説明

車載用ナビゲーション装置

【課題】ユーザの嗜好に最も適した施設を検索して案内する車載用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 車両の周囲を撮影する撮影手段と、撮影された画像データから、商品あるいは役務に関する少なくとも料金情報を含む看板情報を抽出する看板情報抽出手段と、看板情報が撮影された車両の位置を検出する車両位置検出手段と、抽出された看板情報と検出された車両の位置とから当該看板の提供元である施設の位置を検出する施設位置検出手段と、抽出された看板情報および検出された施設の位置を記憶する看板情報記憶手段と、を有することを特徴とする車載用ナビゲーション装置として提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を案内経路にしたがって目的地まで誘導する車載用ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、現在地から目的地までの適切な経路を設定し、表示装置や音声出力装置などによって案内する車載用ナビゲーション装置は、ユーザの効率的で安全な運転に貢献している。
【0003】
道路地図や施設等のデータはDVDやハードディスク装置(以下、HDDと略称)に記憶されているが、データは日々新しくなるので、データ配信センタから最新の地図データ及び施設データが配信される車載用ナビゲーション装置において、施設データに新規に追加された施設(新規施設)があると、車両が新規施設に近づいたときに表示装置に表示された地図上に新規施設があることを示す画像を表示する車載用ナビゲーション装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、車両の停車などの車両の状態から、もしくは車両に取り付けられているテレビカメラで撮影した画像データから、任意の地点に存在する施設を地図データベースに自動的に追加する車載用ナビゲーション装置が考案されている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−069967号公報
【特許文献2】特開平11−351888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
日々情報が新しくなる(変化する)ものとして、競争の激しい業界として例えば、ガソリンスタンドの燃料料金や洗車の料金,ファミリーレストランの日替わりランチのメニューやその料金表示等がある。例えば、道路に沿った店舗では、提供される商品または役務のメニューや料金等が大きな看板、垂れ幕、幟、等(以下、看板等)によって客寄せ用によく掲示されている。これらの商品または役務は、同一内容でも日毎に料金が変更されたり、あるいは同一料金でも曜日、時間毎の商品または役務の内容が変更されるなど掲示内容が日々変動している。
【0007】
ガソリンスタンドで燃料を給油した後その先を走行中に、給油したガソリンスタンドよりも安価に提供するガソリンスタンドがあった場合、その差額が僅かでたとえ100円、200円程度であっても差額の多寡とは無関係に損失感が漂うことを殆どのユーザが体験している。同様に適当に入ったファミリーレストラン等で食事をした後、その先を走行中に食事をしたファミリーレストランよりも料理の内容がよりよく、廉価、そのときの嗜好にマッチしている看板等の情報に遭遇して残念に思うことも頻度高く体験している。
【0008】
このように、自車の走行経路上にある店舗のその時点での商品または役務の内容、価格情報等が事前にあればそれを加味し満足の行く(納得性のある、後で悔やまない)店舗を選択出きるはずなのであるがこれを逃していることが多く発生している。
【0009】
特許文献1の例では、配信センタから新しい施設の情報を入手するだけで、日々の商品または役務の内容までは入手することはできない。また、特許文献2の例では、新しい施設の情報の入手先が配信センタの代わりに自車搭載のカメラ等になっただけで、同様に日々の商品または役務の内容までは入手することはできない。
【0010】
上記問題を背景として、本発明の課題は、ユーザの嗜好に最も適した施設を検索して案内する車載用ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するための車載用ナビゲーション装置を提供するものである。すなわち、請求項1によれば、車両の周囲を撮影する撮影手段と、撮影された画像データから、商品あるいは役務に関する少なくとも料金情報を含む看板情報を抽出する看板情報抽出手段と、看板情報が撮影された車両の位置を検出する車両位置検出手段と、抽出された看板情報と検出された車両の位置とから当該看板の提供元である施設の位置を検出する施設位置検出手段と、抽出された看板情報および検出された施設の位置を記憶する看板情報記憶手段と、を有することを特徴とする車載用ナビゲーション装置として構成される。
【0012】
上記構成によって、自車の走行経路上にある施設の走行時点での最新の価格情報を入手して記憶することができるので、その施設の付帯情報として活用することが可能となる。
【0013】
請求項2によれば、本発明の車載用ナビゲーション装置における看板情報には、商品あるいは役務の内容,および当該商品あるいは役務が提供される日時のうちの少なくとも一つが含まれる構成をとることができる。
【0014】
上記構成によって、例えば、ガソリンスタンドでの「今日の価格『116.50円/L』」,「土日割引『洗車300円』」、ファミリーレストランでの「金曜タイムサービス『13時まではサラダバー、13時以降はドリンクバー無料』」といった情報を入手して記憶することができるので、どの店でいつ何が安いかを知ることが可能となる。
【0015】
請求項3によれば、本発明の車載用ナビゲーション装置は、目的地までの案内経路を検索する経路検索手段と、案内経路を検索するための条件を設定する検索条件設定手段とを有し、検索条件設定手段には料金情報が検索条件として設定され、経路検索手段は検索条件に基づいて看板情報記憶手段に記憶された施設を検索する構成をとることができる。
【0016】
上記構成によって、例えば、ガソリンスタンドを検索する場合、単に自車が走行している沿道のガソリンスタンドを検索するだけではなく、料金情報を検索条件として検索するため、料金の安い順に検索結果を表示することも可能となる。そして、ユーザは燃料を給油したガソリンスタンドの先に価格のより安いガソリンスタンドを見つけて後悔することもなく、自車が走行している沿道で最も安いガソリンスタンドで燃料を給油することができる。また、同様に適当に入ったファミリーレストラン等で食事をした後、その先を走行中に食事をしたファミリーレストランよりもよりよい料理内容,低価格,そのときの嗜好にマッチしている店舗の看板等の情報に遭遇して残念に思うこともなくなる。
【0017】
請求項4によれば、本発明の車載用ナビゲーション装置における検索条件設定手段は商品あるいは役務の内容,および当該商品あるいは役務が提供される日時のうちの少なくとも一つを検索条件に設定する構成をとることができる。
【0018】
上記構成によって、料金の他にも商品あるいは役務の内容、もしくは商品あるいは役務が提供される日時を優先して施設の検索を行なうことでき、ユーザが望む商品あるいは役務の内容,嗜好,同乗者の意向,その他諸々のユーザの要求条件も加味して施設を検索でき、ユーザの望みの施設が検索結果リストの上位に表示されるので、ユーザの車載用ナビゲーション装置に対する満足度も高くなる。
【0019】
請求項5によれば、本発明の車載用ナビゲーション装置は、商品あるいは役務の内容と当該商品あるいは役務の料金とから、当該商品あるいは役務の費用対効果を算出する費用対効果算出手段を有し、検索条件設定手段には算出された費用対効果が検索条件として設定され、経路検索手段は検索条件に基づいて看板情報記憶手段に記憶された施設を検索する構成をとることができる。
【0020】
商品あるいは役務の料金だけ、あるいは商品あるいは役務の内容だけでは、その商品あるいは役務がユーザを満足させるものか分からないこともある。上記構成によって、その商品あるいは役務の費用対効果が分かり、ユーザは費用対効果によって施設の検索を行なうことでき、ユーザが望む商品あるいは役務をより高品質かつ低価格で提供する施設を選ぶことが可能となる。
【0021】
請求項6によれば、上記課題を解決するための車載用ナビゲーション装置は、車両の周囲を撮影する撮影手段と、撮影された画像データから、商品あるいは役務に関する内容,および当該商品あるいは役務が提供される日時を含む看板情報を抽出する看板情報抽出手段と、看板情報が撮影された車両の位置を検出する車両位置検出手段と、抽出された看板情報と検出された車両の位置とから当該看板の提供元である施設の位置を検出する施設位置検出手段と、抽出された看板情報および検出された施設の位置を記憶する看板情報記憶手段と、を有することを特徴とする車載用ナビゲーション装置として構成される。
【0022】
例えば、ある店舗で「サマーセール,9月末まで」といった看板がある場合、料金情報はないが、「サマーセール」という言葉から該店舗では商品が通常価格よりも安く提供されていることは想像に難くない。上記構成によって、看板,幟等に料金情報が明示されていなくても、どの店でいつ何が安いかを知ることが可能となる。
【0023】
請求項7によれば、請求項6の車載用ナビゲーション装置は、目的地までの案内経路を検索する経路検索手段と、案内経路を検索するための条件を設定する検索条件設定手段とを有し、検索条件設定手段には看板情報が検索条件として設定され、経路検索手段は検索条件に基づいて看板情報記憶手段に記憶された施設を検索する構成をとることができる。
【0024】
上記構成によっても、看板,幟等に料金情報が明示されていなくても、商品あるいは役務の内容、もしくは商品あるいは役務が提供される日時を優先して施設の検索を行なうことでき、ユーザが望む商品あるいは役務の内容,嗜好,同乗者の意向,その他諸々のユーザの要求条件も加味して施設を検索・利用することで、ユーザの満足度も高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
ユーザの嗜好に最も適した施設を検索して案内する車載用ナビゲーション装置を提供するという目的を、車両が走行する沿道にある看板を撮影し、その看板に含まれる商品または役務の価格や内容の情報を基に施設を検索して案内する構成により実現した。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例を参照しながら説明する。図1に本発明の車載用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称する)100とカメラ25の取り付け例を示す。本発明の撮影手段であるカメラ25は例えば天井部中央のように、車両40の前方を撮影可能な場所に設置される。また、沿道を重点的に撮影するために、車両40のダッシュパネルの左前方および右前方に設置してもよい。図1(a)の例では、カメラ25は破線で示される領域Aが上下方向の撮影可能範囲である。また、図1(b)のように、カメラ25の左右方法の撮影範囲Bは、例えば広角レンズを用いて、沿道にある看板等を撮影可能となっている。ナビゲーション装置100の取り付け位置に特に制約はないが、図1の例では、ダッシュパネル中央部に表示器10が取り付けられている。
【0027】
なお、本発明の撮影手段であるカメラ25は例えば公知のCCDカメラ等で、車両40への侵入者を検知する不審者侵入検知用カメラ、または車間距離測定用車両40の前方を撮影する前方監視カメラと共用すれば、コストアップなしで使用することができる。
【0028】
図2は車載用ナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。車載用ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行なう音声合成回路24およびスピーカ15,不揮発メモリ9,表示器10,ハードディスク装置(HDD)21,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12を備えている。
【0029】
本発明の車両位置検出手段である位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,ジャイロスコープ3,距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両40の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。
【0030】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、透明な導電性基盤のガラス面に電気信号を受ける物質を塗布し、指をガラス面に近づけると静電容量の変化を電気信号としてセンサで検知する、いわゆる静電容量方式を用いてもよい。
【0031】
メカニカルスイッチ,タッチパネル22の他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の音声認識技術により処理を行ない、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。音声認識ユニット30は、マイク31から入力された音声信号を適切なレベルに増幅する増幅器と、増幅後の音声信号をA/D変換した後、周知の隠れマルコフモデル等の音声認識アルゴリズムにより音声を識別するための音声信号処理装置(DSP:Digital Signal Processor)、音声を識別するための基準データが記憶されているメモリ等で構成されており、DSPにより音声信号がその音声に対応した数値情報に変換された後、制御回路8に送られる。これら本発明の検索条件設定手段でもある操作スイッチ群7、リモコン端末12、マイク31によって、種々の指示を入力することが可能である。
【0032】
送受信機13は、例えばVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信するための装置である。
【0033】
また、ETC(自動料金収受システム,ETC:Electronic Toll Collection)車載器16と通信することにより、ETC車載器16がETC路上器(図示せず)から受信した料金情報などを本ナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器16によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14との通信を行なう構成をとってもよい。
【0034】
本発明の施設位置検出手段,経路検索手段,費用対効果算出手段である制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行なう。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。ROM82に、HDD21が故障した場合にナビゲーション機能のうちで必要最低限の動作を行なうためのプログラムを記憶しておいてもよい。
【0035】
本発明の看板情報抽出手段である画像処理部87は、公知のパターン認識などの技術によってカメラ25によって撮影された画像の解析を行なう画像処理回路を含んで構成される。
【0036】
本発明の看板情報記憶手段でもあるHDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶すると共に、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。
【0037】
また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。これらのユーザデータ21uは、操作スイッチ群7,タッチパネル22およびリモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって内容の書き換えが可能である。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報をデータベース21dとして記憶してもよい。
【0038】
また、地図データ21mおよびユーザデータ21uは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行なうことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。
【0039】
不揮発メモリ9はEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、不揮発メモリ9は、車両40のアクセサリスイッチがオフ状態すなわち、ナビゲーション装置100がオフ状態になっても、記憶内容が保持されるようになっている。
【0040】
また、不揮発メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータを不揮発メモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
【0041】
表示器10は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行なうための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行なう。また、表示器として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。
【0042】
スピーカ15は制御回路8のI/O84に接続される周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によって不揮発メモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データを音声合成回路24においてアナログ音声に変換したものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき、必要に応じて繋ぎあわせる録音編集方式などがある。
【0043】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両40の速度に換算して、車両40の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両40の走行区間毎の平均車速を算出する。
【0044】
外部機器接続装置26は、センサや他の制御機器等の外部機器とデータ伝送可能に接続するための入出力回路,コネクタを含むものである。以下の機能の少なくとも一つ以上を実現可能な構成となっている。
(1)不揮発メモリ9あるいはHDD21に記憶された内容をバックアップするためのデータバックアップ装置の接続。
(2)他の車載機器とデータ伝送を行なうための車内LAN(Local Area Network)の通信インターフェース回路。
(3)携帯電話機17を介しての外部ネットワーク接続。
【0045】
また、外部機器接続装置26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器16との接続を行なってもよい。
【0046】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22,リモコン端末12の操作,あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニューから目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0047】
すなわち、ユーザが地図上の任意の地点あるいは施設検索や住所検索、ユーザが設定した登録地などから地点を選択して目的地として設定すると、位置検出器1により車両40の現在位置が求められ、該現在位置から目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行なう。
【0048】
図3を用いて、カメラ25で撮影された看板情報を記録する処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ他の処理とともに繰り返し実行される。まず、操作スイッチ群7,タッチパネル22,リモコン端末12の操作,あるいはマイク31からの音声入力によって、看板情報を撮影して記録するための情報収集モードが開始される(S1:Yes)。
【0049】
情報収集モードが開始されるとカメラ25が作動し、沿道を撮影する。撮影された映像データは、位置検出器1で検出された車両40の位置データとともに制御回路8に送られる(S2)。
【0050】
映像データは、画像処理部87において、その映像信号に一般的な2値化処理を施すことにより、ピクセル毎のデジタル多値画像データに変換される。そして、得られた多値画像データから、一般的な画像処理手法を用いて看板,幟等が含まれているかを判別し、看板,幟等が含まれている場合には料金情報,商品あるいは役務の内容,期間についての情報を抽出する。
【0051】
情報が抽出された位置は、位置検出器1で検出された車両40の位置データから特定可能で、その位置と地図データ21mとから、抽出された情報の提供元である店舗あるいは施設を特定することができる。
【0052】
抽出された看板情報は、HDD21のデータベース21dにおける所定の領域に記憶される(S3)。図5に看板情報の一例を示す。看板情報は、例えば、店舗・施設名,商品あるいは役務の内容,料金,期間,曜日,時間等に分類されて記憶される。また、看板情報を不揮発メモリ9に記憶してもよい。
【0053】
看板情報の抽出条件は以下のとおりである。
(1)料金が明示されている。例えば、「今日の価格『116.50円/L』」,「ランチタイム 全品100円引」,「調髪大人1800円」等。
(2)料金は明示されていないが、料金に準ずる情報が含まれている。例えば、「サマーセール 8月31日まで」,「サマーセール 全品2割引 8月31日まで」等。
【0054】
情報収集モードが開始されてから所定の時間が経過,情報収集モードが開始されてから所定の距離を走行,あるいはユーザのタッチパネル22の操作等で(S4)、情報収集モードを終了する条件が成立した場合(S5:Yes)、カメラ25により撮影を終了して情報収集モードから通常のナビゲーション装置100の動作モードに戻る。
【0055】
図4を用いて、看板情報を用いて店舗・施設を検索する処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ他の処理とともに繰り返し実行される。まず、操作スイッチ群7,タッチパネル22,リモコン端末12の操作,あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10に図6のような目的地検索メニュー画面を表示させる。なお、本表示画面は、ナビゲーション装置100の機能としては一般的なものである。
【0056】
次いで、例えば、ガソリンスタンドの検索を行なうために、図6で「ジャンル別検索」ボタンを押下し、図7で「ガソリンスタンド」ボタンを押下すると、図8のように、看板情報を使用するかどうかを選択する画面が表示される。
【0057】
図8の画面で「使わない」ボタンを押下すると(S11:No)、上述したような通常のナビゲーション装置100の目的地検索方法により目的地を選択して、その目的地までの経路を検索する(S19)。
【0058】
一方、図8の画面で「使う」ボタンを押下すると(S11:Yes)、図9のように、検索条件を入力する画面が表示されるので、検索条件を入力する(S12)。検索条件は、例えば、ガソリンスタンド検索では以下のものが挙げられる。
(1)データベース21dに記憶されている料金。
(2)データベース21dに記憶されている商品または役務の内容(洗車,オイル交換等)。
(3)料金と商品または役務の内容(いわゆる、費用対効果)。
【0059】
「料金と商品または役務の内容」は、例えば、「洗車300円」,「洗車とWAX400円」の2つの看板があった場合、商品または役務1つあたりの料金は前者が300円,後者が200円となり、後者が割安に思われる。しかし、WAXが必要ないユーザにとっては、後者は割高に感じられる。このような商品または役務1つあたりの料金や、商品または役務の内容が料金に見合っているかどうかを条件とするものである。また、ファミリーレストランを検索する場合には、料金の安さだけではなく食事の内容(洋食,和食,食材,品数等)と料金(○○円,△割引,××円引き)とから、ユーザの嗜好に合って最も値頃感のあることが条件となる。
【0060】
費用対効果は、例えば、データベース21dに記憶されている料金と商品または役務の内容とから、以下のような基準を少なくとも一つあるいは複数の組み合わせを用いて求める。
(1)料金:料金が安いほど費用対効果が高い。
(2)商品または役務の数:商品または役務の数が多いほど費用対効果が高い。
(3)商品または役務の内容:商品または役務の内容に「高級」,「手作り」等の品質の高さを表す語句が含まれているほど費用対効果が高い。
(4)割引率:割引率が高いほど費用対効果が高い。
(5)店舗・施設の格付け:格付けが高いほど費用対効果が高い。
(6)ユーザの嗜好:ユーザの嗜好に近いほど費用対効果が高い。ユーザの嗜好は、施設・店舗のジャンル毎あるいは料金等の項目毎に設定する。
【0061】
例えば、格付けが高い店舗で割引率が高い場合、大衆的な店舗での「50円引き」に比べて費用対効果が高いと判定する。
【0062】
データベース21dに食品,衣料品,ファミリーレストランの飲食代等のいわゆる消費者物価指数の対象となる品目の価格を記憶して、値頃感を判定する基準として用いてもよい。これら品目の価格データは定期的に更新することが望ましいが、更新方法として記憶媒体20から地図データ入力器6を介して更新する方法,外部ネットワーク経由でデータをダウンロードして更新する方法等がある。
【0063】
上記の費用対効果の基準をデータベース21dあるいは不揮発メモリ9に、費用対効果が高いほどポイントが高いといったように数値化して記憶し、当該店舗・施設の看板情報に応じて上記各基準についてのポイントを算出して、その合計の高い店舗・施設が費用対効果が高いと判定してもよい。
【0064】
検索条件が入力されると(S13:Yes)、車両の現在の位置を基にデータベース21dを参照し、最寄りのガソリンスタンドが検索され、検索結果が図10のようにリスト表示される。図10の例は特に検索条件を定めず、看板情報を用いて車両の最寄りのガソリンスタンドが検索されたものである。なお、図9の表示画面で「料金」ボタンを押下すると、料金の安い順にガソリンスタンドが検索されて表示される。
【0065】
図10の検索結果リストから案内を希望するガソリンスタンド(目的地)を選択すると、図11のような画面が表示され、「はい」ボタンを押下すると、目的地までの案内経路が検索され(S14)、表示器10の画面上に案内経路が表示される(S15)。ユーザが表示された案内経路を走行する場合(S16:Yes)は、その案内経路にしたがって目的地に到着するまで(S18:Yes)経路案内が行なわれる(S17)。
【0066】
一方、ユーザが表示された案内経路を走行したくない場合(S16:No)は、図9の表示画面に戻り。検索条件を再入力する(S12)。
【0067】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】カメラの取り付け例を示す図。
【図2】車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図3】看板情報を記録する処理を説明するためのフロー図。
【図4】看板情報を用いて店舗・施設を検索する処理を説明するためのフロー図。
【図5】看板情報の記憶内容の一例を示す図。
【図6】目的地設定画面の一例を示す図。
【図7】ジャンル別検索画面の一例を示す図。
【図8】看板情報を用いて店舗・施設を検索するかの選択画面の一例を示す図。
【図9】看板情報の条件を設定する画面の一例を示す図。
【図10】看板情報を用いた検索結果の表示の一例を示す図。
【図11】検索結果から目的地を決定する画面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0069】
1 位置検出器(車両位置検出手段)
7 操作スイッチ群(検索条件設定手段)
8 制御回路(施設位置検出手段,経路検索手段,費用対効果算出手段)
9 不揮発メモリ
10 表示器
12 リモコン端末(検索条件設定手段)
21 ハードディスク装置(看板情報記憶手段)
22 タッチパネル(検索条件設定手段)
25 カメラ(撮影手段)
31 マイク(検索条件設定手段)
40 車両
87 画像処理部(看板情報抽出手段)
100 車載用ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲を撮影する撮影手段と、
前記撮影された画像データから、商品あるいは役務に関する少なくとも料金情報を含む看板情報を抽出する看板情報抽出手段と、
前記看板情報が撮影された車両の位置を検出する車両位置検出手段と、
前記抽出された看板情報と前記検出された車両の位置とから当該看板の提供元である施設の位置を検出する施設位置検出手段と、
前記抽出された看板情報および前記検出された施設の位置を記憶する看板情報記憶手段と、
を有することを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記看板情報には、前記商品あるいは役務の内容,および当該商品あるいは役務が提供される日時のうちの少なくとも一つが含まれる請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
目的地までの案内経路を検索する経路検索手段と、
前記案内経路を検索するための条件を設定する検索条件設定手段とを有し、
前記検索条件設定手段には前記料金情報が検索条件として設定され、前記経路検索手段は前記検索条件に基づいて前記看板情報記憶手段に記憶された施設を検索する請求項1または2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記検索条件設定手段は前記商品あるいは役務の内容,および当該商品あるいは役務が提供される日時のうちの少なくとも一つを検索条件に設定する請求項3に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記商品あるいは役務の内容と当該商品あるいは役務の料金とから、当該商品あるいは役務の費用対効果を算出する費用対効果算出手段を有し、
前記検索条件設定手段には前記算出された費用対効果が検索条件として設定され、前記経路検索手段は前記検索条件に基づいて前記看板情報記憶手段に記憶された施設を検索する請求項3または4に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
車両の周囲を撮影する撮影手段と、
前記撮影された画像データから、商品あるいは役務に関する内容,および当該商品あるいは役務が提供される日時を含む看板情報を抽出する看板情報抽出手段と、
前記看板情報が撮影された車両の位置を検出する車両位置検出手段と、
前記抽出された看板情報と前記検出された車両の位置とから当該看板の提供元である施設の位置を検出する施設位置検出手段と、
前記抽出された看板情報および前記検出された施設の位置を記憶する看板情報記憶手段と、
を有することを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項7】
目的地までの案内経路を検索する経路検索手段と、
前記案内経路を検索するための条件を設定する検索条件設定手段とを有し、
前記検索条件設定手段には前記看板情報が検索条件として設定され、前記経路検索手段は前記検索条件に基づいて前記看板情報記憶手段に記憶された施設を検索する請求項6に記載の車載用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−78632(P2007−78632A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−270260(P2005−270260)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】