説明

半導体薄膜の形成方法、半導体薄膜の検査装置および半導体薄膜

【課題】レーザアニールによる結晶化を利用した半導体薄膜の形成において、その結晶化度を従来よりも高精度に評価することが可能な半導体薄膜の形成方法を提供する。
【解決手段】p−Si膜23の結晶化度の検査処理の際に、p−Si膜23およびa−Si膜230へ向けて照射光Loutを照射し、p−Si膜23およびa−Si膜230の透過画像を取得する。画像処理用コンピュータ15において、p−Si膜23(結晶化領域51)の透過輝度とa−Si膜230(未結晶化領域50)の透過輝度との透過コントラストを求める。この際、予め形成された基準マーク6を用いて、結晶化領域51内および未結晶化領域50内におけるコントラスト算出用領域60,61を特定し、これらのコントラスト算出用領域60,61を用いて透過コントラストを求める。そして、求めた透過コントラストに基づいて、p−Si膜23に対する選別を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置に用いられるTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)基板の製造に好適な半導体薄膜の形成方法およびそのような半導体薄膜の検査装置、ならびにそのような半導体薄膜に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス型の液晶表示装置や有機EL素子を用いた有機EL表示装置においては、TFT基板が用いられる。このTFT基板は、基板上に非晶質または比較的粒径の小さな多結晶の半導体薄膜を形成すると共にこの半導体薄膜に対してレーザビームを照射してアニールすることにより結晶成長させた半導体薄膜を用いて、駆動素子としてのTFTを形成したものである。
【0003】
このようなレーザビームによるアニール装置の光源としては、従来より、半導体薄膜の吸収率が高く、かつ大きなパルス光出力が得られるエキシマレーザが用いられている。しかしながら、このエキシマレーザはガスレーザであるが故に、パルスごとの出力強度にばらつきがある。よって、エキシマレーザを用いて形成したTFTにおいても特性のばらつきが発生してしまい、これを用いた表示装置においても表示むらが発生し易いという欠点がある。
【0004】
そこで、ガスレーザにおけるパルス強度ばらつきによる画質の低下を解消することを目的として、出力の安定性が高い半導体レーザを光源に用いたアニール装置が提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、半導体レーザから得られる光出力はエキシマレーザ等と比べると非常に小さいため、アニール処理の際のビームのサイズも小さくなってしまう。このため、TFT基板の単位面積あたりのアニール処理時間が増加し、生産性の低下や製造コストの増大といった問題が生じている。
【0005】
そこで、複数のレーザ光源を互いに近接して配置すると共に、それらによる複数のレーザビームを、非晶質半導体薄膜上の複数の領域に対して同時に照射するようにしたアニール方法も提案されている(例えば、特許文献2)。この方法によれば、アニール処理の高スループット化を図ることができ、走査時間を短縮して生産性を上げることが可能となる。
【0006】
一方、このような半導体レーザを用いた半導体薄膜の結晶化に対する制御方法は、従来より、アニール装置に備え付けられたレーザビーム強度のモニタ手段によりなされてきた。例えば、特許文献3に示されているレーザビーム強度のモニタ方法は、複数のレーザ光学系の光路に対し、単一の強度測定部を用いるようにしたのである。具体的には、一つの強度測定部を各レーザ光学系の光路上に移動させて各光路において受光可能となるようにすることにより、複数のレーザ光学系に対し、1つの強度測定部によってそれぞれの照射エネルギーを測定できるようになっている。
【0007】
また、例えば特許文献4には、アニール領域(結晶化された領域)内において、照射光に基づく輝度の階調の高低を求めることにより、アニール領域内の結晶化の度合いを評価するようにしたものが提案されている。具体的には、結晶化された領域内での結晶性の高低の模様に基づいて、結晶化の度合いを評価するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−332235号公報
【特許文献2】特開2004−153150号公報
【特許文献3】特開2005−101202号公報
【特許文献4】特開2002−319606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記特許文献2のように複数のレーザビームを用いてアニール処理を行う場合、個々のレーザ光源には、射出光の発散角の個体差がある。また、このような個体差を補正するために均一照射光学系を設けた場合でも、その調整誤差等が生じてしまう。よって、複数のレーザビームを用いてアニール処理を行う場合、被照射体に照射される個々のレーザ光のサイズや強度には、必然的に差異が生じてしまうことになる。
【0010】
また、上記特許文献3の場合、個々のレーザ光源によるレーザビームの強度(パワー)のみをモニタしているため、フォーカス位置や光学系の収差等による被照射体面上での微妙なパワー密度の差をモニタすることは不可能である。よって、このようなパワー密度の差異は被照射体(半導体薄膜)に対するアニール効果の差異となり、半導体薄膜上の位置による結晶化度の差異となるため、結果として形成されたTFTの特性が、各レーザビームにより異なってしまう。そしてこのようなTFTの特性差は、表示装置における表示むらの原因ともなってしまう。なお、このような半導体薄膜に対するレーザアニール効果の差異(薄膜上の位置による効果の差異)は、上記のように複数のレーザ光源を用いてアニール処理を行う場合だけではなく、単一のレーザ光源を用いてアニール処理を行う場合にも生じうるものである。
【0011】
さらに、上記特許文献4では、場合によっては(例えば、粒径が数十nm以下の微結晶の場合など)、結晶化された領域内において上記した特徴的な模様が現れないことがあった。したがって、そのような場合には結晶化の度合いを評価できないこととなり、より精度の高い評価方法が望まれていた。
【0012】
そこで、例えば、結晶化領域の輝度と未結晶化領域の輝度とのコントラストを求めると共に、この求めたコントラストに基づいて、結晶質半導体薄膜に対する選別を行うようにする手法が考えられる。これにより確実な選別が実現され、半導体薄膜の結晶化度を高精度に評価することが可能となると考えられるからである。
【0013】
しかしながら、この手法を用いた場合でも、以下のような改善点が存在すると考えられる。具体的には、まず、アニール処理の際にレーザ光学系から照射される照射ビーム内には、光学系に起因する強度分布が存在する。そのため、上記手法におけるコントラストの演算を、レーザ光の照射領域(結晶化領域)内の広範な領域で得られる輝度値を用いて行った場合、正確な値が得られない場合が生じ得る。具体的には、実際に必要なトランジスタの形成領域等と比べて演算に用いる領域が非常に広範となっていると、その領域内での輝度平均値が、実際のトランジスタの形成領域等での輝度平均値からずれてしまうことがあるのである。このようにして、上記したようなコントラストを用いた評価手法を行う場合においても、改善の余地があると考えられる。
【0014】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、レーザアニールによる結晶化を利用した半導体薄膜の形成において、その結晶化度を従来よりも高精度に評価することが可能な半導体薄膜の形成方法および半導体薄膜の検査装置を提供することにある。
【0015】
また、本発明の第2の目的は、結晶化度の均一性を高めることが可能な半導体薄膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の半導体薄膜の形成方法は、基板上に、非晶質半導体薄膜および所定の基準マークをそれぞれ形成する工程と、レーザ光を照射して非晶質半導体薄膜に対して選択的に加熱処理を施すことにより、照射領域に対応する非晶質半導体薄膜を結晶化させて要素領域ごとに部分的に結晶質半導体薄膜を形成する工程と、この結晶質半導体薄膜の結晶化度を検査する検査工程とを含むようにしたものである。ここで、この検査工程は、結晶質半導体薄膜および非晶質半導体薄膜へ向けて光をそれぞれ照射すると共に、上記基準マークを用いることにより、結晶化領域内および未結晶化領域内における所定の部分領域をそれぞれ特定し、それらの部分領域を用いて結晶化領域の輝度と未結晶化領域の輝度とのコントラストを求める工程と、求めたコントラストに基づいて結晶質半導体薄膜に対する選別を行う選別工程とを含んでいる。
【0017】
本発明の半導体薄膜の形成方法では、基板上に非晶質半導体薄膜および所定の基準マークが形成されたのち、レーザ光を照射して非晶質半導体薄膜に対して選択的に加熱処理が施されることにより、照射領域に対応する非晶質半導体薄膜が結晶化され、要素領域ごとに部分的に結晶質半導体薄膜が形成される。そしてそののち、この結晶質半導体薄膜の結晶化度が検査される。ここで、この検査の際には、結晶質半導体薄膜および非晶質半導体薄膜へ向けて、光がそれぞれ照射される。また、上記基準マークを用いることにより、結晶化領域内および未結晶化領域内における所定の部分領域がそれぞれ特定され、それらの部分領域を用いて、結晶化領域の輝度と未結晶化領域の輝度とのコントラストが求められる。そして、求められたコントラストに基づいて、結晶質半導体薄膜に対する選別が行われる。このようにして、所定の基準マークにより特定された部分領域を用いて得られる、結晶化領域の輝度と未結晶化領域の輝度とのコントラストに基づいて、結晶質半導体薄膜に対する選別がなされることにより、従来よりも確実な選別が実現される。
【0018】
本発明の半導体薄膜の検査装置は、所定の基準マークが形成されていると共に、レーザ光を照射して非晶質半導体薄膜に対して選択的に加熱処理を施すことにより照射領域が結晶化され、要素領域ごとに部分的に結晶質半導体薄膜が形成されている基板を搭載するステージと、結晶質半導体薄膜および非晶質半導体薄膜へ向けて光をそれぞれ照射する光源と、この光源から発せられた光に基づいて、結晶化領域の輝度と未結晶化領域の輝度とのコントラストを求める導出部と、この導出部により求められたコントラストに基づいて結晶質半導体薄膜に対する選別を行う選別部とを備えたものである。ここで、上記導出部は、上記基準マークを用いることにより、結晶化領域内および未結晶化領域内における所定の部分領域をそれぞれ特定し、それらの部分領域を用いて上記コントラストを求めるようになっている。
【0019】
本発明の半導体薄膜の検査装置では、結晶質半導体薄膜が要素領域ごとに部分的に形成された基板において、結晶質半導体薄膜および非晶質半導体薄膜へ向けて、光源より光がそれぞれ照射される。そしてこの光源から発せられた光に基づいて、結晶化領域の輝度と未結晶化領域の輝度とのコントラストが求められ、求められたコントラストに基づいて、結晶質半導体薄膜に対する選別が行われる。また、上記コントラストを求める際には、基板上に形成されている基準マークを用いて、結晶化領域内および未結晶化領域内における所定の部分領域がそれぞれ特定され、それらの部分領域を用いてコントラストが求められる。このようにして、所定の基準マークにより特定された部分領域を用いて得られる、結晶化領域の輝度と未結晶化領域の輝度とのコントラストに基づいて、結晶質半導体薄膜に対する選別がなされることにより、従来よりも確実な選別が実現される。
【0020】
本発明の半導体薄膜は、未結晶化領域を構成する非晶質半導体薄膜と、レーザ光の照射による選択的な加熱処理により形成された結晶化領域を構成する結晶質半導体薄膜と、上記結晶化領域の輝度と上記未結晶化領域の輝度とのコントラストを求める際の部分領域を特定するための所定の基準マークとを備えたものである。
【0021】
本発明の半導体薄膜では、結晶化領域の輝度と未結晶化領域の輝度とのコントラストを求める際の部分領域を特定するための上記基準マークが設けられている。これにより、この部分領域を用いて求められる上記コントラストに基づいて、結晶化領域における結晶化度を検査する際に、従来よりも確実な選別が実現可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の半導体薄膜の形成方法および半導体薄膜の検査装置によれば、結晶質半導体薄膜の結晶化度を検査する際に、予め形成された所定の基準マークを用いて、結晶化領域内および未結晶化領域内における所定の部分領域をそれぞれ特定し、それらの部分領域を用いて結晶化領域の輝度と未結晶化領域の輝度とのコントラストを求めると共に、求めたコントラストに基づいて結晶質半導体薄膜に対する選別を行うようにしたので、従来よりも確実な選別が実現される。よって、レーザアニールによる結晶化を利用した半導体薄膜の形成において、その結晶化度を従来よりも高精度に評価することが可能となる。
【0023】
また、本発明の半導体薄膜によれば、結晶化領域の輝度と未結晶化領域の輝度とのコントラストを求める際の部分領域を特定するための所定の基準マークを設けるようにしたので、この部分領域を用いて求められる上記コントラストに基づいて結晶化領域における結晶化度を検査する際に、従来よりも確実な選別が実現可能となる。よって、結晶化度の均一性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態に係る半導体薄膜の検査装置の全体構成を表す図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る半導体薄膜の形成方法の主要な工程の一部を表す断面図である。
【図3】実施の形態に係る基準マークの一例を表す模式図である。
【図4】実施の形態に係る基準マークの他の例を表す模式図である。
【図5】実施の形態に係る基準マークの他の例を表す模式図である。
【図6】実施の形態に係る基準マークの他の例を表す模式図である。
【図7】実施の形態に係る基準マークの他の例を表す模式図である。
【図8】図2に続く工程を表す断面図である。
【図9】図8に続く工程を表す断面図である。
【図10】図9に続く工程(検査工程)の一例を表す流れ図である。
【図11】レーザ光の未照射領域および未照射領域におけるコントラスト算出用領域について説明するための模式図である。
【図12】レーザ光の未照射領域および未照射領域の透過特性について説明するための模式図である。
【図13】図10に示した検査工程の際に用いる照射強度、コントラストおよび電気特性の相関関係の一例を表す特性図である。
【図14】γ特性の補正方法について説明するための特性図である。
【図15】γ特性の補正による照射強度とコントラストとの対応関係の変化について説明するための特性図である。
【図16】本発明による評価手法と従来の評価手法とを比較して説明するための図である。
【図17】比較例に係るコントラスト算出手法について説明するための模式図である。
【図18】比較例および実施例に係るコントラストと電気特性との相関関係の一例を表す特性図である。
【図19】本発明の変形例1に係る検査工程について説明するための断面図である。
【図20】本発明の変形例2に係る検査工程について説明するための断面図である。
【図21】本発明の変形例3に係る検査工程について説明するための断面図である。
【図22】本発明の変形例4〜6に係る半導体薄膜の検査装置の全体構成を表す図である。
【図23】本発明の変形例4に係る検査工程について説明するための断面図である。
【図24】本発明の変形例5に係る検査工程について説明するための断面図である。
【図25】本発明の変形例6に係る検査工程について説明するための断面図である。
【図26】本発明の形成方法により形成された半導体薄膜を含むTFT基板の構成の一例を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態 (基準マークを利用した半導体薄膜の形成方法(検査方法)の一例)
2.変形例
変形例1 (光吸収層を利用した間接的な加熱処理(アニール処理)の例)
変形例2,3(トップゲート型のTFTの場合の例)
変形例4〜6(反射コントラストを利用した検査方法の例)
【0026】
<実施の形態>
[検査装置の全体構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る半導体薄膜の検査装置(検査装置1)の全体構成を表すものである。この検査装置1は、例えば、ボトムゲート構造を有する薄膜トランジスタ(ボトムゲート型TFT)の製造工程中に形成されるシリコン半導体膜に適用されるものであり、後述するSi(シリコン)薄膜基板2に適用される結晶化度の検査装置である。
【0027】
Si基板2では、詳細は後述するが、まず、透明基板上にa−Si(アモルファスシリコン)膜(非晶質半導体薄膜)が形成されたのちに、このa−Si膜に対してレーザ光が選択的に照射されてアニール処理が施される。そして、これによりこの照射領域(後述する照射領域41)が結晶化され、要素領域(画素)ごとに部分的にp−Si(ポリシリコン)膜(結晶質半導体薄膜)が形成されたものとなっている。なお、以下の説明では、結晶化されたSi薄膜の一例としてp−Si膜を挙げて説明するが、微結晶Si膜であってもよい。
【0028】
検査装置1は、可動ステージ11と、LED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)12と、対物レンズ13と、CCD(Charge Coupled Device;電荷結合素子)カメラ14と、画像処理用コンピュータ15と、制御用コンピュータ16とから構成されている。
【0029】
可動ステージ11は、検査対象であるSi薄膜基板2を搭載する(支持する)ものであり、後述する制御用コンピュータ16から供給される制御信号Sによって、図中のX軸方向やY軸方向に任意に移動することができるようになっている。また、この可動ステージ11は、後述するLED12から発せられる光(照射光Lout)が透過可能な材質(例えば、ガラス板)により構成されている。
【0030】
LED12は、可動ステージ11の裏側(Si薄膜基板2の搭載面とは反対側)からSi薄膜基板2へ向けて光(照射光Lout)を照射する光源である。このLED12は、約500〜600nmを中心波長とする波長領域の光である緑色光、あるいは約500〜600nmの波長領域の単色光を、照射光Loutとして照射するものであることが好ましい。白色光のようなスペクトル分布に依存しないため、より普遍的な測定が可能となるからである。具体的には、白色光源では、測定装置が複数ある場合や光源を取り替えた場合などには、スペクトル分布が異なることによって後述するコントラスト値が変化する虞があるが、緑色光源あるいは単色光源の場合にはそのような心配がないからである。なお、光源として高輝度のLEDの代わりに、顕微鏡のランプ照明などを用いるようにしてもよい。
【0031】
対物レンズ13は、LED12から発せられて可動ステージ11およびSi薄膜基板2を透過した照射光Lout(透過光)を拡大して検出するための光学素子である。また、CCDカメラ14は、約500〜600nmの波長領域の光に対して高感度化されたカメラである。このCCDカメラ14では、内部に撮像素子としてCCDイメージセンサが設けられることにより、Si薄膜基板2におけるa−Si膜(未結晶化領域)およびp−Si膜(結晶化領域)の透過顕微鏡画像(透過画像)を撮像するようになっている。
【0032】
画像処理用コンピュータ15は、対物レンズ13およびCCDカメラ14により得られたa−Si膜およびp−Si膜の透過画像に基づいて、p−Si膜に対する選別を行う(検査処理を行う)ものである。具体的には、画像処理用コンピュータ15は、まず、CCDカメラ14から供給される透過画像データD1を取り込む。次いで、その画像輝度を解析し、Si薄膜基板2上に形成されているp−Si膜(結晶化領域)の透過輝度と、a−Si膜(未結晶化領域)の透過輝度とのコントラストを求める。そして、この求めたコントラストに基づいて、Si薄膜基板2上に形成されたp−Si膜が、良品であるか不良品であるかの判別を行うようになっている。なお、この画像処理用コンピュータ15による検査処理の詳細については、後述する。
【0033】
制御用コンピュータ16は、制御信号Sに基づいて、LED12による照射光Loutの点灯制御や、LED12、対物レンズ13およびCCDカメラ14の移動位置の制御、ならびに対物レンズ13の切換制御等を行うものである。これらのうち、移動位置の制御については、具体的には、可動ステージ11上に搭載されたSi薄膜基板2に対してLED12、対物レンズ13およびCCDカメラ14を相対的に変位させるための制御を行うようになっている。
【0034】
ここで、LED12が、本発明における「光源」の一具体例に対応する。また、対物レンズ13、CCDカメラ14および画像処理用コンピュータが、本発明における「導出部」の一具体例に対応する。また、対物レンズ13およびCCDカメラ14が、本発明における「導出部の光学系」の一具体例に対応する。また、画像処理用コンピュータ15が、本発明における「選別部」の一具体例に対応する。また、制御用コンピュータ16が、本発明における「制御部」の一具体例に対応する。
【0035】
[半導体薄膜の形成方法]
続いて、図2〜図15を参照して、図1に示した検査装置1を用いた検査工程を含む、本発明の一実施の形態に係る半導体薄膜の形成方法について説明する。ここで、図2,図8,図9はそれぞれ、本実施の形態の半導体薄膜の形成方法の主要な工程の一部を断面図(Z−X断面図)で表したものである。また、図10は、図9に続く工程である検査工程の一例を流れ図で表したものである。
【0036】
(1.a−Si膜,p−Si膜,基準マークの形成工程)
(a−Si膜の形成)
まず、図2に示したように、例えばガラス基板などの透明基板20(例えば550mm×650mm程度の基板サイズのもの)上に、例えばフォトリソグラフィ法を用いて、ゲート電極21、ゲート絶縁膜221,222およびa−Si膜230を、この順に形成する。ここで、ゲート電極21は例えばモリブデン(Mo)により構成し、ゲート絶縁膜221は例えばシリコン窒化物(SiNx)により構成し、ゲート絶縁膜222は例えばシリコン酸化物(SiO2)により構成する。
【0037】
(基準マークの形成)
この際、例えば以下説明する図3〜図7に示したような基準マーク6を、例えばa−Si膜230よりも下層に形成しておくようにする。この基準マーク6は、後述する結晶化領域51の輝度と後述する未結晶化領域50の輝度とのコントラストを求める際の部分領域(後述するコントラスト算出用領域60,61)を特定するための所定のマークである。
【0038】
基準マーク6は、金属層内に形成しておくことが好ましく、具体的にはゲート電極21と同一の層内に形成しておくようにするのが望ましい。このように金属層内に基準マーク6を形成するようにすれば、後述する透過画像内においてこの基準マークを目立ち易くすることができるからである。ただし、基準マーク6の形成位置はこれらの場合には限られず、例えば場合によってはa−Si膜230よりも上層に形成するようにしてもよい。
【0039】
ここで、この基準マーク6の基本形状としては、例えば図3(A)〜(E)に示したように、三角形、長方形、五角形以上の多角形、十字系もしくは円形等が挙げられる。これらの形状のうち、後述するコントラスト算出用領域60,61を特定するという観点からは、例えば、等方的な形状である円形等が好ましいと考えられる。
【0040】
一方、図4(A)〜(E)に示した基準マーク6は、図3(A)〜(E)に示した各形状の基準マーク6において、ベタ形状の中抜きがなされた形状となっている。
【0041】
また、図5(A)〜(E)に示した基準マーク6には、図中の符号P11〜P15で示したように、Si薄膜基板2における基板面内の位置を示すマークや、後述するアニール処理においてレーザ光L1を照射する際の走査方向を示すマークが含まれている。具体的には、例えば図5(A)中の符号P11で示した左部分の切欠きは、この基準マーク6が、基板面内の左側の位置にあることを示している。また、例えば図5(B),(C)中の符号P12,P13で示した「22」という文字は、基板面内において、22回目の部分的なアニール処理を行う領域であることを示している。一方、例えば図5(D),(E)中の符号P14,P15で示した左側の切欠きは、レーザ光L1を照射する際の走査方向(例えば、左方向)を示している。これらのマークにより示される位置情報や走査方向の情報は、後述するコントラストとの相関データを取ったりする場合や、その相関データを基に製造工程を管理したりする場合等に有用な情報となる。
【0042】
更に、図6(A)〜(C)に示した基準マーク6には、図中に「+」で示したように、後述するコントラスト算出用領域60,61を特定する際の基準位置を示すマーク(基準位置マーク6A)が含まれている。ここでは一例として、この基準位置マーク6Aがそれぞれ、基準マーク6におけるエッジ部や端辺の中央付近、全体の中心付近に設けられている。
【0043】
なお、図7(A)〜(E)に示した基準マーク6はそれぞれ、エッチング等によるパターン形成の際の加工精度の影響を受けにくくするため、基準位置マーク6Aが全体の中心付近に設けられている場合の例である。
【0044】
(アニール処理によるp−Si膜の形成の形成)
次に、図8に示したように、透明基板20上のa−Si膜230に対し、図示しない半導体レーザ光源を用いてレーザ光L1を部分的に照射して選択的にアニール処理(加熱処理)を施す。これにより、要素領域(Si薄膜基板2を表示装置に適用した場合、画素に対応する)ごとに、部分的にa−Si膜230を結晶化させる。具体的には、例えば図9に示したように、レーザ光L1の照射領域41に対してはアニール処理が施されることにより結晶化され、p−Si膜23が形成された結晶化領域51となる。一方、レーザ光L1の非照射領域40に対してはアニール処理が施されないために結晶化されず、a−Si膜230が形成されたままの未結晶化領域50となる。
【0045】
(2.結晶化度の検査工程)
次に、例えば図10中のステップS101〜S105に示したようにして、図1に示した検査装置1を用いることにより、透明基板20上に形成されたp−Si膜23の結晶化状態(結晶化度)の検査を行う(検査処理を実行する)。
【0046】
(透過画像の取得:S101)
具体的には、まず、p−Si膜23が形成されているSi薄膜基板2を、可動ステージ11上に搭載させる。次いで、可動ステージ11の裏側(Si薄膜基板2の搭載面とは反対側)から、p−Si膜(結晶化領域51)およびa−Si膜(未結晶化領域50)に対し、LED12によって照射光Loutをそれぞれ照射する。そして、対物レンズ13およびCCDカメラ14によって、可動ステージ11およびSi薄膜基板2の透過光を受光して撮像する。これにより、画像処理用コンピュータ15において、p−Si膜23(結晶化領域51)およびa−Si膜230(未結晶化領域50)の透過画像(透過画像データD1)を取得する(図10のステップS101)。なお、この際、制御用コンピュータ16から供給される制御信号Sによって、可動ステージ11上に搭載されたSi薄膜基板2に対し、LED12、対物レンズ13およびCCDカメラ14をそれぞれ、相対的に変位させるようにする。これにより、p−Si膜23上の複数のポイントでの透過画像を取得することが可能となる。
【0047】
(コントラスト算出用領域の特定:S102)
次に、画像処理用コンピュータ15では、前述した基準マーク6を用いることにより、p−Si膜23(結晶化領域51)およびa−Si膜230(未結晶化領域50)のそれぞれについて、コントラスト算出用領域を特定する(ステップS102)。具体的には、例えば図11に示したように、未結晶化領域50内に予め形成されている基準マーク6内の基準位置マーク6Aを用いて、この未結晶化領域50内のコントラスト算出用領域60を特定する。また、同様にこの基準マーク6内の基準位置マーク6Aを用いて、結晶化領域51内のコントラスト算出用領域61も特定する。
【0048】
ここで、これらのコントラスト算出用領域60,61はそれぞれ、未結晶化領域50および結晶化領域51内における部分的な領域に設定されている。具体的には、コントラスト算出用領域61は、図中に示したように、ゲート電極21の形成領域近傍において、この形成領域と同程度の大きさとなるように設定されている。また、コントラスト算出用領域60は、このコントラスト算出用領域61と同程度の大きさとなるように設定されている。なお、このとき、例えばR(赤),G(緑),B(青)の各画素におけるTFTの形成位置等に対応する複数ペアのコントラスト算出領域60,61をそれぞれ特定するようにしてもよい。
【0049】
(透過コントラストの算出:S103)
次に、画像処理用コンピュータ15は、取得した透過画像(透過画像データD1)に基づいて、p−Si膜23(結晶化領域51)の透過輝度とa−Si膜230(未結晶化領域50)の透過輝度との(透過)コントラストを求める(ステップS103)。この際、上記ステップS102において特定したコントラスト算出領域60,61を用いて、コントラストを算出するようにする。具体的には、これらのコントラスト算出領域60,61内での輝度平均値(平均階調)を用いてコントラストを算出する。なお、このようなコントラストは、例えば、以下の(1−1)式,(1−2)式または(1−3)式によって定義される。
【0050】
【数1】

【0051】
このようなコントラストを求めて利用するのは、以下の理由によるものである。すなわち、まず、Si膜の結晶化度は、アニール処理の際のエネルギー密度(照射強度)に大きく依存するため、Si膜の透過率も、結晶化領域の拡大や結晶サイズの増大に伴って増加する。したがって、例えば図12に示したように、結晶化領域51(照射領域41)と未結晶化領域50(非照射領域40)とでは、透過強度(透過輝度)が互いに異なることを利用している。ここで、図中のIH(λ)は照射領域41の透過強度を、IL(λ)は非照射領域40の透過強度を、それぞれ示している。なお、結晶化領域51として、上記したp−Si膜の代わりに、微結晶Si膜を適用するようにしてもよい。
【0052】
ここで、上記(1−1)式〜(1−3)式のうち、(1−2)式は、マイケルソンコントラスト(Michelson Contrast)と呼ばれるコントラストの算出式である。これは、白黒の明暗対比を表したものであり、具体的には、基本的には規則的な正弦波状の縞の明暗対比を表したものである。コントラストの値としては、式における定義により、0〜1の値(無次元量、単位はなし)を取り、これを%コントラスト(0〜100%)で表す場合も多い。
【0053】
一方、(1−3)式は、ウェーバーコントラスト(Weber Contrast)と呼ばれるコントラストの算出式である。これは、均一な広いバックグラウンドの中にエッジのはっきりしたパターンがある場合や、バックグラウンドの光強度がほぼ均一な場合に用いられるものである。
【0054】
(電気特性の予測:S104)
次に、画像処理用コンピュータ15は、求められた透過コントラストに基づいて、例えば図13に示したような相関関係を利用して、p−Si膜23において得られると予想される電気特性を予測する(ステップS103)。具体的には、この相関関係は、透過コントラストと、透過画像取得の際の光の照射強度と、電気特性(デバイス電気特性;例えば、TFTにおけるソース・ドレイン間に流れる電流Idsの値)との相関関係である。なお、図8に示したような相関関係の特性のグラフは、予め作成しておくようにする。
【0055】
ここで、例えば、隣接するTFT間の電気特性のばらつきが3%程度以下と小さい場合、図13に示したように、以下の(1)〜(3)の事項が成り立つことが、実験結果により求められた。
(1)照射強度と透過コントラストとは、互いにほぼ線形に増加していく関係(比例関係)にある。
(2)透過コントラストが増加するにつれて、デバイス電気特性も増加する。
(3)透過コントラストが常に特定の値になるように照射強度を制御すると、デバイス電気特性も一定となる。
【0056】
また、TFTを用いた表示装置の場合、一般に、隣接する画素間の輝度差が3%以下のとき、その差は視認できないといわれている。つまり、TFTにおける電流値差が3%以下であれば、視認できないことになる。そのため、例えば上記(2)の対応曲線を予め作成しておいてその微分係数を求めておき、コントラストの差を0.03/微分係数の範囲内に収めれば、TFTにおける電流値差3%以下が実現されることが分かる。
【0057】
また、この際、画像処理用コンピュータ15は、照射強度と透過コントラストとのγ特性(CCDカメラ14等の特性+光反応による材料の透過率特性)において、γ値=1となるようにγ特性を補正しておくのが好ましい(例えば、図14,図15参照)。あるいは、照射強度と透過コントラストとのγ特性において、γ値=1のものを予め用いるようにするのが好ましい。これらのようにしてγ値=1のものを用いることにより、より高精度での結晶度の評価が可能となるからである。ただし、照射強度のダイナミックレンジをより広く取りたい場合などは、γ値が1以下のものを用いるようにするのが好ましい。
【0058】
ここで、照射領域41の透過輝度の階調をA、非照射領域40の透過輝度の階調をB、透過コントラストをC、透過強度をI、透過率をT、および所定の係数をKとすると、具体的には、以下の(I)〜(III)のことが言える。
【0059】
(I)γ=1の場合(γ特性が線形性の特性の場合)
この場合、以下の(2)式で示される照射領域41の関係式および以下の(3)式で示される非照射領域40の関係式により、以下の(4)式で示される透過コントラストCが求められる。そしてこの(4)式の透過コントラストでは、透過強度Iには依存していないため、光量依存性がなく、補正が不要であると言える。
【0060】
【数2】

【0061】
(II)γ≠1の場合(γ特性が、γ乗の特性の場合)
この場合、以下の(5)式で示される照射領域41の関係式および以下の(6)式で示される非照射領域40の関係式により、以下の(7)式で示される透過コントラストCが求められる。そしてこの(7)式の透過コントラストでは、透過強度Iには依存していないため、光量依存性がない。ただし、予め求めておいたγ値によって、例えばγ=1となるような補正が必要であると言える。
【0062】
【数3】

【0063】
(III)γ≠1の場合(γ特性がγ乗の特性であると共に、未照射領域40と照射領域41とで、γ特性が互いに異なる(γ値が互いに異なる)場合)
この場合、以下の(8)式で示される照射領域41の関係式および以下の(9)式で示される非照射領域40の関係式により、以下の(10)式で示される透過コントラストCが求められる。この(10)式の透過コントラストでは、透過強度Iに依存しているため、光量依存性がある。したがって、予め求めておいたγ値および測定時の光量によって、例えばγ=1となるような補正が必要であると言える。
【0064】
【数4】

【0065】
(良品・不良品の選別:S105)
次に、画像処理用コンピュータ15は、前述した透過コントラスト、照射強度およびデバイス電気特性の相関関係を利用して、p−Si膜23に対する選別(p−Si膜23が良品であるか不良品であるかの選別)を行う(ステップS105)。具体的には、ステップS104において予測したデバイス電気特性の値に応じて、p−Si膜23が良品であるか不良品であるかの選別を行う。これにより、透明基板20上に形成されたp−Si膜23の結晶化度の検査処理が終了となる。
【0066】
[実施の形態の作用・効果]
このようにして本実施の形態では、透明基板20上にa−Si膜230が形成されたのち、このa−Si膜230に対してレーザ光L1が部分的に照射され、選択的にアニール処理(加熱処理)が施される。これにより、照射領域41に対応するa−Si膜230が結晶化され、要素領域(画素)ごとに部分的にp−Si膜23が形成される。そしてそののち、検査装置1では、p−Si膜23の結晶化度が検査される(検査処理がなされる)。
【0067】
この検査処理では、まず、p−Si膜23およびa−Si膜230が形成された透明基板20(Si薄膜基板2)を搭載する可動ステージ11の裏側から、p−Si膜23およびa−Si膜230へ向けて、LED12により照射光Loutがそれぞれ照射される。次いで、可動ステージ11ならびにp−Si膜23またはa−Si膜230を透過した透過光が、対物レンズ13を介してCCDカメラ14により受光される。これにより、p−Si膜23およびa−Si膜230の透過画像(透過画像データD1)が取得される。次に、この透過画像データD1を取得した画像処理用コンピュータ15では、p−Si膜23(結晶化領域51)の透過輝度とa−Si膜230(未結晶化領域50)の透過輝度との透過コントラストを求める。そして、求められた透過コントラストに基づいて、p−Si膜23に対する選別を行う。このようにして、結晶化領域51の透過輝度と未結晶化領域50の透過輝度との透過コントラストに基づいて、p−Si膜23に対する選別がなされる。これにより、従来よりも確実な選別が実現される(例えば、粒径が数十nm以下の微結晶Si膜の場合などであっても、確実な選別がなされる)。
【0068】
また、このような透過コントラストに基づいて選別を行うことにより、例えば図16に示したように、従来の評価手法と比べ、格段に高速な評価が実現されると共に、非接触および非破壊かつ微小領域の検査が実現され、数値定量化が可能となる。なお、ここでは従来の手法として、分光エリプソメトリ法、Raman分光法、SEM(Scanning Electron Microscope)法およびTEM(Transmission Electron Microscope)法を挙げている。
【0069】
ただし、このような透過コントラストを用いた検査手法においても、以下の問題点が生じ得る。すなわち、まず例えば図17(A)に示したように、アニール処理の際にレーザ光学系から照射されるレーザビームの照射領域41内には、光学系に起因する強度分布P2が存在する。
【0070】
(比較例)
そのため、例えば図17(B)に示した比較例のように、上記手法におけるコントラストの演算を、レーザ光の照射領域(結晶化領域51)内の広範な領域106A,106Bで得られる輝度値を用いて行った場合、正確な値が得られない場合が生じ得る。具体的には、この比較例では、実際に必要なトランジスタの形成領域等(例えば、図中のゲート電極21の形成領域)と比べ、コントラスト演算に用いる領域106A,106Bが非常に広範となっている。これにより、それらの領域106A,106B内での輝度平均値が、実際のトランジスタの形成領域等での輝度平均値からずれてしまうことがある。
【0071】
したがって、この比較例では、例えば図18(A)に示したように、透過コントラスト値と電気特性(デバイス電気特性;ここでは、TFTにおけるソース・ドレイン間に流れる電流Idsの値)との相関関係が低下してしまっている。具体的には、この相関関係における相関値R2が、例えば0.9711と低い値となってしまっている。
【0072】
(実施の形態の特徴的部分の作用)
これに対して本実施の形態では、まず、検査工程において、予め形成されている基準マーク6を用いて、p−Si膜23(結晶化領域51)およびa−Si膜230(未結晶化領域50)について、コントラスト算出用領域60,61を特定する。そして、p−Si膜23(結晶化領域51)の透過輝度とa−Si膜230(未結晶化領域50)の透過輝度との(透過)コントラストを求める際に、この特定したコントラスト算出領域60,61を用いてコントラストを算出している。
【0073】
これにより、実際に必要なトランジスタの形成領域等(例えば、ゲート電極21の形成領域)と、コントラスト算出用領域60,61とが同程度の大きさとなっていることから、求められたコントラスト値が、実際のトランジスタの形成領域等での値とほぼ等しくなる。したがって、例えば図18(A)に示したように、本実施の形態では、透過コントラスト値と電気特性(ここでは、ソース・ドレイン間に流れる電流Idsの値)との相関関係が、上記比較例と比べて高くなる。具体的には、この相関関係における相関値R2が、例えば0.9901と、上記比較例と比べて高い値となっている。
【0074】
以上のように本実施の形態では、p−Si膜23の結晶化度の検査処理の際に、p−Si膜23およびa−Si膜230へ向けて、LED12により照射光Loutをそれぞれ照射し、p−Si膜23およびa−Si膜230の透過画像(透過画像データD1)を取得する。そして、画像処理用コンピュータ15において、p−Si膜23(結晶化領域51)の透過輝度とa−Si膜230(未結晶化領域50)の透過輝度との透過コントラストを求め、求めた透過コントラストに基づいてp−Si膜23に対する選別を行う。これにより、従来よりも確実な選別が実現される。よって、レーザアニールによる結晶化を利用したSi薄膜の形成において、その結晶化度を従来よりも高精度に評価することが可能となる(例えば、CCDカメラ14の階調が12ビットの場合、1/4096の精度での評価が可能となる)。その結果、焦点位置の微妙な差や発散角の違いによるレーザビーム径の微妙な差、あるいは光学系の微妙な収差などから生じる被照射体(a−Si膜230)上でのパワー密度の差等が生じているような場合であっても、半導体レーザによる結晶化の制御が可能となる。また、p−Si膜23上の照射領域間の結晶粒の大きさその他の特性の差を軽減することができる。また、Si薄膜基板2に対して非接触かつ非破壊により結晶化度の検査を行うことができるため、短時間に再現性の高い結晶化モニタを行うことが可能となる。
【0075】
また、本実施の形態では、p−Si膜23の結晶化度の検査処理の際に、予め形成された所定の基準マーク6を用いて、結晶化領域51内および未結晶化領域50内における所定の部分領域(コントラスト算出用領域60,61)をそれぞれ特定している。そして、それらのコントラスト算出用領域60,61を用いて透過コントラストを求めるようにしたので、レーザビームの照射領域41内における光学系に起因した強度分布P2の影響を低減することができ、従来と比べて更に確実な選別が実現される。よって、レーザアニールによる結晶化を利用した半導体薄膜の形成において、その結晶化度を従来と比べて更に高精度に評価することが可能となり、ひいては安定した品質の(結晶化度の均一性の高い)半導体薄膜を得ることが可能となる。
【0076】
更に、p−Si膜23に対する選別の際に、求めた透過コントラストと、透過画像取得の際の光の照射強度と、p−Si膜23において得られると予想される電気特性との相関関係を利用して、p−Si膜23に対する選別を行うようにしたので、上記のような効果を得ることが可能となる。
【0077】
加えて、従来の評価手法と比べて格段に高速な評価が実現されるため、リアルタイム測定が可能となる。よって、アニール処理を行いながらのリアルタイムフィードバックが可能になる。
【0078】
加えてまた、照射光Loutの透過光に基づいて、p−Si膜23およびa−Si膜230の透過画像(透過画像データD1)を取得することにより、コントラスト(透過コントラスト)を求めるようにしたので、後述する反射画像を用いた場合と比べてより高精度の評価が可能となる。
【0079】
加えて更に、照射強度と透過コントラストとのγ特性において、γ値=1のものを予め用いるか、またはγ値=1となるように補正するようにした場合には、より高精度での結晶度の評価が可能となる。一方、照射強度と透過コントラストとのγ特性において、γ値が1以下のものを用いるようにした場合には、照射強度のダイナミックレンジをより広く取ることが可能となる。
【0080】
また、単色の波長光源(緑色光の光源)を用いるようにしたので、多波長の光源を用いた場合と比べ、より高精度の評価が可能となる。具体的には、単色の波長光源を用いた場合、例えば、以下の(11)式で示される照射領域41の透過強度IH(λ)と、以下の(12)式で示される非照射領域40の透過強度IL(λ)とにより、以下の(13)式で示される透過コントラストCNTが求められる。そしてこの(13)式の透過コントラストCNTでは、透過強度IH(λ)および透過強度IL(λ)に依存していないため、光源のスペクトル分布の影響を受けず、より精度の高い測定評価が可能となる。一方、多波長の光源を用いた場合、例えば、以下の(14)式で示される照射領域41でのパワーPHと、以下の(15)式で示される非照射領域40でのパワーPLとにより、以下の(16)式で示される透過コントラストCNTが求められる。そしてこの(16)式の透過コントラストCNTでは、パワーPH,PLに依存しているため、光源のスペクトル分布の影響を受けてしまうことになる。
【0081】
【数5】

【0082】
【数6】

【0083】
更に、p−Si膜23およびa−Si膜230の透過画像(透過画像データD1)を取得する際に、p−Si膜23およびa−Si膜230へ向けてそれぞれ照射する光(照射光Lout)として、緑色光を用いるようにしたので、より普遍的な測定が可能となる。
【0084】
加えて、アニール処理の際に、複数のレーザ光源を用いてレーザ光L1を照射するようにした場合には、アニール処理のスループットを向上させて短時間でアニール処理を行うことが可能となる。また、このように複数のレーザ光源を用いた場合であっても、上記した検査処理を行うことにより、レーザ光の強度ばらつきの影響を抑えることができ、p−Si膜23の特性の面内ばらつきを低減することが可能となる。
【0085】
加えてまた、制御用コンピュータ16から供給される制御信号Sによって、可動ステージ11上に搭載されたSi薄膜基板2に対し、LED12、対物レンズ13およびCCDカメラ14を相対的に変位させるようにしたので、p−Si膜23およびa−Si膜230上の複数のポイントでの透過画像を取得することができ、そのような複数ポイントでの検査を行うことが可能となる。
【0086】
<変形例>
以下、本発明の変形例をいくつか挙げて説明する。なお、上記実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0087】
(変形例1)
図19(B)は、変形例1に係る検査工程について説明するための断面図(Z−X断面図)である。本変形例は、p−Si膜23を形成する工程において、a−Si膜230上の光吸収層231に対してレーザ光L1を照射することにより、a−Si膜230に対して間接的に加熱処理を施すようにしたものである。すなわち、上記実施の形態では、例えば図19(A)に示したように、p−Si膜23を形成する工程において、a−Si膜230に対してレーザ光L1を照射することにより、a−Si膜230に対して直接的に加熱処理を施している。これに対し、本変形例では、a−Si膜230に対して間接的に加熱処理を施すようになっている。
【0088】
なお、本変形例では、光吸収層231が積層したままの状態での測定も可能である。すなわち、透過率は光吸収層231の剥離前後で強い相関があるため、予め対応表を作っておけば、光吸収層231を剥離せずとも、コントラストの値を予測することが可能である。
【0089】
また、図19(A),(B)において、光吸収層231とゲート電極21のパターンとの2層を同時に透過させた場合、透過強度が0となって評価することができなくなってしまうため、注意が必要である。
【0090】
(変形例2,3)
図20は、変形例2に係る検査工程について説明するための断面図(Z−X断面図)である。また、図21は、変形例3に係る検査工程について説明するための断面図(Z−X断面図)である。これら変形例2,3は、トップゲート構造を有する薄膜トランジスタ(トップゲート型TFT)の製造工程中の評価方法に対応するものである。なお、変形例3は、上記変形例1と同様に、光吸収層231を用いてa−Si膜230に対して間接的に加熱処理を施すようにしたものである。
【0091】
なお、これら変形例2,3においても、光吸収層231とゲート電極21のパターンとの2層を同時に透過させた場合、透過強度が0となって評価することができなくなってしまうため、注意が必要である。
【0092】
(変形例4〜6)
図22は、変形例4〜6に係る半導体薄膜の検査装置(検査装置1A)の全体構成を表すものである。この検査装置1Aでは、照射光Loutの反射光に基づいて、p−Si膜23およびa−Si膜230の反射画像(反射画像データD2)を取得している。また、この反射画像に基づいて、コントラスト(反射コントラスト;p−Si膜23(結晶化領域51)の反射輝度とa−Si膜230(未結晶化領域50)の反射輝度とのコントラスト)を求めている。そして、この求めた反射コントラストに基づいて、p−Si膜23に対する選別を行うようになっている。
【0093】
なお、このような反射コントラストを求める際には、透過コントラストの場合と同様に、前述の(1−1)式,(1−2)式または(1−3)式を用いるようにすればよい。また、LED12を可動ステージ11の上方に配置すると共に、このLED12からの照射光Loutを、図示しないビームスプリッタを介してSi薄膜基板2へ向けて照射するようにしてもよい。
【0094】
この検査装置1Aは、例えば図23に示した変形例4のようにして、直接加熱方式のボトムゲート型TFTの製造工程中の評価に用いられる。また、例えば図24に示した変形例5のようにして、間接加熱方式のボトムゲート型TFTの製造工程中の評価に用いられ、例えば図25に示した変形例6のようにして、間接加熱方式のトップゲート型TFTの製造工程中の評価に用いられる。
【0095】
このようにして、反射コントラストに基づいてp−Si膜23に対する選別を行うようにした場合、上記実施の形態等で説明した透過コントラストを用いた場合と比べ、感度は劣る。ただし、青色光以下の波長領域の光源で評価することにより、下地パターン(ボトムゲートの場合、ゲートパターン)上の結晶性を評価することが可能となる。また、このように反射コントラストに基づいてp−Si膜23に対する選別を行う場合、短波長光源ほど感度を高くすることができる。特に、E1(280nm)やE2(370nm)を用いた場合、照射領域41と未照射領域40との間の反射率の差をより大きくすることができる。
【0096】
なお、これら変形例4〜6においても、光吸収層231とゲート電極のパターンとの2層を同時に透過させた場合、透過強度が0となって評価することができなくなってしまうため、注意が必要である。
【0097】
(その他の変形例および適用例)
以上、実施の形態および変形例をいくつか挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0098】
例えば、上記実施の形態等では、p−Si膜23の透過画像(透過画像データD1)を取得する際に、p−Si膜23およびa−Si膜230へ向けてそれぞれ照射する光(照射光Lout)として、緑色光を用いる場合について説明した。しかしながら、照射光Loutの波長領域は、これには限られない。具体的には、例えば白色光を用いた場合には、光吸収層231を剥離するプロセスなしに、感度良く測定することが可能となる。また、青色光よりも短波長の光を用いた場合には、光吸収層231を剥離した後の感度を高くすることができる。また、パターン上の反射光測定のときに有効となる。なお、取得する際の撮像手段としても、上記実施の形態等で説明した対物レンズ13およびCCDカメラ14には限られず、他の光学系によって構成してもよい。
【0099】
また、上記実施の形態等では、p−Si膜23を形成する際(アニール処理の際)に、半導体レーザ光源を用いてレーザ光L1を照射する場合について説明したが、例えばエキシマレーザ等のガスレーザなど、他の種類のレーザ光源を用いるようにしてもよい。
【0100】
更に、上記実施の形態等では、基板の裏面側からの透過画像を用いた場合について説明したが、例えば、基板の表面側からの透過画像を用いてもよい。その場合、基板は透明基板でなくてもよく、可動ステージ11についても、照射光Loutを透過しないものでもよい。
【0101】
加えて、上記実施の形態等では、照射光Loutの透過光または反射光に基づいて、p−Si膜23およびa−Si膜230の撮像画像(透過画像または反射画像)を取得することにより、コントラスト(透過コントラストまたは反射コントラスト)を求めている。しかしながら、例えば、そのような撮像画像の代わりに、微小領域に照射された光Loutに基づいて分光光度計測を行うことにより、コントラスト(透過コントラストまたは反射コントラスト)を求めるようにしてもよい。このような分光光度計測を用いて評価を行った場合、撮像画像を用いた場合と比べ、精度は劣るが、より高速の評価が可能となる。
【0102】
加えてまた、上記実施の形態等において説明したp−Si膜23は、例えば図26に示したように、液晶表示装置や有機EL表示装置の製造に用いられるボトムゲート型の薄膜トランジスタ(TFT)を有するTFT基板3に適用することができる。具体的には、上記実施の形態等において説明した検査処理を行った後のSi薄膜基板2において、p−Si膜23上に、例えばフォトリソグラフィ法によって、層間絶縁膜251,252、配線26、平坦化膜27および透明導電膜28を、この順に積層形成するようにすればよい。その際、層間絶縁膜251は例えばシリコン窒化物(SiNX)により構成し、層間絶縁膜252は例えばシリコン酸化物(SiO2)により構成する。また、配線26は例えばアルミニウム(Al)により構成し、平坦化膜27は例えばアクリル樹脂等により構成し、透明導電膜28は例えばITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウム錫)により構成する。なお、図26には、ボトムゲート型のTFTを有するTFT基板について示したが、例えばトップゲート型のTFTを有するTFT基板についても、本発明により形成した半導体薄膜を適用することが可能である。また、本発明により形成した半導体薄膜は、このようなTFTの形成に用いられるものには限られず、他の半導体素子に適用してもよい。
【0103】
加えて更に、上記実施の形態等では、非晶質半導体薄膜および結晶質半導体薄膜の一例として、Si薄膜(a−Si膜230、p−Si膜23および微結晶Si膜)を挙げて説明したが、この場合には限られない。すなわち、本発明は、Si薄膜以外の半導体薄膜(例えばSiGe薄膜など、照射領域と未照射領域との階調差が測定可能な全ての半導体薄膜)にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0104】
1,1A…検査装置、11…可動ステージ、12…LED、13…対物レンズ、14…CCDカメラ、15…画像処理用コンピュータ、16…制御用コンピュータ、2…Si薄膜基板、20…透明基板、21…ゲート電極、221,222…ゲート絶縁膜、230…a−Si膜、23…p−Si膜、231…光吸収層、24…ストッパ膜、251,252…層間絶縁膜、26…配線、27…配線、28…透明導電膜、3…TFT基板、30…薄膜トランジスタ(TFT)、40…非照射領域、41…照射領域、50…未結晶化領域、51…結晶化領域、6…基準マーク、6A…基準位置マーク、60,61…コントラスト算出用領域、Lout…照射光、L1…レーザ光、D1…透過画像データ、D2…反射画像データ、S…制御信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、非晶質半導体薄膜および所定の基準マークをそれぞれ形成する工程と、
レーザ光を照射して前記非晶質半導体薄膜に対して選択的に加熱処理を施すことにより、照射領域に対応する非晶質半導体薄膜を結晶化させて要素領域ごとに部分的に結晶質半導体薄膜を形成する工程と、
前記結晶質半導体薄膜の結晶化度を検査する検査工程と
を含み、
前記検査工程は、
前記結晶質半導体薄膜および前記非晶質半導体薄膜へ向けて光をそれぞれ照射すると共に、前記基準マークを用いることにより、結晶化領域内および未結晶化領域内における所定の部分領域をそれぞれ特定し、それらの部分領域を用いて前記結晶化領域の輝度と前記未結晶化領域の輝度とのコントラストを求める工程と、
求めたコントラストに基づいて、前記結晶質半導体薄膜に対する選別を行う選別工程と
を含む
半導体薄膜の形成方法。
【請求項2】
前記基準マークは、前記部分領域を特定する際の基準位置を示すマークを含む
請求項1に記載の半導体薄膜の形成方法。
【請求項3】
前記基準マークは、基板面内の位置を示すマーク、および前記レーザ光を照射する際の走査方向を示すマーク、のうちの少なくとも一方を含む
請求項1または請求項2に記載の半導体薄膜の形成方法。
【請求項4】
前記基準マークを、前記非晶質半導体薄膜よりも下層に形成しておく
請求項1または請求項2に記載の半導体薄膜の形成方法。
【請求項5】
前記基準マークを、金属層内に形成しておく
請求項4に記載の半導体薄膜の形成方法。
【請求項6】
前記選別工程において、求めたコントラストと、前記コントラストを求める工程における光の照射強度と、前記結晶質半導体薄膜において得られる電気特性との相関関係を用いて、前記結晶質半導体薄膜に対する選別を行う
請求項1または請求項2に記載の半導体薄膜の形成方法。
【請求項7】
前記コントラストを求める工程において、照射された光に基づいて前記結晶質半導体薄膜および前記非晶質半導体薄膜の撮像画像を取得すると共に、この撮像画像を用いて前記コントラストを求める
請求項1または請求項2に記載の半導体薄膜の形成方法。
【請求項8】
照射された光の透過光に基づいて前記結晶質半導体薄膜および前記非晶質半導体薄膜の透過画像を取得すると共に、この透過画像を用いて前記コントラストを求める
請求項7に記載の半導体薄膜の形成方法。
【請求項9】
照射された光の反射光に基づいて前記結晶質半導体薄膜および前記非晶質半導体薄膜の反射画像を取得すると共に、この反射画像を用いて前記コントラストを求める
請求項7に記載の半導体薄膜の形成方法。
【請求項10】
前記結晶質半導体薄膜が、TFT(薄膜トランジスタ)の形成に用いられるものであり、
前記基準マークを、前記TFTにおけるゲート電極層内に形成しておく
請求項1または請求項2に記載の半導体薄膜の形成方法。
【請求項11】
前記結晶質半導体薄膜および前記非晶質半導体薄膜が、Si(シリコン)薄膜である
請求項1または請求項2に記載の半導体薄膜の形成方法。
【請求項12】
前記結晶質半導体薄膜が、多結晶Si薄膜または微結晶Si薄膜である
請求項11に記載の半導体薄膜の形成方法。
【請求項13】
所定の基準マークが形成されていると共に、レーザ光を照射して非晶質半導体薄膜に対して選択的に加熱処理を施すことにより照射領域が結晶化され、要素領域ごとに部分的に結晶質半導体薄膜が形成されている基板を搭載するステージと、
前記結晶質半導体薄膜および前記非晶質半導体薄膜へ向けて光をそれぞれ照射する光源と、
前記光源から発せられた光に基づいて、結晶化領域の輝度と未結晶化領域の輝度とのコントラストを求める導出部と、
前記導出部により求められたコントラストに基づいて、前記結晶質半導体薄膜に対する選別を行う選別部と
を備え、
前記導出部は、前記基準マークを用いることにより、前記結晶化領域内および前記未結晶化領域内における所定の部分領域をそれぞれ特定し、それらの部分領域を用いて前記コントラストを求める
半導体薄膜の検査装置。
【請求項14】
前記ステージ上に搭載された基板に対して前記光源および前記導出部の光学系を相対的に変位させるための制御を行う制御部を備えた
請求項13に記載の半導体薄膜の検査装置。
【請求項15】
未結晶化領域を構成する非晶質半導体薄膜と、
レーザ光の照射による選択的な加熱処理により形成された結晶化領域を構成する結晶質半導体薄膜と、
前記結晶化領域の輝度と前記未結晶化領域の輝度とのコントラストを求める際の部分領域を特定するための所定の基準マークと
を備えた半導体薄膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−66084(P2011−66084A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213580(P2009−213580)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】