説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】吸湿性の高い絶縁膜を使用してもコンタクト又は配線の劣化を抑制することができる半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、基板10上に第1の絶縁膜15を形成する工程(a)と、第1の絶縁膜15にホール24を形成する工程(b)と、ホール24の側壁上に、第1の絶縁膜15よりも水分を通しにくい第2の絶縁膜17を形成する工程(c)と、工程(c)の後、ホール24に導電体30を埋め込むことにより、プラグ19を形成する工程(d)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の技術は、層間絶縁膜を備えた半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路装置(以下、半導体装置という)において、集積度の向上および電気特性向上のため、デザインルールの縮小が行われている。そのため、半導体基板上の一部の領域では、ゲート電極間の間隔が数十nm程度まで狭くなっている。また、近年の半導体装置では、多層配線構造が採用され、各配線層間に層間絶縁膜が配置されている。
【0003】
上記のような半導体装置は、例えば、特許文献1、特許文献2に記載されている。特許文献1においては、半導体基板上に形成されたBoron Phosphorus Silicon Glass(BPSG)膜表面に耐透水性の良い絶縁膜を形成し、その上に配線を形成する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2においては、埋め込み特性の良い絶縁膜の例としてHigh Aspect Ratio Process(HARP)誘電層が開示されている。HARP誘電層は、オゾンとTEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)の流量比を変化させることで形成された、吸湿性の高い絶縁膜である。このことは、非特許文献1にも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−51108号公報
【特許文献2】特開2008−182199号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】H.Liu,et al., Proc.of AMC2006 ,p.94
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、半導体装置の微細化に伴い、ゲート部(ゲート絶縁膜と、ゲート電極と、ゲート電極の側面上に形成された絶縁性サイドウォールとを合わせた部分)間の間隔が狭くなるために、ゲート部間の埋め込み特性が良い絶縁膜を選択する必要が生じる。しかし、このような絶縁膜は吸湿性が高いために、絶縁膜中に水分を多く含むことがある。そのため、後の工程で、当該絶縁膜中にコンタクトプラグを形成し、コンタクトプラグ上に配線を形成すると、当該絶縁膜中の水がコンタクトプラグ又は配線に拡散し、コンタクトプラグ又は配線が腐食する場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、吸湿性の高い絶縁膜を使用してもコンタクトプラグ又は配線の劣化を抑制することができる半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態の一例に係る半導体装置の製造方法は、基板上に第1の絶縁膜を形成する工程(a)と、前記第1の絶縁膜にホールを形成する工程(b)と、前記ホールの側壁上に、前記第1の絶縁膜よりも水分を通しにくい第2の絶縁膜を形成する工程(c)と、前記工程(c)の後、前記ホールに導電体を埋め込むことにより、プラグを形成する工程(d)とを備えている。
【0010】
この方法によれば、ホールの側壁上に水分を通しにくい第2の絶縁膜を形成しているので、第1の絶縁膜に含まれる水分がプラグや後に形成する上層配線に移動するのを抑えることができるので、プラグや配線が腐食するのを抑えることができる。このため、信頼性の向上した半導体装置を製造することが可能となる。
【0011】
また、本発明の実施形態の一例に係る半導体装置は、基板と、前記基板上に形成された第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜に形成されたホールと、前記ホールの側壁上に形成され、前記第1の絶縁膜よりも水分を通しにくい第2の絶縁膜と、前記第2の絶縁膜上に形成され、前記ホールを埋める導電体からなるプラグとを備えている。
【0012】
この構成によれば、プラグと第1の絶縁膜との間に第2の絶縁膜が設けられているので、第1の絶縁膜中の水分がプラグや配線に移動するのを抑えることができ、腐食の発生が抑えられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法によれば、プラグと第1の絶縁膜との間に第2の絶縁膜が設けられていることにより、第1の絶縁膜中の水分がプラグや配線に移動するのが抑えられ、腐食の発生を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【図2】(a)〜(e)は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図4】(a)、(b)は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図5】吸湿性絶縁膜であるO3−TEOS膜と、非吸湿性絶縁膜であるプラズマTEOS膜の埋め込み特性を示す図である。
【図6】従来のコンタクトプラグを有する半導体装置と本発明の実施形態に係る半導体装置とにおけるコンタクトプラグに接続された配線の電気的信頼性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る各実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各実施形態で使用している材料および数値などは例示であって、それらに本発明が限定されることはない。また、本発明の技術思想の範囲を逸脱しない範囲で、実施形態の構成を適宜変更することは可能である。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。図1に示すように、本実施形態の半導体装置は、例えばシリコン単結晶からなる半導体基板10上に薄いゲート絶縁膜11を介して設けられたゲート電極12を備える。各ゲート電極12の側面上には、シリコン窒化物やシリコン酸化物等の絶縁体からなるサイドウォールスペーサ13が設けられている。このように、半導体基板10上には、ゲート絶縁膜11、ゲート電極12、及びサイドウォールスペーサ13で構成されたゲート部が形成されている。ここでは、ゲート部間距離14が約10nm〜約30nm程度になっている。
【0017】
また、ゲート部のうちゲート電極12及びサイドウォールスペーサ13は、層間絶縁膜23によって被覆されている。本実施形態では、層間絶縁膜23は、吸湿性絶縁膜15と吸湿性絶縁膜よりも吸湿性の低い絶縁膜16との積層膜で構成されていることが好ましい。吸湿性絶縁膜15は絶縁膜16よりも水分を吸収しやすく、且つ水分を通しやすい。
【0018】
吸湿性絶縁膜15は、例えばO3−TEOS膜などの材料からなることが好ましく、絶縁膜16は、プラズマTEOS膜などの材料からなることが好ましい。この場合、吸湿性絶縁膜15には、O3(オゾン)とTetra Ethyl Ortho Silicate(TEOS)とを原料として、減圧化学気相堆積プロセス(SACVD法)により形成される、O3−TEOS膜が使用されることが好ましい。
【0019】
特に堆積の初期の過程でO3とTEOSを供給する際に、O3の流量比を高めることにより、低いレートでコンフォーマルな薄膜を半導体基板10の上面上に堆積し、その後TEOSの流量比を増加させるプロセスを行えば、ゲート電極間に埋め込まれる絶縁膜の埋め込み特性が向上するので好ましい。
【0020】
また、絶縁膜16は、TEOSを原料としたプラズマCVD法により形成されるプラズマTEOS膜で構成されることが好ましい。吸湿性絶縁膜15は、ゲート電極12の直上に設けられている。本実施形態の半導体装置では、吸湿性絶縁膜15のうち、半導体基板10の上面上に設けられた部分の膜厚よりも、ゲート電極12上に設けられた部分の膜厚の方が薄くなる状態で吸湿性絶縁膜15が設けられることがある。
【0021】
そして、当該吸湿性絶縁膜15上に、絶縁膜16が設けられている。絶縁膜16の上面は全面にわたって平坦化されており、当該上面上に、上層の配線22や上層の層間絶縁膜等が形成される。
【0022】
また、層間絶縁膜23には、層間絶縁膜23を貫通し、上層の配線22から半導体基板10のうちゲート電極12間の領域まで達するコンタクトホール24が形成されており、コンタクトホール24の側壁上には絶縁膜17が設けられている。この絶縁膜17は絶縁膜16と同様に、吸湿性絶縁膜15に比べて吸湿性が低く、且つ水分を通しにくい。
【0023】
また、コンタクトホール24内には、上層の配線22と半導体基板10とを電気的に接続するためのコンタクトプラグ19が埋め込まれている。コンタクトプラグ19は、コンタクトホール24の底面上と、絶縁膜17を間に挟んでコンタクトホール24の側壁上とに設けられたバリアメタル18と、バリアメタル18上に設けられ、コンタクトホール24を埋め込む導電体30とで構成されている。当該導電体30は例えばWや銅(Cu)等の金属からなる。配線22はCuなどの金属で構成されている。
【0024】
図1では、3本のゲート電極12のうち、中央のゲート電極12と右側のゲート電極12との間の半導体基板10に電気的に接続するコンタクトプラグ19のみを示している。また、4本の配線22のうち、1本の配線22のみがコンタクトプラグ19に接触している例を示している。また、図1の例では、1本の配線22はコンタクトプラグ19aに接触している。コンタクトホール24aの側壁上には吸湿性絶縁膜15よりも水分を通しにくい絶縁膜17aが形成され、コンタクトプラグ19aは絶縁膜17a上に形成されたバリアメタル18aとコンタクトホール24aを埋める導電体30aとで構成されている。なお、配線22間には、層間絶縁膜21が形成されている。
【0025】
ここで、図5は、吸湿性絶縁膜であるO3−TEOS膜と、非吸湿性絶縁膜であるプラズマTEOS膜の埋め込み特性を示す図である。O3−TEOS膜は、堆積の初期の過程でO3の流量を多くし、徐々にTEOS流量を高める方法で形成したものを用いた。また、「埋め込み特性」とは、絶縁膜を堆積したときに、ゲート電極のような配線パターン間にボイドを発生することなく埋め込むことができる最小のパターン間隔を指す。なお、図5は、図1のゲート電極12の高さが約100nmである場合のデータを示している。
【0026】
図5から、O3−TEOS膜は、プラズマTEOS膜より埋め込み特性が優れ、ゲート部間距離14が約20nm以下の場合にも、良好な埋め込みができることが理解できる。このように、吸湿性絶縁膜15は、絶縁膜16、17よりも埋め込み特性がよいことが多いので、ゲート電極間にボイドを生じることなく確実に埋め込まれ、ゲート電極間を確実に絶縁することができる。
【0027】
また、本実施形態の半導体装置では、層間絶縁膜23を、上述の吸湿性絶縁膜15と絶縁膜16とを順に堆積した積層膜構成とすることで、吸湿性絶縁膜15の吸湿を防止している。さらに、半導体装置を形成する過程で吸湿性絶縁膜15が吸湿した場合でも、上層の配線22と吸湿性絶縁膜15とが直接接触しないために吸湿性絶縁膜15に吸湿した水により配線22の電気特性、信頼性が劣化するのが抑えられている。
【0028】
図6は、従来のコンタクトプラグを有する半導体装置と本実施形態に係る半導体装置とにおけるコンタクトプラグに接続された配線の電気的信頼性を示す図である。横軸は測定開始からの経過時間を示し、縦軸は欠陥が生じたサンプルの累積不良率(%)を示す。
【0029】
図6に点線で示すように、従来構造では、比較的短時間で不良に至っている。これに対し、本実施形態に係る構成では、図6に実線で示すように、従来構造に比較して長寿命化している。
【0030】
従来構造では、コンタクトホールの側壁を経由して層間絶縁膜中の水分がコンタクトプラグと接触する配線に到達する事で配線が腐蝕したと考えられる。これに対し、本実施形態のプラグ構造によれば、層間絶縁膜中の水分は絶縁膜16、17によって直接コンタクトプラグ19及び配線22に到達しないので配線22の腐蝕は発生せず、半導体装置を長寿命とすることが出来る。
【0031】
なお、本実施形態の半導体装置においては、吸湿性の低い絶縁膜16を設けず、絶縁膜17のみ設けた場合でも、プラグの腐食を従来の半導体装置に比べて大きく抑えることができる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の構成によれば、ゲート部間の間隔が短くなった場合でも良好にゲート部間を埋め込むことができるとともに、配線の信頼性を劣化させる水分がコンタクトプラグを介して上層の配線22に到達する事を抑えることが出来る。そのため、吸湿性絶縁膜を含む層間絶縁膜にコンタクトプラグ19を形成する場合に、コンタクトプラグ19に電気的に接続された配線22の腐蝕を抑制し、信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
【0033】
続いて、上述の構造を実現することができる半導体装置の製造方法について説明する。図2(a)〜(e)、図3(a)〜(c)、及び図4(a)、(b)は、本実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【0034】
まず、図2(a)に示すように、本実施形態の半導体装置の製造方法では、最初に、複数(ここでは3本)のゲート電極12及びゲート絶縁膜11をシリコン単結晶基板からなる半導体基板10上に形成した後、ゲート電極12の側面上にサイドウォールスペーサ13を形成する。
【0035】
当該工程では、まず、半導体基板10上にゲート絶縁膜11を形成する。ゲート絶縁膜11は例えばシリコン酸化膜であり、熱酸化法等により形成される。なお、半導体基板10にはゲート絶縁膜11の形成前に、必要に応じてShallow Trench Isolation(STI)等の素子分離を形成しておく。次いで、半導体基板10上に、ゲート絶縁膜11を間に挟んで、CVD法によりN型あるいはP型の多結晶シリコン膜を形成する。
【0036】
続いて、当該多結晶シリコン膜及びゲート絶縁膜11に、公知のリソグラフィ技術およびエッチング技術を適用することにより、所定の形状のゲート絶縁膜11及びゲート電極12を形成する。ここでは、ゲート電極12の高さは例えば約100nmである。また、ゲート電極の幅(ゲート長)は約50nm以下であることが好ましく、約30nm以下の超微細半導体装置において、本発明の効果はより発揮される。なぜなら、微細化に対応して、コンタクトホールに形成される導電体部分の径が小さくなるため、コンタクトプラグの腐食の影響が大きくなるからである。
【0037】
次いで、ゲート電極12が形成された半導体基板10上に、シリコン窒化膜やシリコン酸化膜、あるいはそれらの積層膜等からなる絶縁膜をCVD法等により形成する。その後、当該絶縁膜に対して異方性エッチングを施すことにより、ゲート電極12の側面上に絶縁膜からなるサイドウォールスペーサ13を形成する。上述のように、ゲート部間距離14は、10nm〜90nm程度になっており、10nm〜30nm程度であればより好ましい。また、図示を省略しているが、半導体基板10の表面部には、ゲート電極12とサイドウォールスペーサ13とをマスクとして半導体基板10に不純物を導入することにより、不純物濃度が5×1019/cm3〜5×1020/cm3程度の不純物領域を形成する。当該不純物領域は、ゲート電極12を構成要素とするトランジスタのソース領域やドレイン領域として機能する。なお、半導体基板10に導入する不純物は、半導体基板10の導電型に応じてN型またはP型の不純物を適宜選択することができる。このような不純物領域は、半導体基板10のうちゲート電極間に位置する領域にも形成されている。なお、ゲート部間距離14は約90nm以下であることが好ましい。
【0038】
本実施形態では、さらに、公知のサリサイドプロセスにより、ゲート電極12の上面上とソース領域上およびドレイン領域上に、ニッケルシリサイド層(図示せず)を形成する。なお、当該ニッケルシリサイド層は、必ずしも形成される必要はなく、ゲート電極12を構成する多結晶シリコンの上面、およびソース領域、ドレイン領域を構成する不純物領域(単結晶シリコン)が露出した状態であってもよい。
【0039】
次いで、図2(b)に示すように、半導体基板10上に、ゲート電極12およびサイドウォールスペーサ13を被覆する吸湿性絶縁膜15を形成する。本実施形態では、吸湿性絶縁膜15として、O3及びTEOSを用いたCVD法等によりO3−TEOS膜を形成する。この際に、堆積過程の初期にはO3の流量比を大きくし、その後TEOSの流量比を大きくする。これにより、上述のように、ゲート部間距離14が約10nm〜90nm程度と狭い場合でも、ボイド等の欠陥の発生を抑えつつ、ゲート電極間の隙間を完全に埋め込むことができる。ここでは、半導体基板10の平坦面でのO3−TEOS膜の膜厚がゲート電極12と同等の高さとなるように吸湿性絶縁膜15を約120nm程度堆積する。
【0040】
本実施形態の方法においては、吸湿性絶縁膜15の形成後、基板10を熱処理して吸湿性絶縁膜15に含まれる水分を脱離させてもよい。なお、後の工程で説明する図2(c)に示す絶縁膜16形成前に基板10を熱処理することが好ましい。より具体的には、水分脱離後に長時間放置すると再度吸湿性絶縁膜15が吸湿するので、絶縁膜16を成膜するCVD装置に付属するチャンバー内で脱水した後、大気に開放することなく、絶縁膜16を成膜することが好ましい。
【0041】
続いて、図2(c)に示すように、吸湿性絶縁膜15上に絶縁膜16を形成する。ここでは、絶縁膜16として、プラズマTEOS膜を堆積する。プラズマTEOS膜は、例えば、O2ガスとTEOSを原料としたプラズマCVD法により堆積することができる。成膜時の基板温度は例えば300℃〜450℃である。本実施形態では、半導体基板10の平坦面(凹凸の影響を受けずに平坦な膜を堆積できる面)でのプラズマTEOS膜の膜厚を約350nmにしている。
【0042】
その後、図2(d)に示すように、絶縁膜16の表面を平坦化する。本実施形態では、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing(CMP))法により平坦化を行い、絶縁膜16を厚さにして約150nm程度研磨する。なお、当該平坦化は、CMP法に代えて、ドライエッチングによるエッチバックにより実施することもできる。
【0043】
その後、図2(e)に示すように、吸湿性絶縁膜15及び絶縁膜16を貫通するコンタクトホール24、24aを形成する。ここでは、3本のゲート電極のうち、図中において右側のゲート電極12と中央のゲート電極12との間の半導体基板10に達するコンタクトホール24と、左端のゲート電極12に達するコンタクトホール24aとを図示している。
【0044】
コンタクトホール24、24aは、例えば、絶縁膜16上に、コンタクトホール24の形成位置に開口部を有するマスクパターン(例えば、レジストパターン)を形成し、当該マスクパターンを通じて絶縁膜16および吸湿性絶縁膜15をドライエッチングすることにより形成することができる。なお、本実施形態では、コンタクトホール24の直径は約90nm以下になっている。コンタクトホール24、24aの径はゲート電極12の幅よりも広くてもよいし、ゲート電極12幅と同じでもよい。コンタクトホール24、24aの径は、互いに隣接するゲート電極12間の距離(あるいはゲート部間の距離)と同程度であってもよいし、ゲート電極12間の距離(あるいはゲート部間の距離)よりも大きくてもよい。サイドウォールスペーサ13の一部がコンタクトホール24形成時にエッチングされても問題はない。なお、ゲート部間の距離は一定である必要はなく、一部のゲート部間の距離がコンタクトホール24の径と同程度であり、他の一部のゲート部間の距離がコンタクトホール24、24aの径より大きくてもよい。
【0045】
次に、上記マスクパターンをアッシング等により除去した後、図3(a)に示すように、コンタクトホール24、24a内及び絶縁膜16の上面上に高密度プラズマ(High Density Plasma(HDP))を使用してシリコン酸化膜(SiO2)からなる絶縁膜17を堆積する。ここでは、コンタクトホール24の側壁及び底部に沿うように絶縁膜17をコンフォーマルに堆積する。HDP法により膜厚約10nmのSiO2が、例えば200〜250℃の処理温度で堆積される。
【0046】
なお、絶縁膜17の膜厚は構成材料、プロセスの微細化の程度によって異なり、例えば2nm以上20nm以下の範囲内であることが好ましい。2nm未満では防湿の効果が少なく、吸湿性絶縁膜15中の水分がコンタクトプラグに拡散するおそれがある。また、20nmを越えると防湿の効果は高まるが、絶縁膜17のうち微細なコンタクトホール24の底に形成された部分をエッチングで除去して、絶縁膜17をホール側壁にのみ残すことが困難である。なお、本工程では、絶縁膜17としては、HDP−SiO2膜以外にプラズマCVD−TEOS膜、プラズマCVD−SiN膜、プラズマCVD−SiCN膜なども使用することが出来る。なお、絶縁膜17の一部はサイドウォールスペーサ13に接触していてもよい。
【0047】
次に、図3(b)に示すように、絶縁膜17のうち絶縁膜16の上面上に形成された部分と、コンタクトホール24、24aの底部上に形成された部分とを、異方性ドライエッチングによって除去する。これにより、コンタクトホール24の側壁上に絶縁膜17を、コンタクトホール24aの側壁上に絶縁膜17aをそれぞれ残す。エッチング後の膜厚は例えば約9nmになっている。また側壁に絶縁膜17が存在するためホールの開口径は、元々のコンタクトホール24の開口径を約90nmであると仮定すると、約70nmとなる。
【0048】
その後、図3(c)に示すように、絶縁膜16の上側及びコンタクトホール24、24a内にバリアメタル18を形成した後、コンタクトホール24、24aを導電体30で埋め込む。ここでは、バリアメタル18としてチタン(Ti)及び窒化チタン(TiN)を用い、導電体としてタングステン(W)を順に堆積する。例えば、Physical Vapor Deposition(PVD)法により、膜厚約10nmのTiを、例えば200〜250℃の処理温度で堆積する。また、CVD法により、膜厚約5nmのTiNを、例えば200〜300℃の処理温度で堆積する。また、CVD法により、膜厚約200nmのWを、例えば200〜400℃の処理温度で堆積する。
【0049】
その後、図4(a)に示すように、バリアメタル18及び導電体30のうちコンタクトホール24の外部に形成された部分をCMP等で除去する。また、絶縁膜16の上面が露出後も研磨を続けて絶縁膜16を約50nm程度除去する。これにより、バリアメタル18と導電体30とで構成されたコンタクトプラグ19と、バリアメタル18aと導電体30aとで構成されたコンタクトプラグ19aとを形成できる。
【0050】
次に、図4(b)に示すように、絶縁膜16の上面上に、層間絶縁膜21を形成後、層間絶縁膜21内に上層の配線22を公知の方法により形成する。これにより、本実施形態の半導体装置が完成する。ここでは、4本の配線22のうち、図中において右から2番目の配線が、ゲート電極12と中央のゲート電極12との間の半導体基板10に電気的に接続するコンタクトに電気的に接続する場合を示している。本実施形態の製造方法によればコンタクトホール24の側壁上にのみ絶縁膜17が存在し、コンタクトホール24の底面上及び絶縁膜16の上面上に絶縁膜17は存在しない。
【0051】
以上の工程により形成された半導体装置では、配線22の信頼性を劣化させる水がコンタクトプラグ19、19aを介して上層の配線22に到達するのを防ぐことが出来る。そのため、吸湿性絶縁膜15を含む層間絶縁膜23にコンタクトプラグ19、19aを形成する場合に、コンタクトプラグ19、19aと電気的に接続する配線22の腐蝕を抑制し、配線の信頼性を確保することができる。
【0052】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、種々の変形および応用が可能である。例えば、以上では、半導体基板の上面上に形成されたゲート電極同士の狭い隙間にコンタクトを形成する事例について説明したが、本発明は、半導体基板上に複数の突部が形成され、当該突部間にコンタクトプラグを形成する場合でも同様の効果を得ることができる。また、当該突部は、半導体基板の直上に形成された突部に限らず、層間絶縁膜上に形成された突部であってもよい。
【0053】
また、以上ではコンタクトホール24の側壁に絶縁膜17を形成する例を説明したが、配線と配線を接続する(ビア)プラグを形成するための(ビア)ホールの側壁に絶縁膜17を形成してもよい。
【0054】
また、ゲート電極、サイドウォール、吸湿性絶縁膜、および非吸湿性絶縁膜の材質は、上述の材質に限定されるものではなく適宜変更可能である。また、半導体基板表面やゲート電極表面に必要に応じて設けられる高融点金属シリサイドも、ニッケルシリサイドに限定されるものではなく、他の高融点金属シリサイドであってもよい。さらに、上記実施形態において説明したプロセスは、公知の等価なプロセスに置換可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、狭ピッチのゲート電極を有する場合であっても配線の腐蝕を抑え、信頼性の劣化を抑制できるので、種々の電子機器に有用である。
【符号の説明】
【0056】
10 半導体基板
11 ゲート絶縁膜
12 ゲート電極
13 サイドウォールスペーサ
14 ゲート部間距離
15 吸湿性絶縁膜
16、17 絶縁膜
18 バリアメタル
19 コンタクトプラグ
21、23 層間絶縁膜
22 配線
24 コンタクトホール
30 導電体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に第1の絶縁膜を形成する工程(a)と、
前記第1の絶縁膜にホールを形成する工程(b)と、
前記ホールの側壁上に、前記第1の絶縁膜よりも水分を通しにくい第2の絶縁膜を形成する工程(c)と、
前記工程(c)の後、前記ホールに導電体を埋め込むことにより、プラグを形成する工程(d)とを備えている半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)において形成される前記第1の絶縁膜には、水が含有されている半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(c)では、前記ホールの底部及び側壁に沿うように、前記第2の絶縁膜を形成した後に、前記第2の絶縁膜のうち前記ホールの底部に形成された部分を除去することにより、前記ホールの側壁上に前記第2の絶縁膜を形成する半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)の後、前記工程(b)の前に、前記第1の絶縁膜の上に前記第1の絶縁膜よりも水分を通しにくい第3の絶縁膜を形成する工程をさらに備え、
前記工程(b)では、前記ホールが前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜を貫通するように形成されている半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)では、第1のゲート絶縁膜を間に挟んで前記基板上に形成された第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極の側面上に形成された第1のサイドウォールスペーサとをそれぞれ含む複数の第1のゲート部が形成されており、前記第1の絶縁膜は少なくとも前記第1のゲート部間の隙間を埋め込むように形成される半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
前記プラグと電気的に接続する配線を形成する工程(e)をさらに備えている半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜は、前記第3の絶縁膜に比べて前記第1のゲート部間での埋め込み性が優れている半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項5または7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(b)で形成される前記ホールの径は前記ゲート電極の幅よりも広く、前記工程(b)で形成される前記第2の絶縁膜の一部は、前記第1のサイドウォールスペーサと接触している半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項5、7、8のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
前記ホールの径は、互いに隣接する前記第1のゲート部間の幅と同程度であり、前記第2の絶縁膜の一部は、前記第1のサイドウォールスペーサと接触している半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項5、7〜9のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)では、第2のゲート絶縁膜を間に挟んで前記基板上に形成された第2のゲート電極と、前記第2のゲート電極の側面上に形成された第2のサイドウォールスペーサとをそれぞれ含む複数の第2のゲート部が形成されており、前記第1の絶縁膜は少なくとも前記第2のゲート部間の隙間を埋め込むように形成され、
互いに隣接する前記第2のゲート部間の距離は互いに隣接する前記第1のゲート部間の距離よりも狭く、
前記ホールの径は、互いに隣接する前記第2のゲート部間の幅よりも広く、
前記工程(b)において、前記ホールを形成する際には、前記第2のサイドウォールスペーサの一部がエッチングされ、
前記工程(c)で形成される前記第2の絶縁膜の一部は、前記第2のサイドウォールスペーサと接触している半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項5、7〜10のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
互いに隣接する前記第1のゲート部間の距離は90nm以下である半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜11のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)の後、前記工程(b)の前に、前記基板を熱処理して前記第1の絶縁膜に含まれる水分を脱離させる工程をさらに備えている半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜12のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の絶縁膜の膜厚は2nm以上20nm以下の範囲にある半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜13のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)で形成される前記第1の絶縁膜は、O3とTEOSを用いたCVD法により形成されたO3−TEOSであり、
前記工程(c)で形成される前記第2の絶縁膜は、プラズマCVD法により形成された絶縁膜である半導体装置の製造方法。
【請求項15】
基板と、
前記基板上に形成された第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜に形成されたホールと、
前記ホールの側壁上に形成され、前記第1の絶縁膜よりも水分を通しにくい第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜上に形成され、前記ホールを埋める導電体からなるプラグとを備えている半導体装置。
【請求項16】
請求項15に記載の半導体装置において、
前記第1の絶縁膜の上に形成され、前記第1の絶縁膜よりも水分を通しにくい第3の絶縁膜をさらに備え、
前記ホールは前記第1の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜を貫通している半導体装置。
【請求項17】
請求項16に記載の半導体装置において、
前記基板上にゲート絶縁膜を挟んで設けられたゲート電極と、前記ゲート電極の側面上に形成されたサイドウォールスペーサとを有するゲート部をさらに備えている半導体装置。
【請求項18】
請求項17に記載の半導体装置において、
前記第1の絶縁膜は前記第3の絶縁膜に比べて前記ゲート部間での埋め込み性が優れている半導体装置。
【請求項19】
請求項17または18に記載の半導体装置において、
前記ホールの径は前記ゲート電極の幅よりも広く、前記第2の絶縁膜の一部は、前記サイドウォールスペーサと接触している半導体装置。
【請求項20】
請求項17〜19のうちいずれか1つに記載の半導体装置において、
前記ホールの径は、互いに隣接する前記ゲート部間の幅と同程度であり、前記第2の絶縁膜の一部は、前記サイドウォールスペーサと接触している半導体装置。
【請求項21】
請求項17〜19のうちいずれか1つに記載の半導体装置において、
前記ホールの径は、互いに隣接する前記ゲート部間の幅よりも広く、前記ホールは、前記サイドウォールスペーサの一部を露出させており、前記第2の絶縁膜の一部は、前記サイドウォールスペーサと接触している半導体装置。
【請求項22】
請求項17〜21のうちいずれか1つに記載の半導体装置において、
互いに隣接する前記ゲート部間の距離は90nm以下である半導体装置。
【請求項23】
請求項15〜22のうちいずれか1つに記載の半導体装置において、
前記第2の絶縁膜の膜厚は2nm以上20nm以下の範囲内にある半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−228578(P2011−228578A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98725(P2010−98725)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】