説明

半導体集積回路装置

【課題】少バイト単位の書き込みを実現するメモリアレイ構成において、ディスターブ回数を緩和しながらメモリゲートドライバ数を削減する。
【解決手段】メモリアレイ11は、複数のサブアレイ17、MGトランスファ18、SLドライバ19、およびCGドライバ20から構成されている。サブアレイ17は、複数のメモリゲート線、コントロールゲート線、ソース線、およびビット線BLを有し、これら各線の交差する部分にメモリセルMCがそれぞれ配置される。コントロールゲート線、CGドライバ20、ソース線、およびSLドライバ19は、サブアレイ17に共通に設置されるが、メモリゲート線とMGバッファ回路21とは、サブアレイ17毎に設置される。これにより、メモリアレイ11の回路規模を増大させることなく、書き込み単位を少なくし、ディスターブによる影響を減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性メモリモジュールにおける信頼性の向上化技術に関し、特に、小バイト単位の書き込みにおけるディスターブによるデータ破壊の防止に有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不揮発性メモリを搭載したマイクロコンピュータ、いわゆるフラッシュ混載型マイクロコンピュータなどの半導体集積回路装置では、少ないバイト単位での書き込みをサポートしたフラッシュメモリモジュールの搭載の要求がある。
【0003】
図18は、本発明者の検討によるフラッシュメモリモジュールに設けられたメモリアレイ100の構成例を示す説明図である。
【0004】
メモリアレイ100には、図示するように、SLドライバ回路101、MGドライバ102、およびCGドライバ103が設けられており、該メモリアレイ100は、各制御信号を構成するドライバの面積を削減するため、メモリセルMCを選択する信号線(メモリゲート線MGL、コントロールゲート線CGL、ソース線SL)とメモリセルMCに入力、または出力されるデータを転送する信号線(ビット線BL)の交点にメモリセルMCが配置されるアレイ構成になっている。
【0005】
上記のアレイ構成では、1つのコントロールゲート線CGLに接続される複数のメモリセルMCに対してメモリゲート線MGL、ソース線SLが共通になっているため、たとえば、メモリゲート線MGL、およびソース線SLが選択され、ビット線BLが非選択の状態となるメモリセルMCが発生する。
【0006】
この場合、図18のハッチングで示したメモリセルMCが選択状態であり、太線で囲われたメモリセルMCが非選択状態である。この非選択状態のメモリセルMCでは、書き込み非選択状態でありながら弱い書き込みが発生し、意図しないしきい値電圧Vthの変動(以下、ディスターブという)を誘発する可能性がある。
【0007】
このディスターブを対策する技術としては、たとえば、1つのメモリゲート線MGLに接続されるメモリセルMCの数を制限して、メモリアレイを構成するものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記のような不揮発性メモリのディスターブの対策技術では、次のような問題点があることが本発明者により見い出された。
【0009】
たとえば、上記した図18に示すメモリアレイ構成のフラッシュメモリモジュールにおける最小書き込み単位は、64bit(8Byte)である。1本のメモリゲート線につながるビットは、1024bit(128Byte)であるため、メモリゲート線、およびソース線が選択され、ビット線が非選択となる書き込み非選択状態(ディスターブ)は、1024bit÷64bit=16回発生する。
【0010】
また、複数のメモリゲート線に共通に、メモリゲート線の駆動、ならびに選択を行うメモリゲートドライバを設けているため、メモリゲート線が選択状態(メモリゲート線選択/ソース線非選択)となっているメモリセルは、上記したメモリゲート線選択/ソース線選択/ビット線非選択状態のメモリセルよりも多い数となる。
【0011】
ここで、図19に示すように、メモリゲートドライバをメモリゲート線毎に設けた場合には、最小書き換え単位をたとえば8bit(1Byte)と少なくできるが、ディスターブ状態は、1024bit÷8bit=128回に増加してしまい、さらには、メモリゲートドライバの数も増大してしまうことになる。
【0012】
そこで、図20に示すように、1つのメモリゲート線MGLに接続されるメモリセルMCの数を、たとえば、1024bitから128bitに少なくするために、メモリアレイ100を複数のサブアレイ104からなるアレイ構成に変更すると、1つのMGドライバ102により選択されるメモリセルMCは少なくなり、ディスターブの回数を従来と同じ128bit÷8bit=16回に低減することができる。
【0013】
しかしながら、サブアレイ104毎にメモリゲートドライバを設ける必要があるので、図19に示すアレイ構成の場合より、さらにメモリゲートドライバの数が増大してしまうという問題が生じてしまうことになる。
【0014】
本発明の目的は、少バイト単位の書き込みを実現するメモリアレイ構成において、ディスターブ回数を緩和しながらメモリゲートドライバ数を削減することのできる技術を提供することにある。
【0015】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0017】
本発明は、読み出し選択ゲート端子と、書き込みゲート端子と、データ入出力端子と、電源端子とを含む不揮発性メモリセルと、複数の不揮発性メモリセルの書き込みゲート端子が共通に接続される読み出しゲート線と、該読み出しゲート線を駆動する読み出しゲート線駆動回路と、複数の不揮発性メモリセルの読み出し選択ゲート端子が共通に接続される読み出し選択ゲート線と、複数の不揮発性メモリセルの電源端子が共通に接続される電源線と、データ入出力端子にそれぞれに接続されるデータ線とを含むサブアレイと、複数のサブアレイと、複数のサブアレイそれぞれに含まれる読み出し選択ゲート線に共通に設置される書き込みゲート線駆動回路と、複数のサブアレイにそれぞれに含まれる電源端子に共通に接続される電源線駆動回路と、複数の読み出しゲート線駆動回路に共通に接続される読み出しゲート線転送回路とを含むメモリアレイと、複数のサブアレイに含まれるデータ線にそれぞれに接続され、不揮発性メモリセルにデータを書き込む場合に不揮発性メモリセルに書き込まれるべきデータを転送する書き込みデータ転送回路と、複数のサブアレイに含まれるデータ線にそれぞれに接続され、不揮発性メモリセルからデータを読み出す場合にデータ線を選択するデータ線選択回路と、複数のデータ線選択回路に共通に接続され、該データ線選択回路に選択されたデータ線に現れたデータ信号を増幅するアンプ回路とを有するものである。
【0018】
また、本発明は、データ、命令を入出力する入出力回路と、該入出力回路に接続され、データ、命令を転送する経路であるバスと、該バスに接続されデータ、命令を受け取りデータの演算処理を行う演算回路と、該演算回路に接続され演算回路の演算結果や演算回路で利用する命令を記憶するメモリモジュールとを有し、該メモリモジュールは、読み出し選択ゲート端子と、書き込みゲート端子と、データ入出力端子と、電源端子とを含む不揮発性メモリセルと、複数の不揮発性メモリセルの書き込みゲート端子が共通に接続される読み出しゲート線と、該読み出しゲート線を駆動する読み出しゲート線駆動回路と、複数の不揮発性メモリセルの読み出し選択ゲート端子が共通に接続される読み出し選択ゲート線と、複数の不揮発性メモリセルの電源端子が共通に接続される電源線と、データ入出力端子にそれぞれに接続されるデータ線とを含むサブアレイと、複数のサブアレイと、複数のサブアレイそれぞれに含まれる読み出し選択ゲート線に共通に設置される書き込みゲート線駆動回路と、複数のサブアレイにそれぞれに含まれる電源端子に共通に接続される電源線駆動回路と、複数の読み出しゲート線駆動回路に共通に接続される読み出しゲート線転送回路とを含むメモリアレイと、複数のサブアレイに含まれるデータ線にそれぞれに接続され、不揮発性メモリセルにデータを書き込む場合に不揮発性メモリセルに書き込まれるべきデータを転送する書き込みデータ転送回路と、複数のサブアレイに含まれるデータ線にそれぞれに接続され、不揮発性メモリセルからデータを読み出す場合にデータ線を選択するデータ線選択回路と、複数のデータ線選択回路に共通に接続され、データ線選択回路に選択されたデータ線に現れたデータ信号を増幅するアンプ回路とを有するものである。
【0019】
さらに、本発明は、読み出し選択ゲート端子と、書き込みゲート端子と、データ入出力端子と、電源端子とを含む不揮発性メモリセルと、複数の不揮発性メモリセルの書き込みゲート端子が共通に接続される読み出しゲート線と、該読み出しゲート線を駆動する読み出しゲート線駆動回路と、複数の不揮発性メモリセルの読み出し選択ゲート端子が共通に接続される読み出し選択ゲート線と、複数の不揮発性メモリセルの電源端子が共通に接続される電源線と、データ入出力端子にそれぞれに接続されるデータ線とを含むサブアレイと、複数のサブアレイと、複数のサブアレイにそれぞれに含まれる読み出し選択ゲート線に共通に設置される書き込みゲート線駆動回路と、複数のサブアレイにそれぞれに含まれる電源端子に共通に接続される電源線駆動回路と、複数の読み出しゲート線駆動回路に共通に接続される読み出しゲート線転送回路とを含むメモリアレイと、複数のサブアレイに含まれるデータ線にそれぞれに接続され、不揮発性メモリセルにデータを書き込む場合に不揮発性メモリセルに書き込まれるべきデータを転送する書き込みデータ転送回路と、複数のサブアレイに含まれるデータ線にそれぞれに接続され、不揮発性メモリセルからデータを読み出す場合にデータ線を選択するデータ線選択回路と、複数のデータ線選択回路に共通に接続され、データ線選択回路に選択されたデータ線に現れたデータ信号を増幅するアンプ回路とを有し、不揮発性メモリセルは、ネガティブデータを格納するネガセルとポジティブデータを格納するポジセルとを1対として1つのデータを記憶する相補記憶構成よりなるものである。
【0020】
また、本発明は、データ、命令を入出力する入出力回路と、該入出力回路に接続されデータ、命令を転送する経路であるバスと、該バスに接続されデータ、命令を受け取りデータの演算処理を行う演算回路と、該演算回路に接続され演算回路の演算結果や演算回路で利用する命令を記憶するメモリモジュールとを有し、該メモリモジュールは、読み出し選択ゲート端子と、書き込みゲート端子と、データ入出力端子と、電源端子とを含む不揮発性メモリセルと、複数の不揮発性メモリセルの書き込みゲート端子が共通に接続される読み出しゲート線と、該読み出しゲート線を駆動する読み出しゲート線駆動回路と、複数の不揮発性メモリセルの読み出し選択ゲート端子が共通に接続される読み出し選択ゲート線と、複数の不揮発性メモリセルの電源端子が共通に接続される電源線と、データ入出力端子にそれぞれに接続されるデータ線とを含むサブアレイと、複数のサブアレイと、複数のサブアレイにそれぞれに含まれる読み出し選択ゲート線に共通に設置される書き込みゲート線駆動回路と、複数のサブアレイにそれぞれに含まれる電源端子に共通に接続される電源線駆動回路と、複数の読み出しゲート線駆動回路に共通に接続される読み出しゲート線転送回路とを含むメモリアレイと、複数のサブアレイに含まれるデータ線にそれぞれに接続され、不揮発性メモリセルにデータを書き込む場合に不揮発性メモリセルに書き込まれるべきデータを転送する書き込みデータ転送回路と、複数のサブアレイに含まれるデータ線にそれぞれに接続され、不揮発性メモリセルからデータを読み出す場合にデータ線を選択するデータ線選択回路と、複数のデータ線選択回路に共通に接続され、データ線選択回路に選択されたデータ線に現れたデータ信号を増幅するアンプ回路とを有し、不揮発性メモリセルは、ネガティブデータを格納するネガセルとポジティブデータを格納するポジセルとを1対として1つのデータを記憶する相補記憶構成よりなるものである。
【0021】
また、本願のその他の発明の概要を簡単に示す。
【0022】
本発明は、前記半導体集積回路装置が、それぞれの読み出しゲート線駆動回路を選択するゲート線駆動回路選択回路を含むものである。
【0023】
また、本発明は、前記メモリセルが、データ入出力端子と電源端子の間のチャネル領域上に絶縁膜が形成され、該絶縁膜上のデータ入出力端子に近い側に読み出し選択ゲート端子が形成され、絶縁膜上の電源端子に近い側に書き込みゲート端子が形成され、絶縁膜と書き込みゲート端子の間には更に電荷蓄積層が形成されているスプリットゲート型よりなるものである。
【0024】
さらに、本発明は、前記メモリアレイが、書き込みゲート線駆動回路の数は読み出しゲート線駆動回路の数より少なく、電源線駆動回路の数は読み出しゲート線駆動回路の数より少ないものである。
【0025】
また、本発明は、前記メモリモジュールが、バスを介してメモリセルを選択するためのアドレス信号とメモリセルに書き込まれるべきデータと書き込み命令を受け、アドレス信号により書き込みゲート線駆動回路と、電源線駆動回路と、所望のサブアレイに含まれる所望の読み出しゲート線駆動回路とが選択され、書き込み命令により活性化された書き込みデータ転送回路を介して所望のサブアレイに含まれる所望の読み出しゲート線駆動回路に接続された不揮発性メモリセルにデータが書き込まれるものである。
【発明の効果】
【0026】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0027】
(1)MGドライバ回路、およびCGドライバの回路数を削減することが可能となり、チップ面積の増加を抑制しながら、ディスターブ回数を低減することができる。
【0028】
(2)上記(1)により、半導体集積回路装置を小型化しながら、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1による半導体集積回路装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の半導体集積回路装置に設けられた不揮発性メモリモジュールの構成例を示す説明図である。
【図3】図2の不揮発性メモリモジュールに設けられたメモリセルの構成例を示す説明図である。
【図4】図3のメモリセルにおける書き込み/消去/読み出し時の電圧条件を示した説明図である。
【図5】図2のメモリアレイの構成例を示した説明図である。
【図6】図18のメモリアレイにおける書き込み動作の一例を示した各信号の動作波形を示したタイミングチャートである。
【図7】図5のメモリアレイにおける書き込み動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図8】図18のメモリアレイの消去動作における各信号の動作波形を示すタイミングチャートである。
【図9】図5のメモリアレイにおける消去動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の実施の形態1によるMGバッファ回路をCMOS構成とした際の一例を示す説明図である。
【図11】図10のMGバッファ回路におけるCMOS構成の他の例を示す説明図である。
【図12】図5のメモリアレイと図18のメモリアレイとにおけるディスターブ緩和の効果例を示す説明図である。
【図13】本発明の実施の形態2によるメモリアレイの構成例を示した説明図である。
【図14】図13のメモリアレイにおける他の構成例を示した説明図である。
【図15】一般的な1セル/1データ記憶方式によるメモリセルにおけるしきい値電圧の制御例を示した説明図である。
【図16】本発明の実施の形態3によるメモリアレイに設けられたメモリセルにおけるしきい値電圧の制御例を示した説明図である。
【図17】本発明の実施の形態3によるメモリアレイの構成例を示した説明図である。
【図18】本発明者の検討によるフラッシュメモリモジュールに設けられたメモリアレイの構成例を示す説明図である。
【図19】本発明者の検討による図18のメモリアレイにおける変形例を示す説明図である。
【図20】本発明者の検討による図18のメモリアレイにおける他の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0031】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による半導体集積回路装置の構成例を示すブロック図、図2は、図1の半導体集積回路装置に設けられた不揮発性メモリモジュールの構成例を示す説明図、図3は、図2の不揮発性メモリモジュールに設けられたメモリセルの構成例を示す説明図、図4は、図3のメモリセルにおける書き込み/消去/読み出し時の電圧条件を示した説明図、図5は、図2のメモリアレイの構成例を示した説明図、図6は、図18のメモリアレイにおける書き込み動作の一例を示した各信号の動作波形を示したタイミングチャート、図7は、図5のメモリアレイにおける書き込み動作の一例を示すタイミングチャート、図8は、図18のメモリアレイの消去動作における各信号の動作波形を示すタイミングチャート、図9は、図5のメモリアレイにおける消去動作の一例を示すタイミングチャート、図10は、本発明の実施の形態1によるMGバッファ回路をCMOS構成とした際の一例を示す説明図、図11は、図10のMGバッファ回路におけるCMOS構成の他の例を示す説明図、図12は、図5のメモリアレイと図18のメモリアレイとにおけるディスターブ緩和の効果例を示す説明図である。
【0032】
本実施の形態1において、半導体集積回路装置1は、たとえば、マイクロコンピュータなどからなる。半導体集積回路装置1は、図1に示すように、演算回路であるCPU2、入出力回路であるI/O部3、タイマ4、発振回路5、RAM(Random Access Memory)6、不揮発性メモリモジュールシーケンサ7、DMA(Direct Memory Access)コントローラ8、バスインタフェース9、およびメモリモジュールである不揮発性メモリモジュール10などから構成されている。
【0033】
CPU2は、半導体集積回路装置1におけるすべての制御を司る。I/O部3は、入出力信号のインタフェースであり、タイマ4は、カウントアップを行い、任意時間が経過したことをCPU2など知らせる。発振回路5は、任意のクロック信号を生成し、動作クロック信号として各ブロックに該クロック信号を供給する。
【0034】
RAM6は、揮発性メモリであり、CPU2のワークエリアなどとして機能する。不揮発性メモリモジュールシーケンサ7は、不揮発性メモリモジュール10の動作制御を行う。
【0035】
DMAコントローラ8は、CPU2を介さずに、RAM6とその他の周辺回路とのデータ転送を行う。不揮発性メモリモジュール10は、フラッシュメモリに例示される不揮発性メモリモジュールからなり、データやプログラムなどの任意の情報を格納する。
【0036】
また、CPU2、RAM6、DMA(Direct Memory Access)コントローラ8、バスインタフェース9、ならびに不揮発性メモリモジュール10は、高速のデータ転送が可能な高速転送バスHBUSを介して相互に接続されている。
【0037】
さらに、I/O部3、タイマ4、発振回路5、不揮発性メモリモジュールシーケンサ7、および不揮発性メモリモジュール10は、高速転送バスHBUSよりも低速のデータ転送となる低速転送バスLBUSを介して相互に接続されている。バスインタフェース9は、高速転送バスHBUSと低速転送バスLBUSとのインタフェースである。
【0038】
図2は、不揮発性メモリモジュール10の構成例を示す説明図である。
【0039】
不揮発性メモリモジュール10は、図示するように、複数のメモリセルMC(図3)を含むメモリアレイ11が設けられている。メモリアレイ11には、読み出しゲート線となるメモリゲート線MGL、ソース線SLをそれぞれ選択/駆動するXアドレスデコーダ12、読み出し選択ゲート線であるコントロールゲート線CGLを選択/駆動するXアドレスデコーダ13、メモリセルMCに入力、または出力されるデータを転送する信号線であるビット線BLを選択するYアドレスデコーダ14、およびデータ線選択回路となるYセレクタ15が接続されている。
【0040】
また、Yセレクタ15には、メモリセルMCのセル読み出し信号を増幅するアンプとなるセンスアンプ16が接続されている。
【0041】
上記したXアドレスデコーダ12、Xアドレスデコーダ13、Yアドレスデコーダ14、ならびにYセレクタ15を制御するXアドレス信号線Xadd、Yアドレス信号線Yadd、およびメモリセルMCから読み出される、あるいはメモリセルMCに書き込まれるデータを転送するI/OデータバスDbusは、高速転送バスHBUSに接続される高速アクセスポートHSP、および低速転送バスLBUSに接続される低速アクセスポートLSPにそれぞれ接続されており、CPU2からの動作命令を受けて、CPU2やRAM6などとの間でデータ授受を行う。
【0042】
なお、メモリアレイ11、Xアドレスデコーダ12、Xアドレスデコーダ13、Yアドレスデコーダ14、およびYセレクタ15は、図2に示したように2組の場合に限定されるものではなく、2組以上、若しくは1組だけでもよく、設計者により適宜選択可能とされる。
【0043】
図3は、メモリセルMCの構成例を示す説明図である。
【0044】
メモリセルMCは、図示するように、たとえば、2つのトランジスタT1,T2からなるスプリットゲート構造を採用している。メモリセルMCを制御する制御信号は、トランジスタT1のゲート(読み出し選択ゲート端子)にコントロールゲート線CGLを介して印加されるコントロールゲート信号、トランジスタT2のゲート(書き込みゲート端子)にメモリゲート線MGLを介して印加されるメモリゲート信号、トランジスタT1の一方の接続部(データ入出力端子)にビット線BLを介して与えられる選択信号、およびトランジスタT2の一方の接続部(電源端子)にソース線SLを介して与えられる選択信号などがある。
【0045】
なお、メモリセルMCは、図3に示したスプリットゲート構造のほかに、既知のスタックゲート型などでもよく、設計者により適宜選択可能とされる。
【0046】
図4は、メモリセルMCにおける書き込み/消去/読み出し時の電圧条件を示した説明図である。
【0047】
たとえば、読み出し動作の場合には、ビット線BL、およびコントロールゲート線CGLに、それぞれ約1.5Vの電圧が印加され、メモリゲート線MGL、ならびにソース線SLには、約0Vの電圧が供給される。
【0048】
また、書き込み時には、ビット線BLに約0Vの電圧が、コントロールゲート線CGLには約1.0Vの電圧がそれぞれ印加され、メモリゲート線MGLには約10Vの電圧が、ソース線SLには約5Vの電圧がそれぞれ印加される。
【0049】
このとき、非選択のメモリセルMCにおいて、ビット線BLには約1.5V、コントロールゲート線CGLには約0.0V、メモリゲート線MGLには約3.5V、ソース線SLには約1.5Vの電圧がそれぞれ印加される。
【0050】
さらに、消去の際には、ビット線BLに約1.5Vの電圧が、コントロールゲート線CGLには約0.0Vの電圧がそれぞれ印加され、メモリゲート線MGLには約−10Vの電圧が、ソース線SLには約5Vの電圧がそれぞれ印加される。
【0051】
図5は、図2のメモリアレイ11の構成例を示した説明図である。
【0052】
メモリアレイ11は、図示するように、複数のサブアレイ17、ゲート線転送回路となるMGトランスファ18、SLドライバ19、および書き込みゲート線駆動回路であるCGドライバ20から構成されている。サブアレイ17は、複数のメモリセルMCと読み出しゲート線駆動回路となるMGバッファ回路21を含む。
【0053】
サブアレイ17は、複数のメモリゲート線MGL、コントロールゲート線CGL、ソース線SL、およびビット線BLとを有し、メモリゲート線MGL、コントロールゲート線CGL、およびソース線SLとビット線BLの交差する部分にメモリセルMCがそれぞれ配置される。
【0054】
メモリゲート線MGLは、書き込み時に所望のメモリセルMCを選択する。コントロールゲート線CGLは、メモリゲート線MGLと平行に配置され、読み出し時に所望のメモリセルMCを選択する。
【0055】
ソース線SLは、メモリゲート線MGL、およびコントロールゲート線CGLと平行にに配置され、メモリセルMCを構成する選択トランジスタとなるトランジスタT2のソース端子に接続される。
【0056】
ビット線BLは、メモリゲート線MGL、コントロールゲート線CGL、ならびにソース線SLと交差するように配置され、メモリセルMCを構成する選択トランジスタとなるトランジスタT1のドレイン端子に接続され、該メモリセルMCに書き込まれる、または読み出されるデータを転送する。
【0057】
各々のメモリゲート線MGLは、1つのサブアレイ17に含まれるメモリセルMCにそれぞれ接続されている。また、サブアレイ17には、MGバッファ回路21がそれぞれ設けられている。
【0058】
MGバッファ回路21は、メモリゲート線MGL毎にそれぞれ設けられ、それぞれのサブアレイ17に含まれる所定数のMGバッファ回路21に共通の制御信号MGTによって活性/非活性が制御される。
【0059】
メモリセルMCの書き込み制御に用いられる電位(たとえば、約10V)は、サブアレイ17に接続されているゲート線駆動回路選択回路となるMGドライバ回路22によって生成され、MGバッファ回路21に共通の制御信号MGD(MGバッファ回路21がCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)構成の場合は、P型MOSFET用制御信号MGDP、およびN型MOSFET用制御信号MGDN)を介して供給される。
【0060】
制御信号MGTは、Xアドレス信号線Xaddのアドレス信号に基づいてXアドレスデコーダ12から供給される制御信号MGによって選択される。CGドライバ20は、Xアドレス信号線Xaddのアドレス信号に基づいて、Xアドレスデコーダ13から供給される制御信号CGにより活性/非活性が制御される。
【0061】
ソース線SLも同様に、Xアドレス信号線Xaddのアドレス信号に基づいて、Xアドレスデコーダ13から電源線を介して供給される制御信号SLLにより活性/非活性が制御される。
【0062】
コントロールゲート線CGL、およびCGドライバ20、ソース線SL、ならびにSLドライバ19は、サブアレイ17に共通に設けられているが、メモリゲート線MGLとMGバッファ回路21とは、サブアレイ17毎にそれぞれ設けられている構成となっている。
【0063】
これにより、メモリアレイ11の回路規模を増大させることなく、書き込み単位を少なくすることが可能となっている。
【0064】
また、メモリアレイ11のその他の構成要素について説明する。
【0065】
まず、書き込み動作において、それぞれのメモリセルMCに書き込まれるデータは、書き込み線MWBLを介し、図示しない制御回路から供給される制御線ZLに制御される書き込みデータ転送回路となる選択スイッチ部23より、I/OデータバスDbusを介して入力されたデータに基づいた書き込みデータがビット線BLに供給される。
【0066】
選択スイッチ部23は、スイッチとして機能する複数のトランジスタ23aからなり、これらトランジスタ23aの一方の接続部が、各ビット線BLにそれぞれ接続されている。
【0067】
また、各々のトランジスタ23aにおける他方の接続部には、書き込み線MWBLがそれぞれ接続され、これらトランジスタ23aのゲートには、制御線ZLがそれぞれ接続されている。
【0068】
さらに、Yセレクタ15は、複数のトランジスタ15aが設けられた構成からなる。各トランジスタ15aの一方の接続部には、ビット線BLがそれぞれ接続されており、これらトランジスタ15aのゲートには、Yアドレスデコーダ14から供給される制御信号Yr<0>〜Yr<n>が入力されるように接続されている。複数のトランジスタ15aの他方の接続部は、それぞれ供給接続されて、センスアンプ16に入力されるように接続されている。
【0069】
次に、読み出し動作においては、コントロールゲート線CGLの制御信号によって選択されたメモリセルMCからビット線BLを介して読み出しデータが転送され、Yアドレス信号Yaddに基づいて、Yアドレスデコーダ14から供給される制御信号Yrにより、Yセレクタ15がビット線BLを選択し、その選択されたビット線BLの読み出しデータがセンスアンプ16に入力される。センスアンプ16は、サブアレイ17毎に設けられている。
【0070】
そして、センスアンプ16にて増幅された読み出しデータは、I/OデータバスDbusを介して高速アクセスポートHSP、あるいは低速アクセスポートLSPのいずれかに転送される。
【0071】
ここで、前述した図18に示す本発明者が検討したメモリアレイ100の構成と、図5のメモリアレイ11の構成との動作について比較する。
【0072】
図6は、図18のメモリアレイ100における書き込み動作の一例を示した各信号の動作波形を示したタイミングチャートである。
【0073】
まず、不揮発性メモリモジュールに所望のメモリセルMCを示すアドレス信号が入力されると、Xアドレスデコーダによりコントロールゲート線CGL、メモリゲート線MGL、ソース線SLが選択され、選択電位(図6では電源電圧Vdd)に立ち上げられる。
【0074】
次に、書き込み指示信号programが、不揮発性メモリモジュールに入力されると、制御信号SLLがSLドライバ回路101に、制御信号MGがMGドライバ102にそれぞれ入力され、メモリゲート線MGL、およびソース線SLは書き込み電位(図6では10V)に変化する。
【0075】
そして、書き込み指示信号programが立ち下がり書き込み動作の終了を指示した後に、制御信号MGL、および制御信号SLLは、書き込み動作前の電位(図6では電源電圧Vdd)に戻され、その後、コントロールゲート線CGL、メモリゲート線MGL、ならびにソース線SLは一旦選択レベル(図6では電源電圧Vdd)に下げられた後に非選択レベル(図6では0V)に立ち下げられる。
【0076】
図7は、図5のメモリアレイ11における書き込み動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0077】
図6と異なるのは、図18のMGドライバ102が、図5ではMGドライバ回路22とMGバッファ回路21とに階層化されているため、MGバッファ回路21を制御する制御信号MGT、および制御信号MGDが加えられている点である。
【0078】
図6と同様に、アドレス信号が入力されるとコントロールゲート線CGL、メモリゲート線MGL、ならびにソース線SLが選択レベルに変化され、その後、書き込み指示信号programが不揮発性メモリモジュール10に入力されると、制御信号MGにより、所望のMGドライバ回路22が選択され、制御信号MGDによって書き込み電位(図7では10V)がMGバッファ回路21に与えられ、また、制御信号MGLによって選択されたMGトランスファ18は、MGバッファ回路21を活性化する制御信号MGTを出力し、その後所望のMGバッファ回路21によりメモリゲート線MGLが書き込み電位に変化する。
【0079】
図8は、図18のメモリアレイ100の消去動作における各信号の動作波形を示すタイミングチャートである。
【0080】
不揮発性メモリモジュールに所望のメモリセルMCを示すアドレス信号が入力されるとアドレスデコーダにより、メモリゲート線MGL、ソース線SLがそれぞれ選択され、選択されたメモリゲート線MGLは、アドレス信号入力前の電位を維持し(非選択メモリゲート線MGLが電源電圧Vddに立ち上げられる)、ソース線SLは、選択電位(図8では電源電圧Vdd)に立ち上げられる。
【0081】
その後、消去指示信号eraseが不揮発性メモリモジュールに入力されると、制御信号SLLがSLドライバ回路101に、制御信号MGLがMGドライバ102にそれぞれ入力され、メモリゲート線MGL、ならびにソース線SLは消去電位(図8ではメモリゲート線MGL:−10V、ソース線SL:5V)に変化する。
【0082】
そして、消去指示信号eraseが立ち下がり、消去動作の終了が指示されると、制御信号MGL、および制御信号SLLは、消去動作前の電位(図8では電源電圧Vdd)に戻され、その後、メモリゲート線MGLは、消去指示信号erase入力前の電位(図8では、0V)に戻され、ソース線SLは、一旦選択レベル(図8では電源電圧Vdd)に下げられた後に非選択レベル(図8では0V)に変化する(非選択メモリゲート線MGLは消去指示信号eraseが入力されても電源電圧Vddを維持し、その後ソース線SLと同様に0Vに立ち下げられる)。また、コントロールゲート線CGLは、消去動作中に選択されないので、消去動作中は非選択レベル(図8では0V)を維持する。
【0083】
図9は、図5のメモリアレイ11における消去動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0084】
この場合、図8と異なるのは、書き込み動作時の波形と同様に、MGバッファ回路21を制御する制御信号MGT、および制御信号MGDが加えられている点である。
【0085】
図8と同様に、アドレス信号が入力されると選択されたメモリゲート線MGLは、アドレス信号入力前の電位を維持し(非選択メモリゲート線MGLが電源電圧Vddに立ち上げられる)、選択されたソース線SLが選択レベル(図9では、電源電圧Vdd)に変化され、その後、消去指示信号eraseが不揮発性メモリモジュール10に入力されると、制御信号MGにより所望のMGドライバ回路22が選択され、制御信号MGDにより、消去電位(図9ではメモリゲート線MGL:−10V、ソース線SL:5V)がMGバッファ回路21に与えられ、また、制御信号MGLにより選択されたMGトランスファ18は、MGバッファ回路21を活性化する制御信号MGTを出力し、その後、所望のMGバッファ回路21によりメモリゲート線MGLが消去電位に変化する。
【0086】
コントロールゲート線CGLは、図8と同様に消去動作中に選択されないので、消去動作中は非選択レベル(図8では0V)を維持する。
【0087】
さらに、図10、および図11では、図5のMGバッファ回路21が、図示しないCMOS構成とされた場合を示している、この場合、図7との相違点は制御信号MGDが、P型MOSFET用電源MGDP、およびN型MOSFET用電源MGDNに分離されて供給される点であり、その他は、図7と図9と準ずるものであるので、説明は省略する。
【0088】
図12は、図5のメモリアレイ11と図18に示す本発明者が検討したメモリアレイ100とにおけるディスターブ緩和の効果例を示す説明図である。
【0089】
図示するように、MGバッファ回路21の階層化、およびメモリアレイ11を複数のサブアレイ17に分割することにより、MGバッファ回路21の階層化、ならびに複数のサブアレイ17の分割を行っていない場合よりも、大幅にディスターブ回数を低減することができる。
【0090】
それにより、本実施の形態1によれば、書き込み選択を行うメモリゲート線MGLの駆動/選択を行うMGバッファ回路21の階層化、およびメモリアレイ11を複数のサブアレイ17に分割することにより、MGドライバ回路22、およびCGドライバ20の回路数を削減することが可能となり、チップ面積の増加を抑制しながら、ディスターブ回数を低減することができる。
【0091】
(実施の形態2)
図13は、本発明の実施の形態2によるメモリアレイの構成例を示した説明図、図14は、図13のメモリアレイにおける他の構成例を示した説明図である。
【0092】
本実施の形態2において、図13は、前記実施の形態1の変形例を示したものであり、図5のMGバッファ回路21の部分をスイッチトランジスタに置き換えたものである。
【0093】
前記実施の形態1の図5に示したMGバッファ回路21は、図示しないが、たとえば導電型がP型MOSFETとN型MOSFETからなるCMOSタイプであるが、本実施の形態2の図13では、MGバッファ回路21の構成をスイッチトランジスタSWに置き換え、これらスイッチトランジスタSW(たとえば、N型MOSFET)は、制御信号MGTによってON/OFFが制御されるようになっている。このため、MGバッファ回路21に供給される制御信号は、制御信号MGDNのみとなる。
【0094】
また、図14は、図13の変形例を示したものであり、スイッチトランジスタSWが、MGドライバ回路22によってON/OFF制御されるように構成されたものである。その他の構成については、前記実施の形態1と同様である。
【0095】
これらによって、MGバッファ回路21の素子数を低減することが可能となり、レイアウト面積を、より小さくすることができる。
【0096】
図13、ならびに図14の動作において、書き込み動作は、前記実施の形態1の図7と同様であり、消去動作については、前記実施の形態1の図9と同様であるので、説明は省略する。
【0097】
なお、書き込み動作で図5の動作と相違する点は、MGバッファ回路21の制御信号として制御信号MGDNをMGドライバ回路22から供給し、書き込み電位(たとえば、10V)、および消去制御に用いられる電位(たとえば、−10V)は、制御信号MGDNから供給される点である。
【0098】
それにより、本実施の形態2では、MGバッファ回路21のサイズを小さくすることが可能となるので、ディスターブ回数を低減しながら、チップ面積の増加をより抑制することができる。
【0099】
(実施の形態3)
図15は、一般的な1セル/1データ記憶方式によるメモリセルにおけるしきい値電圧の制御例を示した説明図、図16は、本発明の実施の形態3によるメモリアレイに設けられたメモリセルにおけるしきい値電圧の制御例を示した説明図、図17は、本発明の実施の形態3によるメモリアレイの構成例を示した説明図である。
【0100】
本実施の形態3においては、前記実施の形態1で述べた構成に、2つのメモリセルを用いて1つのデータを記憶する相補記憶方式を応用したものである。
【0101】
ここで、相補記憶方式について説明する。
【0102】
1つのメモリセルを用いて、1つのデータを記憶する一般的な方式(1セル/1データ記憶方式)では、図15に示すように、メモリセルを構成するトランジスタのしきい値電圧は、データ消去状態よりデータ書き込み状態が高くなるように制御される。
【0103】
これに対して、図16に示す2つのメモリセルを用いて1つのデータを記憶する相補記憶方式(2セル/1データ記憶方式)の場合、メモリセルはネガティブデータを格納するネガセルとポジティブデータを格納するポジセルの2種類に分けて1対として使用される。
【0104】
消去状態では、ネガセル、ポジセルともメモリセルのしきい値電圧は低くされ、書き込み状態ではデータ’1’を記憶する際にはメモリセルのしきい値電圧をポジセルよりネガセルが高くなるように、データ’0’を記憶する際にはメモリセルのしきい値電圧をネガセルよりポジセルが高くなるように制御する。
【0105】
図17は、図5の構成を相補記憶方式に適用した場合の構成例を示す説明図である。
【0106】
この場合、図5と異なるのは、1つのサブアレイ17の中に、ポジセル17aとネガセル17bとの2種類の領域を有する構成となっている点である。
【0107】
読み出し動作では、コントロールゲート線CGLにより選択されたポジセル17aとネガセル17bとの1対のメモリセルからビット線BLを介して読み出しデータが転送され、Yアドレス信号Yaddに基づいて、Yアドレスデコーダ14(図2)から供給される制御信号Yrにより、Yセレクタ15でビット線BLを選択し、選択されたビット線BLの読み出しデータがセンスアンプ16に入力される。
【0108】
前記実施の形態1と異なるのは、1データにつきポジセル17aとネガセル17bとに接続される2つのビット線が選択されるので、センスアンプ16では、選択された双方のビット線BLのデータの差を増幅する点である。
【0109】
上記した読み出し方式により、メモリセルMCのリテンション性能が劣化した場合でも、記憶されたデータの読み出しを可能とすることができる。
【0110】
それにより、本実施の形態3においては、2セル/1データ記憶方式においても、前記実施の形態1と同様に、書き込み選択を行うメモリゲート線MGLの駆動/選択を行うMGバッファ回路21の階層化と、メモリアレイ11を複数のサブアレイ17に分割することにより、MGドライバ回路22、およびCGドライバ20の数を削減することが可能となり、チップ面積の増加を抑制しながら、ディスターブ回数を低減することができる。
【0111】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、少バイト単位の書き込みを実現する不揮発性メモリモジュールが設けられたマイクロコンピュータなどの半導体集積回路装置に適している。
【符号の説明】
【0113】
1 半導体集積回路装置
2 CPU
3 I/O部
4 タイマ
5 発振回路
6 RAM
7 不揮発性メモリモジュールシーケンサ
8 DMAコントローラ
9 バスインタフェース
10 不揮発性メモリモジュール
11 メモリアレイ
12 Xアドレスデコーダ
13 Xアドレスデコーダ
14 Yアドレスデコーダ
15 Yセレクタ
15a トランジスタ
16 センスアンプ
17 サブアレイ
17a ポジセル
17b ネガセル
18 MGトランスファ
19 SLドライバ
20 CGドライバ
21 MGバッファ回路
22 MGドライバ回路
23 選択スイッチ部
23a トランジスタ
HBUS 高速転送バス
LBUS 低速転送バス
MC メモリセル
MGL メモリゲート線
SL ソース線
CGL コントロールゲート線
BL ビット線
Dbus I/Oデータバス
HSP 高速アクセスポート
LSP 低速アクセスポート
T1,T2 トランジスタ
MWBL 書き込み線
ZL 制御線
SW スイッチトランジスタ
100 メモリアレイ
101 SLドライバ回路
102 MGドライバ
103 CGドライバ
104 サブアレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み出し選択ゲート端子と、書き込みゲート端子と、データ入出力端子と、電源端子とを含む不揮発性メモリセルと、
複数の前記不揮発性メモリセルの書き込みゲート端子が共通に接続される読み出しゲート線と、前記読み出しゲート線を駆動する読み出しゲート線駆動回路と、複数の前記不揮発性メモリセルの読み出し選択ゲート端子が共通に接続される読み出し選択ゲート線と、複数の前記不揮発性メモリセルの電源端子が共通に接続される電源線と、前記データ入出力端子にそれぞれに接続されるデータ線とを含むサブアレイと、
複数の前記サブアレイと、複数の前記サブアレイにそれぞれに含まれる読み出し選択ゲート線に共通に設置される書き込みゲート線駆動回路と、複数の前記サブアレイにそれぞれに含まれる前記電源端子に共通に接続される電源線駆動回路と、複数の前記読み出しゲート線駆動回路に共通に接続される読み出しゲート線転送回路とを含むメモリアレイと、
複数の前記サブアレイに含まれる前記データ線にそれぞれに接続され、前記不揮発性メモリセルにデータを書き込む場合に前記不揮発性メモリセルに書き込まれるべきデータを転送する書き込みデータ転送回路と、
複数の前記サブアレイに含まれる前記データ線にそれぞれに接続され、前記不揮発性メモリセルからデータを読み出す場合にデータ線を選択するデータ線選択回路と、
複数の前記データ線選択回路に共通に接続され、前記データ線選択回路に選択された前記データ線に現れたデータ信号を増幅するアンプ回路とを有することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
データ、命令を入出力する入出力回路と、
前記入出力回路に接続され前記データ、前記命令を転送する経路であるバスと、
前記バスに接続され前記データ、前記命令を受け取りデータの演算処理を行う演算回路と、
前記演算回路に接続され前記演算回路の演算結果や前記演算回路で利用する命令を記憶するメモリモジュールとを有し、
前記メモリモジュールは、
読み出し選択ゲート端子と、書き込みゲート端子と、データ入出力端子と、電源端子とを含む不揮発性メモリセルと、
複数の前記不揮発性メモリセルの書き込みゲート端子が共通に接続される読み出しゲート線と、前記読み出しゲート線を駆動する読み出しゲート線駆動回路と、複数の前記不揮発性メモリセルの読み出し選択ゲート端子が共通に接続される読み出し選択ゲート線と、複数の前記不揮発性メモリセルの電源端子が共通に接続される電源線と、前記データ入出力端子にそれぞれに接続されるデータ線とを含むサブアレイと、
複数の前記サブアレイと、複数の前記サブアレイにそれぞれに含まれる読み出し選択ゲート線に共通に設置される書き込みゲート線駆動回路と、複数の前記サブアレイにそれぞれに含まれる前記電源端子に共通に接続される電源線駆動回路と、複数の前記読み出しゲート線駆動回路に共通に接続される読み出しゲート線転送回路とを含むメモリアレイと、
複数の前記サブアレイに含まれる前記データ線にそれぞれに接続され、前記不揮発性メモリセルにデータを書き込む場合に前記不揮発性メモリセルに書き込まれるべきデータを転送する書き込みデータ転送回路と、
複数の前記サブアレイに含まれる前記データ線にそれぞれに接続され、前記不揮発性メモリセルからデータを読み出す場合にデータ線を選択するデータ線選択回路と、
複数の前記データ線選択回路に共通に接続され、前記データ線選択回路に選択された前記データ線に現れたデータ信号を増幅するアンプ回路とを有することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項3】
読み出し選択ゲート端子と、書き込みゲート端子と、データ入出力端子と、電源端子とを含む不揮発性メモリセルと、
複数の前記不揮発性メモリセルの書き込みゲート端子が共通に接続される読み出しゲート線と、前記読み出しゲート線を駆動する読み出しゲート線駆動回路と、複数の前記不揮発性メモリセルの読み出し選択ゲート端子が共通に接続される読み出し選択ゲート線と、複数の前記不揮発性メモリセルの電源端子が共通に接続される電源線と、前記データ入出力端子にそれぞれに接続されるデータ線とを含むサブアレイと、
複数の前記サブアレイと、複数の前記サブアレイにそれぞれに含まれる読み出し選択ゲート線に共通に設置される書き込みゲート線駆動回路と、複数の前記サブアレイにそれぞれに含まれる前記電源端子に共通に接続される電源線駆動回路と、複数の前記読み出しゲート線駆動回路に共通に接続される読み出しゲート線転送回路とを含むメモリアレイと、
複数の前記サブアレイに含まれる前記データ線にそれぞれに接続され、前記不揮発性メモリセルにデータを書き込む場合に前記不揮発性メモリセルに書き込まれるべきデータを転送する書き込みデータ転送回路と、
複数の前記サブアレイに含まれる前記データ線にそれぞれに接続され、前記不揮発性メモリセルからデータを読み出す場合にデータ線を選択するデータ線選択回路と、
複数の前記データ線選択回路に共通に接続され、前記データ線選択回路に選択された前記データ線に現れたデータ信号を増幅するアンプ回路とを有し、
前記不揮発性メモリセルは、
ネガティブデータを格納するネガセルとポジティブデータを格納するポジセルとを1対として1つのデータを記憶する相補記憶構成よりなることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項4】
データ、命令を入出力する為の入出力回路と、
前記入出力回路に接続され前記データ、前記命令を転送する経路であるバスと、
前記バスに接続され前記データ、前記命令を受け取りデータの演算処理を行う演算回路と、
前記演算回路に接続され前記演算回路の演算結果や前記演算回路で利用する命令を記憶するメモリモジュールとを有し、
前記メモリモジュールは、
読み出し選択ゲート端子と、書き込みゲート端子と、データ入出力端子と、電源端子とを含む不揮発性メモリセルと、
複数の前記不揮発性メモリセルの書き込みゲート端子が共通に接続される読み出しゲート線と、前記読み出しゲート線を駆動する読み出しゲート線駆動回路と、複数の前記不揮発性メモリセルの読み出し選択ゲート端子が共通に接続される読み出し選択ゲート線と、複数の前記不揮発性メモリセルの電源端子が共通に接続される電源線と、前記データ入出力端子にそれぞれに接続されるデータ線とを含むサブアレイと、
複数の前記サブアレイと、複数の前記サブアレイにそれぞれに含まれる読み出し選択ゲート線に共通に設置される書き込みゲート線駆動回路と、複数の前記サブアレイにそれぞれに含まれる前記電源端子に共通に接続される電源線駆動回路と、複数の前記読み出しゲート線駆動回路に共通に接続される読み出しゲート線転送回路とを含むメモリアレイと、
複数の前記サブアレイに含まれる前記データ線にそれぞれに接続され、前記不揮発性メモリセルにデータを書き込む場合に前記不揮発性メモリセルに書き込まれるべきデータを転送する書き込みデータ転送回路と、
複数の前記サブアレイに含まれる前記データ線にそれぞれに接続され、前記不揮発性メモリセルからデータを読み出す場合にデータ線を選択するデータ線選択回路と、
複数の前記データ線選択回路に共通に接続され、前記データ線選択回路に選択された前記データ線に現れたデータ信号を増幅するアンプ回路とを有し、
前記不揮発性メモリセルは、
ネガティブデータを格納するネガセルとポジティブデータを格納するポジセルとを1対として1つのデータを記憶する相補記憶構成よりなることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体集積回路装置において、
それぞれの前記読み出しゲート線駆動回路を選択するゲート線駆動回路選択回路を有したことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体集積回路装置において、
前記メモリセルは、前記データ入出力端子と前記電源端子の間のチャネル領域上に絶縁膜が形成され、前記絶縁膜上の前記データ入出力端子に近い側に読み出し選択ゲート端子が形成され、前記絶縁膜上の前記電源端子に近い側に書き込みゲート端子が形成され、前記絶縁膜と書き込みゲート端子の間には更に電荷蓄積層が形成されているスプリットゲート型であることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体集積回路装置において、
前記メモリアレイは、
前記書き込みゲート線駆動回路の数は前記読み出しゲート線駆動回路の数より少なく、前記電源線駆動回路の数は前記読み出しゲート線駆動回路の数より少ないことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項8】
請求項2または4記載の半導体集積回路装置において、
前記メモリモジュールは前記バスを介して前記不揮発性メモリセルを選択するためのアドレス信号と前記不揮発性メモリセルに書き込まれるべきデータと書き込み命令を受け、前記アドレス信号により書き込みゲート線駆動回路と、前記電源線駆動回路と、所望の前記サブアレイに含まれる所望の前記読み出しゲート線駆動回路とが選択され、前記書き込み命令により活性化された書き込みデータ転送回路を介して所望の前記サブアレイに含まれる所望の読み出しゲート線駆動回路に接続された前記不揮発性メモリセルにデータが書き込まれることを特徴とする半導体集積回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−211889(P2010−211889A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58894(P2009−58894)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】