説明

半導体装置の製造方法及び基板処理システム

【課題】TiO膜やSrTiO膜の結晶性を制御し、誘電率を増大させる。
【解決手段】基板上に立方晶もしくは斜方晶の結晶性を持つ第1の高誘電率絶縁膜を形成する工程と、第1の高誘電率絶縁膜上に第2の高誘電率絶縁膜を形成し、第1の高誘電率絶縁膜の結晶性を第2の高誘電率絶縁膜に反映させて、第2の高誘電率絶縁膜の結晶性をルチル構造とする工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field Effect Transistor)の高集積化及び高性能化に伴い、ゲート絶縁膜への高誘電率絶縁膜(すなわちSiOの比誘電率(4程度)よりも高い比誘電率を有する絶縁膜)の採用が検討されている。また、DRAMのキャパシタにおいては、キャパシタ絶縁膜を挟む上部電極及び下部電極をそれぞれ金属材料により形成するMIM(Metal−Insulator−Metal)構造が用いられるようになっている。係る場合、キャパシタ絶縁膜としてはHfO膜やZrO膜等の高誘電率絶縁膜が使用されてきた。近年、さらに比誘電率の高い酸化チタン膜(TiO膜)やチタン酸ストロンチウム膜(SrTiO膜)の採用が検討されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
なお、TiO膜やSrTiO膜の誘電率は、その結晶性によって変化する。そのため、TiO膜やSrTiO膜を高誘電率絶縁膜として用いるには、その結晶性を制御することが必要となる。例えば、TiO膜を高誘電率絶縁膜として用いるには、その結晶構造をルチル(Rutile)構造にする必要がある。しかしながら、TiO膜やSrTiO膜の結晶性は、膜の成膜温度や下地膜の結晶性などに大きく依存する。そのため、半導体装置を実際に製造する際に、TiO膜やSrTiO膜の結晶性を制御することは困難であった。
【0004】
本発明は、TiO膜やSrTiO膜の結晶性を制御し、誘電率を増大させることが可能な半導体装置の製造方法及び基板処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、基板上に立方晶もしくは斜方晶の結晶性を持つ第1の高誘電率絶縁膜を形成する工程と、前記第1の高誘電率絶縁膜上に第2の高誘電率絶縁膜を形成し、前記第1の高誘電率絶縁膜の結晶性を前記第2の高誘電率絶縁膜に反映させて、前記第2の高誘電率絶縁膜の結晶性をルチル構造とする工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、基板上に第1の高誘電率絶縁膜を形成する処理ユニットと、前記第1の高誘電率絶縁膜を熱処理することで、前記第1の高誘電率絶縁膜の結晶性を立方晶もしくは斜方晶とする処理ユニットと、立方晶もしくは斜方晶の結晶性を持つ前記第1の高誘電率絶縁膜上に第2の高誘電率絶縁膜を形成する処理ユニットと、前記第2の高誘電率絶縁膜を熱処理することで、前記第1の高誘電率絶縁膜の結晶性を前記第2の高誘電率絶縁膜に反映させて、前記第2の高誘電率絶縁膜の結晶性をルチル構造とする処理ユニットと、を有することを特徴とする基板処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る半導体装置の製造方法及び基板処理システムによれば、TiO膜やSrTiO膜の結晶性を制御し、誘電率を増大させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るクラスタ装置の第1処理ユニット(高誘電率絶縁膜形成ユニット)におけるガス供給系及び排気系の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る成膜工程のフロー図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るクラスタ装置の第1処理ユニット(高誘電率絶縁膜形成ユニット)のウェハ処理時における断面構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るクラスタ装置の第1処理ユニット(高誘電率絶縁膜形成ユニット)のウェハ搬送時における断面構成図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るクラスタ装置の第2処理ユニット(熱処理ユニット)の断面構成図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るクラスタ装置の概略構成図である。
【図7】本発明の他の実施形態にかかる縦型ALD装置の縦型処理炉の概略構成図であり、(a)は、処理炉部分を縦断面図で示し、(b)は、処理炉部分を(a)のA−A線断面図で示す。
【図8】本発明の実施例に係る評価サンプル作成用の基板処理工程のフロー図である。
【図9】本発明の実施例に係る評価サンプルの積層構造を示す断面図である。
【図10】TiO膜の結晶構造を示す模式図である。
【図11】(a)はHfO膜の結晶構造を示す模式図であり、(b)はHfAlO膜の結晶構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態を図面に即して説明する。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
まず、本発明の一実施形態に係る基板処理装置について説明する。
【0011】
本実施形態に係る基板処理システムとしての基板処理装置は、図6に示されているようにクラスタ装置として構成されている。なお、本実施形態に係るクラスタ装置においては、ウェハ2を搬送するウェハ搬送用キャリア(基板収納容器)としては、FOUP(front opening unified pod。以下、ポッドという)1が使用されている。
【0012】
<クラスタ装置>
図6に示されているように、クラスタ装置10は、大気圧未満の圧力(負圧)に耐え得る構造に構成されたトランスファモジュール(搬送室)としての第1ウェハ移載室(以下、負圧移載室という)11を備えている。負圧移載室11の筐体(以下、負圧移載室筐体という)12は、平面視が七角形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。負圧移載室筐体12は、搬送容器(密閉容器)として構成されている。負圧移載室11の中央部には、負圧下においてウェハ2を移載する搬送ロボットとしてのウェハ移載機(以下、負圧移載機という)13が設置されている。
【0013】
負圧移載室筐体12の7枚の側壁のうち最も大きい側壁(正面壁)には、ロードロックモジュール(ロードロック室)としての搬入用予備室(以下、搬入室という)14と搬出用予備室(以下、搬出室という)15とがそれぞれ隣接して連結されている。搬入室14の筐体と搬出室15の筐体とは、それぞれ平面視が略菱形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されているとともに、負圧に耐え得るロードロックチャンバ構造に構成されている。
【0014】
搬入室14および搬出室15の負圧移載室11と反対側には、大気圧以上の圧力(以下、正圧という)を維持可能な構造に構成されたフロントエンドモジュールとしての第2ウ
ェハ移載室(以下、正圧移載室という)16が隣接して連結されている。正圧移載室16の筐体は、平面視が横長の長方形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。搬入室14と正圧移載室16との境にはゲートバルブ17Aが設置されており、搬入室14と負圧移載室11との間にはゲートバルブ17Bが設置されている。搬出室15と正圧移載室16との境にはゲートバルブ18Aが設置されており、搬出室15と負圧移載室11との間にはゲートバルブ18Bが設置されている。正圧移載室16には、正圧下でウェハ2を移載する搬送ロボットとしての第2ウェハ移載機(以下、正圧移載機という)19が設置されている。正圧移載機19は、正圧移載室16に設置されたエレベータによって昇降されるように構成されているとともに、リニアアクチュエータによって左右方向に往復移動されるように構成されている。正圧移載室16の左側端部には、ノッチ合わせ装置20が設置されている。
【0015】
正圧移載室16の正面壁には三つのウェハ搬入搬出口21,22,23が、隣合わせに並べられて開設されている。これらのウェハ搬入搬出口21,22,23は、ウェハ2を正圧移載室16に対して搬入搬出し得るように構成されている。これらのウェハ搬入搬出口21,22,23には、ポッドオープナ24がそれぞれ設置されている。ポッドオープナ24は、ポッド1を載置する載置台25と、載置台25上に載置されたポッド1のキャップを着脱するキャップ着脱機構26と、を備えており、載置台25上に載置されたポッド1のキャップをキャップ着脱機構26によって着脱することにより、ポッド1のウェハ出し入れ口を開閉するようになっている。ポッドオープナ24の載置台25に対しては、ポッド1が、工程内搬送装置(RGV)によって供給および排出されるようになっている。
【0016】
図6に示されているように、負圧移載室筐体12の7枚の側壁のうち正圧移載室16と反対側に位置する2枚の側壁(背面壁)には、プロセスモジュールとしての第1処理ユニット(高誘電率絶縁膜形成ユニット)31と第2処理ユニット(熱処理ユニット)32とがそれぞれ隣接して連結されている。第1処理ユニット31と負圧移載室11との間にはゲートバルブ44が設置されている。第2処理ユニット32と負圧移載室11との間にはゲートバルブ118が設置されている。また、負圧移載室筐体12における7枚の側壁のうち正圧移載室16側の他の2枚の側壁には、クーリングステージとしての第1クーリングユニット35と第2クーリングユニット36とがそれぞれ連結されている。第1クーリングユニット35及び第2クーリングユニット36は、何れも処理済みのウェハ2を冷却する冷却室として構成されている。
【0017】
クラスタ装置10は、後述する基板処理フローを統括的に制御するメインコントローラ37を備えている。なお、メインコントローラ37は、クラスタ装置10を構成する各部の動作を制御する。
【0018】
<第1処理ユニット>
次に、本実施形態に係るクラスタ装置における第1処理ユニット31について説明する。第1処理ユニット31は、高誘電率絶縁膜形成ユニットであり、図3,4に示されているように、枚葉式コールドウォール型の基板処理装置として構成されており、機能的にはALD(Atomic Layer Deposition)装置(以下、成膜装置という)40として構成されている。以下、成膜装置40の構成について、図3,4を参照しながら説明する。図3は、ウェハ処理時における成膜装置40の断面構成図であり、図4は、ウェハ搬送時における成膜装置40の断面構成図である。
【0019】
図3,4に示すとおり、成膜装置40は処理容器202を備えている。処理容器202は、例えば横断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。また、処理容器202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料により構成
されている。処理容器202内には、基板としてのシリコンウェハ等のウェハ2を処理する処理室201が形成されている。
【0020】
処理室201内には、ウェハ2を支持する支持台203が設けられている。ウェハ2が直接触れる支持台203の上面には、例えば、石英(SiO)、カーボン、セラミックス、炭化ケイ素(SiC)、酸化アルミニウム(Al)、又は窒化アルミニウム(AlN)などから構成された支持板としてのサセプタ217が設けられている。また、支持台203には、ウェハ2を加熱する加熱手段(加熱源)としてのヒータ206が内蔵されている。なお、支持台203の下端部は、処理容器202の底部を貫通している。
【0021】
処理室201の外部には、支持台203を昇降させる昇降機構207bが設けられている。この昇降機構207bを作動させて支持台203を昇降させることにより、サセプタ217上に支持されるウェハ2を昇降させることが可能となっている。支持台203は、ウェハ2の搬送時には図4で示される位置(ウェハ搬送位置)まで下降し、ウェハ2の処理時には図3で示される位置(ウェハ処理位置)まで上昇する。なお、支持台203下端部の周囲は、ベローズ203aにより覆われており、処理室201内は気密に保持されている。
【0022】
また、処理室201の底面(床面)には、例えば3本のリフトピン208bが鉛直方向に立ち上がるように設けられている。また、支持台203(サセプタ217も含む)には、かかるリフトピン208bを貫通させるための貫通孔208aが、リフトピン208bに対応する位置にそれぞれ設けられている。そして、支持台203をウェハ搬送位置まで下降させた時には、図4に示すように、リフトピン208bの上端部がサセプタ217の上面から突出して、リフトピン208bがウェハ2を下方から支持するようになっている。また、支持台203をウェハ処理位置まで上昇させたときには、図3に示すようにリフトピン208bはサセプタ217の上面から埋没して、サセプタ217がウェハ2を下方から支持するようになっている。なお、リフトピン208bは、ウェハ2と直接触れるため、例えば、石英やアルミナなどの材質で形成することが望ましい。
【0023】
(ウェハ搬送口)
処理室201(処理容器202)の内壁側面には、処理室201の内外にウェハ2を搬送するためのウェハ搬送口250が設けられている。ウェハ搬送口250にはゲートバルブ44が設けられており、ゲートバルブ44を開くことにより、処理室201内と負圧移載室11内とが連通するようになっている。上述したように、負圧移載室11は負圧移載室筐体12内に形成されており、負圧移載室11内には上述の負圧移載機13が設けられている。負圧移載機13には、ウェハ2を搬送する際にウェハ2を支持する搬送アーム13aが備えられている。支持台203をウェハ搬送位置まで下降させた状態で、ゲートバルブ44を開くことにより、負圧移載機13により処理室201内と負圧移載室11内との間でウェハ2を搬送することが可能となっている。処理室201内に搬送されたウェハ2は、上述したようにリフトピン208b上に一時的に載置される。
【0024】
(排気系)
処理室201(処理容器202)の内壁側面であって、ウェハ搬送口250の反対側には、処理室201内の雰囲気を排気する排気口260が設けられている。排気口260には排気チャンバ260aを介して排気管261が接続されており、排気管261には、処理室201内を所定の圧力に制御するAPC(Auto Pressure Controller)等の圧力調整器262、原料回収トラップ263、及び真空ポンプ264が順に直列に接続されている。主に、排気口260、排気チャンバ260a、排気管261、圧力調整器262、原料回収トラップ263、真空ポンプ264により排気系(排気ライン)が構成される。
【0025】
(ガス導入口)
処理室201の上部に設けられる後述のシャワーヘッド240の上面(天井壁)には、処理室201内に各種ガスを供給するためのガス導入口210が設けられている。なお、ガス導入口210に接続されるガス供給系の構成については後述する。
【0026】
(シャワーヘッド)
ガス導入口210と処理室201との間には、ガス分散機構としてのシャワーヘッド240が設けられている。シャワーヘッド240は、ガス導入口210から導入されるガスを分散させるための分散板240aと、分散板240aを通過したガスをさらに均一に分散させて支持台203上のウェハ2の表面に供給するためのシャワー板240bと、を備えている。分散板240aおよびシャワー板240bには、複数の通気孔が設けられている。分散板240aは、シャワーヘッド240の上面及びシャワー板240bと対向するように配置されており、シャワー板240bは、支持台203上のウェハ2と対向するように配置されている。なお、シャワーヘッド240の上面と分散板240aとの間、および分散板240aとシャワー板240bとの間には、それぞれ空間が設けられており、かかる空間は、ガス導入口210から供給されるガスを分散させるための第1バッファ空間(分散室)240c、および分散板240aを通過したガスを拡散させるための第2バッファ空間240dとしてそれぞれ機能する。
【0027】
(排気ダクト)
処理室201(処理容器202)の内壁側面には、段差部201aが設けられている。そして、この段差部201aは、コンダクタンスプレート204をウェハ処理位置近傍に保持するように構成されている。コンダクタンスプレート204は、内周部にウェハ2を収容する穴が設けられた1枚のドーナツ状(リング状)をした円板として構成されている。コンダクタンスプレート204の外周部には、所定間隔を開けて周方向に配列された複数の排出口204aが設けられている。排出口204aは、コンダクタンスプレート204の外周部がコンダクタンスプレート204の内周部を支えることが出来るよう、不連続に形成されている。
【0028】
一方、支持台203の外周部には、ロワープレート205が係止している。ロワープレート205は、リング状の凹部205bと、凹部205bの内側上部に一体的に設けられたフランジ部205aとを備えている。凹部205bは、支持台203の外周部と、処理室201の内壁側面との隙間を塞ぐように設けられている。凹部205bの底部のうち排気口260付近の一部には、凹部205b内から排気口260側へガスを排出(流通)させるためのプレート排気口205cが設けられている。フランジ部205aは、支持台203の上部外周縁上に係止する係止部として機能する。フランジ部205aが支持台203の上部外周縁上に係止することにより、ロワープレート205が、支持台203の昇降に伴い支持台203と共に昇降されるようになっている。
【0029】
支持台203がウェハ処理位置まで上昇したとき、ロワープレート205もウェハ処理位置まで上昇する。その結果、ウェハ処理位置近傍に保持されているコンダクタンスプレート204が、ロワープレート205の凹部205bの上面部分を塞ぎ、凹部205bの内部をガス流路領域とする排気ダクト259が形成されることとなる。なお、このとき、排気ダクト259(コンダクタンスプレート204及びロワープレート205)及び支持台203によって、処理室201内が、排気ダクト259よりも上方の処理室上部と、排気ダクト259よりも下方の処理室下部と、に仕切られることとなる。なお、コンダクタンスプレート204およびロワープレート205は、排気ダクト259の内壁に堆積する反応生成物をエッチングする場合(セルフクリーニングする場合)を考慮して、高温保持が可能な材料、例えば、耐高温高負荷用石英で構成することが好ましい。
【0030】
ここで、ウェハ処理時における処理室201内のガスの流れについて説明する。まず、ガス導入口210からシャワーヘッド240の上部へと供給されたガスは、第1バッファ空間(分散室)240cを経て分散板240aの多数の孔から第2バッファ空間240dへと入り、さらにシャワー板240bの多数の孔を通過して処理室201内に供給され、ウェハ2上に均一に供給される。そして、ウェハ2上に供給されたガスは、ウェハ2の径方向外側に向かって放射状に流れる。そして、ウェハ2に接触した後の余剰なガスは、ウェハ2外周部に位置する排気ダクト259上、すなわち、コンダクタンスプレート204上を、ウェハ2の径方向外側に向かって放射状に流れ、コンダクタンスプレート204に設けられた排出口204aから、排気ダクト259内のガス流路領域内(凹部205b内)へと排出される。その後、ガスは排気ダクト259内を流れ、プレート排気口205cを経由して排気口260へと排気される。このようにガスを流すことで、処理室下部、すなわち、支持台203の裏面や処理室201の底面側へのガスの回り込みが抑制される。
【0031】
続いて、上述したガス導入口210に接続されるガス供給系の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る成膜装置40におけるガス供給系及び排気系の概略構成図である。
【0032】
(液体原料供給系)
処理室201の外部には、第1液体原料としてのHf(ハフニウム)を含む有機金属液体原料(以下、Hf原料ともいう)を供給する第1液体原料供給源220hと、第2液体原料としてのAl(アルミニウム)を含む有機金属液体原料(以下、Al原料ともいう)を供給する第2液体原料供給源220aと、第3液体原料としてのTi(チタニウム)を含む有機金属液体原料(以下、Ti原料ともいう)を供給する第3液体原料供給源220tと、が設けられている。第1液体原料供給源220h、第2液体原料供給源220a、第3液体原料供給源220tは、内部に液体原料を収容(充填)可能なタンク(密閉容器)としてそれぞれ構成されている。
【0033】
第1液体原料供給源220h、第2液体原料供給源220a、第3液体原料供給源220tには、圧送ガス供給管237h,237a,237tがそれぞれ接続されている。圧送ガス供給管237h,237a,237tの上流側端部には、図示しない圧送ガス供給源が接続されている。また、圧送ガス供給管237h,237a,237tの下流側端部は、それぞれ第1液体原料供給源220h、第2液体原料供給源220a、第3液体原料供給源220t内の上部に存在する空間に連通しており、この空間内に圧送ガスを供給するようになっている。なお、圧送ガスとしては、液体原料とは反応しないガスを用いることが好ましく、例えばNガス等の不活性ガスが用いられる。
【0034】
また、第1液体原料供給源220h、第2液体原料供給源220a、第3液体原料供給源220tには、第1液体原料供給管211h、第2液体原料供給管211a、第3液体原料供給管211tがそれぞれ接続されている。ここで、第1液体原料供給管211h、第2液体原料供給管211a、第3液体原料供給管211tの上流側端部は、それぞれ第1液体原料供給源220h、第2液体原料供給源220a、第3液体原料供給源220t内に収容した液体原料内に浸されている。また、第1液体原料供給管211h、第2液体原料供給管211a、第3液体原料供給管211tの下流側端部は、液体原料を気化させる気化部としての気化器229h,229a,229tにそれぞれ接続されている。なお、第1液体原料供給管211h、第2液体原料供給管211a、第3液体原料供給管211tには、液体原料の液体供給流量を制御する流量制御器としての液体流量コントローラ(LMFC)221h,221a,221tと、液体原料の供給を制御する開閉弁としてのバルブvh1,va1,vt1と、がそれぞれ設けられている。なお、バルブvh1,va1,vt1は、それぞれ気化器229h,229a,229tの内部に設けられてい
る。
【0035】
上記構成により、バルブvh1,va1,vt1を開くとともに、圧送ガス供給管237h,237a,237tから圧送ガスを供給することにより、第1液体原料供給源220h、第2液体原料供給源220a、第3液体原料供給源220tから気化器229h,229a,229tへ液体原料を圧送(供給)することが可能となる。主に、第1液体原料供給源220h、圧送ガス供給管237h、第1液体原料供給管211h、液体流量コントローラ221h、バルブvh1により第1液体原料供給系(第1液体原料供給ライン)が構成され、主に、第2液体原料供給源220a、圧送ガス供給管237a、第2液体原料供給管211a、液体流量コントローラ221a、バルブva1により第2液体原料供給系(第2液体原料供給ライン)が構成され、主に、第3液体原料供給源220t、圧送ガス供給管237t、第3液体原料供給管211t、液体流量コントローラ221t、バルブvt1により第3液体原料供給系(第3液体原料供給ライン)が構成される。
【0036】
(気化部)
液体原料を気化する気化部としての気化器229h,229a,229tは、液体原料をヒータ23h,23a,23tで加熱して気化させて原料ガスを発生させる気化室20h,20a,20tと、この気化室20h,20a,20t内へ液体原料を吐出するまでの流路である液体原料流路21h,21a,21tと、液体原料の気化室20h,20a,20t内への供給を制御する上述のバルブvh1,va1,vt1と、気化室20h,20a,20tにて発生させた原料ガスを後述する第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213a、第3原料ガス供給管213tへ供給するアウトレットとしての原料ガス供給口22h,22a,22tと、をそれぞれ有している。上述の第1液体原料供給管211h、第2液体原料供給管211a、第3液体原料供給管211tの下流側端部は、それぞれバルブvh1,va1,vt1を介して液体原料流路21h,21a,21tの上流側端部に接続されている。液体原料流路21h,21a,21tには、それぞれキャリアガス供給管24h,24a,24tの下流側端部が接続されており、液体原料流路21h,21a,21tを介して気化室20h,20a,20t内にキャリアガスを供給するように構成されている。キャリアガス供給管24h,24a,24tの上流側端部には、キャリアガスとしてのNガスを供給するためのNガス供給源230cが接続されている。キャリアガス供給管24h,24a,24tには、Nガスの供給流量を制御する流量制御器としての流量コントローラ(MFC)225h,225a,225tと、Nガスの供給を制御するバルブvh2,va2,vt2とが、それぞれ設けられている。主に、Nガス供給源230c、キャリアガス供給管24h,24a,24t、流量コントローラ225h,225a,225t、バルブvh2,va2,vt2によりキャリアガス供給系(キャリアガス供給ライン)が構成される。なお、気化器229h,229a,229tはそれぞれ第1気化部、第2気化部、第3気化部として構成されている。
【0037】
(原料ガス供給系)
上記の気化器229h,229a,229tの原料ガス供給口22h,22a,22tには、処理室201内に原料ガスを供給する第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213a、第3原料ガス供給管213tの上流側端部がそれぞれ接続されている。第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213a、第3原料ガス供給管213tの下流側端部は、合流するように一本化して原料ガス供給管213となり、原料ガス供給管213はガス導入口210に接続されている。第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213a、第3原料ガス供給管213tには、処理室201内への原料ガスの供給を制御するバルブvh3,va3,vt3がそれぞれ設けられている。
【0038】
上記構成により、気化器229h,229a,229tにて液体原料を気化させて原料ガスを発生させるとともに、バルブvh3,va3,vt3を開くことにより、第1原料
ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213a、第3原料ガス供給管213tから原料ガス供給管213を介して処理室201内へと原料ガスを供給することが可能となる。主に、第1原料ガス供給管213h、バルブvh3により、第1原料ガス供給系(第1原料ガス供給ライン)が構成され、主に、第2原料ガス供給管213a、バルブva3により、第2原料ガス供給系(第2原料ガス供給ライン)が構成され、主に、第3原料ガス供給管213t、バルブvt3により、第3原料ガス供給系(第3原料ガス供給ライン)が構成される。また、第1液体原料供給系、第1気化部、第1原料ガス供給系により第1原料供給系(ハフニウム原料供給系)が構成され、第2液体原料供給系、第2気化部、第2原料ガス供給系により第2原料供給系(アルミニウム原料供給系)が構成され、第3液体原料供給系、第3気化部、第3原料ガス供給系により第3原料供給系(チタニウム原料供給系)が構成される。
【0039】
(酸化源供給系)
また、処理室201の外部には、酸化源(酸化性ガス)としての水蒸気(HOガス)を供給するHOガス供給源230oが設けられている。HOガス供給源230oには、HOガス供給管213oの上流側端部が接続されている。HOガス供給管213oには、HOガスの供給流量を制御する流量制御器としての流量コントローラ(MFC)221oが設けられている。
【0040】
Oガス供給管213oの下流側端部は、原料ガス供給管213に合流するように接続されている。すなわち、HOガス供給管213oは、酸化源としてのHOガスを処理室201内に供給するように構成されている。なお、HOガス供給管213oには、処理室201内へのHOガスの供給を制御するバルブvo3が設けられている。
【0041】
上記構成により、流量コントローラ221oにより流量調整しつつ、バルブvo3を開くことにより、処理室201内へ酸化源としてのHOガスを供給することが可能となる。主に、HOガス供給源230o、HOガス供給管213o、流量コントローラ221o、バルブvo3により酸化源供給系(酸化源供給ライン)が構成される。なお、酸化源の代わりに窒化源、例えばアンモニア(NH)ガスを用いる場合は、HOガス供給源230o、HOガス供給管213oを、それぞれNHガス供給源230o、NHガス供給管213oに置き換えればよい。この場合、主に、NHガス供給源230o、NHガス供給管213o、流量コントローラ221o、バルブvo3により、窒化源供給系(窒化源供給ライン)が構成される。
【0042】
(パージガス供給系)
また、処理室201の外部には、パージガスとしてのNガスを供給するためのNガス供給源230pが設けられている。Nガス供給源230pには、パージガス供給管214の上流側端部が接続されている。パージガス供給管214の下流側端部は、4本のライン、すなわち、第1パージガス供給管214h、第2パージガス供給管214a、第3パージガス供給管214t、第4パージガス供給管214oに分岐している。第1パージガス供給管214h、第2パージガス供給管214a、第3パージガス供給管214t、第4パージガス供給管214oの下流側端部は、第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213a、第3原料ガス供給管213t、HOガス供給管213oのバルブvh3,va3,vt3,vo3の下流側にそれぞれ接続されている。なお、第1パージガス供給管214h、第2パージガス供給管214a、第3パージガス供給管214t、第4パージガス供給管214oには、Nガスの供給流量を制御する流量制御器としての流量コントローラ(MFC)224h,224a,224t,224oと、Nガスの供給を制御するバルブvh4,va4,vt4,vo4とが、それぞれ設けられている。主に、Nガス供給源230p、パージガス供給管214、第1パージガス供給管214h、第2パージガス供給管214a、第3パージガス供給管214t、第4パージガス供給
管214o、流量コントローラ224h,224a,224t,224o、バルブvh4,va4,vt4,vo4によりパージガス供給系(パージガス供給ライン)が構成される。
【0043】
(ベント系)
また、第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213a、第3原料ガス供給管213t、HOガス供給管213oのバルブvh3,va3,vt3,vo3の上流側には、第1ベント管215h、第2ベント管215a、第3ベント管215t、第4ベント管215oの上流側端部がそれぞれ接続されている。また、第1ベント管215h、第2ベント管215a、第3ベント管215t、第4ベント管215oの下流側端部は合流するように一本化してベント管215となり、ベント管215は排気管261の原料回収トラップ263よりも上流側に接続されている。第1ベント管215h、第2ベント管215a、第3ベント管215t、第4ベント管215oには、ガスの供給を制御するためのバルブvh5,va5,vt5,vo5がそれぞれ設けられている。
【0044】
上記構成により、バルブvh3,va3,vt3,vo3を閉じ、バルブvh5,va5,vt5,vo5を開くことで、第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213a、第3原料ガス供給管213t、HOガス供給管213o内を流れるガスを、処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスさせ、処理室201外へとそれぞれ排気することが可能となる。
【0045】
また、第1パージガス供給管214h、第2パージガス供給管214a、第3パージガス供給管214t、第4パージガス供給管214oのバルブvh4,va4,vt4,vo4よりも上流側であって流量コントローラ224h,224a,224t,224oよりも下流側には、第5ベント管216h、第6ベント管216a、第7ベント管216t、第8ベント管216oがそれぞれ接続されている。また、第5ベント管216h、第6ベント管216a、第7ベント管216t、第8ベント管216oの下流側端部は合流するように一本化してベント管216となっている。ベント管216は、排気管261の原料回収トラップ263よりも下流側であって真空ポンプ264よりも上流側に接続されている。第5ベント管216h、第6ベント管216a、第7ベント管216t、第8ベント管216oには、ガスの供給を制御するためのバルブvh6,va6,vt6,vo6がそれぞれ設けられている。
【0046】
上記構成により、バルブvh4,va4,vt4,vo4を閉じ、バルブvh6,va6,vt6,vo6を開くことで、第1パージガス供給管214h、第2パージガス供給管214a、第3パージガス供給管214t、第4パージガス供給管214o内を流れるNガスを、処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスさせ、処理室201外へとそれぞれ排気することが可能となる。なお、バルブvh3,va3,vt3,vo3を閉じ、バルブvh5,va5,vt5,vo5を開くことで、第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213a、第3原料ガス供給管213t、HOガス供給管213o内を流れるガスを、処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスさせ、処理室201外へとそれぞれ排気する場合には、バルブvh4,va4,vt4,vo4を開くことにより、第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213a、第3原料ガス供給管213t、HOガス供給管213o内にNガスを導入して、各原料ガス供給管内をパージするように設定されている。また、バルブvh6,va6,vt6,vo6は、バルブvh4,va4,vt4,vo4と逆動作を行うように設定されており、Nガスを各原料ガス供給管内に供給しない場合には、処理室201をバイパスしてNガスを排気するようになっている。主に、第1ベント管215h、第2ベント管215a、第3ベント管215t、第4ベント管215o、ベント管215、第5ベント管216h、第6ベント管216a、第7ベント管216t、第8ベント管216o、
ベント管216、バルブvh5,va5,vt5,vo5、バルブvh6,va6,vt6,vo6によりベント系(ベントライン)が構成される。
【0047】
(コントローラ)
なお、成膜装置40は、成膜装置40の各部の動作を制御するコントローラ280を有している。コントローラ280は、メインコントローラ37により制御されることで、ゲートバルブ44、昇降機構207b、負圧移載機13、ヒータ206、圧力調整器(APC)262、気化器229h,229a,229t、真空ポンプ264、バルブvh1〜vh6,va1〜va6,vt1〜vt6,vo3〜vo6、液体流量コントローラ221h,221a,221t、流量コントローラ225h,225a,225t,221o,224h,224a,224t,224o等の動作を制御する。
【0048】
<第2処理ユニット>
次に、本実施形態に係るクラスタ装置における熱処理装置としての第2処理ユニット32について説明する。本実施の形態においては、第2処理ユニット32は、図5に示されているように、枚葉式コールドウォール型の基板処理装置として構成されており、機能的にはRTP(Rapid Thermal Processing)装置(以下、RTP装置という)110として構成されている。以下、RTP装置110の構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、ウェハ処理時におけるRTP装置110の断面構成図である。
【0049】
図5に示すとおり、RTP装置110は、ウェハ2を処理する処理室111を形成した処理容器としての筐体112を備えている。筐体112は上下面が開口した円筒形状に形成されたチューブ113と、チューブ113の上面開口部を閉塞する円盤形状のトッププレート114と、チューブ113の下面開口部を閉塞する円盤形状のボトムプレート115と、が組み合わされて円筒中空体形状に構築されている。チューブ113の側壁の一部には、排気口116が処理室111の内外を連通するように開設されている。排気口116には、処理室111内を大気圧未満(以下、負圧という)に排気し得る排気装置が接続されている。チューブ113の側壁の排気口116と反対側の位置には、ウェハ2を処理室111内に搬入搬出するウェハ搬入搬出口117が開設されており、ウェハ搬入搬出口117はゲートバルブ118によって開閉されるようになっている。
【0050】
ボトムプレート115の下面の中心線上には昇降駆動装置119が設置されている。昇降駆動装置119は、ボトムプレート115に挿通されてボトムプレート115に対して上下方向に摺動自在に構成された昇降軸120を昇降させるように構成されている。昇降軸120の上端には昇降板121が水平に固定されており、昇降板121の上面には複数本(通常は3本または4本)のリフタピン122が垂直に立脚されて固定されている。各リフタピン122は昇降板121の昇降に伴って昇降することにより、ウェハ2を下から水平に支持して昇降させるようになっている。
【0051】
ボトムプレート115の上面における昇降軸120の外側には支持筒123が突設されている。支持筒123の上端面の上には冷却プレート124が水平に架設されている。冷却プレート124の上方には、複数本の加熱ランプから構成された第1加熱ランプ群125および第2加熱ランプ群126が下から順に配置されて、それぞれ水平に架設されている。第1加熱ランプ群125および第2加熱ランプ群126は、第1支柱127および第2支柱128によってそれぞれ水平に支持されている。第1加熱ランプ群125および第2加熱ランプ群126の電力供給電線129は、ボトムプレート115を挿通して外部に引き出されている。
【0052】
処理室111内には、タレット131が処理室111と同心円に配置されている。タレ
ット131は、内歯平歯車133の上面に同心円に固定されている。内歯平歯車133は、ボトムプレート115に介設されたベアリング132によって水平に支承されている。内歯平歯車133には原動側平歯車134が噛合されている。原動側平歯車134は、ボトムプレート115に介設されたベアリング135によって水平に支承され、ボトムプレート115の下に設置されたサセプタ回転装置136によって回転駆動されるようになっている。タレット131の上端面の上には、平板の円形リング形状に形成されたアウタプラットホーム137が水平に架設されている。アウタプラットホーム137の内側には、インナプラットホーム138が水平に架設されている。インナプラットホーム138の内周の下端部には、サセプタ140が、内周面の下端部に径方向内向きに突設された係合部139に係合されて保持されている。サセプタ140の各リフタピン122に対向する位置には、挿通孔141がそれぞれ開設されている。
【0053】
トッププレート114には、アニールガス供給管142および不活性ガス供給管143が処理室111に連通するようにそれぞれ接続されている。また、トッププレート114には、放射温度計のプローブ144が複数本、互いに半径方向にウェハ2の中心から周辺にかけてずらされてそれぞれ配置され、ウェハ2の上面と対向するように挿入されている。放射温度計は、複数本のプローブ144がそれぞれ検出したウェハ2からの放射光に基づく計測温度を、コントローラ150に逐次送信するように構成されている。コントローラ150は、複数本のプローブ144による計測温度と設定温度とを比較し、第1加熱ランプ群125および第2加熱ランプ群126への電力供給量を制御する。
【0054】
トッププレート114の他の場所には、ウェハ2の放射率を非接触にて測定する放射率測定装置145が設置されている。放射率測定装置145は、リファレンスプローブ146を備えている。リファレンスプローブ146は、リファレンスプローブ用モータ147によって垂直面内で回転されるようになっている。リファレンスプローブ146の上側には、参照光を照射するリファレンスランプ148がリファレンスプローブ146の先端に対向するように設置されている。リファレンスプローブ146は、リファレンスランプ148からの放射と、ウェハ2からの放射とを比較することにより、ウェハ2の温度を測定する。なお、複数本のプローブ144により測定されたウェハ温度は、リファレンスプローブ146により測定されたウェハ温度と比較され、補正されることでより正確なウェハ温度の検出を可能としている。
【0055】
コントローラ150は、RTP装置110の各部の動作を制御する。なお、コントローラ150は、メインコントローラ37により制御される。
【0056】
(2)基板処理工程
次に、前記構成に係るクラスタ装置10を使用して、半導体装置の製造工程の一工程として、ウェハ2を処理する方法(基板処理工程)について説明する。ここでは、キャパシタの下部電極としての窒化チタン膜(TiN膜)が表面に形成されたウェハ2に対して処理を施す例について説明する。なお、以下の説明において、クラスタ装置10を構成する各部の動作はメインコントローラ37により制御される。
【0057】
クラスタ装置10の載置台25上に載置されたポッド1のキャップが、キャップ着脱機構26によって取り外され、ポッド1のウェハ出し入れ口が開放される。ポッド1が開放されると、正圧移載室16に設置された正圧移載機19は、ウェハ搬入搬出口を通してポッド1からウェハ2を1枚ずつピックアップし、搬入室14内に投入し、搬入室用仮置き台上に載置していく。この移載作業中には、搬入室14の正圧移載室16側はゲートバルブ17Aによって開かれており、また、搬入室14の負圧移載室11側はゲートバルブ17Bによって閉じられており、負圧移載室11内の圧力は、例えば、100Paに維持されている。
【0058】
搬入室14の正圧移載室16側がゲートバルブ17Aによって閉じられ、搬入室14が排気装置によって負圧に排気される。搬入室14内が予め設定された圧力値に減圧されると、搬入室14の負圧移載室11側がゲートバルブ17Bによって開かれる。次に、負圧移載室11の負圧移載機13は、搬入室用仮置き台からウェハ2を1枚ずつピックアップして負圧移載室11内に搬入する。その後、搬入室14の負圧移載室11側がゲートバルブ17Bによって閉じられる。続いて、第1処理ユニット31のゲートバルブ44が開かれ、負圧移載機13は、ウェハ2を第1処理ユニット31の処理室201内へ搬入(ウェハロード)する。なお、処理室201内へのウェハ2の搬入に際しては、搬入室14内および負圧移載室11内が予め真空排気されているため、処理室201内に酸素や水分が侵入することは確実に防止される。
【0059】
<第1高誘電率絶縁膜を形成する工程>
次に、第1処理ユニット31としての成膜装置40及び第2処理ユニット32としてのRTP装置110を使用して、ウェハ2上に形成された下部電極上に、立方晶もしくは斜方晶の結晶性を持つ第1の高誘電率絶縁膜を形成する工程について、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の実施形態にかかる成膜工程のフロー図である。本工程は、図2中のS1〜S9に対応する。
【0060】
ここでは、まず、Hf原料としてHfプリカーサであるTDMAHf(Tetrakis−Dimethyl−Amino−Hafnium : Hf[N(CH)を、酸化源としてHOを用いて、下部電極としてのTiN膜上に、HfO膜をALD法によって成膜する。その後、Al原料としてAlプリカーサであるTMA(Tri−Methyl−aluminium : Al(CH)を、酸化源としてHOを用いて、上述のHfO膜上に、Al膜をALD法によって成膜する。そして、このHfO膜の成膜とAl膜の成膜とを交互に繰り返して、HfO膜とAl膜との積層膜を形成する。そして、HfO膜とAl膜との積層膜を熱処理(アニール)し、その後に急冷することにより、立方晶の結晶性を持つ第1の高誘電率絶縁膜(Alが添加されたHfO膜、すなわちハフニウムよりもイオン半径の小さいアルミニウムがHfO膜中に添加されたHfO膜であり、以下、HfAlO膜とも呼ぶ)を形成する。
【0061】
なお、HfO膜の形成及びAl膜の形成は、第1処理ユニット31としての成膜装置40を用いて行う。また、熱処理工程は、第2処理ユニット32としてのRTP装置110を用いて行う。なお、以下の説明において、成膜装置40を構成する各部の動作はコントローラ280により制御され、RTP装置110を構成する各部の動作はコントローラ150により制御される。また、コントローラ280,150の動作はメインコントローラ37により制御される。
【0062】
〔ウェハロード工程(S1)〕
まず、昇降機構207bを作動させ、支持台203を、図4に示すウェハ搬送位置まで下降させる。そして、上述のようにゲートバルブ44を開き、処理室201と負圧移載室11とを連通させる。そして、上述のように負圧移載機13により負圧移載室11内から処理室201内へウェハ2を搬送アーム13aで支持した状態でロードする(S1)。処理室201内に搬入したウェハ2は、支持台203の上面から突出しているリフトピン208b上に一時的に載置される。負圧移載機13の搬送アーム13aが処理室201内から負圧移載室11内へ戻ると、ゲートバルブ44が閉じられる。
【0063】
続いて、昇降機構207bを作動させ、支持台203を、図3に示すウェハ処理位置まで上昇させる。その結果、リフトピン208bは支持台203の上面から埋没し、ウェハ
2は、支持台203上面のサセプタ217上に載置される。
【0064】
〔プレヒート工程(S2)〕
続いて、圧力調整器262により、処理室201内の圧力が所定の処理圧力となるように制御する。また、ヒータ206に供給する電力を調整し、ウェハ温度を昇温させ、ウェハ2の表面温度が所定の処理温度となるように制御する。
【0065】
なお、ウェハロード工程(S1)、プレヒート工程(S2)および後述するウェハアンロード工程(S5)においては、真空ポンプ264を作動させつつ、バルブvh3,va3,vt3,vo3を閉じ、バルブvh4,va4,vt4,vo4を開くことで、処理室201内にNガスを常に流し、処理室201内をN雰囲気としておく。これにより、ウェハ2上へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。なお、真空ポンプ264は、少なくともウェハロード工程(S1)から後述のウェハアンロード工程(S5)までの間は、常に作動させた状態とする。
【0066】
工程S1〜S2と並行して、液体原料(Hf原料)であるTDMAHfを気化させた原料ガス(Hf原料ガス)、すなわちTDMAHfガスを生成(予備気化)させておく。すなわち、バルブvh3を閉じたまま、バルブvh2を開き、気化器229hへキャリアガスを供給しつつ、バルブvh1を開くとともに、圧送ガス供給管237hから圧送ガスを供給して、液体原料供給源220hから気化器229hへ液体原料を圧送(供給)し、気化器229hにて液体原料を気化させて原料ガスを生成させておく。この予備気化工程では、真空ポンプ264を作動させつつ、バルブvh3を閉じたまま、バルブvh5を開くことにより、原料ガスを処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスして排気しておく。
【0067】
また、このとき、酸化源(酸化性ガス)としてのHOガスも生成させた状態としておく。すなわち、真空ポンプ264を作動させつつ、バルブvo3を閉じたまま、バルブvo5を開くことにより、HOガスを処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスして排気しておく。
【0068】
また、このとき、液体原料(Al原料)であるTMAを気化させた原料ガス(Al原料ガス)、すなわちTMAガスを生成(予備気化)させておくことが好ましい。すなわち、バルブva3を閉じたまま、バルブva2を開き、気化器229aへキャリアガスを供給しつつ、バルブva1を開くとともに、圧送ガス供給管237aから圧送ガスを供給して、液体原料供給源220aから気化器229aへ液体原料を圧送(供給)し、気化器229aにて液体原料を気化させて原料ガスを生成させておくことが好ましい。この予備気化工程では、真空ポンプ264を作動させつつ、バルブva3を閉じたまま、バルブva5を開くことにより、原料ガスを処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスして排気しておく。
【0069】
気化器229h,229aにて原料ガス(TDMAHfガス、TMAガス)を安定した状態で生成させたり、HOガス供給源230oにてHOガスを安定した状態で生成させたりするには所定の時間を要する。すなわち、原料ガスやHOガスの生成初期は、これらが不安定な状態で供給される。このため、本実施形態では、原料ガス、HOガスを予め生成させておくことで安定供給可能な状態としておき、バルブvh3,vh5,va3,va5,vo3,vo5の開閉を切り替えることにより、原料ガス、HOガスの流路を切り替える。その結果、バルブの切り替えにより、処理室201内への原料ガス、HOガスの安定した供給を迅速に開始あるいは停止出来るようになり、好ましい。
【0070】
〔HfO膜とAl膜との積層膜の形成工程(S3)〕
〔HfO膜形成工程(S3a〜S3e)〕
〔TDMAHf供給工程(S3a)〕
続いて、バルブvh4,vh5を閉じ、バルブvh3を開いて、処理室201内への原料ガスとしてのTDMAHfガスの供給、すなわち、ウェハ2へのTDMAHfガスの照射を開始する。TDMAHfガスは、シャワーヘッド240により分散されて処理室201内のウェハ2上に均一に供給される。余剰なTDMAHfガスは、排気ダクト259内を流れ、排気口260へと排気される。なお、処理室201内へのTDMAHfガスの供給時には、第2原料ガス供給管213a、第3原料ガス供給管213t、HOガス供給管213o内へのTDMAHfガスの侵入を防止するように、また、処理室201内におけるTDMAHfガスの拡散を促すように、バルブva4,vt4,vo4は開いたままとし、処理室201内にNガスを常に流しておくことが好ましい。バルブvh3を開き、TDMAHfガスの供給を開始した後、所定時間が経過したら、バルブvh3を閉じ、バルブvh4,vh5を開いて、処理室201内へのTDMAHfガスの供給を停止する。
【0071】
〔パージ工程(S3b)〕
バルブvh3を閉じ、処理室201内へのTDMAHfガスの供給を停止した後は、バルブvh4,va4,vt4,vo4は開いたままとし、処理室201内へのNガスの供給を継続して行う。Nガスは、シャワーヘッド240を介して処理室201内に供給され、排気ダクト259内を流れ、排気口260へと排気される。このようにして、処理室201内をNガスによりパージし、処理室201内に残留しているTDMAHfガスを除去する。
【0072】
〔HO供給工程(S3c)〕
処理室201内のパージが完了したら、バルブvo4,vo5を閉じ、バルブvo3を開いて、処理室201内への酸化源としてのHOガスの供給、すなわち、ウェハ2へのHOガスの照射を開始する。HOガスは、シャワーヘッド240により分散されて処理室201内のウェハ2上に均一に供給される。余剰なHOガスは、排気ダクト259内を流れ、排気口260へと排気される。なお、処理室201内へのHOガスの供給時には、第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213a、第3原料ガス供給管213t内へのHOガスの侵入を防止するように、また、処理室201内におけるHOガスの拡散を促すように、バルブvh4,va4,vt4は開いたままとし、処理室201内にNガスを常に流しておくことが好ましい。バルブvo3を開き、HOガスの供給を開始した後、所定時間が経過したら、バルブvo3を閉じ、バルブvo4,vo5を開いて、処理室201内へのHOガスの供給を停止する。
【0073】
〔パージ工程(S3d)〕
バルブvo3を閉じ、処理室201内へのHOガスの供給を停止した後は、バルブvh4,va4,vt4,vo4は開いたままとし、処理室201内へのNガスの供給を継続して行う。Nガスは、シャワーヘッド240を介して処理室201内に供給され、排気ダクト259内を流れ、排気口260へと排気される。このようにして、処理室201内をNガスによりパージし、処理室201内に残留しているHOガスや反応副生成物を除去する。
【0074】
〔所定回数実施工程(S3e)〕
そして、工程S3a〜S3dまでを1サイクルとしてこのサイクルを所定回数(n回)行うことにより、ウェハ2上(下部電極であるTiN膜上)に、ハフニウムを含む所定膜厚のHfO膜が初期層として形成される。
【0075】
〔Al膜形成工程(S3f〜S3j)〕
〔TMA供給工程(S3f)〕
続いて、バルブva4,va5を閉じ、バルブva3を開いて、処理室201内への原料ガスとしてのTMAガスの供給、すなわち、ウェハ2へのTMAガスの照射を開始する。TMAガスは、シャワーヘッド240により分散されて処理室201内のウェハ2上に均一に供給される。余剰なTMAガスは、排気ダクト259内を流れ、排気口260へと排気される。なお、処理室201内へのTMAガスの供給時には、第1原料ガス供給管213h、第3原料ガス供給管213t、HOガス供給管213o内へのTMAガスの侵入を防止するように、また、処理室201内におけるTMAガスの拡散を促すように、バルブvh4,vt4,vo4は開いたままとし、処理室201内にNガスを常に流しておくことが好ましい。バルブva3を開き、TMAガスの供給を開始した後、所定時間が経過したら、バルブva3を閉じ、バルブva4,va5を開いて、処理室201内へのTMAガスの供給を停止する。
【0076】
〔パージ工程(S3g)〕
バルブva3を閉じ、処理室201内へのTMAガスの供給を停止した後は、バルブvh4,va4,vt4,vo4は開いたままとし、処理室201内へのNガスの供給を継続して行う。Nガスは、シャワーヘッド240を介して処理室201内に供給され、排気ダクト259内を流れ、排気口260へと排気される。このようにして、処理室201内をNガスによりパージし、処理室201内に残留しているTMAガスを除去する。
【0077】
〔HO供給工程(S3h)〕
続いて、HfO膜形成工程(S3a〜S3e)におけるHO供給工程(S3c)と同様に、ウェハ2へのHOガスの照射を行う。
【0078】
〔パージ工程(S3i)〕
その後、HfO膜形成工程(S3a〜S3e)におけるパージ工程(S3d)と同様に、処理室201内のパージを行う。
【0079】
〔所定回数実施工程(S3j)〕
そして、工程S3f〜S3iまでを1サイクルとしてこのサイクルを所定回数(m回)行うことにより、ウェハ2上に形成されたHfO膜上に、アルミニウムを含む所定膜厚のAl膜が形成される。
【0080】
〔所定回数実施工程(S3k)〕
そして、HfO膜形成工程(S3a〜S3e)とAl膜形成工程(S3f〜S3j)とを交互に所定回数行うことで、HfO膜とAl膜との積層膜を形成する。
【0081】
なお、HfO膜形成工程(S3a〜S3e)をALD法により行う場合には、処理温度(ウェハ温度)をTDMAHfガスが自己分解しない程度の温度帯となるように制御する。この場合、TDMAHf供給工程(S3a)においては、TDMAHfはウェハ2上に吸着する。HO供給工程(S3c)においては、ウェハ2上に吸着したTDMAHfとHOとが反応することによりウェハ2上に1原子層未満のHfO膜が形成される。
【0082】
Al膜形成工程(S3f〜S3j)をALD法により行う場合には、処理温度(ウェハ温度)をTMAガスが自己分解しない程度の温度帯となるように制御する。この場合、TMA供給工程(S3f)においては、TMAはウェハ2上に吸着する。HO供給工程(S3h)においては、ウェハ2上に吸着したTMAとHOとが反応することによりウェハ2上に1原子層未満のAl膜が形成される。
【0083】
本実施形態の成膜装置にて、ALD法により、HfO膜を形成する際の処理条件としては、ウェハ温度:100〜400℃、処理室内圧力:1〜1000Pa、TDMAHf供給流量:10〜2000sccm、HO供給流量:10〜2000sccm、N(パージガス)供給流量:10〜10000sccm、膜厚:4〜5nmが例示される。
【0084】
本実施形態の成膜装置にて、ALD法により、Al膜を形成する際の処理条件としては、ウェハ温度:100〜400℃、処理室内圧力:1〜1000Pa、TMA供給流量:10〜2000sccm、HO供給流量:10〜2000sccm、N(パージガス)供給流量:10〜10000sccm、膜厚:0.2〜1.0nmが例示される。
【0085】
〔残留ガス排気工程(S4)〕
所定膜厚の絶縁膜(HfO膜とAl膜との積層膜)が形成されたら、処理室201内を真空排気する。もしくは処理室201内に不活性ガスを供給しつつ処理室201内を真空排気してパージする。その後、処理室201内の雰囲気を不活性ガスに置換する。
【0086】
〔ウェハアンロード工程(S5)〕
その後、上述したウェハロード工程(S1)に示した手順とは逆の手順により、所定膜厚の絶縁膜(HfO膜とAl膜との積層膜)が形成された後のウェハ2が、処理室201内から負圧移載室11内へ搬出される。その後、ゲートバルブ44が閉じられる。
【0087】
〔ウェハロード工程(S6)〕
ウェハアンロード工程(S5)にてゲートバルブ44が閉じられた後に、ゲートバルブ118が開かれる。ゲートバルブ118が開かれると、熱処理工程を施すべきウェハ2は、第2処理ユニット32であるRTP装置110の処理室111内に負圧移載機13によってウェハ搬入搬出口117から搬入され、複数本のリフタピン122の上端間に移載される。ウェハ2をリフタピン122に移載した負圧移載機13が処理室111の外へ退避すると、ウェハ搬入搬出口117がゲートバルブ118により閉じられる。また、昇降軸120が昇降駆動装置119によって下降されることにより、リフタピン122の上のウェハ2がサセプタ140の上に受け渡される。処理室111が気密に閉じられた状態で、処理室111内は例えば1〜1000Paの範囲内の所定の圧力となるように排気口116を通じて排気される。
【0088】
〔昇温工程(S7)及び熱処理工程(S8)〕
ウェハ2がサセプタ140に受け渡されると、ウェハ2をサセプタ140によって保持したタレット131が、サセプタ回転装置136によって回転させられる。
【0089】
サセプタ140に保持されたウェハ2は、サセプタ回転装置136によって回転させられながら、例えば400〜700℃の範囲内の所定の温度、好ましくはHfO膜形成工程(S3a〜S3e)、Al膜形成工程(S3f〜S3j)におけるウェハ温度よりも高い温度となるように、第1加熱ランプ群125および第2加熱ランプ群126によって加熱される。この回転および加熱中に、処理室111内に、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスがアニールガス供給管142から供給される。このとき不活性ガス供給流量は、例えば10〜10000sccmの範囲内の所定の流量となるように制御される。
【0090】
サセプタ140がサセプタ回転装置136によって回転させられながら、サセプタ140の上に保持されたウェハ2は第1加熱ランプ群125および第2加熱ランプ群126によって均一に加熱されるため、ウェハ2上に形成された所定膜厚の絶縁膜(HfO膜と
Al膜との積層膜)は全面にわたって均一にアニールされる。そして、このアニールによりHfO膜中にAlが添加される。すなわち、ハフニウムよりもイオン半径の小さいアルミニウムがHfO膜中に添加される。
【0091】
そして、所定時間(例えば1〜60秒間の範囲内)経過後、第1加熱ランプ群125および第2加熱ランプ群126によるウェハ2の加熱が終了され、ウェハ2が急冷される。この熱処理工程(S8)における一連の処理によりAlが添加されたHfO膜が結晶化し、立方晶の結晶性、すなわち、後述する形成しようとする第2の高誘電率絶縁膜(TiO膜)の結晶構造(ルチル構造)に近い結晶性を持つ第1の高誘電率絶縁膜(HfAlO膜)が形成される。
【0092】
なお、結晶化されたHfO膜の体積は、Alが添加されることによって減少する。これは、ハフニウムよりもイオン半径の小さいアルミニウムがHfO膜中に添加されることによって、HfO膜の結晶の格子間距離が縮小することによる。図11(a)は、HfO膜の結晶(立方晶)構造を示す模式図であり、図11(b)は、HfAlO膜の結晶(立方晶)構造を示す模式図である。図11(a)に示すように、Alを添加することなくHfO膜を結晶化させた場合、HfO膜の結晶の格子間距離は5.09Åになる。これに対し、図11(b)に示すように、Alが添加されたHfO膜(HfAlO膜)の結晶の格子間距離は、Alが添加されていないHfO膜の結晶の格子間距離(5.09Å)よりも縮小する。すなわち、ハフニウム(Hf)よりもイオン半径の小さいアルミニウム(Al)を添加することによって、第1の高誘電率絶縁膜(HfAlO膜)の格子間距離が、形成しようとする第2の高誘電率絶縁膜(TiO膜)の結晶構造(ルチル構造)の格子間距離(4.59Å)に近づくことになる。
【0093】
なお、HfAlO膜中におけるハフニウムとアルミニウムとの濃度比率は、所定回数実施工程(S3e)におけるALDサイクルの実施回数(n回)と、所定回数実施工程(S3j)におけるALDサイクルの実施回数(m回)と、の比率を変化させることによって適宜調整することが可能である。HfAlO膜中におけるアルミニウムの濃度を、例えば数原子%程度とすることで、第1の高誘電率絶縁膜(HfAlO膜)の格子間距離を、TiO膜のルチル構造の格子間距離(4.59Å)に近づけることが可能となる。
【0094】
〔ウェハアンロード工程(S9)〕
熱処理工程(S8)の終了後、処理室111内が排気口116より所定の負圧となるように排気された後に、ゲートバルブ118が開かれる。そして、アニールが施されたウェハ2は、負圧移載機13によって搬入時と逆の手順で処理室111内から負圧移載室11内に搬出される。このときのウェハ2の温度は、例えば300〜400℃程度であるが、負圧移載室11内が真空下にあり、酸素分圧が低く不活性ガス雰囲気であるため、第1の高誘電率絶縁膜(HfAlO膜)に対する酸素の供給は抑制される。ウェハ搬出後、ゲートバルブ118が閉じられる。
【0095】
<第2高誘電率絶縁膜を形成してルチル構造とする工程>
次に、第1処理ユニット31としての成膜装置40及び第2処理ユニット32としてのRTP装置110を使用して、第1の高誘電率絶縁膜としてのHfAlO膜上に第2の高誘電率絶縁膜としてのTiO膜を形成し、HfAlO膜の結晶性をTiO膜に反映させて、TiO膜の結晶性をルチル構造とする工程について説明する。本工程は、図2中のS10〜S18に対応する。
【0096】
ここでは、Ti原料としてTiプリカーサであるTDMATi(Tetrakis−Dimethyl−Amino−Titanium : Ti[N(CH)を、酸化源としてHOを用いて、上述の第1の高誘電率絶縁膜(HfAlO膜)上に、第2
の高誘電率絶縁膜としてのTiO膜をALD法によって成膜する。そして、TiO膜を熱処理し、HfAlO膜の結晶性をTiO膜に反映させ、TiO膜の結晶性をルチル構造とする。
【0097】
なお、TiO膜の形成は、第1処理ユニット31としての成膜装置40を用いて行う。また、熱処理工程は、第2処理ユニット32としてのRTP装置110を用いて行う。なお、以下の説明においても、成膜装置40を構成する各部の動作はコントローラ280により制御され、RTP装置110を構成する各部の動作はコントローラ150により制御される。また、コントローラ280,150の動作はメインコントローラ37により制御される。
【0098】
〔ウェハロード工程(S10)〕
ウェハロード工程(S1)と同様に、第1の高誘電率絶縁膜(HfAlO膜)が形成されたウェハ2が、負圧移載室11内から処理室201内へ搬入され、支持台203上面のサセプタ217上に載置される。
【0099】
〔プレヒート工程(S11)〕
続いて、ウェハロード工程(S2)と同様に、処理室201内の圧力が所定の処理圧力となるように、また、ウェハ2の表面温度が所定の処理温度となるように制御する。
【0100】
なお、ウェハロード工程(S10)、プレヒート工程(S11)および後述するウェハアンロード工程(S14)においては、真空ポンプ264を作動させつつ、バルブvh3,va3,vt3,vo3を閉じ、バルブvh4,va4,vt4,vo4を開くことで、処理室201内にNガスを常に流し、処理室201内をN雰囲気としておく。これにより、ウェハ2上へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。なお、真空ポンプ264は、少なくともウェハロード工程(S10)から後述のウェハアンロード工程(S14)までの間は、常に作動させた状態とする。
【0101】
工程S10〜S11と並行して、液体原料(Ti原料)であるTDMATiを気化させた原料ガス(Ti原料ガス)、すなわちTDMATiガスを生成(予備気化)させておく。すなわち、バルブvt3を閉じたまま、バルブvt2を開き、気化器229tへキャリアガスを供給しつつ、バルブvt1を開くとともに、圧送ガス供給管237tから圧送ガスを供給して、液体原料供給源220tから気化器229tへ液体原料を圧送(供給)し、気化器229tにて液体原料を気化させて原料ガスを生成させておく。この予備気化工程では、真空ポンプ264を作動させつつ、バルブvt3を閉じたまま、バルブvt5を開くことにより、原料ガスを処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスして排気しておく。
【0102】
また、このとき、酸化源(酸化性ガス)としてのHOガスも生成させた状態としておく。すなわち、真空ポンプ264を作動させつつ、バルブvo3を閉じたまま、バルブvo5を開くことにより、HOガスを処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスして排気しておく。
【0103】
気化器229tにて原料ガス(TDMATiガス)を安定した状態で生成させたり、HOガス供給源230oにてHOガスを安定した状態で生成させたりするには所定の時間を要する。すなわち、原料ガスやHOガスの生成初期は、これらが不安定な状態で供給される。このため、本実施形態では、原料ガス、HOガスを予め生成させておくことで安定供給可能な状態としておき、バルブvt3,vt5,vo3,vo5の開閉を切り替えることにより、原料ガス、HOガスの流路を切り替える。その結果、バルブの切り替えにより、処理室201内への原料ガス、HOガスの安定した供給を迅速に開始ある
いは停止出来るようになり、好ましい。
【0104】
〔TiO膜形成工程(S12a〜S12e)〕
〔TDMAHf供給工程(S12a)〕
続いて、バルブvt4,vt5を閉じ、バルブvt3を開いて、処理室201内への原料ガスとしてのTDMATiガスの供給、すなわち、ウェハ2へのTDMATiガスの照射を開始する。TDMATiガスは、シャワーヘッド240により分散されて処理室201内のウェハ2上に均一に供給される。余剰なTDMATiガスは、排気ダクト259内を流れ、排気口260へと排気される。なお、処理室201内へのTDMATiガスの供給時には、第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213a、HOガス供給管213o内へのTDMATiガスの侵入を防止するように、また、処理室201内におけるTDMATiガスの拡散を促すように、バルブvh4,va4,vo4は開いたままとし、処理室201内にNガスを常に流しておくことが好ましい。バルブvt3を開き、TDMATiガスの供給を開始した後、所定時間が経過したら、バルブvt3を閉じ、バルブvt4,vt5を開いて、処理室201内へのTDMATiガスの供給を停止する。
【0105】
〔パージ工程(S12b)〕
バルブvt3を閉じ、処理室201内へのTDMATiガスの供給を停止した後は、バルブvh4,va4,vt4,vo4は開いたままとし、処理室201内へのNガスの供給を継続して行う。Nガスは、シャワーヘッド240を介して処理室201内に供給され、排気ダクト259内を流れ、排気口260へと排気される。このようにして、処理室201内をNガスによりパージし、処理室201内に残留しているTDMATiガスを除去する。
【0106】
〔HO供給工程(S12c)〕
続いて、HfO膜形成工程(S3a〜S3e)におけるHO供給工程(S3c)と同様に、ウェハ2へのHOガスの照射を行う。
【0107】
〔パージ工程(S12d)〕
その後、HfO膜形成工程(S3a〜S3e)におけるパージ工程(S3d)と同様に、処理室201内のパージを行う。
【0108】
〔所定回数実施工程(S12e)〕
そして、工程S12a〜S12dまでを1サイクルとしてこのサイクルを所定回数行うことにより、ウェハ2上に形成された第1の高誘電率絶縁膜としてのHfAlO膜上に、第2の高誘電率絶縁膜としてのチタニウムを含む所定膜厚のTiO膜が形成される。
【0109】
なお、TiO膜形成工程(S12a〜S12e)をALD法により行う場合には、処理温度(ウェハ温度)をTDMATiガスが自己分解しない程度の温度帯となるように制御する。この場合、TDMATi供給工程(S12a)においては、TDMATiはウェハ2上に吸着する。HO供給工程(S12c)においては、ウェハ2上に吸着したTDMATiとHOとが反応することによりウェハ2上に1原子層未満のTiO膜が形成される。
【0110】
本実施形態の成膜装置にて、ALD法により、第2の高誘電率絶縁膜としてのTiO膜を形成する際の処理条件としては、ウェハ温度:100〜500℃、処理室内圧力:1〜1000Pa、TDMATi供給流量:10〜2000sccm、HO供給流量:10〜2000sccm、N(パージガス)供給流量:10〜10000sccm、膜厚:6〜8nmが例示される。
【0111】
〔残留ガス排気工程(S13)〕
所定膜厚のTiO膜が形成されたら、残留ガス排気工程(S4)と同様に、処理室201内を真空排気するか、処理室201内に不活性ガスを供給しつつ処理室201内を真空排気してパージする。その後、処理室201内の雰囲気を不活性ガスに置換する。
【0112】
〔ウェハアンロード工程(S14)〕
その後、上述したウェハアンロード工程(S5)と同様に、所定膜厚のTiO膜が形成された後のウェハ2が、処理室201内から負圧移載室11内へ搬出される。
【0113】
〔ウェハロード工程(S15)〕
その度、上述したウェハロード工程(S6)と同様に、熱処理工程を施すべきウェハ2は、第2処理ユニット32であるRTP装置110の処理室111内に搬入され、サセプタ140の上に受け渡される。そして、処理室111が気密に閉じられた状態で、処理室111内は例えば1〜1000Paの範囲内の所定の圧力となるように排気口116を通じて排気される。
【0114】
〔昇温工程(S16)及び熱処理工程(S17)〕
ウェハ2がサセプタ140に受け渡されると、ウェハ2をサセプタ140によって保持したタレット131が、サセプタ回転装置136によって回転させられる。
【0115】
サセプタ140に保持されたウェハ2は、サセプタ回転装置136によって回転させられながら、例えば400〜700℃の範囲内の所定の温度、好ましくはTiO膜形成工程(S12a〜S12e)におけるウェハ温度よりも高い温度となるように、第1加熱ランプ群125および第2加熱ランプ群126によって加熱される。この回転および加熱中に、処理室111内に、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスがアニールガス供給管142から供給される。このとき不活性ガス供給流量は、例えば10〜10000sccmの範囲内の所定の流量となるように制御される。
【0116】
サセプタ140がサセプタ回転装置136によって回転させられながら、サセプタ140の上に保持されたウェハ2は第1加熱ランプ群125および第2加熱ランプ群126によって均一に加熱されるため、ウェハ2上に形成された所定膜厚のTiO膜は全面にわたって均一にアニールされる。
【0117】
そして、所定時間(例えば1〜60秒間の範囲内)経過後、第1加熱ランプ群125および第2加熱ランプ群126によるウェハ2の加熱が終了され、ウェハ2が急冷される。この熱処理工程(S17)における一連の処理によりTiO膜が結晶化する。このとき、下層膜であるHfAlO膜の結晶性がTiO膜に反映され、TiO膜の結晶の格子間距離が立方晶のHfAlO膜の結晶の格子間距離に近くなり、TiO膜の結晶性がルチル構造となる。図10は、TiO膜の結晶構造(ルチル構造)を示す模式図である。TiO膜の結晶性をこのようなルチル構造とすることで、TiO膜の誘電率を増大させることができる。
【0118】
なお、図10に示すように、ルチル構造を有するTiO膜の結晶の格子間距離は4.59Åであり、Alが添加されていないHfO膜の結晶の格子間距離(5.09Å)よりも小さい。そのため、Alを添加することなく結晶化させたHfO膜(格子間距離が5.09Åである立方晶からなるHfO膜)をTiO膜の下層膜(下地膜)とすると、TiO膜の結晶構造がルチル構造にならない場合がある。すなわち、上述の熱処理工程(S17)を実施しても、TiO膜と下層膜との格子間距離の不一致により、TiO膜の結晶構造がルチル構造にならない場合がある。
【0119】
これに対し、本実施形態では、HfO膜中にAlを添加することで、すなわち、ハフニウムよりもイオン半径の小さいアルミニウムをHfO膜中に添加することによって、TiO膜の下層膜(下地膜)である第1の高誘電率膜(HfAlO膜)の格子間距離を縮小させて、ルチル構造を有するTiO膜の格子間距離に近づけるようにしている。このように、TiO膜と下層膜との格子間距離の不一致を減少させることで、下層膜であるHfAlO膜の結晶性がTiO膜に反映されやすくなり、TiO膜の結晶性をより確実にルチル構造にすることが可能となる。そして、TiO膜の誘電率をより確実に増大させることが可能となる。
【0120】
〔ウェハアンロード工程(S18)〕
熱処理工程(S17)の終了後、上述したウェハアンロード工程(S9)と同様に、アニールが施されたウェハ2は、処理室111内から負圧移載室11内に搬出される。このときのウェハ2の温度は、例えば300〜400℃程度であるが、負圧移載室11内が真空下にあり、酸素分圧が低く不活性ガス雰囲気であるため、第2の高誘電率絶縁膜(TiO膜)に対する酸素の供給は抑制される。
【0121】
なお、熱処理工程(S17)実施後のウェハ2は、必要に応じて、第1クーリングユニット35または第2クーリングユニット36により冷却される場合もある。
【0122】
その後、搬出室15の負圧移載室11側がゲートバルブ18Bによって開かれ、負圧移載機13は、ウェハ2を負圧移載室11内から搬出室15内へ搬送し、搬出室15の搬出室用仮置き台の上に移載する。この際には、事前に、搬出室15の正圧移載室16側がゲートバルブ18Aによって閉じられ、搬出室15が排気装置により負圧に排気される。搬出室15が予め設定された圧力値に減圧されると、搬出室15の負圧移載室11側がゲートバルブ18Bによって開かれ、ウェハ2の搬出が行われることとなる。ウェハ2の搬出後に、ゲートバルブ18Bは閉じられる。
【0123】
以上の作動が繰り返されることにより、搬入室14に一括して搬入された25枚のウェハ2について、上述の各工程が順次実施されていく。25枚のウェハ2について一連の所定の処理が完了すると、処理済のウェハ2は搬出室15の仮置き台に溜められた状態になる。
【0124】
その後、負圧に維持された搬出室15内に窒素ガスが供給され、搬出室15内が大気圧となった後に、搬出室15の正圧移載室16側が、ゲートバルブ18Aによって開かれる。次いで、載置台25上に載置された空のポッド1のキャップが、ポッドオープナ24のキャップ着脱機構26によって開かれる。続いて、正圧移載室16の正圧移載機19は、搬出室15からウェハ2をピックアップして正圧移載室16に搬出し、正圧移載室16のウェハ搬入搬出口23を通してポッド1内に収納していく。処理済みの25枚のウェハ2のポッド1内への収納が完了すると、ポッド1のキャップがポッドオープナ24のキャップ着脱機構26によってウェハ出し入れ口に装着され、ポッド1が閉じられる。
【0125】
そして、クラスタ装置10における一連の工程が終了したウェハ2は、ポッド1内に気密に収納された状態で、上部電極形成工程を実施する他の成膜装置に搬送されていく。
【0126】
(3)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す効果のうち1つ又は複数の効果を奏する。
【0127】
(a)本実施形態によれば、第1処理ユニット31としての成膜装置40を用いてHfO膜形成工程(S3a〜S3e)及びAl膜形成工程(S3f〜S3j)を交互に
実行することで、ウェハ1上にHfO膜とAl膜との積層膜を形成する。そして、第2処理ユニット32としてのRTP装置110を用いて熱処理工程(S8)を実行することで、立方晶の結晶性、すなわち、ルチル構造を有するTiO膜の結晶構造に近い結晶性を持つ第1の高誘電率絶縁膜(HfAlO膜)を形成する。そして、成膜装置40を用いてTiO膜形成工程(S12a〜S12e)を実行することでHfAlO膜上にTiO膜を形成し、RTP装置110を用いて熱処理工程(S17)を実行することで、立方晶としたHfAlO膜の結晶性をTiO膜に反映させて、HfAlO膜上に形成されたTiO膜の結晶性をルチル構造とする。
【0128】
このように、TiO膜の下層膜(下地膜)である第1の高誘電率絶縁膜(HfAlO膜)の結晶性を、ルチル構造を有するTiO膜の結晶構造に近い立方晶としておくことで、第1の高誘電率絶縁膜の結晶性がTiO膜に反映され易くなり、TiO膜の結晶性をルチル構造とすることが確実にできるようになる。そして、TiO膜の誘電率を増大させることができる。
【0129】
(b)また、本実施形態によれば、HfO膜中にAlを添加することで、すなわち、ハフニウムよりもイオン半径の小さいアルミニウムをHfO膜中に添加することによって、TiO膜の下層膜(下地膜)である第1の高誘電率膜(HfAlO膜)の格子間距離を縮小させ、ルチル構造を有するTiO膜の格子間距離に近づけるようにして、TiO膜と下層膜との格子間距離の不一致を減少させるようにしている。これにより、下層膜であるHfAlO膜の結晶性がTiO膜に反映され易くなり、TiO膜の結晶性をルチル構造とすることがより確実にできるようになる。これにより、TiO膜の誘電率をより確実に増大させることが可能となる。
【実施例】
【0130】
以下に、本発明の実施例を説明する。
【0131】
図8は、本発明の実施例に係る評価サンプル作成用の基板処理工程のフロー図である。図8に示す実施例では、下部電極としてのTiN膜の形成(Bottom Electrode formation)、複数サイクルのALDによるTiN膜上へのHfO膜の形成(HfO deposition)と1サイクルのALDによるHfO膜上へのAl膜の形成(AlO deposition)との繰り返しによるAlをドープしたHfO膜の形成(AlO doped HfO deposition)、熱処理工程によるHfAlO膜の形成および結晶化(立方晶化)(Post Deposition Annealing)、HfAlO膜上へのTiO膜の形成(TiO deposition)、熱処理工程によるTiO膜の結晶性のルチル構造化(Post
Deposition Annealing)、熱処理後のTiO膜上への上部電極としてのAu膜の形成(Top Electrode formation)を順に実施した。なお、上記において、“HfO deposition”は上述の実施形態のHfO膜形成工程(S3a〜S3e)に、“AlO deposition”はAl膜形成工程(S3f〜S3j)に、“Post Deposition Annealing”は熱処理工程(S8)に、“TiO deposition”はTiO膜形成工程(S12a〜S12e)に、“Post Deposition Annealing”は熱処理工程(S17)にそれぞれ相当する。なお、各処理工程における各処理条件は、上述の実施形態にて示した各処理条件の範囲内の条件に設定した。また、“Bottom Electrode formation”及び“Top Electrode
formation”は、上述のクラスタ装置とは異なる装置にて行う処理である。
【0132】
図9は、図8のフローにより形成された本発明の実施例に係る評価サンプルの積層構造を示す断面図である。
【0133】
本実施例においては、第1の高誘電率絶縁膜(HfAlO膜)の結晶性を、ルチル構造を有するTiO膜の結晶構造に近い立方晶とすることが出来た。そして、立方晶としたHfAlO膜の結晶性をTiO膜に反映させて、TiO膜の結晶性をルチル構造とすることが出来た。これにより、TiO膜の誘電率を増大させることが出来た。特に、ハフニウムよりもイオン半径の小さいアルミニウムを数%HfO膜中に添加することで、TiO膜の結晶性をより確実にルチル構造とすることが出来た。
【0134】
<本発明の他の実施形態>
上述の実施形態では、基板処理装置(成膜装置)として1度に1枚の基板を処理する枚葉式のALD装置を用いて成膜する例について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、基板処理装置として1度に複数枚の基板を処理するバッチ式の縦型ALD装置を用いて成膜するようにしてもよい。以下、この縦型ALD装置について説明する。
【0135】
図7は、本実施形態で好適に用いられる縦型ALD装置の縦型処理炉の概略構成図であり、(a)は、処理炉302部分を縦断面で示し、(b)は、処理炉302部分を図7(a)のA−A線断面図で示す。
【0136】
図7(a)に示されるように、処理炉302は加熱手段(加熱機構)としてのヒータ307を有する。ヒータ307は円筒形状であり、保持板としてのヒータベースに支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0137】
ヒータ307の内側には、ヒータ307と同心円状に反応管としてのプロセスチューブ303が配設されている。プロセスチューブ303は、例えば石英(SiO)や炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。プロセスチューブ303の筒中空部には処理室301が形成されており、基板としてのウェハ2を、後述するボート317によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。
【0138】
プロセスチューブ303の下方には、プロセスチューブ303と同心円状にマニホールド309が配設されている。マニホールド309は、例えばステンレス等からなり、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド309は、プロセスチューブ303に係合しており、プロセスチューブ303を支持するように設けられている。なお、マニホールド309とプロセスチューブ303との間には、シール部材としてのOリング320aが設けられている。マニホールド309がヒータベースに支持されることにより、プロセスチューブ303は垂直に据え付けられた状態となっている。プロセスチューブ303とマニホールド309とにより反応容器が形成される。
【0139】
マニホールド309には、第1ガス導入部としての第1ノズル333aと、第2ガス導入部としての第2ノズル333bとが、マニホールド309の側壁を貫通するように接続されている。第1ノズル333aと第2ノズル333bは、それぞれ水平部と垂直部とを有するL字形状であり、水平部がマニホールド309に接続され、垂直部がプロセスチューブ303の内壁とウェハ2との間における円弧状の空間に、プロセスチューブ303の下部より上部の内壁に沿って、ウェハ2の積載方向に向かって立ち上がるように設けられている。第1ノズル333a、第2ノズル333bの垂直部の側面には、ガスを供給する供給孔である第1ガス供給孔348a、第2ガス供給孔348bがそれぞれ設けられている。この第1ガス供給孔348a、第2ガス供給孔348bは、それぞれ下部から上部にわたって同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0140】
第1ノズル333a、第2ノズル333bに接続されるガス供給系は、上述の実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、第1ノズル333aに第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213a及び第3原料ガス供給管213tが接続され、第2ノズル333bにHOガス供給管213oが接続される点が、上述の実施形態と異なる。すなわち、本実施形態では、原料ガス(TDMAHfガス、TMAガス、TDMATiガス)と、酸化源(HO)とを、別々のノズルにより供給する。なお、さらに各原料ガスを別々のノズルにより供給するようにしてもよい。
【0141】
マニホールド309には、処理室301内の雰囲気を排気する排気管331が設けられている。排気管331には、圧力検出器としての圧力センサ345及び圧力調整器としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ342を介して、真空排気装置としての真空ポンプ346が接続されており、圧力センサ345により検出された圧力情報に基づきAPCバルブ342を調整することで、処理室301内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。なお、APCバルブ342は弁を開閉して処理室301内の真空排気・真空排気停止ができ、更に弁開度を調整して処理室301内の圧力を調整することが出来るよう構成されている開閉弁である。
【0142】
マニホールド309の下方には、マニホールド309の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ319が設けられている。シールキャップ319は、マニホールド309の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ319は、例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ319の上面には、マニホールド309の下端と当接するシール部材としてのOリング320bが設けられている。シールキャップ319の処理室301と反対側には、後述するボート317を回転させる回転機構367が設置されている。回転機構367の回転軸355は、シールキャップ319を貫通して、ボート317に接続されており、ボート317を回転させることでウェハ2を回転させるように構成されている。シールキャップ319は、プロセスチューブ303の外部に配置された昇降機構としてのボートエレベータ315によって、垂直方向に昇降されるように構成されており、これによりボート317を処理室301内に対し搬入搬出することが可能となっている。
【0143】
基板保持具としてのボート317は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱材料からなり、複数枚のウェハ2を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。なお、ボート317の下部には、例えば石英や炭化珪素等の耐熱材料からなる断熱部材318が設けられており、ヒータ307からの熱がシールキャップ319側に伝わりにくくなるように構成されている。プロセスチューブ303内には、温度検出器としての温度センサ363が設置されており、温度センサ363により検出された温度情報に基づきヒータ307への通電具合を調整することにより、処理室301内の温度が所定の温度分布となるように構成されている。温度センサ363は、第1ノズル333a及び第2ノズル333bと同様に、プロセスチューブ303の内壁に沿って設けられている。
【0144】
制御部(制御手段)であるコントローラ380は、APCバルブ342、ヒータ307、温度センサ363、真空ポンプ346、回転機構367、ボートエレベータ315、バルブvh1〜vh6,va1〜va6,vt1〜vt6,vo3〜vo6、液体流量コントローラ221h,221a,221t、流量コントローラ225h,225a,225t,221o,224h,224a,224t,224o等の動作を制御する。
【0145】
次に、上記構成にかかる縦型ALD装置の処理炉302を用いて、半導体装置の製造工程の一工程として、ALD法によりウェハ2上に薄膜を形成する基板処理工程について説
明する。なお、以下の説明において、縦型ALD装置を構成する各部の動作は、コントローラ380により制御される。
【0146】
複数枚のウェハ2をボート317に装填(ウェハチャージ)する。そして、図7(a)に示すように、複数枚のウェハ2を保持したボート317を、ボートエレベータ315によって持ち上げて処理室301内に搬入(ボートロード)する。この状態で、シールキャップ319はOリング320bを介してマニホールド309の下端をシールした状態となる。
【0147】
処理室301内が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ346によって処理室301内を真空排気する。この際、処理室301内の圧力を圧力センサ345で測定して、この測定された圧力に基づき、APCバルブ342をフィードバック制御する。また、処理室301内が所望の温度となるように、ヒータ307によって加熱する。この際、処理室301内が所望の温度分布となるように、温度センサ363が検出した温度情報に基づきヒータ307への通電具合をフィードバック制御する。続いて、回転機構367によりボート317を回転させることで、ウェハ2を回転させる。
【0148】
その後、上述のHfO膜とAl膜との積層膜の形成工程(S3)と同様の工程を実施する。HfO膜とAl膜との積層膜が形成されたら、ボートエレベータ315によりシールキャップ319を下降させて、マニホールド309の下端を開口させるとともに、処理後のウェハ2を、ボート317に保持させた状態でマニホールド309の下端からプロセスチューブ303の外部に搬出(ボートアンロード)する。その後、処理済のウェハ2をボート317より取り出す(ウェハディスチャージ)。
【0149】
その後、HfO膜とAl膜との積層膜が形成されたウェハ2を、第2処理ユニット32であるRTP装置110の処理室111内に搬送する。そして、上述の熱処理工程(S8)と同様の工程を実施し、ウェハ2上に、立方晶の結晶性、すなわちルチル構造のTiO膜の結晶構造に近い結晶性を持つ第1の高誘電率絶縁膜(HfAlO膜)を形成する。
【0150】
その後、第1の高誘電率絶縁膜(HfAlO膜)が形成されたウェハ2を処理室301内に再び搬入し、上述のTiO膜形成工程(S12a〜S12e)と同様の工程を実施し、HfAlO膜上にTiO膜を形成する。そして、TiO膜が形成されたウェハ2を、処理室301内から再び搬出する。
【0151】
その後、HfAlO膜上にTiO膜が形成されたウェハ2を、第2処理ユニット32であるRTP装置110の処理室111内に再び搬送する。そして、上述の熱処理工程(S17)と同様の工程を実施し、TiO膜の結晶性をルチル構造とする。その後、一連の工程が終了したウェハ2は、ポッド1内に気密に収納された状態で、上部電極形成工程を実施する他の成膜装置に搬送されていく。
【0152】
本実施形態においても、上述の実施形態と同様の効果を奏する。すなわち、第1の高誘電率絶縁膜(HfAlO膜)の結晶性を、ルチル構造を有するTiO膜の結晶構造に近い立方晶とすることができる。そして、立方晶としたHfAlO膜の結晶性をTiO膜に反映させ、TiO膜の結晶性をルチル構造とすることができる。これにより、TiO膜の誘電率を増大させることができる。特に、ハフニウムよりもイオン半径の小さいアルミニウムをHfO膜中に添加することで、TiO膜の結晶性をより確実にルチル構造とすることができる。
【0153】
<本発明の更に他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0154】
上述の実施形態では、第1の高誘電率絶縁膜としてAlを添加したHfO膜(HfAlO膜)を形成する場合について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。すなわち、第1の高誘電率絶縁膜として、例えばAlを添加したZrO膜(ZrAlO膜)など、形成しようとする第2の高誘電率絶縁膜の結晶性(TiO膜の場合ルチル構造)に近い結晶性を有する絶縁膜を形成する場合にも、本発明は好適に適用可能である。また、ハフニウム系酸化膜やジルコニウム系酸化膜に添加する元素としては、上述の実施形態で示したアルミニウムに限定されず、例えばSi(シリコン)、Y(イットリウム)など、ハフニウム元素よりもイオン半径の小さい他の元素や、ジルコニウム元素よりもイオン半径の小さい他の元素を用いることができる。
【0155】
上述の実施形態では、第1の高誘電率絶縁膜が備える結晶性として立方晶を例示したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、第1の高誘電率絶縁膜が備える結晶性が、形成しようとする第2の高誘電率絶縁膜の結晶性(TiO膜の場合ルチル構造)に近い場合には、単斜晶、斜方晶、正方晶のいずれの場合であっても、本発明は好適に適用可能である。
【0156】
上述の実施形態では、第2の高誘電率絶縁膜としてTiO膜を用いる例について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、第2の高誘電率絶縁膜として、SrTiO膜、Nb膜、BaSrTiO膜、PZT膜など、第1の高誘電率絶縁膜が備える結晶性と近い結晶性を有する他の絶縁膜を用いる場合においても、本発明は好適に適用可能である。
【0157】
本発明は、HfO膜形成工程(S3a〜S3e)で形成するHfO膜が、その形成時(すなわち熱処理前)において非晶質である場合に限らず、形成時(すなわち熱処理前)において既に何らかの結晶性を有している場合においても好適に適用可能である。また、Al膜形成工程(S3f〜S3j)で形成するAl膜やTiO膜形成工程(S12a〜S12e)で形成するTiO膜についても同様に、その形成時(熱処理前)において非晶質である場合に限らず、形成時(すなわち熱処理前)において既に何らかの結晶性を有している場合においても好適に適用可能である。
【0158】
また、酸化源としてHOガスを用いる場合に限らず、Oガスや、プラズマで活性化した酸素含有物質を用いる場合にも、本発明は好適に適用可能である。ただし、HfO膜形成工程(S3a〜S3e)やAl膜形成工程(S3f〜S3j)では、成膜時における下部電極の酸化を防止するために、酸化源としてはHOを用いるのが好ましい。HOは、Oやプラズマで活性化した酸素含有物質に比べ酸化力が小さいので、酸化源としてHOを用いることで、成膜時における下部電極の酸化を有効に防止することが出来る。これに対して、TiO膜形成工程(S12a〜S12e)では、下部電極上にHfAlO等の第1の高誘電率絶縁膜が形成されているので、酸化源としてOやプラズマで活性化した酸素含有物質を用いても、下部電極が酸化されることはない。
【0159】
上述の実施形態では、成膜工程と熱処理工程とを、第1処理ユニット(高誘電率絶縁膜形成ユニット)31及び第2処理ユニット(熱処理ユニット)32を備えた同一のクラスタ装置で行うようにしたが、それぞれの工程を個別の処理装置(例えばスタンドアロン型の装置)でそれぞれ実施するようにしてもよい。また、HfO膜とAl膜との積層膜の形成工程(S3)とTiO膜の形成工程(S12)とは、同一の処理ユニットで行う場合に限らず、個別の処理ユニットでそれぞれ行うようにしてもよい。
【0160】
また、上述の実施形態では、枚葉式コールドウォールタイプの第1処理ユニットと、ランプ加熱タイプの第2処理ユニットを備えたクラスタ型基板処理装置を用いる場合を例に挙げて説明したが、本発明は係る形態に限定されない。例えば、枚葉式ホットウォールタイプの処理ユニットやバッチ式ホットウォールタイプの処理ユニットを供えた基板処理装置や基板処理システムを用いる場合にも好適に適用可能である。さらには、成膜工程と熱処理工程とを同一処理炉にて行う基板処理装置を用いる場合にも、本発明は好適に適用可能である。
【0161】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0162】
本発明の一態様によれば、
基板上に立方晶もしくは斜方晶の結晶性を持つ第1の高誘電率絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の高誘電率絶縁膜上に第2の高誘電率絶縁膜を形成し、前記第1の高誘電率絶縁膜の結晶性を前記第2の高誘電率絶縁膜に反映させて、前記第2の高誘電率絶縁膜の結晶性をルチル構造とする工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0163】
好ましくは、前記第1の高誘電率絶縁膜が、ハフニウム元素よりもイオン半径の小さい元素が添加されたハフニウム系酸化膜、または、ジルコニウム元素よりもイオン半径の小さい元素が添加されたジルコニウム系酸化膜であり、前記第2の高誘電率絶縁膜が、酸化チタン膜である。
【0164】
また好ましくは、前記第1の高誘電率絶縁膜が、ハフニウム元素よりもイオン半径の小さい元素が数%添加されたハフニウム系酸化膜、または、ジルコニウム元素よりもイオン半径の小さい元素が数%添加されたジルコニウム系酸化膜である。
【0165】
また好ましくは、前記第1の高誘電率絶縁膜が、アルミニウムが数%添加されたハフニウム系酸化膜、または、アルミニウムが数%添加されたジルコニウム系酸化膜である。
【0166】
また好ましくは、前記第1の高誘電率絶縁膜が、酸化ハフニウム膜、または、酸化ジルコニウム膜である。
【0167】
また好ましくは、前記第1の高誘電率絶縁膜が、ハフニウム元素よりもイオン半径の小さい元素が添加された酸化ハフニウム膜、または、ジルコニウム元素よりもイオン半径の小さい元素が添加された酸化ジルコニウム膜である。
【0168】
また好ましくは、前記第1の高誘電率絶縁膜が、ハフニウム元素よりもイオン半径の小さい元素が数%添加された酸化ハフニウム膜、または、ジルコニウム元素よりもイオン半径の小さい元素が数%添加された酸化ジルコニウム膜である。
【0169】
また好ましくは、前記第1の高誘電率絶縁膜が、アルミニウムが数%添加された酸化ハフニウム膜、または、アルミニウムが数%添加された酸化ジルコニウム膜である。
【0170】
本発明の他の態様によれば、
基板上に第1の高誘電率絶縁膜を形成する処理ユニットと、
前記第1の高誘電率絶縁膜を熱処理することで、前記第1の高誘電率絶縁膜の結晶性を立方晶もしくは斜方晶とする処理ユニットと、
立方晶もしくは斜方晶の結晶性を持つ前記第1の高誘電率絶縁膜上に第2の高誘電率絶
縁膜を形成する処理ユニットと、
前記第2の高誘電率絶縁膜を熱処理することで、前記第1の高誘電率絶縁膜の結晶性を前記第2の高誘電率絶縁膜に反映させて、前記第2の高誘電率絶縁膜の結晶性をルチル構造とする処理ユニットと、
を有する基板処理システムが提供される。
【符号の説明】
【0171】
2 ウェハ(基板)
10 クラスタ装置(基板処理装置)
201 処理室
280 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に立方晶もしくは斜方晶の結晶性を持つ第1の高誘電率絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の高誘電率絶縁膜上に第2の高誘電率絶縁膜を形成し、前記第1の高誘電率絶縁膜の結晶性を前記第2の高誘電率絶縁膜に反映させて、前記第2の高誘電率絶縁膜の結晶性をルチル構造とする工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1の高誘電率絶縁膜が、ハフニウム元素よりもイオン半径の小さい元素が添加されたハフニウム系酸化膜、または、ジルコニウム元素よりもイオン半径の小さい元素が添加されたジルコニウム系酸化膜であり、
前記第2の高誘電率絶縁膜が、酸化チタン膜であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
基板上に第1の高誘電率絶縁膜を形成する処理ユニットと、
前記第1の高誘電率絶縁膜を熱処理することで、前記第1の高誘電率絶縁膜の結晶性を立方晶もしくは斜方晶とする処理ユニットと、
立方晶もしくは斜方晶の結晶性を持つ前記第1の高誘電率絶縁膜上に第2の高誘電率絶縁膜を形成する処理ユニットと、
前記第2の高誘電率絶縁膜を熱処理することで、前記第1の高誘電率絶縁膜の結晶性を前記第2の高誘電率絶縁膜に反映させて、前記第2の高誘電率絶縁膜の結晶性をルチル構造とする処理ユニットと、
を有することを特徴とする基板処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−134909(P2011−134909A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293302(P2009−293302)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】