説明

電子モジュールを製造するための方法

本発明は、少なくとも1つの電子構成素子(9)、ならびに該少なくとも1つの電子構成素子(9)をコンタクトする導体路構造を含む電子モジュールに関する。この方法においては、第1ステップにおいて、導体路構造(7)を形成するために導電性フィルム(1)がパターニングされる。第2ステップにおいて、導体路構造(7)に少なくとも1つの電子構成素子(9)が装着される。最後のステップにおいて、前記少なくとも1つの電子構成素子(9)が装着された導電性フィルム(1)の、前記少なくとも1つの電子構成素子(9)が装着されている方の側に、別のフィルムがラミネートされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの電子構成素子、ならびに該少なくとも1つの電子構成素子をコンタクトする導体路構造を含む電子モジュールに関する。
【0002】
電子モジュールを製造するために使用される電子構成素子は、例えば集積回路(IC)である。例えば電子構成素子を封入し、電子回路支持体におけるスペース利用効率を向上させるために、電子構成素子は基板の中に収容される。こうすることによって電子構成素子を保護することができる。例えばUS−B6512182から、例えばプリント回路基板に、電子構成素子が嵌め込まれる収容部をフライス削りすることが公知である。電子構成素子を嵌め込んだ後に収容部が充填され、その後平坦化されてオーバーラミネートされる。電子構成素子を埋め込むことによって、平坦な表面の電子モジュールを形成することができる。
【0003】
このモジュールの欠点は、中に電子構成素子が嵌め込まれる収容部をまずプリント基板にフライス削りするということである。このような方法では電子構成素子の精確な位置決めは非常に困難である。
【0004】
DE−A102005003125から、注型材料によって互いに機械的に接続された電子構成素子を有する電子回路を製造するための方法が公知である。注型材料の少なくとも1つの側に、構成素子を互いに電気的に接続する少なくとも1つの層の導体路が設けられている。回路を製造するために構成素子が支持フィルムの上に被着され、その後注型材料が注がれる。これに続いて支持フィルムが除去され、構成素子が支持フィルムと接続されていた方の側に、構成素子を電気的に互いに接続する1つまたは複数の層の導体路が被着される。しかしながらこの場合には、電子回路の配線が機能可能となるように、支持フィルムを残滓無く除去しなければならない。
【0005】
従来技術から公知の電子モジュールの別の欠点は、使用されるプリント基板によって厚さが比較的大きくなることである。さらに、従来技術によって製造された電子モジュールは弾力が無く、変形不可能である。電子モジュールを例えば雪崩によって生き埋めになっている人を発見するための送信機として、または盗難防止として例えば衣服に使用したい場合には、衣服の動きに適合可能なフレキシブルな電子モジュールを使用することが望まれる。
【0006】
本発明は、少なくとも1つの電子構成素子、ならびに該少なくとも1つの電子構成素子をコンタクトする導体路構造を含む電子モジュールを製造するための方法であって、以下のステップを含む方法に関する:
(a)導体路構造を形成するために導電性フィルムをパターニングするステップ。
(b)前記導体路構造に少なくとも1つの電子構成素子を装着するステップ。
(c)前記少なくとも1つの電子構成素子が装着された導電性フィルムの、前記少なくとも1つの電子構成素子が装着されている方の側に、別のフィルムをラミネートするステップ。
【0007】
前記少なくとも1つの電子構成素子が装着された導電性フィルムの、前記少なくとも1つの電子構成素子が装着されている方の側に別のフィルムをラミネートすることによって、構成素子が完全に封入される。こうすることによってとりわけ脆弱な構成素子の信頼性を高めることができる。
【0008】
導体路構造に装着される構成素子は、電子モジュールを製造するために通常使用される例えば集積回路(IC)、電池、ソーラーモジュール、または当業者には公知の他の電子構成素子である。少なくとも1つの電子構成素子が装着される導電性フィルムをパターニングし、その後に別のフィルムをラミネートすることによって、フレキシブルな層複合体を達成することができる。さらに例えば熱可塑性材料からなるフィルムを使用する場合には、成型可能なモジュールを製造することができる。この熱可塑性のフィルムは、例えば導電性フィルムの上にラミネートされる別のフィルムであるか、または、導電性フィルムと接続された支持フィルムとして、成型可能な例えば熱可塑性のフィルムが使用される。
【0009】
1つの実施形態においては、少なくとも1つの電子構成素子が装着された導電性フィルムの上にラミネートされる別のフィルムも同様に、少なくとも1つの電子構成素子が装着された導電性フィルムである。このラミネートは、有利にはこれら2つのフィルムの電子構成素子が互いに向き合うように行われ、導電性フィルムは層複合体の外側に位置することとなる。このようにしてスペース利用効率は格段に向上する。導電性フィルムの上に別のフィルムをラミネートすることによって不所望な電気接続が発生してしまう危険を回避するために、2つの導電性フィルムの間に誘電性材料からなる層を設けると有利である。2つの導電性フィルムの間に設けられるこの層は有利にはプラスチック層である。プラスチックとして例えば熱可塑性樹脂が使用される。しかしながら他のあらゆる任意のプラスチックを使用することも可能である。2つの導電性フィルムの間に設けられる層は、有利には構成素子を固定し、かつコンタクトを確実にするために使用される。
【0010】
2つの導電性フィルムの間にプラスチック層を設けるために、例えば少なくとも1つの電子構成素子を装着する前に、1つの導電フィルムの上にプラスチック被膜を被着させることが可能である。この際プラスチック被膜は、導体路構造を構成するためのフィルムのパターニングの前または後に被着させることができる。導電性フィルムのパターニングの前にプラスチック被膜を被着することの利点は、プラスチック被膜によって、パターニングされる金属層の下に一貫した土台が得られることである。これによって例えば不注意な取り扱いによる個々の導体路のズレまたは屈曲をなくすことができる。これに対して導電性フィルムにプラスチック層を設けない場合には、この導電性フィルムを支持体の上にそのまま残しておく必要がある。この際パターニングされたフィルムは、構造体の個々の導体路がズレたり屈曲したりしないように注意深く取り扱うべきである。
【0011】
しかしながら択一的に、導電性フィルムに少なくとも1つの電子構成素子を装着した後に初めて、フィルムうち少なくとも1つの電子構成素子が配置されている方の側にプラスチック層を被着させることも可能である。さらには導線性フィルムに少なくとも1つの電子構成素子を装着した後に、該フィルムの上に別のプラスチック層を被着させることも可能である。導電性フィルムの装着前に被着されたプラスチック被膜は、フィルムのうち電子構成素子が装着された方の側に位置することができるか、またはフィルムのうち電子構成素子とは反対の側に位置することができる。
【0012】
この別のフィルム、すなわち少なくとも1つの電子構成素子が設けられた導電性フィルムの上にラミネートされたフィルムも同様に導電性フィルムである場合には、1つの実施形態においては、導電性フィルムからパターニングされた導体路構造の接続のためにスルーホールコンタクトを設けることができる。スルーホールコンタクトは、例えば孔を形成して、その後この孔を金属被覆することによって設けることができる。択一的に、スルーホールコンタクトを例えば深絞り加工によって製造することも可能である。深絞り加工においては、導電性フィルムのうち上側の層が誘電体を貫通するように、これが下側の導電性フィルムにコンタクトするまで心棒によって押圧される。
【0013】
例えば電子モジュールの誤機能をもたらす、導電性フィルムにおける不所望なコンタクトが生じるのを回避するために、有利には、電子モジュールのうち外に向いた少なくとも1つの側に絶縁層が設けられる。絶縁層は通常、誘電性材料から製造されている。特に有利には絶縁層としてプラスチックが適当である。とりわけ電子モジュールを成型したい場合には、絶縁層を熱可塑性材料から製造すると有利である。
【0014】
熱可塑性プラスチックまたは熱硬化性プラスチックを使用する以外に、択一的に、例えば誘電体および場合によっては少なくとも1つの絶縁層のために、エラストマーまたは伸縮性のあるシリコーンを使用することもできる。エラストマーまたは伸縮性のあるシリコーンを使用することによって、適当な形状の導体路構造と関連して、全ての空間方向にフレキシブルな電子回路を製造することができる。とりわけこのような電子モジュールは例えば引き伸ばすこともできる。可塑性に成型可能な材料の場合には、伸張または屈曲のために一般的に成型力を使用すべきであり、場合によっては電子モジュールを加熱すべきである。
【0015】
本発明の1つの実施形態においては、少なくとも2つの電子モジュールが互いに接合されて層複合体が形成される。層複合体によって、2つより多くの、電子構成素子が装着された導体路構造の層も、互いに接続することができる。この場合個々の層は、スルーホールコンタクトによって互いに電気的にコンタクトすることができる。
【0016】
2つより多くの層から層複合体を製造したい場合には、導電性フィルムの表側と裏側に、それぞれ少なくとも1つの電子構成素子を装着することも可能である。この場合には、導電性フィルムの表側にも裏側にも別のフィルムがラミネートされる。
【0017】
例えば両側にそれぞれ少なくとも1つの電子構成素子が設けられている複数のフィルムも、層複合体を形成するために互いに接合することができる。この場合には、2つのフィルムの間にそれぞれ誘電体が設けられる。誘電体は、既に述べたように例えばプラスチックまたはシリコーンである。
【0018】
電子構成素子の封入を改善するために、電子構成素子を付加的に成型材料で包囲すると有利である。電子構成素子を成型材料で包囲することによって、例えば電子構成素子およびコンタクトの付加的な安定化を達成することができる。このようにして例えば、電子モジュールを曲げた際に、電子構成素子が破壊されなくなる。
【0019】
1つの実施形態においては、電子モジュールが最終ステップにおいて成型部材に成型される。この成型は、例えば深絞り加工または別の成型方法によって達成される。とりわけ成型は、誘電体として成型可能な材料が使用される場合に可能である。フィルムに設けられた電子構成素子が成型工程中に損傷されるのを回避するために、一方では、成型部材の屈曲ないし折曲位置には電子構成素子を設けないように構成することが可能である。しかしながら択一的に、例えば曲げることができるフレキシブルな電子構成素子を使用することも可能である。
【0020】
本発明の方法によれば、同時に多数のモジュールに対して工程を実施すること、およびリール・ツー・リール(Reel to Reel)製造によって、配線および封入を低コストに達成することができる。さらに、電子モジュールを例えば標準的な構成素子としてさらに加工することも可能である。本発明の方法における電子構成素子のコンタクトは、取り付けと同時に達成される。これにより、従来技術から公知の方法よりも少ない工程ステップしか必要なくなる。
【0021】
さらなる利点は、誘電体としてコスト的に有利なプラスチックを使用できることである。このようなプラスチックは例えばRFIDから公知である。このプラスチックはとりわけ低温度領域における用途にて使用することができる。
【0022】
とりわけフレキシブルな電子機器を使用することによって、本発明によれば、完全にフレキシブルかつ成型可能な回路を製造することができる。可塑性に成型可能な回路支持体を使用する場合には、最終ステップにて成型部材に成型される電子モジュールを、例えばケーシング部分として使用することも可能である。ケーシング部分は、例えば接着または型押しによって本来のケーシングと接続し、必要に応じてコンタクトさせることができる。
【0023】
以下の説明では、図面に示されている本発明の実施例をより詳しく解説する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】電子モジュールを製造するための方法のステップを図示している。
【図2】電子モジュールを製造するための方法のステップを図示している。
【図3】電子モジュールを製造するための方法のステップを図示している。
【図4】電子モジュールを製造するための方法のステップを図示している。
【図5】電子モジュールを製造するための方法のステップを図示している。
【図6】電子モジュールを製造するための方法のステップを図示している。
【図7】電子モジュールを製造するための方法のステップを図示している。
【図8】本発明によって製造された電子モジュールを図示している。
【0025】
図1〜7には、本発明に基づいて形成される電子モジュールを製造するための個々の方法ステップが図示されている。
【0026】
図1に図示した第1ステップにおいては、導体路構造を形成するために導電性フィルム1がパターニングされる。この際パターニングは、導電性フィルム1の導電層3においてのみ行われる。ここに図示した実施形態においては、導電層3は非導電層5の上に被着されている。非導電層5はこの場合には支持層として使用され、パターニングされない。非導電層5は例えばプラスチック層である。導電層3としてはとりわけ金属、例えば銅または銀が適当である。さらには金、パラジウム、または例えばNiPdAuのような層複合体が適当である。非導電層5は、ラミネートまたはスキージによって導電層3に被着させることができる。非導電層5の被着は、導電層3のパターニング後または前に行われる。
【0027】
択一的に、例えば導電層3のみを有する導電性フィルム1を使用することも可能である。しかしながらこの場合には、導体路構造7のパターニング後に個々の導体路がズレてしまわないように、導電層3のみを有する導電性フィルム1を支持材料の上に載置する必要がある。
【0028】
導電性フィルム1の導電層3から導体路構造をパターニングした後、導電性フィルム1には電子構成素子9が装着される。導電性フィルム1の装着は例えばフリップチップ技術によって行われる。このために電子構成素子9にはコンタクト点11(バンプ)が設けられる。コンタクト点11は非導電層を貫通するよう押圧されて、導電層3からパターニングされた導体路構造7とコンタクトするようになる。この場合、非導電層5は同時に接続媒体としても使用することができる。このために例えば非導電層5として接着性被膜を使用することができる。
【0029】
コンタクト点11と導体路構造7との接合は、例えばいわゆるヒートシールのような熱工程および印刷工程によって行われる。さらにNCA(Non conductive adhesive:非導電性接着剤)工程も適当である。択一的に、例えば電子構成素子9をはんだ付け工程によって導体路構造7とコンタクトさせることも可能である。この場合には、非導電層5に含まれる酸を融剤として使用することができる。非導電層5のための材料としてこの場合には例えばエポキシ樹脂も適当である。
【0030】
導電性フィルム1が導電層3のみからなり、非導電層5が設けられていない場合には、電子構成素子9をまずコンタクト点11によって導体路構造7の上にはんだ付けし、その後電子構成素子9を接着剤によってアンダーフィリングすることが可能である。択一的にいわゆるICA(isotropic conductive adhesive:等方性導電性接着剤)接着も可能である。
【0031】
任意に、図1および図2と同様にして例えば第2支持ストリップ13を製造することもできる。第2支持ストリップ13も同じく導電層3および非導電層5を備える導電性フィルム1を有し、導電層3からは導体路構造7がパターニングされている。非導電層5の上には、コンタクト点11が設けられた少なくとも1つの電子構成素子9が別の構造で被着されている。コンタクト点11は非導電層5を貫通するよう押圧されて、電子構成素子9が導体路構造7とコンタクトする。このようにして製造された第1支持ストリップ12と第2支持ストリップ13は、後に互いに接合されて層複合体となる。この場合第1支持ストリップと第2支持ストリップ13の装着および構造は、通常は異なっている。したがって例えば2つの支持ストリップ12,13のうちの1つだけに少なくとも1つの電子構成部材9を装着して、他方の支持ストリップ13,12には装着しないようにすることも可能である。
【0032】
電子構成素子9の付加的な安定化は、例えば図4に示すように成型材料15によって包囲することにより達成することができる。しかしながら成型材料15による電子構成素子9の包囲は、電子構成素子9が非常に脆弱である場合、または、例えば電子構成素子9を曲げることなく支持ストリップを曲げたい場合にだけ必要である。この場合には、成型材料15は付加的な機械的安定化として使用される。
【0033】
図5には、第1支持ストリップ12と接合された第2支持ストリップ13が図示されている。ここでは第1支持ストリップ12および第2支持ストリップ13は、これら2つの支持ストリップ12,13の導電層3がそれぞれ外側に位置するようにして互いに接合されている。第1支持ストリップ12および第2支持ストリップ13の非導電層5は1つの誘電体を形成している。この誘電体によって、導体路構造7を形成する導電層3が不所望な位置でコンタクトしてしまう危険が回避される。層圧を均一にするために、既に導電層3の上に被着されている非導電層5に加えて、電子構成素子9も包囲する付加的な誘電体を設けることが可能である。支持ストリップ12と13の接合は、当業者には公知の通常のラミネート方法によって行われる。
【0034】
それぞれ非導電層5を有さない2つの導電性フィルム1を互いに接合したい場合には、第2支持ストリップ13を第1支持ストリップ12の上にラミネートする前に、2つの支持ストリップ12,13のうちの少なくとも一方の上に誘電体が被着される。この場合には誘電体として例えばプラスチックフィルムが適当である。この場合2つの支持ストリップ12,13は、これらの間に位置するプラスチックフィルムによってラミネートされる。
【0035】
第2支持ストリップ13を第1支持ストリップ12の上にラミネートする代わりに、例えば第1支持ストリップ12の上に誘電体をラミネートして、ただ1つの導電層だけを設けることも可能である。さらには導電層3の外側にも誘電体を被着して、別の導電層をラミネートすることも可能である。この場合には例えば導電層3の表側および裏側にそれぞれ少なくとも1つの電子構成素子9を配置することもできる。この場合さらに有利には、導体路構造7にパターニングした後、非導電層を備える第2の側にも導電層3が設けられる。
【0036】
第2支持ストリップ13を第1支持ストリップ12の上にラミネートした後、導電層3からパターニングされた導体路構造7を、スルーコンタクト17によって互いに接続することができる。スルーコンタクト17は、例えば回路支持体に孔を設けて、その後に孔を金属被覆することによって形成することができる。択一的に例えば2つの支持ストリップ12,13のうちの1つの導電層3を、心棒によって、非導電層5により形成される誘電体を貫通するよう、前記導電層が第2の導電層とコンタクトするまで押圧することも可能である。
【0037】
第1支持ストリップ12と第2支持ストリップ13とを接合した後、有利には外側に絶縁層19が被着される。絶縁層19によれば、導電性部分が外側に露出することが回避される。絶縁層19として、第1支持ストリップ12および第2支持ストリップ13からなる層複合体の上に例えばプラスチックフィルムを被着させることができる。択一的に、プラスチック層を他の任意の方法によって層複合体に被着させることも可能である。
【0038】
ただ1つの導電層3のみが含まれている場合には、外側に向いた導電層3の上に絶縁層19を被着すれば十分である。
【0039】
任意に、層複合体の外側に被着された絶縁層19を、例えば差込コネクタまたはケーブルを取り付けることができるようにパターニングすることができる。こうすることによって電子モジュールはコンタクト可能となる。
【0040】
絶縁層19の被着後さらに、電子構成素子9とコンタクトしている導電層3をそれぞれ含む別の支持ストリップを被着させることが可能である。さらには、複数の図7に図示したような電子モジュールを、例えばラミネートによって互いに接合することも可能である。
【0041】
層複合体を製造した後で、この層複合体を任意の形状に型押しすることが可能である。択一的に、例えばフレキシブルなフィルム状の回路を形成することも可能である。これは図8に示されている。ここでは導体路構造7にパターニングされた導電性フィルムの上に、損傷から保護するために成型材料15によって包囲された電子構成素子9が設けられている。その後、均一な層圧を達成するため、および、電子構成素子9のさらなる封入を達成するために、誘電体21がこの層に被着されている。誘電体21のための材料として、フレキシブルでありかつ層複合体の成型を可能にする材料が選択される。このフレキシブルなフィルム状の回路は、例えば衣服に使用することができる。このように衣服に組み込まれた電子機器は、例えばスキープレイヤー用の装着品または登山家用の装着品に適当であり、例えば雪崩によって生き埋めになっているこのような衣服の着用者を発見することができる。択一的に、このような電子機器を例えば盗難防止としても使用することができる。製品情報を相応の回路に記憶することも可能である。
【0042】
回路がフレキシブルなフィルム状の回路として使用されない場合には、例えば層複合体を成型部材に成型することもできる。これは例えば図7に図示したような層複合体を型押しすることによって実施される。こうすることによって例えば電子機器が組み込まれたケーシングを製造することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電子構成素子(9)ならびに、該電子構成素子をコンタクトする導体路構造(7)を含む電子モジュールを製造するための方法であって、
(a)導体路構造(7)を形成するために、導電性フィルム(1)の導電層(3)をパターニングするステップ、
(b)前記導体路構造(7)に少なくとも1つの電子構成素子(9)を装着するステップ、
(c)前記少なくとも1つの電子構成素子(9)が装着された前記導電性フィルム(1)のうち、前記少なくとも1つの電子構成素子(9)が装着された方の側に、別のフィルムをラミネートするステップ、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記別のフィルムも、少なくとも1つの電子構成素子(9)が装着された導電性フィルム(1)である、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
2つの導電性フィルム(1)の間に誘電体が設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記導電性フィルム(1)の上に、前記少なくとも1つの電子構成素子(9)を装着する前に、誘電体からなる被膜を被着し、
この際前記誘電体からなる被膜を、前記導体路構造(7)を形成するための導電性フィルム(1)の導電層(3)をパターニングする前または後に被着する、
ことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記誘電体を、前記導電性フィルム(1)に少なくとも1つの電子構成素子(9)を装着した後に、前記導電性フィルム(1)のうち前記少なくとも1つの電子構成素子(9)が配置されている方の側に被着する、
ことを特徴とする請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
前記誘電体はプラスチック層である、
ことを特徴とする請求項3から5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記導電性フィルム(1)の前記導電層(3)からパターニングされた導体路構造(7)の接続のために、スルーホールコンタクト(17)を設ける、
ことを特徴とする請求項2から6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記電子モジュールのうち外側に向いた少なくとも1つの側に、絶縁層(19)を被着する、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
少なくとも2つの電子モジュールを、互いに接合して層複合体を形成する、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
前記導電性フィルム(1)の表側および裏側に、それぞれ少なくとも1つの電子構成素子(9)を装着する、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
両側にそれぞれ少なくとも1つの電子構成素子(9)が装着されている複数の導電性フィルム(1)を互いに接合して層複合体を形成し、
この際2つの導電性フィルム(1)の間にそれぞれ誘電体を設ける、
ことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記導電性フィルム(1)に装着された少なくとも1つの電子構成素子(9)を、成型材料(15)によって包囲する、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
前記電子モジュールを、最終ステップにおいて成型部材に成型する、
ことを特徴とする請求項1から12のいずれか一項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−524645(P2011−524645A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513971(P2011−513971)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056286
【国際公開番号】WO2009/153129
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】