説明

基準電圧回路及びこの基準電圧回路を有する発振回路

【課題】一般的な製造可能であり、且つノイズを低減せさることが可能な基準電圧回路及びこの基準電圧回路を有する発振回路を提供することを目的とする
【解決手段】基準電圧回路200では、出力端子から出力される安定した出力基準電圧VREFを抵抗R11と抵抗R12とから構成される分圧回路211で分圧した電圧によりトランジスタM11のゲート−ソース間電圧VGS11を駆動することで、安定した出力基準電圧VREFを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源電圧から基準電圧を生成して出力する基準電圧回路及びこの基準電圧回路を有する発振回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯機器等には、発振回路が内蔵されており、発振回路で生成される発振周波数を用いて通信を行う機器がある。発振回路は、例えば発振周波数を生成するための発振器やバッファ等の他に、これらの回路を動作させるための基準電圧を生成する基準電圧回路を有する。基準電圧回路は、発振回路に供給される電源電圧から所定の基準電圧を発生し、他の回路へ供給する。
【0003】
図6は、従来の基準電圧回路の一例を示す図である。図6に示す基準電圧回路60は、バイポーラトランジスタを用いた基準電圧回路である。基準電圧回路60は、バイポーラトランジスタのバンドギャップ電圧ΔVBEを増幅して基準電圧とするため、バンドギャップ電圧ΔVBEから基準電圧までのゲインが高いことから、回路で発生するノイズも増幅され、基準電圧のノイズ特性を悪化させる。このため基準電圧回路60は、出力端子の外部にノイズフィルタ等を設ける必要があった。
【0004】
そこで特許文献1には、ノイズを低減させた基準電圧回路が開示されている。図7は、従来の基準電圧回路の別の例を示す図である。基準電圧回路70では、基準電流をディプレッション型MOS(metal−oxide−semiconductor)トランジスタM1のゲート−ソース間電圧VGSが0Vの時の飽和電流で構成し、nチャンネル型MOSトランジスタM2の閾値電圧にて温度特性による変動の小さい基準電圧を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−302999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年のトランジスタの製造プロセスでは、特許文献1に開示された基準電圧回路70で用いられるディプレッション型MOSトランジスタを製造するための特殊なプロセスが用意されている場合が少ない。よって特許文献1記載の基準電圧回路を製造する場合には、製造工程が煩雑であり、コストが高くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題を鑑みてこれを解決すべくなされたものであり、一般的なプロセスで製造可能であり、且つノイズを低減せさることが可能な基準電圧回路及びこの基準電圧回路を有する発振回路を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成すべく以下の如き構成を採用した。
【0009】
本発明は、電源電圧(Vcc)から所定の基準電圧(VREF)を生成して出力する基準電圧回路(200)であって、
前記電源電圧(Vcc)から所定電圧(Va)を生成する基準電圧生成回路(210)と、
前記所定電圧(Va)を増幅して前記基準電圧(VREF)とする増幅回路(220、230)と、を有し、
前記基準電圧生成回路(210)は、
第一のトランジスタ(M11)と、第二のトランジスタ(M12)と、前記基準電圧(VREF)を分圧する分圧回路(211)と、を有し、
前記分圧回路(211)により分圧された前記基準電圧(VREF)により前記第一のトランジスタ(M11)を駆動させ、前記第二のトランジスタ(M12)により前記所定電圧(Va)を生成する構成とした。
【0010】
また本発明の基準電圧回路は、前記第一のトランジスタ(M11)をオンさせるための起動回路(240)を有し、
前記起動回路(240)は、
一端が接地された第一の抵抗(R42)と前記電源電圧(Vcc)との間に接続された第三のトランジスタ(M43)と、
前記電源電圧(Vcc)と前記第一のトランジスタ(M11)のゲートとの間に接続された第四のトランジスタ(M44)と、により構成されるカレントミラー回路を含む構成とした。
【0011】
また本発明の基準電圧回路において、前記増幅回路(220、230)は、
前記所定電圧(Va)と、前記基準電圧(VREF)とに応じた電圧との差分を出力する差動増幅回路(220)と、
前記差動増幅回路(220)の出力差分に応じて前記所定電圧(Va)が前記基準電圧(VREF)となるように制御する出力回路(230)と、を有する構成とした。
【0012】
また本発明の基準電圧回路において、前記出力回路(230)は、
前記電源電圧(Vcc)を分圧するための第二の抵抗(R34)と第三の抵抗(R35)とを有し、
前記第二の抵抗(R34)と前記第三の抵抗(R35)とにより分圧された前記電源電圧(Vcc)に応じた電圧が、前記差動増幅回路(220)へ供給される構成とした。
【0013】
また本発明の基準電圧回路において、前記分圧回路(211)は、第四の抵抗(R11)と第五の抵抗(R12)とが直列に接続されて構成されるものとした。
【0014】
また本発明の基準電圧回路において、前記分圧回路(211A)は、
前記基準電圧(Vcc)が供給される第五のトランジスタ(M13)と第六のトランジスタ(M14)とから構成されるカレントミラー回路を有し、
前記第一のトランジスタ(M11)は、前記第五のトランジスタ(M13)のドレインに接続される第六のトランジスタ(Q21)のベースーエミッタ間電圧、又は第七のトランジスタ(M16)のゲート−ソース間電圧により駆動される構成とした。
【0015】
本発明は、電源電圧(Vcc)から所定の基準電圧(VREF)を生成して出力する基準電圧回路(200)を有し、振動子を振動させて所定の発振周波数を出力する発振回路(100)であって、
前記基準電圧回路(200)は、
前記電源電圧(Vcc)から所定電圧(Va)を生成する基準電圧生成回路(210)と、
前記所定電圧(Va)を増幅して前記基準電圧(VREF)とする増幅回路(220、230)と、を有し、
前記基準電圧生成回路(210)は、
第一のトランジスタ(M11)と、第二のトランジスタ(M12)と、前記基準電圧(VREF)を分圧する分圧回路(211)と、を有し、
前記分圧回路(211)により分圧された前記基準電圧(VREF)により前記第一のトランジスタ(M11)を駆動させ、前記第二のトランジスタ(M12)により前記所定電圧(Va)を生成する構成とした。
【0016】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、一般的なプロセスで製造可能であり、且つノイズを低減せさることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第一の実施形態の発振回路100を説明するための図である。
【図2】第一の実施形態の基準電圧回路200を説明する図である。
【図3】第二の実施形態の基準電圧回路200Aを説明する図である。
【図4】第二の実施形態の基準電圧回路200Aの変形例を説明する図である。
【図5】第三の実施形態の基準電圧回路200Cを説明する図である。
【図6】従来の基準電圧回路の一例を示す図である。
【図7】従来の基準電圧回路の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態の発振回路100を説明するための図である。
【0020】
本実施形態の発振回路100は、温度センサ110、発振器120、バッファ140、基準電圧回路200を有する。また発振回路100は、端子Tv、端子XT1、端子XT2、端子Tosc、端子Ttemを有する。端子Tvは、発振回路100に電源電圧Vccを供給するための端子である。端子XT1、端子XT2は、水晶振動子を接続するための端子である。端子Toscは、発振周波数が出力される端子である。端子Ttemは、温度センサ110の出力を発振回路100の外部へ出力するための端子である。
【0021】
本実施形態の発振回路100は、温度センサ110を用いて発振回路100の温度を検出する。検出された温度は端子Toscから出力される発振周波数の補正に用いられる。発振周波数の補正は、発振回路100の外部で行っても良いし内部で行っても良い。以下に説明する本実施形態では、発振周波数の補正を発振回路100の外部で行うものとして説明する。尚、発振回路100の内部で発振周波数の補正を行う場合には、温度補正手段が設けられていることが前提となる。
【0022】
温度センサ110は、センサ部111、アンプ112、センター調整用電圧発生部113、抵抗R10、抵抗R20を有する。センサ部111は、発振回路100内の温度に対応した電圧を出力する。アンプ112は、センサ部111から出力された電圧信号を増幅する。センター調整用電圧発生部113は、アンプ112から出力される電圧信号のセンターを調整するための電圧を発生させる。
【0023】
発振器120は、端子XT1と端子XT2とにより図示しない水晶振動子と接続されている。発振器120から出力される周波数は、バッファ140を介して端子Toscから出力される。
【0024】
本実施形態の発振回路100において、基準電圧回路200は、端子Tvから供給される電源電圧Vccから所定の出力基準電圧VREFを生成して出力する。出力基準電圧VREFとは、例えば1.6Vである。尚図示していないが、基準電圧回路200で生成された出力基準電圧VREFは、発振回路100の有する各回路へ供給される。
【0025】
以下に本実施形態の基準電圧回路200の詳細を説明する。図2は、第一の実施形態の基準電圧回路200を説明する図である。
【0026】
本実施形態の基準電圧回路200は、基準電圧生成回路210、差動増幅回路220、出力回路230、起動回路240を有する。
【0027】
本実施形態の基準電圧生成回路210は、トランジスタM11、M12、抵抗R11、R12で構成される分圧回路211を有する。
【0028】
トランジスタM11、M12は、nチャンネル型MOSトランジスタである。また本実施形態のトランジスタM11は、基準電圧回路200を構成する他のトランジスタよりも閾値電圧が低い低閾値のトランジスタを用いることが好ましい。尚低閾値のトランジスタは、チャネルドープ量を調整する事で達成される事が多く特殊なマスク追加を必要としない場合が多い。
【0029】
トランジスタM11のドレインには電源電圧Vccが印加される。トランジスタM11のソースはトランジスタM12のドレインと接続されている。トランジスタM12のソースは接地されている。
【0030】
抵抗R11の一端は抵抗R12の一端と接続されおり、分圧回路211を構成している。抵抗R11の他端は、基準電圧回路200の出力端子と接続されている。抵抗R12の他端は、トランジスタM12のゲートと接続されている。以下の説明では、トランジスタM12のゲートと抵抗R12との接続点を点Aと呼ぶ。トランジスタM11のゲートは、抵抗R11と抵抗R12との接続点に接続されている。
【0031】
本実施形態の基準電圧回路200では、出力端子から出力される安定した出力基準電圧VREFを分圧回路211により分圧した電圧によりトランジスタM11のゲート−ソース間電圧VGS11を駆動することで、安定した出力電圧を得る。
【0032】
本実施形態の差動増幅回路220は、基準電圧生成回路210で生成された基準電圧(点Aの電圧)Vaを増幅する回路で、バイポーラ型のトランジスタQ11〜Q13、pチャンネル型MOSトランジスタであるトランジスタM21、M22及びnチャンネル型MOSトランジスタであるトランジスタM23、M24から構成される。
【0033】
トランジスタQ11〜Q13はNPNトランジスタである。トランジスタQ11は、ベースに基準電圧生成回路210で生成された基準電圧Vaが印加されており、コレクタから基準電圧Vaに応じた電流を引き込む。トランジスタQ12は、ベースに出力基準電圧VREFに応じた電圧が印加されており、コレクタから出力基準電圧VREFに応じた電流を引き込む。トランジスタQ11、Q12のエミッタは、トランジスタM13のドレインに共通に接続されている。このためトランジスタQ11のエミッタ電流とトランジスタQ12のエミッタ電流との和は常に一定とされている。
【0034】
また、トランジスタM21、M22はカレントミラー回路を構成しており、トランジスタM22に流れる電流に応じた電流がトランジスタM21のドレインから出力される。
【0035】
トランジスタQ13のベースは、トランジスタQ11のコレクタとトランジスタM21のドレインとの接続点に接続されている。トランジスタQ13はトランジスタM21のドレイン電位に応じた電流をエミッタから出力する。トランジスタQ13のエミッタからは、トランジスタM24から電流が引き込まれている。
【0036】
尚トランジスタM23、M24は、エンハンスメント型NMOSトランジスタから構成され、差動増幅回路220の電流源として用いられており、基準電圧生成回路210で生成された基準電圧に応じた電流を差動増幅回路220から引き込む。
【0037】
トランジスタQ13のエミッタとトランジスタM24のドレインとの接続点の電位が出力回路230に供給される。以下に出力回路230について説明する。
【0038】
出力回路230は、pチャンネル型MOSトランジスタであるトランジスタM25、M26、抵抗R31〜R34により構成されている。
【0039】
トランジスタM25は、ゲートが差動増幅回路220の出力となるトランジスタQ13のエミッタに接続されている。トランジスタM25はソースフォロワ接続であるため、差動増幅回路220の出力をソース側に伝えるバッファとして働く。
【0040】
トランジスタM25のソースには、抵抗R31を介して電源電圧Vccが印加されている。トランジスタM25のソースと抵抗R31との接続点には、トランジスタM26のゲートが接続されている。
【0041】
トランジスタM26は、トランジスタM25のソースと抵抗R31との接続点の電位が低下すると、ソース−ドレイン間電流を増加させ、トランジスタM25のソースと抵抗R31との接続点の電位が上昇すると、ソース−ドレイン間電流を低減させる。トランジスタM26のドレインは抵抗R32、R33、R34からなる直列回路を介して接地されており、トランジスM26のドレインと抵抗R32との接続点から出力基準電圧VREFが出力される。
【0042】
また、抵抗R32と抵抗R33との接続点には、出力基準電圧VREFに応じた電圧が発生する。抵抗R32ソース−ドレイン間と抵抗R33との接続点は、差動増幅回路220のトランジスタQ12のベースに接続されている。尚本実施形態では、例えば出力回路230の抵抗R32〜R34の何れかをトリミングすることによりトランジスタM11、M12のばらつきを調整できる。
【0043】
次に起動回路240について説明する。
【0044】
本実施形態の基準電圧回路200において、基準電圧生成回路210は、出力基準電圧VREFを用いて基準電圧Vaを生成する。よって本実施形態の基準電圧回路200では、起動初期はトランジスタM11がオフされている。このため本実施形態では、起動初期にトランジスタM11をオンさせるための起動回路が必要となる。本実施形態の起動回路240は、起動初期にトランジスタM11をオンさせるための回路である。
【0045】
起動回路240は、nチャンネル型MOSトランジスタであるトランジスタM41、pチャンネル型MOSトランジスタであるトランジスタM42〜M44、抵抗R41、R42により構成されている。
【0046】
トランジスタM41は、抵抗R41を介してドレインに電源電圧Vccが印加されており、ソースが接地されている。トランジスタM41のゲートは、トランジスタM11のソースとトランジスタM12のドレインとの接続点に接続されている。トランジスタM41のドレインと抵抗R41との接続点には、トランジスタM42のゲートが接続されている。
【0047】
トランジスタM42〜M44のソースには電源電圧Vccが印加されている。トランスタM42のドレインとトランジスタM43のドレインとは、共通接続されて、トランジスタM43のゲートに接続されている。またトランジスタM43のドレインは、抵抗R42を介して接地されている。トランジスタM44のドレインは、トランジスタM11のゲートに接続されている。
【0048】
以下に本実施形態の起動回路240の動作について説明する。
【0049】
電源電圧Vccが基準電圧回路200に供給されると、トランジスタM43のソースに電源電圧Vccが印加され、トランジスタM43のソース−ドレイン間に電流が流れる。トランジスタM43とトランジスタM44とはカレントミラー回路を構成しているため、トランジスタM44のソース−ドレイン間にも電流が流れる。
【0050】
トランジスタM44のソース−ドレイン間に電流が流れると、トランジスタM11のゲート電圧が持ち上がり、トランジスタM11のソース電流を発生させる。トランジスタM11に発生したソース電流は、トランジスタM12に流れる。トランジスタM12とトランジスタM23とはカレントミラー回路を構成しているため、トランジスタM12に流れる電流は、トランジスタM23に電流を発生させる。
【0051】
同様にトランジスタM12とトランジスタM41とがカレントミラー回路を形成するため、トランジスタM41を介してトランジスタM42がオンとなる。トランジスタM42がオンになると、トランジスタM43のソース−ゲート間電圧が低下するため、トランジスタM44がオフとなり、トランジスタM11のゲートへの起動電流が遮断される。
【0052】
トランジスタM23のソース電流が発生すると、差増幅回路220及び出力回路230が動作し、出力基準電圧VREFは上昇している。よって抵抗R12による電圧降下が発生し、トランジスタM11を所定の飽和電流で動作させることができる。
【0053】
トランジスタM11を流れる電流が飽和電流に達すると、トランジスタM12の閾値
電圧により、トランジスタQ11がバイアスされる。トランジスタM12の閾値はトランジスタチャンネル幅Wとチャンネル長Lの比W/Lを調整し、電流密度を変える事で調整できる。しかしSi半導体の場合、閾値電圧がおよそ1.2Vの点で、温度特性をほとんど持たない点が存在する事が知られている。従って、トランジスタM12のW/L調整により、トランジスタQ11のバイアスを温特変動がほとんど無い基準電圧Vaに設定できる。
【0054】
この場合、MOSトランジスタの閾値電圧を直接基準電圧として用いるため、従来のバンドギャップ回路のようにΔVBEからの増幅段を持つ必要が無い事から、低ノイズ化ができる。
【0055】
基準電圧Vaは、差動増幅回路220で所望の電圧に増幅され、出力回路230により出力基準電圧VREFとして出力される。
【0056】
以上に説明したように、本実施形態では、特殊な製造工程を要するディプレッション型のトランジスタを用いずに、また通常のプロセスで製造可能なトランジスタを用いてノイズを低減せさることができる。また本実施形態では、トランジスタM12のゲート−ソース間電圧VGS12を用いて出力基準電圧VREFを生成するため、従来のバンドギャップ型の基準電圧回路よりも出力基準電圧VREFのノイズを低減することができる。
【0057】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態は、基準電圧生成回路の有する分圧回路の構成が第一の実施形態と相違する。よって以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0058】
図3は、第二の実施形態の基準電圧回路200Aを説明する図である。本実施形態の基準電圧生成回路210Aは、分圧回路211Aを有する。分圧回路211Aは、pチャンネル型MOSトランジスタであるトランジスタM13、M14、nチャンネル型MOSトランジスタであるトランジスタM15、バイポーラ型のトランジスタQ21から構成されている。
【0059】
トランジスタM13とトランジスタM14とはカレントミラー回路を構成している。トランジスタM13のソースとトランジスタM14のソースは、出力端子と接続されており、出力基準電圧VREFが印加される。トランジスタM13のゲートとトランジスタM14のゲートとは接続されており、トランジスタM14のドレインと接続されている。トランジスタM13のドレインは、トランジスタQ21のエミッタと接続されている。またトランジスタM13のドレインは、トランジスタM11のゲートに接続されている。トランジスタQ21のコレクタは接地されている。トランジスタQ21のベースは、トランジスタM11のソースとトランジスタM12のドレインとの接続点と接続されている。
【0060】
トランジスタM15のドレインは、トランジスタM14のドレインと接続されており、トランジスタM15のソースは接地されている。トランジスタM15のゲートは、トランジスタM41のゲートと接続されている。
【0061】
本実施形態では、出力基準電圧VREFがトランジスタM13とトランジスタM14のソースに印加されると、トランジスタM14を流れる電流とトランジスタM13を流れる電流とが発生する。本実施形態では、トランジスタM13に発生する電流は、安定した出力基準電圧VREFを用いて発生する電流である。
【0062】
この安定した電流は、トランジスタQ21のコレクタ電流として供給され、トランジスタQ21のベース−エミッタ間電圧により、トランジスタM11がバイアスされる。
【0063】
また本実施形態の基準電圧回路200の起動初期には、トランジスタM44に発生した電流がトランジスタQ21に電流を発生させる。トランジスタQ21に電流が発生すると、トランジスタM11のゲート電圧が持ち上がり、トランジスタM11のソース電流を発生させる。トランジスタM11のソース電流が発生した後は第一の実施形態と同様である。
【0064】
以上に説明したように、本実施形態では、特殊な製造工程を要するディプレッション型のトランジスタを用いずに第一の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0065】
尚本実施形態は、図4に示す変形例に適用することができる。図4は、第二の実施形態の基準電圧回路200Aの変形例を説明する図である。
【0066】
本実施形態の基準電圧回路200Aの変形例である基準電圧回路200Bでは、基準電圧生成回路210Bの有する分圧回路211Bにおいて、バイポーラ型トランジスタであるトランジスタQ21をpチャンネル型MOSトランジスタであるトランジスタM16へ置き換えたものである。基準電圧回路200Bでは、第二の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0067】
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第三の実施形態について説明する。本発明の第三の実施形態は、電源電圧Vccの変動を補正するための回路を追加した点が第一の実施形態と相違する。よって以下の第三の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0068】
図5は、第三の実施形態の基準電圧回路200Cを説明する図である。本実施形態の基準電圧回路200Cでは、出力回路230Aの抵抗R34の両端の電圧に、電源電圧Vccの変動に依存した傾斜を持たせるために、抵抗R34と電源電圧Vccとの間に抵抗R35を設けた。
【0069】
本実施形態の基準電圧回路200Cは、トランジスタM11の飽和電流により、トランジスタM12の閾値電圧を制御することで、温度変動に対しほぼ一定の出力基準電圧VREFを生成することができる。しかしトランジスタM11の飽和電流には、チャネル長変調効果が存在する。そのため電源電圧Vccが変動すると、出力基準電圧VREFが電源電圧Vccに影響する虞がある。本実施形態では、抵抗R35を設け、電源電圧Vccを抵抗R34と抵抗R35により分圧する。そして分圧された電圧に対応した電圧をトランジスタQ12のベースへ供給することで、電源電圧Vccの変動の影響を補正する。
【0070】
本実施形態のトランジスタQ11のベースに印加される電圧(点Aの電圧)は、チャネル長変調効果の影響がある電圧である。よって点Aの電圧は、電源電圧Vccに比例した傾斜を有する。この結果、トランジスタQ12のベースに印加される電圧も、イマジナリーショートにて電源電圧Vccと比例した傾斜となる。
【0071】
ここで本実施形態では、抵抗R34と電源電圧Vccとの間に抵抗R35を設けることで、抵抗R34による電圧降下に電源電圧Vccの変動に対して正の傾斜を持たせ、抵抗R33による電圧降下に電源電圧Vccの変動に対して負の傾斜を持たせている。よって本実施形態では、最終的な出力基準電圧VREFを補正することが可能となり、出力基準電圧VREFを電源電圧Vccの変動に影響されない安定した電圧として出力することができる。
【0072】
出力基準電圧VREFの補正に用いられる電圧は、抵抗R35と抵抗R34との抵抗比により調整することができ、設定が容易である。更に特殊なプロセスの追加等も不要である。また抵抗R35と抵抗R34との接続点は、温度特性を持たない。よって本実施形態において抵抗R35を追加したことによる他の回路の温度特性への影響は無視することができる。よって本実施形態では、電源電圧Vccの変動についてのみ補正することができる。
【0073】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、電源電圧から基準電圧を生成して出力する基準電圧回路及びこの基準電圧回路を有する発振回路に利用可能である。
【符号の説明】
【0075】
100 発振回路
110 温度センサ
120 発振器
140 バッファ
200、200A、200B、200C 基準電圧回路
210、210A、210B 基準電圧生成回路
211、211A、211B 分圧回路
220 差動増幅回路
230、230A 出力回路
240 起動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧から所定の基準電圧を生成して出力する基準電圧回路であって、
前記電源電圧から所定電圧を生成する基準電圧生成回路と、
前記所定電圧を増幅して前記基準電圧とする増幅回路と、を有し、
前記基準電圧生成回路は、
第一のトランジスタと、第二のトランジスタと、前記基準電圧を分圧する分圧回路と、を有し、
前記分圧回路により分圧された前記基準電圧により前記第一のトランジスタを駆動させ、前記第二のトランジスタにより前記所定電圧を生成する基準電圧回路。
【請求項2】
前記第一のトランジスタをオンさせるための起動回路を有し、
前記起動回路は、
一端が接地された第一の抵抗と前記電源電圧との間に接続された第三のトランジスタと、
前記電源電圧と前記第一のトランジスタのゲートとの間に接続された第四のトランジスタと、により構成されるカレントミラー回路を含む請求項1記載の基準電圧回路。
【請求項3】
前記増幅回路は、
前記所定電圧と、前記基準電圧とに応じた電圧との差分を出力する差動増幅回路と、
前記差動増幅回路の出力差分に応じて前記所定電圧が前記基準電圧となるように制御する出力回路と、を有する請求項1又は2記載の基準電圧回路。
【請求項4】
前記出力回路は、
前記電源電圧を分圧するための第二の抵抗と第三の抵抗とを有し、
前記第三の抵抗と前記第四の抵抗とにより分圧された前記電源電圧に応じた電圧が、前記差動増幅回路へ供給される請求項3記載の基準電圧回路。
【請求項5】
前記分圧回路は、第四の抵抗と第五の抵抗とが直列に接続されて構成される請求項1ないし4の何れか一項に記載の基準電圧回路。
【請求項6】
前記分圧回路は、
前記基準電圧が供給される第五のトランジスタと第六のトランジスタとから構成されるカレントミラー回路を有し、
前記第一のトランジスタは、前記第五のトランジスタのドレインに接続される第六のトランジスタのベース−エミッタ間電圧又は第七のトランジスタのゲート−ソース間電圧により駆動される請求項1ないし4の何れか一項に記載の基準電圧回路。
【請求項7】
電源電圧から所定の基準電圧を生成して出力する基準電圧回路を有し、振動子を振動させて所定の発振周波数を出力する発振回路であって、
前記基準電圧回路は、
前記電源電圧から所定電圧を生成する基準電圧生成回路と、
前記所定電圧を増幅して前記基準電圧とする増幅回路と、を有し、
前記基準電圧生成回路は、
第一のトランジスタと、第二のトランジスタと、前記基準電圧を分圧する分圧回路と、を有し、
前記分圧回路により分圧された前記基準電圧により前記第一のトランジスタを駆動させ、前記第二のトランジスタにより前記所定電圧を生成する発振回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−205071(P2010−205071A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51183(P2009−51183)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】