説明

スーパーオキシドジスムターゼ−1の凝集を阻害する化合物

本発明は、スーパーオキシドジスムターゼ-1(SOD)ダイマーを安定化する化合物を使用して、SODが凝集する速度を阻害する方法に関する。前記方法は、筋萎縮性側索硬化症の研究及び治療において有用である。本発明は、ダイマーを安定化する化合物を同定するために使用し得るアッセイ、及びこれらのアッセイにおいて使用するために修飾されたSOD分子も含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、参照することによって本明細書に組み込まれる、2005年2月18日に出願の米国仮特許出願第60/653,983の優先権の利益を享受する。
【0002】
本発明はスーパーオキシドジムスターゼ(SOD)の凝集を阻害する化合物に関する。このタンパク質の凝集は筋萎縮性側索硬化症(ALS)及び他の神経疾患の発症に関連しているため、本発明の化合物はALSの治療及び予防における治療剤として有用である。それらは、ALS及び他の関連疾患の病理を研究する研究者によってツールとして使用されても良い。更に、本発明は、SOD及びそのダイマーを安定化し、及び/又はSODの凝集を妨げる化合物の同定において有用なスクリーニングアッセイを提供する。本発明は、本発明のアッセイにおいて特に有用な修飾された形態のSODも提供する。
【背景技術】
【0003】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)又はルー・ゲーリグ病は、35,000人を超えるアメリカ人及び更に多くの世界中の人々が冒されている致死性の運動神経疾患である。約20%のALSのケースが、単一遺伝子性及び常染色体優性である(家族性ALS, FALS)。FALSの最も一般的な原因は、通常超酸化物イオンを捕捉する役割を担っており、βシートに富むダイマー性の金属結合酵素であるスーパーオキシドジスムターゼ-1(SOD-1)における点変異である(1, 2)。
【0004】
SOD-1は豊富で、広範に発現しているタンパク質であり、酸化化学に関与することが以前から既知である。しかしながら、そのジスムターゼ活性は、ALSの病理に関連していないようである。例えば、げっ歯類におけるALSに関連するSOD-1変異体タンパク質の発現は、タンパク質ジスムターゼ活性から独立して、進行性の運動神経疾患を引き起こし(Bruijn et al. Science 281:1851-1854;参照によって本明細書に組み込む)、SOD-1遺伝子の欠失は、マウスにおいて運動神経疾患を生じさせない(Reaume et al. Nat. Genet. 13:43-47 (1996);参照によって本明細書に組み込む)。
【非特許文献1】Brown, R., Curr. Opin. Neurobiol. 5:841-6 (1995)
【非特許文献2】Brown, R., Cell 80:687-92 (1995)
【非特許文献3】Bruijn, et al, Neuropathol. Appl. Neurobiol. 22:373-87 (1996)
【非特許文献4】Lindberg, et al, Proc. Nat'l Acad. Sci USA 99:16607-12 (2002)
【非特許文献5】Johnston, et al, Proc. Nat'l Acad. Sci USA 97:12571-6 (2000)
【非特許文献6】Hayward, et al, J. Biol. Chem. 277:15923-31 (2002)
【非特許文献7】Tiwari, et al, J. Biol. Chem. 278:5984-92 (2003)
【非特許文献8】Hough, et al, Proc. Nat'l Acad. Sci USA, in press (2004)
【非特許文献9】Lindberg, et al,. Proc. Nat'l Acad. Sci USA 101:15893-8 (2004)
【非特許文献10】Khare, et al, Proc. Nat'l Acad. Sci USA 101:15094-9 (2004)
【非特許文献11】Arnesano, J. Biol. Chem. 279:47998-8003 (2004)
【非特許文献12】Furukawa, et al, EMBO J. 23:2872-81 (2004)
【非特許文献13】Doucette, et al., J. Biol. Chem. (2004)
【非特許文献14】Chung, et al, Biochem. Biophys. Res. Commun. 312:873-6 (2003)
【非特許文献15】Ray, et al, Proc. Nat'l Acad. Sci USA 101:5701-2 (2004)
【非特許文献16】Ray, et al, Biochemistry 43:4899-905 (2004)
【非特許文献17】Colon, et al., Ciba Found. Symp. 199:228-38; discussion 239-42 (1996)
【非特許文献18】Kelly, et al., Adv. Protein Chem. 50:161-81 (1997)
【非特許文献19】Hammarstrom, et al, Science 293:2459-62 (2001)
【非特許文献20】Miroy, et al, Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 93:15051-6 (1996)
【非特許文献21】Oza, et al, Bioorg. Med. Chem. Lett. 9:1-6 (1999)
【非特許文献22】Baures, Bioorg. Med. Chem. 7:1339-47 (1999)
【非特許文献23】McCammon, et. al, Structure (Camb) 10: 851-63 (2002)
【非特許文献24】Baures, et. al, Bioorg. Med. Chem. 6:1389-401 (1998)
【非特許文献25】Adamski-Werner, et. al. J. Med. Chem. 47:355-74 (2004)
【非特許文献26】Halgren, J. Med. Chem. 47:1750-9 (2004)
【非特許文献27】McCord, et al, J. Biol Chem. 244:6049-55 (1969)
【非特許文献28】Conway, et al, Nat. Med. 4:1318-20 (1998)
【非特許文献29】Kleywegt, et al, Acta Crystallogr. D. Biol. Crystallogr. 55(pt 4):941-4 (1999)
【非特許文献30】Wallace, et al, Biochim. Biophys. Acta 1478:325-32 (2000)
【非特許文献31】Eilers, et al, Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 97:5796-801 (2000)
【非特許文献32】Karpusas, et al, Proc. Nat'l Acad. Sci USA 86:8237-41 (1989)
【非特許文献33】Lipinski, et al, Adv. Drug Deliv. Rev. 46:3-26 (2001)
【非特許文献34】Kontoyianni, et al, J. Med. Chem. 47:558-65 (2004)
【非特許文献35】Santoro, et al, Biochemistry 31:4901-7 (2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トランスジェニックマウスを使用した研究によって、FALSが、変異体型のSOD-1の凝集による「毒性機能の取得」に由来するものであることが示唆されている(3)。114の既知のSOD-1 FALS変異がSOD-1タンパク質の一次配列及び三次構造に分布しているため、前記変異は、各種の様式でSOD-1の構造安定性に影響を与えていると提唱されている(1, 2)。例えば、1つ以上のFALS SOD-1変異が、金属結合の低減(4-6)、安定した分子内ジスルフィド結合の形成の低減(7)、構造安定性の低減、並びにモノマー化(8)及び凝集(7, 9-14)の傾向の増大に関連している。亜鉛及び銅の結合部位(サブユニット毎に各々1つ)の占有はSOD-1の凝集を妨げ得る(10)。かくしてSOD-1脱メタル化(demetallation)はFALSの開始及び進行を遅延させ得るが、それをin vivoで実行する実用的手段は未だに存在していない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ALS及び他の関連する疾患を治療及び/又は予防するためのストラテジーは、SOD-1が通常はホモダイマーの形態で認められ、これらのダイマーの解離がSODの凝集の前に生じ得るという観察に基づく。事実、SODにおける変異が前記ダイマーを不安定化し、それにより、続いてSODの凝集が生じることを示す証拠も存在する(16, 10)。SOD-1を安定化することによってSOD-1の凝集を妨げることが可能な任意の化合物が、本発明において有用である。ある実施態様では、前記化合物は、SOD-1ホモダイマーの2つのサブユニットの間の接触面に結合する。アミノ酸Gly56、ThrA54、AsnA53、LysA9、CysA146、ValA148、ValA7、GlyB51、Thr116、及びGly147を含むこの結合部位の重要性は、突然変異誘発によって評価された。
【0007】
本発明は、SOD-1ダイマーを安定化する薬剤様分子(例えば、小分子、ペプチド、タンパク質、及び薬剤様分子など)を検出するin silicoスクリーニングプログラムに起因するものである。市販のデータベースに由来する約150万の分子を、ダイマーの接触面にドッキングさせた。最も高い予測の結合アフィニティーを有する100の分子の中で、15の分子が、A4V(FALSに関連するSOD-1の変異体)のin vitroにおける凝集及び変性を有意に阻害した。これらの分子の幾つかの存在下で、A4V及び他のFALSに関連するSOD-1変異体、例えばG93A及びG85Rは、野生型のSOD-1と同様に振る舞い、これらの化合物がFALSに対する有効な治療剤である可能性を示した。これらの化合物は当該技術分野で既知であり、標準の既知の方法を用いて合成され得る。化合物の構造を試験することによって、関連する化合物の他の群が同定され、これらについてもSOD凝集の阻害において活性を有することが認められた。これらの化合物は、ALSの研究をする研究者にとって、及びこの疾患及び関連する疾患の治療において価値のあるものであろう。
【0008】
1つの態様では、本発明は、in vitro又はin vivoでスーパーオキシドジスムターゼを、有効量の式Iの化合物と接触させることによって、スーパーオキシドジスムターゼ(例えば、SOD-1)の凝集を阻害する方法に関する。
【0009】
【化1】

【0010】
式中、
a、b、c、及びdは、C及びNからなる群から各々独立に選択される;
R1、R2、及びR6は、各々独立に、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C1-C6脂肪族(例えば、C1-C6アルキル)、又は-(CH2)n-Z-(CH2)m-R7であり;Zは-O-、-S-、-CR'2-、又は-NR'-であり、R'は水素、ハロゲン、又はC1-C6脂肪族(例えば、メチルのようなC1-C6アルキル)である;
R7は、H、CH3、アシル、又はハロゲン(例えば、F、Cl、Br、又はI)、(C1-C6)脂肪族、炭素環式若しくはヘテロ環式、-OH、あるいは-NH2で1つ以上の位置において任意に置換されたアリール若しくはヘテロアリール部分である;
nは0から3の整数である;
mは0から3の整数である;
並びに、-(CH2)n-Z-(CH2)mの中の1つ以上の単結合が二重結合に置き換えられて良い;
R1が-(CH2)n-Z-(CH2)m-R7である際は、R2及びR6は、H、ハロゲン、(C1-C6)脂肪族、-OH、又は-NH2から各々独立に選択されても良い;
R2が-(CH2)n-Z-(CH2)m-R7である際は、R1及びR6は、H、ハロゲン、(C1-C6)脂肪族、-OH、又は-NH2から各々独立に選択されても良い;
R6が-(CH2)n-Z-(CH2)m-R7である際は、R1及びR2は、H、ハロゲン、(C1-C6)脂肪族、-OH、又は-NH2から各々独立に選択されても良い;
R3及びR5は、各々独立に、O又はSのいずれかである;並びに
R4は、H、ハロゲン、(C1-C6)脂肪族(例えば、メチル)、-OH、又は-NH2である。
【0011】
ある実施態様では、
a)aがNであるか;又は
b)cがNであるか;又は
c)dがNであるか;又は
d)aがCであるか;又は
e)cがCであるか;又は
f)dはCである。
【0012】
ある実施態様では、
a)R1、R2、及びR6の少なくとも1つが水素であるか;又は
b)R1、R2、及びR6の少なくとも2つが水素であるか;又は
c)R1、R2、及びR6の少なくとも1つがメチルである。
【0013】
ある実施態様では、
a)zがSであるか;又は
b)zがOであるか;又は
c)zが-NH-であるか;又は
d)zが-NMe-であるか;又は
e)zが-CH2-である。
【0014】
ある実施態様では、
a)R4が水素であるか;又は
b)R4がメチルである。
【0015】
ある実施態様では、
a)R7が水素であるか;又は
b)R7がアシルであるか;又は
c)R7がアセチルであるか;又は
d)R7が-CO-R7'であり、式中、R7'はC1-C6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル);アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ);ヒドロキシ;アミノ;置換若しくは非置換のアリール;置換若しくは非置換のヘテロアリール;置換若しくは非置換の非芳香族炭素環;又は置換若しくは非置換の非芳香族ヘテロ環である。ある実施態様では、R7'は、上述のように置換された単環若しくは二環式のアリール若しくはヘテロアリール部分である。ある実施態様では、R7'は、上述のように任意に置換された、単環式の5又は6員環のアリール又はヘテロアリール部分である。更なる他の実施態様では、R7'は、任意に置換されたフェニル部分である。ある実施態様では、R7'は非置換のフェニルである。特定の実施態様では、R7'は一置換フェニル部分である。他の実施態様では、R7'は二置換フェニル部分である。更に他の実施態様では、R7'は三置換フェニル部分である。ある実施態様では、R7'はオルト置換フェニル部分である。他の実施態様では、R7'はメタ置換フェニル部分である。更に他の実施態様では、R7'はパラ置換フェニル部分である(例えば、パラメチルフェニル)。ある実施態様では、R7'はハロゲンで置換されたフェニル部分である(例えば、オルトハロフェニル;オルトクロロフェニル;オルトフルオロフェニル;パラハロフェニル;パラクロロフェニル;パラフルオロフェニル)。ある実施態様では、R7'は非芳香族炭素環である。他の実施態様では、R7'は非芳香族ヘテロ環である。
【0016】
他の実施態様では、
a)R7が-CH3であるか;又は
b)R7がエチルであるか;又は
c)R7がプロピルであるか;又は
d)R7がブチルである。
【0017】
ある実施態様では、R7は、上述のように任意に置換された、単環若しくは二環式のアリール若しくはヘテロアリール部分である。ある実施態様では、
a)R7が、上述のように任意に置換された、単環式の5又は6員環のアリール又はヘテロアリール部分であるか;又は
b)R7が任意に置換されたフェニル部分であるか;又は
c)R7が非置換のフェニルである。
【0018】
ある実施態様では、R7はフェニル部分であり、一置換、二置換、又は三置換されていて良い。ある実施態様では、R7はオルト置換フェニル部分であるか;又はR7はメタ置換フェニル部分であるか;又はR7はパラ置換フェニル部分(例えば、パラメチルフェニル)である。ある実施態様では、R7はハロゲンで置換されたフェニル部分(例えば、オルトハロフェニル;オルトクロロフェニル;オルトフルオロフェニル;パラハロフェニル;パラクロロフェニル;パラフルオロフェニル)である。ある実施態様では、R7は非芳香族炭素環であるか、又は非芳香族ヘテロ環である。
【0019】
ある実施態様では、
a)R7がC1-C6アルキルであるか;又は
b)R7がC1-C6アルケニルであるか;又は
c)R7がC1-C6アルキニルであるか;又は
d)R7がC1-C3アルキルであるか;又は
e)R7がC1-C3アルケニルであるか;又は
f)R7はC1-C3アルキニルである。
【0020】
ある実施態様では、mは0又は1である。ある実施態様では、nは0又は1である。ある実施態様では、nは0である。ある実施態様では、nは1である。ある実施態様では、nは2である。ある実施態様では、mは0である。ある実施態様では、mは1である。ある実施態様では、mは2である。ある実施態様では、m又はnの1つが0であり、他方が1である。ある実施態様では、nが0であり、mが1である。ある実施態様では、m及びnの双方が0である。
【0021】
ある実施態様では、R3及びR5の双方がOである。他の実施態様では、R3及びR5の双方がSである。更に他の実施態様では、R3及びR5の1つがOであり、他方がSである。
【0022】
好ましい実施態様では、a、b、c、及びdは、C及びNからなる群から各々独立に選択されるが、a、b、c、及びdの全てがNではないか、又は代替的にはa、b、c、及びdの2つ以下がNであるか、又は代替的にはa、b、c、及びdの1つがNであって良いという条件がある。R1、R2、又はR6の1つのみが-(CH2)n-Z-(CH2)m-R7であり、他の位置が水素;ハロゲン;シアノ;(C1-C6)アルキル(例えば、メチル);OH;又はNH2であることも好ましい。
【0023】
ある実施態様では、式Iの化合物は式(Ia)の化合物である。
【0024】
【化2】

【0025】
式中、R2は上述のものである。
【0026】
ある実施態様では、式Iの化合物は式(Ib)の化合物である。
【0027】
【化3】

【0028】
式中、R1は上述のものである。
【0029】
ある実施態様では、式Iの化合物は式(Ic)の化合物である。
【0030】
【化4】

【0031】
式中、R2は上述のものである。
【0032】
ある実施態様では、式Iの化合物は式(Id)の化合物である。
【0033】
【化5】

【0034】
式中、R1、R2、R4、及びR6は上述のものである。
【0035】
ある実施態様では、式Iの化合物は式(Ie)の化合物である。
【0036】
【化6】

【0037】
式中、R2、R4、及びR6は上述のものである。
【0038】
ある実施態様では、式Iの化合物は式(If)の化合物である。
【0039】
【化7】

【0040】
式中、R2、R4、及びR6は上述のものである。
【0041】
ある実施態様では、式Iの化合物は式(Ig)の化合物である。
【0042】
【化8】

【0043】
式中、R2は上述のものである。
【0044】
ある実施態様では、式Iの化合物は式(Ih)の化合物である。
【0045】
【化9】

【0046】
式中、R1及びR2は上述のものである。
【0047】
ある実施態様では、式Iの化合物は式(Ii)の化合物である。
【0048】
【化10】

【0049】
式中、R1、R2、R4、又はR6は上述のものである。
【0050】
他の態様では、本発明は、式IIの化合物を使用してスーパーオキシドジスムターゼの凝集を阻害又は対象を治療する方法に関する。
【0051】
【化11】

【0052】
式中、
R8、R9、及びR13は、以下のものから各々独立に選択される。
【0053】
【化12】

【0054】
式中、nは0から3の整数であり;rは1から3の整数であり;Zは-S-、-CR'2-、又は-NR'-であり、R'は水素、ハロゲン、又はC1-C6脂肪族(例えば、メチル)であり;R14は(C1-C6)脂肪族、ハロゲン、OH、又は-NH-R15であり;R15は、H、NH2、OH、又は(C1-C3)脂肪族である。
【0055】
【化13】

【0056】
式中、nは0から3の整数であり;Zは-S-、-CR'2-、又は-NR'-であり、R'は水素、ハロゲン、又はC1-C6脂肪族(例えば、メチル)であり;R16は、-H、-OH、ハロゲン、NH2、(C1-C3)脂肪族、及びハロゲン、-OH、(C1-C3)脂肪族、又は-NH2で1つ以上の位置において任意に置換されたフェニルから選択される。
【0057】
基 c):-(CH2)n-C=N-R16
式中、nは0から3の整数であり;好ましくはnは0又は1であり;並びにR16は、水素、-OH、ハロゲン、-NH2、(C1-C6)脂肪族、及びハロゲン(例えば、パラフルオロフェニル、パラクロロフェニルなど)、-OH、(C1-C3)脂肪族、又は-NH2で1つ以上の位置において任意に置換されたフェニルから選択される。
【0058】
基d):-(CH2)n-フェニル
式中、nは0から3の整数であり、フェニルは、ハロゲン、-OH、(C1-C3)脂肪族、アルコキシ、又は-NH2で1つ以上の位置において任意に置換されて良い;並びに
R8が、基a)、基b)、基c)、又は基d)のいずれかである際は、R9及びR13は、H、ハロゲン、アシル、(C1-C3)脂肪族、-OH、アルコキシ、及び-NH2から各々独立に選択されても良い。
【0059】
R9が、基a)、基b)、基c)、又は基d)のいずれかである際は、R8及びR13は、H、ハロゲン、アシル、(C1-C3)脂肪族、-OH、アルコキシ、及び-NH2から各々独立に選択されても良い。
【0060】
R13が、基a)、基b)、基c)、又は基d)のいずれかである際は、R8及びR9は、H、ハロゲン、アシル、(C1-C3)脂肪族、-OH、アルコキシ、及び-NH2から各々独立に選択されても良い。
【0061】
R10、R11、及びR12は、H、ハロゲン、アシル、C1-C6脂肪族(例えば、C1-C6アルキル)、-OH、アルコキシ、及び-NH2からなる群から各々独立に選択されて良く、R10、R11、及びR12のいずれか1つが、-(CH2)n-フェニル[式中、nは0から3の整数であり、フェニルは、ハロゲン、アシル、C1-C6脂肪族(例えば、C1-C6アルキル)、-OH、アルコキシ、又は-NH2で1つ以上の位置において任意に置換されて良い]であっても良い。好ましくは、変項R8、R9、及びR13の1つのみが、基a)、b)、又はc)に相当し;他の2つの変項はH、ハロゲン、アシル、C1-C6脂肪族(例えば、C1-C6アルキル)、-OH、アルコキシ、及び-NH2である。
【0062】
ある実施態様では、R10、R11、及びR12の全てが水素である。他の実施態様では、R10、R11、及びR12の少なくとも2つが水素である。更に他の実施態様では、R10、R11、及びR12の少なくとも1つが水素である。
【0063】
ある実施態様では、R10、R11、及びR12の少なくとも1つがハロゲンである。ある他の実施態様では、R10、R11、及びR12の少なくとも1つが臭素である。ある他の実施態様では、R10、R11、及びR12の少なくとも1つがフッ素である。ある他の実施態様では、R10、R11、及びR12の少なくとも1つが塩素である。ある他の実施態様では、R10、R11、及びR12の少なくとも1つが-OHである。ある他の実施態様では、R10、R11、及びR12の少なくとも1つがメチルである。ある他の実施態様では、R10、R11、及びR12の少なくとも1つが-NH2である。
【0064】
本発明は、式IIIの化合物を使用して、スーパーオキシドジスムターゼの凝集を阻害又は対象を治療する方法も含む。
【0065】
【化14】

【0066】
式中、
a、b、c、d、e及びfは、各々独立にC又はNである。
【0067】
R17、R18、及びR22の少なくとも1つが、下式である。
【0068】
【化15】

【0069】
式中、YはC又はSであり、n及びmは、各々独立に0から3の整数であり、フェニルは、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、又はNH2で1つ以上の位置において任意に置換されて良い。
【0070】
R17、R18、又はR22が下式のものでない場合には、H、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から独立に選択される。
【0071】
【化16】

【0072】
R19、R20、及びR21の少なくとも1つが-(CH2)n-Z-Z=Oであり、式中、Zは、C、N、又はSであり、nは0から3の整数である;
R19、R20、及びR21が-(CH2)n-Z-Z=Oでない場合には、H、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、又はNH2から独立に選択される。
【0073】
ある実施態様では、a、b、c、d、e、又はfの1つのみがNである。他の実施態様では、a、b、c、d、e、又はfの2つのみがNである。
【0074】
好ましい実施態様では、a、b、c、d、e、又はfの3つ以下がNであり;R17、R18、及びR22の1つが下式のものであり、R19、R20、及びR21の1つが-(CH2)n-Z-Z=Oである。
【0075】
【化17】

【0076】
他の実施態様では、式IIの化合物の窒素の数は2又は1に限定される。
【0077】
ある実施態様では、式(III)の化合物は式(IIIa)の化合物である。
【0078】
【化18】

【0079】
式中、R2は上述のものである。
【0080】
他の態様では、本発明は、式IVの化合物を使用して、スーパーオキシドジスムターゼの凝集を阻害又は対象を治療する方法に関する。
【0081】
【化19】

【0082】
式中、a及びbはS、O、-CR'-であり、R'は水素、ハロゲン、又はC1-C6脂肪族(例えば、メチルのようなC1-C6アルキル)、N若しくはNR23、あるいはSである。
【0083】
R24、R25、R26、及びR27は、H、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、-OH、及びNH2から選択され、R23の各々の存在が、独立に置換されているか又はされていない、分枝又は非分枝の脂肪族又はヘテロ脂肪族;置換又は非置換のアリール又はヘテロアリール;下式のもの;水素、又はC1-C6脂肪族である。
【0084】
【化20】

【0085】
式中、pは0から6の整数であり、R28は、(C1-C6)脂肪族(例えば、C1-C6アルキル)、(C1-C6)アルコキシ、OH、ハロゲン、-NHR'、-NR'2、NH2、NH-NH2、及びNH-CH3から選択され、R'はハロゲン、OH、ウレイド、置換若しくは非置換であって分枝若しくは非分枝の脂肪族若しくはヘテロ脂肪族、置換若しくは非置換のアリール若しくはヘテロアリール、又はアシルである。ある実施態様では、R28はNH2又はNH-NH2のいずれかである。他の実施態様では、R28は-NHR'であり、R'は、任意に置換されたアリール(例えば、フェニル)又はヘテロアリール(例えば、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピリジニル、など)である。ある実施態様では、R28は-NR'であり、少なくとも1つのR'がメチルである。ある実施態様では、R23はC1-C3アルキル(例えば、メチル)である。
【0086】
ある実施態様では、R24、R25、R26、及びR27の全てが水素である。ある実施態様では、aがNである。他の実施態様では、bはSである。
【0087】
ある実施態様では、式IVの化合物は式(IVa)の化合物である。
【0088】
【化21】

【0089】
式中、R23は上述のものである。
【0090】
ある実施態様では、式IVの化合物は式(IVb)の化合物である。
【0091】
【化22】

【0092】
式中、R23は上述のものである。
【0093】
ある実施態様では、式IVの化合物は式(IVc)の化合物である。
【0094】
【化23】

【0095】
式中、R23は上述のものである。
【0096】
ある実施態様では、式IVの化合物は式(IVd)の化合物である。
【0097】
【化24】

【0098】
式中、R23は上述のものである。
【0099】
ある実施態様では、式IVの化合物は式(IVe)の化合物である。
【0100】
【化25】

【0101】
式中、R28は上述のものである。
【0102】
ある実施態様では、式IVの化合物は式(IVf)の化合物である。
【0103】
【化26】

【0104】
式中、R28は上述のものである。
【0105】
ある実施態様では、式IVの化合物は式(IVg)の化合物である。
【0106】
【化27】

【0107】
式中、R28は上述のものである。
【0108】
SODの凝集の阻害又は対象の治療に使用し得る他の化合物は、式Vの構造を有する。
【0109】
【化28】

【0110】
式中、
aは、-O-、-CH2-、-NH-、又は-S-から選択される;
R29は、ハロゲン、OH、(C1-C6)脂肪族、及びNH2から選択される;
R30は、-(CH2)qOH又は-(CH2)q-OP(O)(OH)2であり、qは1から3の整数であり、好ましくは、qは1である。
【0111】
ある実施態様では、aはOであるが、他の場合ではOではない。他の実施態様では、aは-CH2-である。更に他の実施態様では、aはSである。更に他の実施態様では、aは-NH-である。
【0112】
ある実施態様では、R29は-NH2である。ある実施態様では、R29はメチルである。
【0113】
本発明の方法において有用な化合物は、式VIの構造を有しても良い。
【0114】
【化29】

【0115】
式中、式VIの環構造における1つ以上の位置が、ハロゲン、C1-C6脂肪族(例えばC1-C6アルキル)、OH,及びNH2から選択される基で置換されて良い。
【0116】
R31は、下式のものである。
【0117】
【化30】

【0118】
式中、nは0から3(好ましくは1又は2)の整数であり;Zは-CH2-、-NH-、-O-、又は-S-(好ましくは、-NH-)であり;R32は、ハロゲン、-OH、C1-C6脂肪族(例えば、C1-C6アルキル)、及び-NH2(好ましくは-NH2)から選択される。
【0119】
ある実施態様では、R31は-NH-CO-NH2である。
【0120】
他の態様では、本発明は、式VIIの化合物を使用して、スーパーオキシドジスムターゼの凝集を阻害又は対象を治療する方法に関する。
【0121】
【化31】

【0122】
式中、R33、R34、及びR35は、水素、ハロゲン、(C1-C6)脂肪族、-OH、及び-NH2からなる群から各々独立に選択される。
【0123】
R36は、下式のものである。
【0124】
【化32】

【0125】
式中、n及びmは、各々独立に、0から3の整数であり、R37は水素、ハロゲン、-CH3、-OH、及び-NH2からなる群から選択される。
【0126】
ある実施態様では、R33がC1-C3アルキルである。ある特定の実施態様では、R33がメチルである。ある実施態様では、R34が水素である。他の実施態様では、R34がハロゲンである。更なる他の実施態様では、R34がフッ素である。ある実施態様では、R35がC1-C3アルキルである。ある特定の実施態様では、R35がメチルである。ある実施態様では、R36が下式のものである。
【0127】
【化33】

【0128】
特に好ましい態様では、本発明は、式VIIIの化合物を使用して、スーパーオキシドジスムターゼの凝集を阻害又は対象を治療する方法に関する。
【0129】
【化34】

【0130】
式中、
R38、R39、R40、及びR41は、H、C1-C6脂肪族、アリール、ヘテロ脂肪族、ヘテロアリール、アリールアルキル、及びヘテロアリールアルキルからなる群から各々独立に選択される;
a及びbは、各々独立に-CH-又は-N-である;
nは0から6の整数である;及び
mは0から1の整数である。
ある実施態様では、R38が水素であり、他の場合ではR39が水素であり、他の場合ではR40が水素であり、及び他の場合ではR41が水素である。ある実施態様では、mは1であり、他の場合ではnが少なくとも1であり、他の場合ではnが1であり、他の場合ではa及びbの双方が-CH-であり、及び他の場合ではa及びbの双方が-N-である。
【0131】
他の態様では、本発明は、式IXの化合物を使用して、スーパーオキシドジスムターゼの凝集を阻害又は対象を治療する方法に関する。
【0132】
【化35】

【0133】
式中、
R38、R39、R40、及びR41は、H、C1-C6脂肪族、アリール、ヘテロ脂肪族、ヘテロアリール、アリールアルキル、及びヘテロアリールアルキルからなる群から各々独立に選択される;
a及びbは、各々独立に-CH-又は-N-である;
nは0から6の整数である;及び
mは0から1の整数である。
【0134】
ある実施態様では、R38が水素であり、他の場合ではR39が水素であり、他の場合ではR40が水素であり、及び他の場合ではR41が水素である。ある実施態様では、mは1であり、他の場合ではnが少なくとも1であり、他の場合ではnが1であり、他の場合ではa及びbの双方が-CH-であり、及び他の場合ではa及びbの双方が-N-である。
【0135】
特に好ましい態様では、本発明は、式Xの化合物を使用して、スーパーオキシドジスムターゼの凝集を阻害又は対象を治療する方法に関する。
【0136】
【化36】

【0137】
式中、
R42は、H、C1-C6脂肪族、アリール、ヘテロ脂肪族、ヘテロアリール、アリールアルキル、及びヘテロアリールアルキルからなる群から選択される。
【0138】
ある実施態様では、R42はアリールであり、他の場合ではR42はヘテロアリールであり、他の場合ではR42は非置換のフェニル部分であり、他の場合ではR42は置換されたフェニル部分である。
【0139】
上述の本発明の方法において使用するための具体的な化合物は、以下のものを含む:
a) N-ニトロソ-5-(フェニルスルフィニル)ピリジン-2-アミン;
b) 6-[(4-クロロフェニル)アミノ]ピリミジン-2,4(1H,4H)-ジオン;
c) 6-[(4-クロロベンジル)チオ]1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
d) 4-ブロモ-2- {(E)-[(4-フルオロフェニル)イミノ]メチル}フェノール;
e) 6-(エチルチオ)-チオキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-3(2H)-オン;
f) 2-[2-(2-アミノ-4-メチルフェニル)エチル]-5-メチルアニリン;
g) 6-[(4-フルオロベンジル)チオ]-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
h) 2-(3 -フルオロフェニル)ヒドラジンカルボキサミド;
i) 3-ベンジル-2-ヒドロキシルベンゾヒドラジド;
j) 4-ヒドロキシベンズアルデヒドセミカルバゾン;
k) 4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)ブタンアミド;
1) 2-(1H-ベンズイミダゾール-2-イル)アセトヒドラジド;
m) N-[(1R,4R)-4-ヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル]ウレア;
n) トリマシコロン(trimacicolone);
o) 6-アミノ-メチ-アデノシン;
p) メチル3-(3,5-ジオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)プロパノエート;
q) 6-[(3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)チオ]-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
r) 3-メチル-6-[メチル(フェニル)アミノ]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
s) 2-(2-メチル-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)アセトアミド;
t) ヒドロキシ(オキソ) {4-[(2-オキソ-1,2,3,6-テトラヒドロピリミジン-4-イル)アミノ]フェニル} アンモニウム;
u) 6-[(2-クロロフェニル)アミノ]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
v) 6-[(4-ピロリジン-1-イルフェニル)アミノ]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
w) 6-[(4-メチルフェニル)アミノ]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
x) 5-エチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
y) 6-アニリノ-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5カルボニトリル;
z) 6-アニリノ-1-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
aa) 3-メチル-6-[(4-メチルフェニル)アミノ]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
bb) 1 -フェニル- 1H-ピラゾロ[3 ,4-d]ピリミジン-4,6(5H,7H)-ジオン;
cc) 6-[(4-クロロフェニル)アミノ]-3-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
dd) 6-(アリルチオ)-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
ee) エチル[(3,5-ジオキソ-2-テトラヒドロフラン-2-イル-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)チオ] アセテート;
ff) 6-[(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イルメチル)チオ]-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
gg) 6-[(1 -ナフチルメチル)チオ]-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
hh) 6-[(2-モルホリン-4-イル-2-オキソエチル)チオ]-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
ii) 6-{[2-(4-メトキシフェニル)-2-オキソエチル]チオ}-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
jj) 6-{[2-(2-クロロフェニル)-2-オキソエチル]チオ}-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
kk) 6-{[(2-フェニル-1,3-チアゾール-4-イル)メチル]チオ}-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)- ジオン;
ll) 6-[(2-クロロ-6-フルオロベンジル)チオ]-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
mm) 4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-N-フェニルブタンアミド;
nn) N-(アミノカルボニル)-2-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アセトアミド;
oo) 4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)酪酸;
pp) 3-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-N-1,3-チアゾール-2-イルプロパンアミド;
qq) 3-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル-N,N-ジメチルプロパンアミド;
rr) メチル4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)ブタノエート;
ss) 3-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル-N-フェニルプロパンアミド;
tt) 3-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-N-メチル-N-フェニルプロパンアミド;
uu) 2-[4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル]アセトアミド;
vv) 6-(1-ナフチルアミノ)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
ww) メチル4-[(2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロピリミジン-4-イル)アミノ]ベンゾエート;
xx) 6-{[(2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-イル)メチル]チオ}-1,2,4-トリアジン- 3,5(2H,4H)-ジオン;
yy) 1,2-ジ-[6-メルカプト-2H-[1,2,4]トリアジン-3,5-ジオン]エタン;及び
zz) ジ- {5-[1H-ピリミジン-2,4-ジオン]メチル}チオエーテル。
【0140】
これらのうち、特に有用な化合物は以下のものである:
6-[(4-クロロフェニル)アミノ]ピリミジン-2,4(1H,4H)-ジオン;
6-[(4-クロロベンジル)チオ] 1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
4-ブロモ-2-{(E)-[(4-フルオロフェニル)イミノ]メチル}フェノール;
6-[(4-フルオロベンジル)チオ]-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン; 及び
6-{[(2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-イル)メチル]チオ}-1,2,4-トリアジン- 3,5(2H,4H)-ジオン;
6-{[(2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-イル)メチル]チオ}-1,2,4-トリアジン- 3,5(2H,4H)-ジオン;
1,2-ジ-[6-メルカプト-2H-[1,2,4]トリアジン-3,5-ジオン]エタン; 及び
ジ- {5-[1H-ピリミジン-2,4-ジオン]メチル}チオエーテル。
【0141】
SODの凝集を阻害する機能は、ALS及び関連疾患を研究する研究者及びこれらの疾患の効果的な治療を開発しようとする臨床家にも使用される。かくして、前記化合物は、SODダイマーを安定化又はSODダイマーの凝集を妨げるそれらの機能を評価するためのin vitroアッセイにおいて使用されて良い。上述の化合物を試験動物に投与して、SODダイマー安定化、つまりSODが凝集する曽木独活とALSの兆候及び症状の発生との間の関係を研究するために試験されて良い。前記化合物は、疾患の進行を遅延させるか又は疾患を予防する目的で患者に与えられても良い。ALSは常に極度に衰弱させ、ほとんど常に致死性のものであるため、それ自体が非常に毒性ではなく、少量で神経の機能を保護する任意の薬剤が、非常に有利である。
【0142】
本明細書に記載の方法は、当該技術分野において認識される任意の製薬学的に許容される形態の化合物、特に全ての製薬学的に許容される塩、誘導体、立体異性体、異性体、互変異性体、及びプロドラッグを使用して良いと解されるであろう。前記化合物が当該技術分野において過去に知られていないか又は既知の機能を有していないという程度で、本発明は前記化合物自体を含む。特に、本発明は、
1,2-ジ-[6-メルカプト-2H-[1,2,4]トリアジン-3 ,5-ジオン]エタン;及び
ジ-{5-[1H-ピリミジン-2,4-ジオン]メチル} チオエーテル
を単独か、又は任意の製薬組成物若しくは本明細書に記載の投与形態において含む。
【0143】
本発明は、特に単位投与形態において、任意の上述の化合物を含む製薬組成物、及び特にALSのような神経疾患のための治療としての、これらの製薬組成物を使用するスーパーオキシドジスムターゼの凝集を阻害する方法を含む。本明細書で使用する用語「製薬組成物」は、1つ以上の製薬学的に許容される賦形剤と共に、1つ以上の上述の化合物を含有する組成物を示す。固体投与形態の場合は、典型的な賦形剤は、製薬学的に許容される塩;緩衝剤(例えば、ホスフェート又はビカルボネートバッファー);バインダー(例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC));可塑剤(例えば、ポリソルベート;ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、トリアセチン、トリエチルシトレート、及びポリエチレングリコール(PEG));潤滑剤(例えば、マグネシウムステアレート);崩壊剤(例えば、クロスカルメロース塩)等を含むであろう。香味剤、着色剤、並びにコーティングが存在しても良い。液体投与形態、特に非経口投与のためのものは、化合物が溶解又は懸濁される、滅菌した製薬学的に許容される水性又は有機媒体を含むであろう。
【0144】
本明細書で使用する用語「単位投与形態」は、薬剤投与のための単一体を示す。例えば、単一のタブレット、カプセル、又は注射バイアル若しくはアンプルが単位投与形態を構成するであろう。許容される臨床的な基準を使用して測定した1つ以上の単位用量が患者に投与される際に、十分な化合物が存在して、明白な治療効果を達成するべきである。例えば、ALSの場合には、「治療上有効量」は、患者において運動機能の損失を遅延させるために十分な量であろう。この量は、薬理学の分野でよく知られた方法を使用して決定されて良く、使用する特定の化合物及び投与形態に依存して、数μgから多数のmgまでのいずれであっても良いであろう。例えば、単位投与形態は、0.001から1000mg;0.01から500mg;0.01から50mg;0.1から50mgなどの範囲の化合物の量を有して良い。本発明は、複数の単位投与形態が、ALSのような疾患の治療のために患者に投与形態を投与するための指示書と共に、ラベルされて完成した製薬学的な容器に存在する、治療パッケージも含む。
【0145】
他の態様では、本発明は、SODダイマーを安定化する化合物のためのスクリーニングに使用され得るアッセイに関する。ある実施態様では、このアッセイは、SODタンパク質ダイマーを形成する際に非常に近接した特定の部位にフルオロフォアを使用してラベルされたSODを利用する。前記フルオロフォアは、非常に近接した際にエネルギーを交換する機能に基づいて選択される。例えば、2つのピレンは二量体化の結果として共に近接する際に、エキサイマーを形成し、蛍光吸収におけるシフトを生じさせる。動揺に、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)アッセイが、SOD分子の1つの基をエネルギードナーフルオロフォアで標識し、他方をエネルギーアクセプターフルオロフォアで標識することによって実施されて良い。ホモダイマー(すなわち、双方のSOD分子が同一であり、ドナーの基のみ又はアクセプターの基のみ有するダイマー)が単離され、次いで共にインキュベートされる。解離及び再二量体化して、混合したヘテロダイマー(標識していないSODと標識したSODとを有する)が形成されて、特徴的な波長で吸収する。試験化合物の存在及び非存在下の双方でインキュベートを実施することによって、試験化合物がダイマーを安定化するかどうかについて判断した。
【0146】
フルオロフォアを結合させるために変異されて良いSODの部位は、例えば、Gly51; Asp52; Thr54; Ala55; Ser59; Ala1; Thr2; Ala4; Val5; Val7; Lys9; Gly10; Asp11; Gly12; Gln15; Ser107; Gly108; Asp109; Cys111; Ile113; Gly114; Arg115; Thr116; 及び Leu117を含む。ある実施態様では、前記アミノ酸は、標識のために選択される特定のフルオロフォアに依存して、Cys、Ser、Lys又は他のアミノ酸に変化される。ある実施態様では、9位のリジンがシステインに変化されたSOD変異体が、アッセイにおいて使用される。本発明は、変異型のSODタンパク質、これらの変異型SODのダイマー、蛍光標識されたSODタンパク質のダイマー、及びSODダイマーが解離する速度を測定するために使用される蛍光アッセイを含む。本発明は、変異型SODタンパク質をコードするポリヌクレオチド、変異型SODタンパク質をコードするベクター、及びそれらを使用して形質転換された細胞(例えば、細菌細胞(例えばE. coli)、酵母細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞)も含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0147】
定義
特定の官能基及び化学用語の定義は、以下により詳細に記載する。本発明のために、化学元素は、元素の周期表に従って確認される。さらに、有機化学の一般的な原理、並びに特定の官能基及び反応は、参照によって本明細書にその内容全体を組み込む"Organic Chemistry", Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito: 1999に記載されている。
【0148】
本発明のある化合物は、特に幾何又は構造異性体の形態で存在して良い。本発明は、本発明の範囲内のものとして、シス及びトランス異性体、R-及びS-鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、それらのラセミ混合物、並びにそれらの他の混合物を含む、その様な化合物のいかなるものも包含する。更なる不斉炭素原子が、アルキル基のような置換基に存在しても良い。いかなるその様な異性体、並びにそれらの混合物も、本発明に含まれることが意図される。
【0149】
各種の異性体を任意の割合で含有する異性体の混合物が、本発明によって使用されて良い。縦えば、2つのみの異性体が組み合わされる場合は、混合物は、50:50、60:40、70:30、80:20、90:10、95:5、96:4、97:3、98:2、99:1、又は100:0の比率で異性体を含有する混合物の全てが、本発明に意図される。当業者は、より複雑な異性体の混合物のための類似の比率が意図されることを容易に理解するであろう。
【0150】
例えば、本発明の特定の鏡像異性体が望まれる場合は、不斉合成によってか、又は結果として得られるジアステレオマー混合物を分離して、補助基を切断して純粋な所望の鏡像異性体を提供するキラル補助基を使用する誘導によって調製されて良い。代替的に、前記分子がアミノ基のような塩基性官能基、又はカルボキシルのような酸性官能基を含有する場合は、ジアステレオマー塩が適当な光学活性な酸又は塩基と形成され、続いてかくして形成されたジアステレオマーを、当該技術分野で良く知られた分別結晶又はクロマトグラフィーの手段によって分割し、その後に純粋な鏡像異性体を回収する。
【0151】
本明細書に記載の化合物が、個々の構造に関して規定され、当該技術分野において許容される程度まで、任意の数の置換基又は官能基で置換されて良いことが理解されるであろう。一般的に、用語「置換」(その前に用語「任意に」があろうが無かろうが)及び本発明の式に含有される置換基は、特定の置換基を使用する、所定の構造における水素基の置換を示す。任意の所定の構造における1つ以上の位置が、特定の基から選択される1つ以上の置換基で置換されて良い際は、前記置換基は全ての位置で同一又は異なるもののいずれかであって良い。本明細書で使用する「置換」は、他に示さない限り、有機化合物の如何なる許容される置換基も含むことが意図される。
【0152】
本明細書で使用する用語「アシル」は、カルボニルを含有する官能基、例えば、-C(=O)R'[式中、R'は、脂肪族、脂環、ヘテロ脂肪族、ヘテロ環、アリール、ヘテロアリール、(脂肪族)アリール、(ヘテロ脂肪族)アリール、ヘテロ脂肪族(アリール)、又はヘテロ脂肪族(ヘテロアリール)部分]を示す。
【0153】
本明細書で使用する用語「脂肪族」は、飽和及び不飽和の双方の、直鎖(すなわち非分枝)、分枝、非環式、環式、又は多環式の脂肪族炭化水素を含む。当業者によって理解されるように、「脂肪族」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアルキニル部分を含むが、それらに限らないことが本明細書において意図される。かくして、本明細書で使用される用語「アルキル」は、直鎖、分枝、及び環式のアルキル基を含む。
【0154】
本明細書で使用される用語「アルコキシ」又は「アルキルチオキシ」は、酸素原子又は硫黄原子を介して親分子に結合した前に規定したアルキル基を示す。ある実施態様では、アルキル、アルケニル、及びアルキニル基が、1から20の脂肪族炭素原子を含有する。ある他の実施態様では、アルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、1から10の脂肪族炭素原子を含有する。他の実施態様では、本発明において使用されるアルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、1から8の脂肪族炭素原子を含有する。更に他の実施態様では、アルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、1から6の脂肪族炭素原子を含有する。さらなる他の実施態様では、アルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、1から4の脂肪族炭素原子を含有する。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、ネオペントキシ、及びn-ヘキソキシを含むが、それらに限らない。チオアルキルの例は、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、及びn-ブチルチオなどを含むが、それらに限らない。
【0155】
用語「アルキルアミノ」は、-NHR'[式中、R'は上述の脂肪族である]構造を有する基を示す。ある実施態様では、前記脂肪族基は、1から20の脂肪族炭素原子を含有する。ある実施態様では、前記脂肪族基は、1から10の脂肪族炭素原子を含有する。更なる他の実施態様では、本発明で使用される前記脂肪測基は、1から8の脂肪族炭素原子を含有する。更に他の実施態様では、前記脂肪族は、1から6の脂肪族炭素原子を含有する。更に他の実施態様では、前記脂肪族基は、1-4の脂肪族炭素原子を含有する。アルキルアミノ基の例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソ-プロピルアミノ、シクロプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、tert-ブチルアミノ、ネオペンチルアミノ、n-ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ、及びシクロヘキシルアミノなどを含むが、それらに限らない。
【0156】
用語「ジアルキルアミノ」は、-NRR'[式中、R及びR'の各々は上述の脂肪族基である]構造を有する基を示す。R及びR'は、ジアルキルアミノ部分において同一又は異なるものであって良い。ある実施態様では、前記脂肪族基は、1から20の脂肪族炭素原子を含有する。ある他の実施態様では、前記脂肪族基は、1から10の脂肪族炭素原子を含有する。更に他の実施態様では、本発明で使用される前記脂肪族基は、1から8の脂肪族炭素原子を含有する。更に他の実施態様では、前記脂肪族は、1から6の脂肪族炭素原子を含有する。更に他の実施態様では、前記脂肪族器は、1から4の脂肪族炭素原子を含有する。ジアルキルアミノ基の例としては、ジメチルアミノ、メチル、エチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルプロピルアミノ、ジ(n-プロピル)アミノ、ジ(イソ-プロピル)アミノ、ジ(シクロプロピル)アミノ、ジ(n-ブチル)アミノ、ジ(tert-ブチル)アミノ、ジ(ネオペンチル)アミノ、ジ(n-ペンチル)アミノ、ジ(ヘキシル)アミノ、及びジ(シクロヘキシル)アミノなどを含むが、それらに限らない。ある実施態様では、R及びR'が結合して環式構造を形成する。結果として得られる環式構造は芳香族又は非芳香族であって良い。環式ジアミノアルキル基の例としては、アジリジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリル、イミダゾリル、1,3,4-トリアノリル、及びテトラゾリルを含むが、それらに限らない。
【0157】
本発明の化合物の上述の脂肪族(及び他の)部分の可能な置換基の幾つかの例としては、脂肪族;へテロ脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;-OH;-NO2;- CN;-CF3;-CH2CF3;-CHCl2;-CH2OH;-CH2CH2OH;-CH2NH2;-CH2SO2CH3;-C(O)Rx;- CO2(Rx);-CON(RX)2;-OC(O)Rx;-OCO2Rx;-OCON(Rx)2;-N(RX)2;-S(O)2Rx;-NRx(CO)Rxであって、各々のRxの存在は脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルを独立に含むがそれらに限らず、上述及びここに記載の脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキル置換基のいずれかは置換又は非置換の、分枝又は非分枝の、環式又は非環式のものであって良く、並びに上述及びここに記載のアリール又はヘテロアリール置換基のいずれかは置換又は非置換のものであって良いものを含むが、それらに限らない。一般的に適用可能な置換基の更なる例は、本明細書に記載の実施例に示す特定の実施態様によって説示される。
【0158】
一般的には、本明細書で使用される用語「アリール」及び「ヘテロアリール」は、好ましくは3から14の炭素原子を有し、各々が置換又は非置換の、安定なモノ又はポリ環式、ヘテロ環式、多環式、及びヘテロ多環式の不飽和部分を示す。置換基は、前に述べた置換基、すなわち脂肪族部分又は他の本明細書に記載の部分のために記載した安定な化合物の形成を生じる置換基のいずれかを含むが、それらに限らない。本発明のある実施態様では、「アリール」は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、及びインデニルなどを含むが、それらに限らない、1つ又は2つの芳香環を有するモノ又は二環式の炭素環系を示す。本発明のある実施態様では、本明細書で使用する用語「ヘテロアリール」は、1つの環の原子がS、O、及びNから選択され;0、1、又は2の環の原子がS、O、及びNから独立に選択される更なるヘテロ原子であり;残りの原子が炭素である、5から10の環の原子を有する環式芳香族基であって、任意の環の原子を介して残りの分子に結合する、例えばピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、及びイソキノリニルなどのような基を示す。
【0159】
アリール及びヘテロアリール基は非置換のものであるか、又はある程度まで置換されてよく、前記置換は、脂肪族;ヘテロ脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;-OH;-NO2;- CN;-CF3;-CH2CF3;-CHCl2;-CH2OH;-CH2CH2OH;-CH2NH2;-CH2SO2CH3;-C(O)Rx;- CO2(Rx);-CON(RX)2;-OC(O)Rx;-OCO2Rx;-OCON(Rx)2;-N(RX)2;-S(O)2Rx;-NRx(CO)Rxであって各々のRxの存在は脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルを独立に含むがそれらに限らず、上述及びここに記載の脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキル置換基のいずれかは置換又は非置換の、分枝又は非分枝の、環式又は非環式のものであって良く、並びに上述及びここに記載のアリール又はヘテロアリール置換基のいずれかは置換又は非置換のものであって良いものを含むが、それらに限らない部分の任意の1つ以上を独立に使用した、1、2、3、又はそれより多くの水素原子の置換を含む。一般的に適用可能な置換基の更なる例は、本明細書に記載の実施例に示す特定の実施態様によって説示される。
【0160】
本明細書で使用する用語「ヘテロ脂肪族」は、例えば炭素原子の位置に、酸素、硫黄、窒素、リン、又はケイ素原子の1つ以上を含有する脂肪族部分を示す。ヘテロ脂肪族部分は、分枝、非分枝、環式又は非環式であって良く、飽和及び不飽和のヘテロ環、例えばモルホリノ、ピロリジニルなどを含む。ある実施態様では、ヘテロ脂肪族部分は、脂肪族;ヘテロ脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;-OH;-NO2;-CN;-CF3;-CH2CF3;-CHCl2;-CH2OH;-CH2CH2OH;-CH2NH2;-CH2SO2CH3;-C(O)Rx;- CO2(Rx);-CON(RX)2;-OC(O)Rx;-OCO2Rx;-OCON(Rx)2;-N(RX)2;-S(O)2Rx;-NRx(CO)Rxであって各々のRxの存在は脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルを独立に含むがそれらに限らず、上述及びここに記載の脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキル置換基のいずれかは置換又は非置換の、分枝又は非分枝の、環式又は非環式のものであって良く、並びに上述及びここに記載のアリール又はヘテロアリール置換基のいずれかは置換又は非置換のものであって良いものを含むが、それらに限らない1つ以上の部分で、1つ以上の水素原子の独立した置換によって置換される。一般的に適用可能な置換基の更なる例は、本明細書に記載の実施例に示す特定の実施態様によって説示される。
【0161】
本明細書で使用する用語「ハロ」及び「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素から選択される原子を示す。
【0162】
本明細書で使用する用語「ヘテロシクロアルキル」又は「ヘテロ環」は、酸素、硫黄、及び窒素から独立に選択される1から3の間のヘテロ原子を有する融合した6員環を含む2又は3環式の基を含むが、それらに限らない、非芳香族の5-、6-、7-員環又は多環式の基であって、(i)各5員環は0から1の二重結合を有し、各6員環は0から2の二重結合を有しており、(ii)前記窒素及び硫黄へテロ原子は任意に酸化されて良く、(iii)前記窒素へテロ原子は、任意に四級化されて良く、並びに(iv)任意の上記へテロ環がベンゼン間に融合して良い基を示す。代表的なヘテロ環は、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、及びテトラヒドロフリルを含むが、それらに限らない。ある実施態様では、本明細書で使用する「置換へテロシクロアルキル又はヘテロ環」基は、脂肪族;ヘテロ脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;-OH;-NO2;- CN;-CF3;-CH2CF3;-CHCl2;-CH2OH;-CH2CH2OH;-CH2NH2;-CH2SO2CH3;-C(O)Rx;- CO2(Rx);-CON(RX)2;-OC(O)Rx;-OCO2Rx;-OCON(Rx)2;-N(RX)2;-S(O)2Rx;-NRx(CO)Rxであって各々のRxの存在は脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルを独立に含むがそれらに限らず、上述及びここに記載の脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキル置換基のいずれかは置換又は非置換の、分枝又は非分枝の、環式又は非環式のものであって良く、並びに上述及びここに記載のアリール又はヘテロアリール置換基のいずれかは置換又は非置換のものであって良いものを含むが、それらに限らない部分の任意の1つ以上を独立に使用した、1、2、3、又はそれより多くの水素原子の置換を含む。一般的に適用可能な置換基の更なる例は、本明細書に記載の実施例に示す特定の実施態様によって説示される
【0163】
本発明の化合物に含まれて良い特定のヘテロ環及び芳香族へテロ環の基は、3-メチル-4-(3-メチルフェニル)ピペラジン、3 メチル- ピペリジン、4-(ビス-(4-フルオロフェニル)メチル)ピペラジン、4-(ジフェニルメチル)ピペラジン、4- (エトキシカルボニル)ピペラジン、4-(エトキシカルボニルメチル)ピペラジン、4-(フェニルメチル)ピペラジン、 4-(1-フェニルエチル)ピペラジン、4-(1,1-ジメチルエトキシカルボニル)ピペラジン、4-(2-(ビス-(2- プロペニル) アミノ)エチル)ピペラジン、4-(2-(ジエチルアミノ)エチル)ピペラジン、4-(2-クロロフェニル) ピペラジン、4-(2-シアノフェニル)ピペラジン、4-(2-エトキシフェニル)ピペラジン、4-(2-エチルフェニル) ピペラジン、4-(2-フルオロフェニル)ピペラジン、4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、4-(2-メトキシエチル) ピペラジン、4-(2-メトキシフェニル)ピペラジン、4-(2-メチルフェニル)ピペラジン、4-(2-メチル- チオフェニル) ピペラジン、4-(2-ニトロフェニル)ピペラジン、4-(2-ニトロフェニル)ピペラジン、4-(2- フェニルエチル)ピペラジン、4-(2-ピリジル)ピペラジン、4-(2-ピリミジニル)ピペラジン、4-(2,3- ジメチルフェニル)ピペラジン、4-(2,4-ジフルオロフェニル) ピペラジン、4-(2,4-ジメトキシフェニル) ピペラジン、4-(2,4-ジメチルフェニル)ピペラジン、4-(2,5-ジメチルフェニル)ピペラジン、4-(2,6- ジメチルフェニル)ピペラジン、4-(3-クロロフェニル)ピペラジン、4-(3-メチルフェニル)ピペラジン、4- (3-トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン、4-(3,4-ジクロロフェニル)ピペラジン、4-3,4-ジメトキシ- フェニル)ピペラジン、4-(3 ,4-ジメチルフェニル)ピペラジン、4-(3 ,4-メチレンジオキシフェニル) ピペラジン、4-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ピペラジン、4-(3,5-ジクロロフェニル)ピペラジン、4-(3,5- ジメトキシフェニル)ピペラジン、4-(4-(フェニルメトキシ)フェニル)ピペラジン、4-(4-(3, 1 -ジメチル-エチル)フェニルメ
チル)ピペラジン、4-(4-クロロ-3-トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン、4-(4- クロロフェニル)-3 -メチルピペラジン、4-(4-クロロフェニル)ピペラジン、4-(4-クロロフェニル) ピペラジン、4-(4-クロロフェニルメチル)ピペラジン、4-(4-フルオロフェニル)ピペラジン、4-(4- メトキシフェニル)ピペラジン、4-(4-メチルフェニル)ピペラジン、4-(4-ニトロフェニル)ピペラジン、4- (4-トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン、4-シクロヘキシルピペラジン、4-エチルピペラジン、4-ヒドロキシ- 4-(4-クロロフェニル)メチルピペリジン、4-ヒドロキシ-4-フェニルピペリジン、4-ヒドロキシピロリジン、4-メチルピペラジン、4-フェニルピペラジン、4-ピペリジニルピペラジン、4-(2-フラニル)カルボニル) ピペラジン、4-((1,3-ジオキソラン-5-イル)メチル)ピペラジン、6-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロ-2- メチルキノリン、1,4-ジアザシクロヘプタン、2,3-ジヒドロインドリル、3,3-ジメチルピペリジン、4,4- エチレンジオキシピペリジン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、アザシクロオクタン、デカヒドロキノリン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、チオモルホリン、及びトリアゾールを含む。
【0164】
「炭素環」:本明細書で使用する「炭素環」は、環の各原子が炭素原子である、芳香族又は非芳香族の環を示す。
【0165】
「疎水性」:用語「疎水性」は、水に不溶である傾向があって脂溶性である部分を示す。疎水性部分は、炭化水素、例えば、アルカン、アルケン、アルキン、シクロアルカン、シクロアルケン、シクロアルキン、及び芳香族化合物、例えばアリール、ある飽和及び不飽和のヘテロ環、並びにバリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、αアミノ酪産、アロイソロイシン、チロシン、及びトリプトファンを含む、疎水性の天然及び非天然のαアミノ酸の測鎖に実質的に類似する部分を含むが、それらに限らない。
【0166】
「独立に選択される」:用語「独立に選択される」は、R基が同一又は異なるものであって良いことを示すものとして本明細書で使用される。
【0167】
「ウレイド」:本明細書で使用する用語「ウレイド」は、式-NH-CO-NH2の尿素基を示す。
【0168】
「有効量」:用語「有効量」は、十分な量の化合物が存在して、化合物の非存在下における凝集と比較して、SODの凝集を実質的に低減する(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%。50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は99%まで)ことを意味する。ある実施態様では、SODダイマーを安定化するために十分な量である。他の実施態様では、前記有効量は、患者に投与してALS又は関連疾患の兆候又は症状を予防するために十分な量である。他の実施態様では、前記有効量は、患者に投与して、ALS又は関連疾患の兆候又は症状の進行を逆行させるか又は遅延させるために十分な量である。凝集及びSODダイマー解離の関連する活性の測定に使用し得るアッセイは本明細書に記載されている。
【0169】
「ポリヌクレオチド」又は「オリゴヌクレオチド」:ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドのポリマーを示す。典型的には、ポリヌクレオチドは、少なくとも3つのヌクレオチドを含む。前記ポリマーは、天然のヌクレオシド(すなわち、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、及びデオキシシチジン)、ヌクレオシドアナログ(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロール-ピリミジン、3-メチルアデノシン、C5-プロピニルシチジン、C5-プロピニルウリジン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-メチルシチジン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、及び2-チオシチジン)、化学修飾した塩基、生物学的修飾した塩基(例えば、メチル化塩基)、インターカレートされた塩基、修飾された糖(例えば、2'-フルオロリボース、リボース、2'-デオキシリボース、アラビノース、及びヘキソース)、又は修飾されたホスフェート基(例えば、ホスホロチオエート及び5'-N-ホスホルアミダイト結合)を含んでも良い。
【0170】
「ペプチド」又は「タンパク質」:本発明によれば、「ペプチド」又は「タンパク質」は、ペプチド結合によって互いに結合した、一連の少なくとも3つのアミノ酸を含む。用語「タンパク質」及び「ペプチド」は、互換的に使用されて良い。ペプチドは、個々のペプチド又はペプチドの集合を示して良い。本発明のペプチドは、非天然のアミノ酸(すなわち、天然には生じないが、ペプチド鎖に組み込まれ得る化合物)及び/又は当該技術分野で既知のアミノ鎖アナログが代替的に使用されて良いが、好ましくは天然のアミノ酸のみを含有する。また、本発明のペプチドの1つ以上のアミノ酸が、例えば、炭化水素基、ホスフェート基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、又は共役、分離若しくは他の修飾のためのリンカーなどのような化学物質の添加によって修飾されて良い。好ましい実施態様では、前記ペプチドの修飾は、より安定(より長いin vivoの半減期)なペプチドを生じさせる。これらの修飾は、ペプチドの環化、D-アミノ酸の包含などを含んで良い。修飾は、前記ペプチドの所望の生物学的活性を実質的に阻害すべきでない。
【0171】
「スーパーオキシドジスムターゼ」又は「SOD」:本明細書で使用する「スーパーオキシドジスムターゼ」又は「SOD」は、大多数の生物において認められる各種の酵素のファミリーのいずれかのメンバーを示す。その用語は、スーパーオキシドジスムターゼタンパク質又はスーパーオキシドジスムターゼタンパク質をコードするポリヌクレオチドを示しても良い。野生型のスーパーオキシドジスムターゼに対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の相同性を有する、スーパーオキシドジスムターゼのバリアント、変異体、多型、アイソタイプ、及び対立遺伝子も前記用語に含まれる。スーパーオキシドジスムターゼタンパク質の1つの機能は、超酸化物ラジカル(O2-)を破壊することである。超酸化物は、食作用及び好気代謝の間に天然に生産される物質である。前記スーパーオキシドジスムターゼは、酵素に結合する金属イオンに基づくファミリーに特徴付けられ、前記イオンは、鉄、マンガン、銅、並びに銅及び亜鉛であって良い。ある実施態様では、前記スーパーオキシドジスムターゼは、ヒトのスーパーオキシドジスムターゼである。ある実施態様では、前記スーパーオキシドジスムターゼはSOD-1である。ヒトCu-Znスーパーオキシドジスムターゼ(SOD-1)は、各々が16,000から19,000という分子量を有する、見かけ上は同一の非共有結合したサブユニットからなるダイマータンパク質である(U.S. 5,714,362; U.S. 5,629,189; Hartz, et al, J. Biol. Chem. 247:7043-7050 (1972); , Lieman- Hurwitz, et al, Biochem. Int. 5:107-115 (1981); Jabusch et al, Biochemistry 19:2310-2316; Barra et al, FEBS Letters 120:53-55 (1980); Lieman-Hurwitz et al, Proc. Natl Acad. Sci USA 79:2808-2811 (1982); 参照によって各々を本明細書に組み込む)。ヒト細胞質スーパーオキシドジスムターゼ(SOD-1)の遺伝子座は、染色体21に特定されている(Tan, et al, J. Exp. Med. /57:317-330 (1973); 参照によって本明細書に組み込む)。
【0172】
I.阻害化合物
SODの凝集を阻害する化合物の機能は、実施例の節に記載した手法及びアッセイを使用して測定した。本明細書に記載する大多数の個々の化合物及び大多数の種類の化合物は広範に試験されており、化合物を購入又は有機化合物の分野でよく知られた手法を使用して合成し得る。1,2-ジ-[6-メルカプト-2H-[1,2,4]トリアジン-3,5-ジオン]エタン及びジ-{5-[1H-ピリミジン-2,4-ジオン] メチル} チオエーテルを調製するために使用し得る例示的な手法は、実施例3に記載しており、図3に図示している。
【0173】
更に、本発明の化合物はin silicoで設計されて良い。前記化合物は、SODダイマーの接触面の薬剤結合部位に結合するように設計される。SODの構造は、Deng et al. (Science 261(5124):1047-l05l (1993) 参照によって本明細書に組み込む)及びHough et al.( Proc. Natl. Acad. Sci USA 101(16): 5976-81 (2004) 参照によって本明細書に組み込む)に記載されている。SOD構造の座標は、www.rcsb.org/pdbの公共のデータベースに置かれており、受け入れ番号はlspdである。
【0174】
当業者は、本発明の化合物を設計するための多数の方法が存在することを理解するであろう。これらの同じ方法が使用されて、SOD凝集のインヒビターとしてのスクリーニングのために候補化合物が選択されて良い。この設計又は選択は、結合ポケットを満たす各種の部分の選択から開始して良い。
【0175】
個々の結合ポケットを満たす部分を選択するための多数の方法が存在する。これらは、活性部位の物理的なモデル又はコンピューターモデルの視覚的調査、及び各種の結合ポケットに選択した部分を手動でドッキングさせるモデルを含む。当該技術分野でよく知られ、入手可能なモデリングソフトウェアが使用されて良い。これらは、QUANTA (Molecular Simulations, Inc., Burlington, Mass., 1992)及びSYBYL (Molecular Modeling Software, Tripos Associates, Inc., St. Louis, Mo., 1992)を含む。このモデリング工程は、続いてCHARMM及びAMBER (AMBER: Weiner, et al, J. Am. Chem. Soc. 106:765 (1984); CHARMM: Brooks, etal, Comp. Chem. 4: 187 (1983))のような、標準的な分子力学の力場を使用して、エネルギー最小化を実施して良い。
【0176】
更に、結合部位に完全な分子又は分子フラグメントのいずれかを最適に配置するプロセスにおいて助けとなる、より特殊化した多数のコンピュータープログラムが存在する。これらは、GRID (Goodford, J. Med. Chem. 25:849-857 (1985), Oxford University, Oxford, UKから入手可能);MCSS (Miranker, et al, Proteins: Structure,Function and Genetics 11, 29-34 (1991), Molecular Simulations, Burlington,Mass.から入手可能);DOCK (Kuntz, et al, J. MoI Biol. 161:269-288 (1982), DOCKはUniversity of California, San Francisco, Calif.から入手可能)を含む。
【0177】
適切な結合配置を選択したら、生物学的な評価のために、完全な分子を選択して良い。分子フラグメントの場合には、それらは単一のインヒビターに集合されて良い。この集合は、中心骨格に各種の部分を結合させることによって達成されて良い。この集合プロセスは、例えば、視覚的な調査、それに続いて、再びQuanta又はSybylのようなソフトウェアを使用して手動でモデルを構築することによって為されて良い。多数の他のプログラムが使用されて、各種のフラグメントを結合する方法を選択して良い。これらは、CAVEAT (Bartlett, et al, "CAVEAT: A Program to Facilitate the Structure-Derived Design of Biologically Active Molecules" In Molecular Recognition in Chemical and Biological Problems," Special Pub., Royal Chem. Soc. 78: 182-196 (1989), CAVEATはUniversity of California, Berkeley, Calif.から入手可能), 3Dデータベースシステム、例えばMACCS-3D (MDL Information Systems, San Leandro, Calif.,この領域は最近Martin (J. Med. Chem. 35: 2145 (1992)によってレヴューされた)及びHOOK (Molecular Simulations, Burlington, Mass.から入手可能)を含む。
【0178】
上述のコンピューターに支援された化合物のモデリングに加え、本発明の化合物は、空の活性部位又は既知のインヒビターの幾つかの部分を任意に含ませることのいずれかを使用して「de novo」で構築されて良い。その様な方法は、当該技術分野において既知である。それらは、例えば、LUDI (Bohm, J. Comp. Aid. Molec. Design. 6:61-78 (1992), LUDI はBiosym Technologies, San Diego, Calif.から入手可能)、LEGEND (Nishibata, Tetrahedron 47:8985 (1991), LEGENDはMolecular Simultations, Burlington, Mass.から入手可能)、及びLeapFrog (Tripos Associates, St. Louis, Mo.から入手可能)を含む。
【0179】
薬剤のモデリングに一般的に使用される多数の技術が使用されて良い(Cohen, et al, J. Med. Chem. 55:883 (1990))。特定の薬剤設計プロジェクトに応用しうる技術の化学文献に多数の例が、同様に存在する(Navia, et al, Current Opinions in Structural Biology 2:202 (1992))。これらの特定の応用の幾つかの例は、Baldwin, et al, (J. Med. Chem. 32:2510 (1989); Appelt, et al., J. Med. Chem. 34:1925 (1991); and Ealick, et al, Proc. Nat. Acad. Set USA 88, 11540 (1991))を含む。
【0180】
本発明の新規な組み合わせの工程を使用して、当業者は、特定の化合物のダイマー安定化活性を測定するための高コストな実験及び時間を有利に低減することが可能である。前記方法は、SODの凝集を妨げる化合物、又はALS及び関連疾患のような神経疾患に対する治療及び予防的治療の合理的な設計を容易にするためにも役立つ。従って、本発明はその様な化合物に関する。
【0181】
各種の従来技術が使用されて、上記の評価並びにSOD凝集を妨げる活性に関しての候補化合物のスクリーニングにおいて必要とされる評価の各々を実施して良い。一般的に、これらの技術は、所定の部分の位置及び結合近接性、結合した化合物の占める空間、前記化合物とタンパク質の間の相補的な接触表面の量、所定の化合物の結合の解離エネルギー、及び水素結合の力及び/又は静電気的相互作用エネルギーのある評価を決定することを含む。上記の評価において有用な従来技術の例は、量子力学、分子力学、分子動力学、モンテカルロサンプリング、組織的な探索、及び距離幾何学法を含む(Marshall, Ann. Rev: Pharmacol. Toxicol. 27:193 (1987))。特殊なコンピューターソフトウェアが、これらの方法において使用するために開発されている。その様な使用のために設計されたプログラムの例は、Gaussian 92, revision E.2 [M. J. Frisch, Gaussian, Inc., Pittsburgh, Pa., (1993));AMBER, version 4.0 (Kollman, University of California at San Francisco, (1993));QUANTA/CHARMM (Molecular Simulations, Inc., Burlington, Mass. (1992));及びInsight II/Discover (Biosysm Technologies Inc., San Diego, Calif. (1992))を含む。これらのプログラムは、例えば、Silicon Graphics Indigo2ワークステーション又はパーソナルコンピューターネットワークを使用して実行して良い。他のハードウェアシステムは及びソフトウェアパッケージは、当業者に既知であり、明らかに適用可能なものである。
【0182】
本発明によれば、各種の化合物が、SOD結合部位の各種の結合領域に同様に相互作用し得る。これらの重要な基の空間的な配置は、ファーマコフォアとして多くの場合に参照される。ファーマコフォアの概念は、文献に良く記載されている(Mayer, et al, J. Comp. Aided Molec. Design 1:3 (1987); Hopfinger, et al, in Concepts and Applications of Molecular Similarity. M. A. Johnson and G. M. Maggiora, Ed., Wiley (1990))。
【0183】
本発明の各種の化合物は異なる骨格又は核構造を使用して良いが、結合に必要な特定の相互作用が得られ得るように、これらの核の全てが、必要な部分を活性部位に位置させるであろう。これらの化合物は、前記ファーマコフォアに一致する機能、すなわちスーパーオキシドジスムターゼの結合部位の形状及び特性に対するそれらの構造的な同一性という点で最もよく規定される。
【0184】
任意の所定の基まで又はその基からの距離は、その基の質量中心から算出される。用語「質量中心」は、物質を構成する質量の質量平均位置を表わす、三次元空間における位置を示す。基の間の距離は、ファーマコフォアモデリングソフトウェア及び他の適切な化学ソフトウェアを使用して、容易に測定されて良い。市販のファーマコフォアモデリングソフトウェアの例は、DISCO (Martin et al. J. Comput. Aided MoI. Design 7:83 (1993), DISCOはTripos Associates, St. Louis, Mo.から入手可能); CHEM-X (Chemical Design Ltd., Oxon, UK and Mahwah, N.J.);APEX-3D (Insight分子モデリングプログラムの一部, Molecular Simulations, Inc., San Diego, Californiaによって配布されている) CATALYST (Sprague, Perspectives in Drug Discovery and Design 3:1 (1995), Muller, Ed. ESCOM, Leiden, CATALYSTはMolecular Simulations, Inc. San Diego, Californiaによって配布されている)を含む。
【0185】
ダイマーの接触面における結合ポケットは、各サブユニットのVal7、Gly147、及びVal148基を含む。前記結合ポケットは、Gly56、ThrA54、AsnA53、LysA9、CysA146、ValA148、ValA7、GlyB51、Thr116、及びGly147も含む。
【0186】
本発明の化合物は、グループ1、2、3、及び4:グループ1は親水性の基;グループ2は親水性の基;グループ3は疎水性芳香族の基;及びグループ4は疎水性芳香族の基という4つの基を構成するものと見なされて良い。グループ1は、前記基の中心から約5から6Å、好ましくは約5.25Å内にあり;グループ2は、前記基の中心から約4から5Å、好ましくは約4.75Åにあり;グループ3は、基の中心から約5Åであり;並びにグループ4は、前記基の中心から約3.5から4.5Å、好ましくは約4Åである。所定の化合物は、これらの基を2つ、3つ、又は4つ有して良い。グループ1、グループ2、グループ3、及びグループ4又はそれらのサブセットが各種の方法で結合し、上述の必要な距離を満足することが理解されるであろう。
【0187】
一般的に、グループ1及び2の結合領域は親水性である。ある実施態様では、グループ1及びグループ2はヘテロ原子を含む。例示的な基は、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオキシ、カルボニル、エステル、アミド、カーボネート、ウレア、カルバメート、アルデヒド、エーテル、チオエーテル、ニトロソ、ハロゲン、ヒドラジン、ヒドラジド、ホスフェート、カルボン酸、アシル、ヘテロアリール、ヘテロ脂肪族、シアノ、及びイソシアノを含む。アミノ酸Gly56、ThrA54、AsnA53、LysA9、CysA146、ValA148、ValA7、GlyB51、Thr116、及びGly147は、グループ1のための結合ポケットを形成し、倍数の対称の関連するアミノ酸がグループ2のための結合ポケットを形成する。
【0188】
一般的に、グループ3及び4のための結合領域は疎水性である。ある実施態様では、グループ3及び/又はグループ4は、置換又は非置換のアリール基である。ある実施態様では、グループ3及び/又はグループ4は、置換又は非置換のヘテロアリール基である。グループ3及びグループ4として導入して良い例示的な基は、フェニル、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、トルエン、メシチレン、トリフェニルメタン、ベンズアルデヒド、O-ベンジル、安息香酸、フェニルメチルエーテル、ニトロフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピペリジニル、ピラニル、ジオキサニル、モルホリニル、ピロリル、チオフェン、フラニル、ピラジニル、トリアジニル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、インドリル、プリン、ピロン、ピリドン、キノリン、及びイソキノリンを含む。ある実施態様では、グループ3及び/又はグループ4は単環式の環系である。ある実施態様では、グループ3及び/又はグループ4は、任意に置換された芳香族の5又は6員環である。ある特定の実施態様では、グループ3及び/又はグループ4は、任意に置換されたフェニル環である。ある実施態様では、グループ3及び/又はグループ4は、置換されたフェニル部分である。アミノ酸Val5、Cys6、Val7、Leu8、Lys9、Gln15、Gly16、及びIle17が、グループ3のための結合ポケットを形成し、他のサブユニットの同一のアミノ酸がグループ4のための結合ポケットを形成する。
【0189】
各種の基を一緒に共有結合することにおいて有用なリンカー部分は、置換又は非置換の、環式又は非環式の、分枝又は非分枝の脂肪族又はヘテロ脂肪族基を含んで良い。ある実施態様では、結合部位における基のより良好な結合のために、前記リンカーは堅固にされる。例えば、前記リンカーは環式構造を含んで良く、前記リンカーはメチル基のような置換基を含んで良く、前記リンカーは各種の程度の不飽和などを含んでも良い。他の実施態様では、前記リンカーは可動性である。例示的なリンカーは以下のものを含む。
【0190】
【化37】

【0191】
II.薬剤の製剤
本発明は、経口、内部、直腸、経鼻、舌、経皮、静脈内、動脈内、筋肉内、腹膜内、皮内、及び皮下の経路を含む、当該技術分野において既知の任意の手段による化合物の送達に適合するものである。最も好ましい経路は、経口(特に、タブレット、カプセル、又は溶液の投与形態を使用する)である。ある場合には、患者の脳脊髄液に化合物を直接投与することも望ましい可能性がある。
【0192】
化合物の製薬学的な製剤の調製における指針は、市販の類似の化合物に使用される組成物から、及び当該技術分野の文献から得られて良い。本発明の化合物が、治療のための自由な形態、又は適当な場合には、その製薬学的に許容される誘導体として存在して良いことも理解されるであろう。本発明によれば、製薬学的に許容される誘導体は、製薬学的に許容される塩、エステル、その様なエステルの塩、又はプロドラッグ、あるいは患者が必要とする投与が他に本明細書に記載のものとして化合物を直接若しくは間接的に提供し得る本発明の化合物の他の付加物又は誘導体、あるいはその代謝物若しくは残基を含むが、それらに限らない。
【0193】
本明細書で使用する用語「製薬学的に許容される塩」は、診断医学の判断の範囲内で、望ましくない毒性、炎症、及びアレルギー反応など無しでヒト及び下等動物の組織と接触させて使用するのに適切であり、合理的な利益/リスクの比率に相応する塩を示す。アミン、カルボン酸、及び他の種類の化合物の製薬学的に許容される塩は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、S.M. Berge, et al.は、参照によって本明細書に組み込まれるJ. Pharmaceutical Sciences, 66: 1-19 (1977)に製薬学的に許容される塩を記載している。
【0194】
用語「製薬学的に許容されるエステル」は、in vivoで加水分解するエステルを示し、人体において容易に分解されて、親化合物又はその塩を放出するものを含む。適切なエステルの群は、例えば、製薬学的に許容される脂肪族カルボン酸、特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸、及びアルカンジオン酸であって、各アルキル又はアルケニル部分が6以下の炭素原子を有利に有するものに由来するものを含む。特定のエステルの例は、ホルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、アクリレート、及びエチルスクシネートを含む。
【0195】
本明細書で使用する用語「製薬学的に許容されるプロドラッグ」は、診断医学の判断の
範囲内で、望ましくない毒性、炎症、及びアレルギー反応など無しでヒト及び下等動物の組織と接触させて使用するのに適切であり、合理的な利益/リスクの比率に相応し、意図する使用に効果的な本発明の化合物のプロドラッグ、並びに可能な場合には本発明の化合物の双性イオン形態を示す。用語「プロドラッグ」は、in vivoで急速に変換されて、例えば血中における加水分解によって、上式の親化合物を生じる化合物を示す。参照によって本明細書に組み込まれるT. Higuchi and V. Stella, Pro-drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series及びEdward B. Roche, ed., Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987に議論されている。
【0196】
本発明の製薬組成物は、本明細書で使用するものとして、特定の所望の投与形態にあった溶媒、希釈剤、又は他の液体担体、分散若しくは懸濁の補助剤、表面活性剤、等張剤、増粘若しくは乳化剤、保存剤、固体バインダー、及び潤滑剤を含む、製薬学的に許容される担体を更に含んで良い。Remington's Pharmaceutical Sciences, Sixteenth Edition, E. W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1980)は、製薬組成物の製剤に使用する各種の担体及びその調製のための既知の技術を開示している。任意の望ましくない生物学的な効果を生じるか、又は製薬組成物の任意の他の成分と有毒な様式で他に相互作用することによって、任意の従来の担体である媒体が本発明の化合物と適合しない場合を除いて、その使用は本発明の範囲内であることが意図される。製薬学的に許容される担体として役立つ可能性がある物質の幾つかの例としては、糖、例えばラクトース、グルコース、及びスクロース;デンプン、例えばトウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン;セルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及びセルロースアセテート;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えばココアバター及び坐薬ワックス;油、例えばピーナッツオイル、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及び大豆油;グリコール、例えばプロピレングリコール;エステル、例えばエチルオレート及びエチルラウレート;寒天;緩衝剤、縦えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;アルギン酸;パイロジェンフリーの水;等張生理食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール;及びリン酸緩衝液;並びに他の非毒性の適合する潤滑剤、例えばナトリウムラウリルスルフェート及びマグネシウムステアレート含むが、それらに限らず、着色剤、解除剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、保存剤、及び抗酸化剤も、製剤者の判断に従って、本発明の組成物中に存在して良い。
【0197】
経口投与のための液体投与形態は、製薬学的に許容されるエマルション、ミクロエマルション、溶液、懸濁物、シロップ、及びエリクシルを含むが、それらに限らない。活性化合物に加えて、前記液体投与形態は、当該技術分野において一般的に使用されている不活性希釈剤、例えば水又は他の溶媒、可溶化剤、及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにそれらの混合物を含有して良い。不活性希釈剤と共に、前記経口組成物は、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化及び懸濁剤、甘味剤、香味剤、並びに芳香剤も含んで良い。
【0198】
注射可能な調製物、例えば滅菌した注射可能な水性若しくは油性の懸濁物は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用する既知の技術に従って製剤されて良い。前記滅菌した注射可能な調製物は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌した注射可能な溶液、懸濁物、又はエマルション、例えば1,3-ブタンジオール溶液であっても良い。使用されて良い許容される媒体及び溶液には、水、リンガー溶液、U.S.P.、及び等張塩化ナトリウム溶液がある。更に、滅菌した不揮発性油は、溶媒又は懸濁媒体として従来から使用されている。この目的のために、合成モノ又はジグリセリドを含む、任意の混合した不揮発性油を使用して良い。更に、脂肪酸、例えばオレイン酸が注射可能な調製物において使用される。
【0199】
注射可能な製剤は、例えば、細菌を保持するフィルターで濾過するか、又は滅菌水又は他の滅菌した注射可能な媒体に使用前に溶解又は分散し得る滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を含ませることによって滅菌されて良い。
【0200】
経口投与のための固体投与形態は、カプセル、タブレット、丸薬、粉末剤、又は顆粒剤を含む。その様な固体投与形態では、活性化合物は、少なくとも1つの不活性の製薬学的に許容される賦形剤又は担体、例えばナトリウムシトレート又は2カルシウムホスフェート、及び/又はa)フィラー若しくは増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸、b)バインダー、例えばカルボキシ芽チルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、及びアカシア、c)湿潤剤、例えばグリセロール、d)崩壊剤、例えば寒天--寒天(agar--agar)、カルシウムカーボネート、ジャガイモ若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、一定のシリケート、及びナトリウムカーボネート、e)溶液緩染剤、例えばパラフィン、f)吸収促進剤、例えば4級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、例えばセチルアルコール及びグリセロールモノステアレート、h)吸湿剤、例えばカオリン及びベントナイト粘度、並びにi)潤滑剤、例えばタルク、カルシウムステアレート、マグネシウムステアレート、固体ポリエチレングリコール、ナトリウムラウリルスルフェート、及びその混合物と混合される。カプセル、タブレット、及び丸薬の場合には、前記投与形態は緩衝剤も含んで良い。
【0201】
同様のタイプの固体組成物が、ラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコールなどのような、その様な賦形剤を使用して、軟ゼラチンカプセル及び硬ゼラチンカプセルにおいてフィラーとして使用されても良い。タブレット、糖衣丸、カプセル、丸薬及び顆粒剤といった固体投与形態は、腸溶コーティング及び製薬製剤技術分野においてよく知られた他のコーティングのようなコーティング及び外殻と共に調製されて良い。それらは不透明剤を任意に含有し、任意に遅延型の様式で、腸管のある部分でのみ又はそこで好ましく活性成分を放出するような組成物であっても良い。使用して良い包埋組成物の例としては、ポリマー物質及びワックスを含む。同様のタイプの組成物が、ラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコールなどのような、その様な賦形剤を使用して、軟ゼラチンカプセル及び硬ゼラチンカプセルにおいてフィラーとして使用されても良い。
【0202】
本発明の化合物及び製薬組成物が、製剤され、併用療法において使用されて良い。つまり、前記化合物及び製薬組成物は、1つ以上の他の望ましい治療又は臨床的な手法と共に、その前に、又はその後に製剤されるか、又は投与されて良い。併用療法において使用される治療(治療又は手法)の特定の組み合わせは、望ましい治療及び/又は手法、並びに望ましい達成される治療効果といった適合を考慮されるであろう。使用される治療方法は同一の疾患のための望ましい効果を達成し得るか(例えば、本発明の化合物は、他の免疫調節剤、抗癌剤、又は乾癬の治療に有用な薬剤と共に投与されて良い)、又は異なる効果を達成し得る(例えば、任意の副作用の対照)ことも理解されるであろう。
【0203】
例えば、本発明の化合物と組み合わせて使用されて良い他の治療又は抗癌剤は、手術、放射治療(数個の例として2、3例挙げると、γ線照射、中性子ビーム放射療法、電子ビーム放射療法、陽子線治療、小線源療法、及び全身用放射活性同位体)、内分泌物療法、生物反応修飾物質(2、3例挙げると、インターフェロン、インターロイキン、及び腫瘍壊死因子(TNF))、高熱及び寒冷療法、任意の悪性副作用を緩和する薬剤(制吐剤)、並びにアルキル化剤(メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イフォスファミド)、代謝拮抗剤(メトトレキセート)、プリンアンタゴニスト及びピリミジンアンタゴニスト(6-メルカプトプリン、5-フルオロウラシル、シタラビル(Cytarabile)、ゲムシタビン)、紡錘体毒(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンオレルビン、パクリタキセル)、ポドフィロトキシン(エトポシド、イリノテカン、トポテカン)、抗生物質(ドキソルビシン、ブレオマイシン、ミトマイシン)、ニトソロウレア(カルムスチン、ロムスチン)、無機イオン(シスプラチン、カルボプラチン)、酵素(アスパラギナーゼ)、並びにホルモン(2、3の例を挙げると、タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド、及びメゲストロール)を含むが、それらに限らない他の認可されている化学療法剤を含む。癌治療のより広範な議論に関しては、参照によってその全体が本明細書に組み込まれるThe Merck Manual, Seventeenth Ed. 1999を参照のこと。国立癌研究所(CNI)のウェブサイト(www.nci.nih.gov)、及びFDAが認可した腫瘍学的な薬剤のリストに関しては食品医薬品局(FDA)のウェブサイト(www.fda.gov/cder/cancer/draglistframe)も参照のこと。
【0204】
ある実施態様では、本発明の製薬組成物は、1つ以上の更に別の治療上の活性成分(例えば、化学療法剤及び/又は緩和剤)も含む。本発明のために、用語「緩和剤」は、治癒的ではないが、疾患の症状及び/又は治療法の副作用の緩和に焦点を合わせた治療を示す。例えば、緩和剤治療は、鎮痛剤、制吐剤、及び病気に対する薬剤を含む。更に、化学療法、照射療法、及び手術の全てが緩和的(つまり、治癒に向かうこと無く症状を低減する;例えば癌を縮小、並びに圧力、出血、痛み、及び癌の他の症状を低減するため)に使用されて良い。
【0205】
III.治療方法
ALS又は関連疾患を有すると診断された試験動物及び対象(例えば、ヒトの対象)は、1つ以上の上述の化合物を投与することによって治療され得る。正確な用量は、投与される特定の化合物に依存し、当該技術分野でよく知られた手法を使用して、毒性と治療効果のバランスをとって決定されるであろう。患者の場合には、用量は、神経及び筋肉の機能における衰退を遅延させるという治療目的と共に臨床的な状態に基づいて、主治医によって典型的に調節されるであろう。化合物が試験動物に与えられて、SOD凝集を阻害する効果を試験する際は、用量は広範に滴定され、毒性は最小限にされて良い。
【0206】
前記化合物の主に意図される使用は、ALSの研究及び治療においてであるが、SOD凝集に関連する任意の他の病気又は疾患も治療されて良いことを認識するべきである。特に、前記化合物を使用して、他の神経疾患、例えばアルツハイマー病、並びに癌を治療して良い。SOD凝集の阻害において活性であると認められた複数の前記化合物が、一緒に投与されて良いか、又は単独の活性剤として与えられて良い。化合物は、他の治療方法と組み合わせて、効果全体を改善しても良い。一度開始されると、治療は、典型的には、患者の一生を通じて継続される。
【0207】
IV.SOD凝集を測定するための蛍光アッセイ
A.エキサイマーアッセイ
本発明は、SOD1ダイマー安定性を測定する蛍光に基づくエキサイマーアッセイも含む。これらのアッセイは、ダイマーの接触面で認められるSOD中のアミノ酸の蛍光標識を含む。かくして、ダイマーが形成して、蛍光ラベルが互いに近接になり、エキサイマーを形成する。参照として図4に示すSOD配列(配列番号1)を使用すると、適切なアミノ酸は、Gly51;Asp52;Thr54;Ala55;Ser59;Ala1;Thr2;Ala4;Val5;Val7;Lys9;Gly10;Asp11;Gly12;Gln15;Ser107;Gly108;Asp109;Cys111;Ile113;Gly114;Arg115;Thr116;及びLeu117のようである。当該技術分野において既知の多くの手法が標識に使用されて良く、適用されるストラテジー及び選択されるフルオロフォアに依存して、これらの部位のアミノ酸を変更して良い。使用し得る蛍光標識の例は、フルオレセイン、ローダミン、及びピレンを含む。しかしながら、当該技術分野において既知の他のフルオロフォアが使用されても良い。
【0208】
好ましい実施態様では、Lys9はCysに変異され、ピレンで修飾される。ダイマー形成は、その長波長吸収(ca. 490nm)に基づいて観察可能なピレンエキサイマーの形成を可能にする。かくして、SODを標識することによって、ダイマーを単離し、過剰量の未標識のSODの存在下で、それらをインキュベートすることによって、ダイマーの解離速度は、1つのサブユニットのみが標識されているヘテロダイマーの時間に依存する形成を測定することで決定され得る。例えば、A4V/K9Cダイマーは、490nmのエキサイマーバンドを生じる。過剰なA4Vで希釈すると、モノマーピレンによる吸収(390nm)が増大して、エキサイマー吸収の強度が低減する。
【0209】
B.FRETアッセイ
蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)アッセイを使用して、SODダイマーを安定化する化合物を同定しても良い。FRETは、互いにca.100Å内に位置した2つのフルオロフォア(1つはエネルギーアクセプターであり、1つはエネルギードナーである)がエネルギーを交換し得ることによる現象である。1つのフルオロフォアの放射波長が他方の励起波長に合った(及びそれらが近接した空間に存在する)場合に、FRETは観察される。これは、タンパク質のダイマー化をアッセイするための簡便且つ広範囲使用されている方法である。フルオロフォアドナー/アクセプターの組み合わせの例は、ピレン/ピリレン及びフルオレセイン/ローダミンである。
【0210】
FRET法を使用して、ダイマー解離の動力学が観察されて良い。解離速度を遅延させる化合物は、モノマー-ダイマー平衡もダイマーにシフトしているはずである。FRETに最適なフルオロフォア(A488 LexA及びA594 ローダミン)は、結合したドナーフルオロフォア基を有する酵素であるSODD、及び結合したアクセプターフルオロフォア基(SODA)を有する酵素(SODA)を形成する標準的な方法を使用して、A4V/K9Vの化学修飾によって導入されて良い。A488ダイマーは、550nmにのみ予測される放射を生じる。しかしながら、等量のA549ダイマーと混合した際は、その放射が非常に低減され、630nmのFRET放射が現れ、ヘテロダイマーの形成を示す。
【0211】
ダイマーを安定化する化合物をスクリーニングするために、各々の修飾したSOD1はホモダイマーの形態に精製する。1:1の比率に(SODD)2及び(SODA)2を混合し、平衡/サブユニット交換させた後に、FRETシグナルが、(SODA)(SODD)ヘテロダイマーにより観察されるはずである(2つのホモダイマー(SODD)2及び(SODA)2は、FRETシグナルを生じず、無視されるであろう)。ベースラインとしてのヘテロダイマーFRETシグナルと共に、大モル過剰の未標識のSOD1が添加されて、FRETシグナルの消失速度が測定される。一般的には、条件は、シグナルの完全な損失が約12時間内に生じるように最適化されるべきである。高スループットなスクリーニングのために、化合物を未標識のSOD1に添加して、化合物の存在下におけるシグナル損失速度を、化合物の非存在下の場合と比較する。ダイマーを安定化する化合物は、シグナルの損失を遅延するものであろう。このアッセイは、目的のもののみシグナルを生じるであろうという利点を有する。更に、「不自然な」脱メタル化試薬を適用して解離を観察する必要が無い。
【実施例】
【0212】
(実施例1)
化合物のアッセイ及び最初のスクリーニング
本実施例は、小分子の薬剤様分子を使用するSOD-1の天然のダイマーの安定化に基づく、SOD-1凝集を阻害するためのストラテジーに関する(15)。このストラテジーは、SOD-1のモノマー化が凝集に必要とされ、遺伝子改変によるサブユニット内のジスルフィド結合のFALS SOD-1変異体A4Vへの挿入がその凝集を阻害するという観察によって支持される概念に基づく(16)。タンパク質のモノマー化がin vivo凝集に必要とされるという提唱は、SOD-1凝集の詳細な分析にも支持されている(10)。
【0213】
天然のタンパク質オリゴマーの小分子安定剤の発見及び使用のための前例は、FALSに類似したタンパク質凝集疾患:家族性アミロイド多発神経障害(FAP)との関連で認められ得る。FAPはトランスサイレチン(TTR)をコードする遺伝子における変異によって生じる(17、18)。多数のFAP変異体が、天然のTTRテトラマーを不安定化し、その解離を促進し、部分的にアンフォールドし、凝集させる(17、19)。TTRの天然のリガンドであるサイロキシンは前記テトラマーを安定化し、そのin vitroの凝集を阻害する。サイロキシンアナログである薬剤様分子も、天然のTTRテトラマーに結合して安定化し、そのin vitroの凝集を阻害する(20-24)。これらの化合物は、FAPの治療のために潜在的に使用され得る(25)。
【0214】
TTRの例とは異なり、本発明者は、小分子安定剤の設計のための分子骨格として役立つSOD-1の天然のリガンドは存在していないと理解している。そのため、本発明者は、in silicoスクリーニング手法(ドッキング)を採用することを決定し、約150万の薬剤様分子のライブラリーを使用して、前記ダイマーの接触面に潜在的に結合し得る化合物を選択した。本実施例では、A4V(及び他のFALS変異体)を有意に安定化して凝集を阻害する機能を有する15の化合物が、この方法によって同定された。
【0215】
A.原料及び方法
クローニング及び精製
ヒトSOD-1、WT並びに各種のFALS及び調査において記載した他の変異体のクローニング、発現、精製は過去に記載されているように実施する(16)。
【0216】
データベースの準備及びドッキング
全ての計算は、18ノード Beowulf Linux Cluster (各ノードは、2.0GHz Pentium(登録商標)プロセッサー)で実施した。ベンダーから得た生の構造データファイルをフィルターにかけて、間違った構造を除外した。データベースの準備及びドッキングは、ドッキングの主なツールであるGLIDE v2.5を含むSchrodinger's First Discovery Suiteの体験版を使用して実施した(26)。
【0217】
組換えSOD-1ダイマーの精製及び金属分析
SOD-1ダイマーはSuperdex 75TM (16/60)ゲル濾過カラム(Pharmacia)で精製して、各凝集実験のための出発物質を生産した。金属分析は、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)によって実施した。WT及びG93Aは殆ど完全にメタル化され、G85R及びA4Vは亜鉛及び銅の各々が不足していた。
【0218】
Apo-SOD-1及び変異体の調製
Fridovich及び共同研究者(27)の手法に続いて、細部の修飾を実施した。Cu及びZnの損失がICP-MSを使用して観察され;この方法で調製した全ての変異体は0.2%未満の銅又は亜鉛を含有していた。
【0219】
SOD-1及び変異体の凝集
スクリーニングのための凝集アッセイは、化合物のストック溶液をタンパク質溶液に添加する(終濃度:100μM化合物, 50μMタンパク質)ことによって為された。37℃における15分の事前インキュベート期間に続いて、5mMEDTAを添加して凝集を開始させた。一定部分を経時的に除いて、SOD-1ダイマーの存在量について分析した。この値は、Superdex 200TM (3.2/30)ゲル濾過カラム(Pharmacia)でゲル濾過することによるオリゴマーの存在と相関していた。全てのクロマトグラフィーは、Waters 2690 Alliance HPLCでTBS, pH 7.4(20mM Tris, 150mM NaCl)において実施し、220及び276nmでモニターした。前記アッセイを3回繰り返して、各実験間の5%未満の変動を示した。EDTAの非存在下におけるアッセイは過去に記載されているように実施した(16)。Apo-A4V実験に関しては、緩衝液をCHELEXで処理して(EDTAを含有しているものを除く)、実験をプラスチックチューブ内で実施し、Apo-タンパク質内への亜鉛のコンタミネーションの導入を避けた。
【0220】
塩化グアニジンアンフォールディング
GdnCl濃度に比例する平衡アンフォールディング転移は、蛍光分光光度計によってモニターした。蛍光測定は、循環水浴に結合した1cmセルでHitachi f-4500 spectrofluorometerにおいて実施した。励起及び放射波長は、緩衝液とGdnClに関して適当な修正をした後に278nm及び348nmの各々に固定した。両モノクロメーターに関して、スリット幅は5nmであった。各測定は、5回の読取の平均とした。蛍光実験に使用したタンパク質濃度は、5μMであった。データを、以下のように2つの状態(N→U)の移行について直接分析した:GdnClに誘導された変性試験の生データを下式
fu=Y0-(Yf+mf[GdnCl.])/(Yu+mu[GdnCl.])-(Yf+mf[GdnCl.])
[式中、Y0は観察した分光光度計の特性であり、Yf及びmfはフォールディングされた状態のベースラインの傾き及び切片であり、Yu及びmuはアンフォールディングされた状態のベースラインの各々の値を表わす]
を使用して、GdnClの濃度の関数としてアンフォールディングされた状態におけるタンパク質の画分(fu)に変換した。フォールディングされた画分は、(fn=1-fu)として計算し、平衡定数は、Keq=fu/fnによって決定した。アンフォールディングの自由エネルギーは、ΔG=-RT ln(Keq) [式中、Tはケルビン単位の温度であち、Rは気体定数(1.978 cal mol-1 K-1)である]を使用して決定した。
【0221】
α-シヌクレインの凝集
α-シヌクレインの試料をPBS, pH 7.4に溶解して、Millipore Microcon 100K MWCO filterで濾過した。試料は、攪拌せずに37℃でインキュベートした。100μMのチオフラビン T (Thio T; Sigma)水溶液を調製して、0.2μmのポリエーテルスルホンフィルターで濾過した。各種の時点で、α-シヌクレインのインキュベートしたものの一定部分を水で10μMに希釈した。300μMのα-シヌクレインのインキュベートしたものに関しての蛍光測定を、過去に記載されている様に384穴マイクロプレートを使用して実施した(28)。490nmにおける蛍光を、LJL Biosystems plate readerを使用して測定した(励起:450nm、バンド幅30nm;励起:490nm、バンド幅10nm)。
【0222】
B.結果
A4V SOD-1ダイマー接触面における疎水性の空洞を満たすことによって、アンフォールディング及び凝集に対して安定化される
SOD-1ダイマー接触面における小分子のための適切な結合部位を探索するために、本発明者は、タンパク質の空洞を検出するVOIDOO(Uppsala software factory)プログラムを使用した(29)。5つの空洞を前記プログラムによって検出し、その1つがWT及びA4Vの双方のダイマー接触面であった。前記空洞を、原点として、148残基のCβ炭素で中心にした。前記部位は、少数の水素結合のドナー及びアクセプターを有し、天然には主に疎水性である。疎水性部分を有する空洞を部分的にキャッピングする効果を調べるために、その測鎖が前記空洞に突き出しているV148及びV7残基をフェニルアラニンに変異させた。分子モデリングは、接触面におけるその4つのPhe残基は、立体的な衝突無く、容易に収容され得ることを示唆した。疎水性側鎖でタンパク質構造の空洞を満たすことは、多くの場合に、タンパク質構造を安定化する(30、31)、前例としてはリソザイムがある(32)。
【0223】
V7F及びV148Fの変異が、WT、A4V、及びG93Aに導入されている、SOD-1の3つの変異体をクローニングして、E. coli内で発現させ、過去に記載されているように精製した(15)。各タンパク質は、塩化グアニジン(GdnCl)アンフォールディングにかけられ、蛍光強度(348nm)を25℃でモニターした。WTの酵素は、3.5M GdnCl(Cm = 3.2M [Cmは変換の中間点])で完全にアンフォールディングし、A4Vは、1.9M GdnCl(Cm = 1.51M)で完全にアンフォールディングした。A4V/V7F/V148Fは、A4Vと比較してより安定であるが、WTよりは不安定であることが認められた(2.1Mでアンフォールディング、Cm=1.8M)。G93A/V7F/V148Fは、G93Aよりも変性に対して僅かに耐性が高かった。2つのV→F変異のWTの変性に対する有意な効果(すなわちWT対V7F/V148F)は、測定され得なかった。V→F変異は、EDTAが誘導する凝集に対してA4V及びG93Aの双方を安定化した。A4V/V7F/V148Fは、A4Vよりも遅く凝集したが、WTよりも有意に速いものであった。同様に、G93A/V7F/V148Fは、G93Aよりも僅かに遅く凝集した。
【0224】
化合物データベースの準備及びA4V接触面における空洞に対する化合物の高スループットなドッキング
in silicoスクリーニング法を実施して、市販のデータベースからSOD-1ダイマー接触面に結合してダイマーを安定化する潜在能力を有する化合物を同定した。事前にフィルターを使用して、特定の標的に対してより適切な化合物のサブセットを選択した。15の市販のライブラリーについてのStructure Data files(SD file)を統合した。
【0225】
ドッキング計算は、Schrodinger(www.schrodinger.com)ソフトウェア, GLIDE v2.5の体験版を使用して実施した(26)。前記ドッキング計算は、2つの異なるステップ:(1)リガンドのドッキング;及び(2)ヒットのスコアリングを有する。A4V (lUXM.pdb)についてのタンパク質構造データファイルを全ての計算のために使用した。質量中心としての水素原子の添加及び水の除去後のタンパク質ドッキング計算に関しては、第1の7Åのグリッドボックス及び第2のリガンド含有ボックスが、148残基のCβ炭素の周囲に生じた。
【0226】
GLIDEの方法論の詳細な記述が公開されている(26、34)。ドッキング後に得られる分子を分析して、glidescoreによって分類した(26、34)。上位100の結合分子を試験して、バクロフェン、ダプソン、及びトリマシコロンのような認可された薬剤が、これらの内に存在することは注目に値する。WT、apo-WT、S134N、H46R、及びA4V(pdbコード:lspd、lhl4、lozu、loez、及びluxm)のx線構造の重ね合わせによって、A4Vと比較して、これらの変異体における結合ポケットを構成する残基間の非常に低いr.m.s.d.(Cαに関して<0.6Å)が明らかにされ、前記化合物が複数の変異体に結合するようであることが示唆された。
【0227】
in silicoヒットの上位100のうちの15がA4V凝集を有意に阻害した
A4V凝集アッセイ(EDTAを使用、原料及び方法の項を参照)を、上述のように得られた上位100のヒットの存在下で実施した。各化合物の効果を、化合物を添加していないA4V及びWTに対して比較した。上位100の化合物の約15が、A4V凝集を有意に遅延させた。つまり、これらの化合物の存在下では、<25%のダイマーが12時間後に消失するが、それらの非存在下では50%が消失した(任意に1から15の番号を付けたこれらの化合物を図1に示す)。複数のこれらの化合物の存在下では、A4V凝集はWTと非常に類似したものとなった(12時間後にca. 5%のダイマーの消失)。A4V凝集曲線の形状は、メタル化に関するタンパク質の不均質性を反映するものである可能性がある。最初の急速な相は、銅を欠いた集団を表わしている可能性がある(apo-A4Vはこの「2相」の振る舞いを示さない)。
【0228】
阻害効果は、金属結合部位の占有とは独立したものである
上述の凝集アッセイはEDTAを使用して金属の損失を促進し、凝集を促進する(8)ものであるため、所定の化合物で認められた阻害効果は、ダイマーの解離の阻害よりもむしろ脱メタル化の阻害によるものであろう。後者の可能性を排除するために、EDTAの非存在下におけるA4Vの凝集に対する化合物1から15の効果を測定した。15の化合物全てがこれらの条件でA4Vの凝集を遅延させることが認められた。15の化合物の全てが、完全に脱メタル化されたapo-A4の凝集も阻害した(EDTAの非存在下においても)。この効果は、これらの分子がapo-A4Vダイマーに結合して安定化し得ることを示唆している(結晶apo-A4V及びメタル化WTは、本発明者のスクリーニングで焦点としている空洞に関しては区別不可能である)。
【0229】
これらの化合物の阻害効果は、それらのA4V接触面の空洞へのアフィニティーによるもののようである
本発明者のin silicoスクリーニング法の背後にある論拠を評価するために、本発明者は、4つの最も強力なA4V凝集インヒビター(2、3、4、及び7)を試験して、それらが、推定上の結合部位が妨げられているA4V/V7F/V148Fの凝集を阻害することが可能であるかどうかを測定した。これらの化合物の存在下において、A4V/V7F/V148Fの凝集速度には容易に評価できる変化は存在しなかった。更に、最初のデータベースから任意に選択した一連の20の化合物は、A4Vの凝集に対する効果を有さないことが認められた。最後に、上位15のA4Vインヒビターには、α-シヌクレインの凝集に作用するものは存在しなかった。
【0230】
A4V凝集インヒビターは、FALSに関連するSOD-1変異体の凝集も阻害した
A4Vダイマー接触面の空洞は他のFALSに関連するSOD-1変異体(上述)に保存されているため、本発明者は、A4Vインヒビターがこれらのタンパク質の凝集も阻害する可能性があると予測した。G93A及びG85Rの双方の凝集(EDTAで誘導)が、複数のA4Vインヒビターによって有意に阻害された。興味深いことに、化合物2、3、4、及び7は、A4Vの場合のように、各々の場合において最も良好なインヒビターに含まれるものであった。WT SOD-1も、上記と同様の条件下で、これらの化合物の存在下において凝集の対象とした。これらの条件下におけるWT-SOD-1の凝集は遅すぎるため、優位な阻害を観察することが不可能であった。
【0231】
15のA4Vインヒビターの全てが、変性に対してもA4Vを安定化した
A4V凝集インヒビターが、A4Vダイマーに結合してその解離を阻害することによって作用しているならば、それらは、chaotropeに誘導されるアンフォールディングに対しても天然のダイマーを安定化するはずである。完全にアンフォールディングした状態はおそらく凝集経路に関連しないが(10)、これらの実験は、小分子の存在下及び非存在下で天然のA4Vダイマーの相対的な安定性を測定する簡便且つ良い先例となる方法を提供する。15の前記凝集インヒビターの全てが、GdnClに誘導されるアンフォールディングからA4Vを有意に保護した。対照として、有意な凝集阻害を示さなかった85の化合物の内の10を試験した。これらはアンフォールディングに対する有意な効果を有さなかった。アンフォールディング曲線を直接分析して、2つの状態(N→U)転換を推定し、データを直線の推定モデルに適合させて熱力学特性を測定した(35)。化合物の存在下におけるA4Vの安定化は、ΔG値として表わした。これらの値は、おそらくダイマー接触面における空洞に対する、化合物の結合エネルギーを反映するものである。4つの化合物(2、3、4、及び7)は、WTレベル近くまでA4Vを安定化した。これら4つの化合物は、最も強力な凝集インヒビターに含まれるものであった。
【0232】
C.議論
変異体型のSOD-1の凝集は、FALSにおける病因である可能性がある。このプロセスは銅及び亜鉛の損失、サブユニット内のジスルフィドの低減、モノマー化、及び部分的なアンフォールディングを必要とし得るため、このプロセスは、調節されたin vitro条件であっても非常に複雑なものである(7、9-14)。本明細書に記載の研究は、SOD-1の天然のダイマーの安定化が部分的にアンフォールディングしたapo-モノマーであって良い凝集種の集団を低減するために、SOD-1の天然のダイマーの安定化が正確な経路に関係なく凝集を阻害するであろうという前提に基づくものであった。この単純なスクリーニングの1つの生産物(化合物2)が、医薬品化学による最適化が無くても、常に致死性のA4VとWT SOD-1の間の安定性における差に相当する程度まで、A4Vダイマーを安定化する。
【0233】
in silicoスクリーニングの目的は、A4Vダイマーに結合する高い可能性を有するであろう容易にスクリーニング可能な化合物のセットを選択することであり、上位100のヒットの内の15がA4V凝集及びA4Vアンフォールディングのための実験アッセイにおいて優位な活性を有することを達成した。複数の対照実験が、これらの化合物が、意図した作用のメカニズムであるA4Vの空洞に結合するという提唱を支持した。言うまでも無く、上位100に無かった化合物の幾つかが活性を有する可能性がある(本来のライブラリーからの20のランダムに選択した化合物は活性を有さなかったが)。
【0234】
本明細書で報告した薬剤様化合物の群は、化学的及び構造的に類似している(図1)。A4Vダイマー接触面とのこれらの化合物の相互作用のモデリングは、共有された芳香族部分が、SOD-1の2つのVal148基の間の空間(突然変異導入による、この位置におけるサブユニット内ジスルフィドの導入は、凝集に対してA4Vダイマーを安定化することが示されていた(16))を占める可能性を示す。
【0235】
(実施例2)
構造的アナログの試験
構造的な分析を、実施例1に記載のアッセイにおいて活性を見出した15の化合物に対して実施した(図1)。この分析に基づくと、一連の構造アナログが同定され、図2に示した。これらの全てを試験して、SOD凝集の効果的なインヒビターであり、最も活性のある化合物は、6-{[(2,4- ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-イル)メチル]チオ}-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;1,2- ジ-[6-メルカプト-2H-[1,2,4]トリアジン-3,5-ジオン]エタン;及びジ-{5-[1H-ピリミジン-2,4-ジオン] メチル} チオエーテルであることを見出した。試験した大多数の化合物は市販のものであるが、2つ(1,2-ジ-[6-メルカプト-2H-[1,2,4]トリアジン-3,5-ジオン]エタン; 及びジ-{5-[1H-ピリミジン-2,4-ジオン]メチル} チオエーテル)は実施例3に記載のように合成した。
【0236】
(実施例3)
図3は、2つの化合物:(1,2-ジ-[6-メルカプト-2H-[1,2,4]トリアジン-3,5-ジオン]エタン; 及びジ-{5-[1H-ピリミジン-2,4-ジオン]メチル} チオエーテル)の合成に使用した反応スキームを示す。6-(2,4- ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-ピリミジン-5-イルメチルスルファニル)-2H-[1,2,4]トリアジン-ジオンを合成するために理論的に使用し得るスキームも図3に示す。含まれる工程は、以下のものである。
【0237】
A)5-ブロモ-6-アザウラシル、5-メルカプト-6-アザウラシル、及び5-メルカプトメチルウラシル
5-ブロモ-6-アザウラシル(2)を、Journal of Organic Chemistry 26:1118-1120 (1961)に記載の手法に従った臭素化によって6-アザウラシルから調製した。5-メルカプト-6-アザウラシル(3)を、Die Pharmazie 18:339 (1963)に記載の手法によって調製した。5-メルカプトメチルウラシル(5)を、Journal of Medicinal Chemistry 9:97-101 (1966)に記載の手法に従って調製した。
【0238】
B)6-(2,4- ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-ピリミジン-5-イルメチルスルファニル)-2H-[1,2,4]トリアジン-3,5-ジオン
エチルアルコール(10ml)及び水(5ml)中の3(95mg、0.5mmol)及び4(80mg、0.5mmol)の混合物を室温で一晩攪拌する。固体を濾過によって単離して、水(5ml)で洗浄し、次いで乾燥する。
【0239】
C)1,2-ジ-[6-メルカプト-2H-[1,2,4]トリアジン-3,5-ジオン]エタン
水(5ml)中の3(95mg、0.5mmol)溶液に、エチルアルコール(5ml)中の1,2-ジブロモエタン(0.025mL、0.25mmol)を室温で滴下して処理し、次いで一晩攪拌した。固体を濾過して単離し、水(5ml)で洗浄して、乾燥した。
【0240】
D)ジ-{5-[1H-ピリミジン-2,4-ジオン]メチル}チオエーテル
無水DMF(5ml)中の5(104mg、0.66mmol)及び4(106mg、0.66mmol)の混合物を、100℃で一晩攪拌した。その反応混合物を室温まで冷却し、次いで濾過して固体を単離し、続いてDMF(5ml)及びジエチルエーテル(10ml)で洗浄し、乾燥した。
【0241】
参考文献
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【図面の簡単な説明】
【0242】
【図1A】A4V凝集を阻害することが見出された15の化合物の化学構造:凝集の阻害において効果的である事が見出された化合物の各々の化学名及び構造を示す。
【図1B】A4V凝集を阻害することが見出された15の化合物の化学構造:凝集の阻害において効果的である事が見出された化合物の各々の化学名及び構造を示す。
【図1C】A4V凝集を阻害することが見出された15の化合物の化学構造:凝集の阻害において効果的である事が見出された化合物の各々の化学名及び構造を示す。
【図1D】A4V凝集を阻害することが見出された15の化合物の化学構造:凝集の阻害において効果的である事が見出された化合物の各々の化学名及び構造を示す。
【図2A】更なる化合物の化学構造:図1に示す15の化合物で得られた結果に基づいて、図2に示す構造アナログを得て、試験した。これらの化合物の全てが、凝集の阻害において活性を有することを見出した。大多数の化合物は市販のものであった。
【図2B】更なる化合物の化学構造:図1に示す15の化合物で得られた結果に基づいて、図2に示す構造アナログを得て、試験した。これらの化合物の全てが、凝集の阻害において活性を有することを見出した。大多数の化合物は市販のものであった。
【図2C】更なる化合物の化学構造:図1に示す15の化合物で得られた結果に基づいて、図2に示す構造アナログを得て、試験した。これらの化合物の全てが、凝集の阻害において活性を有することを見出した。大多数の化合物は市販のものであった。
【図2D】更なる化合物の化学構造:図1に示す15の化合物で得られた結果に基づいて、図2に示す構造アナログを得て、試験した。これらの化合物の全てが、凝集の阻害において活性を有することを見出した。大多数の化合物は市販のものであった。
【図2E】更なる化合物の化学構造:図1に示す15の化合物で得られた結果に基づいて、図2に示す構造アナログを得て、試験した。これらの化合物の全てが、凝集の阻害において活性を有することを見出した。大多数の化合物は市販のものであった。
【図2F】更なる化合物の化学構造:図1に示す15の化合物で得られた結果に基づいて、図2に示す構造アナログを得て、試験した。これらの化合物の全てが、凝集の阻害において活性を有することを見出した。大多数の化合物は市販のものであった。
【図2G】更なる化合物の化学構造:図1に示す15の化合物で得られた結果に基づいて、図2に示す構造アナログを得て、試験した。これらの化合物の全てが、凝集の阻害において活性を有することを見出した。大多数の化合物は市販のものであった。
【図2H】更なる化合物の化学構造:図1に示す15の化合物で得られた結果に基づいて、図2に示す構造アナログを得て、試験した。これらの化合物の全てが、凝集の阻害において活性を有することを見出した。大多数の化合物は市販のものであった。
【図2I】しかしながら、2つの化合物、1,2-ジ-[6-メルカプト-2H-[1,2,4]トリアジン-3,5-ジオン]エタン及びジ-{5-[1H-ピリミジン-2,4-ジオン]メチル} チオエーテルは市販されておらず、その代わりに実施例3に記載し、図3に示す手法を使用して合成した。
【図3】化合物の化学合成:図3は、1,2-ジ-[6-メルカプト-2H-[1,2,4]トリアジン-3,5-ジオン]エタン及びジ-{5-[1H-ピリミジン-2,4-ジオン]メチル} チオエーテルを合成するための方法を示す。前記方法は実施例3に記載している。
【図4】野生型SODの配列。SODの天然のアミノ酸(配列番号1)及びヌクレオチド(配列番号2)の配列を図示する。
【図5】K9C SOD。システインでリジンを置換することによって、アミノ酸9で変異されたSODのアミノ酸(配列番号3)及びヌクレオチド(配列番号4)の配列。
【図6】A4V,K9C SOD:システインでリジンを置換することによって9位で変異されたSODのアミノ酸(配列番号5)及びヌクレオチド(配列番号6)の配列。この変異体は、蛍光標識を容易にする。更に、4位に第2の変異が存在し、アラニンがバリンで置換されている。
【図7A】突然変異誘発によって部分的に満たされたSOD-1ダイマー接触面の空洞のモデル:パネルAは、影を付けて2つのサブユニットを示すA4V変異体スーパーオキシドジスムターゼ-1ダイマーの表面を示す。ダイマー接触面の深い空洞が、ボックスによってハイライトされ、薬剤結合部位を示す。表面はプロープとして水分子を使用して作り出された。
【図7B】突然変異誘発によって部分的に満たされたSOD-1ダイマー接触面の空洞のモデル:パネルBは、標識されたポケットを形成するある基-Val7、Gly147、及びVal148(各々のサブユニットは、これらの基を結合ポケットに提供する)と共に、薬剤結合部位のクローズアップを示す。
【図8】図8A及び8Bは、SOD-1の薬剤結合ポケットの異なる投影図である。正に荷電した領域は青色で示す。負に荷電した領域は赤色で示す。疎水性領域は黄色及び緑色で示す。結合部位を構築する基は、Gly56、Thr54、Asn53、Lys9、Cys146、Val148、Val7、Gly51、Thr116、及びGly147を含む。図8Cは結合ポケットの表面を示す。
【図9A】SOD-1結合ポケットにおいてドッキングする薬剤。9Aは、結合部位にドッキングした6つの異なる化合物を示す。
【図9B】SOD-1結合ポケットにおいてドッキングする薬剤。図9Bは、結合ポケットにドッキングした化合物の集合を示し、結合ポケットの親水性及び疎水性領域を示す。図9Cは、結合ポケットの4つの異なる領域及びそれらの距離を示す。
【図9C】SOD-1結合ポケットにおいてドッキングする薬剤。図9Dは、図9Cの部位-1及び/又は部位-2を占める可能性がある例示的な環式構造を含む。
【図9D】SOD-1結合ポケットにおいてドッキングする薬剤。適切な長さのリンカーは、9Eにも含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の式I
【化1】

[式中、
a、b、c、及びdは、C及びNから各々独立に選択される;
R1、R2、及びR6の少なくとも1つは、-(CH2)n-Z-(CH2)m-R7であり、ZはC、N、又はSである;
R7は、H、CH3、又はハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、若しくはNH2で1つ以上の位置において任意に置換されたフェニルである;
nは0から3の整数である;
mは0から3の整数である;
並びに、-(CH2)n-Z-(CH2)mの中の1つ以上の単結合が二重結合に置き換えられて良い;
R1が-(CH2)n-Z-(CH2)m-R7である際は、R2及びR6は、H、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から各々独立に選択されても良い;
R2が-(CH2)n-Z-(CH2)m-R7である際は、R1及びR6は、H、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から各々独立に選択されても良い;
R6が-(CH2)n-Z-(CH2)m-R7である際は、R1及びR2は、H、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から各々独立に選択されても良い;
R3及びR5は、各々独立に、O又はSのいずれかである;並びに
R4は、H、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、又はNH2である]
の化合物と、スーパーオキシドジスムターゼダイマーを接触させる工程を含む、スーパーオキシドジスムターゼの凝集を阻害する方法。
【請求項2】
前記式Iの化合物が:
a、b、c、及びdは、C及びNから各々独立に選択されるが、a、b、c、及びdの全てがNではないという条件がある;
R1、R2、及びR6の少なくとも1つは、-(CH2)n-Z-(CH2)m-R7であり、ZはC、N、又はSである;
R7は、H、CH3、又はCH3、ハロゲン、OH、若しくはNH2で1つ以上の位置において任意に置換されたフェニルである;
nは0から3の整数である;
mは0から3の整数である;
R1が-(CH2)n-Z-(CH2)m-R7である際は、R2及びR6は、H、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から各々独立に選択されても良い;
R2が-(CH2)n-Z-(CH2)m-R7である際は、R1及びR6は、H、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から各々独立に選択されても良い;
R6が-(CH2)n-Z-(CH2)m-R7である際は、R1及びR2は、H、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から各々独立に選択されても良い;
R3及びR5は、各々独立に、O又はSのいずれかである;並びに
R4は、H、 (C1-C3)アルキル、OH、又はNH2である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式Iの前記化合物において、a、b、c、及びdが、C又はNのいずれかであるが、a、b、c、及びdの2つ以下がNであって良いという条件がある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
式Iの前記化合物において、R1がH、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、又はNH2である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
式Iの前記化合物において、R2がH、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、又はNH2である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
式Iの前記化合物において、R6がH、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、又はNH2である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
式Iの前記化合物において、R1及びR2がH、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から各々独立に選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
式Iの前記化合物において、R1及びR6がH、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から各々独立に選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
式Iの前記化合物において、R2及びR6がH、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から各々独立に選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
有効量の式II
【化2】

[式中、
R8、R9、及びR13は、以下のものから各々独立に選択される:
【化3】

{式中、nは0から3の整数であり;rは1から3の整数であり;ZはC、N、又はSであり;並びにR14は(C1-C3)アルキル、ハロゲン、OH、又は-NH-R15であり;R15は、H、NH2、OH、又は(C1-C3)アルキルである};
【化4】

{式中、nは0から3の整数であり;ZはC、N、又はSであり;並びにR16は、H、OH、ハロゲン、NH2、(C1-C3)アルキル、及びハロゲン、-OH、(C1-C3)アルキル、又は-NH2で1つ以上の位置において任意に置換されたフェニルから選択される};
基 c):-(CH2)n-フェニル
{式中、nは0から3の整数であり;並びにフェニルは、ハロゲン、OH、(C1-C3)アルキル、又はNH2で1つ以上の位置において任意に置換されている};
R8が、基a)、基b)、又は基c)のいずれかである際は、R9及びR13は、H、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から各々独立に選択されても良い;
R9が、基a)、基b)、又は基c)のいずれかである際は、R8及びR13は、H、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から各々独立に選択されても良い;
R13が、基a)、基b)、又は基c)のいずれかである際は、R8及びR9は、H、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から各々独立に選択されても良い;
R10、R11、及びR12は、H、ハロゲン、C1-C3アルキル、OH、及びNH2から各々独立に選択され、R10、R11、及びR12のいずれか1つが、-(CH2)n-フェニル{式中、nは0から3の整数であり、フェニルは、ハロゲン、C1-C3アルキル、OH、又はNH2で1つ以上の位置において任意に置換されて良い}であっても良い]
の化合物と、スーパーオキシドジスムターゼダイマーを接触させる工程を含む、スーパーオキシドジスムターゼの凝集を阻害する方法。
【請求項11】
R8が、基a)、基b)、又は基c)であり;R9及びR13が、H、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から各々独立に選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
R9が、基a)、基b)、又は基c)であり;R8及びR13が、H、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から各々独立に選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
R13が、基a)、基b)、又は基c)であり;R8及びR9が、H、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から各々独立に選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
R10、R11、及びR12が、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から各々独立に選択される、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
有効量の式III
【化5】

[式中、
a、b、c、d、e及びfは、各々独立にC又はNである;
R17、R18、及びR22の少なくとも1つが、
【化6】

{式中、YはC又はSであり、n及びmは、各々独立に0から3の整数であり、フェニルは、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、又はNH2で1つ以上の位置において任意に置換されて良い}である;
R17、R18、及びR22が、
【化7】

ではない場合には、H、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から独立に選択される;
R19、R20、及びR21の少なくとも1つが-(CH2)n-Z-Z=Oであり、式中、Zは、C、N、又はSであり、nは0から3の整数である;
R19、R20、及びR21が-(CH2)n-Z-Z=Oでない場合には、H、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から独立に選択される]
の化合物と、スーパーオキシドジスムターゼダイマーを接触させる工程を含む、スーパーオキシドジスムターゼの凝集を阻害する方法。
【請求項16】
a)a、b、c、d、e及びfの3つ以下がNであり;
b) R17、R18、及びR22の1つが
【化8】

であり;
c) R19、R20、及びR21の1つが、-(CH2)n-Z-Z=Oである、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
R17
【化9】

であり、
R20が、-(CH2)n-Z-Z=Oである、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
a、b、c、d、e及びfの2つ以下がNである、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
a、b、c、d、e及びfの1つがNである、請求項15から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
有効量の式IV
【化10】

[式中、
a及びbはC、N、又はSである;
R24、R25、R26、及びR27は、H、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から選択される;並びに
R23は、
【化11】

{式中、pは0から6の整数
であり、R28は、(C1-C3)アルキル、OH、ハロゲン、NH2、NH- NH2、及びNH-CH3から選択される}]
の化合物と、スーパーオキシドジスムターゼダイマーを接触させる工程を含む、スーパーオキシドジスムターゼの凝集を阻害する方法。
【請求項21】
R28がNH2又はNH- NH2である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
有効量の式V
【化12】

[式中、
aは、C、N、又はSから選択される;
R29は、ハロゲン、OH、(C1-C3)アルキル、及びNH2から選択される;並びに
R30は、-(CH2)q-PO4であり、qは1から3の整数である]
の化合物と、スーパーオキシドジスムターゼダイマーを接触させる工程を含む、スーパーオキシドジスムターゼの凝集を阻害する方法。
【請求項23】
有効量の式VI
【化13】

[式中、
式VIの環構造における1つ以上の位置が、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から選択される基で置換されて良い;
R31は、
【化14】

{式中、nは0から3の整数であり;ZはC、N、又はSであり;R32は、ハロゲン、-OH、(C1-C3)アルキル、及びNH2から選択される}
である]
の化合物と、スーパーオキシドジスムターゼダイマーを接触させる工程を含む、スーパーオキシドジスムターゼの凝集を阻害する方法。
【請求項24】
nが1又は2であり;ZがNであり;並びにR32がNH2である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
有効量の式VII
【化15】

[式中、
R33、R34、及びR35は、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、OH、及びNH2から各々独立に選択される;並びに
R36は、
【化16】

{式中、n及びmは、各々独立に、0から3の整数であり、R37は、ハロゲン、CH3、OH、及びNH2から選択される}
である]
の化合物と、スーパーオキシドジスムターゼダイマーを接触させる工程を含む、スーパーオキシドジスムターゼの凝集を阻害する方法。
【請求項26】
a) N-ニトロソ-5-(フェニルスルフィニル)ピリジン-2-アミン;
b) 6-[(4-クロロフェニル)アミノ]ピリミジン-2,4(1H,4H)-ジオン;
c) 6-[(4-クロロベンジル)チオ]1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
d) 4-ブロモ-2- {(E)-[(4-フルオロフェニル)イミノ]メチル}フェノール;
e) 6-(エチルチオ)-チオキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-3(2H)-オン;
f) 2-[2-(2-アミノ-4-メチルフェニル)エチル]-5-メチルアニリン;
g) 6-[(4-フルオロベンジル)チオ]-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
h) 2-(3 -フルオロフェニル)ヒドラジンカルボキサミド;
i) 3-ベンジル-2-ヒドロキシルベンゾヒドラジド;
j) 4-ヒドロキシベンズアルデヒドセミカルバゾン;
k) 4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)ブタンアミド;
1) 2-(1H-ベンズイミダゾール-2-イル)アセトヒドラジド;
m) N-[(1R,4R)-4-ヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル]ウレア;
n) トリマシコロン;及び
o) 6-アミノ-メチ-アデノシン;
からなる群から選択される有効量の化合物と、スーパーオキシドジスムターゼダイマーを接触させる工程を含む、スーパーオキシドジスムターゼの凝集を阻害する方法。
【請求項27】
配列番号1の配列を有するが、Gly51; Asp52; Thr54; Ala55; Ser59; Ala1; Thr2; Ala4; Val5; Val7; Lys9; Gly10; Asp11; Gly12; Gln15; Ser107; Gly108; Asp109; Cys111; Ile113; Gly114; Arg115; Thr116; 及び Leu117からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸が、蛍光標識可能な置換基アミノ酸で置換されている、変異型SOD。
【請求項28】
51; 52; 54; 55; 59; 1; 4; 5; 7; 9; 10; 11; 12; 15; 107; 108; 109; 111; 113; 114; 115; 116; 及び 117のアミノ酸からなる群から選択される位置で蛍光標識され、図4においてこれらの位置の各々に示すアミノ酸が蛍光標識を容易にする置換基アミノ酸で置換されていて良い、図4に示す配列を有するSOD酵素。
【請求項29】
前記置換基アミノ酸がcysである、請求項27に記載の変異型SOD。
【請求項30】
9位のリジンがcysに変化されている、請求項27に記載の変異型SOD。
【請求項31】
請求項27から30のいずれか一項に記載のSODのダイマー。
【請求項32】
a)ホモダイマー又はヘテロダイマー中の双方のSOD分子が蛍光標識されている、標識したSODホモダイマー又は標識したSODヘテロダイマーを、いずれのSODも蛍光標識されていない未標識のSODホモダイマーと、試験化合物の存在下でインキュベートする工程;
b)前記標識したSODホモダイマー又は標識したSODヘテロダイマーに起因する蛍光の損失速度を経時的に測定することによって、工程a)のインキュベートにおける、標識された1つのSOD分子と標識されていない1つのSOD分子とを有する混合ヘテロダイマーの形成速度を測定する工程;
c)前記試験化合物の非存在下で実施した同様の実験で測定した速度と、工程b)における混合ヘテロダイマーの形成速度とを比較する工程;並びに
d)前記試験化合物の存在下で測定した混合へテロダイマー形成速度が、前記試験化合物の非存在下で測定した速度よりも遅い場合に、前記試験化合物が、SODのダイマー形態を安定化することを結論付ける工程
を含む、SODダイマーを安定化する試験化合物の機能を測定するためのアッセイ。
【請求項33】
a) SODがドナーフルオロフォアで標識されている第1の標識したSODホモダイマーを、SODがアクセプターフルオロフォアで標識されている第2の標識したSODホモダイマーと、試験化合物の存在下でインキュベートする工程;
b)蛍光変化を経時的に測定することによって、前記ドナーフルオロフォアで標識された1つのSODと前記アクセプターフルオロフォアで標識された1つのSODとを有する、混合ドナー/アクセプターヘテロダイマーの工程a)のインキュベーションにおける形成速度を測定する工程;
c)前記試験化合物の非存在下で実施した同様のインキュベートで測定した速度と、工程b)における混合ドナー/アクセプターヘテロダイマー形成速度とを比較する工程;並びに
d)前記試験化合物の存在下で測定した混合ドナー/アクセプターヘテロダイマー形成速度が前記試験化合物の非存在下で測定した速度よりも遅い場合に、前記試験化合物が、SODのダイマー形態を安定化することを結論付ける工程
を含む、SODダイマーを安定化する試験化合物の機能を測定するためのアッセイ。
【請求項34】
a)ドナーフルオロフォアで標識した1つのSOD分子と、アクセプターフルオロフォアで標識した第2のSOD分子とを有する標識したSODヘテロダイマーを、いずれのSODも蛍光標識されていない未標識のSODホモダイマーと、試験化合物の存在下でインキュベートする工程;
b)前記標識したSODヘテロダイマーに起因する蛍光の損失を経時的に測定することによって、ダイマーの解離速度を測定する工程
c)前記試験化合物の非存在下で実施した同様のインキュベートで測定した速度と、工程b)における蛍光損失速度とを比較する工程;並びに
d)前記試験化合物の存在下における蛍光損失速度が前記試験化合物の非存在下における蛍光損失速度よりも遅い場合に、前記試験化合物が、SODのダイマー形態を安定化することを結論付ける工程
を含む、SODダイマーを安定化する試験化合物の機能を測定するためのアッセイ。
【請求項35】
有効量の式VIII
【化17】

[式中、
R38、R39、R40、及びR41は、H、アルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、又はアリールアルキルから各々独立に選択される;
a及びbは、各々CH又はNである;
nは0から6の整数である;並びに
mは0から1の整数である]
の化合物と、スーパーオキシドジスムターゼダイマーを接触させる工程を含む、スーパーオキシドジスムターゼの凝集を阻害する方法。
【請求項36】
有効量の式IX
【化18】

[式中、
R38、R39、R40、及びR41は、H、C1-C6アルキルからなる群から各々独立に選択される;
a及びbは、各々独立に-CH-又は-N-である;
nは0から6の整数である;並びに
mは0から1の整数である]
の化合物と、スーパーオキシドジスムターゼダイマーを接触させる工程を含む、スーパーオキシドジスムターゼの凝集を阻害する方法。
【請求項37】
a) メチル3-(3,5-ジオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)プロパノエート;
b) 6-[(3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)チオ]-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
c) 3-メチル-6-[メチル(フェニル)アミノ]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
d) 2-(2-メチル-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)アセトアミド;
e) ヒドロキシ(オキソ) {4-[(2-オキソ-1,2,3,6-テトラヒドロピリミジン-4-イル)アミノ]フェニル} アンモニウム;
f) 6-[(2-クロロフェニル)アミノ]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
g) 6-[(4-ピロリジン-1-イルフェニル)アミノ]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
h) 6-[(4-メチルフェニル)アミノ]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
i) 5-エチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
j) 6-アニリノ-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5カルボニトリル;
k) 6-アニリノ-1-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
l) 3-メチル-6-[(4-メチルフェニル)アミノ]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
m) 1 -フェニル- 1H-ピラゾロ[3 ,4-d]ピリミジン-4,6(5H,7H)-ジオン;
n) 6-[(4-クロロフェニル)アミノ]-3-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
o) 6-(アリルチオ)-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
p) エチル[(3,5-ジオキソ-2-テトラヒドロフラン-2-イル-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)チオ] アセテート;
q) 6-[(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イルメチル)チオ]-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
r) 6-[(1 -ナフチルメチル)チオ]-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
s) 6-[(2-モルホリン-4-イル-2-オキソエチル)チオ]-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
t) 6-{[2-(4-メトキシフェニル)-2-オキソエチル]チオ}-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
u) 6-{[2-(2-クロロフェニル)-2-オキソエチル]チオ}-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
v) 6-{[(2-フェニル-1,3-チアゾール-4-イル)メチル]チオ}-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)- ジオン;
x) 6-[(2-クロロ-6-フルオロベンジル)チオ]-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
w) 4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-N-フェニルブタンアミド;
y) N-(アミノカルボニル)-2-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アセトアミド;
z) 4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)酪酸;
aa) 3-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-N-1,3-チアゾール-2-イルプロパンアミド;
bb) 3-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル-N,N-ジメチルプロパンアミド;
cc) メチル4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)ブタノエート;
dd) 3-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル-N-フェニルプロパンアミド;
ee) 3-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-N-メチル-N-フェニルプロパンアミド;
ff) 2-[4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル]アセトアミド;
gg) 6-(1-ナフチルアミノ)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
hh) メチル4-[(2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロピリミジン-4-イル)アミノ]ベンゾエート;
ii) 6-{[(2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-イル)メチル]チオ}-1,2,4-トリアジン- 3,5(2H,4H)-ジオン;
jj) 1,2-ジ-[6-メルカプト-2H-[1,2,4]トリアジン-3,5-ジオン]エタン;及び
kk) ジ- {5-[1H-ピリミジン-2,4-ジオン]メチル}チオエーテル
からなる群から選択される有効量の化合物と、スーパーオキシドジスムターゼダイマーを接触させる工程を含む、スーパーオキシドジスムターゼの凝集を阻害する方法。
【請求項38】
1,2-ジ-[6-メルカプト-2H-[1,2,4]トリアジン-3,5-ジオン]エタン;及び
ジ- {5-[1H-ピリミジン-2,4-ジオン]メチル}チオエーテル
からなる群から選択される化合物。
【請求項39】
a) N-ニトロソ-5-(フェニルスルフィニル)ピリジン-2-アミン;
b) 6-[(4-クロロフェニル)アミノ]ピリミジン-2,4(1H,4H)-ジオン;
c) 6-[(4-クロロベンジル)チオ]1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
d) 4-ブロモ-2- {(E)-[(4-フルオロフェニル)イミノ]メチル}フェノール;
e) 6-(エチルチオ)-チオキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-3(2H)-オン;
f) 2-[2-(2-アミノ-4-メチルフェニル)エチル]-5-メチルアニリン;
g) 6-[(4-フルオロベンジル)チオ]-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
h) 2-(3 -フルオロフェニル)ヒドラジンカルボキサミド;
i) 3-ベンジル-2-ヒドロキシルベンゾヒドラジド;
j) 4-ヒドロキシベンズアルデヒドセミカルバゾン;
k) 4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)ブタンアミド;
1) 2-(1H-ベンズイミダゾール-2-イル)アセトヒドラジド;
m) N-[(1R,4R)-4-ヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル]ウレア;
n) トリマシコロン;
o) 6-アミノ-メチ-アデノシン;
p) メチル3-(3,5-ジオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)プロパノエート;
q) 6-[(3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)チオ]-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
r) 3-メチル-6-[メチル(フェニル)アミノ]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
s) 2-(2-メチル-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)アセトアミド;
t) ヒドロキシ(オキソ) {4-[(2-オキソ-1,2,3,6-テトラヒドロピリミジン-4-イル)アミノ]フェニル} アンモニウム;
u) 6-[(2-クロロフェニル)アミノ]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
v) 6-[(4-ピロリジン-1-イルフェニル)アミノ]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
w) 6-[(4-メチルフェニル)アミノ]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
x) 5-エチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
y) 6-アニリノ-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5カルボニトリル;
z) 6-アニリノ-1-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
aa) 3-メチル-6-[(4-メチルフェニル)アミノ]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
bb) 1 -フェニル- 1H-ピラゾロ[3 ,4-d]ピリミジン-4,6(5H,7H)-ジオン;
cc) 6-[(4-クロロフェニル)アミノ]-3-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
dd) 6-(アリルチオ)-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
ee) エチル[(3,5-ジオキソ-2-テトラヒドロフラン-2-イル-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)チオ] アセテート;
ff) 6-[(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イルメチル)チオ]-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
gg) 6-[(1 -ナフチルメチル)チオ]-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
hh) 6-[(2-モルホリン-4-イル-2-オキソエチル)チオ]-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
ii) 6-{[2-(4-メトキシフェニル)-2-オキソエチル]チオ}-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
jj) 6-{[2-(2-クロロフェニル)-2-オキソエチル]チオ}-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
kk) 6-{[(2-フェニル-1,3-チアゾール-4-イル)メチル]チオ}-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)- ジオン;
ll) 6-[(2-クロロ-6-フルオロベンジル)チオ]-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン;
mm) 4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-N-フェニルブタンアミド;
nn) N-(アミノカルボニル)-2-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アセトアミド;
oo) 4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)酪酸;
pp) 3-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-N-1,3-チアゾール-2-イルプロパンアミド;
qq) 3-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル-N,N-ジメチルプロパンアミド;
rr) メチル4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)ブタノエート;
ss) 3-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル-N-フェニルプロパンアミド;
tt) 3-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-N-メチル-N-フェニルプロパンアミド;
uu) 2-[4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル]アセトアミド;
vv) 6-(1-ナフチルアミノ)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン;
ww) メチル4-[(2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロピリミジン-4-イル)アミノ]ベンゾエート;
xx) 6-{[(2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-イル)メチル]チオ}-1,2,4-トリアジン- 3,5(2H,4H)-ジオン;
yy) 1,2-ジ-[6-メルカプト-2H-[1,2,4]トリアジン-3,5-ジオン]エタン;及び
zz) ジ- {5-[1H-ピリミジン-2,4-ジオン]メチル}チオエーテル
からなる群から選択される治療上有効量の化合物を含む、単位投与形態における製薬組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9C】
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【図9D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図9A】
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【図9B】
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【公表番号】特表2008−530241(P2008−530241A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556363(P2007−556363)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/005833
【国際公開番号】WO2006/089221
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(504412945)ザ ブライハム アンド ウイメンズ ホスピタル, インコーポレイテッド (54)
【Fターム(参考)】