光学式位置検出装置、電子機器及び表示装置
【課題】対象物の位置に応じて効率良く位置検出ができる光学式位置検出装置、電子機器及び表示装置等を提供する。
【解決手段】光学式位置検出装置は、X−Y平面に沿って設定される検出エリアRDETに照射光LTを射出する光射出部3と、検出エリアRDETにおいて照射光LTが対象物OBに反射したことによる反射光LRを受光する受光部4と、受光部4の受光結果に基づいて、対象物OBの位置情報を検出する検出部50とを含む。光射出部3は、X−Y平面に直交するZ軸での対象物OBのZ座標位置に応じて、受光部4が検出する位置情報の検出精度を異ならせるように照射光LTを射出する。
【解決手段】光学式位置検出装置は、X−Y平面に沿って設定される検出エリアRDETに照射光LTを射出する光射出部3と、検出エリアRDETにおいて照射光LTが対象物OBに反射したことによる反射光LRを受光する受光部4と、受光部4の受光結果に基づいて、対象物OBの位置情報を検出する検出部50とを含む。光射出部3は、X−Y平面に直交するZ軸での対象物OBのZ座標位置に応じて、受光部4が検出する位置情報の検出精度を異ならせるように照射光LTを射出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式位置検出装置、電子機器及び表示装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、パーソナルコンピューター、カーナビゲーション装置、券売機、銀行の端末等の電子機器では、近年、表示部の前面にタッチパネルが配置された位置検出機能付きの表示装置が用いられる。この表示装置によれば、操作者は、表示部に表示された画像を参照しながら、表示画像のアイコン等をポインティングしたり、情報を入力したりすることが可能になる。このようなタッチパネルによる位置検出方式としては、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等が知られている。
【0003】
一方、投写型表示装置(プロジェクター)やデジタルサイネージ用の表示装置では、携帯電話やパーソナルコンピューターの表示装置に比べて、その表示エリアが広い。従って、これらの表示装置において、上述の抵抗膜方式や静電容量方式のタッチパネルを用いて位置検出を実現することは難しい。
【0004】
投写型表示装置用の位置検出装置の従来技術としては、例えば特許文献1に開示される技術が知られている。しかしながら、この位置検出装置では、検出エリアが広範囲になると消費電力が大きくなる等の問題がある。また位置検出装置の消費電力を低減する手法としては、例えば、特許文献2に開示される手法が知られている。しかしながら、この手法は、対象物が検出されない場合に検出休止時間を増加させて低消費電力化を図るものであって、対象物の位置に応じた効率的な位置検出を行うことは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−142643号公報
【特許文献2】特開2001−82923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
検出範囲が広いとき、総ての場所において精度良く位置検出を行う場合には検出にかかる時間が長くなる。そこで、検出する対象物の位置に要求される位置精度に応じて効率良く位置検出ができる光学式位置検出装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例にかかる光学式位置検出装置は、X−Y平面に沿って設定される検出エリアに照射光を射出する光射出部と、前記検出エリアにおいて前記照射光が対象物に反射したことによる反射光を受光する受光部と、前記受光部の受光結果に基づいて、前記対象物の位置情報を検出する検出部と、を含み、前記光射出部は、前記X−Y平面に直交するZ軸での前記対象物のZ座標位置に応じて、前記検出部が検出する前記位置情報の検出精度を異ならせるように前記照射光を射出することを特徴とする。
【0009】
本適用例によれば、光学式位置検出装置は光射出部と受光部と検出部とを含んでいる。そして、光射出部はX−Y平面に沿って設定される検出エリアに照射光を射出する。そして、光射出部は、X−Y平面に直交するZ軸での対象物のZ座標位置に応じて、検出部が検出する位置情報の検出精度を異ならせるように照射光を射出する。そして、受光部は、検出エリアにおいて照射光が対象物に反射したことによる反射光を受光する。次に、検出部は、受光部の受光結果に基づいて、対象物の位置情報を検出する。
【0010】
これにより、対象物のZ座標位置に応じて位置情報の検出精度を異ならせることができる。従って、高い検出精度が要求されない検出エリアには検出精度を低くする照射光が射出される。そして、高い検出精度が要求されない検出エリアの対象物の検出精度を低くすること等ができる。また、高い検出精度が要求される検出エリアには検出精度を高くする照射光が射出される。そして、高い検出精度が要求される検出エリアの対象物の検出精度を高くすること等ができる。その結果、対象物のZ座標位置に応じて効率の良い光学式位置検出装置を実現することが可能になる。
【0011】
[適用例2]上記適用例に記載の光学式位置検出装置では、前記光射出部は、前記対象物の前記Z座標位置に応じて、光射出周期を変化させることが好ましい。
【0012】
本適用例によれば、対象物のZ座標位置に応じて光射出周期を短く設定している。これにより、位置情報の検出精度を高めたり、応答速度を速くしたりすることができる。また対象物のZ座標位置に応じて光射出周期を長く設定することで、位置情報の検出精度を低めたり、応答速度を遅くしたりすることができる。その結果、対象物のZ座標位置に応じて検出精度や応答速度を設定すること等が可能になるため、検出効率の良い位置検出等が可能になる。また光射出周期を長く設定することで、消費電力を低減することができるため、電力効率の良い位置検出等が可能になる。
【0013】
[適用例3]上記適用例に記載の光学式位置検出装置では、前記光射出部は、前記対象物の前記Z座標位置に応じて、前記照射光の強度を変化させることが好ましい。
【0014】
本適用例によれば、対象物のZ座標位置に応じて、照射光の強度を変化させている。これにより、位置情報の検出精度を異ならせたり、消費電力を異ならせたりすることができる。その結果、対象物のZ座標位置に応じて、検出効率や電力効率の良い位置検出等が可能になる。
【0015】
[適用例4]上記適用例に記載の光学式位置検出装置では、前記光射出部は、第1の光射出ユニット〜第n(nは2以上の整数)の光射出ユニットを有し、前記X−Y平面と同じ向きを向く面を対象面とするとき、前記第1の光射出ユニット〜前記第nの光射出ユニットは、前記対象面からの距離が異なるように配置されることが好ましい。
【0016】
本適用例によれば、光射出部は、第1の光射出ユニット〜第n(nは2以上の整数)の光射出ユニットを有している。そして、第1の光射出ユニット〜第nの光射出ユニットは、対象面からの距離が異なるように配置されている。このようにすれば、第1〜第nの光射出ユニットのそれぞれに対応する検出エリアをX−Y平面と交差する方向に沿って設定することができる。その結果、検出エリアのZ座標位置毎に容易に検出精度を設定することが可能になる。
【0017】
[適用例5]上記適用例に記載の光学式位置検出装置では、前記第1の光射出ユニット〜前記第nの光射出ユニットによって照射される第1の検出エリア〜第nの検出エリアは、前記対象面からの距離が長いほど、広く設定されることが好ましい。
【0018】
本適用例によれば、第1の光射出ユニット〜第nの光射出ユニットによって照射される第1の検出エリア〜第nの検出エリアは、検出エリアを設定する対象面からの距離が長いほど、広く設定されている。そして、検出エリアの広さと検出精度とは関係がある。このようにすれば、検出エリアを設定する対象面からの距離に応じて、位置情報の検出精度を異ならせることができるため、検出効率の良い位置検出が可能になる。
【0019】
[適用例6]上記適用例に記載の光学式位置検出装置では、前記第1の光射出ユニット〜前記第nの光射出ユニットは、前記X−Y平面に交差する方向への前記照射光を制限する照射光制限部を有し、前記対象面からの距離が短いほど、前記照射光の制限の度合いが強く設定されることが好ましい。
【0020】
本適用例によれば、第1の光射出ユニット〜第nの光射出ユニットは、X−Y平面に交差する方向への照射光を制限する照射光制限部を有している。そして、対象面からの距離が短いほど、照射光の射出を制限する度合いが強くなるように設定されている。このようにすれば、検出エリアを設定する対象面からの距離が短いほど、検出エリアを狭く設定することができる。
【0021】
[適用例7]上記適用例に記載の光学式位置検出装置では、前記光射出部は、前記検出エリアにおける前記対象物の位置に応じて強度分布が異なる前記照射光を射出することが好ましい。
【0022】
本適用例によれば、光射出部は、検出エリアにおける対象物の位置に応じて強度分布が異なる照射光を射出している。このようにすれば、対象物の位置に応じて反射光の強度が異なるため、受光部の受光結果に基づいて、対象物の位置情報を検出することができる。
【0023】
[適用例8]本適用例にかかる電子機器は、対象物の位置を検出する位置検出部を備えた電子機器であって、前記位置検出部が上記に記載の光学式位置検出装置であることを特徴とする。
【0024】
本適用例によれば、電子機器は対象物の位置を検出する位置検出部を備えている。そして、位置検出部が上記に記載の光学式位置検出装置である。当該光学式位置検出装置は対象物のZ座標位置に応じて効率良く位置を検出できる。従って、電子機器はZ座標位置に応じて効率良く位置を検出できる光学式位置検出装置を備えた電子機器とすることができる。
【0025】
[適用例9]本適用例にかかる表示装置は、対象物の位置を検出する位置検出部を備えた表示装置であって、前記位置検出部が上記に記載の光学式位置検出装置を含むことを特徴とする。
【0026】
本適用例によれば、表示装置は対象物の位置を検出する位置検出部を備えている。そして、位置検出部が上記に記載の光学式位置検出装置である。当該光学式位置検出装置は対象物のZ座標位置に応じて効率良く位置を検出できる。従って、表示装置はZ座標位置に応じて効率良く位置を検出できる光学式位置検出装置を備えた表示装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)は、表示システムの構成を示す概略斜視図。(b)は、表示システムを示す模式側面図。
【図2】光射出部の構成及び検出エリアを説明するための模式図。
【図3】(a)は、光射出ユニットの構成を示す模式平断面図。(b)は照射光制限部を示す模式側断面図。
【図4】(a)は、受光部を示す概略斜視図、(b)は、受光部を示す模式上面図。
【図5】位置検出動作のタイミングチャート。
【図6】位置検出制御のフローチャート。
【図7】位置検出動作のタイミングチャート。
【図8】位置検出制御のフローチャート。
【図9】検出部及び制御部の回路図。
【図10】(a)及び(b)は、位置検出の手法を説明するための模式図。
【図11】変形例にかかり光射出部の構造を示す模式平断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。尚、以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の総てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0029】
(実施形態)
1.光学式位置検出装置等の基本的な構成
図1(a)は、表示システムの構成を示す概略斜視図であり、図1(b)は、表示システムを示す模式側面図である。図1に示すように、表示装置1は光学式位置検出装置2を、液晶プロジェクター或いはデジタル・マイクロミラー・デバイスと呼ばれる投射型表示装置(プロジェクター)に適用した場合の例である。図中互いに交差する軸をX軸、Y軸、Z軸(広義には第1、第2、第3の座標軸)としている。具体的には、X軸方向を横方向とし、Y軸方向を縦方向とし、Z軸方向を奥行き方向としている。
【0030】
本実施形態の光学式位置検出装置2は、光射出部3、受光部4、検出部50を含む。また、さらに制御部60を含んでもよい。また本実施形態の表示装置(電子機器)は、光学式位置検出装置2と対象面(スクリーン)20(広義には検出エリアRDETを設定する対象面)を含む。さらに表示装置(電子機器)は、画像投射装置10(広義には画像生成装置)を含むことができる。尚、本実施形態の光学式位置検出装置2、電子機器及び表示装置は図1の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加する等の種々の変形実施が可能である。
【0031】
画像投射装置10は、筐体の前面側に設けられた投射レンズから対象面(スクリーン)20に向けて画像表示光を拡大投射する。具体的には画像投射装置10は、カラー画像の表示光を生成して、投射レンズを介して対象面(スクリーン)20に向けて射出する。これにより対象面(スクリーン)20の表示エリアARDにカラー画像が表示されるようになる。
【0032】
光学式位置検出装置2は、図1(b)に示すように対象面(スクリーン)20の前方側(Z軸方向側)に設定された検出エリアRDETにおいて、操作者の指やタッチペン等の対象物OBを光学的に検出する。このために光学式位置検出装置2の光射出部3は、検出エリアRDETに対象物OBを検出するための照射光LTを射出する。具体的には、光射出部3は、検出エリアRDETにおける対象物OBの位置に応じて強度分布が異なる照射光LTを射出する。尚、対象面(スクリーン)20はX−Y平面と平行に設置され、検出エリアRDETは、対象面(スクリーン)20(検出エリアを設定する対象面)のZ方向側(操作者側)において、X−Y平面に沿って設定される領域である。
【0033】
光射出部3は、例えばLED(発光ダイオード)等の発光素子により構成される2つの光源部(図示せず)を含む。この光源部は例えば赤外光(可視光領域に近い近赤外線)の光源光を放出する。即ち、光源部LS1が発光する光源光は、操作者の指やタッチペン等の対象物OBにより効率的に反射される波長帯域の光や、外乱光となる環境光にあまり含まれない波長帯域の光であることが望ましい。具体的には、人体の表面での反射率が高い波長帯域の光である850nm付近の波長の赤外光や、環境光にあまり含まれない波長帯域の光である950nm付近の赤外光等である。尚、光射出部3の具体的な構成については、後述する。
【0034】
受光部4は、検出エリアRDETにおいて照射光LTが対象物OBにより反射した反射光LRを受光する。具体的には、受光部4は、光射出部3からの照射光LTが対象物OBに反射されることによる反射光LRを受光する。この受光部4は、例えばフォトダイオードやフォトトランジスター等の受光素子により実現できる。この受光部4には検出部50が例えば電気的に接続されている。
【0035】
検出部50は、受光部4での受光結果に基づいて、対象物OBの位置情報を検出する。この検出部50の機能は、アナログ回路等を有する集積回路装置や、マイクロコンピューター上で動作するソフトウェア(プログラム)等により実現できる。例えば検出部50は、受光部4の受光素子が対象物OBからの反射光LRを受光することで発生した検出電流を、検出電圧に変換し、受光結果である検出電圧に基づいて、対象物OBが位置する方向等を検出する。具体的には検出部50は、受光部4での受光結果(受光信号)に基づいて、対象物OBまでの距離(光射出部3の配置位置からの距離)を検出する。そして検出された距離と、検出された対象物OBの方向(存在方向)とに基づいて、対象物の位置を検出する。より具体的には、検出エリアRDETのX−Y平面でのX、Y座標を検出する。
【0036】
尚、X軸方向に沿って所与の距離だけ離れた第1、第2の光射出部3を設けるようにしてもよい。この場合には、第1の光射出部3からの第1の照射光が対象物OBに反射されることによる第1の反射光LRの受光結果に基づいて、第1の光射出部に対する対象物の方向を第1の方向として検出する。また第2の光射出部3からの第2の照射光が対象物OBに反射されることによる第2の反射光LRの受光結果に基づいて、第2の光射出部に対する対象物の方向を第2の方向として検出する。そして検出された第1、第2の方向と、第1、第2の光射出部3間の距離とに基づいて、対象物OBの位置を検出すればよい。
【0037】
本実施形態の光学式位置検出装置2では、X−Y平面に直交するZ軸での対象物OBのZ座標位置に応じて、対象物OBの位置情報の検出精度を異ならせる。具体的には、光射出部3は、対象物OBのZ座標位置に応じて、光射出周期を変化させることで、位置情報の検出精度を異ならせる。より具体的には、検出エリアRDETを設定する対象面(例えばスクリーン)20からの対象物OBの距離が短いほど、光射出周期を短くする。こうすることで、対象面(スクリーン)20からの対象物OBの距離が短いほど、すなわち対象物OBが対象面(スクリーン)20に近いほど対象物OBの位置検出精度を高くすることができる。逆に、対象物OBが対象面(スクリーン)20から遠いほど対象物OBの位置検出精度を低くすることができる。
【0038】
例えばスクリーン(対象面)20に近い検出エリアRDETでは、スクリーンに表示された画像等のある箇所を指し示したり、或いは手書き文字等により表示装置(電子機器)に情報を入力したりする等の操作が行われる。このような素早い手または指の動きを正確に検出するために、スクリーンに近い検出エリアRDETでは、高い位置検出精度と速い応答速度が要求される。一方、スクリーンから離れた検出エリアRDETでは、対象物OB(例えば人体)の位置の概略等が検出されればよいため、位置検出精度を低くし、また応答速度を遅くしてもよい。
【0039】
また本実施形態の光学式位置検出装置2では、光射出部3が、対象物OBのZ座標位置に応じて照射光LTの強度を変化させることで、対象物OBの位置検出精度を異ならせることができる。具体的には、対象物OBが対象面(スクリーン)20からの対象物OBの距離が短いほど、照射光LTの強度を強くすることができる。こうすることで、対象面(スクリーン)20から近くにある対象物OBに対しては、照射光の強度を強くすることができるから、位置検出精度を高くすることが可能になる。
【0040】
制御部60は、光学式位置検出装置2の各種の制御処理を行う。具体的には光射出部3が有する光源部の発光制御等を行う。この制御部60は、光射出部3、検出部50に電気的に接続されている。制御部60の機能は、集積回路装置やマイクロコンピューター上で動作するソフトウェア等により実現できる。例えば制御部60は、対象物OBのZ座標位置に応じて、光射出部3からの光射出周期を変化させる制御や照射光の強度を変化させる制御を行う。
【0041】
また、例えば制御部60は、光射出部3が第1、第2の光源部を含む場合に、これらの第1、第2の光源部を交互に発光させる制御を行う。また、前述のようにX軸方向に沿って所与の距離だけ離れた第1、第2の光射出部3が設けられる場合には、第1の光射出部に対する対象物OBの方向を求める第1の期間において、第1の光射出部に設けられる第1、第2の光源部を交互に発光させる制御を行う。また第2の光射出部3に対する対象物OBの方向を求める第2の期間において、第2の光射出部に設けられる第3、第4の光源部を交互に発光させる制御を行う。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の光学式位置検出装置2によれば、スクリーン等からの距離に応じて位置検出精度を異ならせることができる。またスクリーン等からの距離に応じて、光射出部3からの光射出周期を変化させたり、照射光の強度を変化させたりすることができるため、高い位置検出精度が要求されない場合には、検出精度を落として消費電力を低減することができる。その結果、必要とされる位置検出精度を維持しながら、低消費電力の光学式位置検出装置2を実現することが可能になる。
【0043】
尚、本実施形態の光学式位置検出装置2は、図1(a)に示す投射型表示装置には限定されず、各種の電子機器に搭載される様々な表示装置に適用できる。また本実施形態の光学式位置検出装置2を適用できる電子機器としては、携帯電話、パーソナルコンピューター、カーナビゲーション装置、券売機、或いは銀行の端末等の様々な機器を想定できる。この電子機器は、例えば画像を表示する表示部(表示装置)や、情報を入力するための入力部や、入力された情報等に基づいて各種の処理を行う処理部等を含むことができる。そして、入力部に光学式位置検出装置2を備えることができる。
【0044】
2.光射出部及び検出エリア
次に、光学式位置検出装置2の光射出部3の構成例及び検出エリアRDETの設定例を示す。図2は、光射出部の構成及び検出エリアを説明するための模式図である。図2に示すように、光学式位置検出装置2の光射出部3は、第1〜第n(nは2以上の整数)の光射出ユニットLSU1〜LSUnを含む。尚、光照射部3は、図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加する等の種々の変形実施が可能である。例えば、図2の構成では第1〜第3の光射出ユニットLSU1〜LSU3を示してあるが、4つ以上の光射出ユニットを含む構成としてもよい。
【0045】
第1〜第nの光射出ユニットLSU1〜LSUnは、対象面(スクリーン)20からの距離が異なるように配置され、第1〜第nの光射出ユニットLSU1〜LSUnに対応して、第1〜第nの検出エリアRDET1〜RDETnが設定される。
【0046】
具体的には、例えば図2のA1に示すように、対象物OBが第1の検出エリアRDET1に存在する場合には、第1の光射出ユニットLSU1からの照射光LTU1が対象物OBにより反射され、その反射光LRU1を受光部4が受光する。また図2のA2に示すように、対象物OBが第2の検出エリアRDET2に存在する場合には、第2の光射出ユニットLSU2からの照射光LTU2が対象物OBにより反射され、その反射光LRU2を受光部4が受光する。また図2のA3に示すように、対象物OBが第3の検出エリアRDET3に存在する場合には、第3の光射出ユニットLSU3からの照射光LTU3が対象物OBにより反射され、その反射光LRU3を受光部4が受光する。
【0047】
尚、4つ以上の光射出ユニットが設けられる構成であっても、上記と同様である。すなわち対象物OBが第i(iは1≦i≦nである整数)の検出エリアRDETiに存在する場合には、第iの光射出ユニットLSUiからの照射光LTUiが対象物OBにより反射され、その反射光LRUiを受光部4が受光する。
【0048】
第1〜第nの光射出ユニットLSU1〜LSUnによる第1〜第nの検出エリアRDET1〜RDETnは、対象面(例えばスクリーン)20からの距離が長いほど、広く設定される。具体的には、例えば図2に示すように、対象面(スクリーン)20上のある点PAからZ方向に沿って、各検出エリアRDETの広がり(Z方向の広がり)を定義することができる。すなわち、第1の検出エリアRDET1はZ方向に長さZ1の奥行き(広がり)を有する領域であり、第2の検出エリアRDET2はZ方向に長さZ2の奥行き(広がり)を有する領域であり、第3の検出エリアRDET3はZ方向に長さZ3の奥行き(広がり)を有する領域である。このように定義した場合に、Z1<Z2<Z3であるように検出エリアRDET1〜RDET3が設定される。
【0049】
第1〜第nの光射出ユニットLSU1〜LSUnは、X−Y平面に交差する方向への射出光を制限する照射光制限部LMTを有し(図2では図示しない)、対象面(スクリーン)20からの距離が短いほど、射出光の制限の度合いが強く設定される。具体的には、第1〜第3の光射出ユニットLSU1〜LSU3は照射光制限部LMT1〜LMT3を有し、RDET1に照射される照射光LTU1はLMT1により最も強く制限され、RDET3に照射される照射光LTU3はLMT3により最も弱く制限される。その結果、上述したように、対象面(例えばスクリーン)20からの距離が長いほど、検出エリアRDETは広く設定される。
【0050】
次に、光学式位置検出装置2に含まれる光射出部3を構成する第1の光射出ユニットLSU1の詳細な説明を行う。図3(a)は、光射出ユニットの構成を示す模式平断面図である。図3(a)に示すように、第1の光射出ユニットLSU1は、光源部LS1、LS2と、ライトガイドLGと、照射方向設定部LEとを含む。また反射シートRSを含む。そして照射方向設定部LEは、光学シートPS及びルーバーフィルムLFを含む。尚、本実施形態の第1の光射出ユニットLSU1は、図3の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加する等の種々の変形実施が可能である。また、第n(nは2以上の整数)の光射出ユニットLSUnについても、光源部と、ライトガイドと、光学シート及びルーバーフィルムを含む照射方向設定部と、反射シートを含む。
【0051】
光源部LS1、LS2は、光源光を射出するものであり、LED(発光ダイオード)等の発光素子を有する。この光源部LS1、LS2は例えば赤外光(可視光領域に近い近赤外線)の光源光を放出する。即ち、光源部LS1、LS2が発光する光源光は、操作者の指やタッチペン等の対象物OBにより効率的に反射される波長帯域の光や、外乱光となる環境光にあまり含まれない波長帯域の光であることが望ましい。具体的には、人体の表面での反射率が高い波長帯域の光である850nm付近の波長の赤外光や、環境光にあまり含まれない波長帯域の光である950nm付近の赤外光等である。
【0052】
光源部LS1は、一端側F1に示すようライトガイドLGの一端側に設けられる。また第2の光源部LS2は、F2に示すようにライトガイドLGの他端側に設けられる。そして光源部LS1が、ライトガイドLGの一端側F1の光入射面に対して光源光を射出することで、照射光LT1を射出し、第1の照射光強度分布LID1を対象物OBの検出エリアRDETに形成(設定)する。一方、光源部LS2が、ライトガイドLGの他端側F2の光入射面に対して第2の光源光を射出することで、第2の照射光LT2を射出し、第1の照射光強度分布LID1とは強度分布が異なる第2の照射光強度分布LID2を検出エリアRDETに形成する。このように第1の光射出ユニットLSU1は、検出エリアRDET1での位置に応じて強度分布が異なる照射光を射出することができる。
【0053】
ライトガイドLG(導光部材)は、光源部LS1、LS2が発光した光源光を導光するものである。例えばライトガイドLGは、光源部LS1、LS2からの光源光を曲線状の導光経路に沿って導光し、その形状は曲線形状になっている。具体的にはライトガイドLGは円弧形状になっている。尚、ライトガイドLGはその中心角が180度の円弧形状になっているが、中心角が180度よりも小さい円弧形状であってもよい。ライトガイドLGは、例えばアクリル樹脂やポリカーボネート等の透明な樹脂部材等により形成される。
【0054】
ライトガイドLGの外周側及び内周側の少なくとも一方には、ライトガイドLGからの光源光の出光効率を調整するための加工が施されている。加工手法としては、例えば反射ドットを印刷するシルク印刷方式や、スタンパーやインジェクションで凹凸を付ける成型方式や、溝加工方式等の種々の手法を採用できる。
【0055】
光学シートPSとルーバーフィルムLFにより実現される照射方向設定部LE(照射光射出部)は、ライトガイドLGの外周側に設けられ、ライトガイドLGの外周側(外周面)から射出される光源光を受ける。そして曲線形状(円弧形状)のライトガイドLGの内周側から外周側へと向かう方向に照射方向が設定された照射光LT1、LT2を射出する。即ち、ライトガイドLGの外周側から射出される光源光の方向を、ライトガイドLGの例えば法線方向(半径方向)に沿った照射方向に設定(規制)する。これにより、ライトガイドLGの内周側から外周側に向かう方向に、照射光LT1、LT2が放射状に射出されるようになる。
【0056】
このような照射光LT1、LT2の照射方向の設定は、照射方向設定部LEの光学シートPSやルーバーフィルムLF等により実現される。例えば光学シートPSは、ライトガイドLGの外周側から低視角で射出される光源光の方向を、法線方向側に立ち上げて、出光特性のピークが法線方向になるように設定する。またルーバーフィルムLFは、法線方向以外の方向の光(低視角光)を遮光(カット)する。
【0057】
このように本実施形態の第1の光射出ユニットLSU1によれば、ライトガイドLGの両端に光源部LS1、LS2を設け、これらの光源部LS1、LS2を交互に点灯させることで、2つの照射光強度分布を形成することができる。すなわちライトガイドLGの一端側の強度が高くなる照射光強度分布LID1と、ライトガイドLGの他端側の強度が高くなる照射光強度分布LID2を交互に形成することができる。これら2つの強度分布の照射光をLTU1と総称する。
【0058】
このような照射光強度分布LID1、LID2を形成し、これらの制御された強度分布の照射光による対象物OBの反射光LRを受光することで、精度良く対象物の位置を検出することができる。また、照射光の波長を限定することにより、環境光等の外乱光の影響を最小限に抑えた、より精度の高い対象物OBの検出が可能になる。即ち、外乱光に含まれる赤外成分をフィルター等を用いて除去することが可能になり、この赤外成分が対象物OBの検出に及ぼす悪影響を最小限に抑えることが可能になる。
【0059】
図3(b)は照射光制限部を示す模式側断面図である。図3(b)に示すように、光射出ユニットLSU1はX−Y平面に交差する方向への照射光を制限する照射光制限部LMT1を有する。照射方向設定部LEに対して照射光制限部LMT1は照射光LT1の進行方向に突出した形状となっている。そして、この突出した長さを突出長71とするとき、突出長71を長くする程、照射光LT1の広がりを制限する度合いが強くなる。
【0060】
第1〜第nの射出光ユニットLSU1〜LSUn(nは2以上の整数)における照射光制限部LMT1〜LMTnは、対象面(スクリーン)20からの距離が短いほど、照射光LT1の広がりを制限する度合いが強く設定される。その結果、上述したように対象面(スクリーン)20からの距離が長いほど、検出エリアRDETは広く設定される。尚、照射光制限部LMTは図3(b)に示すスリット状の間隙に限定されず、射出方向を制限(規制)するフィルム、射出角度が異なる発光素子等でもよい。
【0061】
3.受光部
次に、受光部4の構成を説明する。図4(a)は、受光部を示す概略斜視図であり、図4(b)は、受光部を示す模式上面図である。図4に示すように、受光部4は、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスター等の受光素子PHDにより実現できる。受光素子PHDは、配線基板PWBに接続され、例えばアルミニウム等の筐体(ケース)100内に設置される。筐体(ケース)100は、対象物OBによる反射光LRUnを受光するために、受光素子PHDの前面に入射光制限部SLTを有する。尚、受光部4は、図4の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加する等の種々の変形実施が可能である。
【0062】
4.位置検出動作
次に、光学式位置検出装置2における位置検出動作を説明する。図5は、位置検出動作のタイミングチャートである。図5に示すように、タイミングチャートでは第1の光射出ユニットLSU1の光源部LS1、LS2(例えばLED等)を駆動する駆動信号SDE1、SDE2、第2の光射出ユニットLSU2の光源部LS3、LS4を駆動する駆動信号SDE3、SDE4、第3の光射出ユニットLSU3の光源部LS5、LS6を駆動する駆動信号SDE5、SDE6、及び受光部4からの受光検出信号の取り込みを制御する検出制御信号SDRを示す。駆動信号SDE1〜SDE6及び検出制御信号SDRは、制御部60により生成される。
【0063】
光学式位置検出装置2は、対象物OBのZ座標位置に応じて、対象物の位置情報の検出周期を変化させることができる。具体的には、対象面(例えばスクリーン等)20からの対象物OBの距離が短いほど、光射出ユニットからの光射出周期を短くすることができる。
【0064】
例えば、第1の期間TA1では第3の検出エリアRDET3に存在する対象物OBを検出する(図2のA3の場合)。この場合には、光源部LS5、LS6は共に光射出周期TD3で交互に駆動(点灯)され、対象物OBからの反射光LRを受光部4が受光し、その受光検出信号を光射出周期TD3の1/2の周期で検出部50が取り込む。具体的には、例えば、B1に示す駆動信号により光源部LS5が駆動(点灯)され、光源部LS5からの照射光が対象物OBにより反射される。その反射光LRが受光部4により受光され、B2に示す検出制御信号により受光検出信号が取り込まれる。次にB3に示す駆動信号により光源部LS6が駆動(点灯)され、光源部LS6からの照射光が対象物OBにより反射され、その反射光LRが受光部4により受光され、図5のB4に示す検出制御信号により受光検出信号が取り込まれる。このようにして、光源部LS5、LS6が交互に点灯され、それに同期して受光検出信号が検出部50に交互に取り込まれる。尚、このようにして得られた受光検出信号に基づいて対象物OBの位置情報を取得する方法については、後述する。
【0065】
第2の期間TA2では、第2の検出エリアRDET2に存在する対象物OBを検出する(図2のA2の場合)。この場合には、光源部LS3、LS4は共に光射出周期TD2(TD2<TD3)で交互に駆動(点灯)され、対象物OBからの反射光LRを受光部4が受光する。その受光検出信号を光射出周期TD2の1/2の周期で交互に取り込む。また、第3の期間TA3では、第1の検出エリアRDET1に存在する対象物OBを検出する(図2のA1の場合)。この場合には、光源部LS1、LS2は共に光射出周期TD1(TD1<TD2)で交互に駆動(点灯)され、対象物OBからの反射光LRを受光部4が受光し、その受光検出信号を検出部50が光射出周期TD1の1/2の周期で交互に取り込む。
【0066】
第1の期間TA1の後に、第2、第3の期間TA2、TA3が続いているが、これは各期間における位置検出動作を比較して示すために、便宜的に並べて示したものである。従って、TA1からTA2、TA3へと順次実行されなくてもよい。後述するように、対象物OBが第1〜第3の検出エリアRDET1〜RDET3のうちのどの検出エリアに存在するか(検出されるか)によって、実行される検出処理が異なってくる。例えば第1の期間TA1において対象物OBが検出されなければ、第2、第3の期間TA2、TA3に移行せずに、第1の期間TA1を繰り返してもよい。
【0067】
次に、制御部60による位置検出制御のフローの一例を示す。図6は、位置検出制御のフローチャートである。図6に示すように、フロー(ステップS1〜S6)は、上述した図5の位置検出動作に対応している。例えばステップS1は図5の第1の期間TA1における動作に対応し、ステップS3は第2の期間TA2における動作に対応し、ステップS5は第3の期間TA3の動作に対応する。
【0068】
最初に光射出周期TD3で光源部LS5、LS6を駆動し、受光部4から受光検出信号を取得する(ステップS1)。そして検出結果に基づいて第3の検出エリアRDET3に対象物OBが存在するか否かを判断する(ステップS2)。対象物OBが存在する場合には、ステップS3に移行する。一方、対象物OBが存在しない場合には、ステップS1の処理を繰り返す。
【0069】
ステップS3では、光射出周期TD2で光源部LS3、LS4を駆動し、受光部4から受光検出信号を取得する。そして検出結果に基づいて第2の検出エリアRDET2に対象物OBが存在するか否かを判断する(ステップS4)。対象物OBが存在する場合には、ステップS5に移行する。一方、対象物OBが存在しない場合には、ステップS1に戻る。
【0070】
ステップS5では、光射出周期TD1で光源部LS1、LS2を駆動し、受光部4から受光検出信号を取得する。そして検出結果に基づいて第1の検出エリアRDET1に対象物OBが存在するか否かを判断する(ステップS6)。対象物OBが存在する場合には、ステップS5の処理を繰り返す。一方、対象物OBが存在しない場合には、ステップS3に戻る。
【0071】
このように、対象物OBがスクリーン等から離れた検出エリアRDET3に存在する場合には、ステップS2からステップS3へ移行するので光射出ユニットからの光射出周期が長く設定される。これにより、位置検出精度を低くし、また応答速度を遅くすることができる。反対に対象物OBがスクリーン等に近い検出エリアRDET1に存在する場合には、ステップS5とステップS6とを反復する為、光射出ユニットからの光射出周期が短く設定される。これにより、位置検出精度を高め、また応答速度を速くすることができる。さらに光射出周期を長くすることで、消費電力を低減させることができるため、対象物OBの対象面(スクリーン)20等からの距離に応じて、必要とされる位置検出精度を維持しつつ、電力効率の良い位置検出を行うこと等が可能になる。
【0072】
次に、光学式位置検出装置2における位置検出動作の別の例を説明する。図7は、位置検出動作のタイミングチャートである。図7に示すように、タイミングチャートでは、図5と同様に、光源部LS1〜LS6を駆動する駆動信号SDE1〜SDE6、及び受光部4からの受光検出信号の取り込みを制御する検出制御信号SDRを示す。
【0073】
図7に示す位置検出動作では、光射出周期TDは変化させずに、光源部LS1〜LS6の点灯時間TE(TE1〜TE3)を変化させる。例えば図7の第1の期間TB1では点灯時間はTE3であり、第2の期間TB2では点灯時間はTE2であり、第3の期間TB3では点灯時間はTE1である。
【0074】
具体的には、第1の期間TB1では、光源部LS5,LS6は点灯時間TE3で交互に駆動(点灯)され、対象物OBにより反射された反射光LRが受光部4により受光され、検出制御信号SDRにより受光検出信号が取り込まれる。また第2の期間TB2では、光源部LS3、LS4は点灯時間TE2(TE2>TE3)で交互に駆動(点灯)され、対象物OBにより反射された反射光LRが受光部4により受光され、検出制御信号SDRにより受光検出信号が取り込まれる。また第3の期間TB3では、光源部LS1、LS2は点灯時間TE1(TE1>TE2)で交互に駆動(点灯)され、対象物OBにより反射された反射光LRが受光部4により受光され、検出制御信号SDRにより受光検出信号が取り込まれる。
【0075】
図7に示す位置検出動作では、点灯時間TE1〜TE3の長さに応じて、1つの点灯期間における受光検出信号の取り込み回数を変化させることができる。例えば、第1の期間TB1では、図7のC1に示すように、1つの点灯期間における受光検出信号の取り込み回数は1である。第2の期間TB2では、図7のC2に示すように、受光検出信号の取り込み回数を2とすることができ、さらに第3の期間TB3では、図7のC3に示すように、受光検出信号の取り込み回数を3とすることができる。このように光源部の点灯時間を長くすることで、受光検出信号の取り込み回数を増加させることができるかため、位置情報の検出精度を高めることが可能になる。また反対に、光源部の点灯時間を短くすることで、位置情報の検出精度は低下するが消費電力を低減することが可能になる。
【0076】
次に、制御部60による位置検出制御のフローの別の例を説明する。図8は、位置検出制御のフローチャートである。図8に示すように、フロー(ステップS11〜S16)は、上述した図7の位置検出動作に対応するものである。例えば、ステップS11は図7の第1の期間TB1における動作に対応し、ステップS13は第2の期間TB2における動作に対応し、ステップS15は第3の期間TB3の動作に対応する。
【0077】
最初に点灯時間TE3で光源部LS5、LS6を駆動し、受光部4から受光検出信号を取得する(ステップS11)。そして検出結果に基づいて第3の検出エリアRDET3に対象物OBが存在するか否かを判断する(ステップS12)。対象物OBが存在する場合には、ステップS13に移行する。一方、対象物OBが存在しない場合には、ステップS11の処理を繰り返す。
【0078】
ステップS13では、点灯時間TE2で光源部LS3、LS4を駆動し、受光部4から受光検出信号を取得する。そして検出結果に基づいて第2の検出エリアRDET2に対象物OBが存在するか否かを判断する(ステップS14)。対象物OBが存在する場合には、ステップS15に移行する。一方、対象物OBが存在しない場合には、ステップS11に戻る。
【0079】
ステップS15では、点灯時間TE1で光源部LS1、LS2を駆動し、受光部4から受光検出信号を取得する。そして検出結果に基づいて第1の検出エリアRDET1に対象物OBが存在するか否かを判断する(ステップS16)。対象物OBが存在する場合には、ステップS15の処理を繰り返す。一方、対象物OBが存在しない場合には、ステップS13に戻る。
【0080】
このように対象物OBがスクリーン等に近い検出エリアRDET1に存在する場合には、光源部LS1、LS2の点灯時間を長くすることで、受光検出信号の取り込み回数を増加させることができるため、位置検出精度を高めることが可能になる。また反対に、対象物OBが対象面(スクリーン)20等から離れた検出エリアRDET3に存在する場合には、光源部LS5、LS6の点灯時間を短くすることで、位置検出精度は低下するが消費電力を低減することが可能になる。その結果、対象物OBの対象面(スクリーン)20等からの距離に応じて、効率良く位置検出を行うこと等が可能になる。
【0081】
5.検出部
次に、本実施形態の検出部50、駆動回路70等の具体的な構成例を示す。図9は、検出部及び制御部の回路図である。図9に示すように、検出部50は、信号検出回路(増幅部)52、信号分離回路54、判定部56を含み、受光部4と接続される。尚、本実施形態の検出部50、駆動回路70等は、図9の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加する等の種々の変形実施が可能である。
【0082】
駆動回路70は、光射出ユニットLSU1〜LSU3を構成する光源部LS1〜LS6を駆動する。この駆動回路70は、電流調整手段の一例として可変抵抗R1〜R6を含む。可変抵抗R1の一端である入力ノードN11には、制御部60から矩形波形の駆動信号SDE1が入力され、他端であるノードN12には、光源部LS1の一端が接続される。光源部LS1はノードN12と基準電位(VS)との間に設けられる。可変抵抗Rn(nは2以上の整数)は、駆動信号SDEnの入力ノードNn1と、光源部LSnの一端であるノードNn2との間に設けられる。光源部LSnは、ノードNn2とVSとの間に設けられる。
【0083】
そして駆動信号SDE1がHレベルである期間では、可変抵抗R1を介して光源部LS1が発光する。また駆動信号SDEn(nは2以上の整数)がHレベルである期間では、可変抵抗Rnを介して光源部LSnが発光する。このように図5、図7に示した駆動信号SDE1〜SDE6に従って、光源部LS1〜LS6をそれぞれ発光させることができる。
【0084】
上述したように、本実施形態の光学式位置検出装置2では、対象物OBが検出エリアRDET1〜RDET3のうちのどの検出エリアに存在するかによって、駆動される光射出ユニットが異なる。例えば、図2で説明したように、対象物OBが検出エリアRDET1に存在する場合には第1の光射出ユニットLSU1から光が照射される。そして、対象物OBが検出エリアRDET2に存在する場合には第2の光射出ユニットLSU2から光が照射される。さらに、対象物OBが検出エリアRDET3に存在する場合には第3の光射出ユニットLSU3から光が照射される。
【0085】
受光部4は、フォトダイオード等により実現される受光素子PHDと、電流・電圧変換用の抵抗R7とを含む。そして光源部LS1が発光する期間(第1の発光期間)では、LS1からの光による対象物OBの反射光LRが、受光部4の受光素子PHDに入射されて、抵抗R7及び受光素子PHDに電流が流れ、ノードN7に電圧信号が発生する。一方、光源部LSn(nは2以上の整数)が発光する期間(第nの発光期間)では、LSnからの光による対象物OBの反射光LRが、受光部4の受光素子PHDに入射されて、抵抗R7及び受光素子PHDに電流が流れ、ノードN7に電圧信号が発生する。
【0086】
信号検出回路(増幅部)52は、キャパシターC1と演算増幅器OP1と抵抗R8を含み、受光部4からの受光検出信号を増幅する。キャパシターC1は、ノードN7の電圧信号のDC成分(直流成分)をカットするフィルターとして機能する。このようなキャパシターC1を設けることで、環境光に起因する低周波成分や直流成分をカットすることができ、検出精度を向上できる。演算増幅器OP1及び抵抗R8で構成されるDCバイアス設定回路は、DC成分カット後のAC信号に対してDCバイアス電圧(VB/2)を設定するための回路である。
【0087】
信号分離回路54は、選択回路SEL、キャパシターC2、C3、演算増幅器OP2とを含む。選択回路SELは、検出制御信号SDRに基づいて、信号検出回路52からの出力を演算増幅器OP2の2つの入力ノードのいずれかを選択して入力する。具体的には、第1の発光期間では、信号検出回路52の出力ノードN9を、演算増幅器OP2の反転入力側(−)のノードN10に接続する。一方、第2の発光期間では、信号検出回路52の出力ノードN9を、演算増幅器OP2の非反転入力側(+)のノードN11に接続する。演算増幅器OP2は、キャパシターC2により保持されたノードN10の電圧信号とキャパシターC3により保持されたノードN11の電圧信号とを比較する。
【0088】
そして制御部60は、信号分離回路54でのノードN10、N11の電圧信号の比較結果に基づいて、駆動回路70の可変抵抗R1〜R6の抵抗値を制御信号SC1〜SC6により制御する。判定部56は、制御部60での可変抵抗R1〜R6の抵抗値の制御結果に基づいて、対象物OBの位置の判定処理を行う。
【0089】
本実施形態の光学式位置検出装置2では、第1の発光期間での受光素子PHDの検出受光量をG1とし、第2の発光期間での受光素子PHDの検出受光量をG2とすると、この検出受光量の比G1/G2が1になるように、制御部60は、信号分離回路54での比較結果に基づいて可変抵抗R1、R2の抵抗値を制御する。すなわち検出受光量の比G1/G2が1になるように、光源部LS1、LS2の発光制御を行う。このようにG1/G2=1とする制御を行うことで、対象物OBの位置の判定処理を行う。以下、第3〜第6の発光期間においても同様である。尚、位置検出手法の詳細については後述する。
【0090】
さらに、光射出部3は、対象物OBのZ座標位置に応じて照射光の強度を変化させることができる。具体的には、光射出部3は、対象面(スクリーン)20(例えばスクリーン)からの対象物OBの距離が短いほど、照射光の強度を強くすることができる。より具体的には、例えば対象面(例えばスクリーン)から近い検出エリアRDET1に対象物OBが存在する場合(検出される場合)には、制御部60は、制御信号SC1、SC2により可変抵抗R1、R2の抵抗値を制御して、光源部LS1、LS2の発光強度を共に増大させ、照射光の強度を強くする。こうすることで、スクリーン等から近くにある対象物OBに対しては位置検出精度を高くすることが可能になる。
【0091】
6.位置検出手法
図10(a)、図10(b)は、位置検出の手法を説明するための模式図である。図10(a)の第1関係線E1は、図3(a)の照射光強度分布LID1における照射光LT1の照射方向の角度と照射光LT1の強度との関係を示す線である。第1関係線E1が示すように、照射方向が図10(b)の第1方向DD1の方向(図中左方向)である場合に強度が最も高くなる。そして、第3方向DD3の方向である場合に強度が最も低くなり、第2方向DD2の方向ではその中間の強度になる。具体的には第1方向DD1から第3方向DD3への角度変化に対して照射光の強度は単調減少しており、例えばリニア(直線的)に変化している。尚、図10(b)では、ライトガイドLGの円弧形状の中心位置が、光射出部3の配置位置PEになっている。
【0092】
第2関係線E2は、図3(a)の照射光強度分布LID2において、照射光LT2の照射方向の角度と、その角度での照射光LT2の強度との関係を示す線である。図10(a)の第2関係線E2では、照射方向が図10(b)の第3方向DD3の方向である場合に強度が最も高くなる。一方、第1方向DD1の方向である場合に強度が最も低くなり、第2方向DD2の方向ではその中間の強度になる。具体的には第3方向DD3から第1方向DD1への角度変化に対して照射光の強度は単調減少しており、例えば、リニアに変化している。尚、図10(a)では照射方向の角度と強度の関係はリニアな関係になっているが、本実施形態はこれに限定されず、例えば双曲線の関係等であってもよい。
【0093】
そして図10(b)に示すように、角度θの方向DDBに対象物OBが存在したとする。すると、光源部LS1が発光することで照射光強度分布LID1を形成した場合(E1の場合)には、図10(a)に示すように、DDB(角度θ)の方向に存在する対象物OBの位置での強度はINT1になる。一方、光源部LS2が発光することで照射光強度分布LID2を形成した場合(E2の場合)には、DDBの方向に存在する対象物OBの位置での強度はINT2になる。
【0094】
従って、これらの強度INT1、INT2の関係を求めることで、対象物OBの位置する方向DDB(角度θ)を特定できる。さらに、例えば、後述する図11に示すように、光射出部3として第1の照射ユニット3a、第2の照射ユニット3bを設け、第1の照射ユニット3a、第2の照射ユニット3bの各照射ユニットに対する対象物OBの方向DDB1(θ1)と方向DDB2(θ2)とを求めれば、これらの方向DDB1、方向DDB2と第1の照射ユニット3a、第2の照射ユニット3b間の距離DSとにより、対象物OBの位置を特定できる。
【0095】
図10に戻って、このような強度INT1、INT2の関係を求めるために、第1の光射出ユニットLSU1が照射光強度分布LID1を形成した際の対象物OBの反射光LR(第1の反射光)を受光部4が受光する。この時の反射光LRの検出受光量をG1とした場合に、このG1が強度INT1に対応するようになる。
【0096】
また、第1の光射出ユニットLSU1が照射光強度分布LID2を形成した際の対象物OBの反射光LR(第2の反射光)を受光部4が受光する。この時の反射光LRの検出受光量をG2とした場合に、このG2が強度INT2に対応するようになる。従って、検出受光量G1とG2の関係が求まれば、強度INT1,INT2の関係が求まり、対象物OBの位置する方向DDBを求めることができる。
【0097】
例えば、光源部LS1の制御量(例えば電流量)、変換係数、射出光量を、各々、I1、k、E1とする。また光源部LS2の制御量(電流量)、変換係数、射出光量を、各々、I2、k、E2とする。すると下式(1)、(2)が成立する。
E1=k・I1 (1)
E2=k・I2 (2)
また光源部LS1からの光源光(第1の光源光)の減衰係数をf1とし、この光源光に対応する反射光LR(第1の反射光)の検出受光量をG1とする。また光源部LS2からの光源光(第2の光源光)の減衰係数をf2とし、この光源光に対応する反射光LR(第2の反射光)の検出受光量をG2とする。すると下式(3)、(4)が成立する。
G1=f1・E1=f1・k・I1 (3)
G2=f2・E2=f2・k・I2 (4)
従って、検出受光量G1、G2の比は下式(5)のように表せる。
G1/G2=(f1/f2)・(I1/I2) (5)
【0098】
ここでG1/G2は、受光部4での受光結果から特定することができ、I1/I2は、制御部60による光射出部3の制御量から特定することができる。そして図10(a)の強度INT1、INT2と減衰係数f1、f2とは一意の関係にある。例えば減衰係数f1、f2が小さな値となり、減衰量が大きい場合は、強度INT1、INT2が小さいことを意味する。一方、減衰係数f1、f2が大きな値となり、減衰量が小さい場合は、強度INT1、INT2が大きいことを意味する。従って、上式(5)から減衰係数の比f1/f2を求めることで、対象物OBの方向、位置等を求めることが可能になる。
【0099】
より具体的には、一方の制御量I1をImに固定し、検出受光量の比G1/G2が1になるように、他方の制御量I2を制御する。例えば光源部LS1、LS2を逆相で交互に点灯させる制御を行い、検出受光量の波形を解析し、G1/G2=1になるように他方の制御量I2を制御する。そして、この時の他方の制御量I2=Im・(f1/f2)から、減衰係数の比f1/f2を求めて、対象物OBの方向、位置等を求める。
【0100】
また下式(6)、(7)のように、G1/G2=1になると共に制御量I1とI2の和が一定になるように制御してもよい。
G1/G2=1 (6)
Im=I1+I2 (7)
上式(6)、(7)を上式(5)に代入すると下式(8)が成立する。
G1/G2=1=(f1/f2)・(I1/I2)
=(f1/f2)・{(Im−I2)/I2} (8)
上式(8)より、I2は下式(9)のように表される。
I2={f1/(f1+f2)}・Im (9)
ここでα=f1/(f1+f2)とおくと、上式(9)は下式(10)のように表され、減衰係数の比f1/f2は、αを用いて下式(11)のように表される。
I2=α・Im (10)
f1/f2=α/(1−α) (11)
【0101】
従って、G1/G2=1になると共にI1とI2の和が一定値Imになるように制御すれば、そのときのI2、Imから式(10)によりαを求め、求められたαを式(11)に代入することで、減衰係数の比f1/f2を求めることができる。これにより、対象物OBの方向、位置等を求めることが可能になる。そしてG1/G2=1になると共にI1とI2の和が一定になるように制御することで、外乱光の影響等を相殺することが可能になり、検出精度の向上を図れる。
【0102】
7.変形例
次に、光射出部3の変形例を示す。図11は、光射出部の構造を示す模式平断面図である。図11が示すように、光射出部3として第1の照射ユニット3a、第2の照射ユニット3bが設けられる。これらの第1の照射ユニット3a、第2の照射ユニット3bは、対象物OBの検出エリアRDETのX−Y平面に沿った方向において所与の距離DSだけ離れて配置される。例えば、X軸方向に沿って距離DSだけ離れて配置される。
【0103】
第1の照射ユニット3aは、照射方向に応じて強度が異なる第1の照射光を放射状に射出する。第2の照射ユニット3bは、照射方向に応じて強度が異なる第2の照射光を放射状に射出する。受光部4は、第1の照射ユニット3aからの第1の照射光が対象物OBに反射されることによる第1の反射光LRと、第2の照射ユニット3bからの第2の照射光が対象物OBに反射されることによる第2の反射光LRを受光する。そして検出部50は、受光部4での受光結果に基づいて、対象物OBの位置POBを検出する。
【0104】
具体的には検出部50は、第1の反射光LRの受光結果に基づいて、第1の照射ユニット3aに対する対象物OBの方向を第1の方向DDB1(角度θ1)として検出する。また第2の反射光LRの受光結果に基づいて、第2の照射ユニット3bに対する対象物OBの方向を第2の方向DDB2(角度θ2)として検出する。そして検出された第1の方向DDB1(θ1)及び第2の方向DDB2(θ2)と、第1の照射ユニット3a、第2の照射ユニット3bの間の距離DSとに基づいて、対象物OBの位置POBを求める。
【0105】
尚、本実施形態の発光制御手法は図5〜図9で説明した手法に限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば図9の光源部LS2を参照用光源部の発光素子として用いる手法を採用してもよい。この参照用光源部は、例えば他の光源部(図3のLS1、LS2)に比べて受光部4から近い距離に配置されたり、受光部4と同じ筐体内に配置されたりすることで、周囲光(外乱光、対象物OBからの反射光LR等)の入射が規制されるように配置設定される光源部である。
【0106】
そして制御部60が、第1の期間において光源部LS1と図示しない参照用光源部を交互に発光させ、受光部4での検出受光量が等しくなるように、光源部LS1と参照用光源部の発光制御を行う。また第2の期間において第2の光源部LS2と参照用光源部を交互に発光させ、受光部4での検出受光量が等しくなるように、第2の光源部LS2と参照用光源部の発光制御を行う。このようにすれば、光源部LS1が発光する第1の発光期間での検出受光量と、第2の光源部LS2が発光する第2の発光期間での検出受光量とが、参照用光源部を介して実質的に等しくなるように、発光制御が行われるようになる。
【0107】
また、参照用光源部を図11の光源部LS11〜LS22と共に用いてもよい。この参照用光源部は、例えば他の光源部(LS11〜LS22)に比べて受光部4から近い距離に配置されたり、受光部4と同じ筐体内に配置されたりすることで、周囲光(外乱光、対象物OBからの反射光LR等)の入射が規制されるように配置設定される光源部である。
【0108】
そして制御部60が、第1の期間において図11の第1の光源部LS11と図示しない参照用光源部を交互に発光させ、受光部4での検出受光量が等しくなるように、第1の光源部LS11と参照用光源部の発光制御を行う。また第2の期間において第2の光源部LS12と参照用光源部を交互に発光させ、受光部4での検出受光量が等しくなるように、第2の光源部LS12と参照用光源部の発光制御を行う。
【0109】
また第3の期間において第3の光源部LS21と参照用光源部を交互に発光させ、受光部4での検出受光量が等しくなるように、第3の光源部LS21と参照用光源部の発光制御を行う。また第4の期間において第4の光源部LS22と参照用光源部を交互に発光させ、受光部4での検出受光量が等しくなるように、第4の光源部LS22と参照用光源部の発光制御を行う。
【0110】
このようにすれば、第1の光源部LS11が発光する第1の発光期間での検出受光量と、第2の光源部LS12が発光する第2の発光期間での検出受光量とが、参照用光源部を介して実質的に等しくなるように、発光制御が行われるようになる。また第3の光源部LS21が発光する第3の発光期間での検出受光量と、第4の光源部LS22が発光する第4の発光期間での検出受光量とが、参照用光源部を介して実質的に等しくなるように、発光制御が行われるようになる。
【0111】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、対象物OBのZ座標位置に応じて位置情報の検出精度を異ならせることができる。従って、高い検出精度が要求されない検出エリアRDETには検出精度を低くする照射光が射出される。そして、高い検出精度が要求されない検出エリアRDETの対象物OBの検出精度を低くすること等ができる。また、高い検出精度が要求される検出エリアRDETには検出精度を高くする照射光が射出される。そして、高い検出精度が要求される検出エリアRDETの対象物OBの検出精度を高くすること等ができる。その結果、対象物OBのZ座標位置に応じて効率の良い光学式位置検出装置を実現することが可能になる。
【0112】
(2)本実施形態によれば、対象物OBのZ座標位置に応じて光射出周期を短く設定している。これにより、位置情報の検出精度を高めたり、応答速度を速くしたりすることができる。また対象物OBのZ座標位置に応じて光射出周期を長く設定することで、位置情報の検出精度を低めたり、応答速度を遅くしたりすることができる。その結果、対象物OBのZ座標位置に応じて検出精度や応答速度を設定すること等が可能になるため、検出効率の良い位置検出等が可能になる。また光射出周期を長く設定することで、消費電力を低減することができるため、電力効率の良い位置検出等が可能になる。
【0113】
(3)本実施形態によれば、対象物OBのZ座標位置に応じて、照射光LTの強度を変化させている。これにより、位置情報の検出精度を異ならせたり、消費電力を異ならせたりすることができる。その結果、対象物OBのZ座標位置に応じて、検出効率や電力効率の良い位置検出等が可能になる。
【0114】
(4)本実施形態によれば、光射出部3は、第1の光射出ユニットLSU1〜第3の光射出ユニットLSU3を有している。そして、第1の光射出ユニットLSU1〜第3の光射出ユニットLSU3は、対象面(スクリーン)20からの距離が異なるように配置されている。このようにすれば、第1の光射出ユニットLSU1〜第3の光射出ユニットLSU3のそれぞれに対応する検出エリアRDETをX−Y平面と交差する方向に沿って設定することができる。その結果、検出エリアRDETのZ座標位置毎に容易に検出精度を設定することが可能になる。
【0115】
(5)本実施形態によれば、第1の光射出ユニットLSU1〜第3の光射出ユニットLSU3によって照射される第1〜第3の検出エリアRDET1〜RDET3は、検出エリアを設定する対象面からの距離が長いほど、広く設定されている。そして、検出エリアRDETの広さと検出精度とは関係がある。このようにすれば、検出エリアRDETを設定する対象面からの距離に応じて、位置情報の検出精度を異ならせることができるため、検出効率の良い位置検出が可能になる。
【0116】
(6)本実施形態によれば、第1の光射出ユニットLSU1〜第3の光射出ユニットLSU3は、X−Y平面に交差する方向への照射光を制限する照射光制限部LMT1を有している。そして、対象面(スクリーン)20からの距離が短いほど、照射光の射出を制限する度合いが強くなるように設定されている。このようにすれば、検出エリアRDETを設定する対象面からの距離が短いほど、検出エリアRDETを狭く設定することができる。
【0117】
(7)本実施形態によれば、光射出部3は、検出エリアRDETにおける対象物OBの位置に応じて強度分布が異なる照射光LTを射出している。このようにすれば、対象物OBの位置に応じて反射光LRの強度が異なるため、受光部4の受光結果に基づいて、対象物OBの位置情報を検出することができる。
【0118】
(8)本実施形態によれば、電子機器は対象物OBの位置を検出する位置検出部を備えている。そして、位置検出部が上記に記載の光学式位置検出装置である。当該光学式位置検出装置は対象物OBのZ座標位置に応じて効率良く位置を検出できる。従って、電子機器はZ座標位置に応じて効率良く位置を検出できる光学式位置検出装置を備えた電子機器とすることができる。
【0119】
(9)本実施形態によれば、表示装置1は対象物OBの位置を検出する位置検出部を備えている。そして、位置検出部が上記に記載の光学式位置検出装置2である。当該光学式位置検出装置2は対象物OBのZ座標位置に応じて効率良く位置を検出できる。従って、表示装置1はZ座標位置に応じて効率良く位置を検出できる光学式位置検出装置2を備えた表示装置1とすることができる。
【0120】
尚、以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は総て本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、光学式位置検出装置2、電子機器及び表示装置の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0121】
1…表示装置、LMT1…照射光制限部、LR…反射光、LSU1…第1の光射出ユニット、LSU2…第2の光射出ユニット、LSU3…第3の光射出ユニット、LT…照射光、OB…対象物、RDET…検出エリア、3…光射出部、20…対象面(スクリーン)、50…検出部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式位置検出装置、電子機器及び表示装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、パーソナルコンピューター、カーナビゲーション装置、券売機、銀行の端末等の電子機器では、近年、表示部の前面にタッチパネルが配置された位置検出機能付きの表示装置が用いられる。この表示装置によれば、操作者は、表示部に表示された画像を参照しながら、表示画像のアイコン等をポインティングしたり、情報を入力したりすることが可能になる。このようなタッチパネルによる位置検出方式としては、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等が知られている。
【0003】
一方、投写型表示装置(プロジェクター)やデジタルサイネージ用の表示装置では、携帯電話やパーソナルコンピューターの表示装置に比べて、その表示エリアが広い。従って、これらの表示装置において、上述の抵抗膜方式や静電容量方式のタッチパネルを用いて位置検出を実現することは難しい。
【0004】
投写型表示装置用の位置検出装置の従来技術としては、例えば特許文献1に開示される技術が知られている。しかしながら、この位置検出装置では、検出エリアが広範囲になると消費電力が大きくなる等の問題がある。また位置検出装置の消費電力を低減する手法としては、例えば、特許文献2に開示される手法が知られている。しかしながら、この手法は、対象物が検出されない場合に検出休止時間を増加させて低消費電力化を図るものであって、対象物の位置に応じた効率的な位置検出を行うことは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−142643号公報
【特許文献2】特開2001−82923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
検出範囲が広いとき、総ての場所において精度良く位置検出を行う場合には検出にかかる時間が長くなる。そこで、検出する対象物の位置に要求される位置精度に応じて効率良く位置検出ができる光学式位置検出装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例にかかる光学式位置検出装置は、X−Y平面に沿って設定される検出エリアに照射光を射出する光射出部と、前記検出エリアにおいて前記照射光が対象物に反射したことによる反射光を受光する受光部と、前記受光部の受光結果に基づいて、前記対象物の位置情報を検出する検出部と、を含み、前記光射出部は、前記X−Y平面に直交するZ軸での前記対象物のZ座標位置に応じて、前記検出部が検出する前記位置情報の検出精度を異ならせるように前記照射光を射出することを特徴とする。
【0009】
本適用例によれば、光学式位置検出装置は光射出部と受光部と検出部とを含んでいる。そして、光射出部はX−Y平面に沿って設定される検出エリアに照射光を射出する。そして、光射出部は、X−Y平面に直交するZ軸での対象物のZ座標位置に応じて、検出部が検出する位置情報の検出精度を異ならせるように照射光を射出する。そして、受光部は、検出エリアにおいて照射光が対象物に反射したことによる反射光を受光する。次に、検出部は、受光部の受光結果に基づいて、対象物の位置情報を検出する。
【0010】
これにより、対象物のZ座標位置に応じて位置情報の検出精度を異ならせることができる。従って、高い検出精度が要求されない検出エリアには検出精度を低くする照射光が射出される。そして、高い検出精度が要求されない検出エリアの対象物の検出精度を低くすること等ができる。また、高い検出精度が要求される検出エリアには検出精度を高くする照射光が射出される。そして、高い検出精度が要求される検出エリアの対象物の検出精度を高くすること等ができる。その結果、対象物のZ座標位置に応じて効率の良い光学式位置検出装置を実現することが可能になる。
【0011】
[適用例2]上記適用例に記載の光学式位置検出装置では、前記光射出部は、前記対象物の前記Z座標位置に応じて、光射出周期を変化させることが好ましい。
【0012】
本適用例によれば、対象物のZ座標位置に応じて光射出周期を短く設定している。これにより、位置情報の検出精度を高めたり、応答速度を速くしたりすることができる。また対象物のZ座標位置に応じて光射出周期を長く設定することで、位置情報の検出精度を低めたり、応答速度を遅くしたりすることができる。その結果、対象物のZ座標位置に応じて検出精度や応答速度を設定すること等が可能になるため、検出効率の良い位置検出等が可能になる。また光射出周期を長く設定することで、消費電力を低減することができるため、電力効率の良い位置検出等が可能になる。
【0013】
[適用例3]上記適用例に記載の光学式位置検出装置では、前記光射出部は、前記対象物の前記Z座標位置に応じて、前記照射光の強度を変化させることが好ましい。
【0014】
本適用例によれば、対象物のZ座標位置に応じて、照射光の強度を変化させている。これにより、位置情報の検出精度を異ならせたり、消費電力を異ならせたりすることができる。その結果、対象物のZ座標位置に応じて、検出効率や電力効率の良い位置検出等が可能になる。
【0015】
[適用例4]上記適用例に記載の光学式位置検出装置では、前記光射出部は、第1の光射出ユニット〜第n(nは2以上の整数)の光射出ユニットを有し、前記X−Y平面と同じ向きを向く面を対象面とするとき、前記第1の光射出ユニット〜前記第nの光射出ユニットは、前記対象面からの距離が異なるように配置されることが好ましい。
【0016】
本適用例によれば、光射出部は、第1の光射出ユニット〜第n(nは2以上の整数)の光射出ユニットを有している。そして、第1の光射出ユニット〜第nの光射出ユニットは、対象面からの距離が異なるように配置されている。このようにすれば、第1〜第nの光射出ユニットのそれぞれに対応する検出エリアをX−Y平面と交差する方向に沿って設定することができる。その結果、検出エリアのZ座標位置毎に容易に検出精度を設定することが可能になる。
【0017】
[適用例5]上記適用例に記載の光学式位置検出装置では、前記第1の光射出ユニット〜前記第nの光射出ユニットによって照射される第1の検出エリア〜第nの検出エリアは、前記対象面からの距離が長いほど、広く設定されることが好ましい。
【0018】
本適用例によれば、第1の光射出ユニット〜第nの光射出ユニットによって照射される第1の検出エリア〜第nの検出エリアは、検出エリアを設定する対象面からの距離が長いほど、広く設定されている。そして、検出エリアの広さと検出精度とは関係がある。このようにすれば、検出エリアを設定する対象面からの距離に応じて、位置情報の検出精度を異ならせることができるため、検出効率の良い位置検出が可能になる。
【0019】
[適用例6]上記適用例に記載の光学式位置検出装置では、前記第1の光射出ユニット〜前記第nの光射出ユニットは、前記X−Y平面に交差する方向への前記照射光を制限する照射光制限部を有し、前記対象面からの距離が短いほど、前記照射光の制限の度合いが強く設定されることが好ましい。
【0020】
本適用例によれば、第1の光射出ユニット〜第nの光射出ユニットは、X−Y平面に交差する方向への照射光を制限する照射光制限部を有している。そして、対象面からの距離が短いほど、照射光の射出を制限する度合いが強くなるように設定されている。このようにすれば、検出エリアを設定する対象面からの距離が短いほど、検出エリアを狭く設定することができる。
【0021】
[適用例7]上記適用例に記載の光学式位置検出装置では、前記光射出部は、前記検出エリアにおける前記対象物の位置に応じて強度分布が異なる前記照射光を射出することが好ましい。
【0022】
本適用例によれば、光射出部は、検出エリアにおける対象物の位置に応じて強度分布が異なる照射光を射出している。このようにすれば、対象物の位置に応じて反射光の強度が異なるため、受光部の受光結果に基づいて、対象物の位置情報を検出することができる。
【0023】
[適用例8]本適用例にかかる電子機器は、対象物の位置を検出する位置検出部を備えた電子機器であって、前記位置検出部が上記に記載の光学式位置検出装置であることを特徴とする。
【0024】
本適用例によれば、電子機器は対象物の位置を検出する位置検出部を備えている。そして、位置検出部が上記に記載の光学式位置検出装置である。当該光学式位置検出装置は対象物のZ座標位置に応じて効率良く位置を検出できる。従って、電子機器はZ座標位置に応じて効率良く位置を検出できる光学式位置検出装置を備えた電子機器とすることができる。
【0025】
[適用例9]本適用例にかかる表示装置は、対象物の位置を検出する位置検出部を備えた表示装置であって、前記位置検出部が上記に記載の光学式位置検出装置を含むことを特徴とする。
【0026】
本適用例によれば、表示装置は対象物の位置を検出する位置検出部を備えている。そして、位置検出部が上記に記載の光学式位置検出装置である。当該光学式位置検出装置は対象物のZ座標位置に応じて効率良く位置を検出できる。従って、表示装置はZ座標位置に応じて効率良く位置を検出できる光学式位置検出装置を備えた表示装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)は、表示システムの構成を示す概略斜視図。(b)は、表示システムを示す模式側面図。
【図2】光射出部の構成及び検出エリアを説明するための模式図。
【図3】(a)は、光射出ユニットの構成を示す模式平断面図。(b)は照射光制限部を示す模式側断面図。
【図4】(a)は、受光部を示す概略斜視図、(b)は、受光部を示す模式上面図。
【図5】位置検出動作のタイミングチャート。
【図6】位置検出制御のフローチャート。
【図7】位置検出動作のタイミングチャート。
【図8】位置検出制御のフローチャート。
【図9】検出部及び制御部の回路図。
【図10】(a)及び(b)は、位置検出の手法を説明するための模式図。
【図11】変形例にかかり光射出部の構造を示す模式平断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。尚、以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の総てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0029】
(実施形態)
1.光学式位置検出装置等の基本的な構成
図1(a)は、表示システムの構成を示す概略斜視図であり、図1(b)は、表示システムを示す模式側面図である。図1に示すように、表示装置1は光学式位置検出装置2を、液晶プロジェクター或いはデジタル・マイクロミラー・デバイスと呼ばれる投射型表示装置(プロジェクター)に適用した場合の例である。図中互いに交差する軸をX軸、Y軸、Z軸(広義には第1、第2、第3の座標軸)としている。具体的には、X軸方向を横方向とし、Y軸方向を縦方向とし、Z軸方向を奥行き方向としている。
【0030】
本実施形態の光学式位置検出装置2は、光射出部3、受光部4、検出部50を含む。また、さらに制御部60を含んでもよい。また本実施形態の表示装置(電子機器)は、光学式位置検出装置2と対象面(スクリーン)20(広義には検出エリアRDETを設定する対象面)を含む。さらに表示装置(電子機器)は、画像投射装置10(広義には画像生成装置)を含むことができる。尚、本実施形態の光学式位置検出装置2、電子機器及び表示装置は図1の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加する等の種々の変形実施が可能である。
【0031】
画像投射装置10は、筐体の前面側に設けられた投射レンズから対象面(スクリーン)20に向けて画像表示光を拡大投射する。具体的には画像投射装置10は、カラー画像の表示光を生成して、投射レンズを介して対象面(スクリーン)20に向けて射出する。これにより対象面(スクリーン)20の表示エリアARDにカラー画像が表示されるようになる。
【0032】
光学式位置検出装置2は、図1(b)に示すように対象面(スクリーン)20の前方側(Z軸方向側)に設定された検出エリアRDETにおいて、操作者の指やタッチペン等の対象物OBを光学的に検出する。このために光学式位置検出装置2の光射出部3は、検出エリアRDETに対象物OBを検出するための照射光LTを射出する。具体的には、光射出部3は、検出エリアRDETにおける対象物OBの位置に応じて強度分布が異なる照射光LTを射出する。尚、対象面(スクリーン)20はX−Y平面と平行に設置され、検出エリアRDETは、対象面(スクリーン)20(検出エリアを設定する対象面)のZ方向側(操作者側)において、X−Y平面に沿って設定される領域である。
【0033】
光射出部3は、例えばLED(発光ダイオード)等の発光素子により構成される2つの光源部(図示せず)を含む。この光源部は例えば赤外光(可視光領域に近い近赤外線)の光源光を放出する。即ち、光源部LS1が発光する光源光は、操作者の指やタッチペン等の対象物OBにより効率的に反射される波長帯域の光や、外乱光となる環境光にあまり含まれない波長帯域の光であることが望ましい。具体的には、人体の表面での反射率が高い波長帯域の光である850nm付近の波長の赤外光や、環境光にあまり含まれない波長帯域の光である950nm付近の赤外光等である。尚、光射出部3の具体的な構成については、後述する。
【0034】
受光部4は、検出エリアRDETにおいて照射光LTが対象物OBにより反射した反射光LRを受光する。具体的には、受光部4は、光射出部3からの照射光LTが対象物OBに反射されることによる反射光LRを受光する。この受光部4は、例えばフォトダイオードやフォトトランジスター等の受光素子により実現できる。この受光部4には検出部50が例えば電気的に接続されている。
【0035】
検出部50は、受光部4での受光結果に基づいて、対象物OBの位置情報を検出する。この検出部50の機能は、アナログ回路等を有する集積回路装置や、マイクロコンピューター上で動作するソフトウェア(プログラム)等により実現できる。例えば検出部50は、受光部4の受光素子が対象物OBからの反射光LRを受光することで発生した検出電流を、検出電圧に変換し、受光結果である検出電圧に基づいて、対象物OBが位置する方向等を検出する。具体的には検出部50は、受光部4での受光結果(受光信号)に基づいて、対象物OBまでの距離(光射出部3の配置位置からの距離)を検出する。そして検出された距離と、検出された対象物OBの方向(存在方向)とに基づいて、対象物の位置を検出する。より具体的には、検出エリアRDETのX−Y平面でのX、Y座標を検出する。
【0036】
尚、X軸方向に沿って所与の距離だけ離れた第1、第2の光射出部3を設けるようにしてもよい。この場合には、第1の光射出部3からの第1の照射光が対象物OBに反射されることによる第1の反射光LRの受光結果に基づいて、第1の光射出部に対する対象物の方向を第1の方向として検出する。また第2の光射出部3からの第2の照射光が対象物OBに反射されることによる第2の反射光LRの受光結果に基づいて、第2の光射出部に対する対象物の方向を第2の方向として検出する。そして検出された第1、第2の方向と、第1、第2の光射出部3間の距離とに基づいて、対象物OBの位置を検出すればよい。
【0037】
本実施形態の光学式位置検出装置2では、X−Y平面に直交するZ軸での対象物OBのZ座標位置に応じて、対象物OBの位置情報の検出精度を異ならせる。具体的には、光射出部3は、対象物OBのZ座標位置に応じて、光射出周期を変化させることで、位置情報の検出精度を異ならせる。より具体的には、検出エリアRDETを設定する対象面(例えばスクリーン)20からの対象物OBの距離が短いほど、光射出周期を短くする。こうすることで、対象面(スクリーン)20からの対象物OBの距離が短いほど、すなわち対象物OBが対象面(スクリーン)20に近いほど対象物OBの位置検出精度を高くすることができる。逆に、対象物OBが対象面(スクリーン)20から遠いほど対象物OBの位置検出精度を低くすることができる。
【0038】
例えばスクリーン(対象面)20に近い検出エリアRDETでは、スクリーンに表示された画像等のある箇所を指し示したり、或いは手書き文字等により表示装置(電子機器)に情報を入力したりする等の操作が行われる。このような素早い手または指の動きを正確に検出するために、スクリーンに近い検出エリアRDETでは、高い位置検出精度と速い応答速度が要求される。一方、スクリーンから離れた検出エリアRDETでは、対象物OB(例えば人体)の位置の概略等が検出されればよいため、位置検出精度を低くし、また応答速度を遅くしてもよい。
【0039】
また本実施形態の光学式位置検出装置2では、光射出部3が、対象物OBのZ座標位置に応じて照射光LTの強度を変化させることで、対象物OBの位置検出精度を異ならせることができる。具体的には、対象物OBが対象面(スクリーン)20からの対象物OBの距離が短いほど、照射光LTの強度を強くすることができる。こうすることで、対象面(スクリーン)20から近くにある対象物OBに対しては、照射光の強度を強くすることができるから、位置検出精度を高くすることが可能になる。
【0040】
制御部60は、光学式位置検出装置2の各種の制御処理を行う。具体的には光射出部3が有する光源部の発光制御等を行う。この制御部60は、光射出部3、検出部50に電気的に接続されている。制御部60の機能は、集積回路装置やマイクロコンピューター上で動作するソフトウェア等により実現できる。例えば制御部60は、対象物OBのZ座標位置に応じて、光射出部3からの光射出周期を変化させる制御や照射光の強度を変化させる制御を行う。
【0041】
また、例えば制御部60は、光射出部3が第1、第2の光源部を含む場合に、これらの第1、第2の光源部を交互に発光させる制御を行う。また、前述のようにX軸方向に沿って所与の距離だけ離れた第1、第2の光射出部3が設けられる場合には、第1の光射出部に対する対象物OBの方向を求める第1の期間において、第1の光射出部に設けられる第1、第2の光源部を交互に発光させる制御を行う。また第2の光射出部3に対する対象物OBの方向を求める第2の期間において、第2の光射出部に設けられる第3、第4の光源部を交互に発光させる制御を行う。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の光学式位置検出装置2によれば、スクリーン等からの距離に応じて位置検出精度を異ならせることができる。またスクリーン等からの距離に応じて、光射出部3からの光射出周期を変化させたり、照射光の強度を変化させたりすることができるため、高い位置検出精度が要求されない場合には、検出精度を落として消費電力を低減することができる。その結果、必要とされる位置検出精度を維持しながら、低消費電力の光学式位置検出装置2を実現することが可能になる。
【0043】
尚、本実施形態の光学式位置検出装置2は、図1(a)に示す投射型表示装置には限定されず、各種の電子機器に搭載される様々な表示装置に適用できる。また本実施形態の光学式位置検出装置2を適用できる電子機器としては、携帯電話、パーソナルコンピューター、カーナビゲーション装置、券売機、或いは銀行の端末等の様々な機器を想定できる。この電子機器は、例えば画像を表示する表示部(表示装置)や、情報を入力するための入力部や、入力された情報等に基づいて各種の処理を行う処理部等を含むことができる。そして、入力部に光学式位置検出装置2を備えることができる。
【0044】
2.光射出部及び検出エリア
次に、光学式位置検出装置2の光射出部3の構成例及び検出エリアRDETの設定例を示す。図2は、光射出部の構成及び検出エリアを説明するための模式図である。図2に示すように、光学式位置検出装置2の光射出部3は、第1〜第n(nは2以上の整数)の光射出ユニットLSU1〜LSUnを含む。尚、光照射部3は、図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加する等の種々の変形実施が可能である。例えば、図2の構成では第1〜第3の光射出ユニットLSU1〜LSU3を示してあるが、4つ以上の光射出ユニットを含む構成としてもよい。
【0045】
第1〜第nの光射出ユニットLSU1〜LSUnは、対象面(スクリーン)20からの距離が異なるように配置され、第1〜第nの光射出ユニットLSU1〜LSUnに対応して、第1〜第nの検出エリアRDET1〜RDETnが設定される。
【0046】
具体的には、例えば図2のA1に示すように、対象物OBが第1の検出エリアRDET1に存在する場合には、第1の光射出ユニットLSU1からの照射光LTU1が対象物OBにより反射され、その反射光LRU1を受光部4が受光する。また図2のA2に示すように、対象物OBが第2の検出エリアRDET2に存在する場合には、第2の光射出ユニットLSU2からの照射光LTU2が対象物OBにより反射され、その反射光LRU2を受光部4が受光する。また図2のA3に示すように、対象物OBが第3の検出エリアRDET3に存在する場合には、第3の光射出ユニットLSU3からの照射光LTU3が対象物OBにより反射され、その反射光LRU3を受光部4が受光する。
【0047】
尚、4つ以上の光射出ユニットが設けられる構成であっても、上記と同様である。すなわち対象物OBが第i(iは1≦i≦nである整数)の検出エリアRDETiに存在する場合には、第iの光射出ユニットLSUiからの照射光LTUiが対象物OBにより反射され、その反射光LRUiを受光部4が受光する。
【0048】
第1〜第nの光射出ユニットLSU1〜LSUnによる第1〜第nの検出エリアRDET1〜RDETnは、対象面(例えばスクリーン)20からの距離が長いほど、広く設定される。具体的には、例えば図2に示すように、対象面(スクリーン)20上のある点PAからZ方向に沿って、各検出エリアRDETの広がり(Z方向の広がり)を定義することができる。すなわち、第1の検出エリアRDET1はZ方向に長さZ1の奥行き(広がり)を有する領域であり、第2の検出エリアRDET2はZ方向に長さZ2の奥行き(広がり)を有する領域であり、第3の検出エリアRDET3はZ方向に長さZ3の奥行き(広がり)を有する領域である。このように定義した場合に、Z1<Z2<Z3であるように検出エリアRDET1〜RDET3が設定される。
【0049】
第1〜第nの光射出ユニットLSU1〜LSUnは、X−Y平面に交差する方向への射出光を制限する照射光制限部LMTを有し(図2では図示しない)、対象面(スクリーン)20からの距離が短いほど、射出光の制限の度合いが強く設定される。具体的には、第1〜第3の光射出ユニットLSU1〜LSU3は照射光制限部LMT1〜LMT3を有し、RDET1に照射される照射光LTU1はLMT1により最も強く制限され、RDET3に照射される照射光LTU3はLMT3により最も弱く制限される。その結果、上述したように、対象面(例えばスクリーン)20からの距離が長いほど、検出エリアRDETは広く設定される。
【0050】
次に、光学式位置検出装置2に含まれる光射出部3を構成する第1の光射出ユニットLSU1の詳細な説明を行う。図3(a)は、光射出ユニットの構成を示す模式平断面図である。図3(a)に示すように、第1の光射出ユニットLSU1は、光源部LS1、LS2と、ライトガイドLGと、照射方向設定部LEとを含む。また反射シートRSを含む。そして照射方向設定部LEは、光学シートPS及びルーバーフィルムLFを含む。尚、本実施形態の第1の光射出ユニットLSU1は、図3の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加する等の種々の変形実施が可能である。また、第n(nは2以上の整数)の光射出ユニットLSUnについても、光源部と、ライトガイドと、光学シート及びルーバーフィルムを含む照射方向設定部と、反射シートを含む。
【0051】
光源部LS1、LS2は、光源光を射出するものであり、LED(発光ダイオード)等の発光素子を有する。この光源部LS1、LS2は例えば赤外光(可視光領域に近い近赤外線)の光源光を放出する。即ち、光源部LS1、LS2が発光する光源光は、操作者の指やタッチペン等の対象物OBにより効率的に反射される波長帯域の光や、外乱光となる環境光にあまり含まれない波長帯域の光であることが望ましい。具体的には、人体の表面での反射率が高い波長帯域の光である850nm付近の波長の赤外光や、環境光にあまり含まれない波長帯域の光である950nm付近の赤外光等である。
【0052】
光源部LS1は、一端側F1に示すようライトガイドLGの一端側に設けられる。また第2の光源部LS2は、F2に示すようにライトガイドLGの他端側に設けられる。そして光源部LS1が、ライトガイドLGの一端側F1の光入射面に対して光源光を射出することで、照射光LT1を射出し、第1の照射光強度分布LID1を対象物OBの検出エリアRDETに形成(設定)する。一方、光源部LS2が、ライトガイドLGの他端側F2の光入射面に対して第2の光源光を射出することで、第2の照射光LT2を射出し、第1の照射光強度分布LID1とは強度分布が異なる第2の照射光強度分布LID2を検出エリアRDETに形成する。このように第1の光射出ユニットLSU1は、検出エリアRDET1での位置に応じて強度分布が異なる照射光を射出することができる。
【0053】
ライトガイドLG(導光部材)は、光源部LS1、LS2が発光した光源光を導光するものである。例えばライトガイドLGは、光源部LS1、LS2からの光源光を曲線状の導光経路に沿って導光し、その形状は曲線形状になっている。具体的にはライトガイドLGは円弧形状になっている。尚、ライトガイドLGはその中心角が180度の円弧形状になっているが、中心角が180度よりも小さい円弧形状であってもよい。ライトガイドLGは、例えばアクリル樹脂やポリカーボネート等の透明な樹脂部材等により形成される。
【0054】
ライトガイドLGの外周側及び内周側の少なくとも一方には、ライトガイドLGからの光源光の出光効率を調整するための加工が施されている。加工手法としては、例えば反射ドットを印刷するシルク印刷方式や、スタンパーやインジェクションで凹凸を付ける成型方式や、溝加工方式等の種々の手法を採用できる。
【0055】
光学シートPSとルーバーフィルムLFにより実現される照射方向設定部LE(照射光射出部)は、ライトガイドLGの外周側に設けられ、ライトガイドLGの外周側(外周面)から射出される光源光を受ける。そして曲線形状(円弧形状)のライトガイドLGの内周側から外周側へと向かう方向に照射方向が設定された照射光LT1、LT2を射出する。即ち、ライトガイドLGの外周側から射出される光源光の方向を、ライトガイドLGの例えば法線方向(半径方向)に沿った照射方向に設定(規制)する。これにより、ライトガイドLGの内周側から外周側に向かう方向に、照射光LT1、LT2が放射状に射出されるようになる。
【0056】
このような照射光LT1、LT2の照射方向の設定は、照射方向設定部LEの光学シートPSやルーバーフィルムLF等により実現される。例えば光学シートPSは、ライトガイドLGの外周側から低視角で射出される光源光の方向を、法線方向側に立ち上げて、出光特性のピークが法線方向になるように設定する。またルーバーフィルムLFは、法線方向以外の方向の光(低視角光)を遮光(カット)する。
【0057】
このように本実施形態の第1の光射出ユニットLSU1によれば、ライトガイドLGの両端に光源部LS1、LS2を設け、これらの光源部LS1、LS2を交互に点灯させることで、2つの照射光強度分布を形成することができる。すなわちライトガイドLGの一端側の強度が高くなる照射光強度分布LID1と、ライトガイドLGの他端側の強度が高くなる照射光強度分布LID2を交互に形成することができる。これら2つの強度分布の照射光をLTU1と総称する。
【0058】
このような照射光強度分布LID1、LID2を形成し、これらの制御された強度分布の照射光による対象物OBの反射光LRを受光することで、精度良く対象物の位置を検出することができる。また、照射光の波長を限定することにより、環境光等の外乱光の影響を最小限に抑えた、より精度の高い対象物OBの検出が可能になる。即ち、外乱光に含まれる赤外成分をフィルター等を用いて除去することが可能になり、この赤外成分が対象物OBの検出に及ぼす悪影響を最小限に抑えることが可能になる。
【0059】
図3(b)は照射光制限部を示す模式側断面図である。図3(b)に示すように、光射出ユニットLSU1はX−Y平面に交差する方向への照射光を制限する照射光制限部LMT1を有する。照射方向設定部LEに対して照射光制限部LMT1は照射光LT1の進行方向に突出した形状となっている。そして、この突出した長さを突出長71とするとき、突出長71を長くする程、照射光LT1の広がりを制限する度合いが強くなる。
【0060】
第1〜第nの射出光ユニットLSU1〜LSUn(nは2以上の整数)における照射光制限部LMT1〜LMTnは、対象面(スクリーン)20からの距離が短いほど、照射光LT1の広がりを制限する度合いが強く設定される。その結果、上述したように対象面(スクリーン)20からの距離が長いほど、検出エリアRDETは広く設定される。尚、照射光制限部LMTは図3(b)に示すスリット状の間隙に限定されず、射出方向を制限(規制)するフィルム、射出角度が異なる発光素子等でもよい。
【0061】
3.受光部
次に、受光部4の構成を説明する。図4(a)は、受光部を示す概略斜視図であり、図4(b)は、受光部を示す模式上面図である。図4に示すように、受光部4は、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスター等の受光素子PHDにより実現できる。受光素子PHDは、配線基板PWBに接続され、例えばアルミニウム等の筐体(ケース)100内に設置される。筐体(ケース)100は、対象物OBによる反射光LRUnを受光するために、受光素子PHDの前面に入射光制限部SLTを有する。尚、受光部4は、図4の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加する等の種々の変形実施が可能である。
【0062】
4.位置検出動作
次に、光学式位置検出装置2における位置検出動作を説明する。図5は、位置検出動作のタイミングチャートである。図5に示すように、タイミングチャートでは第1の光射出ユニットLSU1の光源部LS1、LS2(例えばLED等)を駆動する駆動信号SDE1、SDE2、第2の光射出ユニットLSU2の光源部LS3、LS4を駆動する駆動信号SDE3、SDE4、第3の光射出ユニットLSU3の光源部LS5、LS6を駆動する駆動信号SDE5、SDE6、及び受光部4からの受光検出信号の取り込みを制御する検出制御信号SDRを示す。駆動信号SDE1〜SDE6及び検出制御信号SDRは、制御部60により生成される。
【0063】
光学式位置検出装置2は、対象物OBのZ座標位置に応じて、対象物の位置情報の検出周期を変化させることができる。具体的には、対象面(例えばスクリーン等)20からの対象物OBの距離が短いほど、光射出ユニットからの光射出周期を短くすることができる。
【0064】
例えば、第1の期間TA1では第3の検出エリアRDET3に存在する対象物OBを検出する(図2のA3の場合)。この場合には、光源部LS5、LS6は共に光射出周期TD3で交互に駆動(点灯)され、対象物OBからの反射光LRを受光部4が受光し、その受光検出信号を光射出周期TD3の1/2の周期で検出部50が取り込む。具体的には、例えば、B1に示す駆動信号により光源部LS5が駆動(点灯)され、光源部LS5からの照射光が対象物OBにより反射される。その反射光LRが受光部4により受光され、B2に示す検出制御信号により受光検出信号が取り込まれる。次にB3に示す駆動信号により光源部LS6が駆動(点灯)され、光源部LS6からの照射光が対象物OBにより反射され、その反射光LRが受光部4により受光され、図5のB4に示す検出制御信号により受光検出信号が取り込まれる。このようにして、光源部LS5、LS6が交互に点灯され、それに同期して受光検出信号が検出部50に交互に取り込まれる。尚、このようにして得られた受光検出信号に基づいて対象物OBの位置情報を取得する方法については、後述する。
【0065】
第2の期間TA2では、第2の検出エリアRDET2に存在する対象物OBを検出する(図2のA2の場合)。この場合には、光源部LS3、LS4は共に光射出周期TD2(TD2<TD3)で交互に駆動(点灯)され、対象物OBからの反射光LRを受光部4が受光する。その受光検出信号を光射出周期TD2の1/2の周期で交互に取り込む。また、第3の期間TA3では、第1の検出エリアRDET1に存在する対象物OBを検出する(図2のA1の場合)。この場合には、光源部LS1、LS2は共に光射出周期TD1(TD1<TD2)で交互に駆動(点灯)され、対象物OBからの反射光LRを受光部4が受光し、その受光検出信号を検出部50が光射出周期TD1の1/2の周期で交互に取り込む。
【0066】
第1の期間TA1の後に、第2、第3の期間TA2、TA3が続いているが、これは各期間における位置検出動作を比較して示すために、便宜的に並べて示したものである。従って、TA1からTA2、TA3へと順次実行されなくてもよい。後述するように、対象物OBが第1〜第3の検出エリアRDET1〜RDET3のうちのどの検出エリアに存在するか(検出されるか)によって、実行される検出処理が異なってくる。例えば第1の期間TA1において対象物OBが検出されなければ、第2、第3の期間TA2、TA3に移行せずに、第1の期間TA1を繰り返してもよい。
【0067】
次に、制御部60による位置検出制御のフローの一例を示す。図6は、位置検出制御のフローチャートである。図6に示すように、フロー(ステップS1〜S6)は、上述した図5の位置検出動作に対応している。例えばステップS1は図5の第1の期間TA1における動作に対応し、ステップS3は第2の期間TA2における動作に対応し、ステップS5は第3の期間TA3の動作に対応する。
【0068】
最初に光射出周期TD3で光源部LS5、LS6を駆動し、受光部4から受光検出信号を取得する(ステップS1)。そして検出結果に基づいて第3の検出エリアRDET3に対象物OBが存在するか否かを判断する(ステップS2)。対象物OBが存在する場合には、ステップS3に移行する。一方、対象物OBが存在しない場合には、ステップS1の処理を繰り返す。
【0069】
ステップS3では、光射出周期TD2で光源部LS3、LS4を駆動し、受光部4から受光検出信号を取得する。そして検出結果に基づいて第2の検出エリアRDET2に対象物OBが存在するか否かを判断する(ステップS4)。対象物OBが存在する場合には、ステップS5に移行する。一方、対象物OBが存在しない場合には、ステップS1に戻る。
【0070】
ステップS5では、光射出周期TD1で光源部LS1、LS2を駆動し、受光部4から受光検出信号を取得する。そして検出結果に基づいて第1の検出エリアRDET1に対象物OBが存在するか否かを判断する(ステップS6)。対象物OBが存在する場合には、ステップS5の処理を繰り返す。一方、対象物OBが存在しない場合には、ステップS3に戻る。
【0071】
このように、対象物OBがスクリーン等から離れた検出エリアRDET3に存在する場合には、ステップS2からステップS3へ移行するので光射出ユニットからの光射出周期が長く設定される。これにより、位置検出精度を低くし、また応答速度を遅くすることができる。反対に対象物OBがスクリーン等に近い検出エリアRDET1に存在する場合には、ステップS5とステップS6とを反復する為、光射出ユニットからの光射出周期が短く設定される。これにより、位置検出精度を高め、また応答速度を速くすることができる。さらに光射出周期を長くすることで、消費電力を低減させることができるため、対象物OBの対象面(スクリーン)20等からの距離に応じて、必要とされる位置検出精度を維持しつつ、電力効率の良い位置検出を行うこと等が可能になる。
【0072】
次に、光学式位置検出装置2における位置検出動作の別の例を説明する。図7は、位置検出動作のタイミングチャートである。図7に示すように、タイミングチャートでは、図5と同様に、光源部LS1〜LS6を駆動する駆動信号SDE1〜SDE6、及び受光部4からの受光検出信号の取り込みを制御する検出制御信号SDRを示す。
【0073】
図7に示す位置検出動作では、光射出周期TDは変化させずに、光源部LS1〜LS6の点灯時間TE(TE1〜TE3)を変化させる。例えば図7の第1の期間TB1では点灯時間はTE3であり、第2の期間TB2では点灯時間はTE2であり、第3の期間TB3では点灯時間はTE1である。
【0074】
具体的には、第1の期間TB1では、光源部LS5,LS6は点灯時間TE3で交互に駆動(点灯)され、対象物OBにより反射された反射光LRが受光部4により受光され、検出制御信号SDRにより受光検出信号が取り込まれる。また第2の期間TB2では、光源部LS3、LS4は点灯時間TE2(TE2>TE3)で交互に駆動(点灯)され、対象物OBにより反射された反射光LRが受光部4により受光され、検出制御信号SDRにより受光検出信号が取り込まれる。また第3の期間TB3では、光源部LS1、LS2は点灯時間TE1(TE1>TE2)で交互に駆動(点灯)され、対象物OBにより反射された反射光LRが受光部4により受光され、検出制御信号SDRにより受光検出信号が取り込まれる。
【0075】
図7に示す位置検出動作では、点灯時間TE1〜TE3の長さに応じて、1つの点灯期間における受光検出信号の取り込み回数を変化させることができる。例えば、第1の期間TB1では、図7のC1に示すように、1つの点灯期間における受光検出信号の取り込み回数は1である。第2の期間TB2では、図7のC2に示すように、受光検出信号の取り込み回数を2とすることができ、さらに第3の期間TB3では、図7のC3に示すように、受光検出信号の取り込み回数を3とすることができる。このように光源部の点灯時間を長くすることで、受光検出信号の取り込み回数を増加させることができるかため、位置情報の検出精度を高めることが可能になる。また反対に、光源部の点灯時間を短くすることで、位置情報の検出精度は低下するが消費電力を低減することが可能になる。
【0076】
次に、制御部60による位置検出制御のフローの別の例を説明する。図8は、位置検出制御のフローチャートである。図8に示すように、フロー(ステップS11〜S16)は、上述した図7の位置検出動作に対応するものである。例えば、ステップS11は図7の第1の期間TB1における動作に対応し、ステップS13は第2の期間TB2における動作に対応し、ステップS15は第3の期間TB3の動作に対応する。
【0077】
最初に点灯時間TE3で光源部LS5、LS6を駆動し、受光部4から受光検出信号を取得する(ステップS11)。そして検出結果に基づいて第3の検出エリアRDET3に対象物OBが存在するか否かを判断する(ステップS12)。対象物OBが存在する場合には、ステップS13に移行する。一方、対象物OBが存在しない場合には、ステップS11の処理を繰り返す。
【0078】
ステップS13では、点灯時間TE2で光源部LS3、LS4を駆動し、受光部4から受光検出信号を取得する。そして検出結果に基づいて第2の検出エリアRDET2に対象物OBが存在するか否かを判断する(ステップS14)。対象物OBが存在する場合には、ステップS15に移行する。一方、対象物OBが存在しない場合には、ステップS11に戻る。
【0079】
ステップS15では、点灯時間TE1で光源部LS1、LS2を駆動し、受光部4から受光検出信号を取得する。そして検出結果に基づいて第1の検出エリアRDET1に対象物OBが存在するか否かを判断する(ステップS16)。対象物OBが存在する場合には、ステップS15の処理を繰り返す。一方、対象物OBが存在しない場合には、ステップS13に戻る。
【0080】
このように対象物OBがスクリーン等に近い検出エリアRDET1に存在する場合には、光源部LS1、LS2の点灯時間を長くすることで、受光検出信号の取り込み回数を増加させることができるため、位置検出精度を高めることが可能になる。また反対に、対象物OBが対象面(スクリーン)20等から離れた検出エリアRDET3に存在する場合には、光源部LS5、LS6の点灯時間を短くすることで、位置検出精度は低下するが消費電力を低減することが可能になる。その結果、対象物OBの対象面(スクリーン)20等からの距離に応じて、効率良く位置検出を行うこと等が可能になる。
【0081】
5.検出部
次に、本実施形態の検出部50、駆動回路70等の具体的な構成例を示す。図9は、検出部及び制御部の回路図である。図9に示すように、検出部50は、信号検出回路(増幅部)52、信号分離回路54、判定部56を含み、受光部4と接続される。尚、本実施形態の検出部50、駆動回路70等は、図9の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加する等の種々の変形実施が可能である。
【0082】
駆動回路70は、光射出ユニットLSU1〜LSU3を構成する光源部LS1〜LS6を駆動する。この駆動回路70は、電流調整手段の一例として可変抵抗R1〜R6を含む。可変抵抗R1の一端である入力ノードN11には、制御部60から矩形波形の駆動信号SDE1が入力され、他端であるノードN12には、光源部LS1の一端が接続される。光源部LS1はノードN12と基準電位(VS)との間に設けられる。可変抵抗Rn(nは2以上の整数)は、駆動信号SDEnの入力ノードNn1と、光源部LSnの一端であるノードNn2との間に設けられる。光源部LSnは、ノードNn2とVSとの間に設けられる。
【0083】
そして駆動信号SDE1がHレベルである期間では、可変抵抗R1を介して光源部LS1が発光する。また駆動信号SDEn(nは2以上の整数)がHレベルである期間では、可変抵抗Rnを介して光源部LSnが発光する。このように図5、図7に示した駆動信号SDE1〜SDE6に従って、光源部LS1〜LS6をそれぞれ発光させることができる。
【0084】
上述したように、本実施形態の光学式位置検出装置2では、対象物OBが検出エリアRDET1〜RDET3のうちのどの検出エリアに存在するかによって、駆動される光射出ユニットが異なる。例えば、図2で説明したように、対象物OBが検出エリアRDET1に存在する場合には第1の光射出ユニットLSU1から光が照射される。そして、対象物OBが検出エリアRDET2に存在する場合には第2の光射出ユニットLSU2から光が照射される。さらに、対象物OBが検出エリアRDET3に存在する場合には第3の光射出ユニットLSU3から光が照射される。
【0085】
受光部4は、フォトダイオード等により実現される受光素子PHDと、電流・電圧変換用の抵抗R7とを含む。そして光源部LS1が発光する期間(第1の発光期間)では、LS1からの光による対象物OBの反射光LRが、受光部4の受光素子PHDに入射されて、抵抗R7及び受光素子PHDに電流が流れ、ノードN7に電圧信号が発生する。一方、光源部LSn(nは2以上の整数)が発光する期間(第nの発光期間)では、LSnからの光による対象物OBの反射光LRが、受光部4の受光素子PHDに入射されて、抵抗R7及び受光素子PHDに電流が流れ、ノードN7に電圧信号が発生する。
【0086】
信号検出回路(増幅部)52は、キャパシターC1と演算増幅器OP1と抵抗R8を含み、受光部4からの受光検出信号を増幅する。キャパシターC1は、ノードN7の電圧信号のDC成分(直流成分)をカットするフィルターとして機能する。このようなキャパシターC1を設けることで、環境光に起因する低周波成分や直流成分をカットすることができ、検出精度を向上できる。演算増幅器OP1及び抵抗R8で構成されるDCバイアス設定回路は、DC成分カット後のAC信号に対してDCバイアス電圧(VB/2)を設定するための回路である。
【0087】
信号分離回路54は、選択回路SEL、キャパシターC2、C3、演算増幅器OP2とを含む。選択回路SELは、検出制御信号SDRに基づいて、信号検出回路52からの出力を演算増幅器OP2の2つの入力ノードのいずれかを選択して入力する。具体的には、第1の発光期間では、信号検出回路52の出力ノードN9を、演算増幅器OP2の反転入力側(−)のノードN10に接続する。一方、第2の発光期間では、信号検出回路52の出力ノードN9を、演算増幅器OP2の非反転入力側(+)のノードN11に接続する。演算増幅器OP2は、キャパシターC2により保持されたノードN10の電圧信号とキャパシターC3により保持されたノードN11の電圧信号とを比較する。
【0088】
そして制御部60は、信号分離回路54でのノードN10、N11の電圧信号の比較結果に基づいて、駆動回路70の可変抵抗R1〜R6の抵抗値を制御信号SC1〜SC6により制御する。判定部56は、制御部60での可変抵抗R1〜R6の抵抗値の制御結果に基づいて、対象物OBの位置の判定処理を行う。
【0089】
本実施形態の光学式位置検出装置2では、第1の発光期間での受光素子PHDの検出受光量をG1とし、第2の発光期間での受光素子PHDの検出受光量をG2とすると、この検出受光量の比G1/G2が1になるように、制御部60は、信号分離回路54での比較結果に基づいて可変抵抗R1、R2の抵抗値を制御する。すなわち検出受光量の比G1/G2が1になるように、光源部LS1、LS2の発光制御を行う。このようにG1/G2=1とする制御を行うことで、対象物OBの位置の判定処理を行う。以下、第3〜第6の発光期間においても同様である。尚、位置検出手法の詳細については後述する。
【0090】
さらに、光射出部3は、対象物OBのZ座標位置に応じて照射光の強度を変化させることができる。具体的には、光射出部3は、対象面(スクリーン)20(例えばスクリーン)からの対象物OBの距離が短いほど、照射光の強度を強くすることができる。より具体的には、例えば対象面(例えばスクリーン)から近い検出エリアRDET1に対象物OBが存在する場合(検出される場合)には、制御部60は、制御信号SC1、SC2により可変抵抗R1、R2の抵抗値を制御して、光源部LS1、LS2の発光強度を共に増大させ、照射光の強度を強くする。こうすることで、スクリーン等から近くにある対象物OBに対しては位置検出精度を高くすることが可能になる。
【0091】
6.位置検出手法
図10(a)、図10(b)は、位置検出の手法を説明するための模式図である。図10(a)の第1関係線E1は、図3(a)の照射光強度分布LID1における照射光LT1の照射方向の角度と照射光LT1の強度との関係を示す線である。第1関係線E1が示すように、照射方向が図10(b)の第1方向DD1の方向(図中左方向)である場合に強度が最も高くなる。そして、第3方向DD3の方向である場合に強度が最も低くなり、第2方向DD2の方向ではその中間の強度になる。具体的には第1方向DD1から第3方向DD3への角度変化に対して照射光の強度は単調減少しており、例えばリニア(直線的)に変化している。尚、図10(b)では、ライトガイドLGの円弧形状の中心位置が、光射出部3の配置位置PEになっている。
【0092】
第2関係線E2は、図3(a)の照射光強度分布LID2において、照射光LT2の照射方向の角度と、その角度での照射光LT2の強度との関係を示す線である。図10(a)の第2関係線E2では、照射方向が図10(b)の第3方向DD3の方向である場合に強度が最も高くなる。一方、第1方向DD1の方向である場合に強度が最も低くなり、第2方向DD2の方向ではその中間の強度になる。具体的には第3方向DD3から第1方向DD1への角度変化に対して照射光の強度は単調減少しており、例えば、リニアに変化している。尚、図10(a)では照射方向の角度と強度の関係はリニアな関係になっているが、本実施形態はこれに限定されず、例えば双曲線の関係等であってもよい。
【0093】
そして図10(b)に示すように、角度θの方向DDBに対象物OBが存在したとする。すると、光源部LS1が発光することで照射光強度分布LID1を形成した場合(E1の場合)には、図10(a)に示すように、DDB(角度θ)の方向に存在する対象物OBの位置での強度はINT1になる。一方、光源部LS2が発光することで照射光強度分布LID2を形成した場合(E2の場合)には、DDBの方向に存在する対象物OBの位置での強度はINT2になる。
【0094】
従って、これらの強度INT1、INT2の関係を求めることで、対象物OBの位置する方向DDB(角度θ)を特定できる。さらに、例えば、後述する図11に示すように、光射出部3として第1の照射ユニット3a、第2の照射ユニット3bを設け、第1の照射ユニット3a、第2の照射ユニット3bの各照射ユニットに対する対象物OBの方向DDB1(θ1)と方向DDB2(θ2)とを求めれば、これらの方向DDB1、方向DDB2と第1の照射ユニット3a、第2の照射ユニット3b間の距離DSとにより、対象物OBの位置を特定できる。
【0095】
図10に戻って、このような強度INT1、INT2の関係を求めるために、第1の光射出ユニットLSU1が照射光強度分布LID1を形成した際の対象物OBの反射光LR(第1の反射光)を受光部4が受光する。この時の反射光LRの検出受光量をG1とした場合に、このG1が強度INT1に対応するようになる。
【0096】
また、第1の光射出ユニットLSU1が照射光強度分布LID2を形成した際の対象物OBの反射光LR(第2の反射光)を受光部4が受光する。この時の反射光LRの検出受光量をG2とした場合に、このG2が強度INT2に対応するようになる。従って、検出受光量G1とG2の関係が求まれば、強度INT1,INT2の関係が求まり、対象物OBの位置する方向DDBを求めることができる。
【0097】
例えば、光源部LS1の制御量(例えば電流量)、変換係数、射出光量を、各々、I1、k、E1とする。また光源部LS2の制御量(電流量)、変換係数、射出光量を、各々、I2、k、E2とする。すると下式(1)、(2)が成立する。
E1=k・I1 (1)
E2=k・I2 (2)
また光源部LS1からの光源光(第1の光源光)の減衰係数をf1とし、この光源光に対応する反射光LR(第1の反射光)の検出受光量をG1とする。また光源部LS2からの光源光(第2の光源光)の減衰係数をf2とし、この光源光に対応する反射光LR(第2の反射光)の検出受光量をG2とする。すると下式(3)、(4)が成立する。
G1=f1・E1=f1・k・I1 (3)
G2=f2・E2=f2・k・I2 (4)
従って、検出受光量G1、G2の比は下式(5)のように表せる。
G1/G2=(f1/f2)・(I1/I2) (5)
【0098】
ここでG1/G2は、受光部4での受光結果から特定することができ、I1/I2は、制御部60による光射出部3の制御量から特定することができる。そして図10(a)の強度INT1、INT2と減衰係数f1、f2とは一意の関係にある。例えば減衰係数f1、f2が小さな値となり、減衰量が大きい場合は、強度INT1、INT2が小さいことを意味する。一方、減衰係数f1、f2が大きな値となり、減衰量が小さい場合は、強度INT1、INT2が大きいことを意味する。従って、上式(5)から減衰係数の比f1/f2を求めることで、対象物OBの方向、位置等を求めることが可能になる。
【0099】
より具体的には、一方の制御量I1をImに固定し、検出受光量の比G1/G2が1になるように、他方の制御量I2を制御する。例えば光源部LS1、LS2を逆相で交互に点灯させる制御を行い、検出受光量の波形を解析し、G1/G2=1になるように他方の制御量I2を制御する。そして、この時の他方の制御量I2=Im・(f1/f2)から、減衰係数の比f1/f2を求めて、対象物OBの方向、位置等を求める。
【0100】
また下式(6)、(7)のように、G1/G2=1になると共に制御量I1とI2の和が一定になるように制御してもよい。
G1/G2=1 (6)
Im=I1+I2 (7)
上式(6)、(7)を上式(5)に代入すると下式(8)が成立する。
G1/G2=1=(f1/f2)・(I1/I2)
=(f1/f2)・{(Im−I2)/I2} (8)
上式(8)より、I2は下式(9)のように表される。
I2={f1/(f1+f2)}・Im (9)
ここでα=f1/(f1+f2)とおくと、上式(9)は下式(10)のように表され、減衰係数の比f1/f2は、αを用いて下式(11)のように表される。
I2=α・Im (10)
f1/f2=α/(1−α) (11)
【0101】
従って、G1/G2=1になると共にI1とI2の和が一定値Imになるように制御すれば、そのときのI2、Imから式(10)によりαを求め、求められたαを式(11)に代入することで、減衰係数の比f1/f2を求めることができる。これにより、対象物OBの方向、位置等を求めることが可能になる。そしてG1/G2=1になると共にI1とI2の和が一定になるように制御することで、外乱光の影響等を相殺することが可能になり、検出精度の向上を図れる。
【0102】
7.変形例
次に、光射出部3の変形例を示す。図11は、光射出部の構造を示す模式平断面図である。図11が示すように、光射出部3として第1の照射ユニット3a、第2の照射ユニット3bが設けられる。これらの第1の照射ユニット3a、第2の照射ユニット3bは、対象物OBの検出エリアRDETのX−Y平面に沿った方向において所与の距離DSだけ離れて配置される。例えば、X軸方向に沿って距離DSだけ離れて配置される。
【0103】
第1の照射ユニット3aは、照射方向に応じて強度が異なる第1の照射光を放射状に射出する。第2の照射ユニット3bは、照射方向に応じて強度が異なる第2の照射光を放射状に射出する。受光部4は、第1の照射ユニット3aからの第1の照射光が対象物OBに反射されることによる第1の反射光LRと、第2の照射ユニット3bからの第2の照射光が対象物OBに反射されることによる第2の反射光LRを受光する。そして検出部50は、受光部4での受光結果に基づいて、対象物OBの位置POBを検出する。
【0104】
具体的には検出部50は、第1の反射光LRの受光結果に基づいて、第1の照射ユニット3aに対する対象物OBの方向を第1の方向DDB1(角度θ1)として検出する。また第2の反射光LRの受光結果に基づいて、第2の照射ユニット3bに対する対象物OBの方向を第2の方向DDB2(角度θ2)として検出する。そして検出された第1の方向DDB1(θ1)及び第2の方向DDB2(θ2)と、第1の照射ユニット3a、第2の照射ユニット3bの間の距離DSとに基づいて、対象物OBの位置POBを求める。
【0105】
尚、本実施形態の発光制御手法は図5〜図9で説明した手法に限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば図9の光源部LS2を参照用光源部の発光素子として用いる手法を採用してもよい。この参照用光源部は、例えば他の光源部(図3のLS1、LS2)に比べて受光部4から近い距離に配置されたり、受光部4と同じ筐体内に配置されたりすることで、周囲光(外乱光、対象物OBからの反射光LR等)の入射が規制されるように配置設定される光源部である。
【0106】
そして制御部60が、第1の期間において光源部LS1と図示しない参照用光源部を交互に発光させ、受光部4での検出受光量が等しくなるように、光源部LS1と参照用光源部の発光制御を行う。また第2の期間において第2の光源部LS2と参照用光源部を交互に発光させ、受光部4での検出受光量が等しくなるように、第2の光源部LS2と参照用光源部の発光制御を行う。このようにすれば、光源部LS1が発光する第1の発光期間での検出受光量と、第2の光源部LS2が発光する第2の発光期間での検出受光量とが、参照用光源部を介して実質的に等しくなるように、発光制御が行われるようになる。
【0107】
また、参照用光源部を図11の光源部LS11〜LS22と共に用いてもよい。この参照用光源部は、例えば他の光源部(LS11〜LS22)に比べて受光部4から近い距離に配置されたり、受光部4と同じ筐体内に配置されたりすることで、周囲光(外乱光、対象物OBからの反射光LR等)の入射が規制されるように配置設定される光源部である。
【0108】
そして制御部60が、第1の期間において図11の第1の光源部LS11と図示しない参照用光源部を交互に発光させ、受光部4での検出受光量が等しくなるように、第1の光源部LS11と参照用光源部の発光制御を行う。また第2の期間において第2の光源部LS12と参照用光源部を交互に発光させ、受光部4での検出受光量が等しくなるように、第2の光源部LS12と参照用光源部の発光制御を行う。
【0109】
また第3の期間において第3の光源部LS21と参照用光源部を交互に発光させ、受光部4での検出受光量が等しくなるように、第3の光源部LS21と参照用光源部の発光制御を行う。また第4の期間において第4の光源部LS22と参照用光源部を交互に発光させ、受光部4での検出受光量が等しくなるように、第4の光源部LS22と参照用光源部の発光制御を行う。
【0110】
このようにすれば、第1の光源部LS11が発光する第1の発光期間での検出受光量と、第2の光源部LS12が発光する第2の発光期間での検出受光量とが、参照用光源部を介して実質的に等しくなるように、発光制御が行われるようになる。また第3の光源部LS21が発光する第3の発光期間での検出受光量と、第4の光源部LS22が発光する第4の発光期間での検出受光量とが、参照用光源部を介して実質的に等しくなるように、発光制御が行われるようになる。
【0111】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、対象物OBのZ座標位置に応じて位置情報の検出精度を異ならせることができる。従って、高い検出精度が要求されない検出エリアRDETには検出精度を低くする照射光が射出される。そして、高い検出精度が要求されない検出エリアRDETの対象物OBの検出精度を低くすること等ができる。また、高い検出精度が要求される検出エリアRDETには検出精度を高くする照射光が射出される。そして、高い検出精度が要求される検出エリアRDETの対象物OBの検出精度を高くすること等ができる。その結果、対象物OBのZ座標位置に応じて効率の良い光学式位置検出装置を実現することが可能になる。
【0112】
(2)本実施形態によれば、対象物OBのZ座標位置に応じて光射出周期を短く設定している。これにより、位置情報の検出精度を高めたり、応答速度を速くしたりすることができる。また対象物OBのZ座標位置に応じて光射出周期を長く設定することで、位置情報の検出精度を低めたり、応答速度を遅くしたりすることができる。その結果、対象物OBのZ座標位置に応じて検出精度や応答速度を設定すること等が可能になるため、検出効率の良い位置検出等が可能になる。また光射出周期を長く設定することで、消費電力を低減することができるため、電力効率の良い位置検出等が可能になる。
【0113】
(3)本実施形態によれば、対象物OBのZ座標位置に応じて、照射光LTの強度を変化させている。これにより、位置情報の検出精度を異ならせたり、消費電力を異ならせたりすることができる。その結果、対象物OBのZ座標位置に応じて、検出効率や電力効率の良い位置検出等が可能になる。
【0114】
(4)本実施形態によれば、光射出部3は、第1の光射出ユニットLSU1〜第3の光射出ユニットLSU3を有している。そして、第1の光射出ユニットLSU1〜第3の光射出ユニットLSU3は、対象面(スクリーン)20からの距離が異なるように配置されている。このようにすれば、第1の光射出ユニットLSU1〜第3の光射出ユニットLSU3のそれぞれに対応する検出エリアRDETをX−Y平面と交差する方向に沿って設定することができる。その結果、検出エリアRDETのZ座標位置毎に容易に検出精度を設定することが可能になる。
【0115】
(5)本実施形態によれば、第1の光射出ユニットLSU1〜第3の光射出ユニットLSU3によって照射される第1〜第3の検出エリアRDET1〜RDET3は、検出エリアを設定する対象面からの距離が長いほど、広く設定されている。そして、検出エリアRDETの広さと検出精度とは関係がある。このようにすれば、検出エリアRDETを設定する対象面からの距離に応じて、位置情報の検出精度を異ならせることができるため、検出効率の良い位置検出が可能になる。
【0116】
(6)本実施形態によれば、第1の光射出ユニットLSU1〜第3の光射出ユニットLSU3は、X−Y平面に交差する方向への照射光を制限する照射光制限部LMT1を有している。そして、対象面(スクリーン)20からの距離が短いほど、照射光の射出を制限する度合いが強くなるように設定されている。このようにすれば、検出エリアRDETを設定する対象面からの距離が短いほど、検出エリアRDETを狭く設定することができる。
【0117】
(7)本実施形態によれば、光射出部3は、検出エリアRDETにおける対象物OBの位置に応じて強度分布が異なる照射光LTを射出している。このようにすれば、対象物OBの位置に応じて反射光LRの強度が異なるため、受光部4の受光結果に基づいて、対象物OBの位置情報を検出することができる。
【0118】
(8)本実施形態によれば、電子機器は対象物OBの位置を検出する位置検出部を備えている。そして、位置検出部が上記に記載の光学式位置検出装置である。当該光学式位置検出装置は対象物OBのZ座標位置に応じて効率良く位置を検出できる。従って、電子機器はZ座標位置に応じて効率良く位置を検出できる光学式位置検出装置を備えた電子機器とすることができる。
【0119】
(9)本実施形態によれば、表示装置1は対象物OBの位置を検出する位置検出部を備えている。そして、位置検出部が上記に記載の光学式位置検出装置2である。当該光学式位置検出装置2は対象物OBのZ座標位置に応じて効率良く位置を検出できる。従って、表示装置1はZ座標位置に応じて効率良く位置を検出できる光学式位置検出装置2を備えた表示装置1とすることができる。
【0120】
尚、以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は総て本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、光学式位置検出装置2、電子機器及び表示装置の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0121】
1…表示装置、LMT1…照射光制限部、LR…反射光、LSU1…第1の光射出ユニット、LSU2…第2の光射出ユニット、LSU3…第3の光射出ユニット、LT…照射光、OB…対象物、RDET…検出エリア、3…光射出部、20…対象面(スクリーン)、50…検出部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X−Y平面に沿って設定される検出エリアに照射光を射出する光射出部と、
前記検出エリアにおいて前記照射光が対象物に反射したことによる反射光を受光する受光部と、
前記受光部の受光結果に基づいて、前記対象物の位置情報を検出する検出部と、を含み、
前記光射出部は、前記X−Y平面に直交するZ軸での前記対象物のZ座標位置に応じて、前記検出部が検出する前記位置情報の検出精度を異ならせるように前記照射光を射出することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式位置検出装置において、
前記光射出部は、前記対象物の前記Z座標位置に応じて、光射出周期を変化させることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学式位置検出装置において、
前記光射出部は、前記対象物の前記Z座標位置に応じて、前記照射光の強度を変化させることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学式位置検出装置において、
前記光射出部は、第1の光射出ユニット〜第n(nは2以上の整数)の光射出ユニットを有し、
前記X−Y平面と同じ向きを向く面を対象面とするとき、
前記第1の光射出ユニット〜前記第nの光射出ユニットは、前記対象面からの距離が異なるように配置されることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光学式位置検出装置において、
前記第1の光射出ユニット〜前記第nの光射出ユニットによって照射される第1の検出エリア〜第nの検出エリアは、前記対象面からの距離が長いほど、広く設定されることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の光学式位置検出装置において、
前記第1の光射出ユニット〜前記第nの光射出ユニットは、前記X−Y平面に交差する方向への前記照射光を制限する照射光制限部を有し、
前記対象面からの距離が短いほど、前記照射光の制限の度合いが強く設定されることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学式位置検出装置において、
前記光射出部は、前記検出エリアにおける前記対象物の位置に応じて強度分布が異なる前記照射光を射出することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項8】
対象物の位置を検出する位置検出部を備えた電子機器であって、
前記位置検出部が請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学式位置検出装置であることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
対象物の位置を検出する位置検出部を備えた表示装置であって、
前記位置検出部が請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学式位置検出装置を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項1】
X−Y平面に沿って設定される検出エリアに照射光を射出する光射出部と、
前記検出エリアにおいて前記照射光が対象物に反射したことによる反射光を受光する受光部と、
前記受光部の受光結果に基づいて、前記対象物の位置情報を検出する検出部と、を含み、
前記光射出部は、前記X−Y平面に直交するZ軸での前記対象物のZ座標位置に応じて、前記検出部が検出する前記位置情報の検出精度を異ならせるように前記照射光を射出することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式位置検出装置において、
前記光射出部は、前記対象物の前記Z座標位置に応じて、光射出周期を変化させることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学式位置検出装置において、
前記光射出部は、前記対象物の前記Z座標位置に応じて、前記照射光の強度を変化させることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学式位置検出装置において、
前記光射出部は、第1の光射出ユニット〜第n(nは2以上の整数)の光射出ユニットを有し、
前記X−Y平面と同じ向きを向く面を対象面とするとき、
前記第1の光射出ユニット〜前記第nの光射出ユニットは、前記対象面からの距離が異なるように配置されることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光学式位置検出装置において、
前記第1の光射出ユニット〜前記第nの光射出ユニットによって照射される第1の検出エリア〜第nの検出エリアは、前記対象面からの距離が長いほど、広く設定されることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の光学式位置検出装置において、
前記第1の光射出ユニット〜前記第nの光射出ユニットは、前記X−Y平面に交差する方向への前記照射光を制限する照射光制限部を有し、
前記対象面からの距離が短いほど、前記照射光の制限の度合いが強く設定されることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学式位置検出装置において、
前記光射出部は、前記検出エリアにおける前記対象物の位置に応じて強度分布が異なる前記照射光を射出することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項8】
対象物の位置を検出する位置検出部を備えた電子機器であって、
前記位置検出部が請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学式位置検出装置であることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
対象物の位置を検出する位置検出部を備えた表示装置であって、
前記位置検出部が請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学式位置検出装置を含むことを特徴とする表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−177983(P2012−177983A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39528(P2011−39528)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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