説明

多次元計測システム

レーザを利用したトラッキングユニットは、ターゲットと通信してターゲットに関する位置情報を取得する。具体的には、ターゲットを計測対象点に配置する。次に、ターゲットのピッチ移動、ヨー移動およびロール移動、ならびにトラッキングユニットを基準としたターゲットの球座標を取得する。例えば、ターゲットは、遠隔制御ロボットなどの可動装置に組み込まれた能動素子であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2002年8月26日に出願の米国仮出願第60/405,712号ならびに2003年8月25日に出願の米国出願第 号に対する利益を主張し、これらを参照によりその全てをここに援用する。
【0002】
本発明は、一般に計測システムに関する。より詳細には、本発明のシステムおよび方法は、多次元レーザトラッキングシステムを対象としている。
【背景技術】
【0003】
高精度計測システムは、多様な用途を有する。例えば、ロボット工学では、ロボットの正確な位置と姿勢を正確に定める必要があることが多い。高い精度を得るために、ロボットの位置計測システムを使用することができる。この種のシステムは、通常、レーザビーム干渉計を使用して、ロボットのエンドエフェクタの位置および/または姿勢を特定している。このようなシステムはロボットのエンドエフェクタの位置および姿勢をリアルタイムでモニタする一方で、計測データを高精度かつ高速に提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、3軸および五5のレーザトラッキングシステムは本出願人による米国特許第4,714,339号に記載され、5軸/6軸レーザ計測システムは、本出願人の米国特許第6,049,377号に記載されており、これらはいずれも参照によりその全てをここに援用する。さらに、2003年5月6日に出願された本出願人の米国特許出願第60/377,596号「9次元レーザトラッキングのシステムおよび方法」も、本発明の説明を補足するために参照によりその全てをここに援用する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、トラッキングユニット、ターゲット、距離決定モジュール、および出力モジュールを備えた多次元計測システムを提供する。前記トラッキングユニットは、レーザ光を出射すると共に、球座標を使用してトラッキングを実行する。前記ターゲットは前記トラッキングユニットと通信している。前記ターゲットは、ピッチ移動、ヨー移動およびロール移動をすることができる。前記距離決定モジュールは、前記トラッキングユニットと前記ターゲットとの間の距離を決定する。前記出力モジュールは、前記球座標、前記ピッチ移動、前記ヨー移動および前記ロール移動、ならびに前記距離に基づいて前記トラッキングユニットを基準とした前記ターゲットに関する位置情報を出力する。
【0006】
好ましくは、前記システムは、前記ターゲットに関する前記位置情報を出力する出力装置をさらに備える。好ましくは、前記ロール移動は、前記レーザ光の水平偏光成分と前記レーザ光の垂直偏光成分との比較のうちの少なくとも1つに基づく。好ましくは、前記システムは、前記レーザ光の前記水平偏光成分を検出する第1光検出器と、前記レーザ光の前記垂直偏光成分を検出する第2光検出器とをさらに備える。好ましくは、前記システムは、前記第1光検出器の出力と前記第2光検出器の出力とを受け取るロール決定回路をさらに備える。別の実施形態では、前記システムは、電子水準測定装置を使用して前記ターゲットの前記ロール移動を計測する。
【0007】
好ましくは、前記ターゲットは前記トラッキングユニットに対して移動可能なアクティブターゲットである。好ましくは、前記ターゲットは、フィードバック制御、較正、工作機械制御、部品の組み立て、構造物の組み立て、および寸法の検査の少なくとも一つに使用されるものであり、物体に固定可能に取り付けられた遠隔ユニットに組み込まれている。好ましくは、前記遠隔ユニットはロボットである。好ましくは、前記ロボットは駆動システムと、前記ロボットを表面に付着可能とする1つ以上の牽引装置とを備える。好ましくは、前記牽引装置は吸着カップ型装置である。別の方法として、正圧の空気圧系により、前記遠隔ユニットを表面に移動可能な状態で付着させることもできる。好ましくは、前記システムは真空系をさらに備える。好ましくは、前記システムは、少なくとも前記ターゲットの前記位置情報に基づいて何らかの機能を実行できるようにする1つ以上の付属部品をさらに備える。
【0008】
本発明の別の態様は、多次元計測システムと関連付けられた遠隔ユニットを提供する。前記遠隔ユニットは、ターゲットと、前記ターゲットに結合されたプローブアセンブリとを備える。前記ターゲットは、前記多次元計測システムの前記トラッキングユニットと通信している。前記ターゲットは、ピッチ移動、ヨー移動およびロール移動をすることができる。前記プローブアセンブリは、プローブ先端部、プローブステム、およびプローブベースを有する。前記プローブ先端部は、前記トラッキングユニットと前記ターゲットとを結ぶ照準線にかからない位置に到達するようになっている。
【0009】
好ましくは、前記遠隔ユニットは、前記プローブアセンブリに結合された1つ以上のエンコーダをさらに備える。好ましくは、前記エンコーダのうちの少なくとも1つは、前記プローブベースを基準とした前記プローブ先端部の第1の角度位置を決定するように構成されている。好ましくは、前記エンコーダのうちの少なくとも1つは、前記プローブベースを基準とした前記プローブ先端部の第2の角度位置を決定するように構成されている。好ましくは、前記エンコーダのうちの少なくとも1つは、前記プローブベースを基準とした前記プローブ先端部の軸位置を決定するように構成されている。
【0010】
好ましくは、前記遠隔ユニットは、前記プローブ先端部が接触する位置に関する計測を1つ以上実行するように構成されたトリガをさらに備える。或いは、前記遠隔ユニットは前記プローブ先端部と関連付けられたタッチセンサをさらに備えてもよい。前記タッチセンサがその位置に接触すると、その位置に関する1つ以上の計測が行われる。
【0011】
別の態様において、本発明は、多次元計測システムと関連付けられたターゲットに関する。前記ターゲットは、レトロリフレクタおよびレーザ光センサを備える。レトロリフレクタは、頂点を有する。前記頂点は前記レトロリフレクタに入射するレーザビーム光の少なくとも一部を前記レトロリフレクタから出射させるように構成されている。前記レーザ光センサは、前記頂点を通って前記レトロリフレクタから出射する前記レーザビーム光の少なくとも一部を検出するように構成されている。好ましくは、前記ターゲットは光学式測定センサに結合されるように構成されている。
【0012】
前記レトロリフレクタは、好ましくは中空なレトロリフレクタである。前記レトロリフレクタは前記頂点に開口を有する。前記開口は前記レーザビーム光の少なくとも一部を前記レトロリフレクタから出射させるように構成されている。好ましくは、前記レトロリフレクタは前記頂点を形成している3枚の鏡を備える。
【0013】
また、前記レトロリフレクタは中実なレトロリフレクタであってもよい。前記頂点は、前記レーザビーム光の少なくとも一部を前記レトロリフレクタから出射させるように研磨された小平坦面を有する。
【0014】
前記レーザ光センサは、光検出器であってもよい。また、前記レーザ光センサは、電荷結合デバイスアレイセンサであってもよい。好ましくは、前記レーザ光センサは、前記ターゲットの前記ピッチ移動および前記ヨー移動の少なくとも一方を検出するように動作可能である。
【0015】
本発明の別の態様は、物体の位置を計測するための方法を提供する。前記方法の代表的なステップは、(1)レーザ光を発射するトラッキングユニットの球座標をモニタするステップと、(2)前記トラッキングユニットと通信しているターゲットのロール移動、ヨー移動およびピッチ移動をモニタするステップと、(3)前記トラッキングユニットと前記ターゲットとの間の距離を決定するステップと、(4)前記球座標、前記ピッチ移動、前記ヨー移動および前記ロール移動、ならびに前記距離に基づいて前記トラッキングユニットを基準とした前記ターゲットに関する位置情報を出力するステップと、を有する。上記方法が前述の順序どおりに必ずしも実行されなくてもよい点に留意されたい。
【0016】
好ましくは、前記ロール移動は、前記トラッキングユニットから発射された前記レーザ光の水平偏向成分と前記レーザ光の垂直偏光成分との少なくとも1つの比較に基づく。好ましくは、ロール決定回路は、前記レーザ光の水平偏光成分と前記レーザ光の垂直偏光成分との前記比較を実行する。
【0017】
別の態様においては、本発明は、物体の位置を計測するためのシステムであって、(1)レーザ光を発射するトラッキングユニットの球座標をモニタする手段と、(2)前記トラッキングユニットと通信しているターゲットのロール移動、ヨー移動およびピッチ移動をモニタする手段と、(3)前記トラッキングユニットと前記ターゲットとの間の距離を決定する手段と、(4)前記球座標、前記ピッチ移動、前記ヨー移動および前記ロール移動、ならびに前記距離に基づいて前記トラッキングユニットを基準とした前記ターゲットに関する位置情報を出力する手段と、を有するシステムである。
【0018】
つまり、本発明の代表的な実施形態によれば、本発明の態様は、多次元計測システムに関する。
【0019】
本発明の付加的な態様は、偏光レーザからの計測に基づいてターゲットのロール移動を決定することに関する。
【0020】
さらに、本発明の態様は、トラッキングユニットと併用されるアクティブターゲットの設計および使用に関する。
【0021】
さらに、本発明の態様は、トリガまたはタッチセンサに結合された遠隔ユニットにターゲットを使用することに関する。
【0022】
本発明の他の態様は、アクティブターゲット技術を組み込んだ遠隔制御ロボットに関する。
【0023】
本発明の他の態様は、多次元計測システムのターゲットに使用されているレトロリフレクタに関する。
【0024】
本発明の他の態様は、プローブ先端部のベクトルを較正するための方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明のシステムおよび方法は、トラッキングユニットとターゲットとを併用することで、多次元レーザトラッキングを実現している。例えば、本発明の六次元(6D)システムでは、六次元とは、ターゲットのピッチ移動、ヨー移動およびロール移動と、トラッキングユニットを基準としたターゲットの球座標(すなわち2つの角度α、θ)およびラジアル距離(radial distance)とを指す。ターゲットは好ましくは、人間、ロボット、またはその他の移動体が保持することのできるアクティブターゲットである。アクティブターゲットを用いることで、ターゲットの座標は、トラッキングユニットから出る入射光に対して比較的垂直な関係を維持する。さらに、絶対距離測定(absolute distance measurement:ADM)法を使用することにより、絶対測距(absolute ranging)が可能となる。
【0026】
一般に、計測値に基づいたピッチおよびヨーは、ターゲットに設けられたエンコーダで取得される。ロールの計測値は、例えば、後述する偏光または電子水準測定技術(polarization or an electronic level technique)に基づいたものである場合がある。絶対距離測定すなわちADMは、例えば、反復飛行時間(repetitive time of flight:RTOF)パルス、パルスレーザ、位相/輝度変調等を使用して実施することができる。補足的な説明は、本出願人による米国特許出願第60/377,596号に記載されており、参照によりその全てをここに援用する。
【0027】
具体的にいうと、RTOFを利用したシステムは、PIN光検出器などの光検出器、レーザ増幅器、レーザダイオード、および周波数カウンタを備える。ターゲットに向けて第1のレーザパルスが発射される。光検出器は、反射パルスを検出すると、レーザ増幅器を作動させると共に、レーザダイオードに第2のパルスを発射させ、周波数カウンタがこれらのパルスを検出する。しかし、この論理が逆転していても同様に正しく機能することは理解されよう。このとき、トラッキングユニットからターゲットへの距離(D)は、下記式によって計算することができる。
【数1】

ここで、f=fならD=0。
Cは光速、fは基準周波数、fはパルスの周波数
【0028】
本発明のシステムおよび方法は、多様な用途を有する。本発明のシステムおよび方法によって、物体を様々な多自由度(例えば六自由度)でモニタリングすることが可能となる。例えば、本発明のシステムおよび方法は、構造物の組み立て、リアルタイムの位置合わせおよびフィードバック制御、工作機械の較正、ロボットの位置制御、位置のトラッキング、フライス盤制御、較正、部品の組み立て、寸法検査等に用いることができる。
【0029】
さらに、本発明のシステムおよび方法は、六次元トラッキングシステムを使用しており、ロボット技術の利用に供することができる。例えば、この六次元レーザトラッキングシステムは、例えば各種サイズの物体を計測(scaling)することができ、これによって、例えば物体の高精度の計測を行ったり、その物体の特定の位置でさまざまな機能を実行したり、この両者を行うことができるロボットに組み込むことができる。
【0030】
図1は、本発明の代表的な多次元計測システムを示す模式図である。レーザトラッキングシステム10は、トラッキングユニット100とターゲット150を備える。トラッキングユニット100は、ターゲット150に当たる1以上のレーザ110を発生させて、ターゲット150に関する六次元の計測値を求める。六次元の計測値は出力装置200に出力される。より詳細には、図1に示す六次元とは、ターゲット150のピッチ移動、ヨー移動およびロール移動と、トラッキングユニット100を基準としたターゲット150の球座標(後にデカルト座標に変換される)と、ターゲット150とトラッキングユニット100との間のラジアル距離(radial distance)とを指す。
【0031】
上で参照した本出願人の以前の特許ならびに特許出願に記載したように、ピッチ、ヨー、および球座標の計測はさまざまな技術に基いたものであり得る。例えば、ピッチおよびヨーの計測は、1つ以上のロータリーエンコーダに基づいて行うことができる。例えば、距離の計測は、パルスレーザ、RTOFパルス、レーザビームの位相および/または輝度変調などに基づいて行うことができる。これら各種のシステムは、ターゲット150の絶対測距を提供することができる。ターゲット150は好ましくはアクティブターゲットである。具体的にいうと、絶対距離測定(ADM)法を使用して、概算の初期距離を求め、次に干渉計を利用した方法を用いて初期距離の計測の精度を上げることができる。ADM法を使用しない場合、計測を2回行う必要があり、逆三角測量を実施して距離を計算しなければならないため、ADM法が好ましい。
【0032】
トラッキングユニット100とターゲット150とは、例えばモータ駆動のユニットでもよく、それにより、トラッキングユニット100とターゲット150の一部が、トラッキングユニットから発射される入射レーザビーム110に対して垂直な姿勢を維持することができるようになる。トラッキングユニット100は、レーザ光源である。このため、後述するように、ターゲット150は、1台以上の光検出器からの位置信号を使用するロータリーエンコーダとモータとを併用して、入射レーザビーム110に対して垂直な状態を維持することができるようになる。例えば、ターゲット150は、ジンバル型マウント、ステッピングモータ、サーボモータなどの対応する位置モータ、および/またはエンコーダを使用して、トラッキングユニット100を「トラッキング」する。六次元トラッキングシステム10は、入射レーザ110に対するターゲット150の関係に基づいて、ターゲット150の姿勢を求めることができる。また、ターゲット150は、例えばコーナーキューブなどの手持形装置の受動素子であってもよく、この場合、使用者がターゲット150とトラッキングユニット100との間の視線を維持する役目を担う。
【0033】
好ましくは、絶対距離測定および干渉計の電子部品をトラッキングユニット100のジンバル部分に組み込むことによって、トラッキングユニット100を小型化することができる。これにはさまざまな利点があり、その例に、軽量化、小型化、外部接続部の簡略化、トラッキングの高速化などが挙げられる。
【0034】
出力装置200は、有線ないし無線のリンク5を介してトラッキングユニット100およびターゲット150の1つ以上に接続されており、ターゲット150に関する位置情報を出力する。例えば、出力装置200は、コンピュータ、位置制御装置用のフィードバック入力、ディスプレイ、誘導装置などであり得る。一般に、出力装置200は、ターゲット150に関する位置情報を出力することができればどのような装置でもよい。
【0035】
さらに、1以上のレーザ110を、ターゲット150に関する位置情報をトラッキングユニット100に伝達するために用いることができる。例えば、初期距離を求めたのち、絶対距離測定用のレーザをデータ通信に使用し、干渉計ベースのレーザをラジアル距離計測に使用することができる。また、ターゲット150とトラッキングユニット100とが常時通信できるようにするため、専用のレーザをシステム10に搭載してもよい。
【0036】
図2は、本発明のロール計測システムを示す概略図である。より詳細には、このシステムは、トラッキングユニット100に存在するレーザ光源(図示せず)、偏光レーザビーム210、偏光ビームスプリッタ220、第1光検出器230、第2光検出器240、およびロール決定回路250を備える。ロール決定回路250は、例えば差動増幅器であり得る。レーザ光源は、例えばレーザヘッドであり得る。図2に示すように、偏光ビームスプリッタ220、第1光検出器230、第2光検出器240およびロール決定回路250は、ターゲット150の構成要素である。
【0037】
動作時に、トラッキングユニット100は、偏光レーザビーム210を発射し、これが偏光ビームスプリッタ220に受光される。偏光ビームスプリッタ220は、入射光210を2本の光路に分割する。偏光レーザビーム210の第1の光路は第1光検出器230に向かい、第2の光路は第2光検出器240に向かう。偏光レーザビーム210が偏光ビームスプリッタ220に入射する際に、ビームスプリッタ220の特性によって、偏光レーザビーム210は水平偏向成分214と垂直偏光成分213とに分割される。
【0038】
ビーム210の水平偏向成分214は偏光ビームスプリッタ220を通過して光検出器240に到達し、光検出器240は、ビーム210の水平偏向成分214の強度に相当する出力信号を生成する。同様に、ビーム210の垂直偏向成分213はビームスプリッタ220によって光検出器230に向かい、光検出器230も同様に、ビーム210の垂直偏向成分213の強度に相当する出力信号を生成する。光検出器230、240の強度の計測値は、ロール決定回路250の例えばポジティブ入力およびネガディブ入力にそれぞれ接続され得、ロール決定回路250はトラッキングユニット100とターゲット150との間のロールを表す出力信号を供給する。ロール決定回路250は好ましくは高利得の差動増幅器である。
【0039】
前述のように、偏光レーザビーム210は、トラッキングユニット100とターゲット150との間の正確なロール姿勢に基づいて、2つの異なる偏光成分に分割される。45°のロール姿勢では、光検出器230が受け取る強度と光検出器240が受け取る強度とは等しい。しかし、その位置からターゲット150がいずれかの方向にロール移動すると、一方の検出器が受け取る偏光レーザビーム210の強度がもう一方よりも大きくなる。この出力の差が、例えばロール決定回路250によって計測されて、ロールの示度が提供される。ロール決定回路250が実行するこの減算演算は、ビーム強度および/または背景光の変動などによって発生する背景ノイズおよび外部ノイズも補償するため有利である。
【0040】
具体的にいうと、存在し得る他の信号ノイズに加えて、ビーム出力の変動が光検出器230および光検出器240によって計測され得る。この変動は、ロール決定回路250が行う演算で無効にすることができる。これによって、例えばシステムの感度と精度が向上する。
【0041】
例えば、ロールを表す信号が、ソフトウェアを具備したコンピュータ(図示せず)に出力され、このソフトウェアは記録、分析を行い、ロールの計測値に基づいて次の動作を開始することができる。
【0042】
これに代えて、他の方法を使用してロールを計測することもできる。この方法には、振子を利用した方法、導電性流体キャピラリチューブ法(conductive fluid capillary tube techniques)、液体水銀反射センサ等の電子水準測定装置(electronic levels)を用いた方法などがあるが、これらに限定されず、一般にターゲットのロールを計測できる方法であればどのようなものでも使用することができる。
【0043】
図3は、本発明の代表的なピッチ、ヨー、ロールおよび距離の計測システムを示す概略図である。より詳細には、六次元レーザトラッキングシステム30の構成部品には、トラッキングユニット100に存在するレーザ光源、偏光レーザビーム310、ビームスプリッタ320、コーナーキューブ330、収束器レンズ340、二次元光検出器350、第1光検出器230、第2光検出器240、偏光ビームスプリッタ220、およびロール決定回路250がある。
【0044】
動作時に、トラッキングユニット100のレーザ光源は偏光レーザビーム310を発射し、これがビームスプリッタ320によって3本の光路324、323、322に分割されて、それぞれ収束器レンズ340、コーナーキューブ330および偏光ビームスプリッタ220に向かう。
【0045】
ビームスプリッタ320によって反射され、偏光ビームスプリッタ220に向かったビーム310の光路322は、前述のように、ロールの計測値を求めるために使用される。ターゲット150が生成するロール、ピッチおよびヨーの計測値の組合せと、トラッキングユニット100と関連する球座標とによって、システム30は、ターゲット150の六次元トラッキングを実行することができる。
【0046】
ビームスプリッタ320をそのまま通過した偏光レーザビーム310の光路323は、コーナーキューブ330によって反射されてトラッキングユニット100に戻る。これを受けたトラッキングユニット100は、上記で参照した本出願人の関連特許に記載されているようにして、ターゲット150とトラッキングユニット100間の距離を求める。もっとも、本発明のシステムおよび方法では、絶対距離測定値を求めるためのどのような方法を使用しても、上述の場合と同様に正しく機能することが理解されよう。
【0047】
収束器レンズ340に向かう光路324は、二次元光検出器350に収束されて、二次元光検出器350によって、ターゲット150のモータを駆動するピッチ信号およびヨー信号が生成される。より詳細には、トラッキングユニット100のレーザ光源に対してターゲット150が移動すると、収束器レンズ340に向かうレーザ光路324が二次元光検出器350に対して移動する。この移動が検出されて、ピッチ移動および/またはヨー移動の計測値を表す対応する信号が取得され得る。次に、前述のように、このピッチおよび/またはヨーの計測値を使用して、ターゲット150の1つ以上のモータを制御して、ターゲット150をトラッキングユニット100に対して垂直な姿勢に維持し得る。
【0048】
図14は、レトロリフレクタを備える本発明のターゲットの他の代表的な実施形態を示す概略平面図である。図15は、図14の代表的な実施形態を示す概略斜視図である。
【0049】
本発明のシステム1400は、トラッキングユニット100とターゲット1450を備える。トラッキングユニット100はレーザビーム光源であり、ターゲット1450はこのレーザビームを検出することができる。ターゲット1450は、レトロリフレクタ1420とレーザ光センサ1430を備える。レーザ光センサ1430は、例えば、前述の光センサ240であっても、後述する電荷結合デバイス(charge coupled device:CCD)アレイセンサなどの光検出器であってもよい。増幅器/リピータ1440は、レーザ光センサ1430と関連付けられ得、レーザ光センサ1430が生成したアナログ信号またはデジタル信号を増幅する。
【0050】
レトロリフレクタ1420の開口1422を通過したトラッキングユニット100からのレーザビーム光は、レーザ光センサ1430によって検出され得る。レトロリフレクタ1420は、中空なレトロリフレクタまたは中実なレトロリフレクタであり得る。頂点1422により、レーザビーム1410の少なくとも一部が、光検出器またはCCDアレイセンサなどのレーザ光センサ1430に到達ないし集束される。
【0051】
レトロリフレクタ1420は、好ましくは、図16に示す中空なレトロリフレクタである。図16に示す代表的な中空なレトロリフレクタ1600は、互いに垂直に配置された3枚の鏡1610、1620、1630を有する。鏡1610、1620、1630の共通の端部は、中空なレトロリフレクタ1600の頂点1601を形成している。開口1602は、好ましくは中空なレトロリフレクタ1600の頂点1601に存在する小さい穴である。開口1602により、レーザビーム1410の少なくとも一部が、光検出器またはCCDアレイセンサであり得るレーザ光センサ1430に到達ないしすなわち集束される。
【0052】
中実なレトロリフレクタを用いる場合、レーザビーム1410の少なくとも一部が、レーザ光センサ1430に到達ないし集束するように、頂点近傍の小平坦面が研磨により作られる。図17に示すように、中実なレトロリフレクタ1700は、頂点1701に平坦面1702を有する。平坦面1702は、前述の開口1602と同様に機能する。
【0053】
レトロリフレクタ1420とレーザ光センサ1430は、ターゲット1450のピッチ(図15のy−y軸参照)姿勢または移動およびヨー(図15のx−x軸参照)姿勢または移動を計測するように構成されている。ベクトルV+Vと距離Dとから、ターゲット1450に対する入射レーザ光1410の角度位置が与えられる。ターゲット1450は、遠隔ユニット(例えば、図4、7、8、12にそれぞれ示すロボット400、遠隔ユニット700、800、1200)に関連付けられ得る。
【0054】
図14に、ターゲット1450に関するヨー移動の計測方法を模式的に示す。ターゲット1450のヨー移動がゼロの場合、レーザビーム光1410は開口1422を通過し、レーザ光センサ1430によって、その原点或いは基準点1432において検出される。しかし、レーザ光路1413、1415に示された場合のように、ターゲット1450のヨー移動が存在する場合、レーザ光センサ1430によって、レーザビーム光1410が、レーザビーム光1410の光路1413、光路1415について、基準点1432から外れた位置である点1433、1435で検出されるようになる。なお、点1433、1432、1435は図15に示す軸x−x上にあると考えられる点に留意されたい。好ましくは、レトロリフレクタ1420とレーザ光センサ1430は、広い範囲のヨー移動を検出するように構成されている。例えば、レトロリフレクタ1420とレーザ光センサ1430は、サイズなどの要因に応じて決まるが、最大少なくとも約30°のヨー移動を計測することができる。
【0055】
同様に、ターゲット1450のピッチ移動は、レトロリフレクタ1420とレーザ光センサ1430を使用して検出および計測することができる。ピッチ移動がゼロの場合、レーザビーム光1410は、開口1422を通過し、基準点1432でレーザ光センサ1430によって検出される。ピッチ移動が存在する場合、基準点1432の紙面に垂直な方向の上もしくは下の位置にある、レーザ光センサ1430の別の部分がレーザビーム光を検出すると考えられる。これらの点は図15に示す軸y―y上にあると考えられる点に留意されたい。
【0056】
前述のように、レーザ光センサ1430は、光検出器であり得る。本発明の他の方法では、レーザ光センサ1430としてCCDアレイセンサを使用してもよい。当業界で公知のように、CCDアレイセンサは、アレイ状に配置された複数のピクセルを有する場合がある。好ましくは、本発明によれば、CCDアレイセンサは、約1,000×1,000ピクセルを有する。また、ピクセルの数はこれよりも多くても少なくてもよい。CCDアレイセンサからのデジタル出力は、対応するリピータ1440によって処理される。CCDアレイセンサは、ターゲット1450のヨー移動およびピッチ移動の一方または両方を検出するために使用される。CCDアレイセンサを使用して光を検出することは、例えばデジタルカメラなど当業界で公知となっている。このため、これ以上の説明は必要ないであろう。
【0057】
前述したように、レトロリフレクタ1420とレーザ光センサ1430をターゲット1450に組み込むことにより幾つかの利点を得られる。例えば、レトロリフレクタ1420と関連付けられている遠隔ユニット(例えば遠隔ユニット700、800、1200のうちのいずれか)は、上下逆の姿勢を取ったほうが実用に供する場合があるが、これは上記の構成でなければ実現できない。また、レトロリフレクタ1420を使用することによって、本発明のターゲットおよび遠隔ユニットの少なくとも一方を小型化および/または軽量化することができる。
【0058】
図4に、本発明の代表的な遠隔ユニットを示す。ロボット400は、複数の吸着カップ型装置410、駆動機構420、コントローラ430、付属装置440、吸着装置450、およびターゲットを備える。ターゲットは、例えば、ターゲット150、ターゲット1450のうちのいずれかであってもよい。ロボット400は、動力源、バッテリ、太陽パネルなど上記以外にもさまざまな部品を備えており、見やすくするために図面上では省略してあるが、当業者には容易に理解できるであろう。動作時においては、ロボット400とターゲット150とを併用することにより、例えばロボット400の移動および位置を正確にトラッキングできるようになる。ロボット用のアクティブターゲットの詳細については後述するが、一般に、ターゲットはどのような物体にも固定可能に取り付けることができ、これによってその物体を最大六自由度までモニタリングできるようになる。ターゲットを可動式の装置に取り付けて、その装置の位置をモニタリングしてもよい。
【0059】
吸着カップ型装置410は、例えばホース(図示せず)を介して吸着装置450に接続されており、ロボット400を表面に固定した状態にする。例えば、コントローラ430は、吸着装置450および吸着カップ型装置と共に駆動システム420と連携して、ロボット400が表面を横断できるようにし得る。例えば、吸着カップ型装置410と駆動機構420とを連携させることができ、それによって、吸着カップ型装置410に充分な吸着力を与えてロボット400を表面に固定した状態にする一方で、駆動機構420によってロボット400がその表面を移動できるようにすることができる。例えば、駆動機構420は、4つの車輪を有してもよく、また、これらは駆動部品とサスペンション部品(図示せず)に連結されていてもよい。車輪によって、トラッキングユニット100に対する回転姿勢を維持しながら、ロボット400がその表面を横断できるようになる。しかし、一般に、トラッキングユニット100に対して一定の回転姿勢を維持するようにロボット400を動作させるほうが単純であるが、偏光レーザを使用すると共にシステムを変更して、回転移動に対応できるようにしてもよい。具体的にいうと、例えば、ロボット400のどのような回転移動にも対応できるように、偏光レーザに基づいて、ロボット400の回転移動を、姿勢の計測値からアルゴリズムによって抜き出してもよい(backed out of)。
【0060】
また、上記ロボット400は吸着装置450と吸着カップ型装置410とを備えているが、ロボット400を移動可能な状態で上記表面に固定することができる任意の装置または装置の組合せを用いても、本発明のシステムおよび方法が上記場合と同様に正しく機能する点を理解されたい。例えば、正圧の空気圧系(positive air pressure system)を使用してロボット400を表面に移動可能に付着してもよい。例えば、正圧の空気圧系は、ロボット400が表面の上ではなく下を横断している場合に、下向きに空気に吹きつけるエアーブローユニットを備えていてもよい。下向きの空気の移動によって、ロボット400が表面の下に、移動可能として固定される。さらに、表面の種類に応じて、磁力、重力、抵抗力等を利用した取り付けシステムを使用することができる。
【0061】
コントローラ430は、例えば、遠隔コントローラ(図示せず)と有線通信または無線通信を行っており、駆動機構420と連携してロボット400を移動させる。例えば、駆動機構420には、駆動輪に連結された複数の電気モータなどが含まれ得る。
【0062】
付属装置440は、例えば、マーキング装置、ドリル、塗装用アタッチメント、溶接または切削加工装置などの工具のほか、表面への正確な位置決めが必要とされる公知の装置、あるいは今後開発される装置であり得る。付属装置は、例えば、コントローラ430と連携して遠隔で作動されてもよい。さらに、付属装置440は真空系を備えていてもよい。
【0063】
付属装置440のターゲット150からの距離は判っているので、付属装置440の正確は常に判っている状態となる。このため、使用者は付属装置440を正確な位置に配置して、付属装置440にその位置で動作を実行させることができる。例えば、ストリップカメラ、モアレ縞特許センサ(Moire fringe patent sensor)またはタッチプローブのような局所効果センサ(local effect sensor)を、ターゲット150の端部に取り付けることができる。ターゲット150を併用したトラッキングユニット110は、局所センサが、例えば車体等の部品、建物、環境的に危険な地域の一部などの輪郭を計測中に、計測対象の部位との空間的な関係で、局所センサの姿勢を提示することができる。
【0064】
図5は、ロボット400の代表的な概略断面図である。この図では、ロボット400は、可動式の距離計測装置540を有するように示される。可動式の距離計測装置540は、ターゲット150と関連付けられている位置検知装置に加えて、ロボット400の基部から表面510まで延在している。距離計測装置540は、ターゲット150と表面510との間の正確な距離を計測して、ターゲット150に対する表面510の正確な位置が常にわかるようにする。
【0065】
図5に示すように、吸着カップ型装置410は、スペーサ530を介して、表面510の上部に、表面510から一定距離離して配置されている。スペーサ530は、ベアリングでもよいし、空気520が流れるような状態でロボット400と表面510との間に吸着を生じさせる一方で、吸着カップ型装置410を表面510から所定の距離離した状態で位置決めできるようにするその他の同等の装置であってもよい。
【0066】
ロボット400は可動であるため、ロボット400が必ずしもトラッキングユニット100と通信できるわけではないと考えられる。ロボット400がトラッキングユニット100の照準線上にない場合には、六次元レーザトラッキングシステムはターゲット捕捉モードに入ることができる。
【0067】
ターゲット捕捉モードでは、使用者は、例えば、ジョイスティックを使用して、通常はロボット400の近くで、トラッキングユニット100に照準を合わせる。次に、トラッキングユニット100はターゲット捕捉処理を開始する。この処理では、トラッキングユニット100がターゲット150の位置を特定するために外向きに螺旋状に移動する螺旋型パターン作る。ターゲット150を捕捉すると、トラッキングユニット100とターゲット150との間の通信が確立されて、六次元計測が再び行えるようになる。
【0068】
例えば、ターゲット150は、照準の有無を問わずトラッキングユニット100がターゲット150の相対位置をトラッキングできるようにする無線通信リンクなどの公知のシステム、あるいは今後開発されるシステムによってトラッキングユニット100との通信を維持してもよい。このため、前述のように、照準が復旧された場合には、六次元計測が行えるようになる。
【0069】
図6は、本発明による代表的な計測方法を示すフローチャートである。より詳細には、トラッキングユニット(例えばトラッキングユニット100)とターゲット(例えばターゲット150)の間の通信が確立から、この方法のステップS110が開始される。例えば、干渉計を利用したシステムでは、システムを初期化すると共にトラッキングユニットとの通信を確立するため、ターゲットを既知の位置に配置することができる。絶対距離測定システムでは、ターゲットがレーザと連通するように配置されて、概算のラジアル距離(R)を求める。
【0070】
次に、ステップS120で、ターゲットを計測対象の第1点に配置する。
【0071】
次に、ステップS130で、ピッチ、ヨー、ロールおよび球座標を取得する。
【0072】
ステップS140で、球座標をデカルト(x、y、z)座標に変換する。このとき、xはターゲットの水平位置、yは前後位置(in/out position)、zは上下位置を表す。
【0073】
次に、ステップS150で位置の計測値を出力する。
【0074】
次に、制御はステップS160に進み、別の点を計測する必要があるかどうかを判定する。必要な場合、処理はステップS170に進み、そうでない場合、処理は終了する。
【0075】
ステップS170で、ターゲットを新しい計測対象点に移動する。ターゲットがロボットなどの遠隔ユニットに結合されている実施形態では、ロボットは、新しい点に移動するように命令される。次に処理はステップS130に戻る。
【0076】
例えば、計測対象点がトラッキングユニットの照準線上にない場合や、例えば、計測対象点がターゲットが到達できない場所にある場合が想定される。図7〜13に、ターゲットが到達できない点で計測を行うために、プローブアセンブリと遠隔ユニット内のターゲットとが関連付けられている場合の代表的な実施形態を示す。
【0077】
図7は、典型的なトラッキングユニットと典型的な遠隔ユニットを備えた本発明の代表的な多次元計測システムを示す概略図である。多次元計測システム70は、トラッキングユニット100と遠隔ユニット700を備える。遠隔ユニット700は、ターゲット150とプローブアセンブリ600を備える。プローブアセンブリ600は、プローブステム610、プローブ先端部620およびプローブベース730を備える。遠隔ユニット700は、プローブ先端部620が接触可能であるものの、トラッキングユニット100の照準線上には位置しない点または位置に関する位置情報を取得するように構成されている。
【0078】
この実施形態では、ターゲット150は、前述のように原点760を中心としてピッチ移動、ヨー移動およびロール移動を行うことが可能であり、また、トラッキングユニット100の照準線上に存在するため、その位置を計測することができる。プローブ620は、トラッキングユニットの照準線上にない点または位置に接触し或いは接するように構成されている。プローブ先端部620は、プローブステム610によってプローブベース730に連結されている。一実施形態では、プローブベース730は、ターゲット150に対して可動であっても固定されていてもよい。このような実施形態では、プローブベース730自体は、ピッチ移動、ヨー移動またはロール移動を行うことができない。しかし、プローブ先端部620が円605に沿って、プローブベース730を中心として旋回運動することができ、これによって、紙面に対して垂直な円盤形状の点群(point cloud:ポイントクラウド)が形成される。これにより、前述のターゲット150に関する六次元に加えて、プローブ先端部620の移動により、第7の次元が加わったため、システム70は七次元システムとなる。
【0079】
トラッキングユニット100の照準線から外れてはいるものの、プローブ先端部620が接触可能な点、またはプローブ先端部620が接触可能な位置は、次のように計測することができる。
【0080】
第一に、プローブステム610を、プローブベース730を基準として所定位置に固定する。プローブステム610は、さまざまな方法で、所定位置に固定することができる。例えば、蝶ナット、及びそれと対応する係止歯(locking teeth)640とを用いることにより、プローブステム610を所定位置に固定することができる。
【0081】
第二に、ターゲット150をシート750に接近させて、プローブ620をシート750の中心752と接触させる。シート750の中心752の位置は既知である。例えば、トラッキングユニット100を基準とした中心752の位置(x、y、z)は、図19、20に示すシステムおよび方法を使用して求めることができる。これについては後述する。原点760をトラッキングユニット100によって直接計測することができるため、シート750の中心752の位置が既知となると共に、ポイント先端部620の原点760に対するベクトルが決定される。
【0082】
第三に、ターゲット150を移動して、プローブ先端部620が接触可能な点または位置の計測をする。コンピューターソフトウェアまたはその他の公知の方法を用いて、原点760の位置情報と、原点760に対する点620のベクトルとに基づいて、プローブ先端部620が接触する点または位置に関する位置情報が計算される。
【0083】
点760に対する点620のベクトルを決定するために、シート750を使用する代わりに、プローブベース730に結合された1つ以上のエンコーダを使用することもできる。
【0084】
図8は、本発明の代表的な遠隔ユニットの別例を示す概略図である。図8に示す遠隔ユニット800は2本の軸に沿って移動するように構成されたプローブアセンブリ600を備え、これによって遠隔ユニット800は、トラッキングユニット100と併用した場合は八次元計測システムとなる。この代表的な実施形態によれば、遠隔ユニット800は、ターゲット150、プローブアセンブリ600に加えて、エンコーダ720、740をさらに備える。任意選択で、遠隔ユニット800は、(トリガ710を備えた)ハンドルアセンブリ700をさらに備える。
【0085】
この代表的な実施形態では、エンコーダ720によってプローブベース730のヨー移動が計測され、エンコーダ740によってプローブベース730のピッチ移動が計測される。このため、この実施形態では、プローブ先端部620は、プローブベース730を中心として移動可能であり、プローブベース730を中心とした球形状のポイントクラウドを形成している。原点760に対するプローブ先端部620のベクトルは、エンコーダ720、740が取得した計測値を使用して求めることができる。
【0086】
プローブ先端部620が接触できる点または位置を計測するため、以下のステップが実行され得る。
【0087】
第一に、プローブ先端部が上記点または位置と接触できるようにするために、ターゲット150を上記点または位置に接近させるとともに、プローブベース730を中心としてプローブ先端部620を移動させる。第二に、原点760がトラッキングユニット100の照準線上に存在するため、ターゲット150に関する六次元を上記の方法で取得することができる。第三に、エンコーダ720、740によって取得した情報を使用して、原点760に対するプローブ先端部620のベクトルを求め、点または位置に関する位置情報を取得することができる。好ましくは、絞りトリガ710を使用して、第2のステップと第3のステップを1つのステップで実行し得る。
【0088】
図9は、本発明の代表的なプローブアセンブリを示す概略図である。この場合の代表的なポイントクラウド607は、プローブベース730に対して三次元に投影すると、プローブベース730などの原点からプローブ先端部620への距離がdとなる場所を占める。
【0089】
図10は、本発明の代表的なプローブアセンブリの別例を示す概略図である。この実施形態では、プローブステム610は、直線的な「I」形状の構成ではなく「L」形状の構成を有する。しかし、一般にプローブステム610の形状はどのような形状であってもよく、例えば、使用者が、ポイントクラウドを作成するための初期化中にプローブ先端部620をシート750に着座させることができるように、補助シート750のみがあればよい。図10に示すように、「L」形状のプローブステム610によって、プローブ先端部620が、物体1050の底面1052など、物体の底面に接触可能となる。
【0090】
図11は、本発明の代表的なプローブアセンブリの別例を示す概略図である。プローブアセンブリ1100とトラッキングユニット100は、本発明による代表的なトラッキングシステムの九次元のシステムを構成している。より詳細にいうと、図7、8に示されたプローブステム610の動作に加えて、図11のプローブステム610は、その長手方向に、例えばテレスコピック構造によって伸縮可能とされており、それにより距離dが可変とされている。プローブステム610の長さは、ガラススケールエンコーダ、リニアスケールエンコーダ、マグネスケールエンコーダ等のエンコーダ1000を使用して求めることができる。
【0091】
動作時に、使用者はプローブステム610の長さまたは姿勢を調整して、初期化を実行し、計測値中にプローブステム610の長さを変えずに計測してもよい。あるいは、上記のステップに加えて、初期化中にプローブステム610の長さを変えて、プローブベース730の回転移動に対する原点からのプローブ先端部620の距離d、プローブステム610の長さ、およびプローブベース730を中心としたプローブ先端部620の回転移動を表す半固定的なポイントクラウド(図示せず)を作成してもよい。次に、計測処理中に実際の位置計測に使用するため、エンコーダ720、740、1000のさまざまな計測値が記憶され得る。
【0092】
次に、使用時に、距離dなどの(エンコーダ1000によって計測された)1つ以上のプローブ長、(ロータリーエンコーダ720によって計測された)ヨー方向のプローブの回転、および(エンコーダ740によって計測された)ピッチ方向のプローブの回転が、使用者によって適切な値に変更され、プローブ先端部620が計測対象の物体に配置できるようになる。本明細書ではプローブ先端部620の形状が球形であると記載したが、先端部の形状はどのような形状でもよく、例えば、ポイント、カップのほか、プローブ先端部620が物体上を移動できるようにベアリングなどであってもよいことが理解されよう。例えば、前述のように、トリガ710(図8を参照)を使用して即座に計測を行っても、プローブ先端部620に物体を横断させながら連続的に計測を行ってもよい。
【0093】
図12、13は、本発明の代表的な遠隔ユニットの別の図面を示す概略図である。遠隔ユニット1200は、前述したターゲット150を備える。ターゲット150は、ビームスプリッタ1240と複数の光検出器1250を備える。遠隔ユニット1200は、調節可能なプローブアセンブリ1210、電子水準測定装置1220、およびハンドル1230をさらに備える。プローブアセンブリ1210は、プローブ先端部1260を有する。
【0094】
遠隔ユニット1200の動作においては、使用者が、遠隔ユニット1200とトラッキングユニット(例えば、図1に示すトラッキングユニット100)との間の姿勢を維持する。遠隔ユニット1200を使用した計測は、上記の遠隔ユニット700、800に関して説明した方法と同様の方法で行うことができる。具体的にいうと、初期化を実行して、遠隔ユニット1200に対するプローブ先端部1260の位置を求める。初期化は、プローブアセンブリ1210を所定位置に固定したのちに実行してもよいし、前述のようにプローブアセンブリ1210を複数の位置を通過するように移動させて、ポイントクラウドを作成してもよい。或いは、プローブ先端部1260を、球などの既知の物体のさまざまな位置に配置して、初期化を実行してもよい。
【0095】
プローブ先端部1260が接触する位置に関する計測を行う際には、ハンドル1230に関連付けられているトリガを握る。また、プローブ先端部1260を接触感知式に構成してもよい。例えば、本発明の代表的な実施態様では、プローブ先端部1260は接触センサに関連付けられている。代表的な実装では、プローブ先端部1260が位置と接触するたびに、遠隔ユニット1200が計測を行う。この例では、接点は物理的接触である。
【0096】
別の例では、プローブ先端部1260が、測定される上記位置に近づくと、接触したものとして取扱われる。このような非物理的な接触は、例えば、プローブ先端部1260と関連付けられている磁気式または赤外線式の装置を使用して行うことができる。
【0097】
遠隔ユニット1200は、例えば、前述の差動増幅器法を使用するなど、電子水準測定技術(electronic level technique)に基づいてロールを計測し得る。電子水準測定技術は、電子水準測定装置1220を使用して実施することができる。
【0098】
図18は、光学式測定センサを備えた本発明の遠隔ユニットの別の代表的な実施形態を示す概略図である。遠隔ユニット1800は、光学式測定センサ1830を備える。光学式測定センサ1830は、領域または表面の形状の計測に使用することができる。好ましくは、光学式測定センサ1830は、図18に示すように、遠隔ユニット1800の底部の近くに配置される。しかし、光学式測定センサ1830は、遠隔ユニット1800の上部または側面部の近くなど、別の位置で遠隔ユニット1800と関連付けられてもよい。
【0099】
図19は、プローブ先端部の、このプローブ先端部と関連付けられているターゲットの原点を基準としたベクトルを決定するための代表的なシステムを示す概略図である。システム1900は、前述のように原点760およびプローブ先端部620を有する遠隔ユニット700を備える。プローブ先端部620は、例えば、ルビーの球体であり得る。システム1900は、磁性パック1910、球形状のマウント式レトロリフレクタ(SMR)1920、およびダミーユニット1930、1940の一方または両方をさらに備える。
【0100】
磁性パック1910は、複数の支持体1912、1914、1916を有する。磁性パック1910は、磁石1918をさらに備える。支持体1912、1914、1916は、SMR1920、半球形状のダミーユニット1930および球形のダミーユニット1940のうちの1つを支持するように構成されている。好ましくは、SMR1920およびダミーユニット1930、1940のそれぞれは、磁性パック1910の磁石1918によって支持体1912、1914、1916上に固定されるように磁性ステンレス鋼で形成されている。好ましくは、磁石1918は、支持体1912、1914、1916の間の位置に配置される。
【0101】
SMR1920は、SMR1920の本体1926内に収容されているレトロリフレクタ1924を備えている。レトロリフレクタ1924は、例えば中空なレトロリフレクタ1600と類似する中空なレトロリフレクタであっても、例えば中実なレトロリフレクタ1700と類似する中実なレトロリフレクタであってもよい。本体1926は、好ましくは磁性ステンレス鋼で形成される。SMR1920の直径は、所定の範囲をとり得る。SMR1920の代表的な直径として、0.5インチ、0.75インチ、1.0インチなどが挙げられる。レトロリフレクタ1924は、頂点1922を有する。好ましくは、SMR1920は、頂点1922がSMR1920の中央にくるように構成されている。
【0102】
半球形状のダミーユニット1930は、本体1936と中心1932を備える。半球形状のダミーユニット1930の直径はSMR1920の直径と等しく、これによって、中心1932の位置と頂点1922の位置とが一致するようになる。本体1936は、好ましくは磁性ステンレス鋼で形成される。
【0103】
球形のダミーユニット1940は、本体1946と中心1942を備える。球形状のダミーユニット1940の直径はSMR1920の直径と等しく、これによって、中心1942の位置と頂点1922の位置とが一致するようになる。本体1946は、好ましくは磁性ステンレス鋼で形成される。
【0104】
図20は、図19に示したプローブ先端部のベクトルを決定する代表的な方法を示すフローチャートである。
【0105】
ステップS210で、磁性パック1910を、所定位置(例えば図7に示すシート750の位置)に固定する。好ましくは、SMR1920またはダミーユニット1930、1940を配置したり取り外しても磁性パック1910が動くことのないように、磁性パック1910を所定位置に固定する。
【0106】
ステップS220で、SMR1920を磁性パック1910の上に配置する。好ましくは、SMR1920を、磁石1918によって磁性パック1910の支持体1912、1914、1916上に固定する。
【0107】
ステップS230で、例えば図7に示すトラッキングユニット100などのトラッキングユニットによって頂点1922の位置情報を取得する。このように、SMR1920は、従来の三次元計測システムにおけるターゲットとして機能する。
【0108】
ステップS240で、SMR1920に代えて、ダミーユニット1930、1940の一方を磁性パック1910に配置する。例えば、SMR1920を取り外して、ダミーユニット1930、1940のうちの一方を磁性パック1910に配置して、磁石1918によって支持体1912、1914、1916上に固定する。
【0109】
ステップS250で、プローブ先端部620をダミーユニットに接近させて接触させ、ステップS260でダミーユニットの中心の位置情報を決定する。
【0110】
半球形状のダミーユニット1930を使用した場合、プローブ先端部620は半球形状のダミーユニット1930の中心1932に接触する。半球形状のダミーユニット1930の直径はSMR1920の直径と等しいため、中心位置1932が頂点1922の位置と一致し、ステップS230で頂点1922の位置が取得される。
【0111】
ステップS260で、遠隔ユニット700の原点760に対するプローブ先端部620のベクトルを決定する。前述したように、原点760がトラッキングユニット100の視線内にあり、プローブ先端部620が、ステップS230で頂点1922によって決定した既知の位置(中心1932)に接触している。
【0112】
ステップS240で球形のダミーユニット1940を使用する場合、プローブ先端部620が中心1940に直接接触することはできない。しかし、ステップS250で、プローブ先端部620が本体1946の4箇所以上の点に接触して、中心位置1940を決定することができる。球形状のダミーユニット1940の直径はSMR1920の直径と等しいため、中心位置1942が、ステップS230で取得した頂点1922の位置と一致する。次に、ステップS260で原点760に対するプローブ先端部620のベクトルを決定することができる。
【0113】
ステップS270で、プローブ先端部620を使用して、さまざまな点および位置の計測を行ってもよい。
【0114】
図面に記載すると共に以上に記載したように、本発明の多次元システムは、1台のプログラムされた汎用コンピュータに実装されても、独立のプログラムされた汎用コンピュータと関連付けられたレーザ発生および検出部品、モータ部品、ならびにロータリーエンコーダ部品に実装されてもよい。しかし、多次元レーザトラッキングシステムの各種構成要素は、専用コンピュータ、プログラムされたマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラおよび周辺集積回路素子、ASICやその他の集積回路、デジタル信号処理装置、またはディスクリート素子回路などのその他の固定配線電子回路または論理回路、PLD、PLA、FPGA、PALなどのプログラマブルロジックデバイスに実装されてもよい。一般に、本明細書に記載し図面に示した計測法を実装することができるような装置であれば、どのような装置でも本発明による多次元レーザトラッキングシステムを実装するために使用することができる。
【0115】
また、ここに開示した方法は、様々なコンピュータまたはワークステーションのハードウェアプラットフォームに移植可能なソースコードを提供するオブジェクトソフトウェア開発環境またはオブジェクト指向ソフトウェア開発環境を使用して、容易にソフトウェアに実装することができる。他の方法としては、開示した多次元レーザトラッキングシステムを、標準的な論理回路またはVLSI設計を使用して、完全にあるいは部分的にハードウェアに実装してもよい。本発明によるシステムの実装にソフトウェアとハードウェアのいずれを使用するかは、システムの速度および/または効率に対する要件、特定の機能、および使用しようとしている特定のソフトウェアおよび/またはハードウェアシステム、マイクロプロセッサシステムまたはマイクロコンピュータシステムによって決まる。しかし、本明細書に記載した多次元レーザトラッキングのシステムおよび方法は、システム、構造、装置および/またはソフトウェアのうち、公知のもの、あるいは当業者によって、本明細書に記載した機能上の説明と、コンピュータ分野および光学分野の一般の基本的知識から、適用可能な分野に適用することにより後から開発されるもののいずれを使用して、ハードウェアおよび/またはソフトウェアに実装することができる。
【0116】
さらに、開示した方法は、プログラムされた汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサなどで実行されるソフトウェアとして容易に実装されてもよい。このような例では、本発明の方法および装置は、Java(登録商標)またはCGIスクリプトなどのパーソナルコンピュータに組み込まれたプログラムとして、サーバまたはグラフィック用ワークステーションに存在する資源として、あるいは専用の多次元レーザトラッキングシステムに組み込まれたルーチンとして実装されてもよい。また、多次元レーザトラッキングシステムは、同システムおよび方法をソフトウェアおよび/またはハードウェアシステムに物理的に組み込む、例えば多次元レーザトラッキングシステムのハードウェアおよびソフトウェアシステムに組み込むことで実装してもよい。
【0117】
このため、本発明によれば、多次元レーザトラッキングのためのシステムおよび方法が提供されることは自明である。
【0118】
本発明を多くの代表的な実施形態を採り上げて記載したが、多くの別例、変更例、および変形例が適用可能な分野の当業者にとって自明である、あるいは自明であると判断できることは明らかである。したがって、本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、本発明は、本発明のこのような別例、変更例、均等物、および変形例を含むことが意図される。
【0119】
説明ならびに記載を目的として、本発明の好ましい実施形態を上記に開示した。全てを網羅したり、本発明を開示したそのままの形態に限定することを意図するものではない。上記の開示に鑑み、本明細書に記載した実施形態の多くの変形例および変更例が当業者にとって自明であろう。本発明の範囲は、本明細書に添付の特許請求の範囲ならびにその均等物によってのみ定義される。
【0120】
さらに、本発明の代表的な実施形態の記載において、本明細書で、本発明の方法および/またはプロセスを特定のステップの順序として記載した。しかし、この方法またはプロセスが、記載したステップの特定の順序に依存しない限り、この方法またはプロセスは、ここに記載したステップの特定の順序に限定されるべきではない。当業者が理解するように、ステップの順序を変更してもよい。したがって、本明細書に記載されたステップの特定の順序は、請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、本発明の方法および/またはプロセスを対象とした特許項は、請求項に記載したステップの順序に限定されるべきではなく、本発明の趣旨ならびに範囲から逸脱することなくその順序を変更してもよいことを当業者は容易に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の代表的な多次元計測システムを示す概略図。
【図2】本発明のロール計測システムを示す概略図。
【図3】本発明の代表的なピッチ、ヨー、ロールおよび距離の計測システムを示す概略図。
【図4】本発明の代表的なターゲットを搭載した代表的な遠隔ユニットを示す概略図。
【図5】本発明の代表的な遠隔制御ロボットの概略断面図。
【図6】本発明による代表的な計測方法を示すフローチャート。
【図7】典型的なトラッキングユニットと典型的な遠隔ユニットを備えた本発明の代表的な多次元計測システムを示す概略図。
【図8】本発明の代表的な遠隔ユニットの別例を示す概略図。
【図9】本発明の代表的なプローブアセンブリを示す概略図。
【図10】本発明の代表的なプローブアセンブリの他の例を示す概略図。
【図11】本発明の代表的なプローブアセンブリの別例を示す概略図。
【図12】本発明の代表的な遠隔ユニットの別例を示す概略図。
【図13】図12に示した本発明の代表的な遠隔ユニットの正面概略図。
【図14】レトロリフレクタを備える本発明のターゲットの別の代表的な実施形態を示す概略平面図。
【図15】図14の代表的な実施形態を示す概略斜視図。
【図16】本発明の中空なレトロリフレクタを示す図。
【図17】本発明の中実なレトロリフレクタを示す図。
【図18】光学式測定センサを備える本発明の遠隔ユニットの別の代表的な実施形態を示す概略図。
【図19】プローブ先端部と関連付けられているターゲットの原点を基準としたプローブ先端部のベクトルを決定するための代表的なシステムを示す概略図。
【図20】図19に示したプローブ先端部のベクトルを決定する代表的な方法を示すフローチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多次元計測システムであって、
レーザ光を発射すると共に球座標を使用してトラッキングを実行するトラッキングユニットと、
前記トラッキングユニットと通信しており、ピッチ移動、ヨー移動およびロール移動をすることができるターゲットと、
前記トラッキングユニットと前記ターゲットとの間の距離を決定する距離決定モジュールと、
前記球座標、前記ピッチ移動、前記ヨー移動および前記ロール移動、ならびに前記距離に基づいて、前記トラッキングユニットを基準とした前記ターゲットに関する位置情報を出力する出力モジュールと、を備えたシステム。
【請求項2】
前記ターゲットに関する前記位置情報を出力する出力装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ロール移動は、前記レーザ光の水平偏向成分と前記レーザ光の垂直偏光成分との少なくとも1つの比較に基づいて行われる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記レーザ光の前記水平偏向成分を検出する第1光検出器と、前記レーザ光の前記垂直偏光成分を検出する第2光検出器とをさらに備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1光検出器からの出力と前記第2光検出器からの出力とを受取るロール決定回路をさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ターゲットのロール移動を計測するように構成された電子水準測定装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ターゲットは前記トラッキングユニットに対して移動可能なアクティブなターゲットである、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ターゲットは、フィードバック制御、較正、工作機械制御、部品の組み立て、構造物の組み立て、および寸法検査の少なくとも1つに使用されるものであり、物体に固定可能に取り付けられた遠隔ユニットに組み込まれている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記遠隔ユニットはロボットである請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ロボットは駆動システムと、前記ロボットを表面に付着可能とする1つ以上の牽引装置と、を備える請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記牽引装置は吸着カップ型装置である請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ロボットは正圧の空気圧系を備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
真空系をさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記ターゲットについての前記位置情報の少なくとも1つに基づいて機能を実行できるようにする1つ以上の付属部品をさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
多次元計測システムと組合わせて用いられる遠隔ユニットであって、
前記多次元計測システムの前記トラッキングユニットと通信しており、ピッチ移動、ヨー移動およびロール移動をすることができるようにされているターゲットと、
前記ターゲットに結合された、プローブ先端部、プローブステム、およびプローブベースを有しているプローブアセンブリであり、前記プローブ先端部は、前記トラッキングユニットと前記ターゲットとの間の照準線上でない位置に到達するように構成されているものと、を備えている遠隔ユニット。
【請求項16】
前記プローブアセンブリに結合された1つ以上のエンコーダをさらに備える、請求項15に記載の遠隔ユニット。
【請求項17】
前記エンコーダのうちの少なくとも1つは、前記プローブベースを基準とした前記プローブ先端部の第1の角度位置を決定するように構成されている、請求項16に記載の遠隔ユニット。
【請求項18】
前記エンコーダのうちの少なくとも1つは、前記プローブベースを基準とした前記プローブ先端部の第2の角度位置を決定するように構成されている、請求項17に記載の遠隔ユニット。
【請求項19】
前記エンコーダのうちの少なくとも1つは、前記プローブベースを基準とした前記プローブ先端部の軸位置を決定するように構成されている、請求項16に記載の遠隔ユニット。
【請求項20】
前記プローブ先端部が接触する位置についての計測を1つ以上実行させるように構成されたトリガをさらに備える、請求項16に記載の遠隔ユニット。
【請求項21】
前記プローブ先端部と関連付けられたタッチセンサをさらに備え、前記タッチセンサが位置に接触すると、該位置に関する1つ以上の計測が行われる、請求項16に記載の遠隔ユニット。
【請求項22】
多次元計測システムと関連付けられたターゲットであって、
頂点を有するレトロリフレクタであり、前記頂点は前記レトロリフレクタに入射するレーザビーム光の少なくとも一部を前記レトロリフレクタから出射させるように構成されているものと、
前記頂点を通って前記レトロリフレクタから出射する前記レーザビーム光の少なくとも一部を検出するように構成されたレーザ光センサと、を備えるターゲット。
【請求項23】
前記ターゲットは、光学式測定センサに結合されるように構成されている、請求項22に記載のターゲット。
【請求項24】
前記レトロリフレクタは、中空なレトロリフレクタである、請求項22に記載のターゲット。
【請求項25】
前記レトロリフレクタは、前記頂点に開口を有し、前記開口は前記レーザビーム光の少なくとも一部を前記レトロリフレクタから出射させるように構成されている、請求項24に記載のターゲット。
【請求項26】
前記レトロリフレクタは、前記頂点を形成する3枚の鏡を備えている、請求項24に記載のターゲット。
【請求項27】
前記レトロリフレクタは、中実なレトロリフレクタである、請求項22に記載のターゲット。
【請求項28】
前記頂点は、前記レーザビーム光の少なくとも一部を前記レトロリフレクタから出射させるように研磨された小平坦面を有している、請求項27に記載のターゲット。
【請求項29】
前記レーザ光センサは、光検出器である、請求項22に記載のターゲット。
【請求項30】
前記レーザ光センサは電荷結合デバイスアレイセンサである、請求項22に記載のターゲット。
【請求項31】
前記レーザ光センサは、前記ターゲットの前記ピッチ移動、前記ヨー移動の少なくとも一方を検出できるようになっている、請求項22に記載のターゲット。
【請求項32】
物体の位置を計測するための方法であって、
レーザ光を発射するトラッキングユニットの球座標をモニタするステップと、
前記トラッキングユニットと通信しているターゲットのロール移動、ヨー移動およびピッチ移動をモニタするステップと、
前記トラッキングユニットと前記ターゲットとの間の距離を決定するステップと、
前記球座標、前記ピッチ移動、前記ヨー移動および前記ロール移動、ならびに前記距離に基づいて前記トラッキングユニットを基準とした前記ターゲットに関する位置情報を出力するステップと、を有する方法。
【請求項33】
前記ロール移動は、前記トラッキングユニットから射出された前記レーザ光の水平偏向成分と、前記レーザ光の垂直偏光成分との少なくとも1つの比較に基づくものとされる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ロール決定回路が、前記レーザ光の前記水平偏向成分と前記レーザ光の前記垂直偏光成分との前記比較を実行する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ターゲットは、前記トラッキングユニットに対して移動可能なアクティブターゲットである、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記ターゲットは、フィードバック制御、較正、工作機械制御、部品の組み立て、構造物の組み立て、および寸法検査の少なくとも1つに使用されるものであり、物体に固定可能に取り付けられた遠隔ユニットに組み込まれている、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記遠隔ユニットは駆動システムと、前記遠隔ユニットを表面に付着可能とする1つ以上の牽引装置と、を備えている、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記牽引装置は、真空系と組合わせて用いられる吸着カップ型装置である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記遠隔ユニットは、遠隔制御される、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
少なくとも前記ターゲットの位置情報に基づいて、付属装置により何らかの機能を実行させるステップをさらに有する、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記ロボットは、正圧の空気圧系を備えている、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
物体の位置を計測するためのシステムであって、
レーザ光を発射するトラッキングユニットの球座標をモニタする手段と、
前記トラッキングユニットと通信しているターゲットのロール移動、ヨー移動およびピッチ移動をモニタする手段と、
前記トラッキングユニットと前記ターゲットとの間の距離を決定する手段と、
前記球座標、前記ピッチ移動、前記ヨー移動および前記ロール移動、ならびに前記距離に基づいて、前記トラッキングユニットを基準とした前記ターゲットに関する位置情報を出力する手段と、を有するシステム。
【請求項43】
前記ロール移動は、前記レーザ光の水平偏向成分と前記レーザ光の垂直偏光成分との少なくとも1つの比較に基づくものとされる、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
ロール決定回路が、前記レーザ光の前記水平偏向成分と前記レーザ光の前記垂直偏光成分との前記比較を実行する、請求項43に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2006−510873(P2006−510873A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−529933(P2004−529933)
【出願日】平成15年8月26日(2003.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2003/026493
【国際公開番号】WO2004/019459
【国際公開日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【出願人】(505071158)
【Fターム(参考)】