説明

対象物処理装置及び対象物処理方法

【課題】 剥離及び洗浄工程で基板への損傷を最小に抑え、低コストで低ダメージ、環境に優しいプロセスを実現することができる対象物処理装置及び方法を提供すること。
【解決手段】 処理対象面を有する対象物に対して、剥離/洗浄/加工のいずれかを含む処理を行うための対象物処理装置に、大気圧または減圧雰囲気で前記対象物を載置するステージ部と、純水を所定値に加圧した加圧温水をノズル部に供給する加圧温水供給部と、処理対象面に対し、加圧温水または加圧温水と薬液との混合物を噴出するノズル部とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ等の対象物に剥離や洗浄等の処理を施すための装置および方法にかかり、より詳細には、対象物を効率良く処理するための剥離・洗浄プロセスの制御に関するものである。
具体的には、半導体ウェハやハードディスク(HD)、液晶ディスプレイ(LCD)、プリント基板又はフラットパネルディスプレイ(FPD)などの対象物表面にリソグラフィ工程で被着したレジスト膜やエッチング工程で被着したポリマ残渣等の不用物を剥離して除去するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置・液晶・磁気ディスク・プリント基板などの製造工程では、これらの対象物の表面にレジストを塗布し、リソグラフィ、エッチング或いはイオン注入等を用いて対象物表面にパターン形成等の精密加工を施こす。その後、これらの対象物の表面に被着しているレジスト膜やポリマ残渣等の不用物を除去する処理が行なわれる。
【0003】
従来からあるレジスト膜等不用物の除去技術としては、酸素プラズマによりレジスト膜を灰化除去するプラズマアッシング方法、有機溶媒(フェノール系・ハロゲン系・アミン系など溶媒)で膜体を加熱溶解除去させる方法、濃硫酸・過酸化水素による加熱溶解方法などがある。
しかしながら、上述のいずれの方法にあっても、レジスト膜等を分解し溶解するための時間やエネルギーおよび化学材料が必要であり、レジスト膜等を分解除去する工程での負担は大きい。
加えて、最先端の半導体デバイスにおいてはプラズマによるプラズマダメージ、紫外線光ダメージがデバイスの性能に悪影響を与えることから代替技術が求められている。
【0004】
そして、付帯設備と制御装置が複雑となり大型化やコスト高などの問題点があったり、また、大量の薬液・高温薬液制御・廃液・排水等の多くの付帯設備ならびに環境対策が必要となるなどの問題が生じ、今後研究開発や設備投資を検討するための対象物処理装置としては消極的にならざるを得ないものであった。
そのため、レジスト膜等の不用物を除去する技術を含んで精密表面を処理する技術分野においては、プラズマ、化学物質や化学的処理を用いる従来の技術から脱却し、地球や環境に優しい技術として、自然界に豊富にある水や水蒸気を用いる方式に大いに注目して、これを利用し発展させたいという期待がある。
【0005】
そこで、本出願人は、キャビテーションを用いた洗浄技術に注目することとした。キャビテーションを用いた洗浄技術としては、眼鏡の洗浄等に使用される超音波洗浄技術がよく知られている。超音波洗浄技術は、強い超音波を水中に伝搬させることにより水分子HOを水素イオンHと水酸化物イオンOHとに分解し、不安定状態にある両イオンが水分子HOに戻ろうとする際に発生するエネルギーを洗浄等に用いるものである。
特許文献1に記載の発明は、処理対象を高周波で振動させることによってキャビテーションを発生させ、処理対象を洗浄している。
しかしながら、超音波洗浄技術には洗浄むらが生じたり、洗浄対象を損傷させてしまう等の問題があった。また、処理対象物を高周波で振動させることが困難な場合には、特許文献1に記載の発明も有益ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−116807号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、剥離及び洗浄工程で基板への損傷を最小に抑え、低コストで低ダメージ、環境に優しいプロセスを実現する対象物処理装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記課題を解決するため、本発明の対象物処理装置は、処理対象面を有する対象物に対して、剥離/洗浄/加工のいずれかを含む処理を行うための対象物処理装置であって、大気圧または減圧雰囲気で前記対象物を載置するステージ部と、純水を所定値に加圧した加圧温水をノズル部に供給する加圧温水供給部と、前記処理対象面に対し、前記加圧温水または前記加圧温水と薬液との混合物を噴出するノズル部とを具備したことを特徴とする。
上記対象物処理装置において、前記加圧温水供給部は、純水を加熱して水蒸気を発生させ、水蒸気量によって純水に加わる圧力を制御することを特徴とする。
上記対象物処理装置において、加圧温水供給部は、前記水蒸気に常温の純水を加えることにより、前記加圧温水の温度調節を行うことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の対象物処理装置は、処理対象面を有する対象物に対して、剥離/洗浄/加工のいずれかを含む処理を行うための対象物処理装置であって、前記対象物を載置するステージ部と、純水を所定値に加圧してノズル部に供給する加圧水供給部と、純水を加熱して水蒸気を発生させ、ノズル部に供給する水蒸気供給部と、前記加圧水供給部からの純水と、前記水蒸気供給部からの水蒸気とを混合して前記処理対象面に噴出するノズル部とを具備したことを特徴とする。
上記対象物処理装置において、前記ノズル部は、その側壁に水蒸気供給部からの第1の噴出口と、加圧水供給部からの第2の噴出口とを備え、前記第1及び第2の噴出口は、前記ノズル部の噴出口に対して垂直に配列されることを特徴とする。
上記対象物処理装置において、前記ノズル部は、その側壁に水蒸気供給部からの第1の噴出口を備え、ノズル内に加圧水供給部からの第2の噴出口を導く配管を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の対象物処理装置は、処理対象物の処理対象面と対面するように、処理対象面の上方を移動しながら噴霧体の噴出を行うノズル部と、前記処理対象物を載置して、前記処理対象物と共に一体的に移動動作を行うステージ部とを備えた対象物処理装置において、前記処理対象面にある処理対象範囲の上方にノズル部を移動させ、移動先で前記ノズル部を一定時間停止させた状態で前記噴霧体を噴出する手段と、前記処理対象範囲の上方に前記ノズル部が位置するように前記ステージ部を移動させ、移動先で前記ステージ部を一定時間停止させた状態で前記噴霧体を噴出する手段と、のいずれか又は両方を具備したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明のステージは、処理対象面を有する対象物に対して、剥離/洗浄/加工のいずれかを含む処理を行うため前記処理対象物を載置するステージにおいて、噴霧体を供給する1又は2以上の噴霧体供給部と、前記噴霧体の供給量を調整する調整部とを具備し、前記噴霧体の噴出口をステージ表面に1又は2以上具備したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明のチャンバーは、処理対象面を有する対象物に対して、剥離/洗浄/加工のいずれかを含む処理を行うため処理対象物及び処理物処理装置を設置するチャンバーにおいて、チャンバー内の各部材を包囲するチャンバーウォールと、前記処理対象物を載置するステージと、チャンバー内壁に対して純水を噴射する純水スプレーノズルと、前記純水スプレーノズルに常温の純水を供給する純水供給管と、剥離物を前記純水とともに排出する排気口とを具備したことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の対象物処理方法は、処理対象面を有する対象物に対して、剥離/洗浄/加工のいずれかを含む処理を行うための対象物処理方法であって、大気圧または減圧雰囲気で前記対象物を載置する段階と、純水を所定値に加圧した加圧温水をノズル部に供給する段階と、前記処理対象面に対し、前記加圧温水または前記加圧温水と薬液との混合物を前記ノズル部から噴出する段階とを具備したことを特徴とする。
また、本発明の対象物処理方法は、純水を加熱して水蒸気を発生させる段階と、水蒸気量によって純水に加わる圧力を制御する段階とを具備したことを特徴とする。
また、本発明の対象物処理方法は、前記水蒸気に常温の純水を加え、前記加圧温水の温度調節を行う段階を具備したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の対象物処理方法は、処理対象面を有する対象物に対して、剥離/洗浄/加工のいずれかを含む処理を行うための対象物処理方法であって、前記対象物を載置する段階と、純水を所定値に加圧してノズル部に供給する段階と、純水を加熱して水蒸気を発生させ、前記ノズル部に供給する段階と、純水と水蒸気とを混合して前記ノズル部から前記処理対象面に噴出する段階とを具備したことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の対象物処理方法は、処理対象物の処理対象面と対面しながら噴霧体の噴出を行うノズル部と、前記処理対象物を載置して、前記処理対象物と共に一体的に移動動作を行うステージ部とによる対象物処理方法において、前記処理対象面にある処理対象範囲の上方にノズル部を移動させ、移動先で前記ノズル部を一定時間停止させた状態で前記噴霧体を噴出する段階と、前記処理対象範囲の上方に前記ノズル部が位置するように前記ステージ部を移動させ、移動先で前記ステージ部を一定時間停止させた状態で前記噴霧体を噴出する段階と、のいずれか又は両方を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
このように、本発明の対象物処理装置及び方法によれば、剥離及び洗浄工程で基板への損傷を最小に抑え、低コストで低ダメージ、環境に優しいプロセスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態である対象物処理装置の全体図。
【図2】本発明の実施の形態であるノズル形状を表した図。
【図3】本発明の第2の実施の形態である対象物処理装置の全体図。
【図4】本発明の実施の形態であるステージ動作制御を説明するための図。
【図5】本発明の実施の形態であるステージの断面図。
【図6】本発明の実施の形態であるステージの上面図。
【図7】本発明の実施の形態であるプロセスチャンバーの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態である対象物処理装置の全体図、図2は本発明の第1の実施の形態で用いるノズル形状を表した図、図3は本発明の第2の実施の形態である対象物処理装置の全体図、図4は本発明の実施の形態であるノズル/ステージ動作制御を説明するための図、図5は本発明の実施の形態であるステージの断面図、図6は本発明の実施の形態であるステージの上面図である。
【0019】
(1)第1の実施の形態である「対象物処理装置」
(1−2)基本原理
常温(約20℃)の純水と、高温(100℃以上)の水蒸気とを一定の容量を持った容器の中で一定の圧力下で連続的に混合すると、純水は水蒸気によって加熱されて膨張する。一方、水蒸気は純水によって冷却されて収縮する。これらの熱交換によって、ある程度の周波数(10KHz〜1MHz)を有する振動が発生する。
純水(約20℃)+水蒸気(100℃以上)→振動
そして、この振動によって、水分子HOが水素イオンHと水酸化物イオンOHとに分解する。
O→H+OH
水素イオンHや水酸化物イオンOHは非常に不安定な状態にあるため、水分子HOに戻ろうとする。この際に生じる高エネルギーを機械的衝撃に変換することで処理対象物を洗浄する。
本実施の形態ではこの基本原理(熱効果現象)を利用してキャビテーションを発生させ、これにより処理対象物の表面にあるレジストの除去等を行う。
【0020】
(1−2)対象物処理装置の全体構造
図1は本発明の第1の実施の形態である対象物処理装置の全体図である。
本装置は、ノズル101、操作バルブ103、水流量計105、ストップバルブ107a〜b、水加圧タンク111、水蒸気供給装置113、水供給管115a〜b、窒素供給管117、減圧弁119、耐圧ホース121〜123、ステージ131で構成されている。ステージ131上には処理対象物(ここでは「ウェハー」とする)133がセットされている。ノズル101は、処理対象物133に対向するように配置されており、キャビテーションジェットを発生する。
【0021】
水加圧タンク111は水供給管115bから供給される純水を所定値A(MP)に加圧し、加圧した純水のうち所定の流量B(l/min)を耐圧ホース121を介して高圧状態でノズル101に送り出す。ここで「純水」とは、通常、半導体装置製造の洗浄工程等で純水或いは超純水として使用されている程度の特性のいわゆる水(純水)であればよい。
水流量計105は、水加圧タンク111からノズル101に供給される純水の流量を計測する。作業員は水流量計105で当該流量を確認し、操作バルブ103を用いて所望の値に調整することができる。また、ストップバルブ107aを開閉することにより、純水の供給を停止したり、再開したりすることもできる。
【0022】
水蒸気供給装置113は水供給管115aから供給される純水を所定温度D(℃)以上に加温して水蒸気を発生し、水蒸気の発生量により純水を所定値C(MP)に加圧したのち、耐圧ホース123を介して高圧状態でノズル101に送り出す。
圧力計120は、水蒸気供給装置113からノズル101に供給される水蒸気の圧力を計測する。作業員は圧力計120で当該圧力を確認し、減圧弁119を用いて所望の値に調整することができる。また、ストップバルブ107bを開閉することにより、水蒸気の供給を停止したり、再開したりすることもできる。
【0023】
ノズル101内では、水加圧タンク111から供給された純水と、水蒸気供給装置113から供給された水蒸気とにより熱効果現象が起こる。その後、熱効果現象によって生じたキャビテーションジェットが処理対象物の表面に噴き付けられる。そして、キャビテーションによる気泡が消滅する際に発生する高い衝撃力により、処理対象物の表面が壊食され、洗浄、研磨又は研削のいずれかの処理が行われる。
【0024】
図1においては、窒素供給管117から水加圧タンク111に窒素を供給する。
このように、他のガスまたは薬液(例えば、CO,O,N,O,H,アルカリ,酸,表面活性剤等)が添加された水を用いることにより、洗浄能力や研磨又は研削レートを向上することができる。
なお、本実施の形態では純水に窒素等の混合物を混合したが、純水のみをノズル101に供給してもよいことは明らかである。
【0025】
(1−3)具体的数値
▲1▼水加圧タンク111内での具体的数値
純水の圧力A(MP)=0.2〜0.5(MP)
純水の流量B(l/min)=0〜1.0(l/min)
▲2▼水蒸気供給装置113内での具体的数値
水蒸気の圧力C(MP)=0.1〜0.5(MP)
水蒸気の温度D(℃)=100〜150(℃)
▲3▼処理対象物表面とノズル101の噴出し口とのクリアランスE(間隔)
間隔E(mm)=5〜100(mm)
【0026】
(1−4)好ましいノズル形状
図2(a)に図1の対象物処理装置で用いるのに好ましいノズル101の第1の具体的形状、図2(b)にノズル101の第2の具体的形状を示す。
図2(a)の201は水蒸気供給装置113からの耐圧ホース123の噴出し口であり、203は水加圧タンク111からの耐圧ホース121の噴出し口である。噴出し口201及び203は、ノズル101の噴出し口に対して垂直方向に、当該噴出し口に近い方から203→201の順番でノズル101壁面に設けられている。
【0027】
図2(b)の205は水蒸気供給装置113からの耐圧ホース123の噴出し口であり、207は水加圧タンク111からの耐圧ホース121の噴出し口である。噴出し口205はノズル101壁面に設けられおり、噴出し口207は耐圧ホース121によってノズル101内に導かれ、ノズル101の噴出し口近辺で純水が噴出するよう、噴出し口207の位置が設定されている。
図2(a)及び(b)いずれの場合もノズル径=3〜10mmφが好ましい。
【0028】
(2)第2の実施の形態である「対象物処理装置」
(2−1)基本原理
自然法則上、液体の沸騰点は圧力に比例して高くなる。本実施の形態では、この自然法則を利用してキャビテーションを発生させ、これにより処理対象物の表面にあるレジストの除去等を行う。
具体的には、加圧温水供給装置内の圧力を大気圧より高くなるように設定し、加圧温水供給装置内の加圧温水を液体状態に維持しておき、この加圧温水を大気圧又は減圧下に噴出することにより急激な沸騰現象(水蒸気爆発)を起す。その際にキャビテーションが発生するのである。
【0029】
(2−2)対象物処理装置の全体構造
図3は本発明の第2の実施の形態である対象物処理装置の全体図である。
本装置は、ノズル301、操作バルブ303、水流量計305、圧力計307、ヒーター309、加圧温水供給装置311、水供給管315、耐圧ホース321、ステージ331で構成されている。ステージ331上には処理対象物(ここでは「ウェハー」とする)333がセットされている。ノズル301は処理対象物333に対向するように配置されており、キャビテーションジェットを発生する。
【0030】
ヒーター309は加圧温水供給装置311内の純水に熱を加える。加熱された純水は水蒸気を発生させるため、加圧温水供給装置311内の圧力A(MP)は大気圧より高くなる。そして、加圧した純水のうち所定の流量B(l/min)を耐圧ホース321を介して高圧状態でノズル301に送り出す。ここで「純水」とは、通常、半導体装置製造の洗浄工程等で純水或いは超純水として使用されている程度の特性のいわゆる水(純水)であればよい。
【0031】
水流量計305は、加圧温水供給装置311からノズル301に供給される純水の流量を計測する。作業員は水流量計305で当該流量を確認し、操作バルブ303を用いて所望の値に調整することができる。また、ストップバルブ(図示せず)を開閉することにより、純水の供給を停止したり、再開したりすることもできる。
圧力計307は、加圧温水供給装置311内の圧力を計測する。作業員は圧力計307で当該圧力を確認する。水供給管315は加圧温水供給装置311内に発生する水蒸気に常温の純水を補給すると同時に、加圧温水供給装置311内を所望の温度に調整することができる。
【0032】
耐圧ホース321を介してノズル301に供給された加圧温水は、ノズル301の噴出し口から噴出され、急激な沸騰現象(水蒸気爆発)が起こりキャビテーションジェットが処理対象物の表面に噴き付けられる。そして、キャビテーションによる気泡が消滅する際に発生する高い衝撃力により、処理対象物の表面が壊食され、洗浄、研磨又は研削のいずれかの処理が行われる。
【0033】
(2−3)具体的数値
▲1▼加圧温水供給装置311内での具体的数値
加圧温水供給装置内圧力A(MP)=0.2〜0.5(MP)
加圧温水の流量B(l/min)=0.5〜2.0
加圧温水の温度C(℃)=110〜150(℃)
▲2▼処理対象物表面とノズル301の噴出し口との距離D=0〜100(mm)
【0034】
(2−4)その他の実施の形態
なお、本実施の形態では加圧温水のみをノズル部301に供給するときの説明をしたが、ボイラー311に薬液を供給する供給管を設け、加圧温水と薬液とを混合してノズル部301に供給することも可能である。
このように、他のガスまたは薬液(例えば、CO,O,N,O,H,アルカリ,酸,表面活性剤等)が添加された加圧温水を用いることにより、洗浄能力や研磨又は研削レートを向上することができる。
【0035】
(3)ノズル/ステージ動作制御について
(3−1)処理対象物が「矩形」の場合
本実施の形態では、剥離・洗浄等の処理が行われる処理対象物(図1の133,図3の333)はX軸方向−Y軸方向に広がる矩形状の形状をなしていて、面全域が処理対象面であるものとする。
そして、図4(a)に示すとおり、処理対象物133(333)をX軸方向にM分割(同図では5分割になっている)Y軸方向にN分割して、各ゾーン(s:nは整数)の面積S(mm)が等しくなるようにしている。
本実施の形態では、各ゾーンの上方でノズル101(301)を一定時間t(秒)停止させ、停止させた状態でノズル101(301)の噴出し口から噴霧体(図1の場合「純水+水蒸気」、図2の場合「加圧温水」)を噴出する。そして、一定時間t(秒)経過後、ノズル101(301)を隣のゾーンの上方に移動させ、処理対象物133(333)に噴霧体を噴出する。
【0036】
図4(a)に示すとおり、ノズル101(301)の移動方向は行(X軸方向)が変わる毎に左右変えてもよいし、右方向(左方向)に統一してもよい。また、図4(a)ではY軸方向にノズル101(301)を移動させている様子を示しているが、X軸方向にノズル101(301)を移動させてもよい。この場合も、ノズル101(301)の移動方向は列(Y軸方向)が変わる毎に上下変えてもよいし、上方向(下方向)に統一してもよい。
【0037】
(3−2)処理対象物が「円形」の場合
本実施の形態では、剥離・洗浄等の処理が行われる処理対象物(図1の133,図3の333)は、円形薄厚平板状の形状をなしていて、面全域が処理対象面であり、中心位置(中心点C)とその半径rを有するものとする。
そして、図4(b)に示すとおり、処理対象物133(333)を中心点Cから半径rを等分して、中心点Cを含む中心円部(中心円形状部)と複数の円環形状部(ドーナツ状形状部)とに等分し、さらに、面積S(mm)が等しくなるよう、各円環形状部(ドーナツ状形状部)を各ゾーン(s:nは整数)に分割する。
【0038】
本実施の形態では、各ゾーンの上方でノズル101(301)を一定時間t(秒)停止させ、停止させた状態でノズル101(301)の噴出し口から噴霧体(図1の場合「純水+水蒸気」、図3の場合「加圧温水」)を噴出する。そして、一定時間t(秒)経過後、ノズル101(301)を隣のゾーンの上方に移動させ、処理対象物133(333)に噴霧体を噴出する。
各円環形状部でのノズル101(301)の移動方向は、「時計回り」「反時計回り(矢印412)」のいずれでもよい。また、各円環形状部を1周した後、半径r方向(矢印410)のいずれ(外周側→中心C、中心C→外周側)に移動するのかも適宜選択可能である。
【0039】
(3−3)その他の実施の形態
ノズルの本数や動作を設定するにあたっては種々なケースが想定できる。例えば、それらのノズルは複数本を設定してもよく、相互に同期がとれるような設計にすれば1又は2本以上のノズルを用いて行うことも可能である。
また、ゾーン毎に停止時間t(秒)を変えたり、ゾーン間移動速度V(mm/sec)を変えることにより、処理対象物133(333)の表面にレジスト等が均一に存してない場合にも、効果的な洗浄・剥離を行うことを可能とする。
【0040】
また、上記ではノズル101(301)を移動させる場合の説明をしたが、ノズル101(301)を固定したままステージ131(331)を移動させ、各ゾーンの上方にノズル101(301)が位置する状態で、一定時間t(秒)ステージ131(331)を停止させてもよい。この場合も、停止させた状態でノズル101(301)の噴出し口から噴霧体を噴出し、一定時間t(秒)経過後、当該ノズル101(301)が隣のゾーンの上方に位置するようステージ131(331)を移動し、処理対象物133(333)に噴霧体を噴出する。
さらに、ノズル101(301)とステージ131(331)とを相互に同期をさせることにより、両者を同時に移動させることも可能である。
【0041】
(3−4)具体的数値
ゾーン面積S(mm)=20〜1200(mm
停止時間t(秒)=1.0〜10.0(秒)
ゾーン間移動速度V(mm/sec)=4RPM〜100RPM(変換要)
【0042】
(4)本発明の実施の形態である「ステージ」
(4−1)ステージ断面図
図5は本発明の実施の形態であるステージの断面図である。同ステージは図1のステージ131または図3のステージ331として適用することが可能である。図5に示すとおり、本発明の実施の形態であるステージは「純水」又は「純水と不活性ガス(気体)との混合液」を供給する供給管501、不活性ガス供給管503、3方向弁505、噴出口507、チャック509、ガイドバー510とで構成されている。
【0043】
供給管501からは、図1、3いづれの場合も「純水」又は「純水と不活性ガス(気体)との混合液」が供給される。不活性ガス供給管503からは、「窒素・アルゴン等の不活性ガス」が供給される。3方向弁505は噴霧体と不活性ガスとの切り替えをする弁である。
噴出口507はチャック中央部から外周方向へ向いており、表面の処理中に不活性ガス(気体)、純水、又は純水と気体の混合液を噴射することにより、処理対象物の温度制御、キャビテーションの共振・強度制御、裏面洗浄を可能にする。
ステージ表面には突起物601(対象物とはボール状の点接触が望ましい)を配置することにより、処理対象物を擬似的に浮かし(0.2〜1.0mmが望ましい)共振しやすい構造になっている。
【0044】
(4−2)ステージ上面図
図6は本発明の実施の形態であるステージの上面図である。図6に示すとおり、ステージ中央部には噴出口507a、外周部には噴出口507b〜i、計9つの噴出口が設けられている。噴出口507a〜iの口径としては「0.5mmφ〜1.0mmφ」が望ましいが、これに限定されないことは明らかである。また、本実施の形態では噴出口を9つとしたが、これに限定されないことは明らかである。
【0045】
(5)本発明の実施の形態である「チャンバー」
図7は本発明の実施の形態であるチャンバーの断面図である。本発明の実施の形態である対象物処理装置での噴射によりレジスト、ポリマー等の不要物が剥離された際、その一部が粉塵として蒸気と一緒にプロセスチャンバー内に舞い上がり、対象物に再付着する可能性がある。
その防御策として、チャンバー側壁に純水をスプレーノズルで照射することにより、チャンバーウォールの温度を低温に保つと同時に、粉塵を水蒸気を一緒にトラップし排気口へ流しだす構造を採用した。
【0046】
図7に示すとおり、本発明の実施の形態であるチャンバーは、チャンバー内の各部材を包囲するチャンバーウォール701と、処理対象物(ウェハー等)を載置するステージ703と、チャンバー内壁に対して純水を噴射する純水スプレーノズル702と、純水スプレーノズル702に常温の純水を供給する純水供給管705と、剥離されたレジスト・ポリマー等を純水と一緒に排出する排気口704から構成されている。
本発明の実施の形態であるチャンバーによれば、チャンバーウォールの内壁を常にクリーンに保ち、ウェハ上の異物(パーティクル)低減とプロセスチャンバー内の保守頻度を低減することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記説明に限定されず、半導体、液晶、磁気ヘッド、ディスク、プリント基板等の製造工程において、洗浄、異物処理、感光剤除去等に適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
101 ノズル
111 水加圧タンク
113 水蒸気供給装置
115a 水供給管
115b 水供給管
301 ノズル
309 ヒーター
311 加圧温水供給装置
702 純水スプレーノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象面を有する対象物に対して、剥離/洗浄/加工のいずれかを含む処理を行うための対象物処理装置であって、
対象物を載置するステージ部と、
純水を所定値に加圧して下流に供給する加圧水供給部と、
純水を加熱して水蒸気を発生させ下流に供給する水蒸気供給部と、
加圧水供給部からの純水と水蒸気供給部からの水蒸気とを混合して対象処理面に噴出するノズル部と
を具備しており、
ノズル部は、水蒸気供給部からの第1の噴出口と加圧水供給部からの第2の噴出口とを備え、
第1の噴出口は、ノズル部の噴出口に対して第2の噴出口よりも上流側に設けられており、
第2の噴出口は、ノズル部の側壁に設けられている
ことを特徴とする対象物処理装置。
【請求項2】
第2の噴出口は、ノズル部の噴出口に対して垂直に配置されている、請求項1記載の対象物処理装置。
【請求項3】
第1の噴出口は、ノズル部の噴出口に対して垂直に配置されている、請求項1又は2記載の対象物処理装置。
【請求項4】
加圧水供給部は、ガス又は薬液が更に添加された純水をノズルに供給する、請求項1〜3のいずれか一項記載の対象物処理装置。
【請求項5】
処理対象面を有する対象物に対して、剥離/洗浄/加工のいずれかを含む処理を行うための対象物処理方法において、
純水を所定値に加圧して下流に供給する段階と、
純水を加熱して水蒸気を発生させ下流に供給する段階と、
純水と水蒸気とを混合してノズル部から対象物の処理対象面に噴出する段階と
を有し、ここで、
ノズル部は、水蒸気供給部からの第1の噴出口と加圧水供給部からの第2の噴出口とを備え、
第1の噴出口は、ノズル部の噴出口に対して第2の噴出口よりも上流側に設けられており、
第2の噴出口は、ノズル部の側壁に設けられている
ことを特徴とする対象物処理方法。
【請求項6】
第2の噴出口は、ノズル部の噴出口に対して垂直に配置されている、請求項5記載の対象物処理方法。
【請求項7】
第1の噴出口は、ノズル部の噴出口に対して垂直に配置されている、請求項5又は6記載の対象物処理方法。
【請求項8】
ガス又は薬液が更に添加された純水をノズルに供給する、請求項5〜7のいずれか一項記載の対象物処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−260368(P2009−260368A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171568(P2009−171568)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【分割の表示】特願2003−146779(P2003−146779)の分割
【原出願日】平成15年5月23日(2003.5.23)
【出願人】(503187073)アクアサイエンス株式会社 (13)
【Fターム(参考)】