基板上の構造の座標を決定する際の計測精度を向上させる方法
【課題】座標測定に用いるレーザ干渉計のエラーの影響をなくする。
【解決手段】 基板上の少なくとも一つの構造の座標を高精度に計測する方法である。X/Y座標方向にトラバースできるステージが提供され、これは干渉法光計測システムに配置される。基板上の構造は、Z座標方向に配向された光軸20を持つ計測オブジェクティブ21を通じて少なくとも一つの検出器34上に撮像される。該構造は所謂デュアルスキャンで撮像される。システマチックなエラーはこのようにして無くされる。
【解決手段】 基板上の少なくとも一つの構造の座標を高精度に計測する方法である。X/Y座標方向にトラバースできるステージが提供され、これは干渉法光計測システムに配置される。基板上の構造は、Z座標方向に配向された光軸20を持つ計測オブジェクティブ21を通じて少なくとも一つの検出器34上に撮像される。該構造は所謂デュアルスキャンで撮像される。システマチックなエラーはこのようにして無くされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ドイツ特許出願DE10 2006 023 151.1およびドイツ特許出願DE 10 2007 017 630.0の優先権を主張する。これらの全体開示をここに参照として組み込む。
【0002】
本発明は、干渉法光学計測システムにおける、X/Y座標方向に可動性のあるステージ上に配置される基板上の少なくとも一つの構造の座標の高精度な計測方法に関している。基板上の構造は、光軸がZ座標方向に配向された計測オブジェクティブを通じて検出器へ撮像される。
【背景技術】
【0003】
基板(ウェハあるいはマスク)上の構造計測に利用される計測機器は、Carola Bl▲a▼sing博士が1998年3月31日、ジュネーブにおけるSemicon Education Program Conventionで主催した「マスク作成のためのパターン配置計測学(Pattern Placement Metrology for Mask Making)」という研究論文に詳述されている。そこで記されている記載は、座標計測機器の基礎である。本発明はこのような計測機器と共に利用されると好適であるので、その汎用性を侵害することなく、主としてこのような計測機器を参照しながら記載する。添付の図1を参照しながらこの計測機器を以下に記載する。このよく知られた計測機器1は、マスクおよびウェハなどの、サンプル30上の構造31およびその座標を計測するためのものである。本願の文脈においては、「サンプル」、「基板」および一般用語である「オブジェクト」は類義とみなすこととする。ウェハ上にさらに集積度を増して配列される半導体チップの製造においては、個々の構造31の構造幅はさらに小さいものになっている。その結果、構造31の端部および位置の計測、構造幅および重畳データの計測のための計測・検査システムとして利用される座標計測機器の仕様要件はより厳しいものになっている。顕微鏡に類似したおよびレーザ距離計測システムの組み合わせによる形式の光サンプリング技術は依然好適である。光計測機器の利点は、X線あるいは電子ビームサンプリングなどの異なるサンプリング法を利用するシステムに比べて、実質的に構造が複雑でなく操作し易く、位置計測に関してより安定性が優れていることが挙げられる。
【0004】
この計測機器1における実際の計測システムは減振動グラニットブロック23上に配列されている。マスクあるいはウェハは計測ステージ26上に自動処理システムにより配置される。この計測ステージ26はグラニットブロック23の表面に空気ベアリング27、28により支持されている。計測ステージ26はモータ駆動で、二次元配置(XおよびY座標方向)が可能である。対応する駆動要素は示さない。平面ミラー9は計測ステージ26の二つのお互い垂直な辺に搭載されている。複数の干渉計を含むレーザ干渉計システム29を利用して、計測ステージ26の位置を探知、決定している。
【0005】
計測対象の構造の照明および撮像は、近紫外線の(汎用性を侵害することなく)スペクトル範囲の入射光および/または透過光を持つ高解像度の顕微鏡光学により行われる。CCDカメラが検出器としての役目を果たす。計測信号は計測ウィンドウ内に配置されるCCD検出器アレーの画素から入手される。計測対象の構造の強度プロフィルはここから、構造の端部位置、あるいはお互い交差する二つの構造の交点の決定の目的で、例えば、画像加工によって導出される。通常、このような構造要素の位置は基板(マスクあるいはウェハ)の参照点に比して、あるいは光軸20に比して決定される。計測ステージ26の干渉計測位置と共に、これは構造31の座標となる。露光に利用されるウェハあるいはマスクの構造は極小さい公差だけしか許容しない。したがって、これら構造を検査すべく、非常に高い計測精度が(目下はナノメータのレベルのもの)要求される。このような構造の位置を決定する方法および計測機器は、ドイツ特許出願公報DE 100 47 211 A1から公知である。上述の位置決定の詳細については、この書類を明らかに参照する。
【0006】
図1が図示する計測機器1の例においては、サンプル30も下からの透過光で照らすことができるよう、計測ステージ26がフレーム状に形成されている。サンプル30の上には入射光、照明・撮像機器2があり、これが光軸20の回りに配置されている。Z座標方向における光軸20沿いに(自動)焦点調節が可能である。照明・撮像手段2はビームスプリットモジュール32、上述の検出器34、配置手段33、および複数の照明機器35(オートフォーカス、概観照明、及び実際のサンプル照明用など)を含む。Z座標方向に配置可能なオブジェクティブを21番で示す。
【0007】
高さ調節可能な集光装置を持つ透過光照明手段17および光源7もグラニットブロック23に挿入され、できるだけ大きな数値取入孔を持つ拡大連結取込光学3から受光する。このように、できるだけ多くの光を光源7から受光する。このように受光された光は連結取込光学3へ、そして光ファイバ束のような光ガイド4へと連結取り込みされる。好適にはアクロマチックオブジェクティブとして形成される連結取出光学5は光を集光装置17内へ連結する。照明光はさらに光源7からミラーアセンブリを通して連結取り込みされてもよい。
【0008】
構造計測において必要なナノメータ精度を達成する目的からは、外気変化あるいは振動などの、環境からの阻害影響をできるだけ最小限に抑えることが肝要である。この目的から、室内の温度と湿度が非常な精度(<摂氏0.01度あるいは<1%の相対湿度)で制御される人工気象室に計測機器を収容することもできる。振動を無くすためには、上述のように、計測機器1は減振動機器24、25を持つグラニットブロック上に支持される。
【0009】
構造位置を決定する際の精度は、XおよびY座標方向のステージ位置を決定するのに利用されるレーザ干渉計システムの安定性および精度に依るところが大きい。干渉計のレーザビームは計測機器の外気を伝播するので、波長は外気の屈折率に依存する。この屈折率は温度、湿度、気圧の変化と共に変化する。人工気象室内で温度および湿度が制御されているにも関わらず、残りの波長ばらつきは必要な計測精度を達成するには大きすぎる。よって所謂エタロンを利用して外気の屈折率の変化に伴う計測値変化を補償する。このようなエタロンにおいては、計測ビームが固定計測距離を網羅しており、対応する計測光路長の変化が外気の計測インデックスの変化によってのみ起きるようになっている。このようにエタロン計測によれば、連続的に波長の目下の値を決定して干渉計測においてそれを考慮に入れることにより、屈折率の変化の影響を大幅に補償することができる。
【0010】
最も高い精度を達成すべく、レーザ距離計測システムは通例、レーザビームを二つの直線偏光成分に分ける可能性を利用するヘテロダイン法で動作する(ここでは、二つのゼーマン線の小さい周波数差異が利用される)。二つの成分は干渉計で分離され、計測および参照ビームとして利用され、再度干渉計上に重畳され、お互いに干渉しあう。使用されるレーザ距離計測システムは、632.8nmレーザの波長λLaserにおいて、レーザ距離計測システムの整数値(レーザクリック)当たり0.309nmの解像度を持つ。
【0011】
述べた計測機器の精度を記載するには、通例、座標の計測平均値の三倍の標準偏差(3σ)が利用される。計測値の普通の分布においては、統計学的に99%の計測値が、平均値の周りの3σの範囲内に収まる。繰り返し性の示唆は、XおよびY座標方向の点の格子を計測することで行われ、ここでは各方向において、繰り返し全ての点を測定した後に3σの平均値および最大値を示すことができる。典型的な例としては、15×15格子(格子点のピッチは10mm)の1μm幅を持つ交差クロム構造を水晶基板上で計測することが挙げられる。2x(XおよびY)225点の計測が20回繰り返される(20パス)。1パスの全ての点を共通に回転およびシフトさせる、所謂マルチポイント補正の後に、1.5から2nmの(450点の全ての3σの値の偏差の最大値3σ)繰り返し性が得られる。マルチポイント補正なしでは、値は2―6nmの間である。
【0012】
記載された計測機器には、繰り返し性および計測精度についてさらなる改良が望ましい。特に、本発明では、計測ステージの座標計測、あるいはこの計測ステージの座標の変化を決定するのに利用されるレーザ干渉計が特に注目された。本発明は記載されている計測機器の文脈における干渉計に限るものではなく、一般的にレーザ干渉計測で利用できる。
【0013】
米国特許5,469,260からは、レーザ干渉計によって一あるいは二次元にトラバース(traverse)できるステージの位置計測装置が知られている。この目的から、例えば静止光システムには静止ミラーが取り付けられ、一方、可動式ステージがミラーを携行している。公知の方法において、レーザビームは一部が静止ミラーへ入射して、他の部分が携行ミラーに入射して、反射するよう、分離される。反射した部分ビーム同士はお互いに干渉しあい、干渉リングの位置をずらすことで、携行ミラーの静止ミラーに対する相対位置ずれが導出され、この位置ずれ量を決定することができる。
【0014】
この書類では、上述の計測システムの一例として、ウェハをマスクと光投影システム(ステッパ)とを介して露光する間のウェハ支持ステージの位置計測が開示されている。ここでは、静止光投影システムに対する支持ステージの位置が干渉計により計測される。一面におけるステージのXおよびY座標を計測するには、したがって二つの干渉計システムが必要となる。
【0015】
LMS IPROの重大なエラー成分が干渉計のエラーにより引き起こされるという強い示唆がある。このエラーはアジレント(Agilent)干渉計システムにより引き起こされる。シヌソイド形を持ち、エラーが生成される間の干渉計を通る経路によって、λLaser/4(=632.8nm/4=158.2nm)およびλLaser/2の周期長におけるステージ位置と共に変化することを観察することができる。反射角度はステージ本体のミラーおよびステージ本体自身の可動性によってわずかに変化することもあるので、レーザビームが干渉計に入射する位置および計測および参照ビームの重畳は変化して、干渉計エラーの振幅および位相もまた変化する。エタロンにより計測される屈折率の変化は、関連する位置変化を正確に考慮に入れているが、より長い距離においては、干渉計エラーそのものを補償することはできない。
【0016】
故に、このエラーの補正は正確には不可能である、というのも、マスクの計測地点の関数としてのみならず経時的にも変化するからである。このようなわけで、干渉計補正の通常の方法はその限界に到達している。このエラーの最適な考慮には、計測の地点と時間とを考慮に入れるべきである。これは、各位置計測中に干渉計補正の決定および算出を同時に行う計測対数が導入されると、理想的に実現される。ここでこのようなアルゴリズムを紹介したい。現存の方法にはこれが組み込まれており、計測時間が最小限にしか影響を受けないようになっている。
【発明の開示】
【0017】
本発明の一つの目的は、基板の構造の位置を決定する計測システムの計測精度を増し、同時に、計測精度に対するレーザ干渉計エラーの影響をなくすことである。
【0018】
本願によれば、この目的は、
・ まず、前記X/Y座標方向に可動性を持つ前記ステージを、前記基板上の構造が前記検出器の少なくとも一つの所定の計測ウィンドウに位置するようにトラバース(traverse)して、
・ 次に、少なくとも一度Z座標方向の相対移動を行い、ここで前記Z座標方向の前記相対移動と同期して、前記構造の複数の画像を前記検出器により撮像して、前記XおよびY座標方向の前記ステージの位置も前記撮像に同期して決定して、
・ 次に、少なくとも一度前記ステージを前記XおよびY座標方向により定められる面の距離によりトラバースして、前記計測ウィンドウもこの距離によりシフトして、
・ 逆のZ座標方向の相対移動を少なくとも一度行って、前記Z座標方向の前記相対移動と同期して、前記構造の複数の画像を前記検出器により撮像して、前記XおよびY座標方向の前記ステージの位置も前記撮像に同期して決定して、
・ 前記Z座標方向および前記逆の方向における前記相対移動中に、および各画像に関連して決定されたステージの位置から、前記構造の前記記録された画像に同期して記録されたZ位置から前記構造の少なくとも一つの実際の位置を決定する、方法により達成される。
【0019】
前記ステージの撮像中の位置は、少なくとも一つのレーザ干渉計により決定され、前記レーザ干渉計の光はλLaserの波長を持つ。
【0020】
前記計測操作前に距離に対する適切な値が決定され、前期距離により前記XおよびY座標方向で定められる面で前記ステージをトラバースする。
【0021】
前記XおよびY座標方向で定められる面で前記ステージをトラバースする前記距離は、前記レーザ干渉計の前記波長λLaserの四分の一の整数倍に相当する。
【0022】
前記XおよびY座標方向で定められる面で前記ステージをトラバースする前記距離は、前記X座標方向の成分と前記Y座標方向の成分とからなり、前記二つの成分は異なる大きさを持つ。
【0023】
前記Z座標方向および逆の方向の相対移動および前記構造の複数の画像の関連する同期撮像は、前記ステージが前記XおよびY座標方向で定められる面でZ方向の逆転の直前にトラバースするよう行われる。
【0024】
検出器には、座標計測のために少なくとも一つの第一の所定の計測ウィンドウが関連付けられる。複数の計測ウィンドウが関連付けられてもよく、さらなる計測ウィンドウは、例えば、第一の計測ウィンドウに対して90度回転されてもよい。これら計測ウィンドウは四角形である。これら四角形は大きさが異なる。
【0025】
前記計測オブジェクティブの相対移動の前記トラバース距離は、Z方向で利用される計測オブジェクティブ各々の焦点の深さの範囲である。前記計測オブジェクティブの前記Z方向への相対移動は、数10nmから数マイクロメータを含む。
【0026】
一つの好適な実施形態においては、前記Z座標方向への相対移動は一度行われる。さらに、前記ステージは前記XおよびY座標方向で定められる面で或る距離で一度トラバースされる。その後、前記逆のZ座標方向の前記相対移動が一度行われる。
【0027】
基板上の座標の高精度な計測方法によると、構造の位置決めを実際の計測プロセス前に少なくとも一つの計測ウィンドウで実行すると特に好適である。典型的には、Z座標方向に相対移動が行われ、このZ座標方向への相対移動中にCCDカメラにより基板上の構造の複数の画像が記録される。Z方向への移動は、主に高精度に、しかも他の計測値と同期して(同時に)焦点位置を決定する。相対Z移動なしで計測することも可能である。しかし、これは請求項を干渉計エラーの観点に限定しない。撮像(及びZ位置計測)と平行して、少なくとも一つのレーザ干渉計で前記ステージの撮像中の位置が記録される。その後に、ステージをある距離でトラバースして、可能ならば干渉計エラー周期の二分の一で位置ずれを行う。計測ウィンドウに配置されている構造の別の配置を避けるように計測ウィンドウの位置をずらす。具体的なケースにおいては、λLaser/4(158nm周期)においては80nmの位置ずれを行い、λLaser/2においては160nmの位置ずれを行う。各エラーの状況に応じて、他の値もまた考えられる。この値は前もって動的に決定されてもよい。この後には、再度、逆のZ座標方向の相対運動が行われ、ここでも再度、基板上の構造の複数の画像がCCDカメラによって逆のZ座標方向の相対運動中に記録される。実際には、Z方向および逆の方向へのトラバース中の、干渉計測法で決定されたステージ位置、計測ウィンドウの二つの位置の記録画像、および同期して記録された各Z位置を利用して、前記構造の端部の位置および構造幅を決定する。
【0028】
さらなる実施形態によると、ステージは単一の距離でトラバースされるのみならず、続けて二以上の距離で、一回ごとにデータ記録を伴ってトラバースされる。
【0029】
さらなる実施形態によると、Z座標方向のトラバースは焦点に達したところで止められる。Z位置においては、画像計測機器は固定される。この位置における計測データの十分な量の記録に続いて、座標計測方向の位置ずれが行われ、さらなる計測データの組の計測がこのZ位置で行われる。構造は線、空間、点、穴、ハンマーヘッドなどの要素であってよい。
【0030】
基板上の構造は例えば十字形に形成される。複数の十字が基板としてのテストマスク上に適用され、十字は4μmの物理的大きさを持つ。上述の人工気象室は、温度や湿度などの、外部の大気の影響に対して出来る限り密閉され、上述のパラメタを一定に保つ調節装置を備えたチャンバである。屈折率を変更するさらなるパラメタは人工気象室の大気組成およびこの大気の圧力である。通常、温度および湿度を調整する大気としては空気が選択される。汎用性を限定することなく、気流を以下で言及する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の例示的実施形態とその利点を、付随する図面を参照しながら以下でさらに詳細に述べる。図面中、
【図1】本発明による位置計測方法を好適に利用することのできる座標計測機器の概略を示す。
【図2A】図1による計測システムのX座標方向の繰り返し性を示しており、ここでは15×15格子の座標位置が9個の計測パスについて示されており、繰り返し性をよりよく検出する目的から、9個全ての計測パスの平均値を各格子位置の全ての位置から減算している。
【図2B】図1による計測システムのY座標方向の繰り返し性を示しており、ここでは15×15格子の座標位置が9個の計測パスについて示されており、繰り返し性をよりよく検出する目的から、9個全ての計測パスの平均値を各格子位置の全ての位置から減算している。
【図3】シミュレーションで予め決まっている干渉計エラーと、計測位置のフーリエ分析により検出されるエラーとの比較を示す。
【図4】X座標方向、Y座標方向における個々の座標を決定すべく、二つの計測ウィンドウを提供する、十字構造のカメラ画像を示す。
【図5】所定の距離により構造の位置をずらしたものと、カメラに関連する計測ウィンドウを、対応して位置をずらしたものとを示す。
【図6A】カメラの計測ウィンドウで記録された構造の強度プロフィルを示しており、ここで横座標がカメラ画像の位置であり、縦座標が強度である。
【図6B】カメラの計測ウィンドウで撮像された構造のZ座標方向のスキャン中の異なる画像の強度プロフィルを示しており、ここで横座標がカメラ画像の位置であり、縦座標が強度である。
【図6C】計測ウィンドウで撮像された構造の別の強度プロフィルを示しており、ここで横座標がカメラ画像の位置であり、縦座標が強度である。
【図7】プロフィルの異なる画像のコントラスト値をZ値の関数で示すが、ここで、複数のプロフィルはZ座標方向および逆方向にスキャン中に記録されたものである。
【図8】左右端部の位置を、Z座標方向の位置の関数として示すが、ここで縦座標は、計測されたステージ位置のセットポイント位置からの偏差である。
【図9A】干渉計エラーによる、X座標方向のセットポイント値からの位置計測の計測値の偏差を示す。
【図9B】図9Aに示す位置スペクトルのフーリエ変換を示すが、ここでピークは干渉計エラーλLaser/4に起因している。
【図10A】干渉計エラーおよびカメラ特性による、セットポイント値からのY方向の位置計測の計測値の変動を示す。
【図10B】図10Aに示す位置スペクトルのフーリエ変換を示すが、ピークはここでもまたλLaser/4に対応しており、ピークは偶数奇数のカメラ線の異なるゲインに起因している。
【図11】シヌソイド干渉計エラー曲線を示すが、これは1nmの全振幅までが計測結果に導入される。
【図12】デュアルスキャン効果の概略図を示す。
【図13】ドリフト補正をしない計測データを示すが、ここで該データは20nmのステップ位置ずらしにより記録される。
【図14】LMS IPRO3による新しい「デュアルスキャン」法で得られる計測結果を、前の方法「ノーマル・モード」で得られた計測結果と比較したものを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1に示す種類の座標計測機器は本記載の導入部で既に詳細に説明された。
【0033】
このような座標計測機器の繰り返し性あるいは再現性は通例15×15ポイントの計測格子の計測で工場にて決定される(計測領域6インチ、152×152mm)。三倍の標準偏差(3σ)の値は、XおよびY座標方向で得られる座標を20回計測した後に決定されるのが典型的である。この三倍の標準偏差の最大値は繰り返し性を表しており、故に機械性能を表している。
【0034】
計測が定義されたマスク位置でローカルに行われるならば、つまりX/Y計測ステージをトラバースしないとすると、短期再現性の示唆となる(ここでは、20*100計測*4秒=2.2時間)。この計測によれば、短期間の繰り返し性の示唆が得られる(所謂ニードルテスト)。
【0035】
この計測の結果は、より正確には三倍標準偏差(再現性)の最大値各々は、図2Aと2BのXあるいはY方向に、それぞれ計測ラン(measuring run)に対してプロットされている。第一の計測ランはNA0として、第二はNA1として、などと示されている。位置値は各々グラフィック表示で示されている。計測ラン毎に100計測値を取る。結果は、X方向の2.8nmあるいはY方向の2.3nmそれぞれの範囲で、X座標方向に1.4nmで、Y座標方向に1.1nmの繰り返し性である。ここで、範囲は、最大値と最小値の差を表しており、故にノイズ帯域の計測値である。
【0036】
X、Y位置の短期繰り返し性が(工場で)決定されると(半導体マスクの10mmの格子ピッチにおいて15×15点の格子20倍計測)、計測時間(典型的には8時間)中の気圧ばらつきから、計測された再現性の明らかな依存性を観察することができる(典型的には、ドリフト補正の後の全ての450(15×15×2)個々の点の最大値の3倍の標準偏差とともに、1.5nm)。したがって理由は干渉計エラーに見出すことができ、これはシヌソイド形(あるいはシヌソイド波の重畳)を持ち、ステージ位置と重畳する。偏差は主に周期長λ/4(=632.8nm/4=158.2nm;λ=干渉計システムの計測波長)および/またはλ/2とともに変化する。気圧の変化につれて、空気密度も変化し、したがって屈折率、および、今度は一定と仮定されるレーザ距離計測システムの計測波長も変化して、短期再現性が気圧の変化と相関するようになる。テスト計測によると、干渉計エラーは長期的には時間的にもあるいは空間的にも一定ではなく、故に、計測波長は十分な正確性で決定することができず、必要な計測時間(数時間)と計測場所(140mm×140mm)のエラー比率の単一の決定により補正することができない。
【0037】
図3は、シミュレーションで予め決まっている干渉計エラーと、フーリエ分析により得られるエラーとの比較を示す。フーリエ分析(FFTではない)は、目下のところはローカルな4/λ周波数を決定するもっとも正確な数学的方法であるように思われる。横座標40は計測ステージ26の位置である。縦座標41は干渉計エラーをμmで表したものである。ここで、干渉は以下のように特徴付けられる。
エラーは以下のように記される:
【数1】
ここで、
【数2】
ここで、fsおよびfcに対する振幅asおよびacは以下のように与えられる:
【数3】
ここで、p(x)は端部位置の補完により、ステージ位置の関数として生じる関数である。ここで、所定の干渉計エラー42及び計測により決定される干渉計エラー43が示される。
【0038】
構造の位置は、干渉計エラーの周期の一部あるいはその比率によりお互いに対して位置をずらされた構造の二つの異なる位置を計測し平均をとり、かつ、計測を直接お互いに続けることで決定される。ここで、計測カメラの計測ウィンドウ(一又は複数)もまたX/Yステージ27により位置をずらすことに対応する様式で位置をずらされ、二つの計測結果が理論的に同じ位置を提供するようになっている。位置制御でテーブル26を止めることで(XおよびY位置での電子フィードバック停止制御により)位置を計測して焦点位置を通過するという従前の、よく証明されたプロセスが維持される。第一回目に焦点位置を通過してから(Z座標方向に)、ステージおよびカメラの計測ウィンドウは干渉計エラーの周期に対応して位置をずらされ、第二回目にあるいは逆に焦点位置を通過すると(逆のZ座標方向に)、位置は二回目に決定される。これもまた計測時間を最小限にすることなる。
【0039】
図4は、カメラフレームにより撮像された十字構造52に対する、第一計測ウィンドウ50および第二計測ウィンドウ51の配置を示す。計測ウィンドウ50、51の構造の各プロフィルは各計測ウィンドウ50、51の画素から算出される。既に上述したように、計測ウィンドウ50、51(一以上)は計測対象の構造52上に配置され、その後、Z方向への相対移動(Z座標方向のあるいは光軸20方向の計測オブジェクティブ17の相対移動)により焦点を変える。計測ウィンドウ50、51からのデータは異なる焦点位置において読み出される。読み出されたデータから、最適焦点を提供するZ座標方向の位置が決定される。図4においては十字構造が示されているが、これは限定と解釈されるべきではない。本発明による方法によれば様々な構造が計測できる。可能な構造の例としては、線、空間、点、穴、ハンマーヘッドなどが挙げられる。
【0040】
図5は、構造52の所定の距離によるシフト55を示し、かつカメラに関する計測ウィンドウ56の対応するシフト57を示している。第一の構造52はカメラまたは検出器の計測ウィンドウ56で計測される。この目的から、CCDカメラによりZ座標方向への相対移動中に、基板上の構造52の複数の画像を撮像する。平行して、ステージ位置も決定されるが、これは特定の波長λの光を用いてレーザ干渉計により実行される。ひとたび複数の画像が記録されると、ステージはレーザ干渉計が使用する光の波長λに対応する距離でトラバースされる。計測ウィンドウは対応する様式でシフトされ、構造の同じ位置が再度各計測ウィンドウ56に位置するようになる。その後、逆のZ座標方向への相対移動が実行され、ここでまた、CCDカメラによって基板上の構造の複数の画像が撮像される。シフト55はX座標方向成分及びY座標方向成分からなる。シフトは最初にX座標方向へ実行され、その後Y座標方向へ実行されることが想定される。
【0041】
構造の異なる強度プロフィルを図6A、6B、6Cに示す。強度プロフィルが取られた個々の画像は計測オブジェクティブの異なるZ位置で撮像された。ここで、横座標60は画像位置であり、縦座標61は任意の適切な単位の計測強度である。繰り返し述べたように、幾らかのカメラ画像が、レーザ干渉計データおよび焦点値、あるいはZ座標方向の値から、X座標方向およびY座標方向の関連ステージ位置の決定とともに、同時に撮像される。図4に示すように、少なくとも一つの計測ウィンドウが計測対象の構造上に配置される。Z座標方向への相対移動中、50画像が相対移動中に取られる。プロフィル数は、画像数と計測ウィンドウ数の乗算で得られる。相対移動が逆のZ座標方向に行われると、記録される画像数は二倍になる。例えば図6Aは19番目の記録画像の強度プロフィル62を示す。図6Bは、Z座標方向への移動中の29番目の記録画像の強度プロフィル63を示す。図6Cは、Z座標方向への相対移動中の39番目の記録画像の構造の強度プロフィル64を示す。信号の大きさおよび信号形式の差異がZ座標方向へ移動中にさっき記録されたばかりの画像の位置の関数であることが、図6A、6B、および6Cの個々の画像を比べることではっきり分かる。信号の大きさあるいはプロフィル端部の勾配は、コントラストの尺度であり、よって焦点あるいは焦点位置である。
【0042】
図7は、「真」焦点を二回通過することで生じる100個のプロフィルのコントラスト値を示す。このようなわけで、横座標70は焦点位置あるいはZ座標方向の計測オブジェクティブの位置である。縦座標71は構造の計測強度プロフィルのコントラスト値である。個々のプロフィルのコントラストはZ座標方向の値の関数で示される。幾らかの最大値が各曲線に生じるよう個々の計測点を曲線にフィットさせる。第一の曲線72はZ座標方向の計測オブジェクティブの動きから生ずる計測強度プロフィルから生じる強度プロフィルにフィットされる。第二の曲線73は逆のZ座標方向の計測オブジェクティブの動きから生ずる計測強度プロフィルから生じる強度プロフィルにフィットされる。最大値のうちの一つを破線74で示し、これが最もよい焦点をあらわす。
【0043】
図8においては、構造の左右端部の各位置がZ座標方向の位置の関数として示されている。横座標80が焦点位置である。縦座標81はμmのセットポイント値からの端部の偏差を導出したものである。一つの計測ウィンドウ52を利用して左右端部の位置を各々決定した(図4の図示参照)。Z座標方向の各位置に対する端部の各位置は、例えば図6A、6B、6Cに示すような個々のプロフィルから算出することができる。したがって、カメラ画像の中のさっき計測したばかりの構造はこの二つの端部の平均値から得ることができる。この画像位置およびレーザ干渉計の計測から決定された位置データを追加する。この追加のグラフィック表現は図8に示されている。一つの構造の二つの端部の位置、および結果として構造自身の座標方向の位置を、破線82(最適焦点の点を表す)との交点から得ることができる。
【0044】
図9Aは干渉計エラーによるX座標方向の位置計測のセットポイント値からの偏差を表す。横座標90は、X位置をnmで表したものである。縦座標91は、計測されたX位置をμmで表したものである。データはX座標方向における計測ウィンドウの同時シフトを伴う等距離位置シフトにより記録される。約2.5μmの計測位置領域において信号は約1nmのドリフトを示す。これは、μmのレベルの計測構造(例えばミラー本体の)の非線形性および一般的な機械のドリフト(nmのレベル、なぜなら機械は決して完全に静止していないから)による。図9Aに示す信号もまた、ある周波数あるいは波長に関連付けることのできる周期性を示す。図9Bは、図9Aに示されている計測位置スペクトルのフーリエ変換を示す。横座標92は256点のフーリエ変換から生じる波数を示し、縦座標93は任意の適切な単位によりさらに細かく分割されている。明らかなピーク94が図9Bから分かり、これは約158nmの波長に対応している。このピーク94は干渉計で利用されるレーザ光の計測波長の約四分の一に相当する(一実施形態においては、光の波長は633nmである)。この行動は理論によっても予測される。
【0045】
図10Aは、Y座標方向の基板上の構造の位置計測を示す。横座標100は、ここでもまた、計測ウィンドウで目下計測が実行されているY位置を示す。縦座標102は、構造の計測Y位置をμmで示したものである。データは、ここでもまた、Y座標方向における計測ウィンドウの同時シフトを伴う等距離位置シフトにより記録される。約2.5μmの計測位置領域において信号は、ここでもまた、約1nmのドリフトを示す。図10Bは、図10Aに示されている計測位置データのフーリエ変換を示す。横座標102はnmで示され、縦座標103は任意の適切な単位によりさらに細かく分割されている。図10Bに示されているフーリエ変換もまた、計測波長の約四分の一に相当するピーク104と、さらに90nmの周期に相当するピークとを示している。この90nmのピーク105は、振幅範囲全域においてはトリムできない二つのアナログ増幅器とともに動作するカメラの非線形性により生じる。したがって、画素線は二つの増幅器で交互に別個に読み出される。ここで利用されるCCDセンサの画素幅は45nmである。これはX座標方向では平均化されてしまい、一方、Y座標方向ではこの周期は平均化されない。図9B、10Bに示すように、計測波長の二分の一のエラーおよび計測波長の四分の一におけるエラーが起こる。起こっている干渉計エラーは時間的にも(時間(hour)周期)空間的にも(mmのレベル)一定ではないので、一回だけでは補正できない。これは、これらエラーが位置計測で「イン・サイチュー」計測方法で決定あるいは補償される必要があることを意味している。
【0046】
本発明のよりよい理解の目的上、利用される計測方法を説明すべきである。計測値は実際の計測距離を固定参照距離と比較することで得られる。したがって計測光は計測および参照ビームに分割される。ここで考慮に入れなければならないのは、屈折率の圧力(温度、空気組成)に対する依存性によって、計測距離のみならずレーザ波長自体も変化するということである。この変化は、さらなる干渉計測により実際の位置計測の前およびその間に決定される。このエタロン補正は数100nmの量で変化し、計測構造のせいで主に気圧変動に依存する、というのも人工気象室により温度および湿度あるいはガス組成はほぼ一定に保つことができるからである。エタロン補正は計測値補正および構造自身に達した位置の決定両方に影響を及ぼす。後者は、計測位置がステージに追いつかれると、エタロン補正により計測対象の構造に数nmの偏差まで計測カメラに比して同じ位置を持たせることができる理由から生じる。その結果、CCDカメラによる90nmエラーは、比較的小さいエラー比率を持つ。しかし、気圧変動の大きさおよび、ほぼシヌソイドの干渉計エラー曲線上にある各「位置」に依存する、レーザによる干渉計エラーの全振幅までが計測結果に導入される。
【0047】
図11は、生じる干渉計エラーへの、気圧変動の影響を概略的に表す。横座標110は、位置をnmで表したものである。縦座標111は、干渉計エラーをnmで表したものである。シヌソイド曲線は、基板の小さな領域(300nm)における干渉計測システムのエラー比率を表している。実線の矢印は、再現性計測(例えば各々「同じ」位置で行われた20計測回数)中に通過された異なる気圧範囲を記し、矢印が長いほど気圧変動が大きいことを示す。垂直の破線矢印は関連するエラーの大きさを記す。図11は、エラー予算全体の計測の確率が、気圧の変化とともに上がることを示している(図11の示唆1―4を参照)。しかしながら、サンプルが距離計測システムに対して好ましくない位置にあるときには、小さな気圧変動でも全エラー予算が使い果たされることもある(示唆3参照)。エラーはまた、計測値が位置しているシヌソイド曲線の領域によって、気圧変動が同じでも大きさが異なることもある(示唆2A、2B参照)。エラー振幅そのものが位置依存である場合を除いて、ある大きさからは(示唆4参照)エラー予算が使い果たされる。これは、光成分の異なる反射及び材料特性のせいで小さな程度において当てはまる。
【0048】
構造の基板上の位置の決定は、本願における方法では、干渉計エラーの周期の一部あるいは干渉計エラー割合によりお互いにシフトされた二つの位置を計測し平均を取り、および計測を直接時間的シーケンスに持つことにより、実行される。ここで、CCDカメラの計測ウィンドウは位置シフトとともにシフトされ、二つの計測結果が理論的に同じ位置を提供するようになっている。X/YステージをXおよびY方向の電子フィードバック停止制御により止めることによる、焦点位置の通過という位置制御および同時撮像を利用する、従前のよく証明された位置計測プロセスが維持されている。第一回目に焦点位置を通過すると、X/Yステージ及びCCDカメラの計測ウィンドウは干渉計エラーの周期に対応してシフトされ、第二回目にあるいは逆に焦点位置を通過する間に(逆のZ座標方向にトラバース)、構造の位置は二回目に決定される。
【0049】
図12は所謂デュアルスキャン操作(計測オブジェクティブをZ座標方向に、続いて逆のZ座標方向にトラバースする)の概略図である。横座標120は位置λをnmで表したものである。縦座標121は干渉計エラーをnmで表したものである。構造の基板上の各位置は二回計測される。二回目の計測位置はエラー曲線の周期の二分の一シフトされる(ここでは、158/2nm=79nm)。各実線二重矢印の二つの矢印点はこれら二つの点を記す。二つの計測値を平均化すると、干渉計による計測エラーが補償される。ここで、第一回目の計測が実行されるエラー曲線上の点は無関係である。第二回目の計測は、補償が常に行われるようにシフトされる。別の利点は二つの計測値を取ることである。これにより位置計測精度が対応して増し、特にCD計測での精度も増す。異なる波長のエラー箇所が混合されると(図13)、部分的な補償しかない。
【0050】
図13はドリフト補正されない計測データを示しており、ここでデータは計測構造を20nmステップシフトすることで記録される。横座標130は位置をnmで表したものである。縦座標131はエラー位置をμmで表したものである。二重矢印は80および120nmのシフトを持つ二つの計測値を記す。破線の垂直矢印132は、補償の効果を記す。
【0051】
本発明による方法(所謂デュアルスキャン)で得られる計測結果は、LMS IPRO3上に表される。結果を従前の方法(ノーマルモード)の計測結果と比較する(図14参照)。横座標140は時間を1日の24分の1に相当する長さ(hour)で表したものである。第一縦座標141は、位置偏差をnmで表したものである。第二縦座標142は気圧変化をmbarで表したものである。全てのデータは、テストマスク上の4μmを計測する15×15の十字格子で見積もられている。次の各10計測結果において、10パスの計測中の15×15格子の位置に対する3σ最大値、15×15格子の位置に対する3σ平均値、及び気圧の変動範囲が示唆される。見積もりは「即座に」行われた、つまり、次の10個のループが一回で見積もられた。これは、最初に初めの10ループが、次にループ1−11が、そしてループ2―12が、などと見積もられるということである。従い、例えば図14に示すように、11個の計測値が20ループから得られる。データは「同時に」デュアルスキャンおよびノーマルモードで計測された(一ジョブに二つサイトがあり、サイト1がデュアルスキャンであり、サイト2がノーマルモードである)。したがって気圧の変動範囲にはたった一つの曲線しかない。デュアルスキャンでの計測は、各スキャンに50個の画像、および二つのスキャンの間に80nmのX/Yステージのシフトで実行された。ノーマルモードの計測は50個の画像で実行された。気圧変動は極わずかで、1.6mbarであった。少なくともY方向では、気圧への依存がまだ見られた。気圧依存はデュアルスキャンでは実質的にこれより小さかった。
【技術分野】
【0001】
ドイツ特許出願DE10 2006 023 151.1およびドイツ特許出願DE 10 2007 017 630.0の優先権を主張する。これらの全体開示をここに参照として組み込む。
【0002】
本発明は、干渉法光学計測システムにおける、X/Y座標方向に可動性のあるステージ上に配置される基板上の少なくとも一つの構造の座標の高精度な計測方法に関している。基板上の構造は、光軸がZ座標方向に配向された計測オブジェクティブを通じて検出器へ撮像される。
【背景技術】
【0003】
基板(ウェハあるいはマスク)上の構造計測に利用される計測機器は、Carola Bl▲a▼sing博士が1998年3月31日、ジュネーブにおけるSemicon Education Program Conventionで主催した「マスク作成のためのパターン配置計測学(Pattern Placement Metrology for Mask Making)」という研究論文に詳述されている。そこで記されている記載は、座標計測機器の基礎である。本発明はこのような計測機器と共に利用されると好適であるので、その汎用性を侵害することなく、主としてこのような計測機器を参照しながら記載する。添付の図1を参照しながらこの計測機器を以下に記載する。このよく知られた計測機器1は、マスクおよびウェハなどの、サンプル30上の構造31およびその座標を計測するためのものである。本願の文脈においては、「サンプル」、「基板」および一般用語である「オブジェクト」は類義とみなすこととする。ウェハ上にさらに集積度を増して配列される半導体チップの製造においては、個々の構造31の構造幅はさらに小さいものになっている。その結果、構造31の端部および位置の計測、構造幅および重畳データの計測のための計測・検査システムとして利用される座標計測機器の仕様要件はより厳しいものになっている。顕微鏡に類似したおよびレーザ距離計測システムの組み合わせによる形式の光サンプリング技術は依然好適である。光計測機器の利点は、X線あるいは電子ビームサンプリングなどの異なるサンプリング法を利用するシステムに比べて、実質的に構造が複雑でなく操作し易く、位置計測に関してより安定性が優れていることが挙げられる。
【0004】
この計測機器1における実際の計測システムは減振動グラニットブロック23上に配列されている。マスクあるいはウェハは計測ステージ26上に自動処理システムにより配置される。この計測ステージ26はグラニットブロック23の表面に空気ベアリング27、28により支持されている。計測ステージ26はモータ駆動で、二次元配置(XおよびY座標方向)が可能である。対応する駆動要素は示さない。平面ミラー9は計測ステージ26の二つのお互い垂直な辺に搭載されている。複数の干渉計を含むレーザ干渉計システム29を利用して、計測ステージ26の位置を探知、決定している。
【0005】
計測対象の構造の照明および撮像は、近紫外線の(汎用性を侵害することなく)スペクトル範囲の入射光および/または透過光を持つ高解像度の顕微鏡光学により行われる。CCDカメラが検出器としての役目を果たす。計測信号は計測ウィンドウ内に配置されるCCD検出器アレーの画素から入手される。計測対象の構造の強度プロフィルはここから、構造の端部位置、あるいはお互い交差する二つの構造の交点の決定の目的で、例えば、画像加工によって導出される。通常、このような構造要素の位置は基板(マスクあるいはウェハ)の参照点に比して、あるいは光軸20に比して決定される。計測ステージ26の干渉計測位置と共に、これは構造31の座標となる。露光に利用されるウェハあるいはマスクの構造は極小さい公差だけしか許容しない。したがって、これら構造を検査すべく、非常に高い計測精度が(目下はナノメータのレベルのもの)要求される。このような構造の位置を決定する方法および計測機器は、ドイツ特許出願公報DE 100 47 211 A1から公知である。上述の位置決定の詳細については、この書類を明らかに参照する。
【0006】
図1が図示する計測機器1の例においては、サンプル30も下からの透過光で照らすことができるよう、計測ステージ26がフレーム状に形成されている。サンプル30の上には入射光、照明・撮像機器2があり、これが光軸20の回りに配置されている。Z座標方向における光軸20沿いに(自動)焦点調節が可能である。照明・撮像手段2はビームスプリットモジュール32、上述の検出器34、配置手段33、および複数の照明機器35(オートフォーカス、概観照明、及び実際のサンプル照明用など)を含む。Z座標方向に配置可能なオブジェクティブを21番で示す。
【0007】
高さ調節可能な集光装置を持つ透過光照明手段17および光源7もグラニットブロック23に挿入され、できるだけ大きな数値取入孔を持つ拡大連結取込光学3から受光する。このように、できるだけ多くの光を光源7から受光する。このように受光された光は連結取込光学3へ、そして光ファイバ束のような光ガイド4へと連結取り込みされる。好適にはアクロマチックオブジェクティブとして形成される連結取出光学5は光を集光装置17内へ連結する。照明光はさらに光源7からミラーアセンブリを通して連結取り込みされてもよい。
【0008】
構造計測において必要なナノメータ精度を達成する目的からは、外気変化あるいは振動などの、環境からの阻害影響をできるだけ最小限に抑えることが肝要である。この目的から、室内の温度と湿度が非常な精度(<摂氏0.01度あるいは<1%の相対湿度)で制御される人工気象室に計測機器を収容することもできる。振動を無くすためには、上述のように、計測機器1は減振動機器24、25を持つグラニットブロック上に支持される。
【0009】
構造位置を決定する際の精度は、XおよびY座標方向のステージ位置を決定するのに利用されるレーザ干渉計システムの安定性および精度に依るところが大きい。干渉計のレーザビームは計測機器の外気を伝播するので、波長は外気の屈折率に依存する。この屈折率は温度、湿度、気圧の変化と共に変化する。人工気象室内で温度および湿度が制御されているにも関わらず、残りの波長ばらつきは必要な計測精度を達成するには大きすぎる。よって所謂エタロンを利用して外気の屈折率の変化に伴う計測値変化を補償する。このようなエタロンにおいては、計測ビームが固定計測距離を網羅しており、対応する計測光路長の変化が外気の計測インデックスの変化によってのみ起きるようになっている。このようにエタロン計測によれば、連続的に波長の目下の値を決定して干渉計測においてそれを考慮に入れることにより、屈折率の変化の影響を大幅に補償することができる。
【0010】
最も高い精度を達成すべく、レーザ距離計測システムは通例、レーザビームを二つの直線偏光成分に分ける可能性を利用するヘテロダイン法で動作する(ここでは、二つのゼーマン線の小さい周波数差異が利用される)。二つの成分は干渉計で分離され、計測および参照ビームとして利用され、再度干渉計上に重畳され、お互いに干渉しあう。使用されるレーザ距離計測システムは、632.8nmレーザの波長λLaserにおいて、レーザ距離計測システムの整数値(レーザクリック)当たり0.309nmの解像度を持つ。
【0011】
述べた計測機器の精度を記載するには、通例、座標の計測平均値の三倍の標準偏差(3σ)が利用される。計測値の普通の分布においては、統計学的に99%の計測値が、平均値の周りの3σの範囲内に収まる。繰り返し性の示唆は、XおよびY座標方向の点の格子を計測することで行われ、ここでは各方向において、繰り返し全ての点を測定した後に3σの平均値および最大値を示すことができる。典型的な例としては、15×15格子(格子点のピッチは10mm)の1μm幅を持つ交差クロム構造を水晶基板上で計測することが挙げられる。2x(XおよびY)225点の計測が20回繰り返される(20パス)。1パスの全ての点を共通に回転およびシフトさせる、所謂マルチポイント補正の後に、1.5から2nmの(450点の全ての3σの値の偏差の最大値3σ)繰り返し性が得られる。マルチポイント補正なしでは、値は2―6nmの間である。
【0012】
記載された計測機器には、繰り返し性および計測精度についてさらなる改良が望ましい。特に、本発明では、計測ステージの座標計測、あるいはこの計測ステージの座標の変化を決定するのに利用されるレーザ干渉計が特に注目された。本発明は記載されている計測機器の文脈における干渉計に限るものではなく、一般的にレーザ干渉計測で利用できる。
【0013】
米国特許5,469,260からは、レーザ干渉計によって一あるいは二次元にトラバース(traverse)できるステージの位置計測装置が知られている。この目的から、例えば静止光システムには静止ミラーが取り付けられ、一方、可動式ステージがミラーを携行している。公知の方法において、レーザビームは一部が静止ミラーへ入射して、他の部分が携行ミラーに入射して、反射するよう、分離される。反射した部分ビーム同士はお互いに干渉しあい、干渉リングの位置をずらすことで、携行ミラーの静止ミラーに対する相対位置ずれが導出され、この位置ずれ量を決定することができる。
【0014】
この書類では、上述の計測システムの一例として、ウェハをマスクと光投影システム(ステッパ)とを介して露光する間のウェハ支持ステージの位置計測が開示されている。ここでは、静止光投影システムに対する支持ステージの位置が干渉計により計測される。一面におけるステージのXおよびY座標を計測するには、したがって二つの干渉計システムが必要となる。
【0015】
LMS IPROの重大なエラー成分が干渉計のエラーにより引き起こされるという強い示唆がある。このエラーはアジレント(Agilent)干渉計システムにより引き起こされる。シヌソイド形を持ち、エラーが生成される間の干渉計を通る経路によって、λLaser/4(=632.8nm/4=158.2nm)およびλLaser/2の周期長におけるステージ位置と共に変化することを観察することができる。反射角度はステージ本体のミラーおよびステージ本体自身の可動性によってわずかに変化することもあるので、レーザビームが干渉計に入射する位置および計測および参照ビームの重畳は変化して、干渉計エラーの振幅および位相もまた変化する。エタロンにより計測される屈折率の変化は、関連する位置変化を正確に考慮に入れているが、より長い距離においては、干渉計エラーそのものを補償することはできない。
【0016】
故に、このエラーの補正は正確には不可能である、というのも、マスクの計測地点の関数としてのみならず経時的にも変化するからである。このようなわけで、干渉計補正の通常の方法はその限界に到達している。このエラーの最適な考慮には、計測の地点と時間とを考慮に入れるべきである。これは、各位置計測中に干渉計補正の決定および算出を同時に行う計測対数が導入されると、理想的に実現される。ここでこのようなアルゴリズムを紹介したい。現存の方法にはこれが組み込まれており、計測時間が最小限にしか影響を受けないようになっている。
【発明の開示】
【0017】
本発明の一つの目的は、基板の構造の位置を決定する計測システムの計測精度を増し、同時に、計測精度に対するレーザ干渉計エラーの影響をなくすことである。
【0018】
本願によれば、この目的は、
・ まず、前記X/Y座標方向に可動性を持つ前記ステージを、前記基板上の構造が前記検出器の少なくとも一つの所定の計測ウィンドウに位置するようにトラバース(traverse)して、
・ 次に、少なくとも一度Z座標方向の相対移動を行い、ここで前記Z座標方向の前記相対移動と同期して、前記構造の複数の画像を前記検出器により撮像して、前記XおよびY座標方向の前記ステージの位置も前記撮像に同期して決定して、
・ 次に、少なくとも一度前記ステージを前記XおよびY座標方向により定められる面の距離によりトラバースして、前記計測ウィンドウもこの距離によりシフトして、
・ 逆のZ座標方向の相対移動を少なくとも一度行って、前記Z座標方向の前記相対移動と同期して、前記構造の複数の画像を前記検出器により撮像して、前記XおよびY座標方向の前記ステージの位置も前記撮像に同期して決定して、
・ 前記Z座標方向および前記逆の方向における前記相対移動中に、および各画像に関連して決定されたステージの位置から、前記構造の前記記録された画像に同期して記録されたZ位置から前記構造の少なくとも一つの実際の位置を決定する、方法により達成される。
【0019】
前記ステージの撮像中の位置は、少なくとも一つのレーザ干渉計により決定され、前記レーザ干渉計の光はλLaserの波長を持つ。
【0020】
前記計測操作前に距離に対する適切な値が決定され、前期距離により前記XおよびY座標方向で定められる面で前記ステージをトラバースする。
【0021】
前記XおよびY座標方向で定められる面で前記ステージをトラバースする前記距離は、前記レーザ干渉計の前記波長λLaserの四分の一の整数倍に相当する。
【0022】
前記XおよびY座標方向で定められる面で前記ステージをトラバースする前記距離は、前記X座標方向の成分と前記Y座標方向の成分とからなり、前記二つの成分は異なる大きさを持つ。
【0023】
前記Z座標方向および逆の方向の相対移動および前記構造の複数の画像の関連する同期撮像は、前記ステージが前記XおよびY座標方向で定められる面でZ方向の逆転の直前にトラバースするよう行われる。
【0024】
検出器には、座標計測のために少なくとも一つの第一の所定の計測ウィンドウが関連付けられる。複数の計測ウィンドウが関連付けられてもよく、さらなる計測ウィンドウは、例えば、第一の計測ウィンドウに対して90度回転されてもよい。これら計測ウィンドウは四角形である。これら四角形は大きさが異なる。
【0025】
前記計測オブジェクティブの相対移動の前記トラバース距離は、Z方向で利用される計測オブジェクティブ各々の焦点の深さの範囲である。前記計測オブジェクティブの前記Z方向への相対移動は、数10nmから数マイクロメータを含む。
【0026】
一つの好適な実施形態においては、前記Z座標方向への相対移動は一度行われる。さらに、前記ステージは前記XおよびY座標方向で定められる面で或る距離で一度トラバースされる。その後、前記逆のZ座標方向の前記相対移動が一度行われる。
【0027】
基板上の座標の高精度な計測方法によると、構造の位置決めを実際の計測プロセス前に少なくとも一つの計測ウィンドウで実行すると特に好適である。典型的には、Z座標方向に相対移動が行われ、このZ座標方向への相対移動中にCCDカメラにより基板上の構造の複数の画像が記録される。Z方向への移動は、主に高精度に、しかも他の計測値と同期して(同時に)焦点位置を決定する。相対Z移動なしで計測することも可能である。しかし、これは請求項を干渉計エラーの観点に限定しない。撮像(及びZ位置計測)と平行して、少なくとも一つのレーザ干渉計で前記ステージの撮像中の位置が記録される。その後に、ステージをある距離でトラバースして、可能ならば干渉計エラー周期の二分の一で位置ずれを行う。計測ウィンドウに配置されている構造の別の配置を避けるように計測ウィンドウの位置をずらす。具体的なケースにおいては、λLaser/4(158nm周期)においては80nmの位置ずれを行い、λLaser/2においては160nmの位置ずれを行う。各エラーの状況に応じて、他の値もまた考えられる。この値は前もって動的に決定されてもよい。この後には、再度、逆のZ座標方向の相対運動が行われ、ここでも再度、基板上の構造の複数の画像がCCDカメラによって逆のZ座標方向の相対運動中に記録される。実際には、Z方向および逆の方向へのトラバース中の、干渉計測法で決定されたステージ位置、計測ウィンドウの二つの位置の記録画像、および同期して記録された各Z位置を利用して、前記構造の端部の位置および構造幅を決定する。
【0028】
さらなる実施形態によると、ステージは単一の距離でトラバースされるのみならず、続けて二以上の距離で、一回ごとにデータ記録を伴ってトラバースされる。
【0029】
さらなる実施形態によると、Z座標方向のトラバースは焦点に達したところで止められる。Z位置においては、画像計測機器は固定される。この位置における計測データの十分な量の記録に続いて、座標計測方向の位置ずれが行われ、さらなる計測データの組の計測がこのZ位置で行われる。構造は線、空間、点、穴、ハンマーヘッドなどの要素であってよい。
【0030】
基板上の構造は例えば十字形に形成される。複数の十字が基板としてのテストマスク上に適用され、十字は4μmの物理的大きさを持つ。上述の人工気象室は、温度や湿度などの、外部の大気の影響に対して出来る限り密閉され、上述のパラメタを一定に保つ調節装置を備えたチャンバである。屈折率を変更するさらなるパラメタは人工気象室の大気組成およびこの大気の圧力である。通常、温度および湿度を調整する大気としては空気が選択される。汎用性を限定することなく、気流を以下で言及する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の例示的実施形態とその利点を、付随する図面を参照しながら以下でさらに詳細に述べる。図面中、
【図1】本発明による位置計測方法を好適に利用することのできる座標計測機器の概略を示す。
【図2A】図1による計測システムのX座標方向の繰り返し性を示しており、ここでは15×15格子の座標位置が9個の計測パスについて示されており、繰り返し性をよりよく検出する目的から、9個全ての計測パスの平均値を各格子位置の全ての位置から減算している。
【図2B】図1による計測システムのY座標方向の繰り返し性を示しており、ここでは15×15格子の座標位置が9個の計測パスについて示されており、繰り返し性をよりよく検出する目的から、9個全ての計測パスの平均値を各格子位置の全ての位置から減算している。
【図3】シミュレーションで予め決まっている干渉計エラーと、計測位置のフーリエ分析により検出されるエラーとの比較を示す。
【図4】X座標方向、Y座標方向における個々の座標を決定すべく、二つの計測ウィンドウを提供する、十字構造のカメラ画像を示す。
【図5】所定の距離により構造の位置をずらしたものと、カメラに関連する計測ウィンドウを、対応して位置をずらしたものとを示す。
【図6A】カメラの計測ウィンドウで記録された構造の強度プロフィルを示しており、ここで横座標がカメラ画像の位置であり、縦座標が強度である。
【図6B】カメラの計測ウィンドウで撮像された構造のZ座標方向のスキャン中の異なる画像の強度プロフィルを示しており、ここで横座標がカメラ画像の位置であり、縦座標が強度である。
【図6C】計測ウィンドウで撮像された構造の別の強度プロフィルを示しており、ここで横座標がカメラ画像の位置であり、縦座標が強度である。
【図7】プロフィルの異なる画像のコントラスト値をZ値の関数で示すが、ここで、複数のプロフィルはZ座標方向および逆方向にスキャン中に記録されたものである。
【図8】左右端部の位置を、Z座標方向の位置の関数として示すが、ここで縦座標は、計測されたステージ位置のセットポイント位置からの偏差である。
【図9A】干渉計エラーによる、X座標方向のセットポイント値からの位置計測の計測値の偏差を示す。
【図9B】図9Aに示す位置スペクトルのフーリエ変換を示すが、ここでピークは干渉計エラーλLaser/4に起因している。
【図10A】干渉計エラーおよびカメラ特性による、セットポイント値からのY方向の位置計測の計測値の変動を示す。
【図10B】図10Aに示す位置スペクトルのフーリエ変換を示すが、ピークはここでもまたλLaser/4に対応しており、ピークは偶数奇数のカメラ線の異なるゲインに起因している。
【図11】シヌソイド干渉計エラー曲線を示すが、これは1nmの全振幅までが計測結果に導入される。
【図12】デュアルスキャン効果の概略図を示す。
【図13】ドリフト補正をしない計測データを示すが、ここで該データは20nmのステップ位置ずらしにより記録される。
【図14】LMS IPRO3による新しい「デュアルスキャン」法で得られる計測結果を、前の方法「ノーマル・モード」で得られた計測結果と比較したものを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1に示す種類の座標計測機器は本記載の導入部で既に詳細に説明された。
【0033】
このような座標計測機器の繰り返し性あるいは再現性は通例15×15ポイントの計測格子の計測で工場にて決定される(計測領域6インチ、152×152mm)。三倍の標準偏差(3σ)の値は、XおよびY座標方向で得られる座標を20回計測した後に決定されるのが典型的である。この三倍の標準偏差の最大値は繰り返し性を表しており、故に機械性能を表している。
【0034】
計測が定義されたマスク位置でローカルに行われるならば、つまりX/Y計測ステージをトラバースしないとすると、短期再現性の示唆となる(ここでは、20*100計測*4秒=2.2時間)。この計測によれば、短期間の繰り返し性の示唆が得られる(所謂ニードルテスト)。
【0035】
この計測の結果は、より正確には三倍標準偏差(再現性)の最大値各々は、図2Aと2BのXあるいはY方向に、それぞれ計測ラン(measuring run)に対してプロットされている。第一の計測ランはNA0として、第二はNA1として、などと示されている。位置値は各々グラフィック表示で示されている。計測ラン毎に100計測値を取る。結果は、X方向の2.8nmあるいはY方向の2.3nmそれぞれの範囲で、X座標方向に1.4nmで、Y座標方向に1.1nmの繰り返し性である。ここで、範囲は、最大値と最小値の差を表しており、故にノイズ帯域の計測値である。
【0036】
X、Y位置の短期繰り返し性が(工場で)決定されると(半導体マスクの10mmの格子ピッチにおいて15×15点の格子20倍計測)、計測時間(典型的には8時間)中の気圧ばらつきから、計測された再現性の明らかな依存性を観察することができる(典型的には、ドリフト補正の後の全ての450(15×15×2)個々の点の最大値の3倍の標準偏差とともに、1.5nm)。したがって理由は干渉計エラーに見出すことができ、これはシヌソイド形(あるいはシヌソイド波の重畳)を持ち、ステージ位置と重畳する。偏差は主に周期長λ/4(=632.8nm/4=158.2nm;λ=干渉計システムの計測波長)および/またはλ/2とともに変化する。気圧の変化につれて、空気密度も変化し、したがって屈折率、および、今度は一定と仮定されるレーザ距離計測システムの計測波長も変化して、短期再現性が気圧の変化と相関するようになる。テスト計測によると、干渉計エラーは長期的には時間的にもあるいは空間的にも一定ではなく、故に、計測波長は十分な正確性で決定することができず、必要な計測時間(数時間)と計測場所(140mm×140mm)のエラー比率の単一の決定により補正することができない。
【0037】
図3は、シミュレーションで予め決まっている干渉計エラーと、フーリエ分析により得られるエラーとの比較を示す。フーリエ分析(FFTではない)は、目下のところはローカルな4/λ周波数を決定するもっとも正確な数学的方法であるように思われる。横座標40は計測ステージ26の位置である。縦座標41は干渉計エラーをμmで表したものである。ここで、干渉は以下のように特徴付けられる。
エラーは以下のように記される:
【数1】
ここで、
【数2】
ここで、fsおよびfcに対する振幅asおよびacは以下のように与えられる:
【数3】
ここで、p(x)は端部位置の補完により、ステージ位置の関数として生じる関数である。ここで、所定の干渉計エラー42及び計測により決定される干渉計エラー43が示される。
【0038】
構造の位置は、干渉計エラーの周期の一部あるいはその比率によりお互いに対して位置をずらされた構造の二つの異なる位置を計測し平均をとり、かつ、計測を直接お互いに続けることで決定される。ここで、計測カメラの計測ウィンドウ(一又は複数)もまたX/Yステージ27により位置をずらすことに対応する様式で位置をずらされ、二つの計測結果が理論的に同じ位置を提供するようになっている。位置制御でテーブル26を止めることで(XおよびY位置での電子フィードバック停止制御により)位置を計測して焦点位置を通過するという従前の、よく証明されたプロセスが維持される。第一回目に焦点位置を通過してから(Z座標方向に)、ステージおよびカメラの計測ウィンドウは干渉計エラーの周期に対応して位置をずらされ、第二回目にあるいは逆に焦点位置を通過すると(逆のZ座標方向に)、位置は二回目に決定される。これもまた計測時間を最小限にすることなる。
【0039】
図4は、カメラフレームにより撮像された十字構造52に対する、第一計測ウィンドウ50および第二計測ウィンドウ51の配置を示す。計測ウィンドウ50、51の構造の各プロフィルは各計測ウィンドウ50、51の画素から算出される。既に上述したように、計測ウィンドウ50、51(一以上)は計測対象の構造52上に配置され、その後、Z方向への相対移動(Z座標方向のあるいは光軸20方向の計測オブジェクティブ17の相対移動)により焦点を変える。計測ウィンドウ50、51からのデータは異なる焦点位置において読み出される。読み出されたデータから、最適焦点を提供するZ座標方向の位置が決定される。図4においては十字構造が示されているが、これは限定と解釈されるべきではない。本発明による方法によれば様々な構造が計測できる。可能な構造の例としては、線、空間、点、穴、ハンマーヘッドなどが挙げられる。
【0040】
図5は、構造52の所定の距離によるシフト55を示し、かつカメラに関する計測ウィンドウ56の対応するシフト57を示している。第一の構造52はカメラまたは検出器の計測ウィンドウ56で計測される。この目的から、CCDカメラによりZ座標方向への相対移動中に、基板上の構造52の複数の画像を撮像する。平行して、ステージ位置も決定されるが、これは特定の波長λの光を用いてレーザ干渉計により実行される。ひとたび複数の画像が記録されると、ステージはレーザ干渉計が使用する光の波長λに対応する距離でトラバースされる。計測ウィンドウは対応する様式でシフトされ、構造の同じ位置が再度各計測ウィンドウ56に位置するようになる。その後、逆のZ座標方向への相対移動が実行され、ここでまた、CCDカメラによって基板上の構造の複数の画像が撮像される。シフト55はX座標方向成分及びY座標方向成分からなる。シフトは最初にX座標方向へ実行され、その後Y座標方向へ実行されることが想定される。
【0041】
構造の異なる強度プロフィルを図6A、6B、6Cに示す。強度プロフィルが取られた個々の画像は計測オブジェクティブの異なるZ位置で撮像された。ここで、横座標60は画像位置であり、縦座標61は任意の適切な単位の計測強度である。繰り返し述べたように、幾らかのカメラ画像が、レーザ干渉計データおよび焦点値、あるいはZ座標方向の値から、X座標方向およびY座標方向の関連ステージ位置の決定とともに、同時に撮像される。図4に示すように、少なくとも一つの計測ウィンドウが計測対象の構造上に配置される。Z座標方向への相対移動中、50画像が相対移動中に取られる。プロフィル数は、画像数と計測ウィンドウ数の乗算で得られる。相対移動が逆のZ座標方向に行われると、記録される画像数は二倍になる。例えば図6Aは19番目の記録画像の強度プロフィル62を示す。図6Bは、Z座標方向への移動中の29番目の記録画像の強度プロフィル63を示す。図6Cは、Z座標方向への相対移動中の39番目の記録画像の構造の強度プロフィル64を示す。信号の大きさおよび信号形式の差異がZ座標方向へ移動中にさっき記録されたばかりの画像の位置の関数であることが、図6A、6B、および6Cの個々の画像を比べることではっきり分かる。信号の大きさあるいはプロフィル端部の勾配は、コントラストの尺度であり、よって焦点あるいは焦点位置である。
【0042】
図7は、「真」焦点を二回通過することで生じる100個のプロフィルのコントラスト値を示す。このようなわけで、横座標70は焦点位置あるいはZ座標方向の計測オブジェクティブの位置である。縦座標71は構造の計測強度プロフィルのコントラスト値である。個々のプロフィルのコントラストはZ座標方向の値の関数で示される。幾らかの最大値が各曲線に生じるよう個々の計測点を曲線にフィットさせる。第一の曲線72はZ座標方向の計測オブジェクティブの動きから生ずる計測強度プロフィルから生じる強度プロフィルにフィットされる。第二の曲線73は逆のZ座標方向の計測オブジェクティブの動きから生ずる計測強度プロフィルから生じる強度プロフィルにフィットされる。最大値のうちの一つを破線74で示し、これが最もよい焦点をあらわす。
【0043】
図8においては、構造の左右端部の各位置がZ座標方向の位置の関数として示されている。横座標80が焦点位置である。縦座標81はμmのセットポイント値からの端部の偏差を導出したものである。一つの計測ウィンドウ52を利用して左右端部の位置を各々決定した(図4の図示参照)。Z座標方向の各位置に対する端部の各位置は、例えば図6A、6B、6Cに示すような個々のプロフィルから算出することができる。したがって、カメラ画像の中のさっき計測したばかりの構造はこの二つの端部の平均値から得ることができる。この画像位置およびレーザ干渉計の計測から決定された位置データを追加する。この追加のグラフィック表現は図8に示されている。一つの構造の二つの端部の位置、および結果として構造自身の座標方向の位置を、破線82(最適焦点の点を表す)との交点から得ることができる。
【0044】
図9Aは干渉計エラーによるX座標方向の位置計測のセットポイント値からの偏差を表す。横座標90は、X位置をnmで表したものである。縦座標91は、計測されたX位置をμmで表したものである。データはX座標方向における計測ウィンドウの同時シフトを伴う等距離位置シフトにより記録される。約2.5μmの計測位置領域において信号は約1nmのドリフトを示す。これは、μmのレベルの計測構造(例えばミラー本体の)の非線形性および一般的な機械のドリフト(nmのレベル、なぜなら機械は決して完全に静止していないから)による。図9Aに示す信号もまた、ある周波数あるいは波長に関連付けることのできる周期性を示す。図9Bは、図9Aに示されている計測位置スペクトルのフーリエ変換を示す。横座標92は256点のフーリエ変換から生じる波数を示し、縦座標93は任意の適切な単位によりさらに細かく分割されている。明らかなピーク94が図9Bから分かり、これは約158nmの波長に対応している。このピーク94は干渉計で利用されるレーザ光の計測波長の約四分の一に相当する(一実施形態においては、光の波長は633nmである)。この行動は理論によっても予測される。
【0045】
図10Aは、Y座標方向の基板上の構造の位置計測を示す。横座標100は、ここでもまた、計測ウィンドウで目下計測が実行されているY位置を示す。縦座標102は、構造の計測Y位置をμmで示したものである。データは、ここでもまた、Y座標方向における計測ウィンドウの同時シフトを伴う等距離位置シフトにより記録される。約2.5μmの計測位置領域において信号は、ここでもまた、約1nmのドリフトを示す。図10Bは、図10Aに示されている計測位置データのフーリエ変換を示す。横座標102はnmで示され、縦座標103は任意の適切な単位によりさらに細かく分割されている。図10Bに示されているフーリエ変換もまた、計測波長の約四分の一に相当するピーク104と、さらに90nmの周期に相当するピークとを示している。この90nmのピーク105は、振幅範囲全域においてはトリムできない二つのアナログ増幅器とともに動作するカメラの非線形性により生じる。したがって、画素線は二つの増幅器で交互に別個に読み出される。ここで利用されるCCDセンサの画素幅は45nmである。これはX座標方向では平均化されてしまい、一方、Y座標方向ではこの周期は平均化されない。図9B、10Bに示すように、計測波長の二分の一のエラーおよび計測波長の四分の一におけるエラーが起こる。起こっている干渉計エラーは時間的にも(時間(hour)周期)空間的にも(mmのレベル)一定ではないので、一回だけでは補正できない。これは、これらエラーが位置計測で「イン・サイチュー」計測方法で決定あるいは補償される必要があることを意味している。
【0046】
本発明のよりよい理解の目的上、利用される計測方法を説明すべきである。計測値は実際の計測距離を固定参照距離と比較することで得られる。したがって計測光は計測および参照ビームに分割される。ここで考慮に入れなければならないのは、屈折率の圧力(温度、空気組成)に対する依存性によって、計測距離のみならずレーザ波長自体も変化するということである。この変化は、さらなる干渉計測により実際の位置計測の前およびその間に決定される。このエタロン補正は数100nmの量で変化し、計測構造のせいで主に気圧変動に依存する、というのも人工気象室により温度および湿度あるいはガス組成はほぼ一定に保つことができるからである。エタロン補正は計測値補正および構造自身に達した位置の決定両方に影響を及ぼす。後者は、計測位置がステージに追いつかれると、エタロン補正により計測対象の構造に数nmの偏差まで計測カメラに比して同じ位置を持たせることができる理由から生じる。その結果、CCDカメラによる90nmエラーは、比較的小さいエラー比率を持つ。しかし、気圧変動の大きさおよび、ほぼシヌソイドの干渉計エラー曲線上にある各「位置」に依存する、レーザによる干渉計エラーの全振幅までが計測結果に導入される。
【0047】
図11は、生じる干渉計エラーへの、気圧変動の影響を概略的に表す。横座標110は、位置をnmで表したものである。縦座標111は、干渉計エラーをnmで表したものである。シヌソイド曲線は、基板の小さな領域(300nm)における干渉計測システムのエラー比率を表している。実線の矢印は、再現性計測(例えば各々「同じ」位置で行われた20計測回数)中に通過された異なる気圧範囲を記し、矢印が長いほど気圧変動が大きいことを示す。垂直の破線矢印は関連するエラーの大きさを記す。図11は、エラー予算全体の計測の確率が、気圧の変化とともに上がることを示している(図11の示唆1―4を参照)。しかしながら、サンプルが距離計測システムに対して好ましくない位置にあるときには、小さな気圧変動でも全エラー予算が使い果たされることもある(示唆3参照)。エラーはまた、計測値が位置しているシヌソイド曲線の領域によって、気圧変動が同じでも大きさが異なることもある(示唆2A、2B参照)。エラー振幅そのものが位置依存である場合を除いて、ある大きさからは(示唆4参照)エラー予算が使い果たされる。これは、光成分の異なる反射及び材料特性のせいで小さな程度において当てはまる。
【0048】
構造の基板上の位置の決定は、本願における方法では、干渉計エラーの周期の一部あるいは干渉計エラー割合によりお互いにシフトされた二つの位置を計測し平均を取り、および計測を直接時間的シーケンスに持つことにより、実行される。ここで、CCDカメラの計測ウィンドウは位置シフトとともにシフトされ、二つの計測結果が理論的に同じ位置を提供するようになっている。X/YステージをXおよびY方向の電子フィードバック停止制御により止めることによる、焦点位置の通過という位置制御および同時撮像を利用する、従前のよく証明された位置計測プロセスが維持されている。第一回目に焦点位置を通過すると、X/Yステージ及びCCDカメラの計測ウィンドウは干渉計エラーの周期に対応してシフトされ、第二回目にあるいは逆に焦点位置を通過する間に(逆のZ座標方向にトラバース)、構造の位置は二回目に決定される。
【0049】
図12は所謂デュアルスキャン操作(計測オブジェクティブをZ座標方向に、続いて逆のZ座標方向にトラバースする)の概略図である。横座標120は位置λをnmで表したものである。縦座標121は干渉計エラーをnmで表したものである。構造の基板上の各位置は二回計測される。二回目の計測位置はエラー曲線の周期の二分の一シフトされる(ここでは、158/2nm=79nm)。各実線二重矢印の二つの矢印点はこれら二つの点を記す。二つの計測値を平均化すると、干渉計による計測エラーが補償される。ここで、第一回目の計測が実行されるエラー曲線上の点は無関係である。第二回目の計測は、補償が常に行われるようにシフトされる。別の利点は二つの計測値を取ることである。これにより位置計測精度が対応して増し、特にCD計測での精度も増す。異なる波長のエラー箇所が混合されると(図13)、部分的な補償しかない。
【0050】
図13はドリフト補正されない計測データを示しており、ここでデータは計測構造を20nmステップシフトすることで記録される。横座標130は位置をnmで表したものである。縦座標131はエラー位置をμmで表したものである。二重矢印は80および120nmのシフトを持つ二つの計測値を記す。破線の垂直矢印132は、補償の効果を記す。
【0051】
本発明による方法(所謂デュアルスキャン)で得られる計測結果は、LMS IPRO3上に表される。結果を従前の方法(ノーマルモード)の計測結果と比較する(図14参照)。横座標140は時間を1日の24分の1に相当する長さ(hour)で表したものである。第一縦座標141は、位置偏差をnmで表したものである。第二縦座標142は気圧変化をmbarで表したものである。全てのデータは、テストマスク上の4μmを計測する15×15の十字格子で見積もられている。次の各10計測結果において、10パスの計測中の15×15格子の位置に対する3σ最大値、15×15格子の位置に対する3σ平均値、及び気圧の変動範囲が示唆される。見積もりは「即座に」行われた、つまり、次の10個のループが一回で見積もられた。これは、最初に初めの10ループが、次にループ1−11が、そしてループ2―12が、などと見積もられるということである。従い、例えば図14に示すように、11個の計測値が20ループから得られる。データは「同時に」デュアルスキャンおよびノーマルモードで計測された(一ジョブに二つサイトがあり、サイト1がデュアルスキャンであり、サイト2がノーマルモードである)。したがって気圧の変動範囲にはたった一つの曲線しかない。デュアルスキャンでの計測は、各スキャンに50個の画像、および二つのスキャンの間に80nmのX/Yステージのシフトで実行された。ノーマルモードの計測は50個の画像で実行された。気圧変動は極わずかで、1.6mbarであった。少なくともY方向では、気圧への依存がまだ見られた。気圧依存はデュアルスキャンでは実質的にこれより小さかった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
干渉法光計測システムのX/Y座標方向に可動性をもつステージ上に配置される基板上の少なくとも一つの構造の座標を高精度に計測する方法であって、前記基板上の前記構造は、Z座標方向に配向された光軸を持つ計測オブジェクティブを通じて少なくとも一つの検出器上に撮像され、前記方法が、
・ 前記X/Y座標方向に可動性を持つ前記ステージを、前記基板上の構造が前記検出器の少なくとも一つの所定の計測ウィンドウに位置するようにトラバース(traverse)する工程と、
・ 少なくとも一度前記Z座標方向の相対移動を行う工程であって、前記Z座標方向の前記相対移動と同期して、前記構造の複数の画像が前記検出器により記録され、前記XおよびY座標方向の前記ステージの位置も前記撮像に同期して決定される、工程と、
・ 少なくとも一度前記ステージを前記XおよびY座標方向により定められる面の距離によりトラバースして、前記計測ウィンドウもこの距離によりシフトさせる工程と、
・ 逆のZ座標方向の相対移動を少なくとも一度行う工程であって、前記Z座標方向の前記相対移動と同期して、前記構造の複数の画像が前記検出器により記録され、前記XおよびY座標方向の前記ステージの位置も前記撮像に同期して決定される、工程と、
・ 前記Z座標方向および前記逆の方向における前記相対移動中に、および各画像について決定されたステージの位置から、前記構造の前記記録された画像に同期して記録されたZ位置から前記構造の少なくとも一つの実際の位置を決定する工程とにより特徴付けられる、方法。
【請求項2】
前記ステージの撮像中の位置は、少なくとも一つのレーザ干渉計により得られ、前記レーザ干渉計の光はλLaserの波長を持つ、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記計測プロセス前に距離に対する適切な値が得られ、前記距離により前記XおよびY座標方向で定められる面で前記ステージをトラバースする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記XおよびY座標方向で定められる面で前記ステージをトラバースする前記距離は、前記レーザ干渉計の前記波長λLaserの四分の一の整数倍に相当する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記XおよびY座標方向で定められる面で前記ステージをトラバースする前記距離は、前記レーザ干渉計の前記波長λLaserの四分の一に相当する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記XおよびY座標方向で定められる面で前記ステージをトラバースする前記距離は、前記X座標方向の成分と前記Y座標方向の成分とからなり、前記二つの成分は異なる大きさを持つ、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記Z座標方向および逆の方向の相対移動および前記構造の複数の画像の前記同期撮像は少なくとも二度行われ、前記ステージを前記XおよびY座標方向で定められる面で異なる距離でトラバースされる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記Z座標方向の前記相対移動の第一のパスの後、Z座標方向の範囲が動的に適合される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記検出器は第一および第二の所定の計測ウィンドウを持ち、前記第二の計測ウィンドウは前記第一の計測ウィンドウに対して90度回転される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記計測ウィンドウは四角形である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記四角形は大きさが異なる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記計測オブジェクティブの前記Z方向への相対移動の前記トラバース距離は、利用される計測オブジェクティブ各々の焦点範囲の深さである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記計測オブジェクティブの前記Z方向への相対移動は、数10nmから数μmを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記Z座標方向への相対移動は一度行われ、前記ステージは前記XおよびY座標方向で定められる面で或る距離でトラバースされ、かつ前記逆のZ座標方向の前記相対移動は一度行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
構造の位置、構造の構造幅、あるいは基板の重畳データを決定する装置における方法の利用であって、前記方法は、干渉法光計測システムのX/Y座標方向に可動性をもつステージ上に配置される基板上の少なくとも一つの構造の座標を高精度に計測する方法であって、前記基板上の前記構造は、Z座標方向に配向された光軸を持つ計測オブジェクティブを通じて少なくとも一つの検出器上に撮像される方法である、利用。
【請求項16】
前記方法が、
・ 前記X/Y座標方向に可動性を持つ前記ステージを、前記基板上の構造が前記検出器の少なくとも一つの所定の計測ウィンドウに位置するようにトラバース(traverse)する工程と、
・ 少なくとも一度Z座標方向の相対移動を行う工程であって、前記Z座標方向の前記相対移動と同期して、前記構造の複数の画像が前記検出器により記録され、前記XおよびY座標方向の前記ステージの位置も前記撮像に同期して決定される、工程と、
・ 少なくとも一度前記ステージを前記XおよびY座標方向により定められる面の距離によりトラバースして、前記計測ウィンドウもこの距離によりシフトさせる工程と、
・ 逆のZ座標方向の相対移動を少なくとも一度行う工程であって、前記Z座標方向の前記相対移動と同期して、前記構造の複数の画像が前記検出器により記録され、前記XおよびY座標方向の前記ステージの位置も前記撮像に同期して決定される、工程と、
・ 前記Z座標方向および前記逆の方向における前記相対移動中に、および各画像について決定されたステージの位置から、前記構造の前記記録された画像に同期して記録されたZ位置から前記構造の少なくとも一つの実際の位置を決定する工程とを含む、
請求項15に記載の利用。
【請求項1】
干渉法光計測システムのX/Y座標方向に可動性をもつステージ上に配置される基板上の少なくとも一つの構造の座標を高精度に計測する方法であって、前記基板上の前記構造は、Z座標方向に配向された光軸を持つ計測オブジェクティブを通じて少なくとも一つの検出器上に撮像され、前記方法が、
・ 前記X/Y座標方向に可動性を持つ前記ステージを、前記基板上の構造が前記検出器の少なくとも一つの所定の計測ウィンドウに位置するようにトラバース(traverse)する工程と、
・ 少なくとも一度前記Z座標方向の相対移動を行う工程であって、前記Z座標方向の前記相対移動と同期して、前記構造の複数の画像が前記検出器により記録され、前記XおよびY座標方向の前記ステージの位置も前記撮像に同期して決定される、工程と、
・ 少なくとも一度前記ステージを前記XおよびY座標方向により定められる面の距離によりトラバースして、前記計測ウィンドウもこの距離によりシフトさせる工程と、
・ 逆のZ座標方向の相対移動を少なくとも一度行う工程であって、前記Z座標方向の前記相対移動と同期して、前記構造の複数の画像が前記検出器により記録され、前記XおよびY座標方向の前記ステージの位置も前記撮像に同期して決定される、工程と、
・ 前記Z座標方向および前記逆の方向における前記相対移動中に、および各画像について決定されたステージの位置から、前記構造の前記記録された画像に同期して記録されたZ位置から前記構造の少なくとも一つの実際の位置を決定する工程とにより特徴付けられる、方法。
【請求項2】
前記ステージの撮像中の位置は、少なくとも一つのレーザ干渉計により得られ、前記レーザ干渉計の光はλLaserの波長を持つ、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記計測プロセス前に距離に対する適切な値が得られ、前記距離により前記XおよびY座標方向で定められる面で前記ステージをトラバースする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記XおよびY座標方向で定められる面で前記ステージをトラバースする前記距離は、前記レーザ干渉計の前記波長λLaserの四分の一の整数倍に相当する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記XおよびY座標方向で定められる面で前記ステージをトラバースする前記距離は、前記レーザ干渉計の前記波長λLaserの四分の一に相当する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記XおよびY座標方向で定められる面で前記ステージをトラバースする前記距離は、前記X座標方向の成分と前記Y座標方向の成分とからなり、前記二つの成分は異なる大きさを持つ、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記Z座標方向および逆の方向の相対移動および前記構造の複数の画像の前記同期撮像は少なくとも二度行われ、前記ステージを前記XおよびY座標方向で定められる面で異なる距離でトラバースされる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記Z座標方向の前記相対移動の第一のパスの後、Z座標方向の範囲が動的に適合される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記検出器は第一および第二の所定の計測ウィンドウを持ち、前記第二の計測ウィンドウは前記第一の計測ウィンドウに対して90度回転される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記計測ウィンドウは四角形である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記四角形は大きさが異なる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記計測オブジェクティブの前記Z方向への相対移動の前記トラバース距離は、利用される計測オブジェクティブ各々の焦点範囲の深さである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記計測オブジェクティブの前記Z方向への相対移動は、数10nmから数μmを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記Z座標方向への相対移動は一度行われ、前記ステージは前記XおよびY座標方向で定められる面で或る距離でトラバースされ、かつ前記逆のZ座標方向の前記相対移動は一度行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
構造の位置、構造の構造幅、あるいは基板の重畳データを決定する装置における方法の利用であって、前記方法は、干渉法光計測システムのX/Y座標方向に可動性をもつステージ上に配置される基板上の少なくとも一つの構造の座標を高精度に計測する方法であって、前記基板上の前記構造は、Z座標方向に配向された光軸を持つ計測オブジェクティブを通じて少なくとも一つの検出器上に撮像される方法である、利用。
【請求項16】
前記方法が、
・ 前記X/Y座標方向に可動性を持つ前記ステージを、前記基板上の構造が前記検出器の少なくとも一つの所定の計測ウィンドウに位置するようにトラバース(traverse)する工程と、
・ 少なくとも一度Z座標方向の相対移動を行う工程であって、前記Z座標方向の前記相対移動と同期して、前記構造の複数の画像が前記検出器により記録され、前記XおよびY座標方向の前記ステージの位置も前記撮像に同期して決定される、工程と、
・ 少なくとも一度前記ステージを前記XおよびY座標方向により定められる面の距離によりトラバースして、前記計測ウィンドウもこの距離によりシフトさせる工程と、
・ 逆のZ座標方向の相対移動を少なくとも一度行う工程であって、前記Z座標方向の前記相対移動と同期して、前記構造の複数の画像が前記検出器により記録され、前記XおよびY座標方向の前記ステージの位置も前記撮像に同期して決定される、工程と、
・ 前記Z座標方向および前記逆の方向における前記相対移動中に、および各画像について決定されたステージの位置から、前記構造の前記記録された画像に同期して記録されたZ位置から前記構造の少なくとも一つの実際の位置を決定する工程とを含む、
請求項15に記載の利用。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−46108(P2008−46108A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−130757(P2007−130757)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(507159430)ヴィステック セミコンダクタ システムス ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130757(P2007−130757)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(507159430)ヴィステック セミコンダクタ システムス ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】
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