説明

LDMOSトランジスタを含む半導体装置

【課題】 LDMOSトランジスタを高耐圧にするとともに、オン抵抗を低減させる。
【解決手段】 半導体装置100は、P型シリコン基板102と、P型シリコン基板102上に形成されたゲート電極120と、ゲート電極120の横方向に形成されたドレイン(第二N型拡散領域109)と、ドレイン(第二N型拡散領域109)上に形成されたドレイン電極130と、ゲート電極120とドレイン電極130との間に設けられ、ゲート絶縁膜112よりも膜厚の厚い絶縁膜(フィールド酸化膜106)と、前記絶縁膜上において、ドレイン電極130に沿って形成された電界制御電極118と、により構成されたLDMOSトランジスタを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LDMOSトランジスタを含む半導体装置に関し、とくに高耐圧LDMOSトランジスタを含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高耐圧MOSトランジスタとしてLDMOS(Lateral Diffused Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタを用いた場合、一般的に、ドレイン−ゲート電極間の電界緩和のために、ドレイン端部のゲート酸化膜を厚くしたり、ドレイン端部にゲート酸化膜よりも厚いフィールド酸化膜を存在させることが行われている。しかし、このような構造では、ドレイン抵抗が増大し、オン抵抗が大きくなるという問題があった(たとえば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−60686号公報
【特許文献2】特開平2−283072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LDMOSトランジスタにおいて、高耐圧の実現とオン抵抗の低下の実現とはトレードオフの関係にあり、両者を両立させるのは難しかった。
【0005】
ところで、特許文献2には、電流容量を大きくするために、ゲート電極が長円形状で、ドレイン拡散領域がその長円形内にストライプ状に形成されており、長いチャネル幅が確保された構造のMOSFETが開示されている。ここで、ドレイン電極配線は、長円形のゲート電極内からその外側に向けて延出され、PN接合面を横切っている。このため、ドレイン電極配線に負の電圧がかかると、バックゲート部分での電界集中は緩和されるが、P型ドレイン拡散領域のうち、ドレイン電極配線との重なり部分表面にMOS効果により正電荷が静電誘導されて電荷蓄積層が形成される。そのため、ドレイン電極配線との重なりがあるP型ドレイン拡散領域内の空乏層端の拡大幅が、ドレイン電極配線との重なり部分のない領域に比して小さくなってしまうという問題があった。ドレイン電圧が高くなるほど、P型ドレイン拡散領域表面の蓄積層による高濃度化が一層増大するため、空貧層の拡大度合いがますます制限されて等電位線が密となり、電界集中の結果、耐圧が律速する。
【0006】
そこで、特許文献2のオフセットゲート型MOSFETでは、ドレイン電極配線の直下のフィールド酸化膜とその上の層間絶縁膜との間にバイアス電位印加用電極が挟まれた構成としている。ここで、バイアス電位印加用電極には、ドレイン電極配線とは逆符号の電位が印加される。これにより、ドレイン電極配線の電位により発生された電荷蓄積層がバイアス電位印加用電極の電位により発生された電荷蓄積層の発生で相殺または緩和され、表面側の濃度変化を抑圧することができる。これにより、ドレイン電極配線直下の空乏層端が、ドレイン電極配線に覆われない部分と同様の拡大位置となり、電界集中が緩和され、ドレイン耐圧が向上する。
【0007】
上述したように、特許文献2においては、ドレイン電極配線に印加される電位の影響によりP型ドレイン拡散領域に生じる電荷蓄積層を低減し、ドレイン電極配線直下の空乏層端の拡大位置が、ドレイン電極配線に覆われていない領域と同様になるようにすることを目的としている。そのため、バイアス電位印加用電極は、ドレイン電極配線直下に形成される必要がある。
【0008】
しかし、従来の構成では、高耐圧とオン抵抗の低下を実現することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、半導体基板と、前記半導体基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の横方向に形成されたドレインと、前記ドレイン上に形成されたドレイン電極と、前記ゲート電極と前記ドレインとの間に設けられ、ゲート絶縁膜よりも膜厚の厚い絶縁膜と、前記絶縁膜上において、前記ドレイン電極に沿って形成された電界制御電極と、により構成されたLDMOSトランジスタを含むことを特徴とする半導体装置が提供される。
【0010】
本発明の半導体装置において、このような電界制御電極を設けておくことにより、ゲート電極およびドレイン電極への電圧印加時に、ゲート電極に印加された電圧とドレイン電極に印加される最大の電圧(LDMOSトランジスタの耐圧)の間の電圧を電界制御電極に印加することにより、高電位の等電位線の密な領域をドレイン電極側にシフトすることができる。そのため、ブレークダウンの生じやすいゲート電極と絶縁膜端部との接点における電界の集中を低減することができ、LDMOSトランジスタの耐圧を高めることができる。
【0011】
また、ゲート電極およびドレイン電極への電圧印加時に、電界制御電極に上記のような電圧を印加することにより、絶縁膜下部に電子/ホール蓄積層を形成することができ、LDMOSトランジスタのオン抵抗を低減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、LDMOSトランジスタを高耐圧にするとともに、オン抵抗を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
図1は、本実施の形態におけるLDMOSトランジスタを含む半導体装置の構成を示す図である。
【0015】
図1(a)は、半導体装置100の断面図を示す。ここで、半導体装置100は、左右対称な2つのLDMOSトランジスタを含む。
半導体装置100は、P型シリコン基板102と、P型シリコン基板102に形成されたNウェル拡散層104と、Nウェル拡散層104に形成された第一N型拡散領域108および第一P型拡散領域110とを含む。また、半導体装置100は、Nウェル拡散層104において、第一P型拡散領域110と第一N型拡散領域108との間に形成されたフィールド酸化膜106を含む。半導体装置100は、さらに、P型シリコン基板102表面において、第一P型拡散領域110とフィールド酸化膜106にまたがるように形成されたゲート絶縁膜112と、その上に形成されたゲート電極120とを含む。また、半導体装置100は、第一N型拡散領域108に形成された第二N型拡散領域109と、その上に形成されたドレイン電極130と、第一P型拡散領域110に形成された第三N型拡散領域111aおよび第二P型拡散領域111bと、それらの上に形成されたソース電極132とを含む。
【0016】
本実施の形態において、ゲート電極120とドレイン電極130との間には、フィールド酸化膜106上に電界制御電極118が形成されている。電界制御電極118は、ゲート電極120と離間して設けられる。電界制御電極118には、ゲート電極120とは独立制御された電圧が印加される。本実施の形態において、電界制御電極118には、ドレイン電極130に印加される電圧と同符号の電位が印加される。電界制御電極118に印加する電圧は、ゲート電極120に印加する電圧とドレイン電極130に印加される最大の電圧の間の電圧とすることができる。たとえば、ゲート電極120に印加する定常電圧が5Vの場合、電界制御電極118に印加する電圧は、5V以上、LDMOSトランジスタの耐圧以下とすることができる。
【0017】
電界制御電極118の機能の詳細については後述するが、上記のように構成された電界制御電極118に高電圧を印加することにより、ゲート電極120およびフィールド酸化膜106への電圧印加時の高電位の等電位線の密な領域をドレイン電極130側にシフトすることができる。そのため、ブレークダウンの生じやすいゲート電極120とフィールド酸化膜106端部との接点における電界の集中を低減することができ、LDMOSトランジスタの耐圧を高めることができる。また、電界制御電極118に高電圧を印加することにより、フィールド酸化膜106とNウェル拡散層104との界面に電子蓄積層が形成され、抵抗を低減することができる。
【0018】
また、電界制御電極118の適切な配置位置は、電界制御電極118に印加する電圧によっても異なるが、ゲート電極120よりドレイン電極130の近くに形成されることが好ましい。たとえば、電界制御電極118は、横方向において、フィールド酸化膜106の幅L2の中央よりもドレイン電極130側に形成することができる。また、電界制御電極118は、横方向において、フィールド酸化膜106の幅の半分以下の幅を有するように構成することができる。これにより、電子蓄積層を局所的に形成することができ、LDMOSトランジスタの耐圧を低下させることなく、オン抵抗を低減することができる。
【0019】
また、上記の電界制御電極118の機能を効率よく発現させるためには、電界制御電極118は、フィールド酸化膜106と接して形成されることが好ましい。
【0020】
図1(b)は、半導体装置100の上面図を示す。ここでは、ゲート電極120、ドレイン電極130、ソース電極132、および電界制御電極118の配置関係のみを示す。図示したように、本実施の形態において、電界制御電極118は、ドレイン電極130に沿って連続的に形成される。また、電界制御電極118は、ゲート電極120とドレイン電極130の間に、これらに離隔して配置される。
【0021】
本実施の形態において、ゲート電極120は、たとえば5V系回路に接続され、ソース電極132は、たとえばグランド線に接続され、ドレイン電極130は、たとえばBUS端子に接続される。電界制御電極118には、ゲート電極120やドレイン電極130に印加される電圧とは独立に制御された電圧が印加される。ここでは、42V電源に接続された例を示す。このように、電界制御電極118を電源に接続して電源電圧を印加することにより、電界制御電極118に電圧を印加するための手段を別途設ける必要がない。そのため、半導体装置100の構成を複雑にすることなく、LDMOSトランジスタを高耐圧にするとともに、オン抵抗を低減することができる。
【0022】
図2および図3は、半導体装置100の製造手順の一例を示す工程断面図である。
【0023】
まず、P型シリコン基板102にフォトレジストを用いて選択的にリンを注入し、1100〜1200℃の高温熱処理により、深さ5μm〜15μm程度のNウェル拡散層104を形成する(図2(a))。つづいて、高温熱処理により生じたP型シリコン基板102表面上の酸化膜をウェットエッチングにより除去し、その後にNウェル拡散層104にフィールド酸化膜106を形成する(図2(b))。
【0024】
その後、フィールド酸化膜106から距離を隔てた位置に既知のフォトレジスト工程により、数十nmの薄い酸化膜を通してB(ボロン)を打ち込み、第一P型拡散領域110を形成する。次いで、第一P型拡散領域110が形成された領域の反対側の領域において、フィールド酸化膜106と接するように、第一N型拡散領域108を形成する。第一N型拡散領域108は、既知のフォトレジスト工程により、P(リン)を打ち込むことにより形成することができる。つづいて、P型シリコン基板102表面に残っている数十nmの薄い酸化膜をウェットエッチングにより除去し、その後にゲート絶縁膜112(膜厚約10nm)を形成する(図2(c))。
【0025】
その後、P型シリコン基板102上にポリシリコン膜(不図示、膜厚約150〜500nm)を形成する。次いで、既知のフォトレジスト工程により、ポリシリコン膜をドライエッチングして、電界制御ポリ膜114およびゲートポリ膜116を形成する(図3(d))。本実施の形態における半導体装置の製造方法によれば、電界制御ポリ膜114をゲートポリ膜116と同時に形成することができ、工程を増やすことなく、LDMOSトランジスタの耐圧を高めるとともにオン抵抗を低減させる電界制御電極118を形成することができる。
【0026】
つづいて、第一P型拡散領域110に既知のフォトレジスト工程によりP注入を行い、n−LDD領域(不図示)を形成する。その後、酸化膜を形成し、エッチバックを行い、電界制御ポリ膜114およびゲートポリ膜116に側壁を形成し、電界制御電極118(横方向の幅約2〜6μm)およびゲート電極120を形成する。次いで、既知のフォトレジスト工程により、As(ヒ素)を打ち込むことにより、第一P型拡散領域110にソースとなる第三N型拡散領域111aを、第一N型拡散領域108にドレインとなる第二N型拡散領域109を形成する。次いで、既知のフォトレジスト工程により、Bを打ち込むことにより、第一P型拡散領域110にボディ引出部となる第二P型拡散領域111bを形成する(図3(e))。
【0027】
つづいて、第二N型拡散領域109、ならびに第三N型拡散領域111aおよび第二P型拡散領域111b上にそれぞれドレイン電極130およびソース電極132を形成する。ここで、ドレイン電極130およびソース電極132は、TiSi膜により構成することができる。図中横方向において、電界制御電極118とドレイン電極130とは、たとえば約1μm離間して形成することができる。その後、P型シリコン基板102上全面に層間絶縁膜121を形成する。層間絶縁膜121は、たとえばBPSG(ボロンリンドープ酸化膜)により構成することができる。次いで、層間絶縁膜121をCMP(化学機械研磨)により平坦化した後、既知のフォトレジスト工程により、コンタクトホールを開口する。つづいて、コンタクトホールを埋め込み、第一コンタクト122および第二コンタクト124を形成する。その後、第一コンタクト122および第二コンタクト124にそれぞれ接続する第一配線126及び第二配線128を形成する(図3(f))。
【0028】
次に、本実施の形態における半導体装置100の作用を、電界制御電極118を有しないLDMOSトランジスタを含む半導体装置の作用と比較して説明する。
【0029】
図4は、電界制御電極118を有しないLDMOSトランジスタを含む半導体装置200の構成を示す断面図である。半導体装置200は、電界制御電極118(図1参照)を含まない点で本実施の形態における半導体装置100と異なるが、それ以外の点は半導体装置100と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0030】
まず、本実施の形態における半導体装置100により、オフ耐圧が向上する作用を説明する。
【0031】
図5は、図1に示した半導体装置100と、図4に示した半導体装置200に電圧を印加した場合の電界分布を示す図である。
図5(a)は、半導体装置100における電界分布を示し、図5(b)は、半導体装置200における電界分布を示す。ここで、ゲート電極120には0V、ドレイン電極130にはLDMOSトランジスタのオフ耐圧、電界制御電極118には50Vの電圧が印加されている。また、フィールド酸化膜106の幅(図1および図4のL2)は、5μmとした。フィールド酸化膜106上に重なるゲート電極120の幅(L1)は1μm、電界制御電極118の幅は0.6μm、ゲート電極120の端部と電界制御電極118との間の距離(L3)は2.5μmとした。
いずれの場合も、図中ポイントAで示した点で電界が最大となり、この箇所でブレークダウンが生じる。
【0032】
図5(a)に示したように、本実施の形態における半導体装置100によれば、電界制御電極118に高電圧を印加することにより、高電位の等電位線の密な領域をドレイン電極130側にシフトすることができる。これにより、ポイントAの箇所における電界の負荷を低減することができ、図5(b)に示した従来の半導体装置200に比べてオフ耐圧を高めることができる。
【0033】
なお、図5(a)に示した例においては、電界制御電極118に50Vの電圧を印加しているが、50Vの電位線は、電界制御電極118から少し距離を隔ててゲート電極120側に存在する。このように、電界制御電極118に印加した電圧と等しい電位線が電界制御電極118よりもゲート電極120側に存在することになるので、ポイントAの箇所における電界の負荷を低減するためには、電界制御電極118をできるだけドレイン電極130に近い方に配置することが好ましい。また、電界制御電極118に印加する電圧はある程度高くすることが好ましい。
【0034】
図6は、図1に示した半導体装置100と、図4に示した半導体装置200に電圧を印加した場合の電流値を示す図である。ここでも電界制御電極118には50Vの電圧を印加した。電界制御電極118を有しない半導体装置200においては、Vds=約90Vでブレークダウンが起こった。一方、本実施の形態における半導体装置100においては、Vds=約105Vでブレークダウンが起こった。このように、ゲート電極120とドレイン電極130との間に電界制御電極118を設け、電界制御電極118に高電圧を印加することにより、半導体装置100のオフ耐圧を高めることができた。
【0035】
図7は、図5に示したポイントAにおける電界分布を拡大して示す図である。ここでは、半導体装置100および半導体装置200のいずれもVds=80Vの電圧を印加した。ここで、1e5.5V/cmの電界の分布を示している。図7(a)に示すように、本実施の形態における半導体装置100においては、図7(b)に示した電界制御電極118を有しない半導体装置200に比べて、1e5.5V/cmの電界の分布領域が小さくなっている。これは、上述したように、電界制御電極118に高電圧を印加することにより、電圧印加時の高電位の等電位線の密な領域をドレイン電極130側にシフトすることができ、ポイントAにおける電界の集中を低減することができたことを示している。
【0036】
以上の結果から、本実施の形態における半導体装置100により、LDMOSトランジスタの耐圧を高めることができた。この理由は、電圧印加時の高電位の等電位線の密な領域をドレイン電極130側にシフトすることにより、ゲート電極120における電界集中を和らげることができ、これによりブレークダウンが生じにくくなったと考えられる。
【0037】
次に、本実施の形態における半導体装置100により、オン抵抗が低減する作用を説明する。
図8は、図1に示した半導体装置100と、図4に示した半導体装置200に電圧を印加した場合の電子分布を示す図である。
図8(a)は、半導体装置100における電子分布を示し、図8(b)は、半導体装置200における電子分布を示す。ここで、ゲート電極120は5V系回路に接続されており、電界制御電極118には約50Vの電圧が印加されている。
【0038】
図9は、図8に示した矢印の箇所における電子濃度と深さとの関係を示す図である。
半導体装置200においては、深さ0μmの箇所から電子濃度が約1×1016cm−3となっている。一方、半導体装置100においては、深さ約−0.2μmの箇所では、半導体装置200と同様の約1×1016cm−3となっているが、フィールド酸化膜106とNウェル拡散層104との界面に近づくにつれ、電子濃度が高くなり、深さ0μmの箇所(フィールド酸化膜106とNウェル拡散層104との界面)では電子濃度が約1×1018cm−3となっている。本実施の形態における半導体装置100において、電界制御電極118には約50Vの高電圧が印加されているので、フィールド酸化膜106とNウェル拡散層104との界面に電子が凝集され、界面における電子濃度が高くなっていると考えられる。
【0039】
図10は、半導体装置100と、半導体装置200のオン抵抗を示す図である。ここでは、半導体装置200のオン抵抗(ARon)を基準(0%)とし、半導体装置200のオン抵抗に対する半導体装置100のオン抵抗を示す。この結果、半導体装置100のオン抵抗は、半導体装置200のオン抵抗に比べて約11.2%低減することが示された。これは、フィールド酸化膜106とNウェル拡散層104との界面近傍に電子濃度が高い比較的厚い電子蓄積層ができているため、抵抗を低減することができたと考えられる。
【0040】
以上のように、本実施の形態における半導体装置100によれば、LDMOSトランジスタの耐圧を高めることができる。また、本実施の形態における半導体装置100によれば、LDMOSトランジスタのオン抵抗を低減することができる。
【0041】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態および実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0042】
図1には、ゲート電極120およびドレイン電極130(ドレイン:第二N型拡散領域109)がストライプ状に延在し、それらの間に、第二N型拡散領域109に沿って電界制御電極118が形成された構成を示した。本発明の半導体装置は、この形状に限られず、種々の形状のLDMOSトランジスタに適用することができる。図11は、半導体装置100の他の例を示す図である。ここで、ドレイン電極130は、ゲート電極120の四方を取り囲むように形成されている。電界制御電極118は、ドレイン電極130に沿って連続的にゲート電極120の四方を取り囲むように形成されている。本発明は、このような半導体装置100に適用することもできる。
【0043】
実施の形態においては、電界制御電極118がフィールド酸化膜106上に形成される構成を示したが、本発明はこの構成に限られず、フィールド酸化膜106のかわりに、Nウェル拡散層104上にゲート絶縁膜112よりも膜厚の厚い絶縁膜を形成し、その上に電界制御電極118を形成する構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施の形態における半導体装置の構成を示す図である。
【図2】半導体装置の製造手順の一例を示す工程断面図である。
【図3】半導体装置の製造手順の一例を示す工程断面図である。
【図4】電界制御電極を有しない半導体装置の構成を示す断面図である。
【図5】図1に示した半導体装置と、図4に示した半導体装置に電圧を印加した場合の電界分布を示す図である。
【図6】図1に示した半導体装置と、図4に示した半導体装置に電圧を印加した場合の電流値を示す図である。
【図7】図5に示したポイントAにおける電界分布を拡大して示す図である。
【図8】図1に示した半導体装置と、図4に示した半導体装置に電圧を印加した場合の電子分布を示す図である。
【図9】図8に示した矢印の箇所における電子濃度と深さとの関係を示す図である。
【図10】図1に示した半導体装置と、図4に示した半導体装置のオン抵抗を示す図である。
【図11】実施の形態における半導体装置の他の例を示す上面図である。
【符号の説明】
【0045】
100 半導体装置
102 P型シリコン基板
104 Nウェル拡散層
106 フィールド酸化膜
108 第一N型拡散領域
109 第二N型拡散領域
110 第一P型拡散領域
111a 第三N型拡散領域
111b 第二P型拡散領域
112 ゲート絶縁膜
114 電界制御ポリ膜
116 ゲートポリ膜
118 電界制御電極
120 ゲート電極
121 層間絶縁膜
122 第一コンタクト
124 第二コンタクト
126 第一配線
128 第二配線
130 ドレイン電極
132 ソース電極
200 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極の横方向に形成されたドレインと、
前記ドレイン上に形成されたドレイン電極と、
前記ゲート電極と前記ドレインとの間に設けられ、ゲート絶縁膜よりも膜厚の厚い絶縁膜と、
前記絶縁膜上において、前記ドレイン電極に沿って形成された電界制御電極と、
により構成されたLDMOSトランジスタを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記電界制御電極には、前記ドレイン電極に印加される電圧と同符号の電位が印加されることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置であって、
前記電界制御電極には、電源電圧が印加されることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかに記載の半導体装置であって、
前記電界制御電極は、前記横方向において、前記絶縁膜の幅の半分以下の幅を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかに記載の半導体装置であって、
前記電界制御電極は、前記横方向において、前記ゲート電極より前記ドレイン電極の近くに形成されたことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−108208(P2006−108208A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−289660(P2004−289660)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】