説明

半導体装置の製造方法及び半導体装置

【課題】ダマシン配線に含まれる不純物の濃度を低下させて、配線中の欠陥を低減させる事が可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】ウェハW上の層間絶縁膜1に幅が0.3μm以下の細幅配線溝1a及び幅が0.3μmを超える太幅配線溝1bを形成する。層間絶縁膜1上にバリアメタル膜2及びシード膜3を形成する。その後、細幅配線溝1a全体に埋め込まれ、かつ太幅配線溝1bの一部に埋め込まれるように膜4を電解めっき法により形成する。太幅配線溝1bの他の部分に埋め込まれるように膜4よりも不純物濃度が低い膜5をスパッタ法により形成する。熱処理により膜4中の不純物を膜5中に拡散して、配線膜6を形成する。最後に層間絶縁膜1上の不要なバリアメタル膜2及び配線膜6を除去し、細幅配線と太幅配線を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の配線としては、配線抵抗の低減、配線不良の原因となるエレクトロマイグレーション(EM)及びストレスマイグレーション(SM)等のマイグレーションの耐性の向上のために、Alの代わりにCuが用いられている。
【0003】
Cuは、AlのようなRIE(反応性イオンエッチング)による加工が困難である。このため、Cuで配線を形成するには、絶縁膜の表面に予め溝やホールを形成しておき、溝やホールにCuが埋め込まれるように絶縁膜上にCu膜を形成し、その後CMP(化学的機械的研磨)により不要なCu膜を除去して配線を形成するダマシン法が用いられている。
【0004】
ダマシン法におけるCu膜の形成方法としては、ボトムアップ成膜が可能なめっき法が用いられている。ここで、めっき液には、アクセレーター、サプレッサー、及びレベラーといった3種類の添加剤が所定量混入されており、この添加剤の効果によりボトムアップ成膜を実現している。また、めっき法とスパッタ法とを併用してCu膜を形成する方法が知られている(特許文献1参照)。特許文献1ではスパッタ膜中に存在する異種元素を熱処理によりめっき膜に拡散をさせることが記載されている。
【0005】
しかしながら、めっき液に添加剤を混入すると、Cu膜内に不純物が混入してしまう。この問題は成膜速度と関連があり、ボトムアップ成膜が顕著な細幅配線溝よりも、ボトムアップ成膜が起こり難い太幅配線溝の方が不純物が多く混入する。
【0006】
太幅配線溝内の不純物は欠陥を発生させる要因となるので、低減させる対策が望まれる。なお、特許文献1には、めっき液に含まれる添加剤がめっき膜に混入して不純物となり、この不純物が太幅配線溝内における欠陥の形成要因となることは記載されていない。また、特許文献1には、スパッタ膜の不純物濃度がめっき膜の不純物濃度よりも低いことは記載されていない。
【特許文献1】特開2004−40022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。即ち、凹部内の配線に含まれる不純物の濃度を低下させて、凹部内の配線中の欠陥を低減させることが可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。また、太幅配線中の欠陥を低減させたことにより配線の信頼性が向上した半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の態様によれば、表面に形成された凹部を有する基板上に前記凹部の少なくとも一部に埋め込まれるようにめっき法により第1の金属膜を形成する工程と、前記第1の金属膜上に前記めっき法とは異なる成膜方法により、前記第1の金属膜と同一の金属を主成分とし、不純物の濃度が前記第1の金属膜の不純物の濃度より低い第2の金属膜を形成する工程と、前記第1及び第2の金属膜に熱処理を施す工程と、前記熱処理を施した後に、前記凹部に埋め込まれた部分以外の第1及び第2の金属膜を除去する工程とを具備することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、表面に形成された凹部を有する基板をめっき液槽内のめっき液に浸漬し、かつ前記めっき液槽内に15L/min以上の供給速度でめっき液を供給するとともに前記基板を50rpm以下の回転数で回転させて、めっき法により前記凹部の少なくとも一部に埋め込まれるように前記基板上に金属膜を形成する工程と、前記凹部に埋め込まれた部分以外の金属膜を除去する工程とを具備することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、基板と、前記基板上に形成され、同一面に第1の凹部及び第2の凹部を有する絶縁膜と、前記第1の凹部に埋め込まれ、線幅が0.3μm以下の第1の配線と、前記第2の凹部に埋め込まれ、線幅が0.3μmを超え、不純物濃度が前記第1の配線内の不純物の濃度よりも低い第2の配線とを具備することを特徴とする半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一の態様及び他の態様の半導体装置の製造方法によれば、凹部内の配線に含まれる不純物の濃度を低下させることができ、凹部内の配線中の欠陥を低減させることができる。また、本発明の他の態様による半導体装置によれば、太幅配線中に存在する欠陥が低減しているので、配線の信頼性が向上した半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
以下、第1の実施の形態について説明する。図1は本実施の形態に係る半導体装置の製造プロセスの流れを示したフローチャートであり、図2(a)〜図4(b)は本実施の形態に係る半導体装置の模式的な製造プロセス図である。
【0013】
図2(a)に示されるように半導体ウェハW(以下、単に「ウェハ」という。)上に、例えば化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)或いは塗布法により層間絶縁膜1を形成する(ステップ1A)。層間絶縁膜1の構成材料としては、例えば、有機Si酸化膜、有機樹脂膜及びポーラスSi酸化膜等の低誘電率絶縁膜、SiO等が挙げられる。
【0014】
層間絶縁膜1を形成した後、図2(b)に示されるようにフォトリソグラフィ技術及び反応性イオンエッチング(RIE)により層間絶縁膜1に、幅が0.3μm以下の細幅配線溝1a及び幅が0.3μmを超える太幅配線溝1bを形成する(ステップ2A)。細幅配線溝1a及び太幅配線溝1bを形成するには、まず、ウェハWを回転させながら層間絶縁膜1上に反射防止膜及び化学増幅型のフォトレジストを塗布する。フォトレジストを塗布した後、所定のパターンが形成されたマスクを使用して、紫外線で露光する。その後、現像液により現像して、層間絶縁膜1上にレジストパターンを形成する。層間絶縁膜1上にレジストパターンを形成した後、レジストパターンをマスクとして、RIEにより層間絶縁膜1をエッチングし、層間絶縁膜1に細幅配線溝1a及び太幅配線溝1bを形成する。層間絶縁膜1に細幅配線溝1a及び太幅配線溝1bを形成した後、アッシング等によりレジスト及び反射防止膜を取り除く。
【0015】
層間絶縁膜1に細幅配線溝1a及び太幅配線溝1bを形成した後、図2(c)に示されるように層間絶縁膜1上に、例えばスパッタ法或いはCVD法により層間絶縁膜1への金属拡散を抑制するためのバリアメタル膜2を形成する(ステップ3A)。バリアメタル膜2の構成材料としては、例えばTa、Ti、TaN、TiN、NbN、WN、或いはVN等の導電性材料が挙げられる。なお、これらの材料を積層したものからバリアメタル膜2を形成してもよい。
【0016】
層間絶縁膜1上にバリアメタル膜2を形成した後、図3(a)に示されるようにバリアメタル膜2上に、例えばスパッタ法により電解めっき時に電流を流すためのシード膜3を形成する(ステップ4A)。シード膜3の構成材料としては、例えばCu等の金属が挙げられる。
【0017】
バリアメタル膜2上にシード膜3を形成した後、図3(b)に示されるようにシード膜3表面にめっき液を供給して、シード膜3上に電解めっき法によりめっき膜(第1の金属膜)4を形成する(ステップ5A)。めっき液には、例えばCuイオンのような金属イオンの他、アクセレーター、サプレッサー、及びレベラー等の添加剤が所定量混入している。また、めっき膜4は、ボトムアップ成膜が顕著な細幅配線溝1a全体に埋め込まれ、かつボトムアップ成膜が起こり難い太幅配線溝1bの一部に埋め込まれるように形成される。めっき膜4は主にCu等の金属から構成されているが、不純物が混入している。ここで、「不純物」とは、S,Cl,O,C,及びNの少なくともいずれかを有する物質である。
【0018】
シード膜3上にめっき膜4を形成した後、図3(c)に示されるようにめっき膜4上に例えばスパッタ法によりスパッタ膜(第2の金属膜)5を例えば約500nm形成する(ステップ6A)。スパッタ膜5は、高真空中で高純度のターゲットとArガスとを用いて形成することができる。スパッタ膜5は、太幅配線溝1bの他の部分に埋め込まれるように形成される。
【0019】
スパッタ膜5の不純物の濃度(以下、「不純物濃度」という。)は、めっき膜4の不純物濃度よりも低い。ここで、スパッタ膜5の不純物濃度が、めっき膜4の不純物濃度より低いとは、スパッタ膜5中に存在しているS,Cl,O,C,及びNの少なくともいずれかの成分のうち一番濃度の高いものの濃度が、めっき膜4中に存在しているS,Cl,O,C,及びNの少なくともいずれかの成分のうち一番濃度の高いものの濃度よりも低いことをいう。不純物濃度は、例えば、二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)により測定することができる。スパッタ膜5中に存在しているS,Cl,O,C,及びNの少なくともいずれかの成分のうち一番濃度の高いものは、濃度が1.00×1017atom/cm以下であることが好ましい。
【0020】
なお、本実施の形態では、スパッタ法によりスパッタ膜5を形成しているが、めっき膜4よりも不純物濃度が低い膜を形成することが可能な成膜方法であれば、スパッタ法の代わりに用いてもよい。このような成膜方法としては、例えば、CVD法が挙げられる。
【0021】
めっき膜4上にスパッタ膜5を形成した後、ウェハWに熱処理を施し、シード膜3、めっき膜4、及びスパッタ膜5の結晶を成長させて、図4(a)に示されるように配線膜6を形成する(ステップ7A)。ここで、ウェハWに熱処理を加えると、めっき膜4中の不純物がスパッタ膜5中に拡散し、均一化される。熱処理は、例えば150〜300℃で30秒〜60分行われる。
【0022】
ウェハWに熱処理を施した後、例えば化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)により研磨して、図4(b)に示されるように細幅配線溝1a及び太幅配線溝1b内に存在するバリアメタル膜2、配線膜6がそれぞれ残るように層間絶縁膜1上の不要なバリアメタル膜2及び配線膜6をそれぞれ除去する(ステップ8A)。具体的には、ウェハWを研磨パッド(図示せず)に接触させた状態で、ウェハW及び研磨パッドを回転させるとともにウェハW上にスラリ(図示せず)を供給して、配線膜6等を研磨する。なお、CMPで研磨する場合に限らず、その他の手法で研磨してもよい。その他の手法としては、例えば電解研磨が挙げられる。
【0023】
これにより、線幅が0.3μm以下の細幅配線(第1の配線)6aと、線幅が0.3μmを超える太幅配線(第2の配線)6bとが形成される。このとき、得られた太幅配線6bの不純物濃度は、細幅配線6aの不純物濃度よりも低くなっている。これは、細幅配線6aがシード膜2とめっき膜4とから形成されたのに対し、太幅配線6bはシード膜2とめっき膜4とめっき膜4よりも不純物濃度が低いスパッタ膜5とから形成されたからである。
【0024】
ここで細幅配線6a及び太幅配線6bそれぞれの不純物濃度としては、細幅配線6aで5×1018atom/cm〜1×1019atom/cm程度、太幅配線6bで5×1018atom/cm未満程度とすることが好ましい。即ち、細幅配線6aの不純物濃度が低すぎると、不純物による配線中の空孔のピンニングをさほど期待できず、細幅配線6a及び太幅配線6bの不純物濃度がそれぞれ上記範囲を逸脱して高すぎると、不純物凝集起因の欠陥発生の可能性が増大する。本実施の形態においては、例えば、めっき成膜時におけるボトムアップ成長が顕著な配線幅0.05μm以上0.3μm以下の細幅配線6aの不純物濃度を5×1018atom/cm〜1×1019atom/cm、この細幅配線6aと同一面に形成される配線幅0.3μmを越えて10μm以下の太幅配線6bの不純物濃度を5×1018atom/cm未満に設定すればよい。なお、ここでの不純物濃度についても、細幅配線6a内及び太幅配線6b内のそれぞれに存在しているS,Cl,O,C,及びNの少なくともいずれかの成分のうち、一番濃度の高いものの濃度で定義すればよい。
【0025】
本実施の形態によれば、太幅配線溝1b内の不純物濃度を低下させることができるので、欠陥の少ない太幅配線6bを形成することができる。太幅配線溝1b内に不純物が存在すると欠陥が生じるのは、次のような理由からであると考えられる。即ち、ボトムアップ成長が顕著な細幅配線溝1a内においては、めっき膜4の成膜速度が速いために添加剤が過剰に供給されても不純物濃度は増大しないが、ボトムアップ成長が起こり難くなる太幅配線溝1b内においては不純物濃度が増大する。この結果、熱処理工程における結晶成長の進行に伴い、太幅配線溝1b内の不純物が凝集した部分に欠陥が生じてしまうものと考えられる。
【0026】
本実施の形態では、めっき膜4上にめっき膜4よりも不純物濃度が低いスパッタ膜5を形成しているので、熱処理工程においてめっき膜4中の不純物をスパッタ膜5中に拡散させることができる。これにより太幅配線溝1b内の不純物濃度を低下させることができ、欠陥の少ない太幅配線6bを形成することができるので、配線の信頼性が向上した半導体装置を提供することができる。
【0027】
さらに本実施の形態によれば、太幅配線溝1bの一部に埋め込まれるようにめっき膜4を形成し、その後太幅配線溝1bの他の部分に埋め込まれるようにスパッタ膜5を形成しているので、めっき膜4が太幅配線溝1b全体に埋め込まれた場合に比べて、太幅配線溝1b内の不純物を低減させることができる。これにより、より欠陥の少ない太幅配線6bを形成することができる。
【0028】
一方本実施の形態によれば、細幅配線溝1aの幅が0.3μm以下であり、かつ細幅配線溝1a全体にめっき膜4が埋め込まれているので、ボトムアップ成膜により細幅配線溝1a内を確実に埋め込むことができる。なお、ボトムアップ成膜は、幅が0.3μm以下の溝で顕著に起こるものと考えられる。また、このような細幅配線6aにおいては細幅配線溝1aの幅以下に結晶成長の進行が制限されるため、結晶成長に伴う不純物凝集に起因する欠陥発生の可能性は小さい。
【0029】
むしろ、本実施の形態によれば、不純物を細幅配線6a中にある程度存在させることで、細幅配線6a中の空孔をピンニングさせることができ、空孔が細幅配線6a中をマイグレーションするのを抑制することができる。これにより、断線若しくは抵抗上昇の原因となる配線中の大きなボイド生成を抑制することができ、配線の信頼性を向上させた半導体装置を提供することができる。
【0030】
(実験例1)
以下、実験例1について説明する。本実験例では、Cu膜中の不純物濃度を測定するとともにCu配線中の欠陥密度を測定した。
【0031】
本実験においては、次のような工程で形成されたウェハを使用した。能動部を有するSi基板に酸化膜を20nm形成した後、CVD法によりSiOC系の低誘電率絶縁膜(層間絶縁膜)を300nm形成した。その後リソグラフィー工程及びRIE工程により、幅4μm及び深さ250nmの配線溝(太幅配線溝)を形成した。そして、ウエットエッチング工程によりレジスト除去を行った後、ロングスロースパッタ法によりTa膜(バリアメタル膜)とCu膜(シード膜)をそれぞれ30nm及び80nm形成した。次に、2種類の成膜方法により、Cu膜を形成した。条件1では、電解めっき法により1A/ウェハの電流条件でCu膜(めっき膜)を210nm形成した。また条件2では、電解めっき法により1A/ウェハの電流条件でCu膜(めっき膜)を10nm形成した後、ロングスロースパッタ法によりCu膜(スパッタ膜)を200nm形成した。そして、これらのウェハを水素濃度約10vol%のフォーミングガス中にて270℃で40分熱処理し、その後CMPにより不要なCu膜等を除去して、Cu配線を形成した。
【0032】
そして、このようなウェハを使用して、Cu膜中の不純物の濃度を測定するとともにCu配線の欠陥密度を測定した。不純物濃度の測定は、CMPにより不要なCu膜等が除去される前のCu膜中のCl,O,Cの濃度をそれぞれSIMSで測定することにより行われた。また、欠陥密度の測定は、Cu配線の欠陥密度をそれぞれ欠陥検査装置で測定することにより行われた。
【0033】
以下、結果を述べる。表1は条件1及び条件2におけるCu膜中の不純物濃度とCu配線中の欠陥密度を表したものである。
【表1】

【0034】
表1に示されるように通常の条件である条件1に比べ、条件2ではCu膜中の不純物濃度が約3桁近く減少していた。また、それに伴いCu配線中の欠陥密度が激減していた。これらの結果から、めっき法によりCu膜を形成した後スパッタ法によりCu膜を形成した場合には、Cu膜中の不純物濃度が低下することが確認され、またCu配線中の欠陥密度が低下することが確認された。なお本実験例ではCu配線について記載したが、Ag配線やAu配線についても、Agめっき膜、Auめっき膜上にそれぞれAgスパッタ膜、Auスパッタ膜等を形成することにより同様の効果を得ることができる。
【0035】
(第2の実施の形態)
以下、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態では、めっき液を15L/min以上の供給速度で供給するとともにウェハを50rpm以下の回転数で回転させながらめっき膜を形成する例について説明する。
【0036】
図5は、本実施の形態に係る半導体装置の製造プロセスの流れを示したフローチャートであり、図6は本実施の形態に係る半導体装置の模式的な製造プロセス図であり、図7は本実施の形態に係るめっき膜の模式的な形成プロセス図であり、図8はめっき液を15L/min以上の供給速度で供給するとともにウェハを50rpm以下の回転数で回転させてめっきを施している場合におけるCuイオン及び添加剤の濃度とウェハ表面からの距離との関係を表したものであり、図9はめっき液を15L/min以上の供給速度で供給するとともにウェハを100rpm程度の回転数で回転させてめっきを施している場合におけるCuイオン及び添加剤の濃度とウェハ表面からの距離との関係を表したものであり、図10はめっき液を15L/min未満の供給速度で供給するとともにウェハを50rpm以下の回転数で回転させてめっきを施している場合におけるCuイオン及び添加剤の濃度とウェハ表面からの距離との関係を表したものである。
【0037】
図5に示されるように、ウェハW上に、層間絶縁膜1を形成する(ステップ1B)。層間絶縁膜1を形成した後、フォトリソグラフィ技術及び反応性イオンエッチング(RIE)により層間絶縁膜1に細幅配線溝1a及び太幅配線溝1bを形成する(ステップ2B)。
【0038】
層間絶縁膜1に細幅配線溝1a及び太幅配線溝1bを形成した後、層間絶縁膜1上に、バリアメタル膜2を形成する(ステップ3B)。層間絶縁膜1上にバリアメタル膜2を形成した後、バリアメタル膜2上にシード膜3を形成する(ステップ4B)。
【0039】
バリアメタル膜2上にシード膜3を形成した後、シード膜3表面にめっき液を供給して、図6に示されるように電解めっき法によりめっき膜4を形成する(ステップ5B)。本実施の形態では、めっき膜4は、細幅配線溝1a全体及び太幅配線溝1b全体に埋め込まれるように形成される。
【0040】
めっき膜4を形成するには、まず、図7に示されるようにシード膜3が下面となるようにウェハWをホルダ10に保持させた状態で、ウェハWをカソードとしてウェハWとアノード11との間に電圧を印加する。その後、ウェハWを傾けるとともにめっき液槽12内で15L/min以上の供給速度で噴流しているめっき液にウェハWを浸漬する。このとき、ウェハ表面への泡吸着を抑制するためにウェハWを回転させることが好ましいが、浸漬方法を工夫する等により泡吸着を抑制可能であれば、ウェハWを回転しない状態でめっき液に浸漬しても構わない。
【0041】
続いて、ウェハWがめっき液に浸漬した状態では、めっき液の供給速度を15L/min以上に、かつウェハWの回転数を50rpm以下に維持しておく。これにより、細幅配線溝1a及び太幅配線溝1bを埋め込むようにめっき膜4が形成される。ここで、ウェハWの回転数はめっき成膜中常に一定である必要はなく、50rpm以下の範囲で変化させてもよいし、あるいはウェハWの回転が止められることがあってもよい。即ち、細幅配線溝1a及び太幅配線溝1bの少なくとも一部がめっき膜4で埋め込まれる際に、めっき液を15L/min以上の供給速度で供給するとともにウェハWを50rpm以下の回転数で回転させてめっきを施せばよい。なお、めっき液の供給速度は、めっき液を汲み出すポンプ13或いはポンプ13より汲み出されためっき液をめっき液槽12に供給するための供給管14等に設置された流量計(図示せず)により測定することができる。
【0042】
また本実施の形態では、電圧を印加した状態でウェハWを浸漬する、いわゆるホットエントリー法を用いており浸漬した部分からめっきが開始するため、浸漬時のウェハWの回転数も50rpm以下にすることが好ましい。これまでウェハWを低い回転数で回転させながらウェハWをめっき液に接触させた場合には、ウェハWの表面に気泡が形成され、めっき膜4の面内均一性が低下すると考えられていたが、実験によりウェハWを0rpmを超え50rpm以下の回転数で回転させながらめっき液にウェハWを接触させた場合であっても気泡の形成を抑え得ることが判明した。これにより、めっき膜4の面内均一性の低下を抑制することができる。
【0043】
シード膜3上にめっき膜4を形成した後、ウェハWに熱処理を施し、シード膜3及びめっき膜4の結晶を成長させて、配線膜6を形成する(ステップ6B)。
【0044】
配線膜6を形成した後、例えばCMPにより研磨して、細幅配線溝1a及び太幅配線溝1b内に存在するバリアメタル膜2及び配線膜6がそれぞれ残るように層間絶縁膜1上の不要なバリアメタル膜2及び配線膜6をそれぞれ除去する(ステップ7B)。これにより、線幅が0.3μm以下の細幅配線6aと、線幅が0.3μmを超える太幅配線6bとが形成される。
【0045】
本実施の形態によれば、太幅配線溝1b内の不純物濃度を低下させることができるので、欠陥の少ない太幅配線6bを形成することができる。また、添加剤の効果を得ることができるので、ボトムアップ成膜により細幅配線溝1a内にめっき膜4を埋め込むことができる。即ち、ウェハWを回転させると、ウェハWの表面には拡散層が形成される。拡散層の厚さは回転電極についてはLevichの次式(1)で表される。
【0046】
δ=1.61D1/3ν1/6ω−1/2 …(1)
ここで、Dは拡散係数、νは溶液の粘性率、ωは角速度である。この式により、ウェハを低回転にすればするほど、拡散層の厚さδは厚くなることが分かる。
【0047】
めっき初期においては最小線幅での埋め込み性を確保するために、電流密度は10mA/cm程度に調節されている。この条件下ではめっき液中のCuイオンは十分に存在するため反応律速状態にある。そのため拡散層内においてもCuイオンの濃度(Cuイオン濃度)はほぼ一定と考えることができる。これに対し、添加剤は微量で効果をもたらすため、めっき液中の添加剤の濃度(添加剤濃度)はCuイオンに比べて非常に小さく、ウェハW表面では拡散律速状態にある。そのため拡散層内における添加剤濃度はほぼ直線的な濃度勾配ができていると考えることができる。
【0048】
図9に示されるようにウェハWの回転数が100rpm程度の場合には、拡散層の厚さが薄くなり、ウェハW表面付近における添加剤濃度は高くなってしまうので、めっき膜4中における不純物濃度が高くなってしまう。これに対し、図8及び図10に示されるようにウェハWの回転数が50rpm以下の場合には、拡散層の厚さが厚くなり、ウェハW表面付近における添加剤濃度が低くなる。これにより、めっき膜4中に取り込まれる添加剤量が低減するので、めっき膜4中の不純物濃度を低下させることができる。それ故、欠陥の少ない太幅配線6bを形成することができる。
【0049】
しかしながら、めっき液の供給速度が15L/min未満であると、めっき液槽12内に貯留されためっき液中ではウェハW表面での添加剤の吸着が進み、図10に示されるように拡散層外の添加剤濃度が低下してしまうため、結果としてウェハW表面の添加剤濃度が必要量を下回り添加剤の効果が得られなくなってしまう。これに対し、めっき液を15L/min以上の供給速度で供給した場合には、添加剤は拡散層内において拡散律速となり、図8に示されるように拡散層外の添加剤濃度をほぼ一定に保つことができる。これにより、添加剤の効果を得ることができ、ボトムアップ成膜により細幅配線溝1a内にめっき膜4を埋め込むことができる。
【0050】
(実験例2)
以下、実験例2について説明する。本実験例では、細幅配線及び太幅配線の欠陥密度を測定するとともに太幅配線の信頼性試験を行った。また、ウェハをめっき液に接触させたときのウェハの表面状態を観察した。
【0051】
本実験例では、第2の実施の形態で説明した手順により0.09μmの細幅配線及び0.5μmの太幅配線を有する300mmのウェハを複数枚作成し、それぞれのウェハについて細幅配線と太幅配線の欠陥密度を測定するとともに太幅配線の信頼性試験を行った。ここで、めっき膜の形成は、めっき液の供給速度を20L/minとして、ウェハ毎にウェハの回転数が異なった状態で行われた。また、めっき膜を形成する際に、ウェハをめっき液に接触させたときのウェハの表面状態をそれぞれ観察した。
【0052】
以下、結果を述べる。図11は実験例2に係るウェハの回転数と欠陥密度との関係を示すグラフである。図11に示されるように細幅配線においてはウェハの回転数を変えた場合であってもほぼ欠陥密度は変化しないが、太幅配線においてはウェハの回転数が低いほど欠陥密度が低い。この結果から、細幅配線はウェハの回転数にほぼ影響を受けないが、太幅配線はウェハの回転数が低いほど好ましいということが確認された。また、太幅配線に対しての信頼性試験に関しても、ウェハの回転数が低いほど好ましいことが確認された。
【0053】
さらに、ウェハをめっき液に接触させたときのウェハの表面状態に関しては、気泡がほぼ形成されていなかった。この結果から、ウェハを0rpmを超え50rpm以下で回転させながらウェハをめっき液に接触させた場合であっても、めっき膜の面内均一性の低下を抑制できることが確認された。
【0054】
(第3の実施の形態)
以下、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態では、バリアメタル膜を、2A族、4A族、5A族、6A族、及び2B族のいずれかの族に属し、かつめっき膜の主成分の金属と反応物を形成し得る金属から構成した例について説明する。なお、第1の実施の形態と重複する内容については省略することもある。
【0055】
図12(a)〜図15(c)は本実施の形態に係る半導体装置の模式的な製造プロセス図である。図16(a)は本実施の形態に係る太幅配線の主成分がCuであり、バリアメタル膜がTiから構成されている場合における太幅配線とバリアメタル膜との界面の様子を模式的に示した図であり、図16(b)は参考例に係る太幅配線の主成分がCuであり、バリアメタル膜がTaから構成されている場合における太幅配線とバリアメタル膜との界面の様子を模式的に示した図である。
【0056】
図12(a)に示されるように図示しない下層電極が露出するSiO膜21上に、層間絶縁膜22を形成する。本実施の形態では、層間絶縁膜22は、有機系低誘電率絶縁膜であるポリアリーレンエーテル膜23(以下、「PAE膜」という。)と、PAE膜23上に形成されたSiO膜24とから構成されている。SiO膜24は、CMPの際における保護膜としても機能する。なお、本実施の形態では、層間絶縁膜22としてPAE膜23及びSiO膜24を使用しているが、これらに限定されず、例えば上記第1の実施の形態で説明した層間絶縁膜1を使用することも可能である。
【0057】
ウェハW上に層間絶縁膜22を形成した後、図12(b)に示されるようにフォトリソグラフィ技術及び反応性イオンエッチング(RIE)により層間絶縁膜22に幅が0.3μm以下の細幅配線溝22a及び幅が0.3μmを超える太幅配線溝22bを形成する。
【0058】
層間絶縁膜22に細幅配線溝22a及び太幅配線溝22bを形成した後、図12(c)に示されるように層間絶縁膜22上にバリアメタル膜25を形成する。バリアメタル膜25は、2A族、4A族、5A族、6A族、及び2B族のいずれかの族に属し、かつ後述するめっき膜27の主成分の金属と反応物を形成し得る金属から選択された1以上の金属から構成されている。2A族、4A族、5A族、6A族、及び2B族のいずれかの族に属し、かつめっき膜27の主成分の金属と反応物を形成し得る金属としては、例えば、Mg、Ti、V、Zn、Zr、Hf、及びWから選択された1以上の金属が挙げられる。これらの金属の中でも、Tiが好ましい。
【0059】
層間絶縁膜22上にバリアメタル膜25を形成した後、図12(c)に示されるようにバリアメタル膜25上にシード膜26を形成する。シード膜26はバリアメタル膜25と直接接するように形成され、まためっき膜27と同一の金属を主成分としている。
【0060】
バリアメタル膜25上にシード膜26を形成した後、シード膜26表面にめっき液を供給するとともにシード膜26に電流を供給して、図12(d)に示されるように電解めっき法によりめっき膜(第1の金属膜)27を形成する。本実施の形態では、めっき膜27は、細幅配線溝22a全体及び太幅配線溝22bの一部に埋め込まれるように形成される。めっき膜27を構成する主成分の金属としては、例えば、Cu、Ag、Auの少なくともいずれかが挙げられる。
【0061】
シード膜26上にめっき膜27を形成した後、図13(a)に示されるようにめっき膜27上に例えばスパッタ法によりスパッタ膜(第2の金属膜)28を形成する。スパッタ膜28は、太幅配線溝22bの他の部分に埋め込まれるように形成される。スパッタ膜28は、めっき膜27と同一の金属を主成分とし、不純物濃度がめっき膜27の不純物濃度より低い。
【0062】
めっき膜27上にスパッタ膜28を形成した後、ウェハWに熱処理を施し、シード膜26、めっき膜27、及びスパッタ膜28の結晶を成長させて、図13(b)に示されるように配線膜29を形成する。
【0063】
配線膜29を形成した後、例えばCMPにより研磨して、図13(c)に示されるように細幅配線溝22a及び太幅配線溝22b内に存在するバリアメタル膜25及び配線膜29がそれぞれ残るように層間絶縁膜22上の不要なバリアメタル膜25及び配線膜29をそれぞれ除去する。これにより、線幅が0.3μm以下の細幅配線(第1の配線)29aと、線幅が0.3μmを超える太幅配線(第2の配線)29bとを有する第1層配線が形成される。
【0064】
細幅配線29aと太幅配線29bを形成した後、図13(d)に示されるように層間絶縁膜22上にRIEのストッパー膜及びCuの拡散防止膜としてのSiCN膜31、層間絶縁膜32を順次形成する。層間絶縁膜32は、無機系低誘電率絶縁膜であるSiCO膜33と、SiCO膜33上に形成された有機系低誘電率絶縁膜であるPAE膜34と、PAE膜34上に形成されたSiO膜35とから構成されている。SiO膜35は、CMPの保護膜としても機能する。
【0065】
層間絶縁膜22上にSiCN膜31等を形成した後、図14(a)に示されるようにフォトリソグラフィ技術及び反応性イオンエッチング(RIE)により層間絶縁膜32にビアホール32a、細幅配線溝32b、太幅配線溝32cを形成する。
【0066】
その後、図14(b)に示されるように層間絶縁膜32上にバリアメタル膜36を形成する。バリアメタル膜36は、バリアメタル膜25と同様の金属から構成されている。
【0067】
層間絶縁膜32上にバリアメタル膜36を形成した後、図14(b)に示されるようにバリアメタル膜36上にシード膜37を形成する。シード膜37はバリアメタル膜36と直接接するように形成され、また後述するめっき膜38と同一の金属を主成分としている。
【0068】
バリアメタル膜36上にシード膜37を形成した後、シード膜37表面にめっき液を供給するとともにシード膜37に電流を供給して、図14(c)に示されるように電解めっき法によりめっき膜(第1の金属膜)38を形成する。本実施の形態では、めっき膜38は、ビアホール32a全体、細幅配線溝32b全体、及び太幅配線溝32cの一部に埋め込まれるように形成される。めっき膜38を構成する主成分の金属としては、めっき膜27を構成している主成分の金属と同一の金属が挙げられる。
【0069】
シード膜37上にめっき膜38を形成した後、図15(a)に示されるようにめっき膜38上に例えばスパッタ法によりスパッタ膜(第2の金属膜)39を形成する。スパッタ膜39は、太幅配線溝32cの他の部分に埋め込まれるように形成される。スパッタ膜39は、めっき膜38と同一の金属を主成分とし、不純物濃度がめっき膜38の不純物濃度より低い。
【0070】
めっき膜38上にスパッタ膜39を形成した後、ウェハWに熱処理を施し、シード膜37、めっき膜38、及びスパッタ膜39の結晶を成長させて、図15(b)に示されるように配線膜40を形成する。
【0071】
配線膜40を形成した後、例えばCMPにより研磨して、図15(c)に示されるようにビアホール32a、細幅配線溝32b、及び太幅配線溝32c内に存在するバリアメタル膜36及び配線膜40がそれぞれ残るように層間絶縁膜32上の不要なバリアメタル膜36及び配線膜40をそれぞれ除去する。これにより、第1層配線とビアプラグ40aで接続され、線幅が0.3μm以下の細幅配線(第1の配線)40bと線幅が0.3μmを超える太幅配線(第2の配線)40cを備える第2層配線が形成される。なお、3層以上の配線を形成する場合には、これらの工程を繰返すことにより実現することができる。
【0072】
デュアルダマシン構造においてビアプラグの直下に欠陥が存在する場合、イールドが劣化し、またマイクロボイド起因によりエレクトロマイグレーション(EM)の耐性が劣化してしまう。上記第1の実施の形態に記載した手法によりこれらを改善することができるが、配線幅や深さが多様に存在する実際のパターンにおいては、その反面、ストレスマイグレーション(SM)の信頼性が劣化したパターンが存在するおそれがある。
【0073】
即ち、配線中の不純物濃度が低すぎると、スパッタ膜形成後の熱処理時のみならず、後工程におけるMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のゲート絶縁膜の欠陥準位を回復させる熱処理等を行った際においても、配線中の金属原子が拡散移動して、金属粒の粒径が更に変化してしまうおそれがある。これは、配線中の不純物濃度が低いことにより、金属原子の拡散移動を阻害する要因が低減するためである。これにより、ストレスマイグレーション(SM)信頼性が劣化すると考えられる。この現象は、特に不純物濃度が低い太幅配線で起こり易い。
【0074】
これに対し、本実施の形態では、バリアメタル膜25を、2A族、4A族、5A族、6A族、及び2B族のいずれかの族に属し、かつめっき膜27の主成分の金属と反応物を形成し得る金属から構成しているので、太幅配線29bの主成分である金属とバリアメタル膜25を構成している金属とが相互拡散し、太幅配線29bとバリアメタル膜25との界面に、太幅配線29bの主成分である金属とバリアメタル膜25を構成する金属との反応物を含む原子レベルの拡散層が形成される。具体的には、例えば、太幅配線29bの主成分がCuであり、バリアメタル膜25がTiから構成されている場合には、図16(a)に示されるように太幅配線29bとバリアメタル膜25との界面にCuとTiとの反応物を含む拡散層30が形成される。このような反応物を含む拡散層30が形成されることにより、太幅配線29bとバリアメタル膜25との密着性が向上し、太幅配線29bとバリアメタル膜25との界面における金属原子の拡散移動が抑制される。それ故、太幅配線29b内の不純物濃度が低い場合であっても、ストレスマイグレーション信頼性の劣化を抑制することができ、結果として配線におけるストレスマイグレーション信頼性の劣化の抑制及び欠陥の低減の両立を図ることができる。一方、太幅配線29bの主成分がCuであり、バリアメタル膜がめっき膜27の主成分の金属と反応物を形成し得ない金属であるTaから構成されている場合には、図16(b)に示されるように太幅配線29bとバリアメタル膜101との界面にはCuとTaの反応物を含む拡散層は形成されず、上記のような効果は得られない。
【0075】
なお、太幅配線29bとバリアメタル膜25との界面以外にも、細幅配線29aとバリアメタル膜25との界面、ビアプラグ40aとバリアメタル膜36との界面、細幅配線40bとバリアメタル膜36との界面、太幅配線40cとバリアメタル膜36との界面においても上記のような反応物を含む拡散層が形成されるので、上記と同様の効果が得られる。
【0076】
本実施の形態では、2A族、4A族、5A族、6A族、及び2B族のいずれかの族に属し、かつめっき膜27,38の主成分の金属と反応物を形成し得る金属から構成されたバリアメタル膜25,36を使用しているが、これらの金属を含み、かつシード層26,37と直接接触するような膜であればバリアメタル膜でなくともよい。
【0077】
また、バリアメタル膜25,36は、2A族、4A族、5A族、6A族、及び2B族のいずれかの族に属し、かつめっき膜27,38の主成分の金属と反応物を形成し得る金属を含んでいれば、その他、めっき膜27,38の主成分の金属と反応物を形成し得ない金属を含んでいてもよい。めっき膜27,38の主成分の金属と反応物を形成し得ない金属としては、例えばTa、TaN等が挙げられる。
【0078】
さらに、バリアメタル膜25がシード膜26に、或いはバリアメタル膜36がシード膜37に直接接するように形成されれば、層間絶縁膜22とバリアメタル膜25との間、或いは層間絶縁膜32とバリアメタル膜36との間に他のバリアメタル膜を形成してもよい。ここで、他のバリアメタル膜は、めっき膜27,38及びスパッタ膜28,39の主成分の金属と反応物を形成し得ない金属から構成されていてもよい。この場合、第1層配線と第2層配線が形成された状態においては、層間絶縁膜22,32と太幅配線29b,40cとの間には太幅配線29b,40c側にバリアメタル膜25,36、層間絶縁膜22,32側に他のバリアメタル膜が形成されている。
【0079】
なお、本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されるものではなく、構造や材質、各部材の配置等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、第1及び第2の実施の形態においては、配線は多層構造のものではないが、第3の実施の形態のように多層構造のものであってもよく、また逆に第3の実施の形態においては、配線は多層構造のものでなくともよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は第1の実施の形態に係る半導体装置の製造プロセスの流れを示したフローチャートである。
【図2】図2(a)〜図2(c)は第1の実施の形態に係る半導体装置の模式的な製造プロセス図である。
【図3】図3(a)〜図3(c)は第1の実施の形態に係る半導体装置の模式的な製造プロセス図である。
【図4】図4(a)及び図4(b)は第1の実施の形態に係る半導体装置の模式的な製造プロセス図である。
【図5】図5は第2の実施の形態に係る半導体装置の製造プロセスの流れを示したフローチャートである。
【図6】図6は第2の実施の形態に係る半導体装置の模式的な製造プロセス図である。
【図7】図7は第2の実施の形態に係るめっき膜の模式的な形成プロセス図である。
【図8】図8はめっき液を15L/min以上の供給速度で供給するとともにウェハを50rpm以下の回転数で回転させてめっきを施している場合におけるCuイオン及び添加剤の濃度とウェハ表面からの距離との関係を表したものである。
【図9】図9はめっき液を15L/min以上の供給速度で供給するとともにウェハを100rpm程度の回転数で回転させてめっきを施している場合におけるCuイオン及び添加剤の濃度とウェハ表面からの距離との関係を表したものである。
【図10】図10はめっき液を15L/min未満の供給速度で供給するとともにウェハを50rpm以下の回転数で回転させてめっきを施している場合におけるCuイオン及び添加剤の濃度とウェハ表面からの距離との関係を表したものである。
【図11】図11は実験例2に係るウェハの回転数と欠陥密度との関係を示すグラフである。
【図12】図12(a)〜図12(d)は第3の実施の形態に係る半導体装置の模式的な製造プロセス図である。
【図13】図13(a)〜図13(d)は第3の実施の形態に係る半導体装置の模式的な製造プロセス図である。
【図14】図14(a)〜図14(c)は第3の実施の形態に係る半導体装置の模式的な製造プロセス図である。
【図15】図15(a)〜図15(c)は第3の実施の形態に係る半導体装置の模式的な製造プロセス図である。
【図16】図16(a)は第3の実施の形態に係る太幅配線の主成分がCuであり、バリアメタル膜がTiから構成されている場合における太幅配線とバリアメタル膜との界面の様子を模式的に示した図であり、図16(b)は参考例に係る太幅配線の主成分がCuであり、バリアメタル膜がTaから構成されている場合における太幅配線とバリアメタル膜との界面の様子を模式的に示した図である。
【符号の説明】
【0081】
W…ウェハ、1,22,32…層間絶縁膜、1a,22a,32b…細幅配線溝、1b,22b,32c…太幅配線溝、4,27,38…めっき膜、5,28,39…スパッタ膜、6,29,40…配線膜、6a,29a,40b…細幅配線、6b,29b,40c…太幅配線、32a…ビアホール、40a…ビアプラグ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に形成された凹部を有する基板上に前記凹部の少なくとも一部に埋め込まれるようにめっき法により第1の金属膜を形成する工程と、
前記第1の金属膜上に前記めっき法とは異なる成膜方法により、前記第1の金属膜と同一の金属を主成分とし、不純物の濃度が前記第1の金属膜の不純物の濃度より低い第2の金属膜を形成する工程と、
前記第1及び第2の金属膜に熱処理を施す工程と、
前記熱処理を施した後に、前記凹部に埋め込まれた部分以外の第1及び第2の金属膜を除去する工程と
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1の金属膜は前記凹部の一部に埋め込まれるように形成され、かつ前記第2の金属膜は前記凹部の他の部分に埋め込まれるように形成されることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記成膜方法は、スパッタ法及び化学気相成長法のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
表面に形成された凹部を有する基板をめっき液槽内のめっき液に浸漬し、かつ前記めっき液槽内に15L/min以上の供給速度でめっき液を供給するとともに前記基板を50rpm以下の回転数で回転させて、めっき法により前記凹部の少なくとも一部に埋め込まれるように前記基板上に金属膜を形成する工程と、
前記凹部に埋め込まれた部分以外の金属膜を除去する工程と
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
基板と、
前記基板上に形成され、同一面に第1の凹部及び第2の凹部を有する絶縁膜と、
前記第1の凹部に埋め込まれ、線幅が0.3μm以下の第1の配線と、
前記第2の凹部に埋め込まれ、線幅が0.3μmを超え、不純物濃度が前記第1の配線内の不純物の濃度よりも低い第2の配線と
を具備することを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−19708(P2006−19708A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−149505(P2005−149505)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】