導電層及び導電層を有する基板の形成方法、並びに半導体装置の作製方法
【課題】導電層、及び導電層を有する可撓性基板を歩留まり高く形成方法を提供する。また、小型化、薄型化、及び軽量化された半導体装置の作製方法を提供する。
【解決手段】凹部50a、50bを有する基板50上にシランカップリング剤を用いて剥離層51を形成し、剥離層51上であって且つ、凹部50a、50bに導電層52a、52b及び導電層52a、52bを覆う絶縁層53を形成し、絶縁層53に粘着性を有する部材59を貼りつけた後、基板50から導電層52a、52b及び絶縁層53を剥離する。また、基板から導電層及び絶縁層を剥離し、導電層及び絶縁層に可撓性基板を貼りあわせる。
【解決手段】凹部50a、50bを有する基板50上にシランカップリング剤を用いて剥離層51を形成し、剥離層51上であって且つ、凹部50a、50bに導電層52a、52b及び導電層52a、52bを覆う絶縁層53を形成し、絶縁層53に粘着性を有する部材59を貼りつけた後、基板50から導電層52a、52b及び絶縁層53を剥離する。また、基板から導電層及び絶縁層を剥離し、導電層及び絶縁層に可撓性基板を貼りあわせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電層及び導電層を有する基板の形成方法に関する。また、導電層を有する半導体装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可撓性基板上にアンテナ、画素電極、配線等として機能する導電層を形成する方法として、スクリーン印刷法により金属元素を有する粒子を含む組成物を可撓性基板上に印刷した後、組成物を加熱し焼成して導電層を形成する方法や、メッキ法を用いて可撓性基板上に導電層を形成する方法がある。
【特許文献1】特開2004−310502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
金属元素を有する粒子を含む組成物を用いて抵抗の低い導電層を形成するためには、高温、代表的には200℃以上で加熱し焼成することが好ましい。しかしながら、可撓性基板は材質によりガラス転移温度が低く、金属元素を有する粒子を含む組成物の焼成温度より低いものもある。このため、可撓性基板上に金属元素を有する粒子を含む組成物を直接印刷し、加熱し焼成して抵抗の低い導電層を形成すると、可撓性基板が変形してしまうという問題があった。
【0004】
一方、メッキ法は焼成工程を必要とせず、室温〜100度程度の比較的低温で低抵抗の導電層を形成することが可能である。しかしながら、メッキ法は、硫酸、塩酸、シアン化合物等の危険な薬品を使用する問題や、廃液が公害となる問題があった。
【0005】
また、スクリーン印刷法によって組成物を基板上に印刷する場合、スクリーンの網目の開口部を充填して塗布された組成物同士が、接して繋がり、線状の組成物となる。このため、開口部を充填して塗布された組成物の領域と、つながった組成物の領域とでは、太さが異なるとともに、側面において湾曲した(うねった)形状の組成物が形成される。
【0006】
このため、複数の導電層を形成する場合、各導電層によって、太さや形状のばらつきがあり、この結果導電層の抵抗値にもバラツキが生じるという問題がある。
【0007】
このような導電層を用いて無線によるデータの受信や送信が可能な無線チップ(IDタグ、ICタグ、ICチップ、RF(Radio Frequency)タグ、無線タグ、電子タグ、RFID(Radio Frequency Identification)ともよばれる)等のアンテナを形成すると、複数のアンテナにおいてインダクタンスが変化し、無線チップごとに共振周波数及びそれに伴う起電力のばらつきが生じるという問題がある。
【0008】
以上のことを踏まえ、本発明は、抵抗値のばらつきの少ない導電層及び導電層を有する可撓性基板を歩留まり高く形成方法を提供する。また、小型化、薄型化、及び軽量化された半導体装置の作製方法を提供する。また、少ない工程数及び安全な工程で安価な半導体装置を作製する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、凹部を有する基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、前記剥離層上であって且つ、凹部に導電層を形成し、導電層を覆う絶縁層を形成し、絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、基板から導電層を剥離することを要旨とする。
【0010】
また、本発明は、凹部を有する基板上に酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層を形成し、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層上であって且つ上記凹部に導電層を形成し、導電層を覆う絶縁層を形成し、絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層において、基板から導電層を剥離することを要旨とする。
【0011】
また、本発明は、凹部を有する基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、前記剥離層上であって且つ、凹部に導電層を形成し、導電層を覆う絶縁層を形成し、絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、基板から導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離し、導電層及び前記導電層を覆う絶縁層に可撓性基板を貼りあわせることを要旨とする。
【0012】
また、本発明は、基板に凹部を形成し、凹部を有する基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、前記剥離層上であって且つ、凹部に導電層を形成し、導電層を覆う絶縁層を形成し、絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、基板から導電層を剥離することを要旨とする。
【0013】
また、本発明は、基板に凹部を形成し、凹部を有する基板上に酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層を形成し、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層上であって且つ上記凹部に導電層を形成し、導電層を覆う絶縁層を形成し、絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層において、基板から導電層を剥離することを要旨とする。
【0014】
本発明は、凹部を有する基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、前記剥離層上であって且つ、凹部に導電層を形成し、導電層を覆う絶縁層を形成し、絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、基板から導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離し、導電層に可撓性基板を貼りあわせることを要旨とする。
【0015】
また、本発明は、凹部を有する基板上に酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層を形成し、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層上であって且つ上記凹部に導電層を形成し、導電層を覆う絶縁層を形成し、絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層において基板から導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離し、導電層に可撓性基板を貼りあわせることを要旨とする。
【0016】
また、本発明は、上記導電層または上記導電層を有する可撓性基板を有する半導体装置を要旨とする。
【0017】
なお、導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離した後、導電層及び前記導電層を覆う絶縁層の一表面に残存する酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層を除去してもよい。また、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層を除去した後、導電層及び前記導電層を覆う絶縁層に可撓性基板を貼りあわせてもよい。
【0018】
導電層としては、配線、電極、画素電極、アンテナ等である。
【0019】
また、導電層を覆う絶縁層は、導電層の劣化や酸化を防止する保護膜として機能することが好ましい。
【0020】
導電層の形成方法としては、液滴吐出法や、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷、またはグラビア印刷等の印刷法等がある。また、メタルマスクを用いた蒸着法、CVD法、スパッタリング法等がある。更には、当該方法を複数用いることもできる。
【0021】
組成物を用いて導電層を形成する場合、加熱温度は、室温以上400℃未満、好ましくは200℃以上350℃以下、さらに好ましくは200℃以上300℃以下が望ましい。組成物の加熱温度が室温より低いと、組成物の焼成が不十分である。また、400℃以上の温度で加熱すると、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層が反応してしまい、後に基板から導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を容易に剥離することが困難となる。
【0022】
導電層がアンテナとして機能する導電層である場合、半導体装置の代表例としては、非接触でデータの送受信が可能な半導体装置がある。また、導電層が画素電極である場合、半導体装置の代表例としては表示装置がある。
【発明の効果】
【0023】
酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層は、物理的力で分離されやすいため、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層上の導電層を、基板から剥離することができる。このため、耐熱性を有する基板上で形成した導電層を基板から剥離し、導電層を容易に形成することが可能である。
【0024】
また、当該導電層を耐熱性の低い可撓性基板に貼り付けて、導電層を有する可撓性基板を形成することができる。このため、形成工程において可撓性基板のガラス転移温度以上の焼成が必要な組成物を用いて、導電層を、歩留まり高く形成することが可能である。また、金属元素を有する粒子を含む組成物を用いる場合、抵抗値のばらつきの少ない導電層を有する可撓性基板を、歩留まり高く形成することが可能である。
【0025】
また、基板の凹部に組成物を塗布することで、印刷された組成物の側面のうねりを低減することができ、形状や太さのばらつきを低減することができる。また、組成物の幅を制御することが可能であり、細線化が可能である。また、フォトリソグラフィ工程を用いなくとも導電層を形成することができるため、プロセス数及び材料を削減することが可能であり、コストダウンを図ることができる。
【0026】
このような導電層をアンテナに用いることで、インダクタンスのばらつきの少ないアンテナを形成することが出来る。また、起電力の高いアンテナを形成することができる。また、このような層を配線、画素電極等に用いることで、歩留まり高く半導体装置を作製することが可能である。さらには、このような層を有する可撓性基板を用いることで、半導体装置の小型化、薄型化、及び軽量化が可能である。また、少ない工程数及び安全な工程で半導体装置を作製することが可能であり、半導体装置のコストダウンが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる形態で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0028】
(実施の形態1)
本実施の形態では、容易に導電層を形成する方法の一形態について図1、5、及び12を用いて説明する。なお、図1は、導電層を形成する工程の断面図を示し、図5は図1(A)の上面図を示す。図1の断面図A−Bは、図5の上面図のA−Bの領域に対応する。また、ここでの導電層は、アンテナとして機能する。また、導電層として、アンテナ以外の画素電極、配線、電極等の形成する方法に適用することができる。
【0029】
図1(A)に示すように、凹部50a、50bを有する基板50を準備する。
【0030】
基板50としては、導電層52a、52bの焼成温度に耐えうる耐熱性を有する基板が好ましく、代表的には、ガラス基板、石英基板、セラミック基板、金属基板、シリコンウェハ、有機樹脂層等を用いることができる。
【0031】
凹部50a、50bの断面形状は、三角形、四角形、台形、多角形、半円等適宜用いることができる。なお、凹部50a、50bにおいて、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層を均一に分離するためには、半円形、台形、多角形の形状が好ましい。のちに、可撓性基板の開口部を介して導電層52a、52bが他の導電材料と接続する場合、接触面積を高めるために、凹部50a、50bの断面形状を四角形、台形、多角形、半円等の形状とすることが好ましい。ここでは、基板50としてガラス基板を用いる。また、凹部50a、50bの断面形状としては台形を用いる。
【0032】
次に、図1(B)に示すように、凹部50a、50bを有する基板50上にシランカップリング剤を用いて酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51を剥離層として形成し、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51上であって、且つ上記凹部50a、50bに導電層52a、52bを形成し、導電層52a、52bを覆う絶縁層53を形成する。
【0033】
酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51としては、基板50との密着性が高く、且つ表面エネルギーが後に塗布される組成物と比較して小さい層を形成することが好ましい。酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51は、シランカップリング剤を用いて形成される。シランカップリング剤とは、Rn−Si−X(4−n)(n=1、2、3)(Rは、アルキル基、アリール基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基から選ばれた少なくとも一種の官能基、Xは、アルコキシ基)で示される珪素化合物である。また、シランカップリング剤を用いて形成した層は、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層となる。不活性な基はシランカップリング剤の構造式におけるRに相当する。
【0034】
代表的なアルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基、代表的には、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。
【0035】
アルコキシ基の数は1〜3のモノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシランなどである。
【0036】
Rとしてアルキル基を有する珪素化合物の代表例としては、炭素数2〜30のアルキル基を有するアルコキシシランが好ましく、代表的には、エチルトリエトキシシラン、プロピルエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン(ODS)、エイコシルトリエトキシシラン、トリアコンチルトリエトキシシランなどがある。
【0037】
Rとしてアリール基を有するアルコキシシランとしては、炭素数6〜8のアリール基を有するアルコキシシランが好ましく、代表的には、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、トルイルトリエトキシシランなどがある。
【0038】
Rとしてフルオロアルキル基を有するアルコキシシランとしては、炭素数3〜12のフルオロアルキル基が好ましく、代表的には、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、(ヘニコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシランなどがある。
【0039】
Rとしてフルオロアリール基を有するアルコキシシランとしては、炭素数6〜9のフルオロアリール基を有するアルコキシシランが好ましく、代表的には、ペンタフルオリフェニルトリエトキシシラン、(ペンタフルオロフェニル)プロピルトリエトキシシランなどがある。
【0040】
なお、シランカップリング剤を溶媒に溶解した溶液を用いて、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層を形成してもよい。このときの溶媒は、トルエン、キシレン、ヘキサデカン等の炭化水素、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等のハロゲン溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール等がある。
【0041】
剥離層である酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51の形成方法としては、液滴吐出法や、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷、またはグラビア印刷等の印刷法等を用いることができる。また、真空蒸着法、蒸着法、CVD法、スパッタリング法等を用いることができる。なお、ここでは、液滴吐出法とは組成物の液滴を微細な孔から吐出して所定の形状のパターンを形成する方法である。
【0042】
ここでは、蒸着法によりフルオロアルキルシランを蒸着して、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51を形成する。
【0043】
導電層52a、52bは、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51上であって、且つ凹部50a、50bに金属元素を有する粒子を含む組成物を塗布法により塗布し、組成物を加熱して金属元素を有する粒子を焼成して形成する。塗布法としては、液滴吐出法や、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷、またはグラビア印刷等の印刷法等を用いることができる。また、メタルマスクを用いた蒸着法、CVD法、スパッタリング法等を用いることができる。更には、当該方法を複数用いることもできる。また、組成物は、金属元素を有する粒子、及び金属元素を有する粒子を分散させる溶媒で構成される。
【0044】
組成物の加熱温度は、200℃以上350℃以下、好ましくは200℃以上300℃以下が望ましい。組成物の加熱温度が200℃より低いと、金属元素を有する粒子の焼成が不十分であり、抵抗の高い導電層が形成されてしまう。また、350℃より高い温度で加熱すると、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層が反応してしまい、後に基板から導電層を容易に剥離することが困難となる。
【0045】
金属元素を有する粒子としては、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、及びBaのいずれか一つ以上の導電性粒子、または当該元素を有する化合物粒子を適宜用いることができる。
【0046】
また、金属元素を有する粒子として、In、Ga、Al、Sn、Ge、Sb、Bi、及びZnのいずれか一つ以上の元素を有する導電性粒子、または化合物粒子を二つ以上有する組成物を加熱し焼成することで透光性を有する導電層を形成することができる。
【0047】
上記金属元素を有する化合物粒子としては、金属ハロゲン化合物、金属硫酸化合物、金属硝酸化合物、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸化合物などの無機塩粒子、金属酢酸化合物、金属シュウ酸化合物、金属酒石酸化合物などの有機塩粒子を適宜用いることができる。
【0048】
金属元素を有する粒子の径は、数nm〜数十μmである。好ましくは、1〜100nm、2〜50nm、更には3〜20nmである。このように粒径の小さな粒子を用いることで、後に形成される導電層の抵抗値を低減させることが可能である。
【0049】
さらには、金属元素を有する粒子の他に、炭素、珪素、ゲルマニウム等の粒子を適宜用いても良い。
【0050】
金属元素を有する粒子を分散させる溶媒としては、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン等、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂(シリコーン)等の有機樹脂を適宜用いる。
【0051】
導電層52a、52bは、アンテナ、配線、画素電極、電極等として機能する導電層を適宜形成することができる。
【0052】
ここでは、銀粒子を有する組成物を印刷法により印刷し、焼成して導電層52a、52bを形成する。
【0053】
ここで、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51上に塗布される組成物の形状について図12(A)を用いて説明する。図12(A)は、図1(A)の基板50、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51、及び導電層52aの接する領域を拡大したモデル図である。
【0054】
図12(A)において、基板50、ここではガラス基板表面では、ガラス基板表面の酸素と、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51の珪素とが結合され、当該珪素とアルキル基、アリール基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基から選ばれた少なくとも一種の官能基Rとが結合している。また、隣接する珪素は酸素を介して結合している。なお、ここでは、官能基Rの一部である置換基をCH2基として示し、官能基Rと珪素の間に図示している。なお、官能基Rの一部であれば、CH2基に限られず様々な置換基が示される。
【0055】
また、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51の表面は、アルキル基、アリール基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基から選ばれた少なくとも一種の官能基Rが露出している。また、官能基Rに接して導電層52aが形成されている。
【0056】
酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51の表面には、アルキル基、アリール基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基から選ばれた少なくとも一種に代表される不活性な官能基Rが露出しているため、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51の表面における表面エネルギーは、相対的に小さくなる。
【0057】
また、官能基の炭素鎖長が長いほど、接触角が大きくなり、表面エネルギーが相対的に小さくなる。このため、表面エネルギーの異なる組成物は、当該層上で弾かれやすくなり、凹部において組成物は表面エネルギーの小さな膜の表面を流動し、安定な形状となってとどまる。
【0058】
即ち、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層上に塗布される組成物は、組成物の表面エネルギーが安定化するような形状となる。このため、塗布された組成物の側面のうねりが低減される。このようなペーストを乾燥・焼成することで、側面のうねりが緩和された導電層を形成することが可能である。また、形状や太さのばらつきを低減することができる。このため、導電層の抵抗値のばらつきを低減することが可能である。また、組成物の幅を制御することが可能であり、細線化が可能である。
【0059】
導電層52a、52bを覆う絶縁層53は、絶縁性の組成物を酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51及び導電層52a、52bの露出部に塗布し、加熱し焼成して形成する。組成物を塗布する方法としては、導電層52a、52bに示す塗布法を適宜適用することができる。また、絶縁性の組成物としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド(ナイロン)、フラン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の有機化合物、シリカガラスに代表されるシロキサンポリマー、またはアルキルシロキサンポリマー、アルキルシルセスキオキサンポリマー、水素化シルセスキオキサンポリマー、水素化アルキルシルセスキオキサンポリマー等を適宜用いることができる。
【0060】
また、絶縁層53は、真空蒸着法、蒸着法、CVD法、スパッタリング法等の気相法を用いて形成することができる。気相法を用いて形成する絶縁層としては、酸化珪素層、窒化珪素層、酸化窒化珪素層、窒化アルミニウム層等を適宜用いることができる。
【0061】
本発明においては、図5に示すように、絶縁層53は、導電層52a、52bが形成される領域(図5の破線57の内側)の外側まで形成されることが好ましい。即ち、導電層の側面の一部が絶縁層から露出されることなく、導電層のすべてを覆うように絶縁層53を形成することが好ましい。この結果、導電層52a、52bは絶縁層53に封止されるため、導電層の酸化や不純物の混入を防止することが可能であり、導電層の劣化を抑制することが可能である。また、導電層のすべてを覆うように絶縁層が形成されているため、後の剥離工程において、導電層が分断されることなく一つの層として剥離することが可能である。
【0062】
ここでは、エポキシ樹脂を印刷法により印刷して絶縁層53を形成する。
【0063】
次に、図1(C)に示すように、絶縁層53の表面、代表的には絶縁層53の表面の一部または全部に粘着性を有する部材59を貼りあわせた後、粘着性を有する部材59を用いて物理的に酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51を分離する。代表的には、粘着性を有する部材59を、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51または絶縁層53の表面に角度θで引っ張る。角度θは水平以外の方向、具体的には、0°<θ<180°、好ましくは、0°<θ≦60°、より好ましくは0°≦θ≦45°である。この結果、導電層52a、52b及び絶縁層53にクラックが入るのを防ぎながら、基板50から導電層52a、52b及び絶縁層53を剥離することができる。即ち、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51が分離され、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51において、基板50から導電層52a、52b及び絶縁層53が剥離される。このとき、基板50上には、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部51aが残存し、導電層52a、52b及び絶縁層53には、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部51bが残存する。このとき、粘着性を有する部材59としてローラーを用い、基板の下に移送手段を設け、ローラーの回転速度、回転半径、ローラーの圧力、ローラーと基板との間隔、移送手段の移動速度等を適宜調節することで、基板50から導電層52a、52b及び絶縁層53を容易に剥離することができる。
【0064】
ここで、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51が分離し、基板50と導電層52a、52b及び絶縁層53とが剥離される原理について、図12(B)のモデル図を用いて説明する。図12(B)に示すように、粘着性を有する部材59を引き上げると、基板50表面と酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51との密着性や、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51と導電層52aとの密着性と比較して、不活性な基内部の結合力が低い。即ち、基板50上の酸素と珪素の結合力や、導電層52a、52bと酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51との密着性と比較して、不活性な基内部の結合力が弱い。このため、図12(B)に示すように、アルキル基、アリール基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基から選ばれた少なくとも一種の官能基Rの結合の一部が切断され、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層が分断される。この結果、図1(D)に示すように、基板50から導電層52a、52b及び絶縁層53を剥離することができる。
【0065】
なお、アルキル基、アリール基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基から選ばれた少なくとも一種の官能基Rの結合の一部が切断されるため、基板表面においては、アルキル基、アリール基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基の残存部が残る。このため、分離された酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部51a表面においても、接触角が大きく、表面エネルギーが相対的に小さい。このため、表面エネルギーの異なる組成物は、当該層上で弾かれやすくなり、組成物は表面エネルギーの小さな膜の表面を流動し、安定な形状にとどまる。この結果、分離された酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部51aを有する基板50を、再度導電層を形成するために用いることができる。
【0066】
粘着性を有する部材59として、光可塑型粘着フィルム、熱可塑型粘着フィルム等を用いることができる。尚、粘着性を有する部材59として、フィルムの代わりに、粘着性を有するテープ、シート、基板、ローラー等を適宜用いることができる。さらには、粘着性を有する部材の代わりに、静電気力や吸着力により絶縁層53の表面に付着する部材を着設してもよい。ここでは、粘着性を有する部材59として、粘着性を有するローラーを用いる。
【0067】
次に、図1(E)に示すように、導電層52a、52b及び絶縁層53の表面に残存する酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部51bを除去する。酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部は、水素、希ガス、窒素等のプラズマの照射や、400度以上での加熱処理により除去することができる。以上の工程により、導電層及び導電層を覆う絶縁層を容易に形成することができる。また、基板の凹部に組成物を塗布することで、印刷された組成物の側面のうねりを低減することができ、導電層の形状や太さのばらつきを低減することができる。このため、導電層の抵抗値のばらつきを低減することが可能である。
【0068】
次に、開口部54を有する可撓性基板56を導電層52a、52b及び絶縁層53に貼り付ける。可撓性基板56としては、代表的には、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルスルホン)、ポリプロピレン、ポリプロピレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリサルフォン、ポリフタールアミド等からなる基板、または繊維質な材料からなる紙と、接着性有機樹脂55(アクリル系有機樹脂、エポキシ系有機樹脂等)とが積層された基板を用いることができる。
【0069】
また、可撓性基板56として、熱圧着により、被処理体と接着処理が行われる接着層を有するフィルム(ラミネートフィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる))を用いてもよい。ラミネートフィルムは、最表面に設けられた接着層か、または最外層に設けられた層(接着層ではない)を加熱処理によって溶かし、加圧により接着することで、被処理体にフィルムを接着することが可能である。
【0070】
可撓性基板56としては、厚さが1μm〜500μm、好ましくは1μm〜100μm、更に好ましくは1〜50μmとする。このように厚さの薄い可撓性基板56を用いることで、薄型の半導体装置を作製することができる。
【0071】
ここでは、可撓性基板56として、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムを用いる。
【0072】
可撓性基板56に形成される開口部54は、可撓性基板にレーザ光を照射し可撓性基板の一部を溶融して形成することができる。また、可撓性基板を機械的に穴あけして開口部を形成することができる。
【0073】
以上の工程により、導電層を有する可撓性基板58を歩留まり高く形成することができる。また、十分な温度で導電層を形成する組成物の加熱が行えるため、抵抗値の低い導電層を有する可撓性基板を、歩留まり高く形成することが可能である。また、少ない工程数及び安全な工程で導電層を有する可撓性基板を形成することが可能である。また、基板の凹部に組成物を塗布することで、側面のうねりが低減された導電層を形成することができ、導電層の形状や太さのばらつきを低減することができる。さらには、細線化された導電層を有する可撓性基板を、歩留まり高く形成することが可能である。さらには、これらの導電層を用いてアンテナを形成する場合、同時に形成される複数のアンテナにおいてインダクタンスのばらつきの少ないアンテナを有する基板を形成することが出来る。また、起電力の高いアンテナを有する基板を形成することができる。
【0074】
(実施の形態2)
本実施の形態では、容易に導電層を形成する方法の一形態について図2を用いて説明する。なお、図2は、導電層を形成する工程の断面図を示す。
【0075】
図2(A)に示すように、平坦な表面を有する基板60を準備し、基板60表面に選択的に処理を施し図2(B)に示すような凹部62a、62bを形成する。
【0076】
基板60としては、導電層52a、52bの焼成温度に耐えうる耐熱性を有する基板が好ましく、代表的には、ガラス基板、石英基板、セラミック基板、金属基板、シリコンウェハ、有機樹脂基板等を用いることができる。
【0077】
基板に凹部62a、62bを形成する処理としては、レーザ光の照射、切削、フォトリソグラフィ工程で形成したレジストマスクを用いた基板のエッチング等がある。また、基板が有機樹脂基板の場合、有機樹脂基板を加熱し柔らかくした後、スタンパーを有機樹脂基板に押し付け取り外して、凹部を形成することができる。スタンパーとは、凹部と反転する形状が形成されているものであり、スタンパーを有機樹脂基板に押し付けた後、はずす事で凹部を形成することができる。
【0078】
ここでは、基板60にレーザ光61を照射して、図2(B)に示すように選択的に凹部62a、62bを形成する。
【0079】
次に、図2(C)に示すように、実施の形態1と同様に、凹部62a、62bを有する基板62上にシランカップリング剤を用いて酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51を形成し、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51上であって、且つ上記凹部62a、62bに導電層52a、52bを形成し、導電層52a、52bを覆う絶縁層53を形成する。
【0080】
次に、図2(D)に示すように、実施の形態1と同様に、絶縁層53の表面、代表的には絶縁層53の表面の一部または全部に粘着性を有する部材を貼りあわせた後、粘着性を有する部材を用いて物理的に酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51を分離する。
【0081】
次に、図2(E)に示すように、実施の形態1と同様に、導電層52a、52b及び絶縁層53の表面に残存する酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部51bを除去する。次に、開口部54を有する可撓性基板56を導電層52a、52b及び絶縁層53に貼り付ける。
【0082】
以上の工程により、導電層を有する可撓性基板58を歩留まり高く形成することができる。また、少ない工程数及び安全な工程で導電層を有する可撓性基板を形成することが可能である。また、基板の凹部に組成物を塗布することで、印刷された組成物の側面のうねりを低減することができ、導電層の形状や太さのばらつきを低減することができる。このため、導電層の抵抗値のばらつきを低減することが可能である。また、導電層のデザインに合わせて、基板に凹部を形成すればよいため、設計の選択肢を高めることができる。
【0083】
(実施の形態3)
本実施の形態では、異なる導電層の抵抗のばらつきを低減することが可能な導電層の形成方法について、図3を用いて説明する。ここでは、実施の形態1を用いて説明するが、実施の形態2を適用することもできる。
【0084】
図3(A)に示すように、実施の形態1と同様に凹部を有する基板50上にシランカップリング剤を用いて酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51を形成し、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51上であって、且つ上記凹部50a、50bに組成物70a、70bを塗布する。
【0085】
次に、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51の表面より盛り上がる組成物を除去し、表面を平らにする。または、組成物70a、70bにおいて、基板の平らな部分において形成される酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51の表面より低い位置に、組成物の表面が位置する領域に新たに組成物を充填する。
【0086】
代表的には、金属元素を有する粒子を含む組成物を凹部に形成し、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層及び組成物の表面をスキージ、ヘラを移動させて、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層及び組成物の表面を平らにさせる。こののち、組成物を加熱して金属元素を有する粒子を焼成することで、図3(B)に示すように、表面が平らな導電層63a、63bを形成する。次に、導電層63a、63bを覆う絶縁層53を形成する。
【0087】
次に、図3(C)に示すように、実施の形態1と同様に絶縁層53の表面、代表的には絶縁層53の表面の一部または全部に粘着性を有する部材を貼りあわせた後、粘着性を有する部材を用いて物理的に酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51を分離する。
【0088】
次に、図3(D)に示すように、実施の形態1と同様に、導電層63a、63b及び絶縁層53の表面に残存する酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部51bを除去する。次に、接着性有機樹脂55を用いて開口部54を有する可撓性基板56を導電層63a、63b及び絶縁層53に貼り付ける。
【0089】
以上の工程により、導電層を有する可撓性基板58を歩留まり高く形成することができる。また、少ない工程数及び安全な工程で導電層を有する可撓性基板を形成することが可能である。また、複数の導電層において形状、太さ、抵抗値等のばらつきを低減することができる。
【0090】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で作製した導電層を有する可撓性基板を用いて作製した半導体装置について図4を用いて説明する。なお、本実施の形態では半導体装置として、非接触でデータの送受信が可能な半導体装置(RFID(Radio Frequency Identification)タグ、ICチップ、ICタグ、IDチップ、IDタグ、RFチップ、RFタグ、無線チップ、無線タグとも呼ばれる。)を用いて説明するが、半導体装置として表示装置を用い、導電層として画素電極を作製することができる。さらには、上記画素電極を有する可撓性基板を表示装置に用いることができる。
【0091】
図4に示すように、導電層を有する可撓性基板58を集積回路に貼りあわせることで、半導体装置を作製することができる。ここでは、集積回路としてシリコンチップ121を用いて示す。なお、集積回路としてシリコンチップ121の代わりに、薄膜トランジスタで形成される集積回路を用いることもできる。
【0092】
代表的には、複数の素子が形成されるシリコンチップ121の接続端子123、124と、導電層52a、52bとを、異方性導電接着材125に含まれる導電性粒子126で接続することにより、MOSトランジスタ122と導電層52a、52bとを電気的に接続させる。複数の素子としては、MOSトランジスタ、容量素子、抵抗等がある。ここでは、複数の素子としてMOSトランジスタ122を示す。シリコンチップの厚さは0.1〜700μm、さらには0.1〜20μm、さらには1〜5μmであることが好ましい。
【0093】
接続端子123、124は、印刷法、電解めっき法、無電解めっき法、スパッタリング法、液滴吐出法等で、チタン、ニッケル、金、銅等を適宜用いて形成することができる。
【0094】
異方性導電接着材125の代表例としては、分散した導電性粒子126(粒径が、数nm〜数十μm)を含有する接着性樹脂であり、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。また、導電性粒子126は、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、または白金から選ばれた一元素、若しくは複数の元素で形成される。また、これらの元素の多層構造を有する粒子でも良い。更には、樹脂で形成された粒子の表面に、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、または白金から選ばれた一元素、若しくは複数の元素で形成される薄膜が形成された導電性粒子を用いてもよい。
【0095】
また、異方性導電接着材の代わりに、異方性導電フィルムの圧着や半田バンプを用いたリフロー処理等の手法により、接続端子123、124と導電層52a、52bとを接続してもよい。または、レーザ光の照射によって、導電層52a、導電性粒子126、接続端子123を接続させても良い。この場合、絶縁層53側から導電層52a、導電性粒子126、及び接続端子123が重なる領域にレーザ光を照射すると、導電層52a、導電性粒子126、及び接続端子123が、レーザ光のエネルギーにより溶融し、合金化するため、電気的に接続することができる。
【0096】
また、シール材を用いて導電層を有する可撓性基板同士を貼りあわせて、表示装置を作製することができる。ここでの表示装置としては、液晶表示装置、発光表示装置、電気泳動表示装置等がある。
【0097】
以上の工程により、非接触でデータの送受信が可能な半導体装置を歩留まり高く作製することができる。また、ばらつきの少ない半導体装置を作製することができる。また、少ない工程数及び安全な工程で半導体装置を形成することが可能であり、半導体装置のコストダウンが可能である。
【実施例1】
【0098】
本実施例では、非接触でデータの送受信が可能な半導体装置の作製工程を図6〜11を用いて説明する。本実施例では、薄膜トランジスタで形成される集積回路及びアンテナを貼り合わせて半導体装置を作製する例について示す。
【0099】
図6(A)に示すように、基板201上に剥離層202を形成し、剥離層202上に絶縁層203を形成し、絶縁層203上に薄膜トランジスタ204及び薄膜トランジスタを構成する導電層を絶縁する層間絶縁層205を形成し、薄膜トランジスタの半導体層に接続するソース電極及びドレイン電極206を形成する。次に、薄膜トランジスタ204、層間絶縁層205、ソース電極及びドレイン電極206を覆う絶縁層207を形成し、絶縁層207を介してソース電極またはドレイン電極206に接続する導電層208を形成する。
【0100】
基板201としては、ガラス基板、石英基板、金属基板やステンレス基板の一表面に絶縁層を形成したもの、本工程の処理温度に耐えうる耐熱性があるプラスチック基板等を用いる。上記に挙げた基板201には、大きさや形状に制約がないため、例えば、基板201として、1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを用いれば、生産性を格段に向上させることができる。この利点は、円形のシリコン基板を用いる場合と比較すると、大きな優位点である。
【0101】
剥離層202は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)から選択された元素、または上記元素のいずれかを主成分とする合金材料、または上記元素のいずれかを主成分とする化合物材料からなる層を、単層または積層して形成する。珪素を含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。
【0102】
剥離層202が単層構造の場合、好ましくは、タングステン層、モリブデン層、またはタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成する。または、タングステンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、またはタングステンとモリブデンの合金の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層を形成する。
【0103】
剥離層202が積層構造の場合、好ましくは、1層目としてタングステン層、モリブデン層、またはタングステンとモリブデンの合金層を形成し、2層目として、タングステン、モリブデンまたはタングステンとモリブデンの合金の酸化物、窒化物、または酸化窒化物を形成する。
【0104】
剥離層202として、タングステンを含む層とタングステンの酸化物を含む層の積層構造を形成する場合、タングステンを含む層を形成し、その上層に酸化物で形成される絶縁層を形成することで、タングステン層と絶縁層との界面に、タングステンの酸化物を含む層が形成されることを活用してもよい。さらには、タングステンを含む層の表面を、熱酸化処理、酸素プラズマ処理、N2Oプラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶液での処理等を行ってタングステンの酸化物を含む層を形成してもよい。これは、タングステンの窒化物、または酸化窒化物を含む層を形成する場合も同様であり、タングステンを含む層を形成後、その上層に窒化物を含む層、または酸化窒化物を含む層を形成するとよい。
【0105】
タングステンの酸化物は、WOxで表される。Xは、2≦x≦3の範囲内にあり、xが2の場合(WO2)、xが2.5の場合(W2O5)、xが2.75の場合(W4O11)、xが3の場合(WO3)などがある。
【0106】
また、上記の工程によると、基板201に接するように剥離層202を形成しているが、本発明はこの工程に制約されない。基板201に接するように下地となる絶縁層を形成し、その絶縁層に接するように剥離層202を設けてもよい。
【0107】
絶縁層203は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、無機化合物を用いて単層または積層で形成する。無機化合物の代表例としては、酸化珪素、窒化珪素、または酸化窒化珪素が挙げられる。
【0108】
さらには、絶縁層203を積層構造としても良い。例えば、無機化合物を用いて積層してもよく、代表的には、酸化珪素、窒化酸化珪素、または酸化窒化珪素のいずれか2層以上を積層して形成しても良い。
【0109】
薄膜トランジスタ204は、ソース領域、ドレイン領域、及びチャネル形成領域を有する半導体層、ゲート絶縁層、並びにゲート電極で構成される。
【0110】
半導体層は、結晶構造を有する半導体で形成される層であり、非単結晶半導体若しくは単結晶半導体を用いることができる。特に、加熱処理により結晶化させた結晶性半導体、加熱処理とレーザ光の照射を組み合わせて結晶化させた結晶性半導体を適用することが好ましい。加熱処理においては、シリコン半導体の結晶化を助長する作用のあるニッケルなどの金属元素を用いた結晶化法を適用することができる。また、シリコン半導体の結晶化工程における加熱により、剥離層202及び絶縁層203の界面において、剥離層の表面を酸化して金属酸化物層を形成することが可能である。
【0111】
加熱処理に加えてレーザ光を照射して結晶化する場合には、連続発振レーザ光の照射若しくは繰り返し周波数が10MHz以上であって、パルス幅が1ナノ秒以下、好ましくは1乃至100ピコ秒である高繰返周波数超短パルス光を照射することによって、結晶性半導体が溶融した溶融帯を、当該レーザ光の照射方向に連続的に移動させながら結晶化を行うことができる。このような結晶化法により、大粒径であって、結晶粒界が一方向に延びる結晶性半導体を得ることができる。キャリアのドリフト方向を、この結晶粒界が延びる方向に合わせることで、トランジスタにおける電界効果移動度を高めることができる。例えば、400cm2/V・sec以上を実現することができる。
【0112】
上記結晶化工程を、ガラス基板の耐熱温度(約600℃)以下の結晶化プロセスを用いる場合、大面積ガラス基板を用いることが可能である。このため、基板あたり大量の半導体装置を作製することが可能であり、低コスト化が可能である。
【0113】
また、ガラス基板の耐熱温度以上の加熱により、結晶化工程を行い、半導体層1302を形成してもよい。代表的には、基板201に石英基板を用い、非晶質若しくは微結晶質の半導体を700度以上で加熱して半導体層を形成する。この結果、結晶性の高い半導体を形成することが可能である。このため、応答速度や移動度などの特性が良好で、高速な動作が可能な薄膜トランジスタを提供することができる。
【0114】
ゲート絶縁層は、酸化珪素及び酸化窒化珪素などの無機絶縁物で形成する。
【0115】
ゲート電極は、金属または一導電型の不純物を添加した多結晶半導体で形成することができる。金属を用いる場合は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)などを用いることができる。また、金属を窒化させた金属窒化物を用いることができる。或いは、当該金属窒化物からなる第1層と当該金属から成る第2層とを積層させた構造としても良い。積層構造とする場合には、第1層の端部が第2層の端部より外側に突き出した形状としても良い。このとき第1層を金属窒化物とすることで、バリアメタルとすることができる。すなわち、第2層の金属が、ゲート絶縁層やその下層の半導体層に拡散することを防ぐことができる。
【0116】
半導体層、ゲート絶縁層、ゲート電極などを組み合わせて構成される薄膜トランジスタは、シングルドレイン構造、LDD(低濃度ドレイン)構造、ゲートオーバーラップドレイン構造など各種構造を適用することができる。ここでは、シングルドレイン構造の薄膜トランジスタを示す。さらには、等価的には同電位のゲート電圧が印加されるトランジスタが直列に接続された形となるマルチゲート構造、半導体層の上下をゲート電極で挟むデュアルゲート構造、絶縁層203上にゲート電極が形成され、ゲート電極上にゲート絶縁層、半導体層が形成される逆スタガ型薄膜トランジスタ等を適用することができる。
【0117】
ソース電極及びドレイン電極206は、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造、モリブデン(Mo)とアルミニウム(Al)との積層構造など、アルミニウム(Al)のような低抵抗材料と、チタン(Ti)やモリブデン(Mo)などの高融点金属材料を用いたバリアメタルとの組み合わせで形成することが好ましい。
【0118】
層間絶縁層205及び絶縁層207は、ポリイミド、アクリル、またはシロキサンポリマーを用いて形成する。
【0119】
さらには、薄膜トランジスタ204の代わりにスイッチング素子として機能し得る半導体素子であれば、どのような構成で設けてもよい。スイッチング素子の代表例としては、MIM(Metal−Insulator−Metal)、ダイオード等が挙げられる。
【0120】
次に、図6(B)に示すように、導電層208上に導電層211を形成する。ここでは、印刷法により銀粒子を有する組成物を印刷し、200℃で30分加熱して組成物を焼成して導電層211を形成する。
【0121】
次に、図6(C)に示すように、絶縁層207及び導電層211の端部を覆う絶縁層212を形成する。ここでは、エポキシ樹脂をスピンコート法により塗布し、160℃で30分加熱した後、導電層211を覆う部分の絶縁層を除去して、導電層211を露出すると共に、絶縁層212を形成する。ここでは、絶縁層203から絶縁層212までの積層体を素子形成層210とする。
【0122】
次に、図6(D)に示すように、後の剥離工程を容易に行うために、レーザ光213を絶縁層203、205、207、212に照射して、図6(E)に示すような開口部214を形成する。次に、絶縁層212に粘着性を有する部材215を貼りあわせる。開口部214を形成するために照射するレーザ光としては、絶縁層203、205、207、212が吸収する波長のレーザ光が好ましい。代表的には、紫外領域、可視領域、または赤外領域のレーザ光を適宜選択して照射する。
【0123】
このようなレーザ光を発振することが可能なレーザ発振器としては、ArF、KrF、XeCl等のエキシマレーザ発振器、He、He−Cd、Ar、He−Ne、HF、CO2等の気体レーザ発振器、YAG、GdVO4、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶にCr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、TiまたはTmをドープした結晶、ガラス、ルビー等の固体レーザ発振器、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザ発振器を用いることができる。なお、固体レーザ発振器においては、基本波〜第5高調波を適宜適用するのが好ましい。この結果、絶縁層203、205、207、212がレーザ光を吸収し溶融して開口部が形成される。
【0124】
なお、レーザ光を絶縁層203、205、207、212に照射する工程を削除することで、スループットを向上させることが可能である。
【0125】
次に、図7(A)に示すように、剥離層202及び絶縁層203の界面に形成される金属酸化物層において、剥離層を有する基板201及び素子形成層の一部221を物理的手段により剥離する。物理的手段とは、力学的手段または機械的手段を指し、何らかの力学的エネルギー(機械的エネルギー)を変化させる手段を指している。物理的手段は、代表的には機械的な力を加えること(例えば人間の手や把持具による剥離や、ローラーを回転させる分離処理)である。
【0126】
本実施例においては、剥離層と絶縁層の間に金属酸化膜を形成し、当該金属酸化膜において物理的手段により、素子形成層210を剥離する方法を用いたがこれに限られない。基板に透光性を有する基板を用い、剥離層に水素を含む非晶質珪素層を用い、図6(E)の工程の後、基板側からのレーザ光を照射して非晶質珪素膜に含まれる水素を気化させて、基板と剥離層との間で剥離する方法を用いることができる。
【0127】
また、図6(E)の工程の後、基板を機械的に研磨し除去する方法や、HF等の基板を溶解する溶液を用いて基板を除去する方法を用いることができる。この場合、剥離層を用いなくともよい。
【0128】
また、図6(E)において、粘着性を有する部材215を絶縁層212に貼りあわせる前に、開口部214にNF3、BrF3、ClF3等のフッ化ハロゲンガスを導入し、剥離層をフッ化ハロゲンガスでエッチングし除去した後、絶縁層212に粘着性を有する部材215を貼りあわせて、基板から素子形成層210を剥離する方法を用いることができる。
【0129】
また、図6(E)において、粘着性を有する部材215を絶縁層212に貼りあわせる前に、開口部214にNF3、BrF3、ClF3等のフッ化ハロゲンガスを導入し、剥離層の一部をフッ化ハロゲンガスでエッチングし除去した後、絶縁層212に粘着性を有する部材215を貼りあわせて、基板から素子形成層210を物理的手段により剥離する方法を用いることができる。
【0130】
次に、図7(A)に示すように、剥離層202から素子形成層の一部221を剥離する。
【0131】
次に、図7(B)に示すように、素子形成層の一部221の絶縁層203に、可撓性基板222を貼り付ける。次に、粘着性を有する部材215を素子形成層の一部221から剥す。
【0132】
次に、図7(C)に示すように、可撓性基板222をダイシングフレーム232のUVテープ231に貼り付ける。UVテープ231は粘着性を有するため、UVテープ231上に可撓性基板222が固定される。この後、導電層211にレーザ光を照射して、導電層211と導電層208の間の密着性を高めてもよい。
【0133】
次に、図7(D)に示すように、導電層211上に接続端子233を形成する。接続端子233を形成することで、後にアンテナとして機能する導電層との位置合わせ及び接着を容易に行うことが可能である。
【0134】
次に、図8(A)に示すように、絶縁層212および接続端子233上に異方性導電接着材または異方性導電フィルムを設ける。ここでは、有機樹脂235に導電性粒子236が分散された異方性導電接着材237を設ける。
【0135】
素子形成層の一部221を分断する。ここでは、図8(B)にしめすように、異方性導電接着材237、素子形成層の一部221、及び可撓性基板222にレーザ光234を照射する。この結果、図8(C)に示すような溝241を形成し、素子形成層の一部221を複数に分断する。レーザ光234は、レーザ光213に記載のレーザ光を適宜選択して適用することができる。ここでは、絶縁層203、205、207、212及び可撓性基板222が吸収可能なレーザ光を選択することが好ましい。なお、ここでは、レーザカット法を用いて素子形成層の一部を複数に分断したが、この方法の代わりにダイシング法、スクライビング法等を適宜用いることができる。この結果分断された素子形成層を薄膜集積回路242a、242bと示す。
【0136】
次に、図8(D)に示すように、ダイシングフレーム232のUVシートにUV光を照射して、UVシートの粘着力を低下させた後、薄膜集積回路242a、242bをエキスパンダ枠244の粘着シート243に貼り付ける。このとき、粘着シート243を伸ばしながら薄膜集積回路242a、242bを粘着シート243に貼りあわせることで、薄膜集積回路242a、242bの間に形成された溝241の幅を拡大することができる。なお、拡大された溝246は、後に薄膜集積回路242a、242bに貼りあわせられるアンテナ基板の大きさにあわせることが好ましい。
【0137】
次に、アンテナとして機能する導電層を有する可撓性基板を作製する。はじめに図9(A)に示すように、凹部を有する基板250上に剥離層としてシランカップリング剤を用いて、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層251を形成する。次に、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層251上にアンテナとして機能する導電層252a、252bを形成する。次に、導電層252a、252bを覆う絶縁層253を形成する。
【0138】
ここでは、基板250としてガラス基板を用い、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層251としてフルオロアルキルシランを用い、基板250を170度で10分間加熱して基板表面にフルオロアルキルシランを蒸着したのち、エタノール及び純水で洗浄して数nm〜数十nmの酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層を形成する。また、導電層252a、252bは、銀粒子を含む組成物を印刷法により塗布し、300℃で30分間加熱し焼成して膜厚30μmの導電層を形成する。絶縁層253としては、エポキシ樹脂を印刷法により塗布し、160度で30分加熱し焼成して膜厚30μmの絶縁層253を形成する。
【0139】
このときのアンテナとして機能する導電層の形状は、半導体装置における信号の送受信方式が電磁結合方式または電磁誘導方式(例えば13.56MHz帯)を適用する場合には、磁界密度の変化による電磁誘導を利用するため、図11(A)に示すように、方形コイル状271や、円形コイル状(例えば、スパイラルアンテナ)とすることができる。また、図11(B)に示すように方形ループ状272や円形ループ状とすることができる。
【0140】
また、マイクロ波方式(例えば、UHF帯(860〜960MHz帯)、2.45GHz帯等)を適用する場合には、信号の送受信に用いる電磁波の波長を考慮してアンテナとして機能する導電層の長さ等の形状を適宜設定すればよく、図11(C)に示すように直線型ダイポール状273や曲線型ダイポール状、面状(例えば、パッチアンテナ)とすることができる。
【0141】
次に、図9(B)に示すように、絶縁層253上に粘着性を有する部材254を貼り付けた後、粘着性を有する部材254を矢印の方向引き上げる。この結果、図9(C)に示すように、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層が分離され、基板250と導電層252a、252b及び絶縁層253とを剥離する。このとき、基板250上には、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部251bが残存し、導電層252a、252b及び絶縁層253には、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部251aが残存する。
【0142】
次に、図9(D)に示すように、導電層252a、252b及び絶縁層253の表面に残存する酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部を除去した後、開口部255が形成された可撓性基板256と、導電層252a、252b及び絶縁層253とを接着材258で貼りあわせる。なお、このとき、開口部255から導電層252a、252bの一部が露出するように、可撓性基板256と導電層252a、252bとを位置合わせする。
【0143】
以上の工程により、アンテナとして機能する導電層252a、252bを有する可撓性基板257を形成する。
【0144】
次に、図10(A)に示すように、アンテナとして機能する導電層252a、252bを有する可撓性基板257と、薄膜集積回路242a、242bとを異方性導電接着材237を用いて貼りあわせる。このとき、アンテナとして機能する導電層252a、252bと薄膜集積回路242a、242bの接続端子とが、異方性導電接着材237に含まれる導電性粒子236とで接続されるように、位置合わせしながら貼りあわせる。
【0145】
次に、図10(B)に示すように、アンテナとして機能する導電層252a、252bと、薄膜集積回路242a、242bとが形成されない領域において、分断する。ここでは、絶縁層253、接着材258、及び可撓性基板256にレーザ光261を照射するレーザカット法により分断を行う。
【0146】
以上の工程により、図10(C)に示すように、非接触でデータの送受信が可能な半導体装置262a、262bを作製することができる。
【0147】
なお、図10(A)において、アンテナとして機能する導電層252a、252bを有する可撓性基板256と、薄膜集積回路242a、242bとを異方性導電接着材255a、255bを用いて貼りあわせた後、可撓性基板256と薄膜集積回路242a、242bとを封止するように可撓性基板を設けた後、図10(B)のように、アンテナとして機能する導電層252a、252bと、薄膜集積回路242a、242bとが形成されない領域において、レーザ光261照射して、図10(D)に示すような半導体装置263を作製してもよい。この場合、分断された可撓性基板256、264によって、薄膜集積回路が封止されるため、薄膜集積回路の劣化を抑制することが可能である。
【0148】
以上の工程により、薄型化で軽量な半導体装置を歩留まり高く作製することが可能である。また、ばらつきの少ない半導体装置を作製することができる。また、少ない工程数及び安全な工程で半導体装置を作製することが可能である。
【実施例2】
【0149】
上記実施例の非接触でデータの送受信が可能な半導体装置の構成について、図13を参照して説明する。
【0150】
本実施例の半導体装置は、大別して、アンテナ部2001、電源部2002、ロジック部2003から構成される。
【0151】
アンテナ部2001は、外部信号の受信とデータの送信を行うためのアンテナ2011からなる。また、半導体装置における信号の送受信方式は、電磁結合方式、電磁誘導方式またはマイクロ波方式等を用いることができる。送受信方式は、実施者が使用用途を考慮して適宜選択すればよく、送受信方式に伴って最適なアンテナを設ければよい。
【0152】
電源部2002は、アンテナ2011を介して外部から受信した信号により電源を作る整流回路2021と、作りだした電源を保持するための保持容量2022と、各回路に供給する一定電圧を作り出す定電圧回路2023からなる。
【0153】
ロジック部2003は、受信した信号を復調する復調回路2031と、クロック信号を生成する クロック生成・補正回路2032と、コード認識及び判定回路2033と、メモリからデータを読み出すための信号を受信信号により作り出すメモリコントローラ2034と、符号化した信号を受信信号にのせるための変調回路2035と、読み出したデータを符号化する符号化回路2037と、データを保持するマスクROM2038とを有する。なお、変調回路2035は変調用抵抗2036を有する。
【0154】
コード認識及び判定回路2033が認識・判定するコードは、フレーム終了信号(EOF、end of frame)、フレーム開始信号(SOF、start of frame)、フラグ、コマンドコード、マスク長(mask length)、マスク値(mask value)等である。また、コード認識及び判定回路2033は、送信エラーを識別する巡回冗長検査(CRC、cyclic redundancy check)機能も含む。
【0155】
本実施例の半導体装置は、同時に形成される複数のアンテナにおいてインダクタンスのばらつきの少ないアンテナを用いることが出来る。また、起電力の高いアンテナを用いることができる。この結果、バラツキの少ない半導体装置を作製することが可能である。さらには、可撓性基板上に形成される導電層を用いることで、半導体装置の小型化、薄型化、及び軽量化が可能である。また、少ない工程数及び安全な工程で半導体装置を作製することが可能である。
【実施例3】
【0156】
本発明の非接触でデータの送受信が可能な半導体装置は、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、包装用容器類、書籍類、記録媒体、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子機器等に設けて使用することができる。これらの例に関して図14、図15を用いて説明する。
【0157】
図14(A)は、本発明に係る半導体装置9010を内蔵したラベルの完成品の状態の一例である。ラベル台紙(セパレート紙)9118上に、半導体装置9010を内蔵したラベル9020が形成されている。ラベル9020は、ボックス9119内に収納されている。また、ラベル上には、その商品や役務に関する情報(商品名、ブランド、商標、商標権者、販売者、製造者等)が記されており、一方、半導体装置9010には、その商品(または商品の種類)固有のIDナンバーが付されており、偽造や、商標権、特許権等の知的財産権侵害、不正競争等の不法行為を容易に把握することができる。また、半導体装置9010内には、商品の容器やラベルに明記しきれない多大な情報、例えば、商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状、価格、生産方法、使用方法、生産時期、使用時期、賞味期限、取扱説明、商品に関する知的財産情報等を入力しておくことができ、取引者や消費者は、簡易なリーダによって、それらの情報にアクセスすることができる。また、生産者側からは容易に書換え、消去等も可能であるが、取引者、消費者側からは書換え、消去等ができない仕組みになっている。
【0158】
図14(B)は、半導体装置を内蔵したタグ9120を示している。半導体装置を内蔵したタグを商品に備え付けることにより、商品管理が容易になる。例えば、商品が盗難された場合に、商品の経路を辿ることによって、その犯人を迅速に把握することができる。このように、半導体装置を内蔵したタグを備えることにより、所謂トレーサビリティ(traceablity;複雑化した製造、流通の各段階で問題が生じた場合に、経路を遡ることによって、その原因を迅速に把握できる態勢を整えること。)に優れた商品を流通させることができる。
【0159】
図14(C)は、本発明に係る半導体装置を内蔵したIDカード9141の完成品の状態の一例である。上記IDカードとしては、キャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、電子乗車券、電子マネー、テレフォンカード、会員カード等のあらゆるカード類が含まれる。
【0160】
図14(D)は、本発明に係る半導体装置9010を内蔵した無記名債券9122の完成品の状態の一例である。上記無記名債券類には、切手、切符、チケット、入場券、商品券、図書券、文具券、ビール券、おこめ券、各種ギフト券、各種サービス券等が含まれるが、勿論これらに限定されるものではない。また、無記名債券に限らず小切手、証券、約束手形等の有価証券類、運転免許証、住民票等の証書類等に設けることもできる。
【0161】
図14(E)は、半導体装置9010を内蔵した商品を包装するための包装用フィルム類9127を示している。包装用フィルム類9127は、例えば、下層フィルム上に、半導体装置9010を任意にばらまき、上層フィルムで覆うことによって作製することができる。包装用フィルム類9127は、ボックス9129に収納されており、所望の量だけカッター9128で切り離して利用することができる。なお、包装用フィルム類9127としての素材は特に制限されない。例えば、薄膜樹脂、アルミ箔、紙等を用いることができる。
【0162】
図15(A)、(B)は、本発明に係る半導体装置9010を内蔵したラベル9020を貼付した書籍9123、ペットボトル9124を示している。なお、もちろんこれらに限定されず、お弁当等の包装紙等の包装用容器類、DVDソフト、ビデオテープ等の記録媒体、自転車等の車両、船舶等の乗物類、鞄、眼鏡等の身の回り品、食料品、飲料等の食品類、衣服、履物等の衣類、医療器具、健康器具等の保健用品類、家具、照明器具等の生活用品類、医薬品、農薬等の薬品類、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ受像機、薄型テレビ受像機)、携帯電話等の電子機器等様々な物品に設けることができる。本発明に用いられる半導体装置は非常に薄いため、上記書籍等の物品にラベルを搭載しても、機能、デザイン性を損ねることがない。更に、本発明の半導体装置の場合、アンテナ及びチップを一体形成でき、曲面を有する商品に直接転写することが容易になる。
【0163】
図15(C)は、果物類9131の生鮮食品に、直接ラベル9020を貼り付けた状態を示している。また、なお、ラベルを商品に貼り付けた場合、剥がされる可能性があるが、包装用フィルム類によって商品をくるむと、包装用フィルム類を剥がすのは困難であるため、防犯対策上多少のメリットがある。
【0164】
紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類等に本発明の半導体装置を設けることにより、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、書籍類、記録媒体等、身の回り品、食品類、生活用品類、電子機器等に本発明の半導体装置を設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。乗物類、保健用品類、薬品類等に本発明の半導体装置を設けることにより、偽造や盗難の防止、薬品類ならば、薬の服用の間違いを防止することができる。
【0165】
このように、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に本発明の半導体装置を設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。また乗物類に本発明の半導体装置を設けることにより、偽造や盗難を防止することができる。
【0166】
以上のように、本発明の半導体装置は物品あればどのようなものにでも設けて使用することができる。本発明の半導体装置は、より薄く湾曲しやすいため、物品に貼り付けた際に違和感なく用いることができる。なお、本実施の形態は、他の実施の形態、実施例と自由に組み合わせて行うことができる。
【実施例4】
【0167】
次に、上記実施の形態で作製した画素電極を有する可撓性基板を用いた半導体装置の一例として、表示モジュールを図16を用いて説明する。図16は表示パネル9801と、回路基板9802を組み合わせたモジュールを示している。回路基板9802には、例えば、コントロール回路9804や信号分割回路9805などが形成されている。また、表示パネル9801と回路基板9802とは、FPC9803で接続されている。表示パネル9801に、液晶表示パネル、発光表示パネル、電気泳動表示パネル等を適宜用いることができる。
【0168】
この表示パネル9801は、画素部9806と、走査線駆動回路9807、選択された画素にビデオ信号を供給する信号線駆動回路9808を備えている。画素部9806の画素電極が形成される基板を上記実施の形態で示す方法により作製することができる。また、FPC9803を上記実施の形態で示す方法により作製することができる。また、走査線駆動回路9807や信号線駆動回路9808は、異方性導電接着材、及び異方性導電フィルムを用いた実装方法、COG方式、ワイヤボンディング方法、並びに半田バンプを用いたリフロー処理等の手法により、基板上にICチップで形成される走査線駆動回路9807、信号線駆動回路9808を実装する。
【0169】
本実施例により、歩留まり高く表示パネルを有するモジュールを作製することができる。また、ばらつきの少ない半導体装置を作製することができる。
【実施例5】
【0170】
上記実施の形態及び実施例に示される半導体装置を有する電子機器として、テレビジョン装置(単にテレビ、またはテレビジョン受信機ともよぶ)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、携帯電話装置(単に携帯電話機、携帯電話ともよぶ)、PDA等の携帯情報端末、コンピュータ用のモニター、コンピュータ、カーオーディオやデジタルプレーヤー等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の記録媒体を備えた画像再生装置等が挙げられる。その具体例について、図17を参照して説明する。
【0171】
図17(A)に示す携帯情報端末は、本体9201、表示部9202等を含んでいる。表示部9202は、上記実施例で示す可撓性基板を用いた表示パネルを有するモジュールを適用することができる。本発明の一である半導体装置を用いることにより、軽量で小型の携帯情報端末を提供することができる。
【0172】
図17(B)に示すデジタルビデオカメラは、表示部9701、表示部9702等を含んでいる。表示部9701は、上記実施例で示す可撓性基板を用いた表示パネルを有するモジュールを適用することができる。本発明の一である半導体装置を用いることにより、小型のデジタルビデオカメラを提供することができる。
【0173】
図17(C)に示す携帯端末は、本体9101、表示部9102等を含んでいる。表示部9102は、上記実施例で示す可撓性基板を用いた表示パネルを有するモジュールを適用することができる。本発明の一である半導体装置を用いることにより、小型の携帯端末を提供することができる。
【0174】
図17(D)に示すデジタルプレーヤーは、本体9751、表示部9752、メモリ部9753、操作部9754、イヤホン9755等を含んでいる。表示部9752は、上記実施例で示す可撓性基板を用いた表示パネルを有するモジュールを適用することができる。なお、イヤホン9755の代わりにヘッドホンや無線式イヤホンを用いることができる。なお、表示部9752は黒色の背景に白色の文字を表示することで消費電力を抑えられる。これは携帯型のオーディオ装置において特に有効である。本発明の一である半導体装置を用いることにより、軽量で小型の携帯型のデジタルプレーヤーを提供することができる。
【0175】
図17(E)に示す携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含んでいる。表示部9402は、上記実施例で示す可撓性基板を用いた表示パネルを有するモジュールを適用することができる。本発明の一である半導体装置を用いることにより、軽量で小型の携帯型のコンピュータを提供することができる。
【0176】
図17(F)に示すテレビジョン装置は、本体9501、表示部9502等を含んでいる。表示部9502は、上記実施例で示す可撓性基板を用いた表示パネルを有するモジュールを適用することができる。本発明の一である半導体装置を用いることにより、薄型のテレビジョン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】本発明の導電層の形成工程を示した断面図である。
【図2】本発明の導電層の形成工程を示した断面図である。
【図3】本発明の導電層の形成工程を示した断面図である。
【図4】本発明の導電層を有する半導体装置を示した断面図である
【図5】本発明の導電層の形成工程を示した上面図である。
【図6】本発明の半導体装置の作製工程を示した断面図である。
【図7】本発明の半導体装置の作製工程を示した断面図である。
【図8】本発明の半導体装置の作製工程を示した断面図である。
【図9】本発明の半導体装置の作製工程を示した断面図である。
【図10】本発明の半導体装置の作製工程を示した断面図である。
【図11】本発明に適用可能なアンテナの構造を示した上面図である。
【図12】本発明の導電層の形成工程を示したモデル図である。
【図13】本発明の半導体装置の構成を示した図である。
【図14】本発明の半導体装置の応用例を示した図である。
【図15】本発明の半導体装置の応用例を示した図である。
【図16】本発明の半導体装置を有する電子機器を示した図である。
【図17】本発明の半導体装置を有する電子機器を示した図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電層及び導電層を有する基板の形成方法に関する。また、導電層を有する半導体装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可撓性基板上にアンテナ、画素電極、配線等として機能する導電層を形成する方法として、スクリーン印刷法により金属元素を有する粒子を含む組成物を可撓性基板上に印刷した後、組成物を加熱し焼成して導電層を形成する方法や、メッキ法を用いて可撓性基板上に導電層を形成する方法がある。
【特許文献1】特開2004−310502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
金属元素を有する粒子を含む組成物を用いて抵抗の低い導電層を形成するためには、高温、代表的には200℃以上で加熱し焼成することが好ましい。しかしながら、可撓性基板は材質によりガラス転移温度が低く、金属元素を有する粒子を含む組成物の焼成温度より低いものもある。このため、可撓性基板上に金属元素を有する粒子を含む組成物を直接印刷し、加熱し焼成して抵抗の低い導電層を形成すると、可撓性基板が変形してしまうという問題があった。
【0004】
一方、メッキ法は焼成工程を必要とせず、室温〜100度程度の比較的低温で低抵抗の導電層を形成することが可能である。しかしながら、メッキ法は、硫酸、塩酸、シアン化合物等の危険な薬品を使用する問題や、廃液が公害となる問題があった。
【0005】
また、スクリーン印刷法によって組成物を基板上に印刷する場合、スクリーンの網目の開口部を充填して塗布された組成物同士が、接して繋がり、線状の組成物となる。このため、開口部を充填して塗布された組成物の領域と、つながった組成物の領域とでは、太さが異なるとともに、側面において湾曲した(うねった)形状の組成物が形成される。
【0006】
このため、複数の導電層を形成する場合、各導電層によって、太さや形状のばらつきがあり、この結果導電層の抵抗値にもバラツキが生じるという問題がある。
【0007】
このような導電層を用いて無線によるデータの受信や送信が可能な無線チップ(IDタグ、ICタグ、ICチップ、RF(Radio Frequency)タグ、無線タグ、電子タグ、RFID(Radio Frequency Identification)ともよばれる)等のアンテナを形成すると、複数のアンテナにおいてインダクタンスが変化し、無線チップごとに共振周波数及びそれに伴う起電力のばらつきが生じるという問題がある。
【0008】
以上のことを踏まえ、本発明は、抵抗値のばらつきの少ない導電層及び導電層を有する可撓性基板を歩留まり高く形成方法を提供する。また、小型化、薄型化、及び軽量化された半導体装置の作製方法を提供する。また、少ない工程数及び安全な工程で安価な半導体装置を作製する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、凹部を有する基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、前記剥離層上であって且つ、凹部に導電層を形成し、導電層を覆う絶縁層を形成し、絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、基板から導電層を剥離することを要旨とする。
【0010】
また、本発明は、凹部を有する基板上に酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層を形成し、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層上であって且つ上記凹部に導電層を形成し、導電層を覆う絶縁層を形成し、絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層において、基板から導電層を剥離することを要旨とする。
【0011】
また、本発明は、凹部を有する基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、前記剥離層上であって且つ、凹部に導電層を形成し、導電層を覆う絶縁層を形成し、絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、基板から導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離し、導電層及び前記導電層を覆う絶縁層に可撓性基板を貼りあわせることを要旨とする。
【0012】
また、本発明は、基板に凹部を形成し、凹部を有する基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、前記剥離層上であって且つ、凹部に導電層を形成し、導電層を覆う絶縁層を形成し、絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、基板から導電層を剥離することを要旨とする。
【0013】
また、本発明は、基板に凹部を形成し、凹部を有する基板上に酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層を形成し、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層上であって且つ上記凹部に導電層を形成し、導電層を覆う絶縁層を形成し、絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層において、基板から導電層を剥離することを要旨とする。
【0014】
本発明は、凹部を有する基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、前記剥離層上であって且つ、凹部に導電層を形成し、導電層を覆う絶縁層を形成し、絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、基板から導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離し、導電層に可撓性基板を貼りあわせることを要旨とする。
【0015】
また、本発明は、凹部を有する基板上に酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層を形成し、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層上であって且つ上記凹部に導電層を形成し、導電層を覆う絶縁層を形成し、絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層において基板から導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離し、導電層に可撓性基板を貼りあわせることを要旨とする。
【0016】
また、本発明は、上記導電層または上記導電層を有する可撓性基板を有する半導体装置を要旨とする。
【0017】
なお、導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離した後、導電層及び前記導電層を覆う絶縁層の一表面に残存する酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層を除去してもよい。また、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層を除去した後、導電層及び前記導電層を覆う絶縁層に可撓性基板を貼りあわせてもよい。
【0018】
導電層としては、配線、電極、画素電極、アンテナ等である。
【0019】
また、導電層を覆う絶縁層は、導電層の劣化や酸化を防止する保護膜として機能することが好ましい。
【0020】
導電層の形成方法としては、液滴吐出法や、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷、またはグラビア印刷等の印刷法等がある。また、メタルマスクを用いた蒸着法、CVD法、スパッタリング法等がある。更には、当該方法を複数用いることもできる。
【0021】
組成物を用いて導電層を形成する場合、加熱温度は、室温以上400℃未満、好ましくは200℃以上350℃以下、さらに好ましくは200℃以上300℃以下が望ましい。組成物の加熱温度が室温より低いと、組成物の焼成が不十分である。また、400℃以上の温度で加熱すると、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層が反応してしまい、後に基板から導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を容易に剥離することが困難となる。
【0022】
導電層がアンテナとして機能する導電層である場合、半導体装置の代表例としては、非接触でデータの送受信が可能な半導体装置がある。また、導電層が画素電極である場合、半導体装置の代表例としては表示装置がある。
【発明の効果】
【0023】
酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層は、物理的力で分離されやすいため、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層上の導電層を、基板から剥離することができる。このため、耐熱性を有する基板上で形成した導電層を基板から剥離し、導電層を容易に形成することが可能である。
【0024】
また、当該導電層を耐熱性の低い可撓性基板に貼り付けて、導電層を有する可撓性基板を形成することができる。このため、形成工程において可撓性基板のガラス転移温度以上の焼成が必要な組成物を用いて、導電層を、歩留まり高く形成することが可能である。また、金属元素を有する粒子を含む組成物を用いる場合、抵抗値のばらつきの少ない導電層を有する可撓性基板を、歩留まり高く形成することが可能である。
【0025】
また、基板の凹部に組成物を塗布することで、印刷された組成物の側面のうねりを低減することができ、形状や太さのばらつきを低減することができる。また、組成物の幅を制御することが可能であり、細線化が可能である。また、フォトリソグラフィ工程を用いなくとも導電層を形成することができるため、プロセス数及び材料を削減することが可能であり、コストダウンを図ることができる。
【0026】
このような導電層をアンテナに用いることで、インダクタンスのばらつきの少ないアンテナを形成することが出来る。また、起電力の高いアンテナを形成することができる。また、このような層を配線、画素電極等に用いることで、歩留まり高く半導体装置を作製することが可能である。さらには、このような層を有する可撓性基板を用いることで、半導体装置の小型化、薄型化、及び軽量化が可能である。また、少ない工程数及び安全な工程で半導体装置を作製することが可能であり、半導体装置のコストダウンが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる形態で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0028】
(実施の形態1)
本実施の形態では、容易に導電層を形成する方法の一形態について図1、5、及び12を用いて説明する。なお、図1は、導電層を形成する工程の断面図を示し、図5は図1(A)の上面図を示す。図1の断面図A−Bは、図5の上面図のA−Bの領域に対応する。また、ここでの導電層は、アンテナとして機能する。また、導電層として、アンテナ以外の画素電極、配線、電極等の形成する方法に適用することができる。
【0029】
図1(A)に示すように、凹部50a、50bを有する基板50を準備する。
【0030】
基板50としては、導電層52a、52bの焼成温度に耐えうる耐熱性を有する基板が好ましく、代表的には、ガラス基板、石英基板、セラミック基板、金属基板、シリコンウェハ、有機樹脂層等を用いることができる。
【0031】
凹部50a、50bの断面形状は、三角形、四角形、台形、多角形、半円等適宜用いることができる。なお、凹部50a、50bにおいて、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層を均一に分離するためには、半円形、台形、多角形の形状が好ましい。のちに、可撓性基板の開口部を介して導電層52a、52bが他の導電材料と接続する場合、接触面積を高めるために、凹部50a、50bの断面形状を四角形、台形、多角形、半円等の形状とすることが好ましい。ここでは、基板50としてガラス基板を用いる。また、凹部50a、50bの断面形状としては台形を用いる。
【0032】
次に、図1(B)に示すように、凹部50a、50bを有する基板50上にシランカップリング剤を用いて酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51を剥離層として形成し、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51上であって、且つ上記凹部50a、50bに導電層52a、52bを形成し、導電層52a、52bを覆う絶縁層53を形成する。
【0033】
酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51としては、基板50との密着性が高く、且つ表面エネルギーが後に塗布される組成物と比較して小さい層を形成することが好ましい。酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51は、シランカップリング剤を用いて形成される。シランカップリング剤とは、Rn−Si−X(4−n)(n=1、2、3)(Rは、アルキル基、アリール基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基から選ばれた少なくとも一種の官能基、Xは、アルコキシ基)で示される珪素化合物である。また、シランカップリング剤を用いて形成した層は、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層となる。不活性な基はシランカップリング剤の構造式におけるRに相当する。
【0034】
代表的なアルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基、代表的には、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。
【0035】
アルコキシ基の数は1〜3のモノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシランなどである。
【0036】
Rとしてアルキル基を有する珪素化合物の代表例としては、炭素数2〜30のアルキル基を有するアルコキシシランが好ましく、代表的には、エチルトリエトキシシラン、プロピルエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン(ODS)、エイコシルトリエトキシシラン、トリアコンチルトリエトキシシランなどがある。
【0037】
Rとしてアリール基を有するアルコキシシランとしては、炭素数6〜8のアリール基を有するアルコキシシランが好ましく、代表的には、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、トルイルトリエトキシシランなどがある。
【0038】
Rとしてフルオロアルキル基を有するアルコキシシランとしては、炭素数3〜12のフルオロアルキル基が好ましく、代表的には、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、(ヘニコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシランなどがある。
【0039】
Rとしてフルオロアリール基を有するアルコキシシランとしては、炭素数6〜9のフルオロアリール基を有するアルコキシシランが好ましく、代表的には、ペンタフルオリフェニルトリエトキシシラン、(ペンタフルオロフェニル)プロピルトリエトキシシランなどがある。
【0040】
なお、シランカップリング剤を溶媒に溶解した溶液を用いて、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層を形成してもよい。このときの溶媒は、トルエン、キシレン、ヘキサデカン等の炭化水素、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等のハロゲン溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール等がある。
【0041】
剥離層である酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51の形成方法としては、液滴吐出法や、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷、またはグラビア印刷等の印刷法等を用いることができる。また、真空蒸着法、蒸着法、CVD法、スパッタリング法等を用いることができる。なお、ここでは、液滴吐出法とは組成物の液滴を微細な孔から吐出して所定の形状のパターンを形成する方法である。
【0042】
ここでは、蒸着法によりフルオロアルキルシランを蒸着して、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51を形成する。
【0043】
導電層52a、52bは、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51上であって、且つ凹部50a、50bに金属元素を有する粒子を含む組成物を塗布法により塗布し、組成物を加熱して金属元素を有する粒子を焼成して形成する。塗布法としては、液滴吐出法や、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷、またはグラビア印刷等の印刷法等を用いることができる。また、メタルマスクを用いた蒸着法、CVD法、スパッタリング法等を用いることができる。更には、当該方法を複数用いることもできる。また、組成物は、金属元素を有する粒子、及び金属元素を有する粒子を分散させる溶媒で構成される。
【0044】
組成物の加熱温度は、200℃以上350℃以下、好ましくは200℃以上300℃以下が望ましい。組成物の加熱温度が200℃より低いと、金属元素を有する粒子の焼成が不十分であり、抵抗の高い導電層が形成されてしまう。また、350℃より高い温度で加熱すると、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層が反応してしまい、後に基板から導電層を容易に剥離することが困難となる。
【0045】
金属元素を有する粒子としては、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、及びBaのいずれか一つ以上の導電性粒子、または当該元素を有する化合物粒子を適宜用いることができる。
【0046】
また、金属元素を有する粒子として、In、Ga、Al、Sn、Ge、Sb、Bi、及びZnのいずれか一つ以上の元素を有する導電性粒子、または化合物粒子を二つ以上有する組成物を加熱し焼成することで透光性を有する導電層を形成することができる。
【0047】
上記金属元素を有する化合物粒子としては、金属ハロゲン化合物、金属硫酸化合物、金属硝酸化合物、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸化合物などの無機塩粒子、金属酢酸化合物、金属シュウ酸化合物、金属酒石酸化合物などの有機塩粒子を適宜用いることができる。
【0048】
金属元素を有する粒子の径は、数nm〜数十μmである。好ましくは、1〜100nm、2〜50nm、更には3〜20nmである。このように粒径の小さな粒子を用いることで、後に形成される導電層の抵抗値を低減させることが可能である。
【0049】
さらには、金属元素を有する粒子の他に、炭素、珪素、ゲルマニウム等の粒子を適宜用いても良い。
【0050】
金属元素を有する粒子を分散させる溶媒としては、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン等、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂(シリコーン)等の有機樹脂を適宜用いる。
【0051】
導電層52a、52bは、アンテナ、配線、画素電極、電極等として機能する導電層を適宜形成することができる。
【0052】
ここでは、銀粒子を有する組成物を印刷法により印刷し、焼成して導電層52a、52bを形成する。
【0053】
ここで、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51上に塗布される組成物の形状について図12(A)を用いて説明する。図12(A)は、図1(A)の基板50、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51、及び導電層52aの接する領域を拡大したモデル図である。
【0054】
図12(A)において、基板50、ここではガラス基板表面では、ガラス基板表面の酸素と、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51の珪素とが結合され、当該珪素とアルキル基、アリール基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基から選ばれた少なくとも一種の官能基Rとが結合している。また、隣接する珪素は酸素を介して結合している。なお、ここでは、官能基Rの一部である置換基をCH2基として示し、官能基Rと珪素の間に図示している。なお、官能基Rの一部であれば、CH2基に限られず様々な置換基が示される。
【0055】
また、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51の表面は、アルキル基、アリール基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基から選ばれた少なくとも一種の官能基Rが露出している。また、官能基Rに接して導電層52aが形成されている。
【0056】
酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51の表面には、アルキル基、アリール基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基から選ばれた少なくとも一種に代表される不活性な官能基Rが露出しているため、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51の表面における表面エネルギーは、相対的に小さくなる。
【0057】
また、官能基の炭素鎖長が長いほど、接触角が大きくなり、表面エネルギーが相対的に小さくなる。このため、表面エネルギーの異なる組成物は、当該層上で弾かれやすくなり、凹部において組成物は表面エネルギーの小さな膜の表面を流動し、安定な形状となってとどまる。
【0058】
即ち、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層上に塗布される組成物は、組成物の表面エネルギーが安定化するような形状となる。このため、塗布された組成物の側面のうねりが低減される。このようなペーストを乾燥・焼成することで、側面のうねりが緩和された導電層を形成することが可能である。また、形状や太さのばらつきを低減することができる。このため、導電層の抵抗値のばらつきを低減することが可能である。また、組成物の幅を制御することが可能であり、細線化が可能である。
【0059】
導電層52a、52bを覆う絶縁層53は、絶縁性の組成物を酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51及び導電層52a、52bの露出部に塗布し、加熱し焼成して形成する。組成物を塗布する方法としては、導電層52a、52bに示す塗布法を適宜適用することができる。また、絶縁性の組成物としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド(ナイロン)、フラン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の有機化合物、シリカガラスに代表されるシロキサンポリマー、またはアルキルシロキサンポリマー、アルキルシルセスキオキサンポリマー、水素化シルセスキオキサンポリマー、水素化アルキルシルセスキオキサンポリマー等を適宜用いることができる。
【0060】
また、絶縁層53は、真空蒸着法、蒸着法、CVD法、スパッタリング法等の気相法を用いて形成することができる。気相法を用いて形成する絶縁層としては、酸化珪素層、窒化珪素層、酸化窒化珪素層、窒化アルミニウム層等を適宜用いることができる。
【0061】
本発明においては、図5に示すように、絶縁層53は、導電層52a、52bが形成される領域(図5の破線57の内側)の外側まで形成されることが好ましい。即ち、導電層の側面の一部が絶縁層から露出されることなく、導電層のすべてを覆うように絶縁層53を形成することが好ましい。この結果、導電層52a、52bは絶縁層53に封止されるため、導電層の酸化や不純物の混入を防止することが可能であり、導電層の劣化を抑制することが可能である。また、導電層のすべてを覆うように絶縁層が形成されているため、後の剥離工程において、導電層が分断されることなく一つの層として剥離することが可能である。
【0062】
ここでは、エポキシ樹脂を印刷法により印刷して絶縁層53を形成する。
【0063】
次に、図1(C)に示すように、絶縁層53の表面、代表的には絶縁層53の表面の一部または全部に粘着性を有する部材59を貼りあわせた後、粘着性を有する部材59を用いて物理的に酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51を分離する。代表的には、粘着性を有する部材59を、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51または絶縁層53の表面に角度θで引っ張る。角度θは水平以外の方向、具体的には、0°<θ<180°、好ましくは、0°<θ≦60°、より好ましくは0°≦θ≦45°である。この結果、導電層52a、52b及び絶縁層53にクラックが入るのを防ぎながら、基板50から導電層52a、52b及び絶縁層53を剥離することができる。即ち、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51が分離され、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51において、基板50から導電層52a、52b及び絶縁層53が剥離される。このとき、基板50上には、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部51aが残存し、導電層52a、52b及び絶縁層53には、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部51bが残存する。このとき、粘着性を有する部材59としてローラーを用い、基板の下に移送手段を設け、ローラーの回転速度、回転半径、ローラーの圧力、ローラーと基板との間隔、移送手段の移動速度等を適宜調節することで、基板50から導電層52a、52b及び絶縁層53を容易に剥離することができる。
【0064】
ここで、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51が分離し、基板50と導電層52a、52b及び絶縁層53とが剥離される原理について、図12(B)のモデル図を用いて説明する。図12(B)に示すように、粘着性を有する部材59を引き上げると、基板50表面と酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51との密着性や、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51と導電層52aとの密着性と比較して、不活性な基内部の結合力が低い。即ち、基板50上の酸素と珪素の結合力や、導電層52a、52bと酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51との密着性と比較して、不活性な基内部の結合力が弱い。このため、図12(B)に示すように、アルキル基、アリール基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基から選ばれた少なくとも一種の官能基Rの結合の一部が切断され、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層が分断される。この結果、図1(D)に示すように、基板50から導電層52a、52b及び絶縁層53を剥離することができる。
【0065】
なお、アルキル基、アリール基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基から選ばれた少なくとも一種の官能基Rの結合の一部が切断されるため、基板表面においては、アルキル基、アリール基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基の残存部が残る。このため、分離された酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部51a表面においても、接触角が大きく、表面エネルギーが相対的に小さい。このため、表面エネルギーの異なる組成物は、当該層上で弾かれやすくなり、組成物は表面エネルギーの小さな膜の表面を流動し、安定な形状にとどまる。この結果、分離された酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部51aを有する基板50を、再度導電層を形成するために用いることができる。
【0066】
粘着性を有する部材59として、光可塑型粘着フィルム、熱可塑型粘着フィルム等を用いることができる。尚、粘着性を有する部材59として、フィルムの代わりに、粘着性を有するテープ、シート、基板、ローラー等を適宜用いることができる。さらには、粘着性を有する部材の代わりに、静電気力や吸着力により絶縁層53の表面に付着する部材を着設してもよい。ここでは、粘着性を有する部材59として、粘着性を有するローラーを用いる。
【0067】
次に、図1(E)に示すように、導電層52a、52b及び絶縁層53の表面に残存する酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部51bを除去する。酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部は、水素、希ガス、窒素等のプラズマの照射や、400度以上での加熱処理により除去することができる。以上の工程により、導電層及び導電層を覆う絶縁層を容易に形成することができる。また、基板の凹部に組成物を塗布することで、印刷された組成物の側面のうねりを低減することができ、導電層の形状や太さのばらつきを低減することができる。このため、導電層の抵抗値のばらつきを低減することが可能である。
【0068】
次に、開口部54を有する可撓性基板56を導電層52a、52b及び絶縁層53に貼り付ける。可撓性基板56としては、代表的には、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルスルホン)、ポリプロピレン、ポリプロピレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリサルフォン、ポリフタールアミド等からなる基板、または繊維質な材料からなる紙と、接着性有機樹脂55(アクリル系有機樹脂、エポキシ系有機樹脂等)とが積層された基板を用いることができる。
【0069】
また、可撓性基板56として、熱圧着により、被処理体と接着処理が行われる接着層を有するフィルム(ラミネートフィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる))を用いてもよい。ラミネートフィルムは、最表面に設けられた接着層か、または最外層に設けられた層(接着層ではない)を加熱処理によって溶かし、加圧により接着することで、被処理体にフィルムを接着することが可能である。
【0070】
可撓性基板56としては、厚さが1μm〜500μm、好ましくは1μm〜100μm、更に好ましくは1〜50μmとする。このように厚さの薄い可撓性基板56を用いることで、薄型の半導体装置を作製することができる。
【0071】
ここでは、可撓性基板56として、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムを用いる。
【0072】
可撓性基板56に形成される開口部54は、可撓性基板にレーザ光を照射し可撓性基板の一部を溶融して形成することができる。また、可撓性基板を機械的に穴あけして開口部を形成することができる。
【0073】
以上の工程により、導電層を有する可撓性基板58を歩留まり高く形成することができる。また、十分な温度で導電層を形成する組成物の加熱が行えるため、抵抗値の低い導電層を有する可撓性基板を、歩留まり高く形成することが可能である。また、少ない工程数及び安全な工程で導電層を有する可撓性基板を形成することが可能である。また、基板の凹部に組成物を塗布することで、側面のうねりが低減された導電層を形成することができ、導電層の形状や太さのばらつきを低減することができる。さらには、細線化された導電層を有する可撓性基板を、歩留まり高く形成することが可能である。さらには、これらの導電層を用いてアンテナを形成する場合、同時に形成される複数のアンテナにおいてインダクタンスのばらつきの少ないアンテナを有する基板を形成することが出来る。また、起電力の高いアンテナを有する基板を形成することができる。
【0074】
(実施の形態2)
本実施の形態では、容易に導電層を形成する方法の一形態について図2を用いて説明する。なお、図2は、導電層を形成する工程の断面図を示す。
【0075】
図2(A)に示すように、平坦な表面を有する基板60を準備し、基板60表面に選択的に処理を施し図2(B)に示すような凹部62a、62bを形成する。
【0076】
基板60としては、導電層52a、52bの焼成温度に耐えうる耐熱性を有する基板が好ましく、代表的には、ガラス基板、石英基板、セラミック基板、金属基板、シリコンウェハ、有機樹脂基板等を用いることができる。
【0077】
基板に凹部62a、62bを形成する処理としては、レーザ光の照射、切削、フォトリソグラフィ工程で形成したレジストマスクを用いた基板のエッチング等がある。また、基板が有機樹脂基板の場合、有機樹脂基板を加熱し柔らかくした後、スタンパーを有機樹脂基板に押し付け取り外して、凹部を形成することができる。スタンパーとは、凹部と反転する形状が形成されているものであり、スタンパーを有機樹脂基板に押し付けた後、はずす事で凹部を形成することができる。
【0078】
ここでは、基板60にレーザ光61を照射して、図2(B)に示すように選択的に凹部62a、62bを形成する。
【0079】
次に、図2(C)に示すように、実施の形態1と同様に、凹部62a、62bを有する基板62上にシランカップリング剤を用いて酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51を形成し、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51上であって、且つ上記凹部62a、62bに導電層52a、52bを形成し、導電層52a、52bを覆う絶縁層53を形成する。
【0080】
次に、図2(D)に示すように、実施の形態1と同様に、絶縁層53の表面、代表的には絶縁層53の表面の一部または全部に粘着性を有する部材を貼りあわせた後、粘着性を有する部材を用いて物理的に酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51を分離する。
【0081】
次に、図2(E)に示すように、実施の形態1と同様に、導電層52a、52b及び絶縁層53の表面に残存する酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部51bを除去する。次に、開口部54を有する可撓性基板56を導電層52a、52b及び絶縁層53に貼り付ける。
【0082】
以上の工程により、導電層を有する可撓性基板58を歩留まり高く形成することができる。また、少ない工程数及び安全な工程で導電層を有する可撓性基板を形成することが可能である。また、基板の凹部に組成物を塗布することで、印刷された組成物の側面のうねりを低減することができ、導電層の形状や太さのばらつきを低減することができる。このため、導電層の抵抗値のばらつきを低減することが可能である。また、導電層のデザインに合わせて、基板に凹部を形成すればよいため、設計の選択肢を高めることができる。
【0083】
(実施の形態3)
本実施の形態では、異なる導電層の抵抗のばらつきを低減することが可能な導電層の形成方法について、図3を用いて説明する。ここでは、実施の形態1を用いて説明するが、実施の形態2を適用することもできる。
【0084】
図3(A)に示すように、実施の形態1と同様に凹部を有する基板50上にシランカップリング剤を用いて酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51を形成し、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51上であって、且つ上記凹部50a、50bに組成物70a、70bを塗布する。
【0085】
次に、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51の表面より盛り上がる組成物を除去し、表面を平らにする。または、組成物70a、70bにおいて、基板の平らな部分において形成される酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51の表面より低い位置に、組成物の表面が位置する領域に新たに組成物を充填する。
【0086】
代表的には、金属元素を有する粒子を含む組成物を凹部に形成し、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層及び組成物の表面をスキージ、ヘラを移動させて、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層及び組成物の表面を平らにさせる。こののち、組成物を加熱して金属元素を有する粒子を焼成することで、図3(B)に示すように、表面が平らな導電層63a、63bを形成する。次に、導電層63a、63bを覆う絶縁層53を形成する。
【0087】
次に、図3(C)に示すように、実施の形態1と同様に絶縁層53の表面、代表的には絶縁層53の表面の一部または全部に粘着性を有する部材を貼りあわせた後、粘着性を有する部材を用いて物理的に酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層51を分離する。
【0088】
次に、図3(D)に示すように、実施の形態1と同様に、導電層63a、63b及び絶縁層53の表面に残存する酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部51bを除去する。次に、接着性有機樹脂55を用いて開口部54を有する可撓性基板56を導電層63a、63b及び絶縁層53に貼り付ける。
【0089】
以上の工程により、導電層を有する可撓性基板58を歩留まり高く形成することができる。また、少ない工程数及び安全な工程で導電層を有する可撓性基板を形成することが可能である。また、複数の導電層において形状、太さ、抵抗値等のばらつきを低減することができる。
【0090】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で作製した導電層を有する可撓性基板を用いて作製した半導体装置について図4を用いて説明する。なお、本実施の形態では半導体装置として、非接触でデータの送受信が可能な半導体装置(RFID(Radio Frequency Identification)タグ、ICチップ、ICタグ、IDチップ、IDタグ、RFチップ、RFタグ、無線チップ、無線タグとも呼ばれる。)を用いて説明するが、半導体装置として表示装置を用い、導電層として画素電極を作製することができる。さらには、上記画素電極を有する可撓性基板を表示装置に用いることができる。
【0091】
図4に示すように、導電層を有する可撓性基板58を集積回路に貼りあわせることで、半導体装置を作製することができる。ここでは、集積回路としてシリコンチップ121を用いて示す。なお、集積回路としてシリコンチップ121の代わりに、薄膜トランジスタで形成される集積回路を用いることもできる。
【0092】
代表的には、複数の素子が形成されるシリコンチップ121の接続端子123、124と、導電層52a、52bとを、異方性導電接着材125に含まれる導電性粒子126で接続することにより、MOSトランジスタ122と導電層52a、52bとを電気的に接続させる。複数の素子としては、MOSトランジスタ、容量素子、抵抗等がある。ここでは、複数の素子としてMOSトランジスタ122を示す。シリコンチップの厚さは0.1〜700μm、さらには0.1〜20μm、さらには1〜5μmであることが好ましい。
【0093】
接続端子123、124は、印刷法、電解めっき法、無電解めっき法、スパッタリング法、液滴吐出法等で、チタン、ニッケル、金、銅等を適宜用いて形成することができる。
【0094】
異方性導電接着材125の代表例としては、分散した導電性粒子126(粒径が、数nm〜数十μm)を含有する接着性樹脂であり、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。また、導電性粒子126は、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、または白金から選ばれた一元素、若しくは複数の元素で形成される。また、これらの元素の多層構造を有する粒子でも良い。更には、樹脂で形成された粒子の表面に、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、または白金から選ばれた一元素、若しくは複数の元素で形成される薄膜が形成された導電性粒子を用いてもよい。
【0095】
また、異方性導電接着材の代わりに、異方性導電フィルムの圧着や半田バンプを用いたリフロー処理等の手法により、接続端子123、124と導電層52a、52bとを接続してもよい。または、レーザ光の照射によって、導電層52a、導電性粒子126、接続端子123を接続させても良い。この場合、絶縁層53側から導電層52a、導電性粒子126、及び接続端子123が重なる領域にレーザ光を照射すると、導電層52a、導電性粒子126、及び接続端子123が、レーザ光のエネルギーにより溶融し、合金化するため、電気的に接続することができる。
【0096】
また、シール材を用いて導電層を有する可撓性基板同士を貼りあわせて、表示装置を作製することができる。ここでの表示装置としては、液晶表示装置、発光表示装置、電気泳動表示装置等がある。
【0097】
以上の工程により、非接触でデータの送受信が可能な半導体装置を歩留まり高く作製することができる。また、ばらつきの少ない半導体装置を作製することができる。また、少ない工程数及び安全な工程で半導体装置を形成することが可能であり、半導体装置のコストダウンが可能である。
【実施例1】
【0098】
本実施例では、非接触でデータの送受信が可能な半導体装置の作製工程を図6〜11を用いて説明する。本実施例では、薄膜トランジスタで形成される集積回路及びアンテナを貼り合わせて半導体装置を作製する例について示す。
【0099】
図6(A)に示すように、基板201上に剥離層202を形成し、剥離層202上に絶縁層203を形成し、絶縁層203上に薄膜トランジスタ204及び薄膜トランジスタを構成する導電層を絶縁する層間絶縁層205を形成し、薄膜トランジスタの半導体層に接続するソース電極及びドレイン電極206を形成する。次に、薄膜トランジスタ204、層間絶縁層205、ソース電極及びドレイン電極206を覆う絶縁層207を形成し、絶縁層207を介してソース電極またはドレイン電極206に接続する導電層208を形成する。
【0100】
基板201としては、ガラス基板、石英基板、金属基板やステンレス基板の一表面に絶縁層を形成したもの、本工程の処理温度に耐えうる耐熱性があるプラスチック基板等を用いる。上記に挙げた基板201には、大きさや形状に制約がないため、例えば、基板201として、1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを用いれば、生産性を格段に向上させることができる。この利点は、円形のシリコン基板を用いる場合と比較すると、大きな優位点である。
【0101】
剥離層202は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)から選択された元素、または上記元素のいずれかを主成分とする合金材料、または上記元素のいずれかを主成分とする化合物材料からなる層を、単層または積層して形成する。珪素を含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。
【0102】
剥離層202が単層構造の場合、好ましくは、タングステン層、モリブデン層、またはタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成する。または、タングステンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、またはタングステンとモリブデンの合金の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層を形成する。
【0103】
剥離層202が積層構造の場合、好ましくは、1層目としてタングステン層、モリブデン層、またはタングステンとモリブデンの合金層を形成し、2層目として、タングステン、モリブデンまたはタングステンとモリブデンの合金の酸化物、窒化物、または酸化窒化物を形成する。
【0104】
剥離層202として、タングステンを含む層とタングステンの酸化物を含む層の積層構造を形成する場合、タングステンを含む層を形成し、その上層に酸化物で形成される絶縁層を形成することで、タングステン層と絶縁層との界面に、タングステンの酸化物を含む層が形成されることを活用してもよい。さらには、タングステンを含む層の表面を、熱酸化処理、酸素プラズマ処理、N2Oプラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶液での処理等を行ってタングステンの酸化物を含む層を形成してもよい。これは、タングステンの窒化物、または酸化窒化物を含む層を形成する場合も同様であり、タングステンを含む層を形成後、その上層に窒化物を含む層、または酸化窒化物を含む層を形成するとよい。
【0105】
タングステンの酸化物は、WOxで表される。Xは、2≦x≦3の範囲内にあり、xが2の場合(WO2)、xが2.5の場合(W2O5)、xが2.75の場合(W4O11)、xが3の場合(WO3)などがある。
【0106】
また、上記の工程によると、基板201に接するように剥離層202を形成しているが、本発明はこの工程に制約されない。基板201に接するように下地となる絶縁層を形成し、その絶縁層に接するように剥離層202を設けてもよい。
【0107】
絶縁層203は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、無機化合物を用いて単層または積層で形成する。無機化合物の代表例としては、酸化珪素、窒化珪素、または酸化窒化珪素が挙げられる。
【0108】
さらには、絶縁層203を積層構造としても良い。例えば、無機化合物を用いて積層してもよく、代表的には、酸化珪素、窒化酸化珪素、または酸化窒化珪素のいずれか2層以上を積層して形成しても良い。
【0109】
薄膜トランジスタ204は、ソース領域、ドレイン領域、及びチャネル形成領域を有する半導体層、ゲート絶縁層、並びにゲート電極で構成される。
【0110】
半導体層は、結晶構造を有する半導体で形成される層であり、非単結晶半導体若しくは単結晶半導体を用いることができる。特に、加熱処理により結晶化させた結晶性半導体、加熱処理とレーザ光の照射を組み合わせて結晶化させた結晶性半導体を適用することが好ましい。加熱処理においては、シリコン半導体の結晶化を助長する作用のあるニッケルなどの金属元素を用いた結晶化法を適用することができる。また、シリコン半導体の結晶化工程における加熱により、剥離層202及び絶縁層203の界面において、剥離層の表面を酸化して金属酸化物層を形成することが可能である。
【0111】
加熱処理に加えてレーザ光を照射して結晶化する場合には、連続発振レーザ光の照射若しくは繰り返し周波数が10MHz以上であって、パルス幅が1ナノ秒以下、好ましくは1乃至100ピコ秒である高繰返周波数超短パルス光を照射することによって、結晶性半導体が溶融した溶融帯を、当該レーザ光の照射方向に連続的に移動させながら結晶化を行うことができる。このような結晶化法により、大粒径であって、結晶粒界が一方向に延びる結晶性半導体を得ることができる。キャリアのドリフト方向を、この結晶粒界が延びる方向に合わせることで、トランジスタにおける電界効果移動度を高めることができる。例えば、400cm2/V・sec以上を実現することができる。
【0112】
上記結晶化工程を、ガラス基板の耐熱温度(約600℃)以下の結晶化プロセスを用いる場合、大面積ガラス基板を用いることが可能である。このため、基板あたり大量の半導体装置を作製することが可能であり、低コスト化が可能である。
【0113】
また、ガラス基板の耐熱温度以上の加熱により、結晶化工程を行い、半導体層1302を形成してもよい。代表的には、基板201に石英基板を用い、非晶質若しくは微結晶質の半導体を700度以上で加熱して半導体層を形成する。この結果、結晶性の高い半導体を形成することが可能である。このため、応答速度や移動度などの特性が良好で、高速な動作が可能な薄膜トランジスタを提供することができる。
【0114】
ゲート絶縁層は、酸化珪素及び酸化窒化珪素などの無機絶縁物で形成する。
【0115】
ゲート電極は、金属または一導電型の不純物を添加した多結晶半導体で形成することができる。金属を用いる場合は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)などを用いることができる。また、金属を窒化させた金属窒化物を用いることができる。或いは、当該金属窒化物からなる第1層と当該金属から成る第2層とを積層させた構造としても良い。積層構造とする場合には、第1層の端部が第2層の端部より外側に突き出した形状としても良い。このとき第1層を金属窒化物とすることで、バリアメタルとすることができる。すなわち、第2層の金属が、ゲート絶縁層やその下層の半導体層に拡散することを防ぐことができる。
【0116】
半導体層、ゲート絶縁層、ゲート電極などを組み合わせて構成される薄膜トランジスタは、シングルドレイン構造、LDD(低濃度ドレイン)構造、ゲートオーバーラップドレイン構造など各種構造を適用することができる。ここでは、シングルドレイン構造の薄膜トランジスタを示す。さらには、等価的には同電位のゲート電圧が印加されるトランジスタが直列に接続された形となるマルチゲート構造、半導体層の上下をゲート電極で挟むデュアルゲート構造、絶縁層203上にゲート電極が形成され、ゲート電極上にゲート絶縁層、半導体層が形成される逆スタガ型薄膜トランジスタ等を適用することができる。
【0117】
ソース電極及びドレイン電極206は、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造、モリブデン(Mo)とアルミニウム(Al)との積層構造など、アルミニウム(Al)のような低抵抗材料と、チタン(Ti)やモリブデン(Mo)などの高融点金属材料を用いたバリアメタルとの組み合わせで形成することが好ましい。
【0118】
層間絶縁層205及び絶縁層207は、ポリイミド、アクリル、またはシロキサンポリマーを用いて形成する。
【0119】
さらには、薄膜トランジスタ204の代わりにスイッチング素子として機能し得る半導体素子であれば、どのような構成で設けてもよい。スイッチング素子の代表例としては、MIM(Metal−Insulator−Metal)、ダイオード等が挙げられる。
【0120】
次に、図6(B)に示すように、導電層208上に導電層211を形成する。ここでは、印刷法により銀粒子を有する組成物を印刷し、200℃で30分加熱して組成物を焼成して導電層211を形成する。
【0121】
次に、図6(C)に示すように、絶縁層207及び導電層211の端部を覆う絶縁層212を形成する。ここでは、エポキシ樹脂をスピンコート法により塗布し、160℃で30分加熱した後、導電層211を覆う部分の絶縁層を除去して、導電層211を露出すると共に、絶縁層212を形成する。ここでは、絶縁層203から絶縁層212までの積層体を素子形成層210とする。
【0122】
次に、図6(D)に示すように、後の剥離工程を容易に行うために、レーザ光213を絶縁層203、205、207、212に照射して、図6(E)に示すような開口部214を形成する。次に、絶縁層212に粘着性を有する部材215を貼りあわせる。開口部214を形成するために照射するレーザ光としては、絶縁層203、205、207、212が吸収する波長のレーザ光が好ましい。代表的には、紫外領域、可視領域、または赤外領域のレーザ光を適宜選択して照射する。
【0123】
このようなレーザ光を発振することが可能なレーザ発振器としては、ArF、KrF、XeCl等のエキシマレーザ発振器、He、He−Cd、Ar、He−Ne、HF、CO2等の気体レーザ発振器、YAG、GdVO4、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶にCr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、TiまたはTmをドープした結晶、ガラス、ルビー等の固体レーザ発振器、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザ発振器を用いることができる。なお、固体レーザ発振器においては、基本波〜第5高調波を適宜適用するのが好ましい。この結果、絶縁層203、205、207、212がレーザ光を吸収し溶融して開口部が形成される。
【0124】
なお、レーザ光を絶縁層203、205、207、212に照射する工程を削除することで、スループットを向上させることが可能である。
【0125】
次に、図7(A)に示すように、剥離層202及び絶縁層203の界面に形成される金属酸化物層において、剥離層を有する基板201及び素子形成層の一部221を物理的手段により剥離する。物理的手段とは、力学的手段または機械的手段を指し、何らかの力学的エネルギー(機械的エネルギー)を変化させる手段を指している。物理的手段は、代表的には機械的な力を加えること(例えば人間の手や把持具による剥離や、ローラーを回転させる分離処理)である。
【0126】
本実施例においては、剥離層と絶縁層の間に金属酸化膜を形成し、当該金属酸化膜において物理的手段により、素子形成層210を剥離する方法を用いたがこれに限られない。基板に透光性を有する基板を用い、剥離層に水素を含む非晶質珪素層を用い、図6(E)の工程の後、基板側からのレーザ光を照射して非晶質珪素膜に含まれる水素を気化させて、基板と剥離層との間で剥離する方法を用いることができる。
【0127】
また、図6(E)の工程の後、基板を機械的に研磨し除去する方法や、HF等の基板を溶解する溶液を用いて基板を除去する方法を用いることができる。この場合、剥離層を用いなくともよい。
【0128】
また、図6(E)において、粘着性を有する部材215を絶縁層212に貼りあわせる前に、開口部214にNF3、BrF3、ClF3等のフッ化ハロゲンガスを導入し、剥離層をフッ化ハロゲンガスでエッチングし除去した後、絶縁層212に粘着性を有する部材215を貼りあわせて、基板から素子形成層210を剥離する方法を用いることができる。
【0129】
また、図6(E)において、粘着性を有する部材215を絶縁層212に貼りあわせる前に、開口部214にNF3、BrF3、ClF3等のフッ化ハロゲンガスを導入し、剥離層の一部をフッ化ハロゲンガスでエッチングし除去した後、絶縁層212に粘着性を有する部材215を貼りあわせて、基板から素子形成層210を物理的手段により剥離する方法を用いることができる。
【0130】
次に、図7(A)に示すように、剥離層202から素子形成層の一部221を剥離する。
【0131】
次に、図7(B)に示すように、素子形成層の一部221の絶縁層203に、可撓性基板222を貼り付ける。次に、粘着性を有する部材215を素子形成層の一部221から剥す。
【0132】
次に、図7(C)に示すように、可撓性基板222をダイシングフレーム232のUVテープ231に貼り付ける。UVテープ231は粘着性を有するため、UVテープ231上に可撓性基板222が固定される。この後、導電層211にレーザ光を照射して、導電層211と導電層208の間の密着性を高めてもよい。
【0133】
次に、図7(D)に示すように、導電層211上に接続端子233を形成する。接続端子233を形成することで、後にアンテナとして機能する導電層との位置合わせ及び接着を容易に行うことが可能である。
【0134】
次に、図8(A)に示すように、絶縁層212および接続端子233上に異方性導電接着材または異方性導電フィルムを設ける。ここでは、有機樹脂235に導電性粒子236が分散された異方性導電接着材237を設ける。
【0135】
素子形成層の一部221を分断する。ここでは、図8(B)にしめすように、異方性導電接着材237、素子形成層の一部221、及び可撓性基板222にレーザ光234を照射する。この結果、図8(C)に示すような溝241を形成し、素子形成層の一部221を複数に分断する。レーザ光234は、レーザ光213に記載のレーザ光を適宜選択して適用することができる。ここでは、絶縁層203、205、207、212及び可撓性基板222が吸収可能なレーザ光を選択することが好ましい。なお、ここでは、レーザカット法を用いて素子形成層の一部を複数に分断したが、この方法の代わりにダイシング法、スクライビング法等を適宜用いることができる。この結果分断された素子形成層を薄膜集積回路242a、242bと示す。
【0136】
次に、図8(D)に示すように、ダイシングフレーム232のUVシートにUV光を照射して、UVシートの粘着力を低下させた後、薄膜集積回路242a、242bをエキスパンダ枠244の粘着シート243に貼り付ける。このとき、粘着シート243を伸ばしながら薄膜集積回路242a、242bを粘着シート243に貼りあわせることで、薄膜集積回路242a、242bの間に形成された溝241の幅を拡大することができる。なお、拡大された溝246は、後に薄膜集積回路242a、242bに貼りあわせられるアンテナ基板の大きさにあわせることが好ましい。
【0137】
次に、アンテナとして機能する導電層を有する可撓性基板を作製する。はじめに図9(A)に示すように、凹部を有する基板250上に剥離層としてシランカップリング剤を用いて、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層251を形成する。次に、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層251上にアンテナとして機能する導電層252a、252bを形成する。次に、導電層252a、252bを覆う絶縁層253を形成する。
【0138】
ここでは、基板250としてガラス基板を用い、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層251としてフルオロアルキルシランを用い、基板250を170度で10分間加熱して基板表面にフルオロアルキルシランを蒸着したのち、エタノール及び純水で洗浄して数nm〜数十nmの酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層を形成する。また、導電層252a、252bは、銀粒子を含む組成物を印刷法により塗布し、300℃で30分間加熱し焼成して膜厚30μmの導電層を形成する。絶縁層253としては、エポキシ樹脂を印刷法により塗布し、160度で30分加熱し焼成して膜厚30μmの絶縁層253を形成する。
【0139】
このときのアンテナとして機能する導電層の形状は、半導体装置における信号の送受信方式が電磁結合方式または電磁誘導方式(例えば13.56MHz帯)を適用する場合には、磁界密度の変化による電磁誘導を利用するため、図11(A)に示すように、方形コイル状271や、円形コイル状(例えば、スパイラルアンテナ)とすることができる。また、図11(B)に示すように方形ループ状272や円形ループ状とすることができる。
【0140】
また、マイクロ波方式(例えば、UHF帯(860〜960MHz帯)、2.45GHz帯等)を適用する場合には、信号の送受信に用いる電磁波の波長を考慮してアンテナとして機能する導電層の長さ等の形状を適宜設定すればよく、図11(C)に示すように直線型ダイポール状273や曲線型ダイポール状、面状(例えば、パッチアンテナ)とすることができる。
【0141】
次に、図9(B)に示すように、絶縁層253上に粘着性を有する部材254を貼り付けた後、粘着性を有する部材254を矢印の方向引き上げる。この結果、図9(C)に示すように、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層が分離され、基板250と導電層252a、252b及び絶縁層253とを剥離する。このとき、基板250上には、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部251bが残存し、導電層252a、252b及び絶縁層253には、酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部251aが残存する。
【0142】
次に、図9(D)に示すように、導電層252a、252b及び絶縁層253の表面に残存する酸素及び珪素が結合し且つ珪素に不活性な基が結合する層の一部を除去した後、開口部255が形成された可撓性基板256と、導電層252a、252b及び絶縁層253とを接着材258で貼りあわせる。なお、このとき、開口部255から導電層252a、252bの一部が露出するように、可撓性基板256と導電層252a、252bとを位置合わせする。
【0143】
以上の工程により、アンテナとして機能する導電層252a、252bを有する可撓性基板257を形成する。
【0144】
次に、図10(A)に示すように、アンテナとして機能する導電層252a、252bを有する可撓性基板257と、薄膜集積回路242a、242bとを異方性導電接着材237を用いて貼りあわせる。このとき、アンテナとして機能する導電層252a、252bと薄膜集積回路242a、242bの接続端子とが、異方性導電接着材237に含まれる導電性粒子236とで接続されるように、位置合わせしながら貼りあわせる。
【0145】
次に、図10(B)に示すように、アンテナとして機能する導電層252a、252bと、薄膜集積回路242a、242bとが形成されない領域において、分断する。ここでは、絶縁層253、接着材258、及び可撓性基板256にレーザ光261を照射するレーザカット法により分断を行う。
【0146】
以上の工程により、図10(C)に示すように、非接触でデータの送受信が可能な半導体装置262a、262bを作製することができる。
【0147】
なお、図10(A)において、アンテナとして機能する導電層252a、252bを有する可撓性基板256と、薄膜集積回路242a、242bとを異方性導電接着材255a、255bを用いて貼りあわせた後、可撓性基板256と薄膜集積回路242a、242bとを封止するように可撓性基板を設けた後、図10(B)のように、アンテナとして機能する導電層252a、252bと、薄膜集積回路242a、242bとが形成されない領域において、レーザ光261照射して、図10(D)に示すような半導体装置263を作製してもよい。この場合、分断された可撓性基板256、264によって、薄膜集積回路が封止されるため、薄膜集積回路の劣化を抑制することが可能である。
【0148】
以上の工程により、薄型化で軽量な半導体装置を歩留まり高く作製することが可能である。また、ばらつきの少ない半導体装置を作製することができる。また、少ない工程数及び安全な工程で半導体装置を作製することが可能である。
【実施例2】
【0149】
上記実施例の非接触でデータの送受信が可能な半導体装置の構成について、図13を参照して説明する。
【0150】
本実施例の半導体装置は、大別して、アンテナ部2001、電源部2002、ロジック部2003から構成される。
【0151】
アンテナ部2001は、外部信号の受信とデータの送信を行うためのアンテナ2011からなる。また、半導体装置における信号の送受信方式は、電磁結合方式、電磁誘導方式またはマイクロ波方式等を用いることができる。送受信方式は、実施者が使用用途を考慮して適宜選択すればよく、送受信方式に伴って最適なアンテナを設ければよい。
【0152】
電源部2002は、アンテナ2011を介して外部から受信した信号により電源を作る整流回路2021と、作りだした電源を保持するための保持容量2022と、各回路に供給する一定電圧を作り出す定電圧回路2023からなる。
【0153】
ロジック部2003は、受信した信号を復調する復調回路2031と、クロック信号を生成する クロック生成・補正回路2032と、コード認識及び判定回路2033と、メモリからデータを読み出すための信号を受信信号により作り出すメモリコントローラ2034と、符号化した信号を受信信号にのせるための変調回路2035と、読み出したデータを符号化する符号化回路2037と、データを保持するマスクROM2038とを有する。なお、変調回路2035は変調用抵抗2036を有する。
【0154】
コード認識及び判定回路2033が認識・判定するコードは、フレーム終了信号(EOF、end of frame)、フレーム開始信号(SOF、start of frame)、フラグ、コマンドコード、マスク長(mask length)、マスク値(mask value)等である。また、コード認識及び判定回路2033は、送信エラーを識別する巡回冗長検査(CRC、cyclic redundancy check)機能も含む。
【0155】
本実施例の半導体装置は、同時に形成される複数のアンテナにおいてインダクタンスのばらつきの少ないアンテナを用いることが出来る。また、起電力の高いアンテナを用いることができる。この結果、バラツキの少ない半導体装置を作製することが可能である。さらには、可撓性基板上に形成される導電層を用いることで、半導体装置の小型化、薄型化、及び軽量化が可能である。また、少ない工程数及び安全な工程で半導体装置を作製することが可能である。
【実施例3】
【0156】
本発明の非接触でデータの送受信が可能な半導体装置は、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、包装用容器類、書籍類、記録媒体、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子機器等に設けて使用することができる。これらの例に関して図14、図15を用いて説明する。
【0157】
図14(A)は、本発明に係る半導体装置9010を内蔵したラベルの完成品の状態の一例である。ラベル台紙(セパレート紙)9118上に、半導体装置9010を内蔵したラベル9020が形成されている。ラベル9020は、ボックス9119内に収納されている。また、ラベル上には、その商品や役務に関する情報(商品名、ブランド、商標、商標権者、販売者、製造者等)が記されており、一方、半導体装置9010には、その商品(または商品の種類)固有のIDナンバーが付されており、偽造や、商標権、特許権等の知的財産権侵害、不正競争等の不法行為を容易に把握することができる。また、半導体装置9010内には、商品の容器やラベルに明記しきれない多大な情報、例えば、商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状、価格、生産方法、使用方法、生産時期、使用時期、賞味期限、取扱説明、商品に関する知的財産情報等を入力しておくことができ、取引者や消費者は、簡易なリーダによって、それらの情報にアクセスすることができる。また、生産者側からは容易に書換え、消去等も可能であるが、取引者、消費者側からは書換え、消去等ができない仕組みになっている。
【0158】
図14(B)は、半導体装置を内蔵したタグ9120を示している。半導体装置を内蔵したタグを商品に備え付けることにより、商品管理が容易になる。例えば、商品が盗難された場合に、商品の経路を辿ることによって、その犯人を迅速に把握することができる。このように、半導体装置を内蔵したタグを備えることにより、所謂トレーサビリティ(traceablity;複雑化した製造、流通の各段階で問題が生じた場合に、経路を遡ることによって、その原因を迅速に把握できる態勢を整えること。)に優れた商品を流通させることができる。
【0159】
図14(C)は、本発明に係る半導体装置を内蔵したIDカード9141の完成品の状態の一例である。上記IDカードとしては、キャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、電子乗車券、電子マネー、テレフォンカード、会員カード等のあらゆるカード類が含まれる。
【0160】
図14(D)は、本発明に係る半導体装置9010を内蔵した無記名債券9122の完成品の状態の一例である。上記無記名債券類には、切手、切符、チケット、入場券、商品券、図書券、文具券、ビール券、おこめ券、各種ギフト券、各種サービス券等が含まれるが、勿論これらに限定されるものではない。また、無記名債券に限らず小切手、証券、約束手形等の有価証券類、運転免許証、住民票等の証書類等に設けることもできる。
【0161】
図14(E)は、半導体装置9010を内蔵した商品を包装するための包装用フィルム類9127を示している。包装用フィルム類9127は、例えば、下層フィルム上に、半導体装置9010を任意にばらまき、上層フィルムで覆うことによって作製することができる。包装用フィルム類9127は、ボックス9129に収納されており、所望の量だけカッター9128で切り離して利用することができる。なお、包装用フィルム類9127としての素材は特に制限されない。例えば、薄膜樹脂、アルミ箔、紙等を用いることができる。
【0162】
図15(A)、(B)は、本発明に係る半導体装置9010を内蔵したラベル9020を貼付した書籍9123、ペットボトル9124を示している。なお、もちろんこれらに限定されず、お弁当等の包装紙等の包装用容器類、DVDソフト、ビデオテープ等の記録媒体、自転車等の車両、船舶等の乗物類、鞄、眼鏡等の身の回り品、食料品、飲料等の食品類、衣服、履物等の衣類、医療器具、健康器具等の保健用品類、家具、照明器具等の生活用品類、医薬品、農薬等の薬品類、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ受像機、薄型テレビ受像機)、携帯電話等の電子機器等様々な物品に設けることができる。本発明に用いられる半導体装置は非常に薄いため、上記書籍等の物品にラベルを搭載しても、機能、デザイン性を損ねることがない。更に、本発明の半導体装置の場合、アンテナ及びチップを一体形成でき、曲面を有する商品に直接転写することが容易になる。
【0163】
図15(C)は、果物類9131の生鮮食品に、直接ラベル9020を貼り付けた状態を示している。また、なお、ラベルを商品に貼り付けた場合、剥がされる可能性があるが、包装用フィルム類によって商品をくるむと、包装用フィルム類を剥がすのは困難であるため、防犯対策上多少のメリットがある。
【0164】
紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類等に本発明の半導体装置を設けることにより、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、書籍類、記録媒体等、身の回り品、食品類、生活用品類、電子機器等に本発明の半導体装置を設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。乗物類、保健用品類、薬品類等に本発明の半導体装置を設けることにより、偽造や盗難の防止、薬品類ならば、薬の服用の間違いを防止することができる。
【0165】
このように、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に本発明の半導体装置を設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。また乗物類に本発明の半導体装置を設けることにより、偽造や盗難を防止することができる。
【0166】
以上のように、本発明の半導体装置は物品あればどのようなものにでも設けて使用することができる。本発明の半導体装置は、より薄く湾曲しやすいため、物品に貼り付けた際に違和感なく用いることができる。なお、本実施の形態は、他の実施の形態、実施例と自由に組み合わせて行うことができる。
【実施例4】
【0167】
次に、上記実施の形態で作製した画素電極を有する可撓性基板を用いた半導体装置の一例として、表示モジュールを図16を用いて説明する。図16は表示パネル9801と、回路基板9802を組み合わせたモジュールを示している。回路基板9802には、例えば、コントロール回路9804や信号分割回路9805などが形成されている。また、表示パネル9801と回路基板9802とは、FPC9803で接続されている。表示パネル9801に、液晶表示パネル、発光表示パネル、電気泳動表示パネル等を適宜用いることができる。
【0168】
この表示パネル9801は、画素部9806と、走査線駆動回路9807、選択された画素にビデオ信号を供給する信号線駆動回路9808を備えている。画素部9806の画素電極が形成される基板を上記実施の形態で示す方法により作製することができる。また、FPC9803を上記実施の形態で示す方法により作製することができる。また、走査線駆動回路9807や信号線駆動回路9808は、異方性導電接着材、及び異方性導電フィルムを用いた実装方法、COG方式、ワイヤボンディング方法、並びに半田バンプを用いたリフロー処理等の手法により、基板上にICチップで形成される走査線駆動回路9807、信号線駆動回路9808を実装する。
【0169】
本実施例により、歩留まり高く表示パネルを有するモジュールを作製することができる。また、ばらつきの少ない半導体装置を作製することができる。
【実施例5】
【0170】
上記実施の形態及び実施例に示される半導体装置を有する電子機器として、テレビジョン装置(単にテレビ、またはテレビジョン受信機ともよぶ)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、携帯電話装置(単に携帯電話機、携帯電話ともよぶ)、PDA等の携帯情報端末、コンピュータ用のモニター、コンピュータ、カーオーディオやデジタルプレーヤー等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の記録媒体を備えた画像再生装置等が挙げられる。その具体例について、図17を参照して説明する。
【0171】
図17(A)に示す携帯情報端末は、本体9201、表示部9202等を含んでいる。表示部9202は、上記実施例で示す可撓性基板を用いた表示パネルを有するモジュールを適用することができる。本発明の一である半導体装置を用いることにより、軽量で小型の携帯情報端末を提供することができる。
【0172】
図17(B)に示すデジタルビデオカメラは、表示部9701、表示部9702等を含んでいる。表示部9701は、上記実施例で示す可撓性基板を用いた表示パネルを有するモジュールを適用することができる。本発明の一である半導体装置を用いることにより、小型のデジタルビデオカメラを提供することができる。
【0173】
図17(C)に示す携帯端末は、本体9101、表示部9102等を含んでいる。表示部9102は、上記実施例で示す可撓性基板を用いた表示パネルを有するモジュールを適用することができる。本発明の一である半導体装置を用いることにより、小型の携帯端末を提供することができる。
【0174】
図17(D)に示すデジタルプレーヤーは、本体9751、表示部9752、メモリ部9753、操作部9754、イヤホン9755等を含んでいる。表示部9752は、上記実施例で示す可撓性基板を用いた表示パネルを有するモジュールを適用することができる。なお、イヤホン9755の代わりにヘッドホンや無線式イヤホンを用いることができる。なお、表示部9752は黒色の背景に白色の文字を表示することで消費電力を抑えられる。これは携帯型のオーディオ装置において特に有効である。本発明の一である半導体装置を用いることにより、軽量で小型の携帯型のデジタルプレーヤーを提供することができる。
【0175】
図17(E)に示す携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含んでいる。表示部9402は、上記実施例で示す可撓性基板を用いた表示パネルを有するモジュールを適用することができる。本発明の一である半導体装置を用いることにより、軽量で小型の携帯型のコンピュータを提供することができる。
【0176】
図17(F)に示すテレビジョン装置は、本体9501、表示部9502等を含んでいる。表示部9502は、上記実施例で示す可撓性基板を用いた表示パネルを有するモジュールを適用することができる。本発明の一である半導体装置を用いることにより、薄型のテレビジョン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】本発明の導電層の形成工程を示した断面図である。
【図2】本発明の導電層の形成工程を示した断面図である。
【図3】本発明の導電層の形成工程を示した断面図である。
【図4】本発明の導電層を有する半導体装置を示した断面図である
【図5】本発明の導電層の形成工程を示した上面図である。
【図6】本発明の半導体装置の作製工程を示した断面図である。
【図7】本発明の半導体装置の作製工程を示した断面図である。
【図8】本発明の半導体装置の作製工程を示した断面図である。
【図9】本発明の半導体装置の作製工程を示した断面図である。
【図10】本発明の半導体装置の作製工程を示した断面図である。
【図11】本発明に適用可能なアンテナの構造を示した上面図である。
【図12】本発明の導電層の形成工程を示したモデル図である。
【図13】本発明の半導体装置の構成を示した図である。
【図14】本発明の半導体装置の応用例を示した図である。
【図15】本発明の半導体装置の応用例を示した図である。
【図16】本発明の半導体装置を有する電子機器を示した図である。
【図17】本発明の半導体装置を有する電子機器を示した図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を有する基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、
前記剥離層上であって且つ、前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記基板から前記導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離することを特徴とする導電層の形成方法。
【請求項2】
凹部を有する基板上に酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を形成し、
前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層上であって、且つ前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層において、前記基板から前記導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離することを特徴とする導電層の形成方法。
【請求項3】
基板に凹部を形成し、前記基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、
前記剥離層上であって且つ、前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記基板から前記導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離することを特徴とする導電層の形成方法。
【請求項4】
基板に凹部を形成し、前記基板上に酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を形成し、
前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層上であって、且つ前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層において、前記基板から前記導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離することを特徴とする導電層の形成方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、前記導電層を剥離した後、前記導電層及び前記導電層を覆う絶縁層の一表面に残存する前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を除去することを特徴とする導電層の形成方法。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項において、前記導電層を剥離した後、前記導電層及び前記導電層を覆う絶縁層の一表面に残存する前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を除去し、前記導電層及び前記絶縁層に可撓性を有する基板を貼り付けることを特徴とする導電層の形成方法。
【請求項7】
請求項1乃至8のいずれか一項において、前記導電層は、アンテナとして機能することを特徴とする導電層の形成方法。
【請求項8】
請求項1乃至8のいずれか一項において、前記導電層は、画素電極として機能することを特徴とする導電層の形成方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項において、前記導電層は、配線として機能することを特徴とする導電層の形成方法。
【請求項10】
凹部を有する基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、
前記剥離層上であって且つ、前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記基板から前記導電層及び前記絶縁層を剥離し、
前記導電層及び前記絶縁層に開口部を有する可撓性基板を接着することを特徴とする導電層を有する基板の作製方法。
【請求項11】
凹部を有する基板上に酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を形成し、
前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層上であって、且つ前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層において、前記基板から前記導電層及び前記絶縁層を剥離し、
前記導電層及び前記絶縁層に開口部を有する可撓性基板を接着することを特徴とする導電層を有する基板の作製方法。
【請求項12】
基板に凹部を形成し、前記基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、
前記剥離層上であって且つ、前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記基板から前記導電層及び前記絶縁層を剥離し、
前記導電層及び前記絶縁層に開口部を有する可撓性基板を接着することを特徴とする導電層を有する基板の作製方法。
【請求項13】
基板に凹部を形成し、前記基板上に酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を形成し、
前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層上であって、且つ前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層において、前記基板から前記導電層及び前記絶縁層を剥離し、
前記導電層及び前記絶縁層に開口部を有する可撓性基板を接着することを特徴とする導電層を有する基板の作製方法。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれか一項において、前記導電層は、アンテナとして機能することを特徴とする導電層を有する基板の形成方法。
【請求項15】
請求項10乃至13のいずれか一項において、前記導電層は、画素電極として機能することを特徴とする導電層を有する基板の形成方法。
【請求項16】
請求項10乃至13のいずれか一項において、前記導電層は、配線として機能することを特徴とする導電層を有する基板の形成方法。
【請求項17】
凹部を有する基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、
前記剥離層上であって且つ、前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層上に絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記基板から前記導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離し、
前記導電層と集積回路の接続端子とを電気的に接続すると共に、前記絶縁層及び前記集積回路を接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項18】
凹部を有する基板上に酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を形成し、
酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層上であって、且つ前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層において、前記基板から前記導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離し、
前記導電層と集積回路の接続端子とを電気的に接続すると共に、前記絶縁層及び前記集積回路を接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項19】
凹部を有する基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、
前記剥離層上であって且つ、前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記基板から前記導電層及び前記絶縁層を剥離し、
前記導電層及び前記絶縁層に開口部を有する可撓性基板を接着し、
前記可撓性基板の開口部において、前記導電層と集積回路の接続端子とを電気的に接続すると共に、前記可撓性基板及び前記集積回路を接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項20】
凹部を有する基板上に酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を形成し、
前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層上であって、且つ前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層において、前記基板から前記導電層及び前記絶縁層を剥離し、
前記導電層及び前記絶縁層に開口部を有する可撓性基板を接着し、
前記可撓性基板の開口部において、前記導電層と集積回路の接続端子とを電気的に接続すると共に、前記可撓性基板及び前記集積回路を接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項21】
基板に凹部を形成し、前記基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、
前記剥離層上であって且つ、前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層上に絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記基板から前記導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離し、
前記導電層と集積回路の接続端子とを電気的に接続すると共に、前記絶縁層及び前記集積回路を接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項22】
基板に凹部を形成し、前記基板上に酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を形成し、
酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層上であって、且つ前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層において、前記基板から前記導電層及び前記絶縁層を剥離し、
前記導電層と集積回路の接続端子とを電気的に接続すると共に、前記絶縁層及び前記集積回路を接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項23】
基板に凹部を形成し、前記基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、
前記剥離層上であって且つ、前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記基板から前記導電層及び前記絶縁層を剥離し、
前記導電層及び前記絶縁層に開口部を有する可撓性基板を接着し、
前記可撓性基板の開口部において、前記導電層と集積回路の接続端子とを電気的に接続すると共に、前記可撓性基板及び前記集積回路を接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項24】
基板に凹部を形成し、前記基板上に酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を形成し、
前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層上であって、且つ前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層において、前記基板から前記導電層及び前記絶縁層を剥離し、
前記導電層及び前記絶縁層に開口部を有する可撓性基板を接着し、
前記可撓性基板の開口部において、前記導電層と集積回路の接続端子とを電気的に接続すると共に、前記可撓性基板及び前記集積回路を接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項25】
請求項17乃至24のいずれか一項において、前記導電層は、アンテナとして機能することを特徴とする半導体装置の形成方法。
【請求項26】
請求項17乃至24のいずれか一項において、前記導電層は、画素電極として機能することを特徴とする半導体装置の形成方法。
【請求項27】
請求項17乃至24のいずれか一項において、前記導電層は、配線として機能することを特徴とする半導体装置の形成方法。
【請求項1】
凹部を有する基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、
前記剥離層上であって且つ、前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記基板から前記導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離することを特徴とする導電層の形成方法。
【請求項2】
凹部を有する基板上に酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を形成し、
前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層上であって、且つ前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層において、前記基板から前記導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離することを特徴とする導電層の形成方法。
【請求項3】
基板に凹部を形成し、前記基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、
前記剥離層上であって且つ、前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記基板から前記導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離することを特徴とする導電層の形成方法。
【請求項4】
基板に凹部を形成し、前記基板上に酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を形成し、
前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層上であって、且つ前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層において、前記基板から前記導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離することを特徴とする導電層の形成方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、前記導電層を剥離した後、前記導電層及び前記導電層を覆う絶縁層の一表面に残存する前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を除去することを特徴とする導電層の形成方法。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項において、前記導電層を剥離した後、前記導電層及び前記導電層を覆う絶縁層の一表面に残存する前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を除去し、前記導電層及び前記絶縁層に可撓性を有する基板を貼り付けることを特徴とする導電層の形成方法。
【請求項7】
請求項1乃至8のいずれか一項において、前記導電層は、アンテナとして機能することを特徴とする導電層の形成方法。
【請求項8】
請求項1乃至8のいずれか一項において、前記導電層は、画素電極として機能することを特徴とする導電層の形成方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項において、前記導電層は、配線として機能することを特徴とする導電層の形成方法。
【請求項10】
凹部を有する基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、
前記剥離層上であって且つ、前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記基板から前記導電層及び前記絶縁層を剥離し、
前記導電層及び前記絶縁層に開口部を有する可撓性基板を接着することを特徴とする導電層を有する基板の作製方法。
【請求項11】
凹部を有する基板上に酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を形成し、
前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層上であって、且つ前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層において、前記基板から前記導電層及び前記絶縁層を剥離し、
前記導電層及び前記絶縁層に開口部を有する可撓性基板を接着することを特徴とする導電層を有する基板の作製方法。
【請求項12】
基板に凹部を形成し、前記基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、
前記剥離層上であって且つ、前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記基板から前記導電層及び前記絶縁層を剥離し、
前記導電層及び前記絶縁層に開口部を有する可撓性基板を接着することを特徴とする導電層を有する基板の作製方法。
【請求項13】
基板に凹部を形成し、前記基板上に酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を形成し、
前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層上であって、且つ前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層において、前記基板から前記導電層及び前記絶縁層を剥離し、
前記導電層及び前記絶縁層に開口部を有する可撓性基板を接着することを特徴とする導電層を有する基板の作製方法。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれか一項において、前記導電層は、アンテナとして機能することを特徴とする導電層を有する基板の形成方法。
【請求項15】
請求項10乃至13のいずれか一項において、前記導電層は、画素電極として機能することを特徴とする導電層を有する基板の形成方法。
【請求項16】
請求項10乃至13のいずれか一項において、前記導電層は、配線として機能することを特徴とする導電層を有する基板の形成方法。
【請求項17】
凹部を有する基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、
前記剥離層上であって且つ、前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層上に絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記基板から前記導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離し、
前記導電層と集積回路の接続端子とを電気的に接続すると共に、前記絶縁層及び前記集積回路を接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項18】
凹部を有する基板上に酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を形成し、
酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層上であって、且つ前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層において、前記基板から前記導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離し、
前記導電層と集積回路の接続端子とを電気的に接続すると共に、前記絶縁層及び前記集積回路を接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項19】
凹部を有する基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、
前記剥離層上であって且つ、前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記基板から前記導電層及び前記絶縁層を剥離し、
前記導電層及び前記絶縁層に開口部を有する可撓性基板を接着し、
前記可撓性基板の開口部において、前記導電層と集積回路の接続端子とを電気的に接続すると共に、前記可撓性基板及び前記集積回路を接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項20】
凹部を有する基板上に酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を形成し、
前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層上であって、且つ前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層において、前記基板から前記導電層及び前記絶縁層を剥離し、
前記導電層及び前記絶縁層に開口部を有する可撓性基板を接着し、
前記可撓性基板の開口部において、前記導電層と集積回路の接続端子とを電気的に接続すると共に、前記可撓性基板及び前記集積回路を接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項21】
基板に凹部を形成し、前記基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、
前記剥離層上であって且つ、前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層上に絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記基板から前記導電層及び前記導電層を覆う絶縁層を剥離し、
前記導電層と集積回路の接続端子とを電気的に接続すると共に、前記絶縁層及び前記集積回路を接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項22】
基板に凹部を形成し、前記基板上に酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を形成し、
酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層上であって、且つ前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層において、前記基板から前記導電層及び前記絶縁層を剥離し、
前記導電層と集積回路の接続端子とを電気的に接続すると共に、前記絶縁層及び前記集積回路を接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項23】
基板に凹部を形成し、前記基板上にシランカップリング剤を用いて剥離層を形成し、
前記剥離層上であって且つ、前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記基板から前記導電層及び前記絶縁層を剥離し、
前記導電層及び前記絶縁層に開口部を有する可撓性基板を接着し、
前記可撓性基板の開口部において、前記導電層と集積回路の接続端子とを電気的に接続すると共に、前記可撓性基板及び前記集積回路を接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項24】
基板に凹部を形成し、前記基板上に酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層を形成し、
前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層上であって、且つ前記凹部に導電層を形成し、
前記導電層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に粘着性を有する部材を貼りつけた後、前記酸素及び珪素が結合し且つ前記珪素に不活性な基が結合する層において、前記基板から前記導電層及び前記絶縁層を剥離し、
前記導電層及び前記絶縁層に開口部を有する可撓性基板を接着し、
前記可撓性基板の開口部において、前記導電層と集積回路の接続端子とを電気的に接続すると共に、前記可撓性基板及び前記集積回路を接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項25】
請求項17乃至24のいずれか一項において、前記導電層は、アンテナとして機能することを特徴とする半導体装置の形成方法。
【請求項26】
請求項17乃至24のいずれか一項において、前記導電層は、画素電極として機能することを特徴とする半導体装置の形成方法。
【請求項27】
請求項17乃至24のいずれか一項において、前記導電層は、配線として機能することを特徴とする半導体装置の形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−141167(P2008−141167A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251150(P2007−251150)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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