説明

半導体製造方法およびエッチングシステム

【課題】疎パターン領域と密パターン領域を有する半導体の製造方法において、再現性良く疎パターンと密パターン寸法の独立制御を可能とし、各パターンの露光完の寸法及びゲート電極寸法の長期変動を抑制する。
【解決手段】マスクパターンが疎に形成された領域と密に形成された領域とを有する半導体基板上に積層膜を成膜する成膜工程とマスクパターンを形成するリソグラフィ工程S1と装置内の堆積物を除去するクリーニング工程S11Cとマスクパターンを細線化するトリミング工程S3とマスクパターンを積層膜に転写するドライエッチング工程S4、S5から成る半導体製造方法において、トリミング工程S3の前もしくは後に、シーズニング工程S11Sに続いて堆積ステップ工程S2を導入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子または正孔をキャリアとするMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタを含む半導体装置の製造方法に関わり、特に異なるパターン密度を有する微細寸法のゲート電極を、安定に形成するドライエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体集積回路の高集積化及び高速化に伴い、ゲート電極の更なる微細化が要求されている。しかし、わずかなゲート電極の寸法変動がソース−ドレイン電流やスタンバイ時のリーク電流値を大きく変動させるため、ゲート電極の寸法精度を高く保つことが非常に重要である。
【0003】
一般的なこのゲート電極の形成する工程を説明する。シリコン(以下、Siと示す)基板の上に、酸化シリコン(以下、SiOと示す)ゲート絶縁膜、ゲート電極となるポリシリコン(以下、Poly‐Siと示す)膜、反射防止膜であるBARL(Bottom anti‐reflection layer)膜、フォトレジスト(Photo Resist)(以下、PRとも言う)膜を積層させる成膜工程を経て積層膜を形成する。次に、ArFやF光源等を用いた露光工程、ベーク処理工程、現像処理工程等からなるリソグラフィ工程を経て、マスクパターンが完成する。現状では、露光工程に用いる光の波長(193nm、157nm)より短いゲート電極寸法の加工が要求されるため、リソグラフィ工程の後に、エッチング装置を用いたPR膜のトリミング工程を行い、マスク寸法を細線化することで、微細寸法のゲート電極形成に対応してきた。この後に、トリミングされたフォトレジストをマスクとして、BARLエッチング工程、ゲートエッチング工程であるドライエッチング工程を経て、ゲート電極が完成する。
【0004】
これらマスクパターンのトリミング工程からゲートエッチング工程までは、エッチング装置内で処理される。エッチング装置は、例えば、真空処理室内にエッチングガスを導入し、減圧下でプラズマ放電を発生させ、このプラズマ中に発生するラジカル或いはイオンを、被処理物であるウェハ表面と反応させてエッチングする。このとき、エッチング処理はレシピと呼ばれる複数の設定条件に基づいて行われる。このレシピに規定される装置パラメータとしては、ガスの種類、ガス圧力、ガス流量、プラズマソースパワー、基板にイオンを引き込むためのRF(Radio Frequency)バイアス電力、ウェハステージの温度を決める電極温度、処理時間等がある。
【0005】
さて、ゲート電極のエッチングには、pn差と疎密差の課題がある。pn差とは、pM
OSとnMOSの部分で生じる完成寸法の差や形状の違いである。
【0006】
一方、疎密差とは、マスクパターンが疎に設けられた領域のマスクパターン寸法(以下、疎パターン寸法という)とマスクパターンが密に設けられた領域のマスクパターン寸法(以下、密パターン寸法という)の差を示す。ゲート電極のエッチングでは、最終的に目的の疎密差となるゲート電極寸法に加工することが要求される。したがって、ゲートエッチング工程では、上記のようなpn差や疎密差の課題を考慮しつつエッチングする必要がありながら、MOS素子の性能の観点からゲート電極を垂直加工することが優先されるため、所望の疎ゲート電極寸法と密ゲート電極寸法を得る上で、マスクの疎パターン寸法と密パターン寸法の精度とその制御技術が重要となる。
【0007】
ところが、半導体集積回路には、例えば、メモリ、ロジック部に代表される面積密度の大きい密パターン領域と、周辺回路部に代表される面積密度の小さい疎パターン領域が同一ウェハ上に存在する。そのため、マスク寸法制御も容易ではない現況にある。その一因を以下に述べる。
【0008】
図19(a)は、下層からSi基板11、SiOゲート絶縁膜12、poly−Siゲート電極膜13、BARL14、PRマスク15の疎パターン151および密パターン152で構成される、一般的なゲート電極形成前のウェハの断面図である。このウェハをトリミング処理すると、PRマスクの疎パターン151に対してPRマスクの密パターン152では、横方向の運動成分を持つラジカルがパターンの間に進入する確率が低くなるため、図19(b)のようにトリミング工程後の密パターン152Aに比べてトリミング工程後の疎パターン151Aのトリミング量が大きくなる。ここで、トリミング量とは、疎パターンを用いて説明すると、パターンの初期寸法Xiと、トリミング工程後のパターン寸法Yiの差(Xi−Yi)と定義する(密パターンのトリミング量はXd−Yとなる)。疎密差とは、トリミング後の疎パターン寸法Yiと密パターン寸法Ydの差Yi−Yと定義される。
【0009】
一般的に、ラジカル反応が支配的なトリミング工程では、露光完のマスクパターン寸法が疎パターンと密パターンで同じなら、トリミング工程後の疎パターン151Aは、トリミング工程後の密パターン152Aよりも寸法が小さくなる。このようなメカニズムは、疎パターンと密パターンでの寸法制御を難しくする。
【0010】
しかし、疎パターンと密パターンでの寸法制御が難しいなか、細線化は進み、露光限界のマスク寸法から用途によってゲート電極の完成寸法を変えなければならない現況にある。表1に、各A、B、Cに示される初期マスク寸法に対する、目標マスク寸法、トリミング量と疎密差を示した。簡便のため、トリミング工程後のBARLエッチング工程、ゲートエッチング工程において垂直エッチングが可能で、トリミング後のマスク寸法=ゲート電極寸法となる場合であるとする。
【0011】
【表1】

【0012】
表1Bの条件は、ITRSロードマップによると2006年に達成されるべきLSTP(Low Standby Power)45nmゲート電極で、Cの条件は次世代2007年に達成されるべきHP(High Performance)25nmゲート電極である。このA、B、Cの要求条件は、従来のトリミング技術では制御範囲が狭く、実現することができない。表1を参照しながら、従来技術の制御方法を以下に説明する。
【0013】
図20は、露光完の疎マスクと密マスクの寸法が共に100nmのときのトリミング工程実施による疎マスク寸法と密マスク寸法の関係を表すグラフである。グラフ中に、疎密差が0であることを示す点線C1をプロットした。また、表1において要求される条件A、B、Cをグラフ中に示した。
【0014】
疎密差が最も大きいトリミング条件における、疎マスク寸法と密マスク寸法の関係曲線C2と、反対に疎密差が最も小さいトリミング条件における、疎マスク寸法と密マスク寸法の関係曲線C3をグラフ中に示した。ガスの混合比を変えるなどした場合は、縦軸と関係曲線C2と関係曲線C3で囲まれる領域が、実際にトリミング可能な領域となる。表1の中の条件を満たすことができるのは要求条件Aのみである。要求条件B及び要求条件Cは、トリミング可能な領域から外れる。
【0015】
このようにトリミングできなかった要求条件Bを実現するためOPC(Optical
Proximity Correction)と呼ばれる手法でマスク寸法を意図的にウェハ上に欲しいデバイスパターンの寸法から補正して作成することができる。このOPC技術を使って、露光完の疎マスク寸法を100nm、密マスク寸法を90nmとした場合の従来のトリミングを図21に示す。同じく縦軸と疎密差の大きい曲線C21と小さい曲線C31で囲まれる領域が、実際にトリミング可能な領域である。
【0016】
疎密差が0のトリミングは、疎密差の大きい曲線C21または疎密差の小さい曲線C31と疎密差が0であることを示す点線C1の交点で実現可能である。
【0017】
このことから表1の条件を満たすことができるのは、Bのみとなる。A及びCは、トリミング可能な領域から外れてしまう。
つまり上記技術では、表1で要求される各条件を満たすためには、要求条件毎に疎パターンの寸法と密パターンの寸法が異なるマスクを用意する必要があった。
【0018】
また、疎パターンの寸法と密パターンの寸法を制御する方法として、エッチングを促進するガスと抑制するガスの混合ガスを用いたトリミングにより、目的とするパターン寸法を安定性よく実現する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合、BARC(Bottom anti−reflection coating)のオーバーエッチング(OE)とメインエッチング(ME)の時間とO分率もしくは、SO分率とHe希釈率で制御する必要がある。
【0019】
一方、量産工程において、疎パターンと密パターンのゲート電極の寸法が目標寸法から外れてしまうことがある。その主な変動要因には2種類あり、以下に挙げる。
【0020】
一つは、リソグラフィ工程におけるマスクパターンの量産工程において、露光終了後から露光後ベーク(PEB:Post Exposure Bake)までの時間に依存して、雰囲気や酸触媒の失活が生じてマスク寸法の変動が起こることが知られている(例えば、特許文献2参照)。それに伴って下層の、ゲート電極の寸法変動が生じる。
【0021】
もう一つは、エッチング装置内の環境が時間の経過に伴なって変わるために、被トリミング材料に対するトリミング特性や、被エッチング材料に対するエッチング特性も変わってゲート電極の寸法変動が起こる。
【0022】
疎密差を制御する方法として、予めパターニングされたマスク層の側壁にプラズマ反応生成物を堆積させてマスク層のパターン幅を広げる工程と、広げられたパターン幅をトリミングしてパターン幅を小さくする工程とを用いることが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2005−45214号公報
【特許文献2】特開平11−194506号公報
【特許文献3】特開2005−129893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
上記従来の技術は、下記の問題を有している。
(1)従来の疎密制御方法では、時間制御性が悪く、再現性もよくないため、精度良く所望の疎密のパターン寸法を得られない問題があった。
(2)リソグラフィ工程におけるマスクパターンの量産工程において、経時的に変化する露光完の疎パターンと密パターンの寸法の変動によって、所望の疎パターンマスクと密パターンマスク寸法やゲート電極寸法を得るのが困難になるという問題があった。
(3)エッチング装置のリアクタ内のコンディションが徐々に変わることに伴ない、被トリミング材料や被エッチング材料の疎パターンと密パターンの寸法も変動を示し、長期的に所望のマスク寸法やゲート電極寸法を得られなくなる問題があった。
(4)堆積ステップ工程における疎/密マスク寸法の増加において、一度も堆積ステップ工程を実施したことのないマスク寸法やマスク密度を持つウェハに対しては、疎/密マスク寸法と堆積時間の関係がわからないという問題があった。
【0024】
本発明の課題は、上記問題を解決し、露光完の疎パターンと密パターンの寸法及びゲート電極寸法の長期変動を抑制し、かつ、疎パターンと密パターンの寸法の独立制御を精度良く再現可能とする半導体製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記(1)の問題は、マスクパターンのトリミング工程前もしくは後の処理として、シーズニング工程とそれに続いて堆積ステップ工程を導入することによって解決することができる。プラズマ処理室内の堆積物や表面状態を含んだ壁面状態は、ゲート寸法に影響を与えることが知られている。すなわち、堆積ステップ工程後の壁面状態を一定にするため、堆積ステップ工程直前にはシーズニング工程を導入する必要がある。
【0026】
また、堆積ステップ工程の堆積処理は、トリミング工程のトリミング処理とは反対に、原理的に疎マスクパターンの寸法シフト(以下、疎寸法シフトという)(CD(Critical DimenSion)Shiftとも呼ぶ)が密マスクパターンの寸法シフト(以下、密寸法シフトという)よりも大きくなる。疎寸法シフトと密寸法シフトの差の大きさは、ガスの種類、ガスの流量、ガスの圧力、電極温度、RFバイアス電力、時間の組み合わせで制御が可能である。堆積ステップ工程とトリミングステップ工程の疎寸法シフトと密寸法シフトの差をお互い利用し、所望の疎マスク寸法と密マスク寸法並びに疎マスクと密マスクのゲート電極寸法を得るように制御することを特徴とする。
【0027】
上記(2)の問題は、以下によって解決することができる。露光完の疎マスクと密マスクの寸法の変動に対して、SEM等寸法計測装置により変動量をキャッチし、その変動量を抑制するように堆積ステップ工程とトリミングステップ工程を実施することで、目標とする疎パターン領域のマスク(以下、疎マスクという)寸法と密パターン領域のマスク(以下、密マスクという)寸法が得られるように制御することを特徴とする。これは、いわばフィードフォワード制御である。
【0028】
上記(3)の問題は、以下によって解決することができる。ゲートエッチング完了後、疎マスクのゲート寸法と密マスクのゲートの電極寸法をSEM等で計測することによって、ゲート電極の寸法変動を検知する。この情報を基に、次ウェハまたはロットの堆積ステップ工程及びトリミング工程の条件を補正することで、疎マスクのゲートと密マスクのゲートの電極寸法の長期変動を抑制するように制御することを特徴とする。これは、いわばフィードバック制御である。
【0029】
上記(4)の問題は、以下によって解決することができる。堆積ステップ工程における疎/密マスク寸法の増加には、2つの法則性があることがわかった。堆積後の疎/密マスク寸法から初期疎/密マスク寸法を引いた値であるCD biasをマスク間距離であるスペース(nm)と時間の関数として表すことができることを発見した。もう一方は、疎/密マスク寸法は堆積時間に対して線形的に増加させることができることがわかった。この二つの法則性から疎/密マスク寸法を推定できることを利用して、どんな疎/密マスク寸法や密度をもつウェハに対しても、所望の疎/密マスク寸法を得られるようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0031】
表1に示されるような各目標マスク寸法に対して、堆積ステップ工程とトリミングステップ工程を実施し、疎マスクの寸法シフトと密マスクの寸法シフトの差をお互い利用することで、所望の疎マスクと密マスクの寸法並びにゲート電極寸法を再現性よく得ることができる。
【0032】
また、露光完の疎マスク寸法と密マスク寸法の変動に対して、SEM等寸法計測装置によって変動量を検知し、その変動量を抑制するように堆積ステップ工程とトリミングステップ工程の少なくともガスの種類、ガスの流量、ガスの圧力、電極温度、RFバイアス電力、時間を変えて実施することで、目標とする疎マスクと密マスクの寸法並びにゲート電極寸法を安定に得ることができる。
【0033】
さらに、ゲートエッチング工程後の疎マスクと密マスクの電極寸法計測結果を元に、その変動量を検知し、この情報を基に、次ウェハまたはロットの堆積ステップ工程及びトリミングステップ工程の条件を決定または補正することで、疎ゲート電極寸法と密ゲート電極寸法の長期変動を抑制し、目標とする疎ゲート電極寸法と密ゲート電極寸法を安定に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0035】
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる疎マスクと密マスクの寸法独立制御の工程を示すフローチャートである。この流れに沿って、適切な図を用いて説明する。先ず、リソグラフィ工程S1において疎と密のマスクパターンを含んで形成された場合に、クリーニング工程S11Cの後、本発明のシーズニング工程S11Sに続いて堆積ステップ工程S2を実施した結果を説明する。
【0036】
シーズニング工程では、堆積性ガスとしてCHFを用い、圧力を0.2Pa、流量を60ml/min、RFバイアス電力を5Wとしたプロセス条件でSiウェハを用いて処理した。このシーズニング工程の導入により、堆積ステップ工程が始まる前に、装置壁面の状態が堆積ステップ工程とほぼ同様の状態になる。すなわち、壁面の状態がほぼ同じになるように、シーズニング工程と堆積ステップ工程のプロセス条件は同じである方が望ましい。しかし、壁面の状態がほぼ同じになるならば、両者のプロセス条件は異なってもよい。また、電極表面への堆積が、その後のウェハの吸着に問題を生じない範囲では、Siウェハを使用しなくても良い。すなわち、ウェハレス化が可能である。その他、Siウェハ以外のウェハを使用しても良い。
【0037】
シーズニング工程の終点は、OES(Optical Emission Spectroscopy)を用いて、200nmから900nmまでの波長範囲の発光強度を全て足した全体の発光強度が飽和する点とした。本実験では、時間に対して発光強度は徐々に増加していき、約180秒で飽和した。これは、プラズマ中のラジカルの変化が無くなり、ある一定状態に達したことを意味すると考えられる。ここで、特に、壁面にカーボンが堆積している様子がわかれば、この波長範囲の発光強度を特定して用いる必要はなく、C系の発光強度等を用いても良い。また、発光スペクトル中には、C系とは逆に、時間に対して減少するラジカルがあるため、増加したときを終点とするか、減少したときを終点とするかは用いる発光種によって当然異なる。このシーズニング工程の後、壁面の表面は堆積物に覆われて、一種の安定した壁面状態になると考えられる。
【0038】
シーズニング工程の後、図1のフローチャートにおいて、堆積ステップ工程の堆積性ガスとしてCHFを用い、圧力を0.2Pa、流量を60ml/min、RFバイアス電力を5Wとしたときの、初期マスク寸法を基準とした疎/密マスク寸法の増加(疎/密CD biasと呼ぶ)と堆積時間の関係を調べた結果のグラフを、図16に示す。併せて、図1のフローでシーズニング工程を導入しない場合(クリーニング工程直後に堆積ステップ工程を実施)も示した。シーズニング工程ありの場合、疎/密CD
biasは塗りつぶされた菱形(◆)、三角(▲)のプロットで示した。一方で、シーズニング工程なしの場合は、疎/密CD biasは白抜きの菱形(◇)、三角(△)のプロットで示した。シーズニング工程の有無の両データを比較したところ、シーズニング工程をなしとした場合は、堆積時間に対して疎/密CD biasの線形性があまりよくなく、シーズニング工程を導入することで、疎/密CD biasの時間依存性がかなり良い線形となることがわかった。例えば、シーズニング工程なしの場合、堆積時間前半部分である0秒からの90秒間では、疎パターンが2nmの増加を示したのに対して、210秒からの90秒間では、15nmも増加していると考えられる。一方で、シーズニング工程ありの場合、0秒からの90秒間では、疎パターンが16nmの増加を示したのに対して、210秒からの90秒間でも、16nmとなっている。つまり、シーズニング工程ありの場合は、堆積時間によらず、疎/密CD biasの勾配は、それぞれほぼ一定となった。
【0039】
さらに、本発明の図1のフローで、堆積ステップ工程の時間を390秒間に固定し、連続して4枚のウェハを処理したときの疎/密CD biasの測定結果のグラフを図2に示す。シーズニング工程をあり(本発明)とした場合、疎/密CD biasは、処理枚数に対して殆ど変動しない。その変動幅は、0.5nm程度である。一方、シーズニング工程をなしとした場合、疎/密CD biasは、処理枚数とともに2〜3nmも変動した。この変動量は、今日の微細化の要求に対しては大きすぎるため、堆積ステップ工程の前には必ずシーズニング工程を必要することがわかった。
【0040】
シーズニング工程が必要な理由は、クリーニング工程後と堆積ステップ工程中のプラズマ処理室内の壁面状態の違いに深い関係があると考えられる。堆積ステップ工程において、CF系の堆積性ラジカルがウェハに堆積するとき、同時に処理室内の壁面にも堆積する。すなわち堆積ステップ工程の開始後、壁面は、クリーニング工程後の状態から堆積物の付着がある状態に徐々に変化する。一方で、壁面状態の変化は、処理室内のラジカルやイオンのバランスを変える、というメカニズムが提唱されている。例えば、プラズマ中のClラジカルが壁面に進入する場合に、壁面の堆積物の有無でClに再結合する確率が違うことがわかっている。したがって、この実験でも、そのようなことが起きていると推定できる。つまり、シーズニング工程がない場合、図16の堆積時間の経過によってCD biasに対する堆積時間の勾配が異なるのは、壁面状態におけるCF系堆積物量の変化を通してラジカルやイオンの組成の変化も含んで変化するからであると考えられる。クリーニング工程後の壁面状態と堆積工程中の壁面状態がほぼ同じであれば、各堆積時間のCD biasに対する堆積時間の勾配は同じになる。これが堆積ステップ工程の前にシーズニング工程を導入したときの効果である。
【0041】
上記問題は、特に、少量多品種のウェハをエッチングする装置で起こる。ウェハ毎にエッチングして生成される反応生成物の組成や量が大きく異なる可能性があるため、壁面に付着する反応生成物を含んだ壁面状態が大きく変化するからである。
【0042】
以上のように、本発明の図1のようにシーズニング工程に続いて堆積ステップ工程を実施することで、疎密CD biasの時間依存性が良い線形となり、時間に対して精度良く、加えて再現性よく所望の疎密マスク寸法を実現可能である。
【0043】
今回は、堆積ステップ工程とシーズニング工程では、CHFガスを用いて処理した。しかし、堆積性ガスとしてCHFガスに限ることではなく、C系のガスとしては、代わりにCH,C,C,C,C,CO,CH,CHCl,CHBrなどを用いても良い。Si系の堆積性ガスとしては、SiF,SiCl,SiH,TEOSを用いても良い。
【0044】
さらに、本実施例では、シーズニング工程において、堆積ステップ工程と同様のプロセス条件を用いた。しかし、シーズニング工程が終了するまでには長時間を要する場合がある。そこで、装置壁面へ堆積膜を効率良く付着させて短時間化する方法として、シーズニング工程のプロセス条件を堆積ステップ工程よりも、高圧力、高流量、高パワーにする方法、RFバイアス電力を0Wにする方法や、壁面温度を低下させて吸着確率を上げる方法等がある。
【0045】
次に、堆積ステップ工程とトリミング工程を用いて疎/密寸法を制御する方法について説明する。図3(a)は、リソグラフィ工程S1において、初期疎マスク寸法および密マスク寸法(疎密マスク寸法)が100nmである場合の、本発明のシーズニング工程S11Sと堆積ステップ工程を実施した後、トリミング工程を実施して得られる疎マスクと密マスクの寸法の推移グラフである。また、表1において要求される条件A、B、Cを図3(a)中に示した。
【0046】
まず、リソグラフィステップ工程S1、クリーニング工程S11C、シーズニングS11S工程後、堆積ステップ工程S2の堆積性ガスとしてCHFを用い、圧力0.2Pa、流量60ml/min、RFバイアス電力10Wのときの、疎マスク寸法と密マスク寸法の時間変化を調べ、その結果を図3(a)に四角のプロットで示した。初期疎密マスク寸法が100nmである処理時間0secと、疎マスク寸法170nm、密マスク寸法144nmである処理時間360secを結ぶ堆積曲線C4からも分かるように、堆積時間の増加と共に疎マスクと密マスクの寸法も増加していき、密パターンよりも疎パターンの寸法が太いという結果が得られた。
【0047】
次に、表1要求条件Bの目標マスク寸法45nm、疎密差0を実現できるのか、できるならば、堆積ステップ工程S2とトリミングステップ工程S3をどのタイミングで変えたら良いのかを調べた。その結果、堆積ステップで、疎マスク寸法が139nm、密マスク寸法が127nmの時点A4であるタイミングで堆積ステップ工程を終了させた後、トリミング工程S3を実施して要求条件Bの疎マスクと密マスクの寸法45nmを得た。このとき、疎密差が最も大きいトリミング関係曲線C22と、反対に疎密差が最も小さいトリミング関係曲線C32をグラフ中に示した。実際にトリミング可能な領域は、これらの曲線と縦軸によって囲まれる領域となる。
【0048】
図4に、この時の疎マスクと密マスクのパターンの模式図を示した。図4(a)は、リソグラフィ工程前のウェハの断面図である。ウェハは、下層からSi基板11、SiOゲート絶縁膜12、poly−Siゲート電極膜13、BARL14、PRマスク15を有している。図4(b)は、リソグラフィ工程後を示しており、初期疎マスク151と初期密マスク152の寸法が同じであるウェハの断面図である。図4(c)は、堆積ステップ工程後を示しており、疎マスク151Bが密マスク152Bの寸法よりも大きくなるウェハの断面図である。図4(d)は、トリミング工程後を示しており、疎マスク151Aと密マスク152Aの寸法が同じであるウェハの断面図である。図4(e)は、エッチング工程後を示しており、ゲート電極(以後ゲート電極のことをゲートと呼ぶ)が疎ゲート131と密ゲート132の寸法が同じであるウェハの断面図である。
本実施例は、図4の構造を用いて説明したが、たとえ構造が図4と違っていても(例えばメタルゲートや3Dゲート)本発明は同様に適用可能である。また、L/Sだけでなく、ホールのマスクシュリンク技術にも転用可能である。
【0049】
同様にして、表1要求条件Cのマスク寸法25nm、疎密差0を実現するには、図3(b)に示すように、疎マスク寸法170nmで密マスク寸法144nmの時点A6で堆積ステップ工程を終了させた後、トリミングステップ工程を実施して得ることができた。このとき、疎密差が最も大きいトリミング関係曲線C23と、反対に疎密差が最も小さいトリミング関係曲線C33をグラフ中に示した。実際にトリミング可能な領域は、これらの曲線と縦軸によって囲まれる領域となる。
【0050】
このようにして堆積ステップ工程における疎密寸法シフト量(増加)とトリミング工程の疎マスクと密マスクの寸法シフト量(減少)を補償しあうようにお互いの時間を調整する方法で、広範囲で任意の疎マスクと密マスクの寸法を再現性良く得ることができる。
【0051】
言い替えると、この技術を使うと、図3(c)に示すように、疎密差が最も大きいトリミング関係曲線C2と、疎密差が最も小さいトリミング関係曲線C3と、縦軸で囲まれる従来のトリミング可能な領域に加えて、堆積ステップ工程実施後、疎密差が最も小さいトリミング関係曲線C34と、堆積ステップ工程を実施しない疎密差が最も小さいトリミング関係曲線C3で囲まれる領域も加わり、自由に疎マスク寸法と密マスク寸法を独立して制御することができる。
【0052】
さらには、本実施例である図1のフローを用いると、堆積ステップ工程においてマスクパターン側壁の凹凸を補完するように堆積していくため、LER(LINE
EDGE ROUGHNESS)やLWR(LINE WIDTH ROUGHNESS)の低減にも効果がある。これは、マスクパターン側壁の凸部は入射イオンによって削ぎ落とされ、凹部へは堆積性ラジカルが堆積していくため、これら入射イオンと堆積性ラジカルのバランスでLERやLWRの低減度合いが決まる。
【実施例2】
【0053】
次に、図1に示す、本発明の堆積ステップ工程における疎パターン寸法と密パターン寸法の制御方法についての実施例を以下に示す。
【0054】
実施例1で述べた疎マスク寸法と密マスク寸法の時間変化を示す堆積曲線C4の勾配は、圧力、流量、ガスの種類、RFバイアス電力などの装置制御パラメータによって、制御することができる。ガスの種類は実施例1と同様CHFを用い、圧力2Pa、流量100ml/min、RFバイアス電力0Wに対する疎マスクと密マスクの寸法の時間変化を調べた。その実験結果を図3(d)の三角のプロットで示し、実施例1と同様に実験点を結ぶ堆積曲線C41を引いた。この曲線からもわかるように、密パターンよりも疎パターンの方が太いという結果は実施例1と同様である。だが、堆積曲線C41の勾配は、実施例1の条件の堆積曲線C4の勾配とは異なり、疎密差を大きくとりにくい条件になっていることが分かる。
【0055】
そこで、堆積曲線の勾配が各種パラメータにどのように依存するかを説明する。一般的に、圧力が高いと電子温度が低くなり、ガスの解離が抑制され、圧力が低いと電子温度が高くなり、ガスの解離が進む。同様に、流量を上げてもガスの解離が抑制される。この解離によって生成される化学種は、電子温度の高低によって異なる。そして、解離した化学種のダングリングボンドの数やエネルギー状態は、ウェハパターンへの吸着確率を変えるため、堆積曲線の勾配を変えることができる。
【0056】
図5(a)は吸着確率が高い場合の堆積ステップ工程開始直後の図である。例えば、吸着確率が高い場合は、図5(a)のように微細パターン溝内部まで堆積性ラジカル16が十分に供給されないため、図5(b)に示す堆積ステップ工程実施後の疎パターン寸法151Dに比べて密パターン寸法152Dが小さくなる。従って、堆積曲線の勾配は小さくなる(疎密差は拡大)。
【0057】
反対に、図6(a)は、吸着確率が低い場合の堆積ステップ工程開始直後の図である。吸着確率が低い場合は、図6(a)のように微細パターン溝内部まで堆積性ラジカル16が供給されるため、図6(b)に示す堆積ステップ工程実施後の疎パターン寸法151Dと密パターン寸法152Dがほぼ同じになる。したがって、堆積曲線の勾配は1に近づく。すなわち、疎密差は小さくなる。
【0058】
また、吸着確率は、圧力の他に、用いるガスの化学種を変えて変更することができる。CHFの代わりにCH、C、C、C、C、CO、CH、CHCl、CHBrなどの堆積性ガスを用いて、堆積曲線の勾配を変えることが可能である。また、これらのガスを組み合わせて用いても良い。
【0059】
同様に、ウェハステージの温度を決める電極温度を変えても吸着確率を変えることができる。電極温度を下げると堆積性ラジカルの吸着確率が高くなり、電極温度を上げると堆積性ラジカルの吸着確率が下がる。
【0060】
上記吸着確率を変えるこれらの装置制御パラメータを組み合わせることで、堆積曲線の勾配を任意に変えることができる。
【0061】
最後に、RFバイアス電力を0Wの状態から徐々に出力を上げることで、イオンのパターン側壁への入射角を変えることができる。図7(a)にRFバイアス電力が0W近傍の場合のイオンの運動方向を示した。ウェハ面に対して、平行な方向を横、垂直方向を縦と定義する。疎パターンの横運動成分を持つイオン171は、矢印の方向に運動成分を持ち、パターン側壁へ容易に入射する。密パターンの横成分を持つイオン172は、マスクパターン上部に入射するイオンが多くなり、パターン側壁へ入射する確率が低くなる。したがって、イオンがデポ性物質の場合は密パターンよりも疎パターンの寸法が太りやすくなる。すなわち、堆積曲線の勾配が小さくなる。逆に図7(b)に示すようにRFバイアス電力を上げていくと共に、横成分を持つイオンに比べて縦運動成分を持つイオン173の割合が増える。これは、側壁へ入射するイオンが少なくなっていき、寸法変化に寄与するイオンが減ることを表す。このことは、疎密差が縮まることを意味する。すなわち、堆積曲線の勾配は1に近づく。
【0062】
ところで、堆積ステップ工程とトリミング工程を1回実施して疎マスクと密マスクの寸法を制御する方法を述べたが、目的の疎マスクと密マスクの寸法を得るために、堆積ステップ工程の寸法太り量を大きく取らないといけない場合が出てくる。例えば、密パターンにおいて隣り合うパターン同士の溝が堆積ステップ工程によって完全に塞がれてしまう場合である。この場合には、溝が塞がれない程度の堆積ステップ工程を実施して、堆積ステップ工程とトリミングステップ工程を交互に複数回繰り返して、徐々に目的の疎マスクと密マスクの寸法に近づける方法が有効である。
なお、本発明では、堆積ステップ工程またはトリミング工程の前にシ−ズニング工程を用いて説明したが、シーズニング工程を導入しなくても適当な積層条件を用いた堆積ステップ工程とトリミングステップ工程を交互に複数回繰り返すことにより、隣り合うパターン同士の溝を塞がない作用があるので、シ−ズニング工程の省略も可能である。
【0063】
また、吸着確率が高い条件では、図8のように密マスクパターン上部側壁の堆積物の集中152Cによって、やがて隣り合うパターン同士の溝が塞がれてしまう場合がある。RFバイアス電力の出力を上げると、イオンによるそぎ落とし効果、すなわち、パターンが埋まらないよう、側壁をそぎ落とす効果があるので、密部への開口度を維持することが期待される。
【0064】
また、堆積ステップ工程による堆積膜とPRマスクの組成はほぼ同じであるため、堆積ステップ工程とトリミング工程の実施順番は反対にしても良い。但し反対にした場合は、堆積ステップ工程実施後BARL14上に堆積層ができるので、これを除去する工程が必要となる。
【0065】
以上を利用すれば、疎マスクと密マスクの寸法を自由に制御できるので、図1のBARLエッチング工程S4、ゲートエッチング工程S5において垂直エッチングができない場合でも、所望の疎ゲート寸法と密ゲート寸法を得るのは簡単である。このような場合は、トリミング後の目標マスク寸法を補正することで、所望の疎ゲート寸法および密ゲート寸法を実現できる。例えば、ゲートエッチング工程後のゲート寸法が、トリミング工程後のマスク寸法より疎マスクで4nm、密マスクで3nm小さくシフトするなら、予めトリミング工程後の目標マスク寸法を疎マスクで4nm、密マスクで3nm大きく設定しておけばよい。
【0066】
以上、これら本実施例2で述べた方法を利用すれば、従来技術に比べて疎マスクと密マスク寸法の制御範囲を更に広げることも可能である。
【実施例3】
【0067】
以下に、図9を参照しながら、安定的に目標とする疎マスクと密マスクの寸法を得るための実施例を以下に示す。この実施例は課題(2)に対応する。図9は、本発明の第2形態におけるフローチャートである。図1のフローチャートに、疎マスクと密マスクの寸法の測定工程S11と、堆積ステップ工程S2とトリミングステップ工程S3の実施時間を算出する工程S12が加わる。
【0068】
先ず、疎マスク寸法と密マスク寸法の測定工程S11において、複数のウェハを処理することによって経時的に変化する露光完での疎マスクと密マスク寸法の変動をOCD(Optical Critical DimenSion)またはCD−SEM(Critical DimenSion−Scanning Electron Microscope)またはCD−AFM(Critical DimenSion−Atomic Force Microscope)またはその組み合わせにより検知する。
【0069】
次に、得られた疎マスク寸法と密マスク寸法から、堆積ステップ工程S2と、トリミングステップ工程S3の実施時間を算出する(S12)。堆積ステップ工程S2において、マスク寸法は時間に対してほぼ線形的に増加し、トリミングステップ工程S3におけるマスク寸法は時間に対してほぼ線形的に減少する。そこで、時間算出方法はたとえば、以下のようになる。
【0070】
堆積ステップ工程S2によるCD shiftをDiso>0、Ddense>0(nm)、単位時間当たりのCD shiftの大きさをRiso、Rdense(nm/s)、堆積ステップ工程S2の時間をTとすれば、この関係より下記(1)式を得る。
【数1】

【0071】
また、トリミングステップ工程S3によるCD shiftをTriso<0、Trdense(nm)<0、単位時間当たりのCD shiftの大きさR‘iso、R’dense(nm/s)、堆積ステップ工程S3の時間をTとすれば、この関係より下記(2)式を得る。
【数2】

【0072】
測定して得た疎マスクと密マスクの寸法をそれぞれCDiso、CDdense(nm)とし、堆積ステップ工程S2とトリミング工程S3実施後の目標疎マスク寸法X(nm)、密マスク寸法X+g(nm)とすれば、それぞれ(3)式および(4)式で表せる。
【数3】

【0073】
上記(3)式および(4)式から、下記(5)式を得る。
【数4】

【0074】
さらに、上記(5)式に(1)式および(2)式の関係を適用して、下記(6)式を得る。
【数5】

【0075】
ここで、(3)式及び(6)式よりTを消去して、下記(7)式を得る。
【数6】

【0076】
(7)式をΔCD=CDiso−CDdense
ΔR=Riso−Rdense
ΔR’=R’iso−R’denseで置き換えると、下記(8)式となる。
【数7】

【0077】
あらかじめ、Riso、Rdense、R’iso、R’dense、CDiso、CDdenseを測定しておけば、目標の疎マスクと密マスクの寸法X、X+gにするには、(7)式および(3)式からデポプロセスをT秒、トリミングプロセスをT秒実施すれば良いことが分かる。このように、堆積ステップ工程S2とトリミングステップ工程S3の時間を算出し、堆積ステップ工程、トリミングステップ工程を適切時間実施すれば、経時的に変化する露光完での疎マスク寸法と密マスク寸法の変動をキャンセルできる。したがって、目標疎マスク寸法と目標密マスク寸法を実現することができる。
【0078】
また、上記ΔR=Riso−Rdense、ΔR’=R’iso−R’denseの値は、堆積ステップ工程及びトリミングステップ工程中のプラズマ中の発光予測による決定や、形状シミュレーション技術を用いた予測に基づいて決定してもよい。さらには、形状シミュレーション技術だけで、もしくは発光解析と組み合わせて、T、Tを算出してもよい。
【0079】
ところで、(3)式の第2項と第3項を見るとΔR=0、ΔR’=0の時は、T、Tが求まらず、寸法を制御できない。堆積ステップ工程とトリミングステップ工程の単位時間辺りのCD shiftが疎マスクと密マスクで同じ値になることは普通ないが、近い場合には、疎密差制御にかかる時間T、Tが増してしまう。したがって、実施例2のように堆積ステップ工程における各パラメータを調整して、堆積曲線の勾配を変える手段が有効である。
【実施例4】
【0080】
以下に、図10を参照しながら、経時的に起こる疎マスクと密マスクのゲートの寸法変動に対して、安定的に目標とする疎マスクと密マスクのゲート寸法を得るための実施例を以下に示す。この実施例は、課題(3)に対応する。図10は、本発明の第3の実施形態におけるフローチャートである。この実施例では、図9に示した処理に、ゲートエッチング後の後処理(S51)と、疎マスク領域のゲート寸法(以下、疎ゲート寸法と示す)と密マスク領域のゲート寸法(以下、蜜ゲート寸法と示す)の測定工程(S6)及び次のウェハの堆積ステップ工程とトリミングステップ工程の実施時間を算出する工程(S61)が加わる。
【0081】
先ず、ゲートエッチングS5およびアッシングなどの後処理(S51)完了後、疎ゲート寸法と密ゲート寸法の測定工程において疎ゲート寸法と密ゲート寸法の変動をOCDまたはCD−SEMまたはCD−AFMまたはその組み合わせにより検知する。
【0082】
検知した疎ゲート寸法と密ゲート寸法の変動情報を基に、目標疎マスク寸法と目標密マスク寸法の補正値を求め、その新たな目標疎マスク寸法と密マスク寸法を見込む、堆積ステップ工程とトリミングステップ工程の実施時間を算出する(S61)。次ウェハないし次ロットに反映して、疎ゲート寸法と密ゲート寸法の長期変動を抑制し、安定的に目標とする疎ゲート寸法と密ゲート寸法を得ることができる。
【0083】
また、図11は後述する実施例5と実施例4を組み合わせた第4の実施形態のフローチャートである。先ず、S1、S11C、S11S、S2、S3、S4、S5、S51、S6は図10に示した実施例4と同じで、疎/密マスク寸法を測定する工程S11と、堆積ステップ工程とトリミングステップ工程の時間を算出する(S12’)方法が実施例4と異なる。疎マスク寸法と密マスク寸法の測定工程S11における疎マスクと密マスクの寸法変動と疎ゲート寸法と密ゲート寸法の測定工程S6における疎マスクと密マスクの寸法変動を元に、目標疎マスク寸法と目標密マスク寸法を決定する。決定した目標疎マスク寸法と目標密マスク寸法を見込む、堆積ステップ工程とトリミングステップ工程の時間を算出(S12’)して、露光マスク寸法と疎ゲート寸法と密ゲート寸法のそれぞれの変動に対して、目標の疎ゲート寸法と密ゲート寸法が得られるようにする。
【0084】
ここまでの実施例では、堆積ステップ工程のエッチング条件や時間を変えて、疎マスク寸法と密マスクマスク寸法及び疎ゲート寸法と密ゲート寸法を制御する方法を説明したが、トリミング工程S3、BARLエッチング工程S4におけるエッチング条件や時間も、疎マスク寸法と密マスク寸法の制御に利用することができる。但し、スループット向上の観点から、堆積ステップ工程からゲートエッチング工程までの各工程で電極温度を素早く変えられる装置が望ましい。理由の一つは、各工程において、電極の温度により吸着確率を変化させて、疎マスク寸法と密マスク寸法の制御の範囲が広げられるからである。もう一つは、ゲートのエッチング工程では垂直形状を得るために最適な電極温度が決まるが、必ずしも堆積ステップ工程やトリミングステップ工程の電極温度とは一致しないためである。
【実施例5】
【0085】
ここまでの実施例において、下層からSi基板、SiO、Poly―Si、BARL、PRマスクで構成されるゲートの疎マスク寸法と密マスク寸法の制御について説明してきた。このような構造、材質以外でも疎マスク寸法と密マスク寸法の制御が可能であることを以下の実施例で示す。
【0086】
疎マスク寸法と密マスク寸法は本発明によって自由に制御可能なので、マスクより下層の材質は何であっても良い。言い替えれば、マスクより下層の材質のエッチングによって疎マスク寸法と密マスクの寸法が変化した分は、疎マスク寸法と密マスク寸法の補正によって、目標とする疎ゲート寸法と密ゲート寸法が得られる。つまり、ゲート、反射防止膜などの材料は何であっても対応できる。したがって、ゲートの材料としてはMo、TiN、TaN、TaSiN、TiSiN、TaC、HfN、HfSiN、WSiなどのメタルゲートや、NiSi、PtSiなどのフルシリサイドゲートにも対応可能である。マスクの材料としては、アモルファスカーボン、SiON、Ti、SiO、SiOCなどでも良い。これらのマスク材料は、主に多層マスク構造の一部として使われる。反射防止膜の材料としては、BARCなどの有機膜を使うこともできるが、BARCは、PRマスクの組成とほぼ同一であることを考慮に入れなければならない。
【0087】
図12は、下層からゲート電極膜133、BARC141、PRマスク153で構成されたウェハの断面図である。このようにPRマスク下層の反射防止膜がBARCの場合は、トリミング工程によって、マスク寸法が変わると共にBARCも一緒に削れる。このトリミング工程時(BARC MEとも呼ぶ)の単位時間当たりの疎マスク寸法と密マスク寸法の差をΔRME、BARC OE(オーバーエッチング)時の単位時間当たりの疎マスク寸法と密マスク寸法の差をΔROEと定義すれば、ΔROEは反射防止膜がBARLである場合のPRマスクのトリミング工程とほぼ同様の値になると考えてよい。すなわち、反射防止膜がBARCである場合のトリミング工程は、ΔRME、ΔROEの2段階をマスク寸法と密マスク寸法の制御に使える。但し、STI(Shallow Trenh Isolation)によるゲート電極の段差発生に伴うBARC141の厚み分布があって、OE時間はBARCの最深部142まで削り取られるように決定されるため、この時間範囲内で制御する必要がある。
【0088】
多層マスク構造を持つ場合は、それぞれのマスク層において多段的にマスク寸法と密マスク寸法を制御しても良い。またその構造としては、例えば、PRマスク/BARC/SiON/Amorphous−Carbonがある。
【0089】
また、マスク材料がPRマスクの代わりにSiO、SiON、HfSiO、HfSiOClなどのハードマスクが使用される場合は、SiFまたはSiClまたはSiHまたはTEOSまたはその組み合わせなどのSi系ガスを使用した堆積ステップ工程を用いることで、PRマスクの堆積ステップ工程と同様のことが実施可能である。
【実施例6】
【0090】
以下に、疎マスク寸法と密マスク寸法の制御時に問題となるウェハのパターン面内分布を制御する指針である第6の実施例を示す。
【0091】
一般的にエッチングは、プラズマ中で生成されたイオン及びラジカルが半導体基板に入射し、被加工物であるSiや有機材料との表面反応により加工される。
【0092】
またエッチングした際に生じる反応生成物も、半導体基板に再入射しエッチング反応を阻害する。この表面反応およびラジカルや反応生成物への付着は、半導体基板温度に大きく依存する。そのため加工寸法および加工形状は、半導体基板に入射するイオン、ラジカル、反応生成物のフラックスだけでなく、半導体基板温度により異なる。通常、プラズマの分布を制御することにより、半導体基板に入射するイオンやラジカルのフラックスの面内分布は制御可能であるが、反応生成物は基本的に拡散分布であり、その分布を制御することは困難である。そのため、半導体基板の温度分布を制御することにより、加工寸法および加工形状を制御する方法は、加工精度の半導体基板面内均一性を向上する上で、非常に有効な手段である。
【0093】
保護膜を堆積する堆積ステップ工程S2においては、主な表面反応としては、プラズマ中で均一に生成された炭素系反応物がPRマスクに付着する反応が重要であるため、面内の温度分布は均一な方が望ましい。
【0094】
一方、ゲートのエッチング工程においては、poly−Si膜に入射するイオン、ラジカルおよびSi反応生成物とpoly−Siとの複雑な反応が支配的となるため、各入射粒子の半導体基板面内分布を考慮した温度分布制御をする必要がある。例えば、反応生成物の再付着はウェハ面内周から外周に向かって徐々に減少していく“中高分布”となるので、ウェハステージの温度分布を内周から外周に向かって下げることで、反応生成物の再付着がウェハ面内で均一になるようにすることができる。これにより、面内寸法をより均一にすることができる。
【0095】
本発明が適用されるエッチング装置の例として、図13に示すエッチング装置を用いることができる。エッチング装置は、処理容器内に処理ウェハ210を載置する電極と、ガス供給口と、電磁石241と、高周波電源250と、RFおよびバイアス電源261と整合機262と、サーキュレータ270と、発光分光器280を有している。処理ウェハ210の下に内電極221と外電極222を装備する。ガス供給口は内側ガス供給口232と外側ガス供給口231からなる。
【0096】
ウェハを配置するウェハステージの温度および温度分布を制御するには複数冷媒の使用、裏面He圧力の制御、ヒータの利用等がある。例えば図13に示すエッチング装置は、処理ウェハ210の下に内電極221と外電極222を装備する。
【0097】
面内を均一にする方法としてもう一つ考えられるのは、2系統以上持つ供給ガス口を使って、反応性ラジカルや堆積性ラジカルの分布を変える制御方法である。反応生成物の“中高分布“に対して、反応性ラジカルが中高、もしくは堆積性ラジカルが外高、もしくはその組み合わせで面内を均一に制御することができる。例えば図13に示すエッチング装置は、内側ガス供給口232と外側ガス供給口231の2系統を装備する。
【0098】
以上より、面内均一性を考慮しつつ、疎/密寸法制御することで、ウェハ全面において所望の疎/密マスク寸法やゲート寸法を得ることができる。
【実施例7】
【0099】
本実施例では、少量多品種向けニーズに対して有効な方法を説明する。この実施例は前記問題(4)に対応する。図14は、スペースの定義を説明するための図である。図14に示されるように、隣り合うマスク1201とマスクの間の広さXsをスペースと定義する。
【0100】
【表2】

表2は、マスク高さが200nmである場合の各スペースの広さと各堆積時間に対して、そのスペースにあるマスクのCD biasを示す表である。その結果、CD biasをスペースX(nm)と堆積時間Tの関数として、下記(9)式にて精度良くあらわすことができる法則性があることがわかった。
【数8】

【0101】
実験値からこの関係式を求めれば、全てのスペースにおけるCD biasを推定することが可能になる。すなわち、堆積ステップ工程のプロセス条件毎にデータを蓄積しておけば、一度も堆積ステップ工程を実施したことのないスペースの広さであるマスク寸法やマスク密度を持つウェハに対しても、CD biasを推定して、推定通りに実現することができる。この疎密関係式の導出には、実験データが3点以上あれば良い。ただし、精度良く疎密関係式を得るためには、できるだけ多数点のスペースと堆積時間におけるCD biasを取得することが望ましい。
【0102】
ここで、初期マスク寸法が40nmであるウェハを用いて、スペース=280、440、3000nmにおけるCD biasの堆積時間依存性を実験によって取得した。図15は、スペース=280、440、3000nmにおけるCD biasの堆積時間依存性(90、210、390秒)の実験値と、疎密勾配式からの推定値を示したグラフである。このグラフのことを疎密寸法グラフと呼ぶことにする。
【0103】
推定したCD biasを×印のプロットで示した。その結果、推定CD biasは、堆積時間に対して線形的になった。そこで、推定CD biasの時間依存性を線形近似したものを点線で示した。近似精度を良くするためには、疎密関係式を堆積時間毎に多数作成する方法がある。また、フィッティングをおこなって多項式を作成してもよい。さらに、グラフ中には、スペース=280、440、3000nmのCD biasの実験値をそれぞれ菱形(◆)、四角(■)、三角(▲)のプロットで示した。推定される近似曲線値と実験値のCD biasを比較した結果、誤差は、±2.0nm以内とCD−SEMの誤差と同等レベルであることがわかった。これは、CD−SEMを用いてウェハ面内のマスク寸法を多点測定して平均化すること及び、測定ラインを長く(2μ程度)することで、より誤差が小さくなるものと考えられる。
【0104】
以上のように、ある堆積時間においてスペースの異なる3点以上のCD biasを測定し、フィッティングを用いることで、疎密関係式を得ることができる。この疎密関係式を用いれば、全てのスペースにおける堆積時間におけるCD biasを精度よく推定できることを利用して、どんな疎/密マスク寸法や密度をもつウェハに対しても、所望の疎/密マスク寸法を実現することができる。さらに、堆積時間をかえた疎密関係式を予め得ておくことによって、全てのスペースにおけるCD biasの時間依存性がわかる。
【0105】
本実施例では、マスク高さが200nmである場合のスペースの広さと、そのスペースにあるマスクのCD biasの関係から、疎密関係式を求めた。この疎密関係式は、マスク高さに関わらず疎密関係式を用いて表すことができる。また、今回の実験では、L&Sの多いシンプルなDRAM、フラッシュメモリをターゲットとしたため、疎密関係式をスペースの関数とした。一方で、ロジックやSRAM等では、疎密関係式をスペースの代わりにマスクの面積密度の関数として用いることができる。さらには、スペースの代わりに、マスク高さとスペースの比(アスペクト比)を使うこともできる。
【0106】
また、前実施例の疎/密に関する堆積曲線の勾配をガスの種類、ガスの流量、ガスの圧力、電極温度、RFバイアス電力等の条件を用いて変えられると説明したように、疎密関係式であらわされるスペースとCD biasの関係もこれらの条件で制御できることは容易にわかる。さらに、本発明はトリミング工程においても堆積ステップ工程と同様に、疎密関係式を作ることができる。従って、堆積ステップ工程だけでなく、トリミング工程でも疎密関係式を用いることで、任意のL/Sに対してCD制御が可能で少量多品種処理を再現性よく疎/密マスク寸法を実現することができる。
【実施例8】
【0107】
実施例1では、シーズニング工程を導入して、堆積ステップ工程の終点を時間で制御する方法を示した。堆積ステップ工程の前にシーズニング工程を用いない場合には、図16のように、疎/密マスク寸法は堆積時間依存性に対して線形性が悪くなることを説明した。このことは、例えば、図15を用いて説明すると(本実施例では、スペース3000nmの間隔のマスクを疎、スペース280nmの間隔のマスクを密と定義する。)、疎寸法36.1nm、密寸法14.3nmを目標として堆積時間を210秒実施したが、180秒分(疎寸法29.0nm、密寸法12.0nm)の疎/密マスク寸法の増加程度になってしまうような問題を生じる。もちろん、その逆に増加し過ぎることもある。
【0108】
本実施例では、シーズニング工程を用いなくても、堆積ステップ工程の終点を膜厚干渉計にて測定される膜厚を用いて制御すること及び、疎密関係式を用いることで、精度良く所望の疎/密マスク寸法に増加させることを可能にする実施例を示す。
【0109】
図17は、堆積ステップ工程中のある時刻における疎マスクパターンを示す模式図である。堆積ステップ工程中には、疎マスクパターン側壁2301はもちろんオープンスペース2302にも堆積膜が付着する。本実験では、オープンスペースの膜厚の測定には、プラズマ発光のウェハからの反射干渉光を用いた。もちろん、ウェハに照射する入射光源を用いて、ウェハからの反射光干渉光を検出する膜厚モニタの方法を用いても良い。さらに、膜厚モニタが、ウェハ以外、例えばリアクタ壁、サセプタ上の堆積物を検知しても良い。
【0110】
堆積したオープンスペースの膜厚2303と疎マスクパターンのCD biasの関係を調べた結果、非常に良い相関があることわかった。実験の結果、疎CD biasは、オープンスペース部分に堆積した膜厚に対して線形に増加することがわかった。すなわち、疎CD baiasと密CD baiasとの関係は下記(10)式で表現できる
【数9】

【0111】
ここでは、aを変換係数と定義する。本実施例のプロセス条件では、aの値は0.5331であることがわかった。このaはプロセス条件毎に決定される。
【0112】
予めプロセス条件毎にaの値を求めておけば、堆積ステップ工程中リアルタイムで膜厚をモニタすることで、疎CD biasを推定可能である。この推定される疎CD biasをもとに終点をとることで、所望の疎CD biasを精度良く得ることができる。
【0113】
ところで、疎CD biasがわかれば、前実施例にて説明した疎密関係式から算出可能なCD biasの堆積時間依存性(図15)を用いることで、全てのスペースにおけるCD biasを推定可能となる。この方法を用いれば、任意のスペースにおけるCD biasが所望の寸法に達したときに終点取ることが可能になる。
【0114】
図18は、任意のスペースで終点をとる方法を説明するための図の一例である。例えば、スペース440nmにおいて所望のCD biasが10nmであれば、疎のCD biasが20nmとなったときを終点とすれば良い。もう一例を上げると、例えば、スペース280nmにおいて所望のCD biasが22nmであれば、疎のCD biasが69nmとなったときを終点とすれば良い。
【0115】
このように、疎密関係式から推定可能な疎密寸法グラフと、オープンスペース部分の膜厚から換算された疎寸法をリアルタイムに監視する方法を用いて、終点をとることで、所望とするスペースにおけるマスク寸法を精度良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる半導体製造方法のフローチャート。
【図2】堆積ステップ工程の時間を390秒間に固定し、連続して4枚のウェハを処理したときの疎/密CD biasの測定結果のグラフ。
【図3(a)】CHFを用い、圧力0.2Pa、流量60ml/min、RFバイアス電力10Wで堆積ステップを実施した後トリミング工程を実施したときの堆積曲線の推移とトリミング後の疎マスクと密マスクの寸法の推移を説明するグラフ。
【図3(b)】表1に示す要求条件Cのマスク寸法25nm、疎密差0を実現する堆積ステップ工程とトリミング工程における疎マスクと密マスクの寸法の推移を説明するグラフ。
【図3(c)】本発明により疎密差の制御範囲が広がったことを示すグラフ。
【図3(d)】CHFを用い、圧力2Pa、流量100ml/min、RFバイアス電力0Wで堆積ステップを実施した後トリミング工程を実施したときの堆積曲線の推移とトリミング後の疎マスクと密マスクの寸法の推移を説明するグラフ。
【図4】本発明による疎マスクと密マスクの寸法を独立して制御する方法を説明する模式図。
【図5】吸着確率が高い場合の堆積ステップ工程前後のマスクパターンの推移を説明する断面図。
【図6】吸着確率が低い場合の堆積ステップ工程前後のマスクパターンの推移を説明する断面図。
【図7】RFバイアスにより疎パターンと密パターンへの堆積量を制御することを説明する模式図。
【図8】吸着確率が高い条件で堆積ステップ工程を実施後のウェハ断面図。
【図9】本発明の第2の実施形態にかかる半導体製造方法のフローチャート。
【図10】本発明の第3の実施形態にかかる半導体製造方法のフローチャート。
【図11】本発明の第4の実施形態にかかる半導体製造方法のフローチャート。
【図12】下層からゲート電極膜、BARC、PRマスクで構成するウェハの構造を説明する断面図の例。
【図13】本発明が実施されるエッチング装置の断面図の一例。
【図14】スペースの定義を説明するための図。
【図15】スペース=280、440、3000nmにおけるCD biasの堆積時間依存性(90、210、390秒)の実験値と、疎密勾配式からの推定値を示したグラフ。
【図16】シーズニング工程後、図1のフローチャートにおいて、堆積ステップ工程の堆積性ガスとしてCHF3を用い、圧力0.2Pa、流量60ml/min、RF 5Wのときの、初期マスク寸法を基準とした疎/密マスク寸法の増加(疎/密CD biasと呼ぶ)と堆積時間の関係を調べた結果のグラフ。
【図17】堆積ステップ工程中のある時刻における疎マスクパターンを示す模式図。
【図18】任意のスペースで終点をとる方法を説明するための図の一例。
【図19】トリミング工程実施前後のウェハの構造を説明する断面図。
【図20】初期寸法が疎密共に100nmである場合の従来のトリミンググラフ。
【図21】初期寸法が疎100nm、密90nmである場合の従来のトリミンググラフ。
【符号の説明】
【0117】
11:Si基板
12:SiOゲート絶縁膜
1201:マスク
13:poly−Siゲート電極膜
133:ゲート電極膜
14:BARL
141:BARC
131:疎パターンゲート
132:密パターンゲート
15:露光前のPRマスク
151:露光後のPRマスクの疎パターン
151A:トリミング工程後のPRマスクの疎パターン
151B:堆積ステップ工程後のPRマスクの疎パターン
151D:堆積ステップ工程後の疎パターン寸法
152:露光後のPRマスクの密パターン
152A:トリミング工程後のPRマスクの密パターン
152B:堆積ステップ工程後のPRマスクの密パターン
152C:堆積ステップ工程後の密マスクパターン上部側壁の堆積物の集中
152D:堆積ステップ工程後の密パターン寸法
153:PRマスク
16:堆積性ラジカル
171:疎の横運動成分を持つイオン
172:密の横成分を持つイオン
173:縦運動成分を持つイオン
221:内電極
222:外電極
210:処理ウェハ
231:外側ガス供給口
232:内側ガス供給口
240:シャワープレート
241:電磁石
250:高周波電源
261:RFバイアス電源
262:RF整合機
270:サーキュレータ
280:発光分光器
2301:疎マスクパターン側壁
2302:オープンスペース部
2303:堆積したオープンスペースの膜厚
A4:疎寸法139nm、密寸法127nm
A6:疎寸法170nm、密寸法144nm
C1:疎密差が0であることを示す点線
C2:疎密差が最も大きいトリミング条件における疎マスク寸法と密マスク寸法の関係曲線
C21:疎密差の大きい曲線
C22:疎密差が最も大きいトリミング関係曲線
C23:疎密差が最も大きいトリミング関係曲線
C3:疎密差が最も小さいトリミング条件における疎マスク寸法と密マスク寸法の関係曲線
C31:疎密差の小さい曲線
C32:疎密差が最も小さいトリミング関係曲線
C33:疎密差が最も小さいトリミング関係曲線
C4:堆積曲線
C41:堆積曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライエッチングにより試料を処理する半導体製造方法において、
ドライエッチングの処理前に、シーズニング工程とそれに続く堆積性ガスを用いた堆積ステップ工程とトリミング工程、または、シーズニング工程とそれに続くトリミング工程と堆積性ガスを用いた堆積ステップ工程を導入する
ことを特徴とする半導体製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体製造方法において、
シーズニング工程の後に、堆積ステップ工程とトリミング工程を交互に繰り返す
ことを特徴とする半導体製造方法。
【請求項3】
前記請求項1記載の半導体製造方法において、
前記堆積ステップ工程の堆積性ガスとして、CHF、CH、C、C、C、C、CO、CH、CHCl、CHBr、SiF、SiCl、SiH、TEOSのうち少なくとも一つを含む
ことを特徴とする半導体製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の半導体製造方法において、
前記堆積ステップ工程の条件を制御する装置パラメータのうち、時間またはガスの種類またはガス圧力またはガス流量またはRF(Radio Frequency)バイアス電力または電極温度のうち少なくとも1つを変化させる
ことを特徴とする半導体製造方法。
【請求項5】
請求項1記載の半導体製造方法において、
リソグラフィ工程後の疎マスクパターンと密マスクパターンの寸法形成結果を計測するマスクパターン寸法計測工程を設け、
前記マスクパターン寸法計測結果を元に、その後の半導体製造におけるシーズニング工程に続く堆積ステップ工程および前記トリミング工程の条件を決定する
ことを特徴とする半導体製造方法。
【請求項6】
請求項1記載の半導体製造方法において、
ゲート電極形成後のゲート電極の疎パターンと密パターンの寸法を測定するゲート電極寸法測定工程を設け、
前記ゲート電極寸法計測結果を元に、その後の半導体製造におけるシーズニング工程に続く堆積ステップ工程およびトリミング工程のエッチング条件を決定する
ことを特徴とする半導体製造方法。
【請求項7】
請求項1記載の半導体製造方法において、
リソグラフィ工程後の疎マスクパターンと密マスクパターンの寸法形成結果を計測するマスクパターン寸法計測工程と、ゲート電極形成後のゲート電極の疎パターンと密パターンの寸法を測定するゲート電極寸法測定工程を設け、
前記マスクパターン寸法計測結果と、前記ゲート電極寸法計測結果を元に、その後の半導体製造におけるシーズニング工程に続く堆積ステップ工程およびトリミング工程のエッチング条件を決定する
ことを特徴とする半導体製造方法。
【請求項8】
請求項1記載の半導体製造方法において、
電極温度分布を制御する工程とガス分布を制御する工程を設け、
その後の半導体製造におけるシーズニング工程に続く、前記堆積ステップ工程または前記トリミング工程または前記ドライエッチング工程の条件を制御する装置パラメータのうち、ウェハ面内の温度分布とガス分布のうち少なくとも一つを変化させる
ことを特徴とする半導体製造方法。
【請求項9】
ドライエッチングにより試料を処理する半導体製造方法において、
ドライエッチングの処理前に、堆積性ガスを用いた堆積ステップ工程とトリミング工程、または、トリミング工程と堆積性ガスを用いた堆積ステップ工程を導入する
ことを特徴とする半導体製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の半導体製造方法において、
リソグラフィ工程の後に、堆積ステップ工程とトリミング工程を交互に繰り返す
ことを特徴とする半導体製造方法。
【請求項11】
マスクパターンの疎パターンと密パターンの寸法を測定する装置と、
シーズニング工程の後にマスクパターンに対してトリミングを行う前もしくは後に堆積性ガスによる堆積を行い、その後マスクパターン下方の加工対象層に対してエッチングすることのできるエッチング装置と、
目標とするマスクパターンの疎マスクと密マスクの寸法に対して該堆積性ガスを用いた堆積ステップ工程及びその後のトリミング工程の条件を算出する式と演算結果を導出することのできる制御装置と、
前記疎パターンと密パターンの寸法を測定する装置が疎マスクと密マスクの寸法を測定、又はゲート電極形成後のゲート電極の疎パターンと密パターンの寸法を測定し、この内少なくとも一つの測定結果を前記制御装置に伝達するフィードフォワード・フィードバック系を有する、
ことを特徴とする前記エッチング装置を制御するエッチングシステム。
【請求項12】
請求項11記載のエッチングシステムにおいて、
前記堆積ステップ工程の堆積性ガスとして、CHF、CH、C、C、C、C、CO、CH、CHCl、CHBr、SiF、SiCl、SiH、TEOSのうち少なくとも一つを含む
ことを特徴とするエッチングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図3(c)】
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【図3(d)】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−294905(P2007−294905A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71122(P2007−71122)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】