圧力センサおよびその製造方法
【課題】ダイヤフラムの厚さのばらつきを抑制することのできる圧力センサおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】異方性エッチングによって第1凹部13が形成された一面11を有する第1基板10と、第1凹部13が密閉空間となるように第1基板10の一面11に接合された一面21を有する第2基板20と、を備え、第1凹部13を測定媒体の圧力に応じて変形可能な側面を有するものとする。そして、第1基板10に、側面の変形に応じて抵抗値が変化するゲージ抵抗40を設ける。
【解決手段】異方性エッチングによって第1凹部13が形成された一面11を有する第1基板10と、第1凹部13が密閉空間となるように第1基板10の一面11に接合された一面21を有する第2基板20と、を備え、第1凹部13を測定媒体の圧力に応じて変形可能な側面を有するものとする。そして、第1基板10に、側面の変形に応じて抵抗値が変化するゲージ抵抗40を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤフラムの変形に基づいて圧力を測定する圧力センサおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体基板の裏面に凹部を形成することにより、凹部の底面と半導体基板の表面との間の部分で構成されるダイヤフラムと、ダイヤフラムにブリッジ回路を構成するように形成したゲージ抵抗とを備えた圧力センサが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような圧力センサは、半導体基板の裏面に接合されるガラス基板等を有しており、凹部とガラス基板との間に構成される圧力基準室を備えている。そして、測定媒体の圧力がダイヤフラムに印加されると、ダイヤフラムは印加された圧力と圧力基準室との差圧に応じて半導体基板の厚さ方向に変形する。これにより、ダイヤフラムに形成されたゲージ抵抗が変形し、ピエゾ抵抗効果によりブリッジ回路の出力電圧が変化して印加された圧力に応じたセンサ信号が出力される。
【0004】
上記圧力センサは、通常ウェハ状態で製造され、最後にチップ単位に分割することにより製造される。すなわち、ウェハを用意し、各チップ形成領域に異方性エッチングを行うことにより凹部を形成して、凹部の底面とウェハの表面との間の部分で構成されるダイヤフラムを形成する。続いて、各ダイヤフラムにゲージ抵抗を形成した後、ウェハをチップ単位に分割することにより製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−39574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記圧力センサは、凹部がウェハの裏面を異方性エッチングすることにより形成されるため、各チップ形成領域に形成される凹部の深さがばらつくことがあり、ダイヤフラムの厚さにばらつきがでてしまうという問題がある。異方性エッチングは平面方向の精度に対して深さ方向の加工精度が低いためである。また、ウェハ自体の厚さのばらつきによってもダイヤフラムの厚さがばらつくことになる。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、ダイヤフラムの厚さのばらつきを抑制することのできる圧力センサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、異方性エッチングによって第1凹部(13)が形成された一面(11)を有する第1基板(10)と、第1凹部(13)が密閉空間となるように第1基板(10)の一面(11)に接合された一面(21)を有する第2基板(20)と、を備え、第1凹部(13)は、測定媒体の圧力に応じて変形可能な側面を有しており、第1基板(10)には、側面の変形に応じて抵抗値が変化するゲージ抵抗(40)が設けられていることを特徴としている。
【0009】
このような圧力センサでは、第1凹部(13)は、測定媒体の圧力に応じて変形可能な側面を有している。すなわち、当該側面を含んでダイヤフラム(30)が構成される。このため、ダイヤフラム(30)の厚さにはウェハの厚さや異方性エッチングの深さ方向の加工精度が影響せず、深さ方向より高精度な平面方向の加工精度のみが影響する。したがって、従来の圧力センサのように、異方性エッチングにより形成された凹部の底面と基板の表面との間の部分にてダイヤフラムを形成する場合と比較して、ダイヤフラム(30)の厚さがばらつくことを抑制することができる。
【0010】
例えば、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の発明において、側面と当該側面の裏面とを互いに平行とすることができ、側面と裏面との間の部分を含んでダイヤフラム(30)を構成することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明のように、請求項1または2に記載の発明において、側面の裏面が測定媒体に晒されるものとすることができる。
【0012】
そして、請求項4に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の発明において、側面の裏面を第1基板(10)の端面とすることができる。
【0013】
また、請求項5に記載の発明のように、請求項2または3に記載の発明において、第1凹部(13)に加えて、第1基板(10)における一面(11)に、測定媒体の圧力に応じて変形可能な側面の裏面を構成する第2凹部(15)を異方性エッチングにより形成してダイヤフラム(30)を構成し、第1基板(10)における一面(11)と反対側の他面(12)に、第2凹部(15)と外部とを連通する貫通孔(16)を形成することができる。
【0014】
このような圧力センサでは、測定媒体は貫通孔(16)を介して第2凹部(15)に導入され、第2凹部(15)に導入された測定媒体の圧力に基づいてダイヤフラム(30)が変形する。このため、第2凹部(15)および貫通孔(16)が形成されていない圧力センサと比較して、測定媒体の圧力がそのままダイヤフラム(30)に印加されることを抑制することができ、測定媒体に含まれる異物等が直接ダイヤフラム(30)に衝突してダイヤフラム(30)が破壊されることを抑制することができる。
【0015】
また、請求項6に記載の発明のように、請求項2ないし5に記載の発明において、第1基板(10)に、測定媒体の圧力に応じて変形可能な側面を有する第1凹部(13)を複数形成すると共に、複数の第1凹部(13)の側面のそれぞれの変形に応じて抵抗値が変化するゲージ抵抗(40)を複数形成し、ダイヤフラム(30)を、複数の第1凹部(13)の側面と、当該側面の裏面との間の部分を含んで複数形成することができる。
【0016】
この場合、請求項7に記載の発明のように、請求項6に記載の発明において、複数のダイヤフラム(30)をそれぞれ同じ厚さとし、かつ測定媒体を受圧する面積を等しくすることができる。このような圧力センサでは、一つのダイヤフラム(30)が破壊されたとしても、残りのダイヤフラム(30)で測定媒体の圧力を測定することができる。
【0017】
また、請求項8に記載の発明のように、請求項6に記載の発明において、複数のダイヤフラム(30)をそれぞれ厚さの異なるものとすることができる。さらに、請求項9に記載の発明にように、請求項6に記載の発明において、複数のダイヤフラム(30)の測定媒体を受圧する面積をそれぞれ異ならせることができる。
【0018】
これら請求項8および9に記載の圧力センサでは、複数のダイヤフラム(30)の厚さがそれぞれ異なっているか、または、測定媒体を受圧する面積がそれぞれ異なっているため、各ダイヤフラム(30)で異なる測定レンジの圧力を測定することができる。
【0019】
また、請求項10に記載の発明のように、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の発明において、第2基板(20)のうち第1基板(10)に形成された第1凹部(13)と対向する領域に、第1凹部(13)の測定媒体の圧力に応じて変形可能な側面と連なっていると共に当該側面と平行とされ、測定媒体の圧力に応じて変形可能とされた側面を有する第3凹部(23)を形成し、ダイヤフラム(30)を、第1凹部(13)の側面および第3凹部(23)の側面と、第1、第3凹部(13、23)の側面の裏面との間の部分により構成すると共に第1基板(10)から第2基板(20)に渡って形成することができる。
【0020】
以上説明した圧力センサは以下の製造方法により製造することが可能である。
【0021】
すなわち、請求項11に記載の発明では、複数のチップ形成領域を有すると共に一面(11)を有し、チップ単位に分割されたときに第1基板(10)を構成する第1ウェハ(10a)を用意する工程と、第1ウェハ(10a)におけるチップ形成領域のそれぞれに一面(11)から異方性エッチングにより第1凹部(13)を形成する工程と、第1ウェハ(10a)の一面(11)に第2ウェハ(20a)を接合して第1凹部(13)を閉塞する工程と、第1ウェハ(10a)のチップ形成領域のそれぞれに他面(12)から異方性エッチングにより、第1凹部(13)の側面の一部と平行な側面を有する貫通トレンチ(14)を形成して、当該側面の一部と平行な側面との間の部分で構成されるダイヤフラム(30)を形成する工程と、ダイヤフラム(30)にゲージ抵抗(40)を形成する工程と、を含む工程を行うことを特徴としている。
【0022】
このような製造方法では、異方性エッチングにより形成された第1凹部(13)の側面の一部と、当該側面の一部と平行となる異方性エッチングにより形成された貫通トレンチ(14)の側面との間の部分にてダイヤフラム(30)を形成している。このため、ダイヤフラム(30)の厚さに影響するのは、異方性エッチングの平面方向の加工精度のみであるため、ダイヤフラム(30)の厚さがばらつくことを抑制することができる。
【0023】
例えば、請求項12に記載の発明のように、請求項11に記載の発明において、第1凹部(13)を形成する工程では、一面(11)に対して垂直な側面を有する第1凹部(13)を形成し、ダイヤフラム(30)を形成する工程では、一面(11)に貫通トレンチ(14)を形成して一面(11)と垂直なダイヤフラム(30)を形成し、ゲージ抵抗(40)を形成する工程では、一面(11)に対して所定角度傾斜した方向から不純物を貫通トレンチ(14)内を通過させてダイヤフラム(30)にイオン注入する工程を行うことができる。
【0024】
このような製造方法では、ゲージ抵抗(40)を形成する際に、貫通トレンチ(14)を通過させてダイヤフラム(30)にイオン注入する工程を行うため、貫通トレンチを通過させずにゲージ抵抗を形成する場合、すなわち、一面と反対側の他面に垂直方向から第1ウェハに不純物をイオン注入する場合と比較して、加速電圧を変化させなくても所望の場所にゲージ抵抗(40)を形成することができる。
【0025】
また、請求項13に記載の発明のように、請求項11に記載の発明において、第1凹部(13)を形成する工程では、一面(11)に対して所定角度傾斜した非垂直な側面を有する第1凹部(13)を形成し、ダイヤフラム(30)を形成する工程では、一面(11)に貫通トレンチ(14)を形成して一面(11)に対して所定角度傾斜した非垂直なダイヤフラム(30)を形成し、ゲージ抵抗(40)を形成する工程では、一面(11)と反対側の他面(12)の垂直方向から不純物をイオン注入する工程を行うことができる。
【0026】
このような製造方法においても、ダイヤフラム(30)が一面(11)に対して所定角度傾斜しているため、ゲージ抵抗(40)を形成する際に、加速電圧を変化させなくても所望の場所にゲージ抵抗(40)を形成することができる。
【0027】
そして、請求項14に記載の発明では、複数のチップ形成領域を有すると共に一面(11)を有し、チップ単位に分割されたときに第1基板(10)を構成する第1ウェハ(10a)を用意する工程と、第1ウェハ(10a)のチップ形成領域のそれぞれにゲージ抵抗(40)を形成する工程と、第1ウェハ(10a)のチップ形成領域のそれぞれに一面(11)から異方性エッチングにより第1凹部(13)を形成する工程と、第1ウェハ(10a)の一面(11)に第2ウェハ(20a)を接合して第1凹部(13)を閉塞する工程と、第1ウェハ(10a)のチップ形成領域のそれぞれに他面(12)から異方性エッチングにより、第1凹部(13)の側面の一部と平行な側面を有する貫通トレンチ(14)を形成して、当該側面の一部と平行な側面との間の部分で構成され、ゲージ抵抗(40)が形成されたダイヤフラム(30)を形成する工程と、を含む工程を行うことを特徴としている。
【0028】
このような製造方法においても、請求項11に記載の発明と同様に、ダイヤフラム(30)の厚さに影響するのは、異方性エッチングの平面方向の加工精度のみであるため、ダイヤフラム(30)の厚さがばらつくことを抑制することができる。
【0029】
例えば、請求項15に記載の発明にように、請求項14に記載の発明において、ゲージ抵抗(40)を形成する工程では、第1ウェハ(10a)にゲージ抵抗形成用トレンチ(17)を形成し、当該ゲージ抵抗形成用トレンチ(17)の底面に対して不純物をイオン注入する工程を行うことができる。
【0030】
また、請求項17に記載の発明では、複数のチップ形成領域を有すると共に一面(11)を有し、チップ単位に分割されたときに第1基板(10)を構成する第1ウェハ(10a)を用意する工程と、第1ウェハ(10a)のチップ形成領域のそれぞれに一面(11)から異方性エッチングにより、第1凹部(13)と、当該第1凹部(13)の側面の一部と平行な側面を有する第2凹部(15)を形成して、当該の側面の一部と平行な側面との間の部分で構成されるダイヤフラム(30)を形成する工程と、ダイヤフラム(30)にゲージ抵抗(40)を形成する工程と、を含む工程を行うことを特徴としている。
【0031】
このような製造方法においても、請求項11に記載の発明と同様に、ダイヤフラム(30)の厚さに影響するのは、異方性エッチングの平面方向の加工精度のみであるため、ダイヤフラム(30)の厚さがばらつくことを抑制することができる。
【0032】
そして、請求項16に記載の発明のように、請求項11ないし15のいずれか1つに記載の発明において、第1凹部(13)を形成する際および貫通トレンチ(14)を形成する際には、異方性エッチングとしてドライエッチングまたはガス・クラスターエッチングを行うことができる。同様に、請求項18に記載の発明のように、請求項17に記載の発明において、第1、第2凹部(13、15)を形成する際には、異方性エッチングとしてドライエッチングまたはガス・クラスターエッチングを行うことができる。
【0033】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(a)は、本発明の第1実施形態における圧力センサの断面構成を示す図、(b)は(a)に示す圧力センサの平面模式図、(c)は(a)のA矢視模式図である。
【図2】図1に示す圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態における圧力センサの断面構成を示す図である。
【図4】図3に示す圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態における圧力センサの断面構成を示す図である。
【図6】図5に示す圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態における圧力センサの平面模式図である。
【図8】本発明の第5実施形態における圧力センサの平面模式図である。
【図9】(a)および(b)は本発明の第6実施形態における圧力センサの断面構成を示す図、(c)は第1半導体基板の一面の平面模式図、(d)は第2半導体基板の一面の平面模式図である。
【図10】図9(a)のC矢視模式図である。
【図11】本発明の第7実施形態における圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1(a)は、本実施形態における圧力センサの断面構成を示す図、図1(b)は図1(a)に示す圧力センサの平面模式図、図1(c)は図1(a)のA矢視模式図である。なお、図1(a)は、図1(b)のB−B断面に相当している。
【0036】
図1に示されるように、本実施形態の圧力センサは、本発明の第1基板に相当するシリコン等の第1半導体基板10に、本発明の第2基板に相当するシリコン基板等の第2半導体基板20が接合されて構成されている。特に限定されるものではないが、第1、第2半導体基板10、20は厚さが200〜800μmとされ、ほぼ同じ厚さとされている。
【0037】
第1半導体基板10は一面11および当該一面11と反対側の他面12を有しており、これら一面11および他面12は、(1−10)面とされている。そして、一面11には底面が矩形状とされ、側面が当該一面11と垂直となる第1凹部13が異方性エッチングにより形成されている。本実施形態では、第1凹部13の側面の一部が測定媒体の圧力に応じて変形可能とされており、この側面と、当該側面の裏面である第1半導体基板10の端面との間の部分によりダイヤフラム30が構成されている。具体的には、第1凹部13は、底面が矩形状とされているために4つの側面を有しているが、4つの側面のうちの一つの側面と、この側面の裏面との間の部分によりダイヤフラム30が構成されている。
【0038】
なお、本実施形態では、4つの側面のうちの一つの側面と、この側面の裏面との間の部分によりダイヤフラム30が構成されたものを例に挙げて説明するが、例えば、第1凹部13の各側面と、この側面のそれぞれの裏面との間にダイヤフラム30が形成されていてもよい。
【0039】
ダイヤフラム30は、第1凹部13の側面の一部と、当該側面と平行となる第1半導体基板10の端面との間の部分にて構成されているため、(1−10)面と垂直である(110)面とされている。そして、ダイヤフラム30は、当該端面における垂直方向(図1中紙面左右方向)を厚さ方向とすると、厚さ方向に変位するようになっている。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態のダイヤフラム30は厚さが約10μmとされている。
【0040】
そして、ダイヤフラム30には、一般的な圧力センサと同様に、〈110〉方向に長手方向を有する折り返し形状とされ、ダイヤフラム30の変形に応じて抵抗値が変化するゲージ抵抗40が四個備えられている。そして、これら各ゲージ抵抗40は、図示しない拡散配線により接続され、当該拡散配線と共にブリッジ回路を構成している。
【0041】
各ゲージ抵抗40は、他面12から一面11に向かって第1半導体基板10の端面とほぼ平行に形成されている第1配線50と電気的に接続されている。そして、この第1配線50は第1半導体基板10の他面12側の表層部に形成された第2配線60と電気的に接続されている。この第2配線60は、本実施形態では、第1凹部13を越えて、第1半導体基板10のうちダイヤフラム30側と反対側まで引き延ばされている。本実施形態では、これら第1、第2配線50、60は、不純物を拡散させて構成した拡散配線にて構成されている。
【0042】
第2配線60の終端部、つまり第2配線60のうち第1配線50と接続される側と反対側の端部には、拡散層70が形成されている。そして、第1半導体基板10の他面12には、酸化膜等で構成された図示しない保護膜が形成され、当該保護膜に形成されたコンタクトホールを介して拡散層70と電気的に接続されるパッド80が形成されている。
【0043】
また、第1半導体基板10の一面11には、一面21および当該一面21と反対側の他面22を有する第2半導体基板20が接合されている。そして、第1凹部13と第2半導体基板20とにより圧力基準室90が構成されている。この圧力基準室90は、本実施形態では真空圧とされている。
【0044】
次に、このような圧力センサの作動について簡単に説明する。本実施形態の圧力センサは、測定媒体の圧力がダイヤフラム30に印加されると、ダイヤフラム30は印加された圧力と圧力基準室90との差圧に応じて厚さ方向に変形する。これにより、ダイヤフラム30に形成されたゲージ抵抗40が変形し、ピエゾ抵抗効果によりブリッジ回路の出力電圧が変化して印加された圧力に応じたセンサ信号がパッド80を介して出力される。
【0045】
続いて、上記圧力センサの製造方法について説明する。図2は、図1に示す圧力センサの製造工程を示す断面図である。なお、上記圧力センサは、ウェハの状態で製造し、最後にチップ単位に分割することで製造されるものであり、図2ではウェハの一部を示している。
【0046】
図2(a)に示されるように、まず、チップ単位に分割された際に第1半導体基板10を構成する第1ウェハ10aを用意する。具体的には、上記のように、一面11および他面12を有し、これら一面11および他面12が(1−10)面とされると共に、厚さが200〜800μmとされ、複数のチップ形成領域を有する第1ウェハ10aを用意する。
【0047】
その後、図2(b)に示されるように、第1ウェハ10aの一面11に図示しないエッチングマスクを形成すると共に当該エッチングマスクをパターニングし、各チップ形成領域の第1凹部形成領域に対応する領域を開口する。そして、このエッチングマスクを用いて異方性エッチングを行うことにより、上記形状の第1凹部13を形成する。異方性エッチングとしては、RIE(Reactive Ion Etching)等のドライエッチングやガス・クラスターエッチングを行うことができる。
【0048】
なお、ガス・クラスターエッチングとは、以下のようなエッチング方法である。すなわち、まず、CIF3(三フッ化塩素)をノズルから真空チャンバ内に吹き出し、ノズル内(例えば、10気圧)と真空チャンバ内(例えば、大気圧以下)の気圧差によって、ノズルから吹き出したCIF3ガスの分子や原子を熱膨張させてガス・クラスターと呼ばれる数百万〜数千万の分子の集合体を形成する。そして、この集合体を半導体基板に衝突させて、衝突時のガス・クラスターの運動エネルギーを熱エネルギーに変換して化学反応を促進させながらエッチングを行うものである。
【0049】
続いて、図2(c)に示されるように、図示しないエッチングマスクを除去し、真空中で、第1ウェハ10aの一面11に、チップ単位に分割された際に第2半導体基板20を構成する第2ウェハ10aを直接接合して第1凹部13を閉塞する。これにより、各チップ形成領域に圧力基準室90が形成される。本実施形態では、真空中で第1、第2ウェハ10a、20aを直接接合しているため、圧力基準室90は真空圧となる。
【0050】
次に、図2(d)に示されるように、第1ウェハ10aの他面12に図示しないエッチングマスクを形成すると共に当該エッチングマスクをパターニングして後述の貫通トレンチ形成領域に対応する領域を開口し、このエッチングマスクを用いて異方性エッチングを行うことにより、第1凹部13の側面の一部と平行となる側面を有する貫通トレンチ14を形成する。これにより、第1凹部13の側面の一部と、当該側面の一部と平行となる貫通トレンチ14の側面との間の部分により、ダイヤフラム30が形成される。すなわち、貫通トレンチ14のうち、ダイヤフラム30を構成する第1凹部13の側面と対向する側面は、チップ単位に分割したときに、第1半導体基板10の上記端面を構成する部分である。なお、本実施形態の貫通トレンチ14は、他面12から一面11に貫通するものであり、チップ単位に分割する際に、ダイシングラインとしても利用される。
【0051】
また、貫通トレンチ14の開口幅(図1中紙面左右方向の長さ)は、後述する図2(e)の工程において、少なくとも斜めイオン注入が可能である長さとされている。すなわち、例えば、ダイヤフラム30とのなす角度が45°となる方向からイオン注入を行う場合には、貫通トレンチ14の開口幅は第1ウェハ10aの厚さと同じ長さとされている。
【0052】
その後、図2(e)に示されるように、第1ウェハ10aの他面12および貫通トレンチ14の側面のうちダイヤフラム30を構成する側面に図示しないマスクを配置する。そして、例えば、ダイヤフラム30との成す角度が45°となる方向から、貫通トレンチ14内を通過させてダイヤフラム30にゲージ抵抗40や第1配線50を構成する不純物をイオン注入すると共に、第1ウェハ10aの他面12と垂直方向から第2配線60および拡散層70を構成する不純物をイオン注入する。その後、熱処理することでゲージ抵抗40、第1、第2配線50、60、拡散層70を形成する。
【0053】
次に、図2(f)に示されるように、第1ウェハ10aの他面12に図示しない保護膜を配置し、この保護膜のうち拡散層70に対向する領域にコンタクトホールを形成した後、拡散層70と電気的に接続されるパッド80を形成する。そして、図2(f)の工程まで行ったものをチップ単位に分割することにより、上記図1に示す圧力センサが製造される。具体的には、上記図2(d)で形成した貫通トレンチ14をダイシングラインとして利用しつつ、チップ単位に分割することにより、上記図1に示す圧力センサが製造される。
【0054】
以上説明したように、本実施形態では、異方性エッチングにより形成された第1凹部13の側面が測定媒体の圧力に応じて変形可能とされており、第1凹部13の側面の一部と、第1半導体基板10の端面との間の部分によりダイヤフラム30が構成されている。このため、ダイヤフラム30の厚さにはウェハの厚さや異方性エッチングの深さ方向の加工精度が影響せず、深さ方向より高精度な平面方向の加工精度のみが影響する。したがって、従来の圧力センサのように、異方性エッチングにより形成された第1凹部13の底面と半導体基板の表面との間の部分にてダイヤフラムを形成する場合と比較して、ダイヤフラム30の厚さがばらつくことを抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態の圧力センサは、第1凹部13と、第1半導体基板10の端面との間の部分によりダイヤフラム30が形成されている。このため、例えば、曲げ応力等が印加されたとき、従来のように凹部の底面と半導体基板の表面との間の部分によりダイヤフラムが形成されている場合と比較して、ダイヤフラム30が第1半導体基板10の端部に形成されているため、当該応力の影響を小さくすることができる。
【0056】
さらに、ダイヤフラム30を第1半導体基板10の一面11と垂直方向に形成しているため、第1半導体基板10の平面方向の大きさを小さくすることができる。
【0057】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の圧力センサは、第1実施形態に対して、第1凹部13の側面を第1半導体基板10の一面11に対して所定角度傾斜させて一面11と非垂直としたものであり、その他に関しては上記第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図3は、本実施形態における圧力センサの断面構成を示す図である。
【0058】
図3に示されるように、本実施形態の圧力センサは、第1凹部13の側面が第1半導体基板10の一面11に対して所定角度傾斜しており、一面11とダイヤフラム30を構成する第1凹部13の側面との間のなす角度が非垂直とされている。そして、第1半導体基板10のうち、第1凹部13の側面と共にダイヤフラム30を構成する端面も一面11に対して所定角度傾斜している。本実施形態では、一面11と第1凹部13の側面とのなす角度が45°とされており、ダイヤフラム30が(110)面とされている。すなわち、本実施形態の第1半導体基板10は、一面11および他面12が(100)面とされたものを用いて構成されている。
【0059】
次に、本実施形態における圧力センサの製造方法について説明する。図4は、本実施形態における圧力センサの断面構成を示す図である。
【0060】
まず、図4(a)および(b)に示されるように、一面11および他面12が(100)面とされた第1ウェハ10aを用意し、第1ウェハ10aに上記形状の第1凹部13を異方性エッチングにより形成する。具体的には、第1ウェハ10aの一面11に対して、45°の方向から反応性ガスやガス・クラスターを第1ウェハ10aに衝突させて第1凹部13を形成する。
【0061】
続いて、図4(c)に示されるように、第1ウェハ10aの一面11に第2ウェハ20aを直接接合した後、図4(d)に示されるように、第1ウェハ10aに異方性エッチングを行うことにより、第1凹部13の側面の一部と平行となる側面を有する貫通トレンチ14を形成する。これにより、第1凹部13の側面の一部と、当該側面の一部と平行となる貫通トレンチ14の側面との間の部分により、ダイヤフラム30が形成される。
【0062】
なお、この貫通トレンチ14の開口幅(図4中紙面左右方向の長さ)は、第1ウェハ10aを他面12の垂直方向から視たとき、ダイヤフラム30のうち第1ウェハ20aにおける一面11側の端部が視認可能となる長さ以上とされている。すなわち、本実施形態では、一面11と第1凹部13の側面とのなす角度が45°とされているため、貫通トレンチ14の開口幅は、第1ウェハ10aの厚さ以上とされている。
【0063】
次に、図4(e)に示されるように、第1ウェハ10aにおける他面12と垂直方向からゲージ抵抗40、第1配線50、第2配線60および拡散層70を構成する不純物をイオン注入する。その後、熱処理することでゲージ抵抗40、第1、第2配線50、60、拡散層70を形成する。
【0064】
そして、図4(f)に示されるように、第1ウェハ10aにパッド80を形成した後、チップ単位に分割することにより、上記図3に示す圧力センサが製造される。
【0065】
以上説明したように、本実施形態では、ダイヤフラム30を第1ウェハ10aの一面11に対して傾斜させて形成するため、ゲージ抵抗40や第1配線50を構成する不純物をイオン注入する際に、第1ウェハ10aにおける他面12の垂直方向からイオン注入することができる。このため、上記第1実施形態と比較して、ゲージ抵抗40および第1配線50と、第2配線60および拡散層70とを構成する不純物をイオン注入する際に、イオン注入する方向を変化させなくてもよく、製造工程を簡略化することができる。
【0066】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の圧力センサは、第1実施形態に対して、第1半導体基板10の一面11に第2凹部を形成したものであり、その他に関しては上記第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図5は、本実施形態における圧力センサの断面構成を示す図である。
【0067】
図5に示されるように、本実施形態の圧力センサは、第1半導体基板10の一面11に、第1凹部13に加えて、第1凹部13と同一形状であり、ダイヤフラム30を構成する第1凹部13の側面の一部と平行な側面を有する第2凹部15が形成されている。そして、第1凹部13の側面の一部と、この側面の一部と平行となる第2凹部15の側面との間の部分により、ダイヤフラム30が形成されている。なお、本実施形態の第1凹部13の側面の一部と平行となる第2凹部15の側面とは、本発明の側面の裏面に相当する。
【0068】
また、第1半導体基板10の他面12には、第2凹部15と外部とを連通する貫通孔16が形成されており、測定媒体が貫通孔16を介して第2凹部15内に導入されるようになっている。貫通孔16は、本実施形態では、一つとされているが、複数形成されていてもよい。
【0069】
次に、本実施形態の圧力センサの製造方法について説明する。図6は、本実施形態における圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【0070】
まず、図6(a)および(b)に示されるように、第1ウェハ10aを用意し、第1ウェハ10aに上記形状の第1、第2凹部13、15を異方性エッチングにより形成する。具体的には、第1ウェハ10aの一面11に形成したエッチングマスクをパターニングして第1、第2凹部形成領域に対応する領域を開口し、当該エッチングマスクを用いて異方性エッチングを行うことにより、第1、第2凹部13、15を同時に形成する。
【0071】
続いて、図6(c)に示されるように、第1ウェハ10aの一面11に第2ウェハ20aを直接接合する。そして、図6(d)に示されるように、第1ウェハ10aにおける他面12と垂直方向からゲージ抵抗40、第1配線50、第2配線60および拡散層70を構成する不純物をイオン注入し、熱処理してゲージ抵抗40、第1、第2配線50、60、拡散層70を形成する。なお、本実施形態では、不純物をイオン注入する際に、加速電圧を適宜調整しながら行うことにより、ゲージ抵抗40や第1配線50の形成場所を調整している。
【0072】
続いて、図6(e)に示されるように、第1ウェハ10aの他面12に図示しないエッチングマスクを形成すると共に当該エッチングマスクをパターニングして貫通孔形成領域に対応する領域を開口し、当該エッチングマスクを用いてエッチングを行うことにより、第2凹部15と外部とを連通させる貫通孔16を形成する。この貫通孔16は、上記のように測定媒体を第2凹部15内に導入するものであるため、高精度な加工は必要なく、例えばエッチングにより形成する場合には、異方性エッチングであってもよいし、等方性エッチングであってもよい。
【0073】
そして、図6(f)に示されるように、第1ウェハ10aにパッド80を形成した後、チップ単位に分割することにより、上記図3に示す圧力センサが製造される。
【0074】
以上説明したように、本実施形態では、測定媒体が貫通孔16を介して第2凹部15内に導入され、第2凹部15内に導入された測定媒体の圧力に基づいてダイヤフラム30が変形する。このため、上記第1実施形態のように第2凹部15および貫通孔16が形成されていない場合と比較して、測定媒体の圧力がそのままダイヤフラムに印加されることを抑制することができ、測定媒体に含まれる異物等が直接ダイヤフラム30に衝突してダイヤフラム30が破壊されることを抑制することができる。
【0075】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態の圧力センサは、第1実施形態に対して、第1凹部13を二つ形成したものであり、その他に関しては上記第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図7は、本実施形態における圧力センサの平面模式図である。
【0076】
図7に示されるように、本実施形態の圧力センサは、第1半導体基板10に二つの第1凹部13が形成されており、これら二つの第1凹部13は互いに形状が等しくされている。そして、第1半導体基板10には、二つの第1凹部13を構成する側面のそれぞれの一部と、当該側面のそれぞれの一部と平行となる第1半導体基板10の端面との間の部分にて構成される二つのダイヤフラム30が形成されている。これら二つのダイヤフラム30は、厚さが等しくされていると共に、測定媒体を受圧する面積が等しくされている。
【0077】
このような圧力センサでは、ダイヤフラム30が二つ備えられているため、一方のダイヤフラム30が破壊されてしまったとしても他方のダイヤフラム30で圧力の測定を行うことができる。
【0078】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態の圧力センサは、第4実施形態に対して、二つのダイヤフラム30の厚さを異なるものとしたものであり、その他に関しては上記第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図8は、本実施形態における圧力センサの平面模式図である。
【0079】
図8に示されるように、本実施形態の圧力センサは、二つの第1凹部13の形状が異なっている。すなわち、第1凹部13における開口幅を紙面左右方向の長さとすると、一方の第1凹部13の開口幅が他方の第1凹部13の開口幅より短くされている。そして、開口幅が長い第1凹部13と第1半導体基板10の端面との間の部分で構成されるダイヤフラム30は、開口幅が短い第1凹部13と第1半導体基板10の端面との間の部分で構成されるダイヤフラム30より厚さが薄くされている。つまり、本実施形態では、二つのダイヤフラム30は、測定媒体を受圧する面積が等しくされているが、厚さが異なっている。
【0080】
このような圧力センサでは、二つのダイヤフラム30の厚さが異なっているため、各ダイヤフラム30の測定レンジを異ならせることができ、各ダイヤフラム30で異なる測定レンジの圧力を測定することができる。
【0081】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態の圧力センサは、第1実施形態に対して、第2半導体基板20に第3凹部を形成してダイヤフラム30の測定媒体を受圧する面積を拡大させたものであり、その他に関しては上記第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図9(a)および(b)は、本実施形態における圧力センサの断面構成を示す図、図9(c)は第1半導体基板10の一面11の平面模式図、図9(d)は第2半導体基板20の一面21の平面模式図である。図10は、図9(a)のC矢視模式図である。なお、図9(a)は、図9(c)および(d)のD−D断面に相当している。また、図9(b)は、第1半導体基板10が図9(c)のE−E断面に相当しており、第2半導体基板20が図9(d)のF−F断面に相当している。
【0082】
図9および図10に示されるように、本実施形態の圧力センサは、第2半導体基板20における第1半導体基板10の一面11と接合される一面21のうち、第1凹部13と対向する領域に、ダイヤフラム30を構成する第1凹部13の側面と連なり、かつ当該側面と平行である側面を有する第3凹部23が異方性エッチングにより形成されている。本実施形態では、この第3凹部23は、底面が矩形状とされ、側面が一面21と垂直となるように形成されており、第1凹部13と同一形状とされている。なお、第1凹部13の側面と第3凹部23の側面とが連なっているとは、第1凹部13の側面と第3凹部23の側面との境界に段差がなく、平坦な状態とされていることである。
【0083】
そして、ダイヤフラム30は、第1凹部13の側面の一部および当該側面の一部と連なっている第3凹部23の側面と、これら側面と平行な第1、第2半導体基板10、20の端面との間の部分にて構成されている。すなわち、本実施形態のダイヤフラム30は、第1半導体基板10から第2半導体基板20に渡って形成されており、ダイヤフラム30に形成されるゲージ抵抗40も第1、第2半導体基板10、20に形成されている。
【0084】
また、圧力基準室90は、第1凹部13および第3凹部23により囲まれる部分にて形成されている。
【0085】
そして、本実施形態では、第1半導体基板10に形成されるゲージ抵抗40と電気的に接続される第1配線50は一面11に向かって形成されており、当該第1配線50と電気的に接続される第2配線60は一面11の表面に形成されている。また、第2半導体基板20に形成されるゲージ抵抗40と電気的に接続される第1配線50は一面21に向かって形成されており、当該第1配線50と電気的に接続される第2配線60は一面21の表面に形成されている。
【0086】
さらに、第1半導体基板10には、各第2配線60の終端部と電気的に接続される第3配線100が形成されており、これら第3配線100はそれぞれ他面12まで引き延ばされている。そして、他面12にて露出する第3配線100がパッド80と電気的に接続されている。
【0087】
以上説明したように、本実施形態では、ダイヤフラム30が第1半導体基板10から第2半導体基板20に渡って形成されており、ダイヤフラム30の測定媒体を受圧する面積を大きくすることができるため、感度を向上させることができる。
【0088】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態について説明する。本実施形態の圧力センサの製造方法は、第1実施形態に対して、第1ウェハ10aにゲージ抵抗形成用トレンチを形成し、ゲージ抵抗形成用トレンチの底面にイオン注入することによりゲージ抵抗40を形成したものであり、その他に関しては上記第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図11は、本実施形態における圧力センサの製造工程を示す図である。
【0089】
まず、図11(a)に示されるように、第1ウェハ10aを用意する。そして、図11(b)に示されるように、第1ウェハ10aの他面12に図示しないエッチングマスクを形成すると共に当該エッチングマスクをパターニングして後述のゲージ抵抗形成用トレンチ形成領域に対応する領域を開口し、エッチングマスクを用いて異方性エッチングを行うことにより、ゲージ抵抗形成用トレンチ17を形成する。
【0090】
続いて、図11(c)に示されるように、ゲージ抵抗形成用トレンチの底面に不純物をイオン注入すると共に熱処理してゲージ抵抗40を形成する。なお、イオン注入する際には、加速電圧を適宜調整しながら不純物をイオン注入することにより、ゲージ抵抗40が上記図1(c)に示す配置となるようにする。その後、図11(d)に示されるように、ゲージ抵抗形成用トレンチ17にAl等を埋め込んで第1配線50を形成すると共に、他面12にAl等を配置してパターニング等することにより第2配線60を形成する。
【0091】
次に、図11(e)に示されるように、第1ウェハ10aの一面11に第1凹部13を形成し、図11(f)に示されるように、第1ウェハ10aの一面11に第2ウェハ20aを接合すると共に第1ウェハ10aの他面12に図示しない保護膜を配置し、この保護膜にコンタクトホールを形成して第2配線60と電気的に接続されるパッド80を形成する。その後、図11(g)に示されるように、異方性エッチングにより貫通トレンチ14を形成し、第1凹部13を構成する側面の一部と当該側面の一部と平行となる貫通トレンチ14の側面との間の部分にて構成され、ゲージ抵抗40が形成されているダイヤフラム30を形成する。
【0092】
本実施形態の製造方法においても、異方性エッチングにより形成された第1凹部13の側面の一部を含んでダイヤフラム30を形成することができるため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0093】
(他の実施形態)
上記第1〜第5、第7実施形態では、第2配線60が、第1半導体基板10の他面12の表層部に形成されている例について説明したが、第2配線60が第1半導体基板10の他面12側の表面に形成されていてもよい。言い換えると、第2配線60は、第1半導体基板10の他面12側から露出していてもよい。すなわち、第2配線60としては、例えば、第1半導体基板10の他面12上に形成されたAl配線等を用いることもできる。
【0094】
また、上記第1〜第5、第7実施形態では、上記第6実施形態のように、第1配線50をゲージ抵抗40から一面11側に向かって形成し、第2配線60を一面11側の表面に形成してもよい。この場合は、第2配線60の終端部に第3配線100を形成すればよい。
【0095】
そして、上記第1〜第5、第7実施形態では、ゲージ抵抗40とパッド80との電気的な接続を第1、第2配線50、60を介して行っているが、例えば、第1配線50のみを介して行ってもよい。すなわち、第1配線50を第1半導体基板10における他面12の表面まで引き延ばし、第1配線50とパッド80とを電気的に接続してもよい。
【0096】
さらに、上記第1〜第5、第7実施形態では、第2基板としてシリコン基板等の第2半導体基板20を用いた例について説明したが、第2基板としてガラス基板等を用いることもできる。
【0097】
また、上記第1〜第7実施形態では、圧力基準室90が真空圧である例について説明したが、例えば、圧力基準室90は大気圧であってもよい。この場合は、大気圧下で第1ウェハ10aと第2ウェハ20aとを接合すればよい。
【0098】
上記第1実施形態では、ゲージ抵抗40および第1配線50を構成する不純物を貫通トレンチ14を通過させてダイヤフラム30にイオン注入する例について説明したが、例えば、第1半導体基板10における他面12と垂直な方向から加速電圧を変化させながらイオン注入してゲージ抵抗40や第1配線50を所望の場所に形成してもよい。この場合は、貫通トレンチ14の開口幅の長さを詳細に設定しなくてもよい。
【0099】
また、上記第2実施形態では、ダイヤフラム30を(110)面とし、一面11および他面12を(100)面とした例ついて説明したが、例えば、ダイヤフラム30を(100)面とし、一面11および他面12を(110)面とすることもできる。
【0100】
そして、上記第3実施形態では、ダイヤフラム30が一面11に対して垂直とされた例について説明したが、上記第2実施形態のようにダイヤフラム30が一面11に対して所定角度傾斜して非垂直とされていてもよい。また、図6(c)の工程を行った後に図6(e)の工程を行って貫通孔16を形成し、その後図6(d)の工程を行ってゲージ抵抗40等を形成してもよい。
【0101】
また、上記第4実施形態では、第1半導体基板10に二つの第1凹部13が形成されている例について説明したが、例えば、第1半導体基板10に形成される第1凹部13は三つであってもよいし、四つであってもよい。
【0102】
上記第5実施形態では、ダイヤフラム30の厚さを変更して測定レンジを異ならせるものについて説明したが、例えば、第1凹部13の深さを変更してダイヤフラム30の測定媒体を受圧する面積を異ならせることにより、測定レンジを異ならせるようにしてもよい。
【0103】
上記第7実施形態では、ゲージ抵抗形成用トレンチ17を形成し、当該ゲージ抵抗形成用トレンチ17の底面に対して不純物をイオン注入してゲージ抵抗40を形成する例について説明したが、次のようにすることもできる。すなわち、ゲージ抵抗形成用トレンチ17を形成せずに、第1ウェハ10aの他面12から加速電圧を適宜調整しながら不純物をイオン注入することにより、ゲージ抵抗40を所望の場所に形成するようにしてもよい。
【0104】
そして、上記各実施形態を組み合わせた圧力センサとすることもできる。例えば、上記第4、第5実施形態を第2実施形態に組み合わせて、複数の第1凹部13を有し、各第1凹部13の側面の一部で構成されるダイヤフラム30がそれぞれ一面11に対して所定角度傾斜して非垂直とされていてもよい。
【0105】
また、上記第4、第5実施形態を上記第3実施形態に組み合わせて、例えば、第1半導体基板10に二つの第1凹部13と二つの第2凹部15とを形成してもよい。このような圧力センサでは、第2凹部15の一方にフィルタ前のエンジンオイル、排気ガス等の測定媒体を導入すると共に、第2凹部15の他方にフィルタ後のエンジンオイル、排気ガス等の測定媒体を導入して差圧センサとして利用することもできる。
【0106】
さらに、上記第6実施形態を上記第2〜第5実施形態に組み合わせて、第2半導体基板20に第3凹部23を形成し、ダイヤフラム30の測定媒体を受圧する面積を大きくしてもよい。
【0107】
また、上記第3〜第6実施形態において、上記第7実施形態のように、ゲージ抵抗40を形成した後に、第1凹部13や貫通トレンチ14等を形成して、ゲージ抵抗40が形成されたダイヤフラム30を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0108】
10 第1半導体基板
13 第1凹部
20 第2半導体基板
30 ダイヤフラム
40 ゲージ抵抗
50 第1配線
60 第2配線
70 拡散層
80 パッド
90 圧力基準室
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤフラムの変形に基づいて圧力を測定する圧力センサおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体基板の裏面に凹部を形成することにより、凹部の底面と半導体基板の表面との間の部分で構成されるダイヤフラムと、ダイヤフラムにブリッジ回路を構成するように形成したゲージ抵抗とを備えた圧力センサが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような圧力センサは、半導体基板の裏面に接合されるガラス基板等を有しており、凹部とガラス基板との間に構成される圧力基準室を備えている。そして、測定媒体の圧力がダイヤフラムに印加されると、ダイヤフラムは印加された圧力と圧力基準室との差圧に応じて半導体基板の厚さ方向に変形する。これにより、ダイヤフラムに形成されたゲージ抵抗が変形し、ピエゾ抵抗効果によりブリッジ回路の出力電圧が変化して印加された圧力に応じたセンサ信号が出力される。
【0004】
上記圧力センサは、通常ウェハ状態で製造され、最後にチップ単位に分割することにより製造される。すなわち、ウェハを用意し、各チップ形成領域に異方性エッチングを行うことにより凹部を形成して、凹部の底面とウェハの表面との間の部分で構成されるダイヤフラムを形成する。続いて、各ダイヤフラムにゲージ抵抗を形成した後、ウェハをチップ単位に分割することにより製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−39574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記圧力センサは、凹部がウェハの裏面を異方性エッチングすることにより形成されるため、各チップ形成領域に形成される凹部の深さがばらつくことがあり、ダイヤフラムの厚さにばらつきがでてしまうという問題がある。異方性エッチングは平面方向の精度に対して深さ方向の加工精度が低いためである。また、ウェハ自体の厚さのばらつきによってもダイヤフラムの厚さがばらつくことになる。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、ダイヤフラムの厚さのばらつきを抑制することのできる圧力センサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、異方性エッチングによって第1凹部(13)が形成された一面(11)を有する第1基板(10)と、第1凹部(13)が密閉空間となるように第1基板(10)の一面(11)に接合された一面(21)を有する第2基板(20)と、を備え、第1凹部(13)は、測定媒体の圧力に応じて変形可能な側面を有しており、第1基板(10)には、側面の変形に応じて抵抗値が変化するゲージ抵抗(40)が設けられていることを特徴としている。
【0009】
このような圧力センサでは、第1凹部(13)は、測定媒体の圧力に応じて変形可能な側面を有している。すなわち、当該側面を含んでダイヤフラム(30)が構成される。このため、ダイヤフラム(30)の厚さにはウェハの厚さや異方性エッチングの深さ方向の加工精度が影響せず、深さ方向より高精度な平面方向の加工精度のみが影響する。したがって、従来の圧力センサのように、異方性エッチングにより形成された凹部の底面と基板の表面との間の部分にてダイヤフラムを形成する場合と比較して、ダイヤフラム(30)の厚さがばらつくことを抑制することができる。
【0010】
例えば、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の発明において、側面と当該側面の裏面とを互いに平行とすることができ、側面と裏面との間の部分を含んでダイヤフラム(30)を構成することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明のように、請求項1または2に記載の発明において、側面の裏面が測定媒体に晒されるものとすることができる。
【0012】
そして、請求項4に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の発明において、側面の裏面を第1基板(10)の端面とすることができる。
【0013】
また、請求項5に記載の発明のように、請求項2または3に記載の発明において、第1凹部(13)に加えて、第1基板(10)における一面(11)に、測定媒体の圧力に応じて変形可能な側面の裏面を構成する第2凹部(15)を異方性エッチングにより形成してダイヤフラム(30)を構成し、第1基板(10)における一面(11)と反対側の他面(12)に、第2凹部(15)と外部とを連通する貫通孔(16)を形成することができる。
【0014】
このような圧力センサでは、測定媒体は貫通孔(16)を介して第2凹部(15)に導入され、第2凹部(15)に導入された測定媒体の圧力に基づいてダイヤフラム(30)が変形する。このため、第2凹部(15)および貫通孔(16)が形成されていない圧力センサと比較して、測定媒体の圧力がそのままダイヤフラム(30)に印加されることを抑制することができ、測定媒体に含まれる異物等が直接ダイヤフラム(30)に衝突してダイヤフラム(30)が破壊されることを抑制することができる。
【0015】
また、請求項6に記載の発明のように、請求項2ないし5に記載の発明において、第1基板(10)に、測定媒体の圧力に応じて変形可能な側面を有する第1凹部(13)を複数形成すると共に、複数の第1凹部(13)の側面のそれぞれの変形に応じて抵抗値が変化するゲージ抵抗(40)を複数形成し、ダイヤフラム(30)を、複数の第1凹部(13)の側面と、当該側面の裏面との間の部分を含んで複数形成することができる。
【0016】
この場合、請求項7に記載の発明のように、請求項6に記載の発明において、複数のダイヤフラム(30)をそれぞれ同じ厚さとし、かつ測定媒体を受圧する面積を等しくすることができる。このような圧力センサでは、一つのダイヤフラム(30)が破壊されたとしても、残りのダイヤフラム(30)で測定媒体の圧力を測定することができる。
【0017】
また、請求項8に記載の発明のように、請求項6に記載の発明において、複数のダイヤフラム(30)をそれぞれ厚さの異なるものとすることができる。さらに、請求項9に記載の発明にように、請求項6に記載の発明において、複数のダイヤフラム(30)の測定媒体を受圧する面積をそれぞれ異ならせることができる。
【0018】
これら請求項8および9に記載の圧力センサでは、複数のダイヤフラム(30)の厚さがそれぞれ異なっているか、または、測定媒体を受圧する面積がそれぞれ異なっているため、各ダイヤフラム(30)で異なる測定レンジの圧力を測定することができる。
【0019】
また、請求項10に記載の発明のように、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の発明において、第2基板(20)のうち第1基板(10)に形成された第1凹部(13)と対向する領域に、第1凹部(13)の測定媒体の圧力に応じて変形可能な側面と連なっていると共に当該側面と平行とされ、測定媒体の圧力に応じて変形可能とされた側面を有する第3凹部(23)を形成し、ダイヤフラム(30)を、第1凹部(13)の側面および第3凹部(23)の側面と、第1、第3凹部(13、23)の側面の裏面との間の部分により構成すると共に第1基板(10)から第2基板(20)に渡って形成することができる。
【0020】
以上説明した圧力センサは以下の製造方法により製造することが可能である。
【0021】
すなわち、請求項11に記載の発明では、複数のチップ形成領域を有すると共に一面(11)を有し、チップ単位に分割されたときに第1基板(10)を構成する第1ウェハ(10a)を用意する工程と、第1ウェハ(10a)におけるチップ形成領域のそれぞれに一面(11)から異方性エッチングにより第1凹部(13)を形成する工程と、第1ウェハ(10a)の一面(11)に第2ウェハ(20a)を接合して第1凹部(13)を閉塞する工程と、第1ウェハ(10a)のチップ形成領域のそれぞれに他面(12)から異方性エッチングにより、第1凹部(13)の側面の一部と平行な側面を有する貫通トレンチ(14)を形成して、当該側面の一部と平行な側面との間の部分で構成されるダイヤフラム(30)を形成する工程と、ダイヤフラム(30)にゲージ抵抗(40)を形成する工程と、を含む工程を行うことを特徴としている。
【0022】
このような製造方法では、異方性エッチングにより形成された第1凹部(13)の側面の一部と、当該側面の一部と平行となる異方性エッチングにより形成された貫通トレンチ(14)の側面との間の部分にてダイヤフラム(30)を形成している。このため、ダイヤフラム(30)の厚さに影響するのは、異方性エッチングの平面方向の加工精度のみであるため、ダイヤフラム(30)の厚さがばらつくことを抑制することができる。
【0023】
例えば、請求項12に記載の発明のように、請求項11に記載の発明において、第1凹部(13)を形成する工程では、一面(11)に対して垂直な側面を有する第1凹部(13)を形成し、ダイヤフラム(30)を形成する工程では、一面(11)に貫通トレンチ(14)を形成して一面(11)と垂直なダイヤフラム(30)を形成し、ゲージ抵抗(40)を形成する工程では、一面(11)に対して所定角度傾斜した方向から不純物を貫通トレンチ(14)内を通過させてダイヤフラム(30)にイオン注入する工程を行うことができる。
【0024】
このような製造方法では、ゲージ抵抗(40)を形成する際に、貫通トレンチ(14)を通過させてダイヤフラム(30)にイオン注入する工程を行うため、貫通トレンチを通過させずにゲージ抵抗を形成する場合、すなわち、一面と反対側の他面に垂直方向から第1ウェハに不純物をイオン注入する場合と比較して、加速電圧を変化させなくても所望の場所にゲージ抵抗(40)を形成することができる。
【0025】
また、請求項13に記載の発明のように、請求項11に記載の発明において、第1凹部(13)を形成する工程では、一面(11)に対して所定角度傾斜した非垂直な側面を有する第1凹部(13)を形成し、ダイヤフラム(30)を形成する工程では、一面(11)に貫通トレンチ(14)を形成して一面(11)に対して所定角度傾斜した非垂直なダイヤフラム(30)を形成し、ゲージ抵抗(40)を形成する工程では、一面(11)と反対側の他面(12)の垂直方向から不純物をイオン注入する工程を行うことができる。
【0026】
このような製造方法においても、ダイヤフラム(30)が一面(11)に対して所定角度傾斜しているため、ゲージ抵抗(40)を形成する際に、加速電圧を変化させなくても所望の場所にゲージ抵抗(40)を形成することができる。
【0027】
そして、請求項14に記載の発明では、複数のチップ形成領域を有すると共に一面(11)を有し、チップ単位に分割されたときに第1基板(10)を構成する第1ウェハ(10a)を用意する工程と、第1ウェハ(10a)のチップ形成領域のそれぞれにゲージ抵抗(40)を形成する工程と、第1ウェハ(10a)のチップ形成領域のそれぞれに一面(11)から異方性エッチングにより第1凹部(13)を形成する工程と、第1ウェハ(10a)の一面(11)に第2ウェハ(20a)を接合して第1凹部(13)を閉塞する工程と、第1ウェハ(10a)のチップ形成領域のそれぞれに他面(12)から異方性エッチングにより、第1凹部(13)の側面の一部と平行な側面を有する貫通トレンチ(14)を形成して、当該側面の一部と平行な側面との間の部分で構成され、ゲージ抵抗(40)が形成されたダイヤフラム(30)を形成する工程と、を含む工程を行うことを特徴としている。
【0028】
このような製造方法においても、請求項11に記載の発明と同様に、ダイヤフラム(30)の厚さに影響するのは、異方性エッチングの平面方向の加工精度のみであるため、ダイヤフラム(30)の厚さがばらつくことを抑制することができる。
【0029】
例えば、請求項15に記載の発明にように、請求項14に記載の発明において、ゲージ抵抗(40)を形成する工程では、第1ウェハ(10a)にゲージ抵抗形成用トレンチ(17)を形成し、当該ゲージ抵抗形成用トレンチ(17)の底面に対して不純物をイオン注入する工程を行うことができる。
【0030】
また、請求項17に記載の発明では、複数のチップ形成領域を有すると共に一面(11)を有し、チップ単位に分割されたときに第1基板(10)を構成する第1ウェハ(10a)を用意する工程と、第1ウェハ(10a)のチップ形成領域のそれぞれに一面(11)から異方性エッチングにより、第1凹部(13)と、当該第1凹部(13)の側面の一部と平行な側面を有する第2凹部(15)を形成して、当該の側面の一部と平行な側面との間の部分で構成されるダイヤフラム(30)を形成する工程と、ダイヤフラム(30)にゲージ抵抗(40)を形成する工程と、を含む工程を行うことを特徴としている。
【0031】
このような製造方法においても、請求項11に記載の発明と同様に、ダイヤフラム(30)の厚さに影響するのは、異方性エッチングの平面方向の加工精度のみであるため、ダイヤフラム(30)の厚さがばらつくことを抑制することができる。
【0032】
そして、請求項16に記載の発明のように、請求項11ないし15のいずれか1つに記載の発明において、第1凹部(13)を形成する際および貫通トレンチ(14)を形成する際には、異方性エッチングとしてドライエッチングまたはガス・クラスターエッチングを行うことができる。同様に、請求項18に記載の発明のように、請求項17に記載の発明において、第1、第2凹部(13、15)を形成する際には、異方性エッチングとしてドライエッチングまたはガス・クラスターエッチングを行うことができる。
【0033】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(a)は、本発明の第1実施形態における圧力センサの断面構成を示す図、(b)は(a)に示す圧力センサの平面模式図、(c)は(a)のA矢視模式図である。
【図2】図1に示す圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態における圧力センサの断面構成を示す図である。
【図4】図3に示す圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態における圧力センサの断面構成を示す図である。
【図6】図5に示す圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態における圧力センサの平面模式図である。
【図8】本発明の第5実施形態における圧力センサの平面模式図である。
【図9】(a)および(b)は本発明の第6実施形態における圧力センサの断面構成を示す図、(c)は第1半導体基板の一面の平面模式図、(d)は第2半導体基板の一面の平面模式図である。
【図10】図9(a)のC矢視模式図である。
【図11】本発明の第7実施形態における圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1(a)は、本実施形態における圧力センサの断面構成を示す図、図1(b)は図1(a)に示す圧力センサの平面模式図、図1(c)は図1(a)のA矢視模式図である。なお、図1(a)は、図1(b)のB−B断面に相当している。
【0036】
図1に示されるように、本実施形態の圧力センサは、本発明の第1基板に相当するシリコン等の第1半導体基板10に、本発明の第2基板に相当するシリコン基板等の第2半導体基板20が接合されて構成されている。特に限定されるものではないが、第1、第2半導体基板10、20は厚さが200〜800μmとされ、ほぼ同じ厚さとされている。
【0037】
第1半導体基板10は一面11および当該一面11と反対側の他面12を有しており、これら一面11および他面12は、(1−10)面とされている。そして、一面11には底面が矩形状とされ、側面が当該一面11と垂直となる第1凹部13が異方性エッチングにより形成されている。本実施形態では、第1凹部13の側面の一部が測定媒体の圧力に応じて変形可能とされており、この側面と、当該側面の裏面である第1半導体基板10の端面との間の部分によりダイヤフラム30が構成されている。具体的には、第1凹部13は、底面が矩形状とされているために4つの側面を有しているが、4つの側面のうちの一つの側面と、この側面の裏面との間の部分によりダイヤフラム30が構成されている。
【0038】
なお、本実施形態では、4つの側面のうちの一つの側面と、この側面の裏面との間の部分によりダイヤフラム30が構成されたものを例に挙げて説明するが、例えば、第1凹部13の各側面と、この側面のそれぞれの裏面との間にダイヤフラム30が形成されていてもよい。
【0039】
ダイヤフラム30は、第1凹部13の側面の一部と、当該側面と平行となる第1半導体基板10の端面との間の部分にて構成されているため、(1−10)面と垂直である(110)面とされている。そして、ダイヤフラム30は、当該端面における垂直方向(図1中紙面左右方向)を厚さ方向とすると、厚さ方向に変位するようになっている。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態のダイヤフラム30は厚さが約10μmとされている。
【0040】
そして、ダイヤフラム30には、一般的な圧力センサと同様に、〈110〉方向に長手方向を有する折り返し形状とされ、ダイヤフラム30の変形に応じて抵抗値が変化するゲージ抵抗40が四個備えられている。そして、これら各ゲージ抵抗40は、図示しない拡散配線により接続され、当該拡散配線と共にブリッジ回路を構成している。
【0041】
各ゲージ抵抗40は、他面12から一面11に向かって第1半導体基板10の端面とほぼ平行に形成されている第1配線50と電気的に接続されている。そして、この第1配線50は第1半導体基板10の他面12側の表層部に形成された第2配線60と電気的に接続されている。この第2配線60は、本実施形態では、第1凹部13を越えて、第1半導体基板10のうちダイヤフラム30側と反対側まで引き延ばされている。本実施形態では、これら第1、第2配線50、60は、不純物を拡散させて構成した拡散配線にて構成されている。
【0042】
第2配線60の終端部、つまり第2配線60のうち第1配線50と接続される側と反対側の端部には、拡散層70が形成されている。そして、第1半導体基板10の他面12には、酸化膜等で構成された図示しない保護膜が形成され、当該保護膜に形成されたコンタクトホールを介して拡散層70と電気的に接続されるパッド80が形成されている。
【0043】
また、第1半導体基板10の一面11には、一面21および当該一面21と反対側の他面22を有する第2半導体基板20が接合されている。そして、第1凹部13と第2半導体基板20とにより圧力基準室90が構成されている。この圧力基準室90は、本実施形態では真空圧とされている。
【0044】
次に、このような圧力センサの作動について簡単に説明する。本実施形態の圧力センサは、測定媒体の圧力がダイヤフラム30に印加されると、ダイヤフラム30は印加された圧力と圧力基準室90との差圧に応じて厚さ方向に変形する。これにより、ダイヤフラム30に形成されたゲージ抵抗40が変形し、ピエゾ抵抗効果によりブリッジ回路の出力電圧が変化して印加された圧力に応じたセンサ信号がパッド80を介して出力される。
【0045】
続いて、上記圧力センサの製造方法について説明する。図2は、図1に示す圧力センサの製造工程を示す断面図である。なお、上記圧力センサは、ウェハの状態で製造し、最後にチップ単位に分割することで製造されるものであり、図2ではウェハの一部を示している。
【0046】
図2(a)に示されるように、まず、チップ単位に分割された際に第1半導体基板10を構成する第1ウェハ10aを用意する。具体的には、上記のように、一面11および他面12を有し、これら一面11および他面12が(1−10)面とされると共に、厚さが200〜800μmとされ、複数のチップ形成領域を有する第1ウェハ10aを用意する。
【0047】
その後、図2(b)に示されるように、第1ウェハ10aの一面11に図示しないエッチングマスクを形成すると共に当該エッチングマスクをパターニングし、各チップ形成領域の第1凹部形成領域に対応する領域を開口する。そして、このエッチングマスクを用いて異方性エッチングを行うことにより、上記形状の第1凹部13を形成する。異方性エッチングとしては、RIE(Reactive Ion Etching)等のドライエッチングやガス・クラスターエッチングを行うことができる。
【0048】
なお、ガス・クラスターエッチングとは、以下のようなエッチング方法である。すなわち、まず、CIF3(三フッ化塩素)をノズルから真空チャンバ内に吹き出し、ノズル内(例えば、10気圧)と真空チャンバ内(例えば、大気圧以下)の気圧差によって、ノズルから吹き出したCIF3ガスの分子や原子を熱膨張させてガス・クラスターと呼ばれる数百万〜数千万の分子の集合体を形成する。そして、この集合体を半導体基板に衝突させて、衝突時のガス・クラスターの運動エネルギーを熱エネルギーに変換して化学反応を促進させながらエッチングを行うものである。
【0049】
続いて、図2(c)に示されるように、図示しないエッチングマスクを除去し、真空中で、第1ウェハ10aの一面11に、チップ単位に分割された際に第2半導体基板20を構成する第2ウェハ10aを直接接合して第1凹部13を閉塞する。これにより、各チップ形成領域に圧力基準室90が形成される。本実施形態では、真空中で第1、第2ウェハ10a、20aを直接接合しているため、圧力基準室90は真空圧となる。
【0050】
次に、図2(d)に示されるように、第1ウェハ10aの他面12に図示しないエッチングマスクを形成すると共に当該エッチングマスクをパターニングして後述の貫通トレンチ形成領域に対応する領域を開口し、このエッチングマスクを用いて異方性エッチングを行うことにより、第1凹部13の側面の一部と平行となる側面を有する貫通トレンチ14を形成する。これにより、第1凹部13の側面の一部と、当該側面の一部と平行となる貫通トレンチ14の側面との間の部分により、ダイヤフラム30が形成される。すなわち、貫通トレンチ14のうち、ダイヤフラム30を構成する第1凹部13の側面と対向する側面は、チップ単位に分割したときに、第1半導体基板10の上記端面を構成する部分である。なお、本実施形態の貫通トレンチ14は、他面12から一面11に貫通するものであり、チップ単位に分割する際に、ダイシングラインとしても利用される。
【0051】
また、貫通トレンチ14の開口幅(図1中紙面左右方向の長さ)は、後述する図2(e)の工程において、少なくとも斜めイオン注入が可能である長さとされている。すなわち、例えば、ダイヤフラム30とのなす角度が45°となる方向からイオン注入を行う場合には、貫通トレンチ14の開口幅は第1ウェハ10aの厚さと同じ長さとされている。
【0052】
その後、図2(e)に示されるように、第1ウェハ10aの他面12および貫通トレンチ14の側面のうちダイヤフラム30を構成する側面に図示しないマスクを配置する。そして、例えば、ダイヤフラム30との成す角度が45°となる方向から、貫通トレンチ14内を通過させてダイヤフラム30にゲージ抵抗40や第1配線50を構成する不純物をイオン注入すると共に、第1ウェハ10aの他面12と垂直方向から第2配線60および拡散層70を構成する不純物をイオン注入する。その後、熱処理することでゲージ抵抗40、第1、第2配線50、60、拡散層70を形成する。
【0053】
次に、図2(f)に示されるように、第1ウェハ10aの他面12に図示しない保護膜を配置し、この保護膜のうち拡散層70に対向する領域にコンタクトホールを形成した後、拡散層70と電気的に接続されるパッド80を形成する。そして、図2(f)の工程まで行ったものをチップ単位に分割することにより、上記図1に示す圧力センサが製造される。具体的には、上記図2(d)で形成した貫通トレンチ14をダイシングラインとして利用しつつ、チップ単位に分割することにより、上記図1に示す圧力センサが製造される。
【0054】
以上説明したように、本実施形態では、異方性エッチングにより形成された第1凹部13の側面が測定媒体の圧力に応じて変形可能とされており、第1凹部13の側面の一部と、第1半導体基板10の端面との間の部分によりダイヤフラム30が構成されている。このため、ダイヤフラム30の厚さにはウェハの厚さや異方性エッチングの深さ方向の加工精度が影響せず、深さ方向より高精度な平面方向の加工精度のみが影響する。したがって、従来の圧力センサのように、異方性エッチングにより形成された第1凹部13の底面と半導体基板の表面との間の部分にてダイヤフラムを形成する場合と比較して、ダイヤフラム30の厚さがばらつくことを抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態の圧力センサは、第1凹部13と、第1半導体基板10の端面との間の部分によりダイヤフラム30が形成されている。このため、例えば、曲げ応力等が印加されたとき、従来のように凹部の底面と半導体基板の表面との間の部分によりダイヤフラムが形成されている場合と比較して、ダイヤフラム30が第1半導体基板10の端部に形成されているため、当該応力の影響を小さくすることができる。
【0056】
さらに、ダイヤフラム30を第1半導体基板10の一面11と垂直方向に形成しているため、第1半導体基板10の平面方向の大きさを小さくすることができる。
【0057】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の圧力センサは、第1実施形態に対して、第1凹部13の側面を第1半導体基板10の一面11に対して所定角度傾斜させて一面11と非垂直としたものであり、その他に関しては上記第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図3は、本実施形態における圧力センサの断面構成を示す図である。
【0058】
図3に示されるように、本実施形態の圧力センサは、第1凹部13の側面が第1半導体基板10の一面11に対して所定角度傾斜しており、一面11とダイヤフラム30を構成する第1凹部13の側面との間のなす角度が非垂直とされている。そして、第1半導体基板10のうち、第1凹部13の側面と共にダイヤフラム30を構成する端面も一面11に対して所定角度傾斜している。本実施形態では、一面11と第1凹部13の側面とのなす角度が45°とされており、ダイヤフラム30が(110)面とされている。すなわち、本実施形態の第1半導体基板10は、一面11および他面12が(100)面とされたものを用いて構成されている。
【0059】
次に、本実施形態における圧力センサの製造方法について説明する。図4は、本実施形態における圧力センサの断面構成を示す図である。
【0060】
まず、図4(a)および(b)に示されるように、一面11および他面12が(100)面とされた第1ウェハ10aを用意し、第1ウェハ10aに上記形状の第1凹部13を異方性エッチングにより形成する。具体的には、第1ウェハ10aの一面11に対して、45°の方向から反応性ガスやガス・クラスターを第1ウェハ10aに衝突させて第1凹部13を形成する。
【0061】
続いて、図4(c)に示されるように、第1ウェハ10aの一面11に第2ウェハ20aを直接接合した後、図4(d)に示されるように、第1ウェハ10aに異方性エッチングを行うことにより、第1凹部13の側面の一部と平行となる側面を有する貫通トレンチ14を形成する。これにより、第1凹部13の側面の一部と、当該側面の一部と平行となる貫通トレンチ14の側面との間の部分により、ダイヤフラム30が形成される。
【0062】
なお、この貫通トレンチ14の開口幅(図4中紙面左右方向の長さ)は、第1ウェハ10aを他面12の垂直方向から視たとき、ダイヤフラム30のうち第1ウェハ20aにおける一面11側の端部が視認可能となる長さ以上とされている。すなわち、本実施形態では、一面11と第1凹部13の側面とのなす角度が45°とされているため、貫通トレンチ14の開口幅は、第1ウェハ10aの厚さ以上とされている。
【0063】
次に、図4(e)に示されるように、第1ウェハ10aにおける他面12と垂直方向からゲージ抵抗40、第1配線50、第2配線60および拡散層70を構成する不純物をイオン注入する。その後、熱処理することでゲージ抵抗40、第1、第2配線50、60、拡散層70を形成する。
【0064】
そして、図4(f)に示されるように、第1ウェハ10aにパッド80を形成した後、チップ単位に分割することにより、上記図3に示す圧力センサが製造される。
【0065】
以上説明したように、本実施形態では、ダイヤフラム30を第1ウェハ10aの一面11に対して傾斜させて形成するため、ゲージ抵抗40や第1配線50を構成する不純物をイオン注入する際に、第1ウェハ10aにおける他面12の垂直方向からイオン注入することができる。このため、上記第1実施形態と比較して、ゲージ抵抗40および第1配線50と、第2配線60および拡散層70とを構成する不純物をイオン注入する際に、イオン注入する方向を変化させなくてもよく、製造工程を簡略化することができる。
【0066】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の圧力センサは、第1実施形態に対して、第1半導体基板10の一面11に第2凹部を形成したものであり、その他に関しては上記第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図5は、本実施形態における圧力センサの断面構成を示す図である。
【0067】
図5に示されるように、本実施形態の圧力センサは、第1半導体基板10の一面11に、第1凹部13に加えて、第1凹部13と同一形状であり、ダイヤフラム30を構成する第1凹部13の側面の一部と平行な側面を有する第2凹部15が形成されている。そして、第1凹部13の側面の一部と、この側面の一部と平行となる第2凹部15の側面との間の部分により、ダイヤフラム30が形成されている。なお、本実施形態の第1凹部13の側面の一部と平行となる第2凹部15の側面とは、本発明の側面の裏面に相当する。
【0068】
また、第1半導体基板10の他面12には、第2凹部15と外部とを連通する貫通孔16が形成されており、測定媒体が貫通孔16を介して第2凹部15内に導入されるようになっている。貫通孔16は、本実施形態では、一つとされているが、複数形成されていてもよい。
【0069】
次に、本実施形態の圧力センサの製造方法について説明する。図6は、本実施形態における圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【0070】
まず、図6(a)および(b)に示されるように、第1ウェハ10aを用意し、第1ウェハ10aに上記形状の第1、第2凹部13、15を異方性エッチングにより形成する。具体的には、第1ウェハ10aの一面11に形成したエッチングマスクをパターニングして第1、第2凹部形成領域に対応する領域を開口し、当該エッチングマスクを用いて異方性エッチングを行うことにより、第1、第2凹部13、15を同時に形成する。
【0071】
続いて、図6(c)に示されるように、第1ウェハ10aの一面11に第2ウェハ20aを直接接合する。そして、図6(d)に示されるように、第1ウェハ10aにおける他面12と垂直方向からゲージ抵抗40、第1配線50、第2配線60および拡散層70を構成する不純物をイオン注入し、熱処理してゲージ抵抗40、第1、第2配線50、60、拡散層70を形成する。なお、本実施形態では、不純物をイオン注入する際に、加速電圧を適宜調整しながら行うことにより、ゲージ抵抗40や第1配線50の形成場所を調整している。
【0072】
続いて、図6(e)に示されるように、第1ウェハ10aの他面12に図示しないエッチングマスクを形成すると共に当該エッチングマスクをパターニングして貫通孔形成領域に対応する領域を開口し、当該エッチングマスクを用いてエッチングを行うことにより、第2凹部15と外部とを連通させる貫通孔16を形成する。この貫通孔16は、上記のように測定媒体を第2凹部15内に導入するものであるため、高精度な加工は必要なく、例えばエッチングにより形成する場合には、異方性エッチングであってもよいし、等方性エッチングであってもよい。
【0073】
そして、図6(f)に示されるように、第1ウェハ10aにパッド80を形成した後、チップ単位に分割することにより、上記図3に示す圧力センサが製造される。
【0074】
以上説明したように、本実施形態では、測定媒体が貫通孔16を介して第2凹部15内に導入され、第2凹部15内に導入された測定媒体の圧力に基づいてダイヤフラム30が変形する。このため、上記第1実施形態のように第2凹部15および貫通孔16が形成されていない場合と比較して、測定媒体の圧力がそのままダイヤフラムに印加されることを抑制することができ、測定媒体に含まれる異物等が直接ダイヤフラム30に衝突してダイヤフラム30が破壊されることを抑制することができる。
【0075】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態の圧力センサは、第1実施形態に対して、第1凹部13を二つ形成したものであり、その他に関しては上記第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図7は、本実施形態における圧力センサの平面模式図である。
【0076】
図7に示されるように、本実施形態の圧力センサは、第1半導体基板10に二つの第1凹部13が形成されており、これら二つの第1凹部13は互いに形状が等しくされている。そして、第1半導体基板10には、二つの第1凹部13を構成する側面のそれぞれの一部と、当該側面のそれぞれの一部と平行となる第1半導体基板10の端面との間の部分にて構成される二つのダイヤフラム30が形成されている。これら二つのダイヤフラム30は、厚さが等しくされていると共に、測定媒体を受圧する面積が等しくされている。
【0077】
このような圧力センサでは、ダイヤフラム30が二つ備えられているため、一方のダイヤフラム30が破壊されてしまったとしても他方のダイヤフラム30で圧力の測定を行うことができる。
【0078】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態の圧力センサは、第4実施形態に対して、二つのダイヤフラム30の厚さを異なるものとしたものであり、その他に関しては上記第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図8は、本実施形態における圧力センサの平面模式図である。
【0079】
図8に示されるように、本実施形態の圧力センサは、二つの第1凹部13の形状が異なっている。すなわち、第1凹部13における開口幅を紙面左右方向の長さとすると、一方の第1凹部13の開口幅が他方の第1凹部13の開口幅より短くされている。そして、開口幅が長い第1凹部13と第1半導体基板10の端面との間の部分で構成されるダイヤフラム30は、開口幅が短い第1凹部13と第1半導体基板10の端面との間の部分で構成されるダイヤフラム30より厚さが薄くされている。つまり、本実施形態では、二つのダイヤフラム30は、測定媒体を受圧する面積が等しくされているが、厚さが異なっている。
【0080】
このような圧力センサでは、二つのダイヤフラム30の厚さが異なっているため、各ダイヤフラム30の測定レンジを異ならせることができ、各ダイヤフラム30で異なる測定レンジの圧力を測定することができる。
【0081】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態の圧力センサは、第1実施形態に対して、第2半導体基板20に第3凹部を形成してダイヤフラム30の測定媒体を受圧する面積を拡大させたものであり、その他に関しては上記第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図9(a)および(b)は、本実施形態における圧力センサの断面構成を示す図、図9(c)は第1半導体基板10の一面11の平面模式図、図9(d)は第2半導体基板20の一面21の平面模式図である。図10は、図9(a)のC矢視模式図である。なお、図9(a)は、図9(c)および(d)のD−D断面に相当している。また、図9(b)は、第1半導体基板10が図9(c)のE−E断面に相当しており、第2半導体基板20が図9(d)のF−F断面に相当している。
【0082】
図9および図10に示されるように、本実施形態の圧力センサは、第2半導体基板20における第1半導体基板10の一面11と接合される一面21のうち、第1凹部13と対向する領域に、ダイヤフラム30を構成する第1凹部13の側面と連なり、かつ当該側面と平行である側面を有する第3凹部23が異方性エッチングにより形成されている。本実施形態では、この第3凹部23は、底面が矩形状とされ、側面が一面21と垂直となるように形成されており、第1凹部13と同一形状とされている。なお、第1凹部13の側面と第3凹部23の側面とが連なっているとは、第1凹部13の側面と第3凹部23の側面との境界に段差がなく、平坦な状態とされていることである。
【0083】
そして、ダイヤフラム30は、第1凹部13の側面の一部および当該側面の一部と連なっている第3凹部23の側面と、これら側面と平行な第1、第2半導体基板10、20の端面との間の部分にて構成されている。すなわち、本実施形態のダイヤフラム30は、第1半導体基板10から第2半導体基板20に渡って形成されており、ダイヤフラム30に形成されるゲージ抵抗40も第1、第2半導体基板10、20に形成されている。
【0084】
また、圧力基準室90は、第1凹部13および第3凹部23により囲まれる部分にて形成されている。
【0085】
そして、本実施形態では、第1半導体基板10に形成されるゲージ抵抗40と電気的に接続される第1配線50は一面11に向かって形成されており、当該第1配線50と電気的に接続される第2配線60は一面11の表面に形成されている。また、第2半導体基板20に形成されるゲージ抵抗40と電気的に接続される第1配線50は一面21に向かって形成されており、当該第1配線50と電気的に接続される第2配線60は一面21の表面に形成されている。
【0086】
さらに、第1半導体基板10には、各第2配線60の終端部と電気的に接続される第3配線100が形成されており、これら第3配線100はそれぞれ他面12まで引き延ばされている。そして、他面12にて露出する第3配線100がパッド80と電気的に接続されている。
【0087】
以上説明したように、本実施形態では、ダイヤフラム30が第1半導体基板10から第2半導体基板20に渡って形成されており、ダイヤフラム30の測定媒体を受圧する面積を大きくすることができるため、感度を向上させることができる。
【0088】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態について説明する。本実施形態の圧力センサの製造方法は、第1実施形態に対して、第1ウェハ10aにゲージ抵抗形成用トレンチを形成し、ゲージ抵抗形成用トレンチの底面にイオン注入することによりゲージ抵抗40を形成したものであり、その他に関しては上記第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図11は、本実施形態における圧力センサの製造工程を示す図である。
【0089】
まず、図11(a)に示されるように、第1ウェハ10aを用意する。そして、図11(b)に示されるように、第1ウェハ10aの他面12に図示しないエッチングマスクを形成すると共に当該エッチングマスクをパターニングして後述のゲージ抵抗形成用トレンチ形成領域に対応する領域を開口し、エッチングマスクを用いて異方性エッチングを行うことにより、ゲージ抵抗形成用トレンチ17を形成する。
【0090】
続いて、図11(c)に示されるように、ゲージ抵抗形成用トレンチの底面に不純物をイオン注入すると共に熱処理してゲージ抵抗40を形成する。なお、イオン注入する際には、加速電圧を適宜調整しながら不純物をイオン注入することにより、ゲージ抵抗40が上記図1(c)に示す配置となるようにする。その後、図11(d)に示されるように、ゲージ抵抗形成用トレンチ17にAl等を埋め込んで第1配線50を形成すると共に、他面12にAl等を配置してパターニング等することにより第2配線60を形成する。
【0091】
次に、図11(e)に示されるように、第1ウェハ10aの一面11に第1凹部13を形成し、図11(f)に示されるように、第1ウェハ10aの一面11に第2ウェハ20aを接合すると共に第1ウェハ10aの他面12に図示しない保護膜を配置し、この保護膜にコンタクトホールを形成して第2配線60と電気的に接続されるパッド80を形成する。その後、図11(g)に示されるように、異方性エッチングにより貫通トレンチ14を形成し、第1凹部13を構成する側面の一部と当該側面の一部と平行となる貫通トレンチ14の側面との間の部分にて構成され、ゲージ抵抗40が形成されているダイヤフラム30を形成する。
【0092】
本実施形態の製造方法においても、異方性エッチングにより形成された第1凹部13の側面の一部を含んでダイヤフラム30を形成することができるため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0093】
(他の実施形態)
上記第1〜第5、第7実施形態では、第2配線60が、第1半導体基板10の他面12の表層部に形成されている例について説明したが、第2配線60が第1半導体基板10の他面12側の表面に形成されていてもよい。言い換えると、第2配線60は、第1半導体基板10の他面12側から露出していてもよい。すなわち、第2配線60としては、例えば、第1半導体基板10の他面12上に形成されたAl配線等を用いることもできる。
【0094】
また、上記第1〜第5、第7実施形態では、上記第6実施形態のように、第1配線50をゲージ抵抗40から一面11側に向かって形成し、第2配線60を一面11側の表面に形成してもよい。この場合は、第2配線60の終端部に第3配線100を形成すればよい。
【0095】
そして、上記第1〜第5、第7実施形態では、ゲージ抵抗40とパッド80との電気的な接続を第1、第2配線50、60を介して行っているが、例えば、第1配線50のみを介して行ってもよい。すなわち、第1配線50を第1半導体基板10における他面12の表面まで引き延ばし、第1配線50とパッド80とを電気的に接続してもよい。
【0096】
さらに、上記第1〜第5、第7実施形態では、第2基板としてシリコン基板等の第2半導体基板20を用いた例について説明したが、第2基板としてガラス基板等を用いることもできる。
【0097】
また、上記第1〜第7実施形態では、圧力基準室90が真空圧である例について説明したが、例えば、圧力基準室90は大気圧であってもよい。この場合は、大気圧下で第1ウェハ10aと第2ウェハ20aとを接合すればよい。
【0098】
上記第1実施形態では、ゲージ抵抗40および第1配線50を構成する不純物を貫通トレンチ14を通過させてダイヤフラム30にイオン注入する例について説明したが、例えば、第1半導体基板10における他面12と垂直な方向から加速電圧を変化させながらイオン注入してゲージ抵抗40や第1配線50を所望の場所に形成してもよい。この場合は、貫通トレンチ14の開口幅の長さを詳細に設定しなくてもよい。
【0099】
また、上記第2実施形態では、ダイヤフラム30を(110)面とし、一面11および他面12を(100)面とした例ついて説明したが、例えば、ダイヤフラム30を(100)面とし、一面11および他面12を(110)面とすることもできる。
【0100】
そして、上記第3実施形態では、ダイヤフラム30が一面11に対して垂直とされた例について説明したが、上記第2実施形態のようにダイヤフラム30が一面11に対して所定角度傾斜して非垂直とされていてもよい。また、図6(c)の工程を行った後に図6(e)の工程を行って貫通孔16を形成し、その後図6(d)の工程を行ってゲージ抵抗40等を形成してもよい。
【0101】
また、上記第4実施形態では、第1半導体基板10に二つの第1凹部13が形成されている例について説明したが、例えば、第1半導体基板10に形成される第1凹部13は三つであってもよいし、四つであってもよい。
【0102】
上記第5実施形態では、ダイヤフラム30の厚さを変更して測定レンジを異ならせるものについて説明したが、例えば、第1凹部13の深さを変更してダイヤフラム30の測定媒体を受圧する面積を異ならせることにより、測定レンジを異ならせるようにしてもよい。
【0103】
上記第7実施形態では、ゲージ抵抗形成用トレンチ17を形成し、当該ゲージ抵抗形成用トレンチ17の底面に対して不純物をイオン注入してゲージ抵抗40を形成する例について説明したが、次のようにすることもできる。すなわち、ゲージ抵抗形成用トレンチ17を形成せずに、第1ウェハ10aの他面12から加速電圧を適宜調整しながら不純物をイオン注入することにより、ゲージ抵抗40を所望の場所に形成するようにしてもよい。
【0104】
そして、上記各実施形態を組み合わせた圧力センサとすることもできる。例えば、上記第4、第5実施形態を第2実施形態に組み合わせて、複数の第1凹部13を有し、各第1凹部13の側面の一部で構成されるダイヤフラム30がそれぞれ一面11に対して所定角度傾斜して非垂直とされていてもよい。
【0105】
また、上記第4、第5実施形態を上記第3実施形態に組み合わせて、例えば、第1半導体基板10に二つの第1凹部13と二つの第2凹部15とを形成してもよい。このような圧力センサでは、第2凹部15の一方にフィルタ前のエンジンオイル、排気ガス等の測定媒体を導入すると共に、第2凹部15の他方にフィルタ後のエンジンオイル、排気ガス等の測定媒体を導入して差圧センサとして利用することもできる。
【0106】
さらに、上記第6実施形態を上記第2〜第5実施形態に組み合わせて、第2半導体基板20に第3凹部23を形成し、ダイヤフラム30の測定媒体を受圧する面積を大きくしてもよい。
【0107】
また、上記第3〜第6実施形態において、上記第7実施形態のように、ゲージ抵抗40を形成した後に、第1凹部13や貫通トレンチ14等を形成して、ゲージ抵抗40が形成されたダイヤフラム30を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0108】
10 第1半導体基板
13 第1凹部
20 第2半導体基板
30 ダイヤフラム
40 ゲージ抵抗
50 第1配線
60 第2配線
70 拡散層
80 パッド
90 圧力基準室
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異方性エッチングによって第1凹部(13)が形成された一面(11)を有する第1基板(10)と、
前記第1凹部(13)が密閉空間となるように前記第1基板(10)の前記一面(11)に接合された一面(21)を有する第2基板(20)と、を備え、
前記第1凹部(13)は、測定媒体の圧力に応じて変形可能な側面を有しており、
前記第1基板(10)には、前記側面の変形に応じて抵抗値が変化するゲージ抵抗(40)が設けられていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
前記側面と前記側面の裏面とは互いに平行とされており、前記側面と前記裏面との間の部分を含んでダイヤフラム(30)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記側面の裏面は、測定媒体に晒されていることを特徴とする請求項1または2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記側面の裏面は、前記第1基板(10)の端面であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記第1基板(10)には、前記第1凹部(13)に加えて、前記第1基板(10)における前記一面(11)に、前記裏面を構成する第2凹部(15)が異方性エッチングにより形成されることで前記ダイヤフラム(30)が構成されており、前記第1基板(10)における前記一面(11)と反対側の他面(12)に、前記第2凹部(15)と外部とを連通する貫通孔(16)が形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記第1基板(10)には、前記側面を有する前記第1凹部(13)が複数形成されていると共に、複数の前記第1凹部(13)の前記側面のそれぞれの変形に応じて抵抗値が変化する
前記ゲージ抵抗(40)が複数形成されており、
前記ダイヤフラム(30)は、複数の前記第1凹部(13)の前記側面と、前記側面の裏面との間の部分を含んで複数形成されていることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項7】
複数の前記ダイヤフラム(30)は、それぞれ同じ厚さとされており、かつ前記測定媒体を受圧する面積が等しくされていることを特徴とする請求項6に記載の圧力センサ。
【請求項8】
複数の前記ダイヤフラム(30)は、それぞれ厚さが異なっていることを特徴とする請求項6に記載の圧力センサ。
【請求項9】
前記複数のダイヤフラム(30)の前記測定媒体を受圧する面積は、それぞれ異なっていることを特徴とする請求項6に記載の圧力センサ。
【請求項10】
前記第2基板(20)には、前記第1基板(10)に形成された前記第1凹部(13)と対向する領域に、前記側面と連なっていると共に前記側面と平行とされ、前記測定媒体の圧力に応じて変形可能とされた側面を有する第3凹部(23)が形成されており、
前記ダイヤフラム(30)は、前記第1凹部(13)の前記側面および前記第3凹部(23)の前記側面と、前記第1、前記第3凹部(13、33)の側面の裏面との間の部分により構成され、前記第1基板(10)から前記第2基板(20)に渡って形成されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項11】
第1、第2基板(10、20)が接合されてなり、測定媒体の圧力に応じて変形可能なダイヤフラム(30)と、前記ダイヤフラム(30)に形成された当該ダイヤフラム(30)の変形に応じて抵抗値が変化するゲージ抵抗(40)とを有する圧力センサの製造方法において、
複数のチップ形成領域を有すると共に一面(11)を有し、チップ単位に分割されたときに前記第1基板(10)を構成する第1ウェハ(10a)を用意する工程と、
前記第1ウェハ(10a)における前記チップ形成領域のそれぞれに前記一面(11)から異方性エッチングにより第1凹部(13)を形成する工程と、
前記第1ウェハ(10a)の前記一面(11)に第2ウェハ(20a)を接合して前記第1凹部(13)を閉塞する工程と、
前記第1ウェハ(10a)の前記チップ形成領域のそれぞれに前記他面(12)から異方性エッチングにより、前記第1凹部(13)の側面の一部と平行な側面を有する貫通トレンチ(14)を形成して、当該側面の一部と前記平行な側面との間の部分で構成される前記ダイヤフラム(30)を形成する工程と、
前記ダイヤフラム(30)に前記ゲージ抵抗(40)を形成する工程と、を含む工程を行うことを特徴とする圧力センサの製造方法。
【請求項12】
前記第1凹部(13)を形成する工程では、前記一面(11)に対して垂直な側面を有する第1凹部(13)を形成し、
前記ダイヤフラム(30)を形成する工程では、前記一面(11)に貫通トレンチ(14)を形成して前記一面(11)と垂直な前記ダイヤフラム(30)を形成し、
前記ゲージ抵抗(40)を形成する工程では、前記一面(11)に対して所定角度傾斜した方向から不純物を前記貫通トレンチ(14)内を通過させて前記ダイヤフラム(30)にイオン注入する工程を行うことを特徴とする請求項11に記載の圧力センサの製造方法。
【請求項13】
前記第1凹部(13)を形成する工程では、前記一面(11)に対して所定角度傾斜した非垂直な側面を有する前記第1凹部(13)を形成し、
前記ダイヤフラム(30)を形成する工程では、前記一面(11)に貫通トレンチ(14)を形成して前記一面(11)に対して所定角度傾斜した非垂直な前記ダイヤフラム(30)を形成し、
前記ゲージ抵抗(40)を形成する工程では、前記一面(11)と反対側の他面(12)の垂直方向から不純物をイオン注入する工程を行うことを特徴とする請求項11に記載の圧力センサの製造方法。
【請求項14】
第1、第2基板(10、20)が接合されてなり、測定媒体の圧力に応じて変形可能なダイヤフラム(30)と、前記ダイヤフラム(30)に形成された当該ダイヤフラム(30)の変形に応じて抵抗値が変化するゲージ抵抗(40)とを有する圧力センサの製造方法において、
複数のチップ形成領域を有すると共に一面(11)を有し、チップ単位に分割されたときに前記第1基板(10)を構成する第1ウェハ(10a)を用意する工程と、
前記第1ウェハ(10a)の前記チップ形成領域のそれぞれに前記ゲージ抵抗(40)を形成する工程と、
前記第1ウェハ(10a)の前記チップ形成領域のそれぞれに前記一面(11)から異方性エッチングにより第1凹部(13)を形成する工程と、
前記第1ウェハ(10a)の前記一面(11)に第2ウェハ(20a)を接合して前記第1凹部(13)を閉塞する工程と、
前記第1ウェハ(10a)の前記チップ形成領域のそれぞれに前記他面(12)から異方性エッチングにより、前記第1凹部(13)の側面の一部と平行な側面を有する貫通トレンチ(14)を形成して、当該側面の一部と前記平行な側面との間の部分で構成され、前記ゲージ抵抗(40)が形成された前記ダイヤフラム(30)を形成する工程と、を含む工程を行うことを特徴とする圧力センサの製造方法。
【請求項15】
前記ゲージ抵抗を形成する工程では、前記第1ウェハ(10a)にゲージ抵抗形成用トレンチ(17)を形成し、当該ゲージ抵抗形成用トレンチ(17)の底面に対して不純物をイオン注入することを特徴とする請求項14に記載の圧力センサの製造方法。
【請求項16】
前記第1凹部(13)を形成する際および前記貫通トレンチ(14)を形成する際には、前記異方性エッチングとしてドライエッチングまたはガス・クラスターエッチングを行うことを特徴とする請求項11ないし15のいずれか1つに記載の圧力センサの製造方法。
【請求項17】
第1、第2基板(10、20)が接合されてなり、測定媒体の圧力に応じて変形可能なダイヤフラム(30)と、前記ダイヤフラム(30)に形成された当該ダイヤフラム(30)の変形に応じて抵抗値が変化するゲージ抵抗(40)とを有する圧力センサの製造方法において、
複数のチップ形成領域を有すると共に一面(11)を有し、チップ単位に分割されたときに前記第1基板(10)を構成する第1ウェハ(10a)を用意する工程と、
前記第1ウェハ(10a)の前記チップ形成領域のそれぞれに前記一面(11)から異方性エッチングにより、第1凹部(13)と、当該第1凹部(13)の側面の一部と平行な側面を有する第2凹部(15)を形成して、当該側面の一部と前記平行な側面との間の部分で構成される前記ダイヤフラム(30)を形成する工程と、
前記ダイヤフラム(30)に前記ゲージ抵抗(40)を形成する工程と、を含む工程を行うことを特徴とする圧力センサの製造方法。
【請求項18】
前記第1、第2凹部(13、15)を形成する際には、前記異方性エッチングとしてドライエッチングまたはガス・クラスターエッチングを行うことを特徴とする請求項17に記載の圧力センサの製造方法。
【請求項1】
異方性エッチングによって第1凹部(13)が形成された一面(11)を有する第1基板(10)と、
前記第1凹部(13)が密閉空間となるように前記第1基板(10)の前記一面(11)に接合された一面(21)を有する第2基板(20)と、を備え、
前記第1凹部(13)は、測定媒体の圧力に応じて変形可能な側面を有しており、
前記第1基板(10)には、前記側面の変形に応じて抵抗値が変化するゲージ抵抗(40)が設けられていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
前記側面と前記側面の裏面とは互いに平行とされており、前記側面と前記裏面との間の部分を含んでダイヤフラム(30)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記側面の裏面は、測定媒体に晒されていることを特徴とする請求項1または2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記側面の裏面は、前記第1基板(10)の端面であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記第1基板(10)には、前記第1凹部(13)に加えて、前記第1基板(10)における前記一面(11)に、前記裏面を構成する第2凹部(15)が異方性エッチングにより形成されることで前記ダイヤフラム(30)が構成されており、前記第1基板(10)における前記一面(11)と反対側の他面(12)に、前記第2凹部(15)と外部とを連通する貫通孔(16)が形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記第1基板(10)には、前記側面を有する前記第1凹部(13)が複数形成されていると共に、複数の前記第1凹部(13)の前記側面のそれぞれの変形に応じて抵抗値が変化する
前記ゲージ抵抗(40)が複数形成されており、
前記ダイヤフラム(30)は、複数の前記第1凹部(13)の前記側面と、前記側面の裏面との間の部分を含んで複数形成されていることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項7】
複数の前記ダイヤフラム(30)は、それぞれ同じ厚さとされており、かつ前記測定媒体を受圧する面積が等しくされていることを特徴とする請求項6に記載の圧力センサ。
【請求項8】
複数の前記ダイヤフラム(30)は、それぞれ厚さが異なっていることを特徴とする請求項6に記載の圧力センサ。
【請求項9】
前記複数のダイヤフラム(30)の前記測定媒体を受圧する面積は、それぞれ異なっていることを特徴とする請求項6に記載の圧力センサ。
【請求項10】
前記第2基板(20)には、前記第1基板(10)に形成された前記第1凹部(13)と対向する領域に、前記側面と連なっていると共に前記側面と平行とされ、前記測定媒体の圧力に応じて変形可能とされた側面を有する第3凹部(23)が形成されており、
前記ダイヤフラム(30)は、前記第1凹部(13)の前記側面および前記第3凹部(23)の前記側面と、前記第1、前記第3凹部(13、33)の側面の裏面との間の部分により構成され、前記第1基板(10)から前記第2基板(20)に渡って形成されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項11】
第1、第2基板(10、20)が接合されてなり、測定媒体の圧力に応じて変形可能なダイヤフラム(30)と、前記ダイヤフラム(30)に形成された当該ダイヤフラム(30)の変形に応じて抵抗値が変化するゲージ抵抗(40)とを有する圧力センサの製造方法において、
複数のチップ形成領域を有すると共に一面(11)を有し、チップ単位に分割されたときに前記第1基板(10)を構成する第1ウェハ(10a)を用意する工程と、
前記第1ウェハ(10a)における前記チップ形成領域のそれぞれに前記一面(11)から異方性エッチングにより第1凹部(13)を形成する工程と、
前記第1ウェハ(10a)の前記一面(11)に第2ウェハ(20a)を接合して前記第1凹部(13)を閉塞する工程と、
前記第1ウェハ(10a)の前記チップ形成領域のそれぞれに前記他面(12)から異方性エッチングにより、前記第1凹部(13)の側面の一部と平行な側面を有する貫通トレンチ(14)を形成して、当該側面の一部と前記平行な側面との間の部分で構成される前記ダイヤフラム(30)を形成する工程と、
前記ダイヤフラム(30)に前記ゲージ抵抗(40)を形成する工程と、を含む工程を行うことを特徴とする圧力センサの製造方法。
【請求項12】
前記第1凹部(13)を形成する工程では、前記一面(11)に対して垂直な側面を有する第1凹部(13)を形成し、
前記ダイヤフラム(30)を形成する工程では、前記一面(11)に貫通トレンチ(14)を形成して前記一面(11)と垂直な前記ダイヤフラム(30)を形成し、
前記ゲージ抵抗(40)を形成する工程では、前記一面(11)に対して所定角度傾斜した方向から不純物を前記貫通トレンチ(14)内を通過させて前記ダイヤフラム(30)にイオン注入する工程を行うことを特徴とする請求項11に記載の圧力センサの製造方法。
【請求項13】
前記第1凹部(13)を形成する工程では、前記一面(11)に対して所定角度傾斜した非垂直な側面を有する前記第1凹部(13)を形成し、
前記ダイヤフラム(30)を形成する工程では、前記一面(11)に貫通トレンチ(14)を形成して前記一面(11)に対して所定角度傾斜した非垂直な前記ダイヤフラム(30)を形成し、
前記ゲージ抵抗(40)を形成する工程では、前記一面(11)と反対側の他面(12)の垂直方向から不純物をイオン注入する工程を行うことを特徴とする請求項11に記載の圧力センサの製造方法。
【請求項14】
第1、第2基板(10、20)が接合されてなり、測定媒体の圧力に応じて変形可能なダイヤフラム(30)と、前記ダイヤフラム(30)に形成された当該ダイヤフラム(30)の変形に応じて抵抗値が変化するゲージ抵抗(40)とを有する圧力センサの製造方法において、
複数のチップ形成領域を有すると共に一面(11)を有し、チップ単位に分割されたときに前記第1基板(10)を構成する第1ウェハ(10a)を用意する工程と、
前記第1ウェハ(10a)の前記チップ形成領域のそれぞれに前記ゲージ抵抗(40)を形成する工程と、
前記第1ウェハ(10a)の前記チップ形成領域のそれぞれに前記一面(11)から異方性エッチングにより第1凹部(13)を形成する工程と、
前記第1ウェハ(10a)の前記一面(11)に第2ウェハ(20a)を接合して前記第1凹部(13)を閉塞する工程と、
前記第1ウェハ(10a)の前記チップ形成領域のそれぞれに前記他面(12)から異方性エッチングにより、前記第1凹部(13)の側面の一部と平行な側面を有する貫通トレンチ(14)を形成して、当該側面の一部と前記平行な側面との間の部分で構成され、前記ゲージ抵抗(40)が形成された前記ダイヤフラム(30)を形成する工程と、を含む工程を行うことを特徴とする圧力センサの製造方法。
【請求項15】
前記ゲージ抵抗を形成する工程では、前記第1ウェハ(10a)にゲージ抵抗形成用トレンチ(17)を形成し、当該ゲージ抵抗形成用トレンチ(17)の底面に対して不純物をイオン注入することを特徴とする請求項14に記載の圧力センサの製造方法。
【請求項16】
前記第1凹部(13)を形成する際および前記貫通トレンチ(14)を形成する際には、前記異方性エッチングとしてドライエッチングまたはガス・クラスターエッチングを行うことを特徴とする請求項11ないし15のいずれか1つに記載の圧力センサの製造方法。
【請求項17】
第1、第2基板(10、20)が接合されてなり、測定媒体の圧力に応じて変形可能なダイヤフラム(30)と、前記ダイヤフラム(30)に形成された当該ダイヤフラム(30)の変形に応じて抵抗値が変化するゲージ抵抗(40)とを有する圧力センサの製造方法において、
複数のチップ形成領域を有すると共に一面(11)を有し、チップ単位に分割されたときに前記第1基板(10)を構成する第1ウェハ(10a)を用意する工程と、
前記第1ウェハ(10a)の前記チップ形成領域のそれぞれに前記一面(11)から異方性エッチングにより、第1凹部(13)と、当該第1凹部(13)の側面の一部と平行な側面を有する第2凹部(15)を形成して、当該側面の一部と前記平行な側面との間の部分で構成される前記ダイヤフラム(30)を形成する工程と、
前記ダイヤフラム(30)に前記ゲージ抵抗(40)を形成する工程と、を含む工程を行うことを特徴とする圧力センサの製造方法。
【請求項18】
前記第1、第2凹部(13、15)を形成する際には、前記異方性エッチングとしてドライエッチングまたはガス・クラスターエッチングを行うことを特徴とする請求項17に記載の圧力センサの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−78239(P2012−78239A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224693(P2010−224693)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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