説明

インプリント用金型又はインプリント基板の検査装置及び検査方法

【課題】
本発明は、被検査体全面において短時間で不良領域を検出でき、かつ検出結果を検査工程以降の工程に反映することのできる検査装置及び検査方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明は、基体の表面に微細な凹凸パターンを形成した被検査体に放射波を照射する照射機構と、被検査体を透過した放射波を検出する検出機構を備えた検査装置、検査方法において、前記照射機構は前記被検査体の表面または裏面のいずれか一方に配置され、前記検出機構は被検査体を介して照射機構とは相対する面に配置されており、検出機構で得られた被検査体の面内の透過率分布から凹凸パターンの不良領域を検出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体の表面に微細な凹凸パターンを形成した被検査体に放射波を照射する照射機構と、被検査体を透過した透過波を検出する検出機構を備えた検査装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光デバイスにおいて、波長フィルタ,回折,反射防止等の機能を持たせるための構造体の微細化が進んでいる。その微細加工を実現するために、例えばフォトリソグラフィ装置によって微細パターンが加工されている。その一方で、微細加工のオーダーが露光光源の波長に近づいてきたことで、パターンの微細化は限界に近づいてきた。そのため、さらなるパターンの微細化を図るために、フォトリソグラフィ装置に代えて電子線描画装置が用いられるようになった。
【0003】
しかしながら、電子線描画装置によるパターンの形成は、i線,エキシマレーザ等の光源を使用した一括露光方法によるものと異なって、電子線で描画するパターンが多ければ多いほど描画時間がかかる。したがって、半導体集積回路の集積化が進むにつれてパターンの形成に要する時間が長くなって、スループットが著しく劣ることとなる。
【0004】
そこで、電子線描画装置によるパターンの形成の高速化を図るために、各種形状のマスクを組み合わせて、それらに一括して電子線を照射する一括図形照射法の開発が進められ
いる。しかしながら、一括図形照射法を使用する電子線描画装置は大型化するとともに、マスクの位置をより高精度に制御する機構がさらに必要となって装置自体のコストが高くなるという問題がある。
【0005】
他のパターンの形成技術として、所定のスタンパを型押ししてその表面形状を転写するインプリント技術が知られている。このインプリント技術は、形成しようとするパターンの凹凸に対応する凹凸(表面形状)が形成されたスタンパを、例えば所定の基板上に樹脂層を形成して得られる被転写体に型押しすることで、微細な微細構造を樹脂層表面に簡便な方法および装置で転写することができる。
【0006】
インプリント技術ではスタンパの表面に形成した凹凸パターンの形成精度が、被転写体表面の形成精度に影響を及ぼす。また、スタンパには数μm以上の領域で、凹凸パターンの欠損部や、樹脂等の異物付着部が存在することもある。このようなスタンパを用いてインプリントを行うと、欠損部や異物付着部の周辺では樹脂の流動性に変化が生じ離型性が劣化する。結果として、被転写体表面では微細構造が転写されない不良領域が、スタンパの欠損部や異物付着部の領域よりも広がってしまう。従って、インプリントを行う前に、スタンパの欠損部や異物付着部を把握し、インプリント後の不良領域を低減する必要がある。
【0007】
従来、スタンパの検査には走査電子顕微鏡(SEM)や原子間力顕微鏡(AFM)がしばしば使用されている。SEMやAFMはスタンパの1部の領域で、数nmの解像度でパターン形状を1つ1つ測定することが可能である。しかしながら、スタンパ全面を観測するには数時間または数日もの時間を要することから、スタンパ全面の状態を反映させることは実用上困難である。また、光デバイスの場合、1つ1つの微細パターンが光学特性を決定するよりも、光路となる領域に形成した微細パターンの集合体で光学特性が決定することが一般的である。従って、SEMやAFMを用いて高解像度で検査を行う必要が無い。
【0008】
他方、微細パターンを形成した基板またはスタンパ等の被検査体の検査手段として、パターン部で生じる回折光を利用する方法が開示されている。例えば、特許文献1では、光ディスクのピットまたはグルーブの一部にレーザ光を入射し、反射又は透過した特定の回折光を検出し、得られた回折光の強度分布からから不良領域を検出する方法が開示されている。特許文献2,3では、欠陥に対して敏感な次数の回折光のみを検出する方法が開示されている。本方法によれば、SEMやAFMに比べて短時間でスタンパ全面を検査できる。
【0009】
【特許文献1】特開2004−259388号公報
【特許文献2】特開2000−276781号公報
【特許文献3】特開2005−114630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記した従来の回折光を利用する方法は、予め検出する回折光の次数を定めておき、被検査体に対するレーザの照射角度を定め、各回折光ごとにフォトダイオード等の検出器を配置する必要がある。従って、パターン形状が変わるごとに光学系を設定し直す必要がある。また、レーザの照射範囲を広げすぎると、照射領域に含まれる不良領域の特定が困難となるため、レーザの照射範囲を狭くしておく必要がある。結果として、被検査体全面を検査するにはレーザの照射範囲を移動させながら測定する機構が必要となり装置機構が複雑となり、また、検査時間も要することになる。従って、例えばインプリント工程の合間に、短時間でスタンパの欠損部や異物付着部を把握し、インプリント条件に反映させることは実質困難である。
【0011】
そこで、本発明は、被検査体全面において短時間で不良領域を検出でき、かつ検出結果を検査工程以降の工程に反映することのできる検査装置及び検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決する本発明は、基体の表面に微細な凹凸パターンを形成した被検査体に放射波を照射する照射機構と、被検査体を透過した放射波を検出する検出機構を備えた検査装置において、前記照射機構は前記被検査体のパターン形成面またはその反対面のいずれか一方に配置され、前記検出機構は被検査体を介して照射機構とは相対する面に配置されており、検出機構で得られた被検査体の面内の透過率分布から凹凸パターンの不良領域を検出することを特徴とする。
【0013】
また、前記検査装置において、前記照射機構の放射面は前記被検査体の凹凸パターン形成領域と同じ又は広く形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、前記検査装置において、前記検出機構の検出面は前記被検査体の凹凸パターン形成領域と同じ又は広く形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、前記検査装置において、前記照射機構又は検出機構のいずれか一方に、波長選択機能を有していることを特徴とする。
【0016】
さらに、前記検査装置において、波長が異なる少なくとも2波長で透過率分布を測定することを特徴とする。
【0017】
また、前記検査装置において、前記照射機構又は検出機構のいずれか一方に、偏波選択機能を有していることを特徴とする。
【0018】
さらに、前記検査装置において、偏波が異なる少なくとも2波波で透過率分布を測定することを特徴とする。
【0019】
また、前記検査装置において、被検査体の面内を複数の区画に分け、各区画内の平均透過率を評価することを特徴とする。
【0020】
また、前記検査装置において、被検査体の面内を複数の区画に分け、区画内ごとに透過率分布を評価することを特徴とする。
【0021】
また、前記検査装置において、被検査体または区画の最大幅をw、検出する波長をλとした場合、前記検出機構を被検査体の表面からλ/(2π)以上かつw2/λ以下の範囲に設定することを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明は、微細パターンが形成されたスタンパを被転写体に接触させて、前記被転写体の表面に前記スタンパの微細パターンを転写する微細構造転写装置にスタンパに放射波を照射する照射機構と、スタンパを透過した放射波を検出する検出機構を備えた検査機構を備えており、前記照射機構は前記スタンパのパターン形成面またはその反対面のいずれか一方に配置され、前記検出機構はスタンパを介して照射機構とは相対する面に配置されており、検出機構で得られたスタンパの面内の透過率分布を測定する検査装置が備え付けられていることを特徴とする。
【0023】
また、前記微細構造転写装置において、前記被転写体表面に微細パターンを転写するための樹脂を塗布する機構を備えており、該樹脂の塗布量を、前記検査機構で得られたスタンパの透過率分布を反映して設定する機構を有していることを特徴とする。
【0024】
さらに、本発明は、微細パターンが形成されたスタンパを被転写体に接触させて、前記被転写体の表面に前記スタンパの微細パターンを転写する微細構造転写装置において、被転写体に放射波を照射する照射機構と、被転写体を透過した放射波を検出する検出機構を備えた検査機構を備えており、前記照射機構は前記被転写体のパターン転写面またはその反対面のいずれか一方に配置され、前記検出機構は被転写体を介して照射機構とは相対する面に配置されており、検出機構で得られた被転写体の面内の透過率分布を測定する検査装置が備え付けられていることを特徴とする。
【0025】
また、前記微細構造転写装置において、前記被転写体表面に微細パターンを転写するための樹脂を塗布する機構を備えており、該樹脂の塗布量を、前記検査機構で得られた被転写体の透過率分布を反映して設定する機構を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の検査装置及び検査方法によれば、被検査体全面において短時間で不良領域を検出でき、かつ検出結果を検査工程以降の工程に反映することのできる検査装置及び検査方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第一実施形態)
次に、本発明の第1実施形態について説明する。図1(a)と(b)は、本実施形態に係る検査装置の構成説明図である。
【0028】
図1に示すように、基体の表面に微細な凹凸パターン11を形成した被検査体1に対して、凹凸パターンを形成していない面に放射波21を照射する放射源2を配置する。そして、放射源2を配置した面とは相対する面に、放射源2を透過した透過波22を検出する検出器3を配置する。
【0029】
被検査体1として、石英基板の表面に、周知の電子線描画装置,反応性イオンエッチング装置を用いて微細な凹凸パターン11を形成したナノインプリント用スタンパとする。
【0030】
放射源2として液晶ディスプレイに用いられているバックライトを用いた。該バックライトは、白色光を発する発光ダイオード(LED)と、そのLED光を広範囲に照射するための反射板,プリズムシート,拡散シート等で構成されており、放射波21が被転写体前面を均等に照射するようにした。
【0031】
検出器3には、被検査体1の全面を撮像できるように、被転写体1の表面積より大きい検出面31を持たせた。透過波22は検出面31を通過し、検出器3の内部に構成された図示しない光学レンズ系を介して、図示しない電荷結合素子(CCD)で受光する。CCDで受光した像が、被検査体1を透過した透過波22の透過率分布である。
【0032】
前記CCDで受光して得られた被検査体1表面の透過率分布から、被検査体1に形成した凹凸パターン11の不良領域を検出する。凹凸パターン11の欠損部や異物付着部では、正常な凹凸パターン11の形成領域に比べて透過率が変化する。この透過率の変化から、デバイスとして機能する領域か否かを判別する。
【0033】
本実施形態では、放射源2により白色光を照射したが、被検査体1の不良領域の検出に必要な波長の放射波21を放出する放射源2であればよい。例えば、X線,紫外,近赤外、遠赤外光帯域でもよい。白色光のように広帯域な波長特性を有する放射源2ではなく、特定の波長のみ放出する放射源2でもよい。ただし、被検査体1を透過する波長とし、また、凹凸パターン11の形状で干渉が起きる波長とする必要がある。
【0034】
また、本実施形態では検出する波長を限定しなかったが、予め凹凸パターン11の形状変化に反応しやすい特定の波長で検出すればよい。特定の波長は、予め、シュミレーションで予測したり、被検査体1を別の評価機構を用いて、透過率の波長特性を評価して定めればよい。
【0035】
また、前記した放射源2以外に本発明で使用できる放射源2の構成として、LED等の放射素子を放射面に複数配列したアレイ放射源,レーザ光源または水銀灯ランプとこれら放射源から放射光をコリメートするレンズユニット付放射源,有機エレクトロルミネッセンスによる放射源等がある。被検査体1の全面をほぼ均等に照射できる構成が望ましい。
【0036】
検出器3の構成としては、本実施形態で使用した検出器3の構成に限定されるものではなく、被検査体1の不良領域の検出に必要な波長の透過波22を検出できればよい。例えば、フォトダイオード(PD)やレンズ等の受光素子を検出面31に複数配列したアレイ検出器、感光紙、感光フィルムでもよい。
【0037】
本実施形態では、検出器3と被検査体1および放射源2と被検査体1の間に空間を設けて、検査領域が接触しないようにしたが、被検査体1の固定方法によっては、少なくとも検出器3と被検査体1の間に、検出に必要な波長を透過する媒質を挟んでもよい。
【0038】
また、本実施形態では、検出する波長または偏波に関して言及しなかったが、不良領域の検出精度を向上させるために、複数の波長または偏波、そして両者を組合わせた検出を行ってもよい。このとき、検出器3と被検査体1または放射源2と被検査体1の少なくとも一方の間に波長フィルタまたは偏波フィルタを配置するとよい。これらのフィルタは、検出に必要な波長または偏波に合せて電気的または物理的に特性を変えてもよい。
【0039】
また、フォトダイオード(PD)やレンズ等の受光素子を複数配列する場合、個々の検出素子の指向特性(半値幅)を狭くすることで、周囲から入り込む不要なノイズを遮断することが可能となる。但し、半値幅を狭くしすぎると、被検査体1に対する検出器3の設置角度を高精度に合わせる必要が生じる。検出素子の半値幅は±1度以上±40度以下が望ましい。
【0040】
検出器3の設置位置は、被検査体1の凹凸パターン11の形成面から離して設置するとよい。被検査体1表面の透過率分布が得られ、かつ装置に組込みやすい位置がよく、例えばフレネル領域と呼ばれる測定領域がよい。すなわち、検査領域の最大幅もしくは検出する1区画の最大幅をw、検出する波長をλとした場合、λ/(2π)以上かつw2/λ以下の範囲に設定するとよい。
【0041】
本実施形態では、被検査体1として石英を使用したが、不良領域の検出に必要な波長の放射波を透過する材料であれば良い。例えば、無アルカリガラス,ホウケイ酸ガラス等のガラス,樹脂材料,半導体材料,金属材料を加工した物が挙げられる。また、これらの異なる材料を積層した多層構造であってもよい。検出に必要な波長の透過率は空気に対して10%以上あれば、実用上検出可能である。
【0042】
本実施形態では、凹凸パターン11の欠損部や異物付着部で生じる透過率の変化から、デバイスとして機能する領域か否かを判別した。このとき、透過率を評価する領域は、凹凸パターン11を形成した領域全体でもよいが、デバイスとして機能する領域のみを評価しても良い。例えば、後述するインプリント工程を経て得られた、表面に凹凸パターンを形成した基板を小片に切断して使用する場合、被検査体1の面内を複数の区画に分け、各区画内の平均透過率を評価してもよい。また、各区画内部で凹凸パターンの形状,配置等が変わっている場合、各区画内ごとに透過率分布を評価してもよい。
【0043】
(第二実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図2は、本実施形態に係る検査機構を有する微細構造転写装置の構成説明図、図3は、本設備を用いたインプリント工程を説明する図である。
【0044】
図2に示すように、本実施形態に係る微細構造転写装置200は、昇降機構によって上下に可動するステージ203を有している。ステージ203上には、放射波の検出器を備えた検出機構205が搭載されている。さらに検出機構205上には、被転写体202が配置されるとともに、この被転写体202の上方には、スタンパ201が配置されている。
【0045】
検出機構205内部には図示しない光学レンズ系を介して放射波を受光する電荷結合素子(CCD)が配置されている。また、検出機構205の上面は放射波を透過するガラス基板で覆われ、さらにガラス基板の上面は弾性体で覆われている。
【0046】
被転写体202のスタンパ201側の面には、後記する光硬化性樹脂301(図3(a)参照)が塗布されるとともに、スタンパ201の被転写体202側の面には、凹凸パターン(図3(b)参照)が形成されている。ちなみに、このスタンパ201は、図2に示すように、スタンパ保持冶具204で保持されており、昇降機構がステージ203を上昇させることによって、スタンパ201に向かって被転写体202が押し当てられるようになっている。また、ステージ203が配置される空間は、減圧室を形成しており、図示しない真空ポンプ等の排気手段によって減圧可能となっている。
【0047】
スタンパ201の上方には、光硬化性樹脂301を硬化させるために必要な紫外光を発するLED素子と、スタンパ201の凹凸パターン形成面を評価するのに必要な白色光を発するLED素子を有する、放射源206が配置されている。
【0048】
次に図2の微細構造転写装置200を用いた微細構造の形成およびスタンパ201の検査方法を、図3を用いて説明する。
【0049】
始めに、微細構造転写装置200とは別の機構で被転写体202に光硬化性樹脂301を塗布する(図3(a))。このとき、ディスペンス法を用いて光硬化性樹脂301を所望の場所に所望の量を滴下する。そして、光硬化性樹脂301を塗布した被転写体202を、ステージ203上に配置した検出機構205上に設置する(図3(b))。昇降機構でステージ203を上昇させることによって、スタンパ201に向かって被転写体202が押し当てられる(図3(c))。スタンパ201の上方より、放射源206から光硬化性樹脂301を硬化させるのに必要な波長を有する放射波を放射し、スタンパ201越しに光硬化性樹脂301を照射する(図3(d))。光硬化性樹脂301が硬化した後、スタンパ201を剥離する(図3(e))。このとき、被転写体202の表面にはスタンパ203に形成した凹凸パターンが転写された光硬化性樹脂301から成るパターン層が形成されている。被転写体202を微細構造転写装置200から搬出した後、放射源206からスタンパ201を検査するのに必要な波長を有する放射波を放射する(図3(f))。スタンパ201を透過した透過波を検出器機構205で検出することで、スタンパ201の凹凸パターンの欠損部や異物付着部の有無を検査する。ここで、凹凸パターンの欠損部や異物付着部が検出された場合、その検出箇所を光硬化性樹脂の塗布機構に反映させて、欠損部や異物付着部近傍での樹脂の塗布量を調整する。以後、図3(a)から図3(f)の工程を繰り返す。
【0050】
本実施形態では、スタンパ201の検査を微細構造転写装置202の内部で行ったが、
微細構造転写装置202の外部に検査機構を配置してもよい。この場合、スタンパ201を検査機構まで移動させる。
【0051】
本実施形態では、スタンパ201の検査を行ったが、被転写体202の検査を行ってもよい。この場合、被転写体202及び光硬化性樹脂301は、検出に必要な波長を透過する材質を選べばよい。また、スタンパ201を被転写体202の上部から移動させる機構を配置する。
【0052】
本実施形態では、光硬化性樹脂301にスタンパ201の微細パターンを転写したが、
樹脂材料は熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等のその他の被加工材料を使用してもよい。この場合、被転写体202に樹脂材料を塗布したのち、被転写体202を樹脂材料のガラス転移温度以上に加熱し、スタンパ201を押し当てる。そして、ガラス転移温度以下に冷却したのち、スタンパ201を剥離する。
【0053】
本実施形態では、微細構造の転写とスタンパ201の検査を交互に行っているが、検査は微細構造の転写を複数回繰り返してから行ってもよい。例えば、10回の微細構造転写工程を経たのち、スタンパ201の検査を行えばよい。
【0054】
前記実施形態で微細パターンが転写された被転写体202は、波長フィルタ,回折,反射防止等の機能を有する光デバイスや、磁気記録媒体や光記録媒体等の情報記録媒体,免疫分析,DNA分離,細胞培養等のバイオデバイスへの適用が可能である。
【実施例】
【0055】
次に、実施例を示しながら本発明をさらに具体的に説明する。
【0056】
(実施例1)
本実施例では、図1に示す検査装置を使用する被検査体の検査方法について説明する。
【0057】
図1に示すように、基体の表面に微細な凹凸パターン11を形成した被検査体1に対して、凹凸パターンを形成していない面に放射波21を照射する放射源2を配置した。そして、放射源2を配置した面とは相対する面に、放射源2を透過した透過波22を検出する検出器3を配置した。
【0058】
被検査体1として、20mm×20mm,厚さ0.5mmの石英基板の表面に、周知のフォトリソグラフィ技術で凹凸パターン11を形成した基板を作製した。凹凸パターン11は、任意の直径、高さの柱状構造体を等間隔で配置した構造郡とした。フォトリソグラフィで使用するマスクパターンとして、直径の異なるマスクパターンを3種類作製した。また、ドライエッチング時間を変えて柱状構造の高さを変化させた。表1に示すように、凹凸パターン11を形成した石英基板を9種類作製した。
【0059】
放射源2として液晶ディスプレイに用いられているバックライトと同様の発光デバイスを用いた。該バックライトは、白色光を発する発光ダイオード(LED)と、そのLED光を全面に照射するための反射板,プリズムシート,拡散シート等で構成した。放射面の大きさは25mm×25mmとした。放射波21は、被検査体1に対してほぼ垂直に、かつ等位相分布を保った状態で、被検査体1に照射させた。
【0060】
検出器3には、検出器3の内部に構成した光学レンズ系を介して、電荷結合素子(CCD)を設置した。受光面の大きさは直径10mmとした。また検出器3の内部には、波長が0.4μmから0.7μmの範囲で透過率の波長特性を検出できるように、プリズム、スリット等で構成した波長フィルタ機能を設置し、直径10mmの領域内で透過波22の平均透過率を評価した。
【0061】
被検査体1を検出器3の上で保持するために、被検査体1と検出器3の間に厚さ1mmの石英基板をスペーサとして挟んだ。このとき、被検査体1の凹凸パターン11を形成した面は、放射源2の方向を向くように配置した。
【0062】
表1に示したサンプルに放射源2から放射した白色光を照射し、各サンプルの透過率の波長特性を評価した。各サンプルの透過率は、凹凸パターンを形成しない被検査体1と同じ材質の基板を配置したときを基準値とした相対値として検出した。各サンプルの評価結果を図4(a)〜(i)に示す。サンプル毎に透過率の波長特性が異なる結果得られた。
【0063】
ここで、例えば図4(d),(e),(f)の結果から、波長0.45μmの透過率を比較すると、サンプル1は58.6%、サンプル2は87.8%、サンプル3は16.7%であり、柱状構造の高さ変化に対する透過率の変化が検出された。また、図4(b),(e),(h)の結果から、波長0.7μmの透過率を比較すると、サンプル2は98.3%、サンプル5は74.8%、サンプル8は6.5%であり、柱状構造の幅およびピッチに対する透過率の変化が検出された。凹凸パターンの高さ方向に変化に対して影響の受けやすい波長と、断面方向の変化に対して影響の受けやすい波長が異なることから、2波長を用いて透過率の変化を調べることで、検査領域全面でのパターン形状の平均的な変形量を評価することが可能になる。
【0064】
なお、これらの測定サンプルをSEMを用いて10μm×10μmの領域の柱状構造の形状を評価したところ、直径,高さ,間隔が表1に示す構造値に対して±2%以内で形成
【0065】
されていることを確認した。
【0066】
本実施例の結果より、本発明の検査装置及び検査方法で、被検査体全面において凹凸パターンの形状変化を複数の波長の透過率から検出できることを実証した。
【0067】
【表1】

【0068】
(実施例2)
本実施例では、実施例1とは異なり、偏波による検査方法を説明する。
【0069】
被検査体1として、20mm×20mm,厚さ0.5mmの石英基板の表面に、周知のフォトリソグラフィ技術で凹凸パターン11を形成した基板を作製した。凹凸パターン11は、任意の直径、高さの柱状構造体を等間隔で配置した構造郡とした。フォトリソグラフィで使用するマスクパターンとして、矩形パターンを有するマスクパターンを3種類作製した。表2に示すように矩形パターンの長軸方向の長さが異なる3種類の構造を形成した。矩形パターンは長軸方向と短軸方向の間隔が等しくなるように配列した。矩形構造の高さは200nmとした。
【0070】
検出器3と被転写体1との間には、偏波フィルタを設置した。矩形パターンの長軸方向に沿った偏波(p偏光)のみを透過する偏波フィルタと、矩形パターンの短軸方向に沿った偏波(s偏光)のみを透過する偏波フィルタを入れ替えることで、2方向の偏波成分の透過率を測定できるようにした。
【0071】
実施例1と同じ検査装置により、各サンプルの透過率の波長特性を評価した。各サンプルの透過率は、凹凸パターンを形成しない被検査体1と同じ材質の基板を配置したときを基準値とした相対値として検出した。各サンプルの評価結果を図5(a)〜(f)に示す。サンプルごとに透過率の波長特性が異なる結果得られた。
【0072】
ここで、例えば図5(a)と(b)の結果を比較すると、波長0.6μmにおいてp偏光の場合約83.1%、s偏光の場合約67.2%であった。また、図5(e)と(f)の結果から、p偏光の場合約50.8%、s偏光の場合約69.9%であった。また、正方形状パターンでは、図5(c)と(d)の結果比較すると、p偏光、s偏光共に約61%であった。
【0073】
本実施例の結果より、本発明の検査装置及び検査方法で、被検査体全面において凹凸パターン形状の変化を異なる偏波ごとの透過率から検出できることを実証した。
【0074】
【表2】

【0075】
(実施例3)
本実施例では、実施例1とは異なる検査方法を説明する。
【0076】
被検査体1として、直径100mm,厚さ1mmの石英基板の表面に、周知の電子線描画技術とドライエッチング技術で凹凸パターン11を形成した基板を作製した。30mm×30mmの領域内61に直径100nm,高さ200nmの柱状構造を、間隔150nmで並べた。
【0077】
放射源2として、波長0.6μm,1.3μmそれぞれの波長を含む光を放射するLEDを組込んだ照射系を用いた。照射面の大きさを直径45mmに設定した。また、被検査体1に対してほぼ垂直に、かつ等位相分布を保った状態で、被検査体1に照射させた。
【0078】
検出器3には、波長0.6μm,1.3μmの波長で検出感度が上がるように調整されたPDを組込んだ。PDは、0.8mm×0.8mmの受光面積、半値幅が±15°のPDチップを45mm×45mmの範囲に配列した。そして、図6に示すように、被検査体1の凹凸パターン11形成範囲を5mm×5mmの区画62に分け、総計36の区画内での平均透過率を評価した。各サンプルの透過率は、被検査体1を配置しないときの波長特性を基準値として評価した。また、基準値を測定する際、各PDで受光する透過率のばらつきが±0.03%以下となるように調整した。
【0079】
表3は各区画の平均透過率を示している。後述する区画を除くと、透過率は波長0.6μmのとき93.3%、1.3μmのとき93.4%であった。ところが、区画C−3は他の領域に比べて、波長0.6μmと1.3μmの両方において、透過率が約1%低い。この区画を光学顕微鏡で確認したところ、区画の90%以上で凹凸パターンが形成されていなかった。また、区画B−2,C−2,B−3,B−4,C−4では、波長0.65マイクμmの透過率が0.3%高かった。この領域の1部をSEMで観察したところ、柱状構造が約180nmの高さで形成されていた。さらに、他の区画は200nm±5nm以内に入っていることを、SEMによる部分観察で確認した。
【0080】
本実施例の結果より、本発明の検査装置及び検査方法で、被検査体全面において凹凸パターンの不良領域を検出できることを実証した。
【0081】
【表3】

【0082】
(実施例4)
本実施例では、図2に示す検査装置を使用する被検査体の検査方法について説明する。
【0083】
スタンパ201として、直径100mm,厚さ1mmの石英基板の表面に、周知の電子線描画技術とドライエッチング技術で、30mm×30mmの領域内61に直径100nm、深さ200nmの穴構造を、間隔150nmで並べた。
【0084】
放射源206として、1.3μmの波長を含む光を放射するLEDを組込んだ照射系を用いた。照射面の大きさを直径45mmに設定した。また、スタンパ201に対してほぼ垂直に、かつ等位相分布を保った状態で、スタンパ201に照射した。
【0085】
検出器3には、1.3μmの波長で検出感度が上がるように調整されたPDを組込んだ。PDは0.8mm×0.8mmの受光面積、半値幅が±15°のPDチップを45mm×45mmの範囲に配列した。そして、図6と同様にスタンパ201の凹凸パターン形成範囲を5mm×5mmの区画62に分け、総計36の区画内での平均透過率を評価した。各サンプルの透過率は、スタンパ201と被転写体202を配置しないときの波長特性を基準値として評価した。また、基準値を測定する際、各PDで受光する透過率のばらつきを±0.03%以下となるように調整した。
【0086】
次に、検出機構205上には被転写体202を配置せず、このスタンパ201のみをスタンパ保持冶具204に固定した。そして、放射源206から1300nmの波長を有する放射波を放射した。スタンパ201を透過した透過波を検出器機構205で検出したところ、検査対象である36区画の平均透過率は、全区画で93.8%であった。
【0087】
次に、被転写体202として、直径50mm,厚さ0.5mmの石英基板表面をステージ203上に配置した。このとき、被転写体表面には、図示しない樹脂塗布機構によって、アクリレート系の光硬化性樹脂301を塗布した。光硬化性樹脂301を塗布は、ノズルが512(256×2列)個配列され、ピエゾ方式で樹脂を吐出する塗布ヘッドで塗布された。塗布ヘッドのノズル間隔は、列方向に70μm,列間140μmである。各ノズルからは約5pLの樹脂が吐出されるように制御された。
【0088】
昇降機構でステージ203を上昇させることによって、スタンパ201に向かって被転写体202を押し当てた。スタンパ201の上方より、放射源206から365nmな波長を有する放射波を放射し、スタンパ201越しに光硬化性樹脂を5秒間照射した。光硬化性樹脂が硬化した後、スタンパ201を剥離した。このとき、被転写体202の表面には、スタンパ203に形成した凹凸パターンと相対する凹凸パターンが転写された。被転写体202を微細構造転写装置200から搬出した後、放射源206から1300nmの波長を有する放射波を放射した。検査対象である36区画の平均透過率は、全区画で93.8%であり、転写前の透過率から変化が無いことがわかった。
【0089】
さらに、新たな光硬化性樹脂を塗布した被転写体202を微細構造転写装置200に配置し、スタンパ201への押し当て、光硬化性樹脂の硬化、スタンパ201の剥離を繰返し、スタンパ201の検査を行った。このインプリント工程を100回続けたところ、スタンパ202の検査対象である36区画のうち1区画で透過率が92.1%に変化した。この透過率が変化した区画では、光硬化性樹脂が目詰まりしていた。そこで、その区画に相当する被転写体202の領域にのみ、光硬化性樹脂を塗布せずインプリント工程を繰り返したところ、目詰まりの生じた区画以外では、スタンパ203に形成した凹凸パターンと相対する凹凸パターンが転写されていることを確認した。
【0090】
なお、目詰まりした区画に相当する領域に光硬化性樹脂を塗布して転写工程を行ったところ、凹凸パターン内に入らなかった樹脂が周囲の区画に流れこみ、転写後の樹脂層の厚さが厚くなったうえ、周囲の区画の一部でも目詰まりが生じた。
【0091】
本実施例の結果より、本発明の検出方法によって、検出結果を検査工程以降の転写工程に反映することで、スタンパの欠陥、及び被転写体表面のパターン欠陥領域の拡張を防ぐことができた。
【0092】
(実施例5)
本実施例では、実施例4に記載したインプリント方法で、凹凸パターンが転写された被転車体202を検査する実施例を説明する。
【0093】
被転写体202は、直径50mm,厚さ0.5mmの石英基板表面に、30mm×30mmの領域内に直径100nm,深さ200nmの柱状構造が、間隔150nmで並べられた基板である。
【0094】
スタンパ203を被転写体202から剥離後、スタンパ203を微細構造転写装置200から搬出した後、放射源206から1300nmの波長を有する放射波を放射した。検査対象である36区画の平均透過率は、全区画で93.2%であり、均一なパターン形成領域が構成されていた。
【0095】
さらに、新たな光硬化性樹脂を塗布した被転写体202、及び前記スタンパ203を微細構造転写装置200に配置し、スタンパ203への押し当て、光硬化性樹脂の硬化、スタンパ201の剥離を繰返し、被転写体202の検査を行った。このインプリント工程を100回続けたところ、スタンパ203の検査対象である36区画のうち1区画で透過率が96%になった。この透過率が変化した区画では、凹凸パターンが転写されておらず、またスタンパ203の同じ区画で光硬化性樹脂の一部が目詰まりしていた。そこで、その区画に相当する被転写体202の領域にのみ、光硬化性樹脂を塗布せずインプリント工程を繰り返したところ、目詰まりの生じた区画以外では、スタンパ203に形成した凹凸パターンと相対する凹凸パターンが転写されていることを確認した。
【0096】
なお、目詰まりした区画に相当する領域に光硬化性樹脂を塗布して転写工程を行ったところ、凹凸パターン内に入らなかった樹脂が周囲の区画に流れこんだ影響で、周囲の区画でも凹凸パターンが形成されていなかった。
【0097】
本実施例の結果より、本発明の検出方法によって、検出結果を検査工程以降の転写工程に反映することで、スタンパの欠陥、及び被転写体表面のパターン欠陥領域の拡張を防ぐことができた。
【0098】
(実施例6)
本実施例では、実施例4に記載した微細構造転写装置を使用して、反射光抑制デバイスを作製する方法について説明する。
【0099】
スタンパ201として、直径100mm,厚さ1mmの石英基板の表面に、周知の電子線描画技術とドライエッチング技術で、30mm×30mmの領域内61に直径230nm、深さ400nmの穴構造を、間隔70nmで並べた。
【0100】
放射源206として、0.7μmと1.5μmの波長を含む光を放射するLEDを組込んだ照射系を用いた。照射面の大きさを直径40mmに設定した。また、スタンパ201に対してほぼ垂直に、かつ等位相分布を保った状態で、スタンパ201に照射した。後述する微細構造転写工程前にスタンパ201を検査したところ、検査対象である36区画の平均透過率は、全区画で0.7μmの波長のとき97.4%、1.5μmの波長のとき97.6%であった。
【0101】
被転写体202として、直径50mm,厚さ0.5mm、屈折率が2.23の光学デバイス用基板を使用した。
【0102】
スタンパ201に向かって被転写体202を押し当て、光硬化性樹脂が硬化した後、スタンパ201を剥離した。このとき、被転写体202の表面には、スタンパ203に形成した凹凸パターンと相対する凹凸パターンが転写された。被転写体202を微細構造転写装置200から搬出した後、検査対象である36区画の平均透過率は、全区画で0.7μmの波長のとき97.4%、1.5μmの波長のとき97.6%であり、転写前の透過率から変化が無いことがわかった。
【0103】
微細構造の転写をさらに105回続けたところ、スタンパ202の検査対象である36区画のうち2区画で700nmおよび1500nmの波長での透過率が99.9%に変化した。そこで、その2区画に相当する領域にのみ、光硬化性樹脂を塗布せずインプリント工程を繰り返した。結果として、透過率の変化が生じた2区画を除き、被転写体202の表面には、スタンパ201の凹凸パターンに相対する凹凸パターンが転写された。
【0104】
次に、周知のドライエッチング技術で被転写体1の表面を加工した。このとき、エッチング深さが230nmとなるように圧力,ガス,エッチング時間等を調整した。そして、被転写体1を、予め定めていた5mm×5mmの区画に切り出し、光学板を作製した。
【0105】
前記の光学板のパターン形成面で生じる反射率を測定したところ、凹凸パターンが形成された光学板では、波長1.16μmから1.5μmの波長範囲での反射率が0.1%以下であった。凹凸パターンを形成していない被転写体1と同じ材質の基板では、反射率が約14%であったことから、凹凸パターンを形成することで反射波を抑制できることを実証した。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】第一実施形態に係る検査装置の構成説明図であり、(a)は断面図、(b)は鳥瞰図である。
【図2】第二実施形態に係る微細構造転写装置の構成説明図である。
【図3】第二実施形態に係る微細構造転写方法および検査方法を説明する図である。
【図4】実施例1の検査装置で評価した透過率の波長特性であり、(a)は表1に示したサンプル1、(b)はサンプル2、(c)はサンプル3、(d)はサンプル4、(e)はサンプル5、(f)はサンプル6、(g)はサンプル7、(h)はサンプル8、(i)サンプル9である。
【図5】実施例2の検査装置で評価した透過率の波長特性である。(a)は表2に示したサンプル1、(b)はサンプル2、(c)はサンプル3である。
【図6】実施例3の検査装置で評価した凹凸パターンの配置図である。
【符号の説明】
【0107】
1 被検査体
2 放射源
3 検出器
201 スタンパ
202 被転写体
206 放射源
301 光硬化性樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体の表面に微細な凹凸パターンを形成した被検査体に放射波を照射する照射機構と、被検査体を透過した透過波を検出する検出機構を備えた検査装置において、
前記照射機構は前記被検査体のパターン形成面またはその反対面のいずれか一方に配置され、前記検出機構は被検査体を介して照射機構とは相対する面に配置されており、検出機構で得られた被検査体の面内の透過率分布から凹凸パターンの不良領域を検出することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記検査装置において、前記照射機構の放射面は前記被検査体の凹凸パターン形成領域と同じ又は広く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記検査装置において、前記検出機構の検出面は前記被検査体の凹凸パターン形成領域と同じ又は広く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記検査装置において、前記照射機構又は検出機構のいずれか一方に、波長選択機能を有していることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項5】
前記検査装置において、波長が異なる少なくとも2波長で透過率分布を測定することを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記検査装置において、前記照射機構又は検出機構のいずれか一方に、偏波選択機能を有していることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項7】
前記検査装置において、偏波が異なる少なくとも2偏波で透過率分布を測定することを特徴とする請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
前記検査装置において、被検査体の面内を複数の区画に分け、各区画内の平均透過率を評価することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項9】
前記検査装置において、被検査体または検査する区画の最大幅をw、検出する波長をλとした場合、前記検出機構を被検査体の表面からλ/(2π)以上かつw2/λ以下の範囲に設定することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項10】
基体の表面に微細な凹凸パターンを形成した被検査体に放射波を照射する照射機構と、被検査体を透過した透過波を検出する検査方法において、
前記照射機構は前記被検査体のパターン形成面またはその反対面のいずれか一方に配置し、前記検出機構は被検査体を介して照射機構とは相対する面に配置することで、検出機構で得られた被検査体の面内の透過率分布から凹凸パターンの不良領域を検出することを特徴とする検査方法。
【請求項11】
前記検査方法において、被検査体を透過させて検出する放射波が、少なくとも2つの異なる波長であることを特徴とする請求項10に記載の検査方法。
【請求項12】
前記検査装置において、被検査体を透過させて検出する放射波が、少なくとも2つの異なる偏向方向であることを特徴とする請求項10に記載の検査方法。
【請求項13】
前記検査装置において、被検査体の面内を複数の区画に分け、各区画内の平均透過率を評価することを特徴とする請求項10に記載の検査方法。
【請求項14】
前記検査装置において、被検査体または区画の最大幅をw、検出する波長をλとした場合、被検査体を透過した放射波を被検査体の表面からλ/(2π)以上かつw2/λ以下の範囲で検出することを特徴とする請求項10に記載の検査装置。
【請求項15】
微細パターンが形成されたスタンパを被転写体に接触させて、前記被転写体の表面に前記スタンパの微細パターンを転写する微細構造転写装置において、
スタンパに放射波を照射する照射機構と、スタンパを透過した放射波を検出する検出機構を備えた検査機構を備えており、
前記照射機構は前記スタンパのパターン形成面またはその反対面のいずれか一方に配置され、前記検出機構はスタンパを介して照射機構とは相対する面に配置されており、検出機構で得られたスタンパの面内の透過率分布を測定する検査装置が備え付けられていることを特徴とする微細構造転写装置。
【請求項16】
前記微細構造転写装置において、前記被転写体表面に微細パターンを転写するための樹脂を塗布する機構を備えており、該樹脂の塗布量を、前記検査機構で得られたスタンパの透過率分布を反映して設定する機構を有していることを特徴とする請求項15に記載の微細構造転写装置。
【請求項17】
微細パターンが形成されたスタンパを被転写体に接触させて、前記被転写体の表面に前記スタンパの微細パターンを転写する微細構造転写装置において、
被転写体に放射波を照射する照射機構と、被転写体を透過した放射波を検出する検出機構を備えた検査機構を備えており、
前記照射機構は前記被転写体のパターン転写面またはその反対面のいずれか一方に配置され、前記検出機構は被転写体を介して照射機構とは相対する面に配置されており、検出機構で得られた被転写体の面内の透過率分布を測定する検査装置が備え付けられていることを特徴とする微細構造転写装置。
【請求項18】
前記微細構造転写装置において、前記被転写体表面に微細パターンを転写するための樹脂を塗布する機構を備えており、該樹脂の塗布量を、前記検査機構で得られた被転写体の透過率分布を反映して設定する機構を有していることを特徴とする請求項17に記載の微細構造転写装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−8299(P2010−8299A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169766(P2008−169766)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】