内燃機関
【課題】この発明は、燃料噴射弁の噴射率を大きくしなくても、広い運転領域において燃料の微粒化を促進しつつ、片側吸気運転を実行することを目的とする。
【解決手段】エンジン10は、1つの燃焼室12に接続された吸気ポート20A,20Bと、吸気ポート20A,20Bに個別に燃料を噴射する燃料噴射弁24A,24Bと、一方の吸気ポート20Aに設けられた片側吸気用噴射弁26とを備える。そして、吸気バルブ30Bを閉弁停止した片側吸気運転を行うときに、エンジンの要求噴射量が燃料噴射弁24Aの最大噴射量を超える場合には、燃料噴射弁24Aと片側吸気用噴射弁26の両方により燃料を噴射する。これにより、燃料噴射弁24Aの噴射率を大きくしなくても、片側吸気運転を適用可能な負荷領域を高負荷側に拡大することができる。
【解決手段】エンジン10は、1つの燃焼室12に接続された吸気ポート20A,20Bと、吸気ポート20A,20Bに個別に燃料を噴射する燃料噴射弁24A,24Bと、一方の吸気ポート20Aに設けられた片側吸気用噴射弁26とを備える。そして、吸気バルブ30Bを閉弁停止した片側吸気運転を行うときに、エンジンの要求噴射量が燃料噴射弁24Aの最大噴射量を超える場合には、燃料噴射弁24Aと片側吸気用噴射弁26の両方により燃料を噴射する。これにより、燃料噴射弁24Aの噴射率を大きくしなくても、片側吸気運転を適用可能な負荷領域を高負荷側に拡大することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に搭載される内燃機関に関し、特に、1つの気筒に設けた複数の吸気ポートにそれぞれ燃料噴射弁を配置した内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、例えば特許文献1(特開2010−203348号公報)に開示されているように、1つの気筒に2つの吸気ポート(第1,第2吸気ポート)を設け、個々の吸気ポートにそれぞれ燃料噴射弁を配置した内燃機関が知られている。従来技術では、例えば第1吸気ポートの吸気バルブを閉弁状態に保持し、第2吸気ポートの吸気バルブを開閉駆動する片弁停止モードを備えている。片弁停止モードの実行時には、第1吸気ポートの燃料噴射を停止し、第2吸気ポートのみで燃料噴射を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−203348号公報
【特許文献2】特開2007−285240号公報
【特許文献3】特開2001−289097号公報
【特許文献4】特開2007−154693号公報
【特許文献5】特開2007−262996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術では、片方の燃料噴射弁の最大噴射量を、例えば全負荷運転時に必要とされる総燃料噴射量の半分に設定することがある。このように、総燃料噴射量の最大値に対する最大噴射量の比率(噴射率)を小さくすることにより、燃料の微粒化性能を向上させることができる。しかしながら、従来技術では、エンジン性能等の観点から、片弁停止モードを適用する負荷領域を拡大したいという要求があり、この要求に対応して燃料噴射弁の噴射率を大きくすると、微粒化性能が十分に発揮されないという問題がある。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、燃料噴射弁の噴射率を大きくしなくても、広い運転領域において燃料の微粒化を促進しつつ、片側吸気運転を実行することが可能な内燃機関を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、内燃機関の1つの燃焼室にそれぞれ接続され、吸入空気を前記燃焼室内に個別に流入させる第1,第2の吸気ポートと、
前記第1,第2の吸気ポートに設けられ、該各吸気ポートに燃料を個別に噴射することが可能な第1,第2の燃料噴射弁と、
前記第1の燃料噴射弁と共に前記第1の吸気ポートに設けられ、前記第1の吸気ポートに燃料を噴射することが可能な片側吸気用噴射弁と、
前記第2の吸気ポートを閉じることが可能な片側吸気ポート閉じ機構と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、内燃機関の負荷状態に応じて要求される燃料噴射量が前記第1の燃料噴射弁の最大噴射量以下である場合に、前記片側吸気ポート閉じ機構により前記第2の吸気ポートを閉じた状態で、前記第1の燃料噴射弁または前記片側吸気用噴射弁の何れかにより燃料を噴射する片側吸気噴射手段と、
前記要求される燃料噴射量が前記第1の燃料噴射弁の最大噴射量を超える場合に、前記片側吸気ポート閉じ機構により前記第2の吸気ポートを閉じた状態で、前記第1の燃料噴射弁と前記片側吸気用噴射弁の両方により燃料を噴射する片側吸気噴射追加手段と、
を備える。
【0008】
第3の発明によると、前記片側吸気用噴射弁は、燃料噴霧の広がり角度が前記第1,第2の燃料噴射弁よりも大きくなるように構成し、
前記片側吸気噴射追加手段は、前記片側吸気用噴射弁により吸気非同期噴射を実行する構成としている。
【0009】
第4の発明によると、前記片側吸気噴射追加手段は、直前のサイクルにおいて排気バルブが開弁する前に前記第1の燃料噴射弁から燃料を噴射し、当該燃料噴射の終了後に前記片側吸気用噴射弁から燃料を噴射する構成としている。
【0010】
第5の発明によると、前記片側吸気用噴射弁は、前記第1の吸気ポートの壁面のうち周囲よりも高温となる部分に向けて燃料を噴射する構成としている。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によれば、全負荷運転時には、第1,第2の燃料噴射弁を作動させて内燃機関の要求噴射量を満たすことができる。また、低負荷運転時には、第2の吸気ポートを閉じた状態で第1の燃料噴射弁のみから燃料を噴射する片側吸気運転を実行し、筒内にスワール流を発生させて燃焼状態を改善することができる。さらに、低負荷及び中間負荷運転時であっても、1つの噴射弁では燃料噴射量が不足する場合には、第1の燃料噴射弁と片側吸気用噴射弁の両方により燃料噴射を実行し、要求噴射量を満たすことができる。これにより、第1の燃料噴射弁の噴射率を大きくしなくても、片側吸気運転を適用可能な負荷領域を高負荷側に拡大することができる。従って、広い運転領域において燃料の微粒化性能を維持しつつ、燃費や排気エミッションを向上させることができる。
【0012】
第2の発明によれば、内燃機関の要求噴射量が第1の燃料噴射弁の最大噴射量以下である場合には、片側吸気運転を実行することができ、筒内にスワール流を発生させて燃焼状態を改善することができる。また、要求噴射量が第1の燃料噴射弁の最大噴射量を超える場合には、第1の燃料噴射弁と片側吸気用噴射弁の両方により燃料を噴射し、燃料噴射量を追加した片側吸気運転を実行することができ、要求噴射量を満たすことができる。従って、第1の燃料噴射弁の噴射率を大きくしなくても、燃料の微粒化性能を維持しつつ、片側吸気運転を適用可能な負荷領域を高負荷側に拡大することができる。
【0013】
第3の発明によれば、片側吸気用噴射弁の燃料噴霧の広がり角度を第1,第2の燃料噴射弁よりも大きく設定し、かつ、片側吸気用噴射弁により吸気非同期噴射を実行することができる。これにより、片側吸気用噴射弁の作動時には、吸気ポート内の空間に燃料を広く拡散させ、吸気ポート内の空間及び壁面に対する噴射燃料の接触面積を増加させることができ、燃料の気化を更に促進することができる。また、片側吸気用噴射弁の噴射燃料を吸気ポートの壁面の広い範囲に当てることにより、壁面に付着したデポジットを洗浄することができる。
【0014】
第4の発明によれば、片側吸気噴射追加手段は、排気バルブが開弁する前のタイミング、即ち、直前のサイクルの燃焼中に第1の燃料噴射弁から燃料を噴射(吸気非同期噴射)することができる。噴射された燃料は、筒内の燃焼ガスにより加熱された高温の吸気バルブに付着して速やかに気化するので、燃料の気化を促進することができる。また、片側吸気用噴射弁の燃料噴射は、第1の燃料噴射弁の噴射終了後に実行するので、片側吸気用噴射弁の燃料噴射により周囲の温度が低下して、第1の燃料噴射弁の噴射燃料が気化し難くなるのを回避することができる。
【0015】
第5の発明によれば、片側吸気用噴射弁は、第1の吸気ポートの壁面のうち周囲よりも高温となる部分に向けて燃料を噴射することができる。これにより、吸気ポートの壁面の高温部分を利用して燃料の気化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための全体構成図である。
【図2】1気筒の構成を示す図1中の要部拡大図である。
【図3】第1,第2の燃料噴射弁及び片側吸気用噴射弁の燃料噴射量の設定を示す説明図である。
【図4】両弁吸気運転、片弁吸気運転及び片弁吸気噴射追加運転を行う運転領域を示す説明図である。
【図5】両弁吸気運転を示す動作説明図である。
【図6】片弁吸気運転を示す動作説明図である。
【図7】片弁吸気噴射追加運転を示す動作説明図である。
【図8】第1の燃料噴射弁と片側吸気用噴射弁の燃料噴射状態を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態2において、片弁吸気噴射追加運転時に第1の燃料噴射弁を作動させた状態を示す動作説明図である。
【図10】本発明の実施の形態2において、第1の燃料噴射弁の作動後に片側吸気用噴射弁を作動させた状態を示す動作説明図である。
【図11】本発明の実施の形態3において、片側吸気用噴射弁から燃料を噴射した状態を示す動作説明図である。
【図12】従来技術において、エンジンの運転領域に応じて両弁吸気運転と片弁吸気運転とを切換える制御の一例を示す動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
以下、図1乃至図8を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための全体構成図である。本実施の形態のシステムは、内燃機関としてのエンジン10を備えている。なお、図1では、4気筒エンジンを例示したが、本発明は、任意の気筒数の内燃機関に適用されるものである。エンジン10の各気筒には、図示しないピストンにより燃焼室12が形成されており、ピストンは、エンジン10の出力軸であるクランク軸に連結されている。また、エンジン10は、各気筒の燃焼室12内(筒内)に吸入空気を吸込む吸気通路14と、各気筒から排気ガスが排出される排気通路16とを備えている。吸気通路14には、吸入空気量を調整する電子制御式のスロットルバルブ18が設けられている。
【0018】
また、各気筒は、吸入空気を筒内に個別に流入させる第1,第2の吸気ポート20A,20Bと、筒内の排気ガスを排出する排気ポート22A,22Bとを備えている。吸気ポート20A,20Bは、吸気通路14の一部を構成するもので、吸気通路14から分岐して筒内にそれぞれ異なる位置で接続されている。そして、第1の吸気ポート20Aには、第1の燃料噴射弁24Aと、片側吸気用噴射弁26とが設けられている。また、第2の吸気ポート20Bには、第2の燃料噴射弁24Bが設けられている。なお、片側吸気用噴射弁26の機能については後述する。
【0019】
さらに、各気筒は、筒内の混合気に点火する点火プラグ28と、吸気ポート20A,20Bを個別に開閉する第1,第2の吸気バルブ30A,30Bと、排気ポート22A,22Bを個別に開閉する排気バルブ32A,32Bとを備えている。なお、以下の説明では、必要に応じて、吸気ポート20A,20Bをまとめて吸気ポート20と表記する。また、排気ポート22A,22B、燃料噴射弁24A,24B、吸気バルブ30A,30B及び排気バルブ32A,32Bも同様に、排気ポート22、燃料噴射弁24、吸気バルブ30及び排気バルブ32と表記するものとする。
【0020】
また、エンジン10には、吸気可変動弁機構34が搭載されている。吸気可変動弁機構34は、第2の吸気バルブ30Bを閉弁状態で停止(以下、閉弁停止と称す)させるもので、公知の弁停止機構を備えている。このような弁停止機構の例としては、例えば特開2008−45460号公報に記載されている弁停止機構や、特開2007−16710号公報に記載されている電磁駆動式の動弁機構等がある。なお、吸気可変動弁機構34は、第2の吸気ポート20Bを閉じる片側吸気ポート閉じ機構を構成している。
【0021】
一方、本実施の形態のシステムは、エンジン10やこれを搭載する車両の制御に必要な各種のセンサを含むセンサ系統36と、エンジン10の運転状態を制御するECU(Electronic Control Unit)40とを備えている。センサ系統36は、エンジン回転数(機関回転数)及びクランク角を検出するためのクランク角センサ、吸入空気量を検出するエアフローセンサ、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ、排気空燃比を検出する空燃比センサ、車両のアクセル操作量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ等により構成され、これらのセンサはECU40の入力側に接続されている。一方、ECU40の出力側には、スロットルバルブ18、燃料噴射弁24,26、点火プラグ28、吸気可変動弁機構34等を含む各種のアクチュエータが接続されている。
【0022】
そして、ECU40は、センサ系統36により検出したエンジンの運転情報に基いて各アクチュエータを駆動し、運転制御を行う。具体的には、クランク角センサの出力に基いてエンジン回転数とクランク角とを検出し、エアフローセンサにより吸入空気量を検出する。また、エンジン回転数と吸入空気量とに基いてエンジンの負荷(負荷率)を算出し、吸入空気量、負荷等に基いて燃料噴射量を算出すると共に、クランク角に基いて燃料噴射時期及び点火時期を決定する。そして、燃料噴射時期が到来した時点で燃料噴射弁24,26を駆動し、点火時期が到来した時点で点火プラグ28を駆動する。これにより、各気筒の燃焼室12内で混合気を燃焼させ、エンジンを運転することができる。
【0023】
[実施の形態1の特徴]
まず、図12を参照して、従来技術の課題について説明する。図12は、従来技術において、エンジンの運転領域に応じて両弁吸気運転と片弁吸気運転とを切換える制御の一例を示す動作説明図である。この図に示すように、2つの吸気ポートに燃料噴射弁をそれぞれ配置したシステム(デュアル噴射システム)では、全負荷領域において両弁吸気運転を実行し、低負荷領域及び中間負荷領域において片弁吸気運転を実行する切換制御が知られている。ここで、両弁吸気運転とは、吸気バルブ30A,30Bの両方を開閉しつつ、2つの燃料噴射弁24A,24Bから燃料を噴射するものである。また、片弁吸気運転とは、例えば第2の吸気バルブ30Bを閉弁停止した状態で、第1の燃料噴射弁24Aから燃料を噴射するものである。
【0024】
従来技術では、燃料噴射弁から噴射することが可能な燃料噴射量の最大値(最大噴射量)を、例えば全負荷運転時に必要とされる総燃料噴射量の半分に設定している。このように、総燃料噴射量の最大値に対する最大噴射量の比率(噴射率)を小噴射率とすることにより、燃料の微粒化性能を向上させることができる。小噴射率を採用した場合には、全負荷の1/2(1/2負荷)以下となる負荷領域において、1つの燃料噴射弁によりエンジンの要求噴射量を満たすことができる。このため、従来技術では、図12に示すように、1/2負荷以下の負荷領域のみで片弁吸気運転を実行し、1/2負荷を超える負荷領域では、2つの燃料噴射弁を作動させて両弁吸気運転を実行する。しかし、最近では、1/2負荷を超える負荷領域まで片弁吸気運転の適用領域を拡大しつつ、燃料の微粒化性能は確保したいという要求がある。
【0025】
このため、本実施の形態では、図2及び図3に示すように、第1の吸気ポート20Aに片側吸気用噴射弁26を設ける構成としている。ここで、図2は、1気筒の構成を示す図1中の要部拡大図であり、図3は、第1,第2の燃料噴射弁及び片側吸気用噴射弁の燃料噴射量の設定を示す説明図である。第1,第2の燃料噴射弁24A,24Bは、図2に示すように、軸方向からみて円形状をなす燃焼室12の中心を通る直線を基準として対称に配置されている。一方、片側吸気用噴射弁26は、第1の燃料噴射弁24Aよりも燃焼室12の外周側に近い位置に配設されている。なお、これらの噴射弁の噴射方向等の設定については、図8を用いて説明する。
【0026】
また、燃料噴射弁24A,24Bの個々の最大噴射量は、図3に示すように、前述の1/2負荷に対応する値(全負荷運転時の要求噴射量の1/2)に設定されている。これに対し、片側吸気用噴射弁26の最大噴射量は、低負荷領域及び中間負荷領域において片弁吸気運転を行うときに生じ得る要求噴射量の最大値と、燃料噴射弁24Aの最大噴射量との差分、即ち、燃料噴射弁24Aによる燃料噴射量の不足分に対応する値に設定されている。また、片側吸気用噴射弁26の最大噴射量は、燃料噴射弁24A,24Bの最大噴射量よりも小さく設定されている。このため、全負荷領域では、2つの燃料噴射弁24A,24Bにより燃料噴射を実行し、低負荷領域及び中間負荷領域では、1つの燃料噴射弁24A及び/又は片側吸気用噴射弁26により燃料噴射を実行することで、エンジンの要求噴射量に対応することが可能となっている。
【0027】
次に、ECU40により実行される両弁吸気運転、片弁吸気運転及び片弁吸気噴射追加運転について説明する。まず、図4は、これらの運転を行う運転領域を示す説明図である。図4に示すように、ECU40は、エンジンの負荷と所定の判定値L,Hとの大小関係に基いて、両弁吸気運転、片弁吸気運転及び片弁吸気噴射追加運転の何れかに運転を切換える。なお、低負荷判定値L及び高負荷判定値Hは、HがLよりも大きくなるように設定されるもので(H>L)、図4では、これらの判定値をエンジン回転数に基いて可変に設定する場合を例示している。
【0028】
(両弁吸気運転)
両弁吸気運転(両側吸気運転)は、エンジンの負荷が高負荷判定値H以上となる全負荷領域において実行される。図5は、両弁吸気運転を示す動作説明図である。両弁吸気運転では、両方の吸気バルブ30A,30Bを通常の状態で開閉しつつ、2つの燃料噴射弁24A,24Bにより吸気同期噴射を実行する。ここで、高負荷判定値Hは、例えば第1の燃料噴射弁24Aと片側吸気用噴射弁26の両方を作動させても燃料噴射量が不足するような高い負荷に対応して設定されている。即ち、エンジンの負荷が高負荷判定値H以上の場合には、2つの燃料噴射弁24A,24Bにより燃料噴射を行う必要があるので、両弁吸気運転を実行する。
【0029】
両弁吸気運転によれば、全負荷運転時の要求噴射量を2つの燃料噴射弁24A,24Bにより満たすことができ、全負荷運転を安定的に行うことができる。また、2つの燃料噴射弁24A,24Bに分けて燃料を噴射するので、多量の燃料を噴射しても燃料を速やかに微粒化し、気化を促進することができる。しかも、燃料噴射弁24A,24Bは、吸気同期噴射を行うことにより、燃料を吸気バルブの傘やバルブステム、吸気ポートの壁面等に出来るだけ接触させずに筒内に流入させることができるので、この燃料が筒内で気化するときの気化潜熱により混合気の温度を低下させることができる。
【0030】
(片弁吸気運転)
片弁吸気運転(片側吸気運転)は、エンジンの負荷が低負荷判定値L以下となる低負荷領域において実行される。図6は、片弁吸気運転を示す動作説明図である。片弁吸気運転では、吸気可変動弁機構34により第2の吸気バルブ30Bを閉弁停止し、この状態で第1の燃料噴射弁24Aまたは片側吸気用噴射弁26の何れかにより燃料噴射を実行する。ここで、低負荷判定値Lは、例えばエンジンの要求噴射量が燃料噴射弁24A(または片側吸気用噴射弁26)の最大噴射量と一致するときの負荷に対応して設定されている。即ち、エンジンの負荷が低負荷判定値L以下の場合には、要求噴射量が1つの噴射弁の最大噴射量以下であるから、片弁吸気運転を実行することができる。
【0031】
片弁吸気運転によれば、図6に示すように、第1の吸気ポート20Aのみから筒内の外周側に吸入空気が流入するので、筒内を周回する吸入空気の流れ(スワール流)を形成することができる。これにより、燃焼状態を改善し、燃費や排気エミッションを向上させることができる。なお、図6では、片側吸気用噴射弁26のみから燃料噴射を行う場合を例示したが、片弁吸気運転時には、第1の燃料噴射弁24Aのみから燃料噴射を行う構成としてもよい。
【0032】
(片弁吸気噴射追加運転)
片弁吸気噴射追加運転(片側吸気噴射追加運転)は、エンジンの負荷が低負荷判定値Lよりも大きく、かつ、高負荷判定値H未満となる中間負荷領域において実行されるもので、燃料噴射量を追加した片側吸気運転に相当している。図7は、片弁吸気噴射追加運転を示す動作説明図である。片弁吸気噴射追加運転では、吸気可変動弁機構34により第2の吸気バルブ30Bを閉弁停止し、この状態で第1の燃料噴射弁24Aと片側吸気用噴射弁26の両方により燃料を噴射する。エンジンの負荷が低負荷判定値Lを超えている場合には、エンジンの要求噴射量が1つの噴射弁の最大噴射量を超えているので、片弁吸気噴射追加運転を実行する。
【0033】
本実施の形態によれば、片側吸気用噴射弁26を追加したことにより、次のような作用効果を得ることができる。即ち、片弁吸気噴射追加運転によれば、2つの燃料噴射弁24A,26により要求噴射量を満たしつつ、片方の吸気ポート20Aのみを用いて筒内にスワール流を発生させることができる。これにより、燃料噴射弁24Aの噴射率を大きくしなくても、中間負荷領域で片弁吸気運転を容易に実行することができる。従って、片弁吸気運転を適用可能な負荷領域を高負荷側に拡大することができ、広い運転領域において燃料の微粒化性能を維持しつつ、燃費や排気エミッションを向上させることができる。
【0034】
また、図8は、第1の燃料噴射弁と片側吸気用噴射弁の燃料噴射状態を示す説明図である。この図に示すように、本実施の形態では、片側吸気用噴射弁26の燃料噴霧の広がり角度を燃料噴射弁24A,24Bよりも大きく設定してもよい。さらに、本実施の形態では、上述した片弁吸気運転及び片弁吸気噴射追加運転において、片側吸気用噴射弁26により吸気非同期噴射を実行する構成としてもよい。この構成によれば、片側吸気用噴射弁26の作動時には、燃料噴射弁24A,24Bと比較して吸気ポート20A内の空間に燃料を広く拡散させることができる。これにより、吸気ポート20A内の空間及び壁面に対する噴射燃料の接触面積を増加させ、燃料の気化を更に促進することができる。また、片側吸気用噴射弁26の噴射燃料を吸気ポート20Aの壁面の広い範囲に当てることにより、壁面に付着したデポジットを洗浄することができる。なお、燃料噴射弁24A,24Bは、燃料を吸気バルブの傘やバルブステム、吸気ポートの壁面等に出来るだけ接触させずに筒内に流入させる方向に向けて噴射するように構成され、片弁吸気噴射追加運転時にも吸気同期噴射を実行する。
【0035】
上述した実施の形態1では、図6が請求項2における片側吸気噴射手段の具体例を示し、図7が片側吸気噴射追加手段の具体例を示している。また、実施の形態1では、片側吸気ポート閉じ機構として吸気可変動弁機構34を用いるものとしたが、本発明はこれに限らず、例えば吸気ポートを開閉するスワールコントロールバルブ(SCV)により片側吸気ポート閉じ機構を構成してもよい。
【0036】
実施の形態2.
次に、図9及び図10を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態は、前記実施の形態1と同様の構成(図1及び図2)において、片弁吸気噴射追加運転時に、第1の燃料噴射弁を作動させてから片側吸気用噴射弁を作動させることを特徴としている。なお、本実施の形態では、実施の形態1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0037】
[実施の形態2の特徴]
図9は、片弁吸気噴射追加運転時に第1の燃料噴射弁を作動させた状態を示し、図10は、第1の燃料噴射弁の作動後に片側吸気用噴射弁を作動させた状態を示している。これらの図に示すように、本実施の形態では、片弁吸気噴射追加運転を行うときに、直前のサイクルにおいて排気バルブ32A,32Bが開弁する前に第1の燃料噴射弁24Aから燃料を噴射し、当該燃料噴射の終了後に片側吸気用噴射弁26から燃料を噴射する構成としている。以下、これらの動作について順次説明する。
【0038】
まず、直前のサイクルにおいて排気バルブ32A,32Bが開弁する前のタイミング、即ち、直前のサイクルの燃焼中においては、図9に示すように、高温の燃焼ガスが筒内に滞留しているため、吸気バルブ30Aは、燃焼ガスにより高温に加熱されている。この状態で、第1の燃料噴射弁24Aから筒内に向けて燃料を噴射(吸気非同期噴射)すると、噴射された燃料は、閉弁している高温の吸気バルブ30Aに付着して速やかに気化する。即ち、吸気バルブ30Aから吸気ポート20A内の空気に熱が伝導する前に、この熱を噴射燃料により受承することができ、燃料の気化を促進することができる。
【0039】
次に、片側吸気用噴射弁26から燃料を噴射すると、図10に示すように、噴射燃料が吸気ポート20A内の空間及び壁面に対して広範囲に広がることにより、これらの部位の温度が低下し、吸気バルブ30Aの温度も低下する。この結果、混合気の温度を低下させ、充填効率を高めることができる。また、片側吸気用噴射弁26の燃料噴射は、燃料噴射弁24Aの噴射終了後に実行される。このため、片側吸気用噴射弁26の燃料噴射により周囲の温度が低下して、燃料噴射弁24Aから噴射された燃料の気化が阻害されるのを回避することができる。
【0040】
実施の形態3.
次に、図11を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態は、前記実施の形態1とほぼ同様の構成(図1及び図2)において、片側吸気用噴射弁から噴射された燃料を、第1の吸気ポートの壁面のうち周囲よりも高温となる部分に当てるようにしたことを特徴としている。なお、本実施の形態では、実施の形態1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0041】
[実施の形態3の特徴]
図11は、本発明の実施の形態3において、片側吸気用噴射弁から燃料を噴射した状態を示す動作説明図である。この図に示すように、本実施の形態は、実施の形態1とほぼ同様に構成された片側吸気用噴射弁50を備えている。しかし、片側吸気用噴射弁50は、第1の吸気ポート20Aの壁面のうち周囲よりも高温となる部分、即ち、燃焼室12の中央部(点火プラグ28)に近い部分に向けて燃料を噴射するように構成されている。吸気ポート20Aの壁面のうち点火プラグ28に近い側の部位は、燃焼室12に近接している上に、点火プラグ28があることで冷却水通路から離れているため、高温となり易い。従って、上記構成によれば、吸気ポート20Aの壁面の高温部分を利用して燃料の気化を促進することができる。
【0042】
なお、前記実施の形態1〜3では、それぞれ異なる構成について個別に説明した。しかし、本発明では、実施の形態1の構成に対して、実施の形態2及び/又は実施の形態3の構成を組合わせてもよい。また、本発明には、吸気ポート20Bを第1の吸気ポートと称し、吸気ポート20Aを第2の吸気ポートと称する構成も含まれる。即ち、本発明では、吸気ポート20Aに吸気可変動弁機構34を配置し、吸気ポート20Bに片側吸気用噴射弁26を配置してもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 エンジン(内燃機関)
12 燃焼室
14 吸気通路
16 排気通路
18 スロットルバルブ
20A,20B 第1,第2の吸気ポート
22A,22B 排気ポート
24A,24B 第1,第2の燃料噴射弁
26,50 片側吸気用噴射弁
28 点火プラグ
30A,30B 第1,第2の吸気バルブ
32A,32B 排気バルブ
34 吸気可変動弁機構(片側吸気ポート閉じ機構)
36 センサ系統
40 ECU
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に搭載される内燃機関に関し、特に、1つの気筒に設けた複数の吸気ポートにそれぞれ燃料噴射弁を配置した内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、例えば特許文献1(特開2010−203348号公報)に開示されているように、1つの気筒に2つの吸気ポート(第1,第2吸気ポート)を設け、個々の吸気ポートにそれぞれ燃料噴射弁を配置した内燃機関が知られている。従来技術では、例えば第1吸気ポートの吸気バルブを閉弁状態に保持し、第2吸気ポートの吸気バルブを開閉駆動する片弁停止モードを備えている。片弁停止モードの実行時には、第1吸気ポートの燃料噴射を停止し、第2吸気ポートのみで燃料噴射を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−203348号公報
【特許文献2】特開2007−285240号公報
【特許文献3】特開2001−289097号公報
【特許文献4】特開2007−154693号公報
【特許文献5】特開2007−262996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術では、片方の燃料噴射弁の最大噴射量を、例えば全負荷運転時に必要とされる総燃料噴射量の半分に設定することがある。このように、総燃料噴射量の最大値に対する最大噴射量の比率(噴射率)を小さくすることにより、燃料の微粒化性能を向上させることができる。しかしながら、従来技術では、エンジン性能等の観点から、片弁停止モードを適用する負荷領域を拡大したいという要求があり、この要求に対応して燃料噴射弁の噴射率を大きくすると、微粒化性能が十分に発揮されないという問題がある。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、燃料噴射弁の噴射率を大きくしなくても、広い運転領域において燃料の微粒化を促進しつつ、片側吸気運転を実行することが可能な内燃機関を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、内燃機関の1つの燃焼室にそれぞれ接続され、吸入空気を前記燃焼室内に個別に流入させる第1,第2の吸気ポートと、
前記第1,第2の吸気ポートに設けられ、該各吸気ポートに燃料を個別に噴射することが可能な第1,第2の燃料噴射弁と、
前記第1の燃料噴射弁と共に前記第1の吸気ポートに設けられ、前記第1の吸気ポートに燃料を噴射することが可能な片側吸気用噴射弁と、
前記第2の吸気ポートを閉じることが可能な片側吸気ポート閉じ機構と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、内燃機関の負荷状態に応じて要求される燃料噴射量が前記第1の燃料噴射弁の最大噴射量以下である場合に、前記片側吸気ポート閉じ機構により前記第2の吸気ポートを閉じた状態で、前記第1の燃料噴射弁または前記片側吸気用噴射弁の何れかにより燃料を噴射する片側吸気噴射手段と、
前記要求される燃料噴射量が前記第1の燃料噴射弁の最大噴射量を超える場合に、前記片側吸気ポート閉じ機構により前記第2の吸気ポートを閉じた状態で、前記第1の燃料噴射弁と前記片側吸気用噴射弁の両方により燃料を噴射する片側吸気噴射追加手段と、
を備える。
【0008】
第3の発明によると、前記片側吸気用噴射弁は、燃料噴霧の広がり角度が前記第1,第2の燃料噴射弁よりも大きくなるように構成し、
前記片側吸気噴射追加手段は、前記片側吸気用噴射弁により吸気非同期噴射を実行する構成としている。
【0009】
第4の発明によると、前記片側吸気噴射追加手段は、直前のサイクルにおいて排気バルブが開弁する前に前記第1の燃料噴射弁から燃料を噴射し、当該燃料噴射の終了後に前記片側吸気用噴射弁から燃料を噴射する構成としている。
【0010】
第5の発明によると、前記片側吸気用噴射弁は、前記第1の吸気ポートの壁面のうち周囲よりも高温となる部分に向けて燃料を噴射する構成としている。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によれば、全負荷運転時には、第1,第2の燃料噴射弁を作動させて内燃機関の要求噴射量を満たすことができる。また、低負荷運転時には、第2の吸気ポートを閉じた状態で第1の燃料噴射弁のみから燃料を噴射する片側吸気運転を実行し、筒内にスワール流を発生させて燃焼状態を改善することができる。さらに、低負荷及び中間負荷運転時であっても、1つの噴射弁では燃料噴射量が不足する場合には、第1の燃料噴射弁と片側吸気用噴射弁の両方により燃料噴射を実行し、要求噴射量を満たすことができる。これにより、第1の燃料噴射弁の噴射率を大きくしなくても、片側吸気運転を適用可能な負荷領域を高負荷側に拡大することができる。従って、広い運転領域において燃料の微粒化性能を維持しつつ、燃費や排気エミッションを向上させることができる。
【0012】
第2の発明によれば、内燃機関の要求噴射量が第1の燃料噴射弁の最大噴射量以下である場合には、片側吸気運転を実行することができ、筒内にスワール流を発生させて燃焼状態を改善することができる。また、要求噴射量が第1の燃料噴射弁の最大噴射量を超える場合には、第1の燃料噴射弁と片側吸気用噴射弁の両方により燃料を噴射し、燃料噴射量を追加した片側吸気運転を実行することができ、要求噴射量を満たすことができる。従って、第1の燃料噴射弁の噴射率を大きくしなくても、燃料の微粒化性能を維持しつつ、片側吸気運転を適用可能な負荷領域を高負荷側に拡大することができる。
【0013】
第3の発明によれば、片側吸気用噴射弁の燃料噴霧の広がり角度を第1,第2の燃料噴射弁よりも大きく設定し、かつ、片側吸気用噴射弁により吸気非同期噴射を実行することができる。これにより、片側吸気用噴射弁の作動時には、吸気ポート内の空間に燃料を広く拡散させ、吸気ポート内の空間及び壁面に対する噴射燃料の接触面積を増加させることができ、燃料の気化を更に促進することができる。また、片側吸気用噴射弁の噴射燃料を吸気ポートの壁面の広い範囲に当てることにより、壁面に付着したデポジットを洗浄することができる。
【0014】
第4の発明によれば、片側吸気噴射追加手段は、排気バルブが開弁する前のタイミング、即ち、直前のサイクルの燃焼中に第1の燃料噴射弁から燃料を噴射(吸気非同期噴射)することができる。噴射された燃料は、筒内の燃焼ガスにより加熱された高温の吸気バルブに付着して速やかに気化するので、燃料の気化を促進することができる。また、片側吸気用噴射弁の燃料噴射は、第1の燃料噴射弁の噴射終了後に実行するので、片側吸気用噴射弁の燃料噴射により周囲の温度が低下して、第1の燃料噴射弁の噴射燃料が気化し難くなるのを回避することができる。
【0015】
第5の発明によれば、片側吸気用噴射弁は、第1の吸気ポートの壁面のうち周囲よりも高温となる部分に向けて燃料を噴射することができる。これにより、吸気ポートの壁面の高温部分を利用して燃料の気化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための全体構成図である。
【図2】1気筒の構成を示す図1中の要部拡大図である。
【図3】第1,第2の燃料噴射弁及び片側吸気用噴射弁の燃料噴射量の設定を示す説明図である。
【図4】両弁吸気運転、片弁吸気運転及び片弁吸気噴射追加運転を行う運転領域を示す説明図である。
【図5】両弁吸気運転を示す動作説明図である。
【図6】片弁吸気運転を示す動作説明図である。
【図7】片弁吸気噴射追加運転を示す動作説明図である。
【図8】第1の燃料噴射弁と片側吸気用噴射弁の燃料噴射状態を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態2において、片弁吸気噴射追加運転時に第1の燃料噴射弁を作動させた状態を示す動作説明図である。
【図10】本発明の実施の形態2において、第1の燃料噴射弁の作動後に片側吸気用噴射弁を作動させた状態を示す動作説明図である。
【図11】本発明の実施の形態3において、片側吸気用噴射弁から燃料を噴射した状態を示す動作説明図である。
【図12】従来技術において、エンジンの運転領域に応じて両弁吸気運転と片弁吸気運転とを切換える制御の一例を示す動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
以下、図1乃至図8を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための全体構成図である。本実施の形態のシステムは、内燃機関としてのエンジン10を備えている。なお、図1では、4気筒エンジンを例示したが、本発明は、任意の気筒数の内燃機関に適用されるものである。エンジン10の各気筒には、図示しないピストンにより燃焼室12が形成されており、ピストンは、エンジン10の出力軸であるクランク軸に連結されている。また、エンジン10は、各気筒の燃焼室12内(筒内)に吸入空気を吸込む吸気通路14と、各気筒から排気ガスが排出される排気通路16とを備えている。吸気通路14には、吸入空気量を調整する電子制御式のスロットルバルブ18が設けられている。
【0018】
また、各気筒は、吸入空気を筒内に個別に流入させる第1,第2の吸気ポート20A,20Bと、筒内の排気ガスを排出する排気ポート22A,22Bとを備えている。吸気ポート20A,20Bは、吸気通路14の一部を構成するもので、吸気通路14から分岐して筒内にそれぞれ異なる位置で接続されている。そして、第1の吸気ポート20Aには、第1の燃料噴射弁24Aと、片側吸気用噴射弁26とが設けられている。また、第2の吸気ポート20Bには、第2の燃料噴射弁24Bが設けられている。なお、片側吸気用噴射弁26の機能については後述する。
【0019】
さらに、各気筒は、筒内の混合気に点火する点火プラグ28と、吸気ポート20A,20Bを個別に開閉する第1,第2の吸気バルブ30A,30Bと、排気ポート22A,22Bを個別に開閉する排気バルブ32A,32Bとを備えている。なお、以下の説明では、必要に応じて、吸気ポート20A,20Bをまとめて吸気ポート20と表記する。また、排気ポート22A,22B、燃料噴射弁24A,24B、吸気バルブ30A,30B及び排気バルブ32A,32Bも同様に、排気ポート22、燃料噴射弁24、吸気バルブ30及び排気バルブ32と表記するものとする。
【0020】
また、エンジン10には、吸気可変動弁機構34が搭載されている。吸気可変動弁機構34は、第2の吸気バルブ30Bを閉弁状態で停止(以下、閉弁停止と称す)させるもので、公知の弁停止機構を備えている。このような弁停止機構の例としては、例えば特開2008−45460号公報に記載されている弁停止機構や、特開2007−16710号公報に記載されている電磁駆動式の動弁機構等がある。なお、吸気可変動弁機構34は、第2の吸気ポート20Bを閉じる片側吸気ポート閉じ機構を構成している。
【0021】
一方、本実施の形態のシステムは、エンジン10やこれを搭載する車両の制御に必要な各種のセンサを含むセンサ系統36と、エンジン10の運転状態を制御するECU(Electronic Control Unit)40とを備えている。センサ系統36は、エンジン回転数(機関回転数)及びクランク角を検出するためのクランク角センサ、吸入空気量を検出するエアフローセンサ、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ、排気空燃比を検出する空燃比センサ、車両のアクセル操作量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ等により構成され、これらのセンサはECU40の入力側に接続されている。一方、ECU40の出力側には、スロットルバルブ18、燃料噴射弁24,26、点火プラグ28、吸気可変動弁機構34等を含む各種のアクチュエータが接続されている。
【0022】
そして、ECU40は、センサ系統36により検出したエンジンの運転情報に基いて各アクチュエータを駆動し、運転制御を行う。具体的には、クランク角センサの出力に基いてエンジン回転数とクランク角とを検出し、エアフローセンサにより吸入空気量を検出する。また、エンジン回転数と吸入空気量とに基いてエンジンの負荷(負荷率)を算出し、吸入空気量、負荷等に基いて燃料噴射量を算出すると共に、クランク角に基いて燃料噴射時期及び点火時期を決定する。そして、燃料噴射時期が到来した時点で燃料噴射弁24,26を駆動し、点火時期が到来した時点で点火プラグ28を駆動する。これにより、各気筒の燃焼室12内で混合気を燃焼させ、エンジンを運転することができる。
【0023】
[実施の形態1の特徴]
まず、図12を参照して、従来技術の課題について説明する。図12は、従来技術において、エンジンの運転領域に応じて両弁吸気運転と片弁吸気運転とを切換える制御の一例を示す動作説明図である。この図に示すように、2つの吸気ポートに燃料噴射弁をそれぞれ配置したシステム(デュアル噴射システム)では、全負荷領域において両弁吸気運転を実行し、低負荷領域及び中間負荷領域において片弁吸気運転を実行する切換制御が知られている。ここで、両弁吸気運転とは、吸気バルブ30A,30Bの両方を開閉しつつ、2つの燃料噴射弁24A,24Bから燃料を噴射するものである。また、片弁吸気運転とは、例えば第2の吸気バルブ30Bを閉弁停止した状態で、第1の燃料噴射弁24Aから燃料を噴射するものである。
【0024】
従来技術では、燃料噴射弁から噴射することが可能な燃料噴射量の最大値(最大噴射量)を、例えば全負荷運転時に必要とされる総燃料噴射量の半分に設定している。このように、総燃料噴射量の最大値に対する最大噴射量の比率(噴射率)を小噴射率とすることにより、燃料の微粒化性能を向上させることができる。小噴射率を採用した場合には、全負荷の1/2(1/2負荷)以下となる負荷領域において、1つの燃料噴射弁によりエンジンの要求噴射量を満たすことができる。このため、従来技術では、図12に示すように、1/2負荷以下の負荷領域のみで片弁吸気運転を実行し、1/2負荷を超える負荷領域では、2つの燃料噴射弁を作動させて両弁吸気運転を実行する。しかし、最近では、1/2負荷を超える負荷領域まで片弁吸気運転の適用領域を拡大しつつ、燃料の微粒化性能は確保したいという要求がある。
【0025】
このため、本実施の形態では、図2及び図3に示すように、第1の吸気ポート20Aに片側吸気用噴射弁26を設ける構成としている。ここで、図2は、1気筒の構成を示す図1中の要部拡大図であり、図3は、第1,第2の燃料噴射弁及び片側吸気用噴射弁の燃料噴射量の設定を示す説明図である。第1,第2の燃料噴射弁24A,24Bは、図2に示すように、軸方向からみて円形状をなす燃焼室12の中心を通る直線を基準として対称に配置されている。一方、片側吸気用噴射弁26は、第1の燃料噴射弁24Aよりも燃焼室12の外周側に近い位置に配設されている。なお、これらの噴射弁の噴射方向等の設定については、図8を用いて説明する。
【0026】
また、燃料噴射弁24A,24Bの個々の最大噴射量は、図3に示すように、前述の1/2負荷に対応する値(全負荷運転時の要求噴射量の1/2)に設定されている。これに対し、片側吸気用噴射弁26の最大噴射量は、低負荷領域及び中間負荷領域において片弁吸気運転を行うときに生じ得る要求噴射量の最大値と、燃料噴射弁24Aの最大噴射量との差分、即ち、燃料噴射弁24Aによる燃料噴射量の不足分に対応する値に設定されている。また、片側吸気用噴射弁26の最大噴射量は、燃料噴射弁24A,24Bの最大噴射量よりも小さく設定されている。このため、全負荷領域では、2つの燃料噴射弁24A,24Bにより燃料噴射を実行し、低負荷領域及び中間負荷領域では、1つの燃料噴射弁24A及び/又は片側吸気用噴射弁26により燃料噴射を実行することで、エンジンの要求噴射量に対応することが可能となっている。
【0027】
次に、ECU40により実行される両弁吸気運転、片弁吸気運転及び片弁吸気噴射追加運転について説明する。まず、図4は、これらの運転を行う運転領域を示す説明図である。図4に示すように、ECU40は、エンジンの負荷と所定の判定値L,Hとの大小関係に基いて、両弁吸気運転、片弁吸気運転及び片弁吸気噴射追加運転の何れかに運転を切換える。なお、低負荷判定値L及び高負荷判定値Hは、HがLよりも大きくなるように設定されるもので(H>L)、図4では、これらの判定値をエンジン回転数に基いて可変に設定する場合を例示している。
【0028】
(両弁吸気運転)
両弁吸気運転(両側吸気運転)は、エンジンの負荷が高負荷判定値H以上となる全負荷領域において実行される。図5は、両弁吸気運転を示す動作説明図である。両弁吸気運転では、両方の吸気バルブ30A,30Bを通常の状態で開閉しつつ、2つの燃料噴射弁24A,24Bにより吸気同期噴射を実行する。ここで、高負荷判定値Hは、例えば第1の燃料噴射弁24Aと片側吸気用噴射弁26の両方を作動させても燃料噴射量が不足するような高い負荷に対応して設定されている。即ち、エンジンの負荷が高負荷判定値H以上の場合には、2つの燃料噴射弁24A,24Bにより燃料噴射を行う必要があるので、両弁吸気運転を実行する。
【0029】
両弁吸気運転によれば、全負荷運転時の要求噴射量を2つの燃料噴射弁24A,24Bにより満たすことができ、全負荷運転を安定的に行うことができる。また、2つの燃料噴射弁24A,24Bに分けて燃料を噴射するので、多量の燃料を噴射しても燃料を速やかに微粒化し、気化を促進することができる。しかも、燃料噴射弁24A,24Bは、吸気同期噴射を行うことにより、燃料を吸気バルブの傘やバルブステム、吸気ポートの壁面等に出来るだけ接触させずに筒内に流入させることができるので、この燃料が筒内で気化するときの気化潜熱により混合気の温度を低下させることができる。
【0030】
(片弁吸気運転)
片弁吸気運転(片側吸気運転)は、エンジンの負荷が低負荷判定値L以下となる低負荷領域において実行される。図6は、片弁吸気運転を示す動作説明図である。片弁吸気運転では、吸気可変動弁機構34により第2の吸気バルブ30Bを閉弁停止し、この状態で第1の燃料噴射弁24Aまたは片側吸気用噴射弁26の何れかにより燃料噴射を実行する。ここで、低負荷判定値Lは、例えばエンジンの要求噴射量が燃料噴射弁24A(または片側吸気用噴射弁26)の最大噴射量と一致するときの負荷に対応して設定されている。即ち、エンジンの負荷が低負荷判定値L以下の場合には、要求噴射量が1つの噴射弁の最大噴射量以下であるから、片弁吸気運転を実行することができる。
【0031】
片弁吸気運転によれば、図6に示すように、第1の吸気ポート20Aのみから筒内の外周側に吸入空気が流入するので、筒内を周回する吸入空気の流れ(スワール流)を形成することができる。これにより、燃焼状態を改善し、燃費や排気エミッションを向上させることができる。なお、図6では、片側吸気用噴射弁26のみから燃料噴射を行う場合を例示したが、片弁吸気運転時には、第1の燃料噴射弁24Aのみから燃料噴射を行う構成としてもよい。
【0032】
(片弁吸気噴射追加運転)
片弁吸気噴射追加運転(片側吸気噴射追加運転)は、エンジンの負荷が低負荷判定値Lよりも大きく、かつ、高負荷判定値H未満となる中間負荷領域において実行されるもので、燃料噴射量を追加した片側吸気運転に相当している。図7は、片弁吸気噴射追加運転を示す動作説明図である。片弁吸気噴射追加運転では、吸気可変動弁機構34により第2の吸気バルブ30Bを閉弁停止し、この状態で第1の燃料噴射弁24Aと片側吸気用噴射弁26の両方により燃料を噴射する。エンジンの負荷が低負荷判定値Lを超えている場合には、エンジンの要求噴射量が1つの噴射弁の最大噴射量を超えているので、片弁吸気噴射追加運転を実行する。
【0033】
本実施の形態によれば、片側吸気用噴射弁26を追加したことにより、次のような作用効果を得ることができる。即ち、片弁吸気噴射追加運転によれば、2つの燃料噴射弁24A,26により要求噴射量を満たしつつ、片方の吸気ポート20Aのみを用いて筒内にスワール流を発生させることができる。これにより、燃料噴射弁24Aの噴射率を大きくしなくても、中間負荷領域で片弁吸気運転を容易に実行することができる。従って、片弁吸気運転を適用可能な負荷領域を高負荷側に拡大することができ、広い運転領域において燃料の微粒化性能を維持しつつ、燃費や排気エミッションを向上させることができる。
【0034】
また、図8は、第1の燃料噴射弁と片側吸気用噴射弁の燃料噴射状態を示す説明図である。この図に示すように、本実施の形態では、片側吸気用噴射弁26の燃料噴霧の広がり角度を燃料噴射弁24A,24Bよりも大きく設定してもよい。さらに、本実施の形態では、上述した片弁吸気運転及び片弁吸気噴射追加運転において、片側吸気用噴射弁26により吸気非同期噴射を実行する構成としてもよい。この構成によれば、片側吸気用噴射弁26の作動時には、燃料噴射弁24A,24Bと比較して吸気ポート20A内の空間に燃料を広く拡散させることができる。これにより、吸気ポート20A内の空間及び壁面に対する噴射燃料の接触面積を増加させ、燃料の気化を更に促進することができる。また、片側吸気用噴射弁26の噴射燃料を吸気ポート20Aの壁面の広い範囲に当てることにより、壁面に付着したデポジットを洗浄することができる。なお、燃料噴射弁24A,24Bは、燃料を吸気バルブの傘やバルブステム、吸気ポートの壁面等に出来るだけ接触させずに筒内に流入させる方向に向けて噴射するように構成され、片弁吸気噴射追加運転時にも吸気同期噴射を実行する。
【0035】
上述した実施の形態1では、図6が請求項2における片側吸気噴射手段の具体例を示し、図7が片側吸気噴射追加手段の具体例を示している。また、実施の形態1では、片側吸気ポート閉じ機構として吸気可変動弁機構34を用いるものとしたが、本発明はこれに限らず、例えば吸気ポートを開閉するスワールコントロールバルブ(SCV)により片側吸気ポート閉じ機構を構成してもよい。
【0036】
実施の形態2.
次に、図9及び図10を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態は、前記実施の形態1と同様の構成(図1及び図2)において、片弁吸気噴射追加運転時に、第1の燃料噴射弁を作動させてから片側吸気用噴射弁を作動させることを特徴としている。なお、本実施の形態では、実施の形態1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0037】
[実施の形態2の特徴]
図9は、片弁吸気噴射追加運転時に第1の燃料噴射弁を作動させた状態を示し、図10は、第1の燃料噴射弁の作動後に片側吸気用噴射弁を作動させた状態を示している。これらの図に示すように、本実施の形態では、片弁吸気噴射追加運転を行うときに、直前のサイクルにおいて排気バルブ32A,32Bが開弁する前に第1の燃料噴射弁24Aから燃料を噴射し、当該燃料噴射の終了後に片側吸気用噴射弁26から燃料を噴射する構成としている。以下、これらの動作について順次説明する。
【0038】
まず、直前のサイクルにおいて排気バルブ32A,32Bが開弁する前のタイミング、即ち、直前のサイクルの燃焼中においては、図9に示すように、高温の燃焼ガスが筒内に滞留しているため、吸気バルブ30Aは、燃焼ガスにより高温に加熱されている。この状態で、第1の燃料噴射弁24Aから筒内に向けて燃料を噴射(吸気非同期噴射)すると、噴射された燃料は、閉弁している高温の吸気バルブ30Aに付着して速やかに気化する。即ち、吸気バルブ30Aから吸気ポート20A内の空気に熱が伝導する前に、この熱を噴射燃料により受承することができ、燃料の気化を促進することができる。
【0039】
次に、片側吸気用噴射弁26から燃料を噴射すると、図10に示すように、噴射燃料が吸気ポート20A内の空間及び壁面に対して広範囲に広がることにより、これらの部位の温度が低下し、吸気バルブ30Aの温度も低下する。この結果、混合気の温度を低下させ、充填効率を高めることができる。また、片側吸気用噴射弁26の燃料噴射は、燃料噴射弁24Aの噴射終了後に実行される。このため、片側吸気用噴射弁26の燃料噴射により周囲の温度が低下して、燃料噴射弁24Aから噴射された燃料の気化が阻害されるのを回避することができる。
【0040】
実施の形態3.
次に、図11を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態は、前記実施の形態1とほぼ同様の構成(図1及び図2)において、片側吸気用噴射弁から噴射された燃料を、第1の吸気ポートの壁面のうち周囲よりも高温となる部分に当てるようにしたことを特徴としている。なお、本実施の形態では、実施の形態1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0041】
[実施の形態3の特徴]
図11は、本発明の実施の形態3において、片側吸気用噴射弁から燃料を噴射した状態を示す動作説明図である。この図に示すように、本実施の形態は、実施の形態1とほぼ同様に構成された片側吸気用噴射弁50を備えている。しかし、片側吸気用噴射弁50は、第1の吸気ポート20Aの壁面のうち周囲よりも高温となる部分、即ち、燃焼室12の中央部(点火プラグ28)に近い部分に向けて燃料を噴射するように構成されている。吸気ポート20Aの壁面のうち点火プラグ28に近い側の部位は、燃焼室12に近接している上に、点火プラグ28があることで冷却水通路から離れているため、高温となり易い。従って、上記構成によれば、吸気ポート20Aの壁面の高温部分を利用して燃料の気化を促進することができる。
【0042】
なお、前記実施の形態1〜3では、それぞれ異なる構成について個別に説明した。しかし、本発明では、実施の形態1の構成に対して、実施の形態2及び/又は実施の形態3の構成を組合わせてもよい。また、本発明には、吸気ポート20Bを第1の吸気ポートと称し、吸気ポート20Aを第2の吸気ポートと称する構成も含まれる。即ち、本発明では、吸気ポート20Aに吸気可変動弁機構34を配置し、吸気ポート20Bに片側吸気用噴射弁26を配置してもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 エンジン(内燃機関)
12 燃焼室
14 吸気通路
16 排気通路
18 スロットルバルブ
20A,20B 第1,第2の吸気ポート
22A,22B 排気ポート
24A,24B 第1,第2の燃料噴射弁
26,50 片側吸気用噴射弁
28 点火プラグ
30A,30B 第1,第2の吸気バルブ
32A,32B 排気バルブ
34 吸気可変動弁機構(片側吸気ポート閉じ機構)
36 センサ系統
40 ECU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の1つの燃焼室にそれぞれ接続され、吸入空気を前記燃焼室内に個別に流入させる第1,第2の吸気ポートと、
前記第1,第2の吸気ポートに設けられ、該各吸気ポートに燃料を個別に噴射することが可能な第1,第2の燃料噴射弁と、
前記第1の燃料噴射弁と共に前記第1の吸気ポートに設けられ、前記第1の吸気ポートに燃料を噴射することが可能な片側吸気用噴射弁と、
前記第2の吸気ポートを閉じることが可能な片側吸気ポート閉じ機構と、
を備えることを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
内燃機関の負荷状態に応じて要求される燃料噴射量が前記第1の燃料噴射弁の最大噴射量以下である場合に、前記片側吸気ポート閉じ機構により前記第2の吸気ポートを閉じた状態で、前記第1の燃料噴射弁または前記片側吸気用噴射弁の何れかにより燃料を噴射する片側吸気噴射手段と、
前記要求される燃料噴射量が前記第1の燃料噴射弁の最大噴射量を超える場合に、前記片側吸気ポート閉じ機構により前記第2の吸気ポートを閉じた状態で、前記第1の燃料噴射弁と前記片側吸気用噴射弁の両方により燃料を噴射する片側吸気噴射追加手段と、
を備えてなる請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記片側吸気用噴射弁は、燃料噴霧の広がり角度が前記第1,第2の燃料噴射弁よりも大きくなるように構成し、
前記片側吸気噴射追加手段は、前記片側吸気用噴射弁により吸気非同期噴射を実行してなる請求項2に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記片側吸気噴射追加手段は、直前のサイクルにおいて排気バルブが開弁する前に前記第1の燃料噴射弁から燃料を噴射し、当該燃料噴射の終了後に前記片側吸気用噴射弁から燃料を噴射してなる請求項2または3に記載の内燃機関。
【請求項5】
前記片側吸気用噴射弁は、前記第1の吸気ポートの壁面のうち周囲よりも高温となる部分に向けて燃料を噴射してなる請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の内燃機関。
【請求項1】
内燃機関の1つの燃焼室にそれぞれ接続され、吸入空気を前記燃焼室内に個別に流入させる第1,第2の吸気ポートと、
前記第1,第2の吸気ポートに設けられ、該各吸気ポートに燃料を個別に噴射することが可能な第1,第2の燃料噴射弁と、
前記第1の燃料噴射弁と共に前記第1の吸気ポートに設けられ、前記第1の吸気ポートに燃料を噴射することが可能な片側吸気用噴射弁と、
前記第2の吸気ポートを閉じることが可能な片側吸気ポート閉じ機構と、
を備えることを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
内燃機関の負荷状態に応じて要求される燃料噴射量が前記第1の燃料噴射弁の最大噴射量以下である場合に、前記片側吸気ポート閉じ機構により前記第2の吸気ポートを閉じた状態で、前記第1の燃料噴射弁または前記片側吸気用噴射弁の何れかにより燃料を噴射する片側吸気噴射手段と、
前記要求される燃料噴射量が前記第1の燃料噴射弁の最大噴射量を超える場合に、前記片側吸気ポート閉じ機構により前記第2の吸気ポートを閉じた状態で、前記第1の燃料噴射弁と前記片側吸気用噴射弁の両方により燃料を噴射する片側吸気噴射追加手段と、
を備えてなる請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記片側吸気用噴射弁は、燃料噴霧の広がり角度が前記第1,第2の燃料噴射弁よりも大きくなるように構成し、
前記片側吸気噴射追加手段は、前記片側吸気用噴射弁により吸気非同期噴射を実行してなる請求項2に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記片側吸気噴射追加手段は、直前のサイクルにおいて排気バルブが開弁する前に前記第1の燃料噴射弁から燃料を噴射し、当該燃料噴射の終了後に前記片側吸気用噴射弁から燃料を噴射してなる請求項2または3に記載の内燃機関。
【請求項5】
前記片側吸気用噴射弁は、前記第1の吸気ポートの壁面のうち周囲よりも高温となる部分に向けて燃料を噴射してなる請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の内燃機関。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−44259(P2013−44259A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181532(P2011−181532)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]