説明

運転行動推定装置

【課題】走行シーンに応じて適切に、推定が完了する時間を変化させることができる運転行動推定装置を提供
【解決手段】運転者毎の運転操作の傾向を表す複数の運転傾向パラメータαt(ri)を記憶する運転傾向パラメータ記憶部33と、走行シーン毎の推定性能を表す複数の走行シーンパラメータβt(ri)を記憶する走行シーンパラメータ記憶部34と、運転者を表す運転者識別情報に対応する運転傾向パラメータαt(ri)を取得するとともに、走行シーンを表す走行シーン情報に対応する走行シーンパラメータβt(ri)を取得するパラメータ選択部35と、アクセル開度,ブレーキ操作量,車速を要素とする運転データの履歴と、運転者の典型的な運転行動を示すテンプレートと、パラメータ選択部35で取得したパラメータαt(ri), βt(ri)とに基づいて、運転者の運転行動を推定する運転行動推定部36を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者の運転行動を推定する運転行動推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者の運転行動を推定する運転行動推定装置が提案されている。このような運転行動推定装置は、例えば、走行中の車両が対象ポイント(例えば、次に通過する交差点)で直進するか左右折するかを、アクセル開度、ブレーキ操作量、車速などの車両情報に基づいて推定し、その推定結果がナビゲーション装置の案内経路と異なる場合には、その旨を報知することによって、自車両が案内経路から外れないように支援する(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2007−198853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、運転行動推定装置の推定結果が案内経路と異なる場合に報知を行うタイミングは、走行シーンによって異なる。
例えば図16(a)に示すように、案内経路が「次の交差点で左折」である(矢印Y1を参照)とともに運転者の意図が「次の交差点で直進」である(指示n1を参照)場合には、運転行動推定装置は「次の交差点で直進」であると推定し、その結果、「左折です」との警告(指示n2を参照)が、次の交差点を自車両が通過する前に行われる。そして、警告を聞いた運転者は、この警告に反応し、左折するための十分な減速を交差点に到達するまでに行い、その後にステアリングを左に切る動作を行うことにより自車両を左折させる。つまり、案内経路が左折または右折である場合に、運転行動推定装置は、運転者の反応時間T1と自車両の減速に要する時間T2の和に相当する時間を推定余裕時間T3として、自車両が交差点に到達する時刻より推定余裕時間T3前には推定を完了しておく必要がある。
【0004】
また図16(b)に示すように、案内経路が「次の交差点で直進」である(矢印Y2を参照)とともに運転者の意図が「次の交差点で左折」である(指示n3を参照)場合には、運転行動推定装置は「次の交差点で左折」であると推定し、その結果、「直進です」との警告(指示n4を参照)が、次の交差点を自車両が通過する前に行われる。そして、警告を聞いた運転者は、この警告に反応し、ステアリングを左に切る動作を行うことなく、そのまま自車両を直進させる。つまり、案内経路が直進である場合に、運転行動推定装置は、運転者の反応時間T1に相当する時間を推定余裕時間T4として、自車両が交差点に到達する時刻より推定余裕時間T4前には推定を完了しておく必要がある。
【0005】
一方、推定を完了させる時刻を早めると、運転者の意図と推定結果とが相違することが多くなり、推定精度が低下する。例えば、案内経路が「次の交差点で直進」である場合には、図16(b)に示すように、推定余裕時間T4前に推定を完了しておけばよい。しかし図17に示すように、推定余裕時間T4より長い推定余裕時間T3前に推定を完了させる場合には、次の交差点で直進する意図を有する運転者が交差点の前で少しだけ減速したとき(指示n5を参照)でも運転行動推定装置が「次の交差点で左折」であると推定してしまうことがある。これにより、運転者の意図が「次の交差点で直進」であるにもかかわらず「直進です」との警告(指示n6を参照)が行われ、運転者に不快感を与えてしまう。したがって、運転行動の推定精度を上げるためには、必要以上に推定余裕時間を長くしない方がよい。
【0006】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、走行シーンに応じて適切に、運転行動の推定が完了する時間を変化させることができる運転行動推定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の運転行動推定装置では、走行シーン情報取得手段が、自車両の走行シーンを表す走行シーン情報を取得するとともに、運転データ取得手段が、自車両の走行状態に影響を与える運転者の車両操作に関わる操作情報とからなる運転データを取得する。
【0008】
またテンプレート記憶手段が、自車両の運転行動を推定する対象となる地点である対象ポイント前の一定期間の間における運転者の典型的な運転行動を示す運転行動データの中から、連続した複数個のデータからなる部分データを、その先頭となる運転行動データの位置を予め設定されたシフト時間ずつシフトさせながら切り出すことにより作成された複数のテンプレートを記憶する。
【0009】
すなわち、複数のテンプレートは、対象ポイントに到達する前において、互いに異なる時間帯の運転者の典型的な運転行動を示す。
また重み係数記憶手段が、複数のテンプレートのそれぞれに対応した重み係数を、走行シーンに応じて複数記憶する。
【0010】
すなわち、複数の重み係数は、対象ポイントに到達する前における互いに異なる時間帯の運転者の典型的な運転行動に対する重みを示す。
そして運転行動推定手段が、運転データ取得手段にて取得された運転データの履歴とテンプレート記憶手段に記憶されているテンプレートとの相違の度合いを示す値と、重み係数とを乗じて得られた値に基づきテンプレートと運転データの履歴との類似度を判断し、その類似度が予め設定されている判定基準を上回るテンプレートが存在する場合に、対象ポイントでの運転者の運転行動がそのテンプレートの示す運転行動と同じ運転行動になると推定する。
【0011】
このため、類似度が判定基準を上回った時点で推定が完了する。そして、テンプレートは、対象ポイントに到達する前における或る時間帯の運転者の典型的な運転行動を示すものである。このため、あるテンプレートを用いて判断された類似度が判定基準を上回ることにより推定が完了した場合に、この推定が完了する時点は、このテンプレートが示す時間帯と一致する可能性が高い。
【0012】
したがって、対象ポイント前の或る時点で推定が完了するように、この時点に対応する時間帯のテンプレートの重み係数を設定するとよい。例えば、推定を完了させたい時点に対応する時間帯のテンプレートの重み係数を、最も小さくすること、あるいは最も大きくすることが考えられる。
【0013】
そして重み係数選択手段が、走行シーン情報取得手段にて取得された走行シーン情報に基づいて、重み係数記憶手段に記憶されている重み係数を選択し、さらに運転行動推定手段が、重み係数選択手段にて選択された重み係数を用いて、類似度を判断する。
【0014】
このため、推定が完了する時点が走行シーンに応じて変わるように、重み係数の大きさを予め設定しておくことにより、運転行動の推定を走行シーンに応じて適切に行うことができる。
【0015】
なお、上述のように、案内経路が「次の交差点で左折または右折」であるとともに運転者の意図が「次の交差点で直進」である場合には、案内経路が「次の交差点で直進」であるとともに運転者の意図が「次の交差点で左折または右折」である場合よりも早く推定を完了させることが好ましい。
【0016】
そこで、請求項1に記載の運転行動推定装置において、請求項2に記載のように、対象ポイントは、自車両の走行経路上の次の交差点であり、走行シーン情報は、対象ポイントにおける自車両の走行進路を示す情報を含むようにするとよい。これにより、自車両の走行経路上の次の交差点での走行進路に応じて、運転行動の推定が完了する時点を適切に変化させることができる。
【0017】
また、運転者の意図が「次の交差点で直進」であるにもかかわらず走行規制などにより次の交差点で直進することができない場合に、運転行動推定装置は「次の交差点で直進」であると推定し、その結果、「左折です」または「右折です」との警告を、次の交差点を自車両が通過する前に行うことが望ましい。そして、この警告を聞いた運転者は、この警告に反応し、左折するための十分な減速を交差点に到達するまでに行い、その後にステアリングを左に切る動作を行うことにより自車両を左折させる。
【0018】
一方、運転者の意図が「次の交差点で左折または右折」であるにもかかわらず走行規制または渋滞などにより次の交差点で左折または右折することができない場合には、運転行動推定装置は「次の交差点で左折または右折」であると推定し、その結果、「直進です」との警告を、次の交差点を自車両が通過する前に行うことが望ましい。そして、この警告を聞いた運転者は、この警告に反応し、ステアリングを左または右に切る動作を行うことなく、そのまま自車両を直進させる。
【0019】
したがって、進入することができない走行進路や渋滞を避けるために、直進、右折、及び左折のうちの何れかを選択するかより減速量が変化する。そして、この減速量に応じて、運転行動の推定が完了する時点を変化させることが望ましい。
【0020】
そこで、請求項1に記載の運転行動推定装置において、請求項3に記載のように、対象ポイントは、自車両の走行経路上の次の交差点であり、走行シーン情報は、対象ポイントにおける自車両の走行進路で自車両が進入可能であるか否かを示す情報を含むようにしてもよいし、請求項4に記載のように、対象ポイントは、自車両の走行経路上の次の交差点であり、走行シーン情報は、対象ポイントにおける自車両の走行進路で渋滞が発生しているか否かを示す情報を含むようにしてもよい。これにより、進入することができない走行進路や渋滞を避けるために、直進、右折、及び左折のうちの何れかを選択するかに応じて、運転行動の推定が完了する時点を適切に変化させることができる。
【0021】
また、自車両に後続する車両(後続車)が存在する場合には、後続車が自車両の減速に反応して衝突を回避するのに必要な後続車反応時間分早く推定を完了させることが好ましい。
【0022】
そこで、請求項2〜請求項4の何れかに記載の運転行動推定装置において、請求項5に記載のように、走行シーン情報は、自車両に後続して走行する車両の有無を示す情報を含むようにしてもよい。これにより、これにより、後続車の有無に応じて、運転行動の推定が完了する時点を適切に変化させることができる。
【0023】
また請求項1〜請求項5の何れかに記載の運転行動推定装置では、請求項6に記載のように、重み係数は、運転者の車両操作の傾向に応じて決定された運転傾向パラメータと、走行シーン情報に応じて決定された走行シーンパラメータとを加算した値で構成され、運転傾向識別手段が、自車両の運転者の車両操作の傾向を識別し、重み係数選択手段が、運転傾向識別手段による識別結果に基づいて運転傾向パラメータを選択するとともに、走行シーン情報取得手段にて取得された走行シーン情報に基づいて走行シーンパラメータを選択するようにしてもよい。
【0024】
このように構成された運転行動推定装置によれば、運転者の車両操作の傾向を考慮して運転行動の推定を行うことができるため、複数の運転者によって自車両が利用される場合であっても、運転者に応じて精度の高い推定を行うことができる。
【0025】
また請求項1〜請求項5の何れかに記載の運転行動推定装置では、請求項7に記載のように、重み係数は、運転者の車両操作の傾向に応じて決定された運転傾向パラメータと、走行シーン情報に応じて決定された走行シーンパラメータとを乗算した値で構成され、運転傾向識別手段が、自車両の運転者の車両操作の傾向を識別し、重み係数選択手段が、運転傾向識別手段による識別結果に基づいて運転傾向パラメータを選択するとともに、走行シーン情報取得手段にて取得された走行シーン情報に基づいて走行シーンパラメータを選択するようにしてもよい。
【0026】
このように構成された運転行動推定装置によれば、請求項6に記載の運転行動推定装置と同様の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下に本発明の第1実施形態について図面とともに説明する。
図1は、本実施形態のナビゲーション装置10の構成、及びナビゲーション装置10が接続された車内LAN25の概略構成を示すブロック図である。
【0028】
図1に示すように、ナビゲーション装置10は、車両に搭載され、車内LAN25を介してエンジンECU26、ブレーキECU27、メータECU28、及びレーダーECU29をはじめとする各種ECUや車載機器と接続されている。
【0029】
このうちエンジンECU26は、少なくとも、運転者のアクセルペダルの踏込量に応じたアクセル開度を検出するアクセル開度センサ26aからの検出信号に基づいて、エンジンの回転を制御するように構成されている。またブレーキECU27は、少なくとも、運転者のブレーキペダル操作に応じてブレーキ油を圧送するマスタシリンダの油圧からブレーキ操作量を検出するブレーキ圧センサ27aや、車速を検出する車速センサ28aからの検出信号に基づいて、ABS制御やトラクション制御等を実行するように構成されている。またメータECU28は、少なくとも、車速センサ28aからの検出信号に基づいて、車速をメータ表示器(不図示)に表示させる制御を実行するように構成されている。またレーダーECU29は、少なくとも、自車両の前方および後方にレーザー光を照射するとともに、反射して戻ってくるレーザー光を検出するレーザーレーダー29aからの検出信号に基づいて、自車両の前方および後方の車両の距離や方向を検出するように構成されている。
【0030】
そして、これらECU26〜29等にて検出される各種車両情報(アクセル開度,ブレーキ操作量,車速など)は、車内LAN25を介して相互に任意に送受信できるようにされている。
【0031】
次に、ナビゲーション装置10は車両に搭載され、車両の現在位置を検出する位置検出器11と、ユーザーからの各種指示を入力するための操作スイッチ群12と、操作スイッチ群12と同様に各種指示を入力可能であってナビゲーション装置10とは別体となったリモートコントロール端末(以下、「リモコン」と称す)13aと、リモコン13aからの信号を入力するリモコンセンサ13bと、地図データや各種の情報を記録した地図記憶媒体から地図データ等を入力する地図データ入力器15と、地図や各種情報の表示を行うための表示部16と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力部17と、ユーザーが発話した音声に基づく電気信号を出力するマイクロフォン18と、車内LAN25を介して他の装置と各種車両情報等をやりとりする車内LAN通信部21と、上述した位置検出器11,操作スイッチ群12,リモコンセンサ13b,地図データ入力器15,マイクロフォン18,近距離通信部20,車内LAN通信部21からの入力に応じて各種処理を実行し、表示部16,音声出力部17,車内LAN通信部21を制御する制御部19とを備えている。
【0032】
このうち、位置検出器11は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの電波を図示しないGPSアンテナを介して受信してその受信信号を出力するGPS受信機11aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ11bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出するための距離センサ11cと、地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサ11dとを備えている。そして、これら各センサ等11a〜11dからの出力信号に基づいて制御部19が、車両の位置,方位,速度等を算出する。
【0033】
なお、GPS受信機11aからの出力信号に基づいて現在位置を求める方式は様々な方式があるが、単独測位方式、相対測位方式(D−GPS方式,干渉測位方式)の何れであってもよい。特に干渉測位方式のうちのRTK−GPS(Real Time Kinematics Global Positioning System)方式を利用するようになっているとよい。
【0034】
操作スイッチ群12は、表示部16の表示面と一体に構成されたタッチパネル及び表示部16の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等から構成される。尚、タッチパネルと表示部16とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、その何れを用いてもよい。
【0035】
地図データ入力器15は、図示しない地図記憶媒体に記憶された各種データを入力するための装置である。地図記憶媒体には、地図データ(ノードデータ、リンクデータ、コストデータ、道路データ、地形データ、マークデータ、交差点データ、施設のデータ等)、対象用の音声データ、音声認識データ等が記憶されている。このようなデータを記憶する記憶媒体の種類としては、CD−ROMやDVD−ROMの他、ハードディスクやメモリカード等の記憶媒体を用いても良い。
【0036】
表示部16は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ,有機ELディスプレイ,CRTなどがあるが、その何れを用いてもよい。表示部16の表示画面には、地図データ入力器15より入力された地図データに基づく地図画像が表示され、この地図画像に重ねて位置検出器11にて検出した車両の現在位置を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データも表示される。
【0037】
音声出力部17は、地図データ入力器15より入力した施設のガイドや各種対象の音声を出力する。
マイクロフォン18は、利用者が音声を入力(発話)するとその入力した音声に基づく電気信号(音声信号)を制御部19に出力するものである。このマイクロフォン18を介して入力される音声コマンドによって、ナビゲーション装置10の操作が可能なように構成されている。
【0038】
近距離通信部20は、車両を運転する運転者が所有する携帯電話機PHとの間で、RF−IDやBluetooth(登録商標)等の無線通信技術により通信を行うものである。この近距離通信部20は、携帯電話機PHに記憶されている運転者の識別に用いられる運転者識別情報を、無線を介して取得する。
【0039】
車内LAN通信部21は、車内LAN25を介して車内LAN25に接続された様々な機器(エンジンECU26等)と通信を行う。
制御部19は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。
【0040】
ここで、図2は、制御部19が実行する処理の概要を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、制御部19は、位置検出器11からの検出信号を介して得られるGPS基準基地局からのデータからなる位置検出データに基づいて、車両の現在位置を示す位置情報を求める位置算出部30と、地図データ入力器15に格納された地図データ、操作スイッチ群12やリモコン13aの操作、またはマイクロフォン18からの音声コマンド等に従って、目的地の設定や、現在位置から目的地までの最適な経路の設定などを行う経路設定部31と、位置算出部30にて算出された位置情報、経路設定部31にて設定された経路に従って、経路中に設定される直近の対象ポイント(本実施形態では交差点)までの距離を算出する距離算出部32と、運転者毎の運転操作の傾向を表す複数の運転傾向パラメータαt(ri)を制御部19のRAMに記憶する運転傾向パラメータ記憶部33と、走行シーン毎の推定性能を表す複数の走行シーンパラメータβt(ri)を制御部19のRAMに記憶する走行シーンパラメータ記憶部34と、近距離通信部20で取得した運転者に対応する運転傾向パラメータαt(ri)を運転傾向パラメータ記憶部33から取得するとともに、走行シーンを表す走行シーン情報(後述)に対応する走行シーンパラメータβt(ri)を走行シーンパラメータ記憶部34から取得するパラメータ選択部35とを備えている。
【0041】
そして運転傾向パラメータ記憶部33は、図3(a)に示すように、運転者に応じた運転傾向パラメータαt(ri)を格納する複数(本実施形態では3つ)の運転傾向パラメータセットPT1,PT2,PT3を記憶している。また走行シーンパラメータ記憶部34は、図3(b)に示すように、走行シーンに応じた走行シーンパラメータβt(ri)を格納する複数(本実施形態では4つ)の走行シーンパラメータセットPS1,PS2,PS3,PS4を記憶している。
【0042】
なお、走行シーンパラメータセットPS1,PS2,PS3,PS4は、推定が完了する時点がPS4→PS3→PS2→PS1の順で早くなるように、走行シーンパラメータβt(ri)の値が設定されている。
【0043】
ここで、推定性能には推定時間と推定精度がある。推定時間が早まるほど推定が困難となり推定精度が下がる。このため、推定精度はPS1→PS2→PS3→PS4の順でよくなるように、走行シーンパラメータセットPS1,PS2,PS3,PS4が設定されている。
【0044】
また制御部19は、図2に示すように、車内LAN通信部21を介してECU26〜29等から取得するアクセル開度,ブレーキ操作量,車速等といった運転者の運転操作が反映される車両情報及びパラメータ選択部35によって選択された運転傾向パラメータαt(ri)及び走行シーンパラメータβt(ri)に基づき運転者の行動を推定する運転行動推定部36を備えている。
【0045】
さらに、車内LAN通信部21を介してアクセル開度A(t),ブレーキ操作量B(t),車速V(t)を要素とする運転データDU(t)={A(t),B(t),V(t)}の読み込みを行い、さらに、位置算出部30によって取得された位置情報の読み込みを行い、これら運転データDU(t)及び位置情報を制御部19のRAMに記憶させるドライビングレコーダ部37とを備えている。
【0046】
さらに制御部19は、位置算出部30にて算出された位置情報(現在位置)に基づき、地図データ入力器15を介して読み込んだ現在位置付近の地図を、現在位置を示すマークや、経路設定部31にて設定された経路と共に表示部16に表示する表示処理部39と、経路設定部31からの経路情報や運転行動推定部36での推定結果を表す推定結果フラグFに従って、経路情報に含まれた対象ポイントに関するガイダンスを音声出力部17を介して音声により実行する音声ガイダンス実行部40とを備えている。
【0047】
そして、制御部19を構成するROMには、運転行動推定部36にて運転者の行動を推定する際に使用される行動パターンテンプレート(以下、単にテンプレートともいう)が記憶されている。
【0048】
この行動パターンテンプレートの作成手順を図4及び図5に示すフローチャート、及び図6に示す説明図を用いて説明する。なお、行動パターンテンプレートは、ナビゲーション装置10外部のコンピュータ上で実行される処理によって作成される。
【0049】
図4に示すように、行動モデル作成手順が開始されると、まず、S110で、車両の状態を表す各種車両情報を予め設定されたサンプリング間隔Sでサンプリングしたデータが蓄積されたデータベースから、予め指定された複数の車両情報(本実施形態では、アクセル開度A,ブレーキ操作量B,車速V)で表される運転データをロードする。
【0050】
なお、データベースに蓄積された運転データは、実車を用いた測定により収集されたものであってもよいし、ドライビングシミュレータを用いて収集されたものであってもよい。そして、交差点前の所定期間Tpの間に取得されたTp/S個の運転データを交差点前運転データUG群とし、このような交差点前運転データ群UGを100人分ロードするものとする。
【0051】
続いてS120では、このようにしてロードされた全ての運転データの各要素A,B,Vを、いずれも0〜1の値を持つように正規化する。
続いて、S130では、交差点前運転データ群UGをクラスタリング手法を用いて分類する。
【0052】
具体的には、交差点前運動データ群UG間の距離を定義し、この距離が互いに近いもの同士を同一クラスタに分類する。なお、このようなクラスタリング手法は周知のものであり、例えばK−means法を用いることができるが、これに限るものではない。
【0053】
続いてS140では、S130での分類結果に従って、図6中の左側に示すように、分類されたM個のクラスタ(m=1〜M)毎に、交差点前運転データ群UGの平均値を算出し、行動モデル作成手順を終了する。
【0054】
以下、クラスタmの交差点前運転データ群UGの平均値を平均データ群UGm 、と呼び、(1)式で表すものとする。但し、(1)式におけるUm (i)は、平均データ群UGm を構成するi(i=1〜Tp/S)番目の平均運転データであり、(2)式で表すものとする。また、(2)式におけるAm (i)は、同じクラスタmに含まれる全ての交差点前運転データ群UGから、i番目の運転データのアクセル開度Aを抽出して求めたアクセル開度Aの平均値であり、Bm (i),Vm (i)も同様にして求めたブレーキ操作量B及び車速Vの平均値である。
【0055】
UGm ={Um (1),Um (2),…,Um (Tp/S)} (1)
m (i)={Am (i),Bm (i),Vm (i)} (2)
その後、図5に示すように、テンプレート作成手順が開始されると、S150で、行動モデル作成手順で求めたM個の平均データ群UGm のそれぞれについて、平均データ群UGm から連続するTw/S個の平均運転データUm (i)を、Tf/S個ずつずらしながら切り出したR(=(Tp−Tw)/Tf+1)個のグループを、行動パターンテンプレートTmr(r=1〜R)として切り出して、テンプレート作成手順を終了する。
【0056】
但し、行動パターンテンプレートTmrは(3)式で表され、この(3)式におけるUmr(j)は、j=1〜Tw/Sとして、(4)式で定義された平均運転データである。また、Umr(j)は(5)式で表され、この(5)式におけるAmr(j),Bmr(j),Vmr(j)は、(4)式と同様に定義されたアクセル開度,ブレーキ操作量,車速の平均値である。
【0057】
mr={Umr(1),Umr(2),…,Umr(Tw/S)} (3)
mr(j)=Um (j+(r−1)×Tf/S) (4)
mr(j)={Amr(j),Bmr(j),Vmr(j)} (5)
つまり、行動パターンテンプレートTmrは、各クラスタm毎にR個生成され、全体としてはM×R個生成されることになる。
【0058】
なお、本実施形態では、S=0.5秒,Tp=10秒,Tw=5秒,Tf=1秒であり、Tp/S=20個,Tw/S=10個,Tf/S=2個,R=6個である。また、クラスタ数Mは、S130での処理結果によって異なるが、5〜7個程度であり、従って、行動パターンテンプレートTmrは、30〜40個程度の規模となる。
【0059】
次に、ナビゲーション装置10の制御部19が実行するナビゲーション処理について説明する。
但し、位置算出部30、経路設定部31、距離算出部32、ドライビングレコーダ部37、表示処理部39の処理は、周知の処理であるため説明を省略し、本発明の主要部に関わるパラメータ選択部35、運転行動推定部36の処理を、図7,8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0060】
なお、図7に示す処理は、経路設定部31にて目的地までの経路設定が行われた場合に実行される。
本処理が起動すると、まずS1010で、近距離通信部20によって運転者の識別情報の取得を行う。
【0061】
続いてS1020では、交差点(以下、この交差点を「対象交差点」と称す。)までの距離Cdを距離算出部32から取得し、その距離Cdが予め設定された判定開始距離(本実施形態では300m)以下であるか否かを判定する。そして、距離Cdが判定開始距離より大きければ、同ステップを繰り返すことで待機し、一方、距離Cdが判定開始距離以下であれば、対象交差点に十分に接近したものとして、S1030へ移行する。
【0062】
S1030では、ドライビングレコーダ部37に相当する運転行動データ記憶処理を開始する。続いて、S1040では、後続車の有無、後続車との相対距離、後続車との相対速度、ナビゲーション装置10の案内する次の交差点での案内進路、渋滞情報、走行規制情報などの走行シーン情報を取得する。
【0063】
続いてS1050では、パラメータ選択部35に相当する走行シーンパラメータ選択処理を行い、S1040で取得した走行シーン情報により表される走行シーンに対応する走行シーンパラメータβt(ri)を取得する。ここで、βt(ri)は離散時刻tでのテンプレートri(iはテンプレート番号)の信頼性を表すものである。
【0064】
本実施形態では、渋滞情報および走行規制情報に基づいて、対象交差点が進入不可あるいは渋滞でない場合には図9(a)に示すように、対象交差点が進入不可あるいは渋滞である場合には図9(b)に示すようにして、走行シーンパラメータセットPS1,PS2,PS3,PS4の何れかを選択する。
【0065】
即ち、対象交差点が進入不可あるいは渋滞でない場合には、図9(a)に示すように、案内進路が「直進」であり後続車両が「ない」ときに、走行シーンパラメータセットPS1を選択する。また、案内進路が「右折」であり後続車両が「ない」ときと、案内進路が「直進」であり後続車両が「ある」ときに、走行シーンパラメータセットPS2を選択する。また、案内進路が「左折」であり後続車両が「ない」ときと、案内進路が「右折」であり後続車両が「ある」ときに、走行シーンパラメータセットPS3を選択する。また、案内進路が「左折」であり後続車両が「ある」ときに、走行シーンパラメータセットPS4を選択する。
【0066】
さらに、対象交差点が進入不可あるいは渋滞である場合には、図9(b)に示すように、進入不可または渋滞進路が「直進」であり後続車両が「ある」ときに、走行シーンパラメータセットPS4を選択する。また、進入不可または渋滞進路が「右折」であり後続車両が「ある」ときと、進入不可または渋滞進路が「直進」であり後続車両が「ない」ときに、走行シーンパラメータセットPS3を選択する。また、進入不可または渋滞進路が「左折」であり後続車両が「ある」ときと、進入不可または渋滞進路が「右折」であり後続車両が「ない」ときに、走行シーンパラメータセットPS2を選択する。また、進入不可または渋滞進路が「左折」であり後続車両が「ない」ときに、走行シーンパラメータセットPS1を選択する。
【0067】
さらにS1060では、S1010で取得した識別情報の表す運転者に対応する運転傾向パラメータαt(ri)を取得する。ここで、運転傾向パラメータαt(ri)は離散時刻tでのテンプレートri(iはテンプレート番号)の信頼性を表すものであり、運転者による運転操作の傾向を表す指標となる。本実施形態では、識別情報に基づいて、運転傾向パラメータセットPT1,PT2,PT3の何れかを選択する。
【0068】
なお、S1010で認識した運転者に対応する運転傾向パラメータセットが運転傾向パラメータ記憶部33に記憶されていない場合には、運転傾向パラメータ記憶部33に記憶されている複数の運転傾向パラメータセットの平均値を、運転者と対応づけて運転傾向パラメータ記憶部33に記憶する。
【0069】
続いてS1070では、運転行動推定部36に相当する運転行動推定処理を実行する。
続いてS1080では、ナビゲーション装置10で推奨している行動(以下、ナビ推奨行動と称す。)と、S1070の処理で推定された推定結果とが異なるか否かを判定する。
【0070】
そして、ナビ推奨行動と推定結果とが異なっていない場合には、S1100へ移行する。一方、ナビ推奨行動と推定結果とが異なっている場合には、S1090へ移行する。
S1090では、音声ガイダンス実行部40に相当する警告処理を実行する。
【0071】
続いてS1100では、対象交差点までの距離Cdを距離算出部32から取得して、その距離Cdに基づいて、対象交差点を通過したか否かを判定する。そして、対象交差点を未だ通過していなければ、S1070に戻って、上記S1070〜S1090の処理を繰り返し実行し、一方、対象交差点を既に通過していれば、S1110へ移行する。
【0072】
そしてS1110では、S1030で実行された運転行動データ記憶処理を終了する。
続いてS1120では、運転が終了したか否かを判定する。そして、運転が終了していなければ、S1020に戻って、上記S1020〜S1110の処理を繰り返し実行し、一方、運転が終了していれば、ナビゲーション処理を終了する。
【0073】
次に、S1070にて実行される運転行動推定処理の詳細を、図8に示すフローチャートを用いて説明する。
この運転行動推定処理が開始されると、まずS1210で、車内LAN通信部21を介してアクセル開度A(t),ブレーキ操作量B(t),車速V(t)を要素とする運転データDU(t)={A(t),B(t),V(t)}の読み込みを行う。
【0074】
続いて、S1220では、S1210で読み込まれた運転データDU(t)の、各要素A(t),B(t),V(t)を、いずれも0〜1の値をとるように正規化する。
なお、tは、データをサンプリングした時刻を表し、運転データDU(t)は、上述したサンプリング間隔S(=0.5秒)毎に読み込まれるものとする。
【0075】
続いて、S1230では、この正規化された運転データDU(t)を含む、過去Tw(=5秒)間分の運転データDU(t),DU(t−S),…,DU(t−Tw)が、制御部19を構成するRAMに保存されるように、RAMの保存データを更新する。なお、以下では、このRAMに保存されたTw秒間分(Tw/S個)の運転データを運転データ群MGとして(6)式にて表し、運転データ群MGに属する各運転データMU(j)を(7)式にて表す。但し、j=1〜Tw/Sであり、j=1が最古のデータ、j=Tw/Sが最新のデータを表す。即ち、DU(t−Tw)=MU(1),…,DU(t)=MU(Tw/S)であるものとする。
【0076】
MG={MU(1),MU(2),…,MU(Tw/S)} (6)
MU(j)={A(j),B(j),V(j)} (7)
続いて、S1240では、運転データ群MGと、制御部19のROMに格納された行動パターンテンプレートTmrとに基づいて、時刻tにおける類似度R(t)を算出し、制御部19のRAMに記憶する。
【0077】
具体的には、まず、(8)式により、行動パターンテンプレートTmrのそれぞれについて、運転データ群MGとの距離を表す指標データRmrを算出する。
【0078】
【数1】

そして、これら行動パターンテンプレートTmr毎に算出した指標データRmrのうち、その値が最も小さいもの(即ち、運転データ群MGに最も類似した行動パターンテンプレートとの距離)を、時刻tにおける代表指標データRE(t)として抽出する((9)式参照)と共に、このようにして算出した過去の代表指標データの中で最大のものを、基準指標データRK(t)として抽出する((10)式参照)。更に、代表指標データRE(t)を、基準指標データRK(t)用いて正規化((11)式参照)したものを類似度R(t)とする。
【0079】
【数2】

続いて、S1250では、距離算出部32から取得した一時停止地点までの距離Cdを入力として、距離Cdが一定距離(本実施形態では100m)以下の場合は1を出力し、距離Cdが一定距離より大きい場合は、距離Cdが大きいほど値が小さくなる1より小さな値を出力するメンバシップ関数を用いて、メンバシップ値Msを求める。
【0080】
続いて、S1260では、更に、このメンバシップ値Msを先のS1240にて求めた類似度R(t)に乗じることにより、確信度K(=R(t)×Ms)を算出する。
続いて、S1270では、S1260で算出した確信度Kが予め設定された判定閾値TH(本実施形態では0.5)以上であるか否かを判定する。
【0081】
そして、S1270で確信度Kが判定閾値TH以上であると判定した場合には、S1280へ移行し、運転者は一時停止地点で停止しようとしていると推定して、推定結果フラグFを1に設定する。その後、本運転行動推定処理を終了する。
【0082】
一方、S1270で、確信度Kが判定閾値TH未満であると判定した場合には、S1290へ移行し、運転者は停止以外の行動をしようとしていると推定して、推定結果フラグFを0に設定する。その後、運転行動推定処理を終了する。
【0083】
このように構成されたナビゲーション装置10では、後続車の有無、後続車との相対距離、後続車との相対速度、ナビゲーション装置10の案内する次の交差点での案内進路、渋滞情報、走行規制情報などの走行シーン情報を取得する(S1040)とともに、車内LAN通信部21を介してアクセル開度A(t),ブレーキ操作量B(t),車速V(t)を要素とする運転データDU(t)={A(t),B(t),V(t)}を読み込む(S1030)。
【0084】
また、平均データ群UGm から連続するTw/S個の平均運転データUm (i)をTf/S個ずつずらしながら切り出したR(=(Tp−Tw)/Tf+1)個のグループを、行動パターンテンプレートTmr(r=1〜R)として、制御部19を構成するROMに記憶されている。
【0085】
ここで平均データ群UGmは、交差点前運動データ群UG間の距離が互いに近いもの同士を同一のクラスタとして分類されたものであり、クラスタmの交差点前運転データ群UGの平均値を平均データ群UGm としている。
【0086】
したがって、テンプレートTmr(r=1〜R)は、交差点に到達する前において、互いに異なる時間帯の運転者の典型的な運転行動を示す。
また走行シーンパラメータ記憶部34にて、複数のテンプレートTmrのそれぞれに対応した走行シーンパラメータβt(ri)が、走行シーンに応じて複数記憶されている。
【0087】
そして運転行動推定部36にて、読み込んだ運転データDU(t)の履歴とテンプレートTmrとの相違の度合いを示す値と、走行シーンパラメータβt(ri)とを乗じて得られた値に基づき類似度R(t)を判断し、その類似度R(t)が予め設定されている判定基準を上回るテンプレートTmrが存在する場合に、交差点での運転者の運転行動がそのテンプレートTmrの示す運転行動と同じ運転行動になると推定する(S1070)。
【0088】
このため、類似度R(t)が判定基準を上回った時点で推定が完了する。そして、テンプレートTmrは、交差点に到達する前における或る時間帯の運転者の典型的な運転行動を示すものである。このため、あるテンプレートTmrを用いて判断された類似度R(t)が判定基準を上回ることにより推定が完了した場合に、この推定が完了する時点は、このテンプレートTmrが示す時間帯と一致する可能性が高い。
【0089】
したがって、交差点前の或る時点で推定が完了するように、この時点に対応する時間帯のテンプレートTmrの走行シーンパラメータβt(ri)を設定するとよい。
そしてパラメータ選択部35にて、取得された走行シーン情報に基づいて、走行シーンパラメータ記憶部34に記憶されている走行シーンパラメータβt(ri)を選択し、さらに運転行動推定部36にて、選択された走行シーンパラメータβt(ri)を用いて、類似度R(t)を判断する。
【0090】
このため、推定が完了する時点が走行シーンに応じて変わるように、走行シーンパラメータβt(ri)の大きさを予め設定しておくことにより、運転行動の推定を走行シーンに応じて適切に行うことができる。
【0091】
例えば図10(a)に示すように、自車両が交差点に到達する時刻(以下、交差点到達時刻という)における走行シーンパラメータをβ0(ri)と、交差点到達時刻からサンプリング間隔S前の走行シーンパラメータをβ1(ri)と、交差点到達時刻からサンプリング間隔Sの2倍前の走行シーンパラメータをβ2(ri)というように、交差点到達時刻からサンプリング間隔Sのn倍前(nは自然数)の走行シーンパラメータをβn(ri)と表記する。そして例えば、交差点到達時刻からサンプリング間隔Sの4倍前に運転行動の推定を完了させるようにするには、走行シーンパラメータβ4(ri)の値を最も小さくするとよい。
【0092】
なお、本実施形態では、案内進路が「直進」、「右折」、または「左折」であるか、後続車両があるか否か、対象交差点が進入不可あるいは渋滞であるか否かに応じて、走行シーンパラメータβt(ri)を選択するため(S1050)、これらの状況に応じた適切な時点で推定を完了させることができる。
【0093】
例えば図11(a)に示すように、案内経路が「次の交差点で左折」である(矢印Y3を参照)とともに運転者の意図が「次の交差点で直進」であり(指示n5を参照)、さらに後続車が存在する場合には、運転者の反応時間T1と、自車両の減速に要する時間T2と、後続車が自車両の減速に反応して衝突を回避するのに必要な後続車反応時間T5の和に相当する時間を推定余裕時間T6として、自車両が交差点に到達する時刻より推定余裕時間T6前に推定を完了させて、「左折です」との警告(指示n6を参照)を行わせるように設定することができる。
【0094】
また図11(b)に示すように、案内経路が「次の交差点で左折」である(矢印Y4を参照)とともに運転者の意図が「次の交差点で直進」であり(指示n7を参照)、さらに後続車が存在しない場合には、運転者の反応時間T1と自車両の減速に要する時間T2の和に相当する時間を推定余裕時間T3として、自車両が交差点に到達する時刻より推定余裕時間T3前に推定を完了させて、「左折です」との警告(指示n8を参照)を行わせるように設定することができる。
【0095】
また図12(a)に示すように、運転者の意図が「次の交差点で直進」であるにもかかわらず(指示n9を参照)、その直進経路上で渋滞が発生しているために、案内経路が「次の交差点で左折」となった(矢印Y5を参照)場合には、運転者の反応時間T1と自車両の減速に要する時間T2の和に相当する時間を推定余裕時間T3として、自車両が交差点に到達する時刻より推定余裕時間T3前に推定を完了させて、「直進渋滞です」との警告(指示n9を参照)を行わせるように設定することができる。
【0096】
また図12(b)に示すように、運転者の意図が「次の交差点で左折」であるにもかかわらず(指示n11を参照)、その左折経路上で渋滞が発生しているために、案内経路が「次の交差点で直進」となった(矢印Y5を参照)場合には、運転者の反応時間T1に相当する時間を推定余裕時間T4として、自車両が交差点に到達する時刻より推定余裕時間T4前に推定を完了させて、「左折渋滞です」との警告(指示n12を参照)を行わせるように設定することができる。
【0097】
次に、運転傾向パラメータ記憶部33にて、運転者毎の運転操作の傾向を表す複数の運転傾向パラメータαt(ri)が記憶されている。さらに近距離通信部20によって運転者の識別情報を取得し(S1010)、この識別情報の表す運転者に対応する運転傾向パラメータαt(ri)を選択する(S1060)。
【0098】
そして運転行動推定部36にて、読み込んだ運転データDU(t)の履歴とテンプレートTmrとの相違の度合いを示す値と、運転傾向パラメータαt(ri)とを乗じて得られた値に基づき類似度R(t)を判断し、その類似度R(t)が予め設定されている判定基準を上回るテンプレートTmrが存在する場合に、交差点での運転者の運転行動がそのテンプレートTmrの示す運転行動と同じ運転行動になると推定する(S1070)。
【0099】
これにより、運転者の車両操作の傾向を考慮して運転行動の推定を行うことができるため、複数の運転者によって自車両が利用される場合であっても、運転者に応じて精度の高い推定を行うことができる。
【0100】
なお指標データRmrは、(8)式に示すように、運転傾向パラメータαt(ri)と走行シーンパラメータβt(ri)とを加算した値を、運転データDU(t)の履歴とテンプレートTmrとの相違を示す値に乗じて算出される。
【0101】
したがって、例えば図10(b)に示すように、交差点到達時刻からサンプリング間隔Sのn倍前(nは自然数)の運転傾向パラメータαn(ri)が、交差点到達時刻に近付くほど小さくなるように設定されている場合であっても、例えば交差点到達時刻からサンプリング間隔Sの4倍前に運転行動の推定を完了させるようにするには、図10(c)に示すように、{運転傾向パラメータα4(ri)+走行シーンパラメータβ4(ri)}の値を最も小さくするとよい。
【0102】
以上説明した実施形態において、ナビゲーション装置10は本発明における運転行動推定装置、S1040の処理は本発明における走行シーン情報取得手段、車内LAN通信部21は本発明における運転データ取得手段、制御部19のROMは本発明におけるテンプレート記憶手段、走行シーンパラメータ記憶部34及び運転傾向パラメータ記憶部33は本発明における重み係数記憶手段、S1050及びS1060の処理は本発明における重み係数選択手段、S1070の処理は本発明における運転行動推定手段、S1010の処理は本発明における運転傾向識別手段である。
【0103】
また、走行シーンパラメータβt(ri)及び運転傾向パラメータαt(ri)は本発明における重み係数である。
(第2実施形態)
以下に本発明の第2実施形態について図面とともに説明する。尚、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0104】
第2実施形態のナビゲーション装置10は、ナビゲーション処理における走行シーンパラメータ選択処理(S1050)と、運転行動推定処理におけるS1240の処理が変更された点以外は第1実施形態と同じである。
【0105】
図13は、第2実施形態の走行シーンパラメータ選択処理を示すフローチャートである。
この走行シーンパラメータ選択処理が開始されると、まずS1510で、上記の対象交差点での案内経路が直進であるか否かを判定する。そして、案内経路が直進である場合には、S1570へ移行する。一方、案内経路が直進でない場合には、S1520へ移行する。
【0106】
S1520では、自車両が対象交差点で右左折可能な速度に減速するために必要な減速時間Tdを自車両の現在の速度Vnから算出する。本実施形態では、図14に示すように、自車両の速度Vnを入力として、速度Vnが右左折時の交差点進入速度(例えば、10km/h)以下の場合は0を出力し、速度Vnが右左折時の交差点進入速度より大きい場合は、速度Vnが大きいほど大きくなる値を出力する関数(以下、減速時間算出用関数という)を用いて、減速時間Tdを求める。なお、減速時に運転者は通常、徐々にブレーキを踏み込むことにより緩やかに減速させる。このため、減速時には一定の減速度(一定の負の加速度)とならない。すなわち、上記の交差点進入速度と現在の速度との差が小さい場合には緩やかに減速している時間の影響が大きいために、減速時間算出用関数の傾きが大きくなる。一方、上記の交差点進入速度と現在の速度の差が大きい場合には緩やかに減速している時間の影響が小さいために、減速時間算出用関数の傾きが小さくなる。
【0107】
続いてS1530では、後続車が存在するか否かを判定する。そして、後続車が存在しない場合には、S1560へ移行する。一方、後続車が存在する場合には、S1540へ移行する。
【0108】
S1540では、後続車が自車両の減速に反応して衝突を回避するのに必要な後続車反応時間Tr1を、自車両と後続車との相対速度Vrおよび距離Drから算出する。本実施形態では、図15に示すように、相対速度Vrおよび距離Drを入力として、相対速度Vrが大きいほど大きくなり、距離Drが大きいほど小さくなる値を出力する関数を用いて、後続車反応時間Tr1を求める。なお、後続車反応時間Tr1は、後続車が自車両の減速を認知して通常の減速度で減速をした場合に、両者の距離が最も近づくときの距離が、危険と感じられる距離(例えば10m)とならないように定められる。例えば、自車両と後続車両の衝突時間を算出し、後続車が自車両と同じ速度に減速する時間を算出し、減速する時間よりも衝突時間の方が短ければ、その差を他車両反応時間とする。
【0109】
具体的な例では、自車両と現在の後続車両の相対距離が30m、自車両が左折するのに必要な速度を10km/h、現在の後続車の速度50km/hとした場合、相対距離を相対速度40km/hで除算することで衝突時間2.7秒と算出される。そして後続車が自車両と同じ速度10km/hに減速するのに必要な時間を3.5秒とした場合、3.5秒と2.7秒との差0.8秒を後続車反応時間Tr1とする。
【0110】
続いてS1550では、S1090の警告を運転者が聞いてから反応するまでの時間として予め設定された運転者反応時間Tr2と、S1520で算出された減速時間Tdと、S1540で算出された後続車反応時間Tr1との和を、運転行動推定を完了してから自車両が対象交差点に到達するまでの時間Tc(以下、推定余裕時間Tcという)とする。そしてS1610へ移行する。
【0111】
またS1560に移行した場合には、運転者反応時間Tr2と、S1520で算出された減速時間Tdとの和を、推定余裕時間Tcとする。そしてS1610へ移行する。
またS1570に移行した場合には、後続車が存在するか否かを判定する。そして、後続車が存在しない場合には、S1600へ移行する。一方、後続車が存在する場合には、S1580へ移行する。
【0112】
S1580では、S1540と同様にして、後続車反応時間Tr1を算出する。
続いてS1590では、運転者反応時間Tr2と、S1580で算出された後続車反応時間Tr1との和を、推定余裕時間Tcとする。そしてS1610へ移行する。
【0113】
またS1600に移行した場合には、運転者反応時間Tr2を推定余裕時間Tcとする。そしてS1610へ移行する。
そしてS1610に移行した場合には、算出された推定余裕時間Tcに基づいて、走行シーンパラメータβt(ri)を選択し、走行シーンパラメータ選択処理を終了する。本実施形態では、推定余裕時間Tcが第1判定時間(本実施形態では、例えば6.0秒)未満である場合には走行シーンパラメータセットPS1、推定余裕時間Tcが第1判定時間以上かつ第2判定時間(本実施形態では、例えば6.8秒)未満である場合には走行シーンパラメータセットPS2、推定余裕時間Tcが第2判定時間以上かつ第3判定時間(本実施形態では、例えば7.1秒)未満である場合には走行シーンパラメータセットPS3、推定余裕時間Tcが第3判定時間以上である場合には走行シーンパラメータセットPS4を選択する。
【0114】
次に、第2実施形態のS1240の処理は、(12)式により指標データRmrを算出する点以外は、第1実施形態と同じである。
【0115】
【数3】

このように構成されたナビゲーション装置10では、案内進路が「直進」であるか否か、後続車両があるか否かに応じて、走行シーンパラメータβt(ri)を選択するため(S1510〜S1610)、これらの状況に応じた適切な時点で推定を完了させることができる。
【0116】
なお指標データRmrは、(12)式に示すように、運転傾向パラメータαt(ri)と走行シーンパラメータβt(ri)とを乗算した値を、運転データDU(t)の履歴とテンプレートTmrとの相違を示す値に乗じて算出される。
【0117】
したがって、例えば図10(b)に示すように、交差点到達時刻からサンプリング間隔Sのn倍前(nは自然数)の運転傾向パラメータαn(ri)が、交差点到達時刻に近付くほど小さくなるように設定されている場合であっても、例えば交差点到達時刻からサンプリング間隔Sの4倍前に運転行動の推定を完了させるようにするには、{運転傾向パラメータα4(ri)×走行シーンパラメータβ4(ri)}の値を最も小さくするとよい。
【0118】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採ることができる。
例えば上記実施形態では、運転行動を推定する対象となる地点の例として交差点を用いて説明したが、高速道路のランプなど、経路が分岐する分岐点であれば、交差点に限るものではない。
【0119】
また上記実施形態では、音声により警告を行っているが(S1090)、画像を表示することにより警告を行うようにしてもよい。
また上記実施形態では、運転者の行動の推定に用いる車両情報として、アクセル開度A,ブレーキ操作量B,車速Vを用いたが、車速V以外の情報については、自車両の走行状態に影響を与える運転者の車両操作に関わる操作情報であれば、これら以外のものであってもよい。例えば、ステアリング角度や加速度などを用いることができる。
【0120】
また、車両情報の個数も3個に限るものではなく、2個以下または4個以上であってもよい。
また上記実施形態では、走行シーン情報として、次の交差点での案内進路、後続車の有無、渋滞情報、走行規制情報などを示したが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】ナビゲーション装置10の構成、及びナビゲーション装置10が接続された車内LANの概略構成を示すブロック図である。
【図2】制御部19が実行する処理の概要を示す機能ブロック図である。
【図3】運転傾向パラメータ記憶部33及び走行シーンパラメータ記憶部34の構成を示す図である。
【図4】行動モデル作成手順を示すフローチャートである。
【図5】テンプレート作成手順を示すフローチャートである。
【図6】行動パターンテンプレートTmrの構成を示す説明図である。
【図7】ナビゲーション処理を示すフローチャートである。
【図8】運転行動推定処理を示すフローチャートである。
【図9】走行シーンパラメータセットの選択方法を示す図である。
【図10】運転傾向パラメータαt(ri)と走行シーンパラメータβt(ri)との加算によるパラメータ値の変化を示す図である。
【図11】後続車の有無による推定余裕時間の違いを説明する図である。
【図12】交差点が渋滞である場合の推定余裕時間の違いを説明する図である。
【図13】走行シーンパラメータ選択処理を示すフローチャートである。
【図14】減速時間算出用関数を示すグラフである。
【図15】後続車反応時間Tr1を求める関数を示すグラフである。
【図16】案内経路による推定余裕時間の違いを説明する図である。
【図17】推定精度が低下する状況を説明する図である。
【符号の説明】
【0122】
10…ナビゲーション装置、11…位置検出器、12…操作スイッチ群、13a…リモコン、13b…リモコンセンサ、15…地図データ入力器、16…表示部、17…音声出力部、18…マイクロフォン、19…制御部、20…近距離通信部、21…車内LAN通信部、25…車内LAN、26…エンジンECU、26a…アクセル開度センサ、27…ブレーキECU、27a…ブレーキ圧センサ、28…メータECU、28a…車速センサ、29…レーダーECU、29a…レーザーレーダー、30…位置算出部、31…経路設定部、32…距離算出部、33…運転傾向パラメータ記憶部、34…走行シーンパラメータ記憶部、35…パラメータ選択部、36…運転行動推定部、37…ドライビングレコーダ部、39…表示処理部、40…音声ガイダンス実行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の走行シーンを表す走行シーン情報を取得する走行シーン情報取得手段と、
自車両の走行状態に影響を与える運転者の車両操作に関わる操作情報とからなる運転データを取得する運転データ取得手段と、
自車両の運転行動を推定する対象となる地点である対象ポイント前の一定期間の間における運転者の典型的な運転行動を示す運転行動データの中から、連続した複数個のデータからなる部分データを、その先頭となる運転行動データの位置を予め設定されたシフト時間ずつシフトさせながら切り出すことにより作成された複数のテンプレートを記憶するテンプレート記憶手段と、
前記複数のテンプレートのそれぞれに対応した重み係数を、前記走行シーンに応じて複数記憶する重み係数記憶手段と、
前記走行シーン情報取得手段にて取得された走行シーン情報に基づいて、前記重み係数記憶手段に記憶されている重み係数を選択する重み係数選択手段と、
前記運転データ取得手段にて取得された運転データの履歴と前記テンプレート記憶手段に記憶されているテンプレートとの相違の度合いを示す値と、前記重み係数選択手段にて選択された重み係数とを乗じて得られた値に基づき前記テンプレートと前記運転データの履歴との類似度を判断し、その類似度が予め設定されている判定基準を上回るテンプレートが存在する場合に、前記対象ポイントでの運転者の運転行動がそのテンプレートの示す運転行動と同じ運転行動になると推定する運転行動推定手段と
を備えることを特徴とする運転行動推定装置。
【請求項2】
前記対象ポイントは、自車両の走行経路上の次の交差点であり、
前記走行シーン情報は、
前記対象ポイントにおける自車両の走行進路を示す情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の運転行動推定装置。
【請求項3】
前記対象ポイントは、自車両の走行経路上の次の交差点であり、
前記走行シーン情報は、
前記対象ポイントにおける自車両の走行進路で自車両が進入可能であるか否かを示す情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の運転行動推定装置。
【請求項4】
前記対象ポイントは、自車両の走行経路上の次の交差点であり、
前記走行シーン情報は、
前記対象ポイントにおける自車両の走行進路で渋滞が発生しているか否かを示す情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の運転行動推定装置。
【請求項5】
前記走行シーン情報は、
自車両に後続して走行する車両の有無を示す情報を含む
ことを特徴とする請求項2〜請求項4の何れかに記載の運転行動推定装置。
【請求項6】
自車両の運転者の車両操作の傾向を識別する運転傾向識別手段を備え、
前記重み係数は、運転者の車両操作の傾向に応じて決定された運転傾向パラメータと、走行シーン情報に応じて決定された走行シーンパラメータとを加算した値で構成され、
前記重み係数選択手段は、
前記運転傾向識別手段による識別結果に基づいて前記運転傾向パラメータを選択するとともに、前記走行シーン情報取得手段にて取得された走行シーン情報に基づいて前記走行シーンパラメータを選択する
ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の運転行動推定装置。
【請求項7】
自車両の運転者の車両操作の傾向を識別する運転傾向識別手段を備え、
前記重み係数は、
運転者の車両操作の傾向に応じて決定された運転傾向パラメータと、走行シーン情報に応じて決定された走行シーンパラメータとを乗算した値で構成され、
前記重み係数選択手段は、
前記運転傾向識別手段による識別結果に基づいて前記運転傾向パラメータを選択するとともに、前記走行シーン情報取得手段にて取得された走行シーン情報に基づいて前記走行シーンパラメータを選択する
ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の運転行動推定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−229098(P2009−229098A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71434(P2008−71434)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】