説明

基板の表面を処理する装置および方法

シリコンウェーハーの表面処理する装置は、シリコンウェーハーを移送するための移送ローラと少なくとも1つの給送装置を有しており、その給送装置は移送ローラによって定められる移送平面内でシリコンウェーハーの表面を液状の処理媒体によって湿潤するために設けられており、給送装置は、移送平面内に配置された、シリコンウェーハーの下を向いた表面上に処理媒体を塗布するように形成されている。給送装置の周囲からガス状、および/または、霧状に分配された処理媒体を吸い出すために複数の吸引パイプが設けられており、吸引パイプが移送平面の垂直方向下方に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にシリコン材料から形成された基板を移送するための少なくとも1つの移送手段と、基板表面を液状、ガス状またはスプレイミスト状の処理媒体で湿潤するために、移送手段によって定められる移送平面内に設けられている、少なくとも1つの給送手段とを有する、基板の表面を処理する装置に関する。同様に、本発明は、特にシリコン材料から形成された基板の基板表面を処理媒体で湿潤する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、平面的な基板の上側から層を除去するために使用される、装置および方法が知られている。溶剤がノズルによって基板上に斜め上から噴射される。基板は、移送軸上に位置し、かつこの移送軸によって移送される。基板は、少なくともその一方の端部が移送軸を越えて突出しているので、基板から流出する、剥がれた層成分を含む溶剤は、基板の張出しによって移送手段を迂回する。それによって移送手段の汚染が防止される。溶剤による層除去は、基板の露光されて現像された表面領域にのみエッチングプロセスに有効な保護層が設けられることを保証するために、エッチングプロセス前にフォトアクティブ層を除去するために用いられる。従って、層の構造化は、フォトアクティブ層の露光と現像によってすでに行われている。
【0003】
基板において、たとえば、ウェーハーと称されて、特に半導体素子およびソーラーセルの製造のために使用される、シリコンディスク、またはシリコンプレートにおいて、表面を処理し、特に層を除去するための他のプロセスにおいては、基板の個々の表面を処理媒体で湿潤することを行うことができる。湿潤は、上述した種類の保護層または他のコーティングを持たない、残りの基板表面が、塗布すべき処理媒体によって腐食されないように行われるべきであるので、層除去は、処理媒体によって湿潤された基板表面においてのみ、行われる。これは、この既知の装置によっては、保証されない。
【特許文献1】独国特許出願公開DE10225848A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、基板の選択的な表面処理を可能にする、装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明の第1の態様によれば、請求項1の特徴を有する装置によって解決され、その装置において、給送手段は、移送平面内に配置された、下を向いた基板表面上に処理媒体を塗布するように形成されており、かつ、給送手段の周囲からガス状、および/または、霧状に分配された処理媒体を吸い出すために、少なくとも1つの吸出し手段が設けられており、少なくとも1つの吸出し手段が、移送平面の垂直方向下方に配置されている。本発明の効果的かつ好ましい形態が、他の請求項の対象であって、以下で詳細に説明される。装置および方法は、一部共通に説明されるが、この説明とそれに応じた特徴は、装置と方法に独立して該当する。請求項の文言は、はっきりと参照することによって、明細書の内容とされる。
【0006】
下を向いた基板表面は、実質的に平坦であって、かつこの基板表面上へ立てた面法線が少なくとも実質的に鉛直に垂直方向に延びるように、方向づけされている。下を向いた基板表面は、移送平面内に配置されており、かつ処理媒体によって湿潤すべき表面である。それに対して、移送平面内に位置しない、他の下を向いた基板表面は、処理媒体によって湿潤されるべきではない。
【0007】
移送平面は、移送すべき基板が移送手段と接触する平面であり、実質的に水平に方向付けされ、あるいは水平と鋭角を形成する。それぞれ移送手段の配置に応じて、移送平面は湾曲した移送平面として形成することができ、移送平面部分が少なくとも実質的に水平に方向づけされる。
【0008】
移送平面内で下を向いた基板表面を処理媒体で湿潤するために設けられている給送装置は、たとえば、半田波の形式の液体波として形成することができる。すなわち、液状の処理媒体が、細長い、アーチ形状にプロフィール化されたエッジを介して汲み上げられるので、上方へ突出する液体波が形成され、それが頂点において移送平面に接触する。
【0009】
給送装置を、実質的に垂直方向上方へ向けられたスプレイビームを放出することができる、スプレイ装置として形成することも考えられる。基板の輪郭に応じて、スプレイ装置によって、下方を向いた基板表面を選択的に湿潤することもできる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態において、処理媒体は、ローラまたはコンベアベルトとして形成された給送装置と下を向いた基板表面との間で、直接機械的に接触して塗布される。この目的のために、給送装置は、基板表面の湿潤に適した表面構造を有しており、場合によっては配量装置から処理媒体を供給される。給送装置は、駆動可能または移動可能に形成することができる。従って、処理媒体を転送するために、好ましくは移送方向に移動される基板と移送平面に接触する、給送装置の外表面の等しい表面速度において、基板表面上で給送装置の外表面の転動を行うことができる。
【0011】
基板の下を向いた表面の湿潤の種類に関係なく、給送装置の領域内に、蒸発、および/または、霧化された処理媒体が発生することがあり、それが好ましくないやり方で、基板の下を向いていない他の表面上に沈積することがあり得る。場合によっては保護されない、この表面を処理媒体による損傷から保護するために、吸出し手段が設けられており、それは、蒸気状、および/または、霧化されて存在する処理媒体を給送装置の周囲から吸い出して、従って他の基板表面への沈積を阻止する。実質的に垂直下方へ向けられた空気流をもたらすことができ、それによって蒸発、および/または、霧化された処理媒体が移送平面を越えて上方へ舞い上がることを防止するために、少なくとも1つの吸出し手段が、移送平面の下方に配置されている。フッ化水素酸、塩酸、硝酸あるいは苛性カリ溶液の水性の溶液のような、典型的な処理媒体が、ガスまたは霧を形成し、それは空気よりも重く、特に移送手段と基板との間で行われる相対移動によって移送平面を越えて舞い上がることがある。
【0012】
移送平面は、実質的に水平に方向づけされ、あるいは水平と鋭角を形成する。それぞれ移送手段の配置に応じて、移送平面は湾曲した移送平面とすることができ、移送平面部分が実質的に水平に方向づけされることが好ましい。吸出し手段は、負圧の使用に基づいており、その負圧は好ましくは給送装置の周囲における標準圧に対して、垂直方向下方へ向かう、少なくともほぼ渦のない、特に層状の空気流を構築することができるように、選択される。
【0013】
本発明の形態において、少なくとも1つの吸出し手段は、少なくとも2つの隣接して配置された移送手段と移送平面とによって画成される中間室内に配置されている。従って基板の表面を処理するための装置のコンパクトな形態を実現することができる。移送手段の間の中間室は、吸出し手段によって吸引されて、実質的に垂直方向下方へ流れる空気の好ましい流れを可能にする。吸出し手段を移送手段の間に取り付けることによって、すでに処理媒体によって湿潤された基板表面と移送手段との間の相対移動によって、特に転動によってガス状、および/または、霧化された状態へ移行される、余分な処理媒体は、生じた箇所で直接確実に吸い出すことができ、従って移送平面の上方の領域から隔離される。
【0014】
本発明の他の形態において、吸出し手段は、長く延びる中空体として、特にパイプとして形成されており、少なくとも1つの吸引開口部を有している。それによって、吸出し手段の簡単かつ安価な形成を実現することができる。吸出し手段は、特に、閉成され、あるいはスリットを有するパイプ横断面として形成することができ、この閉成されたパイプ横断面内に1つまたは複数の吸引開口部が設けられている。スリットを有する中空体の場合には、中心長手軸に沿って延びるスリットが、吸引開口部を形成する。中空体として、特に、プラスチックパイプまたは金属パイプが考えられ、それが、たとえば継目なしで形成されて、後から吸引開口部を設けられる。
【0015】
本発明の他の形態において、吸出し手段は、処理媒体で満たされた槽の領域内に配置されている。従って、吸出し手段は、処理媒体のための貯蔵リザーバとして用いられる槽の上方に存在することがあり得る、ガス状、および/または、霧化された処理媒体も、捕捉することができる。従って、槽から流出するガス状、および/または、霧化された処理媒体が移送平面上方へ舞い上がることが防止され、それによって処理媒体が基板の上を向いた表面上に沈積することが回避される。
【0016】
本発明の他の形態において、吸出し手段は槽内に、特に吸引開口部なしで形成された下側が少なくとも部分的に処理媒体で湿潤可能であるように、配置されている。従って、表面処理する装置の特にコンパクトな形態を実現することができる。槽内に収容された処理媒体は、給送装置を介して湿潤すべき基板表面へ給送される。装置のコンパクトな形態に責任を持つ、処理媒体のための短い給送路を保証することができるようにするために、処理媒体のための槽は、処理媒体の液面が移送平面の下方ぎりぎりに位置するように、配置される。吸出し手段のためには、移送平面の上方の領域内で渦の少ない流れを維持するためのわずかな速度から適度速度までの吸出しを保証する、十分な中空横断面が提供されなければならない。従って、好ましくは細長い中空体として形成された吸出し手段は、槽と移送平面との間に次のように、すなわち吸出し手段が少なくとも部分的に処理媒体内へ潜り、従って処理媒体のための望ましい短い距離に逆らわないように、配置される。
【0017】
本発明の他の形態において、槽に、ガス状、および/または、霧状に分配された処理媒体を端縁側で吸い出すために、少なくとも部分的に槽端縁に配置された吸出しシャフトが対応づけられている。それによって、ガス状または霧状に分配された処理媒体が槽の端縁において移送平面を越えて舞い上がり、上方を向いた基板表面を損傷することを、防止することができる。吸出しシャフトは、少なくとも1つの吸出し開口部を有する、少なくとも部分的に一周する、細い中空体として、槽の端縁側に取り付けることができる。本発明の好ましい実施形態において、端縁側の吸出しシャフトは、槽を少なくとも部分的に包囲するタンクまたはプロセスチャンバによって形成され、それがスリット状の、少なくとも実質的に一周する開口部を画成し、その開口部を通して垂直方向下方へ向かう吸出しを行うことができる。
【0018】
本発明の他の形態において、吸出し手段の少なくとも1つの開口部は、吸出し手段の中心長手軸の上方の領域内に配置されている。それによって吸出し手段によって吸引される周囲空気の、実質的に渦の少ない、特に層状の流入が保証される。吸出し手段の中心長手軸の上方に配置された吸引開口部を通して、吸出し手段の領域内で実質的に垂直方向に吸引された空気は、望ましくないやり方で方向変換される必要はなく、それによってまた、湿潤すべきでない基板表面上のガス状または霧化された処理媒体の望ましくない沈積をもたらすおそれがある、わずかな旋回ももたらさず、あるいはまったくもたらすことはない。
【0019】
本発明の他の形態において、吸出し手段は吸出し導管と接続されており、吸出し手段と吸出し導管との間に少なくとも1つの調節弁が設けられている。吸出し手段を吸出し導管と接続することによって、中央の吸出しと、場合によっては必要な、周囲空気とガス状、および/または、霧化された処理媒体からなる、吸い出された混合気の中央の準備を実現することができる。吸出し導管には、たとえば負圧を発生させるための中央のポンプ装置を設けることができるので、吸出し手段のための中央の駆動、すなわち能動化と非能動化および吸込み体積流の調節を実現することができる。個々の吸出し手段によって吸引開口部を通して吸引された吸引体積流の個別的な適合を可能にするために、少なくとも吸出し手段と吸出し導管との間に調節弁が設けられており、その調節弁は特に調節可能な絞り弁として形成することができ、この吸出し手段のための吸引体積流の手動または自動化された調節を許す。
【0020】
本発明の他の形態において、吸出し手段は、移送ローラとして形成された2つの移送手段の間に配置されており、吸出し手段の中心長手軸は、移送手段の回転軸に対して平行に配置されている。これが、装置の特にコンパクトな形態を許す。というのは、移送ローラとして形成された移送手段に対して吸出し手段を平行に配置することによって、場所をとらない配置が実現されるからである。吸出し手段は、特に、実質的に円筒状の移送ローラと移送平面によって画成される、実質的に三角形または台形の中間室内に収容することができる。この中間室は、移送ローラの円筒状の輪郭によって、かつ移送ローラを同じ方向に移動させるために必要な、移送ローラ間の隔たりによって形成される。
【0021】
この課題は、本発明の第2のアスペクトによれば、特にシリコン材料から形成された基板の基板表面を処理媒体で湿潤するための、請求項10に記載の特徴を有する方法によって解決され、その方法は次のステップを有している:
移送平面内で移送手段によって基板を移送するステップ、
少なくとも実質的に移送平面内に配置された、下を向いた基板表面を、給送装置によって基板表面に塗布される、処理媒体によって湿潤するステップ、
移送平面内に配置された基板表面とは異なる基板表面上に処理媒体が沈積することを回避するために、移送平面の垂直方向下方に配置された吸出し手段によって、蒸発、および/または、霧化された処理媒体を吸い出すステップ。
【0022】
基板の移送は、好ましくは、移送手段によって定められる移送平面内で実質的に直線的な移送方向に行われる。この目的のために、基板は下を向いた基板表面をもって、複数の移送手段の配置上に載置され、その移送手段は少なくとも部分的に駆動装置と結合されており、その駆動装置によって駆動され、従って基板の前進をもたらすことができる。下を向いた基板表面の湿潤は、本発明の好ましい実施形態においては、直接移送手段によって行われ、従ってその移送手段は、給送手段としても用いられる。それに加えて、あるいは、その代わりに、湿潤を、移送平面の下方で移送手段の間に配置された、別体の給送装置によって行うことができる。蒸発、および/または、霧化された処理媒体の吸出しは、吸出し手段によってもたらされ、その吸出し手段は、移送平面に配置された基板表面とは異なる基板表面上に処理媒体が沈積することを防止するために、移送平面の垂直方向下方に配置されて、垂直方向下を向いた空気流をもたらす。
【0023】
本方法の形態において、基板の連続的な移送、および/または、基板表面を湿潤するための給送装置による処理媒体の連続的な準備、および/または、ガス状または霧化された処理媒体の連続的な吸出しが実施される。基板の移送、および/または、基板表面を湿潤するための処理媒体の準備、および/または、吸出しを連続的に実施することによって、湿潤すべき基板上に処理媒体の最小限の沈積、好ましくは消滅する沈積しか行われず、特に好ましくは沈積が行われない、加工プロセスを保証することができる。
【0024】
これらの特徴と他の特徴は、請求項からの他に、明細書と図面からも明らかにされ、個々の特徴は、それぞれそれ自体単独で、あるいは複数を互いに組み合わせる形式で、本発明の実施形態において、かつ他の実施形態に提供されて実現することができ、好ましい実施形態と保護可能な実施形態を表すことができ、それについてここで保護が請求される。出願を個々の部分および中間見出しに分割することは、これらの元で行われる説明の普遍性を制限するものではない。
【0025】
本発明の実施例を、図面に図式的に示し、以下で詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1と2に示す、基板2を表面処理する装置1は、移送ローラ3、3aとして形成された複数の移送手段を有している。移送ローラ3、3aは、特にシリコン材料から形成された基板2を線形に移送するために設けられ、かつ調整されている。移送ローラ3、3aが移送平面5を定め、その移送平面は水平方向に方向付けされており、かつ移送ローラ3、3aの表面に接する。移送ローラ3、3aは、装置1内に回転可能に軸承されており、少なくとも部分的に、図示されない駆動装置によって、好ましくは一定の、調節可能な回転速度で駆動される。
【0027】
基板2は、典型的にフラットで平坦なシリコンプレートであって、そのシリコンプレートは約60mmから250mmの直径を有する丸い輪郭または60mmから250mmのエッジ長さを有する矩形の輪郭を有している。基板の好ましい厚みは、0.1mmから2mmの領域内にある。基板2は、基板表面4を下へ向けて移送ローラ3、3a上に載置され、移送ローラ3、3aの同方向かつ同じ速度の回転によって移送方向6に移動される。
【0028】
装置1の課題は、たとえば、基板2のすべての側に塗布されたコーティングを、下へ向いた基板表面4において液状の処理媒体を使用しながら、基板の残りの表面上に塗布されているコーティングを損傷することなしに、湿化学的方法で除去することにある。
【0029】
この目的のために、基板2は、基板表面4をもって移送ローラ3、3a上に載置されて、入口開口部7を通して、図面に示唆されるだけの、少なくともほぼ完全に閉成されたプロセスチャンバ8内へ移動される。プロセスチャンバ8内に、槽9が設けられており、その槽は、液状の処理媒体10、特にフッ化水素酸(HF(aq))、および/または、塩酸(HCl(aq))、および/または、硝酸(HNO3(aq))、および/または、苛性カリ溶液(NaOH(aq))の水溶液によって、完全に満たすことができる。槽9は、プロセスチャンバ8の底14から距離をもって配置されているので、槽9と底14の間に、槽9の端縁領域における吸出しを保証する、吸出しシャフト15が形成されている。図2に詳細に示すように、吸出しシャフト15は槽9全体の下方に配置されており、従って、槽9の端縁を越えて流出し、吸込み手段11によって捕捉されない、ガス状、および/または、液状の処理媒体10の吸出しを可能にする。吸出しシャフト15は、装置1の側方に取り付けられた排気シャフト16と接続されており、その排気シャフトは負圧を供給されている。槽9に新鮮な処理媒体10を供給することは、媒体導管13を介して行われる。
【0030】
下方を向いた基板表面4の湿潤を保証するために、移送ローラ3aは二重機能を果たし、すなわち移送ローラは基板2のための移送手段としてだけでなく、処理媒体10のための給送装置としても、用いられる。槽9から移送平面5内へ処理媒体10を給送するために、移送ローラ3aは槽9内に、部分的に処理媒体10内に浸かるように、配置されている。移送ローラ3aは、湿潤可能な表面を有しているので、移送ローラは処理媒体10をわずかな層厚で重力に抗して上方の移送平面5内へ給送することができ、転動プロセスにおいて、すなわち直接接触して、基板表面4上に転送することができる。処理媒体10は、わずかな層厚で移送ローラ3a上に載置されるので、基板2の厚みが小さい場合でも、処理媒体10が上方を向いた基板表面に達しないことが、保証される。
【0031】
上方を向いた基板表面に処理媒体10がつかないでいることを保証するために、給送手段として作用する移送ローラ3aの周囲に存在する可能性のある、ガス状、および/または、霧状の処理媒体を吸い出すための吸出し手段11が設けられている。処理媒体10は、蒸気圧を有しており、その蒸気圧は、処理媒体10が、たとえば周囲温度と空気圧のような取り巻く外気の条件に従ってある程度激しく蒸発して、周囲空気と混合することに現れる。さらに、移送ローラ3aと処理媒体10の間の相対移動によって、かつ給送手段3aが基板表面4上で転動することによって、微小な処理媒体の滴の剥がれが生じることもあり、それが細かく分配された霧として、処理媒体10の液面の上方に存在する。ガス状、および/または、霧化された処理媒体10と周囲空気との混合気は、典型的に周囲空気よりも重い。しかし、移送手段3aと基板2の間の相対移動によって、周囲空気の旋回が発生し、それは、吸出し手段11がないと移送平面5を越えてガス状、および/または、霧化された処理媒体を舞い上がらせてしまうことがある。
【0032】
従って、ガス状、および/または、霧化された処理媒体10が、基板2の上方を向いた表面上に沈積してしまう。それは望ましくないので、吸出し手段11が設けられており、それは、負圧を供給されるパイプとして移送ローラ3aの間に配置されて、それぞれ複数の吸引開口部12を有しており、それを通してガス状、および/または、霧化された処理媒体10は、移送平面5の下方の領域内で吸い出されることが可能で、従って移送平面5を越えて上方を向いた基板表面へ達することはできない。この理由から、吸出し手段11は移送平面5の垂直方向下方に配置されており、実質的に垂直方向に流れる空気流をもたらし、その空気流は好ましくは渦が少なく、特に好ましくは層状に形成されている。
【0033】
吸出し手段11は、排出パイプ17を介して吸出し導管19と接続されており、その吸出し導管は、図示されていないポンプ装置を介して負圧を供給されている。吸出し手段11を個別に調節するために、排出パイプ17と吸出し導管18の間に調節弁19が設けられており、それは、絞り弁として形成されており、吸出し導管18によって吸引される体積流の調節を可能にする。
【0034】
吸出し手段11を装置1内に特にコンパクトに配置するために、パイプ形状に形成された吸出し手段11の中心長手軸21は、移送ローラ3aの回転軸20に対して平行に方向付けされ、吸出し手段11は、移送ローラ3aと移送平面5および下方へ向かって処理媒体10の液面によって画成される中間室内に配置される。従って、移送ローラ3の間隔がわずかであるにもかかわらず、吸出し手段11のための大きい横断面を実現することができる。すなわち、吸出し手段11によって吸い出される体積流が大きい場合でも、吸出し手段11内でわずかな流れ速度を保証することができる。さらにまた、吸出し手段11の大きい外表面が存在し、その外表面に多数の吸引開口部12を形成することができ、その結果、垂直方向下方へ、渦の少ない、特に層状の空気流を実現することができ、それが、ガス状または霧状に分配された処理媒体10の吸出しを保証する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】基板を表面処理する装置を図式的に示す側面図である。
【図2】図1に示す装置を部分的に切断して図式的に示す正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(2)の表面を処理する装置であって、
特にシリコン材料から形成された基板(2)を移送するための移送手段(3、3a)と、移送手段(3、3a)によって定められる移送平面(5)内で基板表面(4)を液状の処理媒体(10)で湿潤するために設けられている、少なくとも1つの給送手段(3a)と、を有するものにおいて、
給送手段(3a)が、移送平面(5)内に配置された、下方を向いた基板表面(4)上に処理媒体(10)を塗布するように形成されており、かつ、
給送手段(3a)の周囲からガス状、および/または、霧状に分配された処理媒体(10)を吸い出すための吸出し手段(11)が設けられており、
少なくとも1つの吸出し手段(11)が、移送平面(5)の垂直方向下方に配置されている、
ことを特徴とする基板の表面を処理する装置。
【請求項2】
少なくとも1つの吸出し手段(11)が、少なくとも2つの隣接して配置された移送手段(11)と移送平面(5)とによって画成される、中間室内に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
吸出し手段(11)が、長く延びる中空体として、特にパイプとして、形成されており、かつ少なくとも1つの吸引開口部(12)を有している、ことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
吸出し手段(11)が、処理媒体(10)によって満たされた槽(9)の領域内に配置されている、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
吸出し手段(11)が槽(9)内に次のように、すなわち、特に吸引開口部(12)なしで形成された下側において少なくとも部分的に処理媒体(10)によって湿潤可能であるように、配置されている、ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項6】
槽(9)に、ガス状、および/または、霧状に分配された処理媒体(10)を端縁側で吸い出すために、槽端縁(22)に少なくとも部分的に配置された吸出しシャフト(15)が対応づけられている、ことを特徴とする請求項5または6に記載の装置。
【請求項7】
吸出し手段(11)の少なくとも1つの吸引開口部(12)が、吸出し手段(11)の中心長手軸(21)の上方の領域に配置されている、ことを特徴とする請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
吸出し手段(11)が、吸出し導管(18)と接続されており、吸出し手段(11)と吸出し導管(18)の間に調節弁(19)が設けられている、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
吸出し手段(11)が、移送ローラとして形成された2つの移送手段(3、3a)の間に配置されており、吸出し手段(11)の中心長手軸(21)が、移送手段(3、3a)の回転軸(20)に対して平行に配置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項10】
特にシリコン材料から形成された基板(2)の基板表面(4)を処理媒体(10)によって湿潤する方法であって、
移送平面(5)内で移送手段(3、3a)によって基板(2)を移送するステップと、
少なくとも実質的に移送平面(5)内に配置された、下方を向いた基板表面(4)を、給送装置(3a)によって基板表面(4)に塗布される処理媒体(10)によって湿潤するステップと、
移送平面(5)内に配置された基板表面(4)とは異なる基板表面上に処理媒体(10)が沈積するのを防止するために、蒸発され、および/または、霧化された処理媒体(10)を、移送平面(5)の垂直方向下方に配置された吸出し手段(11)によって吸い出すステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
基板表面(4)を湿潤するために、
基板(2)を連続的に移送し、および/または、
給送装置によって処理媒体(2)を連続的に準備し、および/または、
ガス状あるいは霧化された処理媒体(10)を連続的に吸い出す、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−519591(P2009−519591A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544889(P2008−544889)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2006/012117
【国際公開番号】WO2007/073887
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(504171628)ゲブリューダー シュミット ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー (27)
【Fターム(参考)】