説明

基体ホルダーの処理方法及び処理装置

【課題】繰り返し使用されるアモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成に用いられる基体ホルダーを磨耗劣化させることなく、またビーズなどの画像欠陥の原因となるものを使用せず基体ホルダーに付着した物質を効果的に除去可能な基体ホルダー処理方法及び処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成に用いられる基体ホルダーに付着した物質を、パルスレーザー光を照射して除去する工程を含むことを特徴とする基体ホルダーの処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成に使用した基体ホルダーの処理方法又は処理装置に関する。詳しくは、基体ホルダーに付着した物質を、パルスレーザー光を照射することにより除去する基体ホルダーの処理方法又は処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成法としては、グロー放電によるプラズマCVD法(以下、プラズマCVD法と表記する)が挙げられる。
【0003】
円筒状基体上にプラズマCVD法にて、アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材を形成するに際しては、円筒状基体を真空容器内に運搬、保持する必要がある。
【0004】
また、光受容部材の特性の均一性を確保する必要があるため、円筒状基体内部に、基体に相接する補助基体(基体ホルダー)を挿入することが一般に行われる(特許文献1)。
【0005】
前記基体ホルダーは上記のように基体の運搬、放電の均一化等、いくつかの機能乃至属性を有するものであることから、そのものの構成上に種々の工夫がなされている。したがってそのコストは決して安価でなく、形成終了毎に廃棄することはせず、通常繰り返し使用する。
【0006】
光受容部材の形成においては、基体ホルダーの気相成長空間に露出する部分にも膜が形成されるが、そうした膜は次回の光受容部材形成時に脱落し、光受容部材の品質低下を招く可能性がある。そのため、何らかの方法で毎回若しくは定期的に基体ホルダー表面を再生処理する必要がある。
【0007】
このような基体ホルダー表面の処理方法としては、従来から以下のような方法が知られている。
【0008】
(1)アルカリ水溶液などに浸漬して湿式エッチングを行う方法
(2)真空容器内でエッチングガスを用いてドライエッチングを行う方法
(3)液体ホーニング、乾式ブラストなどのブラスト処理を行う方法
(4)旋盤、フライスなどによる切削処理する方法。
【0009】
例えば、前記(2)のドライエッチングに関しては、ClF3をエッチングガスとして用いる方法がある(特許文献2、3)。
【0010】
また、前記(3)の基体ホルダーの液体ホーニングに関しては、水漬けと組み合わせる方法も考案されている(特許文献4)。
【0011】
図1に一例として前記(3)の基体ホルダーのブラスト処理に用いられる液体ホーニング装置の概略を示す。基体ホルダーは後述するように内部ホルダーとキャップから構成されるが、ここでは一例として内部ホルダーをブラスト処理する場合を示す。
【0012】
液体ホーニング装置100は以下の部材から構成される。ガラスビーズを水にけん濁したスラリー101を溜めるスラリータンク102。ガラスビーズを吹き付けて内部ホルダー103を処理するための吐出ノズル104。スラリーを常に一定の混合状態に維持するための攪拌ノズル105。スラリータンク102下部からスラリー101を汲み出し、スラリー101を送るためのスラリーポンプ106。内部ホルダー103を置いて、それを回転支持させるシャフト107、108及び該シャフトを駆動するための外部モーター109。吐出ノズル104部に接続される圧縮エア配管110等。
【0013】
また、ホーニング処理後に、内部ホルダー103やシャフト107、108等に付着したビーズ等を水洗するためのシャワーヘッド111が設けられている。シャワーヘッド111には水道水又は純水導入口112に接続されている。
【0014】
このような液体ホーニング装置100を用いて、液体ホーニングは例えば次のように行われる。
【0015】
まず、内部ホルダー103をシャフト107、108に設置し、外部モーター109を用いて内部ホルダー103を回転させる。次に、スラリーポンプ106を用いて圧縮エア配管110からエアを供給し、吐出ノズル104からガラスビーズを吹き付けて内部ホルダー103のホーニングを行う。ホーニング終了後、純水導入口112よりシャワーヘッド111に純水を供給し、内部ホルダー103やシャフト107、108等に付着したビーズ等の水洗を行う。その後、内部ホルダー103を不図示の温風乾燥機に移動させて乾燥させる。
【0016】
前記(1)〜(4)の処理方法のうち、(1)及び(3)の方法が処理の簡便さから従来より一般的に用いられている。
【0017】
しかし、前記(1)〜(4)の処理方法にはいくつかの問題点がある。
【0018】
前記(2)の方法は、真空容器内でエッチングガスの流れや放電の均一性を基体ホルダー全域に渡って保つ必要があり、均一に表面を処理するのは容易ではない。
【0019】
前記(4)の方法は、切削により基体ホルダーが徐々に変形するため、光受容部材の特性の均一性を保てない。
【0020】
前記(1)の方法は、アモルファスシリコンを主成分とする膜のみがエッチングされ、基体ホルダーはエッチングされないようにする必要があることから、基体ホルダーの材質に制限がある。また、薬剤を使用するため、薬剤が基体ホルダーに残留した場合、次回の光受容部材形成時に品質低下を引き起こす可能性がある。
【0021】
前記(3)の方法については、薬剤を使用しないないため、光受容部材へのコンタミネーションの心配が無く、前記(1)の方法よりも品質面において有利である。しかし、処理速度を早くするためには、吐出圧を高めたり、尖った形状の研磨粒子(ビーズ)を用いたりする必要がある。これらはいずれも基体ホルダーの変形、切削を引き起こし、その寿命を短くする場合がある。
【0022】
また、ビーズを用いるため、ビーズが基体ホルダーに突き刺さったり、接合部の隙間に入り込んだり、表面や内面に付着した状態となる場合がある。さらに、液体ホーニング、ドライブラストにおいては、ビーズにより研磨された基体材料の微粉が基体ホルダーに付着した状態となる。前記ビーズや微粉を洗浄するために、水漬けや水シャワー等を行うが、完全に除去するには至っていない。
【0023】
また、前記(1)及び(3)の方法は、共に処理後に乾燥を行わなければならないため、処理時間が長くなる課題がある。
【0024】
【特許文献1】特公昭61−53432号公報
【特許文献2】特許第2783485号公報
【特許文献3】特開平01−307763号公報
【特許文献4】特開平01−149961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
アモルファスシリコンを主成分とする層を有する電子写真感光体の形成において、基体ホルダーの処理を前記ブラスト処理で行う場合、処理後除去不能なビーズや基体材料の微粉が感光体形成工程において異常成長を起こす。これにより、電子写真感光体表面に突起が形成され、画像形成の際に画像欠陥が生じることが確認されている。
【0026】
いわゆる「ポチ」と呼ばれる画像欠陥は年々規格が厳しくなっており、大きさによってはA3用紙に数個存在していても不良として扱われることがある。カラー複写機に搭載される場合には更に規格は厳しくなり、A3用紙に1個存在しても不良となる場合がある。このような状況から、画像欠陥の原因となるビーズを使用しない基体ホルダーの処理方法が要望されている。
【0027】
また、ブラスト処理の際、磨耗劣化による基体ホルダー更新やランニングコスト、廃ビーズの処理などブラスト処理にかかる費用は高価である。
【0028】
したがって、アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材を量産するにあたり、コスト面でも解決が望まれる。
【0029】
すなわち本発明の課題は、アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成に使用した基体ホルダーに付着した物質を除去する基体ホルダーの処理方法、処理装置において、基体ホルダーを処理中に劣化させず、また画像欠陥の原因となるビーズ等を使用することなく基体ホルダーに付着した物質を除去する基体ホルダーの処理方法又は処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
すなわち、本発明は、アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成に用いられる基体ホルダーに付着した物質を、パルスレーザー光を照射して除去する工程を含むことを特徴とする基体ホルダーの処理方法を提供する。
【0031】
また、本発明は、アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成に用いられる基体ホルダーの処理装置であって、パルスレーザー光を照射するレーザー照射手段と、基体ホルダーを保持する基体ホルダー保持手段とを備えることを特徴とする基体ホルダーの処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0032】
本発明における基体ホルダーの処理方法及び処理装置によれば、繰り返し使用されるアモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成に用いられる基体ホルダーの磨耗劣化を抑制することができる。したがって基体ホルダーの寿命が延び、製造コストの削減が可能となる。また、処理中に基体ホルダーが変形しないため、光受容部材の特性の均一性を保つことができる。
【0033】
さらに、画像欠陥の原因となるビーズ等を使用することなく、基体ホルダーに付着した物質を効果的に除去することができる。これにより、光受容部材の形成において異常成長の原因物質を排除できるため、光受容部材を電子写真感光体として使用した場合、画像欠陥の低減が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0035】
(アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材形成用基体とその基体ホルダー)
図2にアモルファスシリコンを主成分とする光受容部材形成用基体とその基体ホルダーの代表的な例を示す。
【0036】
基体ホルダー201は、内部ホルダー202と基体203の面が揃うように設置するキャップ204からなる。内部ホルダー202は内部ホルダー下部205、装置内の受台などに接する内部ホルダー下端部206、内部ホルダー上端部207及び運搬の際にチャックするための運搬用取手208からなる。
【0037】
光受容部材の形成に際しては、基体203を設置した基体ホルダー201は通常、まず運搬用取手208をチャックされ、昇降装置などで成膜装置内に移動され、次に装置内の受台などに内部ホルダー下端部206が接するような形で置かれる。基体203の上部には、基体203と内部ホルダー202の面が揃うように、基体ホルダーの一部であるキャップ204を設置する。
【0038】
次に、所定の操作を経てアモルファスシリコン膜が形成される。
【0039】
その際、放電空間に直接さらされる部分(主に内部ホルダー下部205、キャップ204)には基体203上に堆積する膜とほぼ同量の膜が形成される。これらの膜は前述のように次回以降の光受容部材の形成に影響を与えるため、少なくとも数回の光受容部材の形成に一回、好ましくは毎回、基体ホルダー201の堆積膜を除去し、再生処理する。
【0040】
(光受容部材形成装置)
図3にプラズマCVD法によるアモルファスシリコンを主成分とする光受容部材形成装置の代表的な例を示す。
【0041】
光受容部材形成装置300は、真空気密可能な円筒状反応容器301からなり、この円筒状反応容器301の周囲壁を兼ねるカソード電極302が設けられている。カソード電極302とアース面である下プレート303とは、セラミックからなる下碍子304により絶縁されている。また、円筒状反応容器301の上部には基体搬出入用ゲートバルブ305が取り付けられている。カソード電極302とゲートバルブ305とは、セラミックからなる上碍子306により絶縁されている。また全体はアース電位である不図示の金属シールド壁で被われている。円筒状反応容器301内には堆積膜が形成される基体307、基体加熱用ヒーター308、ガス導入管309が設置されている。基体307は基体ホルダー310を介して、下プレート303に取り付けられ、接地された不図示の受け台に着脱されるようになっている。これにより、基体307は接地され、アノード電極として作用する。カソード電極302は、不図示のマッチングボックスを介して、他端が接地された高周波電源311の一端に接続されている。これにより、アノード電極として作用する基体307と円筒状反応容器301の周囲壁を兼ねるカソード電極302との間に高周波電圧を印加することができる。ガス導入管309はガス供給配管312を介して、ガス供給手段に接続されている。
【0042】
また、円筒状反応容器301の下プレート303には、排気配管313を介して不図示の排気手段(例えばメカニカルブースターポンプやロータリーポンプ)が接続されている。このような光受容部材形成装置300を用いて、堆積膜の形成は例えば次のように行われる。
【0043】
まず、ゲートバルブ305から基体ホルダー310に設置された基体307を真空雰囲気下で搬送して円筒状反応容器301内の受け台に装着し、ゲートバルブ305を閉鎖する。続いて、基体加熱用ヒーター308により、基体307を所定の温度に加熱する。基体307が所望の温度になったところで所定の原料ガスをガス導入管309から円筒状反応容器301に導入する。
【0044】
原料ガスを円筒状反応容器301内に導入するには、まずガスボンベのバルブ(330〜335)、円筒状反応容器301のリークバルブ381が閉じられていることを確認する。また、ガス流入バルブ(350〜355)、流出バルブ(360〜365)、補助バルブ380が開かれていることを確認する。その後、メインバルブ382を開いて円筒状反応容器301及びガス供給配管312内を排気する。
【0045】
次に、真空計390の読みが約0.1Pa以下になった時点で補助バルブ380、ガス流出バルブ(360〜365)を閉じる。その後、ガスボンベ(320〜325)より各ガスを、ガスボンベバルブ(330〜335)を開いて導入し、圧力調整器(340〜345)により各ガス圧を0.2MPaに調整する。次に、ガス流入バルブ(350〜355)を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラー(370〜375)内に導入する。
【0046】
そして、流出バルブ(360〜365)のうちの必要なもの及び補助バルブ380を徐々に開き、ガスボンベ(320〜325)から所定の原料ガスを、ガス導入管309を介して円筒状反応容器301に導入する。
【0047】
原料ガスとしては例えば、SiH4、H2、B26、CH4、NO、N2などが挙げられる。
【0048】
次に、マスフローコントローラー(370〜375)によって、各原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、円筒状反応容器301の内圧が所定の圧力になるように真空計390を見ながらメインバルブ382の開口を調整する。内圧が安定したところで、例えば周波数13.56MHzの高周波電源311を所定の電力に設定して、不図示のマッチングボックスを介して、円筒状反応容器301内にRF電力を導入し、グロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって、円筒状反応容器301内に導入された原料ガスが分解され、基体307上に堆積膜が形成される。
【0049】
同様の操作を複数回繰り返すことによって、所望の多層構造の光受容部材が形成される。
【0050】
光受容部材の形成が終了した後は、ガス導入系の全バルブを閉じ、基体加熱用ヒーター308による加熱を停止し、メインバルブ382を開けて円筒状反応容器301内を所定の圧力まで排気する。また、不活性ガスでパージを3〜5回実施し、円筒状反応容器301内のガス置換を行う。その後、ゲートバルブ305を開き、堆積膜の形成が完了した光受容部材を基体ホルダー310ごと円筒状反応容器301内から取り出す。前記不活性ガスとしては例えばHe、Ne、Ar、N2が挙げられる。
【0051】
(アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材)
次に、本発明に係わるアモルファスシリコンを主成分とする光受容部材について説明する。
【0052】
図5は本発明に係わるアモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の層構成の一例について示した模式図である。
【0053】
図5において500は基体を示し、501は下部阻止層、502は光導電層、503は表面層をそれぞれ示している。
【0054】
本発明におけるアモルファスシリコンを主成分とする光受容部材とは、基体を除く光受容部材中に含まれるすべての原子のうち、50%以上をシリコン原子が占めることを示す。
【0055】
以下、本発明に係わるアモルファスシリコンを主成分とする光受容部材を各層ごとに詳細に説明する。
【0056】
(基体)
基体の材質としては、Al、ステンレス等の導電性材料を用いることができる。また、例えば各種のプラスチックやガラス、セラミックス等、特には導電性を有しない材料に、導電性材料を少なくとも光導電層を形成する側の表面に蒸着するなどして、導電性を付与したものも用いることができる。
【0057】
前記導電性材料としては、Al、ステンレスの他、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、及びこれらの合金が挙げられる。
【0058】
前記プラスチックとしてはポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等のフィルム又はシートが挙げられる。
【0059】
(下部阻止層)
下部阻止層は、導電性を制御する不純物元素を含有するアモルファスシリコンから構成される。前記不純物元素としては、帯電させる極性により、周期表第13族元素や周期表第15族元素を用いることが出来る。
【0060】
周期表第13族元素としては、B、Al、Ga、In、Tl等が挙げられ、B、Al、Gaが好ましい。また、周期表第15族元素としては、N、P、As、Sb、Bi等が挙げられ、P、As、Sbが好ましい。下部阻止層の組成は公知のものを用いることができる。
【0061】
下部阻止層の層厚は、所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から、0.1μm以上5μm以下が好ましい。
【0062】
(光導電層)
本発明に係わる光受容部材の光導電層は、水素原子及び/又はハロゲン原子を含有するアモルファスシリコン(「a−Si(H,X)」)で構成される。光導電層の組成は公知のものを用いることができる。
【0063】
光導電層の層厚は、所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点から適宜所望に従って決定され、5μm以上50μm以下が好ましい。
【0064】
(表面層)
本発明に係わる光受容部材の表面層は、少なくとも炭素、酸素、窒素の少なくとも一つを含むアモルファスシリコンから構成される。表面層の組成は公知のものを用いることができる。
【0065】
表面層の層厚としては、通常0.01〜3μmが好ましい。
【0066】
(レーザー処理装置)
図4に本発明に係わるパルスレーザー光による基体ホルダー処理装置400の代表的な例を示す。
【0067】
なお、ここでは例として内部ホルダーを処理する場合を示す。
【0068】
基体ホルダー処理装置400は、所定波長のレーザー光を所定の出力で発振するパルスレーザー発振器401を備える。パルスレーザー発振器401は、例えばYAGレーザーユニット402とYAGレーザーユニット402に電圧を印加するための電源部403からなる。YAGレーザーユニット402は昇降機404によって移動可能である。なお内部ホルダー405を移動するような機構にしてもよい。
【0069】
昇降機404には内部ホルダー405から除去した物質を排気するための吸引ホース406が設置されており、吸引ホース406は排気ポンプ407に接続されている。
【0070】
吸引ホース406は、内部ホルダー405から除去した物質が内部ホルダー405に再付着するのを防ぐため、パルスレーザー光の照射部近傍に設置されることが好ましい。
【0071】
さらに基体ホルダー処理装置400は内部ホルダー405を設置するための受け台408(基体ホルダー保持手段)を有し、受け台408はモーター409により回転可能であり、不図示のスピードコントローラーにより回転速度を調整可能である。本例では内部ホルダー405を回転させているが、例えば、パルスレーザー発振器401が内部ホルダー405の周りを回転する機構や、内部ホルダー405の周りにYAGレーザーユニット402を複数設置する構成でもよい。
【0072】
また、YAGレーザーユニット402は、パルスレーザーを内部ホルダー405の回転方向に対して垂直方向に走査させる機構を備えている。
【0073】
このような基体ホルダー処理装置400を用いて、内部ホルダー405の処理は例えば次のように行われる。
【0074】
アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成に使用した内部ホルダー405を受け台408に設置する。スピードコントローラーにより所定の回転速度に調整した後、モーター409を作動させ、内部ホルダー405を回転させる。次に、昇降機404により、YAGレーザーユニット402、吸引ホース406を、処理を行いたい位置まで移動させ、排気ポンプ407を作動させ排気を行う。
【0075】
電源部403のパネル上(不図示)で出力値、パルス周波数、スキャン周波数、スキャン幅を設定する。その後、パルスレーザー照射を行い、内部ホルダー405に付着した物質を除去する。その後、昇降機404によってYAGレーザーユニット402、吸引ホース406を、次の処理を行いたい位置まで移動させ再び処理を行う。前記動作を繰り返し行う。
【0076】
また、パルスレーザーを内部ホルダー405の回転方向に対して垂直方向に走査させずに、内部ホルダー405を回転させ、YAGレーザーユニット402、内部ホルダー405又はその両方を移動させる方法でもよい。前記方法では、パルスレーザーを走査させる機構が必要なくなるが、処理時間を短縮するためには基体ホルダーを高速回転させる必要があるため、基体ホルダーが偏芯しないような回転精度が求められる。
【0077】
また、YAGレーザーユニット402又は内部ホルダー405を移動させずに内部ホルダー405を回転させ、ポリゴンミラー等を使用してパルスレーザーを内部ホルダー405の回転方向に対して垂直方向に内部ホルダー405の全域に走査させる方法でもよい。前記方法では、移動機構を1つ減らすことができるが、ポリゴンミラーなどパルスレーザーを内部ホルダー405の処理を行いたい全域に走査させるための機構が必要となる。
【0078】
内部ホルダー405の回転数、出力値、パルス周波数、スキャン周波数、スキャン幅などの条件は、内部ホルダー405に付着した物質を除去することができ、かつ内部ホルダー405そのものの材質、例えばアルミニウムには影響が及ばない条件に設定する。
【0079】
これらのパラメーターは、レーザースポットあたりのパワーとレーザースポット同士の間隔を左右する。
【0080】
パルスレーザー発振器401の出力値に関しては、出力値を上げることでレーザースポットあたりのパワーが大きくなり、膜を除去しやすくなる。しかし、出力値を上げ過ぎると内部ホルダーそのものの材質に影響を及ぼす可能性がある。出力値を一定とすると、レーザースポットあたりのパワーは、パルスレーザーを走査させたり、内部ホルダーを回転させたりするとその分だけ小さくなる。
【0081】
レーザースポット同士の間隔に関しては、内部ホルダーを回転させずに内部ホルダーの回転方向に対して垂直方向にパルスレーザーを走査させた場合、垂直方向のレーザースポット同士の間隔はパルス周波数、スキャン周波数、スキャン幅によって決定される。
【0082】
逆にパルスレーザーを走査させず、内部ホルダーを回転させた場合、基体ホルダー回転方向のレーザースポット同士の間隔はパルス周波数、内部ホルダーの回転数によって決定される。
【0083】
内部ホルダーを回転させ、内部ホルダーの回転方向に対して垂直方向にパルスレーザーを走査させた場合は、前記組み合わせでレーザースポット同士の間隔が決定される。
【0084】
出力値を一定として、処理時間を短くするためには、内部ホルダーの回転数とスキャン幅を膜が除去できなくならない程度に大きくすればよい。
【0085】
膜が除去できなくならない程度とは、レーザースポットあたりのパワーが低くなりすぎないこと及びレーザースポット同士の間隔が広がりすぎないことである。
【0086】
上記事項を考慮して各パラメーターを設定する。
【実施例】
【0087】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づき詳細に説明する。
【0088】
下記の実施例は、本発明の最良な実施形態の一例であるものの、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0089】
[実施例1]
図3の光受容部材形成装置を用い、アルミニウムよりなる長さ381mm、外径φ84mm、肉厚3mmの鏡面加工を施した基体上に、表1に示す条件で、図5に示す層構成のアモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成を行った。
【0090】
【表1】

【0091】
本実施例では、図2の構成のアルミ合金製(A5052)円筒状基体ホルダーを用いた。図2中の内部ホルダー下端部202及びキャップ204の表面粗さはRa=6であった。
【0092】
本発明における表面粗さは、JIS B 0601(2001)に準じて測定される算術平均粗さRaを指し、表面粗さ計(製品名:「Surftest SJ−400」、ミツトヨ製)を用いた。カットオフを2.5mm、基準長2.5mm、評価長さ12.5mm、触針の走査速度1mm/secとして測定を行った。
【0093】
その後、図6の基体ホルダー処理装置を用いて、取り出した基体ホルダー(内部ホルダー及びキャップ)を表2に示す条件で膜除去処理を行った。図6は基体ホルダー処理装置の上視図である。
【0094】
【表2】

【0095】
図6の基体ホルダー処理装置600は所定波長のレーザー光を所定の出力で発振するパルスレーザー発振器601を備える。パルスレーザー発振器601は例えばYAGレーザーユニット602とYAGレーザーユニット602に電圧を印加するための電源部603からなる。YAGレーザーユニット602は移動機構604によって移動可能となっている。さらに基体ホルダー処理装置600は内部ホルダー605を設置するための受け台606、607を有し、受け台607はモーター608により回転可能であり、不図示のスピードコントローラーにより回転速度も調整可能である。一方、受け台606は従動部609により支えられている。
【0096】
本実施例では、パルスレーザー発振器として「CL120Q」(製品名、独クレーンレーザー社)を用いた。また膜除去処理は、基体ホルダーを回転させながら、YAGレーザーユニットを移動機構により移動させながら行った。なお、基体ホルダーの回転方向に対して垂直方向へのパルスレーザー光の走査は行っていない。
【0097】
基体ホルダーの膜除去処理終了後、処理を行った基体ホルダーを用いて再度、図3の光受容部材形成装置を用いて、上記と同様の方法でアモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成を行った。同様にして、基体ホルダーの膜除去処理後、アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成を行い、前記工程を繰り返し10回行った。
【0098】
評価は以下のように行った。また、評価結果を表6に示す。
【0099】
(光受容部材上の突起観測)
10本目のアモルファスシリコンを主成分とする光受容部材を、ラインセンサCCD(製品名:「TL−7400CL」、竹中システム機器株式会社製)を用いて、全周スキャンを行い、10〜30μmの突起個数を計測評価した。評価は実施例1の個数を40とした時の相対値で示す。
【0100】
◎・・・35未満(非常に良好)
○・・・35以上45未満(良好)
△・・・45以上55未満(実用上問題なし)
×・・・55以上(実用上問題あり)。
【0101】
(基体ホルダーの変形)
10本目の光受容部材形成終了後、膜除去処理を行った基体ホルダーの変形について、基体ホルダーの端部を真円度測定器(製品名:「ROUNDTEST RA−400」、ミツトヨ製)で測定して、変形、凹みの有無を確認した。
【0102】
◎・・・真円度測定器の計測で変形していない
○・・・真円度測定器の計測で僅かに楕円形に変形している
△・・・真円度測定器の計測で僅かに凹みが確認された
×・・・目視で、変形、凹みが確認された。
【0103】
目視で確認できる変形、凹みがある場合には、基体ホルダーとしての使用は好ましくない。光受容部材形成装置内での基体の位置精度にズレが生じることで、成膜時のムラが大きくなることがある。また、基体ホルダーと基体の距離が大きくなりすぎると、基体の温度ムラを生じ、その結果アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の特性ムラが大きくなる要因となる。
【0104】
真円度測定器の計測で僅かに楕円形である場合には、基体ホルダーとしての使用には全く問題がない。さらに、真円度測定器の計測で僅かに凹みが確認される場合でも、基体ホルダーとして使用可能であるが、凹みが生じるような処理条件ではホルダーの寿命が短くなる可能性がある。
【0105】
[実施例2]
図3の光受容部材形成装置を用い、実施例1と同様の基体ホルダーを用いて、アルミニウムよりなる長さ381mm、外径φ84mm、肉厚3mmの鏡面加工を施した基体上に表1の条件で図5のアモルファスシリコンを主成分とする光受容部材を形成した。その後、図7の基体ホルダー処理装置を用いて、取り出した基体ホルダー(内部ホルダー及びキャップ)を表3に示す条件で膜の除去処理を行った。図7は基体ホルダー処理装置の上視図である。
【0106】
【表3】

【0107】
図7の基体ホルダー処理装置700は所定波長のレーザー光を所定の出力で発振するパルスレーザー発振器701を備える。パルスレーザー発振器701は例えばYAGレーザーユニット702とYAGレーザーユニット702に電圧を印加するための電源部703からなる。基体ホルダー処理装置700は内部ホルダー704を設置するための受け台705、706を有し、受け台706はモーター707により回転可能であり、不図示のスピードコントローラーにより回転速度も調整可能である。一方、受け台705は従動部708によって支えられている。さらにミラー709とポリゴンミラー710を設置し、ポリゴンミラー710を回転させることにより、パルスレーザー光を、処理を行いたい全域に走査可能にした。
【0108】
本実施例では、パルスレーザー発振器として「CL120Q」(製品名、独クレーンレーザー社)を用いた。また、膜除去処理は基体ホルダーを回転させながら、パルスレーザー光を基体ホルダーの回転方向に対して垂直方向に、処理を行いたい全域に走査させながら行った。基体ホルダーの膜除去処理終了後、処理を行った基体ホルダーを用いて再度、図3の光受容部材形成装置を用いて、上記と同様の方法でアモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成を行った。同様にして基体ホルダーの膜除去処理後、アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成を行い、前記工程を繰り返し10回行った。
【0109】
評価に関しては実施例1と同様に行った。評価結果を表6に示す。
【0110】
[実施例3]
図3の光受容部材形成装置を用い、実施例1と同様の基体ホルダーを用いて、アルミニウムよりなる長さ381mm、外径φ84mm、肉厚3mmの鏡面加工を施した基体上に表1の条件で図5のアモルファスシリコンを主成分とする光受容部材を形成した。その後、図4の基体ホルダー処理装置を用いて、取り出した基体ホルダー(内部ホルダー及びキャップ)を表4に示す条件で膜の除去処理を行った。
【0111】
【表4】

【0112】
本実施例では、パルスレーザー発振器として「CL120Q」(製品名、独クレーンレーザー社)を用いた。また膜除去処理は基体ホルダーを回転させながら、YAGレーザーユニットを昇降機によって移動させながら行った。さらにパルスレーザーを基体ホルダーの回転方向に対して垂直方向に走査させながら行った。排気ポンプは作動せず、排気は行わなかった。基体ホルダーの膜除去処理終了後、処理を行った基体ホルダーを用いて再度、図3の光受容部材形成装置を用いて、上記と同様の方法でアモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成を行った。同様にして基体ホルダーの膜除去処理後、アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成を行い、前記工程を繰り返し10回行った。
【0113】
評価に関しては実施例1と同様に行った。評価結果を表6に示す。
【0114】
[実施例4]
膜除去処理中に排気ポンプを作動させ、排気を行ったこと以外は実施例3と同様に行った。前記排気ポンプは、オイルフリースクロールポンプ(製品名:「ISP1000」、アネスト岩田株式会社製)を使用した。この排気ポンプに直径30mm、長さ5mのホースを繋げ、排気口の大きさは100mm×30mmとした。評価結果を表6に示す。
【0115】
[比較例1]
図3の光受容部材形成装置を用い、実施例1と同様の基体ホルダーを用いて、アルミニウムよりなる長さ381mm、外径φ84mm、肉厚3mmの鏡面加工を施した基体上に表1の条件で図5のアモルファスシリコンを主成分とする光受容部材を形成した。その後、図1の液体ホーニング装置(製品名:「LH−10」、不二精機製造所製)を用いて、取り出した基体ホルダー(内部ホルダー及びキャップ)を表5に示すような条件で膜の除去処理を行った。
【0116】
本実施例では、研磨材としてガラスビーズ(商品名:「GB−AC」、ポッターズ・バロティーニ(株)製)を用いた。基体ホルダーの膜除去処理終了後、温風乾燥機にて乾燥させ、処理を行った基体ホルダーを用いて再度、図3の光受容部材形成装置を用いて、上記と同様の方法でアモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成を行った。同様にして基体ホルダーの膜除去処理後、アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成を行い、前記工程を繰り返し10回行った。
【0117】
評価に関しては実施例1と同様に行った。評価結果を表6に示す。
【0118】
【表5】

【0119】
【表6】

【0120】
表6からわかるように、本発明の基体ホルダー処理方法によれば、アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成に用いられる基体ホルダーを磨耗劣化させることなく、基体ホルダーに付着した物質を除去することができる。またビーズや基体材料の微粉による突起を低減し、それにより画像欠陥を低減できる。
【0121】
従来の方法(比較例1)ではブラスト処理の際の磨耗劣化により、基体ホルダーの寿命が短くなり、さらにビーズ起因の画像欠陥が発生した。また、ブラスト処理終了後は温風乾燥機にて乾燥を行わなければならなかった。
【0122】
しかし、本発明の処理方法によれば、パルスレーザーを使用することにより磨耗劣化をなくし、基体ホルダーの寿命を延ばすことが可能である。また、ビーズを使用しないことでビーズや基体材料の微粉を起因とする画像欠陥を低減することが可能である。さらに基体ホルダーを回転させることにより、装置を簡素化することが可能である。
【0123】
実施例1の処理方法では、パルスレーザーを走査させる機構が必要なくなるが、処理時間を短縮するために基体ホルダーを高速回転させる必要があるため、基体ホルダーが偏芯しないような回転精度が求められる。ただし、基体ホルダーを高速回転しているため、除去された膜の基体ホルダーへの再付着を低減できる効果もある。
【0124】
実施例2の処理方法では、移動機構を1つ減らすことができるが、その分パルスレーザーを、処理を行いたい全域に走査させるため、ポリゴンミラーなどの機構が必要となる。
【0125】
実施例3の処理方法では、パルスレーザーを走査させる機構もパルスレーザーを移動させる移動機構も必要だが、厳密な回転精度は必要なく、さらに処理を行いたい全域に走査させるための光学系も必要ない。
【0126】
また、実施例4のように除去した膜を排気しながら処理を行うことにより、除去された膜の基体ホルダーへの再付着を低減することができる。これにより膜起因の画像欠陥を低減することが可能である。
【0127】
さらに、本発明の処理方法によれば、従来の方法(比較例1)のように膜除去処理後、乾燥を行う必要性がなく、その分処理時間短縮が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】液体ホーニング装置の一例を模式的に表す断面図である。
【図2】アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材形成に用いる基体ホルダーの一例を模式的に表す断面図である。
【図3】アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材形成に用いる形成装置の一例を模式的に表す断面図である。
【図4】本発明に係る基体ホルダー処理装置の一例を模式的に表す断面図である。
【図5】アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の層構成の一例を模式的に表す断面図である。
【図6】本発明に係る基体ホルダー処理装置の一例を模式的に表す上視図である。
【図7】本発明に係る基体ホルダー処理装置の一例を模式的に表す上視図である。
【符号の説明】
【0129】
100 液体ホーニング装置
101 スラリー
102 スラリータンク
103、202、405、605、704 内部ホルダー
104 吐出ノズル
105 攪拌ノズル
106 スラリーポンプ
107、108 シャフト
109 外部モーター
110 圧縮エア配管
111 シャワーヘッド
112 水道水又は純水導入口
201、310 基体ホルダー
203、307、500 基体
204 キャップ
205 内部ホルダー下部
206 内部ホルダー下端部
207 内部ホルダー上端部
208 運搬用取手
300 光受容部材形成装置
301 円筒状反応容器
302 カソード電極
303 下プレート
304 下碍子
305 ゲートバルブ
306 上碍子
308 基体加熱用ヒーター
309 ガス導入管
311 高周波電源
312 ガス供給配管
313 排気配管
320〜325 ガスボンベ
330〜335 ガスボンベバルブ
340〜345 圧力調整器
350〜355 ガス流入バルブ
360〜365 ガス流出バルブ
370〜375 マスフローコントローラー
380 補助バルブ
381 リークバルブ
382 メインバルブ
400、600、700 基体ホルダー処理装置
401、601、701 パルスレーザー発振器
402、602、702 YAGレーザーユニット
403、603、703 電源部
404 昇降機
406 吸引ホース
407 排気ポンプ
408、606、607、705、706 受け台
409、608、707 モーター
609、708 従動部
501 下部阻止層
502 光導電層
503 表面層
604 移動機構
709 ミラー
710 ポリゴンミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成に用いられる基体ホルダーに付着した物質を、パルスレーザー光を照射して除去する工程を含むことを特徴とする基体ホルダーの処理方法。
【請求項2】
前記基体ホルダーに付着した物質が、少なくとも水素、炭素、酸素、窒素、ハロゲン又は導電性を制御する不純物元素から選ばれる1つ以上の元素を含むアモルファスシリコンであること特徴とする請求項1に記載の基体ホルダーの処理方法。
【請求項3】
前記基体ホルダーに付着した物質をパルスレーザー光を照射して除去する工程を、前記基体ホルダーを回転させながら行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の基体ホルダーの処理方法。
【請求項4】
前記基体ホルダーに付着した物質をパルスレーザー光を照射して除去する工程を、前記パルスレーザー光を前記基体ホルダーの回転方向に対して垂直方向に走査させながら行うことを特徴とする請求項3に記載の基体ホルダーの処理方法。
【請求項5】
前記基体ホルダーに付着した物質をパルスレーザー光を照射して除去する工程を、パルスレーザー光のレーザー照射手段、基体ホルダーのいずれか、又はその両方を移動させながら行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の基体ホルダーの処理方法。
【請求項6】
前記基体ホルダーに付着した物質をパルスレーザー光を照射して除去する工程において、前記パルスレーザー光を、処理を行う基体ホルダーの全域にポリゴンミラーにより走査させながら前記工程を行うことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の基体ホルダーの処理方法。
【請求項7】
前記基体ホルダーに付着した物質をパルスレーザー光を照射して除去する工程を、パルスレーザー光の照射部近傍を排気しながら行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の基体ホルダーの処理方法。
【請求項8】
アモルファスシリコンを主成分とする光受容部材の形成に用いられる基体ホルダーの処理装置であって、
パルスレーザー光を照射するレーザー照射手段と、基体ホルダーを保持する基体ホルダー保持手段とを備えることを特徴とする基体ホルダーの処理装置。
【請求項9】
前記基体ホルダー保持手段が回転手段を備えていることを特徴とする請求項8記載の基体ホルダーの処理装置。
【請求項10】
前記レーザー照射手段が、前記基体ホルダーの回転方向に対して垂直方向に走査させるための走査手段を備えていることを特徴とする請求項9に記載の基体ホルダーの処理装置。
【請求項11】
前記レーザー照射手段、基体ホルダー保持手段のいずれか又はその両方を移動可能な移動手段を備えていることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の基体ホルダーの処理装置。
【請求項12】
前記レーザー照射手段により照射されるパルスレーザー光を、処理を行う基体ホルダーの全域に走査可能なポリゴンミラーを備えていることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の基体ホルダーの処理装置。
【請求項13】
前記パルスレーザー光の照射部近傍を排気するための排気手段を備えることを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の基体ホルダーの処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−138208(P2009−138208A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312457(P2007−312457)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】