説明

半導体装置

【課題】無線通信により交信可能な半導体装置において、個体識別子を容易に付けることができるようにする。
【解決手段】薄膜トランジスタ119と、薄膜トランジスタ上に第1の層間絶縁膜156と、第1の層間絶縁膜上の、ソース領域またはドレイン領域の一方に電気的に接続される第1の電極114と、ソース領域またはドレイン領域の他方に電気的に接続される第2の電極110と、第1の層間絶縁膜、第1の電極、及び第2の電極上に形成された第2の層間絶縁膜135と、第2の層間絶縁膜上の、第1の電極または第2の電極の一方に電気的に接続される第1の配線177と、第2の層間絶縁膜上の、第1の電極または第2の電極の他方に電気的に接続されない第2の配線178とを有し、第2の配線と前記第1の電極または第2の電極の他方は、第2の層間絶縁膜中の分断領域169によって、電気的に接続されない半導体装置及びその作製方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信など非接触手段により、交信が可能な半導体装置及びその製造方法
に関する。特に、ガラス、プラスチックなどの絶縁基板上に形成された半導体装置及びそ
の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ技術の発展や、画像認識技術の向上によって、バーコードなどの媒体を用
いた情報認識方法が広く普及し、商品データの認識などに用いられている。今後はさらに
多量の情報認識が必要とされると予想できる。その一方、バーコードによる情報認識など
ではバーコードリーダーがバーコードとの接触を必要とすることや、またバーコードに記
録できる情報量が少ないという欠点があり、非接触の情報認識および媒体の記憶容量増大
が望まれている。
【0003】
このような要望から、近年ICを用いた無線通信が可能な半導体装置(IDチップ、I
Cチップ、ICタグ、IDタグ、無線チップ、RFIDともいう)が開発されている。こ
のような半導体装置ではIC内のメモリ回路に記憶されている情報を、非接触手段、一般
的には無線手段を用いて読み取る。このような半導体装置の実用化によって、商品流通な
どの簡素化、低コスト化、高いセキュリティの確保が可能になる。
【0004】
上記のICを用いた無線通信が可能な半導体装置を用いた個体認証システムの概要につ
いて図2、図3、図4(A)〜図4(B)を用いて説明する。図2はバッグの個体情報を
非接触で認識することを目的とした個体認証システムの概要を示す図である。
【0005】
特定の個体情報を記憶した半導体装置221はバッグ224に貼り付けられている、も
しくは埋め込まれている。この半導体装置221に対して質問器(リーダ/ライタともい
う)223に電気的に接続されたアンテナユニット222より信号が送信される。その信
号を受信すると半導体装置221はその半導体装置が持っている個体情報をアンテナユニ
ット222に対して送信する。アンテナユニット222は送信された個体情報を質問器2
23に送り、質問器223は個体情報の判別をおこなう。このようにして、バッグ224
の個体情報を質問器223は認識することができる。また、このシステムを用いることに
よって物流管理、集計、偽造品の除去などが可能になる。
【0006】
このような半導体装置としては例えば図3に示す構成を有するものがある。このような
半導体装置200はアンテナ回路201、整流回路202、安定電源回路203、アンプ
208、復調回路213、論理回路209、メモリコントロール回路212、メモリ回路
211、論理回路207、アンプ206、変調回路205を有している。
【0007】
また、例えばアンテナ回路201はアンテナコイル241、容量242によって構成さ
れる(図4(A)参照)。また、例えば整流回路202はダイオード243及び244、
容量245によって構成される(図4(B)参照)。
【0008】
このようなICを用いた無線通信が可能な半導体装置の動作を以下に説明する。アンテ
ナ回路201で受信した無線信号はダイオード243及び244によって半波整流され、
容量245によって平滑される。この平滑された電圧は複数のリップルを含んでいるため
、安定電源回路203で安定化され、安定化された後の電圧を復調回路213、変調回路
205、アンプ206、論理回路207、アンプ208、論理回路209、メモリ回路2
11、メモリコントロール回路212に供給する。
【0009】
一方、アンテナ回路201で受信された信号はアンプ208を介して、クロック信号と
して、論理回路209に入力される。また、アンテナコイル241から入力された信号は
復調回路213で復調され、データとして論理回路209に入力される。
【0010】
論理回路209において、入力されたデータはデコードされる。質問器223がデータ
をエンコードして送信するため、それを論理回路209はデコードする。デコードされた
データは、メモリコントロール回路212に送られ、それに従いメモリ回路211に記憶
された情報が読み出される。
【0011】
メモリ回路211は電源が切れても保持できる不揮発性メモリ回路である必要があり、
ROM(Read Only Memory)などが使用される(特許文献1参照)。
【0012】
送受信される信号は、125kHz、13.56MHz、915MHz、2.45GH
zなどがあり、それぞれISOなどにより規格が設定されている。また、送受信の際の変
調・復調方式も規格が設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3578057号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記のようなICを用いた無線通信が可能な半導体装置を作製するには、上記のように
不揮発性メモリ回路、例えばマスクROMを形成する必要があった。
【0015】
ところが、マスクROM(以下、単に「ROM」ともいう)は半導体装置の製造時以外
ではデータ書き込みをおこなうことができないので、半導体装置の製造時にマスクROM
を作ると同時にデータも作り込まれる。
【0016】
個々の半導体装置のID番号等の固有データは、ROMに記憶されている。ID番号等
の固有データは個々の半導体装置で全て異なる。しかしながら、一般的にROMはフォト
リソグラフィを用いて作製するので、個々の半導体装置でID番号等の固有データを異な
らせるためには、その都度フォトマスクを作らなければならない。そのため、全て異なる
ID番号等の固有データを作製するとなると、作製コスト、作成作業共に大きな負担がか
かってしまう。
【0017】
ID番号とは、個々の半導体装置を識別するための番号であり、個々の半導体装置それ
ぞれによって異なっている。
【0018】
そこで本発明では、異なるID番号等の固有データを有するROMが形成された、IC
を用いた無線通信が可能な半導体装置、並びに、このような半導体装置を作製する方法を
提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するために、本発明では、無線通信により交信が可能な半導体装置に
おいて、配線材料を電解液に浸して電圧をかけることにより、配線材料を溶かして電気的
接続を遮断した配線と、電気的接続を維持した配線を形成することにより、それぞれの半
導体装置に対して異なるデータを書き込むことを特徴とする。
【0020】
より具体的には、半導体装置内のメモリ回路のメモリセルアレイを形成するTFTの、
活性層に電気的に接続する電極または配線において、電解液に浸して、電気的接続を遮断
させたい電極または配線に電圧をかけることにより、その電極または配線を溶解させる。
これにより電気的接続を遮断した電極または配線と、電気的接続を維持した電極または配
線を作り分けることが可能になる。
【0021】
本発明において上記の半導体装置に対して異なるデータとは、それぞれの半導体装置に
対応するID番号等の固有データである。
【0022】
本発明の無線通信により交信が可能な半導体装置(IDチップ、ICチップ、ICタグ
、IDタグ、無線チップ、RFIDともいう)には、ROMとロジック回路が形成され、
それぞれ薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor(TFT))を
有している。
【0023】
本発明は、基板上に、チャネル形成領域と、ソース領域またはドレイン領域を有する島
状半導体膜と、ゲート絶縁膜と、ゲート電極と、を有する薄膜トランジスタと、前記薄膜
トランジスタ上に第1の層間絶縁膜と、前記第1の層間絶縁膜上に形成され、前記ソース
領域またはドレイン領域の一方に電気的に接続される第1の電極と、前記第1の層間絶縁
膜上に形成され、前記ソース領域またはドレイン領域の他方に電気的に接続される第2の
電極と、前記第1の層間絶縁膜、前記第1の電極、及び前記第2の電極上に形成された第
2の層間絶縁膜と、前記第2の層間絶縁膜上に形成され、前記第1の電極または第2の電
極の一方に電気的に接続される第1の配線と、前記第2の層間絶縁膜上に形成され、前記
第1の電極または第2の電極の他方に電気的に接続されない第2の配線とを有し、前記第
2の配線と前記第1の電極または第2の電極の他方は、前記第2の層間絶縁膜中に形成さ
れた分断領域によって、電気的に接続されないことを特徴とする半導体装置に関するもの
である。
【0024】
また本発明は、基板上に、島状半導体膜、ゲート絶縁膜、ゲート電極を形成し、前記島
状半導体膜中に、一導電性を付与する不純物を添加して、島状半導体膜中に、チャネル形
成領域、ソース領域またはドレイン領域を形成し、前記島状半導体膜、前記ゲート絶縁膜
、前記ゲート電極を覆って、第1の層間絶縁膜を形成し、前記第1の層間絶縁膜上に、前
記ソース領域またはドレイン領域の一方に電気的に接続する第1の電極を形成し、前記第
1の層間絶縁膜上に、前記ソース領域またはドレイン領域の他方に電気的に接続する第2
の電極を形成し、前記第1の層間絶縁膜、前記第1の電極、及び前記第2の電極を覆って
、第2の層間絶縁膜を形成し、前記第2の層間絶縁膜中に、前記第1の電極に達する第1
のコンタクトホールを形成し、前記第2の層間絶縁膜中に、前記第2の電極に達する第2
のコンタクトホールを形成し、前記第1の電極及び第2の電極を電解液に浸し、前記第1
の電極または第2の電極の一方に電圧をかけ、前記第1の電極または第2の電極の一方を
溶解させて分断領域を形成し、前記第2の層間絶縁膜上に、前記第1あるいは第2のコン
タクトホールの一方の中に、前記第1の電極または第2の電極の一方に電気的に接続され
ない第1の配線を形成し、前記第2の層間絶縁膜上に、前記第1あるいは第2のコンタク
トホールの他方を介して、前記第1の電極または第2の電極の他方に電気的に接続される
第2の配線を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法に関するものである。
【0025】
本発明において、前記薄膜トランジスタは、不揮発性メモリ回路に用いられるものであ
る。
【0026】
本発明は、基板上に、第1のチャネル形成領域と、第1のソース領域またはドレイン領
域を有する第1の島状半導体膜と、ゲート絶縁膜と、第1のゲート電極とを有する第1の
薄膜トランジスタと、第2のチャネル形成領域と、第2のソース領域またはドレイン領域
を有する第2の島状半導体膜と、前記ゲート絶縁膜と、第2のゲート電極とを有する第2
の薄膜トランジスタと、前記第1及び第2の薄膜トランジスタ上に、第1の層間絶縁膜と
、前記第1の層間絶縁膜上に形成され、前記第1のソース領域またはドレイン領域の一方
に電気的に接続される第1の電極と、前記第1の層間絶縁膜上に形成され、前記第1のソ
ース領域またはドレイン領域の他方に電気的に接続される第2の電極と、前記第1の層間
絶縁膜上に形成され、前記第2のソース領域またはドレイン領域の一方に電気的に接続さ
れる第3の電極と、前記第1の層間絶縁膜上に形成され、前記第2のソース領域またはド
レイン領域の他方に電気的に接続される第4の電極と、前記第1の層間絶縁膜、前記第1
の電極乃至第4の電極上に形成された、第2の層間絶縁膜と、前記第2の層間絶縁膜上に
形成され、前記第1の電極に電気的に接続された第1の配線と、前記第2の層間絶縁膜上
に形成され、前記第2の電極に電気的に接続された第2の配線と、前記第2の層間絶縁膜
上に形成され、前記第3の電極に電気的に接続されない第3の配線と、前記第2の層間絶
縁膜上に形成され、前記第4の電極に電気的に接続された第4の配線とを有し、前記第3
の配線と前記第3の電極は、前記第2の層間絶縁膜中に形成された分断領域によって、電
気的に接続されないことを特徴とする半導体装置に関するものである。
【0027】
本発明は、基板上に、第1の島状半導体膜、第2の島状半導体膜、ゲート絶縁膜、第1
のゲート電極、第2のゲート電極を形成し、前記第1及び第2の島状半導体膜中に、一導
電性を付与する不純物を添加して、前記第1の島状半導体膜中に、第1のチャネル形成領
域、第1のソース領域またはドレイン領域を、前記第2の島状半導体膜中に、第2のチャ
ネル形成領域、第2のソース領域またはドレイン領域を形成し、前記第1及び第2の島状
半導体膜、前記ゲート絶縁膜、前記第1及び第2のゲート電極を覆って、第1の層間絶縁
膜を形成し、前記第1の層間絶縁膜上に、前記第1のソース領域またはドレイン領域の一
方に電気的に接続される第1の電極を形成し、前記第1の層間絶縁膜上に、前記第1のソ
ース領域またはドレイン領域の他方に電気的に接続される第2の電極を形成し、前記第1
の層間絶縁膜上に、前記第2のソース領域またはドレイン領域の一方に電気的に接続され
る第3の電極を形成し、前記第1の層間絶縁膜上に、前記第2のソース領域またはドレイ
ン領域の他方に電気的に接続される第4の電極を形成し、前記第1の層間絶縁膜、前記第
1の電極乃至第4の電極を覆って第2の層間絶縁膜を形成し、前記第2の層間絶縁膜中に
、前記第1の電極に達する第1のコンタクトホールを形成し、前記第2の層間絶縁膜中に
、前記第2の電極に達する第2のコンタクトホールを形成し、前記第2の層間絶縁膜中に
、前記第3の電極に達する第3のコンタクトホールを形成し、前記第2の層間絶縁膜中に
、前記第4の電極に達する第4のコンタクトホールを形成し、前記第1の電極乃至第4の
電極を電解液に浸し、前記第3の電極に電圧をかけ、前記第3の電極を溶解させて分断領
域を形成し、前記第2の層間絶縁膜上に、前記第1のコンタクトホールを介して、前記第
1の電極に電気的に接続される第1の配線を形成し、前記第2の層間絶縁膜上に、前記第
2のコンタクトホールを介して、前記第2の電極に電気的に接続される第2の配線を形成
し、前記第2の層間絶縁膜上に、前記第3のコンタクトホール中に、前記第3の電極に電
気的に接続されない第3の配線を形成し、前記第2の層間絶縁膜上に、前記第4のコンタ
クトホールを介して、前記第4の電極に電気的に接続される第4の配線を形成することを
特徴とする半導体装置の作製方法に関するものである。
【0028】
本発明において、前記第1及び第2の薄膜トランジスタは、不揮発性メモリ回路に用い
られるものである。
【0029】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装
置全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【発明の効果】
【0030】
本発明により、個々の、ICを用いた無線通信が可能な半導体装置に、異なるID番号
等の固有データを付けることを容易に行うことができる。
【0031】
これにより、ICを用いた無線通信が可能な半導体装置の作製時間、作製コストを低減
させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の半導体装置の断面図。
【図2】個体認証システムの概要を示す図。
【図3】従来の半導体装置の構成を示すブロック図。
【図4】従来の半導体装置の構成を示すブロック図。
【図5】本発明の半導体装置の作製工程を示す断面図。
【図6】本発明の半導体装置の作製工程を示す断面図。
【図7】本発明の半導体装置の作製工程を示す断面図。
【図8】本発明の半導体装置の作製工程を示す断面図。
【図9】本発明の半導体装置の作製工程を示す断面図。
【図10】本発明の半導体装置の回路図。
【図11】本発明の半導体装置の断面図
【図12】本発明の半導体装置の回路図。
【図13】本発明の半導体装置の構成を示すブロック図。
【図14】本発明の半導体装置の構成を示すブロック図。
【図15】本発明の半導体装置の作製工程を示すブロック図。
【図16】本発明の半導体装置の作製工程を示す断面図。
【図17】本発明の半導体装置の作製工程を示す断面図。
【図18】本発明の半導体装置の作製工程を示す断面図。
【図19】本発明の半導体装置の作製工程を示す断面図。
【図20】本発明の半導体装置の作製工程を示す断面図。
【図21】本発明の半導体装置の作製工程を示す断面図。
【図22】本発明の半導体装置の作製工程を示す断面図。
【図23】本発明の半導体装置の作製工程を示す断面図。
【図24】本発明の半導体装置の上面図。
【図25】本発明の半導体装置の上面図。
【図26】本発明の半導体装置の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の態様について、図面を参照して説明する。但し、本発明は多くの
異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することな
くその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って
、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に示す図面に
おいて、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説
明は省略する。
【0034】
本実施の形態を、図1、図5(A)〜図5(C)、図6(A)〜図6(C)、図7(A
)〜図7(C)、図8(A)〜図8(B)、図9(A)〜図9(B)、図10、図11、
図12、図13、図14、図15を用いて説明する。
【0035】
図10はマスクROMの回路図であり、列デコーダ15、行デコーダ16、nチャネル
型TFT118〜121を含むメモリセルアレイ11、ビット線(データ線)24および
25、ワード線W1及びW2、高電圧電源(VDD)22、低電圧電源(VSSまたはG
ND)23、列スイッチSW1〜SW4、列デコーダ15により制御されるアドレス線S
1およびS2、出力線14および制御線17、高電圧電源22に電気的に接続されている
配線27および28を有している。
【0036】
図1は、図10に示すメモリセルアレイ11に含まれるTFT118及び119の断面
図である。図1に示すマスクROMは、マスクROM内に形成されるメモリセルを形成す
るTFTのソース領域またはドレイン領域の他方と配線を電気的に接続するかどうかで、
記憶状態を表すものである。TFT118は配線27に電気的に接続されており、TFT
119は配線28に電気的に接続されていない。
【0037】
なお、図10では説明簡略化のため、4ビット分のメモリセルアレイを示しているが、
本発明の不揮発性メモリ回路は、もちろん4ビットに限定されるものではない。
【0038】
図1及び図10において、TFT118〜121はnチャネル型TFTであり、図1に
示すように、TFT118は、活性層である島状半導体膜131、下層ゲート電極103
a及び上層ゲート電極103bを含むゲート電極103を有している。TFT119は、
活性層である島状半導体膜132、下層ゲート電極104a及び上層ゲート電極104b
を含むゲート電極104を有している。
【0039】
ゲート電極103及び104は、ワード線W1と電気的に接続されている。なお図10
に示すTFT120及び121もそれぞれ、TFT118または119のいずれかと同じ
構造を有しており、TFT120及び121のゲート電極は、それぞれワード線W2と電
気的に接続されている。
【0040】
TFT118のソース領域またはドレイン領域の一方、及び、TFT120のソース領
域またはドレイン領域の一方は、ビット線24(配線175と同じ)に電気的に接続され
ている。またTFT119のソース領域またはドレイン領域の一方、及び、TFT121
のソース領域またはドレイン領域の一方は、ビット線25(配線177に同じ)に電気的
に接続されている。
【0041】
TFT118〜121それぞれの、ソース領域またはドレイン領域の他方は、必要に応
じて、配線27(配線176に同じ)または配線28(配線178に同じ)を介して、高
電圧電源22に電気的に接続される。高電圧電源22に電気的に接続されるか否かで、マ
スクROMの記憶状態が決定される。
【0042】
また図1に示すように、TFT118は、基板151上に形成された、下地膜153上
に形成される。TFT118は、島状半導体膜131、ゲート絶縁膜154、下層ゲート
電極103a及び上層ゲート電極103bからなるゲート電極103、サイドウォール1
71a及び171bを有している。島状半導体膜131には、ソース領域またはドレイン
領域の一方である領域163、ソース領域またはドレイン領域の他方である領域164、
低濃度不純物領域162a及び162b、チャネル形成領域161が含まれている。
【0043】
TFT119は、基板151上に形成された、下地膜153上に形成される。TFT1
19は、島状半導体膜132、ゲート絶縁膜154、下層ゲート電極104a及び上層ゲ
ート電極104bからなるゲート電極104、サイドウォール191a及び191bを有
している。島状半導体膜132には、ソース領域またはドレイン領域の一方である領域1
84、ソース領域またはドレイン領域の他方である領域183、低濃度不純物領域182
a及び182b、チャネル形成領域181が含まれている。
【0044】
なお図1において、下地膜153は1層であるが、必要に応じて層数を決めればよい。
【0045】
TFT118及び119上には、第1層間絶縁膜155が形成され、さらに第2層間絶
縁膜156が形成されている。
【0046】
なお、TFT120及び121については、TFT118もしくはTFT119のいず
れかと同様の断面構造を有している。
【0047】
第2層間絶縁膜156上に、領域163に電気的に接続する電極109、領域164に
電気的に接続する電極113、領域183に電気的に接続する電極114、領域184に
電気的に接続する電極110が形成されている。電極109及び電極113はそれぞれ、
TFT118のソース電極またはドレイン電極として機能し、電極114及び電極110
は、TFT119のソース電極またはドレイン電極として機能する。
【0048】
ただし電極110については、電極110を形成後に電圧をかけながら電解液に浸すこ
とにより、部分的にエッチングされている。これにより電極110は、後の工程で形成さ
れる配線178とは電気的に接続されない。
【0049】
第2層間絶縁膜156、電極109、電極113、電極114、電極110上には、第
3層間絶縁膜135が形成される。
【0050】
第3層間絶縁膜135上には、配線175(ビット線24に同じ)、配線177(ビッ
ト線25に同じ)、配線176(配線27に同じ)、配線178(配線28に同じ)が形
成されている。配線175(ビット線24)は、電極109と電気的に接続されており、
配線177(ビット線25)は、電極114と電気的に接続されており、配線176(配
線27)は、電極113に接続されている。ただし上述したように、配線178(配線2
8)は、電極110とは分断されているので、電気的には接続されない。
【0051】
図11にマスクROMを制御するロジック回路(論理回路ともいう)のTFTの断面図
、図12にその回路図を示す。ロジック回路の基本構成は、nチャネル型TFTとpチャ
ネル型TFTが相補的に接続されたCMOS回路である。後述の列デコーダ及び行デコー
ダは、このようなCMOS回路を用いて形成されている。図11及び図12ではCMOS
回路を用いたインバータを示している。
【0052】
図11及び図12において、ゲート電極443、ゲート電極444は同じ材料、同じ工
程で形成される。また配線407、配線404、配線405は、同じ材料、同じ工程で形
成される。さらに電源線431、配線432、電源線433も同じ材料、同じ工程で形成
される。ただし、もちろん必要に応じて違う工程や違う材料で形成してもよいのは言うま
でもない。
【0053】
図11に示すように、nチャネル型TFT411は、基板451上に形成された、下地
膜453上に形成される。TFT411は、活性層である島状半導体膜412、ゲート絶
縁膜454、下層ゲート電極443a及び上層ゲート電極443bからなるゲート電極4
43、サイドウォール471a及び471bを有している。なお下地膜453は1層であ
るが、必要に応じて層数を決めればよい。
【0054】
島状半導体膜412には、チャネル形成領域461、低濃度不純物領域462a及び4
62b、ソース領域またはドレイン領域の一方である領域463、ソース領域またはドレ
イン領域の他方である領域464が形成されている。
【0055】
TFT411のソース領域またはドレイン領域の一方である領域463は、配線404
に接続されており、ソース領域またはドレイン領域の他方である領域464は、配線40
7に接続されている。
【0056】
pチャネル型TFT421は、基板451上に形成された、下地膜453上に形成され
る。TFT421は、活性層である島状半導体膜422、ゲート絶縁膜454、下層ゲー
ト電極444a及び上層ゲート電極444bからなるゲート電極444、サイドウォール
491a及び491bを有している。
【0057】
島状半導体膜422には、チャネル形成領域481、ソース領域またはドレイン領域の
一方である領域484、ソース領域またはドレイン領域の他方である領域483が形成さ
れている。
【0058】
TFT421のソース領域またはドレイン領域の一方である領域484は、配線405
に接続されており、ソース領域またはドレイン領域の他方である領域483は、配線40
7に接続されている。
【0059】
なお本実施の形態では、pチャネル型TFT421は、低濃度不純物領域を形成してい
ないが、必要であれば低濃度不純物領域を形成してもよい。
【0060】
配線407は、nチャネル型TFT411のソース領域またはドレイン領域の他方であ
る領域464と、pチャネル型TFT421のソース領域またはドレイン領域の他方であ
る領域483を電気的に接続している。
【0061】
TFT411及び421上には、第1の層間絶縁膜455及び第2の層間絶縁膜456
が形成されている。
【0062】
第2の層間絶縁膜456上に配線404、配線405、配線407が形成され、配線4
04は領域463に電気的に接続される。また配線405は、領域484に電気的に接続
される。配線407は、領域464及び領域483に電気的に接続される。
【0063】
第2の層間絶縁膜456、配線404、配線405、配線407上に、第3の層間絶縁
膜458が形成される。
【0064】
第3の層間絶縁膜458上に配線404に電気的に接続される電源線431、配線40
5に電気的に接続される電源線433、配線407に電気的に接続される配線432が形
成される。配線432はインバータの出力端子になっている。またゲート電極443及び
ゲート電極444に電気的に接続された配線434が形成されており、配線434はイン
バータの入力端子となっている。
【0065】
以上の工程により作成された本発明を有するマスクROMの動作について、図10を用
いて説明する。なお、メモリセルに記憶されたまたは書き込まれたID番号等の固有デー
タを読み出すことができる回路であれば、以下の回路構成および動作の説明に限定される
ものではない。また、図10においては、説明の簡略化のため、4ビットのマスクROM
を例に、2ビット分のメモリセルの動作説明を行うが、マスクROMのビット数、動作は
この説明に限定されるものではなく、よりビット数の多い場合でも有効であり、全てのビ
ットのメモリセルのデータを読み出すものとする。
【0066】
図10に示すように、本発明を有するマスクROMは、列デコーダ15、行デコーダ1
6、nチャネル型TFT118〜121を含むメモリセルアレイ11、ビット線(データ
線)24および25、ワード線W1及びW2、高電圧電源(VDD)22、低電圧電源(
VSSまたはGND)23、列スイッチSW1〜SW4、列デコーダ15により制御され
るアドレス線S1およびS2、出力線14および制御線17から構成されている。
【0067】
はじめに、1ビットのメモリセルに記憶または書き込まれているID番号等の固有デー
タを読み出すにあたり、読み出し時間の1/4を使用して、低電圧電源(VSSまたはG
ND)の電位をプリチャージする動作について説明する。
【0068】
制御線17に読み出し時間の1/4だけ、SW3およびSW4が選択された状態になり
、ビット線(データ線)24および25が低電圧電源(VSSまたはGND)23に電気
的に接続される信号を送る。そうすることで、ビット線(データ線)24および25は低
電圧電源(VSSまたはGND)になる。
【0069】
このとき、ワード線W1及びW2はnチャネル型TFT118〜121を選択された状
態にしていない。ここで、選択された状態とは、nチャネル型TFT118〜121のソ
ース端子とドレイン端子が電気的に接続されることである。
【0070】
また、列デコーダ15により制御されるアドレス線S1およびS2も列スイッチSW1
およびSW2を選択された状態にしていない。ここで、選択された状態とは、ビット線(
データ線)24および25と出力線14が電気的に接続されることである。
【0071】
なお、プリチャージする電圧であるが、回路構成、方式、論理の違い等により、本発明
のように低電圧電源(VSSまたはGND)にプリチャージする場合、高電圧電源(VD
D)にプリチャージする場合、および、それ以外の生成電圧にプリチャージする場合と様
々であり、限定されるものではない。場合によって最適な電圧を選択すればよい。
【0072】
次に、読み出し時間の残りの3/4を使用して、本発明を有するマスクROMからID
番号等の固有データを読み出す動作について説明する。ここでは、読み出されたID番号
等の固有データとして、高電圧電源(VDD)と同じ電圧が出力された場合をハイ、低電
圧電源(VSSまたはGND)と同じ電圧が出力された場合をローとする。なお、読み出
されたID番号等の固有データがハイなのかローなのかは、回路構成、方式、論理の違い
等により異なるので、本説明に限定されない。
【0073】
行デコーダ16によってワード線W1が選択され、列デコーダ15によってアドレス線
S1が選択された場合、nチャネル型TFT118が選択される。そして、nチャネル型
TFT118のソース端子とドレイン端子が電気的に接続される。つまり、nチャネル型
TFT118のソース端子とドレイン端子にあたる、ビット線(データ線)24と高電圧
電源(VDD)22が電気的に接続される。ビット線は高電圧電源(VDD)22よりも
nチャネル型TFT118の閾値分低い電圧まで充電される。さらに、列デコーダ15に
よってアドレス線S1が選択されているので、ビット線(データ線)24と出力線14が
電気的に接続される。ここで、ビット線は高電圧電源(VDD)22よりもnチャネル型
TFT118の閾値分低い電圧まで充電されているので、出力線14も同じ電位になって
いることになる。つまり、出力線14には、高電圧電源(VDD)22よりもnチャネル
型TFT118の閾値分低い電圧が出力されたことになる。
【0074】
図示していないが、高電圧電源(VDD)22よりもnチャネル型TFT118の閾値
分低い電圧を増幅器に通すことで、高電圧電源(VDD)と同じ電圧を出力させる。ここ
で増幅器とは、電圧または電流を増大させることができる回路であり、インバータを2段
接続した構成でもよいし、比較器等を用いた構成でもよい。
【0075】
このようにして、nチャネル型TFT118に記憶または書き込まれていたID番号等
の固有データであるハイが出力線14に出力される。
【0076】
同様にして、行デコーダ16によってワード線W1が選択され、列デコーダ15によっ
てアドレス線S2が選択された場合、nチャネル型TFT119が選択される。nチャネ
ル型TFT119の一方の端子はどこにも接続されていないが、前記のプリチャージする
動作によって、他方の端子であるビット線(データ線)25が低電圧電源(VSSまたは
GND)23になっている。つまり、nチャネル型TFT119の一方の端子と他方の端
子は低電圧電源(VSSまたはGND)23とほぼ同じ電圧になっている。さらに、列デ
コーダ15によってアドレス線S2が選択されているので、ビット線(データ線)25と
出力線14が電気的に接続される。つまり、出力線14には、低電圧電源(VSSまたは
GND)23とほぼ同じ電圧が出力されたことになる。
【0077】
このようにして、nチャネル型TFT119に記憶または書き込まれていたID番号等
の固有データであるローが出力線14に出力される。
【0078】
以上により、本発明を有するマスクROMに記憶されたまたは書き込まれたID番号等
の固有データを読み出すことができる。
【0079】
以下にメモリセルアレイのTFTを作製する工程について、図5(A)〜図5(C)、
図6(A)〜図6(C)、図7(A)〜図7(C)、図8(A)〜図8(B)、図9(A
)〜図9(B)を用いて説明する。
【0080】
まず図5(A)に示すように、基板151上に下地膜153を成膜する。基板151に
は、例えばバリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、
石英基板、ステンレス基板、あるいは、絶縁表面に単結晶半導体層を形成したいわゆるS
OI(Silicon on Insulator)基板等を用いることができる。また
、PET(poly(ethylene terephthalate))、PES(p
oly(ether sulfone))、PEN(poly(ethylene Na
phthalate))に代表されるプラスチックや、アクリル等の可撓性を有する合成
樹脂からなる基板を用いることも可能である。以下、基板151として、ガラス基板を用
いて場合について説明する。
【0081】
下地膜153は基板151中に含まれるNaなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が
、半導体膜中に拡散し、半導体素子の特性に悪影響を及ぼすのを防ぐために設ける。よっ
てアルカリ金属やアルカリ土類金属の半導体膜への拡散を抑えることができる窒化珪素、
窒素を含む酸化珪素などの絶縁膜を用いて形成する。本実施の形態では、プラズマCVD
法を用いて酸化珪素膜を10〜100nm(好ましくは20〜70nm、さらに好ましく
は50nm)、並びに、窒素を含む酸化珪素膜を10nm〜400nm(好ましくは50
nm〜300nm、さらに好ましくは100nm)の膜厚になるように積層して成膜する

【0082】
なお下地膜153は窒化珪素、窒素を含む酸化珪素、酸素を含む窒化珪素などの絶縁膜
単層であっても、酸化珪素、窒化珪素、窒素を含む酸化珪素、酸素を含む窒化珪素などの
絶縁膜を複数積層したものであっても良い。またガラス基板、ステンレス基板またはプラ
スチック基板のように、アルカリ金属やアルカリ土類金属が多少なりとも含まれている基
板を用いる場合、不純物の拡散を防ぐという観点から下地膜を設けることは有効であるが
、石英基板など不純物の拡散がさして問題とならない場合は、必ずしも設ける必要はない

【0083】
次に下地膜153上に半導体膜101を形成する。半導体膜101の膜厚は25nm〜
100nm(好ましくは30nm〜80nm)とする。なお半導体膜101は、非晶質半
導体であっても良いし、多結晶半導体であっても良い。また半導体はシリコン(Si)だ
けではなくシリコンゲルマニウム(SiGe)も用いることができる。シリコンゲルマニ
ウムを用いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であるこ
とが好ましい。本実施の形態では、半導体膜101として非晶質珪素膜を66nmの厚さ
で成膜する。
【0084】
次に図5(B)に示すように、半導体膜101にレーザ照射装置から線状ビーム111
を照射し、結晶化を行なう。
【0085】
レーザ結晶化を行なう場合、レーザ結晶化の前に、レーザに対する半導体膜101の耐
性を高めるために、500℃、1時間の加熱処理を半導体膜101に加えてもよい。
【0086】
レーザ結晶化は、連続発振のレーザ、または擬似CWレーザとして、発振周波数が10
MHz以上、好ましくは80MHz以上のパルス発振レーザを用いることができる。
【0087】
具体的には、連続発振のレーザとして、Arレーザ、Krレーザ、COレーザ、YA
Gレーザ、YVOレーザ、フォルステライト(MgSiO)レーザ、YLFレーザ
、YAlOレーザ、GdVOレーザ、Yレーザ、アレキサンドライトレーザ、
Ti:サファイアレーザ、ヘリウムカドミウムレーザ、多結晶(セラミック)のYAG、
、YVO、YAlO、GdVOにドーパントとしてNd、Yb、Cr、T
i、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレ
ーザなどが挙げられる。
【0088】
また擬似CWレーザとして、発振周波数が10MHz以上、好ましくは80MHz以上
のパルス発振させることができるのであれば、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザ
、COレーザ、YAGレーザ、Yレーザ、YVOレーザ、フォルステライト(
MgSiO)レーザ、YLFレーザ、YAlOレーザ、GdVOレーザ、アレキ
サンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザ、多結
晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOにドーパント
としてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加さ
れているものを媒質とするレーザのようなパルス発振レーザを用いることができる。
【0089】
このようなパルス発振レーザは、発振周波数を増加させていくと、いずれは連続発振レ
ーザと同等の効果を示すものである。
【0090】
例えば連続発振が可能な固体レーザを用いる場合、第2高調波〜第4高調波のレーザ光
を照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。代表的には、YAGレーザ(基本
波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いるのが
望ましい。例えば、連続発振のYAGレーザから射出されたレーザ光を非線形光学素子に
より高調波に変換して、半導体膜604に照射する。エネルギー密度は0.01〜100
MW/cm程度(好ましくは0.1〜10MW/cm)とすれば良い。そして走査速
度を10〜2000cm/sec程度として照射する。
【0091】
なお、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO
、GdVO、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO
、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Ta
のうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、Arレーザ、Krレー
ザ、またはTi:サファイアレーザは、連続発振をさせることが可能なものであり、Qス
イッチ動作やモード同期などを行うことによってパルス発振をさせることも可能である。
10MHz以上の発振周波数でレーザビームを発振させると、半導体膜がレーザによって
溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に照射される。従って、発振周
波数が低いパルスレーザを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に
移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることが
できる。
【0092】
媒質としてセラミック(多結晶)を用いると、短時間かつ低コストで自由な形状に媒質
を形成することが可能である。単結晶を用いる場合、通常、直径数mm、長さ数十mmの
円柱状の媒質が用いられているが、セラミックを用いる場合はさらに大きいものを作るこ
とが可能である。
【0093】
発光に直接寄与する媒質中のNd、Ybなどのドーパントの濃度は、単結晶中でも多結
晶中でも大きくは変えられないため、濃度を増加させることによるレーザの出力向上には
ある程度限界がある。しかしながら、セラミックの場合、単結晶と比較して媒質の大きさ
を著しく大きくすることができるため大幅に出力が向上する。
【0094】
さらに、セラミックの場合では、平行六面体形状や直方体形状の媒質を容易に形成する
ことが可能である。このような形状の媒質を用いて、発振光を媒質の内部でジグザグに進
行させると、発振光路を長くとることができる。そのため、増幅が大きくなり、大出力で
発振させることが可能になる。また、このような形状の媒質から射出されるレーザビーム
は射出時の断面形状が四角形状であるため、丸状のビームと比較すると、線状ビームに整
形するのに有利である。このように射出されたレーザビームを、光学系を用いて整形する
ことによって、短辺の長さ1mm以下、長辺の長さ数mm〜数mの線状ビームを容易に得
ることが可能となる。また、励起光を媒質に均一に照射することにより、線状ビームは長
辺方向にエネルギー分布の均一なものとなる。
【0095】
この線状ビームを半導体膜に照射することによって、半導体膜の全面をより均一にアニ
ールすることが可能になる。線状ビームの両端まで均一なアニールが必要な場合は、その
両端にスリットを配置し、エネルギーの減衰部を遮光するなどの工夫が必要となる。
【0096】
上述した半導体膜101へのレーザ光の照射により、結晶性がより高められた結晶性半
導体膜102が形成される。
【0097】
次に、図5(C)に示すように結晶性半導体膜102を用いて島状半導体膜131及び
132を形成する。この島状半導体膜131及び132は、以降の工程で形成されるTF
Tの活性層となる。
【0098】
なお本実施の形態では、基板151としてガラス基板を用いた場合について説明してい
るが、基板151としてSOI基板を用いた場合は、単結晶半導体層を島状に成形して、
TFTの活性層とすればよい。
【0099】
次に島状半導体膜131及び132にしきい値制御のための不純物を導入する。本実施
の形態においてはジボラン(B)をドープすることによってホウ素(B)を島状半
導体膜131及び132中に導入する。
【0100】
次に島状半導体膜131及び132上にゲート絶縁膜154を成膜する。ゲート絶縁膜
154には、例えば膜厚10〜110nmの酸化珪素、窒化珪素または窒素を含んだ酸化
珪素等を用いることができる。また成膜方法は、プラズマCVD法、スパッタ法などを用
いることができる。本実施の形態では、プラズマCVD法で、膜厚20nmで成膜した窒
素を含む酸化珪素膜を用いてゲート絶縁膜154を形成する。
【0101】
次に、ゲート絶縁膜154上に第1の導電膜115及び第2の導電膜116を成膜する
(図6(A)参照)。
【0102】
第1の導電膜115及び第2の導電膜116として、それぞれタンタル(Ta)、タン
グステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)から選ば
れた元素、または前記元素を主成分とする合金材料、若しくは化合物材料を用いてもよい
。また、リン(P)等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導
体膜を用いてもよい。
【0103】
本実施の形態では、第1の導電膜115として窒化タンタル膜を10〜50nm、例え
ば30nmの膜厚で成膜したものと、第2の導電膜116としてタングステン(W)膜を
200〜400nm、例えば370nmの膜厚で成膜した積層膜を形成する。
【0104】
次いで、第1の導電膜115及び第2の導電膜116をエッチングして、第1の導電膜
115から下層ゲート電極103a及び104a、第2の導電膜116から上層ゲート電
極103b及び104bを形成する。これにより下層ゲート電極103a及び上層ゲート
電極103bを有するゲート電極103、並びに、下層ゲート電極104a及び上層ゲー
ト電極104bを有するゲート電極104が形成される(図6(B)参照)。ただしゲー
ト電極103及び104は積層膜ではなく、単層膜でもよい。
【0105】
ゲート電極103及び104は、ゲート配線の一部として形成してもよいし、別にゲー
ト配線を形成して、そのゲート配線にゲート電極103及び104を接続してもよい。
【0106】
次いで島状半導体膜131及び132に、一導電性を付与する不純物を添加する。一導
電性を付与する不純物として、n型を付与する不純物であれば、リン(P)やヒ素(As
)を用いればよい。またp型を付与する不純物であれば、ホウ素(B)を用いればよい。
【0107】
本実施の形態では、まず、第1の添加工程として、n型を付与する不純物を島状半導体
膜131及び132に添加する(図6(C)参照)。具体的には、フォスフィン(PH
)を用いて、リン(P)を、印加電圧を40〜120keV、ドーズ量を1×1013
1×1015cm−2として島状半導体膜131及び132中に導入する。本実施の形態
では、フォスフィンを用いて、印加電圧60keV、ドーズ量2.6×10−13cm
でリンを島状半導体膜131及び132中に添加する。これにより不純物領域125〜
128が形成される。またこの不純物導入の際にチャネル形成領域161及び181とな
る領域が決定される。
【0108】
その後図7(A)に示すように、ゲート電極103及び104の側面を覆うように、絶
縁膜、いわゆるサイドウォール171及び191を形成する。すなわちゲート電極103
の側面にサイドウォール171(171a及び171b)、ゲート電極104の側面にサ
イドウォール191(191a及び191b)を形成する。
【0109】
サイドウォール171及び191は、プラズマCVD法や減圧CVD(LPCVD)法
を用いて、珪素を有する絶縁膜により形成することができる。本実施の形態では、プラズ
マCVD法により酸化珪素膜を膜厚50〜200nm、好ましくは100nmで成膜し、
次いで酸化珪素膜をエッチングすることにより、テーパー状のサイドウォール171及び
191を形成する。またサイドウォール171及び191は窒素を含む酸化珪素膜を用い
て形成してもよい。
【0110】
またサイドウォール171及び191の端部はテーパー形状を有さなくともよく、矩形
状であってもよい。
【0111】
次いで第2の添加工程として、島状半導体膜131及び132中に、フォスフィン(P
)を用いて、印加電圧10〜50keV、例えば20keV、ドーズ量5.0×10
14〜2.5×1016cm−2、例えば3.0×1015cm−2で、リン(P)を導
入する。
【0112】
この第2の添加工程において、ゲート電極103、サイドウォール171をマスクとし
て、島状半導体膜131にリンが導入され、島状半導体膜131中にソース領域またはド
レイン領域の一方の領域163、ソース領域またはドレイン領域の他方の領域164、さ
らには低濃度不純物領域162a及び162bが形成される。同様に、ゲート電極104
、サイドウォール191をマスクとして、島状半導体膜132にリンが導入され、島状半
導体膜132中にソース領域またはドレイン領域の一方の領域183、ソース領域または
ドレイン領域の他方の領域184、さらには低濃度不純物領域182a及び182bが形
成される。
【0113】
本実施の形態においては、nチャネル型TFT118のソース領域及びドレイン領域で
ある領域163及び領域164、nチャネル型TFT119のソース領域及びドレイン領
域である領域183及び領域184それぞれには、1×1019〜5×1021cm−3
の濃度でリン(P)が含まれることとなる。
【0114】
またnチャネル型TFT118の低濃度不純物領域162a及び162b、nチャネル
型TFT119の低濃度不純物領域182a及び182bのそれぞれには、1×1018
〜5×1019cm−3の濃度でリン(P)が含まれる。
【0115】
次いで、島状半導体膜131及び132、ゲート絶縁膜152、ゲート電極103及び
104、サイドウォール171及び191を覆って、第1層間絶縁膜155を形成する(
図7(C)参照)。
【0116】
第1層間絶縁膜155としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用いて、シリコ
ンを含む絶縁膜、例えば酸化珪素膜、窒化珪素膜、窒素を含む酸化珪素膜、またはその積
層膜で形成する。もちろん、第1層間絶縁膜155は窒素を含む酸化珪素膜や窒化珪素膜
、またはその積層膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積
層構造として用いても良い。
【0117】
本実施の形態では、窒素を含む酸化珪素膜をプラズマCVD法により50nm形成し、
レーザ照射方法によって不純物を活性化する。又は窒素を含む酸化珪素膜形成後、窒素雰
囲気中550℃で4時間加熱して、不純物を活性化してもよい。
【0118】
次にプラズマCVD法により窒化珪素膜を100nm形成し、更に酸化珪素膜を600
nm形成する。この、窒素を含む酸化珪素膜、窒化珪素膜及び酸化珪素膜の積層膜が第1
層間絶縁膜155である。
【0119】
次に全体を410℃で1時間加熱し、窒化珪素膜から水素を放出させることにより水素
化を行う。
【0120】
次に第1層間絶縁膜155を覆って、第2層間絶縁膜156を形成する。
【0121】
第2層間絶縁膜156としては、CVD法、スパッタリング法、SOG(Spin O
n Glass)法等により、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料を用いることが
できる。本実施の形態では、第2層間絶縁膜156として酸化珪素膜を成膜する。
【0122】
また第2層間絶縁膜156として、シロキサンを用いた絶縁膜を形成してもよい。シロ
キサンとは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成されるものであり
、置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が
用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくと
も水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
【0123】
なお、第2層間絶縁膜156上にパシベーション膜を形成してもよい。パシベーション
膜としては、水分や酸素などを他の絶縁膜と比較して透過させにくい膜を用いる。代表的
には、スパッタ法またはCVD法により得られる窒化珪素膜、酸化珪素膜、酸素を含む窒
化珪素膜または窒素を含む酸化珪素膜、炭素を主成分とする薄膜(例えばダイヤモンドラ
イクカーボン膜(DLC膜)、窒化炭素膜(CN膜))などを用いることができる。
【0124】
次いで第2層間絶縁膜156上に導電膜を成膜し、それを用いて、ソース電極またはド
レイン電極となる電極109、電極113、電極114、電極110を形成する(図8(
A)参照)。
【0125】
TFT118のソース電極またはドレイン電極の一方である電極109は領域163に
、ソース電極またはドレイン電極の他方である電極113は領域164にそれぞれ電気的
に接続される。TFT119のソース電極またはドレイン電極の一方である電極114は
領域183に、ソース電極またはドレイン電極の他方である電極110は領域184に電
気的に接続される。
【0126】
本実施の形態では、電極109、電極113、電極114、電極110として、CVD
法やスパッタリング法等により、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(
Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)
、鉄(Fe)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)
、ネオジウム(Nd)、炭素(C)、シリコン(Si)から選択された元素、又はこれら
の元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。アルミ
ニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む
材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方又は両方とを含
む合金材料に相当する。電極109、電極113、電極114、電極110は、例えば、
バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜とバリア膜の積層構造、バリア膜とア
ルミニウムシリコン(Al−Si)膜と窒化チタン膜とバリア膜の積層構造を採用すると
よい。なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒
化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安
価であるため、電極109、電極113、電極114、電極110を形成する材料として
最適である。またアルミニウム合金膜は、シリコンと接触してもシリコンとアルミニウム
の相互拡散が防止できる。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアル
ミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができる。
【0127】
本実施の形態では、チタン膜(Ti)、窒化チタン膜、アルミニウム膜(Al)、チタ
ン膜(Ti)をそれぞれ60nm、50nm、500nm、100nmに積層したものを
用いて、電極109、電極113、電極114、電極110を形成する。
【0128】
また電極109、電極113、電極114、電極110はそれぞれ、電極と配線を同じ
材料で同一工程で形成してもよいし、電極と配線を別々に形成してそれらを接続させても
よい。
【0129】
次いで、電極109、電極113、電極114、電極110上、並びに、第2層間絶縁
膜156上に、あるいはパシベーション膜を形成していればパシベーション膜上に、第3
層間絶縁膜135を形成する(図8(B)参照)。第3層間絶縁膜135は第2層間絶縁
膜156と同様の材料を用いて形成すればよい。
【0130】
第3層間絶縁膜135中に、電極109に到達するコンタクトホール165、電極11
3に到達するコンタクトホール166、電極114に到達するコンタクトホール167、
電極110に到達するコンタクトホール168を形成する(図9(A)参照)。
【0131】
次いで、基板全体を電解液に浸す。電解液は電極109、電極113、電極114、電
極110の材料を溶解させる電解液を選べばよい。例えば、電極109、電極113、電
極114、電極110の材料としてアルミニウムを用いた場合は、電解液として水酸化カ
リウムあるいはリン酸塩を用いることができる。ただし電解液に浸すのは必ずしも基板全
体でなくてもよく、電極を溶解させうる程度に電解液に電極が浸されていればよい。
【0132】
表1に電極109、電極113、電極114、電極110を形成するための材料とその
材料に対する電解液の組み合わせの例を示す。
【0133】
【表1】

【0134】
電極を電解液に浸し、電極に電圧をかけると、電極表面の金属がイオンとして電解液中
に溶け出し、電極材料が溶解する。図9(B)に示すように、電極110の一部が溶解し
て分断領域169が形成される。なお、このとき電極114が溶解しないようにするため
、TFT119はノーマリーオフであることが好ましい。または、電極114に到達する
コンタクトホールは、分断領域169を形成した後に形成してもよい。
【0135】
次いで図1に示すように、第3層間絶縁膜135上に、電極109に電気的に接続され
る配線175、電極113に電気的に接続される配線176、電極114に電気的に接続
される配線177が形成される。
【0136】
第3層間絶縁膜135上かつ電極110の上方に、配線178が形成されるが、配線1
78は分断領域169に達するように形成されるため、配線178と電極110は電気的
に接続されない。
【0137】
なお、配線175〜178は、上述した、電極109等を形成する材料のうちのいずれ
かを用いて形成すればよい。
【0138】
以上によりメモリセルアレイのTFTが形成される。なおロジック回路のTFTもメモ
リセルアレイのTFTと同様に形成してもよいし、別の基板に形成した後に、剥離してメ
モリセルアレイのTFTに電気的に接続させてもよい。
【0139】
本発明により、異なるID番号の情報を有するマスクROMのメモリセルを容易に形成
することができるので、ICを用いた無線通信が可能な半導体装置の作製時間、作製コス
トを低減させることが可能となる。
【0140】
図13は本発明のメモリセルアレイを含むマスクROMの上面図を示す。マスクROM
900には、本発明のメモリセルアレイ920(図10のメモリセルアレイ11に同じ)
が形成され、上述のロジック回路のTFTを用いて、列デコーダ921(図10の列デコ
ーダ15に同じ)及び行デコーダ922(図10の行デコーダ16に同じ)が形成される

【0141】
図13のマスクROM900を有する、ICを用いた無線通信が可能な半導体装置の例
を図14に示す。なお図14に示す半導体装置は一例であり、本発明は図14に示す構成
に限定されない。
【0142】
図14に示す半導体装置(IDチップ、ICチップ、ICタグ、IDタグ、無線チップ
、RFIDともいう)931は、アンテナ917、高周波回路914、電源回路915、
リセット回路911、整流回路906、復調回路907、アナログアンプ908、クロッ
ク発生回路903、変調回路909、信号出力制御回路901、CRC回路902、コー
ド抽出回路904、コード判定回路905およびマスクROM900の回路ブロックを有
する。また、電源回路915は、整流回路913および保持容量912の回路ブロックを
有する。さらに、マスクROM900は、図13に示すように、メモリセルアレイ920
、列デコーダ921および行デコーダ922を有する。
【0143】
そして図9(B)に示す電極110を溶解させて分断領域169を形成する工程におい
ては、図15に示す回路951及びコンピュータ955がメモリセルアレイ920に接続
されている。回路951はメモリセルアレイ920と同じ基板上に形成してもよいし、外
付けにしてもよい。
【0144】
回路951には、メモリセルアレイ920のそれぞれのTFTに対応したTFTが形成
されている。回路951は、コンピュータ955からの信号により、メモリセルアレイ9
20中の個々の配線(電極)に選択的に狙いの電圧を加えられるものとする。この電圧を
加えた状態にて、基板を電解液に浸し、電解液と配線材料を考慮した、配線溶出条件の電
圧を配線に加えることにより、開口部の配線が電解液に溶出する。このようにして基板面
内の個々の配線(電極)が選択的に分断される。
【0145】
またコンピュータ955に接続し、開口部まで達する回路951の一部は、基板表面の
スペース確保のため、裏面に形成してもよい。このとき、基板には表面から裏面に達する
開口部が設けられ、配線を貫通させて繋ぐことになる。
【0146】
本発明により、ICを用いた無線通信が可能な半導体装置に、異なるID番号等の固有
データを付けることを容易に行うことができる。特に大面積基板内に無線通信が可能な半
導体装置を大量に作成する際に、タクトやコストを低減させることが可能となる。
【0147】
なお本実施の形態は、必要であれば他の実施の形態及び実施例のいずれの記載と組み合
わせることが可能である。
【0148】
[実施の形態2]
本実施の形態では、メモリセルアレイのTFT及びロジック回路のTFTを同一基板に
作製する工程について、図16(A)〜図16(D)、図17(A)〜図17(C)、図
18(A)〜図18(C)、図19(A)〜図19(B)、図20(A)〜図20(B)
を用いて説明する。
【0149】
まず図16(A)に示すように、基板601上に下地膜602を成膜する。基板601
には、例えばバリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板
、石英基板、ステンレス基板、あるいは、絶縁表面に単結晶半導体層を形成したいわゆる
SOI(Silicon on Insulator)基板等を用いることができる。ま
た、PET(poly(ethylene terephthalate))、PES(
poly(ether sulfone))、PEN(poly(ethylene N
aphthalate))に代表されるプラスチックや、アクリル等の可撓性を有する合
成樹脂からなる基板を用いることも可能である。以下、基板601として、ガラス基板を
用いる場合について説明する。
【0150】
下地膜602は基板601中に含まれるNaなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が
、半導体膜中に拡散し、半導体素子の特性に悪影響を及ぼすのを防ぐために設ける。よっ
てアルカリ金属やアルカリ土類金属の半導体膜への拡散を抑えることができる窒化珪素、
窒素を含む酸化珪素などの絶縁膜を用いて形成する。本実施の形態では、プラズマCVD
法を用いて酸化珪素膜を10〜100nm(好ましくは20〜70nm、さらに好ましく
は50nm)、並びに、窒素を含む酸化珪素膜を10nm〜400nm(好ましくは50
nm〜300nm、さらに好ましくは100nm)の膜厚になるように積層して成膜する

【0151】
なお下地膜602は窒化珪素、窒素を含む酸化珪素、酸素を含む窒化珪素などの絶縁膜
単層であっても、酸化珪素、窒化珪素、窒素を含む酸化珪素、酸素を含む窒化珪素などの
絶縁膜を複数積層したものであっても良い。またガラス基板、ステンレス基板またはプラ
スチック基板のように、アルカリ金属やアルカリ土類金属が多少なりとも含まれている基
板を用いる場合、不純物の拡散を防ぐという観点から下地膜を設けることは有効であるが
、石英基板など不純物の拡散がさして問題とならない場合は、必ずしも設ける必要はない

【0152】
次に下地膜602上に半導体膜604を形成する。半導体膜604の膜厚は25nm〜
100nm(好ましくは30nm〜80nm、)とする。なお半導体膜604は、非晶質
半導体であっても良いし、多結晶半導体であっても良い。また半導体はシリコン(Si)
だけではなくシリコンゲルマニウム(SiGe)も用いることができる。シリコンゲルマ
ニウムを用いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度である
ことが好ましい。本実施の形態では、半導体膜604として非晶質珪素膜を66nmの厚
さで成膜する。
【0153】
次に図16(B)に示すように、半導体膜604にレーザ照射装置から線状ビーム60
3を照射し、結晶化を行なう。
【0154】
レーザ結晶化を行なう場合、レーザ結晶化の前に、レーザに対する半導体膜604の耐
性を高めるために、500℃、1時間の加熱処理を半導体膜604に加えてもよい。
【0155】
レーザ結晶化は、連続発振のレーザ、または擬似CWレーザとして、発振周波数が10
MHz以上、好ましくは80MHz以上のパルス発振レーザを用いることができる。
【0156】
具体的には、連続発振のレーザとして、Arレーザ、Krレーザ、COレーザ、YA
Gレーザ、YVOレーザ、フォルステライト(MgSiO)レーザ、YLFレーザ
、YAlOレーザ、GdVOレーザ、Yレーザ、アレキサンドライトレーザ、
Ti:サファイアレーザ、ヘリウムカドミウムレーザ、多結晶(セラミック)のYAG、
、YVO、YAlO、GdVOにドーパントとしてNd、Yb、Cr、T
i、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレ
ーザなどが挙げられる。
【0157】
また擬似CWレーザとして、発振周波数が10MHz以上、好ましくは80MHz以上
のパルス発振させることができるのであれば、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザ
、COレーザ、YAGレーザ、Yレーザ、YVOレーザ、フォルステライト(
MgSiO)レーザ、YLFレーザ、YAlOレーザ、GdVOレーザ、アレキ
サンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザ、多結
晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOにドーパント
としてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加さ
れているものを媒質とするレーザのようなパルス発振レーザを用いることができる。
【0158】
このようなパルス発振レーザは、発振周波数を増加させていくと、いずれは連続発振レ
ーザと同等の効果を示すものである。
【0159】
例えば連続発振が可能な固体レーザを用いる場合、第2高調波〜第4高調波のレーザ光
を照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。代表的には、YAGレーザ(基本
波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いるのが
望ましい。例えば、連続発振のYAGレーザから射出されたレーザ光を非線形光学素子に
より高調波に変換して、半導体膜604に照射する。エネルギー密度は0.01〜100
MW/cm程度(好ましくは0.1〜10MW/cm)とすれば良い。そして走査速
度を10〜2000cm/sec程度として照射する。
【0160】
なお、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO
、GdVO、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO
、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Ta
のうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、Arレーザ、Krレー
ザ、またはTi:サファイアレーザは、連続発振をさせることが可能なものであり、Qス
イッチ動作やモード同期などを行うことによってパルス発振をさせることも可能である。
10MHz以上の発振周波数でレーザビームを発振させると、半導体膜がレーザによって
溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に照射される。従って、発振周
波数が低いパルスレーザを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に
移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることが
できる。
【0161】
媒質としてセラミック(多結晶)を用いると、短時間かつ低コストで自由な形状に媒質
を形成することが可能である。単結晶を用いる場合、通常、直径数mm、長さ数十mmの
円柱状の媒質が用いられているが、セラミックを用いる場合はさらに大きいものを作るこ
とが可能である。
【0162】
発光に直接寄与する媒質中のNd、Ybなどのドーパントの濃度は、単結晶中でも多結
晶中でも大きくは変えられないため、濃度を増加させることによるレーザの出力向上には
ある程度限界がある。しかしながら、セラミックの場合、単結晶と比較して媒質の大きさ
を著しく大きくすることができるため大幅に出力が向上する。
【0163】
さらに、セラミックの場合では、平行六面体形状や直方体形状の媒質を容易に形成する
ことが可能である。このような形状の媒質を用いて、発振光を媒質の内部でジグザグに進
行させると、発振光路を長くとることができる。そのため、増幅が大きくなり、大出力で
発振させることが可能になる。また、このような形状の媒質から射出されるレーザビーム
は射出時の断面形状が四角形状であるため、丸状のビームと比較すると、線状ビームに整
形するのに有利である。このように射出されたレーザビームを、光学系を用いて整形する
ことによって、短辺の長さ1mm以下、長辺の長さ数mm〜数mの線状ビームを容易に得
ることが可能となる。また、励起光を媒質に均一に照射することにより、線状ビームは長
辺方向にエネルギー分布の均一なものとなる。
【0164】
この線状ビームを半導体膜に照射することによって、半導体膜の全面をより均一にアニ
ールすることが可能になる。線状ビームの両端まで均一なアニールが必要な場合は、その
両端にスリットを配置し、エネルギーの減衰部を遮光するなどの工夫が必要となる。
【0165】
上述した半導体膜604へのレーザ光の照射により、結晶性がより高められた結晶性半
導体膜605が形成される。
【0166】
次に、図16(C)に示すように結晶性半導体膜605を用いて島状半導体膜611〜
614を形成する。この島状半導体膜611〜614は、以降の工程で形成されるTFT
の活性層となる。
【0167】
なお本実施の形態では、基板601としてガラス基板を用いた場合について説明してい
るが、基板601としてSOI基板を用いた場合は、単結晶半導体層を島状に成形して、
TFTの活性層とすればよい。
【0168】
次に島状半導体膜611〜614にしきい値制御のための不純物を導入する。本実施の
形態においてはジボラン(B)をドープすることによってホウ素(B)を島状半導
体膜611〜614中に導入する。
【0169】
次に島状半導体膜611〜614上にゲート絶縁膜615を成膜する。ゲート絶縁膜6
15には、例えば膜厚10〜110nmの酸化珪素、窒化珪素または窒素を含んだ酸化珪
素等を用いることができる。また成膜方法は、プラズマCVD法、スパッタ法などを用い
ることができる。本実施の形態では、プラズマCVD法で、膜厚20nmで成膜した窒素
を含む酸化珪素膜を用いてゲート絶縁膜615を形成する。
【0170】
次に、ゲート絶縁膜615上に導電膜を成膜した後、導電膜を用いて、ゲート電極62
1〜624を形成する。
【0171】
ゲート電極621〜624は、導電膜を単層または2層以上積層させた構造を用いて形
成する。導電膜を2層以上積層させている場合は、タンタル(Ta)、タングステン(W
)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)から選ばれた元素、ま
たは前記元素を主成分とする合金材料、若しくは化合物材料を積層させてゲート電極62
1〜624を形成してもよい。また、リン(P)等の不純物元素をドーピングした多結晶
シリコン膜に代表される半導体膜を用いてゲート電極を形成してもよい。本実施の形態で
は、下層ゲート電極621a〜624aとして窒化タンタル膜を10〜50nm、例えば
30nmの膜厚で成膜したものと、上層ゲート電極621b〜624bとしてタングステ
ン(W)膜を200〜400nm、例えば370nmの膜厚で成膜した積層膜を用いて、
ゲート電極621〜624を形成する。
【0172】
ゲート電極621〜624は、ゲート配線の一部として形成してもよいし、別にゲート
配線を形成して、そのゲート配線にゲート電極621〜624を接続してもよい。
【0173】
次いで島状半導体膜611〜613に、一導電性を付与する不純物を添加する。なおこ
の添加工程の際に、島状半導体膜614及びゲート電極624、すなわちpチャネル型T
FT694となる領域は、レジスト618によって覆われており、一導電性を付与する不
純物は島状半導体膜614中には添加されない。
【0174】
一導電性を付与する不純物として、n型を付与する不純物であれば、リン(P)やヒ素
(As)を用いればよい。またp型を付与する不純物であれば、ホウ素(B)を用いれば
よい。
【0175】
本実施の形態では、まず、第1の添加工程として、n型を付与する不純物を島状半導体
膜611〜613に添加する(図16(D)参照)。具体的には、フォスフィン(PH
)を用いて、リン(P)を、印加電圧を40〜120keV、ドーズ量を1×1013
1×1015cm−2として島状半導体膜611〜613中に導入する。本実施の形態で
は、フォスフィンを用いて、印加電圧60keV、ドーズ量2.6×10−13cm−2
でリンを島状半導体膜611〜613中に添加する。この不純物導入の際にチャネル形成
領域631、641、651となる領域が決定される。
【0176】
その後図17(A)に示すように、ゲート電極621から624の側面を覆うように、
絶縁膜、いわゆるサイドウォール626〜629を形成する。すなわちゲート電極621
の側面にサイドウォール626(626a及び626b)、ゲート電極622の側面にサ
イドウォール627(627a及び627b)、ゲート電極623の側面にサイドウォー
ル628(628a及び628b)、ゲート電極624の側面にサイドウォール629(
629a及び629b)を形成する。
【0177】
サイドウォール626〜629は、プラズマCVD法や減圧CVD(LPCVD)法を
用いて、珪素を有する絶縁膜により形成することができる。本実施の形態では、プラズマ
CVD法により酸化珪素膜を膜厚50〜200nm、好ましくは100nmで成膜し、次
いで酸化珪素膜をエッチングすることにより、テーパー状のサイドウォール626〜62
9を形成する。またサイドウォール626〜629は窒素を含む酸化珪素膜を用いて形成
してもよい。
【0178】
またサイドウォール626〜629の端部はテーパー形状を有さなくともよく、矩形状
であってもよい。
【0179】
次に図17(B)に示すように、島状半導体膜614、ゲート電極624、サイドウォ
ール629、すなわち後にpチャネル型TFT694となる領域を覆って、レジスト61
6を形成する。
【0180】
次いで第2の添加工程として、島状半導体膜611〜613中に、フォスフィン(PH
)を用いて、印加電圧10〜50keV、例えば20keV、ドーズ量5.0×10
〜2.5×1016cm−2、例えば3.0×1015cm−2で、リン(P)を導入
する。
【0181】
この第2の添加工程において、ゲート電極621、サイドウォール626をマスクとし
て、島状半導体膜611にリンが導入され、島状半導体膜611中にソース領域またはド
レイン領域の一方の領域633、ソース領域またはドレイン領域の他方の領域634、さ
らには低濃度不純物領域632a及び632bが形成される。同様に、ゲート電極622
、サイドウォール627をマスクとして、島状半導体膜612にリンが導入され、島状半
導体膜612中にソース領域またはドレイン領域の一方の領域643、ソース領域または
ドレイン領域の他方の領域644、さらには低濃度不純物領域642a及び642bが形
成される。さらにゲート電極623、サイドウォール628をマスクとして、島状半導体
膜613にリンが導入され、島状半導体膜613中にソース領域またはドレイン領域の一
方の領域653、ソース領域またはドレイン領域の他方の領域654、さらには低濃度不
純物領域652a及び652bが形成される。
【0182】
本実施の形態においては、nチャネル型TFT691のソース領域及びドレイン領域で
ある領域633及び領域634、nチャネル型TFT692のソース領域及びドレイン領
域である領域643及び領域644、nチャネル型TFT693のソース領域及びドレイ
ン領域である領域653及び領域654それぞれには、1×1019〜5×1021cm
−3の濃度でリン(P)が含まれることとなる。
【0183】
またnチャネル型TFT691の低濃度不純物領域632a及び632b、nチャネル
型TFT692の低濃度不純物領域642a及び642b、nチャネル型TFT693の
低濃度不純物領域652a及び652bのそれぞれには、1×1018〜5×1019
−3の濃度でリン(P)が含まれる。
【0184】
次いでさらにレジスト616を除去し、島状半導体膜611〜613、ゲート電極62
1〜623、サイドウォール626〜628、すなわちnチャネル型TFT691〜69
3となる領域を覆ってレジスト617を形成する。
【0185】
pチャネル型TFT694を作製するために、上記一導電型を付与する不純物と逆の導
電型を付与する不純物、すなわちp型を付与する不純物を島状半導体膜614に添加する
。具体的には、ジボラン(B)を用いて印加電圧60〜100keV、例えば80
keV、ドーズ量1×1013〜5×1015cm−2、例えば3×1015cm−2
条件で、島状半導体膜614中にホウ素(B)を導入する。これによりpチャネル型TF
Tのソース領域及びドレイン領域である領域663及び領域664、またこの不純物導入
の際にチャネル形成領域661が形成される(図17(C)参照)。
【0186】
なおpチャネル型TFT694について、ホウ素の導入に際しては、印加電圧が高いた
めに、サイドウォール629及びゲート絶縁膜615を通しても、領域663及び領域6
64を形成するために十分なホウ素が島状半導体膜614中に添加される。
【0187】
pチャネル型TFT694のソース領域及びドレイン領域である領域663及び664
には、それぞれ1×1019〜5×1021cm−3の濃度でボロン(B)が含まれる。
【0188】
次いでレジスト617を除去し、島状半導体膜611〜614、ゲート絶縁膜615、
ゲート電極621〜624、サイドウォール626〜629を覆って、第1層間絶縁膜6
71を形成する。
【0189】
第1層間絶縁膜671としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用いて、シリコ
ンを含む絶縁膜、例えば酸化珪素膜、窒化珪素膜、窒素を含む酸化珪素膜、またはその積
層膜で形成する。もちろん、第1層間絶縁膜671は窒素を含む酸化珪素膜や窒化珪素膜
、またはその積層膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積
層構造として用いても良い。
【0190】
本実施の形態では、窒素を含む酸化珪素膜をプラズマCVD法により50nm形成し、
レーザ照射方法によって不純物を活性化する。又は窒素を含む酸化珪素膜形成後、窒素雰
囲気中550℃で4時間加熱して、不純物を活性化してもよい。
【0191】
次にプラズマCVD法により窒化珪素膜を100nm形成し、更に酸化珪素膜を600
nm形成する。この、窒素を含む酸化珪素膜、窒化珪素膜及び酸化珪素膜の積層膜が第1
層間絶縁膜671である。
【0192】
次に全体を410℃で1時間加熱し、窒化珪素膜から水素を放出させることにより水素
化を行う。
【0193】
次に第1層間絶縁膜671を覆って、第2層間絶縁膜672を形成する(図18(A)
参照)。
【0194】
第2層間絶縁膜672としては、CVD法、スパッタリング法、SOG(Spin O
n Glass)法等により、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料を用いることが
できる。本実施の形態では、第2層間絶縁膜672として酸化珪素膜を成膜する。
【0195】
また第2層間絶縁膜672として、シロキサンを用いた絶縁膜を形成してもよい。シロ
キサンとは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成されるものであり
、置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が
用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくと
も水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
【0196】
なお、第2層間絶縁膜672上に第3層間絶縁膜を形成してもよい。第3の層間絶縁膜
としては、水分や酸素などを他の絶縁膜と比較して透過させにくい膜を用いる。代表的に
は、スパッタ法またはCVD法により得られる窒化珪素膜、酸化珪素膜、酸素を含む窒化
珪素膜または窒素を含む酸化珪素膜、炭素を主成分とする薄膜(例えばダイヤモンドライ
クカーボン膜(DLC膜)、窒化炭素膜(CN膜))などを用いることができる。
【0197】
次いで、第1層間絶縁膜671及び第2層間絶縁膜672中に、島状半導体膜611、
612、613、614それぞれとの電気的接続を行うためのコンタクトホールを形成す
る。
【0198】
第1層間絶縁膜671及び第2層間絶縁膜672に、島状半導体膜611の領域633
に到達するコンタクトホール673、島状半導体膜611の領域634に到達するコンタ
クトホール674、島状半導体膜612の領域643に到達するコンタクトホール675
、島状半導体膜612の領域644に到達するコンタクトホール676、島状半導体膜6
13の領域653に到達するコンタクトホール677、島状半導体膜613の領域654
に到達するコンタクトホール678、島状半導体膜614の領域663に到達するコンタ
クトホール679、島状半導体膜614の領域664に到達するコンタクトホール680
を形成する(図18(B)参照)。
【0199】
またコンタクトホール673〜680は、1つのコンタクトホールによって構成されて
いてもよいし、複数のコンタクトホールによって構成されていてもよい。
【0200】
次いで第2層間絶縁膜672上に導電膜を成膜し、それを用いて、ソース電極またはド
レイン電極681、682、683、684、685、686、687を形成する(図1
8(C)参照)。
【0201】
TFT691のソース電極またはドレイン電極の一方である電極681は領域633に
、ソース電極またはドレイン電極の他方である電極682は、領域634に電気的に接続
される。TFT692のソース電極またはドレイン電極の一方である電極683は領域6
43に電気的に接続される。TFT692のソース電極またはドレイン電極の他方である
電極684は領域644に電気的に接続される。
【0202】
TFT693のソース電極またはドレイン電極の一方である電極685は領域653に
、電気的に接続されている。TFT693のソース電極またはドレイン電極の他方であり
、TFT694のソース電極またはドレイン電極の一方である電極686は、領域654
及び領域663に電気的に接続される。TFT694のソース電極またはドレイン電極の
他方である電極687は、領域664に電気的に接続される。これによりTFT693及
び694はCMOS回路695を構成している。
【0203】
本実施の形態では、電極681〜687として、CVD法やスパッタリング法等により
、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モ
リブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、白金(Pt)、
銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジウム(Nd)、炭素(
C)、シリコン(Si)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料
若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。アルミニウムを主成分とする合金材料
とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主
成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方又は両方とを含む合金材料に相当する。電極6
81〜687は、例えば、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜とバリア膜
の積層構造、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜と窒化チタン膜とバリア
膜の積層構造を採用するとよい。なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブ
デン、又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムやアルミニウムシ
リコンは抵抗値が低く、安価であるため、電極681〜687を形成する材料として最適
である。またアルミニウム合金膜は、シリコンと接触してもシリコンとアルミニウムの相
互拡散が防止できる。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアルミニ
ウムシリコンのヒロックの発生を防止することができる。
【0204】
本実施の形態では、チタン膜(Ti)、窒化チタン膜、アルミニウム膜(Al)、チタ
ン膜(Ti)をそれぞれ60nm、50nm、500nm、100nmに積層したものを
用いて、電極681〜687を形成する。
【0205】
また電極681〜687はそれぞれ、電極と配線を同じ材料で同一工程で形成してもよ
いし、電極と配線を別々に形成してそれらを接続させてもよい。
【0206】
次いで、電極681〜687上、並びに、層間絶縁膜672上に、あるいはパシベーシ
ョン膜を形成していればパシベーション膜上に、層間絶縁膜697を形成する(図19(
A)参照)。層間絶縁膜697は層間絶縁膜672と同様の材料を用いて形成すればよい

【0207】
層間絶縁膜672中に、電極681に到達するコンタクトホール851、電極682に
到達するコンタクトホール852、電極683に到達するコンタクトホール853、電極
684に到達するコンタクトホール854、電極685に到達するコンタクトホール85
5、電極686に到達するコンタクトホール856、電極687に到達するコンタクトホ
ール857を形成する(図19(B)参照)。
【0208】
次いで、基板全体を電解液に浸す。電解液は電極681〜687の材料を溶解させる電
解液を選べばよい。電極681〜687を形成するための材料とその材料に対する電解液
の組み合わせは、実施の形態1で述べた表1から選べばよい。ただし電解液に浸すのは必
ずしも基板全体でなくてもよく、電極を溶解させうる程度に電解液に電極が浸されていれ
ばよい。
【0209】
電極を電解液に浸し、電極に電圧をかけると、電極表面の金属がイオンとして電解液中
に溶け出し、電極材料が溶解する。図20(A)に示すように、電極683の一部が溶解
して分断領域860が形成される。
【0210】
次いで図20(B)に示すように、層間絶縁膜697上に、電極681に電気的に接続
される配線871、電極682に電気的に接続される配線872、電極684に電気的に
接続される配線874、電極685に電気的に接続される配線875、電極686に電気
的に接続される配線876、電極687に電気的に接続される配線877が形成される。
【0211】
層間絶縁膜672上の、電極683の上方に、配線873が形成されるが、配線873
は分断領域860に達するように形成されるため、配線873と電極683は電気的に接
続されない。
【0212】
なお、配線871〜877は、上述した、電極681等を形成する材料のうちのいずれ
かを用いて形成すればよい。
【0213】
以上により、同一基板上にメモリセルアレイのTFT及びロジック回路のTFTが形成
される。
【0214】
なお本実施の形態は、必要であれば他の実施の形態及び実施例と組み合わせることが可
能である。
【0215】
[実施の形態3]
本実施の形態では、実施の形態1及び実施の形態2と異なるICを用いた無線通信が可
能な半導体装置の作製方法について、図14、図21(A)〜図21(B)、図22(A
)〜図22(B)、図23を用いて説明する。なお本実施の形態において、実施の形態1
及び実施の形態2と同じものは同じ符号を用いるものとする。
【0216】
まず実施の形態2の記載に基づいて、図20(B)に示す半導体装置を作製する。ただ
し、下地膜602に代えて、剥離層802、第1の下地膜803、第2の下地膜804を
形成する。
【0217】
剥離層802は、非晶質半導体膜、多結晶半導体膜、セミアモルファス半導体膜を用い
て形成する。例えば、非晶質シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン、セミアモルフ
ァスシリコン等、シリコンを主成分とする層を用いることができる。剥離層802は、ス
パッタ法、プラズマCVD法等を用いて形成することができる。本実施の形態では、膜厚
500nm程度の非晶質シリコンをスパッタ法で形成し、剥離層802として用いる。
【0218】
なおセミアモルファス半導体膜(以下SAS膜ともいう)とは、非晶質半導体膜と結晶
構造を有する半導体(単結晶、多結晶を含む)膜の中間的な構造の半導体を含む膜である
。このセミアモルファス半導体膜は、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導
体膜であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質なものであり、その粒径を0.
5〜20nmとして非単結晶半導体膜中に分散させて存在せしめることが可能である。
【0219】
また、未結合手(ダングリングボンド)を終端化させるために水素またはハロゲンを少
なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。
【0220】
本明細書では便宜上、上記の半導体膜をセミアモルファス半導体(SAS)膜と呼ぶ。
さらに、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪み
をさらに助長させることで安定性が増し良好なセミアモルファス半導体膜が得られる。な
お微結晶半導体膜(マイクロクリスタル半導体膜)もセミアモルファス半導体膜に含まれ
る。
【0221】
セミアモルファス半導体膜として、代表的な物にセミアモルファスシリコン膜が挙げら
れる。セミアモルファスシリコン膜は、そのラマンスペクトルが520cm−1よりも低
波数側にシフトしており、またX線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)
、(220)の回折ピークが観測される。
【0222】
またセミアモルファスシリコン膜はシリコンを含む気体をグロー放電分解することによ
り得ることができる。代表的なシリコンを含む気体としては、SiHであり、その他に
もSi、SiHCl、SiHCl、SiCl、SiFなどを用いること
ができる。また水素や、水素にヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一
種または複数種の希ガス元素を加えたガスで、このシリコンを含む気体を希釈して用いる
ことで、セミアモルファスシリコン膜の形成を容易なものとすることができる。希釈率は
2倍〜1000倍の範囲でシリコンを含む気体を希釈することが好ましい。またさらに、
シリコンを含む気体中に、CH、Cなどの炭化物気体、GeH、GeFなど
のゲルマニウム化気体、Fなどを混入させて、エネルギーバンド幅を1.5〜2.4e
V、若しくは0.9〜1.1eVに調節しても良い。
【0223】
また第1の下地膜803及び第2の804は、酸化珪素膜、窒化珪素膜または酸素を含
む窒化珪素膜、窒素を含む酸化珪素膜などの絶縁膜により形成する。本実施の形態では、
第1の下地膜803として酸素を含む窒化珪素膜を10〜200nm、第2の下地膜80
4として窒素を含む酸化珪素膜を50〜200nmの厚さに順に積層形成する。
【0224】
実施の形態2の記載に基づいて、配線871〜877まで形成したら、層間絶縁膜69
7上に層間絶縁膜806を形成し、アンテナとして機能する電極811〜816を形成す
る。アンテナとして機能する電極811〜816は、CVD法、スパッタリング法、スク
リーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、メッキ法等を用い
て、導電性材料により形成する。導電性材料は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)
、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)ニッケル(Ni)、パラジウム(
Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)から選択された元素、又はこれらの元素
を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層構造又は積層構造で形成する。
【0225】
そしてアンテナとして機能する電極811〜816を覆うように、層間絶縁膜806上
に保護層807を形成する。保護層807は、後に剥離層802をエッチングにより除去
する際に、アンテナとして機能する電極811〜816を保護することができる材料を用
いる。例えば、水またはアルコール類に可溶なエポキシ系、アクリレート系、シリコン系
の樹脂を全面に塗布することで保護層807を形成することができる(図21(A)参照
)。
【0226】
次に、剥離層802を分離するための溝808を形成する(図21(B)参照)。溝8
08は、剥離層802が露出する程度であれば良い。溝808の形成は、エッチング、ダ
イシング、スクライビング、あるいはレーザ照射法などを用いることができる。
【0227】
次に、剥離層802をエッチングにより除去する(図22(A)参照)。本実施の形態
では、エッチングガスとしてフッ化ハロゲンを用い、該ガスを溝808から導入する。本
実施の形態では、例えばClF(三フッ化塩素)を用い、温度:350℃、流量:30
0sccm、気圧:800Pa、時間:3hの条件で行う。また、ClFガスに窒素を
混ぜたガスを用いても良い。ClF等のフッ化ハロゲンを用いることで、剥離層802
が選択的にエッチングされ、基板601を剥離することができる。なおフッ化ハロゲンは
、気体であっても液体であってもどちらでも良い。
【0228】
次に、剥離されたTFT691及び692を含むメモリセルアレイ、並びに、TFT6
93及び694を含むロジック回路を、接着材822を用いて支持体821に貼り合わせ
る(図22(B)参照)。接着材822は、支持体821と第1の下地膜803とを貼り
合わせることができる材料を用いる。接着材822は、例えば反応硬化型接着材、熱硬化
型接着材、紫外線硬化型接着材等の光硬化型接着材、嫌気型接着材などの各種硬化型接着
材を用いることができる。
【0229】
支持体821として、フレキシブルな紙またはプラスチックなどの有機材料を用いるこ
とができる。または支持体821として、フレキシブル無機材料を用いていても良い。支
持体821は集積回路において発生した熱を拡散させるために、2〜30W/mK程度の
高い熱伝導率を有するのが望ましい。
【0230】
なおメモリセルアレイおよびロジック回路の集積回路を基板601から剥離する方法は
、本実施の形態で示したようにシリコンを主成分とする層のエッチングを用いる方法に限
定されず、他の様々な方法を用いることができる。例えば、耐熱性の高い基板と集積回路
の間に金属酸化膜を設け、該金属酸化膜を結晶化により脆弱化して集積回路を剥離するこ
とができる。また例えば、剥離層をレーザー光の照射により破壊し、集積回路を基板から
剥離することもできる。また例えば、集積回路が形成された基板を機械的に削除または溶
液やガスによるエッチングで除去することで、集積回路を基板から剥離することもできる

【0231】
また対象物の表面が曲面を有しており、それにより該曲面に貼り合わされた、メモリセ
ルアレイ及びロジック回路を有する半導体装置の支持体が、錐面、柱面など母線の移動に
よって描かれる曲面を有するように曲がってしまう場合、該母線の方向とTFTのキャリ
アが移動する方向とを揃えておくことが望ましい。上記構成により、支持体が曲がっても
、それによってTFTの特性に影響が出るのを抑えることができる。また、島状半導体膜
が集積回路内において占める面積の割合を、1〜30%とすることで、支持体が曲がって
も、それによってTFTの特性に影響が出るのをより抑えることができる。
【0232】
以上の作製工程により、本発明のICを用いた無線通信が可能な半導体装置が作製され
る。
【0233】
なお、本実施の形態では、半導体装置が形成されている基板と同一基板上に、アンテナ
を形成したが、半導体装置を形成した後に、半導体装置が形成されている基板上に印刷法
によりアンテナを形成してもよい。またアンテナを半導体装置が形成される基板とは別に
形成し、半導体装置が形成された基板とアンテナが形成された基板を貼り合わせ、半導体
装置とアンテナを電気的に接続させてもよい。
【0234】
アンテナを半導体装置が形成される基板とは別に形成し、半導体装置が形成された基板
とアンテナが形成された基板を貼り合わせ、半導体装置とアンテナを電気的に接続させた
例を図23及び図14を用いて説明する。
【0235】
メモリセルアレイ及びロジック回路を含む半導体装置1602が設けられた基板160
1上に、端子電極等を含む端子部1605を設ける。
【0236】
そして、端子部1605に、基板1601とは別の基板1611上に設けられたアンテ
ナ1612を電気的に接続する。端子部1605に接続するように、基板1601と、ア
ンテナ1612が設けられた基板1611とを貼り合わせている。基板1601と基板1
611の間には、導電性粒子1603と樹脂1604が設けられている。導電性粒子16
03によって、アンテナ1612と端子部1605とは電気的に接続されている。なお図
23に示すアンテナ1612は、図14に示すアンテナ917と同等なものであり、アン
テナ1612及びアンテナ917は、接地電位(GND)、並びに、電源回路915、高
周波回路914等の回路に電気的に接続されている。
【0237】
本実施の形態は、他の実施の形態や実施例と組み合わせて用いることが可能である。
【実施例1】
【0238】
本実施例では、図2、図10および図14を用いて、本発明を用いて作成されたICを
用いた無線通信が可能な半導体装置の構成と動作について説明する。
【0239】
始めに構成について説明する。図14に示すように、本発明を用いて作成された半導体
装置(IDチップ、ICチップ、ICタグ、IDタグ、無線チップ、RFIDともいう)
931は、アンテナ917、高周波回路914、電源回路915、リセット回路911、
整流回路906、復調回路907、アナログアンプ908、クロック発生回路903、変
調回路909、信号出力制御回路901、CRC回路902、コード抽出回路904、コ
ード判定回路905およびマスクROM900の回路ブロックを有する。また、電源回路
915は、整流回路913および保持容量912の回路ブロックを有する。さらに、図1
3に示すように、マスクROM900は、メモリセルアレイ920、列デコーダ921お
よび行デコーダ922を有する。
【0240】
ここで、アンテナ917は、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、ループアンテナ、
及び八木アンテナのいずれのアンテナも用いることができる。
【0241】
また、アンテナ917において無線信号を送受信する方式は、電磁結合方式、電磁誘導
方式、及び電波方式のいずれであってもよい。
【0242】
なお、本発明を用いて作成された半導体装置931は図2の半導体装置221に適用さ
れる。
【0243】
次に、本発明を用いて作成された半導体装置931の動作について説明する。質問器(
リーダ/ライタともいう)223に電気的に接続されたアンテナユニット222から無線
信号が送信される。無線信号には質問器(リーダ/ライタともいう)223から半導体装
置931への命令が含まれている。
【0244】
アンテナ917により受信された無線信号は高周波回路914を介して各回路ブロック
に送られる。高周波回路914を介して電源回路915に送られた信号が整流回路913
に入力される。
【0245】
ここで、整流回路913は無線信号の極性を整える作用を持っている。当該信号は整流
され、さらに保持容量912により平滑化される。そして、高電源電位(VDD)が生成
される。
【0246】
また、アンテナ917により受信された無線信号は高周波回路914を介して整流回路
906にも送られる。当該信号は整流され、復調回路907により復調される。復調され
た信号は、アナログアンプ908により増幅される。
【0247】
さらに、アンテナ917により受信された無線信号は高周波回路914を介してクロッ
ク発生回路903にも送られる。クロック発生回路903に送られた信号は分周されて基
本クロック信号となる。ここで、基本クロック信号は各回路ブロックに送られ、信号のラ
ッチ、信号の選択等で用いられる。
【0248】
前記アナログアンプ908により増幅された信号および前記基本クロック信号は、コー
ド抽出回路904に送られる。コード抽出回路904では、前記アナログアンプ908に
より増幅された信号から、前記質問器(リーダ/ライタともいう)223から半導体装置
931へ送られた命令を抽出する。また、コード判定回路905を制御する信号も作成し
ている。
【0249】
前記コード抽出回路904により抽出された命令は、コード判定回路905に送られる
。コード判定回路905では、前記質問器(リーダ/ライタともいう)223からどのよ
うな命令が送られてきたのかを判別する。また、CRC回路902、マスクROM900
、信号出力制御回路901を制御する役割も有している。
【0250】
こうして、前記質問器(リーダ/ライタともいう)223からどのような命令が送られ
てきたのかを判別し、判別された命令により、CRC回路902、マスクROM900、
信号出力制御回路901を動作させる。そして、マスクROM900に記憶または書き込
まれたID番号等の固有データを含んだ信号を出力する。
【0251】
ここで、マスクROM900はメモリセルアレイ920、列デコーダ921および行デ
コーダ922を有している。
【0252】
また、信号出力制御回路901は、マスクROM900に記憶または書き込まれたID
番号等の固有データを含んだ信号を、ISO等の規格に則った符号化方式で符号化した信
号に変える役割ももっている。
【0253】
最後に、前記符号化された信号にしたがって、変調回路909により、アンテナ917
に送られてきている信号に変調をかける。
【0254】
変調をかけられた信号は、質問器(リーダ/ライタともいう)223に電気的に接続さ
れたアンテナユニット222で受信される。そして、受信された信号は質問器(リーダ/
ライタともいう)223で解析され、本発明を用いて作成された半導体装置931のID
番号等の固有データを認識することができる。
【0255】
本発明を用いて作成されたICを用いた無線通信が可能な半導体装置931を用いた無
線通信システムでは、半導体装置931と公知の構成の質問器(リーダ/ライタともいう
)、質問器(リーダ/ライタともいう)に電気的に接続されたアンテナ、及び質問器(リ
ーダ/ライタともいう)を制御する制御用端末を用いることができる。半導体装置931
と質問器(リーダ/ライタともいう)に電気的に接続されたアンテナとの通信方式は、単
方向通信または双方向通信であって、空間分割多重化方式、偏波面分割多重化方式、周波
数分割多重化方式、時分割多重化方式、符号分割多重化方式、直交周波数分割多重化方式
のいずれも用いることができる。
【0256】
前記無線信号は、搬送波を変調した信号である。搬送波の変調は、アナログ変調または
デジタル変調であって、振幅変調、位相変調、周波数変調、及びスペクトラム拡散のいず
れであってもよい。
【0257】
また、搬送波の周波数は、サブミリ波である300GHz〜3THz、ミリ波である3
0GHz〜300GHz、マイクロ波である3GHz〜30GHz、極超短波である30
0MHz〜3GHz、超短波である30MHz〜300MHz、短波である3MHz〜3
0MHz、中波である300KHz〜3MHz、長波である30KHz〜300KHz、
及び超長波である3KHz〜30KHzのいずれの周波数も用いることができる。
【0258】
なお本実施例は、必要であれば実施の形態や他の実施例のと組み合わせて用いることが
可能である。
【実施例2】
【0259】
本実施例では本発明を用いて形成された半導体装置に外付けのアンテナをつけた例につ
いて図24(A)〜図24(E)、図25(A)〜図25(B)を用いて説明する。
【0260】
図24(A)は半導体装置の周りを一面のアンテナで覆ったものである。基板1000
上にアンテナ1001を形成し、本発明を用いて形成された半導体装置1002を電気的
に接続する。図24(A)では半導体装置1002の周りをアンテナ1001で覆う構成
になっているが、基板全面をアンテナ1001で覆い、その上に電極を構成した半導体装
置1002を貼り付けるような構造を取っても良い。
【0261】
図24(B)では、アンテナが半導体装置の周りを回るように配置されたコイルアンテ
ナの例を示す。基板1003上にアンテナ1004を形成し、本発明を用いて形成された
半導体装置1005を電気的に接続する。なお、アンテナの配置は一例であってこれに限
定するものではない。
【0262】
図24(C)は高周波用のアンテナである。基板1006上にアンテナ1007を形成
し、本発明を用いて形成された半導体装置1008を電気的に接続する。
【0263】
図24(D)は180度無指向性(どの方向からでも同じく受信可能)なアンテナであ
る。基板1009上にアンテナ1010を形成し、本発明を用いて形成された半導体装置
1011を電気的に接続する。
【0264】
図24(E)は棒状に長く伸ばしたアンテナである。基板1012上にアンテナ101
3を形成し、本発明を用いて形成された半導体装置1014を電気的に接続する。
【0265】
また図25(A)は、コイルアンテナの別の例である。基板1015上に、アンテナ1
016を形成し、本発明を用いて形成した半導体装置1017を電気的に接続する。なお
アンテナ1016の一方の端部は、半導体装置1017に接続されており、アンテナ10
16の他方の端部は、アンテナ1016とは別工程で形成された配線1018と接続され
ており、配線1018を介して半導体装置1017と電気的に接続されている。なお図2
5(A)では配線1018はアンテナ1016の上方に形成されているが、下方に形成さ
れていても構わない。
【0266】
また図25(B)は、コイルアンテナの別の例である。基板1025上に、アンテナ1
026を形成し、本発明を用いて形成した半導体装置1027を電気的に接続する。なお
アンテナ1026の一方の端部は、半導体装置1027に接続されており、アンテナ10
26の他方の端部は、アンテナ1026とは別工程で形成された配線1028と接続され
ており、配線1028を介して半導体装置1027と電気的に接続されている。なお図2
5(B)では配線1028はアンテナ1026の上方に形成されているが、下方に形成さ
れていても構わない。
【0267】
本発明を用いて形成された半導体装置とこれらのアンテナへの接続は公知の方法で行う
ことができる。例えばアンテナと半導体装置をワイヤボンディング接続やバンプ接続を用
いて接続する、あるいはチップ化した回路の一面を電極にしてアンテナに貼り付けるとい
う方法を取ってもよい。この方式ではACF(anisotropic conduct
ive film;異方性導電性フィルム)を用いて貼り付けることができる。
【0268】
アンテナに必要な長さは受信に用いる周波数によって異なる。例えば周波数が2.45
GHzの場合、半波長ダイポールアンテナを設けるなら約60mm(1/2波長)、モノ
ポールアンテナを設けるなら約30mm(1/4波長)の長さとするとよい。
【0269】
なお、本実施例に示した例はごく一例であり、アンテナの形状を限定するものではない
。あらゆる形状のアンテナについて本発明は実施することが可能である。本実施例は実施
の形態および他の実施例のどのような組み合わせからなる構成を用いても実現することが
できる。
【実施例3】
【0270】
本実施例では、実施の形態1と異なる分断領域の形成方法について、図26(A)〜図
26(C)を用いて説明する。
【0271】
実施の形態1においては、図9(B)に示すように、電極110は、第3層間絶縁膜1
35中に形成されたコンタクトホール168を介して電解液に接触する。しかし本実施例
では、絶縁膜の一部をあらかじめ除去し開口部を形成し、開口部に形成された電極あるい
は配線を、電圧をかけながら電解液に浸すことで除去する。
【0272】
図26(A)に示すように、絶縁膜251には開口部252が設けられている。さらに
開口部252中に電極あるいは配線253が形成されている。なお図26(A)では電極
あるいは配線253は、絶縁膜251上に形成されているが、必要であれば電極あるいは
配線253上に絶縁膜251を形成し、その後開口部252を形成してもよい。
【0273】
次いで開口部252中の電極あるいは配線253を電解液に浸し電圧をかけることによ
り溶解する。これにより分断領域254が形成される(図26(B)参照)。電極あるい
は配線253の材料及び電解液は表1に示されるものを用いればよい。
【0274】
次いで分断領域254中に電極あるいは配線255を形成する。分断領域254によっ
て、電極あるいは配線253と255の電気的接続は遮断される。
【0275】
なお、必要であれば、本実施例は実施の形態および他の実施例のとも組み合わせること
ができる。
【産業上の利用可能性】
【0276】
本発明に係る半導体装置は、流通分野において商品の包装箱や商品に添付する荷札とし
て利用されるICタグとして利用することができる。また、航空機や鉄道輸送において旅
客の手荷物に付すICタグとして利用することができる。さらに医療分野において、例え
ばカルテに付することにより、カルテの取り扱いを正確に、かつ迅速に行うことができる
。本発明の半導体装置は、ユビキタス社会においてあらゆる分野で用いることが可能であ
る。
【0277】
これらのICタグは個々に識別用の情報を記憶させる必要があるので、本発明を適用す
ることにより、識別情報を予め記憶したICタグの生産性が向上し、作製時間、作製コス
トを低減させることが可能となる。
【符号の説明】
【0278】
11 メモリセルアレイ
14 出力線
15 列デコーダ
16 行デコーダ
17 制御線
22 高電圧電源(VDD)
23 低電圧電源(VSSまたはGND)
24 ビット線
25 ビット線
27 配線
28 配線
101 半導体膜
102 結晶性半導体膜
103 ゲート電極
103a 下層ゲート電極
103b 上層ゲート電極
104 ゲート電極
104a 下層ゲート電極
104b 上層ゲート電極
109 電極
110 電極
111 線状ビーム
113 電極
114 電極
115 導電膜
116 導電膜
118 TFT
119 TFT
120 TFT
121 TFT
125 不純物領域
126 不純物領域
127 不純物領域
128 不純物領域
131 島状半導体膜
132 島状半導体膜
135 層間絶縁膜
151 基板
152 ゲート絶縁膜
153 下地膜
154 ゲート絶縁膜
155 層間絶縁膜
156 層間絶縁膜
161 チャネル形成領域
162a 低濃度不純物領域
162b 低濃度不純物領域
163 領域
164 領域
165 コンタクトホール
166 コンタクトホール
167 コンタクトホール
168 コンタクトホール
169 分断領域
171 サイドウォール
171a サイドウォール
171b サイドウォール
175 配線
176 配線
177 配線
178 配線
181 チャネル形成領域
182a 低濃度不純物領域
182b 低濃度不純物領域
183 領域
184 領域
191 サイドウォール
191a サイドウォール
191b サイドウォール
200 半導体装置
201 アンテナ回路
202 整流回路
203 安定電源回路
205 変調回路
206 アンプ
207 論理回路
208 アンプ
209 論理回路
211 メモリ回路
211 メモリ回路
212 メモリコントロール回路
213 復調回路
221 半導体装置
222 アンテナユニット
223 質問器
224 バッグ
241 アンテナコイル
242 容量
243 ダイオード
245 容量
251 絶縁膜
252 開口部
253 電極あるいは配線
254 分断領域
255 電極あるいは配線
401 ゲート配線
402 配線
403 配線
404 配線
405 配線
407 配線
411 TFT
412 島状半導体膜
421 TFT
422 島状半導体膜
431 電源線
432 配線
433 電源線
434 配線
443 ゲート電極
443a 下層ゲート電極
443b 上層ゲート電極
444 ゲート電極
444a 下層ゲート電極
444b 上層ゲート電極
451 基板
453 下地膜
454 ゲート絶縁膜
455 層間絶縁膜
456 層間絶縁膜
458 層間絶縁膜
461 チャネル形成領域
462a 低濃度不純物領域
462b 低濃度不純物領域
463 領域
464 領域
471a サイドウォール
471b サイドウォール
481 チャネル形成領域
483 領域
484 領域
491a サイドウォール
491b サイドウォール
601 基板
602 下地膜
603 線状ビーム
604 半導体膜
605 結晶性半導体膜
611 島状半導体膜
612 島状半導体膜
613 島状半導体膜
614 島状半導体膜
615 ゲート絶縁膜
616 レジスト
617 レジスト
618 レジスト
621 ゲート電極
621a 下層ゲート電極
621b 上層ゲート電極
622 ゲート電極
622a 下層ゲート電極
622b 上層ゲート電極
623 ゲート電極
623a 下層ゲート電極
623b 上層ゲート電極
624 ゲート電極
624a 下層ゲート電極
624b 上層ゲート電極
626 サイドウォール
626a サイドウォール
626b サイドウォール
627 サイドウォール
627a サイドウォール
627b サイドウォール
628 サイドウォール
628a サイドウォール
628b サイドウォール
629 サイドウォール
629a サイドウォール
629b サイドウォール
631 チャネル形成領域
632a 低濃度不純物領域
632b 低濃度不純物領域
633 領域
634 領域
642a 低濃度不純物領域
642b 低濃度不純物領域
643 領域
644 領域
652a 低濃度不純物領域
652b 低濃度不純物領域
653 領域
654 領域
661 チャネル形成領域
663 領域
664 領域
671 層間絶縁膜
672 層間絶縁膜
673 コンタクトホール
674 コンタクトホール
675 コンタクトホール
676 コンタクトホール
677 コンタクトホール
678 コンタクトホール
679 コンタクトホール
680 コンタクトホール
681 電極
682 電極
683 電極
684 電極
685 電極
686 電極
687 電極
691 TFT
692 TFT
693 TFT
694 TFT
695 CMOS回路
697 層間絶縁膜
802 剥離層
803 下地膜
804 下地膜
806 層間絶縁膜
807 保護層
808 溝
811 電極
812 電極
813 電極
814 電極
815 電極
816 電極
821 支持体
822 接着材
851 コンタクトホール
852 コンタクトホール
853 コンタクトホール
854 コンタクトホール
855 コンタクトホール
856 コンタクトホール
857 コンタクトホール
860 分断領域
871 配線
872 配線
873 配線
874 配線
875 配線
876 配線
877 配線
900 マスクROM
901 信号出力制御回路
902 CRC回路
903 クロック発生回路
904 コード抽出回路
905 コード判定回路
906 整流回路
907 復調回路
908 アナログアンプ
909 変調回路
911 リセット回路
912 保持容量
913 整流回路
914 高周波回路
915 電源回路
917 アンテナ
920 メモリセルアレイ
921 列デコーダ
922 行デコーダ
931 半導体装置
951 回路
955 コンピュータ
1000 基板
1001 アンテナ
1002 半導体装置
1003 基板
1004 アンテナ
1005 半導体装置
1006 基板
1007 アンテナ
1008 半導体装置
1009 基板
1010 アンテナ
1011 半導体装置
1012 基板
1013 アンテナ
1014 半導体装置
1015 基板
1016 アンテナ
1017 半導体装置
1018 配線
1025 基板
1026 アンテナ
1027 半導体装置
1028 配線
1601 基板
1602 半導体装置
1603 導電性粒子
1604 樹脂
1605 端子部
1610 基板
1611 基板
1612 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、
チャネル形成領域と、ソース領域またはドレイン領域を有する島状半導体膜と、ゲート絶縁膜と、ゲート電極と、を有する薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタ上に第1の層間絶縁膜と、
前記第1の層間絶縁膜上に形成され、前記ソース領域またはドレイン領域の一方に電気的に接続される第1の電極と、
前記第1の層間絶縁膜上に形成され、前記ソース領域またはドレイン領域の他方に電気的に接続される第2の電極と、
前記第1の層間絶縁膜、前記第1の電極、及び前記第2の電極上に形成された第2の層間絶縁膜と、
前記第2の層間絶縁膜上に形成され、前記第1の電極または第2の電極の一方に電気的に接続される第1の配線と、
前記第2の層間絶縁膜上に形成され、前記第1の電極または第2の電極の他方に電気的に接続されない第2の配線と、
を有し、
前記第2の配線と前記第1の電極または第2の電極の他方は、前記第2の層間絶縁膜中に形成された分断領域によって、電気的に接続されないことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−84963(P2013−84963A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−254879(P2012−254879)
【出願日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【分割の表示】特願2007−181628(P2007−181628)の分割
【原出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】