情報端末装置、監視方法、および誘導方法
【課題】ナビゲーション機能や現在位置の監視機能を簡便且つ手軽に利用可能とする。
【解決手段】携帯情報端末装置に搭載された位置特定機能を用いて現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することで移動経路を予め記憶しておく。この移動経路を通る場合には、位置特定機能を用いて現在位置を計測し、現在位置が移動経路から閾値距離以上離れている場合には、その旨を所定の連絡先に連絡する。あるいは、移動経路上を始点方向または終点方向の何れの方向に誘導するかを設定しておき、現在位置が移動経路の近傍にある場合には、移動経路上を設定した方向に進むための方向を出力し、現在位置が移動経路から閾値距離より離れた場合には、移動経路に戻るための方向を出力する。こうすれば、地図データを用いることなく、鑑別に携帯情報端末装置の現在位置を監視したり、目的地まで誘導することが可能となる。
【解決手段】携帯情報端末装置に搭載された位置特定機能を用いて現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することで移動経路を予め記憶しておく。この移動経路を通る場合には、位置特定機能を用いて現在位置を計測し、現在位置が移動経路から閾値距離以上離れている場合には、その旨を所定の連絡先に連絡する。あるいは、移動経路上を始点方向または終点方向の何れの方向に誘導するかを設定しておき、現在位置が移動経路の近傍にある場合には、移動経路上を設定した方向に進むための方向を出力し、現在位置が移動経路から閾値距離より離れた場合には、移動経路に戻るための方向を出力する。こうすれば、地図データを用いることなく、鑑別に携帯情報端末装置の現在位置を監視したり、目的地まで誘導することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する機能を搭載した情報端末装置に関し、詳しくは、かかる機能を利用することで、情報端末装置を保持する者の所在位置を監視したり、あるいは目的地への誘導を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
通信技術やコンピュータ関連技術の進歩を受けて、携帯電話や、PDA(Personal Digital Assistance)、ノート型コンピュータなどの携帯情報端末装置には多彩な機能が搭載されるようになっている。こうした機能の中には、地球の衛星軌道上を周回するGPS(Global Positioning System)衛星や、存在位置の分かった発信局などが発信する電波を同時に3ヶ所以上から受信することで、地球上での緯度や経度などを検出して現在位置を特定する機能(位置特定機能)も搭載されている。特に、GPS衛星からの電波を受けて現在位置を特定する機能(いわゆるGPS機能)は比較的手軽に利用可能であることから、今日では、GPS機能を利用した種々のサービスが提案されている。
【0003】
例えば、携帯電話に搭載されたGPS機能を用いて現在位置を検出することにより、携帯電話をいわゆるナビゲーション装置として利用可能とする技術が提案されている。かかる技術によれば、GPS機能を用いて現在位置を検出するとともに、複数の地図データが記憶されているサーバ(地図データサーバ)に接続して、現在位置を含む地図データを読み込んでおく。そして、読み込んだ地図データを携帯電話の画面上に表示するとともに、GPS機能を用いて検出した現在位置を、画面上に表示された地図に重ねて表示することで、道に迷うことなく目的地に辿り着くことが可能となっている(特許文献1)。
【0004】
あるいは、携帯電話に搭載されたGPS機能を用いて検出した現在位置の情報を、地図データサーバやコンピュータ端末に送信することで、携帯電話の保持者が監視領域内に居るか否かを確認可能とした技術も提案されている。かかる技術によれば、地図データサーバに記憶されている地図データ上に監視領域を予め設定しておく。あるいは、地図データサーバからコンピュータ端末に地図データを読み込んで、コンピュータ端末上の地図データに対して監視領域を予め設定しておく。そして、携帯電話で検出した現在位置の情報を、これら地図データサーバあるいはコンピュータ端末に向かって送信し、携帯電話の現在位置と地図データとを照合することにより、携帯電話の保持者が監視領域内に居るか否かを確認することが可能となっている(特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−333339号公報
【特許文献2】特開2005−38299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、提案されている技術は何れも地図データを使用するため、複数の地図データを記憶した地図データサーバが必要となる。そのため、装置が全体として大掛かりになってしまったり、あるいは、地図データサーバへの接続時に認証が必要なために手軽に利用することが難しいという問題がある。また、こうした問題は、携帯電話などの携帯型の情報端末装置に限られるものではなく、カーナビゲーションシステム等のように携帯型ではない情報端末装置の場合にも同様に生じ得る。
【0007】
この発明は、従来の技術における上述した課題に対応してなされたものであり、情報装置に搭載された位置特定機能を利用することで、目的地へ誘導する機能や、現在位置を監視する機能を、簡便に且つ手軽に利用可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の携帯情報端末装置は次の構成を採用した。すなわち、本発明の携帯情報端末装置は、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した携帯情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記携帯情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記携帯情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する偏差情報検出手段と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より大きい場合には、前記携帯情報端末装置が該閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡する連絡手段と
を備えることを要旨とする。
【0009】
また、上記の携帯情報端末装置に対応する本発明の現在位置監視方法は、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した携帯情報端末装置の現在位置を監視する現在位置監視方法であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記携帯情報端末装置の移動経路を記憶しておく第1の工程と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記携帯情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する第2の工程と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より大きい場合には、前記携帯情報端末装置が該閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡する第3の工程と
を備えることを要旨とする。
【0010】
かかる本発明の携帯情報端末装置、およびに現在位置監視方法においては、携帯情報端末装置に搭載された位置特定機能を用いて現在位置を特定し、現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することによって、携帯情報端末装置の移動経路を予め記憶しておく。そして、既に記憶されている移動経路を通る場合には、携帯情報端末装置の位置特定機能を用いて現在位置を特定し、既に記憶されている移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する。ここで偏差情報としては、現在位置と移動経路との隔たりを表すものであれば、種々の値を検出することができる。例えば、移動経路は、位置特定機能が以前に現在位置として検出した複数の座標点によって構成されているから、これら座標点の中で、現在位置に最も近い座標点を検出し、これら2つの座標点の座標値(すなわち、緯度および経度)や、座標値の緯度成分および経度成分の偏差、更には、2つの座標点の間の距離などを、偏差情報として検出することができる。あるいは、移動経路を構成する複数の座標点の間を、直線または曲線によって補間し、得られた直線または曲線に向かって現在位置の座標点から垂線を下ろす。そして、垂線の足(垂線と補間直線または補間曲線との交点)の座標点および現在位置の座標点について、2つの座標点の座標値や、緯度成分および経度成分の偏差、更には2つの座標点間の距離などを、偏差情報として検出することとしても良い。次いで、こうして求めた偏差情報に基づいて求めた現在位置から移動経路までの距離と、所定の閾値距離との大小関係を判断する。そして、現在位置から移動経路までの距離の方が閾値距離よりも大きい場合には、携帯情報端末装置が該閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡する。尚、連絡する形態としては、例えば、予め登録されているメールアドレスに向かって、所定のメールデータを送信することとしても良いし、あるいは予め登録されている電話番号に、自動で電話をかけて、所定の音声データを再生するなど、種々の形態で連絡することができる。
【0011】
こうすれば、携帯情報端末装置に予め移動経路を記憶しておくだけで、携帯情報端末装置の現在位置が、移動経路から所定の閾値距離の範囲内にあるか否かを判断することができ、閾値距離の範囲外にあれば、予め登録されている連絡先にその旨を連絡することができる。その結果、地図データを用いることなく、簡便に、携帯情報端末装置の現在位置を監視することが可能となる。また、地図データを用いないことから地図データサーバが不要となるので、携帯情報端末装置の現在位置を監視するための装置構成が大掛かりになってしまうこともない。
【0012】
また、上述した本発明の携帯情報端末装置においては、現在位置から移動経路への距離が閾値距離よりも小さい場合には、予め登録されている連絡先に所定の頻度で、その旨を連絡するようにしても良い。尚、所定の頻度としては、所定時間毎に連絡する場合に限らず、種々の条件を設定することができる。例えば、所定の距離だけ移動した場合に連絡することとしても良いし、その他、何らかの条件が成立した場合に連絡するようにしても良い。
【0013】
こうすれば、携帯情報端末装置が、移動経路の近傍にいる場合でも、所定の頻度でその旨を確認することが可能となる。
【0014】
また、上記の携帯情報端末装置においては、現在位置から移動経路への距離が閾値距離よりも小さい場合には、単に、携帯情報端末装置が移動経路の近くに居る旨を連絡するだけではなく、次のような情報を連絡するようにしても良い。すなわち、移動経路を、複数の領域に区分した状態で記憶しておき、現在位置から移動経路への距離が閾値距離よりも小さい場合には、現在位置から最も近い領域を検出して、検出した領域を連絡するようにしてもよい。
【0015】
こうすれば、携帯情報端末装置が、単に移動経路から閾値距離以内の範囲にいることだけでなく、移動経路の何れの領域の近くにいるかを、連絡することができるので、携帯情報端末装置の現在位置をより精度良く監視することが可能となる。
【0016】
あるいは、上述した本発明の携帯情報端末装置においては、現在位置から移動経路への距離が閾値距離よりも小さい場合には、次のような条件が成立すると、携帯情報端末装置が移動経路の近くにいる旨を、予め登録されている連絡先に連絡するようにしても良い。すなわち、移動経路を、複数の領域に区分した状態で記憶しておく。そして、現在位置から移動経路への距離が閾値距離よりも小さい場合には、現在位置から最も近い領域を検出し、検出した領域が切り換わる度に、予め登録しておいた連絡先に、検出した領域を連絡することとしてもよい。
【0017】
こうすれば、携帯情報端末装置が、移動経路上に設けられた領域を跨ぐ度に、その旨が連絡されるので、携帯情報端末装置の移動に合わせて、適切な頻度で、途中経過の連絡を受け取ることができる。このため、携帯情報端末装置から、毎回同じ内容の連絡が送られてきて、連絡を受け取る側が煩雑に感じるおそれを回避することが可能となる。
【0018】
また、従来の技術が有する前述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の第1の情報端末装置は、次の構成を採用した。すなわち、本発明の第1の情報端末装置は、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する誘導方向選択手段と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する偏差情報検出手段と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から該移動経路に戻るための方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する誘導手段と
を備えることを要旨とする。
【0019】
また、上記の第1の情報端末装置に対応する本発明の第1の誘導方法は、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置を用いて、該情報端末装置の保持者を誘導する誘導方法であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶しておく工程(A)と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する工程(B)と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する工程(C)と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から該移動経路に戻るための方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する工程(D)と
を備えることを要旨とする。
【0020】
かかる本発明の第1の情報端末装置、および、これに対応する第1の誘導方法においても、情報端末装置に搭載された位置特定機能を用いて現在位置を特定し、現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することによって、情報端末装置の移動経路を予め記憶しておく。また、移動経路に基づいて誘導を行うに際しては、移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択しておく。そして、情報端末装置の位置特定機能を用いて現在位置を特定して、誘導に用いる移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する。ここで偏差情報としては、第1の携帯情報端末装置における偏差情報と同様な情報を検出することができる。次いで、検出した偏差情報に基づいて求めた現在位置から移動経路までの距離と、所定の閾値距離との大小関係を判断する。そして、現在位置から移動経路までの距離の方が閾値距離よりも小さい場合には、移動経路に沿って誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、逆に、現在位置から移動経路までの距離の方が閾値距離よりも大きい場合には、現在位置から移動経路に戻るための方向に関する情報を出力する。尚、これらの情報を出力する形態としては、例えば、情報端末装置に表示画面が設けられている場合には、画面上に文字や図形などを表示するようにしても良いし、あるいは情報端末装置に音声の出力機能が搭載されている場合には、出力する内容に応じた音声データを再生することとしてもよい。
【0021】
こうすれば、情報端末装置に予め移動経路を記憶しておくだけで、移動経路に従って誘導することができるので、地図データを用いることなく、簡便に、情報端末装置の保持者を誘導することが可能となる。また、地図データを用いないことから地図データサーバが不要となるので、装置構成が大掛かりになることも回避することができる。
【0022】
あるいは、従来技術の有する前述した課題の少なくとも一部を解決するためには、次のような構成を採用することも可能である。すなわち、本発明の第2の情報端末装置は、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する誘導方向選択手段と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する偏差情報検出手段と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から前記終点に向かう方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する誘導手段と
を備えることを要旨とする。
【0023】
また、上述した第2の情報端末装置に対応する本発明の第2の誘導方法は、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置を用いて、該情報端末装置の保持者を誘導する誘導方法であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶しておく工程(ア)と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する工程(イ)と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する工程(ウ)と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から前記終点に向かう方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する工程(エ)と
を備えることを要旨とする。
【0024】
かかる本発明の第2の情報端末装置、および第2の誘導方法においても、上述した第2の情報端末装置および第1の誘導方法と同様に、移動経路を予め記憶しておき、情報端末装置の現在位置から移動経路までの距離を検出する。そして、現在位置から移動経路までの距離の方が閾値距離よりも小さい場合には、移動経路に沿って誘導方向に進むための方向に関する情報を出力することによって誘導を行う。これに対して、現在位置から移動経路までの距離の方が閾値距離よりも大きい場合には、現在位置から終点に向かう方向に関する情報を出力することによって、情報端末装置の保持者を誘導することとしてもよい。
【0025】
このようにしても、情報端末装置に予め移動経路を記憶しておくだけで、地図データを用いることなく、簡便に、情報端末装置の保持者を誘導することが可能となる。
【0026】
また、このような本発明の第1の情報端末装置あるいは第2の情報端末装置においては、複数の地図データを記憶している地図データサーバに通信回線を介して接続して、少なくとも現在位置を含む地図データを読み込んで、地図データを、少なくとも現在位置とともに画面上に表示可能としても良い。そして、誘導を行うに際しては、移動経路に基づいて進むべき方向を出力する形態と、画面上に地図データおよび現在位置を表示する形態とを、切り換え可能としておき、何れか一方の形態で誘導するようにしても良い。
【0027】
こうすれば、必要に応じて地図を確認しながら、移動経路に沿って進むことができるので、より容易に目的地点に到達することが可能となる。
【0028】
また、上述した本発明の携帯情報端末装置、第1の情報端末装置、または第2の情報端末装置においては、移動経路を記憶するに際して、次のようにしても良い。すなわち、移動経路の記憶中に所定の操作を行うと、その操作を行った位置での緯度および経度を特定し、得られた緯度および経度が表す計測位置を含めて、移動経路として記憶するようにしても良い。
【0029】
こうすれば、曲がり角などがあった場合に、必要に応じて移動経路の計測位置を追加することができるので、移動経路の計測位置をいたずらに増やすことなく、十分な精度の移動経路を記憶しておくことが可能となる。
【0030】
あるいは、上述した本発明の携帯情報端末装置、第1の情報端末装置、または第2の情報端末装置においては、移動経路を記憶するに際して、現在位置の緯度および経度を検出する頻度を変更可能としても良い。
【0031】
移動経路の精度を確保するためには、できるだけ密に緯度および経度を計測しておくことが望ましく、一方、移動経路のデータ量を抑制する観点からは、できるだけまばらに緯度および経度を計測しておくことが望ましい。このことから、移動経路を記憶する際には、計測位置の間隔が適切な間隔となるように、緯度および経度を計測することが望ましい。従って、現在位置の緯度および経度を計測する頻度を変更可能としておけば、情報端末装置の移動速度に応じた頻度で緯度および経度を計測することができるので、移動経路を構成する計測位置の間隔を適切な間隔とすることが可能となる。
【0032】
更には、上述した本発明の携帯情報端末装置、第1の情報端末装置、または第2の情報端末装置においては、移動経路の記憶を開始するための経路記憶開始ボタンと、移動経路の記憶を終了するための経路記憶終了ボタンとを設けておき、経路記憶開始ボタンが操作されたことを検出すると移動経路の記憶を開始して、経路記憶終了ボタンが操作されたことを検出したら、移動経路の記憶を終了するようにしても良い。
【0033】
こうすれば、移動経路の記憶開始と終了とを、分かり易く、且つ、簡単な操作で行うことが可能となる。
【0034】
あるいは、上述した本発明の携帯情報端末装置は、次のような態様として把握することも可能である。すなわち、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した携帯情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記携帯情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置から、予め記憶されている前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離よりも大きい場合には該閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡することにより、前記携帯情報端末装置の現在位置を監視する監視手段と、
前記移動経路記憶手段に関連付けられた第1の選択肢、および前記監視手段に関連付けられた第2の選択肢を、前記携帯情報端末装置の画面上に表示する選択肢表示手段と、
前記第1の選択肢または前記第2の選択肢が選択されたことを検出して、該選択肢に関連付けられた前記移動経路記憶手段または前記監視手段を起動する起動手段と
を備える携帯情報端末装置として把握することもできる。
【0035】
このように、移動経路記憶手段と監視手段とを、それぞれ第1の選択肢および第2の選択肢に関連付けておき、これらの選択肢が選択された場合には、関連付けられている手段を起動するようにすれば、移動経路を記憶したり、記憶した移動経路に基づいて監視する機能を、簡単な操作によって利用することが可能となる。
【0036】
同様に、上述した本発明の第1の情報端末装置あるいは第2の情報端末装置についても、次のような態様で把握することができる。すなわち、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記移動経路上の始点または終点の何れか選択しておいた側に向かって、該移動経路に沿って進むための方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する誘導手段と
前記移動経路記憶手段に関連付けられた第1の選択肢、および前記誘導手段に関連付けられた第3の選択肢を、前記情報端末装置の画面上に表示する選択肢表示手段と、
前記第1の選択肢または前記第3の選択肢が選択されたことを検出して、該選択肢に関連付けられた前記移動経路記憶手段または前記誘導手段を起動する起動手段と
を備える情報端末装置として把握することもできる。
【0037】
このように、移動経路記憶手段と誘導手段とを、それぞれ第1の選択肢および第3の選択肢に関連付けておき、これらの選択肢が選択された場合には、関連付けられている手段を起動するようにすれば、移動経路を記憶したり、記憶した移動経路に基づいて誘導する機能を、簡単な操作によって利用することが可能となる。
【0038】
また、上述した本発明の現在位置監視方法あるいは誘導方法は、コンピュータに所定のプログラムを読み込ませて、必要な機能を発揮させることによっても実現可能である。従って、この点に着目すれば、本発明は、コンピュータを用いて各種の機能を発揮させるためのプログラムとして把握することも可能である。すなわち、上述した現在位置監視方法に対応する本発明のプログラムは、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した携帯情報端末装置の現在位置を監視する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記携帯情報端末装置の移動経路を記憶しておく第1の機能と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記携帯情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する第2の機能と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より大きい場合には、前記携帯情報端末装置が該閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡する第3の機能と
をコンピュータにより実現させることを要旨とする。
【0039】
また、上述した第1の誘導方法に対応する本発明のプログラムは、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置を用いて、該情報端末装置の保持者を誘導する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶しておく機能(A)と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する機能(B)と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する機能(C)と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から該移動経路に戻るための方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する機能(D)と
をコンピュータにより実現させることを要旨とする。
【0040】
また、上述した第2の誘導方法に対応する本発明のプログラムは、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置を用いて、該情報端末装置の保持者を誘導する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶しておく機能(ア)と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する機能(イ)と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する機能(ウ)と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から前記終点に向かう方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する機能(エ)と
をコンピュータにより実現させることを要旨とする。
【0041】
このようなプログラムをコンピュータに読み込ませて、上述した各種の機能を実現させれば、情報端末装置の現在位置を監視する機能や、目的地点に誘導する機能を、大掛かりな装置を用いることなく、簡便且つ手軽に利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.実施例の概要:
B.情報端末装置の構成:
C.移動経路記憶処理:
D.移動経路監視処理:
D−1.第1の変形例の移動経路監視処理:
D−2.第2の変形例の移動経路監視処理:
E.移動経路誘導処理:
F.変形例:
【0043】
A.実施例の概要 :
実施例の詳細な説明に先立って、理解の便宜を図るために、実施例の概要について簡単に説明しておく。図1は、本実施例の携帯情報端末装置100の大まかな構成を示した説明図である。図示されているように、本実施例の携帯情報端末装置100には、「位置特定モジュール」や、「移動経路記憶モジュール」、「偏差情報検出モジュール」など複数のモジュールが搭載されている。尚、ここで言う「モジュール」とは、携帯情報端末装置100が内部で行う処理を、機能に着目して便宜的に分類したものであり、従って「モジュール」は、プログラムの一部として実現することもできるし、あるいは、特定の機能を有する論理回路を用いて実現したり、更には、これらを組合せることによっても実現することが可能である。
【0044】
「位置特定モジュール」は、地球の衛星軌道上を周回する3つ以上の人工衛星50からの電波を同時に受け取って、それぞれの人工衛星50までの距離を算出することにより、地球上での緯度および経度を検出して、現在位置を特定する機能を有している。尚、本実施例では、もっぱら人工衛星50からの電波を受け取って現在位置を特定するものとして説明するが、人工衛星50からの電波に限らず、所在地が分かっている発信源からの電波であれば、例えば地上に設けられた電波局からの電波を受け取って現在位置を特定することも可能である。また、「移動経路記憶モジュール」は、「位置特定モジュール」によって特定された現在位置(すなわち緯度および経度)を時系列的に記憶する機能を有している。携帯情報端末装置100を携えて移動しながら現在位置を検出し、得られたデータを時系列的に記憶しておくことで、携帯情報端末装置100の移動経路を記憶しておくことが可能である。
【0045】
更に「偏差情報検出モジュール」は、既に記憶されている移動経路が存在する場合に、「位置特定モジュール」によって特定された現在位置と、既に記憶されている移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する機能を有している。ここで移動経路は、実際には、連続した直線あるいは曲線ではなく、緯度および経度によって示される複数の座標点によって構成されている。従って、現在位置と移動経路との隔たりとしては、次のような値を用いることができる。まず、複数の座標点を直線または曲線によって補間し、次いで、補間によって得られた直線または曲線上で、現在位置への距離が最も小さい座標点を検出する。そして、この座標点と、現在位置として特定された緯度および経度の座標点との隔たりを、現在位置と移動経路との隔たりとして用いることができる。あるいは、複数の座標点を補間するのではなく、移動経路を構成する複数の座標点の中から、現在位置として特定された座標点に最も近い座標点を検出して、これら2つの座標点の隔たりを、現在位置と移動経路との隔たりとして用いることも可能である。また、何れの場合でも、偏差情報としては、2つの座標点についての座標値、緯度成分および経度成分の偏差、あるいは2つの座標点間の距離などを検出することができる。
【0046】
「連絡モジュール」は、現在位置から移動経路までの距離が所定の閾値距離よりも大きいか否かを、「偏差情報検出モジュール」によって得られた偏差情報に基づいて判断する。そして、閾値距離よりも大きいと判断した場合には、その旨、すなわち、携帯情報端末装置100が移動経路から閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡する機能を有している。ここで、連絡方法としては、予め登録されている電話番号に電話をかけた後、所定の音声データを再生することとしてもよいし、あるいは、予め登録されているメールアドレスに向かって、所定のメールデータを送信することとしても良い。図1では、予め連絡先として登録されていた携帯電話12に向かって、無線基地局14を経由して電話がかけられ、あるいはメールデータが送信される様子が概念的に表現されている。このように、「位置特定モジュール」、「移動経路記憶モジュール」、「偏差情報検出モジュール」の3つのモジュールに加えて、「連絡モジュール」を搭載することにより、携帯情報端末装置100の現在位置を監視することが可能となる。
【0047】
あるいは「位置特定モジュール」、「移動経路記憶モジュール」、「偏差情報検出モジュール」の3つのモジュールに加えて、「誘導方向選択モジュール」および「誘導モジュール」を携帯情報端末装置100に搭載すれば、携帯情報端末装置100の保持者を目的地へ誘導するための、簡易なナビゲーション装置として使用することが可能となる。すなわち、「誘導方向選択モジュール」には、予め記憶されている移動経路の始点側に向かって誘導するのか、終点側に向かって誘導するのかを選択する機能が搭載されている。また、「誘導モジュール」には、次のような機能が搭載されている。まず、「偏差情報検出モジュール」から現在位置と移動経路との偏差情報を受け取って、現在位置から移動経路までの距離が所定の閾値距離よりも大きいか否かを判断する。
【0048】
そして、閾値距離よりも小さいと判断された場合には、携帯情報端末装置100が概ね移動経路に沿った位置にいるものとして、移動経路上を予め選択しておいた誘導方向に進むための方向を出力する。一方、現在位置から移動経路までの距離が所定の閾値距離よりも大きいと判断された場合には、「誘導モジュール」は、現在位置から移動経路に戻るための方向を出力する。ここで、方向を出力する形態としては、携帯情報端末装置100の画面上に方向を表示するようにしても良いし、あるいは音声によって出力しても良い。また、出力する内容としては、現在の進行方向(または画面の向き)を基準として、進むべき方向を表示しても良いし、あるいは、単に東西南北のような方位を出力することとしても良い。方位磁石などによって東西南北の方向を知ることができれば、単に方位を出力するだけでも進むべき方向を知ることができる。このように、「位置特定モジュール」、「移動経路記憶モジュール」、「偏差情報検出モジュール」に加えて、「誘導方向選択モジュール」および「誘導モジュール」を携帯情報端末装置100に搭載すれば、携帯情報端末装置100を簡易なナビゲーション装置として使用することも可能となる。
【0049】
加えて、本実施例の携帯情報端末装置100は、現在位置を監視するために用いる場合でも、目的地への誘導のために用いる場合でも、地図データを用いることなく、それぞれの機能を実現することが可能である。このため、現在位置を監視する機能や、目的地へ誘導する機能を、簡便に且つ手軽に利用することが可能となる。以下では、このような本実施例の携帯情報端末装置100について、詳細に説明する。
【0050】
B.情報端末装置の構成 :
図2は、携帯電話を例にとって本実施例の携帯情報端末装置100の大まかな構成を示したブロック図である。携帯情報端末装置100には、液晶画面によって構成される表示画面102と、電話をかける等の種々の操作を行うための操作ボタン104と、通話時に用いられる集音マイク106と、通話時あるいは音声データの再生時に用いられるスピーカ108と、無線基地局14(あるいは無線ルータなど)と通信するためのアンテナ110と、着脱可能なメモリカード112など、携帯情報端末装置100を使用するための種々のディバイスが設けられている。
【0051】
また、携帯情報端末装置100の内部には、これらディバイスを駆動するための駆動回路が設けられている。例えば、表示画面102はビデオドライバ120によって駆動されており、操作ボタン104はボタンキードライバ124によって駆動され、集音マイク106およびスピーカ108はサウンドプロセッサ126によって駆動されている。また、アンテナ110やメモリカード112は、それぞれアンテナドライバ128、カードドライバ130によって駆動されている。本実施例の携帯情報端末装置100では、これらの各種ドライバは、専用のLSIチップによって構成されている。更に、本実施例の携帯情報端末装置100には、いわゆるGPS機能を実現するためのGPSモジュール132や、東西南北の方位を検出するための方位磁石134も搭載されている。GPSモジュール132は、3つ以上のGPS衛星からの電波を受信して各GPS衛星との距離を算出することにより、地球上で携帯情報端末装置100が存在している現在位置の緯度および経度を検出することが可能となっている。
【0052】
これら各種ドライバや、GPSモジュール132、方位磁石134などは、論理演算および算術演算を行うCPU150とデータをやり取り可能に接続されている。また、CPU150には、データを読み出すことはできるが書き込むことはできない不揮発メモリであるROM152と、データの読み出しも書き込みも可能な不揮発メモリであるRAM154とが接続されており、これらの不揮発メモリには、各種の制御プログラムが記憶されている。CPU150は、ROM152あるいはRAM154から制御プログラムを読み出すと、プログラムの実行時に生成されるデータをRAM154に記憶しながら、上述した各種ディバイスの動作を制御することにより、携帯情報端末装置100全体の動作を制御している。
【0053】
表示画面102には、CPU150で実行されるプログラムに従って、種々の文字や図形などを表示可能となっている。また、後述するように本実施例の携帯情報端末装置100には、地図データを用いることなく、携帯情報端末装置100の現在位置を監視したり、道順を案内する機能が搭載されており、これらの機能は、ROM152に記憶されているアプリケーションプログラムをCPU150が読み出して、読み出したアプリケーションプログラムを実行しながら表示画面102に種々の表示を行うことによって実現されている。
【0054】
図3は、本実施例の携帯情報端末装置100を用いて現在位置の監視や道順の案内を行う際に、表示画面102に最初に表示される画面を例示した説明図である。図示されているように、表示画面102の中央には、それぞれ「経路記憶」、「監視実行」、「ナビ実行」と表記された3つのボタンが表示されており、以下に説明する操作ボタン104を用いて何れかのボタンを選択することが可能となっている。
【0055】
図4は、本実施例の携帯情報端末装置100に搭載された各種の操作ボタン104を示した説明図である。図示されているように、携帯情報端末装置100の本体部101には、中央のやや上方寄りの位置にカーソルボタン104dが設けられており、また、カーソルボタン104dの中央には選択ボタン104eが設けられている。カーソルボタン104dを操作することで、表示画面102上のカーソルを上下左右に移動させることができ、選択ボタン104eを押せば、カーソルがある位置の機能を選択することが可能となっている。例えば、図3に示した例では、カーソルが「経路記憶」と表示されたボタン上に存在しているが、カーソルボタン104dを用いてカーソルを移動させることができる。更に、カーソルを合わせた状態で選択ボタン104eを押してやれば、カーソルを合わせた位置に表示されている機能を選択することが可能となっている。
【0056】
また、カーソルボタン104dの上側には、3つの機能選択ボタン104a、104b、104cが設けられている。これらのボタンは、表示画面102の下部に機能が表示されている場合に有効となり、対応する位置のボタンを押すことによって、表示されている機能を使用することが可能となる。尚、図3に示した例では、表示画面102の下部には機能が表示されていないので、3つの機能選択ボタン104a、104b、104cは何れも無効な状態となっている。
【0057】
カーソルボタン104dの左下方および右下方には、それぞれ受話器の図形が表示された通話開始ボタン104fおよび通話終了ボタン104gが設けられている。電話の着信中に左側の通話開始ボタン104fを押せば携帯電話として通話することが可能となり、右側の通話終了ボタン104gを押せば通話を終了することができる。また、こちらから電話をかける場合には、「1」〜「0」までの入力ボタン104hを用いて相手の電話番号を入力した後、入力ボタン104hの上方に設けられた通話開始ボタン104fを押すことで、相手を呼び出して通話することが可能となる。尚、電話の通話中は、入力ボタン104hの下方に設けられた集音マイク106が有効となり、こちらの話し声を拾って電気信号に変換した後、電波に載せて送信することができる。また、相手の話し声は表示画面102の上方に設けられた図示しないスピーカ108から音声として再生されるようになっている。
【0058】
C.移動経路記憶処理 :
上述したように本実施例の携帯情報端末装置100では、地図データを用いることなく、携帯情報端末装置100の現在位置を監視したり、道順を案内することが可能となっている。こうしたことを、地図データを用いることなく可能とするためには、携帯情報端末装置100の移動経路を予め記憶しておく必要がある。ここで移動経路とは、携帯情報端末装置100に搭載されているGPSモジュール132を用いて検出した現在位置を時系列的に並べた一連のデータであり、本実施例では、現在位置の緯度および経度を定期的に検出して記憶することで、移動経路を生成することが可能となっている。このように移動経路を生成して記憶する処理は、図3に例示した画面上で「経路記憶」と表示されたボタンを選択することによって開始される。
【0059】
図5は、本実施例の携帯情報端末装置100で移動経路を記憶するために実行される処理の流れを示すフローチャートである。前述したように、かかる処理は、CPU150がROM152に記憶されているプログラムを読み出して実行することによって実現される処理である。以下、フローチャートに従って説明する。
【0060】
移動経路記憶処理では、先ず初めに、移動経路を記憶するための記憶モードを設定する処理を行う(ステップS100)。すなわち、図3に示した初期画面上で「経路記憶」と表示されたボタンを選択すると、表示画面102の表示は、移動経路の記憶モードを設定するための画面に切り換わり、その画面上でカーソルを移動させて選択することにより、記憶モードを設定することが可能となっている。
【0061】
図6は、本実施例の携帯情報端末装置100において記憶モードとして設定すべき項目を例示した説明図である。図示されているように、本実施例の携帯情報端末装置100では、「計測精度」および「計測時間間隔」の2つの項目を設定するようになっている。このうち、「計測精度」という項目は、GPSモジュール132を用いて計測する緯度および経度の精度を設定する項目であり、本実施例では、いわゆる一般的なナビゲーションシステムよりも粗い精度で計測する設定と、一般的なナビゲーションシステムと同程度の細かい精度で計測する設定の、2つの設定が可能となっている。詳細には後述するが、本実施例の携帯情報端末装置100では、地図を用いることなく簡易な方法で、現在位置の監視や道順の案内を可能としており、このような簡易な方法では、緯度および経度の計測精度を多少落としても十分に実用可能である。そこで、一般的なナビゲーションシステムよりも粗い精度で計測するか、あるいは一般的なナビゲーションシステムと同程度の精度で計測するかを、予め選択しておくのである。
【0062】
また、「計測時間間隔」という項目は、GPSモジュール132を用いて現在位置を計測する時間間隔を設定するための項目である。すなわち、GPSモジュール132を用いて計測できるのはあくまでも点の情報(現在位置の緯度および経度)であるため、点と点との間隔が離れすぎると、移動経路としての精度が低下してしまう。とは言え、あまりに点と点との間隔が密になると、記憶すべきデータ量が大きくなるという弊害が生じる。従って、精度とデータ量との兼ね合いから、現在位置を計測する地点同士の間隔は適度に隔たっていることが好ましい。そこで、徒歩で移動している場合には、比較的長い時間間隔で現在位置を計測し、自転車で移動している場合にはより短い時間間隔で現在位置を計測し、自動車で移動している場合には更に短い時間間隔で計測するように、計測する時間間隔を設定しておくのである。
【0063】
尚、本実施例の携帯情報端末装置100では、「計測精度」および「計測時間間隔」の何れの項目については、予め設定されている中から選択することによって、段階的に切り換えるものとしているが、これらの項目を連続的に変更可能としても良い。図5に示した記憶モード設定処理(ステップS100)では、以上のようにして、移動経路を記憶するための記憶モードを設定する処理を行う。
【0064】
記憶モードを設定したら、今度は、開始ボタンが押されたか否かを判断する(ステップS102)。本実施例の携帯情報端末装置100では、本体部101の上部右側に設けられた機能選択ボタン104cが、開始ボタンに設定されている。未だ開始ボタンが押されていないと判断された場合は(ステップS102:no)、同じ判断を繰り返しながら、開始ボタンが押されるまで待機状態となる。そして、開始ボタンが押されたことが確認されたら(ステップS102:yes)、GPSモジュール132を用いて、現在位置の緯度および経度の計測を開始する(ステップS104)。すなわち、記憶モードを設定した後(ステップS102)、移動経路の始点とする地点まで移動してから開始ボタンを押すことにより、所望の地点から移動経路の記憶を開始することが可能となっている。尚、開始ボタンが押されて移動経路の記憶が開始された後は、機能選択ボタン104cの機能は開始ボタンから終了ボタンに切り換わり、再び機能選択ボタン104cを押すことで、移動経路の記憶を終了させることが可能となる。この点については後述する。
【0065】
次いで、計測した緯度および経度のデータを、携帯情報端末装置100に搭載されたRAM154などのメモリに記憶する(ステップS106)。このとき、緯度および経度のデータに加えて、データを計測した時刻(あるいは、計測開始からの経過時間)も同時に記憶しても良い。図7は、緯度および経度の計測値と、初回の計測からの経過時間とが、携帯情報端末装置100のメモリに記憶されている様子を概念的に表した説明図である。ここでは、開始ボタンが押された後(図5のステップS102:yes)、初めて緯度および経度を計測した場合を想定しているから、ステップS106では、緯度の計測値(北緯35度2分6.15秒)、経度の計測値(東経136度50分46.21秒)に加えて、初回の計測からの経過時間(0時間0分0秒)が記憶される。
【0066】
続いて、現在位置を記憶するか否かを判断する(ステップS108)。説明の都合から、このような判断を行う理由については後述するが、多くの場合は、ステップS108では現在位置を記憶しないと判断されるので(ステップS108:no)、ステップS100において設定された計測時間間隔が経過したか否かを判断する(ステップS110)。そして、計測時間間隔が経過したと判断された場合は(ステップS110:yes)、ステップS104に戻って緯度および経度を計測した後、計測した緯度および経度の計測値をメモリに記憶する(ステップS106)。このとき、先に記憶した計測値が存在する場合には、その計測値に続けて記憶する。このような処理を繰り返すことで、携帯情報端末装置100のメモリ上には、所定の時間間隔で計測された経度および緯度の計測値が、時系列的に記憶されることになる。図7では、15秒間の計測時間間隔で、緯度および経度の計測値が時系列的に記憶されている様子が示されている。本実施例の携帯情報端末装置100では、このように緯度および経路の計測値を時系列的に記憶することによって、携帯情報端末装置100の移動経路を記憶するようになっている。
【0067】
ここで、ステップS108において、現在位置を記憶するか否かを判断している理由について説明する。上述したように、本実施例の携帯情報端末装置100では、所定の時間間隔で計測した緯度および経度の値を記憶しておき、これを移動経路として利用する。このように所定の時間間隔で緯度および経度を計測しておくだけでも、真っ直ぐな道やゆっくりとカーブした道の部分であれば十分な精度で移動経路を記憶しておくことができるが、急に折れ曲がった部分では、記憶されている移動経路の精度低下を来してしまう。もちろん、計測時間間隔を短くすれば、折れ曲がった部分でも十分な精度で移動経路を記憶しておくことができるが、計測時間間隔を短くすると、距離あたりの緯度および経度の計測値が多くなるので、移動経路のデータ量が増加してしまう。
【0068】
そこで、計測時間間隔が経過していなくても、所定の操作を行うことで、その位置での緯度および経度を計測して携帯情報端末装置100のメモリに記憶することにより、移動経路のデータ量の増加を最小限に抑制しつつ、十分な精度を確保することが可能となっている。本実施例の携帯情報端末装置100では、図5の移動経路記憶処理の実行中に、本体部101の上部中央に設けられた機能選択ボタン104bを押すと、その位置での緯度および経度が計測されてメモリに記憶されるようになっている。そこで、ステップS108では、機能選択ボタン104bが押されたか否か、すなわち現在位置での緯度および経度を計測して記憶するか否かを判断するのである。そして、現在位置での緯度および経度を記憶すると判断された場合は(ステップS108:yes)、ステップS104に戻って、現在位置の緯度および経度を計測し(ステップS104)、得られた計測値をメモリ上に記憶する。
【0069】
図7の中で、破線の矩形で囲って示した計測値は、移動経路の記憶中に機能選択ボタン104bが押されたために(すなわち、ステップS108:yesと判断されたために)、所定時間毎の計測に加えて、追加して計測された計測値を表している。
【0070】
一方、ステップS110において、未だ計測時間間隔が経過していないと判断された場合は(S110:no)、「マーク」を設定するか否かを判断する(ステップS112)。ここで「マーク」とは、次のようなものである。上述したように移動経路は、緯度および経度の計測値を時系列的に連続して並べたデータであるが、本実施例の携帯情報端末装置100では、1つの連続する移動経路を複数の領域に分割することが可能となっている。「マーク」とは、移動経路の分割する位置を示す目印のようなものであり、本体部101の上部左側に設けられた機能選択ボタン104aを押すことで、「マーク」を設定することが可能となっている。そこでステップS112においては、機能選択ボタン104aが押されたか否かを判断し、機能選択ボタン104aが押されていた場合には、「マーク」が設定されていたものと判断して(ステップS112:yes)、マークデータをメモリに記憶する(ステップS114)。尚、本実施例では、専ら携帯情報端末装置100の保持者が所定の操作を行うことによって「マーク」が設定されるものとして説明するが、これに限られるものではない。例えば、携帯情報端末装置100の内部に予め条件を設定しておき、かかる条件が満足された場合には、自動的に「マーク」が設定されるようにしても良い。
【0071】
図7の中で、一点鎖線の矩形で囲って示した計測値は、メモリにマークデータが記憶されている様子を表している。図示されているように、本実施例では、緯度が北緯0度0分0秒、経度が東経0度0分0秒と、通常ではあり得ない値がマークデータとして設定されており、「マーク」が設定された場合には、このような所定のマークデータがメモリに書き込まれるようになっている。もちろん、ステップS112において「マーク」が設定されていないと判断された場合は(ステップS112:no)、マークデータを記憶する処理(ステップS114)はスキップする。
【0072】
次いで、終了ボタンが押されたか否かを判断する(ステップS116)。前述したように、開始ボタンが押されるまでは、機能選択ボタン104cが開始ボタンに設定されているが、開始ボタンが押されて移動経路の記憶が開始された後は、機能選択ボタン104cの設定は、開始ボタンから終了ボタンに切り換わる。そこで、ステップS116では、機能選択ボタン104cが押されたか否かを判断する。そして、終了ボタンが押されていないと判断された場合は(ステップS116:no)、ステップS108に戻って、以降の一連の判断を繰り返す。すなわち、現在位置を記憶するか否か(ステップS108)、あるいは計測時間間隔が経過したか否か(ステップS110)、更には「マーク」を設定するか否か(ステップS112)を判断し、現在位置を記憶するか、計測時間間隔が経過したと判断されたら(ステップS108:yes、またはステップS110:yes)、ステップS104に戻って、緯度および経度を計測し、得られた計測値をメモリに記憶する(ステップS106)。また、「マーク」を設定すると判断された場合は(ステップS112:yes)、所定のマークデータをメモリに記憶する(ステップS114)。このような処理を繰り返し行うことにより、携帯情報端末装置100の移動経路を記憶することが可能となる。
【0073】
図8は、自宅から学校までの道順が、移動経路として記憶された様子を概念的に表した説明図である。図示されているように、A点ないしG点では、道がほぼ直角に折れ曲がっているが、これらの位置では、携帯情報端末装置100の本体部101の上部中央に設けられた機能選択ボタン104bを押して現在位置を計測することにより、精度を低下させることなく移動経路を記憶しておくことが可能である。また、G点の次の角、更にはその次の角では、道が少しだけ右に折れ曲がっているが、この程度の角度では、特に現在位置を記憶しておかなくても、それほど移動経路の精度が低下することはない。図8に示した例では、G点の次の角では現在位置を記憶せずに、その次の角では現在位置を記憶した場合が示されている。
【0074】
また、図8中に示した二重丸は、その位置に「マーク」が設定されていることを表している。図示した例では、自宅のある住宅街を出たあたりと、学校までの途中にある公園の前の2箇所で「マーク」が設定されており、その結果、自宅から学校までの移動経路が、住宅街を出るまでと、住宅街を出てから公園までと、公園から学校までとの、3つの領域に区分されていることになる。
【0075】
図5に示す移動経路記憶処理を行いながら、携帯情報端末装置100を持って移動することにより、図8に示すような移動経路を記憶することが可能である。そして、目的地に到着したら、終了ボタン(すなわち、機能選択ボタン104c)を押す。すると、ステップS116で「yes」と判断されて、携帯情報端末装置100の表示画面102には、移動経路のタイトルを設定する画面が表示される。
【0076】
図9は、本実施例の携帯情報端末装置100の表示画面102に、移動経路のタイトルを設定する画面が表示された様子を表している。図示されているように、タイトルを設定する画面には、移動経路の始点と、終点とを設定する欄が設けられており、これらの欄に始点および終点の名称を書き込むことで、移動経路のタイトルが自動的に設定されるようになっている。尚、図9に示されているように、タイトルの設定画面が表示されている状態で、本体部101の上部左側の機能選択ボタン104aを押せば、入力形態を漢字や平仮名あるいはカタカナによる入力に切り換えることができ、機能選択ボタン104bを押せば、アルファベットまたは数字による入力に切り換えることができる。そして、2つの欄に始点および終点を入力したら、本体部101の上部右側の機能選択ボタン104cを押すことにより、移動経路のタイトルを確定する。図5に示した移動経路記憶処理では、このようにして、移動経路のタイトルを設定した後(ステップS118)、全ての処理を終了する。
【0077】
D.移動経路監視処理 :
以上のようにして記憶しておいた移動経路を用いれば、携帯情報端末装置100の現在位置を、地図データを用いることなく監視することが可能となる。以下では、移動経路を用いて、携帯情報端末装置100の現在位置を監視するために行われる処理について説明する。
【0078】
図10は、本実施例の携帯情報端末装置100で移動経路を用いて現在位置を監視するために実行される処理の流れを示すフローチャートである。この移動経路監視処理は、図3に例示した画面上で「監視実行」と表示されたボタンを選択すると、CPU150がROM152に記憶されているプログラムを読み出すことによって実行される処理である。以下、フローチャートに従って説明する。
【0079】
移動経路監視処理では、先ず初めに、監視に用いる移動経路や監視モードを設定する処理を行う(ステップS200)。これらの設定は、表示画面102の表示を確認しながら、画面上で行うことができる。
【0080】
図11は、本実施例の携帯情報端末装置100において、監視を行うための移動経路を選択している画面を例示した説明図である。移動経路の選択画面では、既に記憶されている複数の移動経路のタイトルが、選択可能な状態で表示されている。本体部101のカーソルボタン104dを操作して、選択しようとする移動経路にカーソルを合わせた後、選択ボタン104eを押すことにより、監視に用いる移動経路を選択することができる。移動経路を選択すると、携帯情報端末装置100の表示画面102には、監視モードを設定するための画面が表示される。
【0081】
図12は、本実施例の携帯情報端末装置100において、監視モードを設定する際に表示される画面を例示した説明図である。図示されているように、監視モードとしては、携帯情報端末装置100が監視領域外に出た場合に、予め設定されている連絡先に通報するか否か、および、監視領域内に居る場合にも通報を行うか否かを設定する。また、監視領域内に居る場合にも通報する場合には、所定時間毎に通報するのか、あるいは移動経路の設定された領域を跨ぐ際に通報するのかについても設定するようになっている。監視モードは、標準の状態では、携帯情報端末装置100が監視領域に出る際に通報し、また監視領域内に居る場合でも、領域を跨ぐ際には通報するように設定されている。
【0082】
図10のステップS200では、これら移動経路および監視モードを設定する処理を行う。次いで、開始ボタンが押されたか否かを判断する(ステップS202)。移動経路監視処理においても、図5を用いて前述した移動経路記憶処理の場合と同様に、携帯情報端末装置100の本体部101の上部右側に設けられた機能選択ボタン104cが、開始ボタンに設定されている。未だ開始ボタンが押されていないと判断された場合は(ステップS202:no)、同じ判断を繰り返しながら、開始ボタンが押されるまで待機状態となり、開始ボタンが押されたことが確認されたら(ステップS202:yes)、GPSモジュール132を用いて、現在位置の緯度および経度の計測を開始する(ステップS204)。また、前述した移動経路記憶処理と同様に、移動経路監視処理においても、開始ボタンが押された後は、機能選択ボタン104cの機能は開始ボタンから終了ボタンに切り換わるようになっている。
【0083】
尚、移動経路および監視モードを設定する処理では、前回の監視に用いた設定内容を記憶しておき、図10に示した移動経路監視処理の起動後、所定時間が経過しても移動経路および監視モードが設定されない場合には、前回の監視に用いた設定内容を読み出して、以降の処理を行うこととしても良い。同様に、所定時間が経過しても開始ボタンが押されない場合には、開始ボタンが押されたものとして(ステップS202:yes)、以降の処理を行うこととしても良い。こうすれば、図3に示した画面上で「監視実行」と表示されたボタンが押されたにも拘わらず、移動経路および監視モードが設定されなかったり、あるいは開始ボタンが押されないために、実際には監視が行われないといった事態を回避することが可能となる。
【0084】
移動経路監視処理では、現在位置の緯度および経度を計測すると、今度は、現在位置から移動経路までの距離を算出する(ステップS206)。本実施例の携帯情報端末装置100では、移動経路までの距離は次のようにして算出する。まず、移動経路として記憶されている複数の座標点の間を直線によって補間することにより、連続した移動経路を生成する。次いで、現在位置として計測された座標点から、連続する移動経路に向かって垂線を下ろして、垂線と移動経路との交点の座標値を算出する。そして、こうして求めた座標値と、現在位置の座標値とに基づいて、2つの座標点の距離を算出する。図13(a)には、このようにして、現在位置から移動経路までの距離を求めている様子が概念的に示されている。
【0085】
あるいは、簡便には、次のようにして現在位置から移動経路までの距離を求めることとしても良い。まず、移動経路を構成する複数の座標点の中から、現在位置との距離が最も小さい座標点を検出する。次いで、検出した座標点の座標値と、現在位置の座標値とに基づいて、2つの座標点の距離を算出し、得られた値を現在位置から移動経路までの距離としてもよい。図13(b)には、このような簡便な方法で、現在位置から移動経路までの距離を求めている様子が概念的に示されている。図10のステップS206では、以上のようにして、現在位置から移動経路までの距離を算出する。
【0086】
尚、本実施例の移動経路監視処理では、現在位置から移動経路までの距離を算出することによって監視を行っている。従って、開始ボタンを押す位置は、必ずしも移動経路の始点あるいは終点である必要はない。例えば、監視する移動経路として「自宅」と「学校」とをつなぐ経路が選択された場合を例に取ると、「自宅」または「学校」に居るときに開始ボタンを押す必要はなく、選択された監視経路の近傍でありさえすれば、何処で開始ボタンが押された場合でも、移動経路までの距離を算出して、その位置から監視を開始することが可能である。
【0087】
次いで、算出した距離が、閾値として定められている所定値(閾値距離)以下か否かを判断する(ステップS208)。閾値距離の値は、必要に応じて種々の値に設定することができるが、通常であれば、10メートルから50メートルの範囲内から選択された適切な値に設定される。そして、現在位置から移動経路までの距離が、所定の閾値距離よりも小さいと判断された場合は(ステップS208:yes)、現在位置の属する領域を検出する(ステップS212)。図5を用いて前述したように、本実施例の携帯情報端末装置100では、移動経路を記憶する際に適宜「マーク」を設定することで、1本の移動経路を複数の領域に区分することが可能となっている。そこで、携帯情報端末装置100の現在位置が移動経路の近傍にあると判断された場合は(ステップS208:yes)、現在位置が、移動経路の何れの領域にあるかを検出するのである(ステップS212)。
【0088】
図14は、現在位置が属する領域を検出している様子を概念的に示した説明図である。図示されているように、現在位置が属する領域は、移動経路上の座標点の中から、現在位置までの距離が最も短い座標点を抽出し、その座標点が何れの領域に含まれているかを調べることによって検出することができる。移動経路上で、現在位置までの距離が最も短い座標点は、現在位置から移動経路までの距離を求める際に既に決定されているので、その座標点が含まれる領域を調べるだけで、現在位置が属する領域を決定することができる。図14に示した例では、現在位置は、領域3(公園から学校までの領域)に属している場合が示されている。
【0089】
こうして現在位置が属する領域を検出したら(図10のステップS212)、予め登録しておいた連絡先に向かって、検出した領域を連絡する(ステップS214)。連絡する形態としては、種々の形態で行うことができる。例えば、予め登録しておいた電話番号に自動で電話をかけて、検出した領域を、予め登録しておいた音声によって連絡しても良い。あるいは、予め登録しておいたメールアドレスに向かって、検出した領域を示すメールデータを送信することによって連絡することも可能である。一方、現在位置から移動経路までの距離が所定の閾値距離よりも小さいと判断された場合は(ステップS208:no)、監視している移動経路から外れた旨を、登録しておいた連絡先に連絡する(ステップS210)。
【0090】
次いで、計測時間間隔が経過したか否かを判断する(ステップS216)。ここで計測時間間隔とは、ステップS204で現在位置の緯度および経度を計測するために設定されている所定の時間である。ステップS216で、計測時間間隔が経過したと判断される度に(ステップS216:yes)、ステップS204に戻って現在位置の緯度および経度が計測され、現在位置から移動経路までの距離が閾値距離と比較されることから(ステップS208)、結局、計測時間間隔毎に携帯情報端末装置100の現在位置が監視されることになる。
【0091】
尚、図5を用いて前述したように、移動経路記憶処理においては移動経路の記憶精度を確保するために、携帯情報端末装置100の移動速度に応じて適切な計測時間間隔を設定した。しかし、携帯情報端末装置100の現在位置を監視する場合には、監視する時間間隔を短くしたからといって直ちに監視精度が上がるわけではない。通常は、移動経路を記憶する際の計測時間間隔よりも、長い時間間隔で監視すれば十分である。そこで、移動経路監視処理で用いる計測時間間隔は、移動経路記憶処理で用いた計測時間間隔よりも長い時間の固定時間に予め設定されている。もちろん、ステップS200で監視モードを設定する際に、監視に用いる計測時間間隔を設定可能としても良い。
【0092】
一方、計測時間間隔が経過していないと判断された場合は(ステップS216:no)、終了ボタンが押されたか否かを判断する(ステップS218)。前述したように、開始ボタンが押されるまでは、機能選択ボタン104cが開始ボタンに設定されているが、開始ボタンが押されて現在位置の監視が開始された後は、機能選択ボタン104cの設定は、開始ボタンから終了ボタンに切り換わる。そこで、ステップS218では、機能選択ボタン104cが押されたか否かを判断する。そして、終了ボタンが押されていないと判断された場合は(ステップS218:no)、ステップS216に戻って、計測時間間隔が経過したか否かを判断し、計測時間間隔が経過していれば(ステップS216:yes)、ステップS204に戻って現在位置の緯度および経度を計測し、続く一連の処理を行う。
【0093】
図10に示した移動経路監視処理では、こうした処理を繰り返し実行することにより、計測時間間隔が経過する度に、携帯情報端末装置100が移動経路から外れていないか、移動経路に沿って進んでいる場合は、移動経路上の何れの領域に居るかについての情報が、予め登録しておいた連絡先に連絡されることになる。そして、終了ボタンが押されたと判断されたら(ステップS218:yes)、図10に示した移動経路監視処理を終了する。尚、図12を用いて説明した監視モードの設定において、領域内の監視は行わない旨が設定されていた場合には、現在位置から移動経路までの距離が閾値距離より大きくなった場合にだけ、その旨を連絡するようにすればよい。逆に、領域外の監視は行わない旨が設定されていた場合には、現在位置から移動経路までの距離が閾値距離より小さい場合にだけ、現在位置の属する領域を連絡すればよい。
【0094】
以上に説明した本実施例の移動経路監視処理では、携帯情報端末装置100のメモリに移動経路を記憶しておくだけで、計測した現在位置と、記憶されている移動経路とを比較することにより、地図データを用いることなく携帯情報端末装置100の現在位置を監視することが可能である。地図データが不要となれば、取り扱うデータ量を抑制することができるので、携帯情報端末装置100のようなメモリ容量の制約の大きな機器によっても、容易に移動経路の監視を行うことが可能となる。また、地図データサーバも不要となるので、監視を行うための全体のシステムを簡素なものとすることができる。
【0095】
D−1.第1の変形例の移動経路監視処理 :
以上に説明した本実施例の移動経路監視処理では、計測時間間隔が経過する度に、何らかの連絡が、登録しておいた連絡先に向かって行われるものとして説明した。しかし、監視している対象が、移動経路から外れた場合はともかく、移動経路に沿って進んでいるにも計測時間間隔が経過する度に連絡されるのでは、監視する側も煩雑に感じられる場合が起こり得る。このような点に鑑みて、監視対象の携帯情報端末装置100が移動経路から所定の閾値距離以内にある場合には、移動経路の領域を跨ぐ場合にだけ、途中経過報告として連絡するようにしても良い。以下では、このような第1の変形例の移動経路監視処理について説明する。
【0096】
図15は、第1の変形例の移動経路監視処理の流れを示すフローチャートである。第1の変形例の移動経路監視処理は、図10を用いて前述した移動経路監視処理に対して、現在位置から移動経路までの距離が閾値距離以下であった場合の処理のみが異なっており、他の処理は同様である。そこで、以下では、このような相違点を中心として、第1の変形例の移動経路監視処理について説明する。
【0097】
第1の変形例の移動経路監視処理においても、図10を用いて前述した移動経路監視処理と同様に、処理を開始すると、先ず初めに移動経路や監視モードを設定する(ステップS250)。次いで、開始ボタンが押されたか否かを判断し、押されていないと判断された場合は(ステップS252:no)、開始ボタンが押されるまで待機状態となる。そして、開始ボタンが押されたことを確認したら(ステップS252:yes)、GPSモジュール132を用いて、現在位置の緯度および経度を計測した後(ステップS254)、現在位置から移動経路までの距離を算出する(ステップS256)。
【0098】
こうして算出した現在位置から移動経路までの距離を、所定の閾値距離と比較して(ステップS258)、算出した距離が閾値距離よりも大きかった場合には(ステップS258:no)、前述した移動経路監視処理と同様に、予め登録しておいた連絡先に、その旨を連絡する(ステップS260)。
【0099】
一方、現在位置から移動経路までの距離が、閾値距離よりも小さかった場合には(ステップS258:yes)、現在位置が属する領域を検出する(ステップS262)。現在位置の領域を検出する処理も、前述した移動経路監視処理と同様である。
【0100】
第1の変形例の移動経路監視処理では、現在位置が属する領域を検出すると、その領域が前回に検出した時から切り換わったか否かを判断する(ステップS264)。例えば、図14に示した例では、移動経路は「領域1」、「領域2」、「領域3」の3つに区分されており、自宅から学校に向かって移動する場合には、学校にたどり着くまでの間に、現在位置の属する領域が「領域1」から「領域3」へと切り換わる。逆に、学校から自宅に戻る場合には、現在位置の属する領域が「領域1」から「領域3」へと切り換わる。ステップS262では、このように現在位置の属する領域が切り換わったか否かを判断するのである。
【0101】
そして、領域が切り換わったと判断された場合には(ステップS262:yes)、予め登録しておいた連絡先に向けて、現在位置の属する領域を連絡する(ステップS266)。一方、領域が切り換わっていないと判断された場合には(ステップS262:no)、現在位置の属する領域を連絡することなく、そのまま処理を継続する。このようにする結果、変形例の移動経路監視処理では、現在位置の属する領域が切り換わった場合にだけ、予め登録されている連絡先に、現在位置の領域が連絡されることになる。連絡を受けた側では、領域の連絡を受けることによって、ちょうど今、連絡のあった領域に差し掛かったことを知ることが可能となる。
【0102】
尚、ステップS262の判断においては、移動経路から閾値距離より離れた領域に出た後、再び閾値距離の範囲内に戻った場合にも、現在位置の属する領域が切り換わったものと判断しても良い。このようにした場合、一旦、移動経路から離れた旨を連絡した後、移動経路の近傍に戻った場合にも、その旨の連絡をすることができるので、連絡を受ける側では、移動経路の近くまで戻ったこと、および現在、移動経路上のどの辺りにいるかについて、認識することが可能となる。
【0103】
次いで、前述した移動経路監視処理と同様に、計測時間間隔が経過したか否かを判断する(ステップS268)。そして、計測時間間隔が経過したと判断されたら(ステップS268:yes)、ステップS254に戻って現在位置の緯度および経度が計測され、続く一連の処理を行う。一方、未だ計測時間間隔が経過していないと判断された場合は(ステップS268:no)、終了ボタンが押されたか否かを判断する(ステップS270)。そして、終了ボタンが押されていないと判断された場合は(ステップS270:no)、ステップS268に戻って、計測時間間隔が経過したか否かを判断し、計測時間間隔が経過していれば(ステップS268:yes)、ステップS254に戻って現在位置の緯度および経度を計測し、続く一連の処理を行う。こうした処理を繰り返し実行しながら、終了ボタンが押されたと判断されたら(ステップS270:yes)、図15に示した第1の変形例の移動経路監視処理を終了する。
【0104】
以上に説明した第1の変形例の移動経路監視処理においても、地図データを用いることなく携帯情報端末装置100の現在位置を監視することができるので、監視を行うための全体のシステムを簡素なものとしながら、携帯情報端末装置100の現在位置を簡便に監視することが可能となる。加えて、携帯情報端末装置100が移動経路から閾値距離の範囲内にある場合は、移動経路の領域を跨ぐ場合(あるいは、移動経路の領域内に入った場合)にだけ、携帯情報端末装置100が現在何れの領域にいるかが連絡されるので、連絡を受ける側が、連絡を煩く感じる場合にも、これを回避することが可能となる。
【0105】
D−2.第2の変形例の移動経路監視処理 :
また、上述した本実施例の移動経路監視処理では、監視に用いる移動経路を1つ選択し、選択した1つの移動経路を監視するものとして説明した。これに対して、携帯情報端末装置100に記憶されている複数の移動経路を選択し、これら複数の移動経路を監視対象に設定して、複数の移動経路内に監視対象者が居るか否かについてを監視するようにしても良い。すなわち、図3に例示した画面上で「監視実行」と表示されたボタンを選択した後、記憶されている複数の経路情報の中から任意に選択した経路情報(あるいは全ての経路情報)を監視対象として設定し、設定した移動経路の領域を跨ぐ場合、あるいは設定した全ての移動経路から閾値以上離れた場合には、予め登録しておいた連絡先に、所定の報知手段を用いて連絡するようにしても良い。
【0106】
E.移動経路誘導処理 :
また、本実施例の携帯情報端末装置100には、移動経路に従って、目的地への道順を案内する機能(ナビゲーション機能)も搭載されている(図3参照)。目的地への道順を案内する場合でも、地図を用いることなく案内することができるので、地図データサーバに接続して地図データを読み込む必要が無く、手軽にナビゲーション機能を利用することができる。加えて、地図データを用いないことから、取り扱うデータ量を抑制することができるので、メモリ容量に大きな制約を受ける機器によっても、十分に実用的なナビゲーション機能を利用することが可能となる。以下では、本実施例の携帯情報端末装置100において、移動経路に基づいて目的地への道順を案内する場合に行われる処理について詳しく説明する。
【0107】
図16は、本実施例の携帯情報端末装置100において移動経路に従って目的地への道順を案内するために行われる移動経路誘導処理の一部を示すフローチャートである。また、図17は、本実施例の携帯情報端末装置100で行われる移動経路誘導処理の残りの部分を示すフローチャートである。これらの処理は、携帯情報端末装置100の表示画面102上に、図3に示した画面が表示されている状態で、「ナビ実行」と表示されたボタンを選択すると、CPU150がROM152に記憶されているプログラムを読み出すことによって行われる処理である。以下、フローチャートに従って説明する。
【0108】
移動経路誘導処理を開始すると、先ず初めに、誘導に用いる移動経路および誘導方向を選択する処理を行う(ステップS300)。移動経路および誘導方向の選択は、携帯情報端末装置100の表示画面102上から行うことができる。
【0109】
図18は、本実施例の携帯情報端末装置100において移動経路誘導処理を開始すると、初めに、移動経路および誘導方向を選択するための画面が表示画面102に表示された様子を示す説明図である。図示されているように、表示画面102には、既に記憶されている複数の移動経路のタイトルが、選択可能な状態で表示されている。また、図9を用いて前述したように、本実施例の携帯情報端末装置100では、移動経路の始点および終点が、移動経路のタイトルとして設定されている。例えば、図18に示した1番目の移動経路には、自宅を始点として学校を終点とする移動経路が記憶されている。また、2番目の移動経路には、自宅から駅前までの移動経路が記憶されている。これら既に記憶されている移動経路のタイトルを見ながら、所望の移動経路にカーソルを合わせて選択ボタン104eを押すことによって、移動経路を選択する。
【0110】
また、誘導方向は、表示画面102の下部に表示された「正順」あるいは「逆順」の何れかのボタンを選択することによって指定する。これらのボタンは、携帯情報端末装置100の本体部101の上方左側の機能選択ボタン104a、あるいは、上方右側の機能選択ボタン104cを押すことによって選択することができる。「正順」と表示されたボタンを選択した場合には、移動経路の始点から終点に向かう方向に誘導され、「逆順」と表示されたボタンを選択した場合には、移動経路の終点から始点に向かう方向に誘導されることになる。
【0111】
こうして移動経路と誘導方向とが選択されたら、続いて、開始ボタンが押されたか否かを判断する(ステップS302)。移動経路誘導処理においても、前述した移動経路記憶処理あるいは移動経路監視処理と同様に、本体部101の上部右側に設けられた機能選択ボタン104cが、開始ボタンに設定されている。そして、開始ボタンが押されていない場合は(ステップS302:no)、開始ボタンが押されるまで待機状態となり、開始ボタンが押されたことが確認されたら(ステップS302:yes)、現在位置の緯度および経度を計測する(ステップS304)。
【0112】
次いで、緯度および経度を計測した現在位置から移動経路までの距離を算出する(ステップS306)。移動経路までの距離は、前述した移動経路監視処理の場合と同様にして算出することができる。すなわち、移動経路として記憶されている複数の座標点の間を直線によって補間しておき、現在位置から補間直線への距離を算出する(図13(a)参照)。あるいは、移動経路を構成する複数の座標点の中から、現在位置との距離が最も小さい座標点を検出して、現在位置からこの座標点までの距離を算出しても良い(図13(b)参照)。
【0113】
こうして現在位置から移動経路まで距離が得られたら、算出した距離と閾値距離との大小関係を比較する(ステップS308)。そして、算出した距離が閾値距離よりも小さいと判断された場合には(ステップS308:yes)、移動経路に沿って目的地へと誘導する画面を、表示画面102上に表示する(ステップS310)。
【0114】
図19は、移動経路に沿って目的地へと誘導する画面を例示した説明図である。図19(a)は、移動経路に沿って進むためには、このまま真っ直ぐに進めばよいことを示す画面であり、図19(b)は、斜め右方向に進めばよいことを示す画面である。このような画面は次のようにして表示されている。まず、移動経路上の座標点の中から、現在位置から誘導方向に見て、最も近い座標点を検出する。そして、現在位置と検出した座標値との相対座標を算出して、進むべき方向を決定する。次いで、内蔵されている方位磁石134を用いて、携帯情報端末装置100の向きを検出し、表示画面102上に表示する矢印の向きを決定する。あるいは、方位磁石134を用いて携帯情報端末装置100の向きを検出する代わりに、1つ前に現在位置として計測した座標点と、今回計測した座標点とを結ぶ方向を検出し、この方向を携帯情報端末装置100の向きであると仮定して、表示画面102上に表示する矢印の向きを決定しても良い。
【0115】
また、図19に示されているように、本実施例の携帯情報端末装置100では、画面の下部に、目的地までの直線距離と、大まかな所要時間も表示されるようになっている。これらの表示内容は、次のようにして決定されている。まず、現在位置の緯度および経度は分かっており、また、目的地の座標値も、記憶されている移動経路から知ることができる。すなわち、誘導方向が「正順」であれば、移動経路の終点が目的地であり。誘導方向が「逆順」であれば移動経路の始点が目的地となる。従って、移動経路として記憶されている座標値の中から、目的地の座標値を選び出し、現在位置の座標値との偏差を求めれば、目的地までの直線距離を算出することができる。
【0116】
更に、目的地への大まかな所要時間は、次のようにして求めることができる。図7に示したように、移動経路には、緯度および経度の計測値に加えて、移動経路の記憶を開始してからの経過時間も記憶されている。従って、移動経路上での現在位置が分かれば、目的地に到着するまでの大まかな所要時間を求めることができる。図19に示した目的地までの直線距離および所要時間は、このようにして求めた数値が表示されている。
【0117】
現在位置が、移動経路から閾値距離以内の範囲にある場合は(ステップS308:yes)、このようにして、図19に示すような誘導画面を表示する(ステップS310)。一方、現在位置が、移動経路から閾値距離の範囲外にあると判断された場合は(ステップS308:no)、移動経路への復帰画面を、表示画面102上に表示する(ステップS312)。
【0118】
図20は、移動経路に復帰するために表示される画面を例示した説明図である。図20(a)は、斜め右方向に進めば移動経路に戻れる旨を表示した画面であり、図20(b)は、真っ直ぐ進めば移動経路に戻れる旨を表示した画面である。また、表示されている方向が、移動経路上を目的地に向かって進むための方向ではなく、移動経路に戻るための方向であることを明確にするために、図20では矢印が破線によって表示され、矢印の進む先には移動経路をイメージさせる太い線が表示されている。
【0119】
移動経路へ復帰するための画面に表示される矢印の向きは、次のようにして決定されている。まず、現在位置から、移動経路上の最も近い座標点を検出する。この座標点は、移動経路として記憶されている複数の座標点の中から選択しても良いし、あるいは座標点の間を直線によって補間し、得られた補間直線上の点を検出しても良い。そして、現在位置と検出した座標値との相対座標を算出して、移動経路に戻るための方向を決定する。次いで、内蔵されている方位磁石134を用いて、携帯情報端末装置100の向きを検出し、表示画面102上に表示する矢印の向きを決定する。また、図20に示されているように、移動経路に復帰するための画面にも、現在位置から移動経路までの直線距離が表示されるようになっている。ここに表示される距離は、図15に示した移動経路誘導処理のステップS306において算出された距離を、そのまま表示すればよい。尚、方位磁石134を使用する代わりに、ジャイロを内蔵しておき、携帯情報端末装置100の向きを判断して、表示画面102上に矢印を表示するようにしても良い。更には、所定時間内に複数箇所(代表的には2箇所あるいは3箇所)で取得した座標点の差異に基づいて、演算により進行方向を予測し、予測結果に基づいて矢印を表示することも可能である。通常、携帯情報端末装置100の保持者は、携帯情報端末装置100を進行方向に向けて半ば掲げるようにして、表示画面102の表示を見ながら進むものと考えられるから、表示画面102の上部が、演算によって求めた進行方向を向いているものと仮定して、移動経路に戻るための向きを矢印で表示することも可能である。更には、このような場合には、表示画面102に表示された矢印の向きは、表示画面102の上部を進行方向に向けたときに、移動経路の戻るための方向を示している旨を、表示画面102上に表示するようにしても良い。
【0120】
もちろん、本実施例の移動経路誘導処理では、地図データを使用しないので、特に移動経路から外れてしまった場合には、表示された方向の道が存在するとは限らない。例えば、移動経路に戻るためには右斜め方向に進めばよい旨が表示されたとしても、右斜め方向に進む道が存在しなければ、右斜め方向に進むことはできない。しかし、このような場合でも、現在位置が移動経路から離れていること、および移動経路に戻るためにはどちらの方向に進めばよいかを知るだけで、十分に道案内の役に立てることができる。例えば、右斜め方向の表示が出たにも拘わらず、そちら方向に向かう道が無かった場合には、取り敢えずそのまま直進し、右折する道に出たところで右折すれば、全体として右斜め方向に進んだことになるので、やがて移動経路に戻ることが可能となる。
【0121】
あるいは、移動経路に戻るための方向を表示する代わりに、目的地が何れに方向にあるかを、表示画面102に表示するようにしても良い。たとえ移動経路から外れてしまった場合でも、取り敢えず、目的地に向かって進んでいれば、やがて移動経路の近傍に戻ることができるので、目的地の方向を表示してもよい。もちろん、移動経路に戻るための方向と、目的地の方向とを同時に表示することも可能である。
【0122】
以上のようにして、移動経路に沿って誘導する画面、あるいは移動経路に戻るための画面を表示したら(ステップS310、ステップS312)、計測時間間隔が経過したか否かを判断する(ステップS312)。ここで計測時間間隔とは、図19あるいは図20に例示した表示画面102の表示を更新する間隔に設定されている所定の時間である。前述した移動経路監視処理と同様に、移動経路誘導処理においても、計測時間間隔は、比較的長い値の固定時間に設定されている。そして、計測時間間隔が経過したと判断された場合は(ステップS314:yes)、ステップS304に戻って現在位置の緯度および経度を計測した後、上述した続く一連の処理を行うことにより、表示画面102の画面の表示を更新する。
【0123】
一方、計測時間間隔が経過していないと判断された場合は(ステップS314:no)、今度は、地図を読み込むか否かを判断する(図17のステップS316)。図19あるいは図20に示されているように、表示画面102の下方左側には「地図」と表示されたボタンが設けられており、このボタンを選択すると、地図を読み込むものと判断される(ステップS316:yes)。そして、この場合は、現在位置から目的地までの範囲を含む地図データを読み込む処理を行う(ステップS318)。すなわち、無線基地局14を介してインターネットなどの通信回線上に設けられた地図データサーバに接続した後、地図データサーバに対して、現在位置および目的地の座標値を出力することによって、現在位置および目的地を含んだ地図データを選択する。次いで、選択した地図データを、無線基地局14を介して取り込んで、携帯情報端末装置100のメモリ(RAM154や、メモリカード112など)に記憶する。
【0124】
こうして地図データを読み込んだら、地図データに基づいて現在位置周辺の地図を表示画面102に表示するとともに、地図上に現在位置および目的地を表示する(ステップS320)。このとき、現在位置および目的地に加えて、移動経路も表示することとしても良い。また、地図が大きいために、表示画面102上に全てを表示できない場合は、表示画面102で地図をスクロール可能な形式で表示すればよい。
【0125】
図21は、地図データサーバから読み込まれた地図が表示画面102上に表示されている様子を例示した説明図である。図中に示した黒い矢印は、現在位置を表している。このように、地図データサーバからは、現在位置と目的地(学校)とを含むような地図データが読み込まれて表示画面102に表示される。また、図中に示した一点鎖線は、移動経路を表している。本実施例の携帯情報端末装置100では、仮に移動経路に戻れなくなってしまった場合や、何らかの理由で地図を確認したくなった場合などには、直ちに現在位置を含む地図を、表示画面102上で確認することが可能となっている。
【0126】
図17のステップS316で、地図を読み込むと判断された場合は、こうして表示画面102に地図を表示させた後(ステップS320)、続いて、地図を閉じて良いか否かを判断する(ステップS322)。図21に示されているように、表示画面102の下方左側には「閉じる」と表示されたボタンが設けられており、表示画面102に表示されている地図を閉じて良い場合には、本体部101の上部左側に設けられた機能選択ボタン104aを押すことによって、「閉じる」ボタンを選択することが可能となっている。「閉じる」ボタンが選択されていない場合は(ステップS322:no)、ボタンが選択されるまで、そのまま待機状態となる。このため、携帯情報端末装置100の操作者は、必要なだけ時間をかけて地図を確認することができる。
【0127】
そして、操作者が十分に地図を確認したら、「閉じる」ボタンが選択されるので、地図を閉じて良いものと判断して(ステップS322:yes)、今度は、終了ボタンが押されたか否かを判断する(図16のステップS324)。前述したように、終了ボタンは、本体部101の上部右側に設けられた機能選択ボタン104cに設定されている。そして、終了ボタンが押されていないと判断された場合は(ステップS324:no)、ステップS314に戻って、計測時間間隔が経過したか否かを判断し、計測時間間隔が経過していれば(ステップS314:yes)、ステップS304に戻って現在位置の緯度および経度を計測した後、表示画面102の表示を更新する(ステップS310、またはステップS312)。こうした処理を繰り返して実行し、終了ボタンが押されたと判断されたら(ステップS324:yes)、図16および図17に示した移動経路監視処理を終了する。
【0128】
図16および図17に示した移動経路誘導処理では、以上のような処理を実行しており、その結果、移動経路に従って目的地まで誘導することが可能となっている。以上に説明した移動経路誘導処理によれば、予め記憶しておいた移動経路に従って、目的地まで誘導することができる。このため、地図データを用いる必要が無く、メモリ容量は処理能力の乏しい機器を用いた場合でも、軽快なナビゲーション機能を実現することが可能となる。もちろん、地図データを読み込んで表示画面102に表示させることで、必要に応じて地図を確認することも可能である。このとき、自動的に地図を用いたナビゲーション機能に切り換えることとしても良いが、既に地図で確認しているので、移動経路を用いて誘導するだけでも、容易に目的地に到着することが可能となる。
【0129】
F.変形例 :
前述した移動経路監視処理では、記憶されている移動経路は互いに独立しているものとして説明した。しかし、複数の移動経路を互いに関連付けた状態で記憶しておき、携帯情報端末装置100の現在位置に応じて移動経路を切り換えながら、監視を行うこととしても良い。
【0130】
例えば、1週間のうちの特定の曜日には、学校の帰りに学習塾に寄ってから帰宅することになったとする。このような場合、学習塾の無い日は、学校から自宅への移動経路に従って監視すればよい。しかし、学習塾のある日は、監視対象の経路を、学校から学習塾を経由して自宅に戻る経路に切り換えなければ、監視経路から外れた旨が、繰り返し連絡されてしまう。このような場合には、学校から自宅までの経路に関連付けて、学校から学習塾を経由して帰る経路を記憶しておく。
【0131】
図22は、2つの移動経路を関連付けて記憶している様子を概念的に示した説明図である。図中に示した一点鎖線は、従来から記憶されていた学校から自宅までの経路を示している。また、図中に示した破線は、学校から学習塾によって帰宅する経路を示している。このような、学習塾に寄ってから帰宅する経路を記憶する場合には、先ず初めに、従来の経路(ここでは、学校から自宅までの経路)を選択しておく。次いで、新たに記憶する経路を、選択した経路に関連付けて記憶する旨を指定した後、新たな記憶しようとする経路への分岐点から、移動経路の記憶を開始する。ここで新たな経路への分岐点は、必ずしも既に記憶した経路の途中にある必要はなく、例えば図22に示すように、経路の始点から分岐することも可能である。
【0132】
こうして、学習塾に寄ってから自宅に向かう経路を移動しながら、現在位置の緯度および経度を計測することによって新たな経路を記憶していき、そして従来の経路に合流したら、新たな経路の記憶を終了する。尚、従来の経路に合流する位置も、必ずしも経路の途中で合流する場合に限られるものではなく、終点(ここでは自宅)で合流することも可能である。その結果、図22に、破線で示した経路(学習塾に寄って帰宅する経路)が、一点鎖線で示した経路(学校から自宅に向かう経路)に関連付けられた状態で記憶されることになる。尚、新たな移動経路のデータを記憶する形態は、従来から記憶されている移動経路と何らかの方法で関連付けて記憶されているのであれば、種々の形態で記憶しておくこともできる。例えば、データの中に何らかの識別データを挿入しておき、この識別データを手がかりにして、一方の移動経路のデータから他方の移動経路のデータを読み出せるように記憶しておくことができる。
【0133】
次いで、移動経路に基づいた監視を行う場合には、互いに関連付けられた経路の中から1つの経路を選択して、監視経路として設定しておく。図22に示した例では、学校から自宅までの経路と、学習塾に寄ってから帰宅する経路の2つの経路が関連付けられているが、ここでは、学校から自宅までの経路が監視経路として設定されたものとする。その結果、設定された監視経路に基づいて監視が開始されるが、互いに関連付けられた経路の分岐点に達したら、その後に検出される現在位置に応じて、監視対象の経路を切り換える。例えば、学校の正門を出た後、真っ直ぐ帰宅する方向に進んだ場合は、一点鎖線の経路に沿って監視が行われるが、正門から学習塾の方向に進んだ場合には、監視経路が破線の経路に切り換わって監視が行われる。その後、学校から真っ直ぐ帰宅する経路に合流すると、再び監視対象の経路がこの経路に切り換わる。
【0134】
このように、2つの経路(ここでは、学校から真っ直ぐ帰宅する経路と、学習塾に寄ってから帰宅する経路)を関連付けて記憶しておくことで、携帯情報端末装置100の保持者の進路に応じて監視経路を自動的に切り換えることが可能となる。その結果、日によって経路が異なるような場合でも、その度に監視対象の経路を設定し直す必要が無いので、常に適切に監視することが可能となる。
【0135】
尚、以上では、関連付けられた移動経路の分岐点、あるいは合流点に達したときに、監視対象の経路を切り換えるか否かを判断するものとして説明した。しかし、次のようにして判断することも可能である。すなわち、監視中の移動経路から外れた場合に、関連付けられた移動経路が近くを通っていないかどうかを判断し、関連付けられた移動経路が近くを通っていた場合には、監視対象の経路を、その移動経路に切り換えるようにしても良い。このようにすれば、分岐点あるいは合流点を検出しなくても、監視対象の経路を切り換えることが可能となる。
【0136】
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0137】
例えば、上述した移動経路監視処理、あるいは移動経路誘導処理においては、予め移動経路を記憶しておき、この移動経路を読み出して、監視あるいは誘導に使用するものとして説明した。しかし、移動経路のデータはデータ量もそれ程大きなものではないので、他の携帯情報端末装置100に記憶されている移動経路のデータを、通信回線を介して取り込んで、監視あるいは誘導に利用することも可能となる。こうすれば、例えば道順を説明する場合にも、電話などで説明する代わりに、移動経路のデータを相手の携帯情報端末装置100に送信することで、簡単に且つ正確に道順を伝えることも可能となる。
【0138】
また、記憶された移動経路と実際に通った道との関係を把握するために、監視モードの実行中でも、現在位置情報を時系列的に記憶するようにしても良い。
【0139】
更には、上述した実施例では、GPS衛星から送信される緯度経度情報を利用して、携帯情報端末装置100の現在位置を検出したり、あるいは進行方向を決定するものとして説明した。しかし、GPS衛星からの情報に代えて、所在位置の分かっている電波発信装置(例えば、携帯電話の無線基地局など)から、無線電波機器に対して出力される電波の強度を利用することで、位置情報を取得したり、進行方向を決定したり、あるいはこれら情報を用いて位置や方向を補正するようにしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本実施例の携帯情報端末装置の大まかな構成を示した説明図である。
【図2】携帯電話を例にとって本実施例の携帯情報端末装置の大まかな構成を示したブロック図である。
【図3】本実施例の携帯情報端末装置を用いて現在位置の監視や道順の案内を行う際に最初に表示される表示画面を例示した説明図である。
【図4】本実施例の携帯情報端末装置に搭載された各種の操作ボタンを示した説明図である。
【図5】本実施例の携帯情報端末装置で行われる移動経路記憶処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本実施例の携帯情報端末装置において記憶モードとして設定される項目を例示した説明図である。
【図7】本実施例の携帯情報端末装置に記憶される移動経路のデータ構造を概念的に表した説明図である。
【図8】自宅から学校までの道順が移動経路として記憶された様子を概念的に表した説明図である。
【図9】本実施例の携帯情報端末装置の表示画面上で移動経路のタイトルを設定するための画面を例示した説明図である。
【図10】移動経路を用いて現在位置を監視するために実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】本実施例の携帯情報端末装置で監視を行うための移動経路を選択している画面を例示した説明図である。
【図12】本実施例の携帯情報端末装置で監視モードを設定するために表示される画面を例示した説明図である。
【図13】現在位置から移動経路までの距離を求めている様子を概念的に示した説明図である。
【図14】現在位置が属する領域を検出している様子を概念的に示した説明図である。
【図15】第1の変形例の移動経路監視処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】本実施例の携帯情報端末装置で行われる移動経路誘導処理の一部を示すフローチャートである。
【図17】本実施例の携帯情報端末装置で行われる移動経路誘導処理の残りの部分を示すフローチャートである。
【図18】本実施例の携帯情報端末装置において移動経路および誘導方向を選択するための画面が表示された様子を示す説明図である。
【図19】移動経路に沿って目的地へと誘導する画面が表示された様子を例示した説明図である。
【図20】移動経路に復帰させるための画面が表示された様子を例示した説明図である。
【図21】地図データサーバから読み込まれた地図が表示画面上に表示されている様子を例示した説明図である。
【図22】2つの移動経路が関連付けて記憶されている様子を概念的に示した説明図である。
【符号の説明】
【0141】
12…携帯電話、 14…無線基地局、 50…人工衛星、
100…携帯情報端末装置、 101…本体部、 102…表示画面、
104…操作ボタン、 104a…機能選択ボタン、
104b…機能選択ボタン、 104c…機能選択ボタン、
104d…カーソルボタン、 104e…選択ボタン、
104f…通話開始ボタン、 104g…通話終了ボタン、
104h…入力ボタン、 106…集音マイク、 108…スピーカ、
110…アンテナ、 112…メモリカード、 120…ビデオドライバ、
124…ボタンキードライバ、 126…サウンドプロセッサ、
128…アンテナドライバ、 130…カードドライバ、 134…方位磁石、
150…CPU、 152…ROM、 154…RAM
【技術分野】
【0001】
本発明は、地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する機能を搭載した情報端末装置に関し、詳しくは、かかる機能を利用することで、情報端末装置を保持する者の所在位置を監視したり、あるいは目的地への誘導を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
通信技術やコンピュータ関連技術の進歩を受けて、携帯電話や、PDA(Personal Digital Assistance)、ノート型コンピュータなどの携帯情報端末装置には多彩な機能が搭載されるようになっている。こうした機能の中には、地球の衛星軌道上を周回するGPS(Global Positioning System)衛星や、存在位置の分かった発信局などが発信する電波を同時に3ヶ所以上から受信することで、地球上での緯度や経度などを検出して現在位置を特定する機能(位置特定機能)も搭載されている。特に、GPS衛星からの電波を受けて現在位置を特定する機能(いわゆるGPS機能)は比較的手軽に利用可能であることから、今日では、GPS機能を利用した種々のサービスが提案されている。
【0003】
例えば、携帯電話に搭載されたGPS機能を用いて現在位置を検出することにより、携帯電話をいわゆるナビゲーション装置として利用可能とする技術が提案されている。かかる技術によれば、GPS機能を用いて現在位置を検出するとともに、複数の地図データが記憶されているサーバ(地図データサーバ)に接続して、現在位置を含む地図データを読み込んでおく。そして、読み込んだ地図データを携帯電話の画面上に表示するとともに、GPS機能を用いて検出した現在位置を、画面上に表示された地図に重ねて表示することで、道に迷うことなく目的地に辿り着くことが可能となっている(特許文献1)。
【0004】
あるいは、携帯電話に搭載されたGPS機能を用いて検出した現在位置の情報を、地図データサーバやコンピュータ端末に送信することで、携帯電話の保持者が監視領域内に居るか否かを確認可能とした技術も提案されている。かかる技術によれば、地図データサーバに記憶されている地図データ上に監視領域を予め設定しておく。あるいは、地図データサーバからコンピュータ端末に地図データを読み込んで、コンピュータ端末上の地図データに対して監視領域を予め設定しておく。そして、携帯電話で検出した現在位置の情報を、これら地図データサーバあるいはコンピュータ端末に向かって送信し、携帯電話の現在位置と地図データとを照合することにより、携帯電話の保持者が監視領域内に居るか否かを確認することが可能となっている(特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−333339号公報
【特許文献2】特開2005−38299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、提案されている技術は何れも地図データを使用するため、複数の地図データを記憶した地図データサーバが必要となる。そのため、装置が全体として大掛かりになってしまったり、あるいは、地図データサーバへの接続時に認証が必要なために手軽に利用することが難しいという問題がある。また、こうした問題は、携帯電話などの携帯型の情報端末装置に限られるものではなく、カーナビゲーションシステム等のように携帯型ではない情報端末装置の場合にも同様に生じ得る。
【0007】
この発明は、従来の技術における上述した課題に対応してなされたものであり、情報装置に搭載された位置特定機能を利用することで、目的地へ誘導する機能や、現在位置を監視する機能を、簡便に且つ手軽に利用可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の携帯情報端末装置は次の構成を採用した。すなわち、本発明の携帯情報端末装置は、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した携帯情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記携帯情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記携帯情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する偏差情報検出手段と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より大きい場合には、前記携帯情報端末装置が該閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡する連絡手段と
を備えることを要旨とする。
【0009】
また、上記の携帯情報端末装置に対応する本発明の現在位置監視方法は、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した携帯情報端末装置の現在位置を監視する現在位置監視方法であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記携帯情報端末装置の移動経路を記憶しておく第1の工程と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記携帯情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する第2の工程と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より大きい場合には、前記携帯情報端末装置が該閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡する第3の工程と
を備えることを要旨とする。
【0010】
かかる本発明の携帯情報端末装置、およびに現在位置監視方法においては、携帯情報端末装置に搭載された位置特定機能を用いて現在位置を特定し、現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することによって、携帯情報端末装置の移動経路を予め記憶しておく。そして、既に記憶されている移動経路を通る場合には、携帯情報端末装置の位置特定機能を用いて現在位置を特定し、既に記憶されている移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する。ここで偏差情報としては、現在位置と移動経路との隔たりを表すものであれば、種々の値を検出することができる。例えば、移動経路は、位置特定機能が以前に現在位置として検出した複数の座標点によって構成されているから、これら座標点の中で、現在位置に最も近い座標点を検出し、これら2つの座標点の座標値(すなわち、緯度および経度)や、座標値の緯度成分および経度成分の偏差、更には、2つの座標点の間の距離などを、偏差情報として検出することができる。あるいは、移動経路を構成する複数の座標点の間を、直線または曲線によって補間し、得られた直線または曲線に向かって現在位置の座標点から垂線を下ろす。そして、垂線の足(垂線と補間直線または補間曲線との交点)の座標点および現在位置の座標点について、2つの座標点の座標値や、緯度成分および経度成分の偏差、更には2つの座標点間の距離などを、偏差情報として検出することとしても良い。次いで、こうして求めた偏差情報に基づいて求めた現在位置から移動経路までの距離と、所定の閾値距離との大小関係を判断する。そして、現在位置から移動経路までの距離の方が閾値距離よりも大きい場合には、携帯情報端末装置が該閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡する。尚、連絡する形態としては、例えば、予め登録されているメールアドレスに向かって、所定のメールデータを送信することとしても良いし、あるいは予め登録されている電話番号に、自動で電話をかけて、所定の音声データを再生するなど、種々の形態で連絡することができる。
【0011】
こうすれば、携帯情報端末装置に予め移動経路を記憶しておくだけで、携帯情報端末装置の現在位置が、移動経路から所定の閾値距離の範囲内にあるか否かを判断することができ、閾値距離の範囲外にあれば、予め登録されている連絡先にその旨を連絡することができる。その結果、地図データを用いることなく、簡便に、携帯情報端末装置の現在位置を監視することが可能となる。また、地図データを用いないことから地図データサーバが不要となるので、携帯情報端末装置の現在位置を監視するための装置構成が大掛かりになってしまうこともない。
【0012】
また、上述した本発明の携帯情報端末装置においては、現在位置から移動経路への距離が閾値距離よりも小さい場合には、予め登録されている連絡先に所定の頻度で、その旨を連絡するようにしても良い。尚、所定の頻度としては、所定時間毎に連絡する場合に限らず、種々の条件を設定することができる。例えば、所定の距離だけ移動した場合に連絡することとしても良いし、その他、何らかの条件が成立した場合に連絡するようにしても良い。
【0013】
こうすれば、携帯情報端末装置が、移動経路の近傍にいる場合でも、所定の頻度でその旨を確認することが可能となる。
【0014】
また、上記の携帯情報端末装置においては、現在位置から移動経路への距離が閾値距離よりも小さい場合には、単に、携帯情報端末装置が移動経路の近くに居る旨を連絡するだけではなく、次のような情報を連絡するようにしても良い。すなわち、移動経路を、複数の領域に区分した状態で記憶しておき、現在位置から移動経路への距離が閾値距離よりも小さい場合には、現在位置から最も近い領域を検出して、検出した領域を連絡するようにしてもよい。
【0015】
こうすれば、携帯情報端末装置が、単に移動経路から閾値距離以内の範囲にいることだけでなく、移動経路の何れの領域の近くにいるかを、連絡することができるので、携帯情報端末装置の現在位置をより精度良く監視することが可能となる。
【0016】
あるいは、上述した本発明の携帯情報端末装置においては、現在位置から移動経路への距離が閾値距離よりも小さい場合には、次のような条件が成立すると、携帯情報端末装置が移動経路の近くにいる旨を、予め登録されている連絡先に連絡するようにしても良い。すなわち、移動経路を、複数の領域に区分した状態で記憶しておく。そして、現在位置から移動経路への距離が閾値距離よりも小さい場合には、現在位置から最も近い領域を検出し、検出した領域が切り換わる度に、予め登録しておいた連絡先に、検出した領域を連絡することとしてもよい。
【0017】
こうすれば、携帯情報端末装置が、移動経路上に設けられた領域を跨ぐ度に、その旨が連絡されるので、携帯情報端末装置の移動に合わせて、適切な頻度で、途中経過の連絡を受け取ることができる。このため、携帯情報端末装置から、毎回同じ内容の連絡が送られてきて、連絡を受け取る側が煩雑に感じるおそれを回避することが可能となる。
【0018】
また、従来の技術が有する前述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の第1の情報端末装置は、次の構成を採用した。すなわち、本発明の第1の情報端末装置は、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する誘導方向選択手段と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する偏差情報検出手段と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から該移動経路に戻るための方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する誘導手段と
を備えることを要旨とする。
【0019】
また、上記の第1の情報端末装置に対応する本発明の第1の誘導方法は、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置を用いて、該情報端末装置の保持者を誘導する誘導方法であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶しておく工程(A)と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する工程(B)と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する工程(C)と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から該移動経路に戻るための方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する工程(D)と
を備えることを要旨とする。
【0020】
かかる本発明の第1の情報端末装置、および、これに対応する第1の誘導方法においても、情報端末装置に搭載された位置特定機能を用いて現在位置を特定し、現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することによって、情報端末装置の移動経路を予め記憶しておく。また、移動経路に基づいて誘導を行うに際しては、移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択しておく。そして、情報端末装置の位置特定機能を用いて現在位置を特定して、誘導に用いる移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する。ここで偏差情報としては、第1の携帯情報端末装置における偏差情報と同様な情報を検出することができる。次いで、検出した偏差情報に基づいて求めた現在位置から移動経路までの距離と、所定の閾値距離との大小関係を判断する。そして、現在位置から移動経路までの距離の方が閾値距離よりも小さい場合には、移動経路に沿って誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、逆に、現在位置から移動経路までの距離の方が閾値距離よりも大きい場合には、現在位置から移動経路に戻るための方向に関する情報を出力する。尚、これらの情報を出力する形態としては、例えば、情報端末装置に表示画面が設けられている場合には、画面上に文字や図形などを表示するようにしても良いし、あるいは情報端末装置に音声の出力機能が搭載されている場合には、出力する内容に応じた音声データを再生することとしてもよい。
【0021】
こうすれば、情報端末装置に予め移動経路を記憶しておくだけで、移動経路に従って誘導することができるので、地図データを用いることなく、簡便に、情報端末装置の保持者を誘導することが可能となる。また、地図データを用いないことから地図データサーバが不要となるので、装置構成が大掛かりになることも回避することができる。
【0022】
あるいは、従来技術の有する前述した課題の少なくとも一部を解決するためには、次のような構成を採用することも可能である。すなわち、本発明の第2の情報端末装置は、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する誘導方向選択手段と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する偏差情報検出手段と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から前記終点に向かう方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する誘導手段と
を備えることを要旨とする。
【0023】
また、上述した第2の情報端末装置に対応する本発明の第2の誘導方法は、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置を用いて、該情報端末装置の保持者を誘導する誘導方法であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶しておく工程(ア)と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する工程(イ)と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する工程(ウ)と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から前記終点に向かう方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する工程(エ)と
を備えることを要旨とする。
【0024】
かかる本発明の第2の情報端末装置、および第2の誘導方法においても、上述した第2の情報端末装置および第1の誘導方法と同様に、移動経路を予め記憶しておき、情報端末装置の現在位置から移動経路までの距離を検出する。そして、現在位置から移動経路までの距離の方が閾値距離よりも小さい場合には、移動経路に沿って誘導方向に進むための方向に関する情報を出力することによって誘導を行う。これに対して、現在位置から移動経路までの距離の方が閾値距離よりも大きい場合には、現在位置から終点に向かう方向に関する情報を出力することによって、情報端末装置の保持者を誘導することとしてもよい。
【0025】
このようにしても、情報端末装置に予め移動経路を記憶しておくだけで、地図データを用いることなく、簡便に、情報端末装置の保持者を誘導することが可能となる。
【0026】
また、このような本発明の第1の情報端末装置あるいは第2の情報端末装置においては、複数の地図データを記憶している地図データサーバに通信回線を介して接続して、少なくとも現在位置を含む地図データを読み込んで、地図データを、少なくとも現在位置とともに画面上に表示可能としても良い。そして、誘導を行うに際しては、移動経路に基づいて進むべき方向を出力する形態と、画面上に地図データおよび現在位置を表示する形態とを、切り換え可能としておき、何れか一方の形態で誘導するようにしても良い。
【0027】
こうすれば、必要に応じて地図を確認しながら、移動経路に沿って進むことができるので、より容易に目的地点に到達することが可能となる。
【0028】
また、上述した本発明の携帯情報端末装置、第1の情報端末装置、または第2の情報端末装置においては、移動経路を記憶するに際して、次のようにしても良い。すなわち、移動経路の記憶中に所定の操作を行うと、その操作を行った位置での緯度および経度を特定し、得られた緯度および経度が表す計測位置を含めて、移動経路として記憶するようにしても良い。
【0029】
こうすれば、曲がり角などがあった場合に、必要に応じて移動経路の計測位置を追加することができるので、移動経路の計測位置をいたずらに増やすことなく、十分な精度の移動経路を記憶しておくことが可能となる。
【0030】
あるいは、上述した本発明の携帯情報端末装置、第1の情報端末装置、または第2の情報端末装置においては、移動経路を記憶するに際して、現在位置の緯度および経度を検出する頻度を変更可能としても良い。
【0031】
移動経路の精度を確保するためには、できるだけ密に緯度および経度を計測しておくことが望ましく、一方、移動経路のデータ量を抑制する観点からは、できるだけまばらに緯度および経度を計測しておくことが望ましい。このことから、移動経路を記憶する際には、計測位置の間隔が適切な間隔となるように、緯度および経度を計測することが望ましい。従って、現在位置の緯度および経度を計測する頻度を変更可能としておけば、情報端末装置の移動速度に応じた頻度で緯度および経度を計測することができるので、移動経路を構成する計測位置の間隔を適切な間隔とすることが可能となる。
【0032】
更には、上述した本発明の携帯情報端末装置、第1の情報端末装置、または第2の情報端末装置においては、移動経路の記憶を開始するための経路記憶開始ボタンと、移動経路の記憶を終了するための経路記憶終了ボタンとを設けておき、経路記憶開始ボタンが操作されたことを検出すると移動経路の記憶を開始して、経路記憶終了ボタンが操作されたことを検出したら、移動経路の記憶を終了するようにしても良い。
【0033】
こうすれば、移動経路の記憶開始と終了とを、分かり易く、且つ、簡単な操作で行うことが可能となる。
【0034】
あるいは、上述した本発明の携帯情報端末装置は、次のような態様として把握することも可能である。すなわち、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した携帯情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記携帯情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置から、予め記憶されている前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離よりも大きい場合には該閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡することにより、前記携帯情報端末装置の現在位置を監視する監視手段と、
前記移動経路記憶手段に関連付けられた第1の選択肢、および前記監視手段に関連付けられた第2の選択肢を、前記携帯情報端末装置の画面上に表示する選択肢表示手段と、
前記第1の選択肢または前記第2の選択肢が選択されたことを検出して、該選択肢に関連付けられた前記移動経路記憶手段または前記監視手段を起動する起動手段と
を備える携帯情報端末装置として把握することもできる。
【0035】
このように、移動経路記憶手段と監視手段とを、それぞれ第1の選択肢および第2の選択肢に関連付けておき、これらの選択肢が選択された場合には、関連付けられている手段を起動するようにすれば、移動経路を記憶したり、記憶した移動経路に基づいて監視する機能を、簡単な操作によって利用することが可能となる。
【0036】
同様に、上述した本発明の第1の情報端末装置あるいは第2の情報端末装置についても、次のような態様で把握することができる。すなわち、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記移動経路上の始点または終点の何れか選択しておいた側に向かって、該移動経路に沿って進むための方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する誘導手段と
前記移動経路記憶手段に関連付けられた第1の選択肢、および前記誘導手段に関連付けられた第3の選択肢を、前記情報端末装置の画面上に表示する選択肢表示手段と、
前記第1の選択肢または前記第3の選択肢が選択されたことを検出して、該選択肢に関連付けられた前記移動経路記憶手段または前記誘導手段を起動する起動手段と
を備える情報端末装置として把握することもできる。
【0037】
このように、移動経路記憶手段と誘導手段とを、それぞれ第1の選択肢および第3の選択肢に関連付けておき、これらの選択肢が選択された場合には、関連付けられている手段を起動するようにすれば、移動経路を記憶したり、記憶した移動経路に基づいて誘導する機能を、簡単な操作によって利用することが可能となる。
【0038】
また、上述した本発明の現在位置監視方法あるいは誘導方法は、コンピュータに所定のプログラムを読み込ませて、必要な機能を発揮させることによっても実現可能である。従って、この点に着目すれば、本発明は、コンピュータを用いて各種の機能を発揮させるためのプログラムとして把握することも可能である。すなわち、上述した現在位置監視方法に対応する本発明のプログラムは、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した携帯情報端末装置の現在位置を監視する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記携帯情報端末装置の移動経路を記憶しておく第1の機能と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記携帯情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する第2の機能と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より大きい場合には、前記携帯情報端末装置が該閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡する第3の機能と
をコンピュータにより実現させることを要旨とする。
【0039】
また、上述した第1の誘導方法に対応する本発明のプログラムは、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置を用いて、該情報端末装置の保持者を誘導する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶しておく機能(A)と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する機能(B)と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する機能(C)と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から該移動経路に戻るための方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する機能(D)と
をコンピュータにより実現させることを要旨とする。
【0040】
また、上述した第2の誘導方法に対応する本発明のプログラムは、
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置を用いて、該情報端末装置の保持者を誘導する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶しておく機能(ア)と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する機能(イ)と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する機能(ウ)と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から前記終点に向かう方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する機能(エ)と
をコンピュータにより実現させることを要旨とする。
【0041】
このようなプログラムをコンピュータに読み込ませて、上述した各種の機能を実現させれば、情報端末装置の現在位置を監視する機能や、目的地点に誘導する機能を、大掛かりな装置を用いることなく、簡便且つ手軽に利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.実施例の概要:
B.情報端末装置の構成:
C.移動経路記憶処理:
D.移動経路監視処理:
D−1.第1の変形例の移動経路監視処理:
D−2.第2の変形例の移動経路監視処理:
E.移動経路誘導処理:
F.変形例:
【0043】
A.実施例の概要 :
実施例の詳細な説明に先立って、理解の便宜を図るために、実施例の概要について簡単に説明しておく。図1は、本実施例の携帯情報端末装置100の大まかな構成を示した説明図である。図示されているように、本実施例の携帯情報端末装置100には、「位置特定モジュール」や、「移動経路記憶モジュール」、「偏差情報検出モジュール」など複数のモジュールが搭載されている。尚、ここで言う「モジュール」とは、携帯情報端末装置100が内部で行う処理を、機能に着目して便宜的に分類したものであり、従って「モジュール」は、プログラムの一部として実現することもできるし、あるいは、特定の機能を有する論理回路を用いて実現したり、更には、これらを組合せることによっても実現することが可能である。
【0044】
「位置特定モジュール」は、地球の衛星軌道上を周回する3つ以上の人工衛星50からの電波を同時に受け取って、それぞれの人工衛星50までの距離を算出することにより、地球上での緯度および経度を検出して、現在位置を特定する機能を有している。尚、本実施例では、もっぱら人工衛星50からの電波を受け取って現在位置を特定するものとして説明するが、人工衛星50からの電波に限らず、所在地が分かっている発信源からの電波であれば、例えば地上に設けられた電波局からの電波を受け取って現在位置を特定することも可能である。また、「移動経路記憶モジュール」は、「位置特定モジュール」によって特定された現在位置(すなわち緯度および経度)を時系列的に記憶する機能を有している。携帯情報端末装置100を携えて移動しながら現在位置を検出し、得られたデータを時系列的に記憶しておくことで、携帯情報端末装置100の移動経路を記憶しておくことが可能である。
【0045】
更に「偏差情報検出モジュール」は、既に記憶されている移動経路が存在する場合に、「位置特定モジュール」によって特定された現在位置と、既に記憶されている移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する機能を有している。ここで移動経路は、実際には、連続した直線あるいは曲線ではなく、緯度および経度によって示される複数の座標点によって構成されている。従って、現在位置と移動経路との隔たりとしては、次のような値を用いることができる。まず、複数の座標点を直線または曲線によって補間し、次いで、補間によって得られた直線または曲線上で、現在位置への距離が最も小さい座標点を検出する。そして、この座標点と、現在位置として特定された緯度および経度の座標点との隔たりを、現在位置と移動経路との隔たりとして用いることができる。あるいは、複数の座標点を補間するのではなく、移動経路を構成する複数の座標点の中から、現在位置として特定された座標点に最も近い座標点を検出して、これら2つの座標点の隔たりを、現在位置と移動経路との隔たりとして用いることも可能である。また、何れの場合でも、偏差情報としては、2つの座標点についての座標値、緯度成分および経度成分の偏差、あるいは2つの座標点間の距離などを検出することができる。
【0046】
「連絡モジュール」は、現在位置から移動経路までの距離が所定の閾値距離よりも大きいか否かを、「偏差情報検出モジュール」によって得られた偏差情報に基づいて判断する。そして、閾値距離よりも大きいと判断した場合には、その旨、すなわち、携帯情報端末装置100が移動経路から閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡する機能を有している。ここで、連絡方法としては、予め登録されている電話番号に電話をかけた後、所定の音声データを再生することとしてもよいし、あるいは、予め登録されているメールアドレスに向かって、所定のメールデータを送信することとしても良い。図1では、予め連絡先として登録されていた携帯電話12に向かって、無線基地局14を経由して電話がかけられ、あるいはメールデータが送信される様子が概念的に表現されている。このように、「位置特定モジュール」、「移動経路記憶モジュール」、「偏差情報検出モジュール」の3つのモジュールに加えて、「連絡モジュール」を搭載することにより、携帯情報端末装置100の現在位置を監視することが可能となる。
【0047】
あるいは「位置特定モジュール」、「移動経路記憶モジュール」、「偏差情報検出モジュール」の3つのモジュールに加えて、「誘導方向選択モジュール」および「誘導モジュール」を携帯情報端末装置100に搭載すれば、携帯情報端末装置100の保持者を目的地へ誘導するための、簡易なナビゲーション装置として使用することが可能となる。すなわち、「誘導方向選択モジュール」には、予め記憶されている移動経路の始点側に向かって誘導するのか、終点側に向かって誘導するのかを選択する機能が搭載されている。また、「誘導モジュール」には、次のような機能が搭載されている。まず、「偏差情報検出モジュール」から現在位置と移動経路との偏差情報を受け取って、現在位置から移動経路までの距離が所定の閾値距離よりも大きいか否かを判断する。
【0048】
そして、閾値距離よりも小さいと判断された場合には、携帯情報端末装置100が概ね移動経路に沿った位置にいるものとして、移動経路上を予め選択しておいた誘導方向に進むための方向を出力する。一方、現在位置から移動経路までの距離が所定の閾値距離よりも大きいと判断された場合には、「誘導モジュール」は、現在位置から移動経路に戻るための方向を出力する。ここで、方向を出力する形態としては、携帯情報端末装置100の画面上に方向を表示するようにしても良いし、あるいは音声によって出力しても良い。また、出力する内容としては、現在の進行方向(または画面の向き)を基準として、進むべき方向を表示しても良いし、あるいは、単に東西南北のような方位を出力することとしても良い。方位磁石などによって東西南北の方向を知ることができれば、単に方位を出力するだけでも進むべき方向を知ることができる。このように、「位置特定モジュール」、「移動経路記憶モジュール」、「偏差情報検出モジュール」に加えて、「誘導方向選択モジュール」および「誘導モジュール」を携帯情報端末装置100に搭載すれば、携帯情報端末装置100を簡易なナビゲーション装置として使用することも可能となる。
【0049】
加えて、本実施例の携帯情報端末装置100は、現在位置を監視するために用いる場合でも、目的地への誘導のために用いる場合でも、地図データを用いることなく、それぞれの機能を実現することが可能である。このため、現在位置を監視する機能や、目的地へ誘導する機能を、簡便に且つ手軽に利用することが可能となる。以下では、このような本実施例の携帯情報端末装置100について、詳細に説明する。
【0050】
B.情報端末装置の構成 :
図2は、携帯電話を例にとって本実施例の携帯情報端末装置100の大まかな構成を示したブロック図である。携帯情報端末装置100には、液晶画面によって構成される表示画面102と、電話をかける等の種々の操作を行うための操作ボタン104と、通話時に用いられる集音マイク106と、通話時あるいは音声データの再生時に用いられるスピーカ108と、無線基地局14(あるいは無線ルータなど)と通信するためのアンテナ110と、着脱可能なメモリカード112など、携帯情報端末装置100を使用するための種々のディバイスが設けられている。
【0051】
また、携帯情報端末装置100の内部には、これらディバイスを駆動するための駆動回路が設けられている。例えば、表示画面102はビデオドライバ120によって駆動されており、操作ボタン104はボタンキードライバ124によって駆動され、集音マイク106およびスピーカ108はサウンドプロセッサ126によって駆動されている。また、アンテナ110やメモリカード112は、それぞれアンテナドライバ128、カードドライバ130によって駆動されている。本実施例の携帯情報端末装置100では、これらの各種ドライバは、専用のLSIチップによって構成されている。更に、本実施例の携帯情報端末装置100には、いわゆるGPS機能を実現するためのGPSモジュール132や、東西南北の方位を検出するための方位磁石134も搭載されている。GPSモジュール132は、3つ以上のGPS衛星からの電波を受信して各GPS衛星との距離を算出することにより、地球上で携帯情報端末装置100が存在している現在位置の緯度および経度を検出することが可能となっている。
【0052】
これら各種ドライバや、GPSモジュール132、方位磁石134などは、論理演算および算術演算を行うCPU150とデータをやり取り可能に接続されている。また、CPU150には、データを読み出すことはできるが書き込むことはできない不揮発メモリであるROM152と、データの読み出しも書き込みも可能な不揮発メモリであるRAM154とが接続されており、これらの不揮発メモリには、各種の制御プログラムが記憶されている。CPU150は、ROM152あるいはRAM154から制御プログラムを読み出すと、プログラムの実行時に生成されるデータをRAM154に記憶しながら、上述した各種ディバイスの動作を制御することにより、携帯情報端末装置100全体の動作を制御している。
【0053】
表示画面102には、CPU150で実行されるプログラムに従って、種々の文字や図形などを表示可能となっている。また、後述するように本実施例の携帯情報端末装置100には、地図データを用いることなく、携帯情報端末装置100の現在位置を監視したり、道順を案内する機能が搭載されており、これらの機能は、ROM152に記憶されているアプリケーションプログラムをCPU150が読み出して、読み出したアプリケーションプログラムを実行しながら表示画面102に種々の表示を行うことによって実現されている。
【0054】
図3は、本実施例の携帯情報端末装置100を用いて現在位置の監視や道順の案内を行う際に、表示画面102に最初に表示される画面を例示した説明図である。図示されているように、表示画面102の中央には、それぞれ「経路記憶」、「監視実行」、「ナビ実行」と表記された3つのボタンが表示されており、以下に説明する操作ボタン104を用いて何れかのボタンを選択することが可能となっている。
【0055】
図4は、本実施例の携帯情報端末装置100に搭載された各種の操作ボタン104を示した説明図である。図示されているように、携帯情報端末装置100の本体部101には、中央のやや上方寄りの位置にカーソルボタン104dが設けられており、また、カーソルボタン104dの中央には選択ボタン104eが設けられている。カーソルボタン104dを操作することで、表示画面102上のカーソルを上下左右に移動させることができ、選択ボタン104eを押せば、カーソルがある位置の機能を選択することが可能となっている。例えば、図3に示した例では、カーソルが「経路記憶」と表示されたボタン上に存在しているが、カーソルボタン104dを用いてカーソルを移動させることができる。更に、カーソルを合わせた状態で選択ボタン104eを押してやれば、カーソルを合わせた位置に表示されている機能を選択することが可能となっている。
【0056】
また、カーソルボタン104dの上側には、3つの機能選択ボタン104a、104b、104cが設けられている。これらのボタンは、表示画面102の下部に機能が表示されている場合に有効となり、対応する位置のボタンを押すことによって、表示されている機能を使用することが可能となる。尚、図3に示した例では、表示画面102の下部には機能が表示されていないので、3つの機能選択ボタン104a、104b、104cは何れも無効な状態となっている。
【0057】
カーソルボタン104dの左下方および右下方には、それぞれ受話器の図形が表示された通話開始ボタン104fおよび通話終了ボタン104gが設けられている。電話の着信中に左側の通話開始ボタン104fを押せば携帯電話として通話することが可能となり、右側の通話終了ボタン104gを押せば通話を終了することができる。また、こちらから電話をかける場合には、「1」〜「0」までの入力ボタン104hを用いて相手の電話番号を入力した後、入力ボタン104hの上方に設けられた通話開始ボタン104fを押すことで、相手を呼び出して通話することが可能となる。尚、電話の通話中は、入力ボタン104hの下方に設けられた集音マイク106が有効となり、こちらの話し声を拾って電気信号に変換した後、電波に載せて送信することができる。また、相手の話し声は表示画面102の上方に設けられた図示しないスピーカ108から音声として再生されるようになっている。
【0058】
C.移動経路記憶処理 :
上述したように本実施例の携帯情報端末装置100では、地図データを用いることなく、携帯情報端末装置100の現在位置を監視したり、道順を案内することが可能となっている。こうしたことを、地図データを用いることなく可能とするためには、携帯情報端末装置100の移動経路を予め記憶しておく必要がある。ここで移動経路とは、携帯情報端末装置100に搭載されているGPSモジュール132を用いて検出した現在位置を時系列的に並べた一連のデータであり、本実施例では、現在位置の緯度および経度を定期的に検出して記憶することで、移動経路を生成することが可能となっている。このように移動経路を生成して記憶する処理は、図3に例示した画面上で「経路記憶」と表示されたボタンを選択することによって開始される。
【0059】
図5は、本実施例の携帯情報端末装置100で移動経路を記憶するために実行される処理の流れを示すフローチャートである。前述したように、かかる処理は、CPU150がROM152に記憶されているプログラムを読み出して実行することによって実現される処理である。以下、フローチャートに従って説明する。
【0060】
移動経路記憶処理では、先ず初めに、移動経路を記憶するための記憶モードを設定する処理を行う(ステップS100)。すなわち、図3に示した初期画面上で「経路記憶」と表示されたボタンを選択すると、表示画面102の表示は、移動経路の記憶モードを設定するための画面に切り換わり、その画面上でカーソルを移動させて選択することにより、記憶モードを設定することが可能となっている。
【0061】
図6は、本実施例の携帯情報端末装置100において記憶モードとして設定すべき項目を例示した説明図である。図示されているように、本実施例の携帯情報端末装置100では、「計測精度」および「計測時間間隔」の2つの項目を設定するようになっている。このうち、「計測精度」という項目は、GPSモジュール132を用いて計測する緯度および経度の精度を設定する項目であり、本実施例では、いわゆる一般的なナビゲーションシステムよりも粗い精度で計測する設定と、一般的なナビゲーションシステムと同程度の細かい精度で計測する設定の、2つの設定が可能となっている。詳細には後述するが、本実施例の携帯情報端末装置100では、地図を用いることなく簡易な方法で、現在位置の監視や道順の案内を可能としており、このような簡易な方法では、緯度および経度の計測精度を多少落としても十分に実用可能である。そこで、一般的なナビゲーションシステムよりも粗い精度で計測するか、あるいは一般的なナビゲーションシステムと同程度の精度で計測するかを、予め選択しておくのである。
【0062】
また、「計測時間間隔」という項目は、GPSモジュール132を用いて現在位置を計測する時間間隔を設定するための項目である。すなわち、GPSモジュール132を用いて計測できるのはあくまでも点の情報(現在位置の緯度および経度)であるため、点と点との間隔が離れすぎると、移動経路としての精度が低下してしまう。とは言え、あまりに点と点との間隔が密になると、記憶すべきデータ量が大きくなるという弊害が生じる。従って、精度とデータ量との兼ね合いから、現在位置を計測する地点同士の間隔は適度に隔たっていることが好ましい。そこで、徒歩で移動している場合には、比較的長い時間間隔で現在位置を計測し、自転車で移動している場合にはより短い時間間隔で現在位置を計測し、自動車で移動している場合には更に短い時間間隔で計測するように、計測する時間間隔を設定しておくのである。
【0063】
尚、本実施例の携帯情報端末装置100では、「計測精度」および「計測時間間隔」の何れの項目については、予め設定されている中から選択することによって、段階的に切り換えるものとしているが、これらの項目を連続的に変更可能としても良い。図5に示した記憶モード設定処理(ステップS100)では、以上のようにして、移動経路を記憶するための記憶モードを設定する処理を行う。
【0064】
記憶モードを設定したら、今度は、開始ボタンが押されたか否かを判断する(ステップS102)。本実施例の携帯情報端末装置100では、本体部101の上部右側に設けられた機能選択ボタン104cが、開始ボタンに設定されている。未だ開始ボタンが押されていないと判断された場合は(ステップS102:no)、同じ判断を繰り返しながら、開始ボタンが押されるまで待機状態となる。そして、開始ボタンが押されたことが確認されたら(ステップS102:yes)、GPSモジュール132を用いて、現在位置の緯度および経度の計測を開始する(ステップS104)。すなわち、記憶モードを設定した後(ステップS102)、移動経路の始点とする地点まで移動してから開始ボタンを押すことにより、所望の地点から移動経路の記憶を開始することが可能となっている。尚、開始ボタンが押されて移動経路の記憶が開始された後は、機能選択ボタン104cの機能は開始ボタンから終了ボタンに切り換わり、再び機能選択ボタン104cを押すことで、移動経路の記憶を終了させることが可能となる。この点については後述する。
【0065】
次いで、計測した緯度および経度のデータを、携帯情報端末装置100に搭載されたRAM154などのメモリに記憶する(ステップS106)。このとき、緯度および経度のデータに加えて、データを計測した時刻(あるいは、計測開始からの経過時間)も同時に記憶しても良い。図7は、緯度および経度の計測値と、初回の計測からの経過時間とが、携帯情報端末装置100のメモリに記憶されている様子を概念的に表した説明図である。ここでは、開始ボタンが押された後(図5のステップS102:yes)、初めて緯度および経度を計測した場合を想定しているから、ステップS106では、緯度の計測値(北緯35度2分6.15秒)、経度の計測値(東経136度50分46.21秒)に加えて、初回の計測からの経過時間(0時間0分0秒)が記憶される。
【0066】
続いて、現在位置を記憶するか否かを判断する(ステップS108)。説明の都合から、このような判断を行う理由については後述するが、多くの場合は、ステップS108では現在位置を記憶しないと判断されるので(ステップS108:no)、ステップS100において設定された計測時間間隔が経過したか否かを判断する(ステップS110)。そして、計測時間間隔が経過したと判断された場合は(ステップS110:yes)、ステップS104に戻って緯度および経度を計測した後、計測した緯度および経度の計測値をメモリに記憶する(ステップS106)。このとき、先に記憶した計測値が存在する場合には、その計測値に続けて記憶する。このような処理を繰り返すことで、携帯情報端末装置100のメモリ上には、所定の時間間隔で計測された経度および緯度の計測値が、時系列的に記憶されることになる。図7では、15秒間の計測時間間隔で、緯度および経度の計測値が時系列的に記憶されている様子が示されている。本実施例の携帯情報端末装置100では、このように緯度および経路の計測値を時系列的に記憶することによって、携帯情報端末装置100の移動経路を記憶するようになっている。
【0067】
ここで、ステップS108において、現在位置を記憶するか否かを判断している理由について説明する。上述したように、本実施例の携帯情報端末装置100では、所定の時間間隔で計測した緯度および経度の値を記憶しておき、これを移動経路として利用する。このように所定の時間間隔で緯度および経度を計測しておくだけでも、真っ直ぐな道やゆっくりとカーブした道の部分であれば十分な精度で移動経路を記憶しておくことができるが、急に折れ曲がった部分では、記憶されている移動経路の精度低下を来してしまう。もちろん、計測時間間隔を短くすれば、折れ曲がった部分でも十分な精度で移動経路を記憶しておくことができるが、計測時間間隔を短くすると、距離あたりの緯度および経度の計測値が多くなるので、移動経路のデータ量が増加してしまう。
【0068】
そこで、計測時間間隔が経過していなくても、所定の操作を行うことで、その位置での緯度および経度を計測して携帯情報端末装置100のメモリに記憶することにより、移動経路のデータ量の増加を最小限に抑制しつつ、十分な精度を確保することが可能となっている。本実施例の携帯情報端末装置100では、図5の移動経路記憶処理の実行中に、本体部101の上部中央に設けられた機能選択ボタン104bを押すと、その位置での緯度および経度が計測されてメモリに記憶されるようになっている。そこで、ステップS108では、機能選択ボタン104bが押されたか否か、すなわち現在位置での緯度および経度を計測して記憶するか否かを判断するのである。そして、現在位置での緯度および経度を記憶すると判断された場合は(ステップS108:yes)、ステップS104に戻って、現在位置の緯度および経度を計測し(ステップS104)、得られた計測値をメモリ上に記憶する。
【0069】
図7の中で、破線の矩形で囲って示した計測値は、移動経路の記憶中に機能選択ボタン104bが押されたために(すなわち、ステップS108:yesと判断されたために)、所定時間毎の計測に加えて、追加して計測された計測値を表している。
【0070】
一方、ステップS110において、未だ計測時間間隔が経過していないと判断された場合は(S110:no)、「マーク」を設定するか否かを判断する(ステップS112)。ここで「マーク」とは、次のようなものである。上述したように移動経路は、緯度および経度の計測値を時系列的に連続して並べたデータであるが、本実施例の携帯情報端末装置100では、1つの連続する移動経路を複数の領域に分割することが可能となっている。「マーク」とは、移動経路の分割する位置を示す目印のようなものであり、本体部101の上部左側に設けられた機能選択ボタン104aを押すことで、「マーク」を設定することが可能となっている。そこでステップS112においては、機能選択ボタン104aが押されたか否かを判断し、機能選択ボタン104aが押されていた場合には、「マーク」が設定されていたものと判断して(ステップS112:yes)、マークデータをメモリに記憶する(ステップS114)。尚、本実施例では、専ら携帯情報端末装置100の保持者が所定の操作を行うことによって「マーク」が設定されるものとして説明するが、これに限られるものではない。例えば、携帯情報端末装置100の内部に予め条件を設定しておき、かかる条件が満足された場合には、自動的に「マーク」が設定されるようにしても良い。
【0071】
図7の中で、一点鎖線の矩形で囲って示した計測値は、メモリにマークデータが記憶されている様子を表している。図示されているように、本実施例では、緯度が北緯0度0分0秒、経度が東経0度0分0秒と、通常ではあり得ない値がマークデータとして設定されており、「マーク」が設定された場合には、このような所定のマークデータがメモリに書き込まれるようになっている。もちろん、ステップS112において「マーク」が設定されていないと判断された場合は(ステップS112:no)、マークデータを記憶する処理(ステップS114)はスキップする。
【0072】
次いで、終了ボタンが押されたか否かを判断する(ステップS116)。前述したように、開始ボタンが押されるまでは、機能選択ボタン104cが開始ボタンに設定されているが、開始ボタンが押されて移動経路の記憶が開始された後は、機能選択ボタン104cの設定は、開始ボタンから終了ボタンに切り換わる。そこで、ステップS116では、機能選択ボタン104cが押されたか否かを判断する。そして、終了ボタンが押されていないと判断された場合は(ステップS116:no)、ステップS108に戻って、以降の一連の判断を繰り返す。すなわち、現在位置を記憶するか否か(ステップS108)、あるいは計測時間間隔が経過したか否か(ステップS110)、更には「マーク」を設定するか否か(ステップS112)を判断し、現在位置を記憶するか、計測時間間隔が経過したと判断されたら(ステップS108:yes、またはステップS110:yes)、ステップS104に戻って、緯度および経度を計測し、得られた計測値をメモリに記憶する(ステップS106)。また、「マーク」を設定すると判断された場合は(ステップS112:yes)、所定のマークデータをメモリに記憶する(ステップS114)。このような処理を繰り返し行うことにより、携帯情報端末装置100の移動経路を記憶することが可能となる。
【0073】
図8は、自宅から学校までの道順が、移動経路として記憶された様子を概念的に表した説明図である。図示されているように、A点ないしG点では、道がほぼ直角に折れ曲がっているが、これらの位置では、携帯情報端末装置100の本体部101の上部中央に設けられた機能選択ボタン104bを押して現在位置を計測することにより、精度を低下させることなく移動経路を記憶しておくことが可能である。また、G点の次の角、更にはその次の角では、道が少しだけ右に折れ曲がっているが、この程度の角度では、特に現在位置を記憶しておかなくても、それほど移動経路の精度が低下することはない。図8に示した例では、G点の次の角では現在位置を記憶せずに、その次の角では現在位置を記憶した場合が示されている。
【0074】
また、図8中に示した二重丸は、その位置に「マーク」が設定されていることを表している。図示した例では、自宅のある住宅街を出たあたりと、学校までの途中にある公園の前の2箇所で「マーク」が設定されており、その結果、自宅から学校までの移動経路が、住宅街を出るまでと、住宅街を出てから公園までと、公園から学校までとの、3つの領域に区分されていることになる。
【0075】
図5に示す移動経路記憶処理を行いながら、携帯情報端末装置100を持って移動することにより、図8に示すような移動経路を記憶することが可能である。そして、目的地に到着したら、終了ボタン(すなわち、機能選択ボタン104c)を押す。すると、ステップS116で「yes」と判断されて、携帯情報端末装置100の表示画面102には、移動経路のタイトルを設定する画面が表示される。
【0076】
図9は、本実施例の携帯情報端末装置100の表示画面102に、移動経路のタイトルを設定する画面が表示された様子を表している。図示されているように、タイトルを設定する画面には、移動経路の始点と、終点とを設定する欄が設けられており、これらの欄に始点および終点の名称を書き込むことで、移動経路のタイトルが自動的に設定されるようになっている。尚、図9に示されているように、タイトルの設定画面が表示されている状態で、本体部101の上部左側の機能選択ボタン104aを押せば、入力形態を漢字や平仮名あるいはカタカナによる入力に切り換えることができ、機能選択ボタン104bを押せば、アルファベットまたは数字による入力に切り換えることができる。そして、2つの欄に始点および終点を入力したら、本体部101の上部右側の機能選択ボタン104cを押すことにより、移動経路のタイトルを確定する。図5に示した移動経路記憶処理では、このようにして、移動経路のタイトルを設定した後(ステップS118)、全ての処理を終了する。
【0077】
D.移動経路監視処理 :
以上のようにして記憶しておいた移動経路を用いれば、携帯情報端末装置100の現在位置を、地図データを用いることなく監視することが可能となる。以下では、移動経路を用いて、携帯情報端末装置100の現在位置を監視するために行われる処理について説明する。
【0078】
図10は、本実施例の携帯情報端末装置100で移動経路を用いて現在位置を監視するために実行される処理の流れを示すフローチャートである。この移動経路監視処理は、図3に例示した画面上で「監視実行」と表示されたボタンを選択すると、CPU150がROM152に記憶されているプログラムを読み出すことによって実行される処理である。以下、フローチャートに従って説明する。
【0079】
移動経路監視処理では、先ず初めに、監視に用いる移動経路や監視モードを設定する処理を行う(ステップS200)。これらの設定は、表示画面102の表示を確認しながら、画面上で行うことができる。
【0080】
図11は、本実施例の携帯情報端末装置100において、監視を行うための移動経路を選択している画面を例示した説明図である。移動経路の選択画面では、既に記憶されている複数の移動経路のタイトルが、選択可能な状態で表示されている。本体部101のカーソルボタン104dを操作して、選択しようとする移動経路にカーソルを合わせた後、選択ボタン104eを押すことにより、監視に用いる移動経路を選択することができる。移動経路を選択すると、携帯情報端末装置100の表示画面102には、監視モードを設定するための画面が表示される。
【0081】
図12は、本実施例の携帯情報端末装置100において、監視モードを設定する際に表示される画面を例示した説明図である。図示されているように、監視モードとしては、携帯情報端末装置100が監視領域外に出た場合に、予め設定されている連絡先に通報するか否か、および、監視領域内に居る場合にも通報を行うか否かを設定する。また、監視領域内に居る場合にも通報する場合には、所定時間毎に通報するのか、あるいは移動経路の設定された領域を跨ぐ際に通報するのかについても設定するようになっている。監視モードは、標準の状態では、携帯情報端末装置100が監視領域に出る際に通報し、また監視領域内に居る場合でも、領域を跨ぐ際には通報するように設定されている。
【0082】
図10のステップS200では、これら移動経路および監視モードを設定する処理を行う。次いで、開始ボタンが押されたか否かを判断する(ステップS202)。移動経路監視処理においても、図5を用いて前述した移動経路記憶処理の場合と同様に、携帯情報端末装置100の本体部101の上部右側に設けられた機能選択ボタン104cが、開始ボタンに設定されている。未だ開始ボタンが押されていないと判断された場合は(ステップS202:no)、同じ判断を繰り返しながら、開始ボタンが押されるまで待機状態となり、開始ボタンが押されたことが確認されたら(ステップS202:yes)、GPSモジュール132を用いて、現在位置の緯度および経度の計測を開始する(ステップS204)。また、前述した移動経路記憶処理と同様に、移動経路監視処理においても、開始ボタンが押された後は、機能選択ボタン104cの機能は開始ボタンから終了ボタンに切り換わるようになっている。
【0083】
尚、移動経路および監視モードを設定する処理では、前回の監視に用いた設定内容を記憶しておき、図10に示した移動経路監視処理の起動後、所定時間が経過しても移動経路および監視モードが設定されない場合には、前回の監視に用いた設定内容を読み出して、以降の処理を行うこととしても良い。同様に、所定時間が経過しても開始ボタンが押されない場合には、開始ボタンが押されたものとして(ステップS202:yes)、以降の処理を行うこととしても良い。こうすれば、図3に示した画面上で「監視実行」と表示されたボタンが押されたにも拘わらず、移動経路および監視モードが設定されなかったり、あるいは開始ボタンが押されないために、実際には監視が行われないといった事態を回避することが可能となる。
【0084】
移動経路監視処理では、現在位置の緯度および経度を計測すると、今度は、現在位置から移動経路までの距離を算出する(ステップS206)。本実施例の携帯情報端末装置100では、移動経路までの距離は次のようにして算出する。まず、移動経路として記憶されている複数の座標点の間を直線によって補間することにより、連続した移動経路を生成する。次いで、現在位置として計測された座標点から、連続する移動経路に向かって垂線を下ろして、垂線と移動経路との交点の座標値を算出する。そして、こうして求めた座標値と、現在位置の座標値とに基づいて、2つの座標点の距離を算出する。図13(a)には、このようにして、現在位置から移動経路までの距離を求めている様子が概念的に示されている。
【0085】
あるいは、簡便には、次のようにして現在位置から移動経路までの距離を求めることとしても良い。まず、移動経路を構成する複数の座標点の中から、現在位置との距離が最も小さい座標点を検出する。次いで、検出した座標点の座標値と、現在位置の座標値とに基づいて、2つの座標点の距離を算出し、得られた値を現在位置から移動経路までの距離としてもよい。図13(b)には、このような簡便な方法で、現在位置から移動経路までの距離を求めている様子が概念的に示されている。図10のステップS206では、以上のようにして、現在位置から移動経路までの距離を算出する。
【0086】
尚、本実施例の移動経路監視処理では、現在位置から移動経路までの距離を算出することによって監視を行っている。従って、開始ボタンを押す位置は、必ずしも移動経路の始点あるいは終点である必要はない。例えば、監視する移動経路として「自宅」と「学校」とをつなぐ経路が選択された場合を例に取ると、「自宅」または「学校」に居るときに開始ボタンを押す必要はなく、選択された監視経路の近傍でありさえすれば、何処で開始ボタンが押された場合でも、移動経路までの距離を算出して、その位置から監視を開始することが可能である。
【0087】
次いで、算出した距離が、閾値として定められている所定値(閾値距離)以下か否かを判断する(ステップS208)。閾値距離の値は、必要に応じて種々の値に設定することができるが、通常であれば、10メートルから50メートルの範囲内から選択された適切な値に設定される。そして、現在位置から移動経路までの距離が、所定の閾値距離よりも小さいと判断された場合は(ステップS208:yes)、現在位置の属する領域を検出する(ステップS212)。図5を用いて前述したように、本実施例の携帯情報端末装置100では、移動経路を記憶する際に適宜「マーク」を設定することで、1本の移動経路を複数の領域に区分することが可能となっている。そこで、携帯情報端末装置100の現在位置が移動経路の近傍にあると判断された場合は(ステップS208:yes)、現在位置が、移動経路の何れの領域にあるかを検出するのである(ステップS212)。
【0088】
図14は、現在位置が属する領域を検出している様子を概念的に示した説明図である。図示されているように、現在位置が属する領域は、移動経路上の座標点の中から、現在位置までの距離が最も短い座標点を抽出し、その座標点が何れの領域に含まれているかを調べることによって検出することができる。移動経路上で、現在位置までの距離が最も短い座標点は、現在位置から移動経路までの距離を求める際に既に決定されているので、その座標点が含まれる領域を調べるだけで、現在位置が属する領域を決定することができる。図14に示した例では、現在位置は、領域3(公園から学校までの領域)に属している場合が示されている。
【0089】
こうして現在位置が属する領域を検出したら(図10のステップS212)、予め登録しておいた連絡先に向かって、検出した領域を連絡する(ステップS214)。連絡する形態としては、種々の形態で行うことができる。例えば、予め登録しておいた電話番号に自動で電話をかけて、検出した領域を、予め登録しておいた音声によって連絡しても良い。あるいは、予め登録しておいたメールアドレスに向かって、検出した領域を示すメールデータを送信することによって連絡することも可能である。一方、現在位置から移動経路までの距離が所定の閾値距離よりも小さいと判断された場合は(ステップS208:no)、監視している移動経路から外れた旨を、登録しておいた連絡先に連絡する(ステップS210)。
【0090】
次いで、計測時間間隔が経過したか否かを判断する(ステップS216)。ここで計測時間間隔とは、ステップS204で現在位置の緯度および経度を計測するために設定されている所定の時間である。ステップS216で、計測時間間隔が経過したと判断される度に(ステップS216:yes)、ステップS204に戻って現在位置の緯度および経度が計測され、現在位置から移動経路までの距離が閾値距離と比較されることから(ステップS208)、結局、計測時間間隔毎に携帯情報端末装置100の現在位置が監視されることになる。
【0091】
尚、図5を用いて前述したように、移動経路記憶処理においては移動経路の記憶精度を確保するために、携帯情報端末装置100の移動速度に応じて適切な計測時間間隔を設定した。しかし、携帯情報端末装置100の現在位置を監視する場合には、監視する時間間隔を短くしたからといって直ちに監視精度が上がるわけではない。通常は、移動経路を記憶する際の計測時間間隔よりも、長い時間間隔で監視すれば十分である。そこで、移動経路監視処理で用いる計測時間間隔は、移動経路記憶処理で用いた計測時間間隔よりも長い時間の固定時間に予め設定されている。もちろん、ステップS200で監視モードを設定する際に、監視に用いる計測時間間隔を設定可能としても良い。
【0092】
一方、計測時間間隔が経過していないと判断された場合は(ステップS216:no)、終了ボタンが押されたか否かを判断する(ステップS218)。前述したように、開始ボタンが押されるまでは、機能選択ボタン104cが開始ボタンに設定されているが、開始ボタンが押されて現在位置の監視が開始された後は、機能選択ボタン104cの設定は、開始ボタンから終了ボタンに切り換わる。そこで、ステップS218では、機能選択ボタン104cが押されたか否かを判断する。そして、終了ボタンが押されていないと判断された場合は(ステップS218:no)、ステップS216に戻って、計測時間間隔が経過したか否かを判断し、計測時間間隔が経過していれば(ステップS216:yes)、ステップS204に戻って現在位置の緯度および経度を計測し、続く一連の処理を行う。
【0093】
図10に示した移動経路監視処理では、こうした処理を繰り返し実行することにより、計測時間間隔が経過する度に、携帯情報端末装置100が移動経路から外れていないか、移動経路に沿って進んでいる場合は、移動経路上の何れの領域に居るかについての情報が、予め登録しておいた連絡先に連絡されることになる。そして、終了ボタンが押されたと判断されたら(ステップS218:yes)、図10に示した移動経路監視処理を終了する。尚、図12を用いて説明した監視モードの設定において、領域内の監視は行わない旨が設定されていた場合には、現在位置から移動経路までの距離が閾値距離より大きくなった場合にだけ、その旨を連絡するようにすればよい。逆に、領域外の監視は行わない旨が設定されていた場合には、現在位置から移動経路までの距離が閾値距離より小さい場合にだけ、現在位置の属する領域を連絡すればよい。
【0094】
以上に説明した本実施例の移動経路監視処理では、携帯情報端末装置100のメモリに移動経路を記憶しておくだけで、計測した現在位置と、記憶されている移動経路とを比較することにより、地図データを用いることなく携帯情報端末装置100の現在位置を監視することが可能である。地図データが不要となれば、取り扱うデータ量を抑制することができるので、携帯情報端末装置100のようなメモリ容量の制約の大きな機器によっても、容易に移動経路の監視を行うことが可能となる。また、地図データサーバも不要となるので、監視を行うための全体のシステムを簡素なものとすることができる。
【0095】
D−1.第1の変形例の移動経路監視処理 :
以上に説明した本実施例の移動経路監視処理では、計測時間間隔が経過する度に、何らかの連絡が、登録しておいた連絡先に向かって行われるものとして説明した。しかし、監視している対象が、移動経路から外れた場合はともかく、移動経路に沿って進んでいるにも計測時間間隔が経過する度に連絡されるのでは、監視する側も煩雑に感じられる場合が起こり得る。このような点に鑑みて、監視対象の携帯情報端末装置100が移動経路から所定の閾値距離以内にある場合には、移動経路の領域を跨ぐ場合にだけ、途中経過報告として連絡するようにしても良い。以下では、このような第1の変形例の移動経路監視処理について説明する。
【0096】
図15は、第1の変形例の移動経路監視処理の流れを示すフローチャートである。第1の変形例の移動経路監視処理は、図10を用いて前述した移動経路監視処理に対して、現在位置から移動経路までの距離が閾値距離以下であった場合の処理のみが異なっており、他の処理は同様である。そこで、以下では、このような相違点を中心として、第1の変形例の移動経路監視処理について説明する。
【0097】
第1の変形例の移動経路監視処理においても、図10を用いて前述した移動経路監視処理と同様に、処理を開始すると、先ず初めに移動経路や監視モードを設定する(ステップS250)。次いで、開始ボタンが押されたか否かを判断し、押されていないと判断された場合は(ステップS252:no)、開始ボタンが押されるまで待機状態となる。そして、開始ボタンが押されたことを確認したら(ステップS252:yes)、GPSモジュール132を用いて、現在位置の緯度および経度を計測した後(ステップS254)、現在位置から移動経路までの距離を算出する(ステップS256)。
【0098】
こうして算出した現在位置から移動経路までの距離を、所定の閾値距離と比較して(ステップS258)、算出した距離が閾値距離よりも大きかった場合には(ステップS258:no)、前述した移動経路監視処理と同様に、予め登録しておいた連絡先に、その旨を連絡する(ステップS260)。
【0099】
一方、現在位置から移動経路までの距離が、閾値距離よりも小さかった場合には(ステップS258:yes)、現在位置が属する領域を検出する(ステップS262)。現在位置の領域を検出する処理も、前述した移動経路監視処理と同様である。
【0100】
第1の変形例の移動経路監視処理では、現在位置が属する領域を検出すると、その領域が前回に検出した時から切り換わったか否かを判断する(ステップS264)。例えば、図14に示した例では、移動経路は「領域1」、「領域2」、「領域3」の3つに区分されており、自宅から学校に向かって移動する場合には、学校にたどり着くまでの間に、現在位置の属する領域が「領域1」から「領域3」へと切り換わる。逆に、学校から自宅に戻る場合には、現在位置の属する領域が「領域1」から「領域3」へと切り換わる。ステップS262では、このように現在位置の属する領域が切り換わったか否かを判断するのである。
【0101】
そして、領域が切り換わったと判断された場合には(ステップS262:yes)、予め登録しておいた連絡先に向けて、現在位置の属する領域を連絡する(ステップS266)。一方、領域が切り換わっていないと判断された場合には(ステップS262:no)、現在位置の属する領域を連絡することなく、そのまま処理を継続する。このようにする結果、変形例の移動経路監視処理では、現在位置の属する領域が切り換わった場合にだけ、予め登録されている連絡先に、現在位置の領域が連絡されることになる。連絡を受けた側では、領域の連絡を受けることによって、ちょうど今、連絡のあった領域に差し掛かったことを知ることが可能となる。
【0102】
尚、ステップS262の判断においては、移動経路から閾値距離より離れた領域に出た後、再び閾値距離の範囲内に戻った場合にも、現在位置の属する領域が切り換わったものと判断しても良い。このようにした場合、一旦、移動経路から離れた旨を連絡した後、移動経路の近傍に戻った場合にも、その旨の連絡をすることができるので、連絡を受ける側では、移動経路の近くまで戻ったこと、および現在、移動経路上のどの辺りにいるかについて、認識することが可能となる。
【0103】
次いで、前述した移動経路監視処理と同様に、計測時間間隔が経過したか否かを判断する(ステップS268)。そして、計測時間間隔が経過したと判断されたら(ステップS268:yes)、ステップS254に戻って現在位置の緯度および経度が計測され、続く一連の処理を行う。一方、未だ計測時間間隔が経過していないと判断された場合は(ステップS268:no)、終了ボタンが押されたか否かを判断する(ステップS270)。そして、終了ボタンが押されていないと判断された場合は(ステップS270:no)、ステップS268に戻って、計測時間間隔が経過したか否かを判断し、計測時間間隔が経過していれば(ステップS268:yes)、ステップS254に戻って現在位置の緯度および経度を計測し、続く一連の処理を行う。こうした処理を繰り返し実行しながら、終了ボタンが押されたと判断されたら(ステップS270:yes)、図15に示した第1の変形例の移動経路監視処理を終了する。
【0104】
以上に説明した第1の変形例の移動経路監視処理においても、地図データを用いることなく携帯情報端末装置100の現在位置を監視することができるので、監視を行うための全体のシステムを簡素なものとしながら、携帯情報端末装置100の現在位置を簡便に監視することが可能となる。加えて、携帯情報端末装置100が移動経路から閾値距離の範囲内にある場合は、移動経路の領域を跨ぐ場合(あるいは、移動経路の領域内に入った場合)にだけ、携帯情報端末装置100が現在何れの領域にいるかが連絡されるので、連絡を受ける側が、連絡を煩く感じる場合にも、これを回避することが可能となる。
【0105】
D−2.第2の変形例の移動経路監視処理 :
また、上述した本実施例の移動経路監視処理では、監視に用いる移動経路を1つ選択し、選択した1つの移動経路を監視するものとして説明した。これに対して、携帯情報端末装置100に記憶されている複数の移動経路を選択し、これら複数の移動経路を監視対象に設定して、複数の移動経路内に監視対象者が居るか否かについてを監視するようにしても良い。すなわち、図3に例示した画面上で「監視実行」と表示されたボタンを選択した後、記憶されている複数の経路情報の中から任意に選択した経路情報(あるいは全ての経路情報)を監視対象として設定し、設定した移動経路の領域を跨ぐ場合、あるいは設定した全ての移動経路から閾値以上離れた場合には、予め登録しておいた連絡先に、所定の報知手段を用いて連絡するようにしても良い。
【0106】
E.移動経路誘導処理 :
また、本実施例の携帯情報端末装置100には、移動経路に従って、目的地への道順を案内する機能(ナビゲーション機能)も搭載されている(図3参照)。目的地への道順を案内する場合でも、地図を用いることなく案内することができるので、地図データサーバに接続して地図データを読み込む必要が無く、手軽にナビゲーション機能を利用することができる。加えて、地図データを用いないことから、取り扱うデータ量を抑制することができるので、メモリ容量に大きな制約を受ける機器によっても、十分に実用的なナビゲーション機能を利用することが可能となる。以下では、本実施例の携帯情報端末装置100において、移動経路に基づいて目的地への道順を案内する場合に行われる処理について詳しく説明する。
【0107】
図16は、本実施例の携帯情報端末装置100において移動経路に従って目的地への道順を案内するために行われる移動経路誘導処理の一部を示すフローチャートである。また、図17は、本実施例の携帯情報端末装置100で行われる移動経路誘導処理の残りの部分を示すフローチャートである。これらの処理は、携帯情報端末装置100の表示画面102上に、図3に示した画面が表示されている状態で、「ナビ実行」と表示されたボタンを選択すると、CPU150がROM152に記憶されているプログラムを読み出すことによって行われる処理である。以下、フローチャートに従って説明する。
【0108】
移動経路誘導処理を開始すると、先ず初めに、誘導に用いる移動経路および誘導方向を選択する処理を行う(ステップS300)。移動経路および誘導方向の選択は、携帯情報端末装置100の表示画面102上から行うことができる。
【0109】
図18は、本実施例の携帯情報端末装置100において移動経路誘導処理を開始すると、初めに、移動経路および誘導方向を選択するための画面が表示画面102に表示された様子を示す説明図である。図示されているように、表示画面102には、既に記憶されている複数の移動経路のタイトルが、選択可能な状態で表示されている。また、図9を用いて前述したように、本実施例の携帯情報端末装置100では、移動経路の始点および終点が、移動経路のタイトルとして設定されている。例えば、図18に示した1番目の移動経路には、自宅を始点として学校を終点とする移動経路が記憶されている。また、2番目の移動経路には、自宅から駅前までの移動経路が記憶されている。これら既に記憶されている移動経路のタイトルを見ながら、所望の移動経路にカーソルを合わせて選択ボタン104eを押すことによって、移動経路を選択する。
【0110】
また、誘導方向は、表示画面102の下部に表示された「正順」あるいは「逆順」の何れかのボタンを選択することによって指定する。これらのボタンは、携帯情報端末装置100の本体部101の上方左側の機能選択ボタン104a、あるいは、上方右側の機能選択ボタン104cを押すことによって選択することができる。「正順」と表示されたボタンを選択した場合には、移動経路の始点から終点に向かう方向に誘導され、「逆順」と表示されたボタンを選択した場合には、移動経路の終点から始点に向かう方向に誘導されることになる。
【0111】
こうして移動経路と誘導方向とが選択されたら、続いて、開始ボタンが押されたか否かを判断する(ステップS302)。移動経路誘導処理においても、前述した移動経路記憶処理あるいは移動経路監視処理と同様に、本体部101の上部右側に設けられた機能選択ボタン104cが、開始ボタンに設定されている。そして、開始ボタンが押されていない場合は(ステップS302:no)、開始ボタンが押されるまで待機状態となり、開始ボタンが押されたことが確認されたら(ステップS302:yes)、現在位置の緯度および経度を計測する(ステップS304)。
【0112】
次いで、緯度および経度を計測した現在位置から移動経路までの距離を算出する(ステップS306)。移動経路までの距離は、前述した移動経路監視処理の場合と同様にして算出することができる。すなわち、移動経路として記憶されている複数の座標点の間を直線によって補間しておき、現在位置から補間直線への距離を算出する(図13(a)参照)。あるいは、移動経路を構成する複数の座標点の中から、現在位置との距離が最も小さい座標点を検出して、現在位置からこの座標点までの距離を算出しても良い(図13(b)参照)。
【0113】
こうして現在位置から移動経路まで距離が得られたら、算出した距離と閾値距離との大小関係を比較する(ステップS308)。そして、算出した距離が閾値距離よりも小さいと判断された場合には(ステップS308:yes)、移動経路に沿って目的地へと誘導する画面を、表示画面102上に表示する(ステップS310)。
【0114】
図19は、移動経路に沿って目的地へと誘導する画面を例示した説明図である。図19(a)は、移動経路に沿って進むためには、このまま真っ直ぐに進めばよいことを示す画面であり、図19(b)は、斜め右方向に進めばよいことを示す画面である。このような画面は次のようにして表示されている。まず、移動経路上の座標点の中から、現在位置から誘導方向に見て、最も近い座標点を検出する。そして、現在位置と検出した座標値との相対座標を算出して、進むべき方向を決定する。次いで、内蔵されている方位磁石134を用いて、携帯情報端末装置100の向きを検出し、表示画面102上に表示する矢印の向きを決定する。あるいは、方位磁石134を用いて携帯情報端末装置100の向きを検出する代わりに、1つ前に現在位置として計測した座標点と、今回計測した座標点とを結ぶ方向を検出し、この方向を携帯情報端末装置100の向きであると仮定して、表示画面102上に表示する矢印の向きを決定しても良い。
【0115】
また、図19に示されているように、本実施例の携帯情報端末装置100では、画面の下部に、目的地までの直線距離と、大まかな所要時間も表示されるようになっている。これらの表示内容は、次のようにして決定されている。まず、現在位置の緯度および経度は分かっており、また、目的地の座標値も、記憶されている移動経路から知ることができる。すなわち、誘導方向が「正順」であれば、移動経路の終点が目的地であり。誘導方向が「逆順」であれば移動経路の始点が目的地となる。従って、移動経路として記憶されている座標値の中から、目的地の座標値を選び出し、現在位置の座標値との偏差を求めれば、目的地までの直線距離を算出することができる。
【0116】
更に、目的地への大まかな所要時間は、次のようにして求めることができる。図7に示したように、移動経路には、緯度および経度の計測値に加えて、移動経路の記憶を開始してからの経過時間も記憶されている。従って、移動経路上での現在位置が分かれば、目的地に到着するまでの大まかな所要時間を求めることができる。図19に示した目的地までの直線距離および所要時間は、このようにして求めた数値が表示されている。
【0117】
現在位置が、移動経路から閾値距離以内の範囲にある場合は(ステップS308:yes)、このようにして、図19に示すような誘導画面を表示する(ステップS310)。一方、現在位置が、移動経路から閾値距離の範囲外にあると判断された場合は(ステップS308:no)、移動経路への復帰画面を、表示画面102上に表示する(ステップS312)。
【0118】
図20は、移動経路に復帰するために表示される画面を例示した説明図である。図20(a)は、斜め右方向に進めば移動経路に戻れる旨を表示した画面であり、図20(b)は、真っ直ぐ進めば移動経路に戻れる旨を表示した画面である。また、表示されている方向が、移動経路上を目的地に向かって進むための方向ではなく、移動経路に戻るための方向であることを明確にするために、図20では矢印が破線によって表示され、矢印の進む先には移動経路をイメージさせる太い線が表示されている。
【0119】
移動経路へ復帰するための画面に表示される矢印の向きは、次のようにして決定されている。まず、現在位置から、移動経路上の最も近い座標点を検出する。この座標点は、移動経路として記憶されている複数の座標点の中から選択しても良いし、あるいは座標点の間を直線によって補間し、得られた補間直線上の点を検出しても良い。そして、現在位置と検出した座標値との相対座標を算出して、移動経路に戻るための方向を決定する。次いで、内蔵されている方位磁石134を用いて、携帯情報端末装置100の向きを検出し、表示画面102上に表示する矢印の向きを決定する。また、図20に示されているように、移動経路に復帰するための画面にも、現在位置から移動経路までの直線距離が表示されるようになっている。ここに表示される距離は、図15に示した移動経路誘導処理のステップS306において算出された距離を、そのまま表示すればよい。尚、方位磁石134を使用する代わりに、ジャイロを内蔵しておき、携帯情報端末装置100の向きを判断して、表示画面102上に矢印を表示するようにしても良い。更には、所定時間内に複数箇所(代表的には2箇所あるいは3箇所)で取得した座標点の差異に基づいて、演算により進行方向を予測し、予測結果に基づいて矢印を表示することも可能である。通常、携帯情報端末装置100の保持者は、携帯情報端末装置100を進行方向に向けて半ば掲げるようにして、表示画面102の表示を見ながら進むものと考えられるから、表示画面102の上部が、演算によって求めた進行方向を向いているものと仮定して、移動経路に戻るための向きを矢印で表示することも可能である。更には、このような場合には、表示画面102に表示された矢印の向きは、表示画面102の上部を進行方向に向けたときに、移動経路の戻るための方向を示している旨を、表示画面102上に表示するようにしても良い。
【0120】
もちろん、本実施例の移動経路誘導処理では、地図データを使用しないので、特に移動経路から外れてしまった場合には、表示された方向の道が存在するとは限らない。例えば、移動経路に戻るためには右斜め方向に進めばよい旨が表示されたとしても、右斜め方向に進む道が存在しなければ、右斜め方向に進むことはできない。しかし、このような場合でも、現在位置が移動経路から離れていること、および移動経路に戻るためにはどちらの方向に進めばよいかを知るだけで、十分に道案内の役に立てることができる。例えば、右斜め方向の表示が出たにも拘わらず、そちら方向に向かう道が無かった場合には、取り敢えずそのまま直進し、右折する道に出たところで右折すれば、全体として右斜め方向に進んだことになるので、やがて移動経路に戻ることが可能となる。
【0121】
あるいは、移動経路に戻るための方向を表示する代わりに、目的地が何れに方向にあるかを、表示画面102に表示するようにしても良い。たとえ移動経路から外れてしまった場合でも、取り敢えず、目的地に向かって進んでいれば、やがて移動経路の近傍に戻ることができるので、目的地の方向を表示してもよい。もちろん、移動経路に戻るための方向と、目的地の方向とを同時に表示することも可能である。
【0122】
以上のようにして、移動経路に沿って誘導する画面、あるいは移動経路に戻るための画面を表示したら(ステップS310、ステップS312)、計測時間間隔が経過したか否かを判断する(ステップS312)。ここで計測時間間隔とは、図19あるいは図20に例示した表示画面102の表示を更新する間隔に設定されている所定の時間である。前述した移動経路監視処理と同様に、移動経路誘導処理においても、計測時間間隔は、比較的長い値の固定時間に設定されている。そして、計測時間間隔が経過したと判断された場合は(ステップS314:yes)、ステップS304に戻って現在位置の緯度および経度を計測した後、上述した続く一連の処理を行うことにより、表示画面102の画面の表示を更新する。
【0123】
一方、計測時間間隔が経過していないと判断された場合は(ステップS314:no)、今度は、地図を読み込むか否かを判断する(図17のステップS316)。図19あるいは図20に示されているように、表示画面102の下方左側には「地図」と表示されたボタンが設けられており、このボタンを選択すると、地図を読み込むものと判断される(ステップS316:yes)。そして、この場合は、現在位置から目的地までの範囲を含む地図データを読み込む処理を行う(ステップS318)。すなわち、無線基地局14を介してインターネットなどの通信回線上に設けられた地図データサーバに接続した後、地図データサーバに対して、現在位置および目的地の座標値を出力することによって、現在位置および目的地を含んだ地図データを選択する。次いで、選択した地図データを、無線基地局14を介して取り込んで、携帯情報端末装置100のメモリ(RAM154や、メモリカード112など)に記憶する。
【0124】
こうして地図データを読み込んだら、地図データに基づいて現在位置周辺の地図を表示画面102に表示するとともに、地図上に現在位置および目的地を表示する(ステップS320)。このとき、現在位置および目的地に加えて、移動経路も表示することとしても良い。また、地図が大きいために、表示画面102上に全てを表示できない場合は、表示画面102で地図をスクロール可能な形式で表示すればよい。
【0125】
図21は、地図データサーバから読み込まれた地図が表示画面102上に表示されている様子を例示した説明図である。図中に示した黒い矢印は、現在位置を表している。このように、地図データサーバからは、現在位置と目的地(学校)とを含むような地図データが読み込まれて表示画面102に表示される。また、図中に示した一点鎖線は、移動経路を表している。本実施例の携帯情報端末装置100では、仮に移動経路に戻れなくなってしまった場合や、何らかの理由で地図を確認したくなった場合などには、直ちに現在位置を含む地図を、表示画面102上で確認することが可能となっている。
【0126】
図17のステップS316で、地図を読み込むと判断された場合は、こうして表示画面102に地図を表示させた後(ステップS320)、続いて、地図を閉じて良いか否かを判断する(ステップS322)。図21に示されているように、表示画面102の下方左側には「閉じる」と表示されたボタンが設けられており、表示画面102に表示されている地図を閉じて良い場合には、本体部101の上部左側に設けられた機能選択ボタン104aを押すことによって、「閉じる」ボタンを選択することが可能となっている。「閉じる」ボタンが選択されていない場合は(ステップS322:no)、ボタンが選択されるまで、そのまま待機状態となる。このため、携帯情報端末装置100の操作者は、必要なだけ時間をかけて地図を確認することができる。
【0127】
そして、操作者が十分に地図を確認したら、「閉じる」ボタンが選択されるので、地図を閉じて良いものと判断して(ステップS322:yes)、今度は、終了ボタンが押されたか否かを判断する(図16のステップS324)。前述したように、終了ボタンは、本体部101の上部右側に設けられた機能選択ボタン104cに設定されている。そして、終了ボタンが押されていないと判断された場合は(ステップS324:no)、ステップS314に戻って、計測時間間隔が経過したか否かを判断し、計測時間間隔が経過していれば(ステップS314:yes)、ステップS304に戻って現在位置の緯度および経度を計測した後、表示画面102の表示を更新する(ステップS310、またはステップS312)。こうした処理を繰り返して実行し、終了ボタンが押されたと判断されたら(ステップS324:yes)、図16および図17に示した移動経路監視処理を終了する。
【0128】
図16および図17に示した移動経路誘導処理では、以上のような処理を実行しており、その結果、移動経路に従って目的地まで誘導することが可能となっている。以上に説明した移動経路誘導処理によれば、予め記憶しておいた移動経路に従って、目的地まで誘導することができる。このため、地図データを用いる必要が無く、メモリ容量は処理能力の乏しい機器を用いた場合でも、軽快なナビゲーション機能を実現することが可能となる。もちろん、地図データを読み込んで表示画面102に表示させることで、必要に応じて地図を確認することも可能である。このとき、自動的に地図を用いたナビゲーション機能に切り換えることとしても良いが、既に地図で確認しているので、移動経路を用いて誘導するだけでも、容易に目的地に到着することが可能となる。
【0129】
F.変形例 :
前述した移動経路監視処理では、記憶されている移動経路は互いに独立しているものとして説明した。しかし、複数の移動経路を互いに関連付けた状態で記憶しておき、携帯情報端末装置100の現在位置に応じて移動経路を切り換えながら、監視を行うこととしても良い。
【0130】
例えば、1週間のうちの特定の曜日には、学校の帰りに学習塾に寄ってから帰宅することになったとする。このような場合、学習塾の無い日は、学校から自宅への移動経路に従って監視すればよい。しかし、学習塾のある日は、監視対象の経路を、学校から学習塾を経由して自宅に戻る経路に切り換えなければ、監視経路から外れた旨が、繰り返し連絡されてしまう。このような場合には、学校から自宅までの経路に関連付けて、学校から学習塾を経由して帰る経路を記憶しておく。
【0131】
図22は、2つの移動経路を関連付けて記憶している様子を概念的に示した説明図である。図中に示した一点鎖線は、従来から記憶されていた学校から自宅までの経路を示している。また、図中に示した破線は、学校から学習塾によって帰宅する経路を示している。このような、学習塾に寄ってから帰宅する経路を記憶する場合には、先ず初めに、従来の経路(ここでは、学校から自宅までの経路)を選択しておく。次いで、新たに記憶する経路を、選択した経路に関連付けて記憶する旨を指定した後、新たな記憶しようとする経路への分岐点から、移動経路の記憶を開始する。ここで新たな経路への分岐点は、必ずしも既に記憶した経路の途中にある必要はなく、例えば図22に示すように、経路の始点から分岐することも可能である。
【0132】
こうして、学習塾に寄ってから自宅に向かう経路を移動しながら、現在位置の緯度および経度を計測することによって新たな経路を記憶していき、そして従来の経路に合流したら、新たな経路の記憶を終了する。尚、従来の経路に合流する位置も、必ずしも経路の途中で合流する場合に限られるものではなく、終点(ここでは自宅)で合流することも可能である。その結果、図22に、破線で示した経路(学習塾に寄って帰宅する経路)が、一点鎖線で示した経路(学校から自宅に向かう経路)に関連付けられた状態で記憶されることになる。尚、新たな移動経路のデータを記憶する形態は、従来から記憶されている移動経路と何らかの方法で関連付けて記憶されているのであれば、種々の形態で記憶しておくこともできる。例えば、データの中に何らかの識別データを挿入しておき、この識別データを手がかりにして、一方の移動経路のデータから他方の移動経路のデータを読み出せるように記憶しておくことができる。
【0133】
次いで、移動経路に基づいた監視を行う場合には、互いに関連付けられた経路の中から1つの経路を選択して、監視経路として設定しておく。図22に示した例では、学校から自宅までの経路と、学習塾に寄ってから帰宅する経路の2つの経路が関連付けられているが、ここでは、学校から自宅までの経路が監視経路として設定されたものとする。その結果、設定された監視経路に基づいて監視が開始されるが、互いに関連付けられた経路の分岐点に達したら、その後に検出される現在位置に応じて、監視対象の経路を切り換える。例えば、学校の正門を出た後、真っ直ぐ帰宅する方向に進んだ場合は、一点鎖線の経路に沿って監視が行われるが、正門から学習塾の方向に進んだ場合には、監視経路が破線の経路に切り換わって監視が行われる。その後、学校から真っ直ぐ帰宅する経路に合流すると、再び監視対象の経路がこの経路に切り換わる。
【0134】
このように、2つの経路(ここでは、学校から真っ直ぐ帰宅する経路と、学習塾に寄ってから帰宅する経路)を関連付けて記憶しておくことで、携帯情報端末装置100の保持者の進路に応じて監視経路を自動的に切り換えることが可能となる。その結果、日によって経路が異なるような場合でも、その度に監視対象の経路を設定し直す必要が無いので、常に適切に監視することが可能となる。
【0135】
尚、以上では、関連付けられた移動経路の分岐点、あるいは合流点に達したときに、監視対象の経路を切り換えるか否かを判断するものとして説明した。しかし、次のようにして判断することも可能である。すなわち、監視中の移動経路から外れた場合に、関連付けられた移動経路が近くを通っていないかどうかを判断し、関連付けられた移動経路が近くを通っていた場合には、監視対象の経路を、その移動経路に切り換えるようにしても良い。このようにすれば、分岐点あるいは合流点を検出しなくても、監視対象の経路を切り換えることが可能となる。
【0136】
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0137】
例えば、上述した移動経路監視処理、あるいは移動経路誘導処理においては、予め移動経路を記憶しておき、この移動経路を読み出して、監視あるいは誘導に使用するものとして説明した。しかし、移動経路のデータはデータ量もそれ程大きなものではないので、他の携帯情報端末装置100に記憶されている移動経路のデータを、通信回線を介して取り込んで、監視あるいは誘導に利用することも可能となる。こうすれば、例えば道順を説明する場合にも、電話などで説明する代わりに、移動経路のデータを相手の携帯情報端末装置100に送信することで、簡単に且つ正確に道順を伝えることも可能となる。
【0138】
また、記憶された移動経路と実際に通った道との関係を把握するために、監視モードの実行中でも、現在位置情報を時系列的に記憶するようにしても良い。
【0139】
更には、上述した実施例では、GPS衛星から送信される緯度経度情報を利用して、携帯情報端末装置100の現在位置を検出したり、あるいは進行方向を決定するものとして説明した。しかし、GPS衛星からの情報に代えて、所在位置の分かっている電波発信装置(例えば、携帯電話の無線基地局など)から、無線電波機器に対して出力される電波の強度を利用することで、位置情報を取得したり、進行方向を決定したり、あるいはこれら情報を用いて位置や方向を補正するようにしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本実施例の携帯情報端末装置の大まかな構成を示した説明図である。
【図2】携帯電話を例にとって本実施例の携帯情報端末装置の大まかな構成を示したブロック図である。
【図3】本実施例の携帯情報端末装置を用いて現在位置の監視や道順の案内を行う際に最初に表示される表示画面を例示した説明図である。
【図4】本実施例の携帯情報端末装置に搭載された各種の操作ボタンを示した説明図である。
【図5】本実施例の携帯情報端末装置で行われる移動経路記憶処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本実施例の携帯情報端末装置において記憶モードとして設定される項目を例示した説明図である。
【図7】本実施例の携帯情報端末装置に記憶される移動経路のデータ構造を概念的に表した説明図である。
【図8】自宅から学校までの道順が移動経路として記憶された様子を概念的に表した説明図である。
【図9】本実施例の携帯情報端末装置の表示画面上で移動経路のタイトルを設定するための画面を例示した説明図である。
【図10】移動経路を用いて現在位置を監視するために実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】本実施例の携帯情報端末装置で監視を行うための移動経路を選択している画面を例示した説明図である。
【図12】本実施例の携帯情報端末装置で監視モードを設定するために表示される画面を例示した説明図である。
【図13】現在位置から移動経路までの距離を求めている様子を概念的に示した説明図である。
【図14】現在位置が属する領域を検出している様子を概念的に示した説明図である。
【図15】第1の変形例の移動経路監視処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】本実施例の携帯情報端末装置で行われる移動経路誘導処理の一部を示すフローチャートである。
【図17】本実施例の携帯情報端末装置で行われる移動経路誘導処理の残りの部分を示すフローチャートである。
【図18】本実施例の携帯情報端末装置において移動経路および誘導方向を選択するための画面が表示された様子を示す説明図である。
【図19】移動経路に沿って目的地へと誘導する画面が表示された様子を例示した説明図である。
【図20】移動経路に復帰させるための画面が表示された様子を例示した説明図である。
【図21】地図データサーバから読み込まれた地図が表示画面上に表示されている様子を例示した説明図である。
【図22】2つの移動経路が関連付けて記憶されている様子を概念的に示した説明図である。
【符号の説明】
【0141】
12…携帯電話、 14…無線基地局、 50…人工衛星、
100…携帯情報端末装置、 101…本体部、 102…表示画面、
104…操作ボタン、 104a…機能選択ボタン、
104b…機能選択ボタン、 104c…機能選択ボタン、
104d…カーソルボタン、 104e…選択ボタン、
104f…通話開始ボタン、 104g…通話終了ボタン、
104h…入力ボタン、 106…集音マイク、 108…スピーカ、
110…アンテナ、 112…メモリカード、 120…ビデオドライバ、
124…ボタンキードライバ、 126…サウンドプロセッサ、
128…アンテナドライバ、 130…カードドライバ、 134…方位磁石、
150…CPU、 152…ROM、 154…RAM
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した携帯情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記携帯情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記携帯情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する偏差情報検出手段と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より大きい場合には、前記携帯情報端末装置が該閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡する連絡手段と
を備える携帯情報端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯情報端末装置であって、
前記連絡手段は、前記現在位置から前記移動経路への距離が前記閾値距離よりも小さい場合には、前記携帯情報端末装置が該閾値距離の範囲内にある旨を、前記連絡先に所定の頻度で連絡する手段である携帯情報端末装置。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯情報端末装置であって、
前記移動経路記憶手段は、前記移動経路を、複数の領域に区分した状態で記憶している手段であり、
前記連絡手段は、前記現在位置から前記移動経路への距離が前記閾値距離よりも小さい場合には、該現在位置から最も近い前記領域を検出して前記連絡先に連絡する手段である携帯情報端末装置。
【請求項4】
請求項1に記載の携帯情報端末装置であって、
前記移動経路記憶手段は、前記移動経路を、複数の領域に区分した状態で記憶している手段であり、
前記連絡手段は、前記現在位置から前記移動経路への距離が前記閾値距離よりも小さい場合には、該現在位置から最も近い前記領域を検出し、該検出した領域が切り換わる度に、該新たな領域を前記連絡先に連絡する手段である携帯情報端末装置。
【請求項5】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する誘導方向選択手段と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する偏差情報検出手段と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から該移動経路に戻るための方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する誘導手段と
を備える情報端末装置。
【請求項6】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する誘導方向選択手段と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する偏差情報検出手段と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から前記終点に向かう方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する誘導手段と
を備える情報端末装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の情報端末装置であって、
複数の地図データを記憶している地図データサーバに通信回線を介して接続する地図データサーバ接続手段と、
少なくとも前記現在位置を含む地図データを読み込んで、該地図データを該現在位置とともに画面上に表示する地図データ表示手段と、
前記誘導手段または前記地図データ表示手段の何れか一方を、他方に切り換え可能な状態で起動する切換起動手段と
を備える情報端末装置。
【請求項8】
請求項1、請求項5、または請求項6の何れかに記載の情報端末装置であって、
前記移動経路記憶手段には、前記移動経路の記憶中に所定の操作を行うと、該操作を行った位置での緯度および経度を特定し、得られた緯度および経度が表す計測位置を、該記憶中の移動経路に追加する計測位置追加手段が設けられている情報端末装置。
【請求項9】
請求項1、請求項5、または請求項6の何れかに記載の情報端末装置であって、
前記移動経路記憶手段には、現在位置の緯度および経度を検出する頻度を変更する検出頻度変更手段が設けられている情報端末装置。
【請求項10】
請求項1、請求項5、または請求項6の何れかに記載の情報端末装置であって、
前記移動経路の記憶を開始するための経路記憶開始ボタンと、
前記移動経路の記憶を終了するための経路記憶終了ボタンと
を備え、
前記移動経路記憶手段は、前記経路記憶開始ボタンが操作されたことを検出して前記移動経路の記憶を開始するとともに、前記経路記憶終了ボタンが操作されたことを検出して前記移動経路の記憶を終了する手段である情報端末装置。
【請求項11】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置から、予め記憶されている前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離よりも大きい場合には該閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡することにより、前記情報端末装置の現在位置を監視する監視手段と、
前記移動経路記憶手段に関連付けられた第1の選択肢、および前記監視手段に関連付けられた第2の選択肢を、前記情報端末装置の画面上に表示する選択肢表示手段と、
前記第1の選択肢または前記第2の選択肢が選択されたことを検出して、該選択肢に関連付けられた前記移動経路記憶手段または前記監視手段を起動する起動手段と
を備える情報端末装置。
【請求項12】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した携帯情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記携帯情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記移動経路上の始点または終点の何れか選択しておいた側に向かって、該移動経路に沿って進むための方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する誘導手段と
前記移動経路記憶手段に関連付けられた第1の選択肢、および前記誘導手段に関連付けられた第3の選択肢を、前記携帯情報端末装置の画面上に表示する選択肢表示手段と、
前記第1の選択肢または前記第3の選択肢が選択されたことを検出して、該選択肢に関連付けられた前記移動経路記憶手段または前記誘導手段を起動する起動手段と
を備える携帯情報端末装置。
【請求項13】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した携帯情報端末装置の現在位置を監視する現在位置監視方法であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記携帯情報端末装置の移動経路を記憶しておく第1の工程と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記携帯情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する第2の工程と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より大きい場合には、前記携帯情報端末装置が該閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡する第3の工程と
を備える現在位置監視方法。
【請求項14】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置を用いて、該情報端末装置の保持者を誘導する誘導方法であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶しておく工程(A)と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する工程(B)と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する工程(C)と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から該移動経路に戻るための方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する工程(D)と
を備える誘導方法。
【請求項15】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置を用いて、該情報端末装置の保持者を誘導する誘導方法であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶しておく工程(ア)と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する工程(イ)と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する工程(ウ)と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から前記終点に向かう方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する工程(エ)と
を備える誘導方法。
【請求項16】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した携帯情報端末装置の現在位置を監視する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記携帯情報端末装置の移動経路を記憶しておく第1の機能と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記携帯情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する第2の機能と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より大きい場合には、前記携帯情報端末装置が該閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡する第3の機能と
をコンピュータにより実現させるプログラム。
【請求項17】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置を用いて、該情報端末装置の保持者を誘導する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶しておく機能(A)と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する機能(B)と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する機能(C)と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から該移動経路に戻るための方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する機能(D)と
をコンピュータにより実現させるプログラム。
【請求項18】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置を用いて、該情報端末装置の保持者を誘導する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶しておく機能(ア)と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する機能(イ)と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する機能(ウ)と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から前記終点に向かう方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する機能(エ)と
をコンピュータにより実現させるプログラム。
【請求項1】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した携帯情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記携帯情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記携帯情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する偏差情報検出手段と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より大きい場合には、前記携帯情報端末装置が該閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡する連絡手段と
を備える携帯情報端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯情報端末装置であって、
前記連絡手段は、前記現在位置から前記移動経路への距離が前記閾値距離よりも小さい場合には、前記携帯情報端末装置が該閾値距離の範囲内にある旨を、前記連絡先に所定の頻度で連絡する手段である携帯情報端末装置。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯情報端末装置であって、
前記移動経路記憶手段は、前記移動経路を、複数の領域に区分した状態で記憶している手段であり、
前記連絡手段は、前記現在位置から前記移動経路への距離が前記閾値距離よりも小さい場合には、該現在位置から最も近い前記領域を検出して前記連絡先に連絡する手段である携帯情報端末装置。
【請求項4】
請求項1に記載の携帯情報端末装置であって、
前記移動経路記憶手段は、前記移動経路を、複数の領域に区分した状態で記憶している手段であり、
前記連絡手段は、前記現在位置から前記移動経路への距離が前記閾値距離よりも小さい場合には、該現在位置から最も近い前記領域を検出し、該検出した領域が切り換わる度に、該新たな領域を前記連絡先に連絡する手段である携帯情報端末装置。
【請求項5】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する誘導方向選択手段と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する偏差情報検出手段と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から該移動経路に戻るための方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する誘導手段と
を備える情報端末装置。
【請求項6】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する誘導方向選択手段と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する偏差情報検出手段と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から前記終点に向かう方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する誘導手段と
を備える情報端末装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の情報端末装置であって、
複数の地図データを記憶している地図データサーバに通信回線を介して接続する地図データサーバ接続手段と、
少なくとも前記現在位置を含む地図データを読み込んで、該地図データを該現在位置とともに画面上に表示する地図データ表示手段と、
前記誘導手段または前記地図データ表示手段の何れか一方を、他方に切り換え可能な状態で起動する切換起動手段と
を備える情報端末装置。
【請求項8】
請求項1、請求項5、または請求項6の何れかに記載の情報端末装置であって、
前記移動経路記憶手段には、前記移動経路の記憶中に所定の操作を行うと、該操作を行った位置での緯度および経度を特定し、得られた緯度および経度が表す計測位置を、該記憶中の移動経路に追加する計測位置追加手段が設けられている情報端末装置。
【請求項9】
請求項1、請求項5、または請求項6の何れかに記載の情報端末装置であって、
前記移動経路記憶手段には、現在位置の緯度および経度を検出する頻度を変更する検出頻度変更手段が設けられている情報端末装置。
【請求項10】
請求項1、請求項5、または請求項6の何れかに記載の情報端末装置であって、
前記移動経路の記憶を開始するための経路記憶開始ボタンと、
前記移動経路の記憶を終了するための経路記憶終了ボタンと
を備え、
前記移動経路記憶手段は、前記経路記憶開始ボタンが操作されたことを検出して前記移動経路の記憶を開始するとともに、前記経路記憶終了ボタンが操作されたことを検出して前記移動経路の記憶を終了する手段である情報端末装置。
【請求項11】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置から、予め記憶されている前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離よりも大きい場合には該閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡することにより、前記情報端末装置の現在位置を監視する監視手段と、
前記移動経路記憶手段に関連付けられた第1の選択肢、および前記監視手段に関連付けられた第2の選択肢を、前記情報端末装置の画面上に表示する選択肢表示手段と、
前記第1の選択肢または前記第2の選択肢が選択されたことを検出して、該選択肢に関連付けられた前記移動経路記憶手段または前記監視手段を起動する起動手段と
を備える情報端末装置。
【請求項12】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した携帯情報端末装置であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記携帯情報端末装置の移動経路を記憶する移動経路記憶手段と、
前記移動経路上の始点または終点の何れか選択しておいた側に向かって、該移動経路に沿って進むための方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する誘導手段と
前記移動経路記憶手段に関連付けられた第1の選択肢、および前記誘導手段に関連付けられた第3の選択肢を、前記携帯情報端末装置の画面上に表示する選択肢表示手段と、
前記第1の選択肢または前記第3の選択肢が選択されたことを検出して、該選択肢に関連付けられた前記移動経路記憶手段または前記誘導手段を起動する起動手段と
を備える携帯情報端末装置。
【請求項13】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した携帯情報端末装置の現在位置を監視する現在位置監視方法であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記携帯情報端末装置の移動経路を記憶しておく第1の工程と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記携帯情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する第2の工程と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より大きい場合には、前記携帯情報端末装置が該閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡する第3の工程と
を備える現在位置監視方法。
【請求項14】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置を用いて、該情報端末装置の保持者を誘導する誘導方法であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶しておく工程(A)と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する工程(B)と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する工程(C)と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から該移動経路に戻るための方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する工程(D)と
を備える誘導方法。
【請求項15】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置を用いて、該情報端末装置の保持者を誘導する誘導方法であって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶しておく工程(ア)と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する工程(イ)と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する工程(ウ)と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から前記終点に向かう方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する工程(エ)と
を備える誘導方法。
【請求項16】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した携帯情報端末装置の現在位置を監視する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記携帯情報端末装置の移動経路を記憶しておく第1の機能と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記携帯情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する第2の機能と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より大きい場合には、前記携帯情報端末装置が該閾値距離の範囲外にある旨を、予め登録されている連絡先に連絡する第3の機能と
をコンピュータにより実現させるプログラム。
【請求項17】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置を用いて、該情報端末装置の保持者を誘導する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶しておく機能(A)と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する機能(B)と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する機能(C)と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から該移動経路に戻るための方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する機能(D)と
をコンピュータにより実現させるプログラム。
【請求項18】
地球上での緯度および経度を検出することにより現在位置を特定する位置特定機能を搭載した情報端末装置を用いて、該情報端末装置の保持者を誘導する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
前記位置特定機能を用いて特定した現在位置の緯度および経度を時系列的に記憶することにより、前記情報端末装置の移動経路を記憶しておく機能(ア)と、
前記移動経路上で始点に向かう方向または終点に向かう方向の何れか一方を、誘導方向として選択する機能(イ)と、
前記位置特定機能を用いて特定した前記情報端末装置の現在位置と、予め記憶されている前記移動経路との隔たりを表す偏差情報を検出する機能(ウ)と、
前記偏差情報に基づいて算出した前記現在位置から前記移動経路までの距離が、所定の閾値距離より小さい場合には、該移動経路に沿って前記誘導方向に進むための方向に関する情報を出力し、該算出した距離が該閾値距離よりも大きい場合には、該現在位置から前記終点に向かう方向に関する情報を出力することにより、前記情報端末装置の保持者を誘導する機能(エ)と
をコンピュータにより実現させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2008−46674(P2008−46674A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−218773(P2006−218773)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000106690)サン電子株式会社 (161)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000106690)サン電子株式会社 (161)
【Fターム(参考)】
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