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酸化物含有Co系合金磁性膜、酸化物含有Co系合金ターゲットおよびその製造方法
説明

酸化物含有Co系合金磁性膜、酸化物含有Co系合金ターゲットおよびその製造方法

【課題】既存のものよりも保磁力差の小さい、酸化物含有Co系合金磁性膜、該磁性膜を形成し得るターゲット材およびスパッタリングターゲット、該ターゲット材の製造方法を提供する。
【解決手段】Fe含量が100ppm以下である、酸化物含有Co系合金磁性膜および酸化物含有Co系合金ターゲット材、該ターゲット材がバッキングプレートに接合されてなるスパッタリングターゲット、ならびに、Cr鋳塊を、Co鋳塊およびCo粉末から選ばれる少なくとも1種のCo原料と共に溶融してCo−Cr合金を調製した後、該Co−Cr合金をアトマイズ法により処理してCo−Cr合金粉末を得て、該Co−Cr合金粉末と、Pt粉末および酸化物粉末とを混合して混合粉末を得て、該混合粉末を成形した後に焼成するか、あるいは成形すると同時に焼成する、酸化物含有Co系合金ターゲット材の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物含有Co系合金磁性膜、酸化物含有Co系合金ターゲットおよびその製造方法に関する。より詳しくは、磁気記録媒体の磁気記録膜(磁気記録層)として好適な、酸化物含有Co系合金磁性膜、該磁性膜をスパッタリング法で形成し得るターゲット材およびスパッタリングターゲット、ならびに該ターゲット材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ハードディスクメディアなどの磁気記録媒体の磁気記録膜(磁気記録層)として使用される磁性膜には、ある程度以上の保磁力を有すること、膜の面内での保磁力差(磁力のばらつき、以下、単に保磁力差ともいう。)が小さいことが要求される。これは、ある程度以上の保磁力がないと磁気記録ができず、また、膜の面内での保磁力差が大きいと読み出しエラーが多くなり、磁気記録膜として好ましくないためである。
【0003】
また従来、磁気記録媒体の記録方式は、面内記録方式が主流であったが、磁気記録密度を向上させるために、垂直記録方式が開発され、近年、実用化されつつある。
そのため、磁気記録膜として使用される磁性膜の材料も、面内記録方式に適したCo−Cr−Pt−Bから、垂直記録方式に適した、酸化物含有Co系合金、たとえば、Co−Cr−Pt−SiO2などに移行しつつある(特許文献1〜3参照)。
【0004】
このような、酸化物含有Co系合金磁性膜は、通常の場合、得ようとする磁性膜と同じ組成のターゲット材を、銅製あるいは銅合金製のバッキングプレートに接合したスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリングすることにより形成される。該ターゲット材においては、Co系合金相と酸化物相とが均一に分散して存在することが求められていることから、通常は粉末冶金法によって製造されている。
【0005】
しかしながら、いままでに得られている、酸化物含有Co系合金磁性膜は、保磁力の値自体の要求は満たすものの、その面内円周方向の保磁力差がたとえば、181〜210(Oe)と大きく、上記要求を満たしていないという問題がある。
【特許文献1】特開2005−222675号公報
【特許文献2】特開平10−88333号公報
【特許文献3】特開平7−311929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、既存のものよりも保磁力差の小さい、酸化物含有Co系合金磁性膜、該磁性膜を形成し得るターゲット材およびスパッタリングターゲット、該ターゲット材の製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、酸化物含有Co系合金磁性膜のFe含量を所定値以下まで低減させることにより、該磁性膜の保磁力差を格段に小さくできることを見出して本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の事項に関する。
本発明にかかる酸化物含有Co系合金磁性膜は、そのFe含量が100ppm以下であることを特徴としている。なお、本明細書中、ppmは重量基準である。
【0009】
前記酸化物含有Co系合金磁性膜は、その面内円周方向の保磁力差が、望ましくは110(Oe)以下である。
さらに前記酸化物含有Co系合金磁性膜は、Si,Ti,Taから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含み、さらにCrおよびPtから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むことが好ましい。
【0010】
また、本発明にかかる酸化物含有Co系合金ターゲット材は、Fe含量が100ppm以下であることを特徴としている。
さらに、前記酸化物含有Co系合金ターゲット材は、Si,Ti,Taから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含み、さらにCrおよびPtから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むことが好ましい。
【0011】
また、本発明のスパッタリングターゲットは、前記酸化物含有Co系合金ターゲット材がバッキングプレートに接合されてなることを特徴としている。
また、本発明にかかる酸化物含有Co系合金ターゲット材の製造方法は、Cr鋳塊を、Co鋳塊およびCo粉末から選ばれる少なくとも1種のCo原料と共に溶融してCo−Cr合金を調製した後、該Co−Cr合金をアトマイズ法により処理してCo−Cr合金粉末を得て、該Co−Cr合金粉末と、Pt粉末および酸化物粉末とを混合して混合粉末を得て、該混合粉末を成形した後に焼成するか、あるいは成形すると同時に焼成することを特徴としている。
【0012】
なお、前記酸化物含有Co系合金ターゲット材の製造方法においては、前記酸化物は、Si,Ti,Taから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の酸化物含有Co系合金磁性膜は、既存のものと比較して保磁力差が格段に小さく、磁気特性の均一化が図られており、磁気記録媒体の磁気記録膜(磁気記録層)に要求される特性を満たす。そのため、本発明の酸化物含有Co系合金磁性膜は、磁気記録媒体の磁気記録膜として好適に使用でき、該磁性膜を磁気記録膜として備えた磁気記録媒体を提供することができる。
【0014】
また、本発明の酸化物含有Co系合金ターゲット材およびスパッタリングターゲットによれば、磁気記録媒体の磁気記録膜(磁気記録層)として好適な、酸化物含有Co系合金磁性膜を、必要に応じて他の層を備えた磁気記録媒体用基板上にスパッタリング法により容易に形成できる。
【0015】
また、本発明の酸化物含有Co系合金ターゲット材の製造方法によれば、各原料粉末のFe含量を容易かつ確実に低減でき、このような原料粉末を使用することにより、保磁力差の小さい酸化物含有Co系合金磁性膜を形成し得るターゲット材を製造できる。該製造方法は、酸化物含有Co系合金ターゲット材がCrを含む場合にとくに好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の、酸化物含有Co系合金磁性膜および酸化物含有Co系合金ターゲット材における、酸化物含有Co系合金とは、主成分としてCoを含有し、かつ、Co系合金相と酸化物(セラミックス)相とが均一に分散して存在している材料である。
【0017】
該酸化物含有Co系合金は、Coのほかに、Si,Ti,Taから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含み、さらにCrおよびPtから選ばれる少なくとも1種の金属元
素を含んでいることが好ましい。
【0018】
該酸化物含有Co系合金の代表的な例としては、Co−Cr−Pt−酸化物、Co−Cr−酸化物、Co−Pt−酸化物などが挙げられ、これらのうち、保磁力がより大きい点からは、Co−Cr−Pt−酸化物が好ましい。Co−Cr−Pt−酸化物の組成比は、Co−Cr−Pt(Cr:0を超えて20at%以下、Pt:0を超えて30at%以下、Co:残部(at%))が70〜99mol%、酸化物が残部(mol%)であることが望ましい。
【0019】
より具体的には、上記Co−Cr−Pt−酸化物の例として、Co−Cr−Pt−SiO2(以下、CCPSともいう。)、Co−Cr−Pt−TiO2(以下、CCP−TiO2ともいう。)、Co−Cr−Pt−Ta25(以下、CCP−Ta25ともいう。)な
どが挙げられる。
【0020】
このような酸化物含有Co系合金からなるターゲット材を、スパッタリングして得られる酸化物含有Co系合金磁性膜は、保磁力が大きく、垂直記録方式の磁気記録媒体の磁気記録膜として有望視されている。
【0021】
上記酸化物含有Co系合金ターゲット材は、上述したように、通常は各構成成分の原料粉末を混合した混合粉末などを用いて、粉末冶金法によって製造されている。これは、溶解・鋳造法を用いると、Co系合金相と酸化物相とが均一に分散した組織のターゲット材を得ることが極めて困難であるからである。
【0022】
粉末冶金法においては、各構成成分の原料粉末を混合した混合粉末(あるいは混合粉末を含有したスラリー)を成形して成形体を得た後であるいは成形すると同時に、焼成して該粉末粒子同士を焼結させるのが一般的である。
【0023】
しかしながら、粉末冶金法では、原料粉末に含まれる不純物のうち、焼成などによりとり除くことができないものは、製造されるターゲット材に反映されてしまう。さらに、該ターゲット材に含まれる不純物は、該ターゲット材を備えたスパッタリングターゲットをスパッタリングすることにより形成される磁性膜にも反映される。
【0024】
そこで、該磁性膜に含まれる不純物と保磁力差との関係を検討したところ、該磁性膜の保磁力差は、不純物のうちでもFeの影響を大きく受け、該磁性膜のFe含量を所定値以下まで低減させることにより、保磁力差を格段に小さくできることがわかった。これは、該磁性膜中にFeが所定値を超えて含まれていると、Feが局所的に偏析して、膜の面内、とくに膜の面内円周方向に保磁力分布を生じさせることによるものと推測される。
【0025】
具体的には、酸化物含有Co系合金磁性膜のFe含量を100ppm以下、好ましくは80ppm以下、より好ましくは60ppm以下まで低減すると、該磁性膜の面内円周方向の保磁力差を、110(Oe)以下、好ましくは100(Oe)以下まで低減することができる。
【0026】
なお、該磁性膜のFe含量は、保磁力差をより小さくする観点からは低いほどよく、その下限値はとくに限定されないが、通常は0.05ppm以上であってもよい。0.05ppm程度の量でFeを含んでいても、磁性膜の保磁力差は事実上問題とならないレベルにあるためである。
【0027】
このような、Fe含量を所定値以下まで低減した酸化物含有Co系合金磁性膜は、たとえば、Fe含量を所定値以下まで低減させた酸化物含有Co系合金ターゲット材を使用し
、該ターゲット材を備えたスパッタリングターゲットを常法に基づいてスパッタリングすることにより得ることができる。
【0028】
該ターゲット材としては、たとえば、Fe含量が100ppm以下、好ましくは80ppm以下、より好ましくは60ppm以下の、酸化物含有Co系合金ターゲット材が挙げられる。
【0029】
なお、該ターゲット材のFe含量は、スパッタリングにより得られる磁性膜の保磁力差をより小さくする観点からは低いほどよく、その下限値はとくに限定されないが、該磁性膜のFe含量の下限値と同程度であってもよい。
【0030】
上述したように、粉末冶金法によって製造されるターゲット材の不純物であるFeの量は、原料粉末に含まれるFe不純物の量に影響される。したがって、該ターゲット材の製造の際には、Fe含量を低減した原料粉末を用いることが好ましい。
【0031】
そのような原料粉末としては、得ようとする酸化物含有Co系合金ターゲット材の組成比に基づいて、各構成成分の原料粉末を混合して得られた混合粉末のFe含量を算出したときに、上述したターゲット材のFe含量の条件を満たすもの、すなわち、該混合粉末のFe含量が、100ppm以下、好ましくは80ppm以下、より好ましくは60ppm以下となるものが好ましい。
【0032】
したがって、各構成成分の原料粉末についても、そのFe含量が、それぞれ100ppm以下、好ましくは80ppm以下、より好ましくは60ppm以下であるものが望ましい。
【0033】
上記の条件を満たす原料粉末が、該ターゲット材のすべての構成成分について、市販の原料粉末の選定によって得られる場合には、それらの原料粉末を用いて、粉末冶金法により、すなわち、それらの原料粉末を所望のターゲット材組成となるように秤量して、公知の手法により混合し、該混合粉末を用い、該混合粉末を成形した後に焼成するか、あるいは成形すると同時に焼成することにより、本発明のターゲット材を製造できる。
【0034】
しかしながら、Fe含量を低減した原料粉末を用いようとしても、実際には原料粉末の製造過程に問題のあるケース、たとえば、原料粉末の原材料自体のFe含量が多いケースや、たとえば、鋳塊を粉砕して粉末を得る過程で鉄製の粉砕機を使用しているケースなどが多く、市販の原料粉末の選定に拠るのには限界がある。
【0035】
とくに市販のCr粉末は、Fe含量が高く、通常の場合、数百ppmレベルでFeを含んでいる(たとえば、780ppmなど)。したがって、酸化物含有Co系合金ターゲット材がCrを含む場合には、市販の原料粉末を使用しても、上記Fe含量の条件を満たすターゲット材を得ることは極めて困難である。
【0036】
その一方、市販のCr鋳塊は、そのFe含量が市販の粉末よりも低く、Fe含量が小数点以下、たとえば0.14ppmなどのものもあるが、該鋳塊を粉砕機で粉砕して粉末を得た場合には、粉砕時にFeが混入するため、得られたCr粉末のFe含量は市販のCr粉末よりも高くなり、問題の解決には至らない。
【0037】
また、このようなFeの混入のおそれが少なく、鋳塊から粉末を得るための他の方法として、アトマイズ法による処理が挙げられるが、Crは融点1903℃の高融点金属であるため、溶湯をアトマイズ装置に安定的に供給することが困難であり、アトマイズ法でCr鋳塊から直接、Cr粉末を得ることは事実上難しい。
【0038】
このような状況下、本発明者は、Cr鋳塊を単独で使用するかわりに、Co鋳塊およびCo粉末から選ばれる少なくとも1種のCo原料と共に溶融して、一旦Co−Cr合金を調製した後で、該Co−Cr合金をアトマイズ法により処理すれば、Co−Cr粉末が容易に得られることを見出した。これは、一旦Co−Cr合金にすることにより、その液相線温度が低下するため、Co−Cr合金溶湯をアトマイズ装置に安定的に供給することが可能となるからである。
【0039】
なお、上記アトマイズ法としては、ガスアトマイズ法が好ましく挙げられ、その条件はとくに限定されず、公知の条件から適宜決定することができる。
また、Co原料に関しても、市販のCo粉末よりもCo鋳塊の方が、Fe含量が低いため、Co鋳塊とCo粉末とを併せて使用するか、Co鋳塊のみを使用すると、Co粉末のみを使用した場合に比べて、得られるターゲット材のFe含量をさらに低減することが可能である。さらに、Co原料としてCo鋳塊のみを使用すると、その効果がより大きくなり好ましい。
【0040】
なお、上記のCr鋳塊、Co鋳塊、Co粉末についても、そのFe含量はいずれも、100ppm以下、好ましくは80ppm以下、より好ましくは60ppm以下であることが望ましいのは言うまでもない。すなわち、市販されている、Cr鋳塊、Co鋳塊、Co粉末には、Fe含量の高いものもあるので、すべての市販されている、Cr鋳塊、Co鋳塊、Co粉末が原料として使用できるわけではない。
【0041】
こうして得られたCo−Cr粉末を、Fe含量が100ppm以下、好ましくは80ppm以下、より好ましくは60ppm以下である、酸化物粉末、および必要に応じて他の金属粉末(たとえば、Pt粉末など)と共に混合して混合粉末を得て、粉末冶金法により、すなわち、該混合粉末を成形した後に焼成するか、あるいは成形すると同時に焼成することにより、Crを含み、Fe含量が100ppm以下の、酸化物含有Co系合金ターゲット材を製造することができる。
【0042】
混合手法としては、ボールミル混合、Vブレンダー混合、袋混合、スクリュー型混合機による混合などの公知の混合手法が挙げられる。成形方法としては、金型などを使用した冷間静水圧プレスや金型鋳込み法などの公知の成形方法が挙げられる。また、成形すると同時に焼成する方法としては、たとえば、ホットプレス(HP)法やホットアイソスタティックプレス(HIP)法などが挙げられ、その条件はとくに限定されず、公知の条件から適宜選択することができる。
【0043】
また、本発明のスパッタリングターゲットは、上記酸化物含有Co系合金ターゲット材がボンディング材を介してバッキングプレートに接合されてなる。該ボンディング材としては、金属InまたはIn合金などが挙げられる。
【0044】
該スパッタリングターゲットを用いて、常法に従いスパッタリングすることにより、非磁性基板上に、あるいは非磁性基板上に非磁性下地層、軟磁性下地層の順で積層してなる積層体上に、酸化物含有Co系合金磁性膜を形成し、該磁性膜を磁気記録膜(磁気記録層)として有する磁気記録媒体を製造することが可能である。上記非磁性基板としては、ガラス基板、Al合金基板、樹脂製基板などが挙げられ、非磁性下地層の材料としては、Ru、Ru合金、Tiなどが挙げられ、軟磁性下地層の材料としては、Co−Nb−Zr合金、Co−Zr−Ta合金、Ni−Fe合金、Co−Fe−B合金などが挙げられる。
【0045】
なお、該磁気記録媒体の磁気記録層上には、必要に応じて保護層を設けてもよい。該保護層の材料としては、たとえばカーボンなどが挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0046】
例中で行った、Fe含量の測定方法は以下のとおりである。
<Fe含量の測定>
各種鋳塊、原料粉、ターゲット材および磁性膜(磁気記録層)のFe含量は、ICP発光分光分析装置SPS3000(セイコーインスツルメンツ株式会社製)にて測定した。
【0047】
[実施例1]
<CCPSターゲット材およびスパッタリングターゲットの製造>
それぞれ純度99.9%の市販の、Co鋳塊およびCr鋳塊(Fe含量は、それぞれ順に10ppm、0.14ppm)を使用し、以下の手順(1)〜(5)にしたがってアトマイズ処理をし、Co−Crアトマイズ粉を得た。
【0048】
アトマイズ手順(装置:日新技研製)
(1)3×10-5Torrまで真空引
(2)-10cmHgまでArを導入
(3)1680℃で計1.5kgの原料を溶解して、Co−Cr合金溶湯を調製
(4)アトマイズ温度1600℃、アトマイズガス圧30kgf/cm2、アトマイズガスArでア
トマイズ処理
(5)グローブボックス内で目開き250μmの篩で分級
得られたCo−Crアトマイズ粉のFe含量は5ppmであった。
【0049】
ついで、該アトマイズ粉と、純度99.9%の市販の、Pt粉末およびSiO2粉末(Fe
含量はそれぞれ順に4ppm、8ppm)を、所望の組成(Co−Cr−Pt(Cr:10at%、Pt:16at%、Co:残部(at%))91mol%およびSiO2 9mol%
)になるように秤量し、ジルコニアボールを使用したボールミルにて混合し、混合粉を得た。
【0050】
得られた混合粉を次のHP条件でホットプレスし、成形体を得た。
HP条件
(1)HP温度 1300℃
(2)圧力 200kg/cm2
(3)保持時間 120min
(4)出来上がりサイズ φ4.3インチ×7mmt
得られた成形体を旋盤加工して、CCPSターゲット材を得た。該CCPSターゲット材のFe含量は27ppmであった。
【0051】
ついで、得られたCCPSターゲット材を、Inボンディング材を介して、銅製のバッキングプレートにボンディングして、CCPSスパッタリングターゲット(以下、単にCCPSターゲットともいう。)を得た。
【0052】
<CCPS磁性膜(磁気記録層)の形成>
基板としてφ2.5インチの強化ガラスを用い、これをスパッタ装置(静止対向型マルチ
チャンバースパッタ機MSL-464;トッキ株式会社製)に導入して、基板加熱なし、Arガ
ス圧20mTorrの条件で、Ruターゲットをスパッタリングすることにより、該基板上に膜
厚200Åの非磁性下地層(Ru層)を形成した。
【0053】
さらに、Co−Nb−Zrターゲット((87)Co−(6)Nb−(7)Zr;括弧
内の数字はat%を表す、以下同じ。)を、基板加熱なし、Arガス圧5mTorrの条件で、スパッタリングすることにより、上記非磁性下地層上に膜厚2000Åの軟磁性下地層(Co−Nb−Zr層)を形成した。
【0054】
さらに、上記CCPSターゲットを、基板加熱なし、Arガス圧5mTorrの条件で、スパッタリングすることにより、上記軟磁性下地層上に、膜厚200Åの磁気記録層(CCPS
磁性膜)を形成した。
【0055】
その後、カーボンターゲットを、基板加熱なし、Arガス圧5mTorrの条件で、スパッタリングすることにより、上記磁気記録層上に、膜厚50Åの保護層(カーボン層)を形成し、垂直記録方式の磁気記録媒体を得た。
【0056】
得られた磁気記録媒体の半径28.5mmの位置について、等分振り分け8点の面内円周方
向の保磁力を振動試料型磁力計VSM(東英工業株式会社製)を使用して測定し、8点の
測定値の最大値と最小値の差から保磁力差を算出したところ、保磁力差は99(Oe)であり、CCPS磁性膜は磁気記録膜として極めて優れた性能を示した。
【0057】
なお、上記CCPSターゲットを用いて、別の基板上に1μm厚のCCPS磁性膜をスパッタリングにより単層膜として形成し、該CCPS磁性膜のFe含量を測定したところ、Fe含量は26ppmであった。
【0058】
これらの結果を表1にまとめて示す。
[比較例1]
それぞれ純度99.9%の市販の、Co粉末、Cr粉末、Pt粉末、SiO2粉末原料(F
e含量は、それぞれ順に55ppm、780ppm、4ppm、8ppm)を所望の組成(実施例1と同じ)
になるように秤量し、ジルコニアボールを使用したボールミルにて混合し、混合粉を得て、該混合粉を使用した以外は実施例1と同様にして行った。
【0059】
その結果、得られたCCPSターゲット材のFe含量は114ppmであり、得られたCCPS磁性膜のFe含量は117ppm、保磁力差は210(Oe)であり、磁気記録膜として満足できる
ものではなかった。
【0060】
これらの結果を表1にまとめて示す。
[比較例2]
純度99.9%の市販のCr鋳塊(Fe含量は0.14ppm)をメルトスピン法により急冷箔帯
とした後に機械粉砕して得た粉末(Fe含量は3500ppm)と、それぞれ純度99.9%の市販
の、Co粉末、Pt粉末、SiO2粉末原料(Fe含量はそれぞれ順に55ppm、4ppm、8ppm)を所望の組成(実施例1と同じ)になるように秤量し、ジルコニアボールを使用したボールミルにて混合し、混合粉を得て、該混合粉を使用した以外は実施例1と同様にして行った。
【0061】
その結果、得られたCCPSターゲット材のFe含量は420ppm、得られたCCPS磁性膜のFe含量は410ppmであり、保磁力差は212(Oe)であり、磁気記録膜として満足できる
ものではなかった。
【0062】
これらの結果を表1にまとめて示す。
[比較例3]
純度99.9%の市販のCr鋳塊(Fe含量は0.14ppm)のみのアトマイズ処理を、溶融温
度1950℃とした以外は実施例1と同じ条件で行った。
【0063】
その結果、アトマイズ装置のノズルの先端でCr溶湯が凝固し、アトマイズ処理できなかった。
【0064】
【表1】

【0065】
[実施例2]
<CCP−TiO2ターゲット材およびスパッタリングターゲットの製造>
実施例1で得られたアトマイズ粉と、それぞれ純度99.9%の市販の、Pt粉末、TiO2粉末(Fe含量はそれぞれ順に4ppm、20ppm)を所望の組成(Co−Cr−Pt(Cr:10at%、Pt:16at%、Co:残部(at%))91mol%およびTiO2
9mol%)になるように秤量し、ジルコニアボールを使用したボールミルにて混合し、混合粉を得た。
【0066】
得られた混合粉を実施例1と同じホットプレス条件でホットプレスし、成形体を得た。得られた成形体を旋盤加工して、CCP−TiO2ターゲット材を得た。該CCP−Ti
2ターゲット材のFe含量は65ppmであった。
【0067】
ついで、得られたCCP−TiO2ターゲット材を、Inボンディング材を介して、銅
製のバッキングプレートにボンディングして、CCP−TiO2スパッタリングターゲッ
トを得た。
【0068】
<CCP−TiO2磁性膜(磁気記録層)の形成>
上記CCP−TiO2スパッタリングターゲットを用いた以外は、実施例1と同様にし
て、基板上に、非磁性下地層、軟磁性下地層、磁気記録層(CCP−TiO2磁性膜)の
順に成膜して、積層した。
【0069】
その後、実施例1と同様に、該磁気記録層上に保護膜を形成し、磁気記録媒体を得て、保磁力の測定を行い、保磁力差を算出したところ、保磁力差は92(Oe)であり、該CCP−TiO2磁性膜は磁気記録膜として極めて優れた性能を示した。
【0070】
なお、実施例1と同様にして、基板上に別途成膜したCCP−TiO2磁性膜のFe含
量を測定したところ、55ppmであった。
これらの結果を表2にまとめて示す。
【0071】
[比較例4]
それぞれ、純度99.9%の市販の、Co粉末、Cr粉末、Pt粉末、TiO2粉末原料(
Fe含量はそれぞれ順に55ppm、780ppm、4ppm、20ppm)を所望の組成(実施例2と同じ)になるように秤量し、ジルコニアボールにて混合し、混合粉を得て、該混合粉を使用した以外は実施例2と同様にして行った。
【0072】
その結果、得られたCCP−TiO2ターゲット材のFe含量は168ppmであり、得られ
たCCP−TiO2磁性膜のFe含量は154ppm、保磁力差は227(Oe)であり、磁気記録膜として満足できるものではなかった。
【0073】
これらの結果を表2にまとめて示す。
【0074】
【表2】

【0075】
[実施例3]
<CCP−Ta25ターゲット材およびスパッタリングターゲットの製造>
実施例1で得られたアトマイズ粉と、それぞれ純度99.9%の市販の、Pt粉末、Ta2
5粉末(Fe含量はそれぞれ順に4ppm、23ppm)を所望の組成(Co−Cr−Pt(Cr:10at%、Pt:16at%、Co:残部(at%))91mol%およびTa25
9mol%)になるように秤量し、ジルコニアボールを使用したボールミルにて混合し、混合粉を得た。
【0076】
得られた混合粉を実施例1と同じホットプレス条件でホットプレスし、成形体を得た。得られた成形体を旋盤加工して、CCP−Ta25ターゲット材を得た。該CCP−Ta25ターゲット材のFe含量は78ppmであった。
【0077】
ついで、得られたCCP−Ta25ターゲット材を、Inボンディング材を介して、銅製のバッキングプレートにボンディングして、CCP−Ta25スパッタリングターゲットを得た。
<CCP−Ta25磁性膜(磁気記録層)の形成>
上記CCP−Ta25スパッタリングターゲットを用いた以外は、実施例1と同様にして、基板上に、非磁性下地層、軟磁性下地層、磁気記録層(CCP−Ta25磁性膜)の順に成膜して、積層した。
【0078】
その後、実施例1と同様に、該磁気記録層上に保護膜を形成し、磁気記録媒体を得て、保磁力の測定を行い、保磁力差を算出したところ、保磁力差は80(Oe)であり、該CCP−Ta25磁性膜は磁気記録膜として極めて優れた性能を示した。
【0079】
なお、実施例1と同様にして、基板上に別途成膜したCCP−Ta25磁性膜のFe含量を測定したところ、56ppmであった。
これらの結果を表3にまとめて示す。
【0080】
[実施例4]
<CCP−Ta25ターゲット材およびスパッタリングターゲットの製造>
Cr鋳塊として、純度99.9%の市販のCr鋳塊(Fe含量34ppm)を用いたほかは実施
例1と同様にして、Co−Crアトマイズ粉を得た。このCo−Crアトマイズ粉を使用した以外は実施例3と同様にして、CCP−Ta25ターゲット材を得た。該CCP−Ta25ターゲット材のFe含量は96ppmであった。
【0081】
ついで、得られたCCP−Ta25ターゲット材を、Inボンディング材を介して、銅製のバッキングプレートにボンディングして、CCP−Ta25スパッタリングターゲットを得た。
<CCP−Ta25磁性膜(磁気記録層)の形成>
上記CCP−Ta25スパッタリングターゲットを用いた以外は、実施例1と同様にして、基板上に、非磁性下地層、軟磁性下地層、磁気記録層(CCP−Ta25磁性膜)の順に成膜して、積層した。
【0082】
その後、実施例1と同様に、該磁気記録層上に保護膜を形成し、磁気記録媒体を得て、保磁力の測定を行い、保磁力差を算出したところ、保磁力差は102(Oe)であり、該CCP
−Ta25磁性膜は磁気記録膜として極めて優れた性能を示した。
【0083】
なお、実施例1と同様にして、基板上に別途成膜したCCP−Ta25磁性膜のFe含量を測定したところ、70ppmであった。
これらの結果を表3にまとめて示す。
【0084】
[比較例5]
それぞれ、純度99.9%の市販の、Co粉末、Cr粉末、Pt粉末、Ta25粉末原料(Fe含量はそれぞれ順に55ppm、780ppm、4ppm、23ppm)を所望の組成(実施例3と同じ)になるように秤量し、ジルコニアボールを使用したボールミルにて混合し、混合粉を得て、該混合粉を使用した以外は実施例3と同様にして行った。
【0085】
その結果、得られたCCP−Ta25ターゲット材のFe含量は196ppmであり、得られたCCP−Ta25磁性膜のFe含量は175ppm、保磁力差は220(Oe)であり、磁気記録膜
として満足できるものではなかった。
【0086】
これらの結果を表3にまとめて示す。
【0087】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
Fe含量が100ppm以下であることを特徴とする、酸化物含有Co系合金磁性膜。
【請求項2】
面内円周方向の保磁力差が、110(Oe)以下であることを特徴とする、請求項1に記載の酸化物含有Co系合金磁性膜。
【請求項3】
Si,Ti,Taから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含み、さらにCrおよびPtから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の酸化物含有Co系合金磁性膜。
【請求項4】
Fe含量が100ppm以下であることを特徴とする、酸化物含有Co系合金ターゲット材。
【請求項5】
Si,Ti,Taから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含み、さらにCrおよびPtから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むことを特徴とする、請求項4に記載の酸化物含有Co系合金ターゲット材。
【請求項6】
請求項4または5に記載の酸化物含有Co系合金ターゲット材がバッキングプレートに接合されてなることを特徴とするスパッタリングターゲット。
【請求項7】
Cr鋳塊を、Co鋳塊およびCo粉末から選ばれる少なくとも1種のCo原料と共に溶融してCo−Cr合金を調製した後、該Co−Cr合金をアトマイズ法により処理してCo−Cr合金粉末を得て、該Co−Cr合金粉末と、Pt粉末および酸化物粉末とを混合して混合粉末を得て、該混合粉末を成形した後に焼成するか、あるいは成形すると同時に焼成することを特徴とする、酸化物含有Co系合金ターゲット材の製造方法。
【請求項8】
前記酸化物が、Si,Ti,Taから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物であることを特徴とする請求項7に記載の酸化物含有Co系合金ターゲット材の製造方法。

【公開番号】特開2008−78496(P2008−78496A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257711(P2006−257711)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000006183)三井金属鉱業株式会社 (1,121)
【Fターム(参考)】