説明

光素子搭載基板、光電気混載基板および電子機器

【課題】複数の受発光部が高密度に配置されていても、電気配線の導電性や電気配線同士の絶縁性を十分に確保しつつ、光導波路に対して良好な光学的接続を可能にする光素子搭載基板、および、かかる光素子搭載基板を備えた光電気混載基板および電子機器を提供すること。
【解決手段】光電気混載基板1は、貫通孔110を有する絶縁性基板11と、2つの受発光素子71、72と、半導体素子8と、絶縁性基板11の上面に設けられた第1の配線15と、下面に設けられた第2の配線16とを有する。受発光素子71は、図2の紙面厚さ方向に沿って配列した複数の受発光部711を備えている。そして、受発光素子71は、絶縁性基板11の上面に設けられ、第1の配線15と電気的に接続されている。一方、受発光素子72も同様に複数の受発光部721を備えている。そして、受発光素子72は、貫通孔110内に設けられ、第2の配線16と電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光素子搭載基板、光電気混載基板および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化の波とともに、大容量の情報を高速でやりとりできる広帯域回線(ブロードバンド)の普及が進んでいる。また、これらの広帯域回線に情報を伝送する装置として、ルーター装置、WDM(Wavelength Division Multiplexing)装置等の伝送装置が用いられている。これらの伝送装置内には、LSIのような演算素子、メモリーのような記憶素子等が組み合わされた信号処理基板が多数設置されており、各回線の相互接続を担っている。
【0003】
各信号処理基板には、演算素子や記憶素子等が電気配線で接続された回路が構築されているが、近年、処理する情報量の増大に伴って、各基板では、極めて高いスループットで情報を伝送することが要求されている。しかしながら、情報伝送の高速化に伴い、クロストークや高周波ノイズの発生、電気信号の劣化、特性インピーダンスの不整合等の問題が顕在化しつつある。このため、電気配線がボトルネックとなって、信号処理基板のスループットの向上が困難になっている。
【0004】
一方、光搬送波を使用してデータを移送する光通信技術が開発され、近年、この光搬送波を、一地点から他地点に導くための手段として、光導波路が普及しつつある。この光導波路は、線状のコア部と、その周囲を覆うように設けられたクラッド部とを有している。コア部は、光搬送波の光に対して実質的に透明な材料によって構成され、クラッド部は、コア部より屈折率が低い材料によって構成されている。
【0005】
このような光導波路では、コア部の一端から導入された光が、クラッド部との境界で反射しながら他端に搬送される。光導波路の入射側には、半導体レーザー等の発光素子が配置され、出射側には、フォトダイオード等の受光素子が配置される。発光素子から入射された光は光導波路を伝搬し、受光素子により受光され、受光した光の明滅パターンに基づいて通信を行う。
【0006】
最近になって、信号処理基板内の電気配線を光導波路で置き換える動きが進んでいる。電気配線を光導波路で置き換えることにより、前述したような電気配線の問題が解消され、信号処理基板のさらなる高スループット化が可能になると期待されている。
【0007】
ところで、演算素子や記憶素子はもちろん、光信号と電気信号の相互変換を担う発光素子や受光素子のような各素子の駆動には電力を供給するための電気配線が不可欠である。このため信号処理基板には、電気配線と光導波路とが混載されることとなり、このような基板(光電気混載基板)の開発が進められている。
【0008】
例えば、特許文献1には、内部に光導波路が形成された実装用基板上に光デバイスと電子デバイスとを混載し、全反射ミラー部により光デバイスの受発光部と光導波路とを光学的に接続してなるオプトエレクトロニクス用モジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−182049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
また、光導波路のチャンネル数を増やすことにより、モジュールの高密度化が進んでいる。光導波路のチャンネル数が増えると、それに伴って実装用基板上に搭載される受発光部の数を増やす必要があり、さらには、受発光部に電力や制御信号を供給するための電気配線も、受発光部の数に応じて増やす必要がある。
【0011】
しかしながら、上記特許文献1に記載のモジュールにおいて光導波路のチャンネル数を増やすとなると、実装用基板の上面にチャンネル数に応じた複数の受発光部と複数の電気配線を配置することになるが、その場合、以下のような問題点がある。
【0012】
1.実装用基板の上面には電気配線を配設するスペースが限られるため、配線の幅および配線の間隔(ライン・アンド・スペース)を狭くせざるを得ず、電気配線の形成には高い精度が要求される。結果的に、歩留まりの低下と製造コストの上昇を招く。
【0013】
2.電気配線を製造する際の実現可能なライン・アンド・スペースの制約から、光素子搭載基板を積層することができる光導波路のチャンネルピッチにも制約が生じる。このため、接続する光導波路のチャンネルピッチが狭い場合には、この光導波路に接続する光素子搭載基板において、電気配線の導電性や電気配線同士の絶縁性を十分に確保することができない。
【0014】
本発明の目的は、複数の受発光部が高密度に配置されていても、電気配線の導電性や電気配線同士の絶縁性を十分に確保しつつ、光導波路に対して良好な光学的接続を可能にする光素子搭載基板、および、かかる光素子搭載基板を備えた光電気混載基板および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的は、下記(1)〜(16)の本発明により達成される。
(1) 絶縁性基板と、
受光または発光する複数の受発光部と、
前記絶縁性基板の第1の面に設けられた第1の配線と、
前記絶縁性基板の前記第1の面と反対側の第2の面に設けられた第2の配線とを有し、
前記第2の面側において、複数のチャンネルを有する光導波路と積層されることにより、前記複数の受発光部と前記複数のチャンネルとがそれぞれ光学的に接続されるよう用いられる光素子搭載基板であって、
前記複数の受発光部は、平面視において、2列以上の並列する列状に配置されており、そのうちの1つの列である第1の列に含まれる受発光部は、前記第1の配線と電気的に接続されており、前記第1の列とは別の第2の列に含まれる受発光部は、前記第2の配線と電気的に接続されていることを特徴とする光素子搭載基板。
【0016】
(2) 前記絶縁性基板は、貫通孔を有しており、
前記第2の列に含まれる受発光部は、前記貫通孔内に設けられている上記(1)に記載の光素子搭載基板。
【0017】
(3) 前記第2の配線は、前記貫通孔の開口部近傍に延伸した延伸部分を有しており、
前記延伸部分において、前記第2の列に含まれる受発光部と、前記第2の配線とが電気的に接続されている上記(2)に記載の光素子搭載基板。
【0018】
(4) 前記絶縁性基板は、貫通孔と、該貫通孔内に設けられた貫通配線とを有し、
前記第2の列に含まれる受発光部は、前記絶縁性基板の前記第1の面側に設けられており、
前記貫通配線を介して、前記第2の列に含まれる受発光部と、前記第2の配線とが、電気的に接続されている上記(1)に記載の光素子搭載基板。
【0019】
(5) 前記第1の配線および前記第2の配線は、それぞれ同じ方向に向かって延伸している上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の光素子搭載基板。
【0020】
(6) 前記第1の配線および前記第2の配線の、前記絶縁性基板と平行な同一面に対する投影像は、少なくとも一部において重なっている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の光素子搭載基板。
【0021】
(7) 前記複数の受発光部は、1つの光素子に全て搭載されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の光素子搭載基板。
【0022】
(8) 前記複数の受発光部は、複数の光素子に分配されて搭載されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の光素子搭載基板。
【0023】
(9) 前記第1の面側に設けられ、前記光素子の全周を囲うよう構成された枠状基板を有する上記(7)または(8)に記載の光素子搭載基板。
【0024】
(10) 前記枠状基板の厚さは、前記光素子の厚さより厚い上記(9)に記載の光素子搭載基板。
【0025】
(11) 前記絶縁性基板の平均厚さは、5〜50μmである上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の光素子搭載基板。
【0026】
(12) 前記絶縁性基板の前記第1の面側に設けられ、前記複数の受発光部の動作を制御する制御素子を有しており、
前記第1の配線および前記第2の配線は、それぞれ、前記複数の受発光部と前記制御素子とを接続するよう設けられており、
前記第2の配線は、その途中で、前記第2の面から前記第1の面へと配設面が変更されるよう構成されている上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の光素子搭載基板。
【0027】
(13) 上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の光素子搭載基板と、
複数のチャンネルを備え、前記絶縁性基板の第2の面側に位置するよう設けられた光導波路と、
前記複数の受発光部と前記複数のチャンネルとを光学的に接続する光路変換手段とを有することを特徴とする光電気混載基板。
【0028】
(14) 光素子搭載基板は、前記光導波路の一方の端部または双方の端部にそれぞれ積層されている上記(13)に記載の光電気混載基板。
【0029】
(15) 前記光素子搭載基板は、前記光導波路の一方の端部に設けられており、
前記光導波路の他方の端部に設けられ、該光導波路を接続相手と接続するコネクターを有する上記(13)に記載の光電気混載基板。
【0030】
(16) 上記(13)ないし(15)のいずれかに記載の光電気混載基板を備えたことを特徴とする電子機器。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、2列以上に配列した受発光部のうち、1つの列に含まれる受発光部を駆動するための配線と、この列とは別の列に含まれる受発光部を駆動するための配線とが、それぞれ絶縁性基板の異なる面に設けられているので、配線のライン・アンド・スペースをあまり小さくしなくても、多数の受発光部を高密度に配置することができる。このため、電気配線の導電性や電気配線同士の絶縁性を十分に確保することができ、光素子搭載基板の性能を高めることができる。また、電気配線の形成が容易になるとともに、チャンネルピッチの狭い光導波路に対しても確実な光学的接続を可能にする光素子搭載基板が得られる。
【0032】
また、このような光素子搭載基板を備えることにより、高密度実装が可能な光電気混載基板および電子機器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の光電気混載基板の第1実施形態を一部透過して示す斜視図である。
【図2】図1に示す光電気混載基板のA−A線断面図である。
【図3】本発明の光素子搭載基板に形成された配線を示す平面図である。
【図4】図3の部分拡大図である。
【図5】図2に示す光電気混載基板の他の構成例を示す断面図である。
【図6】図2に示す光電気混載基板の製造方法を説明するための図(断面図)である。
【図7】本発明の光素子搭載基板および光電気混載基板の第2実施形態を模式的に示す断面図である。
【図8】本発明の光電気混載基板の第3実施形態を模式的に示す断面図である。
【図9】本発明の光素子搭載基板および光電気混載基板の第4実施形態を模式的に示す断面図である。
【図10】本発明の光素子搭載基板および光電気混載基板の第5実施形態を模式的に示す(a)平面図および(b)断面図である。
【図11】従来の光素子搭載基板を備える従来の光電気混載基板を示す断面図である。
【図12】従来の光素子搭載基板に形成された配線を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の光素子搭載基板、光電気混載基板および電子機器について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0035】
<光電気混載基板>
(第1実施形態)
まず、本発明の光素子搭載基板、およびこの光素子搭載基板を備えた本発明の光電気混載基板の第1実施形態について説明する。
【0036】
図1は、本発明の光電気混載基板の第1実施形態を一部透過して示す斜視図、図2は、図1に示す光電気混載基板のA−A線断面図、図3は、本発明の光素子搭載基板に形成された配線を示す平面図、図4は、図3の部分拡大図、図5は、図2に示す光電気混載基板の他の構成例を示す断面図、図6は、図2に示す光電気混載基板の製造方法を説明するための図(断面図)である。なお、以下の説明では、図1、2の上側を「上」、下側を「下」という。また、各図では、各基板の厚さ方向を強調して描いている。
【0037】
図1に示す光電気混載基板1は、複数のチャンネルを有する光導波路21が形成された光回路層2と、その上方に設けられ、受発光素子(光素子)7を内蔵する光素子搭載基板10とを積層してなる積層体を有するものである。
【0038】
ここで、光回路層2は長尺の帯状をなしており、光素子搭載基板10は、光回路層2の一方の端部の上面に積層されている。
【0039】
光素子搭載基板10は、平板状の絶縁性基板11と、絶縁性基板11上に設けられ、四角形の枠状をなす枠状基板12と、枠状基板12の内側の絶縁性基板11上に設けられた受発光素子7および半導体素子(制御素子)8とを有している。
【0040】
受発光素子7は、電気信号を光信号に変換し、発光部から光信号を発光して光導波路21に入射させる発光素子、または、光導波路21から出射された光信号を受光部で受光して電気信号に変換する受光素子である。図2に示す受発光素子7は、2つの受発光素子71、72で構成されており、これらの受発光素子71、72は、それぞれ、その下面に設けられた複数の受発光部711、721と、各受発光部711、721に対応して設けられた各電極パッド712、722とを有している。各受発光部711、721は、下方に向けて光信号を発光したり、あるいは、上方に向かう光信号を受光する。なお、図2に示す矢印は、受発光素子71、72がいずれも発光素子である場合の光路の例である。
【0041】
一方、光導波路21のうち、各受発光部711、721の下方には、それぞれミラー(光路変換手段)22が設けられている。このミラー22は、図2の左右方向に延伸する光導波路21と光素子搭載基板10に設けられた受発光部711とが光学的に接続するため、光路を90°変換するよう構成されている。このようなミラー22を介することにより、各受発光部711、721から出射した光信号を光導波路21へと送出したり、あるいは、光導波路21を伝搬してきた光信号を各受発光部711、721に入射させることができる。
【0042】
また、半導体素子8は、その下面に設けられた電極パッド812を有する素子であって、受発光素子7の動作を制御する素子である。これらの各素子が協調的に動作することにより、光電気混載基板1において、光信号と電気信号の相互変換が行われ、光通信が可能になる。
【0043】
また、絶縁性基板11の上面には第1の配線(電気配線)15が設けられており、下面には第2の配線(電気配線)16が設けられている。すなわち、絶縁性基板11の両面には、互いに絶縁された電気配線が敷設されている。これらの配線のうち、受発光素子71の電極パッド712は第1の配線15と電気的に接続されている一方、受発光素子72の電極パッド722は第2の配線16と電気的に接続されている。
【0044】
このように、2つの受発光素子71、72に接続される電気配線(第1の配線15および第2の配線16)が、絶縁性基板11の異なる面に敷設されていることにより、各面における電気配線には寸法精度に余裕が生じることから、製造容易性が格段に高くなる。また、絶縁性基板11の各面において、電気配線を敷設するスペースを広くとることができるので、配線の幅および配線の間隔(ライン・アンド・スペース)の制約が緩くなる。その結果、電気配線の導電性や電気配線同士の絶縁性を十分に確保することができる。
【0045】
以下、光電気混載基板1の各部について詳述する。
【0046】
(光回路層)
図1に示す光回路層2は、下方からクラッド層(下部クラッド層)211、コア層213、およびクラッド層(上部クラッド層)212をこの順で積層してなる光導波路21で構成されている。このうちコア層213には、図1に示すように、平面視で線状のコア部214と、このコア部214の側面に隣接する側面クラッド部215とが形成されている。図1では、8つのコア部214が並列するように、かつ、帯状をなす光回路層2の長手方向に沿って直線状に設けられており、各コア部214の側面にそれぞれ隣接するように複数の側面クラッド部215が設けられている。なお、図1において、クラッド層212は透過して描かれており、各コア部214にはドットを付している。
【0047】
図1に示す光導波路21では、各コア部214の一方の端部に入射された光を、各コア部214とクラッド部(各クラッド層211、212および各側面クラッド部215)との界面で全反射させ、他方の端部に伝搬させることができる。これにより、出射端で受光した光の明滅パターンに基づいて光通信を行うことができる。すなわち、光導波路21は、複数(図1では8つ)のチャンネル(コア部214)を有し、複数の光通信を並行して行うことができるマルチチャンネルの光導波路である。
【0048】
各コア部214とクラッド部との界面で全反射を生じさせるためには、界面に屈折率差が存在する必要がある。コア部214の屈折率は、クラッド部の屈折率より大きければよく、その差は特に限定されないものの、0.5%以上であるのが好ましく、0.8%以上であるのがより好ましい。一方、上限値は、特に設定されなくてもよいが、好ましくは5.5%程度とされる。屈折率の差が前記下限値未満であると光を伝達する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えても、光の伝送効率のそれ以上の増大は期待できない。
【0049】
なお、前記屈折率差とは、コア部214の屈折率をA、クラッド部の屈折率をBとしたとき、次式で表わされる。
【0050】
屈折率差(%)=|A/B−1|×100
また、図1に示す構成では、各コア部214は、平面視で直線状に形成されているが、途中で湾曲、分岐等していてもよく、その形状は任意である。
【0051】
また、各コア部214の横断面形状は、正方形または矩形(長方形)のような四角形であるのが一般的であるが、特に限定されず、真円、楕円のような円形、菱形、三角形、五角形のような多角形であってもよい。
【0052】
各コア部214の幅および高さは、特に限定されないが、それぞれ、1〜200μm程度であるのが好ましく、5〜100μm程度であるのがより好ましく、20〜70μm程度であるのがさらに好ましい。
【0053】
コア層213の構成材料は、上記の屈折率差が生じる材料であれば特に限定されないが、具体的には、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料の他、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスのようなガラス材料等である。
【0054】
また、これらの中でも特にノルボルネン系樹脂が好ましい。これらのノルボルネン系ポリマーは、例えば、開環メタセシス重合(ROMP)、ROMPと水素化反応との組み合わせ、ラジカルまたはカチオンによる重合、カチオン性パラジウム重合開始剤を用いた重合、これ以外の重合開始剤(例えば、ニッケルや他の遷移金属の重合開始剤)を用いた重合等、公知のすべての重合方法で得ることができる。
【0055】
一方、各クラッド層211、212は、それぞれ、コア層213の下部および上部に位置し、各側面クラッド部215とともに、各コア部214の外周を囲むクラッド部を構成する。これにより光導波路21は導光路として機能する。
【0056】
クラッド層211、212の平均厚さは、コア層213の平均厚さ(各コア部214の平均高さ)の0.1〜1.5倍程度であるのが好ましく、0.2〜1.25倍程度であるのがより好ましく、具体的には、クラッド層211、212の平均厚さは、特に限定されないが、それぞれ、通常、1〜200μm程度であるのが好ましく、5〜100μm程度であるのがより好ましく、10〜60μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、光回路層2が必要以上に大型化(厚膜化)するのを防止しつつ、クラッド層としての機能が好適に発揮される。
【0057】
また、各クラッド層211、212の構成材料としては、例えば、前述したコア層213の構成材料と同様の材料を用いることができるが、特にノルボルネン系ポリマーが好ましい。
【0058】
また、コア層213の構成材料およびクラッド層211、212の構成材料を選択する場合、両者の間の屈折率差を考慮して材料を選択すればよい。具体的には、コア層213とクラッド層211、212との境界において光を確実に全反射させるため、コア層213の構成材料の屈折率がクラッド層211、212の屈折率に比べ十分に大きくなるように材料を選択すればよい。これにより、光回路層2の厚さ方向において十分な屈折率差が得られ、各コア部214からクラッド層211、212に光が漏れ出るのを抑制することができる。
【0059】
なお、光の減衰を抑制する観点からは、コア層213の構成材料とクラッド層211、212の構成材料との密着性(親和性)が高いことも重要である。
【0060】
また、前述したように、光導波路21の途中には、複数のミラー22が設けられている(図2参照)。このミラー22は、光導波路21の途中に掘り込み加工を施し、これにより得られた空間(空洞)の内壁面で構成される。この内壁面の一部は、コア部214を斜め45°に横切る平面であり、この平面がミラー22となる。ミラー22を介して、光導波路21と受発光部711、721とが光学的に接続されている。
【0061】
なお、ミラー22には、必要に応じて反射膜を成膜するようにしてもよい。この反射膜としては、Au、Ag、Al等の金属膜が好ましく用いられる。
【0062】
(光素子搭載基板)
光回路層2の上方には、光素子搭載基板10が設けられている。
【0063】
光素子搭載基板10は、前述したように、絶縁性基板11、枠状基板12、受発光素子7および半導体素子8を有している。
【0064】
絶縁性基板11は、その下面が光回路層2の上面と対向するように設けられており、受発光素子7(受発光素子71および受発光素子72)および半導体素子8は、この絶縁性基板11上に設けられている。
【0065】
各受発光部711、721と光導波路21とを結ぶ光路は、絶縁性基板11を厚さ方向に貫通しているため、絶縁性基板11は、透光性を有する材料で構成されているのが好ましい。これにより、光路の伝送特性が向上する。なお、絶縁性基板11が透光性の低い材料で構成される場合には、前記光路に合わせてスルーホールを設けるようにすればよい。
【0066】
絶縁性基板11は可撓性を有しているのが好ましい。これにより、光導波路21に対する密着性が高くなる。これは、可撓性を有する絶縁性基板11は形状追従性が高いため、仮に光導波路21の上面が平坦面でなかったとしても、優れた密着性を示すからである。また、光電気混載基板1を湾曲させた場合でも、光導波路21の湾曲に応じて絶縁性基板11も湾曲可能になるため、密着性の低下が防止される。さらに、密着界面には隙間が生じ難くなるので、光路上における伝送効率の低下が防止されるという利点もある。
【0067】
また、絶縁性基板11の構成材料として選択される可撓性材料は、その熱膨張率が、後述する枠状基板12の構成材料と光回路層2の構成材料(光導波路材料)との中間的な値を示すものが多いため、絶縁性基板11は、枠状基板12と光回路層2の中間層として位置づけられる。すなわち、可撓性を有する絶縁性基板11は、各層間に発生する変形応力を緩和させる機能を有するものとなる。その結果、絶縁性基板11は、製造工程や実装工程、あるいは実使用環境中において、熱膨張差に基づいて層間に発生する応力の蓄積を緩和することにより、熱履歴による剥離、破壊等を確実に防止することができる。
【0068】
なお、絶縁性基板11のヤング率(引張弾性率)は、一般的な室温環境下(20〜25℃前後)で1〜20GPa程度であるのが好ましく、2〜12GPa程度であるのがより好ましい。ヤング率の範囲がこの程度であれば、絶縁性基板11は、上述したような効果を得る上で十分な可撓性を有するものとなる。
【0069】
このような絶縁性基板11を構成する材料としては、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、各種ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂等の各種樹脂材料が挙げられるが、なかでもポリイミド系樹脂を主材料とするものが好ましく用いられる。ポリイミド系樹脂は、耐熱性が高く、優れた透光性および可撓性を有していることから、絶縁性基板11の構成材料として特に好適である。
【0070】
なお、絶縁性基板11の具体例としては、ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板、アラミド銅張フィルム基板等に使用されるフィルム基板が挙げられる。
【0071】
また、絶縁性基板11の平均厚さは、特に限定されないものの、5〜50μm程度であるのが好ましく、10〜40μm程度であるのがより好ましい。このような厚さの絶縁性基板11であれば、その構成材料によらず、十分な可撓性を有するものとなる。また、絶縁性基板11の厚さが前記範囲内であれば、光電気混載基板1の薄型化が図られるとともに、受発光部711と光導波路21との離間距離を十分に短縮することができ、絶縁性基板11の透過損失が抑制される。
【0072】
さらには、絶縁性基板11の厚さが前記範囲内であれば、光信号の発散によって伝送効率が低下するのを防止することができる。例えば、光導波路21を伝搬してきた後、ミラー22により上方に反射された光は、広く発散してしまう前に受発光部711に到達することができる。このため、受発光部711に到達する光量が減少するのを防止して、光通信のS/N比を高めることができる。また、上記の理由から、光信号を収束させるためのレンズが不要になるので、光電気混載基板1の構造を簡略化することができ、製造歩留まりを向上させることができる。
【0073】
一方、受発光部711が発光部である場合には、発光した光が発散してしまう前にミラー22に到達させることができる。
【0074】
絶縁性基板11上には、枠状基板12が積層されている。これにより、枠状基板12は、絶縁性基板11が可撓性を有する場合でも、絶縁性基板11を補強し、光素子搭載基板10の変形等を防止する。
【0075】
枠状基板12は、絶縁性基板11よりも剛性の高い基板で構成されているのが好ましい。具体的には、枠状基板12のヤング率(曲げ弾性率)は、一般的な室温環境下(20〜25℃前後)で5〜50GPa程度であるのが好ましく、12〜30GPa程度であるのがより好ましい。
【0076】
また、前述したように、枠状基板12は、四角形の枠状をなす基板であるが、この枠は、必ずしも閉じた枠でなくてもよく、一部が開いた枠であってもよい。この場合、四角形の4辺のうち、開放箇所は1辺かその長さ以下であるのが好ましい。これにより、枠状基板12は、上述したその効果を十分に発揮し得るものとなる。また、枠状基板12を他の電気基板に搭載する際の搭載精度および作業性向上の観点から、枠状基板12には位置合わせのための凹部、凸部、孔部あるいは切欠部が設けられていてもよい。
【0077】
このような枠状基板12を構成する材料としては、例えば、紙、ガラス布、樹脂フィルム等を基材とし、この基材に、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、シアネート樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂材料を含浸させたものが挙げられる。
【0078】
具体的には、ガラス布・エポキシ銅張積層板等のガラス基材銅張積層板や、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板等のコンポジット銅張積層板に使用される絶縁基板のほか、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板等の耐熱・熱可塑性の有機系リジッド基板や、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板等のセラミックス系リジッド基板が挙げられる。
【0079】
また、枠状基板12の平均厚さは、特に限定されないが、好ましくは300μm〜3mm程度、より好ましくは500μm〜2.5mm程度とされる。このような厚さの枠状基板12は、十分な剛性を有するとともに、一般的な受発光素子7および半導体素子8よりも厚いために、これらを確実に囲うことができる。その結果、受発光素子7および半導体素子8は、枠状基板12の内側の空間13内に内包されることとなり、これらの素子が光電気混載基板1全体の厚さに影響を及ぼすことが防止される。その結果、光電気混載基板1の薄型化が確実に図られることとなる。また、光電気混載基板1に外力が付与された場合でも、枠状基板12によって外力が受け止められることにより、外力が受発光素子7や半導体素子8に直接及ぶことが防止される。その結果、受発光素子7や半導体素子8の破損や脱落等を確実に防止することができる。なお、図1に示すように、枠状基板12が閉じた枠状をなしている場合、全方位からの付与される外力からも各素子7、8を保護することができる。
【0080】
なお、枠状基板12は、1枚の基板であってもよいが、複数層の基板を積層してなる多層基板(ビルドアップ基板)であってもよい。この場合、多層基板の層間には、パターニングされた導電層が含まれており、任意の電気回路が形成されていてもよい。これにより、枠状基板12が小面積であっても、内部に複雑な電気回路を構築することができ、回路の高密度化が図られる。
【0081】
また、枠状基板12には、図1および図2に示すように、厚さ方向に貫通する複数の円柱状の貫通孔121が設けられている。これらの貫通孔121は、枠状をなす枠状基板の全周にわたり、等間隔に列をなして並んでいる。
【0082】
各貫通孔121には、導電性材料が充填されているか、または内壁面に沿って導電性材料の被膜が成膜されている。これにより、各貫通孔121内にはそれぞれ貫通ビア構造151が形成されている。
【0083】
各貫通孔121の開口部(上方の開口端近傍)には、各貫通ビア構造151と電気的に接続された接続端子152と、各接続端子152上に設けられたバンプ153とが設けられている。
【0084】
一方、絶縁性基板11の上面には、導電性材料で構成された第1の配線(電気配線)15が設けられており、絶縁性基板11の下面には、同様の第2の配線16が設けられている(図1では、各配線15、16を省略している)。
【0085】
これらの配線15、16により、各受発光素子71、72の電極パッド712、722や半導体素子8の電極パッド812と各貫通ビア構造151とが接続されている。具体的には、受発光素子71は、第1の配線15を介して半導体素子8および各貫通ビア構造151と接続されており、また、受発光素子72は、第2の配線16を介して半導体素子8および各貫通ビア構造151と接続されている。このため、バンプ153、接続端子152、貫通ビア構造151および第1の配線15を介して、受発光素子7や半導体素子8に外部からの駆動電力や制御信号を送出することができる。
【0086】
また、第2の配線16は、受発光素子7近傍では絶縁性基板11の下面に設けられているが、受発光素子7と半導体素子8との間で、その配設面が絶縁性基板11の上面に移るよう構成されている。具体的には、絶縁性基板11には、厚さ方向に貫通する貫通配線161が設けられている。また、第2の配線16は、受発光素子7近傍では絶縁性基板11の下面に設けられており、半導体素子8近傍では絶縁性基板11の上面に設けられている。そして、これらの間が、貫通配線161を介して接続されている。
【0087】
貫通配線161は、円柱または角柱のような柱状体で構成されており、その構成材料には、第1の配線15や第2の配線16と同様の導電性材料が挙げられる。
【0088】
ここで、絶縁性基板11には、厚さ方向に貫通する貫通孔110が設けられている。そして、図2に示すように、貫通孔110内には受発光素子72が挿入されている。
【0089】
また、貫通孔110の下方には、貫通孔110の開口部近傍に突出するように第2の配線16が延伸している。図2の場合、貫通孔110の左右から独立の第2の配線16がそれぞれ突出するよう延伸しており、左右から延伸する2つの第2の配線16は、開口部の中央付近で互いに離間している。
【0090】
さらに、貫通孔110内に受発光素子72が挿入されており、かつ、貫通孔110の開口部近傍に第2の配線16が延伸しているため、この延伸部分が受発光素子72の各電極パッド722と接触し、これにより受発光素子72と第2の配線16とが電気的に接続されている。
【0091】
図3は、光素子搭載基板10における各受発光素子71、72と、それに設けられた各受発光部711、721および各電極パッド712、722と、第1の配線15および第2の配線16と、貫通配線161と、半導体素子8とを模式的に示す平面図である。
【0092】
受発光素子71は、前述したように複数の受発光部711を有しているが、図3の場合、Y方向に沿って列状に等間隔に配列した4つの受発光部711を有している。すなわち、受発光素子71は、4つの受発光部711が配列してなる第1の列を有している。また、各受発光部711には、それぞれの受発光部711を囲うように配置された4つの電極パッド712が設けられており、これらの電極パッド712から受発光部711に電力や制御信号を送出したり、受発光部711の受光信号が電極パッド712において受信される。
【0093】
図3に示す第1の配線15は、この4つの電極パッド712のうち、受発光部711と接続された2つの電極パッド712にそれぞれ接続されている。その結果、8つの電極パッド712に接続された8本の第1の配線15により、受発光部711と半導体素子8とが電気的に接続されている。
【0094】
一方、受発光素子72は、受発光素子71と同様、複数の受発光部721を有しているが、図3の場合、Y方向に沿って列状に等間隔に配列した4つの受発光部721を有している。すなわち、受発光素子72は、4つの受発光部721が配列してなる第2の列を有している。また、各受発光部721には、それぞれの受発光部721を囲うように配置された4つの電極パッド722が設けられており、これらの電極パッド722から受発光部721に電力や制御信号を送出したり、受発光部721の受光信号が電極パッド722において受信される。
【0095】
図3に示す第2の配線16は、この4つの電極パッド722のうち、受発光部721と接続された2つの電極パッド722にそれぞれ接続されている。その結果、8つの電極パッド722に接続された8本の第2の配線16により、受発光部721と半導体素子8とが電気的に接続されている。
【0096】
すなわち、図3に示す光素子搭載基板10は、全部で8つの受発光部711、721を有しており、これらが2つの受発光素子71、72に4つずつ分配されている。
【0097】
このような受発光素子71および受発光素子72は、前述したように各受発光部711、721の列が平行になっているものの、Y方向の位置は互いにずれている。その結果、各受発光部711、721の中心を通過するX軸に平行な仮想線(例えば、図4に示す1点鎖線)を描いたとき、8本の仮想線が所定の間隔になるよう、受発光素子71と受発光素子72のY方向のずれ量が設定されている。
【0098】
この間隔(図4の間隔L)は、光素子搭載基板10と積層される光回路層2のチャンネルピッチ(コア部214同士の間隔)と等しくなるよう設定される。図4に示す光素子搭載基板10の場合、チャンネルピッチが間隔Lに等しい光回路層2と積層されることにより、平面視における各受発光部711、721の位置と各チャンネルの位置とが一致し、これらがそれぞれ光学的に接続されることとなる。なお、図4では、8本の仮想線の間隔は、いずれも等間隔になっているが、光回路層2のチャンネルピッチに応じて適宜設定され、等間隔でなくてもよい。
【0099】
上記のように、光素子搭載基板10では、第1の列をなす4つの受発光部711と、第2の列をなす4つの受発光部721とが、各電極パッド712、722および絶縁性基板11の異なる面に敷設された電気配線(第1の配線15および第2の配線16)を介して半導体素子8と接続されているため、各面には、それぞれ8本の電気配線を取り回しすればよいこととなる。
【0100】
ここで、従来の光素子搭載基板について説明する。
図11は、従来の光素子搭載基板を備える従来の光電気混載基板を示す断面図、図12は、従来の光素子搭載基板に形成された配線を示す平面図である。なお、図11、12において図2〜4と同様の符号を用いているものは、図2〜4における各部の構成と同様である。
【0101】
図11に示す光素子搭載基板90は、絶縁性基板91と、絶縁性基板91の上面に設けられた各配線951、952と、絶縁性基板91の上方に配置された受発光素子7(受発光素子71および受発光素子72)と、半導体素子8とを有している。
【0102】
また、図11に示す光電気混載基板9は、光素子搭載基板90と、その下面に積層された光回路層2とを有している。
【0103】
また、図12は光素子搭載基板90に形成された配線の平面図であるが、この図12は、配線の敷設パターンが異なる以外、図4と同様である。
【0104】
図12では、第1の列をなす4つの受発光部721に対応する各電極パッド712に、それぞれ配線951が接続されている。一方、第2の列をなす4つの受発光部721に対応する各電極パッド722には、それぞれ配線952が接続されている。
【0105】
従来の光素子搭載基板90では、図12に示すように、配線951と配線952とがそれぞれ同一面上に敷設されているため、それらの取り回しには十分なスペースが必要であった。具体的には、光素子搭載基板90では、図12に示すように、隣接する電極パッド712同士の隙間に2本の配線952を敷設する必要があった。しかしながら、その隙間は非常に狭いため、2本の配線952の幅と間隔(ライン・アンド・スペース)を小さくするとともに、2本の配線952には極めて高い寸法精度が要求される。この寸法精度は、光素子搭載基板90に積層される光回路層2のチャンネルピッチが狭くなればなるほど、高いものでなければならず、この制約から従来の光素子搭載基板90は、その製造が極めて困難であった。仮に寸法精度が十分でない場合、配線952の断線や短絡等が生じるおそれがあった。
【0106】
さらに言えば、実現可能な寸法精度には限度があるため、チャンネルピッチが高密度である光回路層2に対しては、光素子搭載基板90を接続することができない場合があった。
【0107】
また、受発光素子71を迂回するように各配線952を敷設することもできるが、この場合、各配線952の配線長が著しく長くなってしまう。その結果、各配線952で伝送される信号の遅延や損失が増大し、各配線952の伝送特性が著しく低下する。
【0108】
これに対し、本発明の光素子搭載基板10では、図4に示すように、第1の配線15と第2の配線16とが、それぞれ同じ方向に向かって延伸しているものの、絶縁性基板11の異なる面にそれぞれ敷設されているため、各配線15、16の取り回しに要するスペースに余裕が生まれる。したがって、多数の受発光部711、721を高密度に配置した場合でも、各配線15、16のライン・アンド・スペースをあまり小さくする必要がなくなる。このため、各配線15、16は、十分な導電性と絶縁性とを有するものとなり、結果的に、光素子搭載基板10の性能を高めることができる。また、各配線15、16には、高い寸法精度が要求されないので、その製造が容易になるという利点もある。
【0109】
さらには、寸法精度を高めさえすれば、従来に比べてさらにチャンネルピッチの狭い光回路層2に対しても、光素子搭載基板10を確実に接続することができる。このため、このような光素子搭載基板10を用いることにより、高密度実装が可能な光電気混載基板1が得られる。
【0110】
また、第2の配線16の敷設に際しては、受発光素子71の位置をほとんど考慮することなく、最短距離で各電極パッド722と半導体素子8とを接続するよう敷設することができる。その結果、第2の配線16の配線長をより短縮することができ、第2の配線16で伝送される信号の遅延や損失が抑制され、第2の配線16の伝送特性の低下を防止することができる。
【0111】
さらには、各配線15、16の配設面が異なるわけであるから、第1の配線15と第2の配線16とを同一面に投影してなる投影像は、少なくとも一部において重なっていてもよい。この場合、従来に比べて、各配線15、16の設計自由度が格段に向上するため、各配線15、16の製造がより容易になる。
【0112】
なお、第2の配線16を敷設する場合、受発光素子7の受発光部711に対応する領域を避けて第2の配線16が配設されることが好ましい。すなわち、第2の配線16と受発光部711とを同一面に投影してなる投影像は、重ならないことが好ましい。これにより、受発光部711とミラー22との間の光路と第2の配線16とが干渉するのを防止して、光路の伝送特性の低下が避けることができる。
【0113】
また、前述したように、受発光素子72は、絶縁性基板11に設けられた貫通孔110内に挿入されている(図2参照)。このため、絶縁性基板11の上面に受発光素子72を載置した場合と比較して、第2の配線16の配線長をより短縮することができる。これは、絶縁性基板11の上面に受発光素子72を載置した場合、絶縁性基板11を貫通する配線や受発光素子71を迂回するよう敷設された配線を設ける必要があり、いずれにしても配線長が長くなるのに対し、貫通孔110内に受発光素子72を設けた場合、少なくとも絶縁性基板11の厚さ分だけ配線長を短縮することができるからである。その結果、第2の配線16で伝送される信号の遅延や損失が抑制され、第2の配線16の伝送特性の低下を防止することができる。
【0114】
また、受発光素子72が貫通孔110内に挿入されることにより、第2の配線16の位置に対する受発光素子72の位置精度を高めることができる。すなわち、貫通孔110の内壁面によって、受発光素子72の位置が必然的に規制されることになるため、それに応じて、受発光部721のミラー22に対する位置、および、各電極パッド722の第2の配線16に対する位置が、自ずと一致する。その結果、位置ずれに伴う光路の伝送特性や接触不良等を防止することができる。
【0115】
また、図3では、半導体素子8が受発光素子71の右側に設けられているが、半導体素子8の位置は、図3に示す位置に限定されず、受発光素子7に対して図3とは反対側であってもよく、受発光素子7に対してY方向にずれた位置であってもよい。
【0116】
ここで、第1の配線15および第2の配線16は、各受発光素子71、72と半導体素子8との間に設けられているが、それぞれの配線の間隔は、半導体素子8に向かうにつれて徐々に拡大している。したがって、半導体素子8に近いほど、各配線15、16のライン・アンド・スペースにはさらに余裕が生じている。
【0117】
ところで、第2の配線16は、前述したように、受発光素子72近傍では絶縁性基板11の下面に配設されているが、半導体素子8近傍では絶縁性基板11の上面に設けられており、これらの間は絶縁性基板11を貫通する貫通配線161を介して接続されている。ここで、この貫通配線161の配設位置は、できるだけ半導体素子8に近い方が好ましい。このような位置であれば、前述したように、各配線15、16のライン・アンド・スペースに余裕があることから、貫通配線161を形成する際に、形成位置の位置精度の許容範囲を緩和することができる。よって、貫通配線161の製造容易性が向上する。
【0118】
なお、前述したように、図3に示す光素子搭載基板10は、8つの受発光部711、721を有しており、これらが2つの受発光素子71、72に4つずつ分配されているが、この分配パターンは、特に限定されない。例えば、8つの受発光素子にそれぞれ1つずつの受発光部が設けられていてもよく、4つの受発光素子にそれぞれ2つずつ受発光部が設けられていてもよく、1つの受発光素子に全ての受発光部が設けられていてもよい。
【0119】
このうち、8つの受発光部711、721が複数の受発光素子に分配されている場合には、図2に示すように、いくつかの受発光素子を貫通孔110内に挿入し、残る受発光素子を絶縁性基板11の上面に載置するなどのように、それぞれの配置を自由に設定することができる。
【0120】
一方、8つの受発光部711、721が1つの受発光素子に集約されている場合には、複数の受発光素子の相互の位置関係を考慮する必要がなくなるため、各受発光部711、721を正確に配置することができる。その結果、各受発光部711、721の光路の伝送特性のバラツキを抑えることができる。
【0121】
以上説明したような第1の配線15および第2の配線16の平均厚さは、各配線15、16の構成材料や各配線15、16に要求される電気抵抗値等に応じて適宜設定されるものの、一例として1〜30μm程度とされる。
【0122】
また、第1の配線15の幅および第2の配線16の幅も、各配線15、16の構成材料や各配線15、16に要求される電気抵抗値等に応じて適宜設定されるものの、一例として2〜1000μm程度であるのが好ましく、5〜500μm程度であるのがより好ましい。
【0123】
なお、このような各配線15、16は、例えば、一旦全面に形成された導電層をパターニングする(例えば銅張基板の銅箔をパターニングする)方法、別途用意した基板上にあらかじめパターニングされた導電層を転写する方法等により形成される。
【0124】
一方、枠状基板12の各貫通孔121内に設けられた貫通ビア構造151および前述した貫通配線161は、例えば、各種めっき法により導電性の被膜を成膜することで形成される。
【0125】
また、各貫通孔121の開口部に設けられる接続端子152は、各貫通ビア構造151の上端面であってもよく、その上端面に連結し、より面積の広いパッドであってもよい。
【0126】
第1の配線15、第2の配線16、接続端子152、貫通ビア構造151および貫通配線161に用いられる導電性材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等の各種金属材料が挙げられる。
【0127】
また、接続端子152上に設けられるバンプ153は、各種ハンダ、各種ろう材等で構成されたボール状またはランド状の電極である。
【0128】
このうち、ハンダまたはろう材としては、Sn−Pb系の鉛ハンダの他、Sn−Ag−Cu系、Sn−Zn−Bi系、Sn−Cu系、Sn−Ag−In−Bi系、Sn−Zn−Al系の各種鉛フリーハンダ、JISに規定された各種低温ろう材等が挙げられる。
【0129】
なお、かかるバンプ153は、光電気混載基板1を他の部材に対して電気的に接続する際に、その接続を担う電極である。バンプ153により、光電気混載基板1は、BGA(Ball Grid Array)タイプやLGA(Land Grid Array)タイプの実装が可能になる。
【0130】
また、接続端子152とハンダ(またはろう材)とが接触することにより、接続端子152を構成する金属成分の一部がハンダ側に溶解する現象が生じるおそれがある。この現象は、特に銅製端子に対して生じる場合が多いことから「銅食われ」と呼ばれている。銅食われが発生すると、接続端子152が薄くなったり、欠損したりする等の不具合を招き、接続端子152の機能を損なうおそれがある。
【0131】
そこで、導電性材料と接する接続端子152の表面には、あらかじめ、ハンダの下地として銅食われ防止膜(下地層)を形成しておくのが好ましい。この銅食われ防止膜の形成により、銅食われが防止され、接続端子152の機能を長期にわたって維持することができる。
【0132】
銅食われ防止膜の構成材料としては、例えば、ニッケル(Ni)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)等が挙げられ、銅食われ防止膜は、これらの金属組成1種からなる単層であってもよく、2種以上を含む複合層(例えば、Ni−Au複合層、Ni−Sn複合層等)であってもよい。
【0133】
銅食われ防止膜の平均厚さは、特に限定されないが、0.05〜5μm程度であるのが好ましく、0.1〜3μm程度であるのがより好ましい。これにより、銅食われ防止膜そのものの電気抵抗を抑制しつつ、十分な銅食われ防止作用を発現させることができる。
【0134】
枠状基板12の内側に設けられる受発光素子7(受発光素子71および受発光素子72)は、前述したように、下面に各受発光部711、721と各電極パッド721、722とを有するものであるが、具体的には、面発光レーザー(VCSEL)、発光ダイオード(LED)等の発光素子や、フォトダイオード(PD、APD)等の受光素子等である。
【0135】
一方、受発光素子7に隣接する半導体素子8は、受発光素子7の動作を制御する素子であり、下面には、電極パッド812を有している。かかる半導体素子8としては、ドライバーICや、トランスインピーダンスアンプ(TIA)、リミッティングアンプ(LA)等を含むコンビネーションICの他、各種LSI、RAM等が挙げられる。
【0136】
なお、第1の配線15は、上記の構成に限定されず、例えばボンディングワイヤー等で代替することもできる。
【0137】
また、各受発光素子71、72に設けられた電極パッド712、722と、各配線15、16との電気的接続は、図示しない導電性材料を介して行われるが、この導電性材料としては、前述したハンダまたはろう材の他、異方性導電フィルム(ACF)、異方性導電ペースト(ACP)が用いられる。
【0138】
さらには、電極パッド712、722にスタッドバンプ等の各種バンプが設けられている場合には、超音波接合(例えばAu−Au接合、Cu−Cu接合、Al−Al接合等)、金−半田接合により電気的に接続することもできる。
【0139】
また、絶縁性基板11の上面と枠状基板12の内面とで画成される空間13には、少なくとも受発光素子7全体および半導体素子8全体を覆うようにモールド樹脂(封止樹脂)14が充填されている。このモールド樹脂14により、受発光素子7および半導体素子8は、耐候性(耐熱性、耐湿性、気圧変化等)、振動、外力、応力集中、異物付着等から確実に保護される。
【0140】
なお、第1の配線15、各受発光素子71、72の各電極パッド712、722、および半導体素子8の電極パッド812は、それぞれ所定の厚さを有していることから、絶縁性基板11の上面と各素子7、8との間には、わずかな隙間が生じる。モールド樹脂14は、この隙間にも侵入し、隙間を充填することとなる。
【0141】
この場合、モールド樹脂14は光路上にも存在することになるので、できるだけ透光性の高いものが好ましい。また、モールド樹脂14と絶縁性基板11との界面の透光性を高めるためには、モールド樹脂14は、その屈折率が、絶縁性基板11の屈折率と近いことが好ましい。具体的には、両者の屈折率差は、0.05以下であるのが好ましい。
【0142】
モールド樹脂14としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ノルボルネン系樹脂等が挙げられる。
【0143】
また、光素子搭載基板10では、有底の空間13にモールド樹脂14が充填されるため、未硬化時であっても、充填されたモールド樹脂14が空間13の外側に流れ出すおそれがない。このため、充填時のモールド樹脂14の粘度は、特に制御される必要がなく、充填作業が容易である。
【0144】
なお、受発光素子7と絶縁性基板11と隙間、半導体素子8と絶縁性基板11との隙間、またはこれらの隙間とその周辺には、アンダーフィル剤を充填するようにしてもよい。このアンダーフィル剤としては、透光性を有するものが用いられ、具体的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂を主材料とするものが好ましく用いられる。また、アンダーフィル剤を用いた場合には、その上から充填されるモールド樹脂14は必ずしも透光性を有していなくてもよい。
【0145】
以上のような光素子搭載基板10は、その下面が光回路層2と接するように積層するだけで、光信号の伝送特性が高い光電気混載基板1を、極めて簡単に製造可能であるという利点を有する。
【0146】
そして、この光素子搭載基板10では、多数の受発光部711、721を高密度に配置した場合でも、各配線15、16のライン・アンド・スペースを小さくする必要がなくなるので、各配線15、165は、十分な導電性と絶縁性とを有するものとなる。その結果、光素子搭載基板10は、電気信号の伝送特性の高いものとなる。このため、このような光素子搭載基板10を備えた光電気混載基板1は、電気信号の伝送特性においても優れた性能を有するものとなる。なお、各配線15、16には、高い寸法精度が要求されないので、その製造が容易になるという利点もある。
【0147】
なお、このような光素子搭載基板10は、光回路層2の一方の端部上に積層されていても、両端部上に積層されていてもよい。
【0148】
図5(a)に示す光電気混載基板1は、光回路層2の両端部上にそれぞれ光素子搭載基板10が積層されてなるものである。また、光素子搭載基板10の受発光素子7の配置に対応して、それぞれミラー22が形成されている。これにより、光電気混載基板1では、一方の光素子搭載基板10において電気信号から光信号が生成され、得られた光信号は光回路層2で他方の光素子搭載基板10に伝搬される。他方の光素子搭載基板10では、受光した光信号から電気信号を生成する。このようにして両端部間で光信号によるデータ通信を行うことができる。
【0149】
一方、図5(b)に示す光電気混載基板1では、光回路層2の一方の端部上には光素子搭載基板10が積層されており、他方の端部には、光回路層2と接続相手との接続を担うコネクター20が設けられている。コネクター20としては、光ファイバーとの接続に用いられるPMTコネクター等が挙げられる。すなわち、コネクター20は、例えば光ファイバー等と連結されることにより、光回路層2が光ファイバーで延長することを可能にする。その結果、光電気混載基板1を用いて、より長距離の光通信が可能になる。
【0150】
なお、図5に示す光電気混載基板1は、いずれも一方の端部と他方の端部とを1対1で接続する場合を前提にした構成であるが、光回路層2の途中に複数の分岐が可能な光スプリッターを介在させることにより、1対複数の接続が可能になる。この場合、複数の端部には、全てに光素子搭載基板10が積層されていてもよく、一部に光素子搭載基板10が積層され、残りにはコネクター20が設けられていてもよく、全てにコネクター20が設けられていてもよい。
【0151】
<光電気混載基板の製造方法>
次に、上述したような光電気混載基板1を製造する方法の一例について説明する。
【0152】
図1に示す光電気混載基板1は、光回路層2および光素子搭載基板10をそれぞれ用意し、これらを積層することで製造される。
【0153】
[1]光素子搭載基板の製造
まず、光電気混載基板1の製造に用いられる光素子搭載基板10の製造方法について説明する。
【0154】
[1−1]配線等の製造
絶縁性基板11を用意し、その両面の一部または全部を覆うように導電層を形成する。
【0155】
この導電層は、前述した金属組成の被膜であり、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の物理蒸着法、電解めっき、無電解めっき等のめっき法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法等の方法により形成される。なお、用意する絶縁性基板11として、あらかじめ銅箔がラミネートされた基板を用いる場合には、導電層の形成を省略することができる。
【0156】
次いで、この導電層を、各種パターニング法によりパターニングする。パターニング法としては、例えばフォトリソグラフィー法とエッチング法とを組み合わせた方法が挙げられる。
【0157】
以上のようにして、図6(a)に示すように、絶縁性基板11の両面に第1の配線15および第2の配線16が形成される。
【0158】
また、絶縁性基板11に貫通孔110を形成するとともに、絶縁性基板11に貫通配線161を形成する。
【0159】
貫通孔110の形成方法としては、レーザー加工法、電子ビーム加工法、機械加工法等の各種加工法が挙げられる。
【0160】
[1−2]枠状基板の積層
次いで、図6(a)に示すように、第1の配線15、第2の配線16および貫通配線161を設けた絶縁性基板11上に、貫通ビア構造151や接続端子152を設けた枠状基板12を積層する。
【0161】
絶縁性基板11と枠状基板12との間は、それぞれ熱圧着や、各種接着剤(粘着剤を含む。)による接着等の方法で接着される。
【0162】
接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤の他、各種ホットメルト接着剤(ポリエステル系、変性オレフィン系)等が挙げられる。また、特に耐熱性の高いものとして、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリイミドアミドエーテル、ポリエステルイミド、ポリイミドエーテル等の熱可塑性ポリイミド接着剤が挙げられる。
【0163】
なお、この積層により、第1の配線15および第2の配線16と貫通ビア構造151とが電気的に接続される。
【0164】
[1−3]素子の搭載
次いで、図6(b)に示すように、枠状基板12の内側に受発光素子7および半導体素子8を搭載する。これにより、第1の配線15と受発光素子71の電極パッド712との間、第2の配線16と受発光素子72の電極パッド722との間、および各配線15、16と半導体素子8の電極パッド812との間が、それぞれ電気的に接続される。
【0165】
次いで、図6(c)に示すように、枠状基板12の内側の空間13にモールド樹脂14を供給し、固化させる。これにより、空間13に設けられた受発光素子7および半導体素子8がモールド樹脂14で封止される。
【0166】
次いで、図6(d)に示すように、接続端子152上にバンプ153を設ける。このようなバンプ153は、ハンダやろう材の溶融物またはボールを接続端子152上に供給する方法や、ハンダペースト(ろう材ペースト)を塗布したのち乾燥させる方法等により形成される。
以上のようにして光素子搭載基板10が得られる。
【0167】
[2]光回路層の製造
次に、クラッド層211、コア層213およびクラッド層212をそれぞれ製造する。これらは、基材上に、各層の形成用組成物を塗布して液状被膜を形成した後、この基材をレベルテーブルに載置して、液状被膜表面の不均一な部分を水平化するとともに、溶媒を蒸発(脱溶媒)することにより形成される。
【0168】
液状被膜を形成するための塗布法としては、例えば、ドクターブレード法、スピンコート法、ディッピング法、テーブルコート法、スプレー法、アプリケーター法、カーテンコート法、ダイコート法等の方法が挙げられる。
【0169】
また、同一層(コア層213)内に、コア部214と、側面クラッド部215を形成する方法としては、例えば、フォトブリーチング法、フォトリソグラフィー法、直接露光法、ナノインプリンティング法、モノマーディフュージョン法等が挙げられる。
【0170】
その後、形成したクラッド層211、コア層213およびクラッド層212を、互いに圧着する。これにより、クラッド層211、コア層213およびクラッド層212が接合、一体化され、光回路層2(光導波路21)が得られる。
【0171】
[3]光電気混載基板の製造
次に、光素子搭載基板10を用いて光電気混載基板1を製造する方法について説明する。
【0172】
まず、光回路層2および光素子搭載基板10を順次積層し、層間を接着する。これにより図6(e)に示す光電気混載基板1が得られる。
【0173】
各層間は、それぞれ熱圧着や、前述した各種接着剤(粘着剤を含む。)による接着等の方法で接着されるが、クラッド層212が接着性を有している場合には、その接着性を利用して接着するようにしてもよい。
【0174】
(第2実施形態)
次に、本発明の光素子搭載基板の第2実施形態、およびこの光素子搭載基板を備えた本発明の光電気混載基板の第2実施形態について説明する。
【0175】
図7は、本発明の光素子搭載基板および光電気混載基板の第2実施形態を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明では、図7中の上側を「上」、下側を「下」という。また、各図では、各基板の厚さ方向を強調して描いている。
【0176】
以下、光素子搭載基板および光電気混載基板の第2実施形態について説明するが、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図7において、第1実施形態と同様の構成部分については、先に説明した図2と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0177】
図7に示す光素子搭載基板10は、絶縁性基板11に設けられた貫通孔110が省略され、代わりに、絶縁性基板11を貫通するように設けられた複数の貫通配線162を有する以外は、第1実施形態と同様である。
【0178】
すなわち、図7に示す光素子搭載基板10では、受発光素子71と受発光素子72の双方が絶縁性基板11の上面に搭載されており、このうち受発光素子72の電極パッド722が、貫通配線162を介して第2の配線16と電気的に接続されている。このような光素子搭載基板10を備える光電気混載基板1では、第1実施形態と同様、各配線15、16の取り回しに要するスペースに余裕が生まれることとなり、第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
【0179】
また、本実施形態では、絶縁性基板11に受発光素子72を挿入可能なほど大きな貫通孔110を設ける必要がないため、貫通孔110による絶縁性基板11の機械的強度の低下が防止される。
【0180】
なお、貫通配線162は、前述した貫通配線161と同様の材料で構成され、同様の方法で形成される。
【0181】
(第3実施形態)
次に、本発明の光電気混載基板の第3実施形態について説明する。
【0182】
図8は、本発明の光電気混載基板の第3実施形態を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明では、図8中の上側を「上」、下側を「下」という。また、各図では、各基板の厚さ方向を強調して描いている。
【0183】
以下、光電気混載基板の第3実施形態について説明するが、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図8において、第1実施形態と同様の構成部分については、先に説明した図2と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0184】
図8に示す光電気混載基板1は、第1実施形態に対して、光素子搭載基板10と光回路層2との積層方向を左右に反転させた以外は、第1実施形態と同様である。
【0185】
すなわち、第1実施形態では、図2に示すように、受発光素子71から受発光素子72へと向かう方向を延長する延長線に沿って光導波路21が延伸しているが、本実施形態では、図8に示すように、受発光素子72から受発光素子71へと向かう方向を延長する延長線に沿って光導波路21が延伸するように、光素子搭載基板10と光回路層2とが積層されている。
【0186】
このような構成では、光導波路21と受発光素子72とを結ぶ光路の長さは、光導波路21と受発光素子71とを結ぶ光路の長さより長くなっている。このため、厳密には、光路長の差分に応じて、前者の光路を伝送される光信号は、後者の光路を伝送される光信号よりも遅れることとなる。しかも、前者の光路は、光路が長い分だけ、減衰率が大きくなるおそれがある。
【0187】
これに対し、本実施形態では、光路長が長い受発光素子72が貫通孔110内に設けられていることから、その分だけ、光路長が短縮される。さらには、受発光素子72が貫通孔110内に設けられているため、光路が絶縁性基板11を透過しなくなり、その分だけ、光路の減衰率の増大が防止される。
【0188】
このような理由から、前者の光路長と後者の光路長との差が小さくなり、各光路間における遅延の発生や減衰率のバラツキ等が防止されることとなる。このため、より信頼性の高い光電気混載基板1が得られる。
【0189】
なお、上記の作用・効果以外に、本実施形態は、第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
【0190】
(第4実施形態)
次に、本発明の光素子搭載基板の第4実施形態、および本発明の光電気混載基板の第4実施形態について説明する。
【0191】
図9は、本発明の光素子搭載基板および光電気混載基板の第4実施形態を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明では、図9中の上側を「上」、下側を「下」という。また、各図では、各基板の厚さ方向を強調して描いている。
【0192】
以下、光素子搭載基板および光電気混載基板の第4実施形態について説明するが、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図9において、第1実施形態と同様の構成部分については、先に説明した図2と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0193】
図9に示す光素子搭載基板10は、受発光素子71、受発光素子72および半導体素子8を2組搭載してなる以外は、第1実施形態と同様である。
【0194】
すなわち、第4実施形態は、枠状基板12の最も内側に、平行に設けられた2つの受発光素子72と、その外側に、平行に設けられた2つの受発光素子71と、その外側に設けられた2つの半導体素子8とを有している。このような光素子搭載基板10では、図示しないが、4つずつの受発光部711、721が4列に並んでいるため、16チャンネルの光回路層2に対して、光学的接続が可能になる。このため、より高密度実装が可能な光電気混載基板1が得られる。
【0195】
なお、上記の作用・効果以外に、本実施形態は、第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
【0196】
(第5実施形態)
次に、本発明の光素子搭載基板の第5実施形態、および本発明の光電気混載基板の第5実施形態について説明する。
【0197】
図10は、本発明の光素子搭載基板および光電気混載基板の第5実施形態を模式的に示す(a)平面図および(b)断面図である。なお、以下の説明では、図10(b)中の上側を「上」、下側を「下」という。また、各図では、各基板の厚さ方向を強調して描いている。
【0198】
以下、光素子搭載基板および光電気混載基板の第5実施形態について説明するが、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図10において、第1実施形態と同様の構成部分については、先に説明した図2と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0199】
図10(a)に示す光素子搭載基板10は、枠状基板12を省略するとともに、各配線15、16に接続される外部端子として、絶縁性基板11上に設けられた8つのコネクター用パッド154を用いるようにした以外は、第1実施形態と同様である。
【0200】
これらのコネクター用パッド154は、別途用意されたコネクターと接続されることにより、外部回路と電気的に接続される。
【0201】
また、各コネクター用パッド154は、それぞれ絶縁性基板11上に配設された配線155を介して半導体素子8に接続されている。これにより、各コネクター用パッド154は、光電気混載基板1の外部電極として機能する。
【0202】
また、絶縁性基板11は、下面において積層された光回路層2の右端を越えて右側に延伸している。前述した各コネクター用パッド154は、この延伸部分の上面に設けられている。一方、延伸部分の下面には、支持基板17が積層されている。この支持基板17により、延伸部分が補強されるため、光電気混載基板1をコネクターと接続する際に、付与された外力によって延伸部分が折れ曲がったり、破損したりするのを防止することができる。
【0203】
なお、各コネクター用パッド154および配線155は、前述した第1の配線15および第2の配線16と同様の材料で構成され、同様の方法で形成される。
【0204】
また、支持基板17は、前述した枠状基板12と同様の材料で構成され、厚さ等も同様である。
【0205】
また、本実施形態は、構造が若干異なるものの、第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
【0206】
<電子機器>
本発明の光電気混載基板を備える電子機器(本発明の電子機器)は、光信号と電気信号の双方の信号処理を行ういかなる電子機器にも適用可能であるが、例えば、ルーター装置、WDM装置、携帯電話、ゲーム機、パソコン、テレビ、ホーム・サーバー等の電子機器類への適用が好適である。これらの電子機器では、いずれも、例えばLSI等の演算装置とRAM等の記憶装置との間で、大容量のデータを高速に伝送する必要がある。したがって、このような電子機器が本発明の光電気混載基板を備えることにより、電気配線に特有なノイズ、信号劣化等の不具合が解消されるため、その性能の飛躍的な向上が期待できる。
【0207】
さらに、光導波路部分では、電気配線に比べて発熱量が大幅に削減される。このため、基板内の集積度を高めて小型化が図られるとともに、冷却に要する電力を削減することができ、電子機器全体の消費電力を削減することができる。
【0208】
以上、本発明の光素子搭載基板、光電気混載基板および電子機器の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば光素子搭載基板や光電気混載基板を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0209】
例えば、光回路層2の上面および下面には、それぞれカバーフィルムが積層されていてもよい。カバーフィルムにより、光回路層2を確実に保護することができる。なお、カバーフィルムとしては、絶縁性基板11と同様のものが用いられる。
【符号の説明】
【0210】
1 光電気混載基板
10 光素子搭載基板
110 貫通孔
11 絶縁性基板
12 枠状基板
121 貫通孔
13 空間
14 モールド樹脂
15 第1の配線
151 貫通ビア構造
152 接続端子
153 バンプ
154 コネクター用パッド
155 配線
16 第2の配線
161、162 貫通配線
17 支持基板
2 光回路層
20 コネクター
21 光導波路
211、212 クラッド層
213 コア層
214 コア部
215 側面クラッド部
22 ミラー
7、71、72 受発光素子
711、721 受発光部
712、722 電極パッド
8 半導体素子
812 電極パッド
9 光電気混載基板
90 光素子搭載基板
91 絶縁性基板
951、952 配線
L 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基板と、
受光または発光する複数の受発光部と、
前記絶縁性基板の第1の面に設けられた第1の配線と、
前記絶縁性基板の前記第1の面と反対側の第2の面に設けられた第2の配線とを有し、
前記第2の面側において、複数のチャンネルを有する光導波路と積層されることにより、前記複数の受発光部と前記複数のチャンネルとがそれぞれ光学的に接続されるよう用いられる光素子搭載基板であって、
前記複数の受発光部は、平面視において、2列以上の並列する列状に配置されており、そのうちの1つの列である第1の列に含まれる受発光部は、前記第1の配線と電気的に接続されており、前記第1の列とは別の第2の列に含まれる受発光部は、前記第2の配線と電気的に接続されていることを特徴とする光素子搭載基板。
【請求項2】
前記絶縁性基板は、貫通孔を有しており、
前記第2の列に含まれる受発光部は、前記貫通孔内に設けられている請求項1に記載の光素子搭載基板。
【請求項3】
前記第2の配線は、前記貫通孔の開口部近傍に延伸した延伸部分を有しており、
前記延伸部分において、前記第2の列に含まれる受発光部と、前記第2の配線とが電気的に接続されている請求項2に記載の光素子搭載基板。
【請求項4】
前記絶縁性基板は、貫通孔と、該貫通孔内に設けられた貫通配線とを有し、
前記第2の列に含まれる受発光部は、前記絶縁性基板の前記第1の面側に設けられており、
前記貫通配線を介して、前記第2の列に含まれる受発光部と、前記第2の配線とが、電気的に接続されている請求項1に記載の光素子搭載基板。
【請求項5】
前記第1の配線および前記第2の配線は、それぞれ同じ方向に向かって延伸している請求項1ないし4のいずれかに記載の光素子搭載基板。
【請求項6】
前記第1の配線および前記第2の配線の、前記絶縁性基板と平行な同一面に対する投影像は、少なくとも一部において重なっている請求項1ないし5のいずれかに記載の光素子搭載基板。
【請求項7】
前記複数の受発光部は、1つの光素子に全て搭載されている請求項1ないし6のいずれかに記載の光素子搭載基板。
【請求項8】
前記複数の受発光部は、複数の光素子に分配されて搭載されている請求項1ないし6のいずれかに記載の光素子搭載基板。
【請求項9】
前記第1の面側に設けられ、前記光素子の全周を囲うよう構成された枠状基板を有する請求項7または8に記載の光素子搭載基板。
【請求項10】
前記枠状基板の厚さは、前記光素子の厚さより厚い請求項9に記載の光素子搭載基板。
【請求項11】
前記絶縁性基板の平均厚さは、5〜50μmである請求項1ないし10のいずれかに記載の光素子搭載基板。
【請求項12】
前記絶縁性基板の前記第1の面側に設けられ、前記複数の受発光部の動作を制御する制御素子を有しており、
前記第1の配線および前記第2の配線は、それぞれ、前記複数の受発光部と前記制御素子とを接続するよう設けられており、
前記第2の配線は、その途中で、前記第2の面から前記第1の面へと配設面が変更されるよう構成されている請求項1ないし11のいずれかに記載の光素子搭載基板。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載の光素子搭載基板と、
複数のチャンネルを備え、前記絶縁性基板の第2の面側に位置するよう設けられた光導波路と、
前記複数の受発光部と前記複数のチャンネルとを光学的に接続する光路変換手段とを有することを特徴とする光電気混載基板。
【請求項14】
光素子搭載基板は、前記光導波路の一方の端部または双方の端部にそれぞれ積層されている請求項13に記載の光電気混載基板。
【請求項15】
前記光素子搭載基板は、前記光導波路の一方の端部に設けられており、
前記光導波路の他方の端部に設けられ、該光導波路を接続相手と接続するコネクターを有する請求項13に記載の光電気混載基板。
【請求項16】
請求項13ないし15のいずれかに記載の光電気混載基板を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−99921(P2011−99921A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253241(P2009−253241)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】