説明

半導体装置

【課題】広範囲、光分解能に周波数を可変することのできるクロック信号を生成する。
【解決手段】オペアンプAMP1は、正入力部と負入力部が等しい電圧となるようフィードバックがかかり、回路ノードfbckは、参照電圧VREFIに等しい電圧となる。デコーダDECは、制御信号CNT7,CNT6をデコードし、トランジスタT2〜T5のいずれか1つをオンさせる。この構成によって、回路ノードfbckが、参照電圧VREFIと同電位となるようフィードバック制御がかかるため、トランジスタT2〜T5のON抵抗を大幅に低減することができ、周波数精度の悪化を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路動作に用いられるクロック信号を発生させるクロック発振回路を有する半導体装置に有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
汎用のマイクロコンピュータなどの半導体装置においては、機器の小型化やコスト低減などのため外付け部品の削減が求められており、CPU(Central Processing Unit)や周辺機能ブロックなどの内部モジュールへ供給するクロック信号を生成するクロック発振回路に、水晶発振子等の外付け部品を用いない、いわゆるオンチップオシレータを内蔵しているものがある。
【0003】
オンチップオシレータの重要な特性に周波数精度がある。周波数精度とは、電源変動や温度変動に対する周波数の変動量である。オンチップオシレータは、この周波数精度が低いため、外付け発振子の代替部品としては用途が限定されてしまう。
【0004】
そこで、用途を拡大するために、オンチップオシレータの周波数の高精度化が必要となる。また、周波数精度とともに広い発振周波数範囲をカバーすることでその適応範囲を更に広げることができる。周波数の設定は、ユーザで使用用途に合わせて設定変更することを許可しているのが汎用マイコンにおいて一般的である。
【0005】
高い周波数精度を要求されるオンチップオシレータは、周波数精度向上のため、たとえば、温度トリミングを実施している。温度トリミングを実施することで回路がもつ温度依存性と使用しているデバイスの温度依存性をキャンセルするよう制御信号を設定する。
【0006】
2点の温度でトリミングを実施することにより1次の温度係数をキャンセルすることができる。3点の温度でトリミングを実施した場合は、1次の温度係数に加えて、2次の温度係数もキャンセルすることが可能となる。
【0007】
この種のクロック発振回路としては、たとえば、電流制御発振器、分周器、周期比較回路、積分器、および電圧−電流変換回路を直列接続し、終段の電圧−電流変換回路の出力電流を初段の電流制御発振器の入力側に帰還し、電流制御発振器の出力を発振出力とすることにより、発振周波数の安定化、および発振精度の向上を図るものが知られている(特許文献1参照)。
【0008】
また、複数の電圧を高精度に生成する電圧発生回路としては、たとえば、参照電圧発生回路と、差動増幅器と、PチャンネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタと、スイッチングトランジスタと、出力ノードと、第1〜第3の抵抗列とを備え、第3の抵抗列は、前記差動増幅器の他方の入力端子とグランドとの間に配置され、PチャンネルMOSトランジスタのドレインと出力ノードとの間に配置された第1の抵抗列の抵抗値と出力ノードと差動増幅器の他方の入力端子との間に配置された第2の抵抗列との抵抗値が異なる値で選択制御された場合であっても、第1の抵抗列の抵抗値と第2の抵抗列の抵抗値との和が一定となるように選択制御するものが知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−300027号公報
【特許文献2】特開2007−293545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記のようなオンチップオシレータにおけるクロック生成技術では、次のような問題点があることが本発明者により見出された。
【0011】
オンチップオシレータを用いたクロック発振回路は、たとえば、参照電圧発生回路、電圧電流変換回路、制御回路、周波数電圧変換回路、および電圧制御発振回路を有する。周波数電圧変換回路、電圧制御発振回路、制御回路でフィードバックループを構成する。
【0012】
参照電圧発生回路は、参照電圧VREFI,VREFCをそれぞれ生成し、電流発生回路と発振回路へ出力する。電圧電流変換回路は、参照電圧に基づき、ほぼ一定の電流を出力する。
【0013】
ここでは、電源電圧、温度依存性が小さい電流Irefを生成する。周波数電圧変換回路は、電流発生回路が生成した電流Iref、容量と制御回路が生成した制御信号に基づいて、電圧VSIGを生成する。
【0014】
制御回路は、電圧制御発振回路が生成したクロック信号に基づいて制御信号を生成する。周波数電圧変換回路は、電流発生回路が生成した電流、容量と制御回路が電圧制御発振回路から出力されるクロック信号から生成された制御信号に基づいて、電圧を生成する。発振回路は積分回路を有する。
【0015】
積分回路は、参照電圧発生回路が生成した参照電圧VREFCと周波数電圧変換回路から出力される電圧VSIGとが等しくなるよう電圧制御発振回路の制御電圧を変え、クロック周期を所望の周波数に調整する。
【0016】
このクロック発振回路の発振周波数FCKOUTは、
【0017】
【数1】

【0018】
で表せる。
【0019】
本方式は、参照電圧VREFI/参照電圧VREFCの比を温度トリミングすることにより、抵抗と容量の温度依存性をキャンセルすることで、発振周波数FCKOUTは、温度に対して一定の発振周波数を得る。
【0020】
周波数の絶対値は、周波数電圧変換回路の容量Cや、電圧電流変換回路の抵抗Rを切り替えることで実現する。一般に、容量は、周波数を大きく調整(粗調整)するために利用され、抵抗は周波数絶対値の微調整をするために利用されている。
【0021】
ユーザに周波数設定を任意に許可するためには、容量値や抵抗値の設定を変化させて周波数切り替えできるようにする必要がある。
【0022】
しかしながら、容量値を変化させる技術では、容量値の小さな容量を数多く配置する場合面積効率が低く、クロック発振回路のレイアウト面積の面積拡大につながってしまうため周波数調整の分解能の細分化、周波数範囲の拡大を実現する素子としては適切でない。よって、設計者は抵抗値を変化させることにより、周波数調整の分解能の細分化と発振周波数精度を変えることなく、広い範囲の周波数調整を実現する必要が生じた。
【0023】
さらに、汎用マイクロコンピュータに例示される半導体装置は、低消費電力化が必須であるため、たとえば、約1.35Vという低い動作電圧にて実現する必要があり、技術課題の難易度をあげている。
【0024】
本発明の目的は、広範囲に、かつ高分解能にクロック信号の周波数を可変することのできる技術を提供することにある。
【0025】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0027】
本発明は、クロック信号を出力するクロック発振回路と、該クロック信号に基づいて生成される動作周波数信号に応じて動作する内部回路とを備え、該クロック発振回路は、基準電流を供給するトランジスタと、正入力部、負入力部および出力部とを持つオペアンプと、該トランジスタのドレインと第1のノードとの間に接続された第1の抵抗切り替え部と、第1のノードと基準電圧が与えられる基準電圧線との間に接続された第2の抵抗切り替え部とを含む電流電圧変換回路を有し、第1の抵抗切り替え部は、第1の抵抗を含み、直列に複数の抵抗が接続され、一方端が第1のノードに接続された第1の抵抗部と、ドレインに接続された第1と第2のスイッチを含む第1の経路切り替え部とが設けられ、第1の経路切り替え部は、基準電流を第1のスイッチを介して第1の抵抗および第2の抵抗切り替え部へ流す、もしくは基準電流を第2のスイッチを介して第2の抵抗切り替え部へ流し、第1の抵抗には電流を流さない、かのいずれかに制御信号により切り替え、オペアンプは、負入力部に参照電圧が入力され、正入力部に第1の抵抗部の他方端が接続され、出力部にトランジスタのゲートが接続されたものである。
【0028】
また、本発明は、第2の抵抗切り替え部が、第2の抵抗を含み、直列に複数の抵抗が接続された第2の抵抗部と、制御信号により制御される第3のスイッチを含む第2の経路切り替え部とが設けられ、第3のスイッチが第2の抵抗に並列に接続されているものである。
【0029】
さらに、本発明は、第1のスイッチ及び第2のスイッチが、PチャネルMOSのトランジスタであり、第3のスイッチが、NチャネルMOSのトランジスタよりなるものである。
【0030】
また、本発明は、第1のスイッチ及び第2のスイッチが、第2の抵抗部より、第1の抵抗部の近くに配置し、第3のスイッチが、第1の抵抗部より、第2の抵抗部の近くに配置し、第1および第2のスイッチと、第3のスイッチをそれぞれに分離して配置するものである。
【0031】
さらに、本発明は、第1の抵抗部および第2の抵抗部が、メタル配線抵抗よりなるものである。
【0032】
また、本発明は、第1の抵抗部が第1の経路切り替え部の上層に、第2の抵抗部が第2の経路切り替え部の上層に配置されているものである。
【0033】
さらに、本発明は、第1の抵抗部および第2の抵抗部が、ポリシリコン抵抗よりなるものである。
【0034】
また、本発明は、第2の抵抗部を構成する抵抗の抵抗値より、第1の抵抗の抵抗値が大きいものである。
【0035】
さらに、第2の抵抗部を構成する直列に接続された複数の抵抗が、基準電圧線に接続される抵抗から順に各々2倍の抵抗値であり、第1の抵抗部を構成する抵抗の少なくとも1つは、第2の抵抗部を構成する抵抗の内、最も大きい抵抗の2倍の抵抗値よりなるものである。
【発明の効果】
【0036】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0037】
(1)周波数切り替え分解能を細分化し、広範囲で高精度なクロック信号を生成することができる。
【0038】
(2)上記(1)により、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施の形態によるクロック発振回路における構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1のクロック発振回路に設けられた電圧電流変換回路における詳しい構成の一例を示す説明図である。
【図3】本発明者が検討したオンチップオシレータに設けられた電圧電流変換回路における構成の一例を示した説明図である。
【図4】図2における抵抗のレイアウトの一例を示す説明図である。
【図5】図3の抵抗のレイアウトの一例を示す説明図である。
【図6】図5における断面構造を模式的に示した説明図である。
【図7】図1のクロック発振回路を搭載した半導体装置の一例を示すブロック図である。
【図8】図1のクロック発振回路を搭載した半導体メモリの一例を示すブロック図である。
【図9】図1のクロック発振回路における高温時から低温にかけてのクロック信号の周波数特性の一例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0041】
《実施の形態の概要》
本発明の実施の形態による半導体装置(半導体装置8)は、図1に示すようにクロック信号を出力するクロック発振回路と、クロック信号に基づいて生成される動作周波数に応じて動作する内部回路(図7の9,10等)と含んで構成される。
【0042】
また、クロック発振回路は、電圧を電流に変換する電圧電流変換回路3を備える。
【0043】
電圧電流変換回路3は、基準電流(電流Iref)を供給するトランジスタ(トランジスタT1)と、制御信号に基づいて、該トランジスタから出力される基準電流の経路を切り替える第1の抵抗切り替え部と第2の抵抗切り替え部と、基準電流を供給するトランジスタを制御するオペアンプ(オペアンプAMP1)とを有する。
【0044】
第1の抵抗切り替え部は、第1の経路切り替え部(トランジスタT2〜T5)と第1の抵抗部(R10〜R13)とを含む。
【0045】
第1の抵抗部は、一方端と他方端を有し、複数の抵抗(R10からR13)が直列に接続されている。複数の抵抗には、第1の抵抗R13が含まれる。
【0046】
第1の経路切り替え部は、第1のスイッチであるトランジスタT2と第2のスイッチであるトランジスタT3を含み、トランジスタT1のドレインに接続されている。
【0047】
また、ノードANで、第1の経路切り換え部と第1の抵抗部の他方端とが接続される。
【0048】
第1の経路切り替え部は、基準電流をトランジスタT2を介して第1の抵抗および第2の抵抗切り替え部へ流す、もしくは、基準電流をトランジスタT3を介して第2の抵抗切り替え部へ流す、かのいずれかに制御信号により切り替える。
【0049】
基準電流をトランジスタT3を介して第2の抵抗切り替え部へ流す場合は、第1の抵抗には基準電流が流れないことになる。
【0050】
図2を例に説明すれば、トランジスタT2,抵抗R13,R12,R11,R10、第2の抵抗切り替え部の経路で電流を流すか、トランジスタT3,抵抗R12,R11,R10、第2の抵抗切り替え部の経路で電流を流すかを制御信号で切り替える。
【0051】
オペアンプAMP1は、負入力部に温度特性を有した参照電圧(参照電圧VREFI)が入力され、正入力部にノードANが接続され、出力部に基準電流を供給するトランジスタのゲートが接続される。
【0052】
第2の抵抗切り替え部は、第1のノードと基準電圧が供給される基準電圧線との間に接続される。
【0053】
第1のノードには、第1の抵抗部の一方端が接続されている。
【0054】
第2の抵抗切り替え部は、第2の経路切り替え部(トランジスタT6〜T11)と第2の抵抗部(抵抗R4〜R9)を含む。
【0055】
第2の経路切り換え部は、第2の抵抗部に含まれる第2の抵抗(R4)に並列接続された第3のスイッチ(T6)を含み、該第3のスイッチは、制御信号に基づいてオン/オフし、第2の抵抗に電流を流すかパスさせるかを切り替える構成からなる。
【0056】
図1は、本発明の一実施の形態によるクロック発振回路における構成の一例を示すブロック図、図2は、図1のクロック発振回路に設けられた電圧電流変換回路における詳しい構成の一例を示す説明図、図3は、本発明者が検討したクロック発振回路に設けられた電圧電流変換回路における構成の一例を示した説明図、図4は、図2における抵抗のレイアウトの一例を示す説明図、図5は、図3の抵抗のレイアウトの一例を示す説明図、図6は、図5における断面構造を模式的に示した説明図、図7は、図1のクロック発振回路を搭載した半導体装置の一例を示すブロック図、図8は、図1のクロック発振回路を搭載した半導体メモリの一例を示すブロック図である。
【0057】
クロック発振回路1は、クロック信号を生成し、半導体装置の内部モジュールに供給する。クロック発振回路1は、図1に示すように、参照電圧発生回路2、電圧電流変換回路3、制御回路4、周波数電圧変換回路5、積分回路6、および電圧制御発振回路(VCO:Voltage Controlled Oscillator)7から構成されており、これらの回路でフィードバックループを構成するクロック生成回路である。
【0058】
参照電圧発生回路2は、抵抗R1〜R3、バイポーラ素子からなるトランジスタQ1から構成されている。電圧電流変換回路3は、オペアンプAMP1、PチャネルMOSからなるトランジスタT1,T2、ならびに抵抗Rsumから構成されている。
【0059】
周波数電圧変換回路5は、スイッチSW1〜SW3、および静電容量素子C1からなり、積分回路6は、オペアンプAMP2、ならびに静電容量素子C2から構成されている。
【0060】
参照電圧発生回路2は、たとえば、バンドギャップリファレンス回路などにより生成された正の1次の温度依存性をもつ電流Iptatから、温度特性を有した参照電圧VREFI、および電源、温度依存性の小さい参照電圧VREFCをそれぞれ生成する。
【0061】
抵抗R1の一方の接続部には、バンドギャップリファレンス回路などが生成した電流Iptatが供給されるように接続されている。この抵抗R1で発生した電圧が参照電圧VREFIであり、電圧電流変換回路3に出力される。
【0062】
抵抗R1の他方の接続部には、トランジスタQ1のコレクタとベース、および抵抗R3の一方の接続部がそれぞれ接続されている。トランジスタQ1のエミッタには、抵抗R2の一方の接続部が接続されており、該抵抗R2の他方の接続部、および抵抗R3の他方の接続部には、基準電圧線VSSがそれぞれ接続されている。抵抗R3で発生した電圧が参照電圧VREFCとして積分回路6に出力されている。
【0063】
また、電圧電流変換回路3は、電源電圧、温度依存性の小さい電流Irefを生成する。この電流Irefは、オペアンプAMP1によるボルテージフォロア回路で、温度依存性を有した抵抗Rsumに参照電圧VREFIをかけて生成する。このとき、抵抗Rsumの温度依存性をキャンセルするよう、参照電圧発生回路2において、参照電圧VREFIに温度特性をもたせている。
【0064】
オペアンプAMP1の負(−)入力部には、参照電圧VREFIが入力されるように接続されており、該オペアンプAMP1の出力部には、トランジスタT1,T2のゲートがそれぞれ接続されている。
【0065】
これらトランジスタT1,T2のソースには、電源電圧VDDが供給されるように接続されており、トランジスタT1のドレインには、オペアンプAMP1の正(+)入力部、ならびに抵抗Rsumの一方の接続部がそれぞれ接続されている。
【0066】
抵抗Rsumの他方の接続部には、基準電圧線VSSが接続されている。そして、トランジスタT2の他方の接続部から電流Iconstが出力され、トランジスタT2のドレインから周波数電圧変換回路5のスイッチSW1に電圧VNDDが供給される。
【0067】
周波数電圧変換回路5は、電圧電流変換回路3から出力される電流Iconst、静電容量素子C1の容量と電圧制御発振回路7から出力されるクロック信号CKOUTから、制御回路4において生成された制御信号ZCHRに基づいて、電圧VSIGを生成する。この制御信号ZCHRは、クロック信号CKOUTの周期と同じパルス幅をもつ信号である。
【0068】
この周波数電圧変換回路5において、スイッチSW1の一方の接続部には、電圧VNDDが供給されるように接続されており、該スイッチSW1の他方の接続部には、スイッチSW2の一方の接続部、スイッチSW3の一方の接続部、ならびに静電容量素子C1の一方の接続部がそれぞれ接続されている。また、スイッチSW2の他方の接続部と静電容量素子C1の他方の接続部には、基準電圧線VSSが接続されている。
【0069】
スイッチSW1は、制御回路4から出力される制御信号ZCHRに基づいて、ON/OFF(導通/非導通)が制御され、スイッチSW2は、制御回路4から出力される制御信号DISCに基づいて、ON/OFF(導通/非導通)が制御され、スイッチSW3は、同じく制御回路4から出力される制御信号SAMPに基づいて、ON/OFF(導通/非導通)が制御される。
【0070】
積分回路6は、たとえば、並列型スイッチドキャパシタ積分回路からなり、電圧VSIGをサンプリングする。この積分回路6は、電源、温度依存性の小さい参照電圧VREFCと周波数電圧変換回路5から出力される電圧VSIGが等しくなるように制御電圧VCNTを生成する。
【0071】
オペアンプAMP2の負(−)入力部、および静電容量素子C2の一方の接続部には、スイッチSW3の他方の接続部から出力される電圧VSIGが入力されるように接続されている。
【0072】
オペアンプAMP2の正(+)入力部には、参照電圧VREFCが入力されるように接続されており、該オペアンプAMP2の出力部には、静電容量素子C2の他方の接続部が接続されており、制御電圧VCNTとして、電圧制御発振回路7へ出力されている。
【0073】
電圧制御発振回路7は、入力された制御電圧VCNTに基づいて、クロック信号CKOUTが所望の周波数となるように調整して出力する。また、電圧制御発振回路7が生成したクロック信号CKOUTは、制御回路4にも入力されるように接続されている。
【0074】
図2は、電圧電流変換回路3におけるオペアンプAMP1、トランジスタT1、および抵抗Rsumの構成をより詳しく示した説明図である。
【0075】
トランジスタT1のソースには、電源電圧VDDが接続されており、該トランジスタのドレインには、トランジスタT2〜T5のソースがそれぞれ接続されている。トランジスタT2〜T5のゲートには、デコーダDECの出力部がそれぞれ接続されている。
【0076】
デコーダDECは、制御信号CNT6,CNT7をデコードし、そのデコード結果をトランジスタT2〜T5に出力し、トランジスタT2〜T5のうち、いずれか1つのトランジスタをONさせる。
【0077】
また、トランジスタT2のドレインと基準電圧線VSSとの間には、抵抗Rsumが接続されている。抵抗Rsumは、抵抗R4〜R13からなり、これら抵抗R4〜R13が、基準電圧線VSSからトランジスタT2のドレインにかけて直列接続された構成からなる。
【0078】
トランジスタT3のドレインには、抵抗R13と抵抗R12との接続部が接続されており、トランジスタT4のドレインには、抵抗R12と抵抗R11との接続部が接続されている。トランジスタT5のドレインには、抵抗R11と抵抗R10との接続部が接続されている。
【0079】
抵抗Rsumにおいて、抵抗R5は、抵抗R4(抵抗値R)の2倍の抵抗値(抵抗値2R)となっており、抵抗R6は、抵抗R5(抵抗値2R)の2倍の抵抗値(抵抗値4R)となっている。同様に、抵抗R7は、抵抗R6(抵抗値4R)の2倍の抵抗値(抵抗値8R)となっており、抵抗R8は、抵抗R7(抵抗値8R)の2倍の抵抗値(抵抗値16R)となっている。
【0080】
抵抗R9は、抵抗R8(抵抗値16R)の2倍の抵抗値(抵抗値32R)となっている。また、抵抗R11〜R13は、抵抗R9(抵抗値32R)の2倍の抵抗値(抵抗値64R)にそれぞれ設定されており、抵抗R10は、抵抗値XRに設定されている。ここで、Xは、任意の整数からなり、電流Irefの可変範囲に応じて変化する。
【0081】
抵抗R4〜抵抗R10には、トランジスタT6〜T11がそれぞれ並列に接続されている。これらトランジスタT6〜T11は、NチャネルMOSからなる。トランジスタT6〜T11のゲートには、制御信号CNT0〜CNT5がそれぞれ接続されている。トランジスタT6〜T11は、入力された制御信号CNT0〜CNT5基づいて、ON(導通)/OFF(非導通)動作を行う。
【0082】
オペアンプAMP1の出力部には、トランジスタT1のゲートが接続されており、該オペアンプAMP1の負(−)入力部には、参照電圧VREFIが入力されるように接続されている。また、オペアンプAMP1の正(+)入力部は、トランジスタT2のドレインと抵抗R13との接続部に接続されている。
【0083】
抵抗Rsumの合成抵抗値は、次式によって求められる。
【0084】
【数2】

【0085】
上式では、制御信号CNT7〜CNT0と合成抵抗値との関係を示しており、たとえば、最も大きな合成抵抗値とする際には、すべての抵抗R4〜R13に電流をパスさせる構成とすればよいので、CNT7〜CNT0に’1’を代入して算出する。
【0086】
なお、実際は、抵抗R4〜R9を有効とする際には、トランジスタT6〜T11を制御する制御信号CNT5〜CNT0は、Loレベルの制御信号がそれぞれ出力される。
【0087】
ここで、本発明者が検討したクロック発振回路に設けられた電圧電流変換回路50における構成の一例について図3を用いて説明する。図3においても、図2と同様に電流Iconstを生成するトランジスタは省略する。
【0088】
一般に、電圧電流変換回路50は、抵抗とMOSトランジスタとを並列接続した可変ラダー抵抗部とボルテージフォロア回路から構成され、オペアンプAMP50、PチャネルMOSのトランジスタT50、NチャネルMOSのトランジスタT51〜T58、および抵抗Rsからなる。抵抗Rsは、抵抗R50〜R58から構成されている。
【0089】
トランジスタT50のソースには、電源電圧VDDが接続されており、該トランジスタT50のゲートには、オペアンプAMP50の出力部が接続されている。このオペアンプAMP50の負(−)入力部には、参照電圧VREFIが入力されるように接続されている。トランジスタT50のドレインには、オペアンプAMP50の正(+)入力部が接続されている。
【0090】
また、トランジスタT50のドレインとオペアンプAMP50の正(+)側入力端子との接続部と基準電圧線VSSとの間には、基準電圧線VSSからトランジスタT50のドレインにかけて抵抗R50〜R58が直列接続されている。
【0091】
抵抗R50〜抵抗R57には、トランジスタT51〜T58がそれぞれ並列に接続されている。トランジスタT51〜T58のゲートには、制御信号CNT0〜CNT7がそれぞれ入力されるように接続されている。トランジスタT51〜T58は、制御信号CNT0〜CNT7に基づいて、ON(導通)/OFF(非導通)動作を行う。
【0092】
抵抗R51は、抵抗R50(抵抗値R)の2倍の抵抗値(抵抗値2R)となっており、抵抗R52は、抵抗R51(抵抗値2R)の2倍の抵抗値(抵抗値4R)となっている。同様に、抵抗R53は、抵抗R52(抵抗値4R)の2倍の抵抗値(抵抗値8R)となっており、抵抗R54は、抵抗R53(抵抗値8R)の2倍の抵抗値(抵抗値16R)となっている。
【0093】
抵抗R55は、抵抗R54(抵抗値16R)の2倍の抵抗値(抵抗値32R)となっており、抵抗R56は、抵抗R55(抵抗値32R)の2倍の抵抗値(抵抗値64R)となっている。
【0094】
また、抵抗R57は、抵抗R56(抵抗値64R)の2倍の抵抗値(抵抗値128R)となっており、抵抗R58は、生成される電流Irefが最大となるように任意の抵抗値(抵抗値XR)が設定されている。
【0095】
抵抗Rsの合成抵抗値は、次式によって求められる。
【0096】
【数3】

【0097】
式3では、式2と同様に、制御信号CNT7〜CNT0と合成抵抗値との関係を示しており、たとえば、最も大きな合成抵抗値とする際には、すべての抵抗R58〜R50に電流をパスさせる構成とすればよいので、CNT7〜CNT0に’1’を代入して算出する。
【0098】
式2、および式3からわかるように、抵抗Rsum(図2)と抵抗Rs(図3)の合成抵抗値の可変範囲は同じである。
【0099】
図3に示した回路トポロジーは、一般的であり、アナログ回路において多々使用されている。オンチップオシレータでは、抵抗R50〜R58に並列接続されたトランジスタT51〜T58を制御信号CNT0〜CNT7によってON/OFF制御することにより抵抗値(抵抗Rs)を可変し、発振周波数の切り替えを実現している。
【0100】
このとき、トランジスタT50のオン抵抗は、オンチップオシレータの周波数精度に影響ないよう抵抗に対して十分に小さく設計する必要がある。回路の基準は、電源電圧依存性を除去するため、基準電圧線VSS(グランド)を基準としている。
【0101】
使用するトランジスタは、基板がグランド給電であるNチャネルMOSトランジスタを使うのがよい。オンチップオシレータにおいて、広い発振周波数を実現するためには、抵抗値を大きく可変できるように設計する必要がある。
【0102】
しかしながら、図3に示すような回路構成では、以下に述べるような課題がある。
【0103】
前述したとおり、周波数精度におけるMOSトランジスタのオン抵抗の影響を十分に小さくするためには、トランジスタのゲート幅を大きくするか、もしくはオン抵抗の影響を小さくするため単位抵抗を大きくすることが必要である。
【0104】
また、直列接続する抵抗の数を増やし、可変範囲を広くすると抵抗の上位部分に並列接続されたトランジスタ(たとえば、トランジスタT58,T57)は、低電圧条件下では十分なゲート−ソース間電圧がバイアスされず、加えて、基板がグランドレベルで給電されているため基板効果により、しきい値電圧が高くなってしまい、並列接続されたトランジスタのオン抵抗値は無視できない大きさとなってしまう。
【0105】
その結果、生成する電流、その電流で動作、生成される発振周波数に温度依存性を発生させてしまうことが判明した。しかしながら、トランジスタのゲート幅を大きくした場合、トランジスタのオン抵抗の影響を低減することが可能となるが、高温時に発生するリーク電流により、発振周波数に温度依存性が発生してしまうことも判明した。
【0106】
また、トランジスタサイズを大きくすることは、直接的に面積増加につながるためサイズによる解決は難しく、本発明者は、図2に示す回路構成とすることにより、後者のオン抵抗の影響なき単位抵抗値とし、抵抗値の切り替え技術を工夫することによりこの技術課題を解決した。
【0107】
次に、本実施の形態による電圧電流変換回路3の作用について説明する。
【0108】
図2に示す回路構成において、回路ノードfbckは、オペアンプAMP1の正(+)入力部に入力されており、該オペアンプAMP1の負(−)入力部に参照電圧VREFIが入力されている。
【0109】
オペアンプAMP1は、正(+)入力部と負(−)入力部が等しい電圧となるようフィードバックがかかり、回路ノードfbckは、参照電圧VREFIに等しい電圧となる。
【0110】
よって、この回路が生成する電流Irefは、
【0111】
【数4】

【0112】
となる。
【0113】
上位ビットの制御信号CNT7,CNT6によって動作するトランジスタT2〜T5(図3のT57,T58に相当するトランジスタ)は、抵抗に並列接続する構成から、電流パスをPチャネルMOSで選択する構成に変更している。
【0114】
デコーダDECは、入力された制御信号CNT7,CNT6をデコードし、トランジスタT2〜T5のいずれか1つをオンさせる。たとえば、制御信号CNT7,CNT6がいずれもHi信号の場合、デコーダDECは、トランジスタT2をオンさせる信号を出力し、これにより、すべての抵抗R13〜R11に電流をパスさせる構成となる。
【0115】
また、制御信号CNT7がHi信号で、制御信号CNT6がLo信号の場合、デコーダDECは、トランジスタT3をオンさせる信号を出力し、これにより、抵抗R13を介さず、抵抗R12,R11に電流をパスさせる構成となる。
【0116】
制御信号CNT7がLo信号で、制御信号CNT6がHi信号の場合、デコーダDECは、トランジスタT4をオンさせる信号を出力し、抵抗R13、R12を介さず、抵抗R11に電流をパスさせる構成とし、制御信号CNT7,CNT6がいずれもLo信号の場合、デコーダDECは、トランジスタT5をオンさせる信号を出力し、抵抗R13〜R11に電流をパスさせない構成とする。
【0117】
また、トランジスタT6〜T11は、制御信号CNT0〜CNT5に基づいて、ON(導通)/OFF(非導通)し、抵抗R4〜R9に電流をパスさせる否かを設定する。たとえば、抵抗R4〜R9において、たとえば、抵抗R9,R8に電流をパスさせる場合には、トランジスタT11,T10をそれぞれオンさせるように制御信号CNT5,CNT4をそれぞれ出力(Hi信号)する。
【0118】
また、制御信号CNT5〜CNT0がすべてHi信号の場合には、トランジスタT6〜T11がONとなり、抵抗R9〜R4には、電流がパスしない構成となる。
【0119】
トランジスタT2〜T5を電源電圧VDDと並列接続した図2の回路構成では、回路ノードfbckが、参照電圧VREFIと同電位となるようフィードバック制御がかかるため、トランジスタT2〜T5のソース―ドレイン電圧の変動が抑えられるため、ON抵抗を大幅に低減することができる。
【0120】
それにより、温度依存性、電源依存性を無視することができ、周波数精度の悪化を防止することができる。
【0121】
また、トランジスタT2〜T5のON抵抗が低減することにより、図3の説明で述べたトランジスタのゲート幅の拡大などが不要となり、リーク電流の低減、および面積増の抑制を行うことができる。
【0122】
その結果、制御信号CNT5〜CNT0によって動作制御されるトランジスタT6〜T11のトランジスタサイズを大きくすることが可能となり、単位抵抗を図3に対して小さく設定することができ、これにより周波数切り替え分解能の細分化が可能となり、周波数精度をより改善することができる。
【0123】
また、図3の回路構成では、たとえば、トランジスタT58がOFFで、トランジスタT57〜T51がONの状態から、トランジスタT58がONし、トランジスタT57〜T51がOFFに遷移した状態などのトランジスタのON抵抗が大きく変化することになるが、図2の回路構成では、トランジスタT2〜T5のオン抵抗の影響がなくなったことにより、ON抵抗の大幅な変化がなくなり、周波数調整の分解能を大きくすることができる。制御信号の上位ビットは大きな抵抗値の抵抗の接続を切り替え、制御信号の下位ビットは上位ビットの制御信号により接続を切替えられる抵抗の抵抗値より小さな抵抗値の抵抗の接続を切替えるため、制御信号の上位ビットをデコードすることで周波数精度を向上させることができる。
【0124】
なお、図2では、8ビットの制御信号CNT7〜CNT0のうち、上位2ビットの制御信号CNT7,CNT6をデコードし、トランジスタT2〜T5によって抵抗R13〜R11を切り替える構成としたが、デコードされる制御信号のビット数はこれに限定されるものではなく、抵抗の数、およびトランジスタの数などによって変更可能である。但し、デコードされる制御信号のビット数を増やすにつれデコードされた制御信号が増える。
【0125】
これは、デコードされた制御信号のうちいずれか1つの制御信号しか選択されないためである。このため、上述の構成では、抵抗およびトランジスタの数が膨大に増える。よってビット数は少ない方が適切であり、この実施の形態では2ビットとした。
【0126】
このため、制御信号の全ビットをデコードして構成するのではなく、デコードされる上位ビットの制御信号とデコードしない下位ビットの制御信号のとの両方を用いることで、面積を減らすことができる。また、直列に接続されている抵抗R4〜R9の接続順序を入れ替えることも可能である。
【0127】
図4は、図2における抵抗R4〜R13のレイアウトの一例を示す説明図である。
【0128】
オンチップオシレータであるクロック発振回路1は、周波数の高精度化が重要であるため、抵抗素子として、たとえば、メタル抵抗素子Rdが使用されている。これは、メタル抵抗の2次の温度依存性が小さいことによる。
【0129】
メタル抵抗素子Rdは、たとえば、チタンナイトライド抵抗やタンタルナイトライド抵抗などからなり、該メタル抵抗素子Rdの抵抗値は、たとえば、8Rとする。また、メタル抵抗素子は、メタル素材の抵抗であることからアクティブデバイスの上層に形成されている。
【0130】
抵抗R13は、図4の左側に上方から下方にかけて形成されている。この抵抗R13は、8本のメタル抵抗素子Rdを、スルーホールTHと配線Hを介して、直列接続した構成からなる。尚、図4にはスルーホールTHおよび配線Hの一部を代表して記号を示しているが、同様のパターンは同一の要素を示すものである。抵抗R13の右側には、抵抗R12が形成されており、該抵抗R12の右側には、抵抗R11が形成されている。抵抗R12,R11においても、それぞれ8本のメタル抵抗素子Rdを直列に接続した構成からなる。
【0131】
抵抗R11の右側には、抵抗R10が形成されている。抵抗R10は、たとえば、抵抗値を256Rとしており、32本のメタル抵抗素子Rdを直列接続した構成からなる。抵抗R10の右側には、抵抗R9が形成されている。抵抗R9は、4本のメタル抵抗素子Rdを直列に接続した構成からなる。
【0132】
抵抗R9の右側上半分の領域には、抵抗R8が形成されており、抵抗R8の右側には、抵抗R7が形成されている。抵抗R7の右側には、抵抗R6が形成されており、該抵抗R6の右側には、抵抗R5が形成されている。また、抵抗R9の右側下半分の領域には、ダミー抵抗Rdaを挟んで、抵抗R4が形成されている。
【0133】
抵抗R8は、2本のメタル抵抗素子Rdを直列接続した構成からなり、抵抗R7は、1本のメタル抵抗素子Rdを直列に接続した構成からなる。また、抵抗R6は、2本のメタル抵抗素子Rdを並列接続した構成からなり、抵抗R5は、4本のメタル抵抗素子Rdを並列接続した構成からなる。抵抗R4は、8本のメタル抵抗素子Rdを並列接続した構成からなる。
【0134】
図4における抵抗R13の上側には、トランジスタT2〜T5が形成されているトランジスタエリアTA1がレイアウトされており、抵抗R5の上側には、トランジスタT6〜T11が形成されているトランジスタエリアTA2がレイアウトされている。
【0135】
トランジスタエリアTA1のトランジスタT4のドレイン(図4の左側の回路図参照)は、配線層に形成された配線H1(図4の左側の回路図参照)を介して抵抗R12と抵抗R11との接続部に接続されている。
【0136】
トランジスタT5のドレイン(図4の左側の回路図参照)は、配線層に形成された配線H2(図4の左側の回路図参照)を介して抵抗R11と抵抗R10との接続部に接続されている。
【0137】
また、トランジスタエリアTA2のトランジスタT6とトランジスタT7との接続部は、配線層に形成された配線H3(図4の左側の回路図参照)を介して抵抗R4と抵抗R5との接続部に接続されている。
【0138】
トランジスタエリアTA2のトランジスタT8とトランジスタT9との接続部は、配線層に形成された配線H4(図4の左側の回路図参照)を介して抵抗R6と抵抗R7との接続部に接続されており、トランジスタエリアTA2のトランジスタT9、およびトランジスタT10の接続部は、配線層に形成された配線H5(図4の左側の回路図参照)を介して抵抗R8と抵抗R7との接続部に接続されている。
【0139】
さらに、トランジスタエリアTA2のトランジスタT10とトランジスタT11との接続は、配線層に形成された配線H6(図4の左側の回路図参照)を介して抵抗R9と抵抗R8との接続部に接続されている。
【0140】
トランジスタエリアTA2のトランジスタT11のドレインは、配線層に形成された配線H7(図4の左側の回路図参照)を介して抵抗R9と抵抗R10との接続部に接続されている。
【0141】
この場合、トランジスタT2〜T5とトランジスタT6〜T11とを接続する必要がないため、トランジスタT2〜T5が形成されるトランジスタエリアTA1と、トランジスタT6〜T11が形成されるトランジスタエリアTA2とをそれぞれ分離して配置することが可能となる。
【0142】
これにより、各々のトランジスタエリアTA1,TA2は、接続される抵抗の近くの端子にレイアウトすることが可能となり、メタル抵抗素子Rdの数が増加しても配線長を短くすることが可能となり、配線抵抗を低減することができる。
【0143】
また、図4では、抵抗R4〜R13をメタル抵抗素子Rdで構成する場合について説明したが、これら抵抗R4〜R13は、たとえば、ポリシリコン抵抗などによって形成するようにしてもよい。
【0144】
この場合においても、トランジスタT2〜T5が形成されるトランジスタエリアTA1と、トランジスタT6〜T11が形成されるトランジスタエリアTA2とをそれぞれ分離して配置することが可能となり、配線H1〜H7の配線長を短くすることができる。
【0145】
なお、図4では、トランジスタエリアTA1を左上側にレイアウトし、トランジスタエリアTA2を右上側にレイアウトした構成としたが、これらトランジスタエリアTA1,TA2は、配線が短くなるようにレイアウトされればよく、図4のレイアウト位置に限るものではない。
【0146】
図5は、図3の抵抗R50〜R58のレイアウトの一例を示す説明図である。
【0147】
抵抗R50〜R58は、図4と同様に、メタル抵抗素子Rd50によって形成されている。図4の左側には、上方から下方にかけて、抵抗R58が形成されている。この抵抗R58は、32本のメタル抵抗素子Rd50を直列接続した構成からなる。
【0148】
メタル抵抗素子Rd50は、たとえば、チタンナイトライド抵抗、あるいはタンタルナイトライド抵抗などからなり、該メタル抵抗素子Rd50の抵抗値は、たとえば、8Rとする。また、メタル抵抗素子は、メタル素材の抵抗であることからアクティブデバイスの上層に形成されている。
【0149】
抵抗R58の右側には、抵抗R57が形成されており、該抵抗R57の右側には、抵抗R56が形成されている。抵抗R57は、16本のメタル抵抗素子Rd50を直列に接続した構成からなり、抵抗R56は、8本のメタル抵抗素子Rd50を直列に接続した構成からなる。
【0150】
抵抗R56の右側には、抵抗R55が形成されており、該抵抗R55は、4本のメタル抵抗素子Rd50を直列に接続した構成からなる。抵抗R55の右側上半分の領域には、抵抗R54が形成されており、抵抗R54の右側には、抵抗R53が形成されている。
【0151】
抵抗R53の右側方には、抵抗R52が形成されており、該抵抗R52の右側には、抵抗R51が形成されている。また、抵抗R55の右側下半分の領域には、ダミー抵抗Rda50を挟んで、抵抗R50が形成されている。
【0152】
抵抗R54は、2本のメタル抵抗素子Rd50を並列接続した構成からなり、抵抗R53は、1本のメタル抵抗素子Rd50からなる。抵抗R52は、2本のメタル抵抗素子Rd50を並列に接続した構成からなり、抵抗R51は、4本のメタル抵抗素子Rd50を並列に接続した構成からなる。また、抵抗R50は、8本のメタル抵抗素子Rd50を並列接続した構成からなる。
【0153】
図5における抵抗R51の上側には、トランジスタT51〜T58が形成されているトランジスタエリアTA50がレイアウトされている。また、抵抗R58と抵抗R57との接続部は、配線層に形成された配線H50(図5の左側の回路図参照)を介して、トランジスタエリアTA50に形成されたトランジスタT58と接続されている。
【0154】
抵抗R57と抵抗R56との接続部は、配線層に形成された配線H51(図5の左側の回路図参照)を介して、トランジスタエリアTA50に形成されたトランジスタT58,T57の接続部に接続されている。
【0155】
抵抗R56,R55の接続部は、配線層に形成された配線H52(図5の左側の回路図参照)を介して、トランジスタエリアTA50に形成されたトランジスタT57,T56の接続部に接続されている。
【0156】
抵抗R55,R54の接続部は、配線層に形成された配線H53(図5の左側の回路図参照)を介して、トランジスタエリアTA50に形成されたトランジスタT56,T55の接続部に接続されており、抵抗R54,R53の接続部は、配線層に形成された配線H54(図5の左側の回路図参照)を介して、トランジスタエリアTA50に形成されたトランジスタT55,T54の接続部に接続されている。
【0157】
この場合、たとえば、トランジスタT51のドレインとトランジスタT52のソースが共通、トランジスタT52のドレインとトランジスタT53のソースが共通というように、トランジスタのソースまたはドレインが他のトランジスタと共通であることから、トランジスタを分離して配置すると、配線長が増加してしまうことになるため、図5のトランジスタエリアTA50のように集中して配置することが望ましい。
【0158】
しかしながら、トランジスタを集中して配置することにより、配線H50,H51などのように、抵抗値の高い抵抗では、直列接続する抵抗素子の数が多くなるために接続する距離が大きく離れてしまい、配線長が長くなってしまうことになる。
【0159】
図6は、図5における断面構造を模式的に示した説明図である。
【0160】
半導体基板51の上部には、トランジスタなどの半導体デバイスが形成される半導体デバイス領域52が形成されている。この半導体デバイス領域52の上方には、接続用の配線Hが形成される配線層53が形成されている。
【0161】
配線層53の上方には、下層からの影響をなくすためのシールド層54が形成されており、シールド層54の上方には、複数のメタル抵抗素子Rd50が形成されたメタル抵抗層55が形成されている。
【0162】
メタル配線層55に形成された抵抗素子と半導体デバイス領域52に形成されたトランジスタとは、該配線層53に形成された配線H、およびスルーホールTHを介して接続されている。
【0163】
この配線層53に形成される配線Hは、半導体デバイス領域52に形成される様々な半導体デバイスを接続する配線として使用されることになるが、配線層53に抵抗R50〜R58、およびトランジスタT51〜58を接続する配線が形成されている場合には、配線の制約が大きくなってしまう。
【0164】
それにより、図6の右側に示す半導体デバイス領域52にトランジスタT51〜58以外の半導体デバイスを形成しても、該半導体デバイスとの配線接続ができなくなってしまう恐れがある。
【0165】
しかしながら、図4に示したレイアウトの場合には、前述したように、トランジスタエリアTA1,TA2と抵抗とを接続する配線長を短くすることが可能となり、配線の制約を最小限にすることができる。配線の制約が小さくなることにより、他の半導体デバイスのレイアウトを容易にすることができる。
【0166】
図7は、図1のクロック発振回路1を搭載した半導体装置8の一例を示すブロック図である。
【0167】
半導体装置8は、図示するように、クロック発振回路1と、例えばCPU(Central Processing Unit)9、揮発性メモリ10、不揮発性メモリ11、機能ブロック12、分周器13、レジスタ14といった内部回路、およびバンドギャップリファレンス回路15などから構成されている。
【0168】
CPU9は、半導体装置8の中央処理部であり、揮発性メモリ10は、たとえば、SRAM(Static Random Access Memory)などの半導体メモリからなる。
【0169】
不揮発性メモリ11は、フラッシュメモリに例示される半導体メモリであり、機能ブロック12は、たとえば、A/D(Analog/Digital)変換器などの任意の機能を実現する様々な回路ブロックなどからなる。
【0170】
分周器13は、クロック発振回路1が生成したクロック信号CKOUTを分周し、CPU9、揮発性メモリ10、および不揮発性メモリ11に供給する。また、クロック発振回路1が生成したクロック信号CKOUTは、機能ブロック12に供給される。
【0171】
レジスタ14は、不揮発性メモリ11から読み出されたデータを一時的に格納し、制御信号CNT0〜CNT7(図2)としてクロック発振回路1に出力する。
【0172】
バンドギャップリファレンス回路15は、参照電圧源として、温度変化に対する電圧変化の小さい電圧を発生する回路であり、ここでは、正の1次の温度依存性をもつ電流Iptatを生成し、クロック発振回路1に供給する。
【0173】
制御信号CNT0〜CNT7は、予め不揮発性メモリ11に書き込まれており、半導体装置8が起動すると、該不揮発性メモリ11から読み出された制御信号CNT0〜CNT7がレジスタ14へ書き込まれる。
【0174】
レジスタ14への制御信号CNT0〜CNT7の書き込みは、不揮発性メモリ11以外に、たとえば、ヒューズなどを利用するようにしてもよい。クロック発振回路1における可変可能な発振周波数範囲は、たとえば、32MHz〜50MHz程度であり、発振周波数を±1%程度で調整することを想定している。これに必要な制御信号の精度は概8bitとなる。
【0175】
また、クロック発振回路1は、参照電圧VREFI/参照電圧VREFCの比を調整することにより周波数の温度特性を正特性(高温になるに従い高周波)や負特性(低温になるに従い高周波)に自由に設定可能である。温度トリミングは、複数の温度でのクロック発振回路1の発振周波数を測定し、発振周波数の温度依存係数を算出することにより行われる。
【0176】
このように、周波数の温度依存性の自由度が高いクロック発振回路1は、たとえば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリのデータの保持をするために必要なセルフリフレッシュを行う基準クロック発生回路としても利用可能である。
【0177】
図8は、図1のクロック発振回路1を搭載した半導体メモリ16の一例を示すブロック図である。
【0178】
半導体メモリ16は、図示するように、クロック発振回路1、バンドギャップリファレンス回路15、メモリ部17、ヒューズ回路18、およびなどから構成されている。メモリ部17は、たとえば、DRAMからなる揮発性メモリである。
【0179】
ヒューズ回路18は、予め設定されている信号を生成し、制御信号CNT0〜CNT7(図2)としてクロック発振回路1に出力する。その他の構成については、図7と同様であるので、説明は省略する。
【0180】
DRAMのデータ保持能力は高温で低下するため、高温時は常温に対して高周波でリフレッシュを実施したい、しかしながら、高温時に合わせて高周波に設定すると常温、または低温時に必要以上のリフレッシュを実施するため、消費電流が増加するというデメリットが発生する。
【0181】
そこで、図9に示すように、クロック発振回路1では、温度トリミングによって1次の正温特性を持たせることにより高温時のみ周波数を速くすることが可能である。これにより、高温時のデータ保持能力を高め、常温、低温時の消費電流の増加を抑えることが可能となる。
【0182】
それにより、本実施の形態によれば、電圧電流変換回路3におけるトランジスタT2〜T5のON抵抗を大幅に低減するとともに、トランジスタT2〜T5の温度依存性、および電源依存性を無視することができるので、クロック信号CKOUTの周波数精度を向上させることができる。
【0183】
また、トランジスタT2〜T5とトランジスタT6〜T11とを接続される抵抗の近くにそれぞれレイアウトすることができるので、配線抵抗を低減することができる。
【0184】
以上、抵抗値を変化させることにより、クロック発振周波数調整の分解能の細分化と発振周波数精度を変えることなく、広い範囲の周波数調整を実現する方法について述べたが、要求される発振周波数の仕様によっては、容量値を変化させる方法と組み合わせて用いることも可能である。
【0185】
また、クロック発振周波数のみならず、高精度な調整が必要となる基準電圧発生回路等にも本発明によるクロック発振回路で用いられた電圧電流変換回路を利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0186】
本発明は、動作クロックを内部生成するクロック発振回路を備えた半導体装置における高精度なクロック信号の生成技術に適している。
【符号の説明】
【0187】
1 クロック発振回路
2 参照電圧発生回路
3 電圧電流変換回路
4 制御回路
5 周波数電圧変換回路
6 積分回路
7 電圧制御発振回路
8 半導体装置
9 CPU
10 揮発性メモリ
11 不揮発性メモリ
12 機能ブロック
13 分周器
14 レジスタ
15 バンドギャップリファレンス回路
16 半導体メモリ
17 メモリ部
18 ヒューズ回路
R1〜R13 抵抗
Q1 トランジスタ
T1〜T11 トランジスタ
AMP1 オペアンプ
AMP2 オペアンプ
Rsum 抵抗
R1〜R13 抵抗
Rda ダミー抵抗
Rd メタル抵抗素子
SW1〜SW3 スイッチ
C1 静電容量素子
C2 静電容量素子
DEC デコーダ
TA1 トランジスタエリア
TA2 トランジスタエリア
H1〜H7 配線
50 電圧電流変換回路
51 半導体基板
52 半導体デバイス領域
53 配線層
54 シールド層
55 メタル抵抗層
AMP50 オペアンプ
T50〜T58 トランジスタ
Rs 抵抗
R50〜R58 抵抗
Rda50 ダミー抵抗
H50〜H54 配線
Rd50 メタル抵抗素子
Rda50 ダミー抵抗
TA50 トランジスタエリア
H50〜H54 配線
TH スルーホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック信号を出力するクロック発振回路と、
前記クロック信号に基づいて生成される動作周波数信号に応じて動作する内部回路とを備え、
前記クロック発振回路は、
基準電流を供給するトランジスタと、正入力部、負入力部および出力部とを持つオペアンプと、
前記トランジスタのドレインと第1のノードとの間に接続された第1の抵抗切り替え部と、
前記第1のノードと基準電圧が与えられる基準電圧線との間に接続された第2の抵抗切り替え部とを含む電流電圧変換回路を有し、
前記第1の抵抗切り替え部は、
第1の抵抗を含み、直列に複数の抵抗が接続され、一方端が前記第1のノードに接続された第1の抵抗部と、
前記ドレインに接続された第1と第2のスイッチを含む第1の経路切り替え部とが設けられ、
前記第1の経路切り替え部は、
前記基準電流を前記第1のスイッチを介して前記第1の抵抗および前記第2の抵抗切り替え部へ流す、もしくは前記基準電流を前記第2のスイッチを介して前記第2の抵抗切り替え部へ流し、前記第1の抵抗には電流を流さない、かのいずれかに制御信号により切り替え、
前記オペアンプは、
前記負入力部に参照電圧が入力され、前記正入力部に前記第1の抵抗部の他方端が接続され、前記出力部に前記トランジスタのゲートが接続されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2の抵抗切り替え部は、
第2の抵抗を含み、直列に複数の抵抗が接続された第2の抵抗部と、
前記制御信号により制御される第3のスイッチを含む第2の経路切り替え部とが設けられ、
前記第3のスイッチは前記第2の抵抗に並列に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチは、PチャネルMOSのトランジスタであり、
前記第3のスイッチは、NチャネルMOSのトランジスタであることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の半導体装置において、
前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチは、
前記第2の抵抗部より、前記第1の抵抗部の近くに配置し、
前記第3のスイッチは、
前記第1の抵抗部より、前記第2の抵抗部の近くに配置し、
前記第1および前記第2のスイッチと、前記第3のスイッチをそれぞれに分離して配置することを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1の抵抗部および前記第2の抵抗部は、
メタル配線抵抗よりなることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記第1の抵抗部は前記第1の経路切り替え部の上層に、
前記第2の抵抗部は前記第2の経路切り替え部の上層に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1の抵抗部および前記第2の抵抗部は、
ポリシリコン抵抗よりなることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第2の抵抗部を構成する抵抗の抵抗値より、前記第1の抵抗の抵抗値が大きいことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置において、
前記第2の抵抗部を構成する直列に接続された複数の抵抗は、前記基準電圧線に接続される抵抗から順に各々2倍の抵抗値であり、前記第1の抵抗部を構成する抵抗の少なくとも1つは、前記第2の抵抗部を構成する抵抗の内、最も大きい抵抗の2倍の抵抗値であることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−138870(P2012−138870A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291630(P2010−291630)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】