説明

車両走行制御装置及びその方法

【課題】車両の走行中運転席ドアが開いている場合にも、車両の走行を可能とする。
【解決手段】車両10に設けられた複数のドア14A、14Cが、走行中に開いているかどうかを検出し、いずれかのドア14A、14Cが開いていると検出されたとき、開いているドアが運転席ドア14Aであるかどうかを判定し、運転席ドア14Aのみが開いていると判定された場合に、車両10の走行を許可するようにしているので、運転席ドア14Aを開けて周りを確認しながら駐車する際、円滑に駐車することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のドアが開いているかどうかを検出する機能を備える前記車両に適用して好適な車両走行制御装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のドアが開いている状態では、運転者による車両の走行を禁止する走行禁止装置付き車両が提案されている(特許文献1)。
【0003】
この特許文献1に係る技術では、アクセルペダルの踏み込みを制動するソレノイドと、車両のドアが開いているかどうかを検出するリミットスイッチとを設け、車両のドアが開いていることをリミットスイッチにより検出したとき、ソレノイドを駆動し、アクセルペダルの踏み込みを制動するようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開平8−244494号公報([0007])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、車両の運転席側を路側等道路端あるいは駐車場側端に沿って駐車しようとする場合、ドアミラーの死角部分である車両右側面下方を確認するために、運転者が左手でステアリングを握りながら右手で運転席ドアを少し開けて車両右側面下方並びに後方を視覚により確認しながら後退駐車等をしたい場合がある。
【0006】
しかしながら、上記従来技術による車両では、ドアが開いている場合には、アクセルペダルの踏み込みが制動されて走行が禁止されるので、運転者の意に沿って駐車時等の走行を行うことができないという課題がある。
【0007】
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであって、車両のドアが開いている場合に、一律に、アクセルペダルの踏み込みを制御しないようにすることを可能とする車両走行制御装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る車両走行制御装置は、以下の特徴(1)〜(5)を備える。
【0009】
(1)車両の各ドアが開いているかどうかを検出する複数のドア開検出センサを備え、いずれかの前記ドア開検出センサにより前記ドアが開いていると検出されたときに、前記車両の走行を禁止する車両走行制御装置において、開いている前記ドアが運転席ドアであるかどうかを判定する運転席ドア開判定部と、前記運転席ドア開判定部により前記運転席ドアのみが開いていると判定された場合は、車両の走行を許可する走行許可部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、運転席ドアのみが開いていると判定された場合は、車両の走行を許可するようにしているので、運転席ドアを開けて周りを確認しながら駐車する際、円滑に駐車することができる。
【0011】
(2)上記特徴(1)を備える発明において、前記運転席ドアのみが開いている状態であるときに走行可能とする速度を所定速度以下とするように構成することが好ましい。この場合、所定速度は例えば車両が直ちに停止可能な徐行速度程度の速度である。この発明によれば、運転席ドアが開いていて走行できても車速が所定速度以下に制限されるので、駐車したい位置等に、より正確に駐車することができる。
【0012】
(3)車両の各ドアが開いているかどうかを検出する複数のドア開検出センサを備え、いずれかの前記ドア開検出センサにより前記ドアが開いていると検出された場合には、走行する際の速度を所定速度に制限することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、いずれかのドア、例えば、助手席側が開いていると判定された場合は、所定速度以下での車両の走行を許可するようにしているので、(運転補助者等が)助手席ドアを開けて周りを確認しながら駐車することができる。この場合においても、所定速度は、例えば徐行速度程度の速度以下であることが好ましい。
【0014】
(4)上記特徴(1)または(2)を備える発明において、さらに、アクセルペダルに反力を付与する反力付与機構と、該アクセルペダル反力付与機構の反力を制御する反力制御部と、を備え、前記運転席ドア開判定部により、開いているドアが前記運転席ドアではないと判定されたときに、前記反力制御部は、前記アクセルペダル反力付与機構により前記アクセルペダルに付与する反力を増加させることで、運転者にドアが開いていることを警告する(知得させる)ことができる。
【0015】
(5)上記特徴(2)または(3)を備える発明において、さらに、車速センサと、車速判定部と、アクセルペダルに反力を付与する反力付与機構と、該アクルペダル反力付与機構の反力を制御する反力制御部と、を有し、前記車速判定部が、前記車速センサにより検出された車速が所定速度を上回る車速であると判定したとき、前記反力制御部は、前記アクセルペダル反力付与機構により前記アクセルペダルに付与する反力を増加させることで、いずれかのドアが開いていて所定速度以上で走行しているときに、より確実にドアが開いていることを警告することができる。
【0016】
(6)上記特徴(4)または(5)を有する発明において、さらに、アクセルペダル操作量センサと、動力停止部を備え、前記反力を増加させたときに、前記アクセルペダル操作量センサが、前記反力の増加に抗うアクセルペダル操作量を検出したとき、前記動力停止部は、当該車両の動力を停止させることで、一層確実にドアが開いていることを警告することができる。
【0017】
(7)この発明に係る車両走行制御方法は、車両に設けられた複数のドアが、開いているかどうかを検出し、いずれかの前記ドアが開いていると検出されたときに、前記車両の走行を禁止する車両走行制御方法において、開いている前記ドアが運転席ドアであるかどうかを判定するステップと、前記運転席ドアのみが開いていると判定された場合、車両の走行を許可するステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、運転席ドアのみが開いていると判定された場合は、車両の走行を許可するようにしているので、運転席ドアを開けて周りを確認しながら駐車する際、円滑に駐車することができる。また、いずれかのドア、例えば、助手席側が開いていると判定された場合は、所定速度以下での車両の走行を許可するようにしているので、(運転補助者等が)助手席ドアを開けて周りを確認しながら駐車することができる。
【0019】
このように、車両のドアが開いている場合に、一律に、アクセルペダルの踏み込みを制御しないようにしているので、柔軟性の高い車両運転が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明に係る車両走行制御方法を実施する車両走行制御装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、この発明の一実施形態が適用された車両10の外観を示している。車体12には、運転者がステアリング13を操作する運転席側に設けられた運転席ドア14Aと、助手席ドア14Bと、後部座席ドア14C、14Dと、トランクドア14Eの5つのドア14(ドア14A〜14E)が設けられている。
【0022】
各ドア14には、それぞれ、対応して、ドア開検出センサ16(16A〜16F)が設けられている。各ドア開検出センサ16は、リミットスイッチ、近接スイッチあるいは光センサ等を用いることができる。
【0023】
図2は、車両10(図1参照)に適用された、この実施形態に係る車両走行制御装置50のブロック図を示している。
【0024】
ドア開検出センサ16の信号は、それぞれECU(電子制御ユニット)22に入力される。
【0025】
ECU22は、後述する制御フローに従って、走行中にドア14が開いていることを検出したとき所定の制御を行い、走行中にドアが閉じていることを検出したときには、前記所定の制御をリセットして通常走行の制御に供される。
【0026】
ECU22は、コンピュータ及びDSP等により構成され、CPUが各種入力に基づきROM等のメモリに記憶されているプログラムを実行することで各種の機能を実現する機能実現部(機能実現手段)としても動作する。
【0027】
図3のフローチャートを参照して説明する第1実施例において、ECU22は、運転席ドア開検出センサ16Aからの信号により運転席ドア14Aが開いているかどうかを判定する運転席ドア開判定部22A、運転席ドア14Aのみが開いていると判定したときに車両10の走行を許可する走行許可部22Bと、車速センサ44により検出された車速Vと所定速度Vthとを比較する車速判定部22Cと、反力付与機構36を通じてアクセルペダル32に反力Frを付与する反力制御部22Dと、スロットル弁42の開度を強制的にゼロにするとともに燃料噴射弁43による燃料噴射を強制的にオフ(燃料カット)する動力停止部22Eと、制動装置24の制動力を自動制御して自動ブレーキをかける制動制御部22Fと、運転席ドア14Aのみが開いている状態であるときに走行可能とする速度を所定速度以下に制限する、いわゆる速度リミッターの機能を司る速度制限部22G等として機能する。これらの機能は、ハードウエアにより実現することもできる。その場合、用語「〜部」は、「〜回路」、「〜器」、または「〜装置」に置換することができる。
【0028】
ECU22には、車両10の図示しないエンジンの回転を検出するクランクパルスセンサ40や、アクセルペダル32の操作量(アクセルペダル操作量)θを検出するアクセルペダル操作量センサ34が接続される。
【0029】
前記の反力付与機構36は、アクセルペダル32に連結された図示しないモータ等から構成され、ECU22の反力制御部22Dから供給される制御信号に応じたアクセルペダル反力Frをアクセルペダル32に付与する。
【0030】
反力付与機構36は、運転者によるアクセルペダル32の踏み込み操作に対して壁感等を付与する機能を有する。この壁感付与時のアクセルペダル反力Frの増加の程度は、運転者がアクセルペダルを操作する足(通常は右足)を自然とアクセルペダル上に載置し、右足の自重だけをアクセルペダルに掛けた状態、あるいはこの状態からアクセルペダルを少し踏み込んだ程度では踏み越えることができない程度の大きさに設定される。なお、反力付与機構36は、後述するように、一定条件下で反力制御部22Dの制御下に前記壁感を超える大きさの反力Frをアクセルペダル32に付与する。
【0031】
次に図3のフローチャートを参照して第1実施例に係る車両走行制御装置50の動作について説明する。
【0032】
まず、ステップS1において、ECU22は、車両10の動力、この実施形態ではエンジン、がオン状態にあるかどうかをクランクパルスセンサ40から供給されるクランクパルスの発生に基づき検出する。
【0033】
動力がオン状態であることを検出したとき、制御が開始され、ステップS2において、ECU22は、ドア開検出センサ16(16A〜16E)によって検出される信号を取り込み、ドア14(14A〜14E)が開いているかどうかを判定する。
【0034】
ステップS2において、全てのドア14が閉まっていると判定した場合には、ステップS3において、この制御をリセットし、ステップS1にもどる。このステップS1:YES、ステップS2:NO、ステップ3の経路でECU22が動作しているときは、通常走行時であり、アクセルペダル32に対する反力Frの付与の特別な制御は行わない。
【0035】
一方、ステップS2において、いずれかのドア14が開いていることを検出したとき、ステップS4において、ECU22は、車速センサ44により検出された車速Vを取り込み、車速判定部22Cにより取り込んだ車速Vが所定速度Vth以下であるかどうかを判定する(V≦Vth)。所定速度Vthは、例えば、車両10が直ちに停止できる徐行速度程度の速度に設定されている。
【0036】
ステップS4において、車速Vが所定速度Vthを上回る速度であると判定した場合には、ECU22は、走行中にドア14が開いている半ドア状態等であると判定して、運転者に注意、警告を与えるため、ステップS5において、反力制御部22Dが、反力付与機構36を通じてアクセルペダル32に反力Frを付与(反力Frを増加)するとともに、制動装置24のブレーキ圧Bpを制御して自動ブレーキをかける。
【0037】
そして、ステップS6において、アクセルペダル32が、原位置(アクセルペダル操作量θ=0)まで戻っているかどうかを確認する。
【0038】
具体的には、図4の中段の特性図に示すように、通常走行中(ドア14が閉じているときの走行中)、反力Frは、反力付与機構36を通じてアクセルペダル操作量θに対して比例的な特性52(図中、直線の特性)として付与されるが、走行中にドア14が開いていることを検出した場合には、特性53a、53a´に示すように、現在のアクセルペダル32の位置に応じて、例えばアクセルペダル操作量θ2(θ1)の位置P2(P1)では、壁感を与えるための反力Frを付与し、誘導点i1(i1´)をアクセルペダル32の原位置(アクセルペダル操作量θ=0[゜]である誘導点i2)に移行させる。つまり、ペダル戻し方向に反力が働く。その際、アクセルペダル32の戻り量に応じて特性53bに示すように反力Frを徐々に増加させる。
【0039】
この場合、図4の下段の特性図に示すように、誘導点i1から誘導点i2に移るまでの時間t1では、制動装置24を通じての自動制動のブレーキ圧Bpがゼロ値から所定値まで時間t1経過後の時点まで直線的に増加するように制御する。なお、時間t1は、例えば数秒程度である。
【0040】
アクセルペダル32が、例えばアクセルペダル操作量θ=θ2からアクセルペダル操作量θ=0(原位置)にもどったとき(ステップS6:YES)、ブレーキ圧Bpを、点線の特性62で示すように徐々に抜いていく。
【0041】
そして、ステップS5で、図4を参照して説明した反力Fr付与及びブレーキ圧Bp制御を行ったとき、ステップS6において、アクセルペダル32がもどっているかどうかを判定し、もどっている場合(ステップS6:YES)、ステップS7において、車速Vが所定速度Vth以下(V≦Vth)になったかどうかを確認し、なっていない場合には、ステップS9において、図5の制動特性60に示すように、一定車速V1以上では、最大制動Gをかけるように制御し、一定車速V1から車速V=0までは、現在の車速Vに応じて制動G(Gは重力加速度)である制動力が比例的に小さくかかるように制動装置24を作動させて制御し自動ブレーキをかける。
【0042】
その一方、ステップS6において、反力Frの付与に抗うアクセルペダル操作量θであった場合には、換言すれば、アクセルペダル操作量θが、例えばアクセルペダル操作量θ2から小さい値に戻らなかった場合には、ステップS8において、燃料噴射弁43を閉じて燃料カットするとともに、スロットル弁42を直接制御(いわゆる、スロットルバイワイヤ)して閉じる。燃料カット等した場合にも、ステップS9の図5の特性60に基づく自動ブレーキ制御を行う。
【0043】
なお、ステップS7において、車速Vが所定速度Vthとなっていた場合にはステップS1にもどる。
【0044】
また、上述したステップS4において、車速Vが所定速度Vth(例えば、徐行速度程度の速度)以下である場合、ステップS10において、ステップS2で開いていると判定したドア14が、運転席ドア14Aであるかどうかを運転席ドア開判定部22Aにより判定する。
【0045】
開いているドア14が運転席ドア14A以外のドア14B〜14Eである場合には、ECU22は、徐行速度程度の車速での走行中にドア14が開いている半ドア状態等であると判定して、運転者に注意、警告を与えるため、ステップS11において、反力制御部22Dが、反力付与機構36を通じてアクセルペダル32に、図6に示す特性64に示すように、所定速度Vth(図5参照)に対応するアクセル操作量θ=θ4の位置で、反力Frを増加して(図7も参照)、運転者の足58に対して壁感を与えるとともにアクセルペダル32を原位置(θ=0)側に誘導する徐々に小さくなる反力Fr(図6中、特性64)を与える。
【0046】
そして、ステップS11における反力Frの付与(図6、図7参照)に対してステップS12で、この反力Frに抗い、アクセルペダル操作量θがθ=θ4より大きくなるアクセルペダル32の踏み込み操作を検知した場合、ステップS13では、ステップS8と同様に、燃料噴射弁43を閉じて燃料カットするとともに、スロットル弁42を閉じる。
【0047】
その結果、ステップS14で、ステップS13の燃料カット等処理、又はステップS11の反力Fr付与処理(図6)に従い車速VがV=0となった場合、つまり車両10が停車した場合には(ステップS14:YES)、ステップS1にもどり上述した動作を繰り返す。
【0048】
その一方、ステップS13において燃料カットし、かつスロットル弁42の閉作動を行った後にも、僅かにエンジンブレーキがかかった状態で、ステップS14において未だ走行している(V≠0)と判定した場合、又はステップS12が肯定的であってもまだ十分に停止していない場合、ステップS15において、図5に示した特性60に従い、所定速度Vth以下の現在の車速Vに応じて制動Gをかけて制動装置24を作動させ自動ブレーキをかける。
【0049】
そして、上述した場合以外の、すなわち、ステップS1においてエンジンがONとなっており、ステップS2においていずれかのドア14が開いていることが検出され、さらに、ステップS4において車速Vが所定速度Vth(例えば徐行速度程度の速度)以下であって、かつステップS10で開いているドア14が運転席ドア14Aのみであると検出した場合、例えば、図8に示すような後方確認運転中等であると同定して、車両10の走行を許可する。
【0050】
この場合、運転者は、例えば、車両10の運転席側を路側等道路端66あるいは駐車場側端に沿って駐車しようとする際、右手で運転席ドア14Aを少し開けて、運転席ドアミラー68の死角部分である車両右側面下方を視覚により確認しながら、左手でステアリング13を操ることで、ECU22が、後退駐車等を所望の位置、この場合路側等道路端66に沿って確実に停止することをアシストできる。
【0051】
ただし、車速Vが所定速度Vthになってからの(ステップS4:YES)加速を防止するために、運転席ドア14Aのみが開いているとき(ステップS10:YES)、ステップS16において速度制限部22Gにより速度制限設定、いわゆる速度リミッターを設定する。速度制限設定では、例えば、所定速度Vth以下の速度あるいは所定踏み込み量以下でのアクセル操作量θを維持するために、反力Frの増加、燃料カットを行う。
【0052】
以上説明したように上述した第1実施例に係る車両走行制御装置50は、複数のドア開検出センサ16(16Aから6E)により、走行中、車両10の各ドア14(14A〜14E)が開いているかどうかを検出する。
【0053】
そして、いずれかのドア開検出センサ16によりドア14が開いていると検出されたとき、運転席ドア開判定部22Aにより開いている前記ドアが運転席ドアであるかどうかを判定する。運転席ドア開判定部22Aにより運転席ドア14Aのみが開いていると判定された場合は、走行許可部22Bにより車両10の走行を許可する。このため、運転席ドア14Aを開けて周りを確認しながら駐車する際、円滑に駐車することができる。
【0054】
この場合、車速センサ44により検出された車速Vが車速判定部22Cにより所定速度Vth以下であると判定されたときに、走行許可部22Bが、車両10の走行を許可するように構成することが好ましい。この所定速度Vthは、例えば車両10が直ちに停止可能な徐行速度程度の速度とされ速度制限部22Gにより設定制御される。このように制御すれば、運転席ドア14Aが開いていて走行できても車速Vが所定速度Vth以下に制限されるので、駐車したい位置等に、より正確に駐車することができる。
【0055】
また、車速判定部22Cが、車速センサ44により検出された車速Vが所定速度Vth以下であると判定したときであって、運転席ドア開判定部22Aにより、開いているドア14が運転席ドア14Aではないと判定されたときに、反力制御部22Dは、アクセルペダル反力付与機構36によりアクセルペダル32に付与する反力Frを増加させることで、運転者にドア14が開いていることを警告する(知得させる)ことができる。
【0056】
さらに、反力Frを増加させたときに、アクセルペダル操作量センサ34が、反力Frの増加に抗うアクセルペダル操作量θを検出したとき(ステップS6:NO又はステップS12:YES)、動力停止部22Eは、燃料カットし、スロットル弁42を閉じて車両10の動力を停止させることで、運転者に対し、より確実にドアが開いていることを警告することができる。
【0057】
さらにまた、ドア開検出センサ16(16A〜16E)によりいずれかのドア14が開いていると判定されたときに、車速判定部22Cが、車速センサ44により検出された車速Vが所定速度Vthを上回る車速V(V>Vth)であると判定したとき(ステップS4:NO)、反力制御部22Dは、アクセルペダル反力付与機構36によりアクセルペダル32に付与する反力Frを増加させることで、いずれかのドア14が開いていて所定速度Vth以上で走行しているときに、より確実にドアが開いていることを警告することができる。実際上、この場合には、自動ブレーキも作動させ、必要に応じて燃料カットし、スロットル弁42を閉じる方向に制御して、車速Vを強制的に所定速度Vth以下となるようにしている。
【0058】
この第1実施例に係る車両走行制御方法は、車両10に設けられた複数のドア14(14A〜14E)が、走行中に開いているかどうかを検出し(S2)、いずれかのドア14が開いていると検出されたとき(S2:YES)、開いているドア14が運転席ドア14Aであるかどうかを判定し(S9)、運転席ドア14Aのみが開いていると判定された場合に、車両10の所定速度Vth以下での走行を許可する(S9:YES、S16)ようにしている。
【0059】
上述した実施形態によれば、車両10の走行中に運転席ドア14Aのみが開いていると判定された場合に、車両10の走行を許可するようにしているので、例えば運転席ドア14Aを開けて周りを確認しながら駐車する際、円滑に駐車することができる。
【0060】
なお、車両10の動力として、上述したエンジンの他、バッテリ、又は燃料電池の少なくとも1つを有する構成とすることで、この発明は、内燃機関車両の他、電気自動車、燃料電池車両、ハイブリッド車両等種々の車両に適用することができる。
【0061】
また、第1実施例中の車両走行制御動作時に全てのドアが閉められた場合は(ステップS2:NO)、直ちに車両走行制御を停止するようしている(ステップS3)。
【0062】
次に、図9のフローチャートを参照して第2実施例に係る車両走行制御装置50の動作について説明する。
【0063】
図9のフローチャートの処理中、図3のフローチャートに示した処理と同一のものには同一のステップ番号を付けてその説明は省略する。
【0064】
図9のフローチャートの処理においては、図3のフローチャートの処理に比較して、ステップS10の運転席ドア14Aの制限が外され、運転席ドア14Aを含めて、助手席ドア14B、後部座席ドア14C、14D、トランクドア14E(この場合、実際には、ハッチバックドア等)の少なくとも一つのドアが開いていた場合には(ステップS2:YES)、車速Vが所定速度Vth以下であることを条件に(ステップS4:YES)、上述したステップS16の速度制限部22Gによる速度制限設定と同じ設定、いわゆる速度リミッターを設定する点で異なる。
【0065】
この図9のフローチャートを参照して説明した第2実施例によれば。車両10のいずれかのドア、例えば、助手席ドア14Bが運転免許証を有する運転補助者等の助手席搭乗者により開かれていると判定された場合は、所定速度Vth以下での車両の走行を許可するようにしているので、助手席ドア14Bを開けて周りを確認する助手席搭乗者と協力しながら駐車することができる。この第2実施例は、例えばトラック、バス等の大型車両に適用しても好適である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明の一実施形態が適用された車両の模式的平面図である。
【図2】実施形態に係る車両走行制御装置のブロック図である。
【図3】第1実施例に係る車両走行制御装置の動作説明に供されるフローチャートである。
【図4】所定速度以上で走行中にドアが開いていた場合にアクセルペダルを原位置に戻すための動作説明図である。
【図5】自動ブレーキ作動時の特性図である。
【図6】所定速度に対応するアクセルペダル開度位置から反力を増加させてアクセルペダル操作量をゼロとする際の特性図である。
【図7】所定速度に対応するアクセルペダル開度位置から反力を増加させてアクセルペダル操作量をゼロとする際の模式図である。
【図8】運転席ドア開時に所定速度以下で走行している状態を示す説明図である。
【図9】第2実施例に係る車両走行制御装置の動作説明に供されるフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
10…車両 14(14A〜14E)…ドア
16(16A〜16D)…ドア開検出センサ 22…ECU
22A…運転席ドア開判定部 22B…走行許可部
22C…車速判定部 22D…反力制御部
22E…動力停止部 22F…制動力制御部
50…車両走行制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の各ドアが開いているかどうかを検出する複数のドア開検出センサを備え、
いずれかの前記ドア開検出センサにより前記ドアが開いていると検出されたときに、前記車両の走行を禁止する車両走行制御装置において、
開いている前記ドアが運転席ドアであるかどうかを判定する運転席ドア開判定部と、
前記運転席ドア開判定部により前記運転席ドアのみが開いていると判定された場合は、車両の走行を許可する走行許可部と、
を備えることを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両走行制御装置において、
前記運転席ドアのみが開いている状態であるときに走行可能とする速度を所定速度以下とする
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項3】
車両の各ドアが開いているかどうかを検出する複数のドア開検出センサを備え、
いずれかの前記ドア開検出センサにより前記ドアが開いていると検出された場合には、走行する際の速度を所定速度に制限する
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の車両走行制御装置において、
さらに、アクセルペダルに反力を付与する反力付与機構と、該アクセルペダル反力付与機構の反力を制御する反力制御部と、を備え、
前記運転席ドア開判定部により、開いているドアが前記運転席ドアではないと判定されたときに、
前記反力制御部は、前記アクセルペダル反力付与機構により前記アクセルペダルに付与する反力を増加させる
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項5】
請求項2または3記載の車両走行制御装置において、
さらに、車速センサと、車速判定部と、アクセルペダルに反力を付与する反力付与機構と、該アクセルペダル反力付与機構の反力を制御する反力制御部と、を有し、
前記車速判定部が、前記車速センサにより検出された車速が所定速度を上回る車速であると判定したとき、
前記反力制御部は、前記アクセルペダル反力付与機構により前記アクセルペダルに付与する反力を増加させる
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項6】
請求項4または5記載の車両走行制御装置において、
さらに、アクセルペダル操作量センサと、動力停止部を備え、
前記反力を増加させたときに、前記アクセルペダル操作量センサが、前記反力の増加に抗うアクセルペダル操作量を検出したとき、
前記動力停止部は、当該車両の動力を停止させる
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項7】
車両に設けられた複数のドアが、開いているかどうかを検出し、いずれかの前記ドアが開いていると検出されたときに、前記車両の走行を禁止する車両走行制御方法において、
開いている前記ドアが運転席ドアであるかどうかを判定するステップと、
前記運転席ドアのみが開いていると判定された場合、車両の走行を許可するステップと、
を備えることを特徴とする車両走行制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−298189(P2009−298189A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151911(P2008−151911)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】