説明

フラッシュメモリ素子の製造方法

【課題】コンタクトホールのサイズの安定した減少を実現でき、素子の信頼性を向上させるフラッシュメモリ素子の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板101上に層間絶縁膜105とハードマスク膜パターン106aを形成し、それらの表面を覆うようにしてスペーサ膜109を形成する。第1のエッチング工程で層間絶縁膜105にコンタクトホール(図4中の符号200)を形成し、スペーサ膜109も第1のエッチング工程にて除去し、ハードマスク膜パターン106aを除去するための第2のエッチング工程を実施する。それにより、コンタクトホールのサイズを減少させる必要がある場合、あるいは隣り合うコンタクトホールどうしの間隔スペースを減少させる必要がある工程にあって、リソグラフィ工程の限界を克服しつつ、コンタクトホールのサイズを安定して減少させ、ブリッジの発生を抑えて素子の信頼性を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にコンタクトホールのプロファイル改良に係るフラッシュメモリ素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、フラッシュメモリ素子のサイズがますます微細化するに伴い、たとえば70ナノ(nm)以下に微小サイズになると十分なエッチングマージンを形成できなくなる問題がある。ドレーンコンタクト工程の場合、ArFレーザーを光源として用いるリソグラフィ工程において、フォトレジストのエッチングマージンの不足を改善するために、ハードマスク膜としてポリシリコンの代りにニトリドを用いている。
【0003】
しかし、ニトリドハードマスク膜を用いてコンタクトホールを形成する場合、ポリシリコンハードマスク膜を用いるよりもコンタクトホールのサイズが約20ナノ以上増加する。これに伴い、隣り合うコンタクトホールの間隔スペースが狭くなるだけでなく、コンタクトホールの中間部位に湾曲(bowing)現象が生じて、ブリッジ(bridge)が発生する問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、コンタクトホールのサイズの安定した減少を実現できるフラッシュメモリ素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明のフラッシュメモリ素子の製造方法は、半導体基板上に層間絶縁膜およびハードマスク膜パターンを形成する工程と、前記層間絶縁膜および前記ハードマスク膜パターンの表面に沿ってスペーサ膜を形成する工程と、前記ハードマスクパターンおよび前記スペーサ膜をエッチングマスクに用いる第1のエッチング工程で前記層間絶縁膜にコンタクトホールを形成するとともに、前記スペーサ膜を前記第1のエッチング工程にて除去する工程と、前記ハードマスク膜パターンを除去するための第2のエッチング工程を実施する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のフラッシュメモリ素子の製造方法によれば、デザインルールの減少により、コンタクトホールのサイズを減少させる必要がある場合、あるいは隣り合うコンタクトホールどうしの間隔スペースを減少させる必要がある工程にあって、リソグラフィ工程の限界を克服しつつ、コンタクトホールのサイズを安定して減少させることができる。その結果、ブリッジの発生を抑えることができるので素子の信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に係る半導体素子の製造方法の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0008】
図1〜図5は、本実施形態によるフラッシュメモリ素子の製造方法における工程を順に示す断面図である。
【0009】
まず、図1に示す工程において、素子分離膜(102)が形成された半導体基板(101)の上部にコンタクトホールを形成するための一連の膜(layers)を蒸着する。それら一連の膜とは、バッファ絶縁膜(103)と、エッチング停止絶縁膜(104)、層間絶縁膜(105)と、そしてハードマスク膜(106)である。ハードマスク膜(106)の上部には乱反射防止膜(107)とフォトレジストパターン(108)が形成される。
【0010】
バッファ絶縁膜(103)はオキシド系統の物質で形成され、エッチング停止絶縁膜(104)はニトリド系統の物質で形成される。また、層間絶縁膜(105)はオキシド系統の物質で形成され、ハードマスク膜(106)はニトリド系統の物質で形成される。乱反射防止膜(107)は有機乱反射コーティング(Organic Bottom Anti Reflective Coating;OBARC)物質で形成される。フォトレジストパターン(108)は、デザインルールの減少によってコンタクトホールのサイズを減少させ、あるいは隣り合うコンタクトホールの間隔スペースを減少させる必要が有る工程にてリソグラフィ工程を通じて形成され、コンタクトホール形成部位がオープンされている。
【0011】
つぎに、図2に示す工程においては、エッチング工程でフォトレジストパターン(108)をエッチングマスクにして、乱反射防止膜(107)をエッチングして乱反射防止膜パターン(107a)を形成するとともに、ハードマスク膜(106)をエッチングしてハードマスク膜パターン(106a)を形成する。
【0012】
つぎに、図3の工程で示すように、フォトレジストパターン(108)と乱反射防止膜パターン(107a)を除去する。それに続いて、ハードマスク膜パターン(106a)と層間絶縁膜(105)のそれぞれ表面に沿ってハードマスク用のスペーサ膜(109)を形成する。
【0013】
このハードマスク用のスペーサ膜(109)としては、化学的気相蒸着法(CVD)またはスパッタ方法でオキシド、オキシニトリドまたはニトリド系統の物質を用いて形成することができる。スペーサ膜(109)は、70ナノ級のフラッシュメモリ素子の場合、10Å以上の厚さになるように形成するが、ハードマスク膜パターン(106a)の間の空間が満たされないように形成することが望ましい。また、スペーサ膜(109)の厚さは、素子のデザインルールに基づいて適切に調節して用いることができる。
【0014】
つぎに、図4に示す工程では、前工程でハードマスク膜パターン(106a)上に上記スペーサ膜(109)を形成した段階でエッチング工程を実行し、層間絶縁膜(105)にコンタクトホール(200)を形成する。スペーサ膜(109)はエッチング工程中に除去される。仮にも、スペーサ膜(109)が除去されないで一部残ったような場合、後工程であるハードマスク膜パターン(106a)の除去工程時にいっしょに除去することができる。
【0015】
前述のように、コンタクトホール(200)を形成するためのエッチング工程時、層間絶縁膜(105)のエッチング厚さが過大に厚くてコンタクトホール(200)のサイズが全体的に大きくなることがある。あるいは、コンタクトホール(200)の中間部位までの深さでコンタクトホール(200)の幅が非正常的に増加する湾曲(ボーイング)現象が発生することがある。
【0016】
そうしたコンタクトホール(200)の変化現象は側面エッチング(lateral etch)が原因で起こる。その側面エッチングを最小に抑えるには、エッチング工程において圧力を低くし、トップパワー(top power)を減少させる方法、またはカソード温度を減少させる方法を、それらの方法の1つを単独で、あるいは組み合わせて実施する。
【0017】
また、湾曲(ボーイング)現象を最小に抑えるには、エッチング工程においてO2ガス流量を減少させる方法を適用して実施する。具体的には、エッチング工程での圧力を10mTorr〜100mTorrとし、カソード温度を−20℃〜20℃とし、パワーを500W〜1500Wとし、O2ガス流量を5sccm 〜100sccmとして実施する。
【0018】
また、エッチング工程としては、同一のエッチング設備内で真空状態を維持しつつイン・サイチュー(In-situ)方式でスペーサ膜(109)と層間絶縁膜(105)を連続させてエッチングすることが望ましい。但し、エッチング工程は、それぞれ異なるエッチング設備を用いてスペーサ膜(109)と層間絶縁膜(105)を不連続的にエッチングを行うエクス・サイチュー(ex-situ)方式を採用することも可能である。
【0019】
以上のように、ハードマスク膜(106)の上部にスペーサ膜(109)を形成し、側面エッチングが抑えられる好適な条件でエッチング工程を実行するので、コンタクトホール(200)のサイズが全体的に大きくならないように抑えて肥大化を防止できる。また、コンタクトホール(200)の中間深さの部位においてコンタクトホール(200)の幅が異常に増えるいわゆる湾曲(ボーイング)現象が発生するのを最小に抑えることにも有効である。
【0020】
そして、図5に示す工程において、コンタクトホール(200)は、ハードマスク膜パターン(106a)と、エッチング停止絶縁膜(104)と、バッファー絶縁膜(103)とを除去し、半導体基板(101)に達する深さまでエッチングして露出させて形成完了する。
【0021】
各膜の除去工程にあっては、まずハードマスク膜パターン(106a)を先に除去し、その後にエッチング停止絶縁膜(104)とバッファー絶縁膜(103)を除去することが望ましい。しかし、同時除去する場合、つまりハードマスク膜パターン(106a)、エッチング停止絶縁膜(104)およびバッファー絶縁膜(103)の各膜を同時に除去する場合は、ハードマスク膜パターン(106a)の厚さが大きいと、半導体基板(101)が除去の過程で損傷を受けることがある。そうした場合、ハードマスク膜パターン(106a)が以前のエッチング工程中に一定の厚さが除去されて薄くなった状態であるため、半導体基板(101)のエッチングによる損傷は無視できるものである。
【0022】
また、コンタクトホール(200)の側面エッチングを最小に抑えるために、除去工程は、CF4ガスにCHF3ガス、CH2F2またはCH3Fガスが含まれた混合ガスを用いて実施する。CF4ガスに対するCHF3ガス、CH2F2またはCH3Fガス流量比を10〜90%で調節し、オキシドに対するニトリドの選択比(selectivity)を1.4以上になるようにする。
【0023】
以上のような一連の好適条件で形成されるコンタクトホール(200)は、目標とするサイズで安定的に形成されるため、図5に示すように、コンタクトホール(200)の上段の部分で隣り合うコンタクトホール(200)どうしの間隔となる空間マージン(A)が必要十分に確保される。また、コンタクトホール中間深さ部位での湾曲(ボーイング)現象についても、その中間深さ部位での空間マージン(B)もブリッジが発生しない程度に確保することができる。
【0024】
なお、本発明による半導体素子の製造方法の実施形態について説明したが、その実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内でその他の実施形態、応用例、変形例およびそれらの組み合わせも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明によるフラッシュメモリ素子の製造方法の実施形態としてその工程を示す断面図。
【図2】同実施形態における次工程を示す断面図。
【図3】同実施形態における次工程を示す断面図。
【図4】同実施形態における次工程を示す断面図。
【図5】同実施形態における次工程を示す断面図。
【符号の説明】
【0026】
101 半導体基板
102 素子分離膜
103 バッファー絶縁膜
104 エッチング停止絶縁膜
105 層間絶縁膜
106 ハードマスク膜
107 乱反射防止膜
108 フォトレジストパターン
109 スペーサ膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に層間絶縁膜およびハードマスク膜パターンを形成する工程と、
前記層間絶縁膜および前記ハードマスク膜パターンの表面に沿ってスペーサ膜を形成する工程と、
前記ハードマスクパターンおよび前記スペーサ膜をエッチングマスクに用いる第1のエッチング工程で前記層間絶縁膜にコンタクトホールを形成するとともに、前記スペーサ膜を前記第1のエッチング工程にて除去する工程と、
前記ハードマスク膜パターンを除去するための第2のエッチング工程を実施する工程と、を含むことを特徴とするフラッシュメモリ素子の製造方法。
【請求項2】
前記層間絶縁膜の下部にさらにエッチング停止絶縁膜が形成されることを特徴とする請求項1に記載のフラッシュメモリ素子の製造方法。
【請求項3】
前記エッチング停止絶縁膜の下部にさらにバッファ絶縁膜が形成されることを特徴とする請求項2に記載のフラッシュメモリ素子の製造方法。
【請求項4】
前記第2のエッチング工程を実施後、さらに前記コンタクトホールの底面の前記エッチング停止絶縁膜および前記バッファ絶縁膜をエッチングする工程と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載のフラッシュメモリ素子の製造方法。
【請求項5】
前記第2のエッチング工程時に前記ハードマスク膜パターン、前記エッチング停止絶縁膜および前記バッファ絶縁膜が同時にエッチングされることを特徴とする請求項3に記載のフラッシュメモリ素子の製造方法。
【請求項6】
前記ハードマスク膜パターンがニトリド系統の物質で形成されることを特徴とする請求項1に記載のフラッシュメモリ素子の製造方法。
【請求項7】
前記スペーサ膜がオキシド、オキシニトリドまたはニトリド系統の物質で形成されることを特徴とする請求項1に記載のフラッシュメモリ素子の製造方法。
【請求項8】
前記第1のエッチング工程は、圧力を減少させる方法、トップパワーを減少させる方法またはカソード温度を減少させる方法を単独であるいは混合して実施することを特徴とする請求項1に記載のフラッシュメモリ素子の製造方法。
【請求項9】
前記第1のエッチング工程は、圧力を10mTorr〜100mTorr、カソード温度を−20℃〜20℃、パワーを500W〜1500Wとして実施することを特徴とする請求項1に記載のフラッシュメモリ素子の製造方法。
【請求項10】
前記第1のエッチング工程は、O2ガス流量を減少させる方法で実施することを特徴とする請求項1に記載のフラッシュメモリ素子の製造方法。
【請求項11】
前記第1のエッチング工程は、O2ガス流量を5sccm〜100sccmとして実施することを特徴とする請求項1に記載のフラッシュメモリ素子の製造方法。
【請求項12】
前記第1のエッチング工程は、同一のエッチング装備内で真空状態を維持しながら、イン・サイチュー方式で前記スペーサ膜及び前記層間絶縁膜を連続エッチングすることを特徴とする請求項1に記載のフラッシュメモリ素子の製造方法。
【請求項13】
前記第1のエッチング工程は、それぞれ異なるエッチング装備を用いて上記スペイサー膜及び上記層間絶縁膜を不連続エッチングするエクス・サイチュー方式で実施することを特徴とする請求項1に記載のフラッシュメモリ素子の製造方法。
【請求項14】
前記第2のエッチング工程は、CF4ガスにCHF3ガス、CH2F2またはCH3Fガスが含まれた混合ガスを用いて実施することを特徴とする請求項1に記載のフラッシュメモリ素子の製造方法。
【請求項15】
前記CF4ガスに対する前記CHF3ガス、前記CH2F2または前記CH3Fガスの流量比は10〜90%で調節することを特徴とする請求項14に記載のフラッシュメモリ素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−16852(P2008−16852A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176525(P2007−176525)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(591024111)株式会社ハイニックスセミコンダクター (1,189)
【氏名又は名称原語表記】HYNIX SEMICONDUCTOR INC.
【住所又は居所原語表記】San 136−1,Ami−Ri,Bubal−Eup,Ichon−Shi,Kyoungki−Do,Korea
【Fターム(参考)】