20mlのエタノール及び5mlの水に溶解し、室温で一晩攪拌した。CH2Cl2及び水を添加した。該有機層は、分離して、乾燥して48ミリモルの1−(アジドメチル)−4−メトキシベンゼンを与えた。
93ミリモルの1−(アジドメチル)−4−メトキシベンゼン、110ミリモルのプロパルギルアルコールを、230mltert−ブチルアルコール/H2O(1:1)溶液中で混合した。2mlの水に溶解させた1ミリモルCuSO4・5H2O及び10ミリモルのアスコルビン酸ナトリウム塩を、該溶液に添加した。該混合物を2日攪拌した。蒸発の後、該混合物をフラッシュカラムにより精製し、55ミリモルの(1−(4−メトキシベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メタノールを与えた。1HNMR(CDCl3):7.42(1H,s)、7.22(2H,d,JH-H=8.70)、6.88(2H,d,JH-H=8.70)、5.43(2H,s)、4.73(2H,s)、3.79(3H,s)。
【0049】
例20
1−(4−メトキシベンジル)−4−ビニル−1H−1,2,3−トリアゾールの合成。
【化26】

75ミリモル(1−(4−メトキシベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メタノールをCH2Cl2に溶解した。150ミリモルMnO2を、該溶液に添加し、次いで得られた混合物を室温で3日間攪拌した。濾過の後、CH2Cl2を蒸発により除去し、50ミリモル1−(4−メトキシベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルバルデヒドを達成した。1HNMR(CDCl3):δ(ppm)3.81(3H,s)、5.51(2H,s)、6.91(2H,d,JH-H=8.18)、7.25(2H、d、JH-H=8.18)、7.95(1H,s)、10.10(1H,s)。
【0050】
6ミリモルのメチルトリフェニルホスホニウムブロミドを、無水THF10mlに溶解した。窒素ガス下において、0℃で、n−ブチルリチウム(シクロヘキサン中で2M)3.5mlを、該溶液に添加し、混合物を室温で1時間攪拌した。5mlTHF中の4.6ミリモル1−(4−メトキシベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルバルデヒドを該溶液に添加し、一晩攪拌した。結果として得られた混合物をフラッシュカラムにより精製し、4.6ミリモル1−(4−メトキシベンジル)−4−ビニル−1H−1,2,3−トリアゾールを達成した。1HNMR(CDCl3):δ(ppm)3.80(3H,s)、5.30(1H,d,JH-H=)、5.51(2H,s)、6.91(2H,d,JH-H=8.18)、7.25(2H,d,JH-H=8.18)、7.95(1H,s)、10.10(1H,s)。
【0051】
複素環をグラフトしたアルコキシシランの合成
ハイブリッド無機−有機コポリマーの調製において使用しても良い、複素環含有先駆体が、式7において示される。特定の例は以下を含む:2−(3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ)−ピリミジン、2−(3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ)ピリミジン等。
【化27】

式28:複素環をグラフトしたポリマー。R1はC1からC20を有する直鎖状有機鎖;Mはアルコキシ、例えばC25O−又はCH3O−であり得;Aはアルキル、例えばC25−又はCH3−;Xは1、2又は3であり;及びy=1又は2(x+y=3)。
該先駆体は、1H−イミダゾール−4−クロロメチル、5−フルオロ−エチルエステル又は1H−イミダゾール−4−クロロメチル、2,5−フルオロ−エチルエステルから合成された。いくつかの特定の例示先駆体は、以下のように合成された。
【0052】
例21
5−(4−(2−(トリメトキシシリル)エチル)ベンジルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾールの合成(式29)。
10ミリモルの5−メルカプト−1H−1,2,3−トリアゾール(ナトリウム塩)を、20mlメタノールに溶解させ、5分間攪拌した。10ミリモルの((クロロメチル)フェニルエチル)−トリメトキシシランを該溶液に添加し、6時間攪拌した。該白色沈殿物を濾過により除去し、濾液中の溶媒を真空下で除去した。該濾液を少量のメタノールに溶解し、Siゲルカラム(溶媒:容積で5酢酸エチル/5ヘキサン)で分離した。液体として2.2gの生成物を得た。収率:64.8%。先駆体5の1HNMR(CDCl3):δ(ppm)7.47(1H,s)、7.12(4H,m)、4.06(2H,s)、3.55(9H,s)、2.69(2H,t,JH-H=8.50)、1.00(2H,t,JH-H=8.50)。
【化28】

【0053】
例22
3−(4−(2−(トリメトキシシリル)エチル)ベンジルチオ)−1H−1,2,4−トリアゾールの合成(式30)。
10ミリモルの3−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾールを、20mlエタノール中に溶解し、次いで10ミリモルEtOKを添加し、5分間攪拌した。10ミリモルの((クロロメチル)フェニルエチル)トリメトキシシランを該溶液に添加し、6時間攪拌した。該白色の沈殿物を濾過により除去し、濾液中の溶媒を真空下で除去した。得られた固体をメタノールに溶解し、Siゲルカラム(溶媒:容積で7酢酸エチル/3ヘキサン)で分離した。収率:53%。先駆体6の1HNMR(CDCl3):δ(ppm)8.09(1H,s)、7.19(4H,m)、4.29(2H,s)、3.55(9H,s)、2.72(2H,t,JH-H=8.50)、1.02(2H,t,JH-H=8.50)。
【化29】

【0054】
例23
4−((3−(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピルチオ)メチル)−2−フルオロピリジンの合成(式31)。
【化30】

10ミリモルの3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシランを、10mlエタノールに溶解し、次いで10ミリモルEtOKを添加し、5分間攪拌した。10mlのエタノール中の10ミリモルの2−フルオロピリジンを該溶液に添加し、30分間攪拌した。白色沈殿物を濾過により除去し、濾液中の溶媒を真空下で除去した。該生成物を短いSiゲルカラムで精製した。該溶媒は、容積で1:3酢酸エチル:ヘキサンである。1HNMR(CDCl3):δ(ppm)0.03(3H,s)、0.60(2H,m)、1.15(6H,m)、1.55(2H,m)、2.40(2H,m)、3.65(4H,m)、6.85(1H,s)、7.09(1H,d,JH-H=5.02)、8.08(1H,d,JH-H=5.02)。収率78%。
【0055】
例24
2−(4−(2−(トリメトキシシリル)エチル)ベンジルチオ)ピリミジン(式32
)の合成。
10ミリモルの2−メルカプトピリミジンを20mlのエタノールに溶解し、次いで10ミリモルEtOKを添加し、5分間攪拌した。10ミリモルの((クロロメチル)フェニルエチル)トリメトキシシランを該溶液に添加し、6時間攪拌した。白色沈殿物を濾過により除去し、濾液中の溶媒を真空下で除去した。該得られた粘性の液体を、Siゲルカラム(溶媒:1酢酸エチル/3ヘキサン)で分離した。1HNMR(CD3Cl):δ(ppm)8.50(2H,m,Pyr.−H)、7.25(4H,m,Ar−H)、6.95(1H,m,Pyr.−H)、4.38(2H,s −CH2−)、3.54(9H,s,−CH3)、2.70(2H,m,−CH2−)、0.99(2H,m,−CH2−)。収率:73%。
【化31】

【0056】
例25
2−(3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ)ピリミジンの合成(式33):
2−(3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ)ピリミジンを、2−メルカプトピリミジン及びヨードプロピルトリメトキシシランから、上記と同様の方法で合成した。1HNMR(CD3Cl):δ(ppm)8.62(2H,m,Pyr.−H)、7.11(1H,m,Pyr.−H)、3.57(9H,s,−CH3)、3.25(2H,m,−CH2−)、1.88(2H,m,−CH2−)、0.83(2H,t,JH-H=8.25,−CH2−)。収率:74%。
【化32】

【0057】
ポリマー、コポリマー及びハイブリッド無機−有機コポリマー膜の合成
例26
1−(4−メトキシベンジル)−4−ビニル−1H−1,2,3−トリアゾールの重合。
【化33】

4.6ミリモルの1−(4−メトキシベンジル)−4−ビニル−1H−1,2,3−トリアゾール及び0.05ミリモルのAIBNを、2mlのDMF中に溶解した。重合は、T=65℃で一晩行われた。重合の後、溶媒を減圧下で除去した。次いで、15mlのTFAを添加し、該混合物を70℃で10時間加熱した。蒸発及び酢酸エチルでの数回の洗浄の後、ポリマー(モノマー中の4.5ミリモル)が達成された。1HNMR(DMSO−d6):δ(ppm)2.13−2.22(−CH2CH−)、7.34−7.56(N−CH)。
図1は、Solid State Ion.138,259−265(2001)からのポリ(4−ビニル−1H−イミダゾール)と比較した、室温から120℃までの乾燥空気中における、ポリ(4−ビニル−1H−1,2,3−トリアゾール)のプロトン伝導性を示す。
【0058】
例27
ポリ(2−(4−ビニルベンジルチオ)ピリミジン)の合成、式35。
【化34】

【0059】
例28
ポリ(5−(4−ビニルベンジルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール)の合成、式43。
【化35】

【0060】
例29
スルホネート化されたポリスルホン(s−PSU)及び1H−1,2,3−トリアゾールの複合体膜。
スルホネート化されたポリスルホン(sPSU)は、以下のJohnson et al.の方法に従って、ジクロロエタン中でクロロスルホン酸を用いることにより調製した(J.Polym.Sci.,Polym,Chem.Ed.1984,22,721)。過剰なクロロスルホン酸を、ジクロロエタン、エタノール及び脱イオン水で数回洗浄する方法により除去した。sPSUをP25に関して120℃のオーブン中で2週間乾燥させ、次いでデシケーター中で保持した。sPSUのイオン交換容量(IEC)は、1H NMR及び逆滴定により決定した。該sPSUポリマー(1.40 mequiv/gのIEC)を、容易にポリマー中に介入し、これにより均一な膜を製造する、種々の量の液体1H−1,2,3−トリアゾール中に90℃で浸漬した。1H−1,2,3−トリアゾールで混合する前と後のポリマーの秤量により、割合n=[1H−1,2,3−トリアゾール]/[−SO3H]を計算した。全ての試料を、窒素雰囲気下においてP25で乾燥されたグローブボックス中で保持した。
図2は、無水状態において1H−1,2,3−トリアゾールでドープしたs−PSUのプロトン伝導性を示す。該材料のプロトン伝導性は、120℃で0.01S/cm、及び室温で10-4S/cmである。
【0061】
例30
スルホネート化されたポリスルホン(s−PSU)及び1H−1,2,4−トリアゾールの複合体膜。
sPSUポリマー(1.40mequiv/gのIEC)を、ポリマー中に容易に介入し、それにより均一な膜を製造する、種々の量の液体1H−1,2,4−トリアゾール中に120℃で混合した。1H−1,2,4−トリアゾールと混合する前及び後のポリマーの秤量により、割合n=[1H−1,2,4−トリアゾール]/[−SO3H]を計算した。全ての試料は、窒素雰囲気下においてP25で乾燥したグローブボックスに保持した。
図3は、無水状態における、1H−1,2,4−トリアゾールをドープしたs−PSUのプロトン伝導性を示す。該材料のプロトン伝導性は、140℃で5x10-3S/cm、及び100℃で1.5x10-3S/cmである。
【0062】
例31
4TriC4(式37を参照されたい)及び4−ドデシルベンゼンスルホン酸(C12PhSO3H)の複合体材料を調製。
【化36】

4TriC4及びC12PhSO3Hの混合物を、攪拌しながらメタノール中に共溶解し、次いで真空下において80℃で蒸発させることにより製造した。該混合物は、プロトン伝導性のために、ガラス瓶に密封した。
図4は、無水状態における4TriC4及びC12PhSO3Hの混合物のプロトン伝導性を表す。
【0063】
例32
異なる種類の酸、及び異なる濃度でドープした1H−1,2,3−トリアゾールの伝導性を、無水状態下の室温で測定した。結果得られた混合物は、高いイオン伝導性を示した。使用した酸は、ベンゼンスルホン酸(C65SO3H)、硫酸(H2SO4)、ジベンゼンスルホンイミド(C65SO2NHSO265)及びフェニルホスホン酸(C65PO32)を含んだ。
図5は、トリアゾールに対する酸の濃度割合(C/Cトリアゾール×100)を対象として、純粋な1H−1,2,3−トリアゾールに対する酸−トリアゾール混合物の伝導性割合(σトリアゾール+酸/σトリアゾール)を示す。図5にて示すように、酸−トリアゾール混合物の最も高い伝導性は、無水状態下の室温で約0.015S/cmである。
【0064】
例33
グラフトされた1H−1,2,4−トリアゾール及びホスホン酸を有するハイブリッド無機−有機コポリマー膜:
3−(4−(2−(トリメトキシシリル)エチル)ベンジルチオ)−1H−1,2,4−トリアゾール (Si4Tri)、ビス((3−メチルジメトキシシリル)プロピル)ポリプロピレンオキシド(MDSPPO)及びテトラエトキシシラン(TEOS)を、攪拌によりエタノールに溶解した。0.5N HCl水性溶液を該混合物に滴下して添加し、24時間攪拌し、次いでH3PO4のエタノール溶液をさらなる攪拌と共に6時間で滴下して添加した。該溶液をペトリ皿にキャストした。添加した水の量は、モル数で合計Siの4倍であった。
該膜を60℃で3日、80℃で3時間、次いで100℃で1時間乾燥させて、有機溶媒と水を蒸発させた。該試料は、xMDSPPO−y TEOS−z Si4Tri−mH3PO4のようにそれらのモル組成により分類し、ここで、x、y及びzはMDSPPO、TEOS、及びSi4TriからのSiのモル数、mはH3PO4のモル数をそれぞれ表す。xの値が1−2、yが2−4、zが3−6及びmが3−8である。プロトン伝導性は、無水状態において室温から150℃で、10-7S/cmから10-2S/cmで変動した。
図6は、複素環のグラフトがされていないこれらの膜と比較した、無水状態における2MDSPPO−y TEOS−z Si4Tri−5 H3PO4(y=3、2及び1;z=1、2及び3)の組成を有する膜のプロトン伝導性を示す。
【0065】
例34
ピリミジン末端側鎖及び−SO3H基末端側鎖を有するハイブリッド無機−有機コポリマー膜:3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸(S)、2−(4−(2−(トリメトキシシリル)エチル)ベンジルチオ)ピリミジン(SiPy)、ビス((3−メチルジメトキシシリル)プロピル)ポリプロピレンオキシド(M)、及びビス((トリエトキシシリル)オクタン(Oc)を、攪拌によりエタノール中に溶解した。0.5N HCl水性溶液を該混合物に滴下して添加し、さらに6時間攪拌した。最後に、該溶液をペトリ皿にキャストした。添加した水の量は、モル数で合計Siの4倍である。
該膜を、60℃で3日、80℃で3時間、次いで100℃で1時間乾燥させ、有機溶媒と水を蒸発させた。該試料は、xM−y Oc−z SiPy−m Sのように、それらのモル組成により分類し、ここでx、y、z及びmはM、 Oc、PPr及びSからのSiのモル数をそれぞれ表す。xの値は2−4、yが1−2、zが2−6及びmが2−6である。これらの膜は、乾燥空気中において240℃までの熱安定性である。プロトン伝導性は、種々の相対湿度において、室温から160℃で10-7S/cmから10-1S/cmで変動した。
【0066】
例35
1H−1,2,3−トリアゾール末端側鎖及び−SO3H基末端側鎖を有するハイブリッド無機−有機コポリマー膜:3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸(S)、5−(4−(2−(トリメトキシシリル)エチル)ベンジルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール(Si3Tri)、ビス((3−メチルジメトキシシリル)プロピル)ポリプロピレンオキシド(M)及びビス(トリエトキシシリル)オクタン(Oc)を、攪拌によりエタノール中に溶解した。0.5N HCl水性溶液を該混合物に滴下して添加し、次いでさらに6時間攪拌した。次いで、該溶液をペトリ皿にキャストした。添加した水の量は、モル数で合計Siの4倍である。該膜を、60℃で3日、80℃で3時間、次いで100℃で1時間乾燥し、有機溶媒と水を蒸発させた。試料は、xM−y Oc−z Si3Tri−m Sのようにそれらのモル組成により分類し、ここでx、y、z及びmは、M、Oc、Si3Tri及びSからのSiのモル数をそれぞれ表す。xの値は2−4、yが1−2、zが2−6及びmが2−6である。これら膜は、乾燥大気中で240℃までの熱安定性である。プロトン伝導性は、低い相対湿度において、室温から160℃までの温度で、10-7S/cmから10-1S/cmである。
【0067】
例36
フッ素化されたピリジン末端側鎖及び−SO3H基末端側鎖を有するハイブリッド無機−有機コポリマー膜:3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸(S)、4−((3−(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピルチオ)メチル)−2−フルオロピリジン(SiFP)、ビス((3−メチルジメトキシシリル)プロピル)ポリプロピレンオキシド(M)及びビス(トリエトキシシリル)オクタン(Oc)を、攪拌によりエタノール中に溶解した。0.5N HClの水性溶液を該混合物に滴下して添加し、次いでさらに6時間攪拌した。該溶液をペトリ皿にキャストした。添加した水の量はモル数で合計Siの4倍である。該膜を、60℃で3日、80℃で3時間、次いで100℃で1時間乾燥し、有機溶媒と水を蒸発させた。試料は、xM−y Oc−z SiFP−m Sのように、それらのモル組成により分類し、ここでx、y、z及びmは、M、Oc、SiFP及びSからのSiのモル数をそれぞれ表す。代表的な例において、xの値は2−4、yが1−2、zが2−6及びmが2−6である。これら膜は、乾燥空気中において、240℃までの熱安定性である。プロトン伝導性は、低い相対湿度における、室温から160℃までの温度で、10-7S/cmから10-1S/cmで変動した。
図7は、飽和MgCl2水性溶液の蒸気中において(80℃で相対湿度25%)、2M−2Oc−4S−2SiHc(Hc=3Tri、Py及びFP)の組成を有する複素環及び酸性基(−SO3H)でグラフトされた膜のプロトン伝導性を示す。
【0068】
例37
グラフトされた−SO3H基及び1H−1,2,4−トリアゾールを有するコポリマーの合成(式38):
【化37】

【0069】
他の例
本発明に従う例示の化合物(例えばモノマー及び他の低/中分子量化合物、ダイマー、オリゴマー、ポリマー(コポリマーを含む)、複合体等)は、複素環、例えば窒素含有複素環を含む。複素環は、5−又は6−員の単環構造、大環状構造、複環状構造又は他の環状構造であり得、各複素環は、例えば1、2、3又はそれ以上の窒素原子を含んでも良い。他の例において、孤立電子対を提供する一以上の他の原子が、環状構造において含まれても良い。
新たな熱安定性の複素環含有化合物は、高い動作温度を許容して、ポリマー電解質膜燃料電池(PEM FC)システムにおいて水を置換できる。
例えば、向上したPEMは、ポリマー膜、酸性基、及び有機鎖により相互に連結された2以上の窒素含有複素環を含む化合物を含む。該酸性基は、遊離酸性分子の一部であっても、又はポリマー膜に結合されてもよい。該ポリマー膜は、本発明に従うポリマー、我々の同時係属出願に従うポリマー、又は本技術で公知のポリマー、例えばNafion(登録商標)を含んでも良い。
【0070】
窒素含有複素環の例は、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン及びピロール、並びに閉環構造、例えばピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、フェナントロリン、フェナジン、シンノリン、フタラジン等を含む。他の例は、化学技術における当業者にとって明白であろう。
窒素含有複素環はさらに、環構造中に、酸素、硫黄、セレン、他のカルコゲニド、又は他の非炭素元素を含んでも良い。窒素含有複素環は、ハロゲン化、例えばフッ素化されても良い。複素環は、窒素含有型、酸素含有型又は硫黄含有型でも良い。
本発明に従う化合物は、複素環を含んでもよく、該複素環は1以上の非炭素原子、例えば窒素、酸素、硫黄及び/又は他の非炭素原子を含んでも良い。芳香族複素環が好ましくはあるが、複素環は芳香族であっても非芳香族であっても良い。複素環はハロゲン化、例えばフッ素化されていても良い。他の置換基は、以下で述べる。
【0071】
複素環は、1以上の置換可能な位置で、例えば以下から選択される基で置換されても良い:ヒドロキシ、アミノ、水素、ハロゲン(クロロ−、フルオロ−、ヨード−、ブロモ−)、メチル若しくは他のアルキル、芳香族、アルケニル、メトキシ若しくは他のアルコキシ、ニトロ、ニトロベンジル若しくは他の芳香族誘導体、エステル、スルホン、ケトン、チオ、チオール、アミル、アリル、アリルチオ、アリルオキシ、シアノ、シリル又は他の基又は基群の組み合わせ。1より多い置換基が存在する場合、該置換基は同一又は異なっても良い。置換基は、pKaをより低くするために選択されても良い。
本発明に従う例示の化合物は、7以下のpKaを有する(イミダゾールに相当する)、例えば約5.2以下のpKaを有する(ピリジンに相当する)、例えば約2.4以下のpKa(1H−1,2,4−トリアゾールに相当する)、例えば約1.2以下のpKa(1H−1,2,3−トリアゾールに相当する)を有する窒素含有複素環を含む。種々の複素環のpKa値の表は、化学技術において公知であり、本明細書では記載しない。使用されたpKaは、複素環構造単独に対するもの、又は複素環を含む分子若しくは類似分子(例えば、ポリマー側鎖)に対するものであっても良い。他の例において、複素環のpKaは、PEM環境のpH近傍以下となるように選択される。
【0072】
本発明に従う例示のポリマーは、さらに、ポリマー骨格に結合した無機酸基、及び/又は他のプロトン溶媒基、例えばイミダゾール及びこれらの誘導体、例えばフッ素化イミダゾール、例えば我々の同時係属特許出願において記載するようなものを含んでも良い。
本発明に従う例示のPEMは、さらに、遊離酸分子、水、不溶性無機酸塩等を含み、例えば我々の同時係属出願において述べているように、プロトン伝導性を高めても良い。酸性基、例えば遊離酸性分子の一部又はポリマー骨格に結合した酸性基は、化学技術において公知であり、かつ我々の同時係属出願中においてさらに考察されている。
本明細書に記載する化合物の適用は、イオン伝導性膜、例えばプロトン伝導性膜及びアルカリイオン伝導性膜を含む。他のPEMの用途は、我々の同時係属出願において開示されており、又は当業者にとって明らかであろう。向上した燃料電池が、少なくとも本明細書で開示した化合物を部分的に含む(又は用いて合成される)PEMを用いて製造できる。他の適用は、ダイレクトメタノール型燃料電池、エレクトロクロミック電池、コンデンサー及び他の電気化学的な装置を含んでも良い。本明細書に述べたポリマーを含むPEMは、乾燥大気中においてより高い温度で高いプロトン伝導性を;良好な機械的特性を;及び高い熱安定性を提供する。
【0073】
この明細書において言及した特許、特許出願又は出版物は、各個々の文書が特定に及び個々に、参照により取り込まれるべきものとして示される場合と同じ程度に参照され、本明細書に取り込まれる。特に、米国仮特許出願第60/539,641、60/614,814及び60/439,985、並びにPEMに関する我々の他の同時係属出願(例えば国際出願第PCT/US2004/016896及びPCT/US2004/016897号)は、本明細書中にそれらが完全に取り込まれる。
本発明は、上記の説明に役立つ実例に限定されない。例は、本発明の範囲を制限するものとして意図されていない。本明細書で述べる方法、装置、組成等は、例示的なものであり、本発明の範囲を制限するものとして意図されていない。従って、変更、他の組み合わせ、他の使用等は、当業者が想到できるであろう。本発明の範囲は、特許請求の範囲により定義される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は、室温から120℃の乾燥大気中における、ポリ(4−ビニル−1H−1,2,3−トリアゾール)のプロトン伝導性を、ポリ(4−ビニル−1H−イミダゾール)と比較して示す。
【図2】図2は、1H−1,2,3−トリアゾールでドープしたs−PSUの、無水状態におけるプロトン伝導性を示す。
【図3】図3は、1H−1,2,4−トリアゾール(4Tri)及び、スルホン化したポリスルホンポリマー中に挿入したその化合物のイオン伝導性を示し、ここでnはトリアゾール環/−SO3Hのモル割合である。
【図4】図4は、固定化した1H−1,2,4−トリアゾール(4TriC4)及び大分子酸C12PhSO3Hの混合物の、無水状態におけるプロトン伝導性を示す。
【図5】図5は、トリアゾールに対する酸の濃度割合(C/Cトリアゾール×100)に対する、純粋な1H−1,2,3−トリアゾールに対する、酸−トリアゾール混合物の伝導性割合(σトリアゾール+酸/σトリアゾール)を示す。
【図6】図6は、無水状態における、xMDSPPO−y TEOS−zSi4Tri−m H3PO4膜のプロトン伝導性を示す。
【図7】図7は、酸性基(−SO3H)及び複素環をグラフトした膜の、相対湿度が80℃で25%でのプロトン伝導性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造X−Y−Zの化合物、ここで、
Xは複素環を含み;
Yは結合基であり;及び
Zは重合可能な基又はポリマー骨格である。
【請求項2】
Xが7より低いpKaを有する、請求項1の化合物。
【請求項3】
Xが5より低いpKaを有する、請求項1の化合物。
【請求項4】
Xが2.6以下のpKaを有する、請求項1の化合物。
【請求項5】
Xが窒素含有複素環、酸素含有複素環又は硫黄含有複素環を含む、請求項1の化合物。
【請求項6】
Xが、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、ピリミジン、ピラジン、プリン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン及びこれらの誘導体から成る群より選択される窒素含有複素環を含む、請求項1の化合物。
【請求項7】
該窒素含有複素環が、該環に結合した電子吸引基を有する、請求項6の化合物。
【請求項8】
該電子吸引基が、フッ素原子又は少なくとも一つのフッ素原子を含む基である、請求項6の化合物。
【請求項9】
Xが、約2.6より低いpKaを有するフッ素化されたイミダゾール環である、請求項6の化合物。
【請求項10】
Yが2以上の炭素原子を有するアルキル鎖を含む、請求項6の化合物。
【請求項11】
Zが重合可能な基である、請求項6の化合物。
【請求項12】
Zがビニル基、エポキシ基又は加水分解可能なシリコン含有基である、請求項11の化合物。
【請求項13】
Zがポリマー骨格である、請求項6の化合物。
【請求項14】
Zが、シリコン原子を含むハイブリッド無機−有機マトリックスを含む、請求項6の化合物。
【請求項15】
該ハイブリッド無機−有機マトリックスがそこへ結合した酸性基を有する、請求項14の化合物。
【請求項16】
Zが、ポリマー骨格に結合した酸性基を有するポリマー骨格である、請求項6の化合物。
【請求項17】
該酸性基が、ホスホン酸基である、請求項16の化合物。
【請求項18】
該窒素含有複素環が、置換基としてフッ素原子又はフルオロアルキル基を有する、請求項6の化合物。
【請求項19】
Zがポリ(ビニル)ポリマー骨格であり、かつXがピリミジン、ピラゾール又はトリアゾール基を含む、請求項1の化合物。
【請求項20】
ポリマーが以下を含む、プロトン伝導性ポリマー:
ポリマー骨格;
該ポリマー骨格に結合した又はポリマー骨格中に含まれる窒素含有複素環、
該窒素含有複素環は、約5より低いpKaを有する。
【請求項21】
該窒素含有複素環が、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、ピリミジン、1H−ベンゾトリアゾール、プリン、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリジン及びこれらの誘導体から成る群より選択される、請求項20のプロトン伝導性ポリマー。
【請求項22】
該窒素含有複素環が、ハロゲン化されたイミダゾール又はハロゲン化されたピリジンである、請求項20のプロトン伝導性ポリマー。
【請求項23】
該ポリマー骨格がポリ(ビニル)ポリマーであり、かつ該窒素含有複素環がトリアゾールである、請求項20のプロトン伝導性ポリマー。
【請求項24】
以下を含む、プロトン伝導性複合物:
無機酸化合物又は酸性基を含む化合物;及び
結合基により第二の複素環に結合した第一の複素環を含む化合物、該結合基は2〜20原子を有する。
【請求項25】
プロトン伝導性ポリマーをさらに含む、請求項24の複合物。
【請求項26】
該化合物が構造H1−L−H2を有する、請求項24の複合物:
ここで、
H1は第一の窒素含有複素環;
H2は第二の窒素含有複素環;及び
Lは結合基である。
【請求項27】
酸性基を含む化合物がポリマーである、請求項26の複合物。
【請求項28】
該ポリマーがスルホン化されたポリマーである、請求項26の複合物。
【請求項29】
該ポリマーが、スルホン化されたポリスルホンである、請求項26の複合物。
【請求項30】
該第一の窒素含有複素環が、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、ピリミジン、ピラジン、プリン、イミダゾール、ピラゾール及びこれらの誘導体から成る群より選択される、請求項26の複合物。
【請求項31】
該第一の窒素含有複素環が、トリアゾール又はピリミジンである、請求項30の複合物。
【請求項32】
以下を含むプロトン伝導性ポリマー:
シリコン原子を含むハイブリッド無機−有機マトリックス;
該ハイブリッド無機−有機マトリックスに結合した酸性基;及び
該ハイブリッド無機−有機マトリックスに結合した窒素含有複素環。
【請求項33】
該窒素含有複素環が、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、ピリミジン、ピラジン、プリン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン及びこれらの誘導体から成る群より選択される、請求項32のプロトン伝導性ポリマー。
【請求項34】
該窒素含有複素環が、フッ素化されたピリジン、ピリミジン、トリアゾール及びこれらの誘導体から成る群より選択される、請求項32のプロトン伝導性ポリマー。
【請求項35】
酸性基含有ポリマー及び柔軟な有機置換基を有する複素環化合物を含む、プロトン伝導性複合物。
【請求項36】
本明細書で実質的に記載された化合物。
【請求項37】
請求項1−19及び36の化合物、請求項20−23及び32−34のプロトン伝導性ポリマー、又は請求項24−31及び35の複合物を含む、ポリマー電解質膜。
【請求項38】
請求項37のポリマー電解質膜を含む燃料電池。
【請求項39】
本明細書で実質的に記載された化合物の調製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−523066(P2007−523066A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551531(P2006−551531)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/002922
【国際公開番号】WO2005/072413
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(505438890)トヨタ エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ インコーポレイテッド (15)
【氏名又は名称原語表記】TOYOTA ENGINEERING & MANUFACTURING NORTH AMERICA, INC.
【出願人】(504466834)ジョージア テック リサーチ コーポレイション (17)
【Fターム(参考)】