説明

半導体装置の製造方法

【課題】従来よりも低温でシリコン含有窒化膜を成膜することができる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】ウエハにSiN膜を形成する半導体装置の製造方法であって、ウエハが収容される処理室に、DCS(ジクロロシラン)を供給するシラン系ガス供給工程と、前記シラン系ガスの供給と同時ではないタイミングで、前記処理室にNH(アンモニア)を供給する窒化ガス供給工程と、前記処理室にTEA(トリエチルアミン)を供給するアミン系ガス供給工程と、前記処理室の前記シラン系ガスまたは前記窒化ガスを排気する排気工程と、を有し、前記アミン系ガス供給工程は、前記シラン系ガス供給工程及び前記窒化ガス供給工程と合わせて行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造に用いられる薄膜の成膜方法には、スパッタリング等の物理気相成長(PVD : Physical Vapor Deposition)と、化学反応を利用する化学気相成長(CVD : Chemical Vapor Deposition)がある。
【0003】
CVDはPVDに比べステップカバレッジ(段差被覆性)に優れる等、膜特性の向上を図ることができる。また、CVDは、原料(ターゲット)交換のために反応室を大気開放する必要がない等、生産性の向上を図ることができる。このため、CVDは、半導体装置の量産に適している。
【0004】
CVDにおいて反応の形態を、気相反応と表面反応とに分けることがある。成膜する所望の膜厚が薄くなると、気相反応と比較して成膜速度の遅い表面反応の制御がより重要となる。
【0005】
例えば、1原子層から数原子層での反応を制御する広義でのCVDは、表面反応の精密な制御を実現する。このようなCVDは、反応種の供給、反応種の基板(被成膜)表面での反応、副生成物(成膜種以外の反応生成物)の脱離、これらの工程により基板への成膜が進行する。ここで、反応種を連続的に供給すると、供給・反応・脱離の工程が同時に進行するため、脱離させて排除したい副生成物が膜中へ取り込まれることとなる。
【0006】
半導体装置の製造工程の低温化や、適用工程の拡大の点から、成膜温度の低温化が要求されている。
シリコン含有窒化膜(SiN膜:シリコン窒化膜)の形成においては、原料としてジクロロシラン(SiH2Cl2)、アンモニア(NH3)を用いたCVDが知られているが、温度が低温(例えば550 ℃以下)になると、反応速度が十分でなく実用的な成膜が行えなくなる。
【0007】
特許文献1には、原料をプラズマ励起することにより低温で成膜する基板処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−272367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、プラズマを使用することなく低温でシリコン含有窒化膜を成膜することが望まれている。
【0010】
本発明は、従来よりも低温でシリコン含有窒化膜を成膜することができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の特徴とするところは、基板にシリコン含有窒化膜を形成する半導体装置の製造方法であって、前記基板が収容される処理室に、シラン系ガスを供給するシラン系ガス供給工程と、前記処理室に窒化ガスを供給する窒化ガス供給工程と、前記処理室にアミン系ガスを供給するアミン系ガス供給工程と、前記処理室内のガスを排気する排気工程と、を有し、前記アミン系ガス供給工程は、前記シラン系ガス供給工程及び前記窒化ガス供給工程と合わせて行う半導体装置の製造方法にある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来よりも低温でシリコン含有窒化膜を成膜することができる半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置を示す斜透視図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる処理炉を示す側面断面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる処理炉の周辺構造の概略図である。
【図4】各種のガスを処理室に導入するタイミングを示す図である。
【図5】実施例及び比較例について説明する説明図である。
【図6】実施例及び比較例の成膜速度の測定結果を示す図である。
【図7】第2実施形態にかかる処理炉の周辺構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置10の斜視図を示し、図2は、基板処理装置10の側面断面図を示す。
【0015】
基板処理装置10では、シリコン等の材料から構成される基板としてのウエハ14を収納するウエハキャリアとしてカセット16が使用される。
基板処理装置10は、筐体12を備える。筐体12の正面壁12aの下方には、メンテナンス可能なように設けられた開口部としての正面メンテナンス口18が開設されている。正面メンテナンス口18には、開閉自在な正面メンテナンス扉20が建て付けられている。
【0016】
正面メンテナンス扉20には、カセット搬入搬出口22が筐体12内外を連通するように開設されており、カセット搬入搬出口22は、フロントシャッタ24によって開閉されるようになっている。
【0017】
カセット搬入搬出口22の筐体12内側には、カセットステージ26が設置されている。カセット16は、工場内搬送装置(非図示)によって、カセットステージ26上に搬入されたり、カセットステージ26上から搬出されたりするようになっている。
【0018】
カセットステージ26には、工場内搬送装置によって、カセット16内でウエハ14が垂直姿勢を保持し、このカセット16のウエハ出し入れ口が上方向を向くようにしてカセット16が載置される。カセットステージ26は、カセット16を筐体12後方に右回り縦方向90°回転し、カセット16内のウエハ14が水平姿勢となり、カセット16のウエハ出し入れ口が筐体12後方を向くように動作可能に構成されている。
【0019】
筐体12内の前後方向の略中央下部には、カセット棚28が設置されている。カセット棚28は、複数段複数列にわたり複数個のカセット16を保管するように構成されている。カセット棚28には、ウエハ移載機構36の搬送対象となるカセット16が収納される移載棚30が設けられている。
カセットステージ26の上方には、予備カセット棚32が設置されており、予備のカセット16を保管するように構成されている。
【0020】
カセットステージ26とカセット棚28との間には、カセット搬送装置34が設置されている。カセット搬送装置34は、カセット16を保持したまま昇降可能なカセットエレベータ34aと、搬送機構としてのカセット搬送機構30bとで構成されている。カセット搬送装置34は、カセットエレベータ34aとカセット搬送機構30bとの連続動作により、カセット16をカセットステージ26、カセット棚28、及び予備カセット棚32の間で搬送する。
【0021】
カセット棚28の後方には、ウエハ移載機構36が設置されている。ウエハ移載機構36は、ウエハ14を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置36aと、このウエハ移載装置36aを昇降させるウエハ移載装置エレベータ36bとで構成されている。
【0022】
ウエハ移載装置エレベータ36bは、筐体12の右側端部に設置されている。ウエハ移載機構36は、ウエハ移載装置36aとウエハ移載装置エレベータ36bとの連続動作により、ウエハ移載装置36aのツイーザ36cでウエハ14をピックアップしてそのウエハ14をボート38に装填(チャージング)したり、ボート38から脱装(ディスチャージング)したりするように構成されている。
【0023】
筐体12の後部上方には、処理炉40が設けられている。処理炉40の下端部は炉口シャッタ42により開閉されるように構成されている。
【0024】
処理炉40の下方には、ボート38を処理炉40に昇降させるボートエレベータ44が設置されている。ボートエレベータ44には、連結具としてのアーム46が連結されており、このアーム46には、蓋体としてのシールキャップ48が水平に据え付けられている。
シールキャップ48は、例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ48はボート38を垂直に支持するもので、処理炉40の下端部を閉塞可能なように構成されている。
【0025】
ボート38は複数の保持部材を備えており、複数枚(例えば50〜150枚程度)のウエハ14をその中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持するように構成されている。
【0026】
カセット棚28の上方には、清浄化した雰囲気であるクリーンエアを供給するクリーンユニット50が設置されている。クリーンユニット50は、供給ファン及び防塵フィルタで構成されており、クリーンエアを筐体12の内部に流通させるように構成されている。
【0027】
ウエハ移載装置エレベータ36b及びボートエレベータ44側と反対側である筐体12の左側端部にも、クリーンエアを供給するクリーンユニット(非図示)が設置されている。このクリーンユニットもクリーンユニット50と同様に供給ファン及び防塵フィルタで構成されている。このクリーンユニットから供給されたクリーンエアはウエハ移載装置36a、ボート38等の近傍を流通し、その後に筐体12の外部に排気される。
【0028】
次に、基板処理装置10の動作について説明する。
【0029】
カセット16がカセットステージ26に供給されるのに先立って、カセット搬入搬出口22がフロントシャッタ24によって開放される。その後、カセット16は、カセット搬入搬出口22からカセットステージ26上に搬入される。このとき、カセット16内のウエハ14は垂直姿勢に保持され、カセット16のウエハ出し入れ口が上方向を向くように載置される。
【0030】
その後、カセット16は、カセットステージ26によって、カセット16内のウエハ14が水平姿勢となり、カセット16のウエハ出し入れ口が筐体12の後方を向くように、右周り縦方向90°回転される。
【0031】
次に、カセット16は、カセット棚28ないし予備カセット棚32の指定された棚位置へカセット搬送装置34によって自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、カセット棚28ないし予備カセット棚32からカセット搬送装置34によって移載棚30に移載されるか、もしくは直接移載棚30に搬送される。
【0032】
カセット16が移載棚30に移載されると、ウエハ14はカセット16からウエハ移載装置36aのツイーザ36cによってウエハ出し入れ口を通じてピックアップされ、ボート38に装填(チャージング)される。ボート38にウエハ14を受け渡したウエハ移載装置36aはカセット16に戻り、次のウエハ14をボート38に装填する。
【0033】
予め指定された枚数のウエハ14がボート38に装填されると、炉口シャッタ42が開かれ、処理炉40の下端部が開放される。続いて、ウエハ14群を保持したボート38は、シールキャップ48がボートエレベータ44によって上昇されることで、処理炉40内へ搬入(ローディング)される。
【0034】
ローディング後は、処理炉40にてウエハ14に処理が実施される。処理後は、上記と逆の手順で、カセット16及びウエハ14が筐体12の外部に搬出される。
【0035】
次に、基板処理装置10の処理炉40の周辺構造について説明する。
図3は、処理炉40の周辺構造の概略図を示す。
【0036】
処理炉40には、ボート38ごとウエハ14を収容し、ウエハ14を処理する処理室60が設けられている。処理室60には、第1のガス供給管70、第2のガス供給管80、及び第3のガス供給管90が設けられている。
【0037】
第1のガス供給管70は、上流で第1の分岐管72a、72bに分かれている。
第1の分岐管72aには、バルブv1及び流量制御部としてのMFC(Mass Flow Controller)74aを介して、第1の原料としてジクロロシラン(SiH2Cl2:DCS)等のシラン系ガスを供給するシラン系ガス供給源76が接続されている。
第1の分岐管72bには、バルブv2及びMFC74bを介して、第1の不活性ガスとして窒素(N2)等の不活性ガスを供給する第1の不活性ガス供給源78が接続されている。
【0038】
このように、第1のガス供給管70は、DCS等のシラン系ガス又はN2等の不活性ガスを処理室60内に導入する。
主に、第1のガス供給管70、第1の分岐管72a、バルブv1、MFC74a、及びシラン系ガス供給源76によりシラン系ガス供給系が構成される。
【0039】
第2のガス供給管80は、上流で第2の分岐管82a、82bに分かれている。
第2の分岐管82aには、バルブv3及びMFC84aを介して、第2の原料としてアンモニア(NH3)等の窒化ガスを供給する窒化ガス供給源86が接続されている。
第2の分岐管82bには、バルブv4及びMFC84bを介して、第2の不活性ガスとしてN2等の不活性ガスを供給する第2の不活性ガス供給源88が接続されている。
【0040】
このように、第2のガス供給管80は、NH3等の窒化ガス又はN2等の不活性ガスを処理室60内に導入する。
主に、第2のガス供給管80、第2の分岐管82a、バルブv3、MFC84a、及び窒化ガス供給源86により窒化ガス供給系が構成される。
【0041】
第1の不活性ガス供給源78及び第2の不活性ガス供給源88から供給される不活性ガスとしては、N2の他に、アルゴン(Ar)等の希ガスを用いるようにしてもよい。
【0042】
第3のガス供給管90には、液体原料を気化する気化器92を介して、第3の原料としてトリエチルアミン(N(C2H5)3:TEA)等のアミン系原料を供給するアミン系原料源94が接続されている。第3のガス供給管90の上流側端部は、アミン系原料源94の液体原料内となるように配置されている。
【0043】
アミン系原料としては、TEAの他に、トリメチルアミン(N(CH3)3:TMA)等、第3級アルキルアミンを用いるようにしてもよい。
第3のガス供給管90にキャリアガスとしての不活性ガスを供給するキャリアガス管を設け、気化器92による気化を促進するようにしてもよい。なお、アミン系原料として常温で気体のものを用いる場合は、気化器92を設けないようにしてもよい。
【0044】
アミン系原料源94には、圧送ガス供給管96が接続されており、この圧送ガス供給管96には、バルブv5及びMFC98を介して圧送ガス供給源100が接続されている。圧送ガス供給管96の下流側端部は、アミン系原料源94の上部に存在する空間に連通しており、この空間内に圧送ガスを供給するように構成されている。圧送ガス供給管96から圧送ガスが供給されることで、気化器92によって気化したアミン系ガスが、第3のガス供給管90から処理室60内に導入される。
圧送ガスとしては、液体原料と反応しないガスを用いることが好ましく、例えばArガスやN2等の不活性ガスが用いられる。
【0045】
このように、第3のガス供給管90は、TEA等のアミン系ガスを処理室60内に導入する。
主に、第3のガス供給管90、気化器92、アミン系原料源94、圧送ガス供給管96、バルブv5、MFC98、及び圧送ガス供給源100によりアミン系ガス供給系が構成される。
【0046】
なお、第1のガス供給管70、第2のガス供給管80、及び第3のガス供給管90それぞれには、ガスを外部へ排出するベント管を設けるようにしてもよい。
【0047】
処理室60には、ガス排気管102が設けられている。ガス排気管102の下流側には、圧力調整器としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ104を介して真空ポンプ等の真空排気装置106が接続されている。
【0048】
バルブv1〜5、MFC74a、74b、84a、84b、98、APCバルブ104、及び排気装置106等には、制御部110が電気的に接続されている。制御部110は、供給するガスの流量や処理室60内の圧力等が所定の値となるよう、これらの構成部を所望のタイミングにて制御する。
【0049】
次に、それぞれのガスを処理室60内に導入するタイミングについて説明する。
以下、シラン系ガス(第1の原料)としてDCS、窒化ガス(第2の原料)としてNH3、アミン系原料(第3の原料)としてTEAを用い、第1及び第2の不活性ガスとしてN2を用い、ウエハ14上にシリコン窒化(SiN)膜(シリコン含有窒化膜)を形成する場合を例に説明する。
図4は、処理室60にそれぞれのガスを供給するタイミングを示す図である。
【0050】
(ステップ1)
第1のガス供給管70において、バルブv1を開き、MFC74aで流量を調整しながら、DCSを処理室60に導入する。
このタイミングに合わせ、第3のガス供給管90において、圧送ガス供給管96のバルブv5を開き、MFC98で圧送ガスとしてのArの流量を調整しながら、TEAを処理室60に導入する。
並行して、第2のガス供給管80において、バルブv4を開き、MFC84bで流量を調整しながら、N2を処理室60に導入する。
【0051】
(ステップ2)
第1のガス供給管70において、バルブv1を閉じ、DCSの処理室60への導入を停止する。また、バルブv2を開き、MFC74bで流量を調整しながら、N2を処理室60に導入する。
このタイミングに合わせ、第3のガス供給管90において、圧送ガス供給管96のバルブv5を閉じて圧送ガスの供給を停止し、TEAの処理室60への導入を停止する。
第2のガス供給管80からは引き続き、N2を処理室60に導入する。
【0052】
(ステップ3)
第2のガス供給管80において、バルブv4を閉じ、N2の処理室60への導入を停止する。また、バルブv3を開き、MFC84aで流量を調整しながら、NH3を処理室60に導入する。
このタイミングに合わせ、第3のガス供給管90において、圧送ガス供給管96のバルブv5を開き、MFC98で圧送ガスの流量を調整しながら、TEAを処理室60に導入する。
第1のガス供給管70からは引き続き、N2を処理室60に導入する。
【0053】
(ステップ4)
第2のガス供給管80において、バルブv3を閉じ、NH3の処理室60への導入を停止する。また、バルブv4を開き、MFC84bで流量を調整しながら、N2を処理室60に導入する。
このタイミングに合わせ、第3のガス供給管90において、圧送ガス供給管96バルブv5を閉じ、圧送ガスの供給を停止し、TEAの処理室60への導入を停止する。
第1のガス供給管70からは引き続き、N2を処理室60に導入する。
【0054】
ステップ1〜4を1サイクルとして、所望する膜厚となるまでこれを繰り返す。
【0055】
このように、シラン系ガス又は窒化ガスを処理室60に導入する際に、これに合わせてアミン系ガスを導入する。
なお、第3のガス供給管90は、アミン系原料を連続的に処理室60へ導入し続けるようにしてもよい。すなわち、シラン系ガス又は窒化ガスの導入の停止に合わせて、アミン系原料の導入を停止しないようにしてもよい。
【0056】
第1のガス供給管70からシラン系ガスを導入する際、第2のガス供給管80から不活性ガスを導入し、また、第2のガス供給管80から窒化ガスを導入する際、第1のガス供給管70から不活性ガスを導入することで、シラン系ガスと窒化ガスとが気相中で反応することを抑制することができる。
【0057】
なお、第1のガス供給管70及び第2のガス供給管80の一方が、シラン系ガス又は窒化ガスを導入する際、他方からの不活性ガスの導入を停止するようにしてもよい。
【実施例】
【0058】
次に、実施例について説明する。なお、本発明は、これに限定されるものではない。
図5は、本発明の一実施形態に係る実施例1〜3及び比較例1〜3のアミン系原料を導入するタイミングについて示す図である。不活性ガスの導入については省略してある。
図6は、実施例1〜3及び比較例1〜3の成膜速度の測定結果を示す図である。
【0059】
成膜処理条件は、シラン系ガスとしてDCS、窒化ガスとしてNH3、アミン系原料としてTEAを用い、温度400 〜 550 ℃、圧力 50 〜 3000 Paとした。また、DCS及びNH3の供給量(1サイクル当たり)はそれぞれ、0.05 〜 0.10 slm、2.5 〜 8.0 slmとした。TEAの供給量(1サイクル当たり)は、NH3供給量に対して数%(TEA / (TEA+NH3) ≦ 数%)とした。
【0060】
実施例1は、DCS及びNH3いずれを導入する際も合わせてTEAを導入したものである。
実施例2は、DCSを導入する際合わせてTEAを導入したものであり、NH3を導入する際は、TEAを導入していないものである。
実施例3は、NH3を導入する際合わせてTEAを導入したものであり、DCSを導入する際は、TEAを導入していないものである。
【0061】
比較例1は、成膜工程中において、TEAを導入していないものである。
比較例2は、NH3の導入を停止し、次いでDCSを導入するまでの間に、TEAを導入したものである。
比較例3は、DCSの導入を停止し、次いでNH3を導入するまでの間に、TEAを導入したものである。
【0062】
図6に示すように、実施例1の成膜速度は、比較例1と比べ3倍以上となった。また、実施例2、3の成膜速度は、比較例1と比べ1.5〜2倍程度となった。このように、DCS及びNH3少なくともいずれかを導入する際、同時にTEAを導入することで成膜速度が向上した。
本構成によれば、本構成を有さない場合と比較して、より効率的に低温(例えば550 ℃以下)においてSiN膜を成膜することができる。
【0063】
TEAの供給量(1サイクル当たり)は、NH3供給量に対して1 %未満(TEA / (TEA+NH3) < 1 %)であっても、成膜速度が向上する効果が得られた。
【0064】
原料ガスの供給量は上記に限らず、反応室60の容量や形状、あるいは圧力等に応じて適宜調整することができる。処理室60に供給するそれぞれのガス(原料ガスや不活性ガス等)の供給時間は、反応室60の容量や形状、あるいは圧力等に応じて適宜調整することができる。
【0065】
TEAの供給量(1サイクル当たり)を、NH3供給量に対して数%〜10 %程度(TEA / (TEA+NH3) > 数%〜10 %程度)とすることで、シリコン炭化窒化(SiCN)膜を形成することができる。この際、TEAの供給量を調整することで、成膜されるSiCN膜中の炭素濃度を制御することができる。
【0066】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る処理炉40の周辺構造について説明する。
図7は、第2実施形態に係る処理炉40の周辺構造の概略図を示す。
【0067】
第2実施形態において、保温部122が設けられている。保温部122は、電気的に制御部110に接続されており、この制御部110によって、アミン系原料源94を所定の温度に維持するように構成されている。また、第3のガス供給管90の上流側端部は、アミン系原料源94の上部に存在する空間に配置されている。
【0068】
このため、第3の原料は、アミン系原料源94内で蒸気圧により気化し、この気化された第3の原料が、第3のガス供給管90から処理室60に供給される構成となっている。したがって、第2実施形態においては、気化器92が不要となる。
【0069】
[本発明の好ましい態様]
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0070】
本発明の一態様によれば、基板にシリコン含有窒化膜を形成する半導体装置の製造方法であって、前記基板が収容される処理室に、シラン系ガスを供給するシラン系ガス供給工程と、前記処理室に窒化ガスを供給する窒化ガス供給工程と、前記処理室にアミン系ガスを供給するアミン系ガス供給工程と、前記処理室内のガスを排気する排気工程と、を有し、前記アミン系ガス供給工程は、前記シラン系ガス供給工程及び前記窒化ガス供給工程と合わせて行う半導体装置の製造方法が提供される。
【0071】
(本願請求項1に対応する基板処理装置)
本発明の他の態様によれば、基板を処理する処理室と、前記処理室にシラン系ガスを供給する第1の原料供給系と、前記処理室に窒化ガスを供給する第2の原料供給系と、前記処理室にアミン系ガスを供給する第3の原料供給系と、シラン系ガス及び窒化ガスのうち少なくともいずれかの供給に合わせてアミン系ガスを供給するように制御する制御部と、を有する基板処理装置が提供される。
【0072】
(「発明者原稿」請求項1に対応)
本発明の他の態様によれば、少なくともアミン系原料を気化して気化ガスを供給する供給設備と、原料ガスの反応により基板に所望の処理をする反応室と、シラン系の原料、窒化ガス、及びアミン系原料を、反応室へ供給する供給手段と、排気装置と、を備え、気化したアミン原料をシラン系原料又は窒化ガスと混在供給して、反応室内で基板にシリコン窒化膜を形成する基板処理装置、及びこの基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法が提供される。
【0073】
(同請求項2に対応)
本発明の他の態様によれば、少なくとも1つ以上のアミン系原料を気化して気化ガスを供給する供給設備と、気化ガスを反応させて基板に所望の処理をする反応室と、排気装置と、を備え、気化したアミン原料をシラン系原料もしくはアンモニアと混在供給して反応室内で基板にシリコン炭化窒化膜を形成する基板処理装置、及びこの基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法が提供される。
【0074】
(同請求項3に対応)
好適には、アミン系原料は、トリエチルアミン、トリメチルアミン等、第3級アルキルアミンである。
【0075】
(同請求項4に対応)
好適には、アミン系原料の供給量又は濃度を変化させて基板に形成される膜中の炭素濃度を制御する。
【符号の説明】
【0076】
10 基板処理装置
12 筐体
14 ウエハ
16 カセット
30 移載棚
38 ボート
40 処理炉
60 処理室
70 第1のガス供給管
76 シラン系ガス供給源
80 第2のガス供給管
86 窒化ガス供給源
90 第3のガス供給管
92 気化器
94 アミン系原料源
96 圧送ガス供給管
100 圧送ガス供給源
110 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板にシリコン含有窒化膜を形成する半導体装置の製造方法であって、
前記基板が収容される処理室に、シラン系ガスを供給するシラン系ガス供給工程と、
前記処理室に窒化ガスを供給する窒化ガス供給工程と、
前記処理室にアミン系ガスを供給するアミン系ガス供給工程と、
前記処理室内のガスを排気する排気工程と、
を有し、
前記アミン系ガス供給工程は、前記シラン系ガス供給工程及び前記窒化ガス供給工程と合わせて行う半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−15344(P2012−15344A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150778(P2010−150778)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】