電気光学装置、電子機器及び電気光学装置の設計方法
【課題】従来の電気光学装置では、製造工程を効率化することが困難である。
【解決手段】第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、複数の画素と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光151を前記第2基板側に反射させる画素電極95と、前記画素に対応して前記第1基板及び画素電極95の間に設けられたトランジスタ素子と、互いに隣り合う画素電極95同士間に設けられた絶縁膜97と、を有しており、光151の波長をλとし、絶縁膜97の屈折率をnとし、互いに隣り合う画素電極95同士間の間隙の幅をdとしたときに、d<0.61×λ/n(式1)を満たすことを特徴とする電気光学装置。
【解決手段】第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、複数の画素と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光151を前記第2基板側に反射させる画素電極95と、前記画素に対応して前記第1基板及び画素電極95の間に設けられたトランジスタ素子と、互いに隣り合う画素電極95同士間に設けられた絶縁膜97と、を有しており、光151の波長をλとし、絶縁膜97の屈折率をnとし、互いに隣り合う画素電極95同士間の間隙の幅をdとしたときに、d<0.61×λ/n(式1)を満たすことを特徴とする電気光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、電子機器及び電気光学装置の設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気光学装置の1つである液晶装置に適用され得るトランジスタ素子において、互いに対向する一対の遮光層の間にシリコン層を介在させた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−293320号公報(第5〜6頁、図13)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、トランジスタ素子において、シリコン層のチャネル領域に光が照射されると、リーク電流(以下、光リーク電流と呼ぶ)が発生しやすい。光リーク電流が発生すると、トランジスタ素子の特性が低下しやすくなる。このため、液晶装置の1つである表示装置において、トランジスタ素子に光リーク電流が発生すると、表示品位が低下しやすくなる。
これに対し、上記特許文献1に記載されたトランジスタ素子では、シリコン層に向かう光を遮光層によって遮ることができる。このため、光リーク電流の発生を低く抑えることができる。この結果、液晶装置の1つである表示装置において、表示品位の向上が図られ得る。
【0005】
しかしながら、遮光層を有する構成では、遮光層を設けるための工程が必要であるため、液晶装置の製造工程を効率化することが困難となる。
つまり、従来の電気光学装置では、製造工程を効率化することが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現され得る。
【0007】
[適用例1]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、複数の画素と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、互いに隣り合う前記反射膜同士間に設けられた屈折層と、を有しており、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光の波長をλとし、前記屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとしたときに、d<0.61×λ/n(式1)を満たすことを特徴とする電気光学装置。
【0008】
この適用例の電気光学装置は、第1基板と、第2基板と、電気光学物質と、複数の画素と、反射膜と、トランジスタ素子と、屈折層と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板の間に挟持されている。反射膜は、第1基板及び電気光学物質の間に設けられている。反射膜は、画素に対応して設けられており、電気光学物質から第1基板側に向かう光を第2基板側に反射させる。トランジスタ素子は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。トランジスタ素子は、画素に対応して設けられている。屈折層は、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に設けられている。
【0009】
この適用例では、電気光学物質から第1基板側に向かう光の波長をλとし、屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙の幅をdとしたときに、下記(式1)の関係が満たされている。
d<0.61×λ/n(式1)
(式1)を満たすことにより、λ以上の波長を有する光を、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入させにくくすることができる。ここで、トランジスタ素子は、第1基板と反射膜との間に設けられている。このため、λ以上の波長を有する光がトランジスタ素子に照射されにくくすることができる。この結果、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えやすくすることができる。
また、この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に遮光層などを設ける必要がないため、遮光層を設けるための工程が必要ない。このため、電気光学装置の製造工程を効率化しやすくすることができる。
【0010】
[適用例2]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、複数の画素と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、互いに隣り合う前記反射膜同士間に設けられた屈折層と、を有しており、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光の波長をλとし、前記屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとしたときに、d2<0.61×λ×(4×t2+d2)0.5/n(式2)を満たすことを特徴とする電気光学装置。
【0011】
この適用例の電気光学装置は、第1基板と、第2基板と、電気光学物質と、複数の画素と、反射膜と、トランジスタ素子と、屈折層と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板の間に挟持されている。反射膜は、第1基板及び電気光学物質の間に設けられている。反射膜は、画素に対応して設けられており、電気光学物質から第1基板側に向かう光を第2基板側に反射させる。トランジスタ素子は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。トランジスタ素子は、画素に対応して設けられている。屈折層は、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に設けられている。
【0012】
この適用例では、電気光学物質から第1基板側に向かう光の波長をλとし、屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙の幅をdとし、反射膜の厚みをtとしたときに、下記(式2)の関係が満たされている。
d2<0.61×λ×(4×t2+d2)0.5/n(式2)
(式2)を満たすことにより、λ以上の波長を有する光を、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入させにくくすることができる。ここで、トランジスタ素子は、第1基板と反射膜との間に設けられている。このため、λ以上の波長を有する光がトランジスタ素子に照射されにくくすることができる。この結果、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えやすくすることができる。
また、この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に遮光層などを設ける必要がないため、遮光層を設けるための工程が必要ない。このため、電気光学装置の製造工程を効率化しやすくすることができる。
【0013】
[適用例3]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、複数の画素と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、を有しており、前記トランジスタ素子は、前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられた半導体層を有しており、前記半導体層は、少なくともチャネル領域を有しており、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとし、前記半導体層及び前記反射膜の間の距離をTとし、平面視で前記反射膜の縁部から前記チャネル領域までの距離をD1としたときに、D1>T×d/t(式3)を満たすことを特徴とする電気光学装置。
【0014】
この適用例の液晶装置は、第1基板と、第2基板と、電気光学物質と、複数の画素と、反射膜と、トランジスタ素子と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板の間に挟持されている。反射膜は、第1基板及び電気光学物質の間に設けられている。反射膜は、画素に対応して設けられており、電気光学物質から第1基板側に向かう光を第2基板側に反射させる。トランジスタ素子は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。トランジスタ素子は、画素に対応して設けられている。トランジスタ素子は、半導体層を有している。半導体層は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。半導体層は、少なくともチャネル領域を有している。
【0015】
この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙の幅をdとし、反射膜の厚みをtとし、半導体層及び反射膜の間の距離をTとし、平面視で反射膜の縁部からチャネル領域までの距離をD1としたときに、下記(式3)の関係が満たされている。
D1>T×d/t(式3)
互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光が届く範囲は、(式3)中の(T×d/t)によって規定される範囲内にとどまる。このため、(式3)を満たすことにより、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光がチャネル領域に到達することを避けやすくすることができる。この結果、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えることができる。
また、この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に遮光層などを設ける必要がないため、遮光層を設けるための工程が必要ない。このため、電気光学装置の製造工程を効率化しやすくすることができる。
【0016】
[適用例4]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、複数の画素と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、を有しており、前記トランジスタ素子は、前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられた半導体層を有しており、前記半導体層は、チャネル領域と、前記チャネル領域とソース又はドレイン領域との間に設けられたLDD領域と、を有しており、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとし、前記半導体層及び前記反射膜の間の距離をTとし、平面視で前記反射膜の縁部から前記LDD領域までの距離をD2としたときに、D2>T×d/t(式4)を満たすことを特徴とする電気光学装置。
【0017】
この適用例の液晶装置は、第1基板と、第2基板と、電気光学物質と、複数の画素と、反射膜と、トランジスタ素子と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板の間に挟持されている。反射膜は、第1基板及び電気光学物質の間に設けられている。反射膜は、画素に対応して設けられており、電気光学物質から第1基板側に向かう光を第2基板側に反射させる。トランジスタ素子は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。トランジスタ素子は、画素に対応して設けられている。トランジスタ素子は、半導体層を有している。半導体層は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。半導体層は、チャネル領域と、チャネル領域とソース又はドレイン領域との間に設けられたLDD領域と、を有している。
【0018】
この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙の幅をdとし、反射膜の厚みをtとし、半導体層及び反射膜の間の距離をTとし、平面視で反射膜の縁部からLDD領域までの距離をD2としたときに、下記(式4)の関係が満たされている。
D2>T×d/t(式4)
互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光が届く範囲は、(式4)中の(T×d/t)によって規定される範囲内にとどまる。このため、(式4)を満たすことにより、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光がLDD領域に到達することを避けやすくすることができる。この結果、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えることができる。
また、この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に遮光層などを設ける必要がないため、遮光層を設けるための工程が必要ない。このため、電気光学装置の製造工程を効率化しやすくすることができる。
【0019】
[適用例5]上記の電気光学装置であって、前記第1基板は、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光に対して透過性を有していることを特徴とする電気光学装置。
【0020】
この適用例の電気光学装置では、第1基板が光に対して透過性を有しているので、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光を、第1基板を介して電気光学装置の外に射出させやすくすることができる。このため、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光が電気光学物質側に反射することを低く抑えることができる。この結果、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光が反射した反射光がトランジスタ素子に照射されることを避けやすくすることができる。
【0021】
[適用例6]上記の電気光学装置であって、前記電気光学物質が液晶であることを特徴とする電気光学装置。
【0022】
この適用例の電気光学装置では、電気光学物質が液晶であるので、反射型の液晶装置を構成することができる。
【0023】
[適用例7]上記の電気光学装置を有することを特徴とする電子機器。
【0024】
この適用例の電子機器は、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えることができる電気光学装置を有している。このため、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えることができる。
また、この電気光学装置では、製造工程を効率化しやすくすることができる。このため、この適用例では、製造工程を効率化しやすくすることができる。
【0025】
[適用例8]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、複数の画素と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、互いに隣り合う前記反射膜同士間に設けられた屈折層と、を有する電気光学装置の設計方法であって、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光の波長をλとし、前記屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとしたときに、d<0.61×λ/n(式1)を満たすようにdの値を設定することを特徴とする電気光学装置の設計方法。
【0026】
この適用例の設計方法が適用され得る電気光学装置は、第1基板と、第2基板と、電気光学物質と、複数の画素と、反射膜と、トランジスタ素子と、屈折層と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板の間に挟持されている。反射膜は、第1基板及び電気光学物質の間に設けられている。反射膜は、画素に対応して設けられており、電気光学物質から第1基板側に向かう光を第2基板側に反射させる。トランジスタ素子は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。トランジスタ素子は、画素に対応して設けられている。屈折層は、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に設けられている。
【0027】
この適用例の設計方法によれば、電気光学物質から第1基板側に向かう光の波長をλとし、屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙の幅をdとしたときに、下記(式1)の関係が満たされる。
d<0.61×λ/n(式1)
この適用例によれば、λ以上の波長を有する光を、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入させにくくすることができる。ここで、トランジスタ素子は、第1基板と反射膜との間に設けられている。このため、λ以上の波長を有する光がトランジスタ素子に照射されにくくすることができる。この結果、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えやすくすることができる。
また、この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に遮光層などを設ける必要がないため、遮光層を設けるための工程が必要ない。このため、電気光学装置の製造工程を効率化しやすくすることができる。
【0028】
[適用例9]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、複数の画素と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、互いに隣り合う前記反射膜同士間に設けられた屈折層と、を有する電気光学装置の設計方法であって、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光の波長をλとし、前記屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとしたときに、d2<0.61×λ×(4×t2+d2)0.5/n(式2)を満たすようにd及びtの値を設定することを特徴とする電気光学装置の設計方法。
【0029】
この適用例の設計方法が適用され得る電気光学装置は、第1基板と、第2基板と、電気光学物質と、複数の画素と、反射膜と、トランジスタ素子と、屈折層と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板の間に挟持されている。反射膜は、第1基板及び電気光学物質の間に設けられている。反射膜は、画素に対応して設けられており、電気光学物質から第1基板側に向かう光を第2基板側に反射させる。トランジスタ素子は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。トランジスタ素子は、画素に対応して設けられている。屈折層は、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に設けられている。
【0030】
この適用例の設計方法によれば、電気光学物質から第1基板側に向かう光の波長をλとし、屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙の幅をdとし、反射膜の厚みをtとしたときに、下記(式2)の関係が満たされる。
d2<0.61×λ×(4×t2+d2)0.5/n(式2)
この適用例によれば、λ以上の波長を有する光を、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入させにくくすることができる。ここで、トランジスタ素子は、第1基板と反射膜との間に設けられている。このため、λ以上の波長を有する光がトランジスタ素子に照射されにくくすることができる。この結果、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えやすくすることができる。
また、この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に遮光層などを設ける必要がないため、遮光層を設けるための工程が必要ない。このため、電気光学装置の製造工程を効率化しやすくすることができる。
【0031】
[適用例10]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、複数の画素と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、を有しており、前記トランジスタ素子は、前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられた半導体層を有しており、前記半導体層は、少なくともチャネル領域を有している電気光学装置の設計方法であって、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとし、前記半導体層及び前記反射膜の間の距離をTとし、平面視で前記反射膜の縁部から前記チャネル領域までの距離をD1としたときに、D1>T×d/t(式3)を満たすように、D1、T、d及びtの値を設定することを特徴とする電気光学装置の設計方法。
【0032】
この適用例の設計方法が適用され得る電気光学装置は、第1基板と、第2基板と、電気光学物質と、複数の画素と、反射膜と、トランジスタ素子と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板の間に挟持されている。反射膜は、第1基板及び電気光学物質の間に設けられている。反射膜は、画素に対応して設けられており、電気光学物質から第1基板側に向かう光を第2基板側に反射させる。トランジスタ素子は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。トランジスタ素子は、画素に対応して設けられている。トランジスタ素子は、半導体層を有している。半導体層は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。半導体層は、少なくともチャネル領域を有している。
【0033】
この適用例の設計方法によれば、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙の幅をdとし、反射膜の厚みをtとし、半導体層及び反射膜の間の距離をTとし、平面視で反射膜の縁部からチャネル領域までの距離をD1としたときに、下記(式3)の関係が満たされる。
D1>T×d/t(式3)
この適用例によれば、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光が届く範囲は、(式3)中の(T×d/t)によって規定される範囲内にとどめられる。このため、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光がチャネル領域に到達することを避けやすくすることができる。この結果、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えることができる。
また、この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に遮光層などを設ける必要がないため、遮光層を設けるための工程が必要ない。このため、電気光学装置の製造工程を効率化しやすくすることができる。
【0034】
[適用例11]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、複数の画素と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、を有しており、前記トランジスタ素子は、前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられた半導体層を有しており、前記半導体層は、チャネル領域と、前記チャネル領域とソース又はドレイン領域との間に設けられたLDD領域と、を有している電気光学装置の設計方法であって、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとし、前記半導体層及び前記反射膜の間の距離をTとし、平面視で前記反射膜の縁部から前記LDD領域までの距離をD2としたときに、D2>T×d/t(式4)を満たすように、D2、T、d及びtの値を設定することを特徴とする電気光学装置の設計方法。
【0035】
この適用例の設計方法が適用され得る電気光学装置は、第1基板と、第2基板と、電気光学物質と、複数の画素と、反射膜と、トランジスタ素子と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板の間に挟持されている。反射膜は、第1基板及び電気光学物質の間に設けられている。反射膜は、画素に対応して設けられており、電気光学物質から第1基板側に向かう光を第2基板側に反射させる。トランジスタ素子は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。トランジスタ素子は、画素に対応して設けられている。トランジスタ素子は、半導体層を有している。半導体層は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。半導体層は、チャネル領域と、チャネル領域とソース又はドレイン領域との間に設けられたLDD領域と、を有している。
【0036】
この適用例の設計方法によれば、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙の幅をdとし、反射膜の厚みをtとし、半導体層及び反射膜の間の距離をTとし、平面視で反射膜の縁部からLDD領域までの距離をD2としたときに、下記(式4)の関係が満たされる。
D2>T×d/t(式4)
この適用例によれば、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光が届く範囲は、(式4)中の(T×d/t)によって規定される範囲内にとどめられる。このため、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光がLDD領域に到達することを避けやすくすることができる。この結果、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えることができる。
また、この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に遮光層などを設ける必要がないため、遮光層を設けるための工程が必要ない。このため、電気光学装置の製造工程を効率化しやすくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
実施形態について、電子機器の1つであるプロジェクタを例に、図面を参照しながら説明する。
本実施形態におけるプロジェクタ1は、主要構成を示すブロック図である図1に示すように、光学系3と、制御回路5と、電源部7と、を有している。プロジェクタ1は、図示しない外部装置から入力される画像信号に応じた画像を、光学系3を介してスクリーンSなどに投射することができる。
【0038】
光学系3は、画像信号に基づいた画像を形成し、形成した画像をスクリーンSなどに投射する。制御回路5は、画像信号に基づいて光学系3の駆動を制御する。
なお、プロジェクタ1では、外部電源9から入力される電力が、電源部7によって直流電力に変換される。光学系3や制御回路5などには、電源部7から直流電力が供給される。
【0039】
光学系3は、ランプ11と、画像形成部13と、投射レンズ部15と、を有している。
ランプ11は、画像形成部13や投射レンズ部15を経てスクリーンSに向けて射出される投射光17を発生する。ランプ11としては、例えば、高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどが採用され得る。
【0040】
画像形成部13は、後述する液晶パネルなどを有している。画像形成部13は、制御回路5から入力される画像データなどに基づいて液晶パネルに画像を形成する。画像形成部13には、ランプ11からの光が照射される。このため、画像形成部13に形成された画像は、ランプ11からの光によって投射レンズ部15に投影される。
【0041】
投射レンズ部15には、ランプ11からの光が画像形成部13を経て入射される。投射レンズ部15は、入射された光を広げる方向に屈折させて、投射光17として射出する。このため、画像形成部13に形成された画像は、拡大された状態でスクリーンSに投射され得る。
【0042】
制御回路5は、制御部21と、画像処理部23と、液晶パネル制御部25と、を有している。
制御部21は、例えば、マイクロコンピュータで構成され、CPU(Central Processing Unit)27と、メモリ部29と、を有している。
CPU27は、メモリ部29に格納されている制御プログラムに従って、プロジェクタ1の動作を統括制御する。メモリ部29は、フラッシュメモリ等のROM(Read Only Memory)や、RAM(Random Access Memory)等を含んでいる。ROMには、CPU27が実行する制御プログラムなどが格納されている。RAMは、CPU27によって実行される制御プログラムを一時的に展開したり、各種設定値等を一時的に格納したりする。
【0043】
画像処理部23には、画像信号が入力される。画像処理部23は、制御部21からの指示に基づいて、画像信号に種々の処理を施す。また、画像処理部23は、画像信号を画像データに変換する。画像信号から変換された画像データは、液晶パネル制御部25に出力される。
なお、画像処理部23が画像信号に施す処理としては、各種の画質調整や、メニュー、メッセージ等のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を合成する処理などが挙げられる。また、各種の画質調整としては、解像度変換、輝度調整、コントラスト調整、シャープネス調整などが挙げられる。
液晶パネル制御部25は、入力された画像データに応じて、画像形成部13の駆動を制御する。
【0044】
ここで、画像形成部13の構成について、詳細を説明する。
画像形成部13は、主要構成を示す図である図2に示すように、分光部31と、画像形成装置33と、画像形成装置35と、画像形成装置37と、光合成部39と、を有している。
分光部31は、ランプ11(図1)からの光41が入射される。分光部31は、図2に示すように、光41から、赤系(R)の色の光41R、緑系(G)の色の光41G、及び青系(B)の色の光41Bのそれぞれを分離する。
【0045】
ここで、Rの色は、純粋な赤の色相に限定されず、橙等を含む。Gの色は、純粋な緑の色相に限定されず、青緑や黄緑等を含む。Bの色は、純粋な青の色相に限定されず、青紫や青緑等を含む。他の観点から、Rの色を呈する光41Rは、光の波長のピークが、可視光領域で570nm以上の範囲にある光であると定義され得る。また、Gの色を呈する光41Gは、光の波長のピークが500nm〜565nmの範囲にある光であると定義され得る。Bの色を呈する光41Bは、光の波長のピークが415nm〜495nmの範囲にある光であると定義され得る。
【0046】
分光部31は、クロスダイクロイックミラー43と、反射ミラー45と、反射ミラー47と、ダイクロイックミラー49と、を有している。光41は、クロスダイクロイックミラー43に照射される。
クロスダイクロイックミラー43は、分離ミラー部43aと、分離ミラー部43bと、を有している。分離ミラー部43aと、分離ミラー部43bとは、互いに交差している。分離ミラー部43aは、光41の入射方向に対して傾斜している。分離ミラー部43bも、光41の入射方向に対して傾斜している。
【0047】
このため、光41は、分離ミラー部43a及び分離ミラー部43bの双方に対して斜めに照射される。
分離ミラー部43aは、光41のうちで、Bの光41Bを透過させ、Rの光41R及びGの光41Gを反射させることができる。他方で、分離ミラー部43bは、光41のうちで、Bの光41Bを反射させ、Rの光41R及びGの光41Gを透過させることができる。
【0048】
従って、クロスダイクロイックミラー43によって、光41からBの光41Bが分離され得る。他方で、Rの光41R及びGの光41Gが混合した光51が、光41から分離され得る。
光41Bの光軸52aと、光51の光軸52bとは、それぞれ、光41の入射方向とは交差する。また、光41Bが進行する向きと、光51が進行する向きとは、互いに異なる向きになる。本実施形態では、光41Bが進行する向きと、光51が進行する向きとは、互いに反対の向きになっている。
【0049】
反射ミラー45は、光41Bの光軸52aと交差する位置に設けられている。反射ミラー45は、光軸52aの方向に対して傾斜している。
また、反射ミラー47は、光51の光軸52bと交差する位置に設けられている。反射ミラー47は、光軸52bの方向に対して傾斜している。光51は、反射ミラー47によって光軸52bが光軸52cに変えられてから、ダイクロイックミラー49に導かれる。
【0050】
ダイクロイックミラー49は、光51の光軸52cと交差する位置に設けられている。ダイクロイックミラー49は、光軸52cの方向に対して傾斜している。ダイクロイックミラー49は、光51のうちで、Rの光41Rを透過させ、Gの光41Gを反射させることができる。従って、ダイクロイックミラー49によって、光51からRの光41Rと、Gの光41Gとが分離され得る。
【0051】
光41Rは、光軸52dに沿って画像形成装置33に導かれる。光41Gは、光軸52eに沿って画像形成装置35に導かれる。また、光41Bは、反射ミラー45によって光軸52aが光軸52fに変えられてから、画像形成装置37に導かれる。
【0052】
画像形成装置33、画像形成装置35及び画像形成装置37は、それぞれ、画像形成パネル53を有している。
また、画像形成装置33は、偏光ビームスプリッタ55Rを有している。画像形成装置35は、偏光ビームスプリッタ55Gを有している。画像形成装置37は、偏光ビームスプリッタ55Bを有している。
【0053】
光合成部39は、クロスダイクロイックプリズム57を有している。クロスダイクロイックプリズム57は、面57aと、面57bと、面57cと、面57dと、を有している。
各画像形成パネル53は、クロスダイクロイックプリズム57に対向した状態で設けられている。
画像形成装置33の画像形成パネル53は、クロスダイクロイックプリズム57の面57aに対向している。画像形成装置35の画像形成パネル53は、面57bに対向している。画像形成装置37の画像形成パネル53は、面57cに対向している。
【0054】
偏光ビームスプリッタ55Rは、画像形成装置33において、画像形成パネル53と、クロスダイクロイックプリズム57との間に介在している。偏光ビームスプリッタ55Gは、画像形成装置35において、画像形成パネル53と、クロスダイクロイックプリズム57との間に介在している。偏光ビームスプリッタ55Bは、画像形成装置37において、画像形成パネル53と、クロスダイクロイックプリズム57との間に介在している。
【0055】
偏光ビームスプリッタ55Rは、光41Rの光軸52dと交差する位置に設けられている。偏光ビームスプリッタ55Rは、光軸52dの方向に対して傾斜しており、光41Rを受ける面が画像形成パネル53側に向けられている。
偏光ビームスプリッタ55Gは、光41Gの光軸52eと交差する位置に設けられている。偏光ビームスプリッタ55Gは、光軸52eの方向に対して傾斜しており、光41Gを受ける面が画像形成パネル53側に向けられている。
偏光ビームスプリッタ55Bは、光41Bの光軸52fと交差する位置に設けられている。偏光ビームスプリッタ55Bは、光軸52fの方向に対して傾斜しており、光41Bを受ける面が画像形成パネル53側に向けられている。
【0056】
偏光ビームスプリッタ55Rは、光41RのうちのS偏光41Rsを反射させ、光41RのうちのP偏光41Rpを透過させることができる。偏光ビームスプリッタ55Gは、光41GのうちのS偏光41Gsを反射させ、光41GのうちのP偏光41Gpを透過させることができる。偏光ビームスプリッタ55Bは、光41BのうちのS偏光41Bsを反射させ、光41BのうちのP偏光41Bpを透過させることができる。
【0057】
ここで、各画像形成パネル53は、反射型の液晶パネルを有している。
各液晶パネルは、後述する複数の画素と、画素ごとに駆動が制御される液晶と、を有している。各液晶パネルは、複数の画素に入射された光の偏光状態を、画素ごとに変化させることができる。なお、液晶パネルについては、詳細を後述する。
本実施形態では、各画像形成パネル53は、図2に示すように、複数の画素に入射されたS偏光41Rs,41Gs,41Bsを、画素ごとに選択的にP偏光41Rp,41Gp,41Bpに変化させることができる。
【0058】
画像形成装置33において、画像形成パネル53から射出されたP偏光41Rpは、偏光ビームスプリッタ55Rを透過することができる。他方で、画像形成パネル53で偏光状態が維持されたまま、画像形成パネル53から射出されたS偏光41Rsは、偏光ビームスプリッタ55Rで反射する。このため、画像形成装置33では、画像形成パネル53から射出されたP偏光41RpでRの画像を形成することができる。
同様に、画像形成装置35では、画像形成パネル53から射出されたP偏光41GpでGの画像を形成することができる。画像形成装置37では、画像形成パネル53から射出されたP偏光41BpでBの画像を形成することができる。
【0059】
画像形成装置33において、画像形成パネル53から射出されたP偏光41Rpは、偏光ビームスプリッタ55Rを透過してから、光合成部39のクロスダイクロイックプリズム57に導かれる。
画像形成装置35において、画像形成パネル53から射出されたP偏光41Gpは、偏光ビームスプリッタ55Gを透過してから、クロスダイクロイックプリズム57に導かれる。
画像形成装置37において、画像形成パネル53から射出されたP偏光41Bpは、偏光ビームスプリッタ55Bを透過してから、クロスダイクロイックプリズム57に導かれる。
【0060】
P偏光41Rpは、クロスダイクロイックプリズム57の面57aからクロスダイクロイックプリズム57に入射する。P偏光41Gpは、面57bからクロスダイクロイックプリズム57に入射する。P偏光41Bpは、面57cからクロスダイクロイックプリズム57に入射する。
このため、面57aには、Rの画像が投影され、面57bには、Gの画像が投影され、面57cには、Bの画像が投影され得る。
【0061】
クロスダイクロイックプリズム57に入射したP偏光41Rp,41Gp,41Bpは、クロスダイクロイックプリズム57によって合成される。つまり、クロスダイクロイックプリズム57によって、Rの画像、Gの画像及びBの画像が合成され得る。
クロスダイクロイックプリズム57によって合成されたP偏光41Rp,41Gp,41Bpは、画像光59としてクロスダイクロイックプリズム57の面57dから射出される。
【0062】
面57dから射出された画像光59は、投射レンズ部15へ導かれてから、投射レンズ部15に入射する。投射レンズ部15に入射した画像光59は、投射光17(図1)としてスクリーンSなどに投射され得る。
【0063】
ここで、画像形成パネル53の構成について、詳細を説明する。
画像形成パネル53は、図3に示すように、液晶装置の1つである液晶パネル61と、位相差板63と、を有している。
ここで、画像形成パネル53には、複数の画素65が設定されている。後述するゲート線131が延在する方向をX方向とし、後述するソース線113が延在する方向をY方向とすれば、複数の画素65は、領域67内で、図中のX方向及びY方向に配列しており、X方向を行方向とし、Y方向を列方向とするマトリクスMを構成している。図3では、構成をわかりやすく示すため、画素65が誇張され、且つ画素65の個数が減じられている。
【0064】
なお、プロジェクタ1では、画像形成パネル53は、位相差板63側の面69が、図2に示すクロスダイクロイックプリズム57側に向けられている。画像形成パネル53では、面69側に画像が形成(表示)される。従って、以下においては、面69は、表示面69と表記される。
領域67は、画像が形成(表示)される領域に相当する。このため、以下において、領域67は、表示領域67と表記される。
【0065】
液晶パネル61は、図3中のA−A線における断面図である図4に示すように、素子基板71と、対向基板73と、液晶75と、シール材77と、を有している。
素子基板71には、表示面69側すなわち液晶75側に、複数の画素65のそれぞれに対応して、後述するスイッチング素子などが設けられている。
対向基板73は、素子基板71よりも表示面69側で素子基板71に対向し、且つ素子基板71との間に隙間を有した状態で設けられている。対向基板73には、面79側すなわち液晶75側に、後述する対向電極などが設けられている。なお、面79は、画像形成パネル53における表示面69とは反対側の底面に相当している。このため、以下において、面79は、底面79と表記される。
【0066】
液晶75は、素子基板71及び対向基板73の間に挟持されており、液晶パネル61の周縁よりも内側で表示領域67を囲むシール材77によって、素子基板71及び対向基板73の間に封止されている。本実施形態では、液晶75の駆動方式として、VA(Vertical Alignment)型の駆動方式が採用されている。
位相差板63は、対向基板73よりも表示面69側、すなわち液晶75側とは反対側に設けられている。画像形成パネル53では、位相差板63は、入射された光に対して1/2波長の位相差を付与する。
【0067】
マトリクスMでは、Y方向に沿って並ぶ複数の画素65が、図5に示すように、1つの画素列81を構成している。また、X方向に沿って並ぶ複数の画素65が、1つの画素行82を構成している。
【0068】
ここで、液晶パネル61の素子基板71及び対向基板73のそれぞれの構成について、詳細を説明する。
素子基板71は、図5中のC−C線における断面図である図6に示すように、第1基板83と、素子層84とを有している。
第1基板83は、例えばガラスや石英などの光透過性を有する材料で構成されており、表示面69側に向けられた第1面83aと、底面79側に向けられた第2面83bとを有している。
【0069】
素子層84は、第1基板83の第1面83aに設けられている。素子層84には、絶縁膜85と、絶縁膜87と、絶縁膜89と、配向膜91とが含まれている。また、素子層84には、画素65ごとに、スイッチング素子の1つであるTFT(Thin Film Transistor)素子93と、画素電極95と、が含まれている。
【0070】
絶縁膜85は、第1基板83の第1面83aに設けられている。絶縁膜87は、絶縁膜85の表示面69側に設けられている。絶縁膜89は、絶縁膜87の表示面69側に設けられている。画素電極95は、絶縁膜89の表示面69側に設けられている。配向膜91は、画素電極95の表示面69側に設けられている。
なお、絶縁膜85の材料としては、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどの無機材料が採用され得る。本実施形態では、絶縁膜85の材料として、酸化シリコンが採用されている。
ここで、互いに隣り合う画素電極95同士間の間隙は、絶縁膜97によって埋められている。絶縁膜97の材料としては、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどの無機材料が採用され得る。本実施形態では、絶縁膜97の材料として、酸化シリコンが採用されている。
【0071】
TFT素子93と、画素電極95とは、それぞれ、画素65に対応して設けられている。
TFT素子93は、拡大図である図7に示すように、半導体層101と、ゲート電極103と、を有している。半導体層101は、絶縁膜85の表示面69側に設けられている。半導体層101は、ゲート絶縁膜105によって表示面69側から覆われている。
【0072】
半導体層101としては、例えば、単結晶シリコンや、多結晶シリコン、非晶質シリコンなどが採用され得る。本実施形態では、半導体層101として、多結晶シリコンが採用されている。
ゲート絶縁膜105の材料としては、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどの無機材料が採用され得る。本実施形態では、ゲート絶縁膜105の材料として、酸化シリコンが採用されている。
【0073】
ゲート電極103は、ゲート絶縁膜105を挟んで半導体層101に対向する位置に設けられている。
ゲート電極103の材料としては、例えば、多結晶シリコンなどにイオンなどを注入したものなどが採用され得る。また、ゲート電極103の材料として、モリブデン、タングステン、タンタル、クロムなどの金属や、これらを含む合金なども採用され得る。モリブデンやタングステンなどを含む合金としては、例えば、モリブデンシリサイドや、タングステンシリサイドなどが挙げられる。
本実施形態では、ゲート電極103として、多結晶シリコンにイオンなどを注入した所謂ポリシリコンゲートが採用されている。
【0074】
本実施形態では、半導体層101は、図8に示すように、チャネル領域101aと、ソース領域101bと、ドレイン領域101cと、LDD(Lightly Doped Drain)領域101dと、LDD領域101eと、を有している。
チャネル領域101aは、平面視でゲート電極103に重なっている。LDD領域101dは、チャネル領域101aとソース領域101bとの間に設けられている。LDD領域101eは、チャネル領域101aとドレイン領域101cとの間に設けられている。
【0075】
上記の構成を有するTFT素子93は、絶縁膜87によって表示面69側から覆われている。絶縁膜87の材料としては、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどの無機材料が採用され得る。本実施形態では、絶縁膜87の材料として、酸化シリコンが採用されている。
絶縁膜87及びゲート絶縁膜105には、図8に示すように、コンタクトホール107aと、コンタクトホール107bと、が設けられている。
コンタクトホール107aは、ソース領域101bに及んでいる。コンタクトホール107bは、ドレイン領域101cに及んでいる。コンタクトホール107a内には、ソース電極109が設けられている。コンタクトホール107b内には、ドレイン電極111が設けられている。
【0076】
絶縁膜87の表示面69側には、図6に示すように、ソース線113が設けられている。ソース線113は、平面視でソース電極109に重なる位置に設けられている。ソース線113とソース電極109とは、互いに電気的につながっている。ソース線113は、ソース電極109を介して半導体層101のソース領域101b(図8)に電気的につながっている。ソース線113は、図6に示すように、絶縁膜89によって表示面69側から覆われている。絶縁膜89の材料としては、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどの無機材料が採用され得る。本実施形態では、絶縁膜89の材料として、酸化シリコンが採用されている。
【0077】
ここで、図8に示すコンタクトホール107bは、絶縁膜89の表示面69側に及んでいる。ドレイン電極111は、図6に示すように、絶縁膜89の表示面69側に及んでいる。画素電極95とドレイン電極111とは、互いに電気的につながっている。画素電極95は、ドレイン電極111を介して半導体層101のドレイン領域101c(図8)に電気的につながっている。
画素電極95としては、例えば、金や、銀、アルミニウムなどの高い光反射性を有する材料が採用され得る。本実施形態では、画素電極95の材料として、アルミニウムが採用されている。
【0078】
画素電極95及び絶縁膜97は、図6に示すように、配向膜91によって表示面69側から覆われている。
配向膜91の材料としては、例えばポリイミドなどの光透過性を有する材料が採用され得る。本実施形態では、配向膜91の材料として、ポリイミドが採用されている。なお、配向膜91には、表示面69側に配向処理が施されている。
【0079】
対向基板73は、第2基板121と、対向層122とを有している。第2基板121は、例えばガラスや石英などの光透過性を有する材料で構成されており、表示面69側に向けられた外向面121aと、底面79側に向けられた対向面121bとを有している。
対向層122は、第2基板121の対向面121bに設けられている。対向層122には、絶縁膜123と、対向電極125と、配向膜127と、が含まれている。
絶縁膜123は、第2基板121の対向面121bに設けられている。絶縁膜123の材料としては、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどの無機材料が採用され得る。本実施形態では、絶縁膜123の材料として、酸化シリコンが採用されている。
【0080】
対向電極125は、絶縁膜123の底面79側に設けられている。対向電極125の材料としては、例えばITO(Indium Tin Oxide)やインジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide)などの光透過性を有する材料が採用され得る。本実施形態では、対向電極125の材料として、ITOが採用されている。
対向電極125は、マトリクスMを構成する複数の画素65(図3)にわたって一連した状態で設けられている。対向電極125は、マトリクスMを構成する複数の画素65に対して共通して機能する。
【0081】
配向膜127は、対向電極125の底面79側に設けられている。対向電極125は、配向膜127によって底面79側から覆われている。配向膜127の材料としては、例えばポリイミドなどの光透過性を有する材料が採用され得る。本実施形態では、配向膜127の材料として、ポリイミドが採用されている。配向膜127には、底面79側に配向処理が施されている。
【0082】
ここで、Y方向に並ぶ複数のソース電極109は、図9に示すように、ソース線113を介して、画素列81(図5)単位で相互に電気的につながっている。
また、X方向に並ぶ複数のゲート電極103は、図9に示すように、ゲート線131を介して、画素行82(図5)単位で相互に電気的につながっている。
複数のソース線113は、それぞれY方向に延びており、X方向に並んでいる。X方向に隣り合うソース線113同士の間には、隙間が設けられている。
複数のゲート線131は、それぞれX方向に延びており、Y方向に並んでいる。Y方向に隣り合うゲート線131同士の間には、隙間が設けられている。
【0083】
画素65は、ソース線113と、ゲート線131との交差に対応して設定されている。
各画素電極95は、図10に示すように、各半導体層101に重なる領域に設けられている。本実施形態では、各画素電極95は、各ソース線113と、各ゲート線131とに重なっている。ソース線113とゲート線131との交差部は、対応する画素電極95に重なっている。
【0084】
素子基板71及び対向基板73の間に介在する液晶75は、図6に示すように、配向膜91と配向膜127との間に介在している。
本実施形態では、図4に示すシール材77は、図6に示す第1基板83の第1面83aと、第2基板121の対向面121bとによって挟持されている。つまり、液晶パネル61では、液晶75は、第1基板83及び第2基板121によって保持されている。なお、シール材77は、配向膜91及び配向膜127の間に設けられていてもよい。この場合、液晶75は、素子基板71及び対向基板73に保持されているとみなされ得る。
【0085】
液晶75は、図6に示すように、L1なる厚みに設定されている。液晶75は、入射した光を変調することができる。本実施形態では、液晶75は、入射した光に位相差を付与することができる。これは、液晶75のリタデーション(複屈折率と厚みL1との積)の設定により実現され得る。本実施形態では、入射した光に1/4波長の位相差を付与するリタデーションが設定されている。
【0086】
液晶パネル61では、画素電極95と対向電極125との間に電圧を印加すると、画素電極95と対向電極125との間に電界が発生する。液晶パネル61では、TFT素子93がOFF状態からON状態に変化すると、画素電極95と対向電極125との間に電界が発生する。この電界によって液晶75の配向状態を画素65ごとに変化させることができる。
プロジェクタ1では、図2に示す画像形成部13に光41を照射した状態で、各液晶パネル61における液晶75の配向状態を画素65ごとに変化させることにより、表示が制御される。液晶75の配向状態は、TFT素子93のOFF状態及びON状態を切り替えることによって変化し得る。
【0087】
図6に示す配向膜91及び配向膜127のそれぞれには、配向処理が施されている。配向処理が施された配向膜91及び配向膜127によって、液晶75の初期的な配向状態が規制される。
図11(a)は、TFT素子93がOFF状態のときの画像形成装置33における偏光状態を示す図であり、図11(b)は、TFT素子93がON状態のときの画像形成装置33における偏光状態を示す図である。
【0088】
画像形成装置33では、偏光ビームスプリッタ55Rの透過軸141は、図11(a)及び図11(b)に示すように、S偏光41Rsの偏光軸に対して直交している。
なお、図11(a)及び図11(b)において、X'方向及びY'方向は、X'方向がP偏光41Rpの偏光軸の方向を示し、Y'方向がS偏光41Rsの偏光軸の方向を示している。X'方向及びY'方向は、XY平面内で互いに直交する任意の2方向である。
【0089】
位相差板63の遅相軸63aは、平面視でX'方向に対して、これらの図で見て反時計方向に67.5度の傾きを有する方向に設定されている。
従って、位相差板63に入射されたS偏光41Rsは、1/2波長の位相差が与えられ、直線偏光143として液晶75に入射される。なお、直線偏光143の偏光軸は、平面視でX'方向に対して、図11(a)及び図11(b)で見て反時計方向に45度の傾きを有している。
【0090】
液晶75に入射された直線偏光143は、TFT素子93がOFF状態のときに、図11(a)に示すように、偏光状態が維持されたまま(位相差が付与されずに)直線偏光143として画素電極95に向けて射出される。
画素電極95に向けて射出された直線偏光143は、偏光状態が維持されたまま画素電極95で反射され、液晶75に入射される。
【0091】
画素電極95から液晶75に入射された直線偏光143は、偏光状態が維持されたまま位相差板63に入射される。位相差板63に入射された直線偏光143は、1/2波長の位相差が与えられ、平面視でY'方向に沿った偏光軸を有するS偏光41Rsとして偏光ビームスプリッタ55Rに向けて射出される。偏光ビームスプリッタ55Rに向けて射出されたS偏光41Rsは、偏光ビームスプリッタ55Rで反射するため、偏光ビームスプリッタ55Rを透過できない。
【0092】
他方で、TFT素子93がON状態のときに、液晶75の配向方向75aは、図11(b)に示すように、X'方向に沿った方向になる。直線偏光143は、液晶75の配向方向75aとは交差している。このため、この配向状態で液晶75に入射された直線偏光143は、1/4波長の位相差が与えられ、この図で見て左回りの円偏光145として画素電極95に向けて射出される。
円偏光145は、画素電極95で反射され、この図で見て右回りすなわち円偏光145とは逆回転の円偏光147として液晶75に入射される。
【0093】
液晶75に入射された円偏光147は、1/4波長の位相差が与えられ、平面視でX'方向に対してこの図で見て反時計方向に135度の傾きを有する偏光軸を有する直線偏光149として位相差板63に入射される。
位相差板63に入射された直線偏光149は、1/2波長の位相差が与えられ、平面視でX'方向に沿った偏光軸を有するP偏光41Rpとして偏光ビームスプリッタ55Rに向けて射出される。
偏光ビームスプリッタ55Rに向けて射出されたP偏光41Rpは、偏光軸が偏光ビームスプリッタ55Rの透過軸141の方向に沿っているため、偏光ビームスプリッタ55Rを透過する。
【0094】
このように、画像形成装置33では、TFT素子93のON状態及びOFF状態の切り替えにより、Rの画像の形成が制御される。
なお、画像形成装置35及び画像形成装置37のそれぞれにおいても、偏光状態は画像形成装置33と同様である。このため、画像形成装置35及び画像形成装置37のそれぞれにおける画像の形成方法については、詳細な説明を省略する。
画像形成装置35及び画像形成装置37のそれぞれにおいても、TFT素子93のON状態及びOFF状態の切り替えにより、Gの画像の形成及びBの画像の形成のそれぞれが制御され得る。
【0095】
各液晶パネル61では、互いに隣り合う2つの画素電極95の間には、図6中のD部の拡大図である図12に示すように、幅がdの間隙が設けられている。間隙の幅dは、0.162μm以下が好ましい。本実施形態では、間隙の幅dは、約0.162μmに設定されている。
間隙の幅dは、回折限界を示す式である式(1)に基づいて設定される。
d=0.61×λ/(n×Sinθ)…(1)
上記の式(1)において、λは、光41に含まれる波長のうち最短の波長を示している。また、nは絶縁膜97の屈折率を示し、θは間隙内に向かう光151(S偏光41Rs,41Gs又は41Bs)の集光角度を示している。なお、図12では、X方向に互いに隣り合う画素電極95同士間の間隙が図示されているが、Y方向に互いに隣り合う画素電極95同士間にも同様に間隙が設けられている。
【0096】
光41では、λは0.4μm程度である。また、絶縁膜97では、nは約1.5である。ここで、Sinθが1以下であることを考慮しつつ、λ及びnの値を式(1)に代入すると、下記式(2)が導き出される。
d=0.61×0.4/1.5≒0.162…(2)
間隙の幅dを上記の式(1)に基づいて設定することにより、λ以上の波長を有する光を、互いに隣り合う画素電極95同士間から底面79側に進入させにくくすることができる。
これにより、λ以上の波長を有する光がTFT素子93に照射されることを低く抑えることができる。この結果、TFT素子93の特性の低下を低く抑えやすくすることができる。
【0097】
本実施形態において、液晶パネル61が電気光学装置に対応し、液晶75が電気光学物質としての液晶に対応し、画素電極95が反射膜に対応し、TFT素子93がトランジスタ素子に対応し、絶縁膜97が屈折層に対応している。
本実施形態では、上述したように、λ以上の波長を有する光がTFT素子93に照射されることを低く抑えることができる。
一般的に、半導体層101に光が照射されると、光リーク電流が発生しやすい。光リーク電流が発生すると、TFT素子93の特性が低下しやすくなる。
【0098】
これに対し、本実施形態では、TFT素子93に光が照射されにくい。このため、TFT素子93の特性の低下を低く抑えやすくすることができる。この結果、プロジェクタ1における表示品位の低下を低く抑えやすくすることができる。
また、本実施形態では、画素電極95同士間に遮光層などを設けることなく、光の進入を低く抑えることができる。このため、遮光層を設けるための工程が必要ない。この結果、液晶パネル61の製造工程を効率化しやすくすることができ、ひいてはプロジェクタ1の製造工程を効率化しやすくすることができる。
【0099】
なお、本実施形態では、画像形成装置33、35及び37のそれぞれにおける液晶パネル61において、間隙の幅dが約0.162μmに設定されているが、間隙の幅dはこれに限定されない。間隙の幅dは、画像形成装置33、35及び37において相互に異なる値に設定することができる。これは、画像形成装置33、35及び37ごとに、S偏光41Rs,41Gs及び41Bsの波長域が異なるためである。
【0100】
つまり、画像形成装置33に適用する液晶パネル61においては、S偏光41Rsに含まれる波長のうちで最短の波長をλとして、間隙の幅dを設定することができる。
画像形成装置35に適用する液晶パネル61においては、S偏光41Gsに含まれる波長のうちで最短の波長をλとして、間隙の幅dを設定することができる。
画像形成装置37に適用する液晶パネル61においては、S偏光41Bsに含まれる波長のうちで最短の波長をλとして、間隙の幅dを設定することができる。
このように、画像形成装置33、35及び37ごとに、間隙の幅dを異なる値に設定することができる。
【0101】
第2実施形態について説明する。
第2実施形態におけるプロジェクタ1は、間隙の幅dの設定が異なることを除いては、第1実施形態におけるプロジェクタ1と同様の構成を有している。従って、以下においては、重複した説明を避けるため、第1実施形態におけるプロジェクタ1と同一の構成については、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0102】
第2実施形態では、間隙の幅dは、下記式(3)に基づいて設定される。
d2<0.61×λ×(4×t2+d2)0.5/n…(3)
ここで、上記の式(3)において、tは、図12に示すように、画素電極95の厚みを示している。
前述の式(1)におけるSinθは、下記式(4)で表される。
Sinθ=(d/2)/((d/2)2+t2)0.5…(4)
式(4)を式(1)に代入すると、上記の式(3)が得られる。
つまり、第2実施形態では、Sinθが、tとdとの関数に替えられている。
【0103】
第2実施形態では、上記の構成により、第1実施形態と同様の効果が得られる。第2実施形態は、間隙の幅dを0.162μm以下に設定することが困難である場合に有効である。つまり、間隙の幅dを0.162μm以下に設定することが困難である場合に、画素電極95の厚みtを、式(3)に基づいて間隙の幅dに応じた値に設定する。
これにより、間隙の幅dを第1実施形態よりも広く設定することができる。
なお、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、画像形成装置33、35及び37ごとに、間隙の幅dを異なる値に設定することができる。
【0104】
第3実施形態について説明する。
第3実施形態におけるプロジェクタ1は、間隙の幅dの設定が異なることを除いては、第1実施形態におけるプロジェクタ1と同様の構成を有している。従って、以下においては、重複した説明を避けるため、第1実施形態におけるプロジェクタ1と同一の構成については、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0105】
第3実施形態では、間隙の幅dは、第1実施形態や第2実施形態における間隙の幅dよりも広く設定されている。このため、S偏光41Rs,41Gs,41Bsのうちで波長が最も短いS偏光41Bsであっても、互いに隣り合う画素電極95同士間の間隙から底面79側に進入し得る。
第3実施形態では、各画素電極95に対する各半導体層101の位置が、下記式(5)に基づいて設定される。
E>T×d/t…(5)
上記の式(5)において、Eは、図13に示すように、各画素電極95の縁部からLDD領域101d(101e)までの平面視での距離を示している。また、Tは、各半導体層101と各画素電極95との間の距離を示している。なお、図13では、構成をわかりやすく示すため、ソース電極109、ソース線113及びドレイン電極111の図示が省略されている。また、図13では、X方向に互いに隣り合う画素電極95同士間の間隙が図示されているが、Y方向に互いに隣り合う画素電極95同士間にも同様に間隙が設けられている。
【0106】
間隙から底面79側に進入した光153(S偏光41Rs,41Gs又は41Bs)は、式(5)中のT×d/tによって規定される範囲外には届かない。
第3実施形態では、上記の構成により、間隙から底面79側に進入した光153がLDD領域101d(101e)に照射されることを避けることができる。
このため、TFT素子93の特性の低下を低く抑えることができる。
また、本実施形態では、画素電極95同士間に遮光層などを設けることなく、TFT素子93の特性の低下を低く抑えることができる。このため、遮光層を省略することができる。この結果、液晶パネル61の製造工程を効率化しやすくすることができ、ひいてはプロジェクタ1の製造工程を効率化しやすくすることができる。
なお、第3実施形態において、距離Eが距離D2に対応している。
【0107】
第4実施形態について説明する。
第4実施形態におけるプロジェクタ1は、半導体層101からLDD領域101d及びLDD領域101eが省略されていることを除いては、第3実施形態におけるプロジェクタ1と同様の構成を有している。従って、以下においては、重複した説明を避けるため、第1実施形態におけるプロジェクタ1と同一の構成については、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0108】
本実施形態では、各画素電極95に対する各半導体層101の位置が、下記式(6)に基づいて設定される。
F>T×d/t…(6)
上記の式(6)において、Fは、図14に示すように、各画素電極95の縁部からチャネル領域101aまでの平面視での距離を示している。なお、図14では、構成をわかりやすく示すため、ソース電極109、ソース線113及びドレイン電極111の図示が省略されている。また、図14では、X方向に互いに隣り合う画素電極95同士間の間隙が図示されているが、Y方向に互いに隣り合う画素電極95同士間にも同様に間隙が設けられている。
【0109】
この構成により、間隙から底面79側に進入した光155(S偏光41Rs,41Gs又は41Bs)がチャネル領域101aに照射されることを避けることができる。
このため、TFT素子93の特性の低下を低く抑えることができる。また、本実施形態では、画素電極95同士間に遮光層などを設けることなく、TFT素子93の特性の低下を低く抑えることができる。このため、遮光層を省略することができる。この結果、液晶パネル61の製造工程を効率化しやすくすることができ、ひいてはプロジェクタ1の製造工程を効率化しやすくすることができる。
なお、第4実施形態において、距離Fが距離D1に対応している。
【0110】
第1〜第4実施形態では、それぞれ、第1基板83が光透過性を有している。このため、間隙から光(S偏光41Rs,41Gs,41Bs)が底面79側に進入しても、進入した光が第1基板83を経て液晶パネル61の外に射出されやすくすることができる。このため、間隙から底面79側に進入した光が液晶75側に反射することを低く抑えることができる。この結果、間隙から底面79側に進入した光が反射した反射光がTFT素子93に照射されることを避けやすくすることができる。この結果、反射光による光リーク電流の発生を一層抑制しやすくすることができ、プロジェクタ1における表示品位の低下を一層低く抑えやすくすることができる。
【0111】
さらに、第1実施形態と第3実施形態とを組み合わせた構成を採用すれば、光リーク電流の発生を一層低く抑えることができる。第1実施形態と第3実施形態とを組み合わせた構成とは、間隙の幅dが式(1)に基づいて設定され、且つ、半導体層101の位置が式(5)に基づいて設定されている構成である。
また、第1実施形態と第4実施形態とを組み合わせた構成を採用することによっても、同様の効果が得られる。第1実施形態と第4実施形態とを組み合わせた構成とは、間隙の幅dが式(1)に基づいて設定され、且つ、半導体層101の位置が式(6)に基づいて設定されている構成である。
また、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせた構成を採用することによっても、同様の効果が得られる。第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせた構成とは、間隙の幅dが式(3)に基づいて設定され、且つ、半導体層101の位置が式(5)に基づいて設定されている構成である。
また、第2実施形態と第4実施形態とを組み合わせた構成を採用することによっても、同様の効果が得られる。第2実施形態と第4実施形態とを組み合わせた構成とは、間隙の幅dが式(3)に基づいて設定され、且つ、半導体層101の位置が式(6)に基づいて設定されている構成である。
【0112】
なお、液晶パネル61の設計方法としては、以下に述べる順序が好ましい。
まず、間隙の幅dを、式(1)に基づいて算出する。このとき、算出された値d1を採用することが可能である場合、その値d1を間隙の幅dとして設定する。
算出された値d1を採用することが困難である場合に、次のステップに移行する。このステップでは、間隙の幅dを、式(3)に基づいて算出する。このとき、算出された値d2を採用することが可能である場合、その値d2を間隙の幅dとして設定する。
算出された値d2を採用することが困難である場合に、次のステップに移行する。このステップでは、各画素電極95に対する各半導体層101の位置を、式(5)又は式(6)に基づいて算出する。そして、算出された値d3を間隙の幅dとして設定する。
【0113】
なお、第1〜第4実施形態では、それぞれ、互いに隣り合う画素電極95同士間の間隙に絶縁膜97を設けた構成が採用されているが、液晶パネル61の構成はこれに限定されない。液晶パネル61の構成としては、絶縁膜97に替えて空気層を設けた構成も採用され得る。空気層では、屈折率nを1とみなすことができるので、第1実施形態及び第2実施形態では、それぞれ、間隙の幅dを広くすることができる。
【0114】
第1〜第4実施形態では、それぞれ、液晶パネル61をプロジェクタ1に適用した例を説明したが、液晶パネル61の適用はプロジェクタ1に限定されない。液晶パネル61は、例えば、ディスプレイなどの表示装置にも適用され得る。
液晶パネル61を表示装置に適用した例を、第5実施形態として説明する。
以下の第5実施形態では、重複した説明を避けるため、第1〜第4実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0115】
表示装置10は、図15に示すように、液晶パネル61と、位相差板63と、偏光板161と、を有している。
表示装置10では、表示面69を介して液晶75に入射された外光を、画素電極95で表示面69側に反射させて、その反射光を表示面69側に射出することによって、反射表示が行われ得る。なお、外光とは、表示装置10の表示面69から入射されるあらゆる光である。外光には、例えば、屋内外の照明光や、太陽光、照明装置からの光などが含まれる。
【0116】
液晶パネル61は、図15中のH−H線における断面図である図16に示すように、対向基板163を有している。第5実施形態での液晶パネル61は、第1実施形態での液晶パネル61の対向基板73が対向基板163に替えられている。
偏光板161は、位相差板63よりも表示面69側に設けられている。偏光板161は、透過軸の方向に偏光軸を有する光を透過させることができる。
【0117】
なお、偏光板161よりも表示面69側や、偏光板161と位相差板63との間、位相差板63と対向基板163との間に、光学補償フィルムを設けた構成も採用され得る。光学補償フィルムを設けることで、液晶75を表示面69の法線方向から見たときや、法線方向から傾斜した方向から見たときなどの液晶75の位相差を補償することができる。これにより、光漏れを低減することができ、コントラストの向上が図られる。
【0118】
光学補償フィルムとしては、屈折率異方性が負のディスコティック液晶分子等をハイブリッド配向させた負の一軸性媒体(例えば、富士フィルム製のWVフィルム)などが採用され得る。また、屈折率異方性が正のネマチック液晶分子等をハイブリッド配向させた正の一軸性媒体(例えば、日本石油製のNHフィルム)なども採用され得る。さらに、負の一軸性媒体と正の一軸性媒体とを組み合わせた構成も採用され得る。その他、各方向の屈折率がnx>ny>nzとなる二軸性媒体や、負のC−Plate等も採用され得る。
【0119】
表示装置10に設定されている複数の画素65は、それぞれ、表示面69から射出する光の色が、図17に示すように、R、G及びBのうちの1つに設定されている。つまり、マトリクスMを構成する複数の画素65は、Rの光を射出する画素65Rと、Gの光を射出する画素65Gと、Bの光を射出する画素65Bとを含んでいる。
なお、以下においては、画素65という表記と、画素65R、65G及び65Bという表記とが、適宜、使いわけられる。
【0120】
また、表示装置10では、1つの画素列81内の各画素65は、光の色がR、G及びBのうちの1つに設定されている。つまり、マトリクスMは、複数の画素65RがY方向に配列した画素列81Rと、複数の画素65GがY方向に配列した画素列81Gと、複数の画素65BがY方向に配列した画素列81Bとを有している。そして、マトリクスMでは、画素列81R、画素列81G及び画素列81Bが、この順でX方向に沿って反復して並んでいる。
なお、以下においては、画素列81という表記と、画素列81R、画素列81G及び画素列81Bという表記とが、適宜、使いわけられる。
【0121】
ここで、対向基板163の構成について説明する。
対向基板163は、図17中のJ−J線における断面図である図18に示すように、対向層164を有している。対向層164は、第2基板121の対向面121bに設けられている。
対向層164には、カラーフィルタ165と、オーバーコート層167と、対向電極125と、配向膜127と、が含まれている。
カラーフィルタ165は、各画素65に対応して設けられている。カラーフィルタ165は、第2基板121の対向面121b側に設けられており、各画素65の領域を底面79側から覆っている。
【0122】
ここで、カラーフィルタ165は、入射された光のうち所定の波長域の光を透過させることができる。カラーフィルタ165は、画素65R、画素65G及び画素65Bごとに異なる色に着色された樹脂などで構成されている。画素65Rに対応するカラーフィルタ165は、Rの光を透過させることができる。画素65Gに対応するカラーフィルタ165はGの光を透過させ、画素65Bに対応するカラーフィルタ165はBの光を透過させることができる。なお、以下において、各カラーフィルタ165に対してR、G及びBが識別される場合に、カラーフィルタ165R、165G及び165Bという表記が用いられる。
【0123】
オーバーコート層167は、カラーフィルタ165の底面79側に設けられている。オーバーコート層167は、光透過性を有する樹脂などで構成されており、カラーフィルタ165を底面79側から覆っている。
なお、対向基板163の構成としては、カラーフィルタ165をR、G及びBごとに区画する遮光膜を設けた構成も採用され得る。この場合、遮光膜は、対向面121bに設けられる。この構成により、表示におけるコントラストの向上を図りやすくすることができる。遮光膜の材料としては、例えば、カーボンブラックやクロムなどの光吸収性が高い材料を含有する樹脂などが採用され得る。
【0124】
本実施形態での液晶パネル61においても、互いに隣り合う画素電極95同士間の間隙の幅dは、第1〜第4実施形態のそれぞれに準じて設定される。
本実施形態での液晶パネル61では、第1〜第4実施形態のそれぞれと同様の効果が得られる。このため、表示装置10では、TFT素子93の特性の低下を低く抑えることができ、表示における表示品位が低下することを抑えやすくすることができる。
【0125】
なお、本実施形態では、液晶パネル61を採用した表示装置10を例に説明したが、表示装置10の構成はこれに限定されない。表示装置10の構成としては、例えば、有機EL(Electro Luminescence)装置も採用され得る。
有機EL装置では、画素電極と対向電極との間に、発光層を含む有機層が介在している。有機EL装置のなかでもトップエミッション型の有機EL装置では、液晶パネル61に準じた構成が採用され得る。この場合、有機層の駆動を画素ごとに制御するトランジスタ素子の特性の低下を低く抑えることができる。これにより、有機EL装置における表示品位の低下を抑えやすくすることができる。
【0126】
また、第1〜第5実施形態では、それぞれ、液晶75の駆動方式としてVA型の駆動方式が採用されているが、駆動方式はこれに限定されない。液晶75の駆動方式は、TN(Twisted Nematic)型、IPS(In Plane Switching)型、FFS(Fringe Field Switching)型等の種々の方式も採用され得る。
【0127】
また、第1〜第5実施形態では、それぞれ、半導体層101として多結晶シリコンが採用されているが、半導体層101はこれに限定されない。半導体層101としては、例えば、単結晶シリコンや非晶質シリコンなども採用され得る。単結晶シリコンや非晶質シリコンなどにおいても、第1〜第5実施形態のそれぞれと同様の効果が得られる。
【0128】
上述した表示装置10は、例えば、図19に示す電子機器500の表示部510に適用され得る。この電子機器500は、携帯電話機である。この電子機器500は、操作ボタン511を有している。表示部510は、操作ボタン511で入力した内容や着信情報を始めとする様々な情報について表示を行うことができる。この電子機器500では、表示部510に表示装置10が適用されているので、表示部510における表示品位を向上させやすくすることができる。
なお、電子機器500としては、携帯電話機に限られず、モバイルコンピュータ、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、カーナビゲーションシステム用の表示機器などの車載機器、オーディオ機器等の種々の電子機器が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本実施形態におけるプロジェクタの主要構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態におけるプロジェクタの画像形成部の主要構成を示す図。
【図3】本実施形態におけるプロジェクタの画像形成パネルを示す斜視図。
【図4】図3中のA−A線における断面図。
【図5】本実施形態での画像形成パネルにおける複数の画素の一部を示す平面図。
【図6】本実施形態での液晶パネルの図5中のC−C線における断面図。
【図7】図6中のTFT素子の拡大図。
【図8】図6中のTFT素子の拡大図。
【図9】本実施形態での半導体層、ソース線及びゲート線の配置を説明する平面図。
【図10】本実施形態での画素電極の配置を説明する平面図。
【図11】本実施形態での画像形成パネルにおける偏光状態を説明する図。
【図12】図6中のD部の拡大図。
【図13】第3実施形態での半導体層の位置を説明する断面図。
【図14】第4実施形態での半導体層の位置を説明する断面図。
【図15】第5実施形態における表示装置の主要構成を示す斜視図。
【図16】図15中のH−H線における断面図。
【図17】第5実施形態での表示装置における複数の画素の一部を示す平面図。
【図18】第5実施形態での液晶パネルの図17中のJ−J線における断面図。
【図19】第5実施形態における表示装置が適用された電子機器の斜視図。
【符号の説明】
【0130】
1…プロジェクタ、3…光学系、10…表示装置、11…ランプ、13…画像形成部、15…投射レンズ部、17…投射光、21…制御部、23…画像処理部、25…液晶パネル制御部、27…CPU、31…分光部、33,35,37…画像形成装置、39…光合成部、41…光、41R,41G,41B…光、41Rs,41Gs,41Bs…S偏光、41Rp,41Gp,41Bp…P偏光、53…画像形成パネル、55R,55G,55B…偏光ビームスプリッタ、57…クロスダイクロイックプリズム、59…画像光、61…液晶パネル、63…位相差板、65…画素、67…表示領域、69…表示面、71…素子基板、73…対向基板、75…液晶、79…底面、83…第1基板、84…素子層、85…絶縁膜、87…絶縁膜、89…絶縁膜、91…配向膜、93…TFT素子、95…画素電極、97…絶縁膜、101…半導体層、101a…チャネル領域、101b…ソース領域、101c…ドレイン領域、101d,101e…LDD領域、103…ゲート電極、105…ゲート絶縁膜、109…ソース電極、111…ドレイン電極、113…ソース線、121…第2基板、122…対向層、123…絶縁膜、125…対向電極、127…配向膜、131…ゲート線、151,153,155…光、161…偏光板、163…対向基板、164…対向層、165…カラーフィルタ、167…オーバーコート層、E…距離、F…距離、M…マトリクス、T…距離、t…厚み、λ…波長。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、電子機器及び電気光学装置の設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気光学装置の1つである液晶装置に適用され得るトランジスタ素子において、互いに対向する一対の遮光層の間にシリコン層を介在させた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−293320号公報(第5〜6頁、図13)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、トランジスタ素子において、シリコン層のチャネル領域に光が照射されると、リーク電流(以下、光リーク電流と呼ぶ)が発生しやすい。光リーク電流が発生すると、トランジスタ素子の特性が低下しやすくなる。このため、液晶装置の1つである表示装置において、トランジスタ素子に光リーク電流が発生すると、表示品位が低下しやすくなる。
これに対し、上記特許文献1に記載されたトランジスタ素子では、シリコン層に向かう光を遮光層によって遮ることができる。このため、光リーク電流の発生を低く抑えることができる。この結果、液晶装置の1つである表示装置において、表示品位の向上が図られ得る。
【0005】
しかしながら、遮光層を有する構成では、遮光層を設けるための工程が必要であるため、液晶装置の製造工程を効率化することが困難となる。
つまり、従来の電気光学装置では、製造工程を効率化することが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現され得る。
【0007】
[適用例1]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、複数の画素と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、互いに隣り合う前記反射膜同士間に設けられた屈折層と、を有しており、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光の波長をλとし、前記屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとしたときに、d<0.61×λ/n(式1)を満たすことを特徴とする電気光学装置。
【0008】
この適用例の電気光学装置は、第1基板と、第2基板と、電気光学物質と、複数の画素と、反射膜と、トランジスタ素子と、屈折層と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板の間に挟持されている。反射膜は、第1基板及び電気光学物質の間に設けられている。反射膜は、画素に対応して設けられており、電気光学物質から第1基板側に向かう光を第2基板側に反射させる。トランジスタ素子は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。トランジスタ素子は、画素に対応して設けられている。屈折層は、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に設けられている。
【0009】
この適用例では、電気光学物質から第1基板側に向かう光の波長をλとし、屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙の幅をdとしたときに、下記(式1)の関係が満たされている。
d<0.61×λ/n(式1)
(式1)を満たすことにより、λ以上の波長を有する光を、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入させにくくすることができる。ここで、トランジスタ素子は、第1基板と反射膜との間に設けられている。このため、λ以上の波長を有する光がトランジスタ素子に照射されにくくすることができる。この結果、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えやすくすることができる。
また、この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に遮光層などを設ける必要がないため、遮光層を設けるための工程が必要ない。このため、電気光学装置の製造工程を効率化しやすくすることができる。
【0010】
[適用例2]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、複数の画素と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、互いに隣り合う前記反射膜同士間に設けられた屈折層と、を有しており、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光の波長をλとし、前記屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとしたときに、d2<0.61×λ×(4×t2+d2)0.5/n(式2)を満たすことを特徴とする電気光学装置。
【0011】
この適用例の電気光学装置は、第1基板と、第2基板と、電気光学物質と、複数の画素と、反射膜と、トランジスタ素子と、屈折層と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板の間に挟持されている。反射膜は、第1基板及び電気光学物質の間に設けられている。反射膜は、画素に対応して設けられており、電気光学物質から第1基板側に向かう光を第2基板側に反射させる。トランジスタ素子は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。トランジスタ素子は、画素に対応して設けられている。屈折層は、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に設けられている。
【0012】
この適用例では、電気光学物質から第1基板側に向かう光の波長をλとし、屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙の幅をdとし、反射膜の厚みをtとしたときに、下記(式2)の関係が満たされている。
d2<0.61×λ×(4×t2+d2)0.5/n(式2)
(式2)を満たすことにより、λ以上の波長を有する光を、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入させにくくすることができる。ここで、トランジスタ素子は、第1基板と反射膜との間に設けられている。このため、λ以上の波長を有する光がトランジスタ素子に照射されにくくすることができる。この結果、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えやすくすることができる。
また、この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に遮光層などを設ける必要がないため、遮光層を設けるための工程が必要ない。このため、電気光学装置の製造工程を効率化しやすくすることができる。
【0013】
[適用例3]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、複数の画素と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、を有しており、前記トランジスタ素子は、前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられた半導体層を有しており、前記半導体層は、少なくともチャネル領域を有しており、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとし、前記半導体層及び前記反射膜の間の距離をTとし、平面視で前記反射膜の縁部から前記チャネル領域までの距離をD1としたときに、D1>T×d/t(式3)を満たすことを特徴とする電気光学装置。
【0014】
この適用例の液晶装置は、第1基板と、第2基板と、電気光学物質と、複数の画素と、反射膜と、トランジスタ素子と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板の間に挟持されている。反射膜は、第1基板及び電気光学物質の間に設けられている。反射膜は、画素に対応して設けられており、電気光学物質から第1基板側に向かう光を第2基板側に反射させる。トランジスタ素子は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。トランジスタ素子は、画素に対応して設けられている。トランジスタ素子は、半導体層を有している。半導体層は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。半導体層は、少なくともチャネル領域を有している。
【0015】
この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙の幅をdとし、反射膜の厚みをtとし、半導体層及び反射膜の間の距離をTとし、平面視で反射膜の縁部からチャネル領域までの距離をD1としたときに、下記(式3)の関係が満たされている。
D1>T×d/t(式3)
互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光が届く範囲は、(式3)中の(T×d/t)によって規定される範囲内にとどまる。このため、(式3)を満たすことにより、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光がチャネル領域に到達することを避けやすくすることができる。この結果、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えることができる。
また、この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に遮光層などを設ける必要がないため、遮光層を設けるための工程が必要ない。このため、電気光学装置の製造工程を効率化しやすくすることができる。
【0016】
[適用例4]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、複数の画素と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、を有しており、前記トランジスタ素子は、前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられた半導体層を有しており、前記半導体層は、チャネル領域と、前記チャネル領域とソース又はドレイン領域との間に設けられたLDD領域と、を有しており、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとし、前記半導体層及び前記反射膜の間の距離をTとし、平面視で前記反射膜の縁部から前記LDD領域までの距離をD2としたときに、D2>T×d/t(式4)を満たすことを特徴とする電気光学装置。
【0017】
この適用例の液晶装置は、第1基板と、第2基板と、電気光学物質と、複数の画素と、反射膜と、トランジスタ素子と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板の間に挟持されている。反射膜は、第1基板及び電気光学物質の間に設けられている。反射膜は、画素に対応して設けられており、電気光学物質から第1基板側に向かう光を第2基板側に反射させる。トランジスタ素子は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。トランジスタ素子は、画素に対応して設けられている。トランジスタ素子は、半導体層を有している。半導体層は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。半導体層は、チャネル領域と、チャネル領域とソース又はドレイン領域との間に設けられたLDD領域と、を有している。
【0018】
この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙の幅をdとし、反射膜の厚みをtとし、半導体層及び反射膜の間の距離をTとし、平面視で反射膜の縁部からLDD領域までの距離をD2としたときに、下記(式4)の関係が満たされている。
D2>T×d/t(式4)
互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光が届く範囲は、(式4)中の(T×d/t)によって規定される範囲内にとどまる。このため、(式4)を満たすことにより、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光がLDD領域に到達することを避けやすくすることができる。この結果、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えることができる。
また、この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に遮光層などを設ける必要がないため、遮光層を設けるための工程が必要ない。このため、電気光学装置の製造工程を効率化しやすくすることができる。
【0019】
[適用例5]上記の電気光学装置であって、前記第1基板は、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光に対して透過性を有していることを特徴とする電気光学装置。
【0020】
この適用例の電気光学装置では、第1基板が光に対して透過性を有しているので、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光を、第1基板を介して電気光学装置の外に射出させやすくすることができる。このため、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光が電気光学物質側に反射することを低く抑えることができる。この結果、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光が反射した反射光がトランジスタ素子に照射されることを避けやすくすることができる。
【0021】
[適用例6]上記の電気光学装置であって、前記電気光学物質が液晶であることを特徴とする電気光学装置。
【0022】
この適用例の電気光学装置では、電気光学物質が液晶であるので、反射型の液晶装置を構成することができる。
【0023】
[適用例7]上記の電気光学装置を有することを特徴とする電子機器。
【0024】
この適用例の電子機器は、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えることができる電気光学装置を有している。このため、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えることができる。
また、この電気光学装置では、製造工程を効率化しやすくすることができる。このため、この適用例では、製造工程を効率化しやすくすることができる。
【0025】
[適用例8]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、複数の画素と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、互いに隣り合う前記反射膜同士間に設けられた屈折層と、を有する電気光学装置の設計方法であって、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光の波長をλとし、前記屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとしたときに、d<0.61×λ/n(式1)を満たすようにdの値を設定することを特徴とする電気光学装置の設計方法。
【0026】
この適用例の設計方法が適用され得る電気光学装置は、第1基板と、第2基板と、電気光学物質と、複数の画素と、反射膜と、トランジスタ素子と、屈折層と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板の間に挟持されている。反射膜は、第1基板及び電気光学物質の間に設けられている。反射膜は、画素に対応して設けられており、電気光学物質から第1基板側に向かう光を第2基板側に反射させる。トランジスタ素子は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。トランジスタ素子は、画素に対応して設けられている。屈折層は、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に設けられている。
【0027】
この適用例の設計方法によれば、電気光学物質から第1基板側に向かう光の波長をλとし、屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙の幅をdとしたときに、下記(式1)の関係が満たされる。
d<0.61×λ/n(式1)
この適用例によれば、λ以上の波長を有する光を、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入させにくくすることができる。ここで、トランジスタ素子は、第1基板と反射膜との間に設けられている。このため、λ以上の波長を有する光がトランジスタ素子に照射されにくくすることができる。この結果、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えやすくすることができる。
また、この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に遮光層などを設ける必要がないため、遮光層を設けるための工程が必要ない。このため、電気光学装置の製造工程を効率化しやすくすることができる。
【0028】
[適用例9]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、複数の画素と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、互いに隣り合う前記反射膜同士間に設けられた屈折層と、を有する電気光学装置の設計方法であって、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光の波長をλとし、前記屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとしたときに、d2<0.61×λ×(4×t2+d2)0.5/n(式2)を満たすようにd及びtの値を設定することを特徴とする電気光学装置の設計方法。
【0029】
この適用例の設計方法が適用され得る電気光学装置は、第1基板と、第2基板と、電気光学物質と、複数の画素と、反射膜と、トランジスタ素子と、屈折層と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板の間に挟持されている。反射膜は、第1基板及び電気光学物質の間に設けられている。反射膜は、画素に対応して設けられており、電気光学物質から第1基板側に向かう光を第2基板側に反射させる。トランジスタ素子は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。トランジスタ素子は、画素に対応して設けられている。屈折層は、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に設けられている。
【0030】
この適用例の設計方法によれば、電気光学物質から第1基板側に向かう光の波長をλとし、屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙の幅をdとし、反射膜の厚みをtとしたときに、下記(式2)の関係が満たされる。
d2<0.61×λ×(4×t2+d2)0.5/n(式2)
この適用例によれば、λ以上の波長を有する光を、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入させにくくすることができる。ここで、トランジスタ素子は、第1基板と反射膜との間に設けられている。このため、λ以上の波長を有する光がトランジスタ素子に照射されにくくすることができる。この結果、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えやすくすることができる。
また、この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に遮光層などを設ける必要がないため、遮光層を設けるための工程が必要ない。このため、電気光学装置の製造工程を効率化しやすくすることができる。
【0031】
[適用例10]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、複数の画素と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、を有しており、前記トランジスタ素子は、前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられた半導体層を有しており、前記半導体層は、少なくともチャネル領域を有している電気光学装置の設計方法であって、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとし、前記半導体層及び前記反射膜の間の距離をTとし、平面視で前記反射膜の縁部から前記チャネル領域までの距離をD1としたときに、D1>T×d/t(式3)を満たすように、D1、T、d及びtの値を設定することを特徴とする電気光学装置の設計方法。
【0032】
この適用例の設計方法が適用され得る電気光学装置は、第1基板と、第2基板と、電気光学物質と、複数の画素と、反射膜と、トランジスタ素子と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板の間に挟持されている。反射膜は、第1基板及び電気光学物質の間に設けられている。反射膜は、画素に対応して設けられており、電気光学物質から第1基板側に向かう光を第2基板側に反射させる。トランジスタ素子は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。トランジスタ素子は、画素に対応して設けられている。トランジスタ素子は、半導体層を有している。半導体層は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。半導体層は、少なくともチャネル領域を有している。
【0033】
この適用例の設計方法によれば、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙の幅をdとし、反射膜の厚みをtとし、半導体層及び反射膜の間の距離をTとし、平面視で反射膜の縁部からチャネル領域までの距離をD1としたときに、下記(式3)の関係が満たされる。
D1>T×d/t(式3)
この適用例によれば、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光が届く範囲は、(式3)中の(T×d/t)によって規定される範囲内にとどめられる。このため、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光がチャネル領域に到達することを避けやすくすることができる。この結果、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えることができる。
また、この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に遮光層などを設ける必要がないため、遮光層を設けるための工程が必要ない。このため、電気光学装置の製造工程を効率化しやすくすることができる。
【0034】
[適用例11]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、複数の画素と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、を有しており、前記トランジスタ素子は、前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられた半導体層を有しており、前記半導体層は、チャネル領域と、前記チャネル領域とソース又はドレイン領域との間に設けられたLDD領域と、を有している電気光学装置の設計方法であって、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとし、前記半導体層及び前記反射膜の間の距離をTとし、平面視で前記反射膜の縁部から前記LDD領域までの距離をD2としたときに、D2>T×d/t(式4)を満たすように、D2、T、d及びtの値を設定することを特徴とする電気光学装置の設計方法。
【0035】
この適用例の設計方法が適用され得る電気光学装置は、第1基板と、第2基板と、電気光学物質と、複数の画素と、反射膜と、トランジスタ素子と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板の間に挟持されている。反射膜は、第1基板及び電気光学物質の間に設けられている。反射膜は、画素に対応して設けられており、電気光学物質から第1基板側に向かう光を第2基板側に反射させる。トランジスタ素子は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。トランジスタ素子は、画素に対応して設けられている。トランジスタ素子は、半導体層を有している。半導体層は、第1基板及び反射膜の間に設けられている。半導体層は、チャネル領域と、チャネル領域とソース又はドレイン領域との間に設けられたLDD領域と、を有している。
【0036】
この適用例の設計方法によれば、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙の幅をdとし、反射膜の厚みをtとし、半導体層及び反射膜の間の距離をTとし、平面視で反射膜の縁部からLDD領域までの距離をD2としたときに、下記(式4)の関係が満たされる。
D2>T×d/t(式4)
この適用例によれば、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光が届く範囲は、(式4)中の(T×d/t)によって規定される範囲内にとどめられる。このため、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙から第1基板側に進入した光がLDD領域に到達することを避けやすくすることができる。この結果、トランジスタ素子の特性の低下を低く抑えることができる。
また、この適用例では、互いに隣り合う反射膜同士間の間隙に遮光層などを設ける必要がないため、遮光層を設けるための工程が必要ない。このため、電気光学装置の製造工程を効率化しやすくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
実施形態について、電子機器の1つであるプロジェクタを例に、図面を参照しながら説明する。
本実施形態におけるプロジェクタ1は、主要構成を示すブロック図である図1に示すように、光学系3と、制御回路5と、電源部7と、を有している。プロジェクタ1は、図示しない外部装置から入力される画像信号に応じた画像を、光学系3を介してスクリーンSなどに投射することができる。
【0038】
光学系3は、画像信号に基づいた画像を形成し、形成した画像をスクリーンSなどに投射する。制御回路5は、画像信号に基づいて光学系3の駆動を制御する。
なお、プロジェクタ1では、外部電源9から入力される電力が、電源部7によって直流電力に変換される。光学系3や制御回路5などには、電源部7から直流電力が供給される。
【0039】
光学系3は、ランプ11と、画像形成部13と、投射レンズ部15と、を有している。
ランプ11は、画像形成部13や投射レンズ部15を経てスクリーンSに向けて射出される投射光17を発生する。ランプ11としては、例えば、高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどが採用され得る。
【0040】
画像形成部13は、後述する液晶パネルなどを有している。画像形成部13は、制御回路5から入力される画像データなどに基づいて液晶パネルに画像を形成する。画像形成部13には、ランプ11からの光が照射される。このため、画像形成部13に形成された画像は、ランプ11からの光によって投射レンズ部15に投影される。
【0041】
投射レンズ部15には、ランプ11からの光が画像形成部13を経て入射される。投射レンズ部15は、入射された光を広げる方向に屈折させて、投射光17として射出する。このため、画像形成部13に形成された画像は、拡大された状態でスクリーンSに投射され得る。
【0042】
制御回路5は、制御部21と、画像処理部23と、液晶パネル制御部25と、を有している。
制御部21は、例えば、マイクロコンピュータで構成され、CPU(Central Processing Unit)27と、メモリ部29と、を有している。
CPU27は、メモリ部29に格納されている制御プログラムに従って、プロジェクタ1の動作を統括制御する。メモリ部29は、フラッシュメモリ等のROM(Read Only Memory)や、RAM(Random Access Memory)等を含んでいる。ROMには、CPU27が実行する制御プログラムなどが格納されている。RAMは、CPU27によって実行される制御プログラムを一時的に展開したり、各種設定値等を一時的に格納したりする。
【0043】
画像処理部23には、画像信号が入力される。画像処理部23は、制御部21からの指示に基づいて、画像信号に種々の処理を施す。また、画像処理部23は、画像信号を画像データに変換する。画像信号から変換された画像データは、液晶パネル制御部25に出力される。
なお、画像処理部23が画像信号に施す処理としては、各種の画質調整や、メニュー、メッセージ等のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を合成する処理などが挙げられる。また、各種の画質調整としては、解像度変換、輝度調整、コントラスト調整、シャープネス調整などが挙げられる。
液晶パネル制御部25は、入力された画像データに応じて、画像形成部13の駆動を制御する。
【0044】
ここで、画像形成部13の構成について、詳細を説明する。
画像形成部13は、主要構成を示す図である図2に示すように、分光部31と、画像形成装置33と、画像形成装置35と、画像形成装置37と、光合成部39と、を有している。
分光部31は、ランプ11(図1)からの光41が入射される。分光部31は、図2に示すように、光41から、赤系(R)の色の光41R、緑系(G)の色の光41G、及び青系(B)の色の光41Bのそれぞれを分離する。
【0045】
ここで、Rの色は、純粋な赤の色相に限定されず、橙等を含む。Gの色は、純粋な緑の色相に限定されず、青緑や黄緑等を含む。Bの色は、純粋な青の色相に限定されず、青紫や青緑等を含む。他の観点から、Rの色を呈する光41Rは、光の波長のピークが、可視光領域で570nm以上の範囲にある光であると定義され得る。また、Gの色を呈する光41Gは、光の波長のピークが500nm〜565nmの範囲にある光であると定義され得る。Bの色を呈する光41Bは、光の波長のピークが415nm〜495nmの範囲にある光であると定義され得る。
【0046】
分光部31は、クロスダイクロイックミラー43と、反射ミラー45と、反射ミラー47と、ダイクロイックミラー49と、を有している。光41は、クロスダイクロイックミラー43に照射される。
クロスダイクロイックミラー43は、分離ミラー部43aと、分離ミラー部43bと、を有している。分離ミラー部43aと、分離ミラー部43bとは、互いに交差している。分離ミラー部43aは、光41の入射方向に対して傾斜している。分離ミラー部43bも、光41の入射方向に対して傾斜している。
【0047】
このため、光41は、分離ミラー部43a及び分離ミラー部43bの双方に対して斜めに照射される。
分離ミラー部43aは、光41のうちで、Bの光41Bを透過させ、Rの光41R及びGの光41Gを反射させることができる。他方で、分離ミラー部43bは、光41のうちで、Bの光41Bを反射させ、Rの光41R及びGの光41Gを透過させることができる。
【0048】
従って、クロスダイクロイックミラー43によって、光41からBの光41Bが分離され得る。他方で、Rの光41R及びGの光41Gが混合した光51が、光41から分離され得る。
光41Bの光軸52aと、光51の光軸52bとは、それぞれ、光41の入射方向とは交差する。また、光41Bが進行する向きと、光51が進行する向きとは、互いに異なる向きになる。本実施形態では、光41Bが進行する向きと、光51が進行する向きとは、互いに反対の向きになっている。
【0049】
反射ミラー45は、光41Bの光軸52aと交差する位置に設けられている。反射ミラー45は、光軸52aの方向に対して傾斜している。
また、反射ミラー47は、光51の光軸52bと交差する位置に設けられている。反射ミラー47は、光軸52bの方向に対して傾斜している。光51は、反射ミラー47によって光軸52bが光軸52cに変えられてから、ダイクロイックミラー49に導かれる。
【0050】
ダイクロイックミラー49は、光51の光軸52cと交差する位置に設けられている。ダイクロイックミラー49は、光軸52cの方向に対して傾斜している。ダイクロイックミラー49は、光51のうちで、Rの光41Rを透過させ、Gの光41Gを反射させることができる。従って、ダイクロイックミラー49によって、光51からRの光41Rと、Gの光41Gとが分離され得る。
【0051】
光41Rは、光軸52dに沿って画像形成装置33に導かれる。光41Gは、光軸52eに沿って画像形成装置35に導かれる。また、光41Bは、反射ミラー45によって光軸52aが光軸52fに変えられてから、画像形成装置37に導かれる。
【0052】
画像形成装置33、画像形成装置35及び画像形成装置37は、それぞれ、画像形成パネル53を有している。
また、画像形成装置33は、偏光ビームスプリッタ55Rを有している。画像形成装置35は、偏光ビームスプリッタ55Gを有している。画像形成装置37は、偏光ビームスプリッタ55Bを有している。
【0053】
光合成部39は、クロスダイクロイックプリズム57を有している。クロスダイクロイックプリズム57は、面57aと、面57bと、面57cと、面57dと、を有している。
各画像形成パネル53は、クロスダイクロイックプリズム57に対向した状態で設けられている。
画像形成装置33の画像形成パネル53は、クロスダイクロイックプリズム57の面57aに対向している。画像形成装置35の画像形成パネル53は、面57bに対向している。画像形成装置37の画像形成パネル53は、面57cに対向している。
【0054】
偏光ビームスプリッタ55Rは、画像形成装置33において、画像形成パネル53と、クロスダイクロイックプリズム57との間に介在している。偏光ビームスプリッタ55Gは、画像形成装置35において、画像形成パネル53と、クロスダイクロイックプリズム57との間に介在している。偏光ビームスプリッタ55Bは、画像形成装置37において、画像形成パネル53と、クロスダイクロイックプリズム57との間に介在している。
【0055】
偏光ビームスプリッタ55Rは、光41Rの光軸52dと交差する位置に設けられている。偏光ビームスプリッタ55Rは、光軸52dの方向に対して傾斜しており、光41Rを受ける面が画像形成パネル53側に向けられている。
偏光ビームスプリッタ55Gは、光41Gの光軸52eと交差する位置に設けられている。偏光ビームスプリッタ55Gは、光軸52eの方向に対して傾斜しており、光41Gを受ける面が画像形成パネル53側に向けられている。
偏光ビームスプリッタ55Bは、光41Bの光軸52fと交差する位置に設けられている。偏光ビームスプリッタ55Bは、光軸52fの方向に対して傾斜しており、光41Bを受ける面が画像形成パネル53側に向けられている。
【0056】
偏光ビームスプリッタ55Rは、光41RのうちのS偏光41Rsを反射させ、光41RのうちのP偏光41Rpを透過させることができる。偏光ビームスプリッタ55Gは、光41GのうちのS偏光41Gsを反射させ、光41GのうちのP偏光41Gpを透過させることができる。偏光ビームスプリッタ55Bは、光41BのうちのS偏光41Bsを反射させ、光41BのうちのP偏光41Bpを透過させることができる。
【0057】
ここで、各画像形成パネル53は、反射型の液晶パネルを有している。
各液晶パネルは、後述する複数の画素と、画素ごとに駆動が制御される液晶と、を有している。各液晶パネルは、複数の画素に入射された光の偏光状態を、画素ごとに変化させることができる。なお、液晶パネルについては、詳細を後述する。
本実施形態では、各画像形成パネル53は、図2に示すように、複数の画素に入射されたS偏光41Rs,41Gs,41Bsを、画素ごとに選択的にP偏光41Rp,41Gp,41Bpに変化させることができる。
【0058】
画像形成装置33において、画像形成パネル53から射出されたP偏光41Rpは、偏光ビームスプリッタ55Rを透過することができる。他方で、画像形成パネル53で偏光状態が維持されたまま、画像形成パネル53から射出されたS偏光41Rsは、偏光ビームスプリッタ55Rで反射する。このため、画像形成装置33では、画像形成パネル53から射出されたP偏光41RpでRの画像を形成することができる。
同様に、画像形成装置35では、画像形成パネル53から射出されたP偏光41GpでGの画像を形成することができる。画像形成装置37では、画像形成パネル53から射出されたP偏光41BpでBの画像を形成することができる。
【0059】
画像形成装置33において、画像形成パネル53から射出されたP偏光41Rpは、偏光ビームスプリッタ55Rを透過してから、光合成部39のクロスダイクロイックプリズム57に導かれる。
画像形成装置35において、画像形成パネル53から射出されたP偏光41Gpは、偏光ビームスプリッタ55Gを透過してから、クロスダイクロイックプリズム57に導かれる。
画像形成装置37において、画像形成パネル53から射出されたP偏光41Bpは、偏光ビームスプリッタ55Bを透過してから、クロスダイクロイックプリズム57に導かれる。
【0060】
P偏光41Rpは、クロスダイクロイックプリズム57の面57aからクロスダイクロイックプリズム57に入射する。P偏光41Gpは、面57bからクロスダイクロイックプリズム57に入射する。P偏光41Bpは、面57cからクロスダイクロイックプリズム57に入射する。
このため、面57aには、Rの画像が投影され、面57bには、Gの画像が投影され、面57cには、Bの画像が投影され得る。
【0061】
クロスダイクロイックプリズム57に入射したP偏光41Rp,41Gp,41Bpは、クロスダイクロイックプリズム57によって合成される。つまり、クロスダイクロイックプリズム57によって、Rの画像、Gの画像及びBの画像が合成され得る。
クロスダイクロイックプリズム57によって合成されたP偏光41Rp,41Gp,41Bpは、画像光59としてクロスダイクロイックプリズム57の面57dから射出される。
【0062】
面57dから射出された画像光59は、投射レンズ部15へ導かれてから、投射レンズ部15に入射する。投射レンズ部15に入射した画像光59は、投射光17(図1)としてスクリーンSなどに投射され得る。
【0063】
ここで、画像形成パネル53の構成について、詳細を説明する。
画像形成パネル53は、図3に示すように、液晶装置の1つである液晶パネル61と、位相差板63と、を有している。
ここで、画像形成パネル53には、複数の画素65が設定されている。後述するゲート線131が延在する方向をX方向とし、後述するソース線113が延在する方向をY方向とすれば、複数の画素65は、領域67内で、図中のX方向及びY方向に配列しており、X方向を行方向とし、Y方向を列方向とするマトリクスMを構成している。図3では、構成をわかりやすく示すため、画素65が誇張され、且つ画素65の個数が減じられている。
【0064】
なお、プロジェクタ1では、画像形成パネル53は、位相差板63側の面69が、図2に示すクロスダイクロイックプリズム57側に向けられている。画像形成パネル53では、面69側に画像が形成(表示)される。従って、以下においては、面69は、表示面69と表記される。
領域67は、画像が形成(表示)される領域に相当する。このため、以下において、領域67は、表示領域67と表記される。
【0065】
液晶パネル61は、図3中のA−A線における断面図である図4に示すように、素子基板71と、対向基板73と、液晶75と、シール材77と、を有している。
素子基板71には、表示面69側すなわち液晶75側に、複数の画素65のそれぞれに対応して、後述するスイッチング素子などが設けられている。
対向基板73は、素子基板71よりも表示面69側で素子基板71に対向し、且つ素子基板71との間に隙間を有した状態で設けられている。対向基板73には、面79側すなわち液晶75側に、後述する対向電極などが設けられている。なお、面79は、画像形成パネル53における表示面69とは反対側の底面に相当している。このため、以下において、面79は、底面79と表記される。
【0066】
液晶75は、素子基板71及び対向基板73の間に挟持されており、液晶パネル61の周縁よりも内側で表示領域67を囲むシール材77によって、素子基板71及び対向基板73の間に封止されている。本実施形態では、液晶75の駆動方式として、VA(Vertical Alignment)型の駆動方式が採用されている。
位相差板63は、対向基板73よりも表示面69側、すなわち液晶75側とは反対側に設けられている。画像形成パネル53では、位相差板63は、入射された光に対して1/2波長の位相差を付与する。
【0067】
マトリクスMでは、Y方向に沿って並ぶ複数の画素65が、図5に示すように、1つの画素列81を構成している。また、X方向に沿って並ぶ複数の画素65が、1つの画素行82を構成している。
【0068】
ここで、液晶パネル61の素子基板71及び対向基板73のそれぞれの構成について、詳細を説明する。
素子基板71は、図5中のC−C線における断面図である図6に示すように、第1基板83と、素子層84とを有している。
第1基板83は、例えばガラスや石英などの光透過性を有する材料で構成されており、表示面69側に向けられた第1面83aと、底面79側に向けられた第2面83bとを有している。
【0069】
素子層84は、第1基板83の第1面83aに設けられている。素子層84には、絶縁膜85と、絶縁膜87と、絶縁膜89と、配向膜91とが含まれている。また、素子層84には、画素65ごとに、スイッチング素子の1つであるTFT(Thin Film Transistor)素子93と、画素電極95と、が含まれている。
【0070】
絶縁膜85は、第1基板83の第1面83aに設けられている。絶縁膜87は、絶縁膜85の表示面69側に設けられている。絶縁膜89は、絶縁膜87の表示面69側に設けられている。画素電極95は、絶縁膜89の表示面69側に設けられている。配向膜91は、画素電極95の表示面69側に設けられている。
なお、絶縁膜85の材料としては、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどの無機材料が採用され得る。本実施形態では、絶縁膜85の材料として、酸化シリコンが採用されている。
ここで、互いに隣り合う画素電極95同士間の間隙は、絶縁膜97によって埋められている。絶縁膜97の材料としては、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどの無機材料が採用され得る。本実施形態では、絶縁膜97の材料として、酸化シリコンが採用されている。
【0071】
TFT素子93と、画素電極95とは、それぞれ、画素65に対応して設けられている。
TFT素子93は、拡大図である図7に示すように、半導体層101と、ゲート電極103と、を有している。半導体層101は、絶縁膜85の表示面69側に設けられている。半導体層101は、ゲート絶縁膜105によって表示面69側から覆われている。
【0072】
半導体層101としては、例えば、単結晶シリコンや、多結晶シリコン、非晶質シリコンなどが採用され得る。本実施形態では、半導体層101として、多結晶シリコンが採用されている。
ゲート絶縁膜105の材料としては、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどの無機材料が採用され得る。本実施形態では、ゲート絶縁膜105の材料として、酸化シリコンが採用されている。
【0073】
ゲート電極103は、ゲート絶縁膜105を挟んで半導体層101に対向する位置に設けられている。
ゲート電極103の材料としては、例えば、多結晶シリコンなどにイオンなどを注入したものなどが採用され得る。また、ゲート電極103の材料として、モリブデン、タングステン、タンタル、クロムなどの金属や、これらを含む合金なども採用され得る。モリブデンやタングステンなどを含む合金としては、例えば、モリブデンシリサイドや、タングステンシリサイドなどが挙げられる。
本実施形態では、ゲート電極103として、多結晶シリコンにイオンなどを注入した所謂ポリシリコンゲートが採用されている。
【0074】
本実施形態では、半導体層101は、図8に示すように、チャネル領域101aと、ソース領域101bと、ドレイン領域101cと、LDD(Lightly Doped Drain)領域101dと、LDD領域101eと、を有している。
チャネル領域101aは、平面視でゲート電極103に重なっている。LDD領域101dは、チャネル領域101aとソース領域101bとの間に設けられている。LDD領域101eは、チャネル領域101aとドレイン領域101cとの間に設けられている。
【0075】
上記の構成を有するTFT素子93は、絶縁膜87によって表示面69側から覆われている。絶縁膜87の材料としては、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどの無機材料が採用され得る。本実施形態では、絶縁膜87の材料として、酸化シリコンが採用されている。
絶縁膜87及びゲート絶縁膜105には、図8に示すように、コンタクトホール107aと、コンタクトホール107bと、が設けられている。
コンタクトホール107aは、ソース領域101bに及んでいる。コンタクトホール107bは、ドレイン領域101cに及んでいる。コンタクトホール107a内には、ソース電極109が設けられている。コンタクトホール107b内には、ドレイン電極111が設けられている。
【0076】
絶縁膜87の表示面69側には、図6に示すように、ソース線113が設けられている。ソース線113は、平面視でソース電極109に重なる位置に設けられている。ソース線113とソース電極109とは、互いに電気的につながっている。ソース線113は、ソース電極109を介して半導体層101のソース領域101b(図8)に電気的につながっている。ソース線113は、図6に示すように、絶縁膜89によって表示面69側から覆われている。絶縁膜89の材料としては、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどの無機材料が採用され得る。本実施形態では、絶縁膜89の材料として、酸化シリコンが採用されている。
【0077】
ここで、図8に示すコンタクトホール107bは、絶縁膜89の表示面69側に及んでいる。ドレイン電極111は、図6に示すように、絶縁膜89の表示面69側に及んでいる。画素電極95とドレイン電極111とは、互いに電気的につながっている。画素電極95は、ドレイン電極111を介して半導体層101のドレイン領域101c(図8)に電気的につながっている。
画素電極95としては、例えば、金や、銀、アルミニウムなどの高い光反射性を有する材料が採用され得る。本実施形態では、画素電極95の材料として、アルミニウムが採用されている。
【0078】
画素電極95及び絶縁膜97は、図6に示すように、配向膜91によって表示面69側から覆われている。
配向膜91の材料としては、例えばポリイミドなどの光透過性を有する材料が採用され得る。本実施形態では、配向膜91の材料として、ポリイミドが採用されている。なお、配向膜91には、表示面69側に配向処理が施されている。
【0079】
対向基板73は、第2基板121と、対向層122とを有している。第2基板121は、例えばガラスや石英などの光透過性を有する材料で構成されており、表示面69側に向けられた外向面121aと、底面79側に向けられた対向面121bとを有している。
対向層122は、第2基板121の対向面121bに設けられている。対向層122には、絶縁膜123と、対向電極125と、配向膜127と、が含まれている。
絶縁膜123は、第2基板121の対向面121bに設けられている。絶縁膜123の材料としては、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどの無機材料が採用され得る。本実施形態では、絶縁膜123の材料として、酸化シリコンが採用されている。
【0080】
対向電極125は、絶縁膜123の底面79側に設けられている。対向電極125の材料としては、例えばITO(Indium Tin Oxide)やインジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide)などの光透過性を有する材料が採用され得る。本実施形態では、対向電極125の材料として、ITOが採用されている。
対向電極125は、マトリクスMを構成する複数の画素65(図3)にわたって一連した状態で設けられている。対向電極125は、マトリクスMを構成する複数の画素65に対して共通して機能する。
【0081】
配向膜127は、対向電極125の底面79側に設けられている。対向電極125は、配向膜127によって底面79側から覆われている。配向膜127の材料としては、例えばポリイミドなどの光透過性を有する材料が採用され得る。本実施形態では、配向膜127の材料として、ポリイミドが採用されている。配向膜127には、底面79側に配向処理が施されている。
【0082】
ここで、Y方向に並ぶ複数のソース電極109は、図9に示すように、ソース線113を介して、画素列81(図5)単位で相互に電気的につながっている。
また、X方向に並ぶ複数のゲート電極103は、図9に示すように、ゲート線131を介して、画素行82(図5)単位で相互に電気的につながっている。
複数のソース線113は、それぞれY方向に延びており、X方向に並んでいる。X方向に隣り合うソース線113同士の間には、隙間が設けられている。
複数のゲート線131は、それぞれX方向に延びており、Y方向に並んでいる。Y方向に隣り合うゲート線131同士の間には、隙間が設けられている。
【0083】
画素65は、ソース線113と、ゲート線131との交差に対応して設定されている。
各画素電極95は、図10に示すように、各半導体層101に重なる領域に設けられている。本実施形態では、各画素電極95は、各ソース線113と、各ゲート線131とに重なっている。ソース線113とゲート線131との交差部は、対応する画素電極95に重なっている。
【0084】
素子基板71及び対向基板73の間に介在する液晶75は、図6に示すように、配向膜91と配向膜127との間に介在している。
本実施形態では、図4に示すシール材77は、図6に示す第1基板83の第1面83aと、第2基板121の対向面121bとによって挟持されている。つまり、液晶パネル61では、液晶75は、第1基板83及び第2基板121によって保持されている。なお、シール材77は、配向膜91及び配向膜127の間に設けられていてもよい。この場合、液晶75は、素子基板71及び対向基板73に保持されているとみなされ得る。
【0085】
液晶75は、図6に示すように、L1なる厚みに設定されている。液晶75は、入射した光を変調することができる。本実施形態では、液晶75は、入射した光に位相差を付与することができる。これは、液晶75のリタデーション(複屈折率と厚みL1との積)の設定により実現され得る。本実施形態では、入射した光に1/4波長の位相差を付与するリタデーションが設定されている。
【0086】
液晶パネル61では、画素電極95と対向電極125との間に電圧を印加すると、画素電極95と対向電極125との間に電界が発生する。液晶パネル61では、TFT素子93がOFF状態からON状態に変化すると、画素電極95と対向電極125との間に電界が発生する。この電界によって液晶75の配向状態を画素65ごとに変化させることができる。
プロジェクタ1では、図2に示す画像形成部13に光41を照射した状態で、各液晶パネル61における液晶75の配向状態を画素65ごとに変化させることにより、表示が制御される。液晶75の配向状態は、TFT素子93のOFF状態及びON状態を切り替えることによって変化し得る。
【0087】
図6に示す配向膜91及び配向膜127のそれぞれには、配向処理が施されている。配向処理が施された配向膜91及び配向膜127によって、液晶75の初期的な配向状態が規制される。
図11(a)は、TFT素子93がOFF状態のときの画像形成装置33における偏光状態を示す図であり、図11(b)は、TFT素子93がON状態のときの画像形成装置33における偏光状態を示す図である。
【0088】
画像形成装置33では、偏光ビームスプリッタ55Rの透過軸141は、図11(a)及び図11(b)に示すように、S偏光41Rsの偏光軸に対して直交している。
なお、図11(a)及び図11(b)において、X'方向及びY'方向は、X'方向がP偏光41Rpの偏光軸の方向を示し、Y'方向がS偏光41Rsの偏光軸の方向を示している。X'方向及びY'方向は、XY平面内で互いに直交する任意の2方向である。
【0089】
位相差板63の遅相軸63aは、平面視でX'方向に対して、これらの図で見て反時計方向に67.5度の傾きを有する方向に設定されている。
従って、位相差板63に入射されたS偏光41Rsは、1/2波長の位相差が与えられ、直線偏光143として液晶75に入射される。なお、直線偏光143の偏光軸は、平面視でX'方向に対して、図11(a)及び図11(b)で見て反時計方向に45度の傾きを有している。
【0090】
液晶75に入射された直線偏光143は、TFT素子93がOFF状態のときに、図11(a)に示すように、偏光状態が維持されたまま(位相差が付与されずに)直線偏光143として画素電極95に向けて射出される。
画素電極95に向けて射出された直線偏光143は、偏光状態が維持されたまま画素電極95で反射され、液晶75に入射される。
【0091】
画素電極95から液晶75に入射された直線偏光143は、偏光状態が維持されたまま位相差板63に入射される。位相差板63に入射された直線偏光143は、1/2波長の位相差が与えられ、平面視でY'方向に沿った偏光軸を有するS偏光41Rsとして偏光ビームスプリッタ55Rに向けて射出される。偏光ビームスプリッタ55Rに向けて射出されたS偏光41Rsは、偏光ビームスプリッタ55Rで反射するため、偏光ビームスプリッタ55Rを透過できない。
【0092】
他方で、TFT素子93がON状態のときに、液晶75の配向方向75aは、図11(b)に示すように、X'方向に沿った方向になる。直線偏光143は、液晶75の配向方向75aとは交差している。このため、この配向状態で液晶75に入射された直線偏光143は、1/4波長の位相差が与えられ、この図で見て左回りの円偏光145として画素電極95に向けて射出される。
円偏光145は、画素電極95で反射され、この図で見て右回りすなわち円偏光145とは逆回転の円偏光147として液晶75に入射される。
【0093】
液晶75に入射された円偏光147は、1/4波長の位相差が与えられ、平面視でX'方向に対してこの図で見て反時計方向に135度の傾きを有する偏光軸を有する直線偏光149として位相差板63に入射される。
位相差板63に入射された直線偏光149は、1/2波長の位相差が与えられ、平面視でX'方向に沿った偏光軸を有するP偏光41Rpとして偏光ビームスプリッタ55Rに向けて射出される。
偏光ビームスプリッタ55Rに向けて射出されたP偏光41Rpは、偏光軸が偏光ビームスプリッタ55Rの透過軸141の方向に沿っているため、偏光ビームスプリッタ55Rを透過する。
【0094】
このように、画像形成装置33では、TFT素子93のON状態及びOFF状態の切り替えにより、Rの画像の形成が制御される。
なお、画像形成装置35及び画像形成装置37のそれぞれにおいても、偏光状態は画像形成装置33と同様である。このため、画像形成装置35及び画像形成装置37のそれぞれにおける画像の形成方法については、詳細な説明を省略する。
画像形成装置35及び画像形成装置37のそれぞれにおいても、TFT素子93のON状態及びOFF状態の切り替えにより、Gの画像の形成及びBの画像の形成のそれぞれが制御され得る。
【0095】
各液晶パネル61では、互いに隣り合う2つの画素電極95の間には、図6中のD部の拡大図である図12に示すように、幅がdの間隙が設けられている。間隙の幅dは、0.162μm以下が好ましい。本実施形態では、間隙の幅dは、約0.162μmに設定されている。
間隙の幅dは、回折限界を示す式である式(1)に基づいて設定される。
d=0.61×λ/(n×Sinθ)…(1)
上記の式(1)において、λは、光41に含まれる波長のうち最短の波長を示している。また、nは絶縁膜97の屈折率を示し、θは間隙内に向かう光151(S偏光41Rs,41Gs又は41Bs)の集光角度を示している。なお、図12では、X方向に互いに隣り合う画素電極95同士間の間隙が図示されているが、Y方向に互いに隣り合う画素電極95同士間にも同様に間隙が設けられている。
【0096】
光41では、λは0.4μm程度である。また、絶縁膜97では、nは約1.5である。ここで、Sinθが1以下であることを考慮しつつ、λ及びnの値を式(1)に代入すると、下記式(2)が導き出される。
d=0.61×0.4/1.5≒0.162…(2)
間隙の幅dを上記の式(1)に基づいて設定することにより、λ以上の波長を有する光を、互いに隣り合う画素電極95同士間から底面79側に進入させにくくすることができる。
これにより、λ以上の波長を有する光がTFT素子93に照射されることを低く抑えることができる。この結果、TFT素子93の特性の低下を低く抑えやすくすることができる。
【0097】
本実施形態において、液晶パネル61が電気光学装置に対応し、液晶75が電気光学物質としての液晶に対応し、画素電極95が反射膜に対応し、TFT素子93がトランジスタ素子に対応し、絶縁膜97が屈折層に対応している。
本実施形態では、上述したように、λ以上の波長を有する光がTFT素子93に照射されることを低く抑えることができる。
一般的に、半導体層101に光が照射されると、光リーク電流が発生しやすい。光リーク電流が発生すると、TFT素子93の特性が低下しやすくなる。
【0098】
これに対し、本実施形態では、TFT素子93に光が照射されにくい。このため、TFT素子93の特性の低下を低く抑えやすくすることができる。この結果、プロジェクタ1における表示品位の低下を低く抑えやすくすることができる。
また、本実施形態では、画素電極95同士間に遮光層などを設けることなく、光の進入を低く抑えることができる。このため、遮光層を設けるための工程が必要ない。この結果、液晶パネル61の製造工程を効率化しやすくすることができ、ひいてはプロジェクタ1の製造工程を効率化しやすくすることができる。
【0099】
なお、本実施形態では、画像形成装置33、35及び37のそれぞれにおける液晶パネル61において、間隙の幅dが約0.162μmに設定されているが、間隙の幅dはこれに限定されない。間隙の幅dは、画像形成装置33、35及び37において相互に異なる値に設定することができる。これは、画像形成装置33、35及び37ごとに、S偏光41Rs,41Gs及び41Bsの波長域が異なるためである。
【0100】
つまり、画像形成装置33に適用する液晶パネル61においては、S偏光41Rsに含まれる波長のうちで最短の波長をλとして、間隙の幅dを設定することができる。
画像形成装置35に適用する液晶パネル61においては、S偏光41Gsに含まれる波長のうちで最短の波長をλとして、間隙の幅dを設定することができる。
画像形成装置37に適用する液晶パネル61においては、S偏光41Bsに含まれる波長のうちで最短の波長をλとして、間隙の幅dを設定することができる。
このように、画像形成装置33、35及び37ごとに、間隙の幅dを異なる値に設定することができる。
【0101】
第2実施形態について説明する。
第2実施形態におけるプロジェクタ1は、間隙の幅dの設定が異なることを除いては、第1実施形態におけるプロジェクタ1と同様の構成を有している。従って、以下においては、重複した説明を避けるため、第1実施形態におけるプロジェクタ1と同一の構成については、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0102】
第2実施形態では、間隙の幅dは、下記式(3)に基づいて設定される。
d2<0.61×λ×(4×t2+d2)0.5/n…(3)
ここで、上記の式(3)において、tは、図12に示すように、画素電極95の厚みを示している。
前述の式(1)におけるSinθは、下記式(4)で表される。
Sinθ=(d/2)/((d/2)2+t2)0.5…(4)
式(4)を式(1)に代入すると、上記の式(3)が得られる。
つまり、第2実施形態では、Sinθが、tとdとの関数に替えられている。
【0103】
第2実施形態では、上記の構成により、第1実施形態と同様の効果が得られる。第2実施形態は、間隙の幅dを0.162μm以下に設定することが困難である場合に有効である。つまり、間隙の幅dを0.162μm以下に設定することが困難である場合に、画素電極95の厚みtを、式(3)に基づいて間隙の幅dに応じた値に設定する。
これにより、間隙の幅dを第1実施形態よりも広く設定することができる。
なお、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、画像形成装置33、35及び37ごとに、間隙の幅dを異なる値に設定することができる。
【0104】
第3実施形態について説明する。
第3実施形態におけるプロジェクタ1は、間隙の幅dの設定が異なることを除いては、第1実施形態におけるプロジェクタ1と同様の構成を有している。従って、以下においては、重複した説明を避けるため、第1実施形態におけるプロジェクタ1と同一の構成については、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0105】
第3実施形態では、間隙の幅dは、第1実施形態や第2実施形態における間隙の幅dよりも広く設定されている。このため、S偏光41Rs,41Gs,41Bsのうちで波長が最も短いS偏光41Bsであっても、互いに隣り合う画素電極95同士間の間隙から底面79側に進入し得る。
第3実施形態では、各画素電極95に対する各半導体層101の位置が、下記式(5)に基づいて設定される。
E>T×d/t…(5)
上記の式(5)において、Eは、図13に示すように、各画素電極95の縁部からLDD領域101d(101e)までの平面視での距離を示している。また、Tは、各半導体層101と各画素電極95との間の距離を示している。なお、図13では、構成をわかりやすく示すため、ソース電極109、ソース線113及びドレイン電極111の図示が省略されている。また、図13では、X方向に互いに隣り合う画素電極95同士間の間隙が図示されているが、Y方向に互いに隣り合う画素電極95同士間にも同様に間隙が設けられている。
【0106】
間隙から底面79側に進入した光153(S偏光41Rs,41Gs又は41Bs)は、式(5)中のT×d/tによって規定される範囲外には届かない。
第3実施形態では、上記の構成により、間隙から底面79側に進入した光153がLDD領域101d(101e)に照射されることを避けることができる。
このため、TFT素子93の特性の低下を低く抑えることができる。
また、本実施形態では、画素電極95同士間に遮光層などを設けることなく、TFT素子93の特性の低下を低く抑えることができる。このため、遮光層を省略することができる。この結果、液晶パネル61の製造工程を効率化しやすくすることができ、ひいてはプロジェクタ1の製造工程を効率化しやすくすることができる。
なお、第3実施形態において、距離Eが距離D2に対応している。
【0107】
第4実施形態について説明する。
第4実施形態におけるプロジェクタ1は、半導体層101からLDD領域101d及びLDD領域101eが省略されていることを除いては、第3実施形態におけるプロジェクタ1と同様の構成を有している。従って、以下においては、重複した説明を避けるため、第1実施形態におけるプロジェクタ1と同一の構成については、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0108】
本実施形態では、各画素電極95に対する各半導体層101の位置が、下記式(6)に基づいて設定される。
F>T×d/t…(6)
上記の式(6)において、Fは、図14に示すように、各画素電極95の縁部からチャネル領域101aまでの平面視での距離を示している。なお、図14では、構成をわかりやすく示すため、ソース電極109、ソース線113及びドレイン電極111の図示が省略されている。また、図14では、X方向に互いに隣り合う画素電極95同士間の間隙が図示されているが、Y方向に互いに隣り合う画素電極95同士間にも同様に間隙が設けられている。
【0109】
この構成により、間隙から底面79側に進入した光155(S偏光41Rs,41Gs又は41Bs)がチャネル領域101aに照射されることを避けることができる。
このため、TFT素子93の特性の低下を低く抑えることができる。また、本実施形態では、画素電極95同士間に遮光層などを設けることなく、TFT素子93の特性の低下を低く抑えることができる。このため、遮光層を省略することができる。この結果、液晶パネル61の製造工程を効率化しやすくすることができ、ひいてはプロジェクタ1の製造工程を効率化しやすくすることができる。
なお、第4実施形態において、距離Fが距離D1に対応している。
【0110】
第1〜第4実施形態では、それぞれ、第1基板83が光透過性を有している。このため、間隙から光(S偏光41Rs,41Gs,41Bs)が底面79側に進入しても、進入した光が第1基板83を経て液晶パネル61の外に射出されやすくすることができる。このため、間隙から底面79側に進入した光が液晶75側に反射することを低く抑えることができる。この結果、間隙から底面79側に進入した光が反射した反射光がTFT素子93に照射されることを避けやすくすることができる。この結果、反射光による光リーク電流の発生を一層抑制しやすくすることができ、プロジェクタ1における表示品位の低下を一層低く抑えやすくすることができる。
【0111】
さらに、第1実施形態と第3実施形態とを組み合わせた構成を採用すれば、光リーク電流の発生を一層低く抑えることができる。第1実施形態と第3実施形態とを組み合わせた構成とは、間隙の幅dが式(1)に基づいて設定され、且つ、半導体層101の位置が式(5)に基づいて設定されている構成である。
また、第1実施形態と第4実施形態とを組み合わせた構成を採用することによっても、同様の効果が得られる。第1実施形態と第4実施形態とを組み合わせた構成とは、間隙の幅dが式(1)に基づいて設定され、且つ、半導体層101の位置が式(6)に基づいて設定されている構成である。
また、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせた構成を採用することによっても、同様の効果が得られる。第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせた構成とは、間隙の幅dが式(3)に基づいて設定され、且つ、半導体層101の位置が式(5)に基づいて設定されている構成である。
また、第2実施形態と第4実施形態とを組み合わせた構成を採用することによっても、同様の効果が得られる。第2実施形態と第4実施形態とを組み合わせた構成とは、間隙の幅dが式(3)に基づいて設定され、且つ、半導体層101の位置が式(6)に基づいて設定されている構成である。
【0112】
なお、液晶パネル61の設計方法としては、以下に述べる順序が好ましい。
まず、間隙の幅dを、式(1)に基づいて算出する。このとき、算出された値d1を採用することが可能である場合、その値d1を間隙の幅dとして設定する。
算出された値d1を採用することが困難である場合に、次のステップに移行する。このステップでは、間隙の幅dを、式(3)に基づいて算出する。このとき、算出された値d2を採用することが可能である場合、その値d2を間隙の幅dとして設定する。
算出された値d2を採用することが困難である場合に、次のステップに移行する。このステップでは、各画素電極95に対する各半導体層101の位置を、式(5)又は式(6)に基づいて算出する。そして、算出された値d3を間隙の幅dとして設定する。
【0113】
なお、第1〜第4実施形態では、それぞれ、互いに隣り合う画素電極95同士間の間隙に絶縁膜97を設けた構成が採用されているが、液晶パネル61の構成はこれに限定されない。液晶パネル61の構成としては、絶縁膜97に替えて空気層を設けた構成も採用され得る。空気層では、屈折率nを1とみなすことができるので、第1実施形態及び第2実施形態では、それぞれ、間隙の幅dを広くすることができる。
【0114】
第1〜第4実施形態では、それぞれ、液晶パネル61をプロジェクタ1に適用した例を説明したが、液晶パネル61の適用はプロジェクタ1に限定されない。液晶パネル61は、例えば、ディスプレイなどの表示装置にも適用され得る。
液晶パネル61を表示装置に適用した例を、第5実施形態として説明する。
以下の第5実施形態では、重複した説明を避けるため、第1〜第4実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0115】
表示装置10は、図15に示すように、液晶パネル61と、位相差板63と、偏光板161と、を有している。
表示装置10では、表示面69を介して液晶75に入射された外光を、画素電極95で表示面69側に反射させて、その反射光を表示面69側に射出することによって、反射表示が行われ得る。なお、外光とは、表示装置10の表示面69から入射されるあらゆる光である。外光には、例えば、屋内外の照明光や、太陽光、照明装置からの光などが含まれる。
【0116】
液晶パネル61は、図15中のH−H線における断面図である図16に示すように、対向基板163を有している。第5実施形態での液晶パネル61は、第1実施形態での液晶パネル61の対向基板73が対向基板163に替えられている。
偏光板161は、位相差板63よりも表示面69側に設けられている。偏光板161は、透過軸の方向に偏光軸を有する光を透過させることができる。
【0117】
なお、偏光板161よりも表示面69側や、偏光板161と位相差板63との間、位相差板63と対向基板163との間に、光学補償フィルムを設けた構成も採用され得る。光学補償フィルムを設けることで、液晶75を表示面69の法線方向から見たときや、法線方向から傾斜した方向から見たときなどの液晶75の位相差を補償することができる。これにより、光漏れを低減することができ、コントラストの向上が図られる。
【0118】
光学補償フィルムとしては、屈折率異方性が負のディスコティック液晶分子等をハイブリッド配向させた負の一軸性媒体(例えば、富士フィルム製のWVフィルム)などが採用され得る。また、屈折率異方性が正のネマチック液晶分子等をハイブリッド配向させた正の一軸性媒体(例えば、日本石油製のNHフィルム)なども採用され得る。さらに、負の一軸性媒体と正の一軸性媒体とを組み合わせた構成も採用され得る。その他、各方向の屈折率がnx>ny>nzとなる二軸性媒体や、負のC−Plate等も採用され得る。
【0119】
表示装置10に設定されている複数の画素65は、それぞれ、表示面69から射出する光の色が、図17に示すように、R、G及びBのうちの1つに設定されている。つまり、マトリクスMを構成する複数の画素65は、Rの光を射出する画素65Rと、Gの光を射出する画素65Gと、Bの光を射出する画素65Bとを含んでいる。
なお、以下においては、画素65という表記と、画素65R、65G及び65Bという表記とが、適宜、使いわけられる。
【0120】
また、表示装置10では、1つの画素列81内の各画素65は、光の色がR、G及びBのうちの1つに設定されている。つまり、マトリクスMは、複数の画素65RがY方向に配列した画素列81Rと、複数の画素65GがY方向に配列した画素列81Gと、複数の画素65BがY方向に配列した画素列81Bとを有している。そして、マトリクスMでは、画素列81R、画素列81G及び画素列81Bが、この順でX方向に沿って反復して並んでいる。
なお、以下においては、画素列81という表記と、画素列81R、画素列81G及び画素列81Bという表記とが、適宜、使いわけられる。
【0121】
ここで、対向基板163の構成について説明する。
対向基板163は、図17中のJ−J線における断面図である図18に示すように、対向層164を有している。対向層164は、第2基板121の対向面121bに設けられている。
対向層164には、カラーフィルタ165と、オーバーコート層167と、対向電極125と、配向膜127と、が含まれている。
カラーフィルタ165は、各画素65に対応して設けられている。カラーフィルタ165は、第2基板121の対向面121b側に設けられており、各画素65の領域を底面79側から覆っている。
【0122】
ここで、カラーフィルタ165は、入射された光のうち所定の波長域の光を透過させることができる。カラーフィルタ165は、画素65R、画素65G及び画素65Bごとに異なる色に着色された樹脂などで構成されている。画素65Rに対応するカラーフィルタ165は、Rの光を透過させることができる。画素65Gに対応するカラーフィルタ165はGの光を透過させ、画素65Bに対応するカラーフィルタ165はBの光を透過させることができる。なお、以下において、各カラーフィルタ165に対してR、G及びBが識別される場合に、カラーフィルタ165R、165G及び165Bという表記が用いられる。
【0123】
オーバーコート層167は、カラーフィルタ165の底面79側に設けられている。オーバーコート層167は、光透過性を有する樹脂などで構成されており、カラーフィルタ165を底面79側から覆っている。
なお、対向基板163の構成としては、カラーフィルタ165をR、G及びBごとに区画する遮光膜を設けた構成も採用され得る。この場合、遮光膜は、対向面121bに設けられる。この構成により、表示におけるコントラストの向上を図りやすくすることができる。遮光膜の材料としては、例えば、カーボンブラックやクロムなどの光吸収性が高い材料を含有する樹脂などが採用され得る。
【0124】
本実施形態での液晶パネル61においても、互いに隣り合う画素電極95同士間の間隙の幅dは、第1〜第4実施形態のそれぞれに準じて設定される。
本実施形態での液晶パネル61では、第1〜第4実施形態のそれぞれと同様の効果が得られる。このため、表示装置10では、TFT素子93の特性の低下を低く抑えることができ、表示における表示品位が低下することを抑えやすくすることができる。
【0125】
なお、本実施形態では、液晶パネル61を採用した表示装置10を例に説明したが、表示装置10の構成はこれに限定されない。表示装置10の構成としては、例えば、有機EL(Electro Luminescence)装置も採用され得る。
有機EL装置では、画素電極と対向電極との間に、発光層を含む有機層が介在している。有機EL装置のなかでもトップエミッション型の有機EL装置では、液晶パネル61に準じた構成が採用され得る。この場合、有機層の駆動を画素ごとに制御するトランジスタ素子の特性の低下を低く抑えることができる。これにより、有機EL装置における表示品位の低下を抑えやすくすることができる。
【0126】
また、第1〜第5実施形態では、それぞれ、液晶75の駆動方式としてVA型の駆動方式が採用されているが、駆動方式はこれに限定されない。液晶75の駆動方式は、TN(Twisted Nematic)型、IPS(In Plane Switching)型、FFS(Fringe Field Switching)型等の種々の方式も採用され得る。
【0127】
また、第1〜第5実施形態では、それぞれ、半導体層101として多結晶シリコンが採用されているが、半導体層101はこれに限定されない。半導体層101としては、例えば、単結晶シリコンや非晶質シリコンなども採用され得る。単結晶シリコンや非晶質シリコンなどにおいても、第1〜第5実施形態のそれぞれと同様の効果が得られる。
【0128】
上述した表示装置10は、例えば、図19に示す電子機器500の表示部510に適用され得る。この電子機器500は、携帯電話機である。この電子機器500は、操作ボタン511を有している。表示部510は、操作ボタン511で入力した内容や着信情報を始めとする様々な情報について表示を行うことができる。この電子機器500では、表示部510に表示装置10が適用されているので、表示部510における表示品位を向上させやすくすることができる。
なお、電子機器500としては、携帯電話機に限られず、モバイルコンピュータ、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、カーナビゲーションシステム用の表示機器などの車載機器、オーディオ機器等の種々の電子機器が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本実施形態におけるプロジェクタの主要構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態におけるプロジェクタの画像形成部の主要構成を示す図。
【図3】本実施形態におけるプロジェクタの画像形成パネルを示す斜視図。
【図4】図3中のA−A線における断面図。
【図5】本実施形態での画像形成パネルにおける複数の画素の一部を示す平面図。
【図6】本実施形態での液晶パネルの図5中のC−C線における断面図。
【図7】図6中のTFT素子の拡大図。
【図8】図6中のTFT素子の拡大図。
【図9】本実施形態での半導体層、ソース線及びゲート線の配置を説明する平面図。
【図10】本実施形態での画素電極の配置を説明する平面図。
【図11】本実施形態での画像形成パネルにおける偏光状態を説明する図。
【図12】図6中のD部の拡大図。
【図13】第3実施形態での半導体層の位置を説明する断面図。
【図14】第4実施形態での半導体層の位置を説明する断面図。
【図15】第5実施形態における表示装置の主要構成を示す斜視図。
【図16】図15中のH−H線における断面図。
【図17】第5実施形態での表示装置における複数の画素の一部を示す平面図。
【図18】第5実施形態での液晶パネルの図17中のJ−J線における断面図。
【図19】第5実施形態における表示装置が適用された電子機器の斜視図。
【符号の説明】
【0130】
1…プロジェクタ、3…光学系、10…表示装置、11…ランプ、13…画像形成部、15…投射レンズ部、17…投射光、21…制御部、23…画像処理部、25…液晶パネル制御部、27…CPU、31…分光部、33,35,37…画像形成装置、39…光合成部、41…光、41R,41G,41B…光、41Rs,41Gs,41Bs…S偏光、41Rp,41Gp,41Bp…P偏光、53…画像形成パネル、55R,55G,55B…偏光ビームスプリッタ、57…クロスダイクロイックプリズム、59…画像光、61…液晶パネル、63…位相差板、65…画素、67…表示領域、69…表示面、71…素子基板、73…対向基板、75…液晶、79…底面、83…第1基板、84…素子層、85…絶縁膜、87…絶縁膜、89…絶縁膜、91…配向膜、93…TFT素子、95…画素電極、97…絶縁膜、101…半導体層、101a…チャネル領域、101b…ソース領域、101c…ドレイン領域、101d,101e…LDD領域、103…ゲート電極、105…ゲート絶縁膜、109…ソース電極、111…ドレイン電極、113…ソース線、121…第2基板、122…対向層、123…絶縁膜、125…対向電極、127…配向膜、131…ゲート線、151,153,155…光、161…偏光板、163…対向基板、164…対向層、165…カラーフィルタ、167…オーバーコート層、E…距離、F…距離、M…マトリクス、T…距離、t…厚み、λ…波長。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、
複数の画素と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、
互いに隣り合う前記反射膜同士間に設けられた屈折層と、を有しており、
前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光の波長をλとし、前記屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとしたときに、
d<0.61×λ/n(式1)を満たすことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、
複数の画素と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、
互いに隣り合う前記反射膜同士間に設けられた屈折層と、を有しており、
前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光の波長をλとし、前記屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとしたときに、
d2<0.61×λ×(4×t2+d2)0.5/n(式2)を満たすことを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、
複数の画素と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、を有しており、
前記トランジスタ素子は、前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられた半導体層を有しており、
前記半導体層は、少なくともチャネル領域を有しており、
互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとし、前記半導体層及び前記反射膜の間の距離をTとし、平面視で前記反射膜の縁部から前記チャネル領域までの距離をD1としたときに、
D1>T×d/t(式3)を満たすことを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、
複数の画素と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、を有しており、
前記トランジスタ素子は、前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられた半導体層を有しており、
前記半導体層は、チャネル領域と、前記チャネル領域とソース又はドレイン領域との間に設けられたLDD領域と、を有しており、
互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとし、前記半導体層及び前記反射膜の間の距離をTとし、平面視で前記反射膜の縁部から前記LDD領域までの距離をD2としたときに、
D2>T×d/t(式4)を満たすことを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
前記第1基板は、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光に対して透過性を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記電気光学物質が液晶であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置を有することを特徴とする電子機器。
【請求項8】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、
複数の画素と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、
互いに隣り合う前記反射膜同士間に設けられた屈折層と、を有する電気光学装置の設計方法であって、
前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光の波長をλとし、前記屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとしたときに、
d<0.61×λ/n(式1)を満たすようにdの値を設定することを特徴とする電気光学装置の設計方法。
【請求項9】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、
複数の画素と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、
互いに隣り合う前記反射膜同士間に設けられた屈折層と、を有する電気光学装置の設計方法であって、
前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光の波長をλとし、前記屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとしたときに、
d2<0.61×λ×(4×t2+d2)0.5/n(式2)を満たすようにd及びtの値を設定することを特徴とする電気光学装置の設計方法。
【請求項10】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、
複数の画素と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、を有しており、
前記トランジスタ素子は、前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられた半導体層を有しており、
前記半導体層は、少なくともチャネル領域を有している電気光学装置の設計方法であって、
互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとし、前記半導体層及び前記反射膜の間の距離をTとし、平面視で前記反射膜の縁部から前記チャネル領域までの距離をD1としたときに、
D1>T×d/t(式3)を満たすように、D1、T、d及びtの値を設定することを特徴とする電気光学装置の設計方法。
【請求項11】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、
複数の画素と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、を有しており、
前記トランジスタ素子は、前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられた半導体層を有しており、
前記半導体層は、チャネル領域と、前記チャネル領域とソース又はドレイン領域との間に設けられたLDD領域と、を有している電気光学装置の設計方法であって、
互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとし、前記半導体層及び前記反射膜の間の距離をTとし、平面視で前記反射膜の縁部から前記LDD領域までの距離をD2としたときに、
D2>T×d/t(式4)を満たすように、D2、T、d及びtの値を設定することを特徴とする電気光学装置の設計方法。
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、
複数の画素と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、
互いに隣り合う前記反射膜同士間に設けられた屈折層と、を有しており、
前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光の波長をλとし、前記屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとしたときに、
d<0.61×λ/n(式1)を満たすことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、
複数の画素と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、
互いに隣り合う前記反射膜同士間に設けられた屈折層と、を有しており、
前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光の波長をλとし、前記屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとしたときに、
d2<0.61×λ×(4×t2+d2)0.5/n(式2)を満たすことを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、
複数の画素と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、を有しており、
前記トランジスタ素子は、前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられた半導体層を有しており、
前記半導体層は、少なくともチャネル領域を有しており、
互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとし、前記半導体層及び前記反射膜の間の距離をTとし、平面視で前記反射膜の縁部から前記チャネル領域までの距離をD1としたときに、
D1>T×d/t(式3)を満たすことを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、
複数の画素と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、を有しており、
前記トランジスタ素子は、前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられた半導体層を有しており、
前記半導体層は、チャネル領域と、前記チャネル領域とソース又はドレイン領域との間に設けられたLDD領域と、を有しており、
互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとし、前記半導体層及び前記反射膜の間の距離をTとし、平面視で前記反射膜の縁部から前記LDD領域までの距離をD2としたときに、
D2>T×d/t(式4)を満たすことを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
前記第1基板は、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光に対して透過性を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記電気光学物質が液晶であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置を有することを特徴とする電子機器。
【請求項8】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、
複数の画素と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、
互いに隣り合う前記反射膜同士間に設けられた屈折層と、を有する電気光学装置の設計方法であって、
前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光の波長をλとし、前記屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとしたときに、
d<0.61×λ/n(式1)を満たすようにdの値を設定することを特徴とする電気光学装置の設計方法。
【請求項9】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、
複数の画素と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、
互いに隣り合う前記反射膜同士間に設けられた屈折層と、を有する電気光学装置の設計方法であって、
前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光の波長をλとし、前記屈折層の屈折率をnとし、互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとしたときに、
d2<0.61×λ×(4×t2+d2)0.5/n(式2)を満たすようにd及びtの値を設定することを特徴とする電気光学装置の設計方法。
【請求項10】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、
複数の画素と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、を有しており、
前記トランジスタ素子は、前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられた半導体層を有しており、
前記半導体層は、少なくともチャネル領域を有している電気光学装置の設計方法であって、
互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとし、前記半導体層及び前記反射膜の間の距離をTとし、平面視で前記反射膜の縁部から前記チャネル領域までの距離をD1としたときに、
D1>T×d/t(式3)を満たすように、D1、T、d及びtの値を設定することを特徴とする電気光学装置の設計方法。
【請求項11】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された電気光学物質と、
複数の画素と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記電気光学物質の間に設けられた、前記電気光学物質から前記第1基板側に向かう光を前記第2基板側に反射させる反射膜と、
前記画素に対応して前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられたトランジスタ素子と、を有しており、
前記トランジスタ素子は、前記第1基板及び前記反射膜の間に設けられた半導体層を有しており、
前記半導体層は、チャネル領域と、前記チャネル領域とソース又はドレイン領域との間に設けられたLDD領域と、を有している電気光学装置の設計方法であって、
互いに隣り合う前記反射膜同士間の間隙の幅をdとし、前記反射膜の厚みをtとし、前記半導体層及び前記反射膜の間の距離をTとし、平面視で前記反射膜の縁部から前記LDD領域までの距離をD2としたときに、
D2>T×d/t(式4)を満たすように、D2、T、d及びtの値を設定することを特徴とする電気光学装置の設計方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−44138(P2010−44138A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206646(P2008−206646)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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