説明

電子デバイスおよびその製造プロセス

【課題】金属酸化物半導体電界効果トランジスタのような金属絶縁体デバイスおよび/または金属絶縁体金属キャパシタを提供する。
【解決手段】装置は、
炭化タンタル、炭窒化タンタル、炭化ハフニウム、および炭窒化ハフニウムからなる組から選択される金属化合物を含む電極と、
窒素とシリコンを含む酸化ハフニウムからなるhigh−k誘電体層であって、少なくとも4.0のk値を有するhigh−k誘電体層と、
電極とhigh−k誘電体層との間に配置された窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層とを含み、
窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層は、1またはそれ以上の金属酸化物を含み、金属酸化物の金属はランタニド、アルミニウム、およびハフニウムからなる組から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスの分野に関し、特に金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(以下、MOSFETという)がその一例であるトランジスタのような金属絶縁体デバイスおよび/または金属絶縁体金属キャパシタ、およびそれらの製造方法の分野に関する。特に、本発明は、そのような電子デバイスの電極および/または誘電体層の電気特性の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFETのような半導体デバイスでは、駆動電流が増加する傾向にある。ゲート積層モジュールでは、SiOゲート誘電体の膜厚を薄くし、その容量を増加することにより達成している。このような膜厚の低減は、トンネリングによる電流リークの問題を引き起こす。この問題の可能か解決は、high−k(高誘電率)誘電体、即ち、SiOのk値である3.9より大きなk値を有する誘電体を使用することである。high−k誘電体の使用により、高い容量を維持しながら、より膜厚の厚い絶縁性の誘電体層を用いることができる。
【0003】
例えばHfSiOやHfSiONのような窒素および/またはシリコンを含むhigh−k誘電体は、魅力的な興味を有する。なぜならば、それらの材料は比較的アモルファス状態であり、一方それらの純粋な酸化物(例えばHfO)は通常、より結晶性があり、これは誘電体材料の電気特性にとって有害である。一方で、金属炭化物、金属炭窒化物、金属窒化物、金属シリコンナイトライド、および金属酸窒化物は、ゲート電極として使用できる材料である。なぜなら、金属と、炭素や窒素の含有量のような他の組成との相対比率の調整により、シリコンのバンドギャップを挟む広い範囲で効果的な仕事関数の制御ができ、これにより将来的な相補型金属酸化物半導体(CMOS)技術に要求されるバンド端の仕事関数に合うようにできる。
【0004】
米国特許6,891,231には、チャネル領域(例えばシリコン基板)、絶縁層、バリア層、およびゲート電極(ナノ結晶シリコン(多結晶Si)または金属)からなるMOSFETが記載されている。絶縁層は、Al、HfO、ZrO、TiO、LaO、Y、Gd、Ta、およびそれらのシリケイトやアルミネイトから選択され、バリア層は、窒素含有化合物、即ち酸窒化アルミニウム、窒化アルミニウム、または窒化シリコンからなり、絶縁層上に堆積される。絶縁層とゲート電極の間の界面において、バリア層が混合させる理由は、1つは、ゲート電極から絶縁バリアにドーパントや金属が拡散するのに抵抗を与えるためであり、他は、絶縁層を通って酸素や水分が拡散するのを防止して、シリコン基板の酸化を防止することにある。
【0005】
金属炭化物または金属炭窒化物を含むゲート電極を使用する場合に残る問題は、それらの仕事関数がアニールにより増加する、特に窒素および/またはシリコン含有high−k誘電体材料を使用する場合に増加するという事実である。それゆえに、特に、窒素および/またはシリコン含有誘電体材料と直接接触した状態でアニールした場合に、炭化金属または炭窒化金属、特にタンタルまたはハフニウムの炭化物または炭窒化物の仕事関数の増加を防止することが、先端技術において必要とされる。米国特許6,891,231は、炭化金属、炭窒化金属電極の使用については記載しておらず、窒素および/またはシリコン含有誘電体材料と直接接触してアニールした場合に、炭化金属または炭窒化金属の仕事関数が増加するという問題については言及していない。
【0006】
タンタルまたはハフニウムの炭化物または炭窒化物の仕事関数を安定化することは重要である。
【0007】
窒化金属または炭窒化金属を含有する電極が使用された場合に残る他の問題は、窒素が誘電体中に拡散してその電気的特性を変調することである。それゆえに、先端技術において、窒素含有電極からhigh−k層への窒素の拡散を防止することが必要である。
【特許文献1】米国特許6,891,231
【発明の開示】
【0008】
本発明の目的は、電子デバイスの提供にあり、特に金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)のような金属絶縁体デバイスおよび/または金属絶縁体金属キャパシタおよびそれらの製造方法の提供にある。本発明の具体例の特徴は、例えば電子デバイスの電極および/または誘電体層の電気特性を改良することである。
【0009】
本発明の具体例の他の特徴は、タンタルまたはハフニウムの、炭化物または炭窒化物のような材料を含む電極(例えばゲート電極)との組み合わせでアモルファスhigh−k層を使用することであり、更に、この電極の仕事関数は、n型シリコンベースの半導体装置においては、例えば4.5eVより小さな、好適には4.2eVに近いバンド端に向かって変調され、p型の半導体装置においては、例えば4.5eVより大きな、好適には5.2eVに近いバンド端に向かって変調されることである。
【0010】
大略として、本発明は、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素の拡散は、電子デバイスの電極および/またはhigh−k誘電体層の電気特性に有害であるが、新規な適切なデバイスの構造によってこの問題は解決できるという予期しない発見に基づく。本発明は更に、high−k誘電体層と、タンタルまたはハフニウムの炭化物または炭窒化物のゲート電極との間に、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層を使用することにより、ゲート電極の仕事関数が安定化するという予期しない発見に基づく。
【0011】
特に、本願は、第1の態様では、
炭化タンタル、炭窒化タンタル、炭化ハフニウム、および炭窒化ハフニウムからなる組から選択される金属化合物を含む電極と、
窒素とシリコンを含む金属酸化物(好適には酸化ハフニウム)からなるhigh−k誘電体層であって、少なくとも4.0のk値を有するhigh−k誘電体層と、
電極とhigh−k誘電体層との間に配置された窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層と、を含む装置であって、
窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層は、1またはそれ以上の金属酸化物を含み、金属酸化物の金属はランタニド、アルミニウム、またはハフニウムからなる組から選択される。
【0012】
一の具体例では、装置は半導体装置であって、電極、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層、およびhigh−k誘電体層の積層が、例えばトランジスタのゲート積層の一部である。このゲート積層は、例えば半導体基板または基板上の半導体層の上に形成される。
【0013】
他の具体例では、装置はキャパシタであって、電極、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層、およびhigh−k誘電体層の積層が、キャパシタの一部である。このキャパシタは、例えば他の電極のような導電層の上に形成される。選択的に、誘電体層が、high−k誘電体層と導電層との間に存在しても良い。
【0014】
本発明は、また、(第1の態様で記載したような)基板を含む装置を製造するプロセスについての第2の態様に関する。このプロセスは、
(i)基板の上に、シリコンおよび/または窒素を選択的に含む金属酸化物(好適には酸化ハフニウム)からなるhigh−k誘電体層を堆積する工程であって、high−k誘電体層が少なくとも4.0のk値を有する工程と、
(ii)high−k誘電体層の上に、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層を堆積する工程であって、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層は、1またはそれ以上の金属酸化物を含み、金属酸化物の金属は、ランタニド、アルミニウム、およびハフニウムからなる組から選択される工程と、
(iii)シリコンおよび/または窒素および/または炭素のバリア層の上に電極を堆積する工程であって、電極は、炭他タンタル、炭窒化タンタル、炭化ハフニウム、および炭窒化ハフニウムからなる組から選択される金属を含む工程と、を含む。
【0015】
この装置が例えば半導体装置の場合、基板は、その上にhigh−k誘電体が形成された半導体層を含む。この装置がキャパシタの場合、基板は、その上にhigh−k誘電体が形成された電極を含み、工程(i)に先立って、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層を堆積する工程を、選択的に行っても良い。
【0016】
本発明のそれらの態様および他の態様は、以下に記載した具体例から、特に添付した図面を参照することにより、より詳細が明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、特別な具体例について、所定の図面を参酌しながら記載されるが、本発明はこれらに限定されるものではなく、請求の範囲により限定されるものである。記載された図面は概略であり、限定するものではない。図面において、図示目的で、いくつかの要素の大きさは拡張され、縮尺通りに記載されていない。寸法と相対寸法は、本発明の実施の実際の縮小には対応していない。
【0018】
また、記載や請求の範囲中の、上、下、上に、下に等の用語は、記載目的のために使用され、相対的な位置を示すものではない。そのように使用される用語は、適当な状況下で入替え可能であり、ここに記載された発明は、ここに記載や図示されたものと異なる位置でも操作できることを理解すべきである。
【0019】
また、請求の範囲で使用される「含む(comprising)」の用語は、それ以降に示される要素に限定して解釈されること排除するものであり、他の要素や工程を排除しない。存在を特定された特徴、整数、工程、または成分は、その通りに解釈されるべきであり、それ以外の他の特徴、整数、工程、または成分、またはそれらの組の存在や追加を排除するものではない。「手段AおよびBを含むデバイス」の表現の範囲は、構成要素AとBのみを含むデバイスに限定されるべきではない。本発明では、単にデバイスに関連した構成要素がAとBであることを意味する。
【0020】
この明細書を通じて「1つの具体例」または「ある具体例」の表示は、その具体例に関連する特別な長所または特徴が、本発明の少なくとも1つの具体例に含まれることを意味する。このように、この明細書を通じた多くの場所の「1つの具体例中の」または「ある具体例中の」の文節の表現は、すべてが同じ具体例を示しても良いが、必ずしも示す必要は無い。更に、特別の長所、構造、または特徴は、多くの適当な方法で組み合わされても良く、これは、1又はそれ以上の具体例において、この記載から当業者にとっては明らかであろう。多くの特徴が、1つの具体例、図、または記載にまとめられる。しかしながら、請求された発明が、それぞれの請求項に明示的に記載された以上の特徴を必要とすると、本発明を解釈すべきではない。詳細な説明に続く請求の範囲は、明示的にこの詳細な説明に統合され、それぞれの請求項は、この発明の別々の具体例としてそれ自身で成立する。
【0021】
ここで提供された記載において、多くの特定の細部が述べられる。しかしながら、本発明の具体例は、それらの特定の細部がなくても実施可能であることが理解される。他の場合、公知の方法、構造、および技術は、この記載の理解を不明瞭にしないために、詳細には示されていない。
【0022】
以下の用語は、本発明の理解を助けるためにのみ与えられる。本発明の具体例において、「基板」の用語は、シリコンのような半導体材料や、例えば半導体処理で使用される材料のような他の材料を含んでも良い。それらの材料はバルク材料に含まれても良く、または同じまたは異なった材料の上の層でも良い。そのような基板は、半導体層や基板の上に形成される積層を有するMOSFETのようなトランジスタのような、電子デバイスの製造に使用される。このように、基板は、例えば、ドープされたまたはアンドープのシリコン、シリコンオンインシュレータ基板(SOI)、ガリウムアーセナイド(GaAs)のようなIII−V層、ガリウムアーセナイドフォスファイド(GaAsP)またはインジウムフォスファイド(InP)、ゲルマニウム(Ge)、ゲルマニウムオンインシュレータ(GeOI)またはシリコンゲルマニウム(SiGe)、ガラスまたは石英基板でもよい。本発明の他の具体例では、例えば金属−絶縁体−金属キャパシタでは、例えばRF回路では、ガラスや石英基板は単に2つの例である適当な絶縁基板の上に、基板を形成しても良い。
【0023】
第1の態様では、本発明は電子デバイスに関する。
【0024】
第1の態様の第1の一般的な具体例では、電子デバイスは、電極、high−k誘電体層、および、電極とhigh−k誘電体層との間に配置された、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層を含む半導体装置である。high−k誘電体の用語は、k値が4より大きな、例えば4と30の間である材料である。この積層は、半導体基板(シリコンまたはゲルマニウムベースのウエハ)の上に堆積され、基板の上に形成された半導体層の上に堆積されても良い。基板は、例えばイオン注入や拡散により形成されるソース領域およびドレイン領域を含む。第1の一般的な具体例では、半導体装置は、電界効果トランジスタのようなトランジスタである。
【0025】
第1の一般的な具体例の具体例では、電極はゲート電極であっても良い。電極は、アルミニウム、ルテニウム、タンタル、ハフニウム、チタン、モリブデン、およびタングステンからなる組から選択される金属の炭化物、炭窒化物、窒化物、シリコン窒化物、および酸窒化物からなる組から選択される金属化合物を含んでも良い。一の具体例では、電極は、炭化タンタル、炭窒化タンタル、炭化ハフニウム、および炭窒化ハフニウムからなる組から選択される金属化合物を含む。電極は、上記で特定された金属化合物に加えて、多結晶シリコン(Poly−Si)層を含む(又はその上に載せる)。
【0026】
high−k誘電体層は、4.0より大きいか等しい、即ち3.9であるSiOのk値より大きいk値を有する金属酸化物を含む。high−k誘電体材料のk値の範囲は、好適には4.0から約30の範囲であるが、後者の上限を超える値を想定することもできる。そのような、4.0より大きいか等しいk値を有する金属酸化物の例は、Al、HfO、ZrO、TiO、LaO、Y、Gd、Ta、またはそれらのシリケイトやアルミネイトを含むが、これらに限定されるものではない。
【0027】
第1の一般的な具体例の具体例では、high−k誘電体層は、ゲート誘電体の役割を果たしても良い。ゲート誘電体層は、アニール時に、そこに接触して電極の仕事関数を変化しうる1またはそれ以上の反応種を含んでも(例えばドープされても)良い。そのような反応種の存在のための1の理由は、high−k誘電体層の結晶性の調整である。そのような反応種は、high−k誘電体層をアモルファス状態、即ち、少ない結晶性に維持することができる。同種の電気特性を有する同種の層を得ることが特徴であり、これは、アモルファスの誘電体材料を用いることにより、より容易に達成される。本発明の第1の態様の、第1の一般的な具体例の具体例では、反応種はシリコンおよび/または窒素である。金属/シリコンの原子比率は、好適には1/99と100/0の間であり、より好適には30/70と70/30の間である。high−k誘電体層中の、金属/窒素の原子比率は、97/03と50/50の間であり、好適には97/03と60/40の間である。例えば、HfOは結晶金属酸化物であるが、ハフニウム/シリコンの比が60/40のHfSiOやHfSiONは、より多くのアモルファス特性を有する。アモルファス状態のHfSiONは、アモルファス状態のHfSiOより、熱処理に対してより安定である。HfSiONとHfSiOの双方において、この金属含有ゲートと接触した場合に、アニールによって電極の仕事関数が増加することが認められる。例えば、high−k誘電体層がHfSiONまたは、ハフニウム/シリコンの原子比率が60/40のHfSiOでは、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層が金属含有ゲートとhigh−k誘電体層との間に無い場合、炭化タンタルの仕事関数は、約4.3から、約4.5〜4.6の範囲にシフトする。
【0028】
窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリアは、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素が、電極からhigh−k層に移動するのを、またはhigh−k層から電極に移動するのを、効果的に防止する層である。窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリアは、好適には窒素の無い層である。窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリアは、更に、シリコンの無い層でも良い。本発明の第1の態様の、第1の一般的な具体例の更に好適な具体例では、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリアは、窒素の無いバリア層のような窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層でも良いが、これに限定されるものではない。窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層は、その金属酸化物の金属が、ランタニド(例えばランタン)、アルミニウム、およびハフニウムからなる組から選択される、1またはそれ以上の金属酸化物を含んでも良い。
【0029】
本発明の第1の態様の、第1の一般的な具体例の具体例では、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層に含まれる金属酸化物の金属は、ランタンまたはランタニドでも良い。第1の一般的な具体例の他の具体例では、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層に含まれる、金属酸化物の金属はアルミニウムであり、他の具体例では、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層に含まれる金属酸化物の金属はハフニウムである。
【0030】
本発明の第1の態様の、第1の一般的な具体例の具体例では、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層に含まれる、金属酸化物はアモルファスである。アモルファス材料は、原子スケールにおいてロングレンジには殆ど無秩序である。アモルファス材料とは異なり、結晶材料では、そのようなロングレンジの秩序(order)を示すX線回折が見られる。例えば、結晶構造に対応するピークやバンドである。アモルファス材料は、そのような結晶性の表示が無いことが特徴である。
【0031】
窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層の膜厚は、本発明の臨界的なパラメータでは無く、半導体装置の意図する使用や機能に応じて、当業者が適当に選択しうるものである。この膜厚は好適には約0.2nmと約100nmとの間である。本発明の第1の態様の、第1の一般的な具体例の具体例では、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層の膜厚は、約1.5nmより大きく、約100nmより小さい。本発明の第1の態様の、他の具体例では、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層の膜厚は、約0.2nmから約1nmの範囲である。
【0032】
特別な具体例では、本発明は、半導体装置であって、タンタルまたはハフニウムの炭化物または炭窒化物を含む電極と、シリコンおよび/または窒素(例えばドープされた窒素を有する)を含む金属酸化物からなるhigh−k誘電体層と、電極とhigh−k誘電体層との間に配置された窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層とを含み、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層は、1またはそれ以上の金属酸化物を含み、この金属酸化物の金属はランタニド、アルミニウムまたはハフニウムである。
【0033】
本発明の第1の態様の、第2の一般的な具体例では、装置は、電極、シリコンおよび/または窒素を含む(例えば窒素がドープされた)金属酸化物からなるhigh−k誘電体層、および電極とhigh−k誘電体層との間に配置された窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層を含むキャパシタである。窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層は、1またはそれ以上の金属酸化物を含む。この積層は、導電性基板(例えば、本発明の第1の態様の、第1の一般的な具体例で定義した金属または金属化合物)の上に堆積させることができる。本発明の第1の態様の、第2の一般的な具体例の幾つかの具体例では、キャパシタは、半導体集積回路の一部であっても良い。本発明の第1の態様の、第2の一般的な具体例の幾つかの具体例では、キャパシタは、例えばトランジスタのような半導体装置と組み合わされても良い。
【0034】
本発明の第1の態様の、第2の一般的な具体例の具体例では、キャパシタ構造は、更に、例えば他の電極のような導電性基板を含み、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層とhigh−k誘電体層とが、電極と導電性基板との間に挟まれる。そのようなキャパシタ構造を形成する製造工程は、第1の一般的な具体例に記載された半導体装置の製造に使用される製造工程と類似している。本発明の具体例にかかるキャパシタは、図3に示すように、シリコンおよび/または窒素を含む金属酸化物からなるhigh−k誘電体層の上の、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層の上に形成された金属電極を少なくとも含む。キャパシタは、このように、high−k誘電体層がその上に形成された導電性基板(例えば他の電極)を含み、選択的にhigh−k誘電体層と導電性基板との間に、追加の誘電体層を含む。
【0035】
電極と導電性基板は、同じでも異なっても良い。窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層は、同じでも異なっても良い。電極と導電層は互いに独立であり、
アルミニウム、ルテニウム、タンタル、ハフニウム、チタン、モリブデン、およびタングステンからなる組から選択される金属の炭化物、炭窒化物、窒化物、シリコン窒化物、および酸窒化物からなる組から選択される金属化合物からなる。第2の一般的な具体例の例では、電極および導電層は、互いに独立であり、炭化タンタル、炭窒化タンタル、炭化ハフニウム、および炭窒化ハフニウムからなる組から選択される金属化合物からなる。電極は、上述の金属化合物に加えて、多結晶シリコン(Poly−Si)層を含む(またはその上に有する)ものであっても良い。
【0036】
high−k誘電体層は、4.0より大きいか等しい、即ち3.9であるSiOのk値より大きいk値を有する金属酸化物を含む。high−k誘電体材料のk値の範囲は、好適には4.0から約30の範囲であるが、後者の上限を超える値を想定することもできる。そのような、4.0より大きいか等しいk値を有する金属酸化物の例は、Al、HfO、ZrO、TiO、LaO、Y、Gd、Ta、またはそれらのシリケイトやアルミネイトを含むが、これらに限定されるものではない。
【0037】
high−k誘電体層は、アニール時に、そこに接触して電極(2)の仕事関数を変化しうる1またはそれ以上の反応種を含んでも(例えばドープされても)良い。そのような反応種の存在のための1の理由は、high−k誘電体層の結晶性の調整である。そのような反応種は、high−k誘電体層をアモルファス状態、即ち、少ない結晶性に維持することができる。同種の電気特性を有する同種の層を得ることが特徴であり、これは、アモルファスの誘電体材料を用いることにより、より容易に達成される。本発明の第1の態様の、第2の一般的な具体例の具体例では、反応種はシリコンおよび/または窒素である。金属/シリコンの原子比率は、好適には1/99と100/0の間であり、より好適には30/70と70/30の間である。high−k誘電体層中の、金属/窒素の原子比率は、97/03と50/50の間であり、好適には97/03と60/40の間である。例えば、HfOは結晶金属酸化物であるが、ハフニウム/シリコンの比が60/40のHfSiOやHfSiONは、多くのアモルファス特性を有する。アモルファス状態のHfSiONは、アモルファス状態のHfSiOより、熱処理に対してより安定である。HfSiONとHfSiOの双方において、金属含有ゲートと接触した場合に、アニールによって電極の仕事関数が増加することが認められる。例えば、high−k誘電体層がHfSiONまたはHfSiOで、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層が金属含有ゲートとhigh−k誘電体層との間に無い場合、炭化タンタルの仕事関数は、約4.3から、約4.5〜4.6の範囲にシフトする。
【0038】
窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリアは、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素が、電極からhigh−k層に移動するのを、またはhigh−k層から電極に移動するのを、効果的に防止する層である。窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリアは、それぞれ窒素および/またはシリコンおよび/または炭素の拡散を防止する。窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリアは、好適には窒素の無い層である。窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリアは、更に、シリコンの無い層でも良い。窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリアは、更に、炭素の無い層でも良い。本発明の1のより好ましい具体例では、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリアは、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層のような窒素バリア層であるが、これに限定されるものではない。窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリアは、その金属酸化物の金属が、ランタニド(例えばランタン)アルミニウム、およびハフニウムからなる組から選択される1またはそれ以上の金属酸化物を含んでも良い。
【0039】
本発明の第1の態様の、第2の一般的な具体例の具体例では、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層に含まれる、金属酸化物の金属は、ランタンまたはランタニドでも良い。他の具体例では、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層に含まれる金属酸化物の金属はアルミニウムであり、他の具体例では、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層に含まれる金属酸化物の金属はハフニウムである。
【0040】
本発明の第1の態様の、第2の一般的な具体例の具体例では、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層に含まれる、金属酸化物はアモルファスである。窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層の膜厚は、本発明の臨界的なパラメータでは無く、半導体装置の意図する使用や機能に応じて、当業者が適当に選択しうるものである。この膜厚は好適には約0.2nmと約100nmとの間である。具体例では、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層の膜厚は、約1.5nmより大きく、約100nmより小さい。本発明の第1の態様の、他の具体例では、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層の膜厚は、約0.2nmから約1nmの範囲である。
【0041】
図3は、本発明の第1の態様の具体例にかかる装置(1)を模式的に示す。装置(1)は、(a)シリコンおよび/または窒素を含む金属酸化物からなるhigh−k誘電体層(3)、(b)high−k誘電体層(3)の上に設けられた窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア(4)、および(c)積層(3、4)の上のゲート電極(2)、からなる積層を含む。図3に示すように、積層(2、3、4)は、図1に示すように半導体装置のゲート積層として使用でき、また図4に例示するようにキャパシタ中の積層として使用できる。
【0042】
図1は、本発明の具体例にかかる半導体装置(6)を模式的に示す。底面層は、半導体基板(5)であり、その上にシリコンおよび/または窒素を含む金属酸化物からなるhigh−k誘電体層(3)が存在する。high−k誘電体層(3)の上には、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア(4)が設けられ、この積層(5、3、4)全体の上にゲート電極(2)が設けられている。
【0043】
図4は、本発明の第1の態様の、第2の一般的な具体例にかかるキャパシタ(7)を模式的に示す。図4において、high−k層(3)は電極(2)や導電層(9)から、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア(4、8)により分離されている。
【0044】
第2の態様において、本発明は、半導体装置(1)を製造するための、以下の3つの工程からなるプロセスに関する。
(i)基板の上に、シリコンおよび/または窒素を選択的に含む金属酸化物からなるhigh−k誘電体層を堆積する工程であって、high−k誘電体層が少なくとも4.0のk値を有する工程と、
(ii)high−k誘電体層の上に、1またはそれ以上の金属酸化物を含む窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層を堆積する工程であって、金属酸化物の金属が、ランタニド、アルミニウム、およびハフニウムからなる組から選択される工程と、
(iii)シリコンおよび/または窒素のバリア層の上に、電極を堆積する工程であって、電極が、アルミニウム、ルテニウム、タンタル、ハフニウム、チタン、モリブデン、およびタングステンからなる組から選択される金属の炭化物、炭窒化物、窒化物、シリコン窒化物、および酸窒化物からなる組から選択される金属化合物を含む工程と、である。
【0045】
本発明のプロセスは、更に(iv)所定の金属化合物を含む電極の上にPoly−Si層を堆積する工程を選択的に含む。
【0046】
本発明にかかるプロセスの、(i)から(iii)の全ての工程は、室温またはより高い温度で行われ、より高い温度での1またはそれ以上の脱ガス工程が、半導体装置の製造産業における標準的な実施に従って、それぞれの前に行うことができる。脱ガス工程は、約300℃から約400℃の範囲、例えば約350℃の温度で行うことができる。
【0047】
工程(i)を行う前に、基板の前洗浄や表面前処理を、当業者によく知られた適当な方法で行っても良い。工程(i)から工程(iii)は、当業者によく知られた多くの技術により、それぞれ独立して行える。例えば原子層CVDが例示されるがこれに限定するものではない化学気相成長技術(以降、CVDという)や、例えばスパッタが例示されるがこれに限定するものではない物理気相成長(以降、PVDという)が、3つの主な工程(i)から工程(iii)、および選択的に工程(iv)のそれぞれに使用するのに適している。
【0048】
工程(iii)または工程(iv)の後に、装置のアニール工程が、本技術の標準的な実施に従って行われても良い。適当なアニール条件の例は、約600℃と約900℃の間のアニール温度で約1〜120秒のアニール時間、好適には、約600℃と約700℃の間のアニール温度で約30〜120秒のアニール時間、または約900℃と約1200℃の間のアニール温度で約0.5〜2秒のアニール時間、例えばヘリウム雰囲気であるが、これに限定するものではない。アニール処理は、他の工程の後に行っても良く、例えば工程(i)の後に、約600℃と約900℃の間のアニール温度で約1〜120秒のアニール時間、行なっても良い。
【0049】
以下の例は、例示目的としてのみ記載され、本発明の範囲や多くの具体例を限定するものでは無い。
【0050】
例1
ハフニウム/シリコンが60/40の原子比率の原子層CVDにより、シリコンウエハが、2.5nmのHfSiOにより被覆された。次に、HfSiOをプラズマ窒化することにより、HfSiON層が得られた。次に、1nmのHfO層をHfSiON層の上に堆積した。得られたアセンブリに対して、350℃で4分間の脱ガスが行われ、物理気相成長の手段により、アセンブリの上に10nmのTaC層を堆積した。次に、結果のアセンブリが、追加のPoly−Si層により被覆され、約1030℃で1秒間アニールされた。得られた装置の仕事関数が、4.45eVと測定された。
【0051】
比較例1
ハフニウム/シリコンが60/40の原子比率の原子層CVD技術により、シリコンウエハが、2.5nmのHfSiOにより被覆された。次に、HfSiOをプラズマ窒化することにより、HfSiON層が得られた。HfSiON層の上にHfO層は堆積しない。得られたアセンブリに対して、350℃で4分間の脱ガスが行われ、物理気相成長の手段により、アセンブリの上に10nmのTaC層を堆積した。次に、結果のアセンブリがPoly−Si層により被覆され、He雰囲気中で、約1030℃で1秒間アニールされた。得られた装置の仕事関数が、4.53eVと測定された。
【0052】
比較例2
原子層CVD技術の手段により、シリコンウエハが、2.5nmのHfOにより被覆された。得られたアセンブリに対して、350℃で4分間の脱ガスが行われ、物理気相成長技術の手段により、アセンブリの上に10nmのTaC層を堆積した。次に、結果のアセンブリがPoly−Si層により被覆され、He雰囲気中で、約1030℃で1秒間アニールされた。得られた装置の仕事関数が、4.39eVと測定された。
【0053】
比較例3
原子層CVDにより、シリコンウエハが、2.5nmのSiOにより被覆された。得られたアセンブリに対して、350℃で4分間の脱ガスが行われ、物理気相成長技術の手段により、アセンブリの上に10nmのTaC層を堆積した。次に、結果のアセンブリがPoly−Si層により被覆され、He雰囲気中で、約1030℃で1秒間アニールされた。得られた装置の仕事関数が、4.33eVと測定された。
【0054】
比較例4
原子層CVD技術により、シリコンウエハが、2.5nmのSiOにより被覆された。次に、SiOをプラズマ窒化することにより、SiON層が得られた。得られたアセンブリに対して、350℃で4分間の脱ガスが行われ、物理気相成長により、アセンブリの上に10nmのTaC層を堆積した。次に、結果のアセンブリがPoly−Si層により被覆され、ヘリウム雰囲気中で、約1030℃で1秒間アニールされた。得られた装置の仕事関数が、4.35eVと測定された。
【0055】
比較例5
ハフニウム/シリコンが60/40の原子比率の原子層CVD技術により、シリコンウエハが、2.5nmのHfSiOにより被覆された。HfSiO層の上にHfO層は堆積しない。得られたアセンブリに対して、350℃で4分間の脱ガスが行われ、物理気相成長により、アセンブリの上に10nmのTaC層を堆積した。次に、結果のアセンブリがPoly−Si層により被覆され、He雰囲気中で、約1030℃で1秒間アニールされた。得られた装置の仕事関数が、4.60eVと測定された。
【0056】
まとめとして、例1の金属ゲート電極(TaC)の仕事関数を、比較例1〜5の仕事関数とともに、図2に示した。図2のX軸は、調査した装置のhigh−k誘電体層の、ハフニウムとシリコンの相対的な原子含有量である。Y軸は、eVで表示した仕事関数である。ハフニウムが0%では、比較例3(誘電体層はSiO)および比較例4(誘電体層はSiON)のゲート電極の仕事関数は、それぞれ4.33eVと4.35eVである。ハフニウム/シリコンの原子含有量が60%では、比較例1(high−k誘電体層はHfSiON)および比較例5(high−k誘電体層はHfSiO)のゲート電極の仕事関数は、それぞれ4.53eVと4.60eVである。基板とHfSiONのhigh−kゲート誘電体層との間に、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層を使用することにより、4.45eVの仕事関数が得られる。ゲート誘電体がシリコンを含まず、結晶HfOからなる場合(比較例2)、仕事関数は4.39eVとなる。例1のゲート電極の仕事関数は、窒素および/またはシリコンおよび/または炭素のバリア層を使用しない比較例1より80meV低くなる。
【0057】
例2
ハフニウム/シリコンが60/40の原子比率の原子層CVD手段により、シリコンウエハが、2.5nmのHfSiO層により被覆された。次に、HfSiOをプラズマ窒化することにより、HfSiON層が得られた。HfSiON層の上に1nmのHfO層を堆積した。得られたアセンブリに対して、350℃で4分間の脱ガスが行われ、物理気相成長の手段により、アセンブリの上に10nmのTaC層を堆積した。次に、結果のアセンブリがPoly−Si層により被覆され、He雰囲気中で、約1050℃で1.5秒間アニールされた。
【0058】
例3
ハフニウム/シリコンが60/40の原子比率の原子層CVD手段により、シリコンウエハが、2.5nmのHfSiO層により被覆された。次に、HfSiO層をプラズマ窒化することにより、HfSiON層が得られた。HfSiON層の上に2nmのHfO層を堆積した。得られたアセンブリに対して、350℃で4分間の脱ガスが行われ、物理気相成長の手段により、アセンブリの上に10nmのTaC層を堆積した。次に、結果のアセンブリがPoly−Si層により被覆され、He雰囲気中で、約1050℃で1.5秒間アニールされた。
【0059】
例4
ハフニウム/シリコンが60/40の原子比率の原子層CVD手段により、シリコンウエハが、2.5nmのHfSiO層により被覆された。次に、HfSiOをプラズマ窒化することにより、HfSiON層が得られた。HfSiON層の上に1nmのHfO層を堆積した。得られたアセンブリに対して、350℃で4分間の脱ガスが行われ、物理気相成長の手段により、アセンブリの上に10nmのTaC層を堆積した。次に、結果のアセンブリがPoly−Si層により被覆され、He雰囲気中で、約1050℃で1.5秒間アニールされた。
【0060】
例5
ハフニウム/シリコンが60/40の原子比率の原子層CVD手段により、シリコンウエハが、2.5nmのHfSiO層により被覆された。次に、HfSiO層をプラズマ窒化することにより、HfSiON層が得られた。HfSiON層の上に2nmのHfO層を堆積した。得られたアセンブリに対して、350℃で4分間の脱ガスが行われ、物理気相成長の手段により、アセンブリの上に10nmのTaC層を堆積した。次に、結果のアセンブリがPoly−Si層により被覆され、He雰囲気中で、約1050℃で1.5秒間アニールされた。
【0061】
例6
ハフニウム/シリコンが60/40の原子比率の原子層CVD手段により、シリコンウエハが、2.5nmのHfSiO層により被覆された。次に、HfSiO層をプラズマ窒化することにより、HfSiON層が得られた。HfSiON層の上に1nmのHfO層を堆積した。得られたアセンブリに対して、350℃で4分間の脱ガスが行われ、物理気相成長の手段により、アセンブリの上に10nmのTaCN層を堆積した。次に、結果のアセンブリがPoly−Si層により被覆され、He雰囲気中で、約1050℃で1.5秒間アニールされた。
【0062】
例7
ハフニウム/シリコンが60/40の原子比率の原子層CVD手段により、シリコンウエハが、2.5nmのHfSiO層により被覆された。次に、HfSiO層をプラズマ窒化することにより、HfSiON層が得られた。HfSiON層の上に1nmのHfO層を堆積した。得られたアセンブリに対して、350℃で4分間の脱ガスが行われ、物理気相成長の手段により、アセンブリの上に10nmのHfC層を堆積した。次に、結果のアセンブリがPoly−Si層により被覆され、He雰囲気中で、約1050℃で1.5秒間アニールされた。
【0063】
例8
ハフニウム/シリコンが60/40の原子比率の原子層CVD手段により、シリコンウエハが、2.5nmのHfSiO層により被覆された。次に、HfSiO層をプラズマ窒化することにより、HfSiON層が得られた。HfSiON層の上に1nmのHfO層を堆積した。得られたアセンブリに対して、350℃で4分間の脱ガスが行われ、物理気相成長の手段により、アセンブリの上に10nmのHfCN層を堆積した。次に、結果のアセンブリがPoly−Si層により被覆され、He雰囲気中で、約1050℃で1.5秒間アニールされた。
【0064】
例9
ハフニウム/シリコンが60/40の原子比率の原子層CVD手段により、シリコンウエハが、2.5nmのHfSiO層により被覆された。次に、HfSiO層をプラズマ窒化することにより、HfSiON層が得られた。HfSiON層の上に1nmのHfO層を堆積した。得られたアセンブリに対して、350℃で4分間の脱ガスが行われ、物理気相成長の手段により、アセンブリの上に10nmのTaC層を堆積した。次に、結果のアセンブリがPoly−Si層により被覆され、He雰囲気中で、約650℃で1分間アニールされた。
【0065】
例10
ハフニウム/シリコンが60/40の原子比率の原子層CVD手段により、シリコンウエハが、2.5nmのHfSiO層により被覆された。次に、HfSiO層をポスト窒化アニールすることにより、HfSiON層が得られた。HfSiON層の上に1nmのHfO層を堆積した。得られたアセンブリに対して、350℃で4分間の脱ガスが行われ、物理気相成長の手段により、アセンブリの上に10nmのTaC層を堆積した。次に、結果のアセンブリがPoly−Si層により被覆され、He雰囲気中で、約650℃で1分間アニールされた。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の具体例にかかる半導体装置の概略図である。
【図2】従来の具体例と比較した、本発明の具体例の炭化タンタル金属ゲート電極(TaC)の仕事関数を示すグラフである。
【図3】本発明の具体例にかかる積層を示す概略図である。
【図4】本発明の具体例にかかるキャパシタの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置(1、6、7)であって、
炭化タンタル、炭窒化タンタル、炭化ハフニウム、および炭窒化ハフニウムからなる組から選択される金属化合物を含む電極(2)と、
窒素とシリコンを含む酸化ハフニウムからなるhigh−k誘電体層(3)であって、少なくとも4.0のk値を有するhigh−k誘電体層(3)と、
窒素および/またはシリコンおよび/または炭素が、電極からhigh−k層に、またはhigh−k層から電極に移動するのを効果的に防止するバリア層(4)であって、電極(2)とhigh−k誘電体層(3)との間に配置されるバリア層(4)とを含み、
バリア層(4)は1またはそれ以上の金属酸化物を含み、金属酸化物の金属はランタニド、アルミニウム、およびハフニウムからなる組から選択される装置(1、6、7)。
【請求項2】
更に、その上にhigh−k誘電体層(3)が配置される基板(5、9)を含む請求項1に記載の装置(1、6、7)。
【請求項3】
基板(5、9)は、半導体基板(5)または導電性基板(9)である請求項2に記載の装置(1、6、7)。
【請求項4】
バリア層(4)の膜厚は、1.5nmより大きく、100nmより小さい請求項1〜3のいずれかに記載の装置(1、6、7)。
【請求項5】
バリア層(4)の膜厚は、0.2nmから1nmの範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の装置(1、6、7)。
【請求項6】
バリア層(4)中に含まれる金属酸化物の金属は、ランタンまたはハフニウムである請求項1〜5のいずれかに記載の装置(1、6、7)。
【請求項7】
バリア層(4)中に含まれる金属酸化物は、アモルファスである請求項1〜6のいずれかに記載の装置(1、6、7)。
【請求項8】
電極は、炭化タンタル、炭化ハフニウム、またはそれらの混合物からなる請求項1〜7のいずれかに記載の装置(1、6、7)。
【請求項9】
装置は、キャパシタの一部である請求項1〜8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
装置は、トランジスタのゲートの一部である請求項1〜8のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
トランジスタは、MOSFETである請求項10に記載の装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−172227(P2008−172227A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−337290(P2007−337290)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(591060898)アンテルユニヴェルシテール・ミクロ−エレクトロニカ・サントリュム・ヴェー・ゼッド・ドゥブルヴェ (302)
【氏名又は名称原語表記】INTERUNIVERSITAIR MICRO−ELEKTRONICA CENTRUM VZW
【出願人】(503447036)サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド (2,221)
【Fターム(参考)】