説明

基板背面からアクセスされる、マイクロメカニカル技術によるメンブラン構造体の製造方法

本発明は、基板背面からアクセスされる、マイクロメカニカル技術によるメンブラン構造体の特に容易かつ低コストの方法を提案する。この方法はp型ドーピングされたSi基板(1)から出発し、以下のプロセスステップを有する:すなわち、基板表面の、連続している少なくとも1つの格子状領域(2)をn型ドーピングするステップ、n型ドーピングされた格子構造(2)の下の基板領域(5)を多孔性にエッチングするステップ、n型ドーピングされた格子構造(2)の下の基板領域(5)内に空洞(7)を形成するステップ、n型ドーピングされた格子構造(2)上に、第1の単結晶シリコンエピタキシャル層(8)を成長させるステップ、とを有している。本願発明は次のような特徴を有している。すなわち、n型ドーピングされた格子構造(2)の少なくとも1つの開口部(6)を、開口部が成長する第1のエピタキシャル層(8)によって封鎖されず、空洞(7)へのアクセス開口部(9)を形成するように定め;空洞壁部上に酸化物層(10)を形成し;空洞(7)への背面アクセス部(13)を設け、ここで空洞壁部上の酸化物層(10)を、エッチングストップ層として用い;酸化物層(10)を空洞(7)の領域内で除去し、空洞(7)上に形成されているメンブラン構造体(14)への背面アクセス部(13)を生じさせる、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板背面からアクセスされる、マイクロメカニカル技術によるメンブラン構造体を製造する方法並びに相応する半導体デバイスに関する。
【0002】
この方法はp型ドーピングされたSi基板から出発し、以下のプロセスステップを有する:
・基板表面の、連続している少なくとも1つの格子状領域をn型ドーピングするステップ
・当該n型ドーピングされた格子構造の下の基板領域を多孔性にエッチングするステップ
・前記n型ドーピングされた格子構造の下の当該基板領域内に空洞を形成するステップ
・前記n型ドーピングされた格子構造上に、単結晶シリコンエピタキシャル層を成長させるステップ、とを有している。
【0003】
相対圧力測定ないしは差圧測定のためのセンサデバイスの製造時に、通常は、メンブラン構造に対して背面アクセス部が形成される。これによって、センサメンブラン両側に圧力を負荷することが可能になる。しかし、絶対圧力測定のためのセンサエレメントにも、特定の用途に対しては、センサメンブランに圧力をかけるために背面アクセス部が設けられる。これによって、いわゆる「厳しい環境」において絶対圧力センサを使用する場合には、チップ前面が測定媒体と接触することが回避される。
【0004】
DE102004036035A1号には、メンブラン構造と、このメンブラン構造に対する背面アクセス部を有する半導体デバイスの製造方法が記載されている。この既知の方法は、p型ドーピングされた単結晶のSi基板から始まる。まずは、基板表面の連続している格子形状領域に、n型ドーピングが施される。その後、このようにして生じたn型ドーピングされた格子構造の下の基板領域が多孔性にエッチングされる。ここでこのn型ドーピングされた格子構造は、このエッチングプロセスによって攻撃されない。これに続くエピタキシャルプロセスにおいて、閉鎖された単結晶Siエピタキシャル層が、n型ドーピングされた格子構造上に形成される。
【0005】
この既知の方法の第1の形態では、多孔性シリコンがこのエピタキシャルプロセスおよびさらなるテンパーステップの間に転位し、このn型ドーピングされた格子構造および成長したエピタキシャル層の下方に空洞が生じる。
【0006】
既知の方法の第2の形態では、エピタキシャルプロセスの前に、n型ドーピングされた格子構造の下に空洞が形成される。この形態では空洞壁部が(空洞壁部がエピタキシーの前に生じる限りでは)、熱による酸化によって、エピタキシャルプロセス中のシリコン材料の成長から防御される。相応するプロセスを実行することによって、エピタキシャル層は、格子構造上でラテラル方向にも成長する。従って、エピタキシャル層は格子開口部、ひいては空洞も閉鎖する。エピタキシャル層のこのような領域は空洞壁部をより完全なものにし、プロセス実行と相応に、酸化物によってコーティングされない。
【0007】
既知の方法の第3の形態では、多孔性シリコンが、n型ドーピングされた格子構造の下で酸化される。これによって、多孔性シリコンがエピタキシーの間に転位することが阻止される。空洞はここではエピタキシャル層の被着後にはじめて、多孔性の酸化ケイ素を溶出させることによって形成される。これは、後からエピタキシャル層内に設けられるアクセス開口部を介して行われるか、または、基板背面内のアクセスホールを介して行われる。このアクセスホールはその後、メンブラン構造体に対する背面アクセス部としても使用される。
【0008】
発明の開示
本発明は、既知の方法を発展させることを提案する。これによって、簡単かつ低コストで、さらに正確な製造公差を維持しつつ、マイクロメカニカル技術によるデバイスを製造することができる。ここでこのデバイスはメンブラン構造体と、このメンブラン構造体への背面アクセス部とを備えている。
【0009】
本発明の方法は次のような特徴を有している。すなわち、
・n型ドーピングされた格子構造の少なくとも1つの開口部を、この開口部が成長する第1のエピタキシャル層によって封鎖されず、空洞へのアクセス開口部を形成するように定め;
・空洞壁部上に酸化物層を形成し;
・空洞への背面アクセス部を設け、ここで空洞壁部上の酸化物層をエッチングストップ層として用い;
・酸化物層を空洞の領域内で除去し、空洞上に形成されているメンブラン構造体への背面アクセス部を生じさせる。
【0010】
本発明による方法は、有効であることが証明されている表面マイクロメカニカル技術プロセスブロックを、バルクシリコン用の、基板背面から始まる標準エッチング方法と相応に組み合わせることに基づいている。ここで、表面マイクロメカニカル技術によって形成された空洞壁部上の酸化物層は、バルクシリコンの加工時にエッチングストップ層として利用される。殊にメンブラン構造体は、下面に構成された酸化物層によって確実に、背面のエッチング攻撃から防御される。本発明による方法の各個別ステップは、既知の、良好に操作可能かつ良好にコントロール可能であり、従って全体的に低コストのプロセスシーケンスである。これに加えて本発明の方法は、メンブラン構造体の形状および大きさに関して、高い設計自由性を提供する。ここでこれは規定の厚さおよび規定の寸法によって製造される。これは、種々異なる用途に対するデバイス構造の最適化のために用いられる。
【0011】
本発明の方法によって有利には、一貫して、規定の材料パラメータを有している単結晶のシリコンメンブランが形成される。このようなメンブランは、高い長時間安定性を特徴としており、回路素子のモノリシックな組み込みを可能にする。これは例えば、信号検出のためのピエゾ抵抗である。本発明による方法のプロセスステップはCMOSコンパチブルであるので、容易に、評価回路をモノリシックに組み込むプロセスシーケンスを加えることができる。
【0012】
製造方法の他に、このようにして製造された、空洞上に単結晶のメンブラン構造を備えた半導体デバイスも権利範囲として請求される。この空洞は、p型ドーピングされたSi基板内に構成されており、背面アクセス部を有している。方法によって、メンブラン構造体はn型ドーピングされた格子構造を有する。この格子構造の上には、少なくとも1つの第1のエピタキシャル層が成長される。本発明の製造方法によってさらに、空洞のラテラル方向の拡がりはメンブラン構造体の下において、全面で、空洞壁部内の背面アクセス部の入口開口部よりも広い。この構造的な特徴は、本願発明で、空洞壁部上の酸化物層をエッチングストップ層として使用することから生じる。これは、背面アクセス部がトレンチング、KOHエッチングまたは別のエッチング方法によって形成されたか否かには関係しない。
【0013】
上述のように、本発明による方法では、空洞壁部に酸化物層が設けられている。この酸化物層は本発明では、第1のエピタキシャル層がn型ドーピングされた格子構造上に成長した後にはじめて形成される。これらはともに、空洞に接しており、最下のメンブラン層を形成する。これに相応して、酸化物層はメンブラン下面を完全に覆う。基本的には本発明の枠内で、このために種々異なる酸化プロセスが使用される。従って、酸化物層は、空洞壁部上に、例えば、エピタキシャル層上に一致するように、酸化ケイ素を析出することによって形成される。ここで酸化ケイ素は、アクセス開口部を介してエピタキシャル層およびn型ドーピングされた格子構造内に侵入し、空洞内にも侵入し、空洞を覆う。しかし本発明による方法の特に有利な形態では、空洞壁部上の酸化物層が熱による酸化によって形成されてもよい。ここでこのために必要な酸素は、アクセス開口部を介してエピタキシャル層に達し、さらに空洞内のn型ドーピングされた格子構造に達する。
【0014】
多くの用途で必要とされているように、閉鎖されたメンブラン構造が形成されるべき場合には、エピタキシャル層内のアクセス開口部が封鎖されなければならない。このために、酸化物層を形成する酸化プロセスが、アクセス開口部が酸化物栓によって閉鎖されるまで空洞壁部上で続けられる。熱による酸化の場合には、比較的、時間とエネルギーがかかる。本発明による方法の有利な形態ではアクセス開口部が、1つまたは複数の誘電性層、多結晶層またはエピタキシャル(シリコン)層をエピタキシャル層上に析出することによって閉鎖される。これは例えば、付加的な酸化物層である。
【0015】
上述したように、一貫して単結晶性のシリコンメンブランは、その機械的な特性に関しても、回路素子の可能な組み込みに関しても有利である。従って、本発明による方法の有利な形態に相応して、第1のエピタキシャル層上に少なくとも1つのさらなるシリコンエピタキシャル層が形成される。このシリコンエピタキシャル層は、封鎖されたアクセス開口部を覆う。ここでプロセスパラメータは次のように選択される。すなわち、封鎖されたこのアクセス開口部上に多結晶性領域が生じるように選択される。この領域は、単結晶シリコンによって覆われる。またはこの封鎖されたアクセス開口部はラテラル方向で、単結晶シリコンによって覆われる。従って、このさらなるシリコンエピタキシャル層は一貫して単結晶性である。
【0016】
本発明の別の形態では、高い設計自由性が利用され、n型ドーピングされた格子構造内、およびその上に成長されたエピタキシャル層内のアクセス開口部が、空洞上のメンブラン領域内に配置されるのではなく、空洞に注ぐチャネル上に配置される。このためにまずは、多孔性にエッチングされた基板領域内のn型ドーピングされた格子構造の下方に、空洞と、この空洞に注ぐ少なくとも1つのチャネルが形成される。従って、少なくとも1つのアクセス開口部が、格子構造内に、チャネル上に配置される。これによって容易に、完全な、単結晶性メンブランが形成される。これを以降で、実施例に関連して再度、より詳細に説明する。
【0017】
本発明による方法は、マイクロメカニカル技術による相対圧力センサおよび絶対圧力センサの製造に非常に良好に適しているだけでなく、例えば、マイクロメカニカル技術によるマイクロフォン素子の製造にも非常に良好に適している、ということを最後に指摘しておく。
【0018】
上述したように、本願発明の示唆を有利に構成し、発展形成させる幾つかの方法がある。このために、独立請求項1に従属する請求項を参照されたい。またさらに、図面に基づいた、本発明の複数の実施例の後続の説明も参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1a〜1iは、製造中の第1のデバイス構造体の概略的な断面図に基づいて、本発明による方法の第1の形態の個々のステップを示している
【図2】図1f〜gに示された第2のエピタキシャル層の成長の1つの形態を示している
【図3】図1に示された方法の1つの形態を示しており、ここでは第2のエピタキシャル層の成長が省かれる
【図4】図4a〜4cは、シリコン基板の相応する平面図によって、n型ドーピングされた格子構造内の種々異なる孔配置を示している
【図5】ブランチチャネルを備えた空洞形成後のデバイス構造体の概略的な平面図および第1のエピタキシャル層の成長後のデバイス構造体の概略的な平面図を示しており、当該平面図は3つの切断軸A、BおよびCを有している
【図6】図6a〜6cはそれぞれ、第1のエピタキシャル層が成長した後の、切断軸A、BおよびCに沿った、図5に示されたデバイス構造体の断面図を示しており、
【図7】図7a〜7cはそれぞれ、酸化プロセス後の、切断軸A、BおよびCに沿った、図5に示されたデバイス構造体の断面図を示しており、
【図8】図8a〜8cはそれぞれ、酸化物層を表面除去した後の、切断軸A、BおよびCに沿った、図5に示されたデバイス構造体の断面図を示しており、
【図9】図9a〜9cはそれぞれ、第2のエピタキシャル層が成長した後の、切断軸A、BおよびCに沿った、図5に示されたデバイス構造体の断面図を示している。
【実施例】
【0020】
本発明の実施例
基板背面からアクセスされる、マイクロメカニカル技術によって製造されたメンブラン構造体を製造するための本発明の方法は、p型ドーピングされたSi基板1から始まる。図1aから1iに示された方法の形態でははじめに、n型ドーピングされた、連続している(zusammenhaengender)格子形状構造領域2が、例えばインプランテーションまたは拡散によって、基板表面内に形成される。さらに、基板1のより深部に延在するn+ドーピングされた領域3が形成される。この領域は表面の格子形状領域2を取り囲む。このように準備された基板表面にはその後、SiNマスク4が設けられる。このマスクは、n型ドーピングされた格子構造2の下方の基板領域5のラテラル方向の寸法を定める。後続の方法ステップ、例えば濃縮されたフッ酸内でのシリコンの陽極酸化において、基板領域5内のシリコンは多孔性にエッチングされる。ここでSiNマスクは基板表面を保護する。これは殊に、例えば評価回路をモノリシックに組み立てるのに利用される、形成されるべきメンブランの周辺領域においてである。深い、側方のn+ドーピング部3は、このエッチンステップに対して、ラテラル方向のエッチングストップを形成する。n型ドーピングされた格子構造2も攻撃されずに、後で行われるエピタキシーに対する基礎層として用いられる。図1aは、基板領域5の多孔性エッチング後の加工処理されたシリコン基板1を示している。この図1aからも、n型ドーピングされた格子構造2の少なくとも1つの開口部6が、格子特性を定めるメッシュサイズよりも大きく設計されていることがわかる。このメッシュサイズは、メッシュが後続のエピタキシャルプロセスにおいて封鎖されるように選択されており、開口部6の大きさは次のように定められている。すなわち、この開口部が、成長したエピタキシャル層によって封鎖されずに、領域5へのアクセス開口部を形成するように定められている。
【0021】
このようなエピタキシャルプロセス前に、SiNマスク4は基板表面から除去される。さらにこの多孔性にエッチングされた基板領域5において、n型ドーピングされた格子構造2の下方に、空洞7が形成される。このために、多孔性シリコンは例えばウェットケミカル方法で取り出される。しかし空洞7が、テンパーステップにおいて、多孔性シリコンを熱によって転位させることによって形成されてもよい。別のオプションは、開始と同時に、電解研磨によって100%の多孔性を備えた多孔性シリコンを基板領域5内に形成することである。図1bは、このような開口部6が空洞7上の領域内に配置されていることを示している。
【0022】
図1cは、n型ドーピングされた格子構造2上の、第1の単結晶シリコンエピタキシャル層8の成長を示している。エピタキシャル層8の厚さは、格子構造2のメッシュサイズおよび開口部6のサイズに合わせられている。これは格子構造2のメッシュが覆われていることによって行われる。また開口部6は封鎖されず、この箇所で、アクセス開口部9がエピタキシャル層8内に形成される。
【0023】
本発明では酸化物層10が空洞壁部上に形成される。これは有利には熱を用いた酸化によって行われるが、エピタキシャル層8上に一致するように酸化ケイ素を析出することによって実現することもできる。この場合には酸化ケイ素はアクセス開口部9を介して空洞7内に侵入し、空洞を覆う。ここで示された実施例では(殊に図1dを参照)、酸化プロセスは、アクセス開口部9がふさがれ、空洞7が酸化物栓11によって閉鎖されるまで続く。
【0024】
その後、酸化物層10は、第1のエピタキシャル層8の表面から除去され、これは図1eに示されている。このようにして開放された単結晶性の第1のエピタキシャル層8はここで、さらなるエピタキシャルプロセスに対する基礎層として利用される。
【0025】
第1のエピタキシャル層8上にここで生じる第2の単結晶性エピタキシャル層12の成長は、図1fおよび図1gに示されている。プロセスはここで次のように実行される。すなわち、酸化物栓11上に多結晶シリコンが生じることが回避されるように実行される。酸化物栓11はここでラテラル方向に単結晶で覆われる。図1fは、2つのシリコンフロントが酸化物栓11上でぶつかる直前の時点での成長プロセスを示している。図1gは、完全なメンブラン厚さに達するまでのエピタキシャルプロセスの進行を示している。
【0026】
この純粋な表面マイクロメカニカルステップの後に、基板背面が構造化される。これによって、空洞7への背面アクセス部13が形成される。本発明ではこのために、エッチング方法、例えばトレンチまたはKOHエッチングが使用される。ここでは空洞壁部上の酸化物層10がエッチングストップ層として機能する。この実施例ではまずは、トレンチアクセス部131が形成される。このトレンチアクセス部のラテラル方向の拡がりは相応に、空洞7のラテラル方向の拡がりよりも狭い。従って酸化物層10は、空洞上方の単結晶メンブラン14の貫通エッチングに対する防御部としても用いられる。図1hは、トレンチプロセス後のデバイス構造体を示している。酸化物層10はここではまだ存在している。酸化物層はさらなるプロセスステップにおいてようやく除去され、これによって背面アクセス部13が最終的に開放される。これは基板背面から、例えばHF気相エッチングによってまたはウェットケミカル方式で行われる。結果として生じたデバイス構造体100が図1iに示されている。上述したように、メンブラン構造14の下方の、空洞のラテラル方向の拡がりは、方法によって、全面で空洞壁部内への背面アクセス部13の入口開口部よりも大きくなる。
【0027】
図2は、図1fおよび1gに関連して説明された、第1のエピタキシャル層8の上に第2のエピタキシャル層12を成長させるプロセス実行の1つの形態を示している。ここでは酸化物栓11がラテラル方向で単結晶シリコンによって覆われるだけではなく、はじめに、第1のエピタキシャル層8上に単結晶シリコン12が成長し、酸化物栓11上に多結晶シリコン22も成長する。しかしプロセスパラメータは次のように選択される。すなわち単結晶シリコンの成長速度が、多結晶シリコンの成長速度よりも速いように選択される。これによって、多結晶領域22はエピタキシャル厚が増すとともに小さくなり、最後には完全に単結晶シリコンによって覆われる。これは図2に示されている。択一的に、熱による酸化物上(図1d)にも、エピタキシャル基礎層として、完全に平らに多結晶Si層(例えばスタートポリ(Start-Poly))が析出され、続いて、ホトリソグラフィ面上で、酸化物で構造化されてもよい。
【0028】
図1および2に示されている第2のエピタキシャル層12は、メンブラン封鎖を実現するために、かならずしも必要とされるわけではない。これは図3によって示されている。エピタキシャル層8内でのアクセス開口部9の封鎖はここで主に、誘電層または多結晶層によって形成される。すなわち、酸化物層10ないしは酸化物栓11によって行われる。これはここではシリコン−窒化物層31によって補足される。これによって栓11の長時間密度が高まり、酸化物をさらなるプロセス経過におけるエッチング攻撃から保護する。このような形態では、さらなるエピタキシャル層の成長は省かれる。
【0029】
図4aから図4cは、正方形のnドーピングされた3つの格子構造41、42および43における、3つの異なる孔配置を示している。後のメンブラン領域ないし空洞領域がそれぞれ破線44によって示されている。格子メッシュ45の大きさはそれぞれ次のように選択される。すなわち、これが後続のエピタキシャルプロセスにおいて単結晶で覆われ、これによって封鎖されるように選択される。これとは異なり、より大きい開口部46はこのエピタキシャルプロセスの後でも、空洞に対するアクセス開口部を形成する。このアクセス開口部は、空洞壁部の酸化後でようやく封鎖される。格子メッシュ45はここで示されているように正方形に配置されるだけではなく、例えば六角形、対角線状または中央対称に配置されてもよい。開口部46の配置に対して、類似の自由性が当てはまる。ここでは開口部46の数も、メンブランの大きさおよび幾何学形状に応じて選択可能である。有利には開口部46はメンブランの角領域内に配置される。なぜならここでは有利な応力状態が生じているからである。別のメンブラン幾何学形状に対しても類似の考察が当てはまる。
【0030】
図5〜9は、本発明による方法の1つの形態を示している。これは、図1a〜1iに示された形態とは実質的に、メンブランの形状ないしはアクセス開口部の配置において異なる。これは殊に図5によって示されている。これは、第1のエピタキシャル層が成長した後のデバイス構造体500の概略的な平面図を示している。正方形のメンブラン領域は501で示されている。メンブラン領域501の下方には、シリコン基板内に空洞7が存在している。この空洞7には、漏斗状のブランチチャネル60が注ぐ。これは空洞7とともに、n型ドーピングされた格子構造の相応する構成およびその下に構成された多孔性のシリコン領域の相応する構成によって形成され、図6から図9に示されている。このブランチチャネル60上のエピタキシャル層の領域には、参照番号502が付与されている。ここで示された実施例では、アクセス開口部503は、この領域502の拡張された終端部に配置されている。チャネル領域におけるアクセス開口部503のこのような配置の結果および利点を、図6から9の断面図A、BおよびCに基づいて説明する。
【0031】
図6aから6cは、図5と同じ方法段階におけるデバイス構造体500を示している。すなわち、n型ドーピングされた格子構造および基板表面上に第1のエピタキシャル層8が成長した後の方法段階である。単結晶格子構造の格子メッシュは、単結晶に覆われている。チャネル60の漏斗形状終端部61での開口部の領域においてのみ、アクセス開口部503がエピタキシャル層8内に形成されている。これは図6aに示されている。チャネル60の先細り領域62において、残りのメンブラン領域におけるのと同様に、エピタキシャル層8は閉じている。これは図6bおよび図6cから明らかである。
【0032】
図7aから図7cは、酸化プロセス後の段階を示している。ここで、チャネル60が先細り領域62において閉鎖するまで、酸化物10は均一の層厚で成長する。これは図7bに示されている。これによって、空洞内への酸素供給が中断される。従ってここでも、さらなる酸化物はこれ以上成長しない。しかしチャネル60の漏斗形状終端部61では、酸化物10のさらなる成長が可能である。従って、チャネル60は大きい領域上で完全に閉じる。これは図7aおよび7cに示されている。
【0033】
図8aから8cには、酸化物層10を表面除去した後のデバイス構造体500が示されている。このために、ウェットケミカル方式のエッチングプロセス、気相エッチングまたは異方性のプラズマエッチングプロセスが使用される。エッチングされるべき表面酸化物層10の厚さは、ふさがれるべきチャネル60の長さよりも格段に短い。従ってここで示されている実施例では、酸化物層10のエッチング時に、アクセス開口部503の領域内の酸化物のみが除去される。また、チャネル60は引き続き封鎖されたままである。
【0034】
最後に図9aから9cは、第2の単結晶エピタキシャル層12が成長した後のデバイス構造体500を示している。このエピタキシャル層はメンブラン領域だけを完全に覆っているのでなく(図9cを参照)、アクセス開口部503を伴うチャネル領域61も覆っている(図9aを参照)。さらにチャネル領域62も覆っている。これは図9cに示されている。酸化物10はアクセス開口部503の全体領域において除去されているので、エピタキシャル層12は、チャネル領域61の単結晶底面上およびアクセス開口部503の側壁部上で成長することができる。
【図1a】

【図1b】

【図1c】

【図1d】

【図1e】

【図1f】

【図1g】

【図1h】

【図1i】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板背面からアクセスされる、マイクロメカニカル技術によるメンブラン構造体を製造する方法であって、
当該方法はp型ドーピングされたSi基板(1)から出発し、以下のプロセスステップを有する:すなわち、
・前記基板表面の、連続している少なくとも1つの格子状領域(2)をn型ドーピングするステップ
・当該n型ドーピングされた格子構造(2)の下の基板領域(5)を多孔性にエッチングするステップ
・前記n型ドーピングされた格子構造(2)の下の当該基板領域(5)内に空洞(7)を形成するステップ
・前記n型ドーピングされた格子構造(2)上に、第1の単結晶シリコンエピタキシャル層(8)を成長させるステップ、とを有している形式の方法において、
・前記n型ドーピングされた格子構造(2)の少なくとも1つの開口部(6)を、成長する前記第1のエピタキシャル層(8)によって当該開口部が封鎖されず、当該開口部が前記空洞(7)へのアクセス開口部(9)を形成するように定め;
・空洞壁部上に酸化物層(10)を形成し;
・空洞(7)への背面アクセス部(13)を設け、ここで前記空洞壁部上の酸化物層(10)をエッチングストップ層として用い;
・前記酸化物層(10)を前記空洞(7)の領域内で除去し、前記空洞(7)上に形成されているメンブラン構造体(14)への背面アクセス部(13)を生じさせる、
ことを特徴とする、基板背面からアクセスされる、マイクロメカニカル技術によるメンブラン構造を製造する方法。
【請求項2】
前記空洞壁部上の酸化物層(10)を熱による酸化によって形成し、このために必要な酸素供給を、前記アクセス開口部(9)を介して行う、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも、前記アクセス開口部(9)が封鎖されるまで、前記熱による酸化を続ける、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第1のエピタキシャル層(8)上に、少なくとも1つの誘電層、多結晶層またはエピタキシャル層、殊に酸化物層を析出することによって前記アクセス開口部(9)を封鎖する、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記第1のエピタキシャル層(8)上に、少なくとも1つのさらなるシリコンエピタキシャル層(12)を形成し、当該シリコンエピタキシャル層は前記封鎖されたアクセス開口部(9)を覆う、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記封鎖されたアクセス開口部(9)上に多結晶領域(22)が生じるように、前記さらなるシリコンエピタキシャル層(12)を形成する際のプロセスパラメータを選択し、当該多結晶領域は単結晶シリコンによって覆われる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記封鎖されたアクセス開口部(9)がラテラル方向で単結晶シリコンによって覆われ、前記さらなるシリコンエピタキシャル層(12)が一貫して単結晶になるように、前記さらなるシリコンエピタキシャル層(12)を形成する際のプロセスパラメータを選択する、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記n型ドーピングされた格子構造(2)の下に、前記多孔性にエッチングされた基板領域(5)内に、空洞(7)と、当該空洞(7)に注ぐ少なくとも1つのチャネル(60)とを形成し、
少なくとも1つのアクセス開口部(503)を前記格子構造内で、前記チャネル(60)上に配置する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
半導体デバイスであって、
p型ドーピングされたSi基板内の空洞上の、マイクロメカニカル技術によって製造されたメンブラン構造体と、空洞への背面アクセス部とを備えており、
前記メンブラン構造体はn型ドーピングされた格子構造を含んでおり、当該格子構造上に少なくとも1つの第1のエピタキシャル層が成長されており、
前記メンブラン構造体の下の前記空洞のラテラル方向の拡がりは、全面で、前記空洞壁部における背面アクセス部の入口開口部よりも広い形式のものにおいて、
前記n型ドーピングされた格子構造の開口部は、前記格子特性を定めるメッシュサイズよりも大きい
ことを特徴とする半導体デバイス。

【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【公表番号】特表2011−524817(P2011−524817A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512908(P2011−512908)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054698
【国際公開番号】WO2009/149980
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】