説明

低K誘電体形成用有機シルセスキオキサン重合体

低誘電率重合体は、一般式I:(R1-R2)n-Si-(X1)4-n(ここで、X1はそれぞれ独立して水素及び無機脱離基から選択され、R2は任意の基であって1〜6個の炭素原子を有するアルキレン又はアリーレンを備え、R1はポリシクロアルキル基であり、nは整数1〜3である)で表される化合物から誘導された単量体単位を備える。重合体は優れた電気的及び機械的特性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路(IC’s)及び他の類似した用途用の低K誘電体として適したハイブリッドシルセスキオキサン重合体に関する。特に、本発明は有機−無機ハイブリッド材料の重合体組成物を備える薄膜用組成物と製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に構築された集積回路は何百万ものトランジスタと他の装置を備え、これらは誘電性材料に埋め込まれた多層レベルの垂直及び水平配線を介して相互に、また外部実装材料との間で電気的に連通する。この多層金属配線化構造の中で、「ビア」は垂直配線を構成するのに対し、「相互接続」は水平配線を形成する。金属配線化の組立は、多層の誘電体および金属の連続する堆積とパターン化を含み、トランジスタ間および外部実装材料に対する電気接続を実現することができる。所定の層のパターン化は、基板上での層堆積、フォトレジストスピン、フォトレジスト露光、フォトレジスト現像、層エッチ、及びフォトレジスト除去を備える多段階処理によってしばしば行われる。或いは、まず誘電性材料の層にパターンを食刻し、このパターンに金属を充填し、続いて金属が誘電体の開孔部にのみ埋め込まれ残存するように金属を化学/機械研磨することにより、金属のパターン化を時々行うことができる。相互接続材料としては、アルミニウムが高導電率でSiO2への良好な密着性、既知の処理法(スパッタリング及びエッチング)及び低費用のために長年に亘って利用されている。また、アルミニウム合金が、純粋なアルミニウムに比べて融点、拡散、エレクトロマイグレーション、及び他の性質を改善するように長年に亘り開発されてきた。アルミニウムの連続層をスパニングするために、タングステンが導電性ビアプラグ材料として伝統的に機能してきた。
【0003】
IC’sにおいて、約4.0の誘電率を有する二酸化ケイ素が最適な誘電体であり、アルミニウム及びタングステンを基にした相互接続及びビアと共に長年用いられてきた。
【0004】
近年の高速マイクロプロセッサ及び強力な電子装置を駆動するには、極めて高い回路密度とより速い動作速度に帰着し、換言すると高導電金属及び低K誘電体(好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下の誘電率)を用いることを必要としている。過去数年では、VLSI(及びULSI)処理が銅ダマシン処理に移ってきており、銅(又は銅合金)を導線のより高いコンダクタンスに用いて、スピンオン又はCVD処理を、導線を囲む絶縁材料に用い得る低K誘電体を製造するのに使用する。エッチングによる問題を回避するためには、遮断金属と共に銅を相互接続及びビア開孔部から成る凹型誘電体構造上の一面に堆積し、続いて「デュアルダマシン」として既知の処理方法で研磨する。ビア開孔部の底部は、通常前の金属層からの相互接続の上部であるか、一部の場合では基板への接触層となる。
【0005】
リソグラフィーによってパターン形成可能であることに加えて、誘電体IC材料を、好ましくは速い堆積速度と、相対的に低い温度で容易に堆積又は形成すべきである。一旦、該材料が堆積又は形成されると、これをすぐにパターン化、好ましくは必要に応じ小さい形状でパターン化すべきである。パターン化材料は低い表面及び/又は側壁粗さを有するのが好ましい。また、かかる材料は疎水性であって湿気(又は他の液体)の吸収を制限し、相対的に高いガラス転移温度によって安定である(更なる処理または使用時に分解しないか、さもなければ物理/化学変化しない)のが望ましい。
【0006】
要約すると、低誘電率を有することの他に、理想的な誘電体は下記の特性を有すべきである。
1.金属相互接続及びビアの迷路を一緒に束ね、化学機械研磨処理工程を助けるための高弾性率及び硬度。
2.低熱膨張、典型的には金属相互接続のもの以下である。
3.一般に400℃以上で優れた熱安定性。
4.亀裂が無く、優れた充填量、かつ平坦化の特性。
5.誘電体、半導体、及び金属材料への優れた密着性。
6.相互接続とビアからのジュール加熱を放散するのに十分な熱伝導性。
7.溶剤、湿気、又は反応ガスの吸収を排除する材料密度。
8.非常に小さい寸法で所望のエッチプロファイルを可能とする。
9.低電流漏洩、高破壊電圧、及び低誘電正接。
10.誘電体と接触材料との間の安定した界面。
【0007】
必然的に、低K材料は、通常妥協した形で設計される。ケイ酸塩を基にした低K材料は、優れた熱安定性と有効な弾性率を実証することができるが、脆性と亀裂によって悩まされる。これに対し、有機材料は、増大した軟度、低熱安定性、及び高熱膨張率という犠牲を払うが、しばしば改善された材料耐性を示す。
【0008】
多孔質材料は機械的性質を犠牲にし、半導体製造に用いる化学物質を吸収する強い傾向を有するので、信頼性故障を引き起こす。その上、この多孔質材料は、2nm以上の孔径と30%以上の細孔容積を有するメソ多孔性又はミクロ多孔性である。フッ素化材料は金属相互接続の腐食を引き起こし、チップを動作不能にし得る。一般に、低K材料の機械的頑健性と熱伝導性は、この純粋な二酸化ケイ素類似体の対応する特性より低く、製造流れへの統合を非常にきついものにする。
【0009】
さらに、シロキサン母材を構成する排他的な無機結合を備える既知の材料は脆く、高温での弾性が劣る。
【0010】
有機シロキサン材料は、典型的にスピンオン処理によって堆積されるが、化学気相蒸着(CVD)もまた、この材料の堆積に対して実行可能な技術である。例えば、国際特許公開WO03/015129号に、多孔質の低K誘電率のSiOC薄膜を製造するのに有用な有機ケイ素の低K誘電体の先駆物質が開示され、該有機ケイ素先駆物質は、活性化によって転移、分解及び/又は脱離する極めて揮発性の高い液体及び/又は気体の副生成物として切断可能な有機官能基を少なくとも一つ備える。CVDによる絶縁膜形成用先駆物質として用いるための環にSi-O-Cを含む環状シロキサン化合物を備える他の有機ケイ素先駆物質が、米国特許第6,440,876号に記載されている。これらシロキサン先駆物質を半導体又は集積回路の表面と接触させる場合、これは絶縁体膜を形成するウェーハ表面と反応することになる。この環状化合物の開環重合によって、誘電体膜または層を形成することになる。
【0011】
米国特許第6,242,339号に相互接続構造が開示され、この場合ケイ素原子に結合したフェニル基が有機含有二酸化ケイ素から成る二酸化ケイ素に導入され、中間絶縁膜として適した材料を製造する。かかる膜を、従来のCVD酸化膜と全く同じくらい容易に製造することができる。該膜は水素シルセスキオキサン(HSQ)膜と同等の低い比誘電率を有し、有機膜、酸化膜又は金属膜に強く付着することができる。この特許によれば、単一の半導体集積回路内に組み込まれ得る装置の数を、従来の半導体装置製造方法を変更することなく増加させて高速で作動して低電力損の高性能半導体集積回路を提供することができる。
【0012】
他方、スピンオン堆積技術によって作られた有機シロキサン低K誘電体の例がいくつかある。従来技術で既知のスピンオン低K材料は、主としてメチル又はフェニル置換の有機シロキサン及びこれらの組合せに基づく。また、アダマンチル置換の有機シロキサンの例もいくつかある。
【0013】
しかし、この種の重合体の使用は、その分極率の性質による基本的な問題がある。メチル基を基にしたシロキサン(シルセスキオキサンとして既知)は相対的に低い電子誘電率(分極率)、より具体的には約1.88を与えるが、これに対し、配向誘電率(分極率)は高く、すなわち約0.7であり、低振動数(10kHz〜10GHz)で測定した全誘電率を著しく増大させる。一方、フェニル基を基にした有機シロキサンは、高い電子誘電率(分極率)、すなわち約2.4を有するが、この配向誘電率(分極率)は、材料マトリックスの相対的に低量の永久双極子のために低い(約0.4)。従って、約0.15〜0.3のイオン誘電率(分極率)を含むとき、膜マトリックス内に空孔(空気は誘電率1を有する)を導入することなく、全誘電率は2.5に近いか、又はそれより低い値に達することができない。その上、一般に2.5未満の誘電率に達している多孔質材料は、典型的に非常に多孔性であるので、半導体装置への該材料の集積化を極めて困難にする。
【0014】
従来技術で既知のアダマンチル置換シロキサンを用いた特定の問題は、該シロキサンがアルコキシ先駆物質から製造されるため、材料の母材中にアルコキシド残渣を残すことである。かかる残渣は、特に誘電特性に関し材料の使用及び特性を大いに損なう。残留アルコキシドが母材中に残存する場合、母材中にアルコールと水の混入を形成することで時間をかけて反応し、材料特性を変える傾向にある。かかる酸素化は、材料の誘電性及び漏れ電流の挙動を低下させる。その上、エトキシドを基にした材料といった残留アルコキシドは、材料に高い漏れ電流を引き起こすダングリングボンドの作用を招く。さらに、適当なアダマンチル置換のシロキサン先駆物質を製造する方法が産業上実現可能となっていない。
【0015】
このように、従来技術には、低制御ミクロ空隙率、高熱安定性、及び低費用で所望の低誘電率特性を有する半導体製品用の誘電材料の例が無い。さらに言えば、ハイブリッド有機シルセスキオキサン重合体の新しい先駆物質が必要である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的は、従来技術の不都合を排除し、低誘電率および優れた機械的かつ熱的特性を有する新規重合体膜を提供することにより有機シロキサン材料組成物の誘電率性能を改善することである。
【0017】
本発明の他の目的は、低誘電率を有する薄膜の製造に適した新規ポリ(有機シロキサン)組成物の製造方法を提供することである。
【0018】
また、<2.5さらには<2.3といった誘電率を提供する材料を請求する。
【0019】
本発明の別の目的は、スピンオン堆積法による新しい重合体材料の製造方法を提供することである。
【0020】
本発明の他の目的はまた、化学気相蒸着(CVD)法による新しい材料の製造方法を提供することである。
【0021】
さらに、本発明の別の目的は、上記先駆物質及び重合体を急速熱焼鈍処理に適用して誘電率を一層下げることである。
【0022】
上記目的と他の目的は、既知の誘電体薄膜及びこれらの製法を越える利益と共に、本明細書から明らかになるものとし、説明され請求される本発明によって達成される。
【0023】
本発明は、ハイブリッド有機シルセスキオキサン重合体に高い割合の有機部分を組み込むことによって、優れた機械的及び熱的特性を有する新規な低誘電率重合体膜を得ることができるという所見に基づく。かかる材料は、ポリシクロアルキル置換シロキサン、とりわけ誘電材料の誘電特性を害し得るあらゆる酸素化不純物が実質的にはないポリシクロアルキル置換シロキサンから製造されるのが好ましい。
【0024】
本発明にかかわる誘電性重合体の製造に用いるポリシクロアルキルシロキサン先駆物質は、通常少なくとも二つの環によって形成された有機部分を備える化合物である。好ましくは、有機部分は体積を規定する共有結合した原子により形成された複数の環、たとえば三つ以上の脂肪族環を備える。体積内の任意の点と化合物の外側の任意の点との間で引いた直線が、分子の環の一つを常に貫通するという意味では、かかる化合物を「籠状」化合物と呼ぶことができる。先駆物質は、直接又はリンカー化合物を介して間接的に有機部分と結合するケイ素原子で形成された無機部分を備える。さらに、ケイ素原子は、先駆物質が重合する際に脱離基を形成することになる少なくとも一つの切断可能な無機置換基、又はプロトンを有する。この置換基を、とりわけ加水分解によって切断することができる。
【0025】
好適な実施形態によれば、先駆物質は一般式I
(R1-R2)n-Si-(X1)4-n I
(ここで、X1はそれぞれ独立して水素及び無機脱離基から選択され、R2は任意の基であって1〜6個の炭素原子を有するアルキレン又はアリーレンを備え、R1はポリシクロアルキル基であり、nは整数1〜3である)で表される。
【0026】
上記化合物のうち、アダマンチルトリハロシロキサン及びアダマンチルシランが特に興味深いものである。その理由は、主要中間体として次式
【化1】

で表されるアダマンチル脱水物を含む新規な化学的処理によって、高収率かつ高純度で経済的に製造し得るからである。
【0027】
具体的な好適化合物は、アダマンチルトリクロロシラン、アダマンチルプロピルトリクロロシラン、3,5,7-トリフルオロアダマンチルトリクロロシラン、3,5,7-トリフルオロメチルアダマンチルトリクロロシラン、及びアダマンチルフェニルトリクロロシランを含む。
【0028】
本発明はまた、アルキル、アリール及び/又はビニル置換シロキサンといった従来の誘電性重合体の先駆物質から誘導される残基と組み合わせて、上述のポリシクロアルキル置換シロキサンから誘導される有機残基を備える重合体を用いることにより、優れた機械的かつ誘電特性を有する新規な複合材料が製造されるという所見に基づく。実際、かかる複合体の物性は、単独重合体そのものから得たものより優れている。
【0029】
より具体的には、本発明は主として請求項1、22、45及び47の特徴部分において明記されることを特徴とする。
【0030】
本発明によって、かなりの利点を実現する。すなわち、25%未満の空孔体積と約1nm以下の孔半径を有する非孔質材料を製造することができる。かかる材料は、2.6未満の比誘電率と高弾性(ヤング率が4GPa以上)を有する。ハイブリッド有機シルセスキオキサン重合体の製造にコモノマーとしてポリシクロアルキルシロキサンを、通常用いられるアルキル、ビニル及び/又はアリールシロキサンと共に用いることによって、電気的及び機械的特性の望ましい組合せを有する材料を製造することができる。
【0031】
以下に、詳細な説明の助けと、添付図面及び多数の化学的実施例を参照してより詳細に本発明を考察することにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本技術革新は、配向及び電子分極率が従来技術で既知の全誘電率より低い結果となる有機シロキサン先駆物質及び重合体に関する。とりわけ、本技術革新は、形成した膜マトリックスの膜内における永久双極子の相対量を減ずるリッチな有機部分の使用に関する。シロキサンにおいて、重合体の永久双極子は、主としてSi-O-Si橋の酸素原子に起因する。多環式アルキル部分を含むシラン先駆物質をシロキサン重合体の形成に用いる場合、膜の有機含有量が増加して、その結果炭素に関係する酸素の含有量が、小さいアルキル基を含む先駆物質から形成されたシロキサン重合体と比べて著しく減少する。後者の先駆物質の例としては、メチル置換シロキサンが挙げられる。「多環式アルキル部分」とは、例えば、(少なくとも一つの)共有結合によってケイ素に結合するアダマンチル基又は類似の籠状化合物を意味する。すなわち、例えば堆積重合体母材の各ケイ素原子が相対的に大きい有機基を一つ含む場合、つまりアダマンチルの場合には、炭素対酸素の原子比を増大する。従って、従来のシロキサン重合体は、アダマンチル含有先駆物質で作られたシロキサン重合体より極めて大きい永久双極子を含む。この永久双極子の量の差は、従来のシロキサン低K材料の配向誘電率が通常0.7以上であるのに対し、アダマンチル置換先駆物質からなるシロキサン材料の配向誘電率が0.3ないし0.2のように低くなり得るように、配向分極率に作用する。
【0033】
一方、高炭素含有量材料は、とりわけ炭素が非フッ素化炭素である場合に高電子分極率を生じる傾向がある。従って、例えば、材料が十分に高密度である条件で、各ケイ素原子が一つのアダマンチル基を含むアダマンチルシロキサン重合体は2.25の電子誘電率を付与するのに対し、メチル基がケイ素原子に結合した類似の重合体では電子誘電率が1.89となる。
【0034】
従って、電子及び配向分極率の合計を最小限にする組成物を用いることが、技術革新の中で重要である。
【0035】
その結果、本発明の一の好適な実施形態によれば、特定のモル比でアダマンチル及びメチル残基含有先駆物質から作られた有機シロキサン重合体を提供する。有機シロキサン重合体中のアダマンチル及びメチル濃度を変えた電子誘電率、配向誘電率、及び全誘電率を含む6種の組成例が、表1に示される。材料組成を、堆積重合体段階の場合のようにモル比で示す。全ての組成物は、約15%の分子間空隙率を有する。
【0036】
【表1】

【0037】
表から明らかなように、有機含有率が30〜70重量%、好ましくは約40〜60重量%の範囲である場合に、特に優れた結果が得られた。
【0038】
同様な結果が、コモノマーとしての多環式アルキルシロキサンを、他のアルキルシロキサン誘導体、並びにビニルシロキサン及びアリールシロキサン(例えばフェニルシロキサン)、また、例えばメチル、ビニル、フェニルシロキサンといったものの混合物と組み合わせて用いる場合に得られる。下記実施例に開示するように、興味深い特性を有する誘電材料が、約10〜50モル%の多環式アルキルシロキサン、約30〜80モル%のアルキルシロキサン(特にメチルシロキサン)とその他のもの、典型的には約5〜30モル%のビニルシロキサン/アリールシロキサンを用いて得られる。
【0039】
従って、概して本発明は、誘電体用途おける低K誘電体として有用な新規重合体材料を提供するのであって、該材料は式
(R3-R4)n-Si-(X2)4-n II
(ここで、X2は水素、又はハロゲン、アシルオキシ、アルコキシ、及びOH基から選択される加水分解性の基であり、R4は任意の基であって1〜6個の炭素原子を有するアルキレン又はアリーレンを備え、R3は1〜16個の炭素原子を有するアルキル、2〜16個の炭素原子を有するビニル、3〜16個の炭素原子を有するシクロアルキル、5〜18個の炭素原子を有するアリール、又は7〜16個の炭素原子を有する多環式アルキル基であり、nは整数1〜3である)で表される少なくとも1種のコモノマーを、少なくとも一種の後述するケイ素化合物;
a) 一般式III
33-a-SiR5b6c7d III
(ここで、X3は加水分解性の基を示し;R5は状況に応じて一つ以上の置換基を有するアルケニル又はアルキニル基であり;R6及びR7は独立して水素、置換又は未置換アルキル基、置換又は未置換アルケニル及びアルキニル基、並びに置換又は未置換アリール基から選択され;aは整数0,1又は2であり;bは整数a+1であり;cは整数0,1又は2であり;dは整数0又は1であり;b+c+d=3である)で表され、加水分解されるケイ素化合物、
b) 一般式IV
43-e-SiR8f9g10h IV
(ここで、X4は加水分解性の基を示し;R8は状況に応じて一つ以上の置換基を有するアリール基であり;R9及びR10は独立して水素、置換又は未置換アルキル基、置換又は未置換アルケニル及びアルキニル基、並びに置換又は未置換アリール基から選択され;eは整数0,1又は2であり;fは整数e+1であり;gは整数0,1又は2であり;hは整数0又は1であり;f+g+h=3である)で表されるケイ素化合物、
c) 一般式V
53-i-SiR11j12k13l V
(ここで、X5は加水分解性の基を示し;R11は水素、又は状況に応じて一つ以上の置換基を有するアルキル基であり;R12及びR13は独立して水素、置換又は未置換アルキル基、置換又は未置換アルケニル及びアルキニル基、並びに置換又は未置換アリール基から選択され;iは整数0,1又は2であり;jは整数i+1であり;kは整数0,1又は2であり;lは整数0又は1であり;j+k+l=3である)で表されるケイ素化合物
と共重合することにより、ただし上記式IIで表され、式中のR3が7〜16個の炭素原子、とりわけ9〜15個の炭素原子を有する多環式アルキル基である少なくとも1種のコモノマーを用いて共重合を行うことにより形成された共重合体からなる。
【0040】
また、上記化合物a)ないしc)に対応する化合物を、より制限された一般式VI
(R3-R4)n-Si-(X2)4-n VI
(ここで、X2は水素、又はハロゲン、アシルオキシ、アルコキシ、及びOH基から選択される加水分解性の基であり、R4は任意の基であって1〜6個の炭素原子を有するアルキレン又はアリーレンを備え、R3は1〜16個の炭素原子を有するアルキル、2〜16個の炭素原子を有するビニル、3〜16個の炭素原子を有するシクロアルキル、又は5〜18個の炭素原子を有するアリールであり、nは整数1〜3である)で表すことができる。
【0041】
典型的に、R3のアルキル基は1〜6個の炭素原子を有し、ビニル基は2〜6個の炭素原子を有し、アリール基は6個の炭素原子を有する。
【0042】
式IIによる化合物から誘導された単量体単位と、式IIIないしVIの化合物から誘導された1種又は数種の単量体単位との間のモル比は、25:75から75:25の範囲である。
【0043】
化合物a)ないしc)が同時係属の特許出願PCT/FI03/00036においてより詳細に開示されており、この開示を本明細書に添えて参考のために示す。
【0044】
本発明はまた、低K誘電体形成用の有機シルセスキオキサン重合体への容易に加水分解可能なアダマンチル材料の使用に関する。本発明の範囲内の先駆物質は、容易に加水分解可能な有機クロロシラン又は有機シランを含み、同様な有機アルコキシシランより良好な重合度をもたらす。
【0045】
本発明に関連して、有機アルコキシシランが材料母材中に残留アルコキシドを残す傾向があることを確認した。かかる残渣が、特に誘電特性に関し材料の使用及び特性を大いに損なう。残留アルコキシドが母材中に残存する場合、母材中にアルコールと水の混入を形成することで時間をかけて反応し、材料特性を変える傾向にある。かかる酸素化は、材料の誘電性及び漏れ電流の挙動を低下させる。さらに、エトキシドを基にした材料といった残留アルコキシドは、材料に高い漏れ電流を引き起こすダングリングボンドの作用を招く。その上、アルコキシを基にした材料は、十分に加水分解可能な有機クロロシラン及び有機シランと比べて、高空隙率、低ヤング率及び硬度をもたらす。従って、本発明の方針は、誘電体薄膜の目的に対してより容易に加水分解可能な有機シランを利用することである。
【0046】
本発明に従い用いる新しい多環式アルキルシロキサン先駆物質は、一般式I
(R1-R2)n-Si-(X1)4-n I
(ここで、X1は独立して水素及び無機脱離基から選択され、R2は任意の基であって1〜6個の炭素原子を有するアルキレン又はアリーレンを備え、R1はポリシクロアルキル基であり、nは整数1〜3である)で表される。
【0047】
式Iの化合物を重合することにより、実際「シラノールの無い」重合体材料が得られる。これは、典型的に0.5重量%未満のシラノール含有率を有することを意味する。
【0048】
低誘電率材料製造用重合体は、約30〜70重量%、好ましくは48重量%より高い有機含有率を有する。
【0049】
多環式アルキル基は、9〜16個の炭素原子を有し、好ましくは籠状化合物(先に定義した通りである)を備える。かかる化合物の代表例は、アダマンチル及びジアダマンチルである。アダマンチル又はジアダマンチル環構造を1〜3個のアルキル置換基で置換することができ、該アルキル置換基は状況に応じて1〜6個のハロゲン置換基、例えばクロロ、フルオロ又はブロモを担持する
【0050】
式Iによる化合物において、無機脱離基が塩素、臭素又はフッ素といったハロゲンから選択されるのが好ましい。
【0051】
上記式I及びIIによる化合物それぞれにおいて、R3が1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、2〜6個の炭素原子を有するビニル基、及び6個の炭素原子を有するアリール基から選択されるのが好ましく、R1又はR3はそれぞれケイ素原子に直接結合し、R1又はR3はそれぞれアルキレン鎖、とりわけメチレン、エチレン、及びプロピレンから選択されるアルキレン鎖、又はとりわけフェニレンであるアリーレン基を介してケイ素原子に結合する。
【0052】
上述のとおり、式Iの化合物は式IIの一部であって、式IIないしVIの1種又は数種の単量体といった他の単量体と共重合することができる。
【0053】
式I及び式IIによるコモノマーから誘導された単量体単位間のモル比は27:75から75:25の範囲であるのが好ましい。
【0054】
しかし、式Iの化合物の単独重合によって低K誘電率材料として有用な重合体を製造することも可能である。
【0055】
本発明は新規ポリ(有機シロキサン)材料を提供するもであって、該材料は、500〜100,000g/molの(重量平均)分子量を有するハイブリッド材料に加水分解し、縮合(単独又は1種以上の他の化合物と共に)することができる。該分子量は、かかる範囲の下端(例えば500〜5,000g/mol、より好ましくは500〜3,000g/mol)とすることができ、又はハイブリッド材料はかかる範囲の上端(例えば5,000〜100,000g/mol、又は10,000〜50,000g/mol)の分子量を有することができる。その上、低分子量ハイブリッド材料を高分子量ハイブリッド材料と混合することが望ましい。該ハイブリッド材料を、例えばスピンオン、吹付け、浸漬被覆等によって適当に堆積させることができる。詳細は後述する。
【0056】
本発明はまた、2.5未満の誘電率を有する薄膜の形成方法に関するものであり、該方法は、
−式Iで表される第一ケイ素化合物を、状況に応じて式IIで表される第二ケイ素化合物と共に加水分解してシロキサン材料を製造する工程と、
−基板上に薄層形態でシロキサン材料を堆積する工程と、
−薄層を硬化して膜を形成する工程とを備える。
【0057】
本発明はさらに、急速熱硬化(RTC)により最適化した材料の誘電率の低下法に関する。かかる処理では、誘電材料を、従来の硬化より少なくとも6倍速い速度で材料の温度を上昇させることにより硬化(圧縮及び/又は架橋)する。その結果、加熱傾斜(硬化温度に達するのにかかる時間)は急勾配である。さらに、実際の硬化時間を従来より短くできる。典型的に、硬化時間は、同じ加熱手段における従来時間の1/6である。しかし、急速硬化工程に続いて、従来の長時間硬化を行うこともできる。開始温度と実際の硬化温度との温度差は、少なくとも150℃である。大きい温度差で変化させた膜材料の微細構造によって、低誘電率を実現する。変化させた微細構造を請求することは、本発明の方針ではないのだが、RTC処理による構造の変化は、わずかにミクロ空隙率を増加させて得られる、より低い密集構造をもたらす母材の二酸化ケイ素部分における規則微細構造と、不規則微細構造との間の相変化によるものだと思われる。或いは、微細構造の変化は、ケイ素に結合した有機残基間、もしくはその内部、又は有機残基と二酸化ケイ素母材との間でさえも起こり得る。微細構造変化を引き起こすこれら全ての反応はまた、同時に起こり得る。
【0058】
上記方法の好適な実施形態によれば、非孔質誘電材料が、従来処理、例えばスピンオン又はCVD処理によって、まず得られる。
【0059】
代表的なペースト状材料の温度(「第一温度」という)は、100〜200℃の範囲である。該材料は、非孔質誘電材料を提供するために、意図的に組み込まれる自由蒸発細孔形成剤に悩まされない。ペースト状材料の弾性率は低い。適当な支持体、とりわけ半導体基板上への材料の堆積後に、詳細は後述するように材料を状況に応じて前処理し、次いで材料を上昇(第二)温度に急速加熱する熱硬化処理によって硬化させることができる。
【0060】
RTC法においては、温度を1秒当たり少なくとも1℃、好ましくは少なくとも10℃、とりわけ少なくとも30℃の平均速度で上昇させることができる。このようにして、出発物質の弾性率より大きい弾性率を有する圧縮非孔質誘電材料を得ることができる。
【0061】
従って、材料の重合及び圧縮反応を、誘電体膜の比誘電率が所定値より低くなるように急速硬化炉で活性化する。かかる所定値は、材料を1分当たり約10℃以下の速度で加熱して、少なくとも15分、典型的には30分以上の長い期間硬化する従来の炉のものに相当する。RTC処理により同じ材料の誘電率は、急速熱硬化の結果として0.1以上低下することになる。しかし、RTC処理に続いて、従来型の熱処理を行うこともできる。
【0062】
上述のとおり、第二と第一温度間の温度差は大きくすべきであって、好ましくは少なくとも200℃、とりわけ225〜425℃の範囲で、最も好ましくは少なくとも275℃である。
【0063】
しかし、本材料が従来の熱処理によっても処理できることに注目すべきである。
【0064】
圧縮材料の誘電率は2.60以下、好ましくは2.50以下、とりわけ2.40以下である。膜のCTEは25×10-61/℃未満である。
【0065】
該材料を、本文脈において特に空隙率が低い、典型的には25%未満、好ましくは20%未満、とりわけ15%未満(体積)であって、かつ平均孔径が5nm未満、好ましくは2nm未満、とりわけ1nm未満であるものを意味する「非孔質」のものと特徴づけることができる。処理の結果として、膜の電子分極率が、上述のとおり従来処理によって得られた所定値に比べて0.1以上低下する。
【0066】
上述のとおり、非孔質誘電性材料に焼鈍、又は第二温度、すなわち実際の硬化温度に加熱させる類似の前処理もしくは後処理を施すことができる。焼鈍を、例えば材料に紫外線、深紫外線、極端紫外線、赤外線、もしくは電子ビーム、又はこれらの組合せを施す処理によって行う。次いで、焼鈍した材料に空気、窒素、アルゴン、成形ガス、又は真空中、高温で硬化を施す。
【0067】
本発明による前硬化及び急速硬化処理は、シラノールがない誘電体膜をもたらす。
【0068】
焼鈍及び硬化(圧縮、架橋)した材料に、金属、遮断層、ライナー又は追加の誘電体層から選択される別の層の堆積を施すことができる。
【0069】
上記に基づき、本発明は対応する反応体を加水分解及び縮合し、生成した組成物を薄膜形態で基板上に塗布し、選択的電磁線によって膜をパターン化し、放射された膜を現像して形成した構造を硬化することによって、半導体基板上にシロキサンを基にした誘電材料を製造する方法を提供する。
【0070】
上記方法の一の実施形態として、まず単量体又は重合体材料をスピンオン又はCVD法によって半導体基板上に導入し、次にシロキサン重合体膜を、比誘電率が2.6未満、好ましくは2.5未満、とりわけ2.4未満である材料を製造するために、急速硬化処理によって重合及び圧縮反応を活性化することにより半導体基板上に形成することで、上記材料を処理する。典型的に誘電率は、2.0と<2.6との間である。
【0071】
非孔質誘電材料の孔径は2nm未満、熱膨張率は25ppm/℃未満、熱分解温度は450℃以上である。
【0072】
電気絶縁材料を焼き付けてパターン化し、導電性材料をパターン形成誘電体の除去区域に堆積することができる。導電性材料は、例えば銅からなる。
【0073】
上記処理は、例えば二重ダマシン処理である。
【0074】
堆積及びパターン化処理が、例えば先願PCT/FI03/00036に開示されており、この開示を本明細書に添えて参考のために示す。
【0075】
以下に限定されない例として本発明を説明する。
【実施例】
【0076】
例1
先駆物質材料
アダマンチルトリクロロシラン C1015SiCl3
製造工程
1.C1016+2Br2→1,3-C1014Br2+2HBr
2.1,3-C1014Br2+2Li→C1014+2LiBr
3.C1014+HSiCl3→C1015SiCl3
【0077】
アダマンタンC1016106.4g(0.781mol)を2000mlの容器に加えて、ジクロロメタン500mlを注いだ。溶液を40℃まで加熱し、臭素92ml(286.95g、1.80mol)を容器に添加した後、少量のFeBr3を触媒として加えた。溶液を40℃で15時間攪拌した。
【0078】
還流を止めて、溶液を希塩酸500mlで洗浄した。チオ硫酸ナトリウム溶液を、色が赤から褐色に変化するまで容器に加えた。有機相を分離して蒸発乾固した。粗製1,3-C1014Br2を熱n-ヘキサンに溶解して濾過した。濾液を冷蔵庫に入れ、結晶化させた。得られた精製1,3-C1014Br2
【化2】

を濾過し、真空乾燥した。収量192g(84%)。
【0079】
金属リチウム58gを2000mlの容器に加えて、Et2O500mlを注いだ。アダマンチルジブロミド192g(0.656mol)をEt2O1000mlに溶解し、生成した溶液をLi/Et2O溶液に室温で1時間の間に加えた。得られた溶液を常温で15時間攪拌した。
【0080】
次に、溶液をデカントし、Et2Oを蒸発させた。アダマンチル脱水物を残留固形物から、n-ペンタン3×200mlで抽出した。n-ペンタンを蒸発させた。残留1,3-デヒドロアダマンタン
【化3】

を、更なる精製をすることなく用いた。
【0081】
上記生成物を1000mlの容器に加えた後、HSiCl3600mlとスパイア触媒(アルコールに溶解したH2PtCl6)100μlを添加した。溶液を40℃まで2時間加熱した。その後、過剰のHSiCl3を留去し、残留C1015SiCl3
【化4】

を蒸留で精製した。沸点95℃/1mbar。収量123g。
【0082】
任意の先駆物質であるアダマンチルシランをアダマンチルトリクロロシランの誘導体として製造した。
【0083】
水素化リチウムアルミニウム(6.18g)及び乾燥エーテル(80mL)を丸底フラスコに加えた。エーテル(50mL)に溶解したアダマンチルトリクロロシラン(50.8g)を磁気攪拌したフラスコに常温で滴下した。24時間還流させて反応を行った。溶液を濾過、蒸発した後、ペンタン30mLに溶解したEt3N1mLを加え、上層を注意深くデカントした。蒸発後、粗反応生成物を蒸留して、アダマンチルシラン22g(70%、沸点4050℃/2mbar)を得た。1H-NMR:1.95(15H),3.68(3H).13C-NMR:20.63,28.86,37.99,40.61.29Si-NMR:-43.55(q,Si-H:190Hz).純度はGCによって95.7%であると確認された。
【0084】
他の任意の先駆物質であるアダマンチルクロロシリルビス(ジメチルアミン)をアダマンチルトリクロロシランの誘導体として製造した。
【0085】
アダマンチルトリクロロシラン(5.59g)、Et3N(9.5g)、及び乾燥エーテル(40mL)を丸底フラスコに加えた。ジエチルアミン(3.05g)を0℃で45分間ゆっくりと溶液中に通気した。常温で18時間攪拌させて反応を行った。次に、濾過し、揮発物を真空で除去した。8898℃/1mbarでの蒸留によって精留分4.54g(76%)を得た。純度はGCにより97%であった。GC/MS(m/z):296(62,[M]+),243(42),151(100),135(43),108(33),79(17),74(37).1H-NMR:1.99(3H),2.08(6H),2.19(6H),2.74(12H).13C-NMR:28.68,38.29,39.07,48.68.14N-NMR:-373.9.29Si-NMR:-10.16.
【0086】
別の適用可能な先駆物質は、(限定されるものではないが)以下のものを含む。
【0087】
【化5】

【0088】
その上、興味深い先駆物質化合物がアダマンチルプロピルトリクロロシランよって形成される。
【0089】
例2
重合体製造
材料1
アダマンチルシラノール中間体の製造:アダマンチルトリクロロシラン7.0g(0.02595mol)をアセトン56mlに溶解した。該溶液を、アセトン(70ml)、トリエチルアミン(9.19g、0.0908mol)及び水(4.67g、0.2595mol)を含む溶液に20分以内で滴下しながら移した。滴下中、溶液を激しく混合し、溶液の温度を常温(20℃、水浴)に維持した。白色沈殿物を形成した。滴下後、溶液を常温でさらに20時間混合した。
【0090】
溶液を、ロータリーエバポレータ(30℃、200mbar)を用いて乾燥固化させた。水50mlを加えて、10分間攪拌した。この後、溶液を濾過し、得られた白色粉末を水25mlで3回フラッシュした。粉末を真空(40℃、1mbar)下で乾燥し、単量体及びオリゴマー化合物を含むアダマンチルシラノール材料5.14gを得た。
【0091】
低K誘電体樹脂の製造:アダマンチルシラノール5.0gを65℃でN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)17.4mlに溶解し、溶液を常温に冷却した。該溶液を、メチルトリクロロシラン(15.8g、0.106mol)、ビニルトリクロロシラン(2.0g、0.0123mol)、ジエチルエーテル(77ml)及びトリエチルアミン(8.7g、0.0867mol)を含む溶液に15分以内で滴下しながら移した。滴下中、溶液を激しく混合し、溶液の温度を常温(20℃、水浴)に維持した。滴下後、溶液を常温で1時間混合した。
【0092】
得られた溶液を真空(40℃、1mbar、30分)下で乾燥固化させた。次にジクロロメタン(DCM)77mlを添加し、溶液を氷浴に置いた。塩酸(37%)22mlを30分以内に滴下した。その後、反応混合物を5℃以下で90分間、常温で60分間攪拌した。
【0093】
DCM相を分離させ、除去した。HCl/水相をDCM30mlで2回洗浄した。これらDCM溶液を合わせて、水(pH6)500mlで8回抽出した。このようにして得られたDCM溶液を、ロータリーエバポレータ(40℃、10mbar、45分)を用いて、最終的に高真空(20℃、1mbar、2時間)で乾燥固化させた。材料6.0gを得た。材料の分子量(Mp)は、市販の単分散ポリスチレン基準と対比したゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定され、17900g/molであった。
【0094】
重合体材料を、1重量%のトリエチルアミンを含むトルエン140mlに溶解した。溶液を2時間還流し、次いでロータリーエバポレータ(60℃、10mbar、40分)を用いて、最終的に高真空(20℃、1mbar、2時間)で乾燥固化させた。材料5.78gを得た。分子量(Mp)は、GPCによって測定され、26080g/molであった。1H-NMRは、組成がアダマンチル反復単位23モル%、メチル反復単位66モル%、ビニル反復単位11モル%であることを示した。T0は460℃であり、400〜500℃(加熱速度5℃/分)間の損失重量は、熱重量分析法(TGA)によって測定され、2.7%であった。
【0095】
例3
重合体材料1A―代替方法
アダマンチルシラノール中間体の製造:アダマンチルシラノールの製造を、テトラヒドロフラン(THF)をアセトンの代わりに用いたことを除いて、例2と同様に行った。すなわち、アダマンチルトリクロロシラン7.0g(0.02595mol)をTHF21mlに溶解した。該溶液を、THF(70ml)、トリエチルアミン(9.19g、0.0908mol)及び水(4.67g、0.2595mol)を含む溶液に20分以内で滴下しながら移した。滴下中、溶液を激しく混合し、溶液の温度を常温(20℃、水浴)に維持した。白色沈殿物を形成した。滴下後、溶液を常温でさらに22時間混合した。
【0096】
溶液を、ロータリーエバポレータ(35℃、170mbar)を用いて乾燥固化させた。水50mlを加えて、10分間攪拌した。この後、溶液を濾過し、得られた白色粉末を水25mlで3回フラッシュした。粉末を真空(40℃、1mbar)下で乾燥した。単量体及びオリゴマー化合物を含むアダマンチルシラノール材料4.62gを得た。
【0097】
例4
重合体材料1B―代替方法
例1で製造したアダマンチルシラノール9.75gをN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)34mlに65℃で溶解し、溶液を常温に冷却した。該溶液を、メチルトリクロロシラン(30.1g、0.201mol)、ビニルトリクロロシラン(4.3g、0.026mol)、ジエチルエーテル(146ml)及びトリエチルアミン(16.6g、0.164mol)を含む溶液に30分以内で滴下しながら移した。滴下中、溶液を激しく混合し、溶液の温度を常温(20℃、水浴)に維持した。滴下後、溶液を常温でさらに3時間混合した。
【0098】
溶液を真空(40℃、1mbar、2時間)下で乾燥固化させた。ジクロロメタン(DCM)150mlを添加した後、得られた溶液を氷浴に置いた。塩酸(37%)36mlを60分以内に滴下した。塩酸の滴下後、反応混合物を5℃以下で90分間、常温で24時間攪拌した。
【0099】
DCM相を分離させ、回収した。HCl/水相をDCM60mlで2回洗浄した。これらDCM溶液を合わせて、水(pH6)200mlで10回抽出した。合わせたDCM溶液を、ロータリーエバポレータ(40℃、10mbar、60分)を用いて、最終的に真空(20℃、1mbar、60分)下で乾燥固化させた。材料11.6gを得た。分子量(Mp)は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定され、27610g/molであった。
【0100】
該材料を、1重量%のトリエチルアミンを含むトルエン232mlに溶解した。溶液を2時間還流し(油浴温度150℃)、次いでロータリーエバポレータ(60℃、10mbar、60分)を用いて、最終的に高真空(20℃、1mbar、2時間)下で乾燥固化させた。材料11.8gを得た。分子量(Mp)は、GPCによって測定され、30500g/molであった。1H-NMRは、組成がアダマンチル反復単位27モル%、メチル反復単位62モル%、ビニル反復単位11モル%であることを示した。T0は460℃であり、400〜500℃(加熱速度5℃/分)間の損失重量は、熱重量分析法(TGA)によって測定され、3.2%であった。
【0101】
例5
重合体材料1C―代替方法
例3で製造した低分子量材料3.6gを、4重量%のトリエチルアミンを含むキシレン18mlに溶解した。溶液を3時間還流した。次に、ロータリーエバポレータ(70℃、10mbar、30分)を用いて、最終的に高真空(70℃、1mbar、2時間)下で乾燥固化させた。材料3.45gを得た。分子量(Mp)は、GPCによって測定され、46880g/molであった。
【0102】
例6
比較材料2B
先駆物質として有機トリアルコキシシランを例4の対応するトリクロロシランの代わりに用いたことを除いて、重合体材料1Bと類似の組成構造を有する比較材料2Bを製造した。すなわち、アダマンチルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、及びビニルトリエトキシシランを、重合体材料1Bの例4で製造した最終重合体と同様な有機官能部分の最終組成濃度を得る割合で用いた。先駆物質をアセトンに溶解し、次いで得られた溶液を氷浴に置いて、0.5M塩酸9.52gを50分以内に滴下した。滴下中、溶液を激しく攪拌した。滴下後、溶液を更に3時間還流した。過剰のトルエンを加えて、アセトンを蒸発させた。過剰の水を加えて、溶液を常温で10分間攪拌させた。トルエン相を分離させ、除去した。溶液を、ロータリーエバポレータを用い、最終的に高真空下で乾燥固化させた。
【0103】
材料を、1重量%のトリエチルアミンを含む多量のトルエンに溶解した。溶液を1時間還流し、ロータリーエバポレータと最終的に高真空下で乾燥固化させた。収率65%の均質重合体を得た。分子量(Mp)は、GPCによって測定され、21840g/molであった。
【0104】
例7
実施例材料の処理と試験
試験膜IA
試験膜を、回転速度3000rpmで塗布して500nmの薄膜をもたらすスピンオン堆積を用いて、例4に開示された材料1Bから製造した。膜をn型シリコンウェーハ上に堆積し、最終の炉内処理の前に200℃で5分間、熱板上で前硬化した。炉内焼鈍を窒素ガス流下、450℃で60分間行った。誘電率をMOSコンデンサー(金属−絶縁体−半導体構造)型装置で測定した。用いた測定振動数は100kMzであった。空隙率を空孔楕円偏光測定器で測定し、ヤング率と硬度をナノ押込みによって測定した。
【0105】
試験膜IB
試験膜を、回転速度3000rpmで塗布して500nmの薄膜をもたらすスピンオン堆積によって、例4で説明した材料1Bから製造した。膜をn型シリコンウェーハ上に堆積し、急速熱焼鈍処理による最終処理の前に200℃で5分間、熱板上で前硬化した。急速熱焼鈍を真空下450℃で5分間行い、30℃/秒の温度傾斜速度を利用した。誘電率をMOSコンデンサー(金属−絶縁体−半導体構造)型装置で測定した。用いた測定振動数は100kMzであった。空隙率を空孔楕円偏光測定器で測定し、ヤング率と硬度をナノ押込みによって測定した。
【0106】
試験膜IIA
試験膜を、回転速度3000rpmで塗布して500nmの薄膜をもたらすスピンオン堆積を用いて、例6で説明した材料2Bから製造した。膜をn型シリコンウェーハ上に堆積し、炉内処理による最終硬化の前に200℃で5分間、熱板上で前硬化した。炉内焼鈍を窒素ガス流下、450℃で60分間行った。誘電率をMOSコンデンサー(金属−絶縁体−半導体構造)型装置から測定した。用いた測定振動数は100kMzであった。空孔率を空孔楕円偏光測定器で測定し、ヤング率と硬度をナノ押込みによって測定した。
【0107】
試験膜IIB
試験膜を、回転速度3000rpmで塗布して500nmの薄膜をもたらすスピンオン堆積によって、例6で説明した材料2Bから製造した。膜をn型シリコンウェーハ上に堆積し、急速熱焼鈍処理による最終硬化の前に200℃で5分間、熱板上で前硬化した。急速熱焼鈍を真空下、450℃で5分間行い、30℃/秒の温度傾斜速度を利用した。誘電率をMOSコンデンサー(金属−絶縁体−半導体構造)型装置で測定した。用いた測定振動数は100kMzであった。空隙率を空孔楕円偏光測定器で測定し、ヤング率と硬度をナノ押込みによって測定した。
【0108】
試験膜の結果を表2に要約する。
【0109】
【表2】

【0110】
比較データから明らかなように、出発物質又は先駆物質として有機クロロシラン及びこの誘導体を用いる方が、低空隙率及び良好な機械的性能と共に低誘電率といった良好な電気的特性をもたらすので有利である。残留シラノールレベルもまた、先駆物質として有機クロロシランを用いた場合に、現在の試験装置における極めて低い漏れ電流を観察することができるものに比べて低い。有機クロロシランの良好な総合的性能は、容易に加水分解して重縮合するという事実に由来し、例えばシラノール型不純物がない純粋な重合体網状構造をもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
(R1-R2)n-Si-(X1)4-n I
(ここで、X1はそれぞれ独立して水素及び無機脱離基から選択され、R2は任意の基であって1〜6個の炭素原子を有するアルキレン又はアリーレンを備え、R1はポリシクロアルキル基であり、nは整数1〜3である)で表される化合物から誘導された単量体単位を備える低誘電率重合体。
【請求項2】
重合体の有機含有率が30〜70重量%、好ましくは48重量%より高い範囲である請求項1に記載の重合体。
【請求項3】
1が9〜16個の炭素原子を有する多環式アルキル基である請求項1に記載の重合体。
【請求項4】
1が、籠状化合物である請求項3に記載の重合体。
【請求項5】
1がアダマンチル又はジアダマンチルである請求項4に記載の重合体。
【請求項6】
アダマンチル又はジアダマンチルを1〜3個のアルキル置換基で置換し、該アルキル置換基が1〜6個のハロゲン置換基を状況に応じて担持する請求項5に記載の重合体。
【請求項7】
無機脱離基をハロゲンから選択する請求項1ないし6のいずれかに記載の重合体。
【請求項8】
式Iの化合物の単独重合によって得られる請求項1ないし7のいずれかに記載の重合体。
【請求項9】
式Iの化合物を式II
(R3-R4)n-Si-(X2)4-n II
(ここで、X2は水素、又はハロゲン、アシルオキシ、アルコキシ、及びOH基から選択される加水分解性の基であり、R4は任意の基であって1〜6個の炭素原子を有するアルキレン又はアリーレンを備え、R3は1〜16個の炭素原子を有するアルキル、2〜16個の炭素原子を有するビニル、3〜16個の炭素原子を有するシクロアルキル、5〜18個の炭素原子を有するアリール、又は7〜16個の炭素原子を有する多環式アルキル基であり、nは整数1〜3である)で表される化合物と共重合することによって得られる請求項1ないし8のいずれかに記載の重合体。
【請求項10】
3が1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、2〜6個の炭素原子を有するビニル基、及び6個の炭素原子を有するアリール基から選択される請求項9に記載の重合体。
【請求項11】
式I及び式IIによる化合物から誘導される単量体単位間のモル比が25:75から75:25の範囲である請求項9または10に記載の重合体。
【請求項12】
1又はR3がそれぞれケイ素原子に直接結合する請求項1ないし11のいずれかに記載の重合体。
【請求項13】
1又はR3がそれぞれ、メチレン、エチレン、及びプロピレンから選択されるアルキレン鎖か、又はフェニレンから選択されるアリーレン基によってケイ素原子に結合する請求項1ないし11のいずれかに記載の重合体。
【請求項14】
誘電性成分の累計が1MHzで2.50以下、好ましくは2.1以下である請求項1に記載の重合体。
【請求項15】
重合体の配向誘電率が0.4以下である請求項14に記載の重合体。
【請求項16】
重合体の酸素含有量が15原子%未満である前記請求項のいずれかに記載の重合体。
【請求項17】
重合体の炭素含有量が25原子%以上である請求項9ないし16のいずれかに記載の重合体
【請求項18】
硬化後の誘電材料の誘電率が2.50以下、好ましくは2.30以下である前記請求項のいずれかに記載の重合体。
【請求項19】
誘電材料の空隙率が20%未満、好ましくは15%未満である前記請求項のいずれかに記載の重合体。
【請求項20】
平均孔半径が1nm未満である請求項1に記載の重合体。
【請求項21】
膜のヤング率が、硬化後に4GPaより高く、とりわけ6GPaより高い請求項1に記載の重合体。
【請求項22】
アダマンチルトリクロロシラン、アダマンチルプロピルトリクロロシラン、3,5,7-トリフルオロアダマンチルトリクロロシラン、3,5,7-トリフルオロメチルアダマンチルトリクロロシラン、及びアダマンチルフェニルトリクロロシランからなる群より選択される化合物から誘導した単量体単位を備える低誘電率重合体。
【請求項23】
2.5以下の誘電率を有する薄膜を形成するに当たり、
−式Iで表される第一ケイ素化合物を、状況に応じて式IIで表される第二ケイ素化合物の少なくとも1種と共に加水分解してシロキサン材料を製造する工程と、
−基板上に薄層形態のシロキサン材料を堆積する工程と、
−薄層を硬化して膜を形成する工程とを備える薄膜の形成方法。
【請求項24】
基板が半導体基板である請求項23に記載の方法。
【請求項25】
導電性材料を備える交互区域で、誘電材料を前記半導体基板上に供給する請求項23に記載の方法。
【請求項26】
導電性材料がアルミニウム又は銅からなる請求項25に記載の方法。
【請求項27】
誘電材料を堆積してパターン化し、その後に導電性材料を堆積することで交互区域を形成する請求項25に記載の方法。
【請求項28】
誘電材料と導電性材料の堆積は銅ダマシン処理の一部である請求項27に記載の方法。
【請求項29】
導電性材料を堆積してパターン化し、その後に誘電材料を堆積することで交互区域を形成する請求項25に記載の方法。
【請求項30】
誘電材料を、スピンオン処理、吹付け、浸漬被覆、又は化学気相蒸着によって基板上に堆積する請求項23ないし29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
硬化する前に誘電材料に焼鈍を施す請求項23ないし30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
誘電率が硬化後の第二熱処理工程によってさらに低下する請求項23ないし31に記載の方法。
【請求項33】
第二熱処理を紫外線で行う請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記材料に電磁線を施す処理によって焼鈍を行う請求項31ないし33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
電磁線が紫外線、深紫外線、極端紫外線、赤外線又はこれらの組合せから選択される請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記材料に電子ビームを照射する処理によって焼鈍を行う請求項31に記載の方法。
【請求項37】
焼鈍後の誘電材料に、空気、窒素、アルゴン、成形ガス、又は真空雰囲気下で硬化を施す請求項31ないし36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
焼鈍及び硬化工程後の誘電材料が0.001重量%未満のシラノールを有する請求項31ないし37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
焼鈍及び硬化工程後の誘電材料にはシラノールがない請求項31ないし38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
誘電材料の焼鈍後に、次の層を金属、拡散遮断層、ライナー、硬質マスク又は追加の誘電体層から選択し、該誘電材料に堆積する請求項23ないし39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
選択した先駆物質の加水分解及び縮合によりシロキサン組成物を製造し、層形態で基板上にシロキサン材料を塗布し、電磁線又は電子ビームの選択的照射によって該層をパターン化し、照射された層を現像し、その後前記硬化工程を行うことによって前記誘電材料を形成する請求項23ないし40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
誘電材料が2.1〜2.3の誘電率を有する請求項23ないし41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
硬化後の誘電材料の密度が1.2g/cm3以上である請求項23ないし42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
誘電材料の熱膨張率が25ppm/K未満、好ましくは20ppm/K未満、とりわけ15ppm/K未満である請求項23ないし43に記載の方法。
【請求項45】
誘電材料の熱分解温度が400℃以上、とりわけ450℃以上である請求項23ないし44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
誘電体用途における低K材料として有用な複合材料であって、該材料が式II
(R3-R4)n-Si-(X2)4-n II
(ここで、X2は水素、又はハロゲン、アシルオキシ、アルコキシ、及びOH基から選択される加水分解性の基であり、R4は任意の基であって1〜6個の炭素原子を有するアルキレン又はアリーレンを備え、R3は1〜16個の炭素原子を有するアルキル、2〜16個の炭素原子を有するビニル、3〜16個の炭素原子を有するシクロアルキル、5〜18個の炭素原子を有するアリール、又は7〜16個の炭素原子を有する多環式アルキル基であり、nは整数1〜3である)で表される少なくとも1種のコモノマーを、
a) 一般式III
33-a-SiR5b6c7d III
(ここで、X3は加水分解性の基を示し;R5は状況に応じて一つ以上の置換基を有するアルケニル又はアルキニル基であり;R6及びR7は独立して水素、置換又は未置換アルキル基、置換又は未置換アルケニル及びアルキニル基、並びに置換又は未置換アリール基から選択され;aは整数0,1又は2であり;bは整数a+1であり;cは整数0,1又は2であり;dは整数0又は1であり;b+c+d=3である)で表され、加水分解されるケイ素化合物;
b) 一般式IV
43-e-SiR8f9g10h IV
(ここで、X4は加水分解性の基を示し;R8は状況に応じて一つ以上の置換基を有するアリール基であり;R9及びR10は独立して水素、置換又は未置換アルキル基、置換又は未置換アルケニル及びアルキニル基、並びに置換又は未置換アリール基から選択され;eは整数0,1又は2であり;fは整数e+1であり;gは整数0,1又は2であり;hは整数0又は1であり;f+g+h=3である)で表されるケイ素化合物;
c) 一般式V
53-i-SiR11j12k13l V
(ここで、X5は加水分解性の基を示し;R11は水素、又は状況に応じて一つ以上の置換基を有するアルキル基であり;R12及びR13は独立して水素、置換又は未置換アルキル基、置換又は未置換アルケニル及びアルキニル基、並びに置換又は未置換アリール基から選択され;iは整数0,1又は2であり;jは整数i+1であり;kは整数0,1又は2であり;lは整数0又は1であり;j+k+l=3である)で表されるケイ素化合物との群から選択されるケイ素化合物と共重合することにより、ただし上記式IIで表され、式中のR3が7〜16個の炭素原子を有する多環式アルキル基である少なくとも1種のコモノマーを用いて共重合を行うことにより形成された共重合体からなることを特徴とする複合材料。
【請求項47】
請求項1ないし22、又は46のいずれかに従う材料から製造された圧縮誘電材料を含む電子装置。
【請求項48】
半導体基板上に2.6以下の誘電率を有する誘電性材料を形成するに当たり、
−スピンオン又はCVD法によって半導体基板上に単量体、オリゴマー、又は完全もしくは部分的重合堆積材料を導入し、該堆積材料が式Iで表されるケイ素含有化合物からなる先駆物質材料から形成される工程と、
−硬化処理による重合及び圧縮反応を活性化することにより半導体基板上の堆積材料からシロキサン重合体膜を形成する工程と、
−2.6より低い比誘電率を有する材料を半導体基板上に形成する工程とを備える誘電材料の形成方法。
【請求項49】
−基板上に第一密度を有する誘電材料を供給する工程と、
−誘電材料を第一温度から第二温度に加熱することにより誘電材料を硬化し、10%以上の差で第一密度より低い第二密度を有する誘電材料を製造する工程とを備える請求項48に記載の方法。
【請求項50】
−基板上に第一弾性率を有する誘電材料を供給する工程と、
−誘電材料を第一温度から第二温度に加熱することにより誘電材料を硬化し、50%以上の差で第一弾性率より大きい第二弾性率を有する誘電材料を製造する工程とを備える請求項48又は49に記載の方法。
【請求項51】
−基板上にシロキサン材料を備える誘電材料を供給する工程と、
−誘電材料を第一温度から第二温度に加熱することにより誘電材料を硬化し、25ppm/K未満である熱膨張率を有する誘電材料を製造する工程とを備える請求項48ないし50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
誘電材料の孔径が2nm未満、好ましくは1.5nm未満である請求項1ないし22のいずれかに記載の重合体、又は請求項23ないし51のいずれかに記載の方法に従い製造された重合体。
【請求項53】
誘電材料の熱安定性が425℃以上、好ましくは450℃以上である請求項1ないし22のいずれかに記載の重合体、又は請求項23ないし51のいずれかに記載の方法に従い製造した重合体。

【公表番号】特表2006−526672(P2006−526672A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505637(P2006−505637)
【出願日】平成16年4月13日(2004.4.13)
【国際出願番号】PCT/FI2004/000223
【国際公開番号】WO2004/090019
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(504275591)
【Fターム(参考)】