超音波洗浄装置
【課題】被洗浄物の洗浄面の大径化に容易に対応できる超音波洗浄装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る超音波洗浄装置は、伝搬液15に超音波エネルギーを与える超音波振動子13と、前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた伝搬液を流す超音波伝搬管12と、前記超音波伝搬管の下方に配置された、被洗浄物21を保持する保持機構と、前記保持機構によって保持された被洗浄物の洗浄面に洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、を具備し、前記超音波伝搬管12は、その側面が、前記洗浄液供給機構によって前記洗浄面に洗浄液を供給することで該洗浄面に形成される該洗浄液の液膜19に接触するように配置されていることを特徴とする。
【解決手段】本発明に係る超音波洗浄装置は、伝搬液15に超音波エネルギーを与える超音波振動子13と、前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた伝搬液を流す超音波伝搬管12と、前記超音波伝搬管の下方に配置された、被洗浄物21を保持する保持機構と、前記保持機構によって保持された被洗浄物の洗浄面に洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、を具備し、前記超音波伝搬管12は、その側面が、前記洗浄液供給機構によって前記洗浄面に洗浄液を供給することで該洗浄面に形成される該洗浄液の液膜19に接触するように配置されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枚葉式スピン洗浄による超音波洗浄装置、浸漬式の超音波洗浄装置及び大型基板を洗浄する超音波洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
〈枚葉式スピン洗浄〉
図24は、従来のスポット型の枚葉式スピン洗浄による超音波洗浄装置を示す断面図である。この超音波洗浄装置は、半導体ウェーハなどのように平らな平面を有する被洗浄物101を洗浄する装置である。この装置は、被洗浄物101の全面を洗浄するために、被洗浄物101を回転(スピン)させる機構(図示せず)と、洗浄液に超音波エネルギーを与える超音波振動子103と、この超音波振動子103へ洗浄液を供給する洗浄液供給口105と、超音波エネルギーが与えられた洗浄液102を被洗浄物101にスポット的に噴出させるノズル104と、このノズル104を揺動する機構(図示せず)とを有している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
上述したように図24に示す超音波洗浄装置では、超音波照射域が一点(スポット)であるため、被洗浄物101上の全面を洗浄するためには、ノズル104を揺動する機構が必要であった。また、被洗浄物である基板が大型になるほど揺動に要する時間がかかり、装置の洗浄時間の短縮化に対応できないといった問題があった。
【0004】
また、ノズル104と被洗浄物101との距離を短くするため、被洗浄物101上の近傍にノズル104を設置する必要があり、作業性が悪いという問題があった。また、ノズル104の設置スペースが限られるため、複数のノズルを設置することは困難である。
【0005】
また、洗浄液には、純水や純水に洗浄効果を高める気体(窒素、水素、ヘリウム、オゾン等)や静電気防止作用のある気体(二酸化炭素)を添加した機能水の他、微粒子除去を目的としたアンモニア過酸化水素水、エッチング作用のある希フッ酸、レジスト膜除去のための剥離液などが使用される。これらの洗浄液は超音波振動子103の内部を通過するため、接液部である筐体106、振動板、ノズル104、パッキンには洗浄液に耐性のある部材を選択する必要がある。また部材からの汚染を防ぐために、各部材の清浄度を維持する必要がある。
【0006】
図25は、従来のプローブ型の枚葉式スピン洗浄による超音波洗浄装置を示す断面図である。この超音波洗浄装置は、半導体ウェーハなどのように平らな平面を有する被洗浄物101を洗浄する装置である。この装置は、被洗浄物101の全面を洗浄するために、被洗浄物101を回転(スピン)させる機構(図示せず)と、被洗浄物101の表面に洗浄液102を供給する洗浄液供給ノズル107と、被洗浄物101の表面に供給された洗浄液102に接触させるプローブ108と、このプローブ108に熱伝導部材109を介して超音波エネルギーを与える超音波振動子103と、熱伝導部材109を冷却する冷媒を供給する冷媒供給口110及び冷媒排出口111とを有している(例えば特許文献2参照)。
【0007】
上述した図25に示す超音波洗浄装置では、超音波照射域はプローブ108に沿った線上であるため、被洗浄物101上の全面を洗浄するために要する時間が一点(スポット)に比較して大幅に短縮化できる。また、プローブ108を揺動する機構を必要としないため、プローブ108の設置に必要なスペースを小さくすることができる。
【0008】
また、接液部がプローブ108のみであるため、プローブ108のみに洗浄液102に耐性のある部材を選択すればよい。プローブ108は石英などの不活性な非汚染物質からなり、容易に接液部からの汚染を防ぐことができる。
【0009】
また、石英などの固体で密度の高い材料で形成されるプローブ108を振動させるには振動素子に音響的に大きな負荷がかかり、多量の発熱を伴う。そのため、このようなプローブ型の超音波洗浄装置では、超音波振動子103とプローブ108の冷却のため、熱伝導部材109を介してプローブ108にエネルギーを伝搬する。そして熱伝導部材109を効率よく冷却するため、熱伝導部材109を通過する冷媒の循環が必要となる。
【0010】
また、超音波振動子103の駆動によりプローブ108が振動した際、図26に示すように、プローブ108中には定在波分布が生じる。定在波分布の波長λは、プローブ108中の音速Vと作動周波数Fから、λ=V/Fより計算できる。プローブ材質が石英の場合、音速V=6000m/sとなり、作動周波数F =1MHzでは波長λ=6mmとなる。
【0011】
プローブ108中の音速Vと作動周波数Fには温度特性があるため、プローブ108中の定在波分布を維持するには、プローブ108と超音波振動子103の温度を一定にする必要がある。従って、冷媒による冷却温度制御を行う必要がある。
【0012】
また、定在波分布を形成するためには、プローブ長をλ/2の整数倍で設計する必要がある。わずかでもプローブ長が変わると定在波分布が形成されないため、超音波振動子103を駆動した場合に所定の振動振幅が得られない。従って、正確なプローブ長の寸法でプローブ108を製作する必要がある。
【0013】
また、図26に示す変位振幅の腹の位置では洗浄効果が得られるが、節の位置では洗浄効果が低減する。節と節の間隔はλ/2=3mmとなり、3mmの間隔で洗浄効果が低減する。
【0014】
また、図25に示す超音波洗浄装置では、プローブ108の長さを、被洗浄物101の半径程度まで長くする必要がある。このため、被洗浄物101の大口径化に対応するにはプローブ108の長さもそれに応じて長くする必要がある。例えば200mmウエーハではプローブ108の長さが100mm程度必要になるが、300mmウエーハではプローブ108の長さが150mm程度必要となる。しかし、駆動できるプローブ長には限界があり、プローブがある程度の長さに達すると超音波振動子にかかる音響的な負荷により駆動できなくなる。従って、300mmウエーハより大口径化した場合、図25の超音波洗浄装置で対応するのは困難と考えられる。
【0015】
【特許文献1】特開2007−289807号公報(図1)
【特許文献2】特許第3493492号公報(第1図)
【0016】
〈浸漬式洗浄〉
図27(A)は、従来の浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図であり、図27(B)は図27(A)に示す断面に対して垂直方向に超音波洗浄装置を切断した断面図である。
【0017】
この超音波洗浄装置は半導体ウェーハの浸漬式洗浄で用いられている一般的な洗浄槽を有しており、この洗浄槽は底面に超音波振動子113が設置された外槽(図示せず)の上に洗浄液で満たされた内槽112を置いた、間接洗浄構造となっている。洗浄液入口114aより噴流パイプ114に洗浄液を導入し、この導入した洗浄液を矢印のように噴流パイプ114の側面より内槽112内に吐出し、内槽112の上部よりオーバーフローさせる。
【0018】
内槽112内に設置される被洗浄物115としてのウェーハは、搬送のためにキャリア(搬送機)116に支持されている。超音波エネルギーは底面より照射されるが、キャリア116の下部の受台部分116aに超音波エネルギーが当たり、ウェーハに到達しない影の部分ができたり、洗浄に好ましくない影響を及ぼす気泡が発生するという問題があった。
【0019】
また、洗浄槽底面に超音波振動子113が設置されているため、洗浄液の排液口112aを内槽112の側面に設ける必要があった。側面に排液口112aを設けた場合、洗浄液の排出に時間を要したり、洗浄液が内槽112から完全に排出できないといった問題があった。
【0020】
〈大型基板洗浄〉
FPDや太陽電池用の基板サイズは大型化しており、基板サイズは例えば2.8m×3.5mにおよぶ。従来、1m×1mまでのサイズの基板であれば、基板を水平に配置し、この基板にUSシャワーと呼ばれる超音波振動子より超音波エネルギーが与えられた洗浄液を吐出する。これにより、基板を洗浄液で洗浄している。
【0021】
しかし、基板サイズが大きくなり、例えば1.5m×1.5m基板で上記のような洗浄方法を考えると、基板に供給する洗浄液は100L/minを超える大流量が必要で、振動子重量は18kgに達し、その結果、洗浄装置の製作や設置が非常に困難となる。従って、上記のような洗浄方法による洗浄装置では、1m×1mを超える基板サイズに対応できないといった問題があった。
【0022】
また、1.5m×1.5m以上のサイズの基板を水平に配置すると、吐出した洗浄液の重さで基板がたわみ、液切れが困難となったり乾燥しにくくなることが予想される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
上述したように、従来のプローブ型の枚葉式スピン洗浄による超音波洗浄装置及び大型基板を洗浄する超音波洗浄装置では、被洗浄物の洗浄面の大径化に対応するのが困難である。そこで、被洗浄物の洗浄面の大径化に容易に対応できる超音波洗浄装置が求められている。
【0024】
また、従来の浸漬式の超音波洗浄装置では、キャリア116に支持された被洗浄物115を洗浄槽56に浸漬させ、超音波エネルギーを洗浄槽の底面より照射しているため、キャリア116の下部の受台部分116aに超音波エネルギーが当たり、被洗浄物に到達しないという問題があった。そこで、このような問題が発生しないような新たな超音波洗浄装置が求められている。
【0025】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、上述した課題のいずれかを解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記課題を解決するため、本発明に係る超音波洗浄装置は、伝搬液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた伝搬液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の下方に配置された、被洗浄物を保持する保持機構と、
前記保持機構によって保持された被洗浄物の洗浄面に洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、
を具備し、
前記超音波伝搬管は、その側面が、前記洗浄液供給機構によって前記洗浄面に洗浄液を供給することで該洗浄面に形成される該洗浄液の液膜に接触するように配置されていることを特徴とする。
【0027】
上記超音波洗浄装置によれば、超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた伝搬液を超音波伝搬管に流すことにより、被洗浄物の洗浄面に供給された洗浄液に前記超音波伝搬管の側面を介して超音波エネルギーが与えられる。これにより、前記被洗浄物の洗浄面を前記洗浄液と前記超音波エネルギーによって洗浄することができる。
【0028】
また、本発明に係る超音波洗浄装置において、前記超音波伝搬管の一方端及び該一方端に対向するように配置された前記超音波振動子を収容する筐体と、前記筐体内に伝搬液を供給する伝搬液供給装置と、前記伝搬液の溶存気体濃度を調整する溶存気体濃度調整器と、前記超音波伝搬管の他方端から排出される伝搬液を回収する伝搬液回収槽と、前記伝搬液回収槽内の伝搬液を再び前記筐体内に供給する循環ポンプと、をさらに具備することも可能である。
【0029】
本発明に係る超音波洗浄装置は、洗浄液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた洗浄液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の下方に配置された、被洗浄物を保持する保持機構と、
前記超音波伝搬管の側壁に設けられ、前記保持機構によって保持された被洗浄物の洗浄面に前記洗浄液を吐出するためのスリット又は複数の穴と、
を具備することを特徴とする。
【0030】
上記超音波洗浄装置によれば、超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた洗浄液を超音波伝搬管に流し、この超音波伝搬管の側壁に設けたスリット又は複数の穴から前記洗浄液を被洗浄物の洗浄面に吐出する。これにより、前記被洗浄物の洗浄面を前記洗浄液と前記超音波エネルギーによって洗浄することができる。
【0031】
また、本発明に係る超音波洗浄装置において、前記超音波伝搬管は、その側面が、前記スリット又は複数の穴から前記洗浄面に前記洗浄液を吐出することで該洗浄面に形成される該洗浄液の液膜に接触するように配置されていることも可能である。
【0032】
本発明に係る超音波洗浄装置は、伝搬液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた伝搬液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の外側に、該超音波伝搬管を覆うように配置された洗浄液供給管と、
前記洗浄液供給管の下方に配置された、被洗浄物を保持する保持機構と、
前記洗浄液供給管に設けられた、洗浄液が導入される導入口と、
前記洗浄液供給管の側壁に設けられ、前記導入口から導入された洗浄液を前記保持機構によって保持された被洗浄物の洗浄面に吐出するためのスリット又は複数の穴と、
を具備することを特徴とする。
【0033】
上記超音波洗浄装置によれば、超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた伝搬液を超音波伝搬管に流すことにより、洗浄液供給管に導入された洗浄液に前記超音波伝搬管の側面を介して超音波エネルギーが与えられる。そして、超音波エネルギーが与えられた洗浄液が前記スリット又は複数の穴から前記洗浄液を被洗浄物の洗浄面に吐出する。これにより、前記被洗浄物の洗浄面を前記洗浄液と前記超音波エネルギーによって洗浄することができる。
【0034】
また、本発明に係る超音波洗浄装置において、前記洗浄液供給管は、その側面が、前記スリット又は複数の穴から洗浄液を前記洗浄面に吐出することで該洗浄面に形成される該洗浄液の液膜に接触するように配置されていることも可能である。
【0035】
また、本発明に係る超音波洗浄装置において、前記超音波振動子は前記超音波伝搬管の一方端に対向するように配置されており、前記超音波伝搬管の一方端には単数又は複数の鍔部が設けられていることが好ましい。
【0036】
また、本発明に係る超音波洗浄装置において、前記超音波振動子は前記超音波伝搬管の一方端に対向するように配置されており、前記超音波伝搬管の一方端は前記超音波振動子に近づくにつれて管の内径が大きくなるテーパ形状を有していることが好ましい。
【0037】
また、本発明に係る超音波洗浄装置において、前記超音波伝搬管の他方端には超音波エネルギーを吸収する減衰体が設けられていることも可能である。
【0038】
本発明に係る超音波洗浄装置は、伝搬液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた伝搬液を流す超音波伝搬管であって、内側の管と外側の管の二重管構造とされ、前記伝搬液が前記内側の管の一方端から導入され、前記内側の管の他方端から吐出され、前記吐出された伝搬液が前記外側の管の内側面を通って前記外側の管の側面から排出される超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の下方に配置された、被洗浄物を保持する保持機構と、
前記保持機構によって保持された被洗浄物の洗浄面に洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、
を具備し、
前記超音波伝搬管は、前記外側の管の外側面が、前記洗浄液供給機構によって前記洗浄面に洗浄液を供給することで該洗浄面に形成される該洗浄液の液膜に接触するように配置されていることを特徴とする。
【0039】
また、本発明に係る超音波洗浄装置において、前記伝搬液が純水であり、前記純水中の溶存気体濃度が2〜4.5ppmに調整されていることが好ましい。
【0040】
本発明に係る超音波洗浄装置は、洗浄槽内の洗浄液に被洗浄物を浸漬させて洗浄する超音波洗浄装置において、
洗浄液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた洗浄液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の側壁に設けられた前記洗浄液を吐出するためのスリット又は複数の穴と、
を具備し、
前記超音波伝搬管が前記洗浄槽内に挿入されており、
前記洗浄槽内に前記スリット又は複数の穴から前記洗浄液が吐出されることを特徴とする。
【0041】
上記超音波洗浄装置によれば、超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた洗浄液を超音波伝搬管に流し、この超音波伝搬管の側壁に設けたスリット又は複数の穴から前記洗浄液を洗浄槽内に吐出する。これにより、前記洗浄槽内の洗浄液に浸漬させた被洗浄物を前記洗浄液と前記超音波エネルギーによって洗浄することができる。
【0042】
また、本発明に係る超音波洗浄装置において、前記超音波伝搬管の一方端及び該一方端に対向するように配置された前記超音波振動子を収容する筐体と、前記筐体内に洗浄液を供給する洗浄液供給装置と、前記洗浄液の溶存気体濃度を調整する溶存気体濃度調整器と、前記洗浄装置の上部からオーバーフローされる洗浄液を回収する洗浄液回収槽と、前記洗浄液回収槽内の洗浄液を再び前記筐体内に供給する循環ポンプと、をさらに具備することも可能である。
【0043】
本発明に係る超音波洗浄装置は、洗浄液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた洗浄液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の側面に設けられた前記洗浄液を吐出するためのスリット又は複数の穴と、
前記スリット又は複数の穴に対向するように被洗浄物を保持する保持機構と、
前記保持機構に保持された前記被洗浄物と前記超音波伝搬管を相対的に移動させる移動機構と、
を具備し、
前記移動機構によって前記被洗浄物と前記超音波伝搬管を相対的に移動させながら前記超音波エネルギーが与えられた洗浄液を前記被洗浄物に前記スリット又は複数の穴から吐出させることにより前記被洗浄物を洗浄することを特徴とする。
【0044】
また、本発明に係る超音波洗浄装置において、前記保持機構によって前記被洗浄物を傾斜させて保持することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
〈枚葉式スピン洗浄〉
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1による超音波洗浄装置を示す断面図である。図2及び図3は、図1に示す超音波伝搬管12及び被洗浄物21の一部を拡大した断面図である。
【0046】
図1に示す超音波洗浄装置はケース(筐体)11を有しており、該ケース11の先端部には超音波伝搬管12が取り付けられている。この超音波伝搬管12の材質は石英などの不活性な非汚染物質からなり、容易に接液部からの汚染を防ぐことができる。フッ酸を含む溶液は石英をエッチングする作用があるため、フッ酸を含む溶液を洗浄液として使用する場合は、超音波伝搬管12の材質としてサファイヤ、炭化珪素、高純度アルミナ(Al2O3)を使用しても良いし、また炭化珪素や高純度アルミナ(Al2O3)、フッ素樹脂のPFAなど、フッ酸溶液に耐える物質で石英をコーティングしたものを使用しても良いし、石英やサファイヤおよび炭化珪素は衝撃に弱く、高価であるため、SUS316Lなどのステンレス鋼を使用しても良い。超音波伝搬管をステンレス鋼によって作製し、耐薬品性の問題や金属汚染の溶出が起こることが懸念される場合は、超音波伝搬管に電解研磨や表面改質処理を施すことも可能である。
また、ケース11内には、超音波伝搬管12の後端部12aに対向して円板状の超音波振動子13が配置されている。この超音波振動子13は一体構成により円板状の振動板13aを有しており、この振動板13aの表面が超音波振動子13の振動面として超音波伝搬管12の後端部12aに対向している。また、ケース11の側面には超音波を伝搬させる伝搬液15を供給するための伝搬液給液口14が形成されており、伝搬液15には例えば室温の純水などが用いられることが好ましい。
【0047】
また、この超音波洗浄装置は半導体ウェーハなどのように平らな平面を有する被洗浄物21を保持するステージ16を有しており、このステージ16の下部には回転支持部17が取り付けられている。この回転支持部17には、該回転支持部17を回転させる回転機構(図示せず)が取り付けられている。
【0048】
ステージ16の上方には洗浄液19を供給する洗浄液供給ノズル18が配置されており、この洗浄液供給ノズル18によって被洗浄物21の表面に洗浄液19が供給されるようになっている。被洗浄物21の表面に供給された洗浄液19には超音波伝搬管12が接触するようになっている。つまり、超音波伝搬管12は、被洗浄物21の表面上の液膜(洗浄液)19に接触する高さに配置され、被洗浄物21の一方の外周から他方の外周へ延ばされている。超音波伝搬管12の前端部12bは、前記他方の外周の外側に配置されており、前端部12bから伝搬液15が排出されるようになっている。
【0049】
次に、図1に示す超音波洗浄装置の動作について説明する。
ステージ16上に被洗浄物21を保持し、ステージ16を回転させることで被洗浄物21を回転させながら、洗浄液供給ノズル18から洗浄液19を被洗浄物21の表面に供給する。また、伝搬液給液口14からケース11の内部の超音波振動子13に伝搬液を供給し、超音波振動子13によって超音波が与えられた伝搬液15を超音波伝搬管12の後端部12aから前端部12bに向けて流し、開放端である前端部12bから伝搬液15を排出する。
【0050】
図2に示すように超音波伝搬管12の内部に流される伝搬液15である純水中を伝搬する超音波の波長λは、純水中の音速V=1500m/sと作動周波数F=1MHzから、λ=V/Fより求まり、これを計算すると波長λ=1.5mmとなる。この超音波は超音波伝搬管12内で反射を繰返し、伝搬していくが、一部は超音波伝搬管12を透過し、洗浄液19中を伝搬し、被洗浄物21に到達する。これにより、被洗浄物21の表面は超音波及び洗浄液19によって洗浄される。
【0051】
上記実施形態1では、伝搬液15は、超音波振動を伝搬させるとともに、超音波振動子13からの熱を取り除く冷媒としても作用する。このため、効率よく冷却が行われ、超音波振動子13に大きなエネルギーを入れても発熱しないため、温度特性をもつ伝搬液15中の音速Vや作動周波数Fを容易に一定に保つことができる。
【0052】
また、超音波伝搬管12の先端(前端部12b)は開放端としているため、図3に示すように、伝搬液15中を伝搬する超音波は連続波となり、定在波分布を生じない。よって、図25のプローブ型の超音波洗浄装置で考えられた様な振動振幅の節が存在しないため、洗浄効果の均一化が図れる。また、超音波伝搬管の長さを正確に決める必要がないため、プローブ型の超音波洗浄装置に比べて装置の製造が容易になる。
【0053】
また、被洗浄物21の大口径化に対応するため、超音波伝搬管12を長くした場合でも、伝搬液15の長さも同様に長くなるが、伝搬液15である純水の振動子にかかる音響的な負荷にほとんど変化がない。よって、駆動できる超音波伝搬管の長さに限界はなく、被洗浄物21の大口径化に容易に対応できる。
【0054】
また、上記実施形態1では、超音波照射域は超音波伝搬管12に沿った線上であるため、被洗浄物21上の全面を洗浄するために要する時間を、図24に示す超音波洗浄装置の一点(スポット)に比較して大幅に短縮化することができる。また、超音波伝搬管12を揺動する機構を必要とせず、スペースをとらずに超音波伝搬管12及びケース11を設置できるという利点がある。
【0055】
また、接液部は超音波伝搬管12のみであり、超音波伝搬管12のみに洗浄液19に耐性のある部材を選択すればよい。また、超音波伝搬管12のみ清浄度を保てば容易に部材からの汚染を防ぐことができる。
【0056】
また、上記実施形態1の超音波洗浄装置では、超音波振動子13から伝搬液15に超音波振動を与え、伝搬液15には室温の純水などが用いられ、純水の密度は約1000kg/m3で図25に示すプローブ108を形成する石英の密度2200kg/m3に比較して小さい。よって、超音波振動子13にかかる音響的な負荷を図25に示す装置に比べて小さくでき、超音波振動子13の発熱を少なくすることができる。
【0057】
また、図25に示す従来のプローブ型の超音波洗浄装置と本実施形態の超音波洗浄装置とでは下記のように明確な差異があります。
図25に示す超音波洗浄装置は、超音波振動子103から熱伝導部材109を介して石英などの固体で密度の高いプローブ108を振動させ、プローブ自体が定在波分布を持つ振動体となり、プローブ108に接した液膜(洗浄液)102に超音波エネルギーを与え、液膜102がエネルギー伝搬経路となり、被洗浄物に超音波エネルギーが供給される装置である。
これに対し、本実施形態の超音波洗浄装置は、超音波振動子13からの超音波振動エネルギーが超音波伝搬管12内の伝搬液15に伝搬し、この伝搬液15内の超音波は超音波伝搬管12内で反射を繰り返して伝搬していくが、一部が超音波伝搬管12を透過して洗浄液19に伝搬して被洗浄物21に到達して洗浄される装置である。従って、超音波伝搬管12中に満たされた伝搬液15は、超音波振動子13からの超音波エネルギーの伝搬経路であるが、振動体ではない。超音波伝搬管12は、伝搬液15を保持し、伝搬経路を形成する役割を持つが、振動体ではない。
【0058】
なお、洗浄液19には洗浄対象である被洗浄物21によって種々の洗浄液を用いることが可能であり、例えば、純水や純水に洗浄効果を高める気体(窒素、水素、ヘリウム、オゾン等)や静電気防止作用のある気体(二酸化炭素)を添加した機能水の他、微粒子除去を目的としたアンモニア過酸化水素水、エッチング作用のある希フッ酸、塩化カリウム(KOH)、レジスト膜除去のための剥離液などを使用することが可能である。
【0059】
次に、図1に示す超音波洗浄装置をシステム化した例について図4を参照しつつ説明する。図4は、実施形態1の超音波洗浄装置のシステムを示す構成図であり、図1と同一部分には同一符号を付す。
【0060】
図4に示すように、伝搬液供給装置20より供給される伝搬液は溶存気体濃度調整器22、温度調整器23、流量計24を通り、超音波伝搬管12へ供給される。ここで、伝搬液15の特性(溶存気体濃度、温度、流量)を洗浄に適した条件に設定することが可能である。
【0061】
超音波伝搬管12の先端(前端部12b)には継手25および排液チューブ26が取付けられている。これにより、伝搬液15は伝搬液回収槽27まで運ばれる。この伝搬液回収槽27に回収された伝搬液15は、循環ポンプ28により循環させることができる。循環ポンプ28を通った伝搬液15はフィルター29を通って再生される。この再生された伝搬液15は、同様の経路である、溶存気体濃度調整器22、温度調整器23、流量計24を通り、超音波伝搬管12へ供給される。
【0062】
発振器30より超音波振動子へ電力が供給され、超音波振動子によって伝搬液に超音波が与えられ、超音波伝搬管12内に満たされた伝搬液15に超音波エネルギーが伝搬する。
【0063】
洗浄液供給装置より供給される洗浄液は超音波伝搬管12上、もしくは被洗浄物21上に供給され、被洗浄物21上には超音波伝搬管12と接触する液膜(洗浄液)19が形成される。この際、ステージ16とともに被洗浄物21が回転している。超音波伝搬管12を透過した超音波エネルギーは洗浄液19中を伝搬し、被洗浄物21に到達する。これにより、被洗浄物21の表面は超音波及び洗浄液19によって洗浄される。洗浄後の洗浄液19は、洗浄液回収槽35で回収され、ドレイン36に排液される。
【0064】
超音波伝搬管12の側面には音圧センサ32が取付けられており、この音圧センサ32によって超音波伝搬管12内を透過する超音波エネルギーが検出される。この検出された超音波エネルギーのデータはCPU34を通して音圧計33に送られ、音圧計33で電圧値に変換され、CPU34へ送られる。CPU34へは同時に発振器30の出力電圧値も送られており、出力電圧値に対して音圧値(超音波エネルギーの電圧値)が低い場合は、超音波エネルギーが低下したことと判断することができる。CPU34へは、溶存気体濃度調整器22、温度調整器23及び流量計24それぞれから、伝搬液15の特性(溶存気体濃度、温度、流量)もデータとして送られる。このデータが所定の値に達したことを確認した後に発振を開始するようにCPU34によって制御することができる。これにより、特に流量の低下による空作動を防ぐことができる。
【0065】
洗浄液19の種類によっては温度を70℃程度まで上げることがあり、その場合は、洗浄品質を維持するため、温度を一定に保つことが望ましい。そこで、温度調整器23によって伝搬液15の温度を70℃程度に上げることで、超音波伝搬管12に接触する洗浄液15の温度低下を防ぐことができる。なお、超音波振動子の動作時における温度上昇は、液温+20℃程度である。液温70℃では、超音波振動子の温度が90℃となるが、超音波振動子の耐久温度は120℃程度であり、使用上問題はない。
【0066】
図5は、純水中の溶存気体濃度と音圧値(超音波エネルギーの電圧値)の関係を示す図である。伝搬液である純水中に溶存する気体濃度は通常、溶存酸素濃度で7〜8ppm程度であるが、図5に示すように、高い音圧値の得られる2〜4.5ppm(より好ましくは 2〜3ppm)に溶存酸素濃度を調整することで、高い洗浄効果を得ることができる。従って、図4に示す超音波洗浄装置では、伝搬液の純水中の溶存酸素濃度を2〜3ppmに調整するように、CPU34によって溶存気体濃度調整器22を制御することが好ましい。
【0067】
(実施形態2)
図6(A)は、本発明の実施形態2による超音波洗浄装置の超音波伝搬管を示す断面図であり、図6(B)は、図6(A)に示す超音波伝搬管を下から視た図であり、図6(C)は、図6(A),(B)に示す超音波伝搬管を被洗浄物21上に配置して洗浄している様子を示す断面図である。
【0068】
図1に示す実施形態1の超音波洗浄装置では、伝搬液15と洗浄液19を分ける構成であるのに対し、実施形態2の超音波洗浄装置では、伝搬液として洗浄液が使用され、伝搬液と洗浄液が共通とされる構成である。つまり、実施形態2による超音波洗浄装置は、図1に示す超音波洗浄装置の超音波伝搬管12を図6に示す超音波伝搬管37に取り替え、且つ洗浄液供給ノズル18を無くしたものである。
【0069】
図6(A),(B)に示すように、超音波伝搬管37の側面には一列に並んだ丸穴37が設けられており、図6(C)に示すように、超音波洗浄装置における被洗浄物21上には超音波伝搬管37が近接して配置されている。超音波伝搬管37には超音波エネルギーが与えられた伝搬液としての洗浄液39が流され、この洗浄液39は丸穴38から被洗浄物21上に吐出される。即ち、超音波エネルギーは洗浄液39と共に丸穴38から被洗浄物21上に吐出される。これにより、被洗浄物21上には超音波伝搬管37と接触する洗浄液39からなる液膜39aが形成され、この液膜39aを通して超音波エネルギーが被洗浄物21に供給されながら洗浄される。
【0070】
上記実施形態2においても実施形態1と同様の効果を得ることができる。
また、伝搬液として洗浄液を使用するため、洗浄液を供給する装置を伝搬液供給装置と別に設ける必要がない。
【0071】
(変形例)
図7(A)は、図6に示す超音波伝搬管の変形例1を示す断面図であり、図7(B)は、図7(A)に示す超音波伝搬管を下から視た図であり、図7(C)は、図7(A),(B)に示す超音波伝搬管を被洗浄物21上に配置して洗浄している様子を示す断面図である。
【0072】
図7(A),(B)に示すように、超音波伝搬管40の側面には一本の線上に形成されたスリット(溝)41が設けられており、図7(C)に示すように、超音波洗浄装置における被洗浄物21上には超音波伝搬管40が図6(C)に比べて距離を離して配置されている。超音波伝搬管40には超音波エネルギーが与えられた伝搬液としての洗浄液39が流され、この洗浄液39はスリット41から被洗浄物21上に吐出される。これにより、洗浄液39を通して超音波エネルギーが被洗浄物21に供給されながら洗浄される。この際、超音波伝搬管40と被洗浄物21とを図6(C)に比べて離して配置しているため、超音波伝搬管40が被洗浄物21上の洗浄液39からなる液膜に接触することがない。
【0073】
上記変形例1においても上記実施形態2と同様の効果を得ることができる。
また、図6(A),(B)に示す超音波伝搬管37を図7(C)に示すように液膜に接触しないように配置しても良いし、図7(A),(B)に示す超音波伝搬管40を図6(C)に示すように液膜に接触するように配置しても良い。
【0074】
図8は、変形例2による超音波伝搬管を示す断面図である。実施形態1,2及び変形例1それぞれにおける超音波伝搬管を、図8に示す超音波伝搬管42に変更して実施しても良い。この超音波伝搬管42は、超音波を透過する厚さからなる管壁42aと、超音波を透過しない厚さからなる管壁42bとを有している。これにより、超音波伝搬管42において超音波が透過する領域と透過しない領域が設けられる。
【0075】
図9は、変形例3による超音波伝搬管を示す断面図である。実施形態1,2及び変形例1それぞれにおける超音波伝搬管を、図9に示す超音波伝搬管43に変更して実施しても良い。この超音波伝搬管43は、超音波を透過する密度を有する材料で構成された管43aと、この管43aの一部を被覆した被覆管43bとを有し、この被覆管43bは超音波を透過しない密度を有する材料で構成されている。
【0076】
図10(A)〜(C)は、変形例4〜6による超音波伝搬管を示す断面図である。実施形態1,2及び変形例1それぞれにおける超音波伝搬管を、図10(A)〜(C)それぞれに示す超音波伝搬管44〜46に変更して実施しても良い。これらの超音波伝搬管44〜46は、それぞれの先端(後端部44a〜46a)が、超音波伝搬管の外径よりも大きい径を持つ超音波振動子13に対して超音波エネルギーを効率よく伝搬させる形状を持っている。
【0077】
図10(A)に示す超音波伝搬管44の後端部44aには、超音波振動子13に対向するように鍔部44bが設けられている。この鍔部44bにより超音波を多重反射させて超音波強度を高めることができる。
【0078】
図10(B)に示す超音波伝搬管45の後端部45aには、超音波振動子13に対向するように複数の鍔部45bが設けられている。これらの鍔部45bにより超音波を多重反射させて超音波強度を高めつつ、伝搬液の整流効果を持たせることができる。
【0079】
図10(C)に示す超音波伝搬管46の後端部46aは、超音波振動子13に近づくにつれて管の内径が大きくなるテーパ形状46bを有している。このテーパ形状46bにより超音波を収束させて超音波強度を高めることができる。
【0080】
図11は、変形例7による超音波伝搬管を示す断面図である。実施形態1,2及び変形例1それぞれにおける超音波伝搬管を、図11に示す超音波伝搬管47に変更して実施しても良い。この超音波伝搬管47の先端(前端部47b)には超音波エネルギーを吸収する減衰体47aが設けられている。減衰体47aに到達した超音波は反射せずに減衰体47aに吸収されるため、伝搬する超音波は連続波となり、定在波分布を生じない。よって、図25のプローブ型の超音波洗浄装置で考えられた様な振動振幅の節が存在しないため、洗浄効果の均一化が図れる。
【0081】
図12(A)は、図1に示す超音波洗浄装置における被洗浄物及び超音波伝搬管の配置を上から視た図を示す平面図であり、図12(B)〜(D)は、変形例8〜10による超音波伝搬管を示す平面図である。
【0082】
図12(A)に示すように、実施形態1による超音波伝搬管12は直線状に延びた形状を有している。これに対し、図12(B)〜(D)に示すように、変形例8〜10による超音波伝搬管48〜50は被洗浄物21の中央で曲げられた形状を有している。詳細には、図12(B)に示す超音波伝搬管48は鋭角に曲げられており、図12(C)に示す超音波伝搬管49は直角に曲げられており、図12(D)に示す超音波伝搬管50は折り返すように曲げられている。
【0083】
上記変形例8〜10によれば、超音波伝搬管を種々の形状に曲げて製作できるため、設置スペースが限られる装置において設計の自由度を向上させることができる。
【0084】
図13(A)〜(C)は、実施形態2の変形例11〜13による超音波伝搬管及び被洗浄物を示す平面図である。変形例11〜13による超音波伝搬管51〜53は、伝搬液と洗浄液を共通とする超音波洗浄装置に適用されるものである。
【0085】
図13(A)〜(C)に示すように、伝搬液としての洗浄液を流す超音波伝搬管51〜53の出口を被洗浄物21上に配置することにより、伝搬液としての洗浄液を被洗浄物21上に供給することができる。また、実施形態2と同様に、外部からの洗浄液供給装置を必要としない。また、超音波伝搬管の先端は任意の方向へ曲げた形で製作が可能であり、洗浄液の吐出方向を装置に合わせて決めることができる。
【0086】
図14(A)は、実施形態1の変形例14による超音波伝搬管及び洗浄液供給機構を示す断面図であり、図14(B)は、図14(A)に示す超音波伝搬管及び洗浄液供給機構を被洗浄物上に配置した状態を示す断面図である。
【0087】
図1に示す実施形態1と同様の超音波伝搬管12の外側に洗浄液供給管54を配置した二重管構造とする。洗浄液供給管54の上部には洗浄液19を導入する導入口54aが設けられており、洗浄液供給管54の下部には丸穴54b又はスリット(溝)が設けられている。導入口54aより洗浄液19が洗浄液供給管54内に導入され、洗浄液供給管54内の洗浄液19は丸穴54b又はスリットより被洗浄物21上に吐出される。丸穴54b又はスリットが被洗浄物21に近接して配置されているため、被洗浄物21上には洗浄液供給管54と接触する洗浄液19からなる液膜19aが形成され、この液膜19aを通して超音波エネルギーが被洗浄物21に供給されながら洗浄される。
【0088】
図14(C)は、実施形態1の変形例15による超音波伝搬管及び洗浄液供給機構を被洗浄物上に配置した状態を示す断面図であり、図14(B)と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0089】
図14(C)に示すように、洗浄液供給管54の丸穴54b又はスリットが被洗浄物21と距離を離して配置されている。このように配置しても超音波エネルギーの伝搬した洗浄液19を被洗浄物に供給することができる。
【0090】
図15は、実施形態1の変形例16による超音波伝搬管を示す断面図である。この超音波伝搬管55は、内側の管55aと外側の管55bからなる二重管構造を有している。内側の管55aの先端(前端部)55a1は開放されており、外側の管55bの先端(前端部)55b1は封止されている。外側の管55bの側壁には伝搬液を排出する排出口55b2が設けられている。これにより、内側の管55aの先端55a1から吐出する伝搬液15を外側の管55bにより回収し、この回収した伝搬液15を外側の管55bの排出口55b2より排出することができる。つまり、内側の管55aの先端55a1から伝搬液15と共に吐出する超音波エネルギーを照射領域である外側の管55bの内側面に循環させることができ、超音波エネルギーを有効に利用することができる。また、伝搬液15の出口は外側の管55bの任意の箇所に設けることができ、装置の設置スペースに合わせて設計できる。
【0091】
変形例16による超音波洗浄装置は、図1に示す超音波洗浄装置の超音波伝搬管12を図15に示す超音波伝搬管55に取り替えて実施しても良い。また、変形例16による超音波洗浄装置は、図4に示す超音波洗浄装置の超音波伝搬管12を図15に示す超音波伝搬管55に取り替えて実施しても良い。この場合、図4に示す継手25は図15に示す排出口55bに取り付けられる。
【0092】
上記変形例16においても実施形態2と同様の効果を得ることができる。
【0093】
〈浸漬式洗浄〉
(実施形態3)
図16(A)は、本発明の実施形態3による浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図であり、図16(B)は、図16(A)に示す断面に対して垂直方向に超音波洗浄装置を切断した断面図である。
【0094】
この超音波洗浄装置は、洗浄液57で満たされる洗浄槽56を有しており、この洗浄槽56に洗浄液57を満たし、複数の被洗浄物としての半導体ウェーハ59を保持したキャリア(搬送機)58を洗浄槽56内の洗浄液57に浸漬させて洗浄する装置である。
【0095】
洗浄槽56内には、図6(A),(B)に示す超音波伝搬管37が2本挿入して取り付けられている。なお、本実施形態では図7(A),(B)に示す超音波伝搬管40を用いても良い。超音波伝搬管37の先端(前端部)には図11と同様の超音波エネルギーを吸収する減衰体47aが取り付けられており、この減衰体47aは図11に示す変形例7と同様の効果を奏する。
【0096】
超音波伝搬管37の基端(後端部)には超音波振動子(図示せず)が対向するように配置されており、この超音波振動子は筐体11内に配置されている。この筐体11には洗浄液入口60が設けられている。
【0097】
伝搬液としても作用する洗浄液に前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられ、この洗浄液が超音波伝搬管37の丸穴から洗浄槽56内に吐出され、洗浄槽56の上部よりオーバーフローされ、このオーバーフローされた洗浄液は洗浄液回収槽回収61によって回収される。
【0098】
上記実施形態3によれば、キャリア58の受台部分58aを避けて超音波エネルギーが半導体ウェーハ59に供給できるように超音波伝搬管37を配置しているので、従来の浸漬式の超音波洗浄装置のように受台部分による影の部分や気泡の発生を抑制することができる。
【0099】
また、従来の浸漬式の超音波洗浄装置のように振動板を設ける必用がないので、排出口56aを洗浄槽56の底面に設けることができ、排出時間の短縮や洗浄液を完全に排出することができる。また、新規に洗浄槽を用意しなくても、従来の浸漬式の超音波洗浄装置の洗浄槽に超音波伝搬管37を追加することで本実施形態の超音波洗浄装置を実現することができる。
【0100】
次に、図16に示す超音波洗浄装置をシステム化した例について図17を参照しつつ説明する。図17は、実施形態3の超音波洗浄装置のシステムを示す構成図であり、図16と同一部分には同一符号を付す。
【0101】
図17に示すように、伝搬液としても作用する洗浄液を供給する洗浄液供給装置62より供給される洗浄液は溶存気体濃度調整機22、温度調整機23、流量計24、洗浄液入口60を通り、超音波伝搬管37へ供給される。ここで、洗浄液の特性(溶存気体濃度、温度、流量)を洗浄に適した条件に設定することが可能である。
【0102】
超音波伝搬管37の側面に設けられた穴から超音波エネルギーが与えらた洗浄液が吐出され、超音波エネルギーとともに洗浄液が洗浄槽56内に供給される。洗浄槽56内の洗浄液57は、洗浄槽56の上部よりオーバーフローされ、このオーバーフローされた洗浄液は洗浄液回収槽回収61によって回収される。この回収された洗浄液は循環ポンプ28により循環し、フィルター29を通り再生される。この再生された洗浄液は、同様の経路である、溶存気体濃度調整器22、温度調整器23、流量計24を通り、超音波伝搬管37へ供給される。
【0103】
発振器30より超音波振動子へ電力が供給され、超音波振動子によって洗浄液に超音波が与えられ、超音波伝搬管37内に満たされた洗浄液に超音波エネルギーが伝搬する。
【0104】
超音波伝搬管37の側面には音圧センサ32が取付けられており、この音圧センサ32によって超音波伝搬管37内を透過する超音波エネルギーが検出される。この検出された超音波エネルギーのデータはCPU34を通して音圧計33に送られ、音圧計33で電圧値に変換され、CPU34へ送られる。CPU34へは同時に発振器30の出力電圧値も送られており、出力電圧値に対して音圧値(超音波エネルギーの電圧値)が低い場合は、超音波エネルギーが低下したことと判断することができる。CPU34へは、溶存気体濃度調整器22、温度調整器23及び流量計24それぞれから、洗浄液57の特性(溶存気体濃度、温度、流量)もデータとして送られる。このデータが所定の値に達したことを確認した後に発振を開始するようにCPU34によって制御することができる。なお、流量の低下による空作動を防ぐことができる。
【0105】
また、洗浄液57を交換する場合は、洗浄槽56内の洗浄液が排出口56aから排出され、ドレイン36に排液される。
【0106】
洗浄液57の種類によっては温度を70℃程度まで上げることがあり、その場合は、洗浄品質を維持するため、温度を一定に保つことが望ましい。そこで、温度調整器23によって洗浄液57の温度を70℃程度に保つことができる。なお、超音波振動子の動作時における温度上昇は、液温+20℃程度である。液温70℃では、超音波振動子の温度が90℃となるが、超音波振動子の耐久温度は120℃程度であり、使用上問題はない。
【0107】
(変形例)
図18は、実施形態3の変形例17による浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図であり、図16(A)と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0108】
超音波伝搬管63は途中で曲げられた形状で製作され、伝搬液として作用する洗浄液の入口と出口を洗浄槽の外に設けることができる。つまり、図16に示す超音波洗浄装置では、洗浄槽56の壁面に超音波伝搬管37の取り付け穴を設け、この穴から超音波伝搬管37を洗浄槽56内に挿入しているが、変形例17では、洗浄槽56の壁面に超音波伝搬管の取り付け穴を設ける必要がない。従って、本変形例であれば取り付け穴のない洗浄槽にも追加が容易となる。
【0109】
上記変形例17においても実施形態3と同様の効果を得ることができる。
【0110】
図19は、実施形態3の変形例18による浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図であり、図16(B)と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0111】
超音波伝搬管37を洗浄槽56内に多数配置することで、洗浄面積を広くすることができる。つまり、図16に示す超音波洗浄装置では、洗浄槽56に超音波伝搬管37を2本配置しているが、変形例18では、洗浄槽56内に超音波伝搬管37を6本配置している。
【0112】
上記変形例18においても実施形態3と同様の効果を得ることができる。
【0113】
図20は、実施形態3の変形例19による浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図であり、図16(B)と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0114】
変形例19の超音波洗浄装置は、超音波伝搬管37を図27(B)に示す従来の浸漬式の洗浄槽112に追加し、振動板113と併用するものである。この場合、4本の超音波伝搬管37を受け台58aの近傍に配置し、受け台58aの近傍に超音波エネルギーが与えられた洗浄液を吐出することで、受け台58a近傍に発生した気泡を取除く効果がある。
【0115】
〈大型基板洗浄〉
(実施形態4)
図21は、本発明の実施形態4による大型基板を洗浄する超音波洗浄装置を示す断面図である。
【0116】
図21に示す超音波洗浄装置には、図6(A),(B)に示す超音波伝搬管37が用いられる。なお、本実施形態では図7(A),(B)に示す超音波伝搬管40を用いても良い。超音波伝搬管37の先端(前端部)には図11と同様の超音波エネルギーを吸収する減衰体47aが取り付けられており、この減衰体47aは図11に示す変形例7と同様の効果を奏する。
【0117】
超音波伝搬管37の基端(後端部)には超音波振動子(図示せず)が対向するように配置されており、この超音波振動子は筐体11内に配置されている。この筐体11には洗浄液入口60が設けられている。
【0118】
伝搬液としても作用する洗浄液に前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられ、この洗浄液が超音波伝搬管37の丸穴から被洗浄物である大型基板64の表面に吐出される。
【0119】
大型基板64は、その表面が、保持機構によって超音波伝搬管37の側面に対向するように保持されている。この保持機構は、所定間隔で配置された複数の搬送シャフト65と、搬送シャフト65に取り付けられた複数の搬送ローラ66と、搬送シャフト65を回転させる回転機構(図示せず)とを有している。
【0120】
前記回転機構によって搬送シャフト65を回転させて回転ローラ66を回転させることにより、大型基板64を超音波伝搬管37に対して相対的に移動させながら、前記超音波エネルギーが与えられた洗浄液を、矢印のように大型基板64の表面(洗浄面)に複数の丸穴から吐出させる。このようにして大型基板64の表面を洗浄することができる。
【0121】
上記超音波洗浄装置を例えば1.5m×1.5mのサイズの大型基板64に適用した場合、超音波伝搬管37から吐出される洗浄液の流量を、従来の超音波洗浄装置に比べて1/5の20L/min程度に少なくすることができ、超音波振動子の重量を1/3の6kg程度に軽くすることができる。従って、超音波洗浄装置の製作や設置が従来の装置に比べて非常に容易となる。
【0122】
(変形例)
図22は、実施形態4の変形例20による超音波洗浄装置を示す断面図であり、図21と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0123】
超音波伝搬管37の両端に超音波振動子(図示せず)を取り付けている。これにより、洗浄液に与えられる超音波エネルギーを高めることができる。
【0124】
上記変形例20においても実施形態4と同様の効果を得ることができる。
【0125】
図23は、実施形態4の変形例21による超音波洗浄装置を示す断面図であり、図21と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0126】
例えば1.5m×1.5m以上のサイズの大型基板64では、実施形態4のように水平に配置すると、吐出した洗浄液の重さで大型基板がたわみ、液切れが困難となったり乾燥しにくくなるおそれがある。
【0127】
そこで、超音波伝搬管37は軽量であり、縦型でも容易に設置することができるため、大型基板64の縦型搬送を利用する。つまり、前記保持機構によって大型基板64を傾斜させて保持して搬送する。これにより、大型基板64における洗浄後の液切れが容易となり、乾燥しやすくすることができる。
【0128】
上記変形例21においても実施形態4と同様の効果を得ることができる。
【0129】
尚、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、実施形態及び変形例を適宜組み合わせて実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の実施形態1による超音波洗浄装置を示す断面図である。
【図2】図1に示す超音波伝搬管及び被洗浄物の一部を拡大した断面図である。
【図3】図1に示す超音波伝搬管及び被洗浄物の一部を拡大した断面図である。
【図4】本発明の実施形態1の超音波洗浄装置のシステムを示す構成図である。
【図5】純水を中の溶存気体濃度と音圧値の関係を示す図である。
【図6】(A)は本発明の実施形態2による超音波洗浄装置の超音波伝搬管を示す断面図、(B)は(A)に示す超音波伝搬管を下から視た図、(C)は(A),(B)に示す超音波伝搬管を被洗浄物上に配置して洗浄している様子を示す断面図である。
【図7】(A)は図6に示す超音波伝搬管の変形例1を示す断面図、(B)は(A)に示す超音波伝搬管を下から視た図、(C)は(A),(B)に示す超音波伝搬管を被洗浄物上に配置して洗浄している様子を示す断面図である。
【図8】変形例2による超音波伝搬管を示す断面図である。
【図9】変形例3による超音波伝搬管を示す断面図である。
【図10】(A)〜(C)は、変形例4〜6による超音波伝搬管を示す断面図である。
【図11】変形例7による超音波伝搬管を示す断面図である。
【図12】(A)は図1に示す超音波洗浄装置における被洗浄物及び超音波伝搬管の配置を上から視た図を示す平面図、(B)〜(D)は変形例8〜10による超音波伝搬管を示す平面図である。
【図13】(A)〜(C)は実施形態2の変形例11〜13による超音波伝搬管及び被洗浄物を示す平面図である。
【図14】(A)は実施形態1の変形例14による超音波伝搬管及び洗浄液供給機構を示す断面図、(B)は(A)に示す超音波伝搬管及び洗浄液供給機構を被洗浄物上に配置した状態を示す断面図である。
【図15】実施形態1の変形例16による超音波伝搬管を示す断面図である。
【図16】(A)は本発明の実施形態3による浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図、(B)は(A)に示す断面に対して垂直方向に超音波洗浄装置を切断した断面図である。
【図17】本発明の実施形態3の超音波洗浄装置のシステムを示す構成図である。
【図18】実施形態3の変形例17による浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図である。
【図19】実施形態3の変形例18による浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図である。
【図20】実施形態3の変形例19による浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図である。
【図21】本発明の実施形態4による大型基板を洗浄する超音波洗浄装置を示す断面図である。
【図22】実施形態4の変形例20による超音波洗浄装置を示す断面図である。
【図23】実施形態4の変形例21による超音波洗浄装置を示す断面図である。
【図24】従来のスポット型の枚葉式スピン洗浄による超音波洗浄装置を示す断面図である。
【図25】従来のプローブ型の枚葉式スピン洗浄による超音波洗浄装置を示す断面図である。
【図26】図26に示すプローブに伝搬する定在波分布を示す図である。
【図27】(A)は従来の浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図、(B)は(A)に示す断面に対して垂直方向に超音波洗浄装置を切断した断面図である。
【符号の説明】
【0131】
11…ケース(筐体)、12,37,40,42〜53,55,63…超音波伝搬管、12a,44a〜46a…後端部、12b,47b…前端部、13…超音波振動子、13a…円板状の振動板、14…伝搬液給液口、15…伝搬液、16…ステージ、17…回転支持部、18…洗浄液供給ノズル、19,57…洗浄液、20…伝搬液供給装置、21…被洗浄物、22…溶存気体濃度調整器、23…温度調整器、24…流量計、25…継手、26…排液チューブ、27…伝搬液回収槽、28…循環ポンプ、29…フィルター、30…発振器、32…音圧センサ、33…音圧計、34…CPU、35…洗浄液回収槽、36…ドレイン、38…丸穴、39…洗浄液、39a…膜液、41…スリット(溝)、42a,42b…管壁、44b,45b…鍔部、46b…テーパ形状、47a…減衰体、54…洗浄液供給管、54a…導入口、54b…丸穴、55a…内側の管、55b…外側の管、55a1…先端(前端部)、55b1…先端(前端部)、55b2…排出口、56…洗浄槽、56a…排出口、58…キャリア(搬送機)、58a…受台部分、59…半導体ウェーハ、60…洗浄液入口、61…洗浄液回収槽回収、62…洗浄液供給装置、64…大型基板、65…搬送シャフト、66…搬送ローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、枚葉式スピン洗浄による超音波洗浄装置、浸漬式の超音波洗浄装置及び大型基板を洗浄する超音波洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
〈枚葉式スピン洗浄〉
図24は、従来のスポット型の枚葉式スピン洗浄による超音波洗浄装置を示す断面図である。この超音波洗浄装置は、半導体ウェーハなどのように平らな平面を有する被洗浄物101を洗浄する装置である。この装置は、被洗浄物101の全面を洗浄するために、被洗浄物101を回転(スピン)させる機構(図示せず)と、洗浄液に超音波エネルギーを与える超音波振動子103と、この超音波振動子103へ洗浄液を供給する洗浄液供給口105と、超音波エネルギーが与えられた洗浄液102を被洗浄物101にスポット的に噴出させるノズル104と、このノズル104を揺動する機構(図示せず)とを有している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
上述したように図24に示す超音波洗浄装置では、超音波照射域が一点(スポット)であるため、被洗浄物101上の全面を洗浄するためには、ノズル104を揺動する機構が必要であった。また、被洗浄物である基板が大型になるほど揺動に要する時間がかかり、装置の洗浄時間の短縮化に対応できないといった問題があった。
【0004】
また、ノズル104と被洗浄物101との距離を短くするため、被洗浄物101上の近傍にノズル104を設置する必要があり、作業性が悪いという問題があった。また、ノズル104の設置スペースが限られるため、複数のノズルを設置することは困難である。
【0005】
また、洗浄液には、純水や純水に洗浄効果を高める気体(窒素、水素、ヘリウム、オゾン等)や静電気防止作用のある気体(二酸化炭素)を添加した機能水の他、微粒子除去を目的としたアンモニア過酸化水素水、エッチング作用のある希フッ酸、レジスト膜除去のための剥離液などが使用される。これらの洗浄液は超音波振動子103の内部を通過するため、接液部である筐体106、振動板、ノズル104、パッキンには洗浄液に耐性のある部材を選択する必要がある。また部材からの汚染を防ぐために、各部材の清浄度を維持する必要がある。
【0006】
図25は、従来のプローブ型の枚葉式スピン洗浄による超音波洗浄装置を示す断面図である。この超音波洗浄装置は、半導体ウェーハなどのように平らな平面を有する被洗浄物101を洗浄する装置である。この装置は、被洗浄物101の全面を洗浄するために、被洗浄物101を回転(スピン)させる機構(図示せず)と、被洗浄物101の表面に洗浄液102を供給する洗浄液供給ノズル107と、被洗浄物101の表面に供給された洗浄液102に接触させるプローブ108と、このプローブ108に熱伝導部材109を介して超音波エネルギーを与える超音波振動子103と、熱伝導部材109を冷却する冷媒を供給する冷媒供給口110及び冷媒排出口111とを有している(例えば特許文献2参照)。
【0007】
上述した図25に示す超音波洗浄装置では、超音波照射域はプローブ108に沿った線上であるため、被洗浄物101上の全面を洗浄するために要する時間が一点(スポット)に比較して大幅に短縮化できる。また、プローブ108を揺動する機構を必要としないため、プローブ108の設置に必要なスペースを小さくすることができる。
【0008】
また、接液部がプローブ108のみであるため、プローブ108のみに洗浄液102に耐性のある部材を選択すればよい。プローブ108は石英などの不活性な非汚染物質からなり、容易に接液部からの汚染を防ぐことができる。
【0009】
また、石英などの固体で密度の高い材料で形成されるプローブ108を振動させるには振動素子に音響的に大きな負荷がかかり、多量の発熱を伴う。そのため、このようなプローブ型の超音波洗浄装置では、超音波振動子103とプローブ108の冷却のため、熱伝導部材109を介してプローブ108にエネルギーを伝搬する。そして熱伝導部材109を効率よく冷却するため、熱伝導部材109を通過する冷媒の循環が必要となる。
【0010】
また、超音波振動子103の駆動によりプローブ108が振動した際、図26に示すように、プローブ108中には定在波分布が生じる。定在波分布の波長λは、プローブ108中の音速Vと作動周波数Fから、λ=V/Fより計算できる。プローブ材質が石英の場合、音速V=6000m/sとなり、作動周波数F =1MHzでは波長λ=6mmとなる。
【0011】
プローブ108中の音速Vと作動周波数Fには温度特性があるため、プローブ108中の定在波分布を維持するには、プローブ108と超音波振動子103の温度を一定にする必要がある。従って、冷媒による冷却温度制御を行う必要がある。
【0012】
また、定在波分布を形成するためには、プローブ長をλ/2の整数倍で設計する必要がある。わずかでもプローブ長が変わると定在波分布が形成されないため、超音波振動子103を駆動した場合に所定の振動振幅が得られない。従って、正確なプローブ長の寸法でプローブ108を製作する必要がある。
【0013】
また、図26に示す変位振幅の腹の位置では洗浄効果が得られるが、節の位置では洗浄効果が低減する。節と節の間隔はλ/2=3mmとなり、3mmの間隔で洗浄効果が低減する。
【0014】
また、図25に示す超音波洗浄装置では、プローブ108の長さを、被洗浄物101の半径程度まで長くする必要がある。このため、被洗浄物101の大口径化に対応するにはプローブ108の長さもそれに応じて長くする必要がある。例えば200mmウエーハではプローブ108の長さが100mm程度必要になるが、300mmウエーハではプローブ108の長さが150mm程度必要となる。しかし、駆動できるプローブ長には限界があり、プローブがある程度の長さに達すると超音波振動子にかかる音響的な負荷により駆動できなくなる。従って、300mmウエーハより大口径化した場合、図25の超音波洗浄装置で対応するのは困難と考えられる。
【0015】
【特許文献1】特開2007−289807号公報(図1)
【特許文献2】特許第3493492号公報(第1図)
【0016】
〈浸漬式洗浄〉
図27(A)は、従来の浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図であり、図27(B)は図27(A)に示す断面に対して垂直方向に超音波洗浄装置を切断した断面図である。
【0017】
この超音波洗浄装置は半導体ウェーハの浸漬式洗浄で用いられている一般的な洗浄槽を有しており、この洗浄槽は底面に超音波振動子113が設置された外槽(図示せず)の上に洗浄液で満たされた内槽112を置いた、間接洗浄構造となっている。洗浄液入口114aより噴流パイプ114に洗浄液を導入し、この導入した洗浄液を矢印のように噴流パイプ114の側面より内槽112内に吐出し、内槽112の上部よりオーバーフローさせる。
【0018】
内槽112内に設置される被洗浄物115としてのウェーハは、搬送のためにキャリア(搬送機)116に支持されている。超音波エネルギーは底面より照射されるが、キャリア116の下部の受台部分116aに超音波エネルギーが当たり、ウェーハに到達しない影の部分ができたり、洗浄に好ましくない影響を及ぼす気泡が発生するという問題があった。
【0019】
また、洗浄槽底面に超音波振動子113が設置されているため、洗浄液の排液口112aを内槽112の側面に設ける必要があった。側面に排液口112aを設けた場合、洗浄液の排出に時間を要したり、洗浄液が内槽112から完全に排出できないといった問題があった。
【0020】
〈大型基板洗浄〉
FPDや太陽電池用の基板サイズは大型化しており、基板サイズは例えば2.8m×3.5mにおよぶ。従来、1m×1mまでのサイズの基板であれば、基板を水平に配置し、この基板にUSシャワーと呼ばれる超音波振動子より超音波エネルギーが与えられた洗浄液を吐出する。これにより、基板を洗浄液で洗浄している。
【0021】
しかし、基板サイズが大きくなり、例えば1.5m×1.5m基板で上記のような洗浄方法を考えると、基板に供給する洗浄液は100L/minを超える大流量が必要で、振動子重量は18kgに達し、その結果、洗浄装置の製作や設置が非常に困難となる。従って、上記のような洗浄方法による洗浄装置では、1m×1mを超える基板サイズに対応できないといった問題があった。
【0022】
また、1.5m×1.5m以上のサイズの基板を水平に配置すると、吐出した洗浄液の重さで基板がたわみ、液切れが困難となったり乾燥しにくくなることが予想される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
上述したように、従来のプローブ型の枚葉式スピン洗浄による超音波洗浄装置及び大型基板を洗浄する超音波洗浄装置では、被洗浄物の洗浄面の大径化に対応するのが困難である。そこで、被洗浄物の洗浄面の大径化に容易に対応できる超音波洗浄装置が求められている。
【0024】
また、従来の浸漬式の超音波洗浄装置では、キャリア116に支持された被洗浄物115を洗浄槽56に浸漬させ、超音波エネルギーを洗浄槽の底面より照射しているため、キャリア116の下部の受台部分116aに超音波エネルギーが当たり、被洗浄物に到達しないという問題があった。そこで、このような問題が発生しないような新たな超音波洗浄装置が求められている。
【0025】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、上述した課題のいずれかを解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記課題を解決するため、本発明に係る超音波洗浄装置は、伝搬液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた伝搬液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の下方に配置された、被洗浄物を保持する保持機構と、
前記保持機構によって保持された被洗浄物の洗浄面に洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、
を具備し、
前記超音波伝搬管は、その側面が、前記洗浄液供給機構によって前記洗浄面に洗浄液を供給することで該洗浄面に形成される該洗浄液の液膜に接触するように配置されていることを特徴とする。
【0027】
上記超音波洗浄装置によれば、超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた伝搬液を超音波伝搬管に流すことにより、被洗浄物の洗浄面に供給された洗浄液に前記超音波伝搬管の側面を介して超音波エネルギーが与えられる。これにより、前記被洗浄物の洗浄面を前記洗浄液と前記超音波エネルギーによって洗浄することができる。
【0028】
また、本発明に係る超音波洗浄装置において、前記超音波伝搬管の一方端及び該一方端に対向するように配置された前記超音波振動子を収容する筐体と、前記筐体内に伝搬液を供給する伝搬液供給装置と、前記伝搬液の溶存気体濃度を調整する溶存気体濃度調整器と、前記超音波伝搬管の他方端から排出される伝搬液を回収する伝搬液回収槽と、前記伝搬液回収槽内の伝搬液を再び前記筐体内に供給する循環ポンプと、をさらに具備することも可能である。
【0029】
本発明に係る超音波洗浄装置は、洗浄液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた洗浄液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の下方に配置された、被洗浄物を保持する保持機構と、
前記超音波伝搬管の側壁に設けられ、前記保持機構によって保持された被洗浄物の洗浄面に前記洗浄液を吐出するためのスリット又は複数の穴と、
を具備することを特徴とする。
【0030】
上記超音波洗浄装置によれば、超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた洗浄液を超音波伝搬管に流し、この超音波伝搬管の側壁に設けたスリット又は複数の穴から前記洗浄液を被洗浄物の洗浄面に吐出する。これにより、前記被洗浄物の洗浄面を前記洗浄液と前記超音波エネルギーによって洗浄することができる。
【0031】
また、本発明に係る超音波洗浄装置において、前記超音波伝搬管は、その側面が、前記スリット又は複数の穴から前記洗浄面に前記洗浄液を吐出することで該洗浄面に形成される該洗浄液の液膜に接触するように配置されていることも可能である。
【0032】
本発明に係る超音波洗浄装置は、伝搬液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた伝搬液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の外側に、該超音波伝搬管を覆うように配置された洗浄液供給管と、
前記洗浄液供給管の下方に配置された、被洗浄物を保持する保持機構と、
前記洗浄液供給管に設けられた、洗浄液が導入される導入口と、
前記洗浄液供給管の側壁に設けられ、前記導入口から導入された洗浄液を前記保持機構によって保持された被洗浄物の洗浄面に吐出するためのスリット又は複数の穴と、
を具備することを特徴とする。
【0033】
上記超音波洗浄装置によれば、超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた伝搬液を超音波伝搬管に流すことにより、洗浄液供給管に導入された洗浄液に前記超音波伝搬管の側面を介して超音波エネルギーが与えられる。そして、超音波エネルギーが与えられた洗浄液が前記スリット又は複数の穴から前記洗浄液を被洗浄物の洗浄面に吐出する。これにより、前記被洗浄物の洗浄面を前記洗浄液と前記超音波エネルギーによって洗浄することができる。
【0034】
また、本発明に係る超音波洗浄装置において、前記洗浄液供給管は、その側面が、前記スリット又は複数の穴から洗浄液を前記洗浄面に吐出することで該洗浄面に形成される該洗浄液の液膜に接触するように配置されていることも可能である。
【0035】
また、本発明に係る超音波洗浄装置において、前記超音波振動子は前記超音波伝搬管の一方端に対向するように配置されており、前記超音波伝搬管の一方端には単数又は複数の鍔部が設けられていることが好ましい。
【0036】
また、本発明に係る超音波洗浄装置において、前記超音波振動子は前記超音波伝搬管の一方端に対向するように配置されており、前記超音波伝搬管の一方端は前記超音波振動子に近づくにつれて管の内径が大きくなるテーパ形状を有していることが好ましい。
【0037】
また、本発明に係る超音波洗浄装置において、前記超音波伝搬管の他方端には超音波エネルギーを吸収する減衰体が設けられていることも可能である。
【0038】
本発明に係る超音波洗浄装置は、伝搬液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた伝搬液を流す超音波伝搬管であって、内側の管と外側の管の二重管構造とされ、前記伝搬液が前記内側の管の一方端から導入され、前記内側の管の他方端から吐出され、前記吐出された伝搬液が前記外側の管の内側面を通って前記外側の管の側面から排出される超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の下方に配置された、被洗浄物を保持する保持機構と、
前記保持機構によって保持された被洗浄物の洗浄面に洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、
を具備し、
前記超音波伝搬管は、前記外側の管の外側面が、前記洗浄液供給機構によって前記洗浄面に洗浄液を供給することで該洗浄面に形成される該洗浄液の液膜に接触するように配置されていることを特徴とする。
【0039】
また、本発明に係る超音波洗浄装置において、前記伝搬液が純水であり、前記純水中の溶存気体濃度が2〜4.5ppmに調整されていることが好ましい。
【0040】
本発明に係る超音波洗浄装置は、洗浄槽内の洗浄液に被洗浄物を浸漬させて洗浄する超音波洗浄装置において、
洗浄液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた洗浄液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の側壁に設けられた前記洗浄液を吐出するためのスリット又は複数の穴と、
を具備し、
前記超音波伝搬管が前記洗浄槽内に挿入されており、
前記洗浄槽内に前記スリット又は複数の穴から前記洗浄液が吐出されることを特徴とする。
【0041】
上記超音波洗浄装置によれば、超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた洗浄液を超音波伝搬管に流し、この超音波伝搬管の側壁に設けたスリット又は複数の穴から前記洗浄液を洗浄槽内に吐出する。これにより、前記洗浄槽内の洗浄液に浸漬させた被洗浄物を前記洗浄液と前記超音波エネルギーによって洗浄することができる。
【0042】
また、本発明に係る超音波洗浄装置において、前記超音波伝搬管の一方端及び該一方端に対向するように配置された前記超音波振動子を収容する筐体と、前記筐体内に洗浄液を供給する洗浄液供給装置と、前記洗浄液の溶存気体濃度を調整する溶存気体濃度調整器と、前記洗浄装置の上部からオーバーフローされる洗浄液を回収する洗浄液回収槽と、前記洗浄液回収槽内の洗浄液を再び前記筐体内に供給する循環ポンプと、をさらに具備することも可能である。
【0043】
本発明に係る超音波洗浄装置は、洗浄液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた洗浄液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の側面に設けられた前記洗浄液を吐出するためのスリット又は複数の穴と、
前記スリット又は複数の穴に対向するように被洗浄物を保持する保持機構と、
前記保持機構に保持された前記被洗浄物と前記超音波伝搬管を相対的に移動させる移動機構と、
を具備し、
前記移動機構によって前記被洗浄物と前記超音波伝搬管を相対的に移動させながら前記超音波エネルギーが与えられた洗浄液を前記被洗浄物に前記スリット又は複数の穴から吐出させることにより前記被洗浄物を洗浄することを特徴とする。
【0044】
また、本発明に係る超音波洗浄装置において、前記保持機構によって前記被洗浄物を傾斜させて保持することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
〈枚葉式スピン洗浄〉
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1による超音波洗浄装置を示す断面図である。図2及び図3は、図1に示す超音波伝搬管12及び被洗浄物21の一部を拡大した断面図である。
【0046】
図1に示す超音波洗浄装置はケース(筐体)11を有しており、該ケース11の先端部には超音波伝搬管12が取り付けられている。この超音波伝搬管12の材質は石英などの不活性な非汚染物質からなり、容易に接液部からの汚染を防ぐことができる。フッ酸を含む溶液は石英をエッチングする作用があるため、フッ酸を含む溶液を洗浄液として使用する場合は、超音波伝搬管12の材質としてサファイヤ、炭化珪素、高純度アルミナ(Al2O3)を使用しても良いし、また炭化珪素や高純度アルミナ(Al2O3)、フッ素樹脂のPFAなど、フッ酸溶液に耐える物質で石英をコーティングしたものを使用しても良いし、石英やサファイヤおよび炭化珪素は衝撃に弱く、高価であるため、SUS316Lなどのステンレス鋼を使用しても良い。超音波伝搬管をステンレス鋼によって作製し、耐薬品性の問題や金属汚染の溶出が起こることが懸念される場合は、超音波伝搬管に電解研磨や表面改質処理を施すことも可能である。
また、ケース11内には、超音波伝搬管12の後端部12aに対向して円板状の超音波振動子13が配置されている。この超音波振動子13は一体構成により円板状の振動板13aを有しており、この振動板13aの表面が超音波振動子13の振動面として超音波伝搬管12の後端部12aに対向している。また、ケース11の側面には超音波を伝搬させる伝搬液15を供給するための伝搬液給液口14が形成されており、伝搬液15には例えば室温の純水などが用いられることが好ましい。
【0047】
また、この超音波洗浄装置は半導体ウェーハなどのように平らな平面を有する被洗浄物21を保持するステージ16を有しており、このステージ16の下部には回転支持部17が取り付けられている。この回転支持部17には、該回転支持部17を回転させる回転機構(図示せず)が取り付けられている。
【0048】
ステージ16の上方には洗浄液19を供給する洗浄液供給ノズル18が配置されており、この洗浄液供給ノズル18によって被洗浄物21の表面に洗浄液19が供給されるようになっている。被洗浄物21の表面に供給された洗浄液19には超音波伝搬管12が接触するようになっている。つまり、超音波伝搬管12は、被洗浄物21の表面上の液膜(洗浄液)19に接触する高さに配置され、被洗浄物21の一方の外周から他方の外周へ延ばされている。超音波伝搬管12の前端部12bは、前記他方の外周の外側に配置されており、前端部12bから伝搬液15が排出されるようになっている。
【0049】
次に、図1に示す超音波洗浄装置の動作について説明する。
ステージ16上に被洗浄物21を保持し、ステージ16を回転させることで被洗浄物21を回転させながら、洗浄液供給ノズル18から洗浄液19を被洗浄物21の表面に供給する。また、伝搬液給液口14からケース11の内部の超音波振動子13に伝搬液を供給し、超音波振動子13によって超音波が与えられた伝搬液15を超音波伝搬管12の後端部12aから前端部12bに向けて流し、開放端である前端部12bから伝搬液15を排出する。
【0050】
図2に示すように超音波伝搬管12の内部に流される伝搬液15である純水中を伝搬する超音波の波長λは、純水中の音速V=1500m/sと作動周波数F=1MHzから、λ=V/Fより求まり、これを計算すると波長λ=1.5mmとなる。この超音波は超音波伝搬管12内で反射を繰返し、伝搬していくが、一部は超音波伝搬管12を透過し、洗浄液19中を伝搬し、被洗浄物21に到達する。これにより、被洗浄物21の表面は超音波及び洗浄液19によって洗浄される。
【0051】
上記実施形態1では、伝搬液15は、超音波振動を伝搬させるとともに、超音波振動子13からの熱を取り除く冷媒としても作用する。このため、効率よく冷却が行われ、超音波振動子13に大きなエネルギーを入れても発熱しないため、温度特性をもつ伝搬液15中の音速Vや作動周波数Fを容易に一定に保つことができる。
【0052】
また、超音波伝搬管12の先端(前端部12b)は開放端としているため、図3に示すように、伝搬液15中を伝搬する超音波は連続波となり、定在波分布を生じない。よって、図25のプローブ型の超音波洗浄装置で考えられた様な振動振幅の節が存在しないため、洗浄効果の均一化が図れる。また、超音波伝搬管の長さを正確に決める必要がないため、プローブ型の超音波洗浄装置に比べて装置の製造が容易になる。
【0053】
また、被洗浄物21の大口径化に対応するため、超音波伝搬管12を長くした場合でも、伝搬液15の長さも同様に長くなるが、伝搬液15である純水の振動子にかかる音響的な負荷にほとんど変化がない。よって、駆動できる超音波伝搬管の長さに限界はなく、被洗浄物21の大口径化に容易に対応できる。
【0054】
また、上記実施形態1では、超音波照射域は超音波伝搬管12に沿った線上であるため、被洗浄物21上の全面を洗浄するために要する時間を、図24に示す超音波洗浄装置の一点(スポット)に比較して大幅に短縮化することができる。また、超音波伝搬管12を揺動する機構を必要とせず、スペースをとらずに超音波伝搬管12及びケース11を設置できるという利点がある。
【0055】
また、接液部は超音波伝搬管12のみであり、超音波伝搬管12のみに洗浄液19に耐性のある部材を選択すればよい。また、超音波伝搬管12のみ清浄度を保てば容易に部材からの汚染を防ぐことができる。
【0056】
また、上記実施形態1の超音波洗浄装置では、超音波振動子13から伝搬液15に超音波振動を与え、伝搬液15には室温の純水などが用いられ、純水の密度は約1000kg/m3で図25に示すプローブ108を形成する石英の密度2200kg/m3に比較して小さい。よって、超音波振動子13にかかる音響的な負荷を図25に示す装置に比べて小さくでき、超音波振動子13の発熱を少なくすることができる。
【0057】
また、図25に示す従来のプローブ型の超音波洗浄装置と本実施形態の超音波洗浄装置とでは下記のように明確な差異があります。
図25に示す超音波洗浄装置は、超音波振動子103から熱伝導部材109を介して石英などの固体で密度の高いプローブ108を振動させ、プローブ自体が定在波分布を持つ振動体となり、プローブ108に接した液膜(洗浄液)102に超音波エネルギーを与え、液膜102がエネルギー伝搬経路となり、被洗浄物に超音波エネルギーが供給される装置である。
これに対し、本実施形態の超音波洗浄装置は、超音波振動子13からの超音波振動エネルギーが超音波伝搬管12内の伝搬液15に伝搬し、この伝搬液15内の超音波は超音波伝搬管12内で反射を繰り返して伝搬していくが、一部が超音波伝搬管12を透過して洗浄液19に伝搬して被洗浄物21に到達して洗浄される装置である。従って、超音波伝搬管12中に満たされた伝搬液15は、超音波振動子13からの超音波エネルギーの伝搬経路であるが、振動体ではない。超音波伝搬管12は、伝搬液15を保持し、伝搬経路を形成する役割を持つが、振動体ではない。
【0058】
なお、洗浄液19には洗浄対象である被洗浄物21によって種々の洗浄液を用いることが可能であり、例えば、純水や純水に洗浄効果を高める気体(窒素、水素、ヘリウム、オゾン等)や静電気防止作用のある気体(二酸化炭素)を添加した機能水の他、微粒子除去を目的としたアンモニア過酸化水素水、エッチング作用のある希フッ酸、塩化カリウム(KOH)、レジスト膜除去のための剥離液などを使用することが可能である。
【0059】
次に、図1に示す超音波洗浄装置をシステム化した例について図4を参照しつつ説明する。図4は、実施形態1の超音波洗浄装置のシステムを示す構成図であり、図1と同一部分には同一符号を付す。
【0060】
図4に示すように、伝搬液供給装置20より供給される伝搬液は溶存気体濃度調整器22、温度調整器23、流量計24を通り、超音波伝搬管12へ供給される。ここで、伝搬液15の特性(溶存気体濃度、温度、流量)を洗浄に適した条件に設定することが可能である。
【0061】
超音波伝搬管12の先端(前端部12b)には継手25および排液チューブ26が取付けられている。これにより、伝搬液15は伝搬液回収槽27まで運ばれる。この伝搬液回収槽27に回収された伝搬液15は、循環ポンプ28により循環させることができる。循環ポンプ28を通った伝搬液15はフィルター29を通って再生される。この再生された伝搬液15は、同様の経路である、溶存気体濃度調整器22、温度調整器23、流量計24を通り、超音波伝搬管12へ供給される。
【0062】
発振器30より超音波振動子へ電力が供給され、超音波振動子によって伝搬液に超音波が与えられ、超音波伝搬管12内に満たされた伝搬液15に超音波エネルギーが伝搬する。
【0063】
洗浄液供給装置より供給される洗浄液は超音波伝搬管12上、もしくは被洗浄物21上に供給され、被洗浄物21上には超音波伝搬管12と接触する液膜(洗浄液)19が形成される。この際、ステージ16とともに被洗浄物21が回転している。超音波伝搬管12を透過した超音波エネルギーは洗浄液19中を伝搬し、被洗浄物21に到達する。これにより、被洗浄物21の表面は超音波及び洗浄液19によって洗浄される。洗浄後の洗浄液19は、洗浄液回収槽35で回収され、ドレイン36に排液される。
【0064】
超音波伝搬管12の側面には音圧センサ32が取付けられており、この音圧センサ32によって超音波伝搬管12内を透過する超音波エネルギーが検出される。この検出された超音波エネルギーのデータはCPU34を通して音圧計33に送られ、音圧計33で電圧値に変換され、CPU34へ送られる。CPU34へは同時に発振器30の出力電圧値も送られており、出力電圧値に対して音圧値(超音波エネルギーの電圧値)が低い場合は、超音波エネルギーが低下したことと判断することができる。CPU34へは、溶存気体濃度調整器22、温度調整器23及び流量計24それぞれから、伝搬液15の特性(溶存気体濃度、温度、流量)もデータとして送られる。このデータが所定の値に達したことを確認した後に発振を開始するようにCPU34によって制御することができる。これにより、特に流量の低下による空作動を防ぐことができる。
【0065】
洗浄液19の種類によっては温度を70℃程度まで上げることがあり、その場合は、洗浄品質を維持するため、温度を一定に保つことが望ましい。そこで、温度調整器23によって伝搬液15の温度を70℃程度に上げることで、超音波伝搬管12に接触する洗浄液15の温度低下を防ぐことができる。なお、超音波振動子の動作時における温度上昇は、液温+20℃程度である。液温70℃では、超音波振動子の温度が90℃となるが、超音波振動子の耐久温度は120℃程度であり、使用上問題はない。
【0066】
図5は、純水中の溶存気体濃度と音圧値(超音波エネルギーの電圧値)の関係を示す図である。伝搬液である純水中に溶存する気体濃度は通常、溶存酸素濃度で7〜8ppm程度であるが、図5に示すように、高い音圧値の得られる2〜4.5ppm(より好ましくは 2〜3ppm)に溶存酸素濃度を調整することで、高い洗浄効果を得ることができる。従って、図4に示す超音波洗浄装置では、伝搬液の純水中の溶存酸素濃度を2〜3ppmに調整するように、CPU34によって溶存気体濃度調整器22を制御することが好ましい。
【0067】
(実施形態2)
図6(A)は、本発明の実施形態2による超音波洗浄装置の超音波伝搬管を示す断面図であり、図6(B)は、図6(A)に示す超音波伝搬管を下から視た図であり、図6(C)は、図6(A),(B)に示す超音波伝搬管を被洗浄物21上に配置して洗浄している様子を示す断面図である。
【0068】
図1に示す実施形態1の超音波洗浄装置では、伝搬液15と洗浄液19を分ける構成であるのに対し、実施形態2の超音波洗浄装置では、伝搬液として洗浄液が使用され、伝搬液と洗浄液が共通とされる構成である。つまり、実施形態2による超音波洗浄装置は、図1に示す超音波洗浄装置の超音波伝搬管12を図6に示す超音波伝搬管37に取り替え、且つ洗浄液供給ノズル18を無くしたものである。
【0069】
図6(A),(B)に示すように、超音波伝搬管37の側面には一列に並んだ丸穴37が設けられており、図6(C)に示すように、超音波洗浄装置における被洗浄物21上には超音波伝搬管37が近接して配置されている。超音波伝搬管37には超音波エネルギーが与えられた伝搬液としての洗浄液39が流され、この洗浄液39は丸穴38から被洗浄物21上に吐出される。即ち、超音波エネルギーは洗浄液39と共に丸穴38から被洗浄物21上に吐出される。これにより、被洗浄物21上には超音波伝搬管37と接触する洗浄液39からなる液膜39aが形成され、この液膜39aを通して超音波エネルギーが被洗浄物21に供給されながら洗浄される。
【0070】
上記実施形態2においても実施形態1と同様の効果を得ることができる。
また、伝搬液として洗浄液を使用するため、洗浄液を供給する装置を伝搬液供給装置と別に設ける必要がない。
【0071】
(変形例)
図7(A)は、図6に示す超音波伝搬管の変形例1を示す断面図であり、図7(B)は、図7(A)に示す超音波伝搬管を下から視た図であり、図7(C)は、図7(A),(B)に示す超音波伝搬管を被洗浄物21上に配置して洗浄している様子を示す断面図である。
【0072】
図7(A),(B)に示すように、超音波伝搬管40の側面には一本の線上に形成されたスリット(溝)41が設けられており、図7(C)に示すように、超音波洗浄装置における被洗浄物21上には超音波伝搬管40が図6(C)に比べて距離を離して配置されている。超音波伝搬管40には超音波エネルギーが与えられた伝搬液としての洗浄液39が流され、この洗浄液39はスリット41から被洗浄物21上に吐出される。これにより、洗浄液39を通して超音波エネルギーが被洗浄物21に供給されながら洗浄される。この際、超音波伝搬管40と被洗浄物21とを図6(C)に比べて離して配置しているため、超音波伝搬管40が被洗浄物21上の洗浄液39からなる液膜に接触することがない。
【0073】
上記変形例1においても上記実施形態2と同様の効果を得ることができる。
また、図6(A),(B)に示す超音波伝搬管37を図7(C)に示すように液膜に接触しないように配置しても良いし、図7(A),(B)に示す超音波伝搬管40を図6(C)に示すように液膜に接触するように配置しても良い。
【0074】
図8は、変形例2による超音波伝搬管を示す断面図である。実施形態1,2及び変形例1それぞれにおける超音波伝搬管を、図8に示す超音波伝搬管42に変更して実施しても良い。この超音波伝搬管42は、超音波を透過する厚さからなる管壁42aと、超音波を透過しない厚さからなる管壁42bとを有している。これにより、超音波伝搬管42において超音波が透過する領域と透過しない領域が設けられる。
【0075】
図9は、変形例3による超音波伝搬管を示す断面図である。実施形態1,2及び変形例1それぞれにおける超音波伝搬管を、図9に示す超音波伝搬管43に変更して実施しても良い。この超音波伝搬管43は、超音波を透過する密度を有する材料で構成された管43aと、この管43aの一部を被覆した被覆管43bとを有し、この被覆管43bは超音波を透過しない密度を有する材料で構成されている。
【0076】
図10(A)〜(C)は、変形例4〜6による超音波伝搬管を示す断面図である。実施形態1,2及び変形例1それぞれにおける超音波伝搬管を、図10(A)〜(C)それぞれに示す超音波伝搬管44〜46に変更して実施しても良い。これらの超音波伝搬管44〜46は、それぞれの先端(後端部44a〜46a)が、超音波伝搬管の外径よりも大きい径を持つ超音波振動子13に対して超音波エネルギーを効率よく伝搬させる形状を持っている。
【0077】
図10(A)に示す超音波伝搬管44の後端部44aには、超音波振動子13に対向するように鍔部44bが設けられている。この鍔部44bにより超音波を多重反射させて超音波強度を高めることができる。
【0078】
図10(B)に示す超音波伝搬管45の後端部45aには、超音波振動子13に対向するように複数の鍔部45bが設けられている。これらの鍔部45bにより超音波を多重反射させて超音波強度を高めつつ、伝搬液の整流効果を持たせることができる。
【0079】
図10(C)に示す超音波伝搬管46の後端部46aは、超音波振動子13に近づくにつれて管の内径が大きくなるテーパ形状46bを有している。このテーパ形状46bにより超音波を収束させて超音波強度を高めることができる。
【0080】
図11は、変形例7による超音波伝搬管を示す断面図である。実施形態1,2及び変形例1それぞれにおける超音波伝搬管を、図11に示す超音波伝搬管47に変更して実施しても良い。この超音波伝搬管47の先端(前端部47b)には超音波エネルギーを吸収する減衰体47aが設けられている。減衰体47aに到達した超音波は反射せずに減衰体47aに吸収されるため、伝搬する超音波は連続波となり、定在波分布を生じない。よって、図25のプローブ型の超音波洗浄装置で考えられた様な振動振幅の節が存在しないため、洗浄効果の均一化が図れる。
【0081】
図12(A)は、図1に示す超音波洗浄装置における被洗浄物及び超音波伝搬管の配置を上から視た図を示す平面図であり、図12(B)〜(D)は、変形例8〜10による超音波伝搬管を示す平面図である。
【0082】
図12(A)に示すように、実施形態1による超音波伝搬管12は直線状に延びた形状を有している。これに対し、図12(B)〜(D)に示すように、変形例8〜10による超音波伝搬管48〜50は被洗浄物21の中央で曲げられた形状を有している。詳細には、図12(B)に示す超音波伝搬管48は鋭角に曲げられており、図12(C)に示す超音波伝搬管49は直角に曲げられており、図12(D)に示す超音波伝搬管50は折り返すように曲げられている。
【0083】
上記変形例8〜10によれば、超音波伝搬管を種々の形状に曲げて製作できるため、設置スペースが限られる装置において設計の自由度を向上させることができる。
【0084】
図13(A)〜(C)は、実施形態2の変形例11〜13による超音波伝搬管及び被洗浄物を示す平面図である。変形例11〜13による超音波伝搬管51〜53は、伝搬液と洗浄液を共通とする超音波洗浄装置に適用されるものである。
【0085】
図13(A)〜(C)に示すように、伝搬液としての洗浄液を流す超音波伝搬管51〜53の出口を被洗浄物21上に配置することにより、伝搬液としての洗浄液を被洗浄物21上に供給することができる。また、実施形態2と同様に、外部からの洗浄液供給装置を必要としない。また、超音波伝搬管の先端は任意の方向へ曲げた形で製作が可能であり、洗浄液の吐出方向を装置に合わせて決めることができる。
【0086】
図14(A)は、実施形態1の変形例14による超音波伝搬管及び洗浄液供給機構を示す断面図であり、図14(B)は、図14(A)に示す超音波伝搬管及び洗浄液供給機構を被洗浄物上に配置した状態を示す断面図である。
【0087】
図1に示す実施形態1と同様の超音波伝搬管12の外側に洗浄液供給管54を配置した二重管構造とする。洗浄液供給管54の上部には洗浄液19を導入する導入口54aが設けられており、洗浄液供給管54の下部には丸穴54b又はスリット(溝)が設けられている。導入口54aより洗浄液19が洗浄液供給管54内に導入され、洗浄液供給管54内の洗浄液19は丸穴54b又はスリットより被洗浄物21上に吐出される。丸穴54b又はスリットが被洗浄物21に近接して配置されているため、被洗浄物21上には洗浄液供給管54と接触する洗浄液19からなる液膜19aが形成され、この液膜19aを通して超音波エネルギーが被洗浄物21に供給されながら洗浄される。
【0088】
図14(C)は、実施形態1の変形例15による超音波伝搬管及び洗浄液供給機構を被洗浄物上に配置した状態を示す断面図であり、図14(B)と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0089】
図14(C)に示すように、洗浄液供給管54の丸穴54b又はスリットが被洗浄物21と距離を離して配置されている。このように配置しても超音波エネルギーの伝搬した洗浄液19を被洗浄物に供給することができる。
【0090】
図15は、実施形態1の変形例16による超音波伝搬管を示す断面図である。この超音波伝搬管55は、内側の管55aと外側の管55bからなる二重管構造を有している。内側の管55aの先端(前端部)55a1は開放されており、外側の管55bの先端(前端部)55b1は封止されている。外側の管55bの側壁には伝搬液を排出する排出口55b2が設けられている。これにより、内側の管55aの先端55a1から吐出する伝搬液15を外側の管55bにより回収し、この回収した伝搬液15を外側の管55bの排出口55b2より排出することができる。つまり、内側の管55aの先端55a1から伝搬液15と共に吐出する超音波エネルギーを照射領域である外側の管55bの内側面に循環させることができ、超音波エネルギーを有効に利用することができる。また、伝搬液15の出口は外側の管55bの任意の箇所に設けることができ、装置の設置スペースに合わせて設計できる。
【0091】
変形例16による超音波洗浄装置は、図1に示す超音波洗浄装置の超音波伝搬管12を図15に示す超音波伝搬管55に取り替えて実施しても良い。また、変形例16による超音波洗浄装置は、図4に示す超音波洗浄装置の超音波伝搬管12を図15に示す超音波伝搬管55に取り替えて実施しても良い。この場合、図4に示す継手25は図15に示す排出口55bに取り付けられる。
【0092】
上記変形例16においても実施形態2と同様の効果を得ることができる。
【0093】
〈浸漬式洗浄〉
(実施形態3)
図16(A)は、本発明の実施形態3による浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図であり、図16(B)は、図16(A)に示す断面に対して垂直方向に超音波洗浄装置を切断した断面図である。
【0094】
この超音波洗浄装置は、洗浄液57で満たされる洗浄槽56を有しており、この洗浄槽56に洗浄液57を満たし、複数の被洗浄物としての半導体ウェーハ59を保持したキャリア(搬送機)58を洗浄槽56内の洗浄液57に浸漬させて洗浄する装置である。
【0095】
洗浄槽56内には、図6(A),(B)に示す超音波伝搬管37が2本挿入して取り付けられている。なお、本実施形態では図7(A),(B)に示す超音波伝搬管40を用いても良い。超音波伝搬管37の先端(前端部)には図11と同様の超音波エネルギーを吸収する減衰体47aが取り付けられており、この減衰体47aは図11に示す変形例7と同様の効果を奏する。
【0096】
超音波伝搬管37の基端(後端部)には超音波振動子(図示せず)が対向するように配置されており、この超音波振動子は筐体11内に配置されている。この筐体11には洗浄液入口60が設けられている。
【0097】
伝搬液としても作用する洗浄液に前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられ、この洗浄液が超音波伝搬管37の丸穴から洗浄槽56内に吐出され、洗浄槽56の上部よりオーバーフローされ、このオーバーフローされた洗浄液は洗浄液回収槽回収61によって回収される。
【0098】
上記実施形態3によれば、キャリア58の受台部分58aを避けて超音波エネルギーが半導体ウェーハ59に供給できるように超音波伝搬管37を配置しているので、従来の浸漬式の超音波洗浄装置のように受台部分による影の部分や気泡の発生を抑制することができる。
【0099】
また、従来の浸漬式の超音波洗浄装置のように振動板を設ける必用がないので、排出口56aを洗浄槽56の底面に設けることができ、排出時間の短縮や洗浄液を完全に排出することができる。また、新規に洗浄槽を用意しなくても、従来の浸漬式の超音波洗浄装置の洗浄槽に超音波伝搬管37を追加することで本実施形態の超音波洗浄装置を実現することができる。
【0100】
次に、図16に示す超音波洗浄装置をシステム化した例について図17を参照しつつ説明する。図17は、実施形態3の超音波洗浄装置のシステムを示す構成図であり、図16と同一部分には同一符号を付す。
【0101】
図17に示すように、伝搬液としても作用する洗浄液を供給する洗浄液供給装置62より供給される洗浄液は溶存気体濃度調整機22、温度調整機23、流量計24、洗浄液入口60を通り、超音波伝搬管37へ供給される。ここで、洗浄液の特性(溶存気体濃度、温度、流量)を洗浄に適した条件に設定することが可能である。
【0102】
超音波伝搬管37の側面に設けられた穴から超音波エネルギーが与えらた洗浄液が吐出され、超音波エネルギーとともに洗浄液が洗浄槽56内に供給される。洗浄槽56内の洗浄液57は、洗浄槽56の上部よりオーバーフローされ、このオーバーフローされた洗浄液は洗浄液回収槽回収61によって回収される。この回収された洗浄液は循環ポンプ28により循環し、フィルター29を通り再生される。この再生された洗浄液は、同様の経路である、溶存気体濃度調整器22、温度調整器23、流量計24を通り、超音波伝搬管37へ供給される。
【0103】
発振器30より超音波振動子へ電力が供給され、超音波振動子によって洗浄液に超音波が与えられ、超音波伝搬管37内に満たされた洗浄液に超音波エネルギーが伝搬する。
【0104】
超音波伝搬管37の側面には音圧センサ32が取付けられており、この音圧センサ32によって超音波伝搬管37内を透過する超音波エネルギーが検出される。この検出された超音波エネルギーのデータはCPU34を通して音圧計33に送られ、音圧計33で電圧値に変換され、CPU34へ送られる。CPU34へは同時に発振器30の出力電圧値も送られており、出力電圧値に対して音圧値(超音波エネルギーの電圧値)が低い場合は、超音波エネルギーが低下したことと判断することができる。CPU34へは、溶存気体濃度調整器22、温度調整器23及び流量計24それぞれから、洗浄液57の特性(溶存気体濃度、温度、流量)もデータとして送られる。このデータが所定の値に達したことを確認した後に発振を開始するようにCPU34によって制御することができる。なお、流量の低下による空作動を防ぐことができる。
【0105】
また、洗浄液57を交換する場合は、洗浄槽56内の洗浄液が排出口56aから排出され、ドレイン36に排液される。
【0106】
洗浄液57の種類によっては温度を70℃程度まで上げることがあり、その場合は、洗浄品質を維持するため、温度を一定に保つことが望ましい。そこで、温度調整器23によって洗浄液57の温度を70℃程度に保つことができる。なお、超音波振動子の動作時における温度上昇は、液温+20℃程度である。液温70℃では、超音波振動子の温度が90℃となるが、超音波振動子の耐久温度は120℃程度であり、使用上問題はない。
【0107】
(変形例)
図18は、実施形態3の変形例17による浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図であり、図16(A)と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0108】
超音波伝搬管63は途中で曲げられた形状で製作され、伝搬液として作用する洗浄液の入口と出口を洗浄槽の外に設けることができる。つまり、図16に示す超音波洗浄装置では、洗浄槽56の壁面に超音波伝搬管37の取り付け穴を設け、この穴から超音波伝搬管37を洗浄槽56内に挿入しているが、変形例17では、洗浄槽56の壁面に超音波伝搬管の取り付け穴を設ける必要がない。従って、本変形例であれば取り付け穴のない洗浄槽にも追加が容易となる。
【0109】
上記変形例17においても実施形態3と同様の効果を得ることができる。
【0110】
図19は、実施形態3の変形例18による浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図であり、図16(B)と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0111】
超音波伝搬管37を洗浄槽56内に多数配置することで、洗浄面積を広くすることができる。つまり、図16に示す超音波洗浄装置では、洗浄槽56に超音波伝搬管37を2本配置しているが、変形例18では、洗浄槽56内に超音波伝搬管37を6本配置している。
【0112】
上記変形例18においても実施形態3と同様の効果を得ることができる。
【0113】
図20は、実施形態3の変形例19による浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図であり、図16(B)と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0114】
変形例19の超音波洗浄装置は、超音波伝搬管37を図27(B)に示す従来の浸漬式の洗浄槽112に追加し、振動板113と併用するものである。この場合、4本の超音波伝搬管37を受け台58aの近傍に配置し、受け台58aの近傍に超音波エネルギーが与えられた洗浄液を吐出することで、受け台58a近傍に発生した気泡を取除く効果がある。
【0115】
〈大型基板洗浄〉
(実施形態4)
図21は、本発明の実施形態4による大型基板を洗浄する超音波洗浄装置を示す断面図である。
【0116】
図21に示す超音波洗浄装置には、図6(A),(B)に示す超音波伝搬管37が用いられる。なお、本実施形態では図7(A),(B)に示す超音波伝搬管40を用いても良い。超音波伝搬管37の先端(前端部)には図11と同様の超音波エネルギーを吸収する減衰体47aが取り付けられており、この減衰体47aは図11に示す変形例7と同様の効果を奏する。
【0117】
超音波伝搬管37の基端(後端部)には超音波振動子(図示せず)が対向するように配置されており、この超音波振動子は筐体11内に配置されている。この筐体11には洗浄液入口60が設けられている。
【0118】
伝搬液としても作用する洗浄液に前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられ、この洗浄液が超音波伝搬管37の丸穴から被洗浄物である大型基板64の表面に吐出される。
【0119】
大型基板64は、その表面が、保持機構によって超音波伝搬管37の側面に対向するように保持されている。この保持機構は、所定間隔で配置された複数の搬送シャフト65と、搬送シャフト65に取り付けられた複数の搬送ローラ66と、搬送シャフト65を回転させる回転機構(図示せず)とを有している。
【0120】
前記回転機構によって搬送シャフト65を回転させて回転ローラ66を回転させることにより、大型基板64を超音波伝搬管37に対して相対的に移動させながら、前記超音波エネルギーが与えられた洗浄液を、矢印のように大型基板64の表面(洗浄面)に複数の丸穴から吐出させる。このようにして大型基板64の表面を洗浄することができる。
【0121】
上記超音波洗浄装置を例えば1.5m×1.5mのサイズの大型基板64に適用した場合、超音波伝搬管37から吐出される洗浄液の流量を、従来の超音波洗浄装置に比べて1/5の20L/min程度に少なくすることができ、超音波振動子の重量を1/3の6kg程度に軽くすることができる。従って、超音波洗浄装置の製作や設置が従来の装置に比べて非常に容易となる。
【0122】
(変形例)
図22は、実施形態4の変形例20による超音波洗浄装置を示す断面図であり、図21と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0123】
超音波伝搬管37の両端に超音波振動子(図示せず)を取り付けている。これにより、洗浄液に与えられる超音波エネルギーを高めることができる。
【0124】
上記変形例20においても実施形態4と同様の効果を得ることができる。
【0125】
図23は、実施形態4の変形例21による超音波洗浄装置を示す断面図であり、図21と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0126】
例えば1.5m×1.5m以上のサイズの大型基板64では、実施形態4のように水平に配置すると、吐出した洗浄液の重さで大型基板がたわみ、液切れが困難となったり乾燥しにくくなるおそれがある。
【0127】
そこで、超音波伝搬管37は軽量であり、縦型でも容易に設置することができるため、大型基板64の縦型搬送を利用する。つまり、前記保持機構によって大型基板64を傾斜させて保持して搬送する。これにより、大型基板64における洗浄後の液切れが容易となり、乾燥しやすくすることができる。
【0128】
上記変形例21においても実施形態4と同様の効果を得ることができる。
【0129】
尚、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、実施形態及び変形例を適宜組み合わせて実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の実施形態1による超音波洗浄装置を示す断面図である。
【図2】図1に示す超音波伝搬管及び被洗浄物の一部を拡大した断面図である。
【図3】図1に示す超音波伝搬管及び被洗浄物の一部を拡大した断面図である。
【図4】本発明の実施形態1の超音波洗浄装置のシステムを示す構成図である。
【図5】純水を中の溶存気体濃度と音圧値の関係を示す図である。
【図6】(A)は本発明の実施形態2による超音波洗浄装置の超音波伝搬管を示す断面図、(B)は(A)に示す超音波伝搬管を下から視た図、(C)は(A),(B)に示す超音波伝搬管を被洗浄物上に配置して洗浄している様子を示す断面図である。
【図7】(A)は図6に示す超音波伝搬管の変形例1を示す断面図、(B)は(A)に示す超音波伝搬管を下から視た図、(C)は(A),(B)に示す超音波伝搬管を被洗浄物上に配置して洗浄している様子を示す断面図である。
【図8】変形例2による超音波伝搬管を示す断面図である。
【図9】変形例3による超音波伝搬管を示す断面図である。
【図10】(A)〜(C)は、変形例4〜6による超音波伝搬管を示す断面図である。
【図11】変形例7による超音波伝搬管を示す断面図である。
【図12】(A)は図1に示す超音波洗浄装置における被洗浄物及び超音波伝搬管の配置を上から視た図を示す平面図、(B)〜(D)は変形例8〜10による超音波伝搬管を示す平面図である。
【図13】(A)〜(C)は実施形態2の変形例11〜13による超音波伝搬管及び被洗浄物を示す平面図である。
【図14】(A)は実施形態1の変形例14による超音波伝搬管及び洗浄液供給機構を示す断面図、(B)は(A)に示す超音波伝搬管及び洗浄液供給機構を被洗浄物上に配置した状態を示す断面図である。
【図15】実施形態1の変形例16による超音波伝搬管を示す断面図である。
【図16】(A)は本発明の実施形態3による浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図、(B)は(A)に示す断面に対して垂直方向に超音波洗浄装置を切断した断面図である。
【図17】本発明の実施形態3の超音波洗浄装置のシステムを示す構成図である。
【図18】実施形態3の変形例17による浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図である。
【図19】実施形態3の変形例18による浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図である。
【図20】実施形態3の変形例19による浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図である。
【図21】本発明の実施形態4による大型基板を洗浄する超音波洗浄装置を示す断面図である。
【図22】実施形態4の変形例20による超音波洗浄装置を示す断面図である。
【図23】実施形態4の変形例21による超音波洗浄装置を示す断面図である。
【図24】従来のスポット型の枚葉式スピン洗浄による超音波洗浄装置を示す断面図である。
【図25】従来のプローブ型の枚葉式スピン洗浄による超音波洗浄装置を示す断面図である。
【図26】図26に示すプローブに伝搬する定在波分布を示す図である。
【図27】(A)は従来の浸漬式の超音波洗浄装置を示す断面図、(B)は(A)に示す断面に対して垂直方向に超音波洗浄装置を切断した断面図である。
【符号の説明】
【0131】
11…ケース(筐体)、12,37,40,42〜53,55,63…超音波伝搬管、12a,44a〜46a…後端部、12b,47b…前端部、13…超音波振動子、13a…円板状の振動板、14…伝搬液給液口、15…伝搬液、16…ステージ、17…回転支持部、18…洗浄液供給ノズル、19,57…洗浄液、20…伝搬液供給装置、21…被洗浄物、22…溶存気体濃度調整器、23…温度調整器、24…流量計、25…継手、26…排液チューブ、27…伝搬液回収槽、28…循環ポンプ、29…フィルター、30…発振器、32…音圧センサ、33…音圧計、34…CPU、35…洗浄液回収槽、36…ドレイン、38…丸穴、39…洗浄液、39a…膜液、41…スリット(溝)、42a,42b…管壁、44b,45b…鍔部、46b…テーパ形状、47a…減衰体、54…洗浄液供給管、54a…導入口、54b…丸穴、55a…内側の管、55b…外側の管、55a1…先端(前端部)、55b1…先端(前端部)、55b2…排出口、56…洗浄槽、56a…排出口、58…キャリア(搬送機)、58a…受台部分、59…半導体ウェーハ、60…洗浄液入口、61…洗浄液回収槽回収、62…洗浄液供給装置、64…大型基板、65…搬送シャフト、66…搬送ローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝搬液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた伝搬液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の下方に配置された、被洗浄物を保持する保持機構と、
前記保持機構によって保持された被洗浄物の洗浄面に洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、
を具備し、
前記超音波伝搬管は、その側面が、前記洗浄液供給機構によって前記洗浄面に洗浄液を供給することで該洗浄面に形成される該洗浄液の液膜に接触するように配置されていることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項2】
請求項1において、前記超音波伝搬管の一方端及び該一方端に対向するように配置された前記超音波振動子を収容する筐体と、前記筐体内に伝搬液を供給する伝搬液供給装置と、前記伝搬液の溶存気体濃度を調整する溶存気体濃度調整器と、前記超音波伝搬管の他方端から排出される伝搬液を回収する伝搬液回収槽と、前記伝搬液回収槽内の伝搬液を再び前記筐体内に供給する循環ポンプと、をさらに具備することを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項3】
洗浄液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた洗浄液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の下方に配置された、被洗浄物を保持する保持機構と、
前記超音波伝搬管の側壁に設けられ、前記保持機構によって保持された被洗浄物の洗浄面に前記洗浄液を吐出するためのスリット又は複数の穴と、
を具備することを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項4】
請求項3において、前記超音波伝搬管は、その側面が、前記スリット又は複数の穴から前記洗浄面に前記洗浄液を吐出することで該洗浄面に形成される該洗浄液の液膜に接触するように配置されていることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項5】
伝搬液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた伝搬液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の外側に、該超音波伝搬管を覆うように配置された洗浄液供給管と、
前記洗浄液供給管の下方に配置された、被洗浄物を保持する保持機構と、
前記洗浄液供給管に設けられた、洗浄液が導入される導入口と、
前記洗浄液供給管の側壁に設けられ、前記導入口から導入された洗浄液を前記保持機構によって保持された被洗浄物の洗浄面に吐出するためのスリット又は複数の穴と、
を具備することを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項6】
請求項5において、前記洗浄液供給管は、その側面が、前記スリット又は複数の穴から洗浄液を前記洗浄面に吐出することで該洗浄面に形成される該洗浄液の液膜に接触するように配置されていることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、前記超音波振動子は前記超音波伝搬管の一方端に対向するように配置されており、前記超音波伝搬管の一方端には単数又は複数の鍔部が設けられていることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項において、前記超音波振動子は前記超音波伝搬管の一方端に対向するように配置されており、前記超音波伝搬管の一方端は前記超音波振動子に近づくにつれて管の内径が大きくなるテーパ形状を有していることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項9】
請求項1、5、6のいずれか一項において、前記超音波伝搬管の他方端には超音波エネルギーを吸収する減衰体が設けられていることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項10】
伝搬液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた伝搬液を流す超音波伝搬管であって、内側の管と外側の管の二重管構造とされ、前記伝搬液が前記内側の管の一方端から導入され、前記内側の管の他方端から吐出され、前記吐出された伝搬液が前記外側の管の内側面を通って前記外側の管の側面から排出される超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の下方に配置された、被洗浄物を保持する保持機構と、
前記保持機構によって保持された被洗浄物の洗浄面に洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、
を具備し、
前記超音波伝搬管は、前記外側の管の外側面が、前記洗浄液供給機構によって前記洗浄面に洗浄液を供給することで該洗浄面に形成される該洗浄液の液膜に接触するように配置されていることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項において、前記伝搬液が純水であり、前記純水中の溶存気体濃度が2〜4.5ppmに調整されていることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項12】
洗浄槽内の洗浄液に被洗浄物を浸漬させて洗浄する超音波洗浄装置において、
洗浄液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた洗浄液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の側壁に設けられた前記洗浄液を吐出するためのスリット又は複数の穴と、
を具備し、
前記超音波伝搬管が前記洗浄槽内に挿入されており、
前記洗浄槽内に前記スリット又は複数の穴から前記洗浄液が吐出されることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項13】
請求項12において、前記超音波伝搬管の一方端及び該一方端に対向するように配置された前記超音波振動子を収容する筐体と、前記筐体内に洗浄液を供給する洗浄液供給装置と、前記洗浄液の溶存気体濃度を調整する溶存気体濃度調整器と、前記洗浄装置の上部からオーバーフローされる洗浄液を回収する洗浄液回収槽と、前記洗浄液回収槽内の洗浄液を再び前記筐体内に供給する循環ポンプと、をさらに具備することを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項14】
洗浄液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた洗浄液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の側面に設けられた前記洗浄液を吐出するためのスリット又は複数の穴と、
前記スリット又は複数の穴に対向するように被洗浄物を保持する保持機構と、
前記保持機構に保持された前記被洗浄物と前記超音波伝搬管を相対的に移動させる移動機構と、
を具備し、
前記移動機構によって前記被洗浄物と前記超音波伝搬管を相対的に移動させながら前記超音波エネルギーが与えられた洗浄液を前記被洗浄物に前記スリット又は複数の穴から吐出させることにより前記被洗浄物を洗浄することを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項15】
請求項14において、前記保持機構によって前記被洗浄物を傾斜させて保持することを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項1】
伝搬液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた伝搬液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の下方に配置された、被洗浄物を保持する保持機構と、
前記保持機構によって保持された被洗浄物の洗浄面に洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、
を具備し、
前記超音波伝搬管は、その側面が、前記洗浄液供給機構によって前記洗浄面に洗浄液を供給することで該洗浄面に形成される該洗浄液の液膜に接触するように配置されていることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項2】
請求項1において、前記超音波伝搬管の一方端及び該一方端に対向するように配置された前記超音波振動子を収容する筐体と、前記筐体内に伝搬液を供給する伝搬液供給装置と、前記伝搬液の溶存気体濃度を調整する溶存気体濃度調整器と、前記超音波伝搬管の他方端から排出される伝搬液を回収する伝搬液回収槽と、前記伝搬液回収槽内の伝搬液を再び前記筐体内に供給する循環ポンプと、をさらに具備することを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項3】
洗浄液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた洗浄液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の下方に配置された、被洗浄物を保持する保持機構と、
前記超音波伝搬管の側壁に設けられ、前記保持機構によって保持された被洗浄物の洗浄面に前記洗浄液を吐出するためのスリット又は複数の穴と、
を具備することを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項4】
請求項3において、前記超音波伝搬管は、その側面が、前記スリット又は複数の穴から前記洗浄面に前記洗浄液を吐出することで該洗浄面に形成される該洗浄液の液膜に接触するように配置されていることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項5】
伝搬液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた伝搬液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の外側に、該超音波伝搬管を覆うように配置された洗浄液供給管と、
前記洗浄液供給管の下方に配置された、被洗浄物を保持する保持機構と、
前記洗浄液供給管に設けられた、洗浄液が導入される導入口と、
前記洗浄液供給管の側壁に設けられ、前記導入口から導入された洗浄液を前記保持機構によって保持された被洗浄物の洗浄面に吐出するためのスリット又は複数の穴と、
を具備することを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項6】
請求項5において、前記洗浄液供給管は、その側面が、前記スリット又は複数の穴から洗浄液を前記洗浄面に吐出することで該洗浄面に形成される該洗浄液の液膜に接触するように配置されていることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、前記超音波振動子は前記超音波伝搬管の一方端に対向するように配置されており、前記超音波伝搬管の一方端には単数又は複数の鍔部が設けられていることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項において、前記超音波振動子は前記超音波伝搬管の一方端に対向するように配置されており、前記超音波伝搬管の一方端は前記超音波振動子に近づくにつれて管の内径が大きくなるテーパ形状を有していることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項9】
請求項1、5、6のいずれか一項において、前記超音波伝搬管の他方端には超音波エネルギーを吸収する減衰体が設けられていることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項10】
伝搬液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた伝搬液を流す超音波伝搬管であって、内側の管と外側の管の二重管構造とされ、前記伝搬液が前記内側の管の一方端から導入され、前記内側の管の他方端から吐出され、前記吐出された伝搬液が前記外側の管の内側面を通って前記外側の管の側面から排出される超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の下方に配置された、被洗浄物を保持する保持機構と、
前記保持機構によって保持された被洗浄物の洗浄面に洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、
を具備し、
前記超音波伝搬管は、前記外側の管の外側面が、前記洗浄液供給機構によって前記洗浄面に洗浄液を供給することで該洗浄面に形成される該洗浄液の液膜に接触するように配置されていることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項において、前記伝搬液が純水であり、前記純水中の溶存気体濃度が2〜4.5ppmに調整されていることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項12】
洗浄槽内の洗浄液に被洗浄物を浸漬させて洗浄する超音波洗浄装置において、
洗浄液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた洗浄液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の側壁に設けられた前記洗浄液を吐出するためのスリット又は複数の穴と、
を具備し、
前記超音波伝搬管が前記洗浄槽内に挿入されており、
前記洗浄槽内に前記スリット又は複数の穴から前記洗浄液が吐出されることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項13】
請求項12において、前記超音波伝搬管の一方端及び該一方端に対向するように配置された前記超音波振動子を収容する筐体と、前記筐体内に洗浄液を供給する洗浄液供給装置と、前記洗浄液の溶存気体濃度を調整する溶存気体濃度調整器と、前記洗浄装置の上部からオーバーフローされる洗浄液を回収する洗浄液回収槽と、前記洗浄液回収槽内の洗浄液を再び前記筐体内に供給する循環ポンプと、をさらに具備することを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項14】
洗浄液に超音波エネルギーを与える超音波振動子と、
前記超音波振動子によって超音波エネルギーが与えられた洗浄液を流す超音波伝搬管と、
前記超音波伝搬管の側面に設けられた前記洗浄液を吐出するためのスリット又は複数の穴と、
前記スリット又は複数の穴に対向するように被洗浄物を保持する保持機構と、
前記保持機構に保持された前記被洗浄物と前記超音波伝搬管を相対的に移動させる移動機構と、
を具備し、
前記移動機構によって前記被洗浄物と前記超音波伝搬管を相対的に移動させながら前記超音波エネルギーが与えられた洗浄液を前記被洗浄物に前記スリット又は複数の穴から吐出させることにより前記被洗浄物を洗浄することを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項15】
請求項14において、前記保持機構によって前記被洗浄物を傾斜させて保持することを特徴とする超音波洗浄装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2010−46590(P2010−46590A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211977(P2008−211977)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000124959)株式会社カイジョー (83)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000124959)株式会社カイジョー (83)
【Fターム(参考)】
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