説明

地図表示装置

【課題】道路と渋滞特定情報が重ねて表示される場合に道路を優先して表示することにより、道路と道路の渋滞状況を示す渋滞特定情報とを同時に表示する場合であっても道路を見易く表示することを可能にした地図表示装置を提供する。
【解決手段】液晶ディスプレイ15に対して道路を含む地図画像を表示する際であって、特に渋滞特定ライン71等の渋滞情報を示す画像と高規格道路73の画像とが重ねて表示されてしまう1/8万以下の縮尺で地図を表示する場合(S8:YES)には、高規格道路73を渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72より優先して表示する第1描画順位を描画順位として設定し(S10)、画像の描画を行う(S11)ように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路とともに道路に対する渋滞状況を示す渋滞特定情報を表示した地図表示装置に関し、特に、道路と渋滞特定情報が重ねて表示される場合に道路を優先して表示することにより、道路と道路の渋滞状況を示す渋滞特定情報とを同時に表示する場合であっても道路を見易く表示することを可能にした地図表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車載用のナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話機などの携帯情報機器、パーソナルコンピュータ等では、地図情報として一般道路及び高速道路等の道路や施設名称等を各種記憶デバイスに記憶するか、又はサーバ等からダウンロードすることにより、利用者に対して所望のエリアの地図を表示することが可能となっている。
【0003】
更に、従来のナビゲーション装置等では地図を表示するのみでなく、利用者の利便性をより向上させる為に表示された道路の渋滞状況を示すことについても行われていた。例えば、特開平9−145389号公報には、地図上に道路交通情報を表示する際に、渋滞末尾から渋滞先頭に向けて渋滞区間を道路に沿った矢印で表示するとともに、渋滞末尾から渋滞先頭に向けて矢印の属性を徐々に変化させて表示することにより、矢印の属性を確認するだけで全体の渋滞長および残りの渋滞長を容易に確認することができる道路交通情報表示装置について記載されている。
【特許文献1】特開平9−145389号公報(第3頁〜第4頁、図2〜図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特に地図の縮尺を小さくして表示する広域モード表示では、画面上で同時に表示する必要のある道路が多くなり、解像度の関係上、明確な道路の表示や矢印の表示が困難となる。従って、前記した特許文献1に記載された道路交通情報表示装置のように渋滞区間を示す矢印等のマークをリンク毎に道路に沿って表示することとすると、渋滞しているリンク同士が接続される場合には、渋滞を示す矢印をリンク毎に区分して表示することができず、互いに繋がって表示されることとなっていた。そして、そのように矢印が繋がって表示される道路に対して交差点で交差する他方の道路を表示する際においては、矢印によって道路の一部が欠けてしまったり、道路が切断されてしまうこととなっていた。即ち、渋滞情報を表示することによって、本来表示すべき道路を適切に表示することができなくなる問題が生じていた。
また、特に交差点では一方の道路の渋滞区間を示す矢印と他方の道路の渋滞区間を示す矢印とが重なって表示されることとなるので、より道路が見難くなっていた。
更に、ナビゲーション装置やPDA等は、構造上の問題から地図を表示する画面を一定以上に大きくすることができないので、特に上記のような問題が重要となっていた。
【0005】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、道路とともに道路の渋滞状況を示す渋滞特定情報を表示しつつも、道路を利用者に対して見易く表示することを可能にした地図表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る地図表示装置(1)は、道路に関する情報を含む地図情報を取得する地図情報取得手段(13)と、前記道路に係る渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段(17)と、前記地図情報取得手段で取得された地図情報と前記渋滞情報取得手段によって取得された渋滞情報とに基づいて、道路と道路に対する渋滞状況を示す渋滞特定情報とを表示する地図表示手段(15)と、を有する地図表示装置において、前記地図表示手段に表示する前記道路と前記渋滞特定情報が重ねて表示されるか否かを判定する表示判定手段(13)を備え、前記地図表示手段は前記表示判定手段によって重ねて表示されると判定された場合に当該重ねて表示される部分において前記道路を前記渋滞特定情報より優先して表示することを特徴とする。
ここで、「優先して表示する」とは、道路を渋滞特定情報に対して上書きして表示すること、道路を渋滞特定情報より強調して表示する(例えば、道路を示す線を太くしたり、道路を点滅させたり、道路を示す線の色を変更したりして表示する)こと、道路のみを表示すること等を含む。
【0007】
また、請求項2に係る地図表示装置(1)は、道路に関する情報を含む地図情報を取得する地図情報取得手段(13)と、前記道路に係る渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段(17)と、地図の縮尺を設定する縮尺設定手段(13)と、前記地図情報取得手段で取得された地図情報と前記渋滞情報取得手段によって取得された渋滞情報とに基づいて、前記縮尺設定手段で設定された縮尺で道路と道路に対する渋滞状況を示す渋滞特定情報とを表示する地図表示手段(15)と、を有する地図表示装置において、前記縮尺設定手段によって所定の縮尺に設定されているか否かを判定する縮尺判定手段(13)を備え、前記地図表示手段は前記縮尺判定手段によって前記所定の縮尺に設定されていると判定された場合に前記道路を前記渋滞特定情報より優先して表示することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る地図表示装置(1)は、請求項1又は請求項2に記載の地図表示装置であって、渋滞特定情報の画像を前記地図表示手段(15)に対して描画する第1画像描画手段(13)と、道路の画像を前記地図表示手段に対して描画する第2画像描画手段(13)と、を備え、前記第2画像描画手段は前記表示判定手段(13)によって重ねて表示されると判定された場合又は前記縮尺設定手段(13)によって前記所定の縮尺に設定されていると判定された場合に、前記第1画像描画手段によって描画された渋滞特定情報の画像に上書きして道路の画像を描画することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る地図表示装置(1)は、請求項1又は請求項2に記載の地図表示装置であって、渋滞特定情報の画像を前記地図表示手段(15)に対して描画する第1画像描画手段(13)と、道路の画像を前記地図表示手段に対して描画する第2画像描画手段(13)と、を備え、前記第1画像描画手段は前記表示判定手段(13)によって重ねて表示されると判定された場合又は前記縮尺判定手段(13)によって前記所定の縮尺に設定されていると判定された場合に、前記第2画像描画手段によって描画された道路の画像と重なる部分において描画を行わないことを特徴とする。
【0010】
更に、請求項5に係る地図表示装置(1)は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の地図表示装置であって、前記道路は高規格道路及び低規格道路を含み、前記地図表示手段(15)は前記高規格道路を前記渋滞特定情報より優先して表示することを特徴とする。
ここで、「高規格道路」とは高速道路、国道、県道などの主要な道路をいう。
また、「低規格道路」とは高規格道路以外の市道、細街路などの道路をいう。
【発明の効果】
【0011】
前記構成を有する請求項1に係る地図表示装置では、道路と道路に対する渋滞状況を示す渋滞特定情報とを表示する場合であって、道路と渋滞特定情報とが重ねて表示されると判定された際に、重ねて表示される部分において道路を渋滞特定情報より優先して表示するので、道路とともに道路の渋滞状況を示す渋滞特定情報を表示しつつも、表示された道路の一部が欠けてしまったり、道路が切断されてしまうことがない。従って、地図を表示する縮尺を小さくした場合や表示画面を小さくした場合でも、利用者に対して本来必要な道路の情報を見易く表示することが可能となる。
【0012】
また、請求項2に係る地図表示装置では、道路と道路に対する渋滞状況を示す渋滞特定情報とを表示する場合であって、地図を所定の縮尺で表示する際に、道路を渋滞特定情報より優先して表示するので、道路とともに道路の渋滞状況を示す渋滞特定情報を表示しつつも、表示された道路の一部が欠けてしまったり、道路が切断されてしまうことがない。従って、地図を表示する縮尺を小さくした場合や表示画面を小さくした場合でも、利用者に対して本来必要な道路の情報を見易く表示することが可能となる。
【0013】
また、請求項3に係る地図表示装置では、渋滞特定情報の画像を地図表示手段に対して描画した後に、道路の画像を上書きして描画するので、道路とともに道路の渋滞状況を示す渋滞特定情報を表示した場合であっても、道路の全体が必ず表示される。従って、表示された道路の一部が欠けてしまったり、道路が切断されてしまうことがない。
【0014】
また、請求項4に係る地図表示装置では、渋滞特定情報の画像と道路の画像が重なる場合に重なる部分において渋滞特定情報を描画しないようにするので、道路とともに道路の渋滞状況を示す渋滞特定情報を表示した場合であっても、道路の全体が必ず表示される。従って、表示された道路の一部が欠けてしまったり、道路が切断されてしまうことがない。
【0015】
更に、請求項5に係る地図表示装置では、道路の内、特に高規格道路を渋滞特定情報より優先して表示するので、利用者にとって重要な主要道路を見やすくしつつ、且つ重要性の低い他の道路より渋滞状況を示す渋滞特定情報を優先して表示することができる。従って、道路と渋滞情報を利用者にとっての重要性を考慮して見易く表示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る地図表示装置についてナビゲーション装置に具体化した第1及び第2実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は第1実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
図1に示すように第1実施形態に係るナビゲーション装置1は、自車の現在位置を検出する現在地検出処理部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部(地図情報取得手段、表示判定手段、縮尺設定手段、縮尺判定手段、第1画像描画手段、第2画像描画手段)13と、操作者からの操作を受け付ける操作部14と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ(地図表示手段)15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、交通情報センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信装置(渋滞情報取得手段)17と、から構成されている。また、ナビゲーション制御部13には自車の走行速度を検出する車速センサ21が接続される。
【0018】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出処理部11は、GPS31、地磁気センサ32、距離センサ33、ステアリングセンサ34、方位検出部としてのジャイロセンサ35、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0019】
具体的には、GPS31は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在地及び現在時刻を検出し、地磁気センサ32は、地磁気を測定することによって自車方位を検出し、距離センサ33は、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。ここで、距離センサ33としては、例えば、自車の車輪(図示せず)の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するセンサ、加速度を測定し、測定した加速度を2回積分して距離を検出するセンサ等を使用することができる。
【0020】
また、ステアリングセンサ34は自車の舵(だ)角を検出する。ここで、ステアリングセンサ34としては、例えば、ステアリングホイール(図示せず)の回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
【0021】
そして、ジャイロセンサ35は自車の旋回角を検出する。ここで、ジャイロセンサ35としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ35によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出することができる。
【0022】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB22、渋滞情報履歴DB23、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、第1実施形態においては、データ記録部12の外部記憶装置及び記憶媒体としてハードディスクが使用されるが、ハードディスクのほかに、フレキシブルディスク等の磁気ディスクを外部記憶装置として使用することができる。また、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を外部記憶装置として使用することもできる。尚、地図情報DB22及び渋滞情報履歴DB23の詳細については後述する。
【0023】
更に、ナビゲーション制御部13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、表示する地図の縮尺に応じた描画順位に従って道路と渋滞状況を特定する渋滞特定ライン(図6(A)参照)等を液晶ディスプレイ15に描画する地図表示処理プログラム(図5参照)が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記録するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、前記RAM42、ROM43、フラッシュメモリ44等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用される。そして、演算装置及び制御装置としては、CPU41に代えてMPU等を使用することも可能である。
【0024】
また、第1実施形態においては、前記ROM43に各種のプログラムが記録され、前記データ記録部12に各種のデータが記録されるようになっているが、プログラム、データ等を同じ外部記憶装置、メモリーカード等からプログラム、データ等を読み出して前記フラッシュメモリ44に書き込むこともできる。更に、メモリーカード等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。
【0025】
更に、前記ナビゲーション制御部13には、操作部14、液晶ディスプレイ15、スピーカ16、通信装置17の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
【0026】
操作部14は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーション制御部13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。特に、第1実施形態に係るナビゲーション装置1では、操作部14の操作に基づいて液晶ディスプレイ15に表示された地図の縮尺を任意に変更することが可能となっている。尚、操作部14としては、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック、ライトペン、スタイラスペン等を使用することもできる。更に、液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0027】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。更に、第1実施形態に係るナビゲーション装置1では、地図画像は複数段階の縮尺(例えば、1/128万、1/64万、1/32万、1/16万、1/8万、1/4万、1/2万、1/1万、1/5000の9種類)で表示することが可能となっており、更に、各縮尺で地図画像を表示する際に表示された道路の渋滞状況を示す渋滞特定ラインや渋滞履歴特定ライン(渋滞特定情報)を道路の両側にそれぞれ表示する(図8、図11参照)。
そして、後述するように渋滞特定ライン及び渋滞履歴特定ラインは液晶ディスプレイ15に表示される道路より優先して表示されるが、地図画像を所定の縮尺(例えば1/8万以下の縮尺)で表示する際には高規格道路を示す道路が優先して表示される。尚、液晶ディスプレイ15の代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ等を使用したり、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することも可能である。
【0028】
また、スピーカ16は、ナビゲーション制御部13からの指示に基づいて誘導経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスを出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「300m先の交差点を右方向です。」や「この先の国道○○号線が渋滞しています。」等がある。なお、スピーカ16より出力される音声としては、合成された音声のほかに、各種効果音、予めテープやメモリ等に録音された各種の案内情報を出力することもできる。
【0029】
そして、通信装置17は、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ102(図2参照)等から送信された渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するビーコンレシーバである。また、通信装置17としては、LAN、WAN、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系において通信を可能とするネットワーク機器であっても良い。更に、通信装置17は前記情報センタからの情報の他に、ニュース、天気予報等の情報から成るFM多重情報を、FM放送局を介してFM多重放送として受信するFM受信機を備える。尚、前記ビーコンレシーバ及びFM受信機は、ユニット化されてVICSレシーバとして配設されるようになっているが、別々に配設することもできる。
【0030】
ここで、図2はナビゲーション装置1とVICSセンタ102とから構成される通信システム101を示した概略構成図である。図2に示すように、VICSセンタ102とナビゲーション装置1は、ネットワーク104を介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されている。
【0031】
また、VICSセンタ102は、サーバ111と、サーバ111に接続された情報記録部としての交通情報DB115と、センタ側通信装置116とを備える。また、サーバ111は、サーバ111の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU112、並びにCPU112が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM113、ナビゲーション装置1からの通信に基づいて交通情報DB115に格納された交通情報から必要な情報を抽出し、ナビゲーション装置1に対して送信するための各種の制御プログラムが記録されたROM114等の内部記憶装置を備えている。また、CPU112に代えてMPU等を使用することができる。
【0032】
そして、CPU112はナビゲーション装置1に対して車両周辺の交通情報を送信し、一方で、ナビゲーション装置1はVICSセンタ102から送信された交通情報に基づいて、液晶ディスプレイ15に表示された道路の両側に渋滞状況を特定する渋滞特定ライン等を表示する。
それによって、液晶ディスプレイ15を見た利用者は現在渋滞する道路と渋滞しない道路をそれぞれ容易に把握することが可能となる。
【0033】
次に、データ記録部12に格納された地図情報DB22について説明する。ここで、地図情報DB22には、経路案内及び地図表示に必要な地図データが記録されており、地図データは、例えば地図、道路、交通情報等の画像を液晶ディスプレイ15に描画するための画像描画データ24、道路(リンク)に関するリンクデータ25、ノード点に関するノードデータ26、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
【0034】
ここで、特に地図データを構成する画像描画データ24は、図3に示すように地図画像を複数段階の縮尺(例えば、1/128万、1/64万、1/32万、1/16万、1/8万、1/4万、1/2万、1/1万、1/5000の9種類)で液晶ディスプレイ15に描画する為の地図描画データ51と、高規格道路(高速道路、国道、県道等の主要な道路)の画像を前記複数段階の縮尺で液晶ディスプレイ15に描画する為の高規格道路描画データ52と、低規格道路(市道や細街路等の高規格道路を除く道路)の画像を前記複数段階の縮尺で液晶ディスプレイ15に描画する為の低規格道路描画データ53と、VICSセンタ102から送信されたリアルタイムの交通情報(例えば渋滞情報、速度規制情報、通行止め情報)に基づいて特に現在の道路の渋滞区間を特定する渋滞特定ライン等を液晶ディスプレイ15に描画する為の動的交通情報描画データ54と、現在の日時と渋滞情報履歴DB23(図4参照)に格納された情報とに基づいて統計的に予測された現在の道路の渋滞区間を特定する渋滞履歴特定ラインを液晶ディスプレイ15に描画する為の静的交通情報描画データ55とから構成されている。
そして、ナビゲーション制御部13は画像描画データ24の各描画データを読み出し、後述するように縮尺に応じた優先順位に従って各画像の描画を行う(図5のS10)。
【0035】
また、リンクデータとしては、地図データにおいて道路を構成する各リンクに関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、自動車専用道路、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。更に、有料道路に関して、有料道路の入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)等に関するデータが記録される。
【0036】
また、ノードデータとしては、地図データにおいて道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)、各道路に曲率半径等に応じて所定の距離ごとに設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクのリンク番号のリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
【0037】
また、探索データとしては、地図データにおいて設定された目的地までの経路を探索及び表示する際に使用されるデータについて記録されており、ノードを通過する際のコスト(以下、ノードコストという)や道路を構成するリンクのコスト(以下、リンクコストという)からなる探索コストを算出する為に使用するコストデータ、リンクを通過するのに必要な旅行時間、経路探索により選択された経路を液晶ディスプレイ15の地図上に表示するための経路表示データ等から構成されている。
ここで、ノードコストは交差点に対応するノードに対して基本的に設定されており、第1実施形態に係るナビゲーション装置1では、信号の有無や交差点を通過する際の自車の走行経路(即ち直進、右折及び左折の種類)によってその値が決定される。
また、リンクコストは、リンクを構成する道路属性や道路種別、道路幅、車線数、リンク長さに加え、VICSセンタ102から送信された渋滞情報や速度規制情報等の交通情報や渋滞情報履歴DB23(図4参照)によって特定された渋滞度についても考慮して算出される。
【0038】
また、施設データとしては、各地域のホテル、病院、ガソリンスタンド、駐車場、観光施設、インターチェンジ、レストラン、サービスエリア等の建物に関するデータが建物を特定する施設IDとともに記録される。なお、前記地図情報DB22には、所定の情報をナビゲーション装置1のスピーカ16によって出力するための音声出力データも記録される。
【0039】
そして、ナビゲーション制御部13が経路を探索する際には、地図データにおける探索データ中の道路データを調査して、所定の探索条件(例えば、到着時間を優先する「時間優先」)に基づいて探索に使用されるメッシュに含まれる道路(リンク及びノード)についての探索コスト(ノードコスト及びリンクコスト)を計算し、経路を探索する。具体的には、出発地側及び目的地側から経路の探索が行われ、出発地側からの探索と目的地側からの探索との重なり部分において、出発地側から累積された探索コストと目的地側から累積された探索コストとを加算した値、即ち、コスト加算値が算出される。その結果、コストが小さい順に経路を複数本(例えば3本)選択し、最もコスト加算値が小さくなった経路、又は利用者によって選択された経路を誘導経路として設定する。
【0040】
また、これら地図情報DB22の内容は、DVDや外部に接続したメモリーカード等の記録媒体から情報を転送すること、又は特定の情報センタ等から通信装置17を介して情報をダウンロードすること等によって更新される。
【0041】
次に、渋滞情報履歴DB23について図4を用いて説明する。図4は第1実施形態に係る渋滞情報履歴DB23の記憶領域ついて示した図である。ここで、過去の交通情報に基づいて渋滞情報履歴DB23は渋滞の発生する区間と時刻とをそれぞれ規定した情報を記憶する記憶手段である。
【0042】
図4に示すように、第1実施形態に係る渋滞情報履歴DB23には、リンクを特定するリンク番号と、曜日及び時間帯と、リンク番号によって特定されるリンクの各曜日及び各時間帯での渋滞の程度を特定する渋滞度とが記憶されている。
ここで、渋滞度は「1」、「2」、「3」の3種類の数値のいずれかによって設定され、「1」が設定されたリンクではその時間帯に渋滞が発生しないことを意味する。一方、「2」が設定されたリンクではその時間帯に渋滞が発生し、リンクを走行するのに通常の2倍程度の時間が必要となることを意味する。また、「3」が設定されたリンクではその時間帯に渋滞が発生し、リンクを走行するのに通常の3倍程度の時間が必要となることを意味する。
例えば、図4に示す渋滞情報履歴DB23では、リンク番号XZ1のリンクについて、月曜日の8:15〜8:30の間は渋滞度が「2」に設定され、8:30〜8:45の間は渋滞度が「3」に設定され、8:45〜9:00の間は渋滞度が「2」に設定されていることを示している。
【0043】
そして、ナビゲーション制御部13は、渋滞情報履歴DB23によって前記地図情報DB22に記憶された地図データに含まれるリンク毎に、各曜日及び各時間帯における渋滞度を検出することが可能となる。その結果、後述するように現在時刻で渋滞の発生するリンク(即ち、渋滞度が「1」以外のリンク)が検出された場合には、そのリンクを現在に渋滞が発生する渋滞区間と予測し、渋滞履歴特定ライン(図6(B)参照)を道路の両側に表示することによって利用者に報知する。
尚、渋滞情報履歴DB23はナビゲーション装置1の出荷時に予めデータ記録部12に対して記憶されているが、通信装置17を介して交通情報センタから受信した情報に基づいて渋滞情報履歴DB23の内容の更新を行うようにしても良い。また、自車の走行履歴に基づいて渋滞情報履歴DB23の内容を更新するようにしても良い。
【0044】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてCPU41が実行する地図表示処理プログラムについて図5に基づき説明する。図5は第1実施形態に係る地図表示処理プログラムのフローチャートである。ここで、地図表示処理プログラムは表示する地図の縮尺に応じた描画順位に従って道路と渋滞状況を特定する渋滞特定情報を液晶ディスプレイ15に描画するプログラムである。尚、以下の図5にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、所定時間間隔(例えば4ms毎)にCPU41により実行される。
【0045】
先ず、地図表示処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は、車両のイグニションがONされたか否か、又は液晶ディスプレイ15に表示される地図の縮尺が変更されたか否かを判定する。尚、地図の縮尺の変更については、操作部14の操作に基づいて利用者が任意に縮尺を変更する場合や、交差点が接近したことに基づいてナビゲーション制御部13が自動的に縮尺を変更する場合がある。
【0046】
続いて、S2では液晶ディスプレイ15に対して表示する地図の縮尺を設定する。具体的に、車両のイグニションがONされて液晶ディスプレイ15に対して地図画像を最初に表示する場合には、予め初期値として規定された縮尺(例えば1/16万)を設定する。一方、縮尺が変更された場合には変更された縮尺を設定する。尚、上記S2の処理が縮尺設定手段の処理に相当する。
【0047】
その後に、S3では通信装置17を介してVICSセンタ102と通信を行い、渋滞情報、速度規制情報、通行止め等に関するリアルタイムの動的な交通情報を取得する。
一方、S4では渋滞情報履歴DB23(図4参照)とGPS31によって検出した現在の時刻から、過去の渋滞情報に基づいて統計的に現在時刻で渋滞していると予測されるリンク(渋滞度が「1」以外のリンク)を検出し、静的な交通情報として取得する。
【0048】
次に、S5でCPU41は、前記S3及びS4で取得した動的交通情報と静的交通情報に基づいて渋滞情報があるか否か、具体的には現時点で渋滞する道路(リンク)があるか否かを判定する。
【0049】
そして、渋滞情報があると判定された場合(S5:YES)には、VICSセンタ102から取得した動的交通情報に基づいて渋滞する道路を特定した渋滞特定ライン61を作成する。また、渋滞情報履歴DB23から取得した静的交通情報に基づいて渋滞する道路を特定した渋滞履歴特定ライン62を作成する。一方、渋滞情報がないと判定された場合(S5:NO)には、S7へと移行する。
【0050】
ここで、渋滞特定ライン61と渋滞履歴特定ライン62について図6を用いて説明する。図6(A)は液晶ディスプレイ15に表示される渋滞特定ライン61を示した図、図6(B)は液晶ディスプレイ15に表示される渋滞履歴特定ライン62を示した図である。
図6(A)に示すように渋滞特定ライン61は道路63の両側に配置された渋滞表示領域64、65によって構成されており、渋滞表示領域64によって道路63の一方の上り車線(図6(A)では左方向から右方向へと走行する車線)の渋滞情報を示す。また、渋滞表示領域65によって道路63の他方の下り車線(図6(A)では右方向から左方向へと走行する車線)の渋滞情報を示す。そして、例えば現在時刻で始点Aから終点Bまでの上り車線区間が渋滞しているとVICSセンタ102から取得した交通情報に基づいて判定された場合には、始点Aから終点Bまでの渋滞表示領域64を赤色に表示し、それ以外の区間を水色に表示する。
また、図6(B)に示すように渋滞履歴特定ライン62は道路66の両側に配置された渋滞表示領域67、68によって構成されており、渋滞表示領域67によって道路66の一方の上り車線(図6(B)では左方向から右方向へと走行する車線)の渋滞情報を示す。また、渋滞表示領域68によって道路66の他方の下り車線(図6(B)では右方向から左方向へと走行する車線)の渋滞情報を示す。そして、例えば現在時刻で始点Cから終点Dまでの一方の上り車線区間が渋滞していると渋滞情報履歴DB23から取得した交通情報に基づいて判定された場合には、始点Cから終点Dまでの渋滞表示領域67を赤色の破線で表示し、それ以外の区間を水色に表示する。
そして、利用者は表示された渋滞特定ライン61及び渋滞履歴特定ライン62を参照することによって、渋滞している道路及び車線を判断することが可能となる。
【0051】
次に、S7では地図情報DB22の画像描画データ24からS2で設定された縮尺に基づいて、液晶ディスプレイ15に表示されるエリアに該当する地図描画データ51、高規格道路描画データ52、低規格道路描画データ53、動的交通情報描画データ54、静的交通情報描画データ55をそれぞれ読み出す。尚、上記S7の処理が地図情報取得手段の処理に相当する。
【0052】
次に、S8においてCPU41は、前記S2で設定された地図の縮尺が1/8万以下であるか否かを判定する。そして、地図の縮尺が1/8万より大きいと判定された場合(S8:YES)には渋滞特定ライン及び渋滞履歴特定ラインを優先した第1描画順位を描画順位に設定する(S9)。その後、設定された描画順位に従って、前記S107で地図情報DB22から読み出した各描画データに基づく地図画像、高規格道路及び低規格道路の画像、渋滞特定ライン及び渋滞履歴特定ラインの画像を液晶ディスプレイ15に対してそれぞれ描画する(S11)。
【0053】
一方、地図の縮尺が1/8万以下であると判定された場合(S8:NO)には高規格道路を優先した第2描画順位を描画順位に設定する(S10)。その後、設定された描画順位に従って、前記S107で地図情報DB22から読み出した各描画データに基づく地図画像、高規格道路及び低規格道路の画像、渋滞特定ライン及び渋滞履歴特定ラインの画像を液晶ディスプレイ15に対してそれぞれ描画する(S11)。尚、上記S8の処理が表示判定手段及び縮尺判定手段の処理に相当し、上記S11の処理が第1画像描画手段及び第2画像描画手段の処理に相当する。
【0054】
ここで、前記S8〜S11における画像の描画処理の詳細について図7乃至図12を用いて説明する。
先ず、前記S9で設定される第1描画順位について図7を用いて説明すると、第1描画順位は図7に示すように最も高い順から渋滞特定ライン71、渋滞履歴特定ライン72、高規格道路73、低規格道路74、地図画像75となっている。そして、前記S11で画像の描画を行う際には最も描画順位の低い地図画像75の描画処理を行い、次に、描画された地図画像75に上書きして低規格道路74の描画処理を行い、描画された低規格道路74に上書きして高規格道路73の描画処理を行い、描画された高規格道路73に上書きして渋滞履歴特定ライン72の描画処理を行い、描画された渋滞履歴特定ライン72に上書きして渋滞特定ライン71の描画処理を行う。
【0055】
ここで、図8は仮に1/8万の縮尺の地図を図7に示す第1描画順位で描画した場合に液晶ディスプレイ15に表示される地図表示画面81を示した図であり、図9は図8の特に交差点付近を拡大して示した拡大図である。
図8に示すように第1描画順位で描画された地図表示画面81は、地図画像75、低規格道路74、高規格道路73、渋滞履歴特定ライン72、渋滞特定ライン71の順に画像が上書きされて表示されている。
そして、液晶ディスプレイ15に対して地図を表示する際には、地図の縮尺が1/8万以下となると、表示すべき道路や渋滞特定ライン等の交通情報の数が多くなるとともにその表示サイズも小さくなり、解像度の関係上、リンク毎に渋滞状況を示す渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72を表示した場合に、接続するリンク同士において渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72をリンク毎に区分して繋がらないように表示することができなくなる。
【0056】
従って、図9に示すように交差点において高規格道路73の上に渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72が重ねて表示されることとなり、高規格道路73の一部が欠けてしまったり、切断されてしまうこととなる。即ち、渋滞情報の表示によって本来必要な道路の情報を利用者が適当に把握できなくなる。そこで、1/8万以下の縮尺で地図を表示する際には、以下のように渋滞特定ライン71及び渋滞履歴特定ライン72より高規格道路73を優先して表示する第2描画順位で各画像を描画するようにする。
尚、1/8万より大きい縮尺(例えば、1/1万)では、リンク毎に渋滞状況を示す渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72を表示したとしても、接続するリンク同士において渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72をリンク毎に区分して繋がらないように表示することが可能となる。従って、高規格道路73の上に上書きして渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72を描画したとしても、高規格道路73の一部が欠けてしまったり、切断されてしまう虞がない。よって、第1描画順位(図7)で描画するように構成されている。
【0057】
次に、図10を用いて前記S10で設定される第2描画順位について説明すると、第2描画順位は図10に示すように最も高い順から高規格道路73、渋滞特定ライン71、渋滞履歴特定ライン72、低規格道路74、地図画像75となっている。そして、前記S11で画像の描画を行う際には最も描画順位の低い地図画像75の描画処理を行い、次に、描画された地図画像75に上書きして低規格道路74の描画処理を行い、描画された低規格道路74に上書きして渋滞履歴特定ライン72の描画処理を行い、描画された渋滞履歴特定ライン72に上書きして渋滞特定ライン71の描画処理を行い、描画された渋滞特定ライン71に上書きして高規格道路73の描画処理を行う。
【0058】
そして、図11は1/8万の縮尺の地図を図10に示す第2描画順位で描画した場合に液晶ディスプレイ15に表示される地図表示画面82を示した図であり、図12は図11の特に交差点付近を拡大して示した拡大図である。
図11に示すように第2描画順位で描画された地図表示画面82は、地図画像75、低規格道路74、渋滞履歴特定ライン72、渋滞特定ライン71、高規格道路73の順に画像が上書きされて表示されている。
そして、第2描画順位では渋滞特定ライン71及び渋滞履歴特定ライン72の画像より高規格道路73の画像が上書きされて表示されるので、図12に示すように渋滞特定ライン71及び渋滞履歴特定ライン72と高規格道路73が重なる場合であっても、高規格道路73が渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72によって欠けたり、切断される虞がない。従って、地図を表示する縮尺を小さい状態で道路とともに渋滞情報を同時に表示しても、利用者に対して本来必要な道路の情報を見易く表示することが可能となる。
【0059】
以上詳細に説明した通り、第1実施形態に係るナビゲーション装置1では、液晶ディスプレイ15に対して道路を含む地図画像を表示する際であって、特に渋滞特定ライン71等の渋滞情報を示す画像と高規格道路73の画像とが重ねて表示されてしまう1/8万以下の縮尺で地図を表示する場合(S8:YES)には、高規格道路73を渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72より優先して表示する第2描画順位を描画順位として設定し(S10)、画像の描画を行う(S11)ので、道路とともに道路の渋滞状況を示す渋滞特定情報を表示しつつも、表示された道路の一部が欠けてしまったり、道路が切断されてしまうことがない。従って、地図を表示する縮尺を小さくした場合や表示画面を小さくした場合でも、利用者に対して本来必要な道路の情報を見易く表示することが可能となる。
また、第2描画順位では渋滞特定ライン71の画像を地図表示手段に対して描画した後に、高規格道路73の画像を上書きして描画するので、道路とともに道路の渋滞状況を示す渋滞特定情報を表示した場合であっても、道路の全体が必ず表示される。従って、表示された道路の一部が欠けてしまったり、道路が切断されてしまうことがない。
更に、第2描画順位では液晶ディスプレイ15に表示される道路の内、特に高規格道路73のみを渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72より優先して表示するので、利用者にとって重要な主要道路を見やすくしつつ、且つ重要性の低い低規格道路74より渋滞状況を示す渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72を優先して表示することができる。従って、道路と渋滞情報を利用者にとっての重要性を考慮して見易く表示することが可能となる。
【0060】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るナビゲーション装置について図13に基づいて説明する。尚、以下の説明において上記図1乃至図12の第1実施形態に係るナビゲーション装置1等の構成と同一符号は、前記第1実施形態に係るナビゲーション装置等の構成と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0061】
この第2実施形態に係るナビゲーション装置の概略構成は、第1実施形態に係るナビゲーション装置とほぼ同じ構成である。また、各種制御処理も第1実施形態に係るナビゲーション装置とほぼ同じ制御処理である。
ただし、第1実施形態に係るナビゲーション装置1が、液晶ディスプレイ15に対する描画順位を変更することにより、渋滞状況を示す渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72より高規格道路73を優先して表示するように構成していたのに対して、第2実施形態に係るナビゲーション装置では、描画された画像が重なる部分において渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72の画像を描画しないように構成することにより、渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72より高規格道路73を優先して表示する点で前記第1実施形態に係るナビゲーション装置1と異なっている。
【0062】
以下に、第2実施形態に係るナビゲーション装置においてCPU41が実行する地図表示処理プログラムについて図13に基づき説明する。図13は第2実施形態に係る地図表示処理プログラムのフローチャートである。尚、以下の図13にフローチャートで示されるプログラムは、第2実施形態に係るナビゲーション装置が備えているRAM42やROM43に記憶されており、所定時間間隔(例えば4ms毎)にCPU41により実行される。
【0063】
先ず、地図表示処理プログラムではS101において、CPU41は、車両のイグニションがONされたか否か、又は液晶ディスプレイ15に表示される地図の縮尺が変更されたか否かを判定する。尚、地図の縮尺の変更については、操作部14の操作に基づいて利用者が任意に縮尺を変更する場合や、交差点が接近したことに基づいてナビゲーション制御部13が自動的に縮尺を変更する場合がある。
【0064】
続いて、S102では液晶ディスプレイ15に対して表示する地図の縮尺を設定する。具体的に、車両のイグニションがONされて液晶ディスプレイ15に対して地図画像を最初に表示する場合には、予め初期値として規定された縮尺(例えば1/16万)を設定する。一方、縮尺が変更された場合には変更された縮尺を設定する。
【0065】
その後に、S103では通信装置17を介してVICSセンタ102と通信を行い、渋滞情報、速度規制情報、通行止め等に関するリアルタイムの動的な交通情報を取得する。
また、S104では渋滞情報履歴DB23(図4参照)とGPS31によって検出した現在の時刻から、過去の渋滞情報に基づいて統計的に現在時刻で渋滞していると予測されるリンク(渋滞度が「1」以外のリンク)を検出し、静的な交通情報として取得する。
【0066】
次に、S105でCPU41は、前記S103及びS104で取得した動的交通情報と静的交通情報に基づいて渋滞情報があるか否か、具体的には現時点で渋滞する道路(リンク)があるか否かを判定する。
【0067】
そして、渋滞情報があると判定された場合(S105:YES)には、VICSセンタ102から取得した動的交通情報に基づいて渋滞する道路を特定した渋滞特定ライン71を作成する。一方で、渋滞情報履歴DB23から取得した静的交通情報に基づいて渋滞する道路を特定した渋滞履歴特定ライン72を作成する。一方、渋滞情報がないと判定された場合(S105:NO)には、S107へと移行する。
【0068】
S107では地図情報DB22の画像描画データ24からS102で設定された縮尺に基づいて、液晶ディスプレイ15に表示されるエリアに該当する地図描画データ51、高規格道路描画データ52、低規格道路描画データ53、動的交通情報描画データ54、静的交通情報描画データ55をそれぞれ読み出す。
【0069】
次に、S108においてCPU41は、前記S102で設定された地図の縮尺が1/8万以下であるか否かを判定する。そして、地図の縮尺が1/8万より大きいと判定された場合(S108:YES)には、前記S107で地図情報DB22から読み出した各描画データに基づく地図画像75、高規格道路73及び低規格道路74の画像、渋滞特定ライン71及び渋滞履歴特定ライン72の画像を液晶ディスプレイ15に対してそれぞれ描画する(S109)。
【0070】
一方、地図の縮尺が1/8万以下であると判定された場合(S108:NO)には、渋滞特定ライン71の画像と高規格道路73の画像とが重なる部分において渋滞特定ライン71及び渋滞履歴特定ライン72の画像を描画しないように加工しつつ、前記S107で地図情報DB22から読み出した各描画データに基づく地図画像75、高規格道路73及び低規格道路74の画像、渋滞特定ライン71及び渋滞履歴特定ライン72の画像を液晶ディスプレイ15に対してそれぞれ描画する(S110)。
その結果、図12に示すように渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72と高規格道路73が重なって表示されることがないので、高規格道路73が渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72によって欠けたり、切断される虞がない。従って、地図を表示する縮尺を小さい状態で道路とともに渋滞情報を同時に表示しても、利用者に対して本来必要な道路の情報を見易く表示することが可能となる。
【0071】
以上詳細に説明した通り、第2実施形態に係るナビゲーション装置では、液晶ディスプレイ15に対して道路を含む地図画像を表示する際であって、特に渋滞特定ライン71等の渋滞情報を示す画像と高規格道路73の画像とが重ねて表示されてしまう1/8万以下の縮尺で地図を表示する場合(S108:YES)には、渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72の画像と高規格道路73の画像が重なる部分においては渋滞特定ライン71及び渋滞履歴特定ライン72の画像を描画しないように各画像の描画を行う(S110)ので、道路とともに道路の渋滞状況を示す渋滞特定情報を表示しつつも、表示された道路の一部が欠けてしまったり、道路が切断されてしまうことがない。従って、地図を表示する縮尺を小さくした場合や表示画面を小さくした場合でも、利用者に対して本来必要な道路の情報を見易く表示することが可能となる。
【0072】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、第1及び第2実施形態では液晶ディスプレイ15に表示する地図の縮尺が1/8万以下である場合に高規格道路73を渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72より優先して表示するように構成されているが、高規格道路73とともに低規格道路74を渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72より優先して表示するように構成しても良い。
【0073】
また、第1及び第2実施形態では液晶ディスプレイ15に表示する地図の縮尺が1/8万より大きい場合に渋滞特定ライン71や渋滞履歴特定ライン72が高規格道路73より優先して表示するように構成されているが、渋滞特定ライン71のみを高規格道路73より優先して表示し、渋滞履歴特定ライン72より高規格道路を優先するように表示しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】第1実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】第1実施形態に係るナビゲーション装置とVICSセンタとから構成される通信システムを示した概略構成図である。
【図3】第1実施形態に係るナビゲーション装置に記憶される画像描画データを示した図である。
【図4】第1実施形態に係る渋滞情報履歴DBの記憶領域について示した図である。
【図5】第1実施形態に係る地図表示処理プログラムのフローチャートである。
【図6】(A)は液晶ディスプレイに表示される渋滞特定ラインを示した図、(B)は液晶ディスプレイに表示される渋滞履歴特定ラインを示した図である。
【図7】第1描画順位を示した図である。
【図8】1/8万の縮尺の地図を第1描画順位で描画した場合に液晶ディスプレイに表示される地図表示画面を示した図である。
【図9】図8の特に交差点付近を拡大して示した拡大図である。
【図10】第2描画順位を示した図である。
【図11】1/8万の縮尺の地図を第2描画順位で描画した場合に液晶ディスプレイに表示される地図表示画面を示した図である。
【図12】図11の特に交差点付近を拡大して示した拡大図である。
【図13】第2実施形態に係る地図表示処理プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
1 ナビゲーション装置
11 現在地検出処理部
12 データ記録部
13 ナビゲーション制御部
15 液晶ディスプレイ
17 通信装置
22 地図情報DB
23 渋滞情報履歴DB
41 CPU
42 RAM
43 ROM
61、71 渋滞特定ライン
62、72 渋滞履歴特定ライン
73 高規格道路
74 低規格道路
75 地図画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に関する情報を含む地図情報を取得する地図情報取得手段と、
前記道路に係る渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段と、
前記地図情報取得手段で取得された地図情報と前記渋滞情報取得手段によって取得された渋滞情報とに基づいて、道路と道路に対する渋滞状況を示す渋滞特定情報とを表示する地図表示手段と、を有する地図表示装置において、
前記地図表示手段に表示する前記道路と前記渋滞特定情報が重ねて表示されるか否かを判定する表示判定手段を備え、
前記地図表示手段は前記表示判定手段によって重ねて表示されると判定された場合に当該重ねて表示される部分において前記道路を前記渋滞特定情報より優先して表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
道路に関する情報を含む地図情報を取得する地図情報取得手段と、
前記道路に係る渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段と、
地図の縮尺を設定する縮尺設定手段と、
前記地図情報取得手段で取得された地図情報と前記渋滞情報取得手段によって取得された渋滞情報とに基づいて、前記縮尺設定手段で設定された縮尺で道路と道路に対する渋滞状況を示す渋滞特定情報とを表示する地図表示手段と、を有する地図表示装置において、
前記縮尺設定手段によって所定の縮尺に設定されているか否かを判定する縮尺判定手段を備え、
前記地図表示手段は前記縮尺判定手段によって前記所定の縮尺に設定されていると判定された場合に前記道路を前記渋滞特定情報より優先して表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項3】
渋滞特定情報の画像を前記地図表示手段に対して描画する第1画像描画手段と、
道路の画像を前記地図表示手段に対して描画する第2画像描画手段と、を備え、
前記第2画像描画手段は前記表示判定手段によって重ねて表示されると判定された場合又は前記縮尺判定手段によって前記所定の縮尺に設定されていると判定された場合に、前記第1画像描画手段によって描画された渋滞特定情報の画像に上書きして道路の画像を描画することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
渋滞特定情報の画像を前記地図表示手段に対して描画する第1画像描画手段と、
道路の画像を前記地図表示手段に対して描画する第2画像描画手段と、を備え、
前記第1画像描画手段は前記表示判定手段によって重ねて表示されると判定された場合又は前記縮尺判定手段によって前記所定の縮尺に設定されていると判定された場合に、前記第2画像描画手段によって描画された道路の画像と重なる部分において描画を行わないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記道路は高規格道路及び低規格道路を含み、
前記地図表示手段は前記高規格道路を前記渋滞特定情報より優先して表示することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−178209(P2007−178209A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375552(P2005−375552)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】