説明

ナビゲーション装置及びナビゲーション方法

【課題】特定地点の通過に応じて適切な支援情報がユーザに提供開始されるナビゲーション装置及びナビゲーション方法を提供する。
【解決手段】自車の特定地点の通過を検出する検出手段と、前記自車に搭載されているセンサから出力されるセンシング情報を入力する入力手段と、前記センシング情報の有効性を判定する判定手段と、前記自車の前記特定地点の通過が検出され、前記判定手段により前記センシング情報が有効であると判定された場合、前記センシング情報に基づいて運転支援情報を出力するセンシングモードに遷移する運転支援手段と、を備えるナビゲーション装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及びナビゲーション方法に関し、特にモードを自動的に切り替えるナビゲーション装置及びナビゲーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自車の近接区域をセンシングすることにより、隣接レーンを走行する他車両を検出する障害物検出方法が開示されている。従来、このような障害物検出方法により得られる情報を用いて運転支援を行うナビゲーション装置が知られている。センシング情報を用いた運転支援によれば、ドライバは自身の知覚のみに頼ることなく、リアルタイムに自車の近接区域の状況を把握することができるため、例えば車線変更や合流時の状況判断において、負担が軽減される。しかしながら、周囲の環境や、走行状態によっては自車の近接区域をセンシングできないことがあるため、自車の近接区域のセンシング情報を用いて常時運転支援することはできない。
【0003】
【特許文献1】特開平11−345392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、特定地点の通過に応じて適切な支援情報がユーザに提供開始されるナビゲーション装置及びナビゲーション方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記目的を達成するためのナビゲーション装置は、自車の特定地点の通過を検出する検出手段と、前記自車に搭載されているセンサから出力されるセンシング情報を入力する入力手段と、前記センシング情報の有効性を判定する判定手段と、前記自車の前記特定地点の通過が検出され、前記判定手段により前記センシング情報が有効であると判定された場合、前記センシング情報に基づいて運転支援情報を出力するセンシングモードに遷移する運転支援手段と、を備える。
【0006】
センシング情報は、時々刻々と変化する自車および自車の近接区域の状況をリアルタイムに検出するセンサから出力される情報である。走行中、このようなセンシング情報に基づく運転支援が有用な区間に進入することがある。ナビゲーション装置は、センシング情報に基づく運転支援が有用な区間の始点である特定地点を自車が通過するとセンシングモードに遷移するため、特定地点の通過に応じて適切な支援情報がユーザに提供開始される。ナビゲーション装置は、センシング情報が有効であるときのみセンシングモードに遷移してセンシング情報に基づく運転支援情報を出力することにより、センシング情報が無効である場合に信頼性の低いセンシング情報に基づく運転支援情報を出力するのを防ぐことができる。
【0007】
(2)前記入力手段は、レーダから出力される自車と対象物との相対的な位置情報、カメラから出力される路面画像、速度センサから出力される前記自車の速度、舵角センサから出力される前記自車の舵角の少なくともいずれかを含む前記センシング情報を入力してもよい。
レーダから出力される自車と対象物との相対的な位置情報は、自車に対する他車の走行状態の特定を可能にし、カメラから出力される路面情報は走行レーンの特定を可能にし、自車の速度、舵角は自車の制御状態の特定を可能にする。
【0008】
(3)前記入力手段は、カメラから出力される路面画像を含む前記センシング情報を入力し、前記判定手段は、前記路面画像の解析により認識されるレーンマーカの長さに基づいて前記センシング情報の有効性を判定してもよい。
ナビゲーション装置は、カメラから出力される路面画像の解析により認識されるレーンマークの長さに基づいて前記センシング情報の有効性を判定し、センシング情報が有効な場合のみセンシングモードに遷移することにより、豪雨、霧、夜間などの状況で得られる信頼性の低いセンシング情報に基づく運転支援情報を出力するのを防ぐことができる。
【0009】
(4)前記運転支援手段は、前記センシング情報が無効であると判定された場合、前記センシング情報に替わる代替情報に基づいて運転支援情報を出力してもよい。
本発明によると、センシング情報が無効で、センシング情報に基づく運転支援情報が出力できないときでも、代替情報に基づく運転支援情報を出力することができる。
【0010】
(5)前記運転支援手段は、前記センシング情報が有効であると判定された場合、前記代替情報に基づいて運転支援情報を出力する通常モードから前記センシングモードに遷移してもよい。
【0011】
(6)前記代替情報は、地図情報及びGPS情報を含んでもよい。
代替情報が地図情報及びGPS情報を含むことにより、自車の位置に応じた運転支援情報を出力することができる。
【0012】
(7)前記代替情報は、交通情報を含んでもよい。
代替情報が交通情報を含むことにより、交通状況に応じた運転支援情報を出力することができる。
【0013】
(8)前記特定地点は、合流のための加速レーン内にあってもよい。
ナビゲーション装置が、合流時にセンシング情報に基づいて運転支援情報を出力することにより、ユーザの近接区域の状況判断の負荷が低減される。
【0014】
(9)上記目的を達成するためのナビゲーション方法は、自車の特定地点の通過を検出し、前記自車に搭載されているセンサのセンシング情報を入力し、前記センシング情報の有効性を判定し、前記自車の前記特定地点の通過が検出され、前記センシング情報が有効である場合、前記センシング情報に基づいて運転支援情報を出力するセンシングモードに遷移する、ことを含む。
センシング情報に基づく運転支援が有用な区間の始点である特定地点を自車が通過するとセンシングモードに遷移することにより、特定地点の通過に応じて適切な支援情報がユーザに提供開始される。センシング情報が有効であるときのみセンシングモードに遷移してセンシング情報に基づく運転支援情報を出力することにより、センシング情報が無効である場合に信頼性の低いセンシング情報に基づく運転支援情報を出力するのを防ぐことができる。
【0015】
尚、請求項に記載された方法の各動作の順序は、技術上の阻害要因がない限り、記載順に限定されるものではなく、どのような順番で実行されてもよく、また同時に実行されてもよい。また、本発明に備わる複数の手段の各機能は、構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、又はそれらの組み合わせにより実現される。また、これら複数の手段の各機能は、各々が物理的に互いに独立したハードウェア資源で実現されるものに限定されない。また、本発明はプログラムを記録した記録媒体の発明としても特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、高速道路のインターチェンジ64における本線への合流支援に本発明を適用した実施の形態を説明する。
図2は本発明の一実施形態によるナビゲーション装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。
ハードディスク装置(HDD)16には、地図データベース(地図DB)が格納されている。自車周辺の地図情報は、ナビゲーション装置が情報センタ50と通信することにより取得してもよい。
【0017】
方位センサ26は、自律航法に用いる地磁気センサ、左右車両速度差センサ、振動ジャイロ、ガスレートジャイロ、光ファイバジャイロ等で構成されている。
車速センサ28は、自車速度の検出と自律航法に用いられ、スピードメータに使用される車速センサである。車速を時間で積分することにより、走行距離が求まる。車速センサは、車輪回転速度を用いた車速センサの他、電波や超音波を用いたドップラ対地車速センサ、光と空間フィルタを用いた対地車速センサ等で構成することができる。
【0018】
GPSユニット30は、衛星航法に用いる3個又は4個の衛星から送られてくる軌道データを受信するアンテナ、自車の現在位置の緯度経度データを出力するためのASIC等で構成される。
レーダユニット32は、光レーダ、電波レーダ等で構成され、周辺車両の自車に対する位置を検出する。周辺車両の自車に対する変異を時間で微分することにより、周辺車両の進行方向及び速度を求めることができる。
【0019】
カメラユニット34はレーンマーカ認識に用いるCCDカメラ、CMOSカメラ等のディジタルカメラで構成されている。カメラユニット34は自車の前方又は後方の路面画像を撮像することにより、自車の走行レーンを特定するためのレーンマークを撮像することができ、自車の側方を撮像することにより、高速道路本線への合流禁止区間を示すゼブラゾーンや併走車両を撮像することができる。誘導ケーブル方式、磁気マーカ方式、リフレクタ方式に対応したレーンマーカを認識することにより、自車の走行レーンを検出してもよい。
【0020】
舵角センサ24は、磁気、光等を用いた非接触方式の回転角センサ等で構成され、ステアリングホイールの絶対舵角を検出する。
ETCユニット23は、有料道路の出入口料金所に設けられた通信装置と通信するためのアンテナ及びASICを備える。ETCユニット23は、有料道路の走行区間に応じた課金情報を高速道路の出入り口料金所に設けられた通信装置から取得し、前払い情報から課金額を引き算する。ETCユニット23と高速道路の入口料金所との通信を検出することにより、自車の入口料金所の通過を検出することができる。
【0021】
操作ユニット11は、目的地の入力や表示の切り換え等に用いるリモートコントローラ、操作パネル等で構成される。
ディスプレイ12は、操作案内や地図や走行経路案内の表示に用いるFPD(Flat Panel Display)、HUD(Head Up Display)等で構成される。
スピーカ14は、操作や走行経路の案内音声の出力に用いられる。スピーカ14はオーディオスピーカと共用してもよいし、ナビゲーション専用でもよい。
【0022】
入力手段としてのインタフェース17は、AD変換器、DA変換器等で構成され、上述した各種の入出力ユニットとCPU20との間で信号形態の変換を行う。
RAM22は、CPU20で処理されるデータやプログラムを一時的に格納する。
フラッシュメモリ18は、CPU20で実行される制御プログラムを格納しているEEPROMなどの不揮発性のメモリである。またフラッシュメモリ18にはナビゲーション装置1への電源供給が遮断されている状態に保持しなければならない情報が格納される。制御プログラム及び地図DBは、所定のサーバからのネットワークを介したダウンロード、図示しないリムーバブルメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体からの読み出し等によってもフラッシュメモリ18又はHDD16に格納することができる。
【0023】
CPU20は、制御プログラムを実行することによりナビゲーション装置1の各部を制御する。
情報センタ50は、各種の交通情報を交通情報データベース(交通情報DB)56から抽出し、通信部52からFM多重放送、光ビーコン、赤外線ビーコン等により各車両に送信する。
【0024】
図3はナビゲーション装置1の制御プログラムのソフトウェア構成を示すブロック図である。
地図DB42は、グラフ形式で地図をディジタル表現した情報で構成されるデータベースであって、道路網上の自車の現在位置の検出、レーン数の検出などに用いられる。地図DB42では、交差点、合流点、曲がり点、行き止まり点などはノードであり、道路はノードとノードを結ぶリンクとして定義されている。また各リンクには距離、制限速度、レーン数、幅員、道路種別(高速道路、一般道など)などが属性情報として定義され、各ノードには信号の有無などが属性情報として定義されている。
【0025】
地形情報データベース(地形情報DB)44は、高速道路の各IC64の高速道路本線66への合流支援に用いられる地形情報を格納しているデータベースである。本実施形態では、各ICに対し図4に示すような、「合流支援モードへの切り替えポイント」、「基準ポイント」、「加速案内開始ポイント」、特定地点としての「センシング開始ポイント」、及び「合流開始ポイント」が定義されている。地形情報DB44は、これらの各ポイントの通過を検出するための情報(例えば緯度経度、基準ポイントからの走行距離、画像認識のために用いられる指標物のパターン等)、加速レーン60の長さ等が各IC64ごとに格納されている。「基準ポイント」は、例えば入口料金所80通過後の分岐点に設定される。「センシング開始ポイント」は、例えばランプ61と高速道路本線66とを隔てるゼブラゾーン76の始点に設定される。「加速案内開始ポイント」は、例えば「センシング開始ポイント」から所定距離(例えば50m)手前にある地点に設定される。「合流開始ポイント」は、例えばゼブラゾーン76の終点に設定される。尚、地形情報DBで定義されているこれらの情報は、地図DB42においてリンクの属性情報として定義されていてもよい。
【0026】
経路案内モジュール46は、地図DB42を用いてマップマッチングによる補正を行いながら、GPSユニット30から入力される自車の現在位置の緯度経度データと、車速センサ28から入力される走行速度と、方位センサ26から入力される進行方位とに基づいて自車の道路網上の位置を算出し(ロケーティング)、地図に重ねて自車の現在位置を表示する。また、経路案内モジュール46は、ユーザによって目的地が設定されると自車の現在位置から目的地までの経路を探索し、探索された経路に従って交差点における右左折を音声及び表示で報知し、ユーザによって設定された目的地までの経路を案内する。
合流支援モジュール48は、CPU20を検出手段、入力手段、運転支援手段、及び判定手段として機能させるプログラム部品である。合流支援モジュール48は、地形情報DBに格納されているIC64の地形情報や、カメラユニット34、レーダユニット32、車速センサ38、方位センサ26及び舵角センサ24から出力されるセンシング情報に基づいて、自車の近接区域の状況に応じた運転支援情報を出力する。
【0027】
図1は、ナビゲーション装置1の合流支援モードでの処理の流れを示すフローチャートである。図1に示す処理は、CPU20が自車の「合流支援モードへの切り換えポイント」の通過を検出すると起動される。「合流支援モードへの切り換えポイント」の通過は、ETCユニット23と高速道路の入口料金所との通信や、ロケーティングにより算出された自車位置と地形情報DB44に定義されている「合流支援モードへの切り替えポイント」との一致によって検出される。尚、操作ユニット11を用いたユーザの操作に応じて合流支援モードへの切り替えを行ってもよい。
ステップS100では、ナビゲーション装置1は、合流する高速道路本線66の交通情報を取得する。具体的には、CPU20は、情報センタ50から送信される現在位置付近の高速道路本線66の流速、渋滞情報、交通規制情報等を通信部25を介して取得する。路車間通信により取得されるこれらの情報は、センシング情報が無効であるときに活用される、センシング情報の代替情報でもある。
【0028】
ステップS102では、ナビゲーション装置1は、基準ポイントの通過を検出して高精度自車位置補正を行う。具体的には、CPU20は、カメラユニット34から出力される前方の画像と、地形情報DB44に登録されている行き先表示板82などのテンプレートとを用いたパターンマッチングとGPSユニット30から入力される緯度経度データとを併用して基準ポイントにおいて自車の現在地を正確に特定する。高速道路本線66まで分岐のないインターチェンジ内の道路上で自車の現在地を正確に特定すれば、自律航法だけでも正確に各ポイントの通過を検出することも可能である。
【0029】
ステップS104では、ナビゲーション装置1は、走行中のIC64の地形情報を地形情報DB44から取得する。具体的には、CPU20は、「加速案内開始ポイント」、「センシング開始ポイント」、及び「合流開始ポイント」を検出するための情報として、緯度経度、ステップS102で特定した位置からの距離、画像認識のために用いられる指標物のパターンなどを取得する。
【0030】
ステップS106では、ナビゲーション装置1は、自車が「加速案内開始ポイント」を通過したかを判定する。具体的には例えばCPU20は、自律航法により自車の基準ポイントに対する相対位置を逐次算出し、基準ポイントに対する「加速案内開始ポイント」の相対位置と自車の基準ポイントに対する相対位置とを比較することによって、「加速案内開始ポイント」の通過を検出する。尚、CPU20は「加速案内開始ポイント」の通過を衛星航法で検出してもよい。
【0031】
ステップS108では、ナビゲーション装置1は、交通情報から得た高速道路本線66の流速への加速案内を行う。具体的には、CPU20は、自車速度と交通情報から得た高速道路本線66の流速とを比較しながら、「本線の流速は80キロです。加速してください。」などの音声をスピーカ14から出力したり、ディスプレイ12に高速道路本線の流速を表示する。
【0032】
ナビゲーション装置1は、ステップS110で「センシング開始ポイント」の通過を検出するまでステップS108の処理を繰り返す。CPU20は、カメラユニット34から入力される前方又は側方の路面画像と、地形情報DBに格納されているゼブラゾーンのパターンとを照合することにより「センシング開始ポイント」の通過を検出する。尚、CPU20は「基準ポイント」を起点とする自律航法により「センシング開始ポイント」の通過を検出してもよい。
【0033】
ステップS112では、ナビゲーション装置1は、センシング機能の確認を行う。具体的には例えば、CPU20は、カメラユニット34により撮像された路面画像の解析により特定されるレーンマーカの長さを測定する。
雨、夜間、霧などの状況では画像解析により認識できるレーンマーカの長さが短くなる。このような状況では、正確なタイミングでレーンチェンジを案内することが困難になるため、センシング情報を用いた誤った案内を未然に防ぐ必要がある。
【0034】
そこでステップS114では、CPU20は、ステップS112において測定されたレーンマーカの長さが予め決められた設定値以下の場合、すなわちセンシング情報が有効でない場合、ステップS118の通常モードの処理に進み、そうでない場合は、ステップS116のセンシングモードの処理に進む。尚、CPU20は、レーダユニット32、車速センサ38、舵角センサ24の動作確認を実行し、これらから得られるセンシング情報が正常でなければセンシング情報が有効でないと判定してもよいし、カメラユニット34から取得するゼブラゾーンの画像の鮮鋭度が所定値より低ければ、センシング情報が有効でないと判定してもよい。
【0035】
ナビゲーション装置1は、ゼブラゾーンの始点に設定された「センシング開始ポイント」を通過するとセンシング情報に基づく運転支援情報を出力するセンシングモードに自律的に遷移するので、ドライバーはナビゲーション装置1を操作すること無しに、高速道路本線への合流時のドライバーの負担が軽減される運転支援情報を適切なタイミングで得ることができる。高速道路本線への合流時には、走行環境が激変するためドライバーの意識は運転に集中する。このような状況でモードの切り替え操作が不要であることは安全運行にとって重要である。
【0036】
ステップS116では、ナビゲーション装置1はセンシングモードで動作し、センシング情報に基づく運転支援処理を行う。すなわち、ナビゲーション装置1は、自車の近接区域のセンシングを行いながら合流スペースへの割り込みを支援する運転支援情報を出力する。
ステップS118では、ナビゲーション装置1は通常モードで動作し、合流の正確なタイミングを案内しない運転支援処理を行う。具体的には例えば、地図DBから取得される高速道路本線の法定速度と自車速度とを比較した結果に基づいて「本線の法定速度に達しました。注意して合流してください」などの音声をスピーカ14から出力したり、交通情報で特定した高速道路本線の渋滞状況に基づいて「本線はやや渋滞しています。注意して合流してください。」などの音声をスピーカ14から出力したり、同様の文字をディスプレイ12に表示する。また例えば、CPU20は、GPSユニット30から入力される現在位置情報等に基づいて運転支援情報を出力してもよい。センシング情報の信頼性が低く、センシング情報に基づく案内ができないときでも、ナビゲーション装置1が交通情報、地図情報、GPS情報等の代替情報に基づいて運転支援情報を出力することで、ドライバーの負担が軽減される。
【0037】
図5は、センシングモードにおける運転支援処理の詳細を示すフローチャートである。
ステップS200では、ナビゲーション装置1は、周辺車両のセンシングを行う。具体的には、まず、CPU20は、レーダユニット32から出力される周辺車両の位置情報に基づいて高速道路本線66を走行している車列の割り込みスペースの位置・速度・長さを検出する。図6を参照しながら説明すると、まず、レーダユニット32からは高速道路本線66の左レーン62を走行する車両72と車両78の自車74に対する位置P1、P2を示す位置情報が出力される。割り込みスペースの位置は、先行車両72の位置P1又は後続車両78の位置P2として求めることができる。割り込みスペースの長さは、位置P2からP1までの距離である。割り込みスペースの速度は、先行車両72の速度又は後続車両78の速度として求めることができる。これらの速度は、先行車両72または後続車両78の位置P1またはP2を時間で微分することによって求まる。
【0038】
ステップS202では、ナビゲーション装置1は、合流可能であるかを判定する。具体的には例えば、以下の条件が全て満たされているとき、CPU20は合流可能であると判定する。
・自車速度が法定下限速度以上。
・割り込みスペースの長さが十分長い。
・割り込みスペースの前後車両と自車との距離が十分大きい。
・割り込みスペース前方車両の絶対速度が自車速度より速いか、割り込みスペース前方車両の絶対速度と自車速度との差が十分小さい。
・割り込みスペース後方車両の絶対速度が自車速度より遅いか、割り込みスペース後方車両の絶対速度と自車速度との差が十分小さい。
【0039】
条件判定に用いる上記パラメータ(割り込みスペースの長さ等)は、レーダユニット32から出力される位置情報から算出することができる。また上記判定は、予め決められた適正値(例えば、割り込みスペースの前後車両と自車との距離=50m)とレーダユニット32から出力される位置情報から算出した上記パラメータの値との差に基づいて行われる。適正値は制御プログラムのコードとして格納することも、地図DB42のリンク属性として格納しておくこともできる。
【0040】
上記の条件を満たして高速道路本線66への合流が可能である場合、ナビゲーション装置1は、ステップS206に進む。上記の条件を満たさず、合流が不可能な場合は、ステップS204に進む。
ステップS204では、ナビゲーション装置1は、割り込みスペースへの速度合わせの案内を行う。具体的には、まず、CPU20は、車速センサ38の出力から自車の速度を取得し、高速道路本線66の法定速度を地図DB42から取得する。次に、CPU20は、自車速度と高速道路本線66の法定速度と、高速道路本線66を走行している車列の割り込みスペースの位置・速度・長さとから、割り込みスペースに安全に進入するための適正な車速を算出する。さらに、CPU20は、算出した適性車速と現在の自車速度との差に応じて加速又は減速の必要性を判定し、加速または減速が必要であれば、加速又は減速を促す運転支援情報をスピーカ14又はディスプレイ12から出力し、ステップS200に戻る。
【0041】
ステップS206では、ナビゲーション装置1は、合流可能案内を出力する。具体的には例えば、CPU20は高速道路本線側に舵を取ることを促す運転支援情報としての音声(例えば、「割り込み可能です。本線に進入してください」など)をスピーカ14から出力したり、運転支援情報としての舵をとる方向を示す矢印をディスプレイ12に表示したりする。
【0042】
ステップS208では、ナビゲーション装置1は、合流の完了を判定する。具体的には、CPU20はカメラユニット34から出力される前方又は後方の路面画像に基づいてレーンマーカを追跡して自車が高速道路本線66を走行しているかを判定する。また、レーダユニット32から出力される周辺車両の位置情報に基づいて高速道路本線66の車列に入っているかを判定してもよい。合流が完了するとセンシングモードにおける運転支援を終了する。
このように、ナビゲーション装置1が、高速道路本線66への合流時にセンシング情報に基づいて運転支援を行うことにより、ユーザの自車周辺の状況判断の負荷が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施例にかかるフローチャート。
【図2】本発明の一実施例にかかるブロック図。
【図3】本発明の一実施例にかかるブロック図。
【図4】本発明の一実施例にかかる模式図。
【図5】本発明の一実施例にかかるフローチャート。
【図6】本発明の一実施例にかかる模式図。
【符号の説明】
【0044】
1:ナビゲーション装置、12:ディスプレイ(運転支援手段)、14:スピーカ(運転支援手段)、17:インタフェース(入力手段)、25:通信部(入力手段)、48:合流支援モジュール(検出手段、入力手段、運転支援手段、判定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の特定地点の通過を検出する検出手段と、
前記自車に搭載されているセンサから出力されるセンシング情報を入力する入力手段と、
前記センシング情報の有効性を判定する判定手段と、
前記自車の前記特定地点の通過が検出され、前記判定手段により前記センシング情報が有効であると判定された場合、前記センシング情報に基づいて運転支援情報を出力するセンシングモードに遷移する運転支援手段と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記入力手段は、レーダから出力される前記自車と対象物との相対的な位置情報、カメラから出力される路面画像、速度センサから出力される前記自車の速度、舵角センサから出力される前記自車の舵角の少なくともいずれかを含む前記センシング情報を入力する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記入力手段は、カメラから出力される路面画像を含む前記センシング情報を入力し、
前記判定手段は、前記路面画像の解析により認識されるレーンマーカの長さに基づいて前記センシング情報の有効性を判定する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記運転支援手段は、前記センシング情報が無効であると判定された場合、前記センシング情報に替わる代替情報に基づいて運転支援情報を出力する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記運転支援手段は、前記センシング情報が有効であると判定された場合、前記代替情報に基づいて運転支援情報を出力する通常モードから前記センシングモードに遷移する、
請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記代替情報は、地図情報及びGPS情報を含む、
請求項4又は5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記代替情報は、交通情報を含む、
請求項4〜6のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記特定地点は、合流のための加速レーン内にある、請求項1〜7のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
自車の特定地点の通過を検出し、
前記自車に搭載されているセンサのセンシング情報を入力し、
前記センシング情報の有効性を判定し、
前記自車の前記特定地点の通過が検出され、前記センシング情報が有効である場合、前記センシング情報に基づいて運転支援情報を出力するセンシングモードに遷移する、
ことを含むナビゲーション方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−101307(P2007−101307A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290117(P2005−290117)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】