説明

銅配線構造およびその製造方法

【課題】銅配線の寿命を増大させ、同時に、密着性を高め、ストレスマイグレーション耐性を向上させる。
【解決手段】Cu16とバリアメタル12、あるいはCu16とキャップ層19との界面近傍に、不純物15を固溶させる、不純物15を析出させる、非晶質Cu14を存在させるまたはCuとの化合物を形成することにより、界面近傍の空孔を減らし、Cuのエレクトロマイグレーション(EM)に対する界面拡散の寄与を減少させ、寿命を増大させ、同時に、密着性を高め、ストレスマイグレーション耐性を向上させた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銅配線構造およびその製造方法に関し、特にCuの配線寿命を長くした銅配線構造およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話を始めとする情報電子機器に使用される半導体集積回路の高性能化、高機能化が計られていることは、良く知られている。このような半導体集積回路は、多くの回路素子、例えば、トランジスタなどを有した構成である。また、このような半導体集積回路は、高精度の半導体製造プロセスを用いて、製造されていることも、周知の事実である。さらに、上述した高精度の半導体製造プロセスの中で、配線寿命を長くした配線構造が注目され、特に、銅の配線構造が注目されている。
【0003】従来例の銅配線の製造方法を、図6(a)〜図6(d)の断面図を参照して、説明する。
【0004】まず、従来例の銅配線の製造方法では、図6(a)のように、絶縁層11上にCu配線用の溝10を形成後、Ta等の高融点金属を主構成成分としたバリアメタル(Ta)層12を薄くスパッタして形成する。さらに、図6(b)のように、シードのCuを薄くスパッタし、シードCu層14を形成する。続いて、Cuをメッキなどの方法で厚く堆積し、Cu層(Ta)16を形成する。これを、膜厚と配線幅またはいずれか一方に応じて、約400℃で10分〜数時間程度熱処理し、Cuを粒成長させるとともに溝内に均一に充填させる。続いて、図6(c)のように、化学的機械的研磨法等を用いて、平坦にして配線16aを形成する。この配線表面に、洗浄処理を施し、Cuの自然酸化物層を除去した後、図6(d)のように、SiNなどをスパッタで堆積し、SiN層17を形成する。
【0005】また、Al配線におけるエレクトロマイグレーション(以降、EMと略記する)抑制の例として、特許文献1のように、Alに例えばCuのような不純物を少量添加する例がある。これは非特許文献1のように、不純物がAlの粒界に析出して、空孔濃度を下げることにより、粒界拡散の寄与を減少させるためであると考えられる。Cu配線では、EM主拡散経路はCuと他の物資との界面であると考えられている。このため、界面の空孔を選択的になくせばいいと考えられる。
【0006】
【特許文献1】特開平08−107110号公報(段落番号0015乃至段落番号0020、図1)
【非特許文献1】'Al-Ti and Al-Ti-Si thin alloy films', Albertus G. Dirks, TienTien, and Janet M. Towner ,Journal of Applied Physics,vol59-6(1968),PP2010
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような銅配線の製造方法は、EM耐性が低く、特に細い配線で、Al配線より寿命が短いという問題がある。その理由は、Al配線では、配線幅がAlの平均粒径より狭く粒界がバンブー構造となる場合、Alの格子拡散が主拡散機構となる。この格子拡散は、粒界拡散または界面拡散よりも非常に遅い。したがって、バンブー粒界構造を達成するような細い配線では、粒界拡散が支配的な太い配線よりもEM寿命が長く延びる。
【0008】これに対しCu配線では、配線幅がCuの平均粒径より狭く粒界がバンブー構造となっても、Cuの格子拡散が主拡散機構ではなく、界面拡散が主拡散機構となる。このため、細い配線でAl配線の場合にみられるEM寿命の増大が、Cu配線の場合にはみられない。したがって、配線幅が細い場合には、Cu配線寿命はAl配線寿命より短くなる。
【0009】したがって、本発明の目的は、これらの問題を解決し、配線寿命を長くした銅配線構造およびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の銅配線構造の構成は、Cuとバリアメタル、あるいはCuとキャップ層との界面近傍に、CuまたはCu合金層とバリアメタル層との界面にできる空孔を減らすためのCu中に添加された空孔低減不純物を析出させるか、非晶質Cuを存在させることにより、界面近傍の空孔を減らし、CuのEMに対する界面拡散の寄与を減少させ、寿命を増大させ、同時に、密着性を高め、ストレスマイグレーション耐性を向上させたことを特徴とする。
【0011】また、本発明の銅配線の製造方法の構成は、配線用の溝の上に、バリアメタルをスパッタした後、CuまたはCu合金層とバリアメタル層との界面にできる空孔を減らすためのCu中に添加された空孔低減不純物を前記バリアメタルにイオン注入し熱処理を行って、シードとなるCuをスパッタした後、その上に配線となるCuを堆積させ、前記Cuと前記バリアメタルの界面近傍に空孔低減不純物を析出させるか、非晶質Cuを存在させることを特徴とする。
【0012】またさらに、本発明の他の銅配線の製造方法の構成は、配線面に形成された配線用の溝にCuやCu合金を埋め込み、化学的機械的研磨法等を用いて配線を形成した後、Cu中の拡散が非常に遅い不純物をイオン注入し熱処理を行い、前記配線表面に洗浄処理を施し、Cuの自然酸化物層を除去した後、前記キャップ層をスパッタで堆積することにより、前記キャップ層との界面近傍のCuを非晶質化させることを特徴とする。
【0013】さらに、本発明において、CuまたはCu合金層とバリアメタル層との界面にできる空孔を減らすためのCu中に添加された空孔低減不純物をイオン注入し熱処理する代わりに、前記不純物を固相で堆積させた後で熱拡散させるようにすることができ、また、配線表面に洗浄処理を施してCuの自然酸化物層を除去する工程を、配線が形成された後に行い、その後、空孔低減不純物をイオン注入することができ、さらに、配線表面に洗浄処理を施してCuの自然酸化物層を除去する工程を、配線が形成された後に行い、その後、空孔低減不純物を固相で堆積させることができ、また、空孔低減不純物が、Nb,Ta,Si,RuまたはVからなることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面により詳細に説明する。まず、本発明の第1の実施形態の銅配線の製造方法について、説明する。図1(a)〜図1(e)は本発明の第1の実施形態の銅配線を製造工程順に示した断面図である。
【0015】本発明の第1の実施形態の銅配線の製造工程は、まず、図1(a)のように、絶縁層11上にCu配線用の溝10を形成後、これらの上にTa等の高融点金属を主構成成分としたバリアメタル(Ta)層12をスパッタにより形成する。続いて、図1(b)のように、Nbなどの不純物13を注入エネルギー2keVから5keV、ドーズ量1.0E14cm-2程度で注入した後、900℃程度で数分間アニールすると、不純物NbがTaのごく表面に固溶し、不純物(Nb)部15を形成する。
【0016】次に、図1(c)のように、シードのCuを薄くスパッタしシードCu層14を形成し、続いてCuをメッキなどの方法で厚く堆積し、Cu層16を形成する。これを、膜厚と配線幅またはいずれか一方に応じて、約400℃で10分〜数時間程度熱処理し、Cuを粒成長させるとともに溝内に均一に充填させる。続いて化学的機械的研磨法等を用いて、平坦化して図1(d)のように、配線16aを形成する。この配線表面に、ウェエット洗浄またはプラズマ照射などの洗浄処理を施し、Cuの自然酸化物層を除去した後、図1(e)のように、SiNなどをスパッタして絶縁層17を堆積する。
【0017】このようにして、配線層のシードCu層14とTaのバリアメタル層12との界面近傍に不純物Nb13の固溶した配線構造が得られる。
【0018】また、配線層のシードCu層14とTaのバリアメタル層12との界面近傍に、不純物(例えば、Si)の析出した配線構造を得る場合は、以下の工程ように実施する。
【0019】まず、配線層のシードCu層14とTaのバリアメタル層12との界面近傍に不純物Nb13の固溶した配線構造の製造工程と同様に、図1(a)のように、バリアメタル(Ta)層12をスパッタにより形成する。
【0020】続いて、図1(b)のように、不純物Nb13の代わりに、Siなどの不純物を注入エネルギー5keVから10keV、ドーズ量を2.0E14cm-2から5.0E14cm-2程度で注入した後、850℃程度で数分間アニールすると、不純物SiがTaのごく表面に析出し、不純物(Si)部15aを形成する。
【0021】この後の製造工程は、配線層のシードCu層14とTaのバリアメタル層12との界面近傍に不純物Nb13の固溶した配線構造の製造工程と同様に、図1(c)から図1(e)に示す製造工程順に、実施される。
【0022】なお、本実施形態では、絶縁層11に配線溝10を設けた場合を説明したが、配線溝10が半導体層や他の配線層上や、これらを組合せたものの上に形成されてもよいことは明らかである。
【0023】次に、本発明の第2の実施形態の銅配線の製造方法について説明する。図2(a)〜図2(e)は本発明の第2の実施形態の銅配線を製造工程順に示した断面図である。
【0024】まず、図2(a)のように、絶縁層11上にCu配線用の溝10を形成後、Ta等の高融点金属を主構成成分としたバリアメタル層12、更にシードのCuによるシードCu層14を薄くスパッタにより形成する。続いて、図2(b)のように、Taなどの不純物13aを注入エネルギー5keV、ドーズ量を1.0E15cm-2程度で注入した後、900℃程度で数分間アニールする。シードCuとバリアのTa界面近傍のCuは非晶質化し、非晶質Cu層14aが形成される。
【0025】続いて、図2(c)のように、Cuをメッキなどの方法で厚く堆積し、Cu層16を形成する。これを、膜厚と配線幅またはいずれか一方に応じて、約400℃で10分〜数時間程度熱処理し、Cuを粒成長させるとともに溝内に均一に充填させる。
【0026】続いて、化学的機械的研磨法等を用いて、図2(d)のように、配線16aを形成する。この配線表面に、ウェエット洗浄またはプラズマ照射などの洗浄処理を施し、Cuの自然酸化物層を除去した後、図2(e)のように、SiNなどをスパッタして絶縁層17を堆積する。これにより、シードCu14とTa12との界面に非晶質Cu14aの存在した配線構造が得られる。
【0027】次に、本発明の第3の実施形態の銅配線の製造方法について説明する。図3(a)〜図3(e)は本発明の第3の実施形態の銅配線を製造工程順に示した断面図である。
【0028】まず、図3(a)のように、絶縁層11上にCu配線用の溝10を形成後、Ta等の高融点金属を主構成成分としたバリアメタル層12、更にシードのCuによるシードCu層14を薄くスパッタにより形成する。
【0029】続いて、図3(b)のように、Siなどの不純物を含む固相のSi層18を数nm堆積し、900℃程度で数分間アニールし、シードCu14とTa層12との界面にCu−Si化合物層18aを形成する。
【0030】続いて、Cuをメッキなどの方法で厚く堆積し、図3(c)のように、Cu層16を形成する。これを、膜厚と配線幅またはいずれか一方に応じて、約400℃で10分〜数時間程度熱処理し、Cuを粒成長させるとともに溝10内に均一に充填させる。
【0031】続いて、化学的機械的研磨法等を用いて、図3(d)のように、配線18aを形成する。配線表面に、ウェエット洗浄またはプラズマ照射などの洗浄処理を施し、Cuの自然酸化物層を除去した後、図3(e)のように、SiNなどをスパッタで堆積し、SiN絶縁層17を形成する。これにより、シードCu層14とバリアメタル層Ta12の界面にCu−Si化合物層18aの存在した配線構造が得られる。
【0032】次に、本発明の第4の実施形態の銅配線の製造方法について説明する。図4(a)〜図4(f)は本発明の第4の実施形態の銅配線を製造工程順に示した断面図である。
【0033】まず、図4(a)のように、絶縁層11上にCu配線用の溝10形成後、Ta等の高融点金属を主構成成分としたバリアメタル層12、更にシードのCu層14を薄くスパッタする。続いてCuをメッキなどの方法で厚く堆積し、Cu層16を形成する。これを、膜厚と配線幅またはいずれか一方に応じて、約400℃で10分〜数時間程度熱処理し、Cuを粒成長させるとともに溝内に均一に充填させる。
【0034】続いて、化学的機械的研磨法等を用いて、図4(b)のように、配線16aを形成する。なお、この図には、Cu層16の上にCuOxの自然酸化膜20があるように示している。ここで、図4(c)のように、Vなどの不純物21を注入エネルギー2keVから5keV、ドーズ量1.0E14cm-2程度で注入した後、900℃程度で数分間アニールする。この不純物Vは表面のCuOx(20)と配線Cuの界面近傍に固溶する。
【0035】図4(e)に示すように、配線表面にウェエット洗浄またはプラズマ照射などの洗浄処理を施してCuの自然酸化物層20を除去した後、図4(f)のように、SiNなどをスパッタで堆積する。これにより、キャップSiN17とCu16の界面に不純物V層21aの固溶した配線構造が得られる。
【0036】次に、本発明の第5の実施形態の銅配線の製造方法について説明する。図5(a)〜図5(e)は本発明の第5の実施形態の銅配線を製造工程順に示した断面図である。
【0037】図5(a)〜図5(f)は本発明の第5の実施形態の銅配線を製造工程順に示した断面図である。まず、図5(a)のように、絶縁層11上にCu配線用の溝10形成後、Ta等の高融点金属を主構成成分としたバリアメタル12、更にシードのCu14を薄くスパッタする。続いてCuをメッキなどの方法で厚く堆積し、Cu層16を形成する。これを、膜厚と配線幅またはいずれか一方に応じて、約400℃で10分〜数時間程度熱処理し、Cuを粒成長させるとともに溝内に均一に充填させる。なお、この図には、Cu層16の上にCuOxの自然酸化膜20があるように示している。
【0038】続いて、図5(b)のように、化学的機械的研磨法等を用いて配線を形成し、配線表面にウェエット洗浄またはプラズマ照射などの洗浄処理を施して、図5(c)のように、Cuの自然酸化物層20を除去する。図5(d)のように、Siなどの不純物を注入エネルギー5keVから10keV、ドーズ量1.0E15cm-2程度で注入した後、900℃程度で数秒〜1分間アニールする。Cu表面近傍には非晶質Cu層23が形成される。続いて、SiNなどをスパッタで堆積する。これにより、キャップSiN層17とCu層16との界面に非晶質Cu層23存在した配線構造が得られる。
【0039】次に、このような配線を少なくとも一層含んだ多層配線、例えば、一層ごとに上述した配線構造を有するシングルダマシン構造、または、スルーホールとその上層配線のように、二層に亘って上述した配線構造を有するデュアルダマシン構造に適用した場合の、シングルダマシン構造とデュアルダマシン構造およびその製法について説明する。
【0040】まず、シングルダマシン構造に適用した本発明の第6の実施形態の銅配線の製造方法を説明する。図7(a)〜図7(e)は、本発明の第6の実施形態の銅配線を製造工程順に示した断面図である。
【0041】本発明の実施形態の銅配線の製造方法を、シングルダマシン構造に適用した本発明の第6の実施形態の多層配線の製造方法では、図7(a)のように、Cu配線用の溝10を形成後、Ta等の高融点金属を主構成成分としたバリアメタル12をスパッタする。
【0042】続いて、Nb13などの不純物を注入エネルギー2keVから5keV、ドーズ量1.0E14cm-2 程度で注入した後、350℃程度で数分間アニールする。すると、図7(b)のように、不純物NbはTa12のごく表面に固溶する。
【0043】続いて、シードのCu14を薄くスパッタし、さらに、Cu16をメッキなどの方法で厚く堆積する。これを、膜厚と配線幅またはいずれか一方に応じて、250℃から350℃で5分〜数時間程度熱処理し、Cuを粒成長させるとともに溝内に均一に充填させる。
【0044】続いて、図7(c)のように、化学的機械的研磨法等を用いて、配線16aを形成する。配線表面に、ウェエット洗浄またはプラズマ照射などの洗浄処理を施し、Cuの自然酸化物層を除去した後、SiC(17)などをスパッタで堆積する。これにより、シードCu14とTa12の界面近傍に不純物Nb15の固溶した配線構造が得られ、この配線を下層配線とする。
【0045】次に、層間絶縁膜として低誘電率膜11aを、続いてSiCN(17a)などを薄く成膜する。通常のエッチング法によりスルーホール71を形成した後、アッシングや洗浄等のクリーニング処理を行う。このスルーホール71に、配線用の溝と同様、Ta等のバリアメタル12aのスパッタ、Nb等の不純物15aの注入とアニール、シードCu14bのスパッタ、Cu16aのメッキ、アニールを行う。
【0046】続いて、化学的機械的研磨法を行うことにより、Ta等のバリアメタル12a、シードCu14b、Nb等の不純物15aおよびCu16aからなるスルーホール部分が形成される。この後、図7(d)のように、層間膜11aを堆積し、上層配線を下層配線と同様の方法で形成し、図7(e)のように、シングルダマシン構造の多層配線を製造する。
【0047】この例では、下層/スルーホール/上層配線のすべてに、シードCuとTaの界面に不純物が固溶した構造を示したが、下層/スルーホール/上層配線いずれかに本発明を用いた構造も製造可能である。また、配線の層数は2層に限らず、より多層の場合でも適用できる。また、スルーホールがCuである場合を例示したが、W等の他の物質であってもよい。
【0048】次に、本発明の実施形態の銅配線の製造方法を、デュアルダマシン構造で、ビアを開口してから配線用の溝を形成するビアファースト構造に適用した本発明の第7の実施形態の銅配線の製造方法を説明する。図8(a)〜図8(e)は、本発明の第7の実施形態の銅配線を製造工程順に示した断面図である。
【0049】本発明の実施形態の銅配線の製造方法を、デュアルダマシン構造で、ビアファースト構造に適用した本発明の第7の実施形態の多層配線の製造方法では、図8(a)のように、Cu配線用の溝形成後、Ta等の高融点金属を主構成成分としたバリアメタル12、更にシードのCu14を薄くスパッタする。
【0050】続いて、Taなどの不純物を注入エネルギー5keV、ドーズ量1.0E15cm-2 程度で注入した後、400℃程度で数分間アニールする。図8(b)のように、シードCu14とバリアのTa12界面近傍のCuは非晶質化する。
【0051】続いて、Cu16aをメッキなどの方法で厚く堆積する。これを、膜厚と配線幅またはいずれか一方に応じて、約380℃で10分〜数時間程度熱処理し、Cu16aを粒成長させるとともに溝内に均一に充填させる。続いて、化学的機械的研磨法等を用いて、配線を形成する。
【0052】さらに、図8(c)のように、配線表面に、ウェエット洗浄またはプラズマ照射などの洗浄処理を施し、Cuの自然酸化物層を除去した後、SiN17などをスパッタで堆積する。これにより、シードCuとTaの界面に非晶質Cu(14a)の存在した配線構造が得られ、この配線を下層配線とする。
【0053】さらに、スルーホール部分81の層間絶縁膜として低誘電率膜11a、続いてSiCN(17a)など、続いて上層配線の層間絶縁膜として低誘電率膜、SiO2膜(11b)を堆積する。さらに、反射防止膜、フォトレジスト、エッチングマスクを堆積し、フルオロカーボン系等のガスを用いて、スルーホール81をエッチングにより開口する。
【0054】次に、図8(d)のように、開口部の剥離処理等を行った後、反射防止膜、更にフォトレジスト、エッチングマスクを堆積し、上層配線用の溝82を形成する。図8(e)のように、通常の剥離や洗浄処理を行った後、下層配線で行ったのと同様、Ta等の高融点金属を主構成成分としたバリアメタル12c、シードCu14dのスパッタ、Ta(13c)などの不純物の注入を注入エネルギー5keV、ドーズ量1.0E15cm-2で行い、さらに、アニールを行い、シードCuとバリアのTa界面近傍のCuを非晶質化させる。
【0055】続いて、Cu(16d)をメッキなどの方法で厚く堆積する。これを、膜厚と配線幅またはいずれか一方に応じて、約380℃で10分〜数時間程度熱処理し、Cuを粒成長させるとともに溝内に均一に充填させる。
【0056】続いて、化学的機械的研磨法等を用いて、配線を形成する。配線表面に、ウェエット洗浄またはプラズマ照射などの洗浄処理を施し、Cuの自然酸化物層を除去した後、SiN(17c)などをスパッタで堆積する。これにより、シードCuとTaの界面に非晶質Cu(14f)の存在した積層構造を形成することができる。
【0057】この例では、下層/スルーホールと上層配線の両方に、シードCuとTaの界面に非晶質Cu(14f)の存在した構造を示したが、下層/スルーホールと上層配線のいずれかに本発明を用いた構造も製造可能である。また、配線の層数は2層に限らず、より多層の場合でも適用できる。
【0058】次に、デュアルダマシンの形成法として、本発明の第7の実施形態の銅配線の製造方法に示した、スルーホールを開口し、続いて、上層配線用の配線溝を形成する方法(ビアファースト)のほかに、まず配線溝を形成し、次いで、スルーホールを形成する方法(トレンチファースト)の例を、本発明の第8の実施形態の銅配線の製造方法として示す。
【0059】すなわち、デュアルダマシン構造で、トレンチファースト構造に適用した場合を説明する。図9(a)〜図9(e)は、本発明の第8の実施形態の銅配線を製造工程順に示した断面図である。
【0060】本発明の実施形態の銅配線の製造方法を、デュアルダマシン構造で、ビアファースト構造に適用した本発明の第8の実施形態の多層配線の製造方法では、図9(a)のように、Cu配線用の溝形成後、Ta等の高融点金属を主構成成分としたバリアメタル12、更にシードのCu14を薄くスパッタする。
【0061】続いて、Si(18)などの不純物を含む固相を数 nm 堆積し、400℃程度で数分間アニールし、図9(b)のように、シードCu14とTa(12)との界面にCu−Si化合物(18a)を形成する。そして、Cu(16a)をメッキなどの方法で厚く堆積する。これを、膜厚と配線幅またはいずれか一方に応じて、350℃から400℃で10分〜数時間程度熱処理し、Cuを粒成長させるとともに溝内に均一に充填させる。
【0062】続いて、図9(c)のように、化学的機械的研磨法等を用いて、配線を形成する。配線表面に、ウェエット洗浄またはプラズマ照射などの洗浄処理を施し、Cuの自然酸化物層を除去した後、SiN(17)などをスパッタで堆積する。これにより、シードCuとTaの界面にCu−Si化合物(18a)の存在した配線構造が得られ、この配線を下層配線とする。
【0063】スルーホール部分の層間絶縁膜として低誘電率膜11c、続いてSiCN(17d)など、続いて上層配線の層間絶縁膜として低誘電率膜、SiO2膜11dを堆積する。さらに、反射防止膜、フォトレジスト、エッチングマスクを堆積し、フルオロカーボン系等のガスを用いて、上層配線用の溝91をエッチングにより開口する。
【0064】図9(d)のように、エッチングマスク除去後、スルーホール開口用の反射防止膜、更にフォトレジスト、エッチングマスクを堆積しエッチングを行い、スルーホール92を形成する。
【0065】通常の剥離や洗浄処理を行った後、下層配線で行なったのと同様、Ta等の高融点金属を主構成成分としたバリアメタル12d、シードCu(14g)のスパッタ、Ta(12d)などの不純物の注入(注入エネルギー5keV、ドーズ量1.01E15cm-2)、アニールを行い、シードCuとバリアのTa界面近傍のCu(18b、18c)を非晶質化させる。
【0066】続いて、図9(e)のように、Cu(16e)をメッキなどの方法で厚く堆積する。これを、膜厚と配線幅またはいずれか一方に応じて、約380℃で10分〜数時間程度熱処理し、Cuを粒成長させるとともに溝内に均一に充填させる。
【0067】続いて、化学的機械的研磨法等を用いて、配線を形成する。配線表面に、ウェエット洗浄またはプラズマ照射などの洗浄処理を施し、Cuの自然酸化物層を除去した後、SiN(17f)などをスパッタで堆積する。これにより、シードCu(14g)とTa(12d)の界面に非晶質Cu(18b、18c)の存在した積層構造を形成することができる。
【0068】この例では、下層配線でシードCuとTaの界面に非晶質Cuが、スルーホールと上層配線でシードCuとTaの界面にCu−Si化合物の存在した配線構造を示したが、下層/スルーホールと上層配線の両方で同じ構造である場合または、どちらか片方に、本発明の第1の実施形態の銅配線の製造方法から本発明の第5の実施形態の銅配線の製造方法のいずれかを取り入れた構造である場合等、いくつもの組み合わせに適用可能である。また、配線の層数は2層に限らず、より多層の場合でも適用できる。
【0069】なお、EMの拡散機構には、その主拡散経路によって、格子拡散、粒界拡散、界面拡散などがある。この拡散は多くの場合、空孔を介して行われることが知られている。その場合、第一段階として空孔の生成、第二段階として空孔の交換(による物質移動)がおこり、両者でほぼ同程度の活性化エネルギを要するといわれている。このため、もともと空孔の多く存在している粒界や界面を介して行われる粒界拡散や界面拡散は、空孔の生成が不要な分だけ格子拡散より活性化エネルギーが低く、拡散が速くなる。
【0070】また、Al配線におけるEM抑制の例として、特許文献1のように、Alに例えばCuのような不純物を少量添加する例がある。これは、非特許文献1のように、不純物がAlの粒界に析出して、空孔濃度を下げることにより、粒界拡散の寄与を減少させるためであると考えられる。Cu配線では、EM主拡散経路はCuと他の物資との界面であると考えられている。このため、界面の空孔を選択的になくせばいいと考えられる。
【0071】Cuに添加する不純物としては、多くのものが可能である。界面に析出するもののほかに、一例として、NbやTaなど、Cuと全率固溶するものも適している。例えばCu/Nb積層では、CuとNbとの界面でCu−Nb化合物が連続的に存在し、空孔が激減する。不純物が析出する場合と比較して、不純物による抵抗上昇がないという点でも有利である。Nbと同族のVなどもよいと考えられる。
【0072】また、最近では、Cu−Si化合物がEM向上に寄与すると考えられていることから、Siを制御性良くイオン注入する方法なども好ましい。ほかに、酸化物が導電性を示すRuなども、界面におけるCuOxを除去しRuOxとして導電性を保つという観点からも好ましい。
【0073】更に、界面構造を連続的にするという観点で考えると、Cuをアモルファス化して、空孔をなくすということも有効であると考えられる。したがって、不純物のイオン注入条件は、Cuのごく表面近傍をアモルファス化する条件でも良い。Cuの界面近傍をアモルファス化することに付随する長所は、室温でも起こるCuの結晶粒成長時に、面方位による成長速度の違いによって起こる、キャップ層などのパッシベーション膜への応力の不均衡や局所集中などが無くなり、密着性や機械的強度などの物性が向上することである。また、前述のCuSix化処理の前処理としてこのCuアモルファス化処理を行うことにより、CuSixを均一に生成することができることなど、多くの効果がある。
【0074】
【発明の効果】以上説明した本発明の構成によれば、配線幅がCuの平均粒径より狭く粒界がバンブー構造になったとき、寿命が長くなるバンブー効果が現れ、Al配線に比べ2桁程度寿命が延びるという効果がある。
【0075】この理由は、Cuとバリアメタル(やキャップなど)の界面近傍で空隙に析出した不純物が存在している場合や、Cuとバリアメタル(やキャップなど)の界面で非晶質Cuが存在している場合、通常の異物質間の界面に多く存在する空孔が少なくなるので、空孔を介して起こる界面拡散を抑えることができる。このため、EMによる原子の拡散経路として、界面の寄与が減少し、これにより、Cuの主拡散機構は格子拡散となる。
【0076】また、この不純物は、界面に析出するだけではなく、界面で化合物を形成していてもよい。例えば、TaやNb等は、Cuと全率固溶することが知られており、これらの化合物が存在することにより、界面の空孔が減少し、EM寿命が向上していることが考えられる。Cu表面をシリサイド処理することでEMが延びるという報告もあるが、本発明と組み合わせることにより、更に寿命が延びることが期待できる。
【0077】また、多層の配線に用いることにより、一つの層を形成するたびに行なわれる熱処理起因のストレスマイグレーションに対し、大きな耐性を有するようになる。シングルダマシン構造では、スルーホールの物質にCuより高融点の物質を選択することにより、配線信頼性の更に高い配線構造を製造することが可能である。デュアルダマシン構造では、ビアの密着性を向上できるため、初期不良率の低減に寄与するほか、故障モードの一つであるビアでのCu凝集を抑制できる利点を持つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)は本発明の第1の実施形態の銅配線形成工程を説明するその断面図である。
【図2】(a)〜(e)は本発明の第2の実施形態の銅配線形成工程を説明するその断面図である。
【図3】(a)〜(e)は本発明の第3の実施形態の銅配線形成工程を説明するその断面図である。
【図4】(a)〜(f)は本発明の第4の実施形態の銅配線形成工程を説明するその断面図である。
【図5】(a)〜(f)は本発明の第5の実施形態の銅配線形成工程を説明するその断面図である。
【図6】(a)〜(d)は従来例の銅配線形成工程を説明する銅配線の断面図である。
【図7】(a)〜(e)は本発明の第6の実施形態の銅配線形成工程を説明するその断面図である。
【図8】(a)〜(e)は本発明の第7の実施形態の銅配線形成工程を説明するその断面図である。
【図9】(a)〜(e)は本発明の第8の実施形態の銅配線形成工程を説明するその断面図である。
【符号の説明】
10 溝
11 絶縁層
12 バリアメタル(Ta)層
13 不純物Nb
13a 不純物Ta
14,14b シードCu層
14a,23 非晶質Cu層
15 不純物(Nb)部
16 Cu層
16a Cu配線
17 SiN層
17a Si絶縁層
18 Si層
18a Cu―Si化合物層
20 自然酸化物(CuO)層
21 不純物V
21a 不純物V層
22 不純物Si
81,82,91,92 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】 配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、前記バリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層と、前記CuまたはCu合金層と前記バリアメタル層との第1の界面にできる空孔を減らすために、前記第1の界面に析出している前記Cu中に添加された空孔低減不純物とを備えることを特徴とする銅配線構造。
【請求項2】 配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、前記バリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層と、前記CuまたはCu合金層と前記バリアメタル層との第1の界面にできる空孔を減らすために、前記第1の界面にて、前記Cuと固溶する前記Cu中に添加された空孔低減不純物とを備えることを特徴とする銅配線構造。
【請求項3】 配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、前記バリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層と、前記CuまたはCu合金層と前記バリアメタル層との第1の界面にできる空孔を減らすために、前記第1の界面に存在している、前記Cuを非晶質化した空孔低減非晶質層とを備えることを特徴とする銅配線構造。
【請求項4】 配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、前記バリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層と、前記CuまたはCu合金層と前記バリアメタル層との第1の界面にできる空孔を減らすために、前記第1の界面に存在し、前記Cuとの化合物を形成した空孔低減化合物層とを備えることを特徴とする銅配線構造。
【請求項5】 配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、前記バリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層と、前記CuまたはCu合金層の上に形成された前記CuまたはCu合金層を保護絶縁する絶縁キャップ層と、前記CuまたはCu合金層と前記絶縁キャップ層との第2の界面にできる空孔を減らすために、前記第2の界面に析出している前記Cu中に添加された空孔低減不純物とを備えることを特徴とする銅配線構造。
【請求項6】 配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、前記バリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層と、前記CuまたはCu合金層の上に形成された前記CuまたはCu合金層を保護絶縁する絶縁キャップ層と、前記CuまたはCu合金層と前記絶縁キャップ層との第2の界面にできる空孔を減らすために、前記第2の界面にて、前記Cuと固溶する前記Cu中に添加された空孔低減不純物とを備えることを特徴とする銅配線構造。
【請求項7】 配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、前記バリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層と、前記CuまたはCu合金層の上に形成された前記CuまたはCu合金層を保護絶縁する絶縁キャップ層と、前記CuまたはCu合金層と前記絶縁キャップ層との第2の界面にできる空孔を減らすために、前記第2の界面に存在している、前記Cuを非晶質化した空孔低減非晶質層とを備えることを特徴とする銅配線構造。
【請求項8】 配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、前記バリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層と、前記CuまたはCu合金層の上に形成された前記CuまたはCu合金層を保護絶縁する絶縁キャップ層と、前記CuまたはCu合金層と前記絶縁キャップ層との第2の界面にできる空孔を減らすために、前記第2の界面に存在し、前記Cuとの化合物を形成した空孔低減化合物層とを備えることを特徴とする銅配線構造。
【請求項9】 前記Cu中に添加された空孔低減不純物が、Nb,Ta,Si,RuおよびVのいずれか1つからなる請求項1、2、5または6項に記載の銅配線構造。
【請求項10】 配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、このバリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層とを有する銅配線の製造方法であって、前記配線用の前記溝の上に、バリアメタルをスパッタした後、前記Cuまたは前記Cu合金層と前記バリアメタル層との第1の界面にできる空孔を減らすための空孔低減不純物を前記バリアメタルにイオン注入し、熱処理を行って、シードとなるシードCuをスパッタした後、前記シードCu上に配線となるCuを堆積させ、前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させることを特徴とした銅配線の製造方法。
【請求項11】 前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を前記Cuと固溶させることを特徴とした請求項10記載の銅配線の製造方法。
【請求項12】 前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第1の界面近傍の前記Cuを非晶質化させることを特徴とした請求項10記載の銅配線の製造方法。
【請求項13】 前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第1の界面近傍に、前記第1の界面近傍の前記Cuとの化合物を形成させることを特徴とした請求項10記載の銅配線の製造方法。
【請求項14】 配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、このバリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層とを有する銅配線の製造方法であって、前記配線用の前記溝の上に、バリアメタルをスパッタした後、前記Cuまたは前記Cu合金層と前記バリアメタル層との第1の界面にできる空孔を減らすための空孔低減不純物を、固相で堆積させた後で熱拡散させ、シードとなるシードCuをスパッタした後、前記シードCu上に配線となるCuを堆積させ、前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させることを特徴とした銅配線の製造方法。
【請求項15】 前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を前記Cuと固溶させることを特徴とした請求項14記載の銅配線の製造方法。
【請求項16】 前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第1の界面近傍に、前記第1の界面近傍の前記Cuとの化合物を形成させることを特徴とした請求項14記載の銅配線の製造方法。
【請求項17】 配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、このバリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層とを有する銅配線の製造方法であって、前記配線用の前記溝の上に、バリアメタルをスパッタした後、シードとなるシードCuをスパッタし、前記Cuまたは前記Cu合金層と前記バリアメタル層との第1の界面にできる空孔を減らすための空孔低減不純物を前記シードにイオン注入し、熱処理を行い、前記シードCu上に配線となるCuを堆積させ、前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させることを特徴とした銅配線の製造方法。
【請求項18】 前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を前記Cuと固溶させることを特徴とした請求項17記載の銅配線の製造方法。
【請求項19】 前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第1の界面近傍の前記Cuを非晶質化させることを特徴とした請求項17記載の銅配線の製造方法。
【請求項20】 前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第1の界面近傍に、前記第1の界面近傍の前記Cuとの化合物を形成させることを特徴とした請求項17記載の銅配線の製造方法。
【請求項21】 配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、このバリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層と、前記CuまたはCu合金層の上に形成された前記CuまたはCu合金層を保護絶縁する絶縁キャップ層とを有する銅配線の製造方法であって、配線面に形成された配線用の溝にCuまたはCu合金を埋め込み、化学的機械的研磨法等を用いて配線を形成した後、前記Cuまたは前記Cu合金層と前記絶縁キャップ層との第2の界面にできる空孔を減らすための空孔低減不純物をイオン注入し熱処理を行い、前記配線表面に洗浄処理を施し、前記Cuの自然酸化物層を除去した後、キャップ層をスパッタで堆積することにより、前記第2の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させることを特徴とする銅配線の製造方法。
【請求項22】 前記第2の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第2の界面近傍に、前記空孔低減不純物を前記Cuと固溶させることを特徴とした請求項21記載の銅配線の製造方法。
【請求項23】 前記第2の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第2の界面近傍の前記Cuを非晶質化させることを特徴とした請求項21記載の銅配線の製造方法。
【請求項24】 前記第2の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第2の界面近傍に、前記第2の界面近傍の前記Cuとの化合物を形成させることを特徴とした請求項21記載の銅配線の製造方法。
【請求項25】 前記空孔低減不純物をイオン注入し熱処理する代わりに、前記空孔低減不純物を固相で堆積させた後で熱拡散させるようにする請求項21、22または24記載の銅配線の製造方法。
【請求項26】 配線表面に洗浄処理を施してCuの自然酸化物層を除去する工程を、配線が形成された後に行い、その後、前記空孔低減不純物をイオン注入する請求項21、22、23または24記載の銅配線の製造方法。
【請求項27】 配線表面に洗浄処理を施してCuの自然酸化物層を除去する工程を、配線が形成された後に行い、その後、前記空孔低減不純物を固相で堆積させる請求項25記載の銅配線の製造方法。
【請求項28】 前記空孔低減不純物が、Nb,Ta,Si,RuおよびVのいずれか1つからなる請求項10乃至27項に記載の銅配線の製造方法。
【請求項29】 一の層の下層配線層と、前記下層配線層の上方に位置し、前記一の層とは別の上層配線層と、前記下層配線層と前記上層配線層とを接続するビアホールとを具備する多層配線構造であって、前記配線群が、配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、前記バリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層と、前記CuまたはCu合金層と前記バリアメタル層との第1の界面にできる空孔を減らすために、前記第1の界面に析出している前記Cu中に添加された空孔低減不純物とを備える銅配線を少なくとも一層以上含んだことを特徴とする多層配線構造。
【請求項30】 一の層の下層配線層と、前記下層配線層の上方に位置し、前記一の層とは別の上層配線層と、前記下層配線層と前記上層配線層とを接続するビアホールとを具備する配線群を有する多層配線構造であって、前記配線群が、配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、前記バリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層と、前記CuまたはCu合金層と前記バリアメタル層との第1の界面にできる空孔を減らすために、前記第1の界面にて、前記Cuと固溶する前記Cu中に添加された空孔低減不純物とを備える銅配線を少なくとも一層以上含んだことを特徴とする多層配線構造。
【請求項31】 一の層の下層配線層と、前記下層配線層の上方に位置し、前記一の層とは別の上層配線層と、前記下層配線層と前記上層配線層とを接続するビアホールとを具備する配線群を有する多層配線構造であって、前記配線群が、配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、前記バリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層と、前記CuまたはCu合金層と前記バリアメタル層との第1の界面にできる空孔を減らすために、前記第1の界面に存在している、Cuの空孔低減非晶質層とを備える銅配線を少なくとも一層以上含んだことを特徴とする多層配線構造。
【請求項32】 一の層の下層配線層と、前記下層配線層の上方に位置し、前記一の層とは別の上層配線層と、前記下層配線層と前記上層配線層とを接続するビアホールとを具備する配線群を有する多層配線構造であって、前記配線群が、配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、前記バリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層と、前記CuまたはCu合金層と前記バリアメタル層との第1の界面にできる空孔を減らすために、前記第1の界面に存在している、前記Cuとの化合物を形成した空孔低減化合物層とを備える銅配線を少なくとも一層以上含んだことを特徴とする多層配線構造。
【請求項33】 一の層の下層配線層と、前記下層配線層の上方に位置し、前記一の層とは別の上層配線層と、前記下層配線層と前記上層配線層とを接続するビアホールとを具備する配線群を有する多層配線構造であって、前記配線群が、配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、前記バリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層と、前記CuまたはCu合金層の上に形成された前記CuまたはCu合金層を保護絶縁する絶縁キャップ層と、前記CuまたはCu合金層と前記絶縁キャップ層との第2の界面にできる空孔を減らすために、前記第2の界面に析出している前記Cu中に添加された空孔低減不純物とを備える銅配線を少なくとも一層以上含んだことを特徴とする多層配線構造。
【請求項34】 一の層の下層配線層と、前記下層配線層の上方に位置し、前記一の層とは別の上層配線層と、前記下層配線層と前記上層配線層とを接続するビアホールとを具備する配線群を有する多層配線構造であって、前記配線群が、配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、前記バリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層と、前記CuまたはCu合金層の上に形成された前記CuまたはCu合金層を保護絶縁する絶縁キャップ層と、前記CuまたはCu合金層と前記絶縁キャップ層との第2の界面にできる空孔を減らすために、前記第2の界面にて、前記Cuと固溶する前記Cu中に添加された空孔低減不純物とを備える銅配線を少なくとも一層以上含んだことを特徴とする多層配線構造。
【請求項35】 一の層の下層配線層と、前記下層配線層の上方に位置し、前記一の層とは別の上層配線層と、前記下層配線層と前記上層配線層とを接続するビアホールとを具備する配線群を有する多層配線構造であって、前記配線群が、配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、前記バリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層と、前記CuまたはCu合金層の上に形成された前記CuまたはCu合金層を保護絶縁する絶縁キャップ層と、前記CuまたはCu合金層と前記絶縁キャップ層との第2の界面にできる空孔を減らすために、前記第2の界面に存在している、前記Cuを非晶質化した空孔低減非晶質層とを備える銅配線を少なくとも一層以上含んだことを特徴とする多層配線構造。
【請求項36】 一の層の下層配線層と、前記下層配線層の上方に位置し、前記一の層とは別の上層配線層と、前記下層配線層と前記上層配線層とを接続するビアホールとを具備する配線群を有する多層配線構造であって、前記配線群が、配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、前記バリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層と、前記CuまたはCu合金層の上に形成された前記CuまたはCu合金層を保護絶縁する絶縁キャップ層と、前記CuまたはCu合金層と前記絶縁キャップ層との第2の界面にできる空孔を減らすために、前記第2の界面に存在し、前記Cuとの化合物を形成した空孔低減化合物層とを備える銅配線を少なくとも一層以上含んだことを特徴とする多層配線構造。
【請求項37】 Cu中に添加された不純物が、Nb,Ta,Si,RuおよびVのいずれか1つからなる請求項29、30、33または34項に記載の多層配線構造。
【請求項38】 前記多層配線構造は、シングルダマシンである請求項29至37のずれか1項に記載の多層配線構造。
【請求項39】 前記多層配線構造は、デュアルダマシンである請求項29至37のいずれか1項に記載の多層配線構造。
【請求項40】 前記デュアルダマシンは、ビアを開口してから配線用の溝を形成するプロセスであるビアファーストプロセスで製造される請求項39項に記載の多層配線構造。
【請求項41】 前記デュアルダマシンは、配線用の溝を形成してからビアを開口するプロセスであるトレンチファーストプロセスで製造される請求項39項に記載の多層配線構造。
【請求項42】 配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、このバリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層とを有する銅配線の製造方法を、配線の少なくとも一層を製造する際に適用した多層配線構造の製造方法であって、前記配線用の前記溝の上に、バリアメタルをスパッタした後、前記Cuや前記Cu合金層と前記バリアメタル層との第1の界面にできる空孔を減らすための空孔低減不純物を前記バリアメタルにイオン注入し、熱処理を行って、シードとなるCuをスパッタした後、その上に配線となるCuを堆積させ、前記1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる銅配線の製造方法を、前記配線の少なくとも一層を製造する際に適用したことを特徴とした多層配線構造の製造方法。
【請求項43】 前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を前記Cuと固溶させることを特徴とした請求項42記載の多層配線構造の製造方法。
【請求項44】 前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第1の界面近傍の前記Cuを非晶質化させることを特徴とした請求項42記載の多層配線構造の製造方法。
【請求項45】 前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第1の界面近傍に、前記第1の界面近傍の前記Cuとの化合物を形成させることを特徴とした請求項42記載の多層配線構造の製造方法。
【請求項46】 配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、このバリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層とを有する銅配線の製造方法を、配線の少なくとも一層を製造する際に適用した多層配線構造の製造方法であって、前記配線用の前記溝の上に、バリアメタルをスパッタした後、前記Cuや前記Cu合金層と前記バリアメタル層との第1の界面にできる空孔を減らすための空孔低減不純物を、固相で堆積させた後で熱拡散させ、シードとなるシードCuをスパッタした後、前記シードCu上に配線となるCuを堆積させ、前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる銅配線の製造方法を、前記配線の少なくとも一層を製造する際に適用したことを特徴とした多層配線構造の製造方法。
【請求項47】 前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を前記Cuと固溶させることを特徴とした請求項46記載の多層配線構造の製造方法。
【請求項48】 前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第1の界面近傍に、前記第1の界面近傍の前記Cuとの化合物を形成させることを特徴とした請求項46記載の多層配線構造の製造方法。
【請求項49】 配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、このバリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層とを有する銅配線の製造方法を、配線の少なくとも一層を製造する際に適用した多層配線構造の製造方法であって、前記配線用の前記溝の上に、バリアメタルをスパッタした後、シードとなるシードCuをスパッタし、前記Cuまたは前記Cu合金層と前記バリアメタル層との第1の界面にできる空孔を減らすための空孔低減不純物を前記シードにイオン注入し、熱処理を行い、前記シードCu上に配線となるCuを堆積させ、前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる銅配線の製造方法を、前記配線の少なくとも一層を製造する際に適用したことを特徴とした多層配線構造の製造方法。
【請求項50】 前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を前記Cuと固溶させることを特徴とした請求項49記載の多層配線構造の製造方法。
【請求項51】 前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第1の界面近傍の前記Cuを非晶質化させることを特徴とした請求項49記載の多層配線構造の多層配線構造の製造方法。
【請求項52】 前記第1の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第1の界面近傍に、前記第1の界面近傍の前記Cuとの化合物を形成させることを特徴とした請求項49記載の多層配線構造の製造方法。
【請求項53】 配線用の溝の上に形成されたバリアメタル層と、このバリアメタル層上に形成された配線用のCuまたはCu合金層と、前記CuまたはCu合金層の上に形成された前記CuまたはCu合金層を保護絶縁する絶縁キャップ層とを有する銅配線の製造方法を、配線の少なくとも一層を製造する際に適用した多層配線構造の製造方法であって、配線面に形成された配線用の溝にCuまたはCu合金を埋め込み、化学的機械的研磨法等を用いて配線を形成した後、前記Cuまたは前記Cu合金層と前記絶縁キャップ層との第2の界面にできる空孔を減らすための空孔低減不純物をイオン注入し熱処理を行い、前記配線表面に洗浄処理を施し、前記Cuの自然酸化物層を除去した後、キャップ層をスパッタで堆積することにより、前記第2の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる銅配線の製造方法を、前記配線の少なくとも一層を製造する際に適用したことを特徴とした多層配線構造の製造方法。
【請求項54】 前記第2の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第2の界面近傍に、前記空孔低減不純物を前記Cuと固溶させることを特徴とした請求項53記載の多層配線構造の製造方法。
【請求項55】 前記第2の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第2の界面近傍の前記Cuを非晶質化させることを特徴とした請求項53記載の多層配線構造の製造方法。
【請求項56】 前記第2の界面近傍に、前記空孔低減不純物を析出させる代わりに、前記第2の界面近傍に、前記第2の界面近傍の前記Cuとの化合物を形成させることを特徴とした請求項53記載の多層配線構造の製造方法。
【請求項57】 前記空孔低減不純物をイオン注入し熱処理する代わりに、前記空孔低減不純物を固相で堆積させた後で熱拡散させるようにする請求項53、54または56記載の多層配線構造の製造方法。
【請求項58】 配線表面に洗浄処理を施してCuの自然酸化物層を除去する工程を、配線が形成された後に行い、その後、前記空孔低減不純物をイオン注入する請求項53、54、55または56記載の多層配線構造の製造方法。
【請求項59】 配線表面に洗浄処理を施してCuの自然酸化物層を除去する工程を、配線が形成された後に行い、その後、前記空孔低減不純物を固相で堆積させる請求項57記載の多層配線構造の製造方法。
【請求項60】 前記空孔低減不純物が、Nb,Ta,Si,RuおよびVのいずれか1つからなる請求項42乃至59のうちの1項に記載の多層配線構造の製造方法。
【請求項61】 前記多層配線構造は、シングルダマシン方法で形成された請求項42乃至60のいずれか1項に記載の多層配線構造の製造方法。
【請求項62】 前記多層配線構造は、デュアルダマシン方法で形成された請求項42乃至50のいずれか1項に記載の多層配線構造の製造方法。
【請求項63】 前記デュアルダマシンは、ビアを開口してから配線用の溝を形成するプロセスであるビアファーストプロセスで形成された請求項62に記載の多層配線構造の製造方法。
【請求項64】 前記デュアルダマシンは、配線用の溝を形成してからビアを開口するプロセスであるトレンチファーストプロセスで形成された請求項62項に記載の多層配線構造の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2003−257979(P2003−257979A)
【公開日】平成15年9月12日(2003.9.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−375606(P2002−375606)
【出願日】平成14年12月25日(2002.12.25)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】