説明

光学式位置検出装置および入力機能付き表示システム

【課題】受光素子に対する電気ノイズに対する影響を阻止することにより、誤検出の発生を防止することのできる光学式位置検出装置、および当該光学式位置検出装置を備えた入力機能付き表示システムを提供すること。
【解決手段】光学式位置検出装置において、受光部13は、検出光が放射状に出射された検出対象空間に位置する対象物体で反射した検出光を受光する。受光部13には、受光素子130の受光面131を部分的に覆うシールド部材14が設けられている。シールド部材14において、入射部140は、受光面131に対する法線方向から一方側および反対側に傾くに伴って幅広になっている。従って、受光素子130での受光強度は、受光面131に対する法線方向から入射した検出光と、受光面131に対する法線方向から傾いた斜め方向から入射した検出光とにおいて差が小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置、および当該光学式位置検出装置を備えた入力機能付き表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
対象物体を光学的に検出する光学式位置検出装置としては、例えば、複数の点光源を互いに離間した位置に設け、複数の点光源の各々から透光部材を介して対象物体に向けて検出光を出射した際に、対象物体で反射した検出光が透光部材を透過して受光部で検出されるものが提案されている(特許文献1参照)。また、複数の点光源の各々から出射された検出光を、導光板を介して出射し、対象物体で反射した検出光を受光部で検出する方式の光学式位置検出装置も提案されている(特許文献2、3参照)。
【0003】
かかる光学式位置検出装置では、受光部として共通のものを用い、複数の点光源のうちの一部の点光源が点灯した際の受光部での受光強度と、他の一部の点光源が点灯した際の受光部での受光強度との比較結果に基づいて対象物体の位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−534554号公報
【特許文献2】特開2010−127671号公報
【特許文献3】特開2009−295318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の構成のままでは、点光源を高い周波数でパルス駆動すると、受光素子において、検出光を受光した際に出力する信号に電気ノイズの影響が及び、誤検出が発生しやすいという問題点がある。特に、受光部に用いた受光素子において、検出光を受光した際に出力する信号は、レベルの低い信号であるため、電気ノイズの影響を受けやすく、誤検出が発生しやすいという問題点がある。しかも、受光素子は、受光面に対する入射角度によって感度が変動するという感度指向性を有しており、受光面に対する法線方向から大きく傾いた方向から検出光が入射した場合には、信号のレベルが極めて低い。このため、受光面に対する法線方向から大きく傾いた方向に対象物体が位置する場合には特に、電気ノイズの影響によって、誤検出が発生しやすいという問題点がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、受光素子に対する電気ノイズに対する影響を阻止することにより、誤検出の発生を防止することのできる光学式位置検出装置、および当該光学式位置検出装置を備えた入力機能付き表示システムを提供することにある。
【0007】
また、本発明の課題は、さらに、受光素子の受光面に対して法線方向から大きく傾いた方向から検出光が入射した場合でも、誤検出の発生を防止することのできる光学式位置検出装置、および当該光学式位置検出装置を備えた入力機能付き表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る光学式位置検出装置は、検出光を出射する光源部と、前記検出光が出射された空間に位置する対象物体で反射した前記検出光を受光する受光部と、前記受光部での受光強度に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部と、を有し、前記受光部は、受光素子と、該受光素子の受光面に前記検出光を入射させる入射部をもって前記受光面を部分的に覆う遮光性のシールド部材と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る光学式位置検出装置において、光源部は、検出光を出射するとともに、受光部は、検出光が出射された空間に位置する対象物体で反射した検出光を受光する。ここで、受光部での受光強度は、対象物体の位置に対応するので、位置検出部は、受光部での受光強度に基づいて対象物体の位置を検出することができる。ここで、受光部は、受光素子と、受光素子の受光面に前記検出光を入射させる入射部をもって受光面を部分的に覆う遮光性のシールド部材とを備えているため、光源部をパルス駆動した場合でも、電気ノイズが受光素子に侵入することをシールド部材によって防止することができる。また、受光素子が検出光を受光した際に出力する信号のレベルが極めて低い場合でも、電気ノイズの影響を阻止することができる。それ故、本発明によれば、電気ノイズに起因する誤検出の発生を防止することができる。
【0010】
本発明において、前記受光面において、該受光面に対する法線方向から一方側に傾いた斜め方向から前記入射部を介して入射する光量および前記法線方向から前記一方側とは反対側に傾いた斜め方向から前記入射部を介して入射する光量が、前記法線方向から前記入射部を介して入射する光量より大であることが好ましい。かかる構成によれば、受光面に対する法線方向から大きく傾いた方向からでも、検出光が十分な光量をもって受光面に到達する。このため、受光素子の感度指向性の影響で、受光面に対する法線方向から大きく傾いた方向から入射する検出光に対する感度が低い場合でも、信号のレベルが著しく低くなることを防止することができる。それ故、広い角度範囲にわたって、十分な精度で対象物体の位置を検出することができる。
【0011】
本発明において、前記入射部は、前記一方側および前記反対側に対して直交する方向の幅寸法が、前記受光面に対する法線方向に位置する部分より、前記法線方向から前記一方側に傾いた斜め方向に位置する部分および前記法線方向から前記反対側に傾いた斜め方向に位置する部分で大である構成を採用することができる。かかる構成によれば、比較的簡素な構成で、斜め方向から入射する検出光を十分な光量をもって受光面に到達させることができる。
【0012】
本発明において、前記入射部は、前記一方側および前記反対側に向けて延在する第1入射部と、該第1入射部に対して前記一方側および前記反対側に直交する方向で隣り合う位置で前記一方側および前記反対側に向けて延在する第2入射部と、を備え、前記第1入射部を介して前記受光面に入射する光量と、前記第2入射部を介して前記受光面に入射する光量とが異なることが好ましい。かかる構成によれば、第1入射部と第2入射部とが並んでいる方向に傾いた斜め方向から受光素子に入射する検出光の受光バランスを調整することができる。
【0013】
本発明において、前記入射部には、導電性のメッシュ層が設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、入射部に相当する部分でもシールドを行うことができる。
【0014】
この場合、前記メッシュ層の開口密度は、前記受光面に対する法線方向に位置する部分より、前記法線方向から前記一方側に傾いた斜め方向に位置する部分および前記法線方向から前記反対側に傾いた斜め方向に位置する部分で大であることが好ましい。かかる構成によれば、比較的簡素な構成で、斜め方向から入射する検出光を十分な光量をもって受光面に到達させることができる。
【0015】
本発明において、前記入射部には、導電性および前記検出光に対する透光性を有する透光層が設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、入射部に相当する部分でもシールドを行うことができる。
【0016】
この場合、前記透光層の厚さは、前記受光面に対する法線方向に位置する部分より、前記法線方向から前記一方側に傾いた斜め方向に位置する部分および前記法線方向から前記反対側に傾いた斜め方向に位置する部分で薄い構成を採用することができる。かかる構成によれば、比較的簡素な構成で、斜め方向から入射する検出光を十分な光量をもって受光面に到達させることができる。
【0017】
本発明において、前記光源部は、第1方向、該第1方向に直交する第2方向、および前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向のうち、前記第1方向および前記第2方向より規定される仮想面に沿うように検出光を放射状に出射することが好ましい。かかる構成によれば、広い空間にわたって検出光を出射することができるので、検出対象空間が広い。
【0018】
本発明において、前記光源部は、第1期間中、前記検出光の出射強度を当該検出光の放射角度範囲の一方側から他方側に向かって減少させ、第2期間中、前記検出光の出射強度を前記放射角度範囲の他方側から一方側に向かって減少させ、前記位置検出部は、前記第1期間における前記受光部の受光強度と前記第2期間における前記受光部の受光強度との比較結果において、前記第1期間における前記受光部の受光強度と前記第2期間における前記受光部での受光強度とが等しくなったときの前記第1期間における前記光源部に対する第1駆動電流値と前記第2期間における前記光源部に対する第2駆動電流値との比較結果に基づいて、前記対象物体の位置を検出することが好ましい。かかる構成によれば、受光素子に感度変化が発生しても、誤検出が発生しない等の利点がある。
【0019】
本発明において、前記シールド部材には、グランド電位が印加されていることが好ましい。かかる構成によれば、シールド専用の電位を生成しなくても、シールド部材にシールド電位を印加することができる。
【0020】
本発明に係る光学式位置検出装置は、入力機能付き表示システム等、各種のシステムに利用することができる。例えば、画像が表示される表示面を備えた表示装置と、前記表示面に沿う方向の対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置と、を有し、当該光学式位置検出装置での前記対象物体の位置検出結果に基づいて前記画像が切り換えられる入力機能付き表示システムにおいて、本発明を適用した光学式位置検出装置を入力装置として用いることができる。また、画像を投射する画像投射装置と、画像の投射方向と交差する方向の対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置と、を有し、当該光学式位置検出装置での前記対象物体の位置検出結果に基づいて前記画像が切り換えられる入力機能付き表示システムにおいて、本発明を適用した光学式位置検出装置を入力装置として用いることができる。さらにまた、他のシステムとしては、電子ペーパーに対する入力システムや、入力機能付きウインドウシステムや、入力機能付きアミューズメントシステムに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の主要部を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の受発光ユニットの説明図である。
【図3】図2に示す受発光ユニットの主要部の構成を示す説明図である。
【図4】図3に示す受発光ユニットに構成した光源部の構成を模式的に示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の電気的構成等を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置における位置検出原理を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において対象物体のXY座標データを取得する原理を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置における受光部の構成を示す説明図である。
【図9】図8に示すシールド部材の入射部の説明図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置の受光部の構成を示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置の受光部の構成を示す説明図である。
【図12】本発明の実施の形態4に係る光学式位置検出装置の受光部の構成を示す説明図である。
【図13】本発明の実施の形態5に係る光学式位置検出装置の受発光ユニットの説明図である。
【図14】図13に示す受発光ユニットの主要部の構成を示す説明図である。
【図15】本発明の実施の形態6に係る光学式位置検出装置の受発光ユニットの説明図である。
【図16】図15に示す受発光ユニットの光源部の説明図である。
【図17】本発明の実施の形態7に係る光学式位置検出装置の受発光ユニットの説明図である。
【図18】本発明を適用した位置検出システムの具体例1(入力機能付き表示システム)の説明図である。
【図19】本発明を適用した位置検出システムの具体例2(入力機能付き表示システム/入力機能付き投射型表示システム)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、互いに交差する方向をX軸方向およびY軸方向とし、X軸方向およびY軸方向に交差する方向をZ軸方向とする。また、以下に参照する図面では、X軸方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とし、Y軸方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側、Z軸方向の一方側をZ1側とし、他方側をZ2側として表してある。
【0023】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の主要部を模式的に示す説明図であり、図1(a)、(b)は、光学式位置検出装置を検出光出射空間側の斜め方向からみたときの説明図、および光学式位置検出装置を正面からみたときの説明図である。
【0024】
図1において、本形態の位置検出システム1は、対象物体Obの位置を検出する光学式位置検出装置10を有しており、かかる光学式位置検出装置10は、X軸方向およびY軸方向により規定される仮想のXY平面(仮想面)に沿うように放射状に出射した検出光L2を利用して、対象物体Obの位置を検出する。本形態において、位置検出システム1は、XY平面に沿って広がる視認面41をZ軸方向の一方側Z1に備えた視認面構成部材40を有しており、光学式位置検出装置10は、視認面41に沿って検出光L2を出射し、視認面構成部材40に対して視認面41側(Z軸方向の一方側Z1)に位置する対象物体Obの位置を検出する。従って、位置検出システム1の検出対象空間10Rは、光学式位置検出装置10において検出光L2が出射される検出光出射空間であり、検出対象空間10Rには、後述する検出光L2の光強度分布が形成される。かかる位置検出システム1は、光学式位置検出装置10によって、後述する電子黒板等の入力機能付き表示システムや入力機能付き投射型表示システム等として用いることができる。
【0025】
本形態の位置検出システム1において、光学式位置検出装置10は、視認面41(XY平面)に沿って検出光L2を放射状に出射する光源部12(線状光源部)と、検出光L2の出射空間(検出対象空間10R)に位置する対象物体Obで反射した検出光L2(反射光L3)を受光する受光部13とを備えている。
【0026】
本形態においては、光源部12として、視認面構成部材40に対してY軸方向の一方側Y1に離間する位置で検出対象空間10Rに向く2つの光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)が用いられており、第1光源部12Aと第2光源部12Bとは、X軸方向で離間し、Y軸方向では同一の位置にある。また、本形態においては、受光部13として、視認面構成部材40に対してY軸方向の一方側Y1に離間する位置で検出対象空間10Rに向く第1受光部13Aおよび第2受光部13Bが用いられており、第1受光部13Aと第2受光部13Bとは、X軸方向で離間し、Y軸方向では同一の位置にある。
【0027】
ここで、第1受光部13Aは、第1光源部12Aから放射状に出射される検出光L2(検出光L2a)の放射中心位置に配置されており、第1受光部13Aと第1光源部12Aとは第1受発光ユニット15Aとして一体化されている。また、第2受光部13Bは、第2光源部12Bから放射状に出射される検出光L2(検出光L2b)の放射中心位置に配置されており、第2受光部13Bと第2光源部12Bとは第2受発光ユニット15Bとして一体化されている。
【0028】
後述するように、2つの光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)は各々、LED(発光ダイオード)等の発光素子からなる光源(点光源)を備えており、ピーク波長が840〜1000nmに位置する赤外光からなる検出光L2(検出光L2a、L2b)を発散光として出射する。受光部13(第1受光部13Aおよび第2受光部13B)は各々、フォトダイオードやフォトトランジスター等の受光素子130を備えており、本形態において、受光素子130は赤外域に感度ピークを備えたフォトダイオードである。
【0029】
第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは、視認面構成部材40よりZ軸方向の一方側Z1に突出した位置にある。また、第1受発光ユニット15Aと第2受発光ユニット15Bとは異なる期間において動作する。従って、第1受発光ユニット15Aにおいて、第1光源部12Aから検出光L2aが出射された際、第1受光部13Aは、検出対象空間10Rに位置する対象物体Obで反射した検出光L2a(反射光L3)を受光する。かかる動作とは異なる期間において、第2受発光ユニット15Bにおいて、第2光源部12Bから検出光L2bが出射された際、第2受光部13Bは、検出対象空間10Rに位置する対象物体Obで反射した検出光L2b(反射光L3)を受光する。
【0030】
(光源部12の具体的構成)
図2は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10の受発光ユニットの説明図である。図3は、図2に示す受発光ユニットの主要部の構成を示す説明図である。図4は、図3に示す受発光ユニットに構成した光源部12の構成を模式的に示す説明図であり、第1期間の第1点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示す説明図、および第2期間の第2点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示す説明図である。なお、図2では、シールド部材の図示を省略してある。
【0031】
図2に示すように、本形態の光学式位置検出装置10において、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは同一の構成を有しており、それ故、第1光源部12Aおよび第2光源部12Bも同一の構成を有している。より具体的には、第1受発光ユニット15Aは、Z軸方向からみたときに扇形形状あるいは半円形状を有する光源支持部材150を有している。かかる光源支持部材150は、第1光源支持部材151と第2光源支持部材152とがZ軸方向で重ねられた構造になっており、第1光源支持部材151および第2光源支持部材152は各々、扇形形状あるいは半円形状の鍔部156a、156bを備えている。鍔部156a、156bにより挟まれた部分は、第1光源部12Aから検出光L2が出射される出射部になっており、鍔部156a、156bは、Z軸方向における検出光L2の出射範囲を制限している。
【0032】
第1受発光ユニット15Aにおいて、第1光源部12Aは、検出光L2の出射部として、Z軸方向に重ねて配置された第1光源モジュール126と第2光源モジュール127とを備えている。第1光源部12Aにおいて、第1光源モジュール126と第2光源モジュール127とによってZ軸方向で挟まれた部分は透光性の導光部128になっており、かかる導光部128の奥に第1受光部13Aの受光素子130が配置されている。第2受発光ユニット15Bも、第1受発光ユニット15Aと同様な構成を有しているため、説明を省略する。
【0033】
図3に示すように、第1受発光ユニット15Aにおいて、第1光源モジュール126および第2光源モジュール127はいずれも、発光ダイオード等の発光素子からなる光源120、および円弧状のライトガイドLGを備えている。第2受発光ユニット15Bにおいても、第1受発光ユニット15Aと同様、第1光源モジュール126および第2光源モジュール127はいずれも、発光ダイオード等の発光素子からなる光源120、および円弧状のライトガイドLGを備えている。
【0034】
図4に示すように、第1光源モジュール126は、光源120として、赤外光を出射する発光ダイオード等の発光素子からなる第1光源121を備えているとともに、円弧状のライトガイドLGを備えており、第1光源121は、ライトガイドLGの一方の端部LG1に配置されている。また、第1光源モジュール126は、ライトガイドLGの円弧状の外周面LG3に沿って、光学シートPSおよびルーバーフィルムLF等を備えた円弧状の照射方向設定部LEを備え、ライトガイドLGの円弧状の内周面LG4に沿って、円弧状の反射シートRSを備えている。第2光源モジュール127も、第1光源モジュール126と同様、光源120として、赤外光を出射する発光ダイオード等の発光素子からなる第2光源122を備えているとともに、円弧状のライトガイドLGを備えており、第2光源122は、ライトガイドLGの他方の端部LG2に配置されている。また、第2光源モジュール127も、第1光源モジュール126と同様、ライトガイドLGの円弧状の外周面LG3に沿って、光学シートPSおよびルーバーフィルムLF等を備えた円弧状の照射方向設定部LEを備え、ライトガイドLGの円弧状の内周面LG4に沿って、円弧状の反射シートRSを備えている。なお、ライトガイドLGの外周面LG3および内周面LG4のうちの少なくとも一方には、ライトガイドLGからの検出光L2の出射効率を調整するための加工が施されており、かかる加工手法としては、例えば反射ドットを印刷する方式や、スタンパーやインジェクションにより凹凸を付す成型方式や、溝加工方式を採用することができる。第2受発光ユニット15Bも、第1受発光ユニット15Aと同様な構成を有しているため、説明を省略する。
【0035】
(位置検出部等の構成)
図5は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10の電気的構成等を示す説明図であり、図5(a)、(b)は、制御用ICの構成を示す説明図、および光源に供給される駆動信号の説明図である。
【0036】
本形態の位置検出システム1に用いた光学式位置検出装置10において、図1〜図4等を参照して説明した第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは、図5(a)に示す制御用IC70に電気的に接続されている。ここで、制御用IC70は、第1受発光ユニット15Aに電気的接続された第1制御用IC70Aと、第2受発光ユニット15Bに電気的接続された第2制御用IC70Bとからなり、第1受発光ユニット15Aの第1光源部12Aおよび第1受光部13Aは、第1制御用IC70Aに電気的接続されている。また、第2受発光ユニット15Bの第2光源部12Bおよび第2受光部13Bは、第2制御用IC70Bに電気的接続されている。
【0037】
第1制御用IC70Aおよび第2制御用IC70Bは、同一構成を有しており、いずれも共通の制御装置60に電気的接続されている。まず、第1制御用IC70Aは、基準クロック、A相基準パルス、B相基準パルス、タイミング制御パルス、同期クロック等を生成する複数の回路(図示せず)を有している。また、第1制御用IC70Aは、A相基準パルスに基づいて所定の駆動パルスを生成するパルス発生器75aと、B相基準パルスに基づいて所定の駆動パルスを生成するパルス発生器75bと、パルス発生器75aおよびパルス発生器75bが生成した駆動パルスを第1光源部12Aの第1光源121および第2光源122の何れに印加するかを制御するスイッチ部76とを有している。かかるパルス発生器75a、75b、およびスイッチ部76は光源駆動部51を構成している。
【0038】
また、第1制御用IC70Aは、第1受光部13Aでの検出結果を増幅する増幅部等を備えた受光量測定部73と、受光量測定部73での測定結果に基づいてパルス発生器75a、75bを制御して第1光源部12Aの光源120(第1光源121および第2光源122)に供給する駆動パルスの駆動電流値(第1駆動電流値)を調整する調整量算出部74とを備えている。かかる受光量測定部73および調整量算出部74は、位置検出部50の一部の機能を担っている。なお、調整量算出部74は、パルス発生器75a、75bに対する制御信号を出力するアナログ−デジタル変換部等を備えている。
【0039】
第2制御用IC70Bも、第1制御用IC70Aと同様、第2受光部13Bでの検出結果を増幅する増幅部等を備えた受光量測定部73や、受光量測定部73での測定結果に基づいてパルス発生器75a、75bを制御して第2光源部12Bの光源120(第1光源121および第2光源122)に供給する第2駆動電流値を調整する調整量算出部74等を備えている。かかる受光量測定部73および調整量算出部74は、位置検出部50の一部の機能を担っている。
【0040】
第1制御用IC70Aおよび第2制御用IC70Bは、パーソナルコンピューター等の上位の制御装置60の制御部61によって制御されており、かかる制御装置60は、受光量測定部73および調整量算出部74とともに位置検出部50を構成する座標データ取得部55を有している。従って、本形態において、位置検出部50は、制御用IC70(第1制御用IC70Aおよび第2制御用IC70B)の受光量測定部73および調整量算出部74と、上位の制御装置60(パーソナルコンピューター)の座標データ取得部55とによって構成されている。
【0041】
本形態では、光源部12として、互いに離間した位置に配置された第1光源部12Aと第2光源部12Bとを有している。従って、座標データ取得部55は、第1光源部12Aに対する駆動結果に基づいて、第1光源部12Aの放射中心に対する対象物体Obの角度位置を検出する第1角度位置検出部551と、第2光源部12Bに対する駆動結果に基づいて、第2光源部12Bの放射中心に対する対象物体Obの角度位置を検出する第2角度位置検出部552とを有している。また、座標データ取得部55は、第1角度位置検出部551で得られた対象物体Obの角度位置と、第2角度位置検出部552で得られた対象物体Obの角度位置とに基づいて対象物体ObのXY座標データを確定する座標データ確定部553を備えている。
【0042】
なお、本形態では、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bに対して1対1の関係をもって2つの制御用IC70(第1制御用IC70A、第2制御用IC70B)を用いたが、制御用IC70を多チャンネル化し、1つの制御用IC70によって第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bを駆動してもよい。
【0043】
このように構成した光学式位置検出装置10において、第1制御用IC70Aの光源駆動部51は、図5(b)に示すように、第1期間(第1点灯動作時)では、第1光源部12Aの第1光源121に高周波数の駆動パルスを印加し、第2期間(第2点灯動作時)では、第1光源部12Aの第2光源122に第1光源121に印加する駆動パルスと逆相の駆動パルスを印加する。その後、第2制御用IC70Bの光源駆動部51は、第1期間(第1点灯動作時)では、第2光源部12Bの第1光源121に高周波数の駆動パルスを印加するとともに、第2期間(第2点灯動作時)では、第2光源部12Bの第2光源122に第1光源121に印加する駆動パルスと逆相の駆動パルスを印加する。なお、光学式位置検出装置10において、光源部12に対する駆動電流値を制御するにあたっては、電圧変調やパルス幅変量が行われる。
【0044】
(座標検出原理)
図4に示すように、本形態の光学式位置検出装置10において、図5(a)を参照して説明した光源駆動部51は、光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)のいずれにおいても、検出光L2の出射強度が検出光L2の放射角度範囲の一方側から他方側に向かって減少する第1点灯動作(第1期間)と、検出光L2の出射強度が検出光L2の放射角度範囲の他方側から一方側に向かって減少する第2点灯動作(第2期間)とを行わせる。
【0045】
より具体的には、光源駆動部51は、第1光源部12Aに対して、第1点灯動作時(第1期間)には、第1光源モジュール126の第1光源121を点灯させ、検出対象空間10Rに検出光L2を出射させる。その際、第2光源122は消灯状態にある。その結果、検出対象空間10Rには第1光強度分布LID1が形成される。かかる第1光強度分布LID1は、図4(a)に矢印の長さにより出射光の強度を示すように、一方の端部LG1に対応する角度方向から他方の端部LG2に対応する角度方向に向けて強度が単調に低下する強度分布である。
【0046】
また、光源駆動部51は、第1光源部12Aに対して、第2点灯動作時(第2期間)には、第2光源モジュール127の第2光源122を点灯させ、検出対象空間10Rに検出光L2を出射させる。その際、第1光源121は消灯状態にある。その結果、検出対象空間10Rには第2光強度分布LID2が形成される。かかる第2光強度分布LID2は、図4(b)に矢印の長さにより出射光の強度を示すように、他方の端部LG2に対応する角度方向から一方の端部LG1に対応する角度方向に向けて強度が単調に低下する強度分布である。
【0047】
なお、第2光源部12Bにおいて、第1光源モジュール126の第1光源121が点灯した第1点灯動作時、および第2光源モジュール127の第2光源122が点灯した第2点灯動作時にも、第1光源部12Aと同様、第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2が形成される。従って、後述するように、第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2を利用すれば、第1光源部12Aおよび第2光源部12Bの中心PEの距離DS(図7参照)が固定であるので、対象物体Obの位置を検出することができる。
【0048】
(対象物体Obの角度位置の検出)
図6は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10における位置検出原理を示す説明図であり、図6(a)、(b)は光強度分布の説明図、および対象物体が存在する位置情報(方位情報)を取得する方法の説明図である。図7は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10において対象物体ObのXY座標データを取得する原理を示す説明図である。
【0049】
まず、第1光源部12Aの第1光源モジュール126において、第1光強度分布LID1を形成した際、検出光L2の照射方向と、検出光L2の強度とは、図6(a)に線E1で示す直線関係にある。また、第1光源部12Aの第2光源モジュール127において、第2光強度分布LID2を形成した際、検出光L2の照射方向と、検出光L2の強度とは、図6(a)に線E2で示す直線関係にある。ここで、図6(b)および図7に示すように、第1光源部12Aの中心PE(第1光源モジュール126の中心/検出光L2の放射中心位置)からみて角度θの方向に対象物体Obが存在するとする。この場合、第1光強度分布LID1を形成したとき、対象物体Obが存在する位置での検出光L2の強度はINTaとなる。これに対して、第2光強度分布LID2を形成したとき、対象物体Obが存在する位置での検出光L2の強度はINTbとなる。従って、第1光強度分布LID1を形成した際の第1受光部13Aでの検出強度と、第2光強度分布LID2を形成した際の第2受光部13Bでの検出強度とを比較して、強度INTa、INTbの関係を求めれば、図6(b)および図7に示すように、第1光源部12Aの中心PEを基準に対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ1/角度位置)を求めることができる。
【0050】
かかる原理を利用して、対象物体Obの角度位置(角度θ1)を検出するにあたって、本形態では、第1光源部12Aにおいて、第1光源モジュール126によって第1光強度分布LID1を形成した際の第1受光部13Aでの検出強度と、第2光源モジュール127によって第2光強度分布LID2を形成した際の第1受光部13Aでの検出強度とが等しくなるように、第1光源121に対する第1駆動電流値、および第2光源122に対する第2駆動電流値を調整する。ここで、第1光源部12Aからの検出光L2の出射強度は、第1光源121に対する第1駆動電流値、および第2光源122に対する第2駆動電流値に比例する。従って、第1光源121に対する第1駆動電流値、および第2光源122に対する第2駆動電流値を調整した後の第1駆動電流値と第2光源122との比や差、あるいは駆動電流値を調整した際の調整量の比や差から対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ1)を求めることができる。
【0051】
より具体的には、まず、図5に示す第1制御用IC70Aの光源駆動部51は、第1点灯動作として第1光源121を点灯させて第1光強度分布LID1を形成した後、第2点灯動作として第2光源122を点灯させて第2光強度分布LID2を形成する。この際、第1光強度分布LID1と第2光強度分布LID2とは強度変化の向きは逆向きであるが、強度レベルは同一である。そして、図5に示す位置検出部50の調整量算出部74は、第1点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTbとを比較する。その結果、第1点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTbとが等しければ、対象物体Obの角度位置は0°である。
【0052】
これに対して、受光強度INTa、INTbが相違している場合、第1点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTbとが等しくなるように、第1光源121に対する第1駆動電流値、および第2光源122に対する第2駆動電流値を調整する。そして、再度、第1点灯動作と第2点灯動作とを行った際に、第1点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTbとが等しければ、図5に示す第1角度位置検出部551は、かかる調整を行った後の第1光源121および第2光源122に対する駆動電流の比や差、あるいは駆動電流の調整量の比や差から対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ1)を求めることができる。
【0053】
かかる動作を第2光源部12Bにおいても行えば、図5に示す第2角度位置検出部552は、第2光源部12Bの中心PEを基準に対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ2/角度位置)を求めることができる。従って、図5に示す座標データ確定部553は、第1角度位置検出部551で検出した角度位置(角度θ1の方向)と、第2角度位置検出部552で検出した角度位置(角度θ2の方向)の交点に相当する位置を対象物体Obが位置するXY座標データとして取得する。
【0054】
[受光部13の詳細構成]
図8は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10における受光部13の構成を示す説明図であり、図8(a)、(b)は、受光素子130の説明図、およびシールド部材の説明図である。図9は、図8に示すシールド部材の入射部の説明図であり、図9(a)、(b)、(c)は、受光素子の感度指向性を示すグラフ、入射部の形状を示す説明図、および受光素子の感度指向性と入射部の幅寸法との関係を示す説明図である。なお、図2、図3、図4、図7等においては、光源部12が180°の放射角度範囲に検出光L2を出射する構成例を示したが、以下に説明するシールド部材については、光源部12が120°の放射角度範囲に検出光L2を出射する構成例を説明する。
【0055】
本形態の光学式位置検出装置10において、受光部13は、図8(a)に示す受光素子130と、図8(b)に示すシールド部材14と、受光素子130が実装された配線基板139とを備えている。受光素子130は、配線基板139のY軸方向の他方側Y2の面に実装されており、Y軸方向の一方側Y1(光源部12が位置する側)に受光面131を向けている。受光素子130は、全体として直方体形状の素子本体135と、素子本体135のX軸方向の両端面から突出して配線基板139に電気的に接続された端子136、137とを備えている。
【0056】
シールド部材14は、受光素子130の受光面131に検出光L2を入射させる入射部140をもって受光面131を外周縁に沿って部分的に覆う天板部143と、端子136、137を含む受光素子130の側面全体を覆う側板部148とを備えた金属部品であり、シールド部材14は、遮光性および導電性を有している。ここで、シールド部材14は、配線基板139と重なる部分でハンダ等により電気的に接続されており、シールド部材14には配線基板139を介してシールド電位が印加されている。本形態において、シールド電位としては、受光素子130に印加される逆バイアスの電圧値より低い定電位が採用されており、本形態では、シールド電位としてグランド電位がシールド部材14に印加されている。従って、受光素子130は、配線基板139に形成されているグランドパターンと、グランド電位が印加されたシールド部材14とによって囲まれており、電気ノイズが受光素子130に侵入することが防止されている。
【0057】
ここで、受光素子130の受光面131のうち、シールド部材14から露出している部分132は、受光面131に対する法線方向(Y軸方向)から一方側(X軸方向の一方側X1)、および法線方向(Y軸方向)から一方側(X軸方向の一方側X1)とは反対側(X軸方向の他方側X2)に傾いた斜め方向から入射部140を介して入射する光量が、法線方向から入射部140を介して入射する光量より大となっている。
【0058】
かかる構成を実現するにあたって、本形態のシールド部材14において、天板部143は、Y軸方向の他方側Y2に突き出るようにX軸方向において円弧状に湾曲しており、かかる天板部143に形成されたスリット状の開口部140a(入射部140)の形状は、図9(a)に示す受光素子130の感度指向性に対応する構成になっている。すなわち、受光素子130(フォトダイオード)の受光感度は、図9(a)および図9(c)の菱形および実線C1により示す入射角度依存性(感度指向性)を有しており、受光面131に対する法線方向に感度ピーク方向を有している。また、受光素子130は、検出光L2の入射角度が受光面131に対する法線方向から60°以上傾くと、感度ピーク値に対して1/2未満の感度となり、感度が著しく低い。そこで、本形態では、受光素子130の感度における入射角度依存性を相殺するように、入射部140のZ軸方向の幅寸法をX軸方向で相違させてある。
【0059】
より具体的には、シールド部材14において、天板部143に形成された入射部140は、図8(b)、図9(b)、および図9(c)の四角および実線C2により示すように、X軸方向の中央部分では、幅寸法Wが狭く、中央からX軸方向の一方側X1および他方側X2に向かって幅寸法Wが広くなっている。また、シールド部材14において、天板部143は、Y軸方向の他方側Y2に突き出るようにX軸方向において湾曲している。しかも、本形態では、入射部140においてZ軸方向で対向する2つの辺部分145、146については、辺部分145、146の双方を斜めに切り欠いた複数の部分により形成し、入射部140の幅寸法Wは、受光面131の中心位置からみて、受光面131に対する法線方向(Y軸方向)から一方側(X軸方向の一方側X1)および反対側(X軸方向の他方側X2)に傾くに伴って徐々に広くなっている。このため、受光素子130の受光面131のうち、シールド部材14から露出している部分132への入射光量は、受光面131の中心位置からみて、受光面131に対する法線方向(Y軸方向)から一方側(X軸方向の一方側X1)および反対側(X軸方向の他方側X2)に傾くに伴って大である。従って、受光素子130での受光強度は、受光面131に対する法線方向から入射した検出光L2と、受光面131に対する法線方向からX軸方向に傾いた斜め方向から入射した検出光L2とにおいて差が小さい。
【0060】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学式位置検出装置10において、光源部12は、検出光L2を放射状に出射するとともに、検出光L2の放射角度範囲において一方側から他方側に向かって強度が変化する光強度分布(第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2)を形成し、受光部13は、光強度分布が形成された検出対象空間10Rに位置する対象物体Obで反射した検出光L2を受光する。ここで、対象物体Obで反射した検出光L2の強度は、光強度分布において対象物体Obが位置する箇所での強度に比例するので、受光部13での受光強度は、対象物体Obの位置に対応する。従って、位置検出部50は、受光部13での受光強度に基づいて対象物体Obの位置を検出することができる。かかる方式によれば、光源部12から放射状に出射された検出光L2の光強度分布を利用するので、広い空間にわたって光強度分布を形成することができ、検出対象空間10Rが広い。
【0061】
また、受光部13には、受光素子130の受光面131を部分的に覆うシールド部材14が設けられており、受光素子130は、シールド電位(グランド電位)が印加されたシールド部材14と、配線基板139においてシールド電位が印加された導電パターンとによって囲まれている。このため、光源部12を高周波数でパルス駆動した場合でも、電気ノイズが受光素子130に侵入することを防止することができる。また、受光素子130が検出光L2を受光した際に出力する信号のレベルが極めて低い場合でも、電気ノイズの影響を阻止することができる。それ故、本形態によれば、電気ノイズに起因する誤検出の発生を防止することができる。
【0062】
また、シールド部材14の入射部140は、受光面131に対する法線方向(Y軸方向)から一方側(X軸方向の一方側X1)および反対側(X軸方向の他方側X2)に傾くに伴って幅広になっている。このため、受光素子130の受光面131への入射光量は、受光面131に対する法線方向(Y軸方向)から一方側(X軸方向の一方側X1)および反対側(X軸方向の他方側X2)に傾くに伴って大である。従って、受光面131に対する法線方向から大きく傾いた方向からでも、検出光L2が十分な光量をもって受光面に到達する。それ故、受光素子130の感度指向性の影響で、受光面131に対する法線方向から大きく傾いた方向から入射する検出光L2に対する感度が低い場合でも、信号のレベルが著しく低くなることを防止することができる。よって、本形態によれば、広い角度範囲にわたって、十分な精度で対象物体Obの位置を検出することができる。
【0063】
また、位置検出部50は、光源部12での第1点灯動作時(第1期間)および第2点灯動作時(第2期間)における受光部13での受光強度が等しくなるように第1点灯動作時に光源部12に供給する第1駆動電流値と、第2点灯動作時に光源部12に供給する第2駆動電流値との比較結果に基づいて角度位置を検出する。かかる構成によれば、対象物体Obの位置によって受光部13での受光強度から直接、対象物体Obの角度位置を検出する場合と違って、受光部13での受光強度が大であればある程、検出精度が向上するので、受光素子130の感度指向性をシールド部材14の入射部140で吸収した効果が大きい。また、本形態によれば、受光部13での受光強度から直接、対象物体Obの角度位置を検出する場合に比較して、外光の影響や受光部13での感度変化等の影響を受けにくいという利点がある。
【0064】
さらに、検出光L2は赤外光であるため、視認されない。従って、視認面41に情報が表示されている場合でも、検出光L2が情報の視認を妨げないという利点がある。
【0065】
[実施の形態2]
図10は、本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置10の受光部13の構成を示す説明図であり、図10(a)、(b)は、シールド部材14の説明図、入射部の形状を示す説明図、およびデフォルト状態での点灯動作を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して説明する。また、本形態でも、実施の形態1と同様、シールド部材14については、光源部12が120°の放射角度範囲に検出光L2を出射する構成例を説明する。
【0066】
図10(a)に示すように、本形態でも、実施の形態1と同様、受光部13は、受光素子130、シールド部材14、および配線基板139を備えており、シールド部材14は、受光素子130の受光面131に検出光L2を入射させる入射部140をもって受光面131を部分的に覆っている。この状態で、受光素子130は、シールド電位(グランド電位)が印加されたシールド部材14と、配線基板139においてシールド電位が印加された導電パターンとによって囲まれているため、電気ノイズが受光素子130に侵入することを防止することができる。また、本形態でも、実施の形態1と同様、シールド部材14において、入射部140が形成された天板部143は、Y軸方向の他方側Y2に突き出るようにX軸方向において円弧状に湾曲しており、かかる天板部143のスリット状の開口部140aによって入射部140が形成されている。
【0067】
本形態において、入射部140は、天板部143において、X軸方向に向けて延在する第1入射部141と、第1入射部141に対してZ軸方向で隣り合う位置でX軸方向に向けて延在する第2入射部142とからなる。ここで、第1入射部141の幅寸法W1、および第2入射部142の幅寸法W2はいずれも、受光面131の中心位置からみて、受光面131に対する法線方向(Y軸方向)から一方側(X軸方向の一方側X1)および反対側(X軸方向の他方側X2)に傾くに伴って徐々に広くなっている。このため、受光素子130の受光面131のうち、シールド部材14から露出している部分132への入射光量は、受光面131に対する法線方向(Y軸方向)から一方側(X軸方向の一方側X1)および反対側(X軸方向の他方側X2)に傾くに伴って大である。従って、受光素子130での受光強度は、受光面131に対する法線方向から入射した検出光L2と、受光面131に対する法線方向からX軸方向に傾いた斜め方向から入射した検出光L2とにおいて差が小さいので、広い角度範囲にわたって、十分な精度で対象物体Obの位置を検出することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0068】
また、本形態では、図1に示す視認面41に近い第2入射部142の幅寸法W2が、視認面41から遠い第1入射部141の幅寸法W1より小である。このため、光学式位置検出装置10の形態や使用状況によって、第1入射部141と第2入射部142とが並んでいるZ軸方向において傾いた斜め方向から受光素子130に入射する検出光L2の受光バランスを調整することができる。
【0069】
より具体的には、本形態の光学式位置検出装置10の初期条件を設定する際、図10(c)に示すように、検出対象空間10Rに対象物体Obが存在しないデフォルト状態で光源部12から検出光L2を出射し、その際の受光素子130での受光強度に基づいて、光源部12に対して初期的に供給する駆動電流の条件や、調整量算出部74のアナログ−デジタル変換部におけるレンジ中心値等を設定する。その際、本形態では、図2等を参照して説明した2つの光源モジュール(第1光源モジュール126および第2光源モジュール127)を順次点灯させ、その際の受光素子130での受光強度に基づいて、第1光源モジュール126に対して初期的に供給する駆動電流の条件、第2光源モジュール127に対して初期的に供給する駆動電流の条件、アナログ−デジタル変換部におけるレンジ中心値等を設定する。この場合、視認面41に近い第1光源モジュール126が点灯すると、視認面41から遠い第2光源モジュール127が点灯した場合に比して、図10(c)に矢印L31、L32で示すように、視認面41で散乱した光(図10(c)に矢印L31で示す光)や、視認面41近くに置かれた備品等で反射した光(図10(c)に矢印L32で示す光)が受光素子130に入射しやすい。その結果、第1光源モジュール126が点灯した際の受光部13での受光強度が、第2光源モジュール127が点灯した際の受光部13での受光強度に比して大となる。その結果、第1光源モジュール126に対して初期的に供給する駆動電流の条件と、第2光源モジュール127に対して初期的に供給する駆動電流の条件とが大きく異なってしまうことになる。また、調整量算出部74のアナログ−デジタル変換部におけるレンジ中心値が片方に偏ってしまう。
【0070】
しかるに本形態によれば、視認面41近くの第2入射部142の幅寸法W2が、視認面41から遠い第1入射部141の幅寸法W1より小であるため、デフォルト状態で、第1光源モジュール126を点灯させた際の受光素子130での受光強度と、第2光源モジュール127を点灯させた際の受光素子130での受光強度との差が小さい。それ故、第1光源モジュール126および第2光源モジュール127に対して初期的に供給する駆動電流の条件の適正化や、調整量算出部74のアナログ−デジタル変換部におけるレンジ中心値の適正化等を図ることができる。
【0071】
[実施の形態3]
図11は、本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置10の受光部13の構成を示す説明図であり、図11(a)、(b)、(c)は、シールド部材14の説明図、入射部を構成するメッシュの開口密度を示す説明図、およびシールド部材14の別の構成例を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して説明する。また、本形態でも、実施の形態1と同様、シールド部材14については、光源部12が120°の放射角度範囲に検出光L2を出射する構成例を説明する。
【0072】
図11(a)に示すように、本形態でも、実施の形態1と同様、受光部13は、受光素子130、シールド部材14、および配線基板139を備えており、シールド部材14は、受光素子130の受光面131に検出光L2を入射させる入射部140をもって受光面131を部分的に覆っている。また、本形態でも、実施の形態1と同様、シールド部材14において、入射部140が形成された天板部143は、Y軸方向の他方側Y2に突き出るようにX軸方向において湾曲している。
【0073】
ここで、入射部140の幅寸法WはX軸方向において同等である。但し、入射部140は、開口部140dが分布するメッシュ部140cとして形成されており、かかるメッシュ部140cの開口密度は、受光素子130の感度指向性に対応して、X軸方向において変化している。このため、受光素子130の受光面131のうち、シールド部材14から露出している部分132は、受光面131に対する法線方向(Y軸方向)から一方側(X軸方向の一方側X1)に傾いた斜め方向からシールド部材14の入射部140を介して入射する光量、および法線方向(Y軸方向)から一方側(X軸方向の一方側X1)とは反対側(X軸方向の他方側X2)に傾いた斜め方向から入射部140を介して入射する光量が、法線方向から入射部140を介して入射する光量より大となっている。
【0074】
より具体的には、本形態のシールド部材14において、入射部140に設けられたメッシュ部140cの開口部140dは、図11(b)に示すように、X軸方向の中央部分では、開口密度が低く、中央からX軸方向の一方側X1および他方側X2に向かって開口密度が高くなっている。このため、受光素子130の受光面131のうち、シールド部材14から露出している部分132への入射光量は、受光面131の中心位置からみて、受光面131に対する法線方向(Y軸方向)から一方側(X軸方向の一方側X1)および反対側(X軸方向の他方側X2)に傾くに伴って大である。従って、受光素子130での受光強度は、受光面131に対する法線方向から入射した検出光L2と、受光面131に対する法線方向からX軸方向に傾いた斜め方向から入射した検出光L2とにおいて差が小さいので、広い角度範囲にわたって、十分な精度で対象物体Obの位置を検出することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0075】
また、入射部140は、金属部品に開口部140dを形成したメッシュ部140cからなり、かかるメッシュ部140cは導電性を有している。このため、入射部140でもシールドを行うことができるという効果を奏する。
【0076】
なお、図11(c)に示すように、入射部140の幅寸法Wが、実施の形態1、2のようにX軸方向において変化しているシールド部材14に対して、X軸方向において開口密度が変化しているメッシュ部140cを設けてもよい。
【0077】
[実施の形態4]
図12は、本発明の実施の形態4に係る光学式位置検出装置10の受光部13の構成を示す説明図であり、図12(a)、(b)、(c)は、シールド部材14の説明図、入射部を構成する透光層の厚さを示す説明図、およびシールド部材14の別の構成例を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して説明する。また、本形態でも、実施の形態1と同様、シールド部材14については、光源部12が120°の放射角度範囲に検出光L2を出射する構成例を説明する。
【0078】
図12(a)に示すように、本形態でも、実施の形態1と同様、受光部13は、受光素子130、シールド部材14、および配線基板139を備えており、シールド部材14は、受光素子130の受光面131に検出光L2を入射させる入射部140をもって受光面131を部分的に覆っている。また、本形態でも、実施の形態1と同様、シールド部材14において、入射部140が形成された天板部143は、Y軸方向の他方側Y2に突き出るようにX軸方向において湾曲しており、かかる天板部143のスリット状の開口部140aによって入射部140が形成されている。
【0079】
ここで、開口部140aの幅寸法WはX軸方向において同等である。但し、入射部140を構成する開口部140aには、導電性および検出光L2に対する透光性を備えた透光層140fが設けられており、かかる透光層140fの厚さは、受光素子130の感度指向性に対応して、X軸方向において厚さが変化している。このため、受光素子130の受光面131のうち、シールド部材14から露出している部分132は、受光面131に対する法線方向(Y軸方向)から一方側(X軸方向の一方側X1)に傾いた斜め方向からシールド部材14の入射部140を介して入射する光量、および法線方向(Y軸方向)から一方側(X軸方向の一方側X1)とは反対側(X軸方向の他方側X2)に傾いた斜め方向から入射部140を介して入射する光量が、法線方向から入射部140を介して入射する光量より大となっている。
【0080】
より具体的には、本形態のシールド部材14において、入射部140に設けられた透光層140fの厚さは、図12(b)に示すように、X軸方向の中央部分では、厚さが厚く、中央からX軸方向の一方側X1および他方側X2に向かって厚さが薄くなっている。このため、透光層140fでは、X軸方向の中央部分では、検出光L2に対する吸収が大であり、中央からX軸方向の一方側X1および他方側X2に向かって検出光L2に対する吸収が小になっている。このため、受光素子130の受光面131のうち、シールド部材14から露出している部分132への入射光量は、受光面131の中心位置からみて、受光面131に対する法線方向(Y軸方向)から一方側(X軸方向の一方側X1)および反対側(X軸方向の他方側X2)に傾くに伴って大である。従って、受光素子130での受光強度は、受光面131に対する法線方向から入射した検出光L2と、受光面131に対する法線方向からX軸方向に傾いた斜め方向から入射した検出光L2とにおいて差が小さいので、広い角度範囲にわたって、十分な精度で対象物体Obの位置を検出することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0081】
また、透光層140fは、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性導電膜が積層されたガラスや透光性樹脂からなるため、導電性を備えている。このため、入射部140でもシールドを行うことができるという効果を奏する。
【0082】
なお、図12(c)に示すように、入射部140の幅寸法Wが、実施の形態1、2のようにX軸方向において変化しているシールド部材14に対して、X軸方向において開口密度が変化している透光層140fを設けてもよい。
【0083】
[実施の形態5]
図13は、本発明の実施の形態5に係る光学式位置検出装置10の受発光ユニットの説明図である。図14は、図13に示す受発光ユニットの主要部の構成を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0084】
実施の形態1では、2つの光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)はいずれも、Z軸方向に重ねて配置された第1光源モジュール126と第2光源モジュール127とを備えている構成であったが、図13および図14に示す形態では、2つの光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)はいずれも、1つの光源モジュールからなる。すなわち、2つの光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)のいずれにおいても、1つのライトガイドLGの一方の端部LG1および他方の端部LG2の各々に光源120(第1光源121および第2光源122)が配置されている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0085】
かかる構成でも、第1点灯動作時に第1光源121が点灯すると、図4(a)および図6(a)に示す第1光強度分布LID1を形成することができ、第2点灯動作時に第2光源122が点灯すると、図4(b)および図6に示す第2光強度分布LID2を形成することができる。
【0086】
なお、図13および図14に示す形態では、光源部12の中心PEに受光部13を設けると、受光部13への検出光L2の入射が光源部12によって妨げられることになる。このような構成でも、光源部12の中心PEに対してZ軸方向に重なる位置(放射中心位置)に受光部13を設ければ、検出光L2を受光部13に入射させることができる。
【0087】
[実施の形態6]
図15は、本発明の実施の形態6に係る光学式位置検出装置10の受発光ユニットの説明図である。図16は、図15に示す受発光ユニットにおける光源部の説明図であり、図16(a)、(b)は、第1期間の第1点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示す説明図、および第2期間の第2点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。なお、図15では、シールド部材14の図示を省略してある。
【0088】
実施の形態1〜5では、光源部12にライトガイドLGを用いたが、本形態では、ライトガイドを用いずに、実施の形態1と同様な原理で対象物体ObのXY座標を検出する。より具体的には、図15に示すように、本形態の光学式位置検出装置10の光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)はいずれも、複数の光源120(第1光源121および第2光源122)と、複数の光源120が実装された帯状のフレキシブル基板180と、長さ方向(円周方向)で湾曲した形状をもって延在する凸曲面155を備えた扇形形状あるいは半円形状の光源支持部材150とを備えている。本形態において、凸曲面155は、その長さ方向(円周方向)で円弧形状に湾曲した形状を有している。
【0089】
本形態においては、フレキシブル基板180として、帯状の第1フレキシブル基板181(第1光源モジュール)と、第1フレキシブル基板181に対して幅方向(Z軸方向)で並列する帯状の第2フレキシブル基板182(第2光源モジュール)とが用いられている。第1フレキシブル基板181には、その長さ方向に、複数の光源120として、複数の第1光源121が実装されており、第2フレキシブル基板182には、その長さ方向に、複数の光源120として、複数の第2光源122が実装されている。光源120はいずれも、LEDが用いられている。
【0090】
また、2つの光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)のいずれにおいても、光源支持部材150は、第1光源支持部材151と第2光源支持部材152とがZ軸方向で重ねられた構造になっており、第1光源支持部材151と第2光源支持部材152とはZ軸方向で互いに対称な構成を有している。第1光源支持部材151は、凸曲面155の下半部を構成する円弧状の凸曲面155aと、凸曲面155aにおいて第2光源支持部材152が位置する側とは反対側の端部で凸曲面155aから突出する扇形形状あるいは半円形状の鍔部156aとを備えており、凸曲面155aに第1フレキシブル基板181が重ねて配置されている。第2光源支持部材152は、凸曲面155の上半部を構成する円弧状の凸曲面155bと、凸曲面155bにおいて第1光源支持部材151が位置する側とは反対側の端部で凸曲面155bから突出する扇形形状あるいは半円形状の鍔部156bとを備えており、凸曲面155bに第2フレキシブル基板182が重ねて配置されている。ここで、第1フレキシブル基板181と第2フレキシブル基板182とによってZ軸方向で挟まれた部分は透光性の導光部128になっており、かかる導光部128の奥に受光部13の受光素子130が配置されている。
【0091】
このように構成した光学式位置検出装置10において、検出対象空間10Rにおける対象物体Obの位置を検出するには、第1フレキシブル基板181に実装されている複数の第1光源121と、第2フレキシブル基板182に実装されている複数の第2光源122とを異なる期間において点灯させる。その際、複数の第1光源121が全て点灯させ、複数の第2光源122を全て消灯させる第1点灯動作(第1期間)では、図16(a)に出射強度の高低を矢印Paで示すように、第1フレキシブル基板181の長さ方向の一方側の端部181fが位置する側から他方側の端部181eが位置する側に向かって第1光源121の出射強度を減少させる。従って、検出対象空間10Rに出射される検出光L2の第1光強度分布LID1では、第1フレキシブル基板181の長さ方向の一方側の端部181fが位置する角度方向では光強度が高く、そこから、他方側の端部181eが位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。
【0092】
これに対して、複数の第2光源122を全て点灯させ、複数の第1光源121を全て消灯させる第2点灯動作(第2期間)では、図16(b)に出射強度の高低を矢印Pbで示すように、第2フレキシブル基板182の長さ方向の一方側の端部182fが位置する側から他方側の端部182eが位置する側に向かって第2光源122の出射強度を増大させる。従って、検出対象空間10Rに出射される検出光L2の第2光強度分布LID2では、第2フレキシブル基板182の長さ方向の他方側の端部182eが位置する角度方向では光強度が高く、そこから、一方側の端部182fが位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。
【0093】
それ故、第1点灯動作および第2点灯動作を第1光源部12Aおよび第2光源部12Bの各々において実行すれば、実施の形態1と同様な原理で対象物体Obの位置(XY座標)を検出することができる。その際、複数の第1光源121に供給する駆動電流の和(第1駆動電流値)、および複数の第2光源122に供給する駆動電流の和(第2駆動電流値)に基づいて対象物体Obの角度位置を検出すればよい。また、複数の光源120の出射強度を変えるにあたっては、抵抗素子等により、駆動電流を光源120毎に変えればよい。
【0094】
[実施の形態7]
図17は、本発明の実施の形態7に係る光学式位置検出装置10の受発光ユニットの説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態2と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0095】
実施の形態2では、第1点灯動作では第1光源121を点灯させ、第2点灯動作では第2光源122を点灯させたが、本形態では、図17に示すように、1系統の光源120のみが用いられている。かかる構成でも、第1点灯動作時と第2点灯動作時において光源120に供給する駆動電流を変えれば、実施の形態1、6と同様な原理で対象物体Obの位置(XY座標)を検出することができる。すなわち、第1点灯動作(第1期間)では、図16(a)に出射強度の高低を矢印Paで示すように、フレキシブル基板180の長さ方向の一方側の端部が位置する側から他方側の端部が位置する側に向かって光源120の出射強度を減少させる。従って、検出対象空間10Rに出射される検出光L2の第1光強度分布LID1では、フレキシブル基板180の長さ方向の一方側の端部が位置する角度方向では光強度が高く、そこから、他方側の端部が位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。また、第2点灯動作(第2期間)では、図16(b)に出射強度の高低を矢印Pbで示すように、フレキシブル基板180の長さ方向の他方側の端部が位置する側から一方側の端部が位置する側に向かって光源120の出射強度を減少させる。従って、検出対象空間10Rに出射される検出光L2の第2光強度分布LID2では、フレキシブル基板180の長さ方向の他方側の端部が位置する角度方向では光強度が高く、そこから、一方側の端部が位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。
【0096】
それ故、第1点灯動作および第2点灯動作を第1光源部12Aおよび第2光源部12Bの各々において実行すれば、実施の形態1と同様な原理で対象物体Obの位置(XY座標)を検出することができる。その際、第1点灯動作における光源120への駆動電流の和(第1駆動電流値)、および第2点灯動作における光源120への駆動電流の和(第1駆動電流値)に基づいて対象物体Obの角度位置を検出すればよい。なお、本形態では、光源部12の中心PEに受光部13を設けると、受光部13への検出光L2の入射が光源部12によって妨げられることになる。このような構成でも、光源部12の中心PEに対してZ軸方向に重なる位置(放射中心位置)に受光部13を設ければ、検出光L2を受光部13に入射させることができる。
【0097】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、2つの光源部12を用いたが、1つの光源部12を用いて対象物体Obの位置を検出してもよい。
【0098】
また、上記実施の形態6に係る光学式位置検出装置10に実施の形態2で説明した構成を適用してもよい。また、実施の形態1〜7に係る光学式位置検出装置10に実施の形態2で説明した構成を採用して、対象物体ObのZ軸方向の位置を検出してもよい。すなわち、Z軸方向で並列する2つの入射部140を設けると、対象物体ObのZ軸方向の位置によって受光部13への入射光量が急激に変化する。従って、受光部13への入射光量の変化に基づいて、対象物体Obが視認面41から離間しているか、対象物体Obが視認面41に接しているかを検出することができる。
【0099】
上記実施の形態では、第1点灯動作時の受光結果と第2点灯動作時の受光結果とを直接、比較したが、検出対象空間10Rを介さずに受光部に入射する参照光を出射する参照用光源を設けてもよい。かかる構成の場合、第1点灯動作時における受光結果と参照光の受光結果とを比較し、第2点灯動作時における受光結果と参照光の受光結果とを比較し、参照光の受光結果を基準に、第1点灯動作時の受光結果と第2点灯動作時の受光結果とを間接的に比較する。より具体的には、第1点灯動作時における受光部13の検出光L2(反射光L3)の検出強度と受光部13の参照光の検出強度との差を、第1点灯動作時における受光部13の検出強度として処理し、第2点灯動作時における受光部13の検出光L2(反射光L3)の検出強度と受光部13の参照光の検出強度との差を、第2点灯動作時における受光部13の検出強度として処理する。かかる構成によれば、外光等の影響を、参照光を受光した際の強度によって相殺することができるという利点がある。
【0100】
[位置検出システムの構成例]
(位置検出システム1の具体例1)
図18は、本発明を適用した位置検出システム1の具体例1(入力機能付き表示システム)の説明図である。なお、本形態の入力機能付き表示システムにおいて、位置検出システム1および光学式位置検出装置10の構成は、図1〜図17を参照して説明した構成と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0101】
上記実施の形態に係る位置検出システム1において、図18に示すように、視認面構成部材40として表示装置110を用い、かかる表示装置110に、図1〜図17を参照して説明した光学式位置検出装置10を設ければ、電子黒板やデジタルサイネージ等といった入力機能付き表示システム100として用いることができる。ここで、表示装置110は、直視型表示装置や、視認面構成部材40をスクリーンとする背面型投射型表示装置である。
【0102】
かかる入力機能付き表示システム100において、光学式位置検出装置10は、表示面110a(視認面41)に沿って検出光L2を出射するとともに、対象物体Obで反射した検出光L2(反射光L3)を検出する。このため、表示装置110で表示された画像の一部に対象物体Obを接近させれば、かかる対象物体Obの位置を検出することができるので、対象物体Obの位置を画像の切り換え指示等といった入力情報として利用することができる。
【0103】
(位置検出システム1の具体例2)
図19を参照して、視認面構成部材40としてスクリーンを用い、位置機能付き投射型表示システムを構成した例を説明する。図19は、本発明を適用した位置検出システム1の具体例2(入力機能付き表示システム/入力機能付き投射型表示システム)の説明図である。なお、本形態の位置機能付き投射型表示システムにおいて、位置検出システム1および光学式位置検出装置10の構成は、図1〜図17を参照して説明した構成と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0104】
図19に示す入力機能付き投射型表示システム200(入力機能付き表示システム)では、液晶プロジェクターあるいはデジタル・マイクロミラー・デバイスと称せられる画像投射装置250(画像生成装置)からスクリーン80(視認面構成部材40)に画像が投射される。かかる入力機能付き投射型表示システム200において、画像投射装置250は、筐体240に設けられた投射レンズ系210からスクリーン80に向けて画像表示光Piを拡大投射する。ここで、画像投射装置250は、Y軸方向に対してわずかに傾いた方向から画像表示光Piをスクリーン80に向けて投射する。従って、スクリーン80において画像が投射されるスクリーン面80aによって、情報が視認される視認面41が構成されている。
【0105】
かかる入力機能付き投射型表示システム200において、光学式位置検出装置10は、画像投射装置250に付加されて一体に構成されている。このため、光学式位置検出装置10は、投射レンズ系210とは異なる箇所から、スクリーン面80aに沿って検出光L2を出射するとともに、対象物体Obで反射した反射光L3を検出する。このため、スクリーン80に投射された画像の一部に対象物体Obを接近させれば、かかる対象物体Obの位置を検出することができるので、対象物体Obの位置を画像の切り換え指示等といった入力情報として利用することができる。
【0106】
なお、光学式位置検出装置10とスクリーン80とを一体化させれば、入力機能付きスクリーン装置を構成することができる。
【0107】
(位置検出システム1の他の具体例)
本発明において、視認面構成部材40は、展示品を覆う透光部材である構成を採用することができ、この場合、視認面41は、透光部材において展示品が配置される側とは反対側で展示品が視認される面である。かかる構成によれば、入力機能付きウインドウシステム等として構成することができる。
【0108】
また、視認面構成部材40は、移動する遊技用媒体を支持する基盤である構成を採用することができ、この場合、視認面41は、基盤において基盤と遊技用媒体との相対位置が視認される側の面である。かかる構成によれば、パチンコ台やコインゲーム等のアミューズメント機器を入力機能付きアミューズメントシステム等として構成することができる。
【符号の説明】
【0109】
1・・位置検出システム、10・・光学式位置検出装置、10R・・検出対象空間、12・・光源部、12A・・第1光源部、12B・・第2光源部、13・・受光部、13A・・第1受光部、13B・・第2受光部、14・・シールド部材、40・・視認面構成部材、41・・視認面、50・・位置検出部、100・・入力機能付き表示システム、120・・光源、121・・第1光源、122・・第2光源、130・・受光素子、131・・受光面、140・・入射部、200・・入力機能付き投射型表示システム、250・・画像投射装置、Ob・・対象物体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出光を出射する光源部と、前記検出光が出射された空間に位置する対象物体で反射した前記検出光を受光する受光部と、前記受光部での受光強度に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部と、を有し、
前記受光部は、受光素子と、該受光素子の受光面に前記検出光を入射させる入射部をもって前記受光面を部分的に覆う遮光性のシールド部材と、を備えていることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項2】
前記受光面において、該受光面に対する法線方向から一方側に傾いた斜め方向から前記入射部を介して入射する光量および前記法線方向から前記一方側とは反対側に傾いた斜め方向から前記入射部を介して入射する光量が、前記法線方向から前記入射部を介して入射する光量より大であることを特徴とする請求項1に記載の光学式位置検出装置。
【請求項3】
前記入射部は、前記一方側および前記反対側に対して直交する方向の幅寸法が、前記受光面に対する法線方向に位置する部分より、前記法線方向から前記一方側に傾いた斜め方向に位置する部分および前記法線方向から前記反対側に傾いた斜め方向に位置する部分で大であることを特徴とする請求項2に記載の光学式位置検出装置。
【請求項4】
前記入射部は、前記一方側および前記反対側に向けて延在する第1入射部と、該第1入射部に対して前記一方側および前記反対側に直交する方向で隣り合う位置で前記一方側および前記反対側に向けて延在する第2入射部と、を備え、
前記第1入射部を介して前記受光面に入射する光量と、前記第2入射部を介して前記受光面に入射する光量とが異なることを特徴とする請求項2または3の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項5】
前記入射部には、導電性のメッシュ層が設けられていることを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項6】
前記メッシュ層の開口密度は、前記受光面に対する法線方向に位置する部分より、前記法線方向から前記一方側に傾いた斜め方向に位置する部分および前記法線方向から前記反対側に傾いた斜め方向に位置する部分で大であることを特徴とする請求項5に記載の光学式位置検出装置。
【請求項7】
前記入射部には、導電性および前記検出光に対する透光性を有する透光層が設けられていることを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項8】
前記透光層の厚さは、前記受光面に対する法線方向に位置する部分より、前記法線方向から前記一方側に傾いた斜め方向に位置する部分および前記法線方向から前記反対側に傾いた斜め方向に位置する部分で薄いことを特徴とする請求項7に記載の光学式位置検出装置。
【請求項9】
前記光源部は、第1方向、該第1方向に直交する第2方向、および前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向のうち、前記第1方向および前記第2方向より規定される仮想面に沿うように検出光を放射状に出射することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項10】
前記光源部は、第1期間中、前記検出光の出射強度を当該検出光の放射角度範囲の一方側から他方側に向かって減少させ、第2期間中、前記検出光の出射強度を前記放射角度範囲の他方側から一方側に向かって減少させ、
前記位置検出部は、前記第1期間における前記受光部の受光強度と前記第2期間における前記受光部の受光強度との比較結果において、前記第1期間における前記受光部の受光強度と前記第2期間における前記受光部での受光強度とが等しくなったときの前記第1期間における前記光源部に対する第1駆動電流値と前記第2期間における前記光源部に対する第2駆動電流値との比較結果に基づいて、前記対象物体の位置を検出することを特徴とする請求項9に記載の光学式位置検出装置。
【請求項11】
前記シールド部材には、グランド電位が印加されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項12】
画像が表示される表示面を備えた表示装置と、前記表示面に沿う方向の対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置と、を有し、当該光学式位置検出装置での前記対象物体の位置検出結果に基づいて前記画像が切り換えられる入力機能付き表示システムであって、
前記光学式位置検出装置は、検出光を出射する光源部と、前記検出光が出射された空間に位置する対象物体で反射した前記検出光を受光する受光部と、前記受光部での受光強度に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部と、を有し、
前記受光部は、受光素子と、該受光素子の受光面に前記検出光を入射させる入射部をもって前記受光面を部分的に覆う遮光性のシールド部材と、を備えていることを特徴とする入力機能付き表示システム。
【請求項13】
画像を投射する画像投射装置と、画像の投射方向と交差する方向の対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置と、を有し、当該光学式位置検出装置での前記対象物体の位置検出結果に基づいて前記画像が切り換えられる入力機能付き表示システムであって、
前記光学式位置検出装置は、検出光を出射する光源部と、前記検出光が出射された空間に位置する対象物体で反射した前記検出光を受光する受光部と、前記受光部での受光強度に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部と、を有し、
前記受光部は、受光素子と、該受光素子の受光面に前記検出光を入射させる入射部をもって前記受光面を部分的に覆う遮光性のシールド部材と、を備えていることを特徴とする入力機能付き表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−194129(P2012−194129A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59793(P2011−59793)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】