説明

内燃機関の排気浄化装置

【課題】 本発明は、パティキュレートフィルタとEGR機構を備えた排気浄化装置において、PM強制再生処理の実行時に好適にEGRを行うことができる技術を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、パティキュレートフィルタ6のPM強制再生処理実行時に内燃機関1が高負荷運転状態にあればパティキュレートフィルタ6下流の排気通路5からコンプレッサハウジング30上流の吸気通路2へEGRガスを還流させることによりインタークーラ4によってEGRガスを冷却させ、PM強制再生処理実行時に内燃機関1が低負荷運転状態にあればパティキュレートフィルタ6下流の排気通路5からインタークーラ4下流の吸気通路2へEGRガスを還流させることによりEGRガスの不要な冷却を防止することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関し、特にパティキュレートフィルタとEGR機構を備えた排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内燃機関の排気浄化装置として、パティキュレートフィルタとEGR機構を併せ持つものが普及してきている。この種の排気浄化装置としては、パティキュレートフィルタ下流からEGRガスを取り出す構成が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平4−22705号公報
【特許文献2】実開平6−34122号公報
【特許文献3】特許第2675405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記の従来技術ではパティキュレートフィルタ下流から取り出されたEGRガスを吸気系の何れの部位へ供給するかについて十分な考察が行われていない。
【0004】
本発明は、パティキュレートフィルタとEGR機構を備えた排気浄化装置において、EGRガスを好適に吸気系へ還流可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記した課題を解決するために以下のような手段を採用した。この発明の特徴は、パティキュレートフィルタの捕集能力が強制的に再生(以下、PM強制再生処理と記す)させられているときに、パティキュレートフィルタ下流からEGRガスを取り出すとともに、そのEGRガスの還流先を内燃機関の負荷に応じて変更する点にある。
【0006】
例えば、内燃機関の吸気通路に過給器と給気冷却器(インタークーラ)が設けられている場合には、PM強制再生処理が行われているときに、内燃機関の負荷が所定負荷より低ければパティキュレートフィルタ下流の排気通路から給気冷却器下流の吸気通路へ排気を還流させ、内燃機関の負荷が所定負荷より高ければパティキュレートフィルタ下流の排気通路から過給器上流の給気通路へ排気を還流させる。
【0007】
PM強制再生処理中は、パティキュレートフィルタが凡そ600℃以上に昇温させられ、パティキュレートフィルタに捕集されているパティキュレート(以下、PMと記す)が酸化除去される。
【0008】
PMが酸化する際には熱が発生するため、パティキュレートフィルタが更に昇温して劣化する可能性があるが、パティキュレートフィルタへ流入する排気量がある程度多ければパティキュレートフィルタの熱が排気によって持ち去れるため過剰な昇温が抑制される。
【0009】
ところで、PM強制再生処理中にパティキュレートフィルタ上流からEGRガスが取り出されると、パティキュレートフィルタへ流入する排気量が減小するため、パティキュレートフィルタが過昇温する可能性がある。これに対し、PM強制再生処理中はEGRの実行を禁止する方法も考えられるが、NOx発生量が増加する可能性がある。
【0010】
そこで、PM強制再生処理中にパティキュレートフィルタ下流からEGRガスが取り出されるようにすれば、パティキュレートフィルタへ流入する排気量を減少させることなく
EGRを実行することができ、NOxの抑制とパティキュレートフィルタの過昇温抑制を両立させることが可能となる。
【0011】
また、内燃機関が低負荷運転状態にあるときに比較的低温のEGRガスが内燃機関へ供給されると、燃焼温度の過剰な低下等により燃焼が不安定になる可能性がある。
【0012】
一方、内燃機関が高負荷運転状態にあるときに比較的高温のEGRガスが内燃機関へ供給されると、吸入空気量が大幅に減少する場合がある。また、EGRガスの熱によって圧縮端温度が上昇するため、着火時期が不適切になる可能性もある。これら吸入空気量の減少や着火時期のずれ等によりスモークの発生等が誘発される可能性がある。特に、PM強制再生処理中はパティキュレートフィルタ下流の排気温度が高くなり易いため、吸入空気量の減少や圧縮端温度の上昇等が顕著に現れ易く、スモークが発生し易い。
【0013】
そこで、PM強制再生処理中において内燃機関の負荷が所定負荷より低いときは、EGRガスを給気冷却器より下流の吸気通路へ還流させる。この場合、EGRガスが給気冷却器によって不要に冷却されなくなるため、EGRガスの熱を利用して燃料の気化(霧化)を促進することが可能になるとともに、燃焼温度の過剰な低下を抑制することも可能となる。
【0014】
一方、PM強制再生処理中において内燃機関の負荷が所定負荷より高いときは、EGRガスを給気冷却器より上流の吸気通路へ還流させればよい。但し、過給器と給気冷却器の間の部位は高負荷運転時に排気通路より高圧となる可能性があるため、過給器より上流の吸気通路へEGRガスが還流されることが好ましい。
【0015】
この場合、EGRガスが給気冷却器によって冷却されるため、比較的低温のEGRガスが内燃機関へ供給されるようになる。その結果、吸入空気量の減少や圧縮端温度の過剰な上昇が抑制され、スモークの発生等が抑制される。
【0016】
従って、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置によれば、NOxの増加やパティキュレートフィルタの過昇温を防止することが可能になる上、内燃機関の運転状態を好適に安定させることが可能となる。
【0017】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置は、パティキュレートフィルタ下流の排気通路に接続された第1のEGRガス取出し管と、パティキュレートフィルタ上流の排気通路に接続された第2のEGRガス取出し管と、過給器上流の吸気通路に接続された第1のEGRガス供給管と、給気冷却器下流の吸気通路に接続された第2のEGRガス供給管と、一端が二股に分岐して前記第1及び第2のEGR取出し管と接続されるとともに他端が二股に分岐して前記第1及び第2のEGR供給管と接続された共通EGR管と、共通EGR管の一端の分岐部に配置された第1の三方切換弁と、共通EGR管の他端の分岐部に配置された第2の三方切換弁とを備えるようにしてもよい。
【0018】
このように構成された内燃機関の排気浄化装置では、パティキュレートフィルタ下流の排気通路から給気冷却器下流の吸気通路へEGRガスを還流させる場合(すなわち、内燃機関が低負荷運転状態にある場合)は、第1のEGR取出し管と共通EGR管を連通させるべく第1の三方切換弁が動作するとともに、第2のEGR供給管と共通EGR管を連通させるべく第2の三方切換弁が動作する。
【0019】
パティキュレートフィルタ下流の排気通路から過給器上流の吸気通路へEGRガスを還流させる場合(すなわち、内燃機関が高負荷運転状態にある場合)は、第1のEGR取出し管と共通EGR管を連通させるべく第1の三方切換弁が動作するとともに、第1のEG
R供給管と共通EGR管を連通させるべく第2の三方切換弁が動作する。
【0020】
上記した構成によれば、排気浄化装置の構成を簡略化することができ、車載性の向上や製造コストの削減などを図ることが可能となる。
【0021】
尚、上記の共通EGR管には、EGRクーラと、該EGRクーラを迂回するバイパス通路と、EGRクーラとバイパス通路の一方を閉塞する流路切換弁とが配置されるようにしてもよい。
【0022】
このように構成された内燃機関の排気浄化装置では、パティキュレートフィルタ下流の排気通路から給気冷却器下流の吸気通路へEGRガスを還流させる場合は、EGRクーラを閉塞(バイパス通路を導通)させるべく流路切換弁が動作する。この場合、EGRガスがEGRクーラ及びインタークーラによって冷却されなくなる。その結果、内燃機関へ供給されるEGRガスの温度が高くなるため、燃料の気化(霧化)が促進されるとともに燃焼温度の不要な低下が抑制され、燃焼が安定する。
【0023】
また、パティキュレートフィルタ下流の排気通路から過給器上流の吸気通路へEGRガスを還流させる場合は、バイパス通路を閉塞(EGRクーラを導通)させるべく流路切換弁が動作する。この場合、EGRガスがEGRクーラ及びインタークーラにより冷却される。その結果、内燃機関へ供給されるEGRガスの温度を確実に低下させることができ、吸入空気量の減少や圧縮端温度の過剰な上昇が抑制される。
【0024】
尚、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置は、PM強制再生処理が行われていないときは、パティキュレートフィルタ上流の排気通路からEGRガスを取り出すようにしてもよい。これは、パティキュレートフィルタ上流の排気通路からEGRガスが取り出されると、パティキュレートフィルタへ流入する排気流量が減少し、それに応じてパティキュレートフィルタへ流入するPM量も減少するため、PM強制再生処理の実行頻度を低くすることができるからである。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置によれば、パティキュレートフィルタのPM強制再生処理が行われているときに、パティキュレートフィルタの過昇温や内燃機関の燃焼安定性の低下を抑制しつつEGRを行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の好適な実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本発明を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、圧縮着火式内燃機関(ディーゼルエンジン)である。
【0027】
内燃機関1には、吸気通路2が接続されている。吸気通路2には遠心過給器(ターボチャージャ)3のコンプレッサハウジング30が配置されている。コンプレッサハウジング30より下流の吸気通路2にはインタークーラ(給気冷却器)4が配置されている。
【0028】
また、内燃機関1には、排気通路5が接続されている。排気通路5にはターボチャージャ3のタービンハウジング31が配置されている。タービンハウジング31より下流の排気通路5にはパティキュレートフィルタ6が配置されている。
【0029】
パティキュレートフィルタ6より下流の排気通路5には、第1のEGR取出し管7が接続されている。タービンハウジング31より上流の排気通路5には第2のEGR取出し管8が接続されている。第1及び第2のEGR取出し管7、8は、第1の三方切換弁9に接
続されている。
【0030】
第1の三方切換弁9には、第1及び第2のEGR取出し管7、8に加え、共通EGR管10が接続されている。共通EGR管10は、第2の三方切換弁11に接続されている。
【0031】
第2の三方切換弁11には、共通EGR管10に加え、第1のEGR供給管12と第2のEGR供給管13が接続されている。第1のEGR供給管12は、コンプレッサハウジング30より上流の吸気通路2に接続されている。第2のEGR供給管13はインタークーラ4より下流の吸気通路2に接続されている。
【0032】
このように構成された内燃機関1には、ECU14が併設されている。ECU14は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等から構成される算術論理演算回路である。
【0033】
ECU14は、上記した第1及び第2の三方切換弁9、11と電気的に接続され、それら第1及び第2の三方切換弁9、11を制御することが可能となっている。また、ECU14には、アクセルポジションセンサ15等の各種センサが電気的に接続され、それらセンサの出力信号が入力されるようになっている。
【0034】
ECU14は、上記した各種センサの出力信号に基づいて燃料噴射制御等の既知の制御に加え、本発明の要旨となるEGR制御を実行する。以下、EGR制御について図2に基づいて説明する。
【0035】
図2は、EGR制御ルーチンを示すフローチャートである。このEGR制御ルーチンは、ECU14のROMに予め記憶されているルーチンであり、所定時間毎にECU14が実行する割り込みルーチンである。
【0036】
EGR制御ルーチンでは、ECU14は先ずS101において、PM強制再生フラグの値が“1”であるか否かを判別する。PM強制再生フラグは、RAM等に予め設定された記憶領域であり、PM強制再生処理の実行開始時に“1”が記憶され、PM強制再生処理の実行完了時に“0”が記憶される。
【0037】
尚、ここでいうPM強制再処理は、パティキュレートフィルタ6を強制的に約600℃以上の高温且つリーンな雰囲気とすることにより、該パティキュレートフィルタ6に捕集されたPMを酸化除去する処理である。
【0038】
前記S101においてPM強制再生フラグの値が“1”ではない(=“0”)と判定された場合は、ECU14はS106へ進み、通常のEGR制御を実行する。
【0039】
通常のEGR制御では、ECU14は、第1のEGR取出し管7を閉塞させるべく第1の三方切換弁9を制御することにより第2のEGR取出し管8と共通EGR管10を導通させるとともに、第1のEGR供給管12を閉塞すべく第2の三方切換弁11を制御することにより第2のEGR供給管13と共通EGR10を導通させる。
【0040】
この場合、タービンハウジング31より上流の排気通路5からインタークーラ下流の吸気通路2へEGRガスが還流されることになる。
【0041】
PM強制再生処理が行われていないときにパティキュレートフィルタ6上流の排気通路5からEGRガスが取り出されると、パティキュレートフィルタ6へ流入する排気流量が減少し、それに応じてパティキュレートフィルタ6へ流入するPM量も減少する。その結
果、PM強制再生処理の実行頻度が低下することになり、燃費が向上する。
【0042】
一方、前記S101においてPM強制再生フラグの値が“1”であると判定された場合は、ECU14はS102へ進み、アクセルポジションセンサ15の出力信号(アクセル開度:ACCP)を入力する。
【0043】
S103では、ECU14は、前記S102で入力されたアクセル開度:ACCPが所定開度:Dより大きいか否かを判別する。
【0044】
前記S103においてアクセル開度:ACCPが所定開度:Dより大きいと判定した場合は、ECU14は、内燃機関1が高負荷運転領域にあるとみなしてS104へ進む。
【0045】
S104では、ECU14は、第2のEGR取出し管8を閉塞させるべく第1の三方切換弁9を制御することにより第1のEGR取出し管7と共通EGR管10を導通させるとともに、第2のEGR供給管13を閉塞すべく第2の三方切換弁11を制御することにより第1のEGR供給管12と共通EGR管10を導通させる。
【0046】
この場合、パティキュレートフィルタ6下流の排気通路5からコンプレッサハウジング30上流の吸気通路2へEGRガスが還流されることになる。
【0047】
PM強制再生処理実行期間中にパティキュレートフィルタ6下流の排気通路5からEGRガスが取り出されると、パティキュレートフィルタ6を通過する排気流量を減少させることなくEGRを実行することが可能となる。このため、パティキュレートフィルタ6の過昇温を抑制しつつNOxの発生量を抑制することが可能となる。
【0048】
PM強制再生処理実行期間において内燃機関1が高負荷運転状態にあるときはEGRガスの温度が非常に高くなる可能性がある。高温なEGRガスがインタークーラ4下流の吸気通路2へ供給されると、吸入空気量の減少や圧縮端温度の上昇によりスモークの排出量増加などが誘発される可能性がある。
【0049】
これに対し、EGRガスがコンプレッサハウジング30上流の吸気通路2へ供給されると、インタークーラ4によってEGRガスが冷却されるようになる。その結果、吸入空気量の減少や圧縮端温度の上昇が抑制され、スモークの排出量増加等を抑えることが可能となる。
【0050】
従って、PM強制再生処理実行期間において内燃機関1が高負荷運転状態にあるときは、パティキュレートフィルタ6下流の排気通路5からコンプレッサハウジング30上流の吸気通路2へEGRガスを還流させることにより、パティキュレートフィルタ6の過昇温やスモークの発生等を抑制しつつNOxの発生を抑制することが可能となる。
【0051】
ここで図2に戻り、前記S103においてアクセル開度:ACCPが所定開度:Dより大きくない(ACCP≦D)と判定した場合は、ECU14は、内燃機関1が低負荷運転領域にあるとみなしてS105へ進む。
【0052】
S105では、ECU14は、第2のEGR取出し管8を閉塞すべく第1の三方切換弁9を制御することにより第1のEGR取出し管7と共通EGR管10とを導通させるとともに、第1のEGR供給管12を閉塞すべく第2の三方切換弁11を制御することにより第2のEGR供給管13と共通EGR管10とを導通させる。
【0053】
この場合、EGRガスは高負荷運転時と同様にパティキュレートフィルタ6下流の排気
通路5から取り出されるが、そのEGRガスの供給先はインタークーラ4下流の吸気通路2となる。
【0054】
PM強制再生処理実行期間において内燃機関1が低負荷運転状態にあるときは、圧縮端温度が低くなり易く且つ圧縮端温度も低くなり易いため、燃料の霧化が促進され難くい。特にEGRガスが内燃機関1へ供給された場合は、圧縮端温度の低下に加えて燃焼温度も低下するため、内燃機関1の燃焼安定性が損なわれる可能性もある。
【0055】
これに対し、EGRガスがインタークーラ4下流のの吸気通路2へ供給されると、EGRガスがインタークーラ4によって不要に冷却されることがなくなる。その結果、圧縮端温度や燃焼温度の低下が抑制され、内燃機関1の燃焼安定性が向上する。
【0056】
以上述べた実施形態によれば、PM強制再生処理の実行期間中においてパティキュレートフィルタ6下流の排気通路からEGRガスを取り出すことによりパティキュレートフィルタ6の過昇温を防止しつつEGRを行うことができる。更に、本実施形態によれば、PM強制再生処理実行期間中の内燃機関1の負荷に応じてEGRガスの供給先を変更することにより内燃機関1の燃焼を好適に安定させつつEGRを行うことが可能となる。
【0057】
尚、本実施形態ではEGRクーラを備えていない排気浄化装置について説明したが、図3に示すように、EGRクーラ16と、EGRクーラ16を迂回するバイパス通路17と、EGRクーラ16とバイパス通路17の何れか一方を閉塞する流路切換弁18とが共通EGR管10に配置されるようにしてもよい。
【0058】
このようにEGRクーラ16を備えた構成においては、ECU14は、PM強制再生処理実行期間において内燃機関1が高負荷運転状態にあるときは、パティキュレートフィルタ6下流の排気通路5からコンプレッサハウジング30上流の吸気通路2へEGRガスが還流されるように第1及び第2の三方切換弁9、11を制御するとともに、EGRガスがEGRクーラ16を流通するように流路切換弁18を制御する。
【0059】
この場合、EGRガスがEGRクーラ16とインタークーラ4によって冷却されるようになるため、EGRガスを確実に冷却することが可能となる。また、EGRクーラ16のみでEGRガスを冷却する場合に比してEGRクーラの容量を小さくすることも可能である。
【0060】
PM強制再生処理実行期間において内燃機関1が低負荷運転状態にあるときは、ECU14は、パティキュレートフィルタ6下流の排気通路5からインタークーラ4下流の吸気通路2へECU14ガスが還流されるように第1及び第2の三方切換弁11を制御するとともに、EGRガスがバイパス通路17を流通するように流路切換弁18を制御する。
【0061】
この場合、EGRガスがEGRクーラ16やインタークーラ4で冷却されないため、EGRガスが持つ熱量が減少せず、燃料の霧化促進や圧縮端温度の上昇を図ることが可能となる。
【0062】
従って、EGRクーラ16を備えた排気浄化装置においても、PM強制再生処理の実行期間中に好適にEGRを行うことが可能となる。更に、EGRクーラ16を共通EGR管10に配置することにより、EGRクーラ16の個数を最小限に抑えることができ、車載性の悪化を抑制することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明を適用する内燃機関の概略構成を示す図
【図2】EGR制御ルーチンを示すフローチャート
【図3】本発明を適用する内燃機関の他の実施例を示す図
【符号の説明】
【0064】
1・・・・・内燃機関
2・・・・・吸気通路
3・・・・・遠心過給器
4・・・・・インタークーラ(給気冷却器)
5・・・・・排気通路
6・・・・・パティキュレートフィルタ
7・・・・・第1のEGR取出し管
8・・・・・第2のEGR取出し管
9・・・・・第1の三方切換弁
10・・・・共通EGR管
11・・・・第2の三方切換弁
12・・・・第1のEGR供給管
13・・・・第2のEGR供給管
14・・・・ECU
16・・・・EGRクーラ
30・・・・コンプレッサハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に配置されたパティキュレートフィルタと、
内燃機関の吸気通路に配置された過給器と、
過給器より下流の吸気通路に配置された給気冷却器と、
パティキュレートフィルタを昇温させて該パティキュレートフィルタの捕集能力を再生させるフィルタ再生手段と、
内燃機関の負荷を取得する負荷取得手段と、
パティキュレートフィルタの捕集能力が再生されているときに、内燃機関の負荷が所定負荷より低ければパティキュレートフィルタ下流の排気通路から給気冷却器下流の吸気通路へ排気を還流させ、内燃機関の負荷が所定負荷より高ければパティキュレートフィルタ下流の排気通路から過給器上流の給気通路へ排気を還流させるEGR制御手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】
前記パティキュレートフィルタ下流の排気通路に接続された第1のEGRガス取出し管と、
前記パティキュレートフィルタ上流の排気通路に接続された第2のEGRガス取出し管と、
前記過給器上流の吸気通路に接続された第1のEGRガス供給管と、
前記給気冷却器下流の吸気通路に接続された第2のEGRガス供給管と、
一端が二股に分岐して前記第1及び第2のEGR取出し管と接続され、他端が二股に分岐して前記第1及び第2のEGR供給管と接続された共通EGR管と、
前記共通EGR管の一端の分岐部に配置された第1の三方切換弁と、
前記共通EGR管の他端の分岐部に配置された第2の三方切換弁と、を更に備え、
前記EGR制御手段は、パティキュレートフィルタの捕集能力が再生されているときに、内燃機関の負荷が所定負荷より低ければ第1のEGR取出し管と共通EGR管を連通させるべく第1の三方切換弁を制御するとともに第2のEGR供給管と共通EGR管を連通させるべく第2の三方切換弁を制御し、内燃機関の負荷が所定負荷より高ければ第1のEGR取出し管と共通EGR管を連通させるべく第1の三方切換弁を制御するとともに第1のEGR供給管と共通EGR管を連通させるべく第2の三方切換弁を制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項3】
前記共通EGR管には、EGRクーラと、該EGRクーラを迂回するバイパス通路と、EGRクーラとバイパス通路の一方を閉塞する流路切換弁とが配置され、パティキュレートフィルタの捕集能力が再生されているときに、内燃機関の負荷が所定負荷より低ければEGRクーラを閉塞すべく流路切換弁を制御し、内燃機関の負荷が所定負荷より高ければバイパス通路を閉塞すべく流路切換弁を制御することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−22770(P2006−22770A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−203185(P2004−203185)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】