説明

原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法

【課題】原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【解決手段】反応チャンバに金属元素及びリガンドを含む第1反応物を注入して基板上に第1反応物を化学吸着させ、不活性ガスでパージして物理吸着された第1反応物を除去し、水酸化基を含まない第2反応物を注入して第1反応物と第2反応物との化学反応によって、第2反応物の酸素と金属元素が結合し、第1反応物からリガンドを分離して化学吸着された第1反応物を金属−酸素原子層とし、不活性ガスでパージして物理吸着された第2反応物を除去し、第3反応物を注入して化学吸着された第1反応物の残余分と第3反応物との化学反応によって第3反応物の構成要素である酸素と金属元素が結合し、第1反応物からリガンドを分離することにより化学吸着された第1反応物の残余分を金属−酸素原子層として、水酸化基の生成が抑止された状態で原子層単位の金属酸化膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜形成方法に係り、より詳細には、原子層蒸着法(Atomic Layer Deposition,ALD)を用いた薄膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、薄膜は、半導体素子の誘電膜、液晶表示素子の透明な導電体及び電子発光薄膜表示素子の保護層など、各種の用途で使われる。前記薄膜はゾル−ゲル法、スパッタリング法、電気メッキ法、蒸気法、化学気相蒸着法、ALD法等により形成されている。
【0003】
中でも、ALD法は、化学気相蒸着法に比べて優れた段差被覆性が得られ、かつ低温工程が可能であるという長所をもっている。このようなALD法は、熱分解ではなく、各反応物の周期的な供給を通じた化学的置換により反応物を分解して薄膜を形成する方法である。ここでは、従来の原子層蒸着法を用い、半導体素子の誘電膜として用いられるアルミニウム酸化膜を形成する方法について詳細に説明する。
【0004】
図1は、従来の原子層蒸着法を用いたアルミニウム酸化膜の形成過程を説明するためのフローチャートであり、図2Aないし図2Dは、図1に示したアルミニウム酸化膜の形成時の反応メカニズムを説明するために示す図である。
【0005】
具体的には、まず、基板(S)の搬入された反応チャンバ(図示せず)に第1反応物(A)、すなわち、薄膜をなすアルミニウム(a)とメチルリガンド(a)よりなるトリメチルアルミニウム(Al(CH、「TMA」と称する)を注入する(ステップ1)。
【0006】
次に、物理吸着されている第1反応物(A)を不活性ガスのパージにより除去する(ステップ3)。これにより、図2Aに示されたように、基板(S)上に第1反応物(A)が化学吸着される。
【0007】
次に、第1反応物(A)の化学吸着された反応チャンバに第2反応物(B)、すなわち、酸素(b)と水素ラジカル(b)よりなる水蒸気(HO)を注入する(ステップ5)。これにより、図2Bに示されたように、第2反応物(B)が第1反応物(A)に化学吸着される。
【0008】
ここで、前記化学吸着された第2反応物(B)の水素ラジカル(b)は、図2Cに示されたように、第1反応物(A)のメチルリガンド(a)に移動して第1反応物(A)からメチルリガンドが分離される。すると、下記化学式(1)及び図2Dに示されたように、前記移動した第2反応物(B)の水素ラジカル(b)が分離された第1反応物(A)のメチルリガンド(a)と反応してCHよりなる揮発性の気相物質(D)を形成する。そして、基板(S)上には第1反応物(A)のアルミニウム(a)及び第2反応物(B)の酸素(b)の反応によりアルミニウム酸化膜(C)が形成される。この反応を化学式で示すと、下記(1)式のとおりである。
【0009】
2Al(CH+3HO→Al+6CH …(1)
次に、前記CHよりなる揮発性の気相物質(D)と反応してない水蒸気は不活性ガスのパージによって除去する(ステップ7)。
【0010】
次に、前記形成されたアルミニウム酸化膜(C)の厚さが適宜であるかどうかを確認し(ステップ9)、必要ならば前記ステップ1からステップ7までの段階を周期的に繰り返し行う。
【0011】
ところが、従来のALD法は、水素ラジカル(b)の移動によってメチルリガンド(a)が除去されるため、下記化学式2に示されたように、水素ラジカル(b)の移動に応じて残存するOHラジカルによって副反応が発生する。この反応を化学式で示すと、下記(2)式のとおりである。
【0012】
Al(CH+3HO→Al(OH)+3CH …(2)
このように副反応が発生する場合、アルミニウム酸化膜(C)内に好ましくない不純物、例えば、Al(OH)が含まれる。このようにAl(OH)などの不純物が含まれると、所望の薄膜特性が得られなくなる。特に、含Al(OH)の前記アルミニウム酸化膜を半導体素子の誘電膜に適用する場合電子のトラップサイトや電流リークサイトとして作用し、誘電膜の性質を低下させる結果となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、その目的は、原子層蒸着法を用いる場合に、好ましくない不純物の形成を抑止して化学量論に優れた薄膜が得られる薄膜形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法は、基板(S)上に第1反応物を化学吸着させた後、反応チャンバを不活性ガスでパージして物理吸着された第1反応物を除去する。次に、前記反応チャンバに水酸化基を含まない第2反応物を注入して前記化学吸着された第1反応物を金属−酸素原子層に置換させる。次に、前記反応チャンバを不活性ガスでパージして物理吸着された第2反応物を除去する。次に、前記反応チャンバに第3反応物を注入して前記化学吸着された第1反応物の残余分を金属−酸素原子層に置換させ、水酸化基の生成が抑止された状態で原子層単位の金属酸化膜を形成する。また、前記第3反応物の注入後に、不純物の除去及び化学量論の向上のための第4反応物、例えばオゾンガスを注入し、不活性ガスでパージすることもできる。
【0015】
好ましくは、前記第1反応物としては金属反応物を用い、前記水酸化基を含まない第2反応物としてはNO、O、OまたはCOを用い、前記第3反応物としては酸化ガスを用いる。また、好ましくは、前記第1反応物の注入段階から第3反応物の注入段階までの前記反応チャンバの温度は100〜400℃に保たれる。ここで、前記基板がシリコン基板である場合、前記第1反応物の注入前に酸化ガスを注入して基板の表面のダングリングボンドを終端処理することもできる。
【0016】
また、本発明による原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法は、基板(S)上に前記第1反応物を化学吸着させた後、反応チャンバを不活性ガスでパージして物理吸着された第1反応物を除去する。次に、前記反応チャンバに第2反応物を注入して第1反応物及び第2反応物の化学置換により原子層単位の薄膜を形成する。次に、前記反応チャンバを不活性ガスでパージして物理吸着された第2反応物を除去した後、前記薄膜の形成された反応チャンバに不純物の除去及び化学量論の向上のための第3反応物を注入する。
【0017】
好ましくは、前記第1反応物としては金属反応物を用い、第2及び第3反応物としては酸化ガスを用いる。また、好ましくは、前記第1反応物としては金属反応物を用い、第2及び第3反応物としては窒化ガスを用いる。ここで、前記基板がシリコン基板である場合、前記第1反応物の注入前に酸化ガスまたは窒化ガスをさらに注入して基板表面のダングリングボンドを終端処理することもできる。好ましくは、前記第1反応物の注入段階から第3反応物の注入段階までの前記反応チャンバの温度は100〜400℃に保たれる。
【0018】
本発明によると、水酸化基などの好ましくない副産物の生成を防止ないし抑止して不純物を含むことなく、かつ化学量論に優れた薄膜を得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明による原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法によれば、原子層蒸着法を用いて金属酸化膜を形成するときに、第1反応物を水酸化基を含んでいない第2反応物とあらかじめ反応させて第1反応物の絶対量を減らした後に、第1反応物と水酸化基を含んでいる第3反応物とを再び反応させることにより、金属酸化膜内に水酸化基などの副産物の生成を抑止させることができる。例えば、本発明は、トリメチルアルミニウムを、水酸化基を含んでいないNOとあらかじめ反応させてトリメチルアルミニウムの絶対量を減らした後に再び水蒸気と反応させることで、水酸化基の絶対量が少ない状態でアルミニウム酸化膜を形成することができる。
【0020】
また、本発明による原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法によれば、原子層蒸着法を用いる時に反応チャンバに薄膜を形成する薄膜形成用第1反応物及び第2反応物のほかに、不純物の除去及び化学量論の向上のための第3反応物を注入及びパージする。これにより、不純物が含まれていず、しかも化学量論に優れた薄膜を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付した図面に基づき、本発明の実施の形態について詳細に説明する。しかし、後述する本発明の実施の形態は各種の形態に変形でき、本発明の範囲が後述する実施の形態に限定されることはない。本発明の実施の形態は当業界における通常の知識を有した者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。なお、図中、膜または領域の大きさまたは厚さは明細書の明確性のために誇張されている。また、ある膜が他の膜または基板の「上」にあると記載されている場合、前記ある膜が前記他の膜の上に直接的に存在することもできれば、その間に第3の膜を介在されることもできる。
【0022】
図3は、本発明の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法に用いられる原子層薄膜形成装置を説明するための概略図である。
【0023】
この原子層薄膜形成装置は、外部のヒーター(図示せず)により加熱される反応チャンバ11と、基板15、例えばシリコン基板が置かれるように前記反応チャンバ11の底面に設けられたサセプタ13と、反応ガスが前記反応チャンバ11の内部に注入されるように前記サセプタ13の上部に設けられたシャワーヘッド17と、前記反応チャンバ11の内部の圧力を調節するために前記反応チャンバ11と連結された真空ポンプ19とを具備する。
【0024】
前記シャワーヘッド17には、互いに別々の2本のガス注入管A及びBが連結されている。そして、このシャワーヘッド17には、第1反応物、不活性ガス、第2反応物及び第3反応物が注入される。第1反応物は金属反応物であり、不活性ガスは窒素ガスやアルゴンガスであり、第2反応物は水酸化基を含んでいない酸化ガス、例えばNO、O、OまたはCOガス、または水蒸気であり、第3反応物は水蒸気や活性化した酸化剤であって、酸素ラジカルを含んでいる物質、例えば、オゾン、プラズマO、プラズマNOである。図3において、便宜上第2反応物及び第3反応物を別々に構成したが、単一に構成しても良い。
【0025】
そして、第1反応物及び不活性ガスは、前記ガス注入管Aを通じて反応チャンバ11の内部に注入され、第2反応物及び第3反応物は、前記ガス注入管Bを通じて反応チャンバ11の内部に注入される。ここで、前記第1反応物と第2反応物及び第3反応物のガス管を別々にしたのは、単一のガス管(AまたはB)内での反応物間の反応を抑止するためである。
【0026】
前記第1反応物及び前記不活性ガスは、各々第1弁V1及び第2弁V2により反応チャンバ11の内部への注入が制御され、前記第2反応物及び第3反応物は各々第3弁V3、第4弁V4によって前記反応チャンバ11の内部への注入が制御される。
【0027】
以下、図3の原子層薄膜形成装置を用いた薄膜形成方法の各種の実施の形態について説明する。
【0028】
第1の実施の形態
図4Aないし図4Dは、本発明を適用した第1の実施の形態による原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法の反応メカニズムを説明するための図面である。
【0029】
まず、基板(図3の15)、例えばシリコン基板の搬入された反応チャンバ11に、薄膜をなす元素(a)とリガンド(a)よりなる第1反応物(A)を注入して基板15上に第1反応物(A)を化学吸着させた後、物理吸着されている第1反応物(A)を不活性ガスのパージにより除去する(図4A参照)。
【0030】
次に、第1反応物(A)の吸着された反応チャンバ11に第2反応物(B)を注入する。これにより、第2反応物(B)は第1反応物(A)に化学吸着される。ここで、前記第2反応物(B)としては、第1反応物(A)との反応性が大きい不完全な物質を用いる。そして、第2反応物(B)としては、前記第2反応物(B)と第1反応物(A)の薄膜をなす元素(a)との結合エネルギーが前記第1反応物(A)の薄膜をなす元素(a)とリガンド(a)との結合エネルギーよりも大きい物質を用いる(図4B参照)。
【0031】
図4Cを参照すれば、前記第2反応物(B)と第1反応物(A)の薄膜をなす元素(a)との結合エネルギーが前記第1反応物(A)の薄膜をなす元素(a)とリガンド(a)との結合エネルギーよりも大きいため、第2反応物(B)は第1反応物(A)の薄膜をなす元素(a)と結合しようとし、かつ第1反応物(A)からリガンド(a)は分離される。
【0032】
次に、前記第1反応物(A)から分離されたリガンド(a)は不安定な状態であるため、リガンド(a)間の結合によって揮発性の気相物質(D)を形成する。そして、基板15上には第1反応物(A)の薄膜をなす元素(a)及び第2反応物(B)の反応によって原子層単位の薄膜(C)が形成される。前記揮発性の気相物質(D)は不活性ガスのパージによって除去される(図4D参照)。
【0033】
次に、図4Aないし図4Dに示された結合エネルギーの違いを用いた薄膜形成方法をアルミニウム酸化膜の形成過程に適用した場合を例にとって説明する。
【0034】
図5は、前記第1の実施の形態によるアルミニウム酸化膜の形成過程を説明するためのフローチャートであり、図6Aないし図6Dは、図5の原子層蒸着法を用いてアルミニウム酸化膜を形成するときの反応メカニズムを説明するための図面である。
【0035】
まず、基板(図3の15)、例えばシリコン基板の搬入された反応チャンバ11に、第1反応物として薄膜をなすアルミニウム(a)とメチルリガンド(a)よりなるトリメチルアルミニウム(Al(CH、TMA:「A」)を注入する(ステップ101)。次に、物理吸着されているTMAを不活性ガスで1次パージして除去する(ステップ103)。これにより、図6Aに示されたように、基板15上にTMAが化学吸着される。
【0036】
次に、TMAの吸着された反応チャンバ11に、第2反応物として活性化した酸化剤であるオゾン(B)を注入する(ステップ105)。これにより、オゾン(B)は、図6Bに示されたように、TMAのアルミニウム(a)に化学吸着される。
【0037】
ここで、前記オゾン(B)は、TMAとの反応性が大きく、かつ不完全な物質である。そして、前記オゾン(B)はTMAのアルミニウム(a)との結合エネルギーが約540kJ/molであって、前記TMAのアルミニウム(a)とメチルリガンド(a)との結合エネルギー(例えば、Al−C結合エネルギー)である255kJ/molよりも大きい物質である。前記オゾン(B)とTMAの薄膜をなす元素であるアルミニウム(a)との結合エネルギーが前記TMAの薄膜をなす元素であるアルミニウム(a)とメチルリガンド(a)との結合エネルギーよりも大きいため、図6Cに示されたように、TMAからメチルリガンド(a)が分離される。
【0038】
また、前記TMAから分離されたメチルリガンド(a)は不安定な状態であるため、図6Dに示されたように、メチルリガンド(a)間の結合によってCよりなる揮発性の気相物質(D)を形成する。そして、基板15上にはTMAの薄膜をなすアルミニウム(a)とオゾン(B)との反応によって、下記化学式(3)に示されたように原子層単位のアルミニウム酸化膜(C)が形成される。
【0039】
2Al(CH+O→Al+3C …(3)
次に、前記反応チャンバを不活性ガスで2次パージして前記Cの揮発性の気相物質(D)と反応してないメチルリガンド(a)を除去する(ステップ107)。続いて、前記形成されたアルミニウム酸化膜の厚さが適宜であるかどうかを確認し(ステップ109)、必要ならば前記ステップ101からステップ107までの段階を周期的に繰り返し行う。
【0040】
この実施の形態では、第2反応物としてオゾンを使用したが、紫外線を使ってオゾンをさらに活性化させることもできる。また、前記活性化した酸化剤として、オゾンに代えて、下記化学式(4)に示されたように、プラズマOやプラズマNOを使用することもできる。
TMA+O(activated)⇒4Al(CH+3O
→Al+6C …(4)
図7及び図8は各々、従来の技術及び本発明の第1の実施の形態によってアルミニウム酸化膜を形成するときのRGA(Residual gas analysis)データを示すグラフである。図7及び図8において、矢印で表示された区間がアルミニウム酸化膜が形成される区間である。
【0041】
前述したように、第2反応物(B)と第1反応物(A)との反応メカニズムに応じて除去されるリガンドの形態が異なるため、工程中に発生する物質も異なってくる。すなわち、従来は、図7のように、第1反応物(A)としてTMAを、そして第2反応物(B)として水蒸気(HO)を使用する場合には、水蒸気から水素ラジカルを受けて生成されたCH、CHが主な副産物として検出される。これに対し、本発明による第1の実施の形態により、図8のように、第1反応物(A)としてTMAを、そして第2反応物(B)としてオゾンを使用する場合にはCHリガンドが除去されて、CやCが副産物として検出されることが分かる。
【0042】
図9は、従来の技術及び本発明の第1の実施の形態によりアルミニウム酸化膜を形成する場合におけるサイクル数によるアルミニウム酸化膜の厚さを示すグラフである。
【0043】
原子層蒸着法は、表面調節工程であるため、各反応物の供給サイクル数により蒸着される薄膜の厚さが決定される。すなわち、サイクルに応じて線形的に厚さが増大するなら、原子層蒸着法により薄膜が形成されるということを意味する。図9に示されたように、従来及び本発明共に線形的に厚さが増大するため、原子層蒸着法を用いて薄膜が形成されるということが分かる。
【0044】
ところが、第2反応物(B)として水蒸気を用いる従来技術(●にて表示)とオゾンを用いる本発明(○にて表示)との間には、潜伏サイクルの違いが見られる。すなわち、本発明では潜伏サイクルなしに初期サイクルから蒸着がなされるのに対し、従来技術では12サイクルの潜伏期間が経過してから薄膜が蒸着される。このことは、初期界面が異質的な反応によって形成されるので、本発明の場合がより安定的にアルミニウム酸化膜が形成されるということを意味する。
【0045】
図10は、従来及び本発明の第1の実施の形態によって形成されたアルミニウム酸化膜の温度によるストレス履歴を示すグラフである。
【0046】
第1反応物(A)としてTMAを、そして第2反応物(B)として水蒸気を用いて形成された従来のアルミニウム酸化膜のストレス履歴(□にて表示)は、ストレスの形態が450℃で引張ストレスから圧縮ストレスに変わる。これに対し、第1反応物AとしてTMAを、そして第2反応物(B)としてオゾンを用いて形成された本発明のアルミニウム酸化膜のストレス履歴(●にて表示)は、全温度範囲に亘って引張ストレスにストレスモードが変わらないため、膜そのものが熱に対してより安定的であることが分かる。
【0047】
図11は、従来の技術及び本発明の第1実施の形態によって形成されたアルミニウム酸化膜の後アニーリング条件による厚さ収縮率を示すグラフである。
【0048】
図11のX軸においてN450、N750、N830は各々450℃、750℃、830℃の窒素雰囲気下で後アニーリングを行ったサンプルであり、O450、O750、O830は各々450℃、750℃、830℃の酸素雰囲気下で後アニーリングを行ったサンプルであり、RTOは850℃で急速熱酸化させたサンプルである。従来の技術及び本発明の第1実施の形態によって形成されたアルミニウム酸化膜は、後アニーリングの温度及びガス条件によって厚さ収縮率(厚さ減少率)が大きく変わらないことが分かる。
【0049】
図12及び図13は各々、従来の技術及び本発明の第1実施の形態によって形成されたアルミニウム酸化膜の波長による吸収常数及び屈折率を示すグラフである。
【0050】
従来の技術及び本発明の第1実施の形態によって形成されたアルミニウム酸化膜は、図12に示されたように、180〜900nmの広い波長帯で吸収常数が0.005以下の値を有する優れた透明度を表す。そして、従来の技術及び本発明の第1実施の形態によって形成されたアルミニウム酸化膜の屈折率は、図13に示されたように、180〜900nmの広い波長帯で大きく変わらないことが分かる。
【0051】
図14は、従来の技術及び本発明の第1実施の形態によって形成されたアルミニウム酸化膜の後アニーリング温度及び雰囲気ガスによる湿式エッチング速度を各々示すグラフである。
【0052】
図14のX軸において、「as−dep」は基板上に蒸着した後にアニーリングしていないサンプルであり、N450、N750、N830は各々450℃、750℃、830℃の窒素雰囲気下で後アニーリングを行なったサンプルである。また、O450、O750、O830は各々450℃、750℃、830℃の酸素雰囲気下で後アニーリングを行ったサンプルであり、RTPは850℃の酸素雰囲気下で急速熱酸化させたサンプルである。そして、Y軸は、各々のサンプルに対して200:1のHF溶液で湿式エッチングを行ったときのエッチング速度を表す。
【0053】
図14に示されたように、従来の技術及び本発明の第1実施の形態によって形成されたアルミニウム酸化膜は、アニーリング条件に無関係にアニーリング温度が増大するに従って湿式エッチング速度が落ちる。特に、800℃以上で後アニーリングを行えば、エッチング速度が2〜3Å/minに急減する。また、800℃以下で後アニーリングを行えば、本発明の第1の実施の形態によるアルミニウム酸化膜のエッチング速度が従来に比べて約30%小さくなることが分かる。これより、オゾンを酸化ガスとして用いる場合がHOを酸化ガスとして用いる場合よりも化学的に安定していることが分かる。
【0054】
以下、本発明の第1の実施の形態によって形成されたアルミニウム酸化膜を半導体素子に採用した場合について説明する。
【0055】
図15は、本発明の第1の実施の形態によって形成された誘電膜が採用された半導体素子のキャパシタ構造を示す断面図である。
【0056】
本発明の第1の実施の形態によって形成された誘電膜が採用された半導体素子のキャパシタは、基板201、例えばシリコン基板上に形成された下部電極205、誘電膜207及び上部電極209を含む。図15中、参照番号203は層間絶縁膜であり、参照番号211はキャパシタの上部電極上に形成されるキャッピング膜である。
【0057】
以下、前記上部電極209及び下部電極205の両方を不純物のドーピングされたポリシリコン膜で構成し、かつ誘電膜207を本発明の第1の実施の形態によって形成されたアルミニウム酸化膜で構成したキャパシタを「SISキャパシタ」と呼ぶ。そして、前記下部電極205を不純物のドーピングされたポリシリコン膜で構成し、誘電膜207を本発明の第1の実施の形態によって形成されたアルミニウム酸化膜で構成し、上部電極209はTiN膜で構成した場合を「MISキャパシタ」と呼ぶ。また、前記上部電極209及び下部電極205の両方を白金族貴金属膜、例えばPt、Ru等で構成し、誘電膜207を絶縁膜、例えばタンタル酸化膜やBST(BaSrTiO)膜で構成したキャパシタを「MIMキャパシタ」と呼ぶ。
【0058】
図16は、本発明の第1の実施の形態によって形成された誘電膜が採用された半導体素子のトランジスタ構造を示す断面図である。
【0059】
本発明の第1の実施の形態による誘電膜が採用された半導体素子は、第1電極としてリン、ひ素、ボロン、フッ素などの不純物がドーピングされたシリコン基板301と、誘電膜としてゲート絶縁膜305と、第2電極としてゲート電極307とを具備する。図16中、参照番号303は不純物ドーピング領域であって、ソースまたはドレイン領域を表す。
【0060】
ここで、本発明の半導体素子のトランジスタ構造は、キャパシタ構造と比較するとき、シリコン基板301は下部電極に対応し、ゲート電極307は上部電極に対応する。また、前記ゲート絶縁膜305はキャパシタの誘電膜に対応する。
【0061】
次に、説明の便宜上キャパシタ構造を参照して誘電膜の絶縁特性を説明するが、トランジスタ構造でも同一に適用できる。
【0062】
図17は、従来のキャパシタ及び本発明の第1の実施の形態によって形成された誘電膜が採用されたSISキャパシタの印加電圧による漏れ電流特性を説明するために示すグラフである。
【0063】
本発明のSISキャパシタ(○にて表示)は、従来のキャパシタ(●にて表示)と比較して、誘電膜の形成方法を異ならしめたことを除いては同一に構成した。図17に示されたように、一般的な半導体素子のキャパシタで許容可能な漏れ電流密度である1E−7A/cmにおいて、本発明のSISキャパシタは従来のキャパシタよりも約0.4Vだけ印加電圧を大きくできることが分かる。したがって、本発明のSISキャパシタは一定の漏れ電流値で誘電膜の厚さをより低くでき、半導体素子の集積化に有利である。なお、漏れ電流密度「1E−7」などは、「1×10−7」などを示すものである。これは本明細書および図面において同様である。
【0064】
図18は、本発明の第1実施の形態によって形成された誘電膜が採用されたSISキャパシタの等価酸化膜によるリーク電流密度が1E−7A/cm以上になる絶縁特性を示す離陸電圧のグラフである。なお、離陸電圧とは前記図17のように、低部傾斜が急激に変わるような特性を示す電圧のことである。
【0065】
図18に示したように、本発明によるSISキャパシタは、等価酸化膜の厚さが35Åまでは安定的な絶縁特性を示すため、離陸電圧があまり減少しない。そして、等価酸化膜の厚さが35Å以下になると、離陸電圧が急減されて絶縁特性が弱くなる。
【0066】
図19は、本発明の第1の実施の形態によって形成された誘電膜が採用されたMISキャパシタの印加電圧による漏れ電流特性を示すグラフである。
【0067】
漏れ電流密度が1E−7A/cmであり、電圧が1.2Vである一般的な基準値で、本発明のMISキャパシタの場合、等価酸化膜の厚さを26.5Åにすることができる。このように等価酸化膜の厚さを低くする場合、半導体素子の集積化に極めて有利である。
【0068】
図20は、本発明の第1の実施の形態によって形成された誘電膜が採用されたMISキャパシタ及び従来のキャパシタの漏れ電流特性を比較したグラフである。
【0069】
従来のキャパシタは、本発明のMISキャパシタと比較して、誘電膜を除いては同一である。図20に示されたように、本発明の第1の実施の形態によって形成されたアルミニウム酸化膜を採用したMISキャパシタは、セル当たり1fAの漏れ電流値で誘電膜としてタンタル酸化膜(TaO)や窒化膜−酸化膜(NO)を使用した従来のキャパシタと比較してみるとき、印加電圧がもっとも大きい。換言すれば、本発明のMISキャパシタは従来のキャパシタと比較してみるとき、薄い等価酸化膜でも最高の漏れ電流特性を有することができる。図20において、括弧内の数字は誘電膜の厚さを表わす。
【0070】
図21及び図22は各々、従来の技術及び本発明の第1の実施の形態によるアルミニウム酸化膜をMIMキャパシタのキャッピング膜として採用する場合の印加電圧による漏れ電流特性を示すグラフである。
【0071】
図21及び図22において、「黒四角」はキャッピング膜を採用していない場合のMIMキャパシタを表す。図21において、「●」は従来の技術によりキャッピング膜としてアルミニウム酸化膜を形成した場合であり、「黒下三角」はアルミニウム酸化膜をキャッピング膜として形成した後、400℃で水素アニーリングを行なった場合を表わす。図22において、「●」は本発明の第1の実施の形態によってキャッピング膜としてアルミニウム酸化膜を形成した場合であり、「黒上三角」はアルミニウム酸化膜をキャッピング膜として形成した後400℃で水素アニーリングを行った場合であり、「黒下三角」はアルミニウム酸化膜をキャッピング膜として形成した後700℃で窒素アニーリングを行った場合である。
【0072】
一般的に、半導体素子においてMIMキャパシタを採用する場合、後続するアロイ工程で用いられる水素アニーリング時に誘電膜が劣化する問題がある。このため、MIMキャパシタ上には水素バリアーの役目をするキャッピング膜を形成する。ところが、図21に示されたように、本発明の第1の実施の形態によって形成されたアルミニウム酸化膜をキャッピング膜として採用すれば、漏れ電流密度1E−7A/cmの基準からみるとき、アルミニウム酸化膜をキャッピング膜として形成した場合だけでなく、後続する水素アニーリングによってもバリアー特性に極めて優れているので、漏れ電流特性を劣化させない。しかし、図22に示されたように、従来の技術によって形成されたアルミニウム酸化膜をキャッピング膜として採用すれば、蒸着中に水蒸気の水素及びOHリガンドがMIMキャパシタの漏れ電流特性を劣化させる。
【0073】
第2の実施の形態
図23は、本発明の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法の第2の実施の形態を説明するために示すフローチャートである。
【0074】
基板15(図3参照)、例えばシリコン基板を酸化ガスにより酸素フラッシングして基板15のダングリングボンドを酸素と結合させる終端処理を行う(ステップ21)。前記酸素フラッシング以外にも、オゾン洗浄及びシリコン酸化膜の形成などの方法によってもダングリングボンドを酸素と結合させることができる。また、必要に応じて、前記基板15の酸素フラッシングを行なわない場合もある。
【0075】
次に、反応チャンバ11(図3参照)に基板15を搬入させた後、ヒーター(図示せず)及びポンプ19を使って反応チャンバ11を100〜400℃、好ましくは、300〜350℃の工程温度及び1〜10,000mTorrの工程圧力に保つ(ステップ23)。前記工程温度及び工程圧力は後続する工程においても保たれ続けるが、必要に応じては変わることもある。
【0076】
次に、前記工程温度及び工程圧力を保った状態で、反応チャンバ11に対して第1弁V1をオープンさせ、第1反応物11、例えばトリメチルアルミニウム(Al(CH:TMA)をガスラインA及びシャワーヘッド17を通じて前記基板の表面を十分に覆る時間、例えば1m秒〜10秒間注入する(ステップ25)。これにより、酸素フラッシングされたシリコン基板上に第1反応物が化学吸着される。
【0077】
次に、前記工程温度及び工程圧力を保った状態で、反応チャンバ11に対して選択的に第2弁V2をオープンさせ、不活性ガス、例えばアルゴンガスを0.1〜100秒間1次パージする(ステップ27)。これにより、基板15上に物理吸着された第1反応物が取り除かれる。
【0078】
次に、前記工程温度及び工程圧力を保った状態で、反応チャンバ11に対して第3弁V3をオープンさせ、シャワーヘッド17を通じて第2反応物、例えば水酸化基を含んでいない酸化ガスを注入する(ステップ29)。前記第2反応物としては、NO、O、OまたはCOガスを用いることができる。これにより、前記化学吸着された第1反応物及び第2反応物が互いに反応して、前記第1反応物が金属−酸素原子層に置換される。前記第2反応物は第1反応物との反応性が小さいが、後述するように、金属酸化膜内に水酸化基を発生しないながらも金属−酸素原子層を形成することができる。
【0079】
次に、前記工程温度及び工程圧力を保った状態で、反応チャンバ11を不活性ガスで0.1〜100秒間2次パージして不要な反応物を取り除く(ステップ31)。
【0080】
次に、第4弁V3をオープンさせて、第3反応物、例えば水蒸気(HO)などの酸化物を、シャワーヘッド17を通じて前記基板の表面を十分に覆る時間、例えば1m秒〜10秒間注入する(ステップ33)。これにより、前記第3反応物は前記第2反応物に比べて第1反応物との反応性が良好であるため、吸着された第1反応物のうち反応せずに残った第1反応物及び第3反応物は互いに反応して金属−酸素原子層に置換される。このとき、前記水酸化基を含んでいない第2反応物及び第1反応物を予め反応させて前記第1反応物の絶対量を減少させたため、水酸化基の発生が抑止された原子層単位の金属酸化膜が形成される。
【0081】
この実施の形態においては、前記金属酸化膜としてアルミニウム酸化膜(Al)に例に取っているが、TiO、ZrO、HfO、Ta、Nb、CeO、Y、SiO、In、RuO、IrO、SrTiO、PbTiO、SrRuO、CaRuO、(Ba,Sr)TiO、Pb(Zr,Ti)O、(Pb,La)(Zr,Ti)O、(Sr,Ca)RuO、(Ba,Sr)RuO、SnがドーピングされたIn(ITO)、またはZrがドーピングされたI膜であっても良い。
【0082】
次に、前記工程温度及び工程圧力を保った状態で、反応チャンバ11を不活性ガスで0.1〜100秒間3次パージして不要な反応物を取り除き、その結果、原子層単位の金属酸化膜を形成する一つのサイクルを終える(ステップ35)。必要ならば、前記パージ後に、水酸化基を含んでいない第2反応物を注入及びパージする段階をさらに行い、第3反応物と第1反応物との反応を最大限に抑止することもできる。
【0083】
次に、基板上に形成された金属酸化膜の厚さの適否、例えば約10Å〜1000Åであるかどうかを確認する(ステップ37)。ここで、適宜な厚さならば金属酸化膜の形成段階を終え、そうでなければ前記第1反応物の注入段階(ステップ25)からパージ段階(ステップ35)までを周期的に繰り返し行う。
【0084】
図24ないし図27は、本発明の第2の実施の形態の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法によってアルミニウム酸化膜を形成するとき、基板上に吸着される反応物の結合関係を説明するために示す図である。
【0085】
まず、基板15、例えばシリコン基板を酸素フラッシングして、図24に示されたように、基板15のダングリングボンドを酸素と結合せしめる。必要ならば、前記基板15の酸素フラッシングは行わなくても良い。
【0086】
次に、前記100〜400℃の工程温度及び1〜10,000mTorrの工程圧力が保たれる反応チャンバ11に第1反応物であるトリメチルアルミニウム(Al(CH)を注入した後、アルゴンガスでパージする。これにより、図25に示されたように、酸素フラッシングされた基板15上に第1反応物が吸着される。すなわち、シリコン基板上にはSi−O、Si−O−CHまたはSi−O−Al−CHなど各種の形態が存在する。
【0087】
次に、前記反応チャンバ11に水酸化基を含んでいない第2反応物、例えば、NO、O、OまたはCOを注入する。例えば、第2反応物としてNOを用いる場合の反応式は下記化学式(5)の通りである。
【0088】
2Al(CH+3N
→Al+Al(CH+3C+3N↑ …(5)
前記化学式5に示されたように、トリメチルアルミニウムに水酸化基を含んでいないNOを注入すれば、トリメチルアルミニウムが消耗されながらAlが形成される。換言すれば、吸着された第1反応物及び第2反応物が互いに反応して第1反応物が、図26に示されたように、金属−酸素原子層に置換される。すなわち、シリコン基板上にはSi−O−Al−Oの形態がたくさん形成される。
【0089】
次に、反応チャンバに第3反応物、例えば水蒸気(HO)を注入した後にアルゴンガスでパージする。これにより、図27に示されたように、前記吸着された第1反応物のうち前記第2反応物と反応して残った第1反応物が第3反応物と反応して金属−酸素原子層に置換される。このとき、前記水酸化基を含んでいない第2反応物及び第1反応物をあらかじめ反応させて前記第1反応物の絶対量を減少させたため、水酸化基の発生が抑止された原子層単位の金属酸化膜が形成される。
【0090】
ここで、水酸化基の絶対量が少ない原子層単位のアルミニウム酸化膜がいかに形成されるかについてより詳細に説明する。
【0091】
まず、本発明者は、従来のALD法によりアルミニウム酸化膜を形成する場合、前記化学式2に示された反応によってはアルミニウム酸化膜に好ましくない副産物であるAl(OH)が含まれる。このような副産物であるAl(OH)を確認するために、本発明者は、従来のALD法により形成されたアルミニウム酸化膜のXPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)分析を行った。
【0092】
図28は、従来の原子層蒸着法により形成されたアルミニウム酸化膜のXPSグラフである。図28中、X軸は結合エネルギーを表し、Y軸は任意単位のカウントを表す。
【0093】
従来のALD法により形成されたアルミニウム酸化膜のピークは535.1eVを中心として右側及び左側のグラフを重ねてみたとき、グラフが重ならずに少し広く現れるのが分かる。換言すれば、従来のALD法により形成されたアルミニウム酸化膜はAl(OH)を含んでいるため、純粋なアルミニウム酸化膜が形成されているグラフ(a)よりも広幅のグラフ(b)が現れる。
【0094】
以上のことを考慮してみるとき、従来のようにトリメチルアルミニウム及び水蒸気を直ちに反応させると、前記化学式2に示された反応によって水酸化基を含んでいるAl(OH)がたくさん作られる。このため、Al(OH)の量を減らすためには、水蒸気と反応するトリメチルアルミニウムの絶対量を減らしなければならない。本発明では、トリメチルアルミニウムを水酸化基を含んでいないNOとあらかじめ反応させてトリメチルアルミニウムの絶対量を減らした後に再び水蒸気と反応させるため、水酸化基の絶対量が少ない状態で原子層単位のアルミニウム酸化膜が形成される。
【0095】
図29及び図30は各々、従来の技術及び本発明の第2実施の形態によって製造されたアルミニウム酸化膜の漏れ電流特性を示すグラフである。
【0096】
アルミニウム酸化膜の漏れ電流特性をキャパシタに適用して調べてみた。ここで、キャパシタの下部電極としてはポリシリコン膜を用い、上部電極としてはポリシリコン膜を用いた。図29及び図30において、第1番目の曲線(a及びc)は下部電極をグラウンドと連結し、かつ上部電極は0〜5Vまでの電圧を印加しながら誘電膜を通じて流れるセル当たり電流の量を測定したものであり、第2番目の曲線(b及びd)は最初の測定後に再び同一の条件で測定を行った結果である。図30に示されたように、本発明によって形成されたアルミニウム酸化膜を誘電膜として採用した場合が従来の図29と比較して同一電圧、例えば2Vで漏れ電流が少なく、かつ第1番目及び第2番目の曲線間の距離も短いので、漏れ電流特性が向上されることが分かる。
【0097】
第3の実施の形態
図31は、本発明の第3の実施の形態による原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法を説明するために示すフローチャートであり、図32は、本発明の第3実施の形態による原子層蒸着法を用いた薄膜形成時に反応物の供給を示したタイミングダイアグラムである。図31及び図32では、アルミニウム酸化膜を形成する過程を例に取って説明する。
【0098】
まず、基板15、例えばシリコン基板を酸化または窒化ガスを用いて窒素または酸素フラッシングして基板15のダングリングボンドを酸素または窒素で終端処理する(ステップ41)。前記酸素または窒素フラッシングは、図3に示された原子層薄膜形成装置をそのまま用いて行っても良く、他の装置を用いて行っても良い。そして、前記酸素または窒素フラッシングの他に、オゾン洗浄、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜の形成などの方法を通じてもダングリングボンドを酸素または窒素と結合せしめても良い。また、必要ならば、前記基板15の酸素または窒素フラッシングは行わなくても良い。
【0099】
次に、反応チャンバ11に基板15を搬入させた後に、ヒーター(図示せず)及びポンプ19を使って反応チャンバ11を100〜400℃、好ましくは、300〜350℃の温度及び1〜10,000mTorrの圧力の工程条件に保つ(ステップ43)。前記工程条件は後続するステップにおいても保たれ続くが、必要ならば変更しても良い。
【0100】
次に、前記工程条件を保った状態で、反応チャンバ11に対して第1弁V1をオープンさせ、第1反応物11、例えばトリメチルアルミニウム(Al(CH:TMA)の金属反応物をガスラインA及びシャワーヘッド17を通じて前記基板の表面を十分に覆える時間、例えば、1m秒〜10秒間注入する(ステップ45)。これにより、酸素または窒素フラッシングされた基板上に第1反応物が化学吸着される。
【0101】
次に、前記工程条件を保った状態で、反応チャンバ11に対して選択的に第2弁V2をオープンさせ、不活性ガス、例えばアルゴンガスを0.1〜100秒間1次パージする(ステップ47)。これにより、基板15上に物理吸着された第1反応物が取り除かれる。
【0102】
次に、前記工程条件を保った状態で、反応チャンバ11に対して第3弁V3をオープンさせ、シャワーヘッド17を通じて第2反応物、例えば水蒸気(HO)など酸化力に優れた酸化ガスを注入する(ステップ49)。
【0103】
これにより、前記化学吸着された第1反応物及び第2反応物は反応し、かつ化学置換によって原子層単位の薄膜、すなわちアルミニウム酸化膜が形成される。すなわち、TMAのCH及びHOのHは反応してCHとして取り除かれ、TMAのAl及びHOのOは反応してAlが形成される。ところが、前記原子層薄膜形成に際して、工程温度が400℃以下の低温で行われるため、TMAが完全に分解されず、その結果、アルミニウム酸化膜内に炭素やOHボンドなどの不純物がたくさん形成される。
【0104】
次に、前記工程条件を保った状態で、反応チャンバ11を不活性ガス、例えばアルゴンガスを0.1〜100秒間2次パージして前記反応されずに物理吸着されている第2反応物を取り除く(ステップ51)。
【0105】
次に、前記反応チャンバに前記不純物の除去及び化学量論の向上のための第3反応物、例えばオゾンなどの酸化ガスを第4弁V4及びシャワーヘッド17を通じて前記薄膜の形成された基板の表面を十分に覆る時間、例えば1m秒〜10秒間注入する(ステップ53)。このよれば、前記原子層単位の薄膜に含まれている炭素やOHボンドなどの不純物を除去できると共に、アルミニウム酸化膜の酸素欠けの問題を解決でき、その結果、優れた化学量論的な薄膜を得ることができる。
【0106】
次に、前記工程条件を保った状態で、反応チャンバ11を不活性ガスで0.1〜100秒間3次パージして反応されずに物理吸着されている第3反応物を取り除き、原子層単位の薄膜を形成する一つのサイクルを終える(ステップ55)。
【0107】
次に、基板上に形成された原子層単位の薄膜の厚さの適否、例えば約10Å〜1000Åであるかどうかを確認する(ステップ57)。適宜な厚さであれば薄膜の形成段階を終え、そうでなければ前記第1反応物の注入段階(ステップ45)から不活性ガスの3次パージ段階(ステップ55)までを周期的に繰り返し行う。
【0108】
本実施の形態において、前記第1反応物、第2反応物及び第3反応物を各々金属反応物であるトリメチルアルミニウム(Al(CH:TMA)、酸化ガスである水蒸気、不純物の除去及び化学量論の向上のためのオゾンガスを用いて金属酸化膜であるアルミニウム酸化膜を形成したが、第1反応物、第2反応物及び第3反応物を各々金属反応物であるTiCl、窒化ガスであるNH及び不純物の除去及び化学量論の向上のための窒素ガスを用いると、金属窒化膜であるチタン窒化膜を形成することができる。
【0109】
さらに、本発明の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法によれば、前記アルミニウム酸化膜、チタン窒化膜のほかに、単原子酸化物、複合酸化物、単原子窒化物または複合窒化物を形成することもできる。前記単原子酸化物の例としては、TiO、Ta、ZrO、HfO、Nb、CeO、Y、SiO、In、RuOまたはIrO等を挙げることができ、複合酸化物の例としてはSrTiO、PbTiO、SrRuO、CaRuO、(Ba,Sr)TiO、Pb(Zr,Ti)O、(Pb,La)(Zr,Ti)O、(Sr,Ca)RuO、SnがドーピングされたIn、FeがドーピングされたInまたはZrがドーピングされたInを挙げることができる。また、前記単原子窒化物の例としてSiN、NbN、ZrN、TaN、Ya、AlN、GaN、WNまたはBNを挙げることができ、前記複合窒化物の例としてはWBN、WSiN、TiSiN、TaSiN、AlSiNまたはAlTiNを挙げることができる。
【0110】
また、前述した本発明の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法によって形成された薄膜を半導体素子に適用できる。その例としては、ゲート酸化膜、キャパシタの電極、エッチング防止膜、反応防止用キャッピング膜、写真工程時の反射防止膜、バリアー金属膜、選択蒸着用膜、金属ゲート電極等を挙げることができる。
【0111】
図33は、本発明の第3の実施の形態の原子層薄膜形成方法によって形成されたアルミニウム酸化膜のサイクル当たり厚さを示すグラフである。
【0112】
図においてX軸はサイクル数を表す。ここで、一つのサイクルは、第1反応物の注入、物理吸着された第1反応物のパージ、第2反応物の注入、物理吸着された第2反応物のパージ、第3反応物の注入及び物理吸着された第3反応物のパージ段階を含む。また、Y軸はアルミニウム酸化膜の厚さを表す。図33に示されたように、本発明の薄膜製造方法によれば、アルミニウム酸化膜がサイクル当たり1.1Åの厚さで成長され、サイクル数に比例して厚さが線形的に増大するため、原子層蒸着法によりアルミニウム酸化膜が容易に形成されることが分かる。
【0113】
図34は、本発明の第3の実施の形態に従い原子層薄膜形成方法によって形成されたアルミニウム酸化膜の基板内の均一度を説明するために示すグラフである。
【0114】
X軸は8インチ基板の中央点、前記中央点を中心として1.75インチの半径を有する円から90度おきに4点、前記中央点を中心として3.5インチの半径を有する円から90度おきに4点を合わせて計9点の測定位置を表す。またY軸はアルミニウム酸化膜の厚さを表す。図34に示されたように、8インチの基板内での均一度が極めて優れていることが分かる。
【0115】
図35及び図36は各々、XPSを用い、従来の技術及び本発明の第3の実施の形態による原子層薄膜形成方法によって形成されたアルミニウム酸化膜のアルミニウムピークを分析したグラフである。
【0116】
図においてX軸はボンディングエネルギーを表し、Y軸は電子の個数を表す。従来のアルミニウム酸化膜は、図35に示されたように、Al−Alボンディングがたくさん見られる。これに対し、本発明のアルミニウム酸化膜は、図36に示されたように、Al−Alボンディングはほとんど見られず、Al−Oボンディングが主として見られる。これより、本発明のアルミニウム酸化膜は化学量論に優れていることが分かる。
【0117】
図37及び図38は各々、XPSを用い、従来の技術及び本発明の第3の実施の形態による原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法によって形成されたアルミニウム酸化膜の炭素ピークを分析したグラフである。
【0118】
図においてX軸はボンディングエネルギーを表し、Y軸は電子の個数を表わす。従来のアルミニウム酸化膜は、図37に示されたように、炭素ピークが見られる。このことは、アルミニウム酸化膜内に炭素がたくさん含まれていることを意味する。これに対し、本発明によるアルミニウム酸化膜は、図38に示されたように、従来に比べて炭素ピークがほとんど見られない。したがって、本発明によれば、炭素などの不純物が低減されたアルミニウム酸化膜を得ることができる。
【0119】
第4の実施の形態
図39は、本発明の第4の実施の形態による原子層薄膜形成方法を説明するために示すフローチャートである。図39中、図23と同一の参照番号は同一の要素を表す。
【0120】
本発明の第4の実施の形態は、第2の実施の形態及び第3の実施の形態を組み合わせた方法である。すなわち、第2の実施の形態の3次パージ後に、第3の実施の形態のように、前記反応チャンバに前記不純物の除去及び化学量論の向上のための第4反応物、例えばオゾンガスなどの酸化ガスを第3弁V3及びシャワーヘッド17を通じて前記薄膜の形成された基板の表面を十分に覆る時間、例えば1m秒〜10秒間注入した後(ステップ36a)に4次パージする(ステップ36b)ことを除いては同様である。
【0121】
これにより、前記原子層単位の金属酸化膜に含まれている炭素やOHボンドなどの不純物を取り除くことができ、酸素欠けの問題を解決できるので、優れた化学量論的な薄膜を得ることができる。換言すれば、本発明は、原子層蒸着法によって薄膜を形成するに際して、主反応物のほかに、薄膜の不純物の除去及びより完全な反応を通じた薄膜の質を向上させるために、主反応物の流し込み前または流し込み後に主反応物間の反応確率を高めて所望の薄膜の質及び副産物の濃度を最小化させる。そして、本発明は、反応メカニズムにおいて水酸化基を発生させない反応物を使って薄膜内の副産物の濃度を低める。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】従来の原子層蒸着法を用いたアルミニウム酸化膜の形成過程を説明するためのフローチャートである。
【図2】図1のアルミニウム酸化膜の形成時の反応メカニズムを説明するための図面である。
【図3】本発明の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法に用いられた原子層薄膜形成装置を説明するための概略図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態による原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法の反応メカニズムを説明するために示す図面である。
【図5】本発明の第1の実施の形態によるアルミニウム酸化膜の形成過程を説明するためのフローチャートである。
【図6】図5の原子層蒸着法を用いてアルミニウム酸化膜を形成する時の反応メカニズムを説明するための図面である。
【図7】従来の技術によってアルミニウム酸化膜を形成するときのRGAデータを示すグラフである。
【図8】本発明の第1の実施の形態によってアルミニウム酸化膜を形成するときのRGAデータを示すグラフである。
【図9】従来の技術及び本発明の第1の実施の形態によってアルミニウム酸化膜を形成するとき、サイクル数によるアルミニウム酸化膜の厚さを示すグラフである。
【図10】従来の技術及び本発明の第1の実施の形態によって形成されたアルミニウム酸化膜の温度によるストレス履歴を示すグラフである。
【図11】従来の技術及び本発明の第1の実施の形態によって形成されたアルミニウム酸化膜の後アニーリング条件による厚さ収縮率を示すグラフである。
【図12】従来の技術によって形成されたアルミニウム酸化膜の波長による吸収常数及び屈折率を示すグラフである。
【図13】本発明の第1の実施の形態によって形成されたアルミニウム酸化膜の波長による吸収常数及び屈折率を示すグラフである。
【図14】従来の技術及び本発明の第1の実施の形態によって形成されたアルミニウム酸化膜の後アニーリング温度及び雰囲気ガスによる湿式エッチング速度を示すグラフである。
【図15】本発明の第1の実施の形態によって形成された誘電膜が採用された半導体素子のキャパシタ構造を示す断面図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態によって形成された誘電膜が採用された半導体素子のトランジスタ構造を示す断面図である。
【図17】従来のキャパシタ及び本発明の第1の実施の形態によって形成された誘電膜が採用されたSISキャパシタの印加電圧による漏れ電流特性を説明するために示すグラフである。
【図18】本発明の第1の実施の形態によって形成された誘電膜が採用されたSISキャパシタの等価酸化膜による離陸電圧を示すグラフである。
【図19】本発明の第1の実施の形態によって形成された誘電膜が採用されたMISキャパシタの印加電圧による漏れ電流特性を示すグラフ。
【図20】本発明の第1の実施の形態によって形成された誘電膜が採用されたMISキャパシタ及び従来のキャパシタの漏れ電流特性を比較したグラフである。
【図21】従来の技術によるアルミニウム酸化膜をMIMキャパシタのキャッピング膜として採用する場合の印加電圧による漏れ電流特性を示すグラフである。
【図22】本発明の第1の実施の形態によるアルミニウム酸化膜をMIMキャパシタのキャッピング膜として採用する場合の印加電圧による漏れ電流特性を示すグラフである。
【図23】本発明の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法の第2の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【図24】本発明の第2の実施の形態の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法によってアルミニウム酸化膜を形成するとき、基板上に吸着される反応物の結合関係を説明するための図面である。
【図25】本発明の第2の実施の形態の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法によってアルミニウム酸化膜を形成するとき、基板上に吸着される反応物の結合関係を説明するための図面である。
【図26】本発明の第2の実施の形態の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法によってアルミニウム酸化膜を形成するとき、基板上に吸着される反応物の結合関係を説明するための図面である。
【図27】本発明の第2の実施の形態の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法によってアルミニウム酸化膜を形成するとき、基板上に吸着される反応物の結合関係を説明するための図面である。
【図28】従来の原子層蒸着法によって形成されたアルミニウム酸化膜のXPSグラフである。
【図29】従来の技術によって製造されたアルミニウム酸化膜の漏れ電流特性を示すグラフである。
【図30】本発明の第2の実施の形態によって製造されたアルミニウム酸化膜の漏れ電流特性を示すグラフである。
【図31】本発明の第3の実施の形態による原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法を説明するためのフローチャートである。
【図32】本発明の第3の実施の形態による原子層蒸着法を用いた薄膜形成時に、反応物の供給を示すタイミング図である。
【図33】本発明の第3の実施の形態の原子層薄膜形成方法によって形成されたアルミニウム酸化膜のサイクル当たり厚さを示すグラフである。
【図34】本発明の第3の実施の形態による原子層薄膜形成方法によって形成されたアルミニウム酸化膜の基板内の均一度を説明するために示すグラフである。
【図35】XPSを用い、従来の技術による原子層薄膜形成方法によって形成されたアルミニウム酸化膜のアルミニウムピークを分析したグラフである。
【図36】XPSを用い、本発明の第3の実施の形態による原子層薄膜形成方法によって形成されたアルミニウム酸化膜のアルミニウムピークを分析したグラフである。
【図37】XPSを用い、従来の技術による原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法によって形成されたアルミニウム酸化膜の炭素ピークを分析したグラフである。
【図38】XPSを用い、本発明の第3実施の形態による原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法によって形成されたアルミニウム酸化膜の炭素ピークを分析したグラフである。
【図39】本発明の第4の実施の形態による原子層薄膜形成方法を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0123】
11 反応チャンバ、
11 反応物、
13 サセプタ、
15 基板、
17 シャワーヘッド、
19 ポンプ、
201 基板、
203 層間絶縁膜、
205 下部電極、
207 誘電膜、
209 上部電極、
211 キャッピング膜、
301 シリコン基板、
303 不純物ドーピング領域、
305 ゲート絶縁膜、
307 ゲート電極、
V1、V2、V3、V4 弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を含む反応チャンバに金属元素及びリガンドを含む第1反応物を注入して前記基板上に第1反応物を化学吸着させる段階と、
前記反応チャンバを不活性ガスでパージして物理吸着された第1反応物を除去する段階と、
前記反応チャンバに水酸化基を含まない第2反応物を注入して前記第1反応物と前記第2反応物との化学反応によって、第2反応物の構成要素である酸素と前記金属元素が結合し、前記第1反応物からリガンドを分離することにより前記化学吸着された第1反応物を金属−酸素原子層とする段階と、
前記反応チャンバを不活性ガスでパージして、物理吸着された第2反応物を除去する段階と、
前記反応チャンバに第3反応物を注入して前記化学吸着された第1反応物の残余分と前記第3反応物との化学反応によって、第3反応物の構成要素である酸素と前記金属元素が結合し、前記第1反応物からリガンドを分離することにより前記化学吸着された第1反応物の残余分を金属−酸素原子層として、水酸化基の生成が抑止された状態で原子層単位の金属酸化膜を形成する段階とを含んでなることを特徴とする原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項2】
前記第1反応物は金属反応物であり、前記水酸化基を含まない第2反応物はN2O、O2、O3またはCO2であり、前記第3反応物は酸化ガスであることを特徴とする請求項1に記載の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項3】
前記第1反応物の注入段階から第3反応物の注入段階までの前記反応チャンバの温度は100〜400℃に保たれることを特徴とする請求項1に記載の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項4】
前記金属酸化膜はAl23、TiO2、ZrO2、HfO2、Ta25、Nb25、CeO2、Y23、SiO2、In23、RuO2、IrO2、SrTiO3、PbTiO3、SrRuO3、CaRuO3、(Ba,Sr)TiO3、Pb(Zr,Ti)O3、(Pb,La)(Zr,Ti)O3、(Sr,Ca)RuO3、(Ba,Sr)RuO3、SnがドーピングされたIn23(ITO)、またはZrがドーピングされたI23であることを特徴とする請求項1に記載の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項5】
前記基板がシリコン基板である場合、前記第1反応物の注入前に酸化ガスを注入して基板表面のダングリングボンドを終端処理することを特徴とする請求項1に記載の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項6】
前記第3反応物の注入段階後に、前記反応チャンバを不活性ガスでパージして物理吸着された第3反応物を除去する段階をさらに含んでなることを特徴とする請求項1に記載の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項7】
前記第1反応物の注入段階から前記物理吸着された第3反応物の除去段階までを複数回繰り返し行うことを特徴とする請求項6に記載の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項8】
前記物理吸着された第3反応物の除去段階後に、前記反応チャンバに不純物の除去及び化学量論の向上のために第4反応物を注入する段階をさらに含んでなることを特徴とする請求項6に記載の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項9】
前記第4反応物は、オゾンガスであることを特徴とする請求項8に記載の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項10】
基板の搬入された反応チャンバに金属元素及びリガンドを含む第1反応物を注入して前記基板上に前記第1反応物を化学吸着させる段階と、
前記反応チャンバを不活性ガスでパージして物理吸着された第1反応物を除去する段階と、
前記反応チャンバに第2反応物を注入して第1反応物と前記第2反応物との化学反応によって、前記第2反応物と前記金属元素が結合し、前記第1反応物からリガンドを分離することにより原子層単位の薄膜を形成する段階と、
前記反応チャンバを不活性ガスでパージして物理吸着された第2反応物を除去する段階と、
前記薄膜の形成された反応チャンバに不純物の除去及び化学量論の向上のために前記第2反応物と異なる第3反応物を注入する段階とを含んでなることを特徴とする原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項11】
前記第1反応物は金属反応物であり、第2及び第3反応物は酸化ガスであることを特徴とする請求項10に記載の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項12】
前記薄膜は単原子酸化物からなる金属酸化膜であることを特徴とする請求項10に記載の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項13】
前記単原子酸化物はAl23、TiO2、Ta25、ZrO2、HfO2、Nb25、CeO2、Y23、SiO2、In23、RuO2及びIrO2よりなる一群から選ばれたいずれか一種であることを特徴とする請求項12に記載の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項14】
前記第1反応物は金属反応物であり、第2及び第3反応物は窒化ガスであることを特徴とする請求項10に記載の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項15】
前記薄膜は単原子窒化物よりなる金属窒化膜であることを特徴とする請求項10に記載の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項16】
前記単原子窒化物はSiN、NbN、ZrN、TiN、TaN、Ya35、AlN、GaN、WN及びBNよりなる一群から選ばれたいずれか一種であることを特徴とする請求項15に記載の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項17】
前記第3反応物の注入段階後に、前記反応チャンバを不活性ガスでパージして物理吸着された第3反応物を除去する段階をさらに含んでなることを特徴とする請求項10に記載の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項18】
前記基板がシリコン基板である場合、前記第1反応物の注入前に酸化ガスまたは窒化ガスをさらに注入して基板表面のダングリングボンドを終端処理することを特徴とする請求項10に記載の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項19】
前記第1反応物の注入段階から第3反応物の注入段階までの前記反応チャンバの温度は100〜400℃に保たれることを特徴とする請求項10に記載の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項20】
前記第3反応物の注入段階後に、前記反応チャンバを不活性ガスでパージして物理吸着された第3反応物を除去する段階をさらに含んでなることを特徴とする請求項10に記載の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。
【請求項21】
前記第1反応物の注入段階から前記物理吸着された第3反応物の除去段階までを複数回繰り返し行うことを特徴とする請求項20に記載の原子層蒸着法を用いた薄膜形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2008−174842(P2008−174842A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68427(P2008−68427)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【分割の表示】特願2000−307849(P2000−307849)の分割
【原出願日】平成12年10月6日(2000.10.6)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】