説明

ナビゲーション装置

【課題】本発明は、各種情報を車両の搭乗者に提供するナビゲーション装置に関するもので、特に車両の搭乗者に応じた駐車場所に関する情報を提供する。
【解決手段】本発明に係るナビゲーション装置は、車両の搭乗者の身体に関するユーザ情報と地図データとに基づいて、設定された目的地に応じた車両の駐車場所を検索し、検索された駐車場所に関する情報をユーザに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種情報を車両の搭乗者に提供するナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両情報と駐車できる車両の種類を示す情報とに基づいて、駐車場内の空き駐車位置のうちで、自車両が駐車できる駐車位置を特定する車載誘導装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、最終目的地周辺における駐車場を検索し、検索された駐車場を車両用目的地として車両用案内経路を探索する携帯機用地図表示装置が提案されている(例えば、特許文献2)。
また、車椅子利用者等のユーザの障害内容に応じた歩行者用の経路や目的地を提供する歩行者案内装置が提案されている(例えば、特許文献3)。
また、知覚障害者等のハンディキャップ種別に応じた歩行者用の経路を提供するナビゲーション端末が提案されている(例えば、特許文献4)。
【特許文献1】特開2001−006093
【特許文献2】特開2006−349964
【特許文献3】特開2003−148990
【特許文献4】特開2005−227088
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載された発明は、車両の種類に基づいて、自車両が駐車できる駐車場内の駐車位置を特定する車載誘導装置であり、車両の搭乗者にとって必ずしも適切な目的地に応じた駐車場に関する情報が提供されるとは限らない。
【0004】
また、特許文献2に記載された発明は、最終目的地周辺における駐車場を検索し、検索された駐車場を車両用目的地として車両用案内経路を探索する携帯機用地図表示装置であり、特許文献1と同様に、車両の搭乗者にとって必ずしも適切な目的地に応じた駐車場に関するが提供されるとは限らない。
【0005】
すなわち、特許文献1及び2に記載された発明では、身体に障害を有する人が車両に搭乗している場合においても、車両の種類に応じて駐車できる駐車場に関する情報が提供されるだけであり、例えばエレベーターが設置されていない駐車場やバリアフリー化されていない駐車場等、身体に障害を有する搭乗者にとって適切ではない駐車場に関する情報が提供されてしまう可能性がある。
【0006】
また、特許文献3及び4に記載された発明は、ユーザの障害内容に応じた歩行者用の経路や目的地を提供する歩行者のためのナビゲーション装置であり、車両の搭乗者にとって適切な目的地に応じた駐車場所を提供するものではない。すなわち、特許文献3及び4に記載された発明には、車両の搭乗者にとって適切な目的地に応じた駐車場所を提供するという技術思想はない。
【0007】
本発明は、以上のような従来のナビゲーション装置における課題を解決するもので、特に車両の搭乗者に応じた駐車場所に関する情報を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の目的を達成するもので、ナビゲーション装置であって、車両の搭乗者の身体に関するユーザ情報を設定するユーザ情報設定手段と、前記ユーザ情報に応じた車両の駐車場所に関する情報を含む地図データを記憶する記憶手段と、目的地を設定する目的地設定手段と、前記ユーザ情報と前記地図データとに基づいて、前記目的地に応じた車両の駐車場所を検索する検索手段と、前記検索手段によって検索された駐車場所に関する情報を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、車両の現在位置を取得する取得手段と、前記検索手段によって駐車場所が検索された場合に、車両の現在位置から該検索された駐車場所に至る車両用経路を探索する探索手段と、前記検索された駐車場所のうちで、前記ユーザ情報に応じた車両用経路を有する駐車場所を特定する特定手段と、を備え、前記表示手段は、前記特定手段で特定された駐車場所に関する情報を表示することを特徴とする。
【0010】
また、前記検索手段によって駐車場所が検索された場合に、該検索された駐車場所から前記目的地に至る歩行者用経路を探索する探索手段と、前記検索された駐車場所のうちで、前記ユーザ情報に応じた歩行者用経路を有する駐車場所を特定する特定手段と、を備え、前記表示手段は、前記特定手段で特定された駐車場所に関する情報を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明に係るナビゲーション装置は、車両の搭乗者の身体に関するユーザ情報と地図データとに基づいて、目的地に応じた車両の駐車場所を提示することができる。これにより、車両の搭乗者にとって適切な駐車場所に関する情報を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ物である。尚、一部、同一の部材については、同一の符号を付している。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
図1において、100はナビゲーション装置であり、10はナビゲーション制御部、20は位置検出部、30は地図データ記憶部、40は通信部、50は道路交通情報受信部、60は表示部、70は音声出力部、80は操作部、90は音声認識部である。また、通信部40は、外部の携帯端末110と通信を行うとともに、携帯端末110を介してインターネット120と接続することができる。
【0013】
尚、特許請求の範囲と第1の実施形態との対応関係は次の通りである。特許請求の範囲におけるユーザ情報設定手段の一例が第1の実施形態における操作部80である。同様に、地図データ記憶手段の一例が地図データ記憶部30、目的地設定手段の一例が操作部80、検索手段の一例がナビゲーション制御部10、表示手段の一例が表示部60、特定手段の一例がナビゲーション制御部10である。
【0014】
ナビゲーション制御部10は、内部に経路を探索する経路探索部11、探索された経路の案内を行う経路案内部12、施設を検索する施設検索部13、ユーザ情報の設定に関する制御を行うユーザ情報設定制御部14、設定されたユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶部15を有するとともに、周知のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Randam Access Memory)、入出力インターフェース、及びこれらを接続するバス等を備えている。ROMには、ナビゲーション制御部が実行するプログラムが記憶されている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムに従って、表示部60による各種情報の表示、車両の現在位置から目的地に応じた駐車場所に至る経路探索等の処理を実行する。RAMは、プログラムの実行に必要なデータを一時的に記憶する。入出力インターフェースは、ナビゲーション制御部10と外部装置(位置検出部20等)との信号の授受を行う。
【0015】
位置検出部20は、衛星からの電波を受信して車両位置を測位するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機、車両の旋回速度に基づいて車両の相対方位を検出するジャイロスコープ、車両からの車速パルス信号に基づいて車両の速度を検出する車速検出部を備えている。
【0016】
このように、位置検出部20は、電波航法による車両位置測位のためにGPS受信機を備えるとともに、自立航法による車両位置測位のためにジャイロスコープや車速検出部を備えている。尚、電波航法、及び自立航法からの各検出値を互いに補正しながら車両位置を測位してもよく、また電波航法、又は自立航法からのいずれか一方のみの検出値によって車両位置を測位してもよい。
【0017】
地図データ記憶部30は、道路地図データ、施設データ等の各種の地図データを記憶している。これらの地図データを記憶する記憶媒体としては、最近ではその膨大なデータ量からハードディスク(HD:Hard Disk)を用いるのが一般的であるが、コンパクトディスク(CD:Compact Disc)、デジタルヴァーサタイルディスク(DVD:Digital Versatile Disc)、半導体メモリーカード等を用いてもよい。
【0018】
ここで、地図データ記憶部30に記憶されている各種の地図データについて説明する。
【0019】
図2は、第1の実施形態に係る道路地図データのデータ構成を示す図である。図2において、31は道路地図データであり、210は道路地図データの1つの構成要素としての複数の道路の交差点に関するデータの集合であるノードデータ、220は他の構成要素としての交差点間を結ぶ道路に関するデータの集合であるリンクデータである。211は各交差点のそれぞれに対する諸データを集めたノードデータレコード、221は各道路のそれぞれに対する諸データを集めたリンクデータレコードである。
【0020】
211A〜211Hは各ノードデータレコード211のそれぞれを形成している諸データで、211Aは交差点に対して一意に付与されたID番号を表すノードID、211Bは地図上の交差点の位置を緯度・経度等によって表すノード座標、211Cは交差点の名称を表すノード名称、211Dは交差点の種別を表すノード種別、211Eは交差点での通行規制情報を表すノード通行規制、211Fは交差点に接続する道路の本数を表す接続リンク数、211Gは交差点に接続する道路に対応するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、及び211Hは交差点に関するその他の情報を任意に設定することができるその他ノード情報である。
【0021】
その他ノード情報211Hとしては、例えば、交差点形状の複雑度に関する情報を表す交差点複雑度等を設定することができる。交差点形状の複雑度に関する情報とは、当該交差点が通常の十字交差点等のように交差点形状が複雑でない場合には「0」に設定され、スクランブル交差点等のように交差点形状が複雑である場合には「1」に設定される。
【0022】
221A〜221Kは各リンクデータレコード221のそれぞれを形成している諸データで、221Aは1つの道路に対して一意に付与されたID番号を表すリンクID、221Bは地図上の道路の始点及び終点の位置を緯度・経度等によって表すリンク座標、221Cは道路の名称を表すリンク名称、221Dは高速道路や一般道路等の道路種別を表すリンク種別、221Eは道路の幅員を表すリンク幅員、221Fは道路の通行規制情報を表すリンク通行規制、221Gは道路の長さを表すリンク長、221Hは道路を所定の速度で走行した場合に要する旅行時間を表すリンク旅行時間、221Iは道路の始点側に接続する交差点を表す始点側ノードID、221Jは道路の終点側に接続する交差点を表す終点側ノードID、及び211Kは道路に関するその他の情報を任意に設定することができるその他リンク情報である。
【0023】
その他リンク情報211Kとしては、例えば、道路が山道であるか否かに関する情報、道路が工事中であるか否かに関する情報、道路の交通量に関する情報等を設定することができる。道路が山道であるか否かに関する情報とは、当該道路が山道でない場合には「0」が設定され、山道である場合には「1」が設定される。また、道路が工事中であるか否かに関する情報とは、当該道路が工事中でない場合には「0」が設定され、工事中である場合には「1」が設定される。また、道路の交通量に関する情報とは、過去の交通量の統計に基づき交通量が少ない道路の場合には「0」が設定され、交通量が多い道路である場合には「1」が設定される。
【0024】
図3は、第1の実施形態に係る施設データのデータ構成を示す図である。施設データは、目的地設定等における施設検索に用いられる。図3において、32は施設データであり、310は各施設のそれぞれに対する諸データを集めた施設データレコードである。
【0025】
310A〜310Fは各施設データレコード310のそれぞれを形成している諸データで、310Aは施設の種別を表す施設種別、310Bは施設の名称を表す施設名称、310Cは施設の住所を表す施設住所、310Dは施設の電話番号を表す施設電話番号、310Eは地図上の施設の位置を緯度・経度等によって表す施設座標、及び310Fは施設に関するその他の情報を任意に設定することができるその他施設情報である。
【0026】
その他施設情報310Fとしては、例えば、当該施設が車両の駐車場所の場合には、障害者用の駐車場所に関する情報等を設定することができる。障害者用の駐車場所に関する情報とは、当該駐車場所に障害者用の駐車場所が設けられていない場合には「0」が設定され、障害者用の駐車場所が設けられている場合には「1」が設定される。
【0027】
尚、ナビゲーション制御部10は、地図データ記憶部30に記憶されている地図データを利用して、例えば、車両の現在位置から目的地に応じた駐車場所に至る経路探索を行うことができる。具体的には、目的地が設定されると、ナビゲーション制御部10は、施設データ32を利用して、施設種別310A、施設座標310E等に基づき目的地に応じた車両の駐車場所を検索する。さらに、道路地図データ31を利用して、ノード通行規制211E、リンク通行規制221F、リンク長221G、リンク旅行時間221H等に基づき最短距離、最短時間等の所定条件に適合した車両の現在位置から目的地に応じた駐車場所に至る経路を探索する。
【0028】
通信部40は、例えば、Bluetooth(登録商標)通信機であり、例えば、車載用ナビゲーションで探索された歩行者用経路、及び歩行者用経路に関する地図データ等を歩行時に携帯可能な携帯端末110に送信することができる。また、携帯端末110を介してネットワーク120に接続することができ、最新の地図データ等を取得することができる。尚、Bluetooth通信機は、2.4GHzの周波数帯を用いて、半径10〜100メートル程度のBluetoothを搭載した携帯端末と最大3Mbpsで無線通信を行うことができるものである。
【0029】
道路交通情報受信部50は、例えば、VICS(Vehicle Information and Communication System、登録商標)などの情報センターから提供される道路に関する交通情報を受信することができる。具体的には、情報センターから提供される渋滞している道路に対応するリンクIDと渋滞レベル等の道路交通情報を受信することができる。
【0030】
表示部60は、例えば、液晶ディスプレイパネルによって構成されており、画面上に、地図データ記憶部30に記憶された地図データによって生成される車両の現在位置周辺の地図、車両の現在位置マーク、及び道路交通情報受信部40によって受信された道路交通情報等を表示することができる。また、例えば、現在位置から目的地に応じた車両の駐車場所に至る経路が道路地図上に重畳して表示される。尚、表示部60には、液晶ディスプレイパネル以外のフラットディスプレイパネル、例えば有機ELディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、冷陰極フラットディスプレイパネル等を用いることもできる。
【0031】
音声出力部70は、スピーカ等から構成されており、表示部60の画面での表示に加えて、運転者に音声で情報を提供するためのものである。
【0032】
操作部80は、ナビゲーション装置に対して運転者による各種指示を外部から与えるもので、表示部60における画面の周辺に設けられる機械的な操作スイッチ、表示部60の液晶ディスプレイパネルと一体的に構成されたタッチパネル等から構成される。このタッチパネルは、液晶ディスプレイパネルの表面に設けられて、運転者による画面へのタッチ操作位置を検出するために設けられている。また、リモコン送受信部を介して、リモコンによる操作を行えるようにしてもよい。
【0033】
音声認識部90は、マイク等から構成されており、車両の搭乗者の音声による指示を認識して、認識した指示内容をナビゲーション制御部10に与えるものである。
【0034】
図4は、第1の実施形態に係るナビゲーション装置の車両への搭載例を示す斜視図である。図中、400は車両、410は運転席、420は助手席、430はウインドシールド、440はドア、450はスピーカである。図1のナビゲーション装置100の表示部60は、例えば、図4に示すように、DIN規格(Deutsche Industrie Normen:ドイツ連邦規格)に基づく寸法(例えば、高さ53mm、幅182mm)となっており、運転席410と助手席420とのほぼ中央のダッシュボード部分に配置される。ナビゲーション装置100に対する各種の操作は、表示部60における画面の周辺に設けられる機械的な操作スイッチ等の操作部80によって行われる。車両400のドア440のそれぞれには、その下方部にスピーカ450が配置され、表示部60に表示する画像に関連した音声や警告音等が出力される。
【0035】
図5は、第1の実施形態に係るナビゲーション装置の外観図である。図中、510は本体部、520はフレーム部である。
【0036】
図5(a)に示すように、表示部60は、本体部510の前面の周囲に設けられたフレーム部520に収められた状態(クローズ状態)で使用する。また、図5(b)に示すように、操作部80を操作することにより、表示部60を本体部310に対してチルト(斜動)させることができる。これにより使用者は、使用者の好みの角度で画像を見ることができる。さらに、表示部60をチルトさせると(オープン状態)、図5(c)に示すように、本体部510の前面よりDVD等の記憶媒体を挿排することができる構造となっている。これにより、記憶媒体の挿排口の配置を考慮することなく表示部60の表示面積を可能な限り大きくすることができ、ナビゲーション装置100が配置される限られたスペースを有効に活用することができる。また、操作部80を操作することにより、表示部60の液晶ディスプレイに表示される画像に対する各種入力を行うことができる。尚、表示部60の表面に設置されたタッチパネルで操作を行っても良い。図5(a)〜(c)のナビゲーション装置も図4のナビゲーション装置と同様に車両に搭載される。
【0037】
次に、第1の実施形態に係る車両の搭乗者の身体に関するユーザ情報の設定について、図6及び図7を用いて詳細を説明する。
【0038】
図6は、第1の実施形態に係るユーザ情報、障害者情報の設定処理を示すフローチャートである。図7(a)は、第1の実施形態に係るユーザ情報の設定画面を示す図であり、図7(b)は、第1の実施形態に係る障害者情報の設定画面を示す図である。
【0039】
ナビゲーション制御部10は、ユーザの操作に応じて操作部80からユーザ情報の設定を開始する旨の信号が入力されると、ユーザ情報の設定処理を行う。
【0040】
まず、図6のステップS10では、操作部80からユーザ情報の設定を開始する旨の信号が入力されると、ユーザ情報記憶部11に記憶されているユーザ情報を読み出す。ステップS20では、図7(a)に示すようにユーザ情報の設定画面を表示部60に表示する。
【0041】
図7(a)に示すユーザ情報の設定画面では、搭乗者の身体に関するユーザ情報として、例えば、男性、女性、老人、子供、赤ちゃん、及び障害者の項目が選択可能となっており、搭乗者の状態に合わせて設定することができる。第1の実施形態においては、図7(a)に示すように、搭乗者の身体に関するユーザ情報として、「男性」710、「障害者」720が設定されている。
【0042】
尚、第1の実施形態における車両の搭乗者とは、車両の運転者及び同乗者の両方を含むものであるが、これに限定されず、車両の運転者又は同乗者のいずれか一方のユーザ情報のみを設定するようにしてもよい。また、ユーザ情報の設定画面で設定可能な項目は、図7(a)に示す項目に限定するものではなく、身体に関するユーザ情報であれば、その他の項目を設定できるようにしてもよい。
【0043】
ステップS30では、図7(a)に示すキャンセルボタン730が押されたかを判断する。ステップS30でキャンセルボタン730が押されたと判断された場合には、ステップS40に進む。ステップS40では、入力途中のユーザ情報を消去し、ユーザ情報の設定処理を終了する。すなわち、新たに入力されたユーザ情報を無効とし、ステップS10で読み込んだ現在のユーザ情報を引き続き保持する。
【0044】
ステップS30において、キャンセルボタン730が押されていないと判断された場合には、ステップS50に進む。ステップS50では、図7(a)に示す設定ボタン740が押されたかを判断する。ステップS50で設定ボタン740が押されたと判断された場合には、ステップS60に進む。ステップS60では、ユーザ情報記憶部に記憶されたユーザ情報を入力されたユーザ情報で書き換え、ユーザ情報の設定処理を終了する。すなわち、新たに入力されたユーザ情報が現在のユーザ情報として車載ナビゲーション装置100に設定され、今後の各種制御にはこの新たに設定されたユーザ情報を使用することとなる。 ステップS50において、設定ボタン740が押されない場合には、ステップS70に進む。ステップS70では、図7(a)における障害者ボタン720が押されたかを判断する。ステップS70で障害者ボタン720が押されたと判断された場合には、ステップS80に進む。ステップS80では、図7(b)に示すように、障害者情報の設定画面を表示部60に表示する。第1の実施形態では、図7(b)に示すように、搭乗者の障害者情報として、平衡機能障害については「該当」750が選択され、その他の肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、言語障害、内部障害については「非該当」760が選択されている。
【0045】
尚、一般的に、平衡機能障害とは歩行の不自由、肢体不自由とは手・足・体の不自由、視覚障害とは目の不自由、聴覚障害とは耳の不自由、言語障害とは言語の不自由と定義されている。また、内部障害には、心臓障害、腎臓障害、呼吸器障害、排泄障害、小腸障害、免疫機能障害があり、日常生活行動の不自由と定義されている。また、障害者情報の設定画面で設定可能な項目は、図7(b)に示す項目に限定するものではなく、障害者に関する情報であれば、その他の項目を設定できるようにしてもよい。
【0046】
その後、ステップS90では、図7(b)に示す戻るボタン770が押されたかを判断する。ステップS90で戻るボタン770が押されたと判断された場合には、ステップS20に戻り、図7(a)に示すように、ユーザ情報の設定画面を表示部60に表示する。ステップS90で戻るボタン770が押されていないと判断された場合は、ステップS80に戻り、障害者情報の設定画面を表示部60に表示する。
【0047】
以上説明したように、第1の実施形態に係るナビゲーション装置は、図6のフローチャートに示す処理を行い、ユーザ情報の設定画面を表示して搭乗者の状態に合わせたユーザ情報を容易に選択可能とすることにより、ナビゲーション装置の利便性を向上させることができる。
【0048】
次に、第1の実施形態に係るナビゲーション処理について、図8〜図12を用いて詳細を説明する。
【0049】
図8は、第1の実施形態に係るナビゲーション処理のメインルーチンを示すフローチャートである。図9は、第1の実施形態に係る経路探索処理を示すフローチャートである。図10は、第1の実施形態に係る駐車場所検索処理を示すフローチャートである。図11(a)〜図11(d)は、第1の実施形態に係るナビゲーション装置における現在位置、目的地、及び駐車場所の位置関係を示す図である。図12は、第1の実施形態に係る駐車場所の検索結果を示す図である。
【0050】
第1の実施形態に係るナビゲーション処理は、ナビゲーション装置100に電源が投入されることにより開始される。
【0051】
まず、図8のステップS210では、位置検出部20によって車両の現在位置を取得する。具体的には、GPS衛星から衛星の軌道と、衛星に搭載された原子時計からの時刻のデータを含む電波信号をGPS受信機で受け取り、受信した電波の時間差によりそれぞれの衛星との相対的な距離差を算出し、その軌跡である双曲面の交点を求める事で現在位置情報を取得することができる(電波航法)。また、過去の車両の位置を基準として、ジャイロスコープや車速検出部によって現在位置を算出する(自立航法)。尚、前述したように、電波航法、及び自立航法からの各検出値を互いに補正しながら車両位置を測位してもよく、また電波航法、又は自立航法からのいずれか一方のみの検出値によって車両位置を測位してもよい。
【0052】
ステップS220では、現在位置周辺の地図データを地図データ記憶部から取得する。ステップS230では、ステップS220で取得した地図データに基づいて表示部60に地図を表示するとともに、ステップS210で取得した現在位置に車両の現在位置マークを表示する。ステップS240では、目的地の設定が行われたか否かを判断する。目的地の設定は、例えば、住所検索、施設名称検索、施設ジャンル検索、電話番号検索等の各種検索によりユーザによって所望の地点が検索され、この検索された地点が目的地として設定される。ステップS250では、現在位置と設定された目的地に基づいて経路探索処理が実行される。この経路探索処理については、図9のフローチャートを用いて詳細を説明する。
【0053】
図9のフローチャートにおいて、まずステップS410では、設定された目的地を取得する。ステップS420では、現在位置と目的地に基づいて経路探索処理に必要な地図データを地図データ記憶部30から取得する。ステップS430では、目的地と取得した地図データに基づいて駐車場所検索処理が実行される。この駐車場所検索処理については、図10のフローチャートを用いて詳細を説明する。
【0054】
図10のフローチャートにおいて、まずステップS510では、目的地に応じた車両の駐車場所Aを検索する。具体的には、図11(a)で示すような現在位置1110と目的地1120が取得された場合には、例えば、目的地1120から施設位置までの距離が短い上位5つの駐車場所A1130を検索する。尚、施設データレコード310における施設種別310Aに基づき駐車場所が検索され、施設座標310Eに基づき駐車場所から目的地までの距離が算出される。
【0055】
ステップS520では、ステップS510で駐車場所Aが少なくとも1つ検索されたか否かを判断する。ステップS520で駐車場所Aが少なくとも1つ検索されていないと判断される場合には、駐車場所検索処理を終了し、図9のフローチャートに戻る。
【0056】
ステップS530では、車両の搭乗者の身体に関するユーザ情報がナビゲーション装置100に設定されているか否かを判断する。ステップS530でユーザ情報が設定されていないと判断される場合には、ステップS540に進む。ステップS540では、ステップS510で検索された駐車場所Aの中からユーザが所望の1つの駐車場所を選択できるような表示を行う。具体的には、検索された駐車場所Aの名称をリスト表示し、所望の1つの駐車場所を選択できるように表示する。ステップS550では、ステップS540で表示された駐車場所Aの中からユーザによって1つの駐車場所が選択されたか否かを判断する。ステップS550で1つの駐車場所が選択されていないと判断された場合には、ステップS540に戻り、ユーザによって1つの駐車場所が選択されるまで待機する。ステップS550で1つの駐車場所が選択されたと判断された場合には、ステップS560に進む。ステップS560では、選択された1つの駐車場所をRAMに記憶して駐車場所検索処理を終了し、図9のフローチャートに戻る。
【0057】
ステップS530でユーザ情報が設定されていると判断される場合には、ステップS570に進む。ステップS570では、設定されているユーザ情報を取得する。具体的には、搭乗者のユーザ情報として障害者が設定されている場合には、ステップS570では、これらの情報をユーザ情報として取得する。ステップS580では、ステップS510で検索された駐車場所Aのうち、ステップS570で取得したユーザ情報に応じた駐車場所A’を検索する。具体的には、例えば、搭乗者のユーザ情報として障害者の情報が設定されている場合には、図11(b)で示すように、ステップS410で取得された目的地から施設位置までの距離が短い上位5つの駐車場所A1130の中から、障害者用の駐車場所が設けられた3つの駐車場所A’1140を特定する。つまり、駐車場所A1130の中から、施設データ32のその他施設情報310Fにおいて、障害者用の駐車場所に関する情報として「1」(障害者用の駐車場所が設けられている)が設定されている駐車場所A’1140を特定する。
【0058】
尚、障害者情報に適した駐車場所を特定するようにしてもよく、例えば、障害者情報として「平衡機能障害」、「肢体不自由」、及び「内部障害」が設定されている場合には歩行補助を行える管理人がいる駐車場所、「視覚障害」が設定されている場合には駐車場所内での各種案内が音声案内で行われている駐車場所、「聴覚障害」が設定されている場合には駐車場所内での各種案内が表示案内で行われている駐車場所、「言語障害」が設定されている場合には手話を行える管理人がいる駐車場所を特定してもよい。
【0059】
ステップS590では、ステップS580で駐車場所A’が検索されたか否かを判断する。ステップS590で駐車場所A’が検索されていないと判断された場合には、ステップS600に進む。ステップS600では、ステップS510で検索された駐車場所Aの中からユーザが所望の1つの駐車場所を選択できるような表示を行う。具体的には、検索された駐車場所Aの名称をリスト表示して所望の1つの駐車場所を選択できるようにする。ステップS610では、ステップS600で表示された駐車場所Aの中からユーザによって1つの駐車場所が選択されたか否かを判断する。ステップS610で1つの駐車場所が選択されていないと判断された場合には、ステップS600に戻り、ユーザによって1つの駐車場所が選択されるまで待機する。ステップS610で1つの駐車場所が選択されたと判断された場合には、ステップS560で選択された1つの駐車場所をRAMに記憶して駐車場所検索処理を終了し、図9のフローチャートに戻る。
【0060】
ステップS590で駐車場所A’が検索されたと判断された場合には、ステップS620に進む。ステップS620では、ステップS210で取得された現在位置から駐車場所A’に至るそれぞれの車両用経路を探索する。具体的には、例えば、図11(c)に示すように、現在位置1110から駐車場所A’1140のそれぞれに至る3つの車両用経路1150〜1152を探索する。
【0061】
ステップS630では、ステップS580で検索された駐車場所A’のうち、ステップS570で取得したユーザ情報に応じた車両用経路を有する駐車場所A’’を検索する。具体的には、例えば、搭乗者の身体に関するユーザ情報として障害者の情報が設定される場合には、図11(d)に示すように、ステップS580で検索された3つの駐車場所A’1140の中から、山道の道路1160がない障害者に適した車両用経路を有する1つの駐車場所A’’1170を特定する。
【0062】
ステップS640では、ステップS630で駐車場所A’’が検索されたか否かを判断する。ステップS640で駐車場所A’’が検索されたと判断された場合には、ステップS650に進む。ステップS650では、ステップS510で検索された駐車場所A、ステップS580で検索された駐車場所A’、ステップS630で検索された駐車場所A’’の中からユーザが所望の1つの駐車場所を選択できるような表示を行う。具体的には、図12に示すように、駐車場所A’’1210、駐車場所A’1220、駐車場所A1230の順に駐車場所の名称をリスト表示する。すなわち、目的地までの距離等に関係なく、ユーザ情報に適した駐車場所の名称から順に並べられてリスト表示されることとなる。さらに、駐車場所A’’1210の名称には障害者用の駐車場所を有する駐車場所であることを示す表示「障害者用P有」1240、及び山道の道路がない障害者に適した経路を有する駐車場所であることを示す表示「ユーザ情報推奨」1250、駐車場所A’1220の名称には障害者用の駐車場所を有する駐車場所であることを示す表示「障害者用P有」1240を行い、一般の駐車場所A1230と区別できるように表示する。これにより、ユーザはユーザ情報に応じた駐車場所を車両用の目的地として容易に設定することができ、ナビゲーション装置の操作性を向上させることができる。
【0063】
ステップS660では、ステップS650で表示された駐車場所A、駐車場所A’、駐車場所A’’の中からユーザによって1つの駐車場所が選択されたか否かを判断する。ステップS660で1つの駐車場所が選択されていないと判断された場合には、ステップS650に戻り、ユーザによって1つの駐車場所が選択されるまで待機する。ステップS660で1つの駐車場所が選択されたと判断された場合には、この選択された1つの駐車場所をRAMに記憶して駐車場所検索処理を終了し、図9のフローチャートに戻る。
【0064】
ステップS640で駐車場所A’’が検索されていないと判断された場合には、ステップS670に進む。ステップS670では、ステップS510で検索された駐車場所A、ステップS580で検索された駐車場所A’の中からユーザが所望の1つの駐車場所を選択できるような表示を行う。具体的には、駐車場所A’、駐車場所Aの順に駐車場所の名称をリスト表示する。すなわち、目的地までの距離等に関係なく、ユーザ情報に適した駐車場所の名称から順に並べられてリスト表示されることとなる。さらに、ユーザ情報に応じた障害者用の駐車場所を有する駐車場所A’の名称を一般の駐車場所Aの名称と区別できるように表示する。これにより、ユーザはユーザ情報に応じた駐車場所を車両用の目的地として容易に設定することができ、ナビゲーション装置の利便性を向上させることができる。
【0065】
ステップS680では、ステップS670で表示された駐車場所A、駐車場所A’の中からユーザによって1つの駐車場所が選択されたか否かを判断する。ステップS680で1つの駐車場所が選択されていないと判断された場合には、ステップS670に戻り、ユーザによって1つの駐車場所が選択されるまで待機する。ステップS680で1つの駐車場所が選択されたと判断された場合には、この選択された1つの駐車場所をRAMに記憶して駐車場所検索処理を終了し、図9のフローチャートに戻る。
【0066】
図9のフローチャートに戻り、ステップS440では、ステップS430でユーザによって1つの駐車場所が選択されているか否かを判断する。ステップS440で1つの駐車場所が選択されていないと判断された場合には、ステップS210で取得した現在位置からステップS410で取得した目的地に至る車両用経路を探索する。ステップS460では、ステップS450で探索された車両用経路をRAMに記憶する。すなわち、駐車場所が検索できなかったため、現在位置から目的地に至る車両用経路を探索する。
【0067】
ステップS440で1つの駐車場所が記憶されていると判断された場合には、ステップS470に進む。ステップS470では、ステップS210で取得した現在位置からステップS560で記憶された1つの駐車場所に至る車両用経路を探索する。具体的には、道路地図データ31を利用して、ノード通行規制211E、リンク通行規制221F、リンク長221G、リンク旅行時間221H等に基づき最短距離、最短時間等の所定条件に適合した車両用経路を探索する。ステップS480では、ステップS470で探索された車両用経路をRAMに記憶する。ステップS490では、ステップS560で記憶された1つの駐車場所からステップS410で取得した目的地に至る歩行者用経路を探索する。具体的には、道路地図データ31を利用して、ノード通行規制211E、リンク通行規制221F、リンク長221G等に基づき最短距離、最短時間等の所定条件に適合した歩行者用経路を探索する。ステップS500では、ステップS490で探索された歩行者用経路をRAMに記憶する。尚、車両用経路、歩行者用経路は、ユーザ情報を考慮して探索してもよい。具体的には、ユーザ情報として障害者が設定されている場合には、例えば、起伏の多い道路や交通量の多い道路を除外した経路を探索するようにしてもよい。
【0068】
次に、図8のフローチャートに戻り、ステップS260では、ステップS250で歩行者用経路が探索されたか否かを判断する。ステップS260で歩行者用経路が探索されていないと判断された場合には、ステップS270に進む。ステップS270では、ステップS250で探索された車両用経路を表示する。具体的には、ナビゲーション制御部10は、探索された車両用経路を道路に重ねて強調表示し、表示部60に表示する。ステップS280では、ステップS250で探索された車両用経路に基づいて、車両用経路案内が行われる。ステップS290では、ステップS210で取得された現在位置がステップS560で記憶された1つの駐車場所に到着したか否かを判断する。ステップS290で駐車場所に到着していないと判断された場合には、ステップS280に戻り、車両用経路案内を継続する。ステップS290で駐車場所に到着したと判断された場合には、ナビゲーション処理を終了する。
【0069】
ステップS260で歩行者用経路が探索されたと判断された場合には、ステップS300に進む。ステップS300では、ステップS250で探索された車両用経路を表示する。具体的には、ナビゲーション制御部10は、探索された車両用経路を道路に重ねて強調表示し、表示部60に表示する。ステップS310では、ステップS250で探索された車両用経路に基づいて、車両用経路案内が行われる。ステップS320では、ステップS210で取得された現在位置がステップS560で記憶された1つの駐車場所に到着したか否かを判断する。ステップS320で駐車場所に到着していないと判断された場合には、ステップS310に戻り、車両用経路案内を継続する。ステップS320で駐車場所に到着したと判断された場合には、ステップS330に進む。ステップS330では、ナビゲーション装置100が携帯できるか否かを判断する。ステップS330でナビゲーション装置100が携帯できないと判断された場合には、ステップS340に進む。ステップS340では、ユーザが携帯可能な携帯端末にステップS250で探索された歩行者用経路に関するデータを送信し、ナビゲーション処理を終了する。すなわち、ナビゲーション装置100から送信された歩行者用経路に関するデータを携帯端末で受信することにより、駐車場所から目的地に至る歩行者用経路の案内を、携帯することができないナビゲーション装置に代わって携帯端末で引き続き行うことができる。
【0070】
ステップS330でナビゲーション装置100が携帯できると判断された場合には、ステップS350に進む。ステップS350では、ステップS250で探索された歩行者用経路を表示する。具体的には、ナビゲーション制御部10は、探索された歩行者用経路を道路に重ねて強調表示し、表示部60に表示する。ステップS360では、ステップS250で探索された歩行者用経路に基づいて、歩行者用経路案内が行われる。ステップS370では、ステップS210で取得された現在位置がステップS410で取得された目的地に到着したか否かを判断する。ステップS370で目的地に到着していないと判断された場合には、ステップS360に戻り、歩行者用経路案内を継続する。ステップS370で目的地に到着したと判断された場合には、ナビゲーション処理を終了する。
【0071】
尚、ステップS350〜S370については、例えば、第1の実施形態に係るナビゲーション装置が、車両で使用できるPND(Personal Navigation Device)タイプやPDA(Personal Digital Assistant)タイプ等の携帯可能なナビゲーション装置である場合の処理を示すものである。すなわち、駐車場所に車両を駐車した後に、ナビゲーション装置100とは別の携帯端末に駐車場所から目的地に至る歩行者用経路に関する情報を送信する必要がなく、図13に示すように、ユーザ1310は車両1320からナビゲーション装置100自体を持ち出すことが可能であり、ナビゲーション装置100に歩行者用経路を表示して目的地までの経路案内を引き続き行うことができる。
【0072】
次に、第1の実施形態に係るユーザ情報に応じて優先する経路について、図14を用いて詳細を説明する。
【0073】
図14は、ユーザ情報と優先する経路との対応を示す対応表である。例えば、搭乗者の身体に関するユーザ情報として「男性」が設定されている場合には、図14の対応表に基づいて、駐車場所まで最短距離である経路を優先する。すなわち、搭乗者は健常者であるため、道路の状態に関係なく駐車場所まで最短距離で到着できる経路を優先する。また、搭乗者の身体に関するユーザ情報として「障害者」、「平衡機能障害」が設定されている場合には、起伏が少ない経路、工事中の道路が少ない経路、交通量が少ない経路、複雑な交差点が少ない経路等を優先する。すなわち、健常者ではない搭乗者が存在するため、車両の運転に影響が少ない経路、車両の乗り心地がよい経路を優先する。
【0074】
ここで、起伏が少ない経路とは、リンクデータレコード221のその他リンク情報221Kに格納される道路が山道であるか否かに関する情報によって判断される。具体的には、道路が山道であるか否かの情報が「1」に設定されているリンクが少ない経路を起伏が少ない経路と判断する。
【0075】
また、工事中の道路が少ない経路とは、リンクデータレコード221のその他リンク情報221Kに格納される道路が工事中であるか否かに関する情報によって判断される。具体的には、道路が工事中であるか否かに関する情報が「1」に設定されているリンクが少ない経路を工事中の道路が少ない経路と判断する。
【0076】
また、交通量が少ない経路とは、リンクデータレコード221のその他リンク情報221Kに格納される道路の交通量に関する情報によって判断される。具体的には、道路の交通量に関する情報が「1」に設定されているリンクが少ない経路を交通量が少ない経路と判断する。
【0077】
また、複雑な交差点が少ない経路とは、ノードデータレコード211のその他ノード情報211Hに格納される交差点形状の複雑度に関する情報によって判断される。具体的には、交差点形状の複雑度に関する情報が「1」に設定されているノードが少ない経路を複雑な交差点が少ない経路と判断する。
【0078】
尚、車両用経路と歩行者用経路とは、ユーザ情報に応じて優先する経路が異なるため、図14では、車両用経路、歩行者用経路のそれぞれにおいて優先する経路を個別に定義している。尚、ユーザ情報に応じて優先する経路は、図14に示す経路に限定されるものではなく、ユーザ情報に適している経路であれば図13に示す以外の経路を優先してもよい。
【0079】
以上説明したように、第1の実施形態に係るナビゲーション装置では、図8〜図10のフローチャートに示す処理を行い、ユーザ情報に応じた駐車場所に関する情報が提供される。より詳細には、ユーザ情報に応じた車両用経路を有する駐車場所に関する情報が提供される。また、提供された駐車場所に関する情報に基づいて、ユーザはユーザ情報に応じた駐車場所を車両用の目的地として容易に設定することができるため、ナビゲーション装置の利便性を向上させることができる。
【0080】
(第2の実施形態)
図15は、第2の実施形態に係る駐車場所検索処理を示すフローチャートである。図16(a)及び図16(b)は、第2の実施形態に係る車両の現在位置、目的地、及び駐車場所の位置関係を示す図である。尚、図15に示すフローチャートは、図10に示す第1の実施形態に係る駐車場所検索処理を示すフローチャートのステップS630とステップS640のみを変更したものであるため、その他の同じステップについては同じ符号を付し説明を省略する。
【0081】
図15の駐車場所検索処理のフローチャートにおいて、ステップS710では、ステップS590で検索された駐車場所A’の各々からステップS410で取得された目的地に至るそれぞれの歩行者用経路を探索する。具体的には、例えば、図16(a)に示すように、目的地1120から駐車場所A’1140のそれぞれに至る3つの車両用経路1610〜1612を探索する。
【0082】
ステップS720では、ステップS590で検索された駐車場所A’のうち、ステップS560で取得したユーザ情報に応じた歩行者用経路を有する駐車場所A’’を検索する。具体的には、例えば、搭乗者の身体に関するユーザ情報として「障害者」が設定される場合には、図16(b)に示すように、ステップS590で検索された3つの駐車場所A’1140の中から、障害者に適したバリアフリーの歩道1620が存在する歩行者用経路を有する駐車場所A’’1630を特定する。尚、前述したように、ステップS710、ステップS720以外のステップについては、図10に示す第1の実施形態に係る駐車場所検索処理を示すフローチャートと同じであるため、同じ構成については同じ符号を付し説明を省略する。
【0083】
以上説明したように、第2の実施形態に係るナビゲーション装置では、図15のフローチャートに示す処理を行い、ユーザ情報に応じた駐車場所に関する情報が提供される。より詳細には、ユーザ情報に応じた歩行者用経路を有する駐車場所に関する情報が提供される。また、提供された駐車場所に関する情報に基づいて、ユーザはユーザ情報に応じた駐車場所を車両用の目的地として容易に設定することができるため、ナビゲーション装置の利便性を向上させることができる。
【0084】
また、図17は、搭乗者が障害者手帳を有している場合に、障害者手帳に関する情報をナビゲーション装置に入力する画面を示す図である。図17に示すように、搭乗者が障害者手帳を有している場合には、障害者手帳に関する障害者手帳番号等の各種情報1710を入力することにより、通信部40を介して外部のサーバーに各種情報を送信し、サーバーから搭乗者の身体に関するユーザ情報を取得してナビゲーション装置に自動的に設定するようにしてもよい。これにより、ユーザはユーザ情報の設定操作を容易に行うことができ、ナビゲーション装置の操作性を向上することができる。
【0085】
また、図18は、搭乗者が駐車禁止区域での規制除外措置を受けている場合の駐車場所の検索結果を示す図である。図18に示すように、搭乗者が駐車禁止区域での規制除外措置を受けている場合には、駐車禁止区域での規制除外措置を受けていることをナビゲーション装置に設定することにより、施設である駐車場所1810ではなく、目的地1820付近の駐車可能な駐車場所(例えば、交差点付近を除く目的地に面した道路)1830を案内するようにしてもよい。これにより、駐車禁止区域での規制除外措置を受けている搭乗者は適切な駐車場所に関する情報を得ることができ、ナビゲーション装置の利便性を向上させることができる。
【0086】
また、駐車場内におけるユーザ情報に応じた駐車位置のデータを地図データ記憶部30に記憶するように構成し、ユーザ情報が設定された場合には、駐車場内におけるユーザ情報に応じた駐車位置まで車両を案内するようにしてもよい。例えば、ユーザ情報として「障害者」が設定されている場合には、駐車場内における障害者用の駐車位置まで車両を案内するようにしてもよい。これにより、ユーザは駐車場内におけるユーザ情報に応じた駐車位置に関する情報を得ることができ、ナビゲーション装置の利便性を向上させることができる。
【0087】
また、ユーザ情報として「聴覚障害」が設定されている場合には、例えば、ナビゲーション処理における経路の音声案内がオフされている時には自動的にオンにしたり、音声案内の音量を自動的に上げるようにしてもよい。これにより、ユーザはユーザ情報に応じた適切な出力形態で情報を得ることができ、ナビゲーション装置の利便性を向上させることができる。
【0088】
また、ユーザ情報として病院で診察を受けている診察科目(内科、外科等)をナビゲーション装置に設定できるように構成し、搭乗者の診察科目がユーザ情報として設定されている場合には、例えば、設定された診察科目に関連した有用な情報を通信部40を介して外部から取得して提供するようにしてもよい。具体的には、車両の現在位置や経路の周辺に存在する設定された診察科目を有する病院に関する情報等を搭乗者に提供する。これにより、ユーザはユーザ情報に応じた有用な情報を得ることができ、ナビゲーション装置の利便性を向上させることができる。
尚、以上のように、主に車両に固定されて携帯できないナビゲーション装置を用いて本発明の実施形態を説明したが、これらに限定されるものではない。すなわち、車両で使用可能なナビゲーション装置であればよく、例えば図13に示すような携帯可能なPND(Personal Navigation Device)タイプやPDA(Personal Digital Assistant)タイプのナビゲーション装置においても本発明が適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】第1の実施形態に係るナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図
【図2】第1の実施形態に係る道路地図データのデータ構成を示す図
【図3】第1の実施形態に係る施設データのデータ構成を示す図
【図4】第1の実施形態に係るナビゲーション装置の車両への搭載例を示す斜視図
【図5】第1の実施形態に係るナビゲーション装置の外観を示す斜視図
【図6】第1の実施形態に係るユーザ情報の設定処理を示すフローチャート
【図7】第1の実施形態に係るユーザ情報、障害者情報の設定画面を示す図
【図8】第1の実施形態に係るナビゲーション処理を示すフローチャート
【図9】第1の実施形態に係る経路探索処理を示すフローチャート
【図10】第1の実施形態に係る駐車場所検索処理を示すフローチャート
【図11】第1の実施形態に係る現在位置、目的地及び駐車場所の位置関係を示す図
【図12】第1の実施形態に係る駐車場所の検索結果を示す図
【図13】第1の実施形態に係る携帯可能なナビゲーション装置を示す図
【図14】第1の実施形態に係るユーザ情報と優先する経路との対応を示す対応表
【図15】第2の実施形態に係る駐車場所検索処理を示すフローチャート
【図16】第2の実施形態に係る現在位置、目的地及び駐車場所の位置関係を示す図
【図17】障害者手帳に関する情報の入力画面を示す図
【図18】搭乗者が駐車禁止区域での規制除外措置を受けている場合の駐車場所の検索結果を示す図
【符号の説明】
【0090】
10 ナビゲーション制御部
11 経路探索部
12 経路案内部
13 施設検索部
14 ユーザ情報設定制御部
15 ユーザ情報記憶部
20 位置検出部
30 地図データ記憶部
31 道路地図データ
32 施設データ
40 通信部
50 道路交通情報受信部
60 表示部
70 音声出力部
80 操作部
90 音声認識部
100 ナビゲーション装置
110 携帯端末
120 インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の搭乗者の身体に関するユーザ情報を設定するユーザ情報設定手段と、
前記ユーザ情報に応じた車両の駐車場所に関する情報を含む地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記ユーザ情報と前記地図データとに基づいて、前記目的地に応じた車両の駐車場所を検索する検索手段と、
前記検索手段によって検索された駐車場所に関する情報を表示する表示手段と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
車両の現在位置を取得する取得手段と、
前記検索手段によって駐車場所が検索された場合に、車両の現在位置から該検索された駐車場所に至る車両用経路を探索する探索手段と、
前記検索された駐車場所のうちで、前記ユーザ情報に応じた車両用経路を有する駐車場所を特定する特定手段と、を備え、
前記表示手段は、前記特定手段で特定された駐車場所に関する情報を表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記検索手段によって駐車場所が検索された場合に、該検索された駐車場所から前記目的地に至る歩行者用経路を探索する探索手段と、
前記検索された駐車場所のうちで、前記ユーザ情報に応じた歩行者用経路を有する駐車場所を特定する特定手段と、を備え、
前記表示手段は、前記特定手段で特定された駐車場所に関する情報を表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−249631(P2008−249631A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93983(P2007−93983)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】