説明

枚葉式洗浄装置

【課題】被洗浄物の平面度を維持しながら洗浄を行い、被洗浄物の反り、破損及び被洗浄物の下面側に洗浄液が液侵するのを抑制しつつ、被洗浄物の支持体との接触部分の洗浄残の発生を抑制できる枚葉式洗浄装置。
【解決手段】円筒状の凹部及び該凹部の内壁面に沿って気体を吐出する吐出口を有する旋回流形成部を上面部に複数有し、被洗浄物の直下に配設される吸着浮上テーブルと、吸着浮上テーブルの周辺に配設され、吸着浮上テーブルの直上の被洗浄物の側面を支持する支持体を有し、支持体で支持した被洗浄物を中心軸で回転させるスピンテーブルとを具備し、被洗浄物を非接触な状態で吸着浮上させつつ、支持体で被洗浄物の側面を支持し、スピンテーブルによって前記被洗浄物を中心軸で回転させて上面を洗浄するものであることを特徴とする枚葉式洗浄装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体シリコンウェーハや、デバイスパターンが形成されているウェーハあるいはフォトマスク等の被洗浄物を1枚ずつ洗浄する枚葉式洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体等の製造工程において、シリコンウェーハや、フォトマスク等の半導体製造に使用されるウェーハや基板等の被処理物に処理を施す際、有機物、金属等の塵埃、異物といったパーティクルがその被処理物に付着していると、被処理物の面内で均一な処理が施せず、また、そのようなウェーハ等から他のウェーハに間接的に相互汚染するので、製品製造の歩留りが低下する原因となる。そのため、通常ウェーハ等に処理を施す前は洗浄装置で洗浄することにより被処理物からパーティクル等を除去している。
【0003】
そして、例えばウェーハの表面に種々のパターンが形成されて複数の素子が形成される。また、その後の工程最終段階にてウェーハの裏面を研削加工(バックラップ)してウェーハの厚みを薄くし、この研削されたウェーハの裏面に対して洗浄仕上げが行われる。
【0004】
このような被洗浄物を洗浄するための洗浄装置には、従来から、複数枚の被洗浄物を同時に洗浄できるバッチ式洗浄装置と、被洗浄物を1枚ずつ洗浄する枚葉式洗浄装置がある。バッチ式洗浄装置は、近年における半導体基板の大口型化に伴い、複数枚の半導体基板を同時に取り扱うことが困難となってきている上、装置自体も大型化する必要があるため、枚葉式洗浄装置が広く使用されるようになってきた。
【0005】
図6に従来の枚様式洗浄装置の概略図を示す。この枚葉式洗浄装置101は、回転可能なテーブル102と、該テーブル102をその中心軸で回転させるための回転駆動部107と、被洗浄物105の上面を洗浄するための洗浄ノズル106とを具備している。
また、テーブル102は、アーム104上に被洗浄物105の側面を支持するためのピン103が複数本取り付けられている。
【0006】
このような枚葉式洗浄装置101を使用して被洗浄物105の上面を洗浄するには、テーブル102のピン103で被洗浄物105の側面を支持し、回転駆動部107によりテーブル102を回転させることにより被洗浄物105を回転させ、洗浄ノズル106より薬液の入った洗浄液を被洗浄物105の上面側に吐出させて洗浄する。
このような枚葉式洗浄装置において、洗浄液に超音波振動子(不図示)により超音波を重畳し、その超音波が被洗浄物に伝搬されて洗浄する洗浄装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−95458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記のような従来の洗浄装置を用いた場合、被洗浄物の下面及び側面がアーム及び支持体に直接接触しているため、その接触箇所で被洗浄物に傷や汚染が発生したり、被洗浄物間の相互汚染を引き起こしてしまったり、被洗浄物の接触部分の洗浄が困難なため洗浄残りが発生してしまうという問題があった。
また、特に上述したようなバックラップ後の薄いウェーハのラップ面の洗浄及びその洗浄前後のウェーハの搬送において、そのウェーハ自身及びウェーハ上の積層薄膜の歪み等により平面度を維持するのが困難であり、ウェーハに反りが発生したり破損してしまうことがあった。そして、このような歪みや、ウェーハの自重による撓み及びウェーハ側面の破損等により、上記したような従来のウェーハ側面を支持するピン等の外周部支持体によるスピン構造では回転駆動の伝達が不可能となり洗浄が行えなくなる場合があった。
【0009】
さらに、パターン形成されたデバイス面を表面に有するウェーハの裏面を上側にして洗浄仕上げを行う際、デバイス面側(表面)、すなわち被洗浄物105の下面側へ洗浄液が入り込んでそのデバイス面に影響を与えてしまうという問題もあった。
【0010】
本発明は前述のような問題に鑑みてなされたもので、たとえ被洗浄物が薄くても、その平面度を維持しながら洗浄を行い、被洗浄物の反り、破損及び被洗浄物の下面側に洗浄液が液侵するのを抑制しつつ、被洗浄物の支持体との接触部分の洗浄残の発生を抑制することができる枚葉式洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明によれば、被洗浄物の上面を洗浄液で洗浄する洗浄ノズルを具備し、前記被洗浄物を中心軸で回転させながら前記洗浄ノズルから吐出した洗浄液で前記被洗浄物の上面を洗浄する枚葉式洗浄装置において、少なくとも、円筒状の凹部及び該凹部の内壁面に沿って気体を吐出する吐出口を有する旋回流形成部を上面部に複数有し、前記被洗浄物の直下に配設される吸着浮上テーブルと、前記吸着浮上テーブルの周辺に配設され、前記吸着浮上テーブルの直上の前記被洗浄物の側面を支持する支持体を有し、前記支持体で支持した前記被洗浄物を中心軸で回転させるスピンテーブルとを具備し、前記旋回流形成部の吐出口から気体を吐出させることによって該旋回流形成部の円筒状の凹部の中心部に発生する負圧と、該旋回流形成部内から前記被洗浄物との隙間に放出される前記気体によって前記被洗浄物を非接触な状態で吸着浮上させつつ、前記支持体で前記被洗浄物の側面を支持し、前記スピンテーブルによって前記被洗浄物を中心軸で回転させて上面を洗浄するものであることを特徴とする枚葉式洗浄装置が提供される。
【0012】
このように、少なくとも、円筒状の凹部及び該凹部の内壁面に沿って気体を吐出する吐出口を有する旋回流形成部を上面部に複数有し、前記被洗浄物の直下に配設される吸着浮上テーブルと、前記吸着浮上テーブルの周辺に配設され、前記吸着浮上テーブルの直上の前記被洗浄物の側面を支持する支持体を有し、前記支持体で支持した前記被洗浄物を中心軸で回転させるスピンテーブルとを具備し、前記旋回流形成部の吐出口から気体を吐出させることによって該旋回流形成部の円筒状の凹部の中心部に発生する負圧と、該旋回流形成部内から前記被洗浄物との隙間に放出される前記気体によって前記被洗浄物を非接触な状態で吸着浮上させつつ、前記支持体で前記被洗浄物の側面を支持し、前記スピンテーブルによって前記被洗浄物を中心軸で回転させて上面を洗浄するものであれば、被洗浄物を非接触な状態で延ばしながら確実に回転駆動を伝達して洗浄することができ、たとえ薄いものであったとしても被洗浄物の反り及び破損を抑制することができるものとなる。また、被洗浄物を高速回転させることができるので、その回転の遠心力で被洗浄物の上面に吐出された洗浄液を外側に吹き飛ばして被洗浄物の下面側に液侵するのを抑制することができるものとなる。また、洗浄中に被洗浄物の吸着力を調整して支持体で支持する被洗浄物の側面の位置を変更することができるので、洗浄残の発生を抑制することができるものとなる。
【0013】
このとき、前記吸着浮上テーブルは上下動自在であることが好ましい。
このように、前記吸着浮上テーブルが上下動自在であれば、被洗浄物と吸着浮上テーブルとの距離を調整することによって簡単に被洗浄物の高さ位置や吸着力を制御することができ、より確実に被洗浄物を延ばしながら洗浄することができるものとなる。また、被洗浄物の洗浄位置と被洗浄物の吸着浮上テーブルへの受け渡し位置とで高さを変えることができ、被洗浄物の受け渡しを容易に行うことができるものとなる。
【0014】
またこのとき、前記吸着浮上テーブルを上昇させて前記スピンテーブルの支持体と前記被洗浄物との接触力を低下又は非接触とすることによって、前記スピンテーブルと前記被洗浄物の回転数に差を生じさせ、前記被洗浄物の支持体で支持される側面の位置を変更することができるものであることが好ましい。
【0015】
このように、前記吸着浮上テーブルを上昇させて前記スピンテーブルの支持体と前記被洗浄物との接触力を低下させたり、非接触とすることによって、前記スピンテーブルと前記被洗浄物の回転数に差を生じさせ、前記被洗浄物の支持体で支持される側面の位置を変更することができるものであれば、洗浄中に被洗浄物の支持体で支持される側面の位置をより確実に変更することができ、側面の支持部分における洗浄残をより確実になくすことができるものとなる。
【0016】
またこのとき、前記スピンテーブルの回転を急加速させることによって、前記スピンテーブルと前記被洗浄物の回転数に差を生じさせ、前記被洗浄物の支持体で支持される側面の位置を変更することができるものであることが好ましい。
このように、前記スピンテーブルの回転を急加速させることによって、前記スピンテーブルと前記被洗浄物の回転数に差を生じさせ、前記被洗浄物の支持体で支持される側面の位置を変更することができるものであれば、洗浄中に被洗浄物の支持体で支持される側面の位置をより確実に変更することができ、側面の支持部分における洗浄残をより確実になくすことができるものとなる。
【0017】
またこのとき、前記旋回流形成部内から前記被洗浄物との隙間に放出された気体がさらに前記被洗浄物の外周方向へ向けて流出するものであることが好ましい。
このように、前記旋回流形成部内から前記被洗浄物との隙間に放出された気体がさらに前記被洗浄物の外周方向へ向けて流出するものであれば、外周方向へ向けて流出する気体によって、洗浄液が被洗浄物の下面側に侵入するのをより確実に抑制することができるものとなる。
【0018】
またこのとき、さらに、前記被洗浄物の有無及び破損を検知する被洗浄物検知センサーを具備することができる。
このように、さらに、前記被洗浄物の有無及び破損を検知する被洗浄物検知センサーを具備するものであれば、被洗浄物の有無及び破損を検知して、被洗浄物が無かったり破損している状態で洗浄液を吐出してスピンテーブル内に洗浄液が漏液してしまうのを抑制することができるものとなる。特に薄い被洗浄物を洗浄する場合は割れが発生し易いので、このようなセンサーを具備するのが有効である。
【0019】
またこのとき、さらに、前記スピンテーブルの下方内側への漏液を検知する漏液検知センサーを具備することができる。
このように、さらに、前記スピンテーブルの下方内側への漏液を検知する漏液検知センサーを具備するものであれば、スピンテーブルの下方に洗浄液が漏液したことをすばやく検知することができるものとなる。
【0020】
またこのとき、前記洗浄ノズルは、前記洗浄液に超音波振動を印加する超音波洗浄ノズル又はスプレーノズルとすることができる。
このように、洗浄ノズルが洗浄液に超音波振動を印加する超音波洗浄ノズルであれば、超音波によって洗浄効果を向上することができ、スプレーノズルであれば、洗浄液をソフトに供給することができる。
【0021】
またこのとき、前記洗浄ノズルから吐出した洗浄液を回収する排液カップを具備し、該排液カップは前記スピンテーブルの周囲に配置され、前記洗浄液の薬液の種類に対応して上下動して位置を変更することで、前記洗浄液を分液回収可能なものとすることができる。
このように、前記洗浄ノズルから吐出した洗浄液を回収する排液カップを具備し、該排液カップは前記スピンテーブルの周囲に配置され、前記洗浄液の薬液の種類に対応して上下動して位置を変更することで、前記洗浄液を分液回収可能なものであれば、分液回収した洗浄液の薬液を再利用することができ、コストを削減することができるものとなる。
【0022】
またこのとき、前記スピンテーブルは前記被洗浄物のスピン乾燥が可能であり、回転速度が最大で4000rpmで回転可能なものとすることができる。
このように、前記スピンテーブルは前記被洗浄物のスピン乾燥が可能であり、回転速度が最大で4000rpmで回転可能であれば、スピン乾燥により速やかに洗浄後の被洗浄物を乾燥させることができるものとなる。
【0023】
またこのとき、前記被洗浄物を搬送するロボットハンドを具備し、該ロボットハンドで前記吸着浮上テーブル上の前記被洗浄物を非接触で受け渡しすることができるものとすることができる。
このように、前記被洗浄物を搬送するロボットハンドを具備し、該ロボットハンドで前記吸着浮上テーブル上の前記被洗浄物を非接触で受け渡しすることができるものであれば、被洗浄物を非接触で洗浄して非接触のまま搬送することができ、特に薄い被洗浄物であってもその破損を抑制することができるとともに、被洗浄物間の相互汚染も抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、枚葉式洗浄装置において、少なくとも、円筒状の凹部及び該凹部の内壁面に沿って気体を吐出する吐出口を有する旋回流形成部を上面部に複数有し、前記被洗浄物の直下に配設される吸着浮上テーブルと、前記吸着浮上テーブルの周辺に配設され、前記吸着浮上テーブルの直上の前記被洗浄物の側面を支持する支持体を有し、前記支持体で支持した前記被洗浄物を中心軸で回転させるスピンテーブルとを具備し、前記旋回流形成部の吐出口から気体を吐出させることによって該旋回流形成部の円筒状の凹部の中心部に発生する負圧と、該旋回流形成部内から前記被洗浄物との隙間に放出される前記気体によって前記被洗浄物を非接触な状態で吸着浮上させつつ、前記支持体で前記被洗浄物の側面を支持し、前記スピンテーブルによって前記被洗浄物を中心軸で回転させて上面を洗浄するので、被洗浄物を非接触な状態で延ばしながら確実に回転駆動を伝達して洗浄することができ、たとえ被洗浄物が薄くても被洗浄物の反り及び破損を抑制することができるものとなる。また、被洗浄物を高速回転させることができるので、その回転の遠心力で被洗浄物の上面に吐出された洗浄液を外側に吹き飛ばして被洗浄物の下面側に液侵するのを抑制することができるものとなる。また、洗浄中に被洗浄物の吸着力を調整して支持体で支持する被洗浄物の側面の位置を変更することができるので、被洗浄物の側面における洗浄残の発生を抑制することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る枚葉式洗浄装置の一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】図1の枚葉式洗浄装置の上部を拡大した概略図である。
【図3】被洗浄物を吸着浮上する様子を説明する説明図である。
【図4】本発明に係る枚葉式洗浄装置で使用することができる吸着浮上テーブル及びスピンテーブルの一例を示す概略図である。
【図5】本発明に係る枚葉式洗浄装置で使用することができるスピンテーブルの別の一例を示す概略図である。(A)ストレートピン形状の支持体の一例を示す側面概略図。(B)ストレートピン形状の支持体を有するスピンテーブルの一例を示す上面概略図。
【図6】従来の枚葉式洗浄装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
従来の枚葉式洗浄装置を用いた被洗浄物の洗浄において、被洗浄物の支持体等との接触箇所で被洗浄物に破損や汚染が発生したり、被洗浄物間の相互汚染を引き起こしてしまったり、被洗浄物の接触部分の洗浄が困難なため洗浄残りが発生してしまうという問題があった。また、例えば直径200mmのウェーハでは、その厚さは通常725μm程度であるが、前述したようなバックラップ等によって、例えば30〜150μm程度の厚さまで加工されることがある。このような薄い被洗浄物の洗浄において、被洗浄物の歪み等により平面度を維持するのが困難であり、被洗浄物に反りが発生したり破損してしまうことがあった。そして、このような歪みや被洗浄物の自重による撓み及び被洗浄物の破損等により、被洗浄物の側面を支持する支持体によるスピン構造では回転駆動の伝達が不可能となり洗浄が行えなくなる場合があった。
【0027】
さらに、パターン形成されたデバイス面を表面に有するウェーハの裏面を上側にして洗浄仕上げを行う際、すなわち、そのデバイス面(表面)を下側にして上面を洗浄する場合、ウェーハの下面側へ洗浄液が入り込んでデバイス面に悪影響を与えてしまうという問題もあった。
【0028】
そこで、本発明者はこのような問題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、内部で旋回流を発生させる旋回流形成部を上面部に複数有した吸着浮上テーブルを被洗浄物の直下に配設して被洗浄物を吸着浮上させ、該吸着浮上テーブルの周辺にスピンテーブルを配設し、該スピンテーブルの支持体で被洗浄物の側面を支持してその中心軸で回転させながら上面を洗浄すれば、被洗浄物を非接触な状態で反らないように延ばしながら平面度を保って洗浄でき、被洗浄物間の相互汚染を抑制しつつ、薄い被洗浄物でも反り及び破損を抑制することができ、また、被洗浄物を高速回転させて洗浄液を外側に振り飛ばし、被洗浄物の下面に入り込むのを抑制することができることに想到した。さらに、洗浄中に被洗浄物の高さ位置や吸着力を調整して支持体で支持する被洗浄物の側面の位置を変更することができるので、洗浄残の発生を抑制することができることに想到し、本発明を完成させた。
【0029】
図1は、本発明の枚葉式洗浄装置の一実施形態を示す概略断面図である。
図1に示すように、本発明の枚葉式洗浄装置1は、被洗浄物5を吸着浮上させるための吸着浮上テーブル2、被洗浄物5の側面を支持して回転させるスピンテーブル3、洗浄液を吐出する洗浄ノズル6等を具備している。
図2は、図1の枚葉式洗浄装置1の上部を拡大した概略図である。図2に示すように、吸着浮上テーブル2は上面部に旋回流形成部4を複数有している。この旋回流形成部4は内部で旋回流が形成されるようになっている。このような吸着浮上テーブル2が被洗浄物5の直下に配設され、後述するような原理によって被洗浄物5を吸着浮上できるようになっている。
【0030】
また、この吸着浮上テーブル2の周辺にはスピンテーブル3が配設されている。このスピンテーブル3は軸13とベアリングで接続されており、回転モータ(不図示)によってスピンテーブル3が軸13を中心に回転できるようになっている。また、スピンテーブル3には被洗浄物5の側面を支持する支持体9がその上部に配置されている。そして、吸着浮上テーブル2によって吸着浮上され、支持体9によって側面を支持された被洗浄物5をその中心軸で回転させることができるようになっている。ここで、スピンテーブル3は被洗浄物5のスピン乾燥が可能なものとすることができる。また、回転速度が最大で4000rpmで回転可能なものとすることができ、このようにすれば、被洗浄物5をより短時間で乾燥させることができるので好ましいが、特に限定されることはない。
【0031】
ここで、本発明の枚葉式洗浄装置1において、被洗浄物5を吸着浮上させる原理について説明する。
図3に示すように、吸着浮上テーブル2の上面部に設けられた複数の旋回流形成部4は円筒状の凹部7及び該凹部7内に気体を吐出する吐出口8を有している。そして、この吐出口8から例えば圧縮空気等の気体が凹部7内部に吐出され、凹部7の内壁面に沿って旋回して旋回流を形成する。この旋回流によって旋回流形成部4の凹部7の中心部に大きな負圧が生じ、直上にある被洗浄物5を吸着する力が発生する。そして、この旋回流を形成した気体は旋回流形成部4と被洗浄物5との隙間に放出されるため、被洗浄物5は吸着浮上テーブル2との間に隙間を保って吸着浮上される。
【0032】
ここで、被洗浄物5と吸着浮上テーブル2との距離をX[mm]、被洗浄物5の重量をm[kg]、定数をαとしたとき、吸着力Yは、
Y=αX+m
で表わされる。また、支持体9の静止摩擦合計をμとすると回転駆動を行うためには、
Y>μm
を満たすようなYであれば良く、被洗浄物5を延ばして撓み等が極小となるようXを設定する。
ここで、特に限定されることはないが、例えば距離Xを0〜3mm程度とすることができる。
【0033】
本発明の枚葉式洗浄装置1で用いることができる吸着浮上テーブル2及びスピンテーブル3の一例を図4に示す。図4に示すように、吸着浮上テーブル2は皿状であり、その上面部の外周付近に旋回流形成部4が複数均等間隔に配設されている。このように旋回流形成部4を複数均等間隔に配設すれば、被洗浄物5を吸着する力がより強く、均一となるようにすることができ、被洗浄物5を確実に平面度を保って吸着浮上させることができる。また、図4に示すように、スピンテーブル3の支持体9の形状を被洗浄物5との接触面にテーパが設けられたものとすることができる。このようにすれば、被洗浄物5との接触部分が少なくなり接触部分の破損や汚染をより確実に抑制できるし、吸着力を小さくすることで被洗浄物5の支持体9で支持される位置を容易に変更することができるものとなるが、本発明においては特にこれに限定されず、円すい台形あるいはテーパのない例えばピン形状としても良い。
【0034】
支持体9の形状を、図5(A)に示すようなストレートピン形状とした場合、被洗浄物5に回転駆動力を確実に伝達させるために被洗浄物5の側面を複数の支持体9によりチャックする機構を具備するのが望ましい。そして、被洗浄物5の受け渡し時には、ストレートピン形状の各支持体9によって形成される保持径をその被洗浄物5の径より大きくして出し入れし易くし、また、その各支持体9によって形成される保持径を縮めて被洗浄物5の側面をチャックし、側面を支持しながら洗浄を行うようにすることができる。
【0035】
このような支持体9によるチャック機構は、例えば以下のようにして構成することができる。
すなわち、図5(A)に示すように、ストレートピン形状の支持体9を、中心軸で回転可能なピン台16の上に偏芯して配置する。また、図5(B)に示すように、この支持体9が配置されたピン台16をスピンテーブル3の外周部付近に均等間隔で複数配置して、各支持体9によって被洗浄物5の側面をチャックして支持する保持径を形成する。そして、ピン台16を回転させることによって、この保持径の大きさを縮めて被洗浄物5の側面をチャックしたり、保持径を被洗浄物5の径より大きくして出し入れし易くすることができるように構成する。
【0036】
また、吸着浮上テーブル2は上下動自在であるものとすることができる。このようにすれば、被洗浄物5と吸着浮上テーブル2との距離Xを吸着浮上テーブル2の上下動によって調整して吸着力を制御することができるとともに、被洗浄物5の高さ位置を変更することができる。また、被洗浄物5の洗浄位置と被洗浄物5の吸着浮上テーブル2への受け渡し位置とで高さを変えることができ、被洗浄物5の受け渡しを容易に行うことができるものとなるので好ましい。
【0037】
本発明の枚葉式洗浄装置1では、このような吸着浮上テーブル2により被洗浄物5を非接触な状態で吸着浮上させ、さらに上記したようにスピンテーブル3の支持体9で被洗浄物5の側面を支持してその中心軸で回転させて上面を洗浄するものとなっているので、例えばウェーハ自身やウェーハ上の積層薄膜の歪み等のような被洗浄物5の歪みによって反りが発生してしまった被洗浄物5を、反りがなくなるように延ばしながら非接触な状態で吸着浮上させることができ、支持体9による被洗浄物5の側面への強い支持力を必要とせず、確実に回転駆動を伝達して平面度を維持しながら被洗浄物5の上面の洗浄を行うことができる。その結果、特に30〜150μm程度の薄いウェーハのような被洗浄物5でも反り及び破損を抑制して洗浄することができる。また、接触による被洗浄物5の裏面の傷や被洗浄物5間の相互汚染を抑制することもできる。
【0038】
また、複数の旋回流形成部4によって強い力で被洗浄物5を吸着し、さらに被洗浄物5の側面を支持体9で支持するので、被洗浄物5を高速回転させて洗浄することができ、その高速回転の遠心力で被洗浄物5の上面に吐出された洗浄液を外側に振り飛ばして被洗浄物5の下面側に洗浄液が侵入するのを抑制することができる。
【0039】
さらに、洗浄中に被洗浄物5の吸着力あるいは高さ位置を調整して支持体9で支持する被洗浄物5の側面の位置を変更することができるので、洗浄残の発生を抑制することができる。この場合、具体的には、吸着浮上テーブル2を上昇させて距離Xを小さくして吸着力Yを低下させてY<μmとし、スピンテーブル3の支持体9と被洗浄物5との接触力を低下あるいは非接触にさせることによって、スピンテーブル3と被洗浄物5の回転数に差を生じさせ、その後スピンテーブル3を下降させて元に戻せば被洗浄物5の支持体9で支持される側面の位置を変更するものとすることができる。
このようなものであれば、洗浄中に被洗浄物5の支持体9で支持される側面の位置をより確実に変更して、その部分の洗浄残をより確実になくすことができる。
【0040】
あるいは、洗浄中にスピンテーブル3の回転を急加速させることでスピンテーブル3と被洗浄物5の回転数に差を生じさせ、被洗浄物5の支持体9で支持される側面の位置を変更するものとすることもでき、洗浄中に被洗浄物5の支持体9で支持される側面の位置をより確実に変更して、その部分の洗浄残をより確実になくすことができる。この場合、スピンテーブル3の回転数を、例えば0.1秒で600rpmから1000rpmに急加速するようにすることができる。
【0041】
ここで、洗浄液は特に限定されないが、例えばフッ酸、塩酸、酢酸、過酸化水素、あるいはこれらの混酸、SC−2等の酸性の洗浄液、NaOH、KOH、あるいはSC−1等のアルカリ性の洗浄液、又は純水を用いることができる。そして、本発明における洗浄処理には、例えば、純水による被洗浄物5のリンスやフッ酸等を用いたエッチングによる処理なども含まれる。
【0042】
また、本発明では、被洗浄物5の上面のみならず、上記したように被洗浄物5の側面、及び被洗浄物5の下面側のベベル部まで洗浄しても良い。本発明の枚葉式洗浄装置は、上記したように、被洗浄物5の下面側の主面に洗浄液が侵入するのを抑制することができると同時に、洗浄液を被洗浄物5の下面側のベベル部のどの辺りまで入り込ませるかを制御することができる。このような制御は、例えば気体の流量、被洗浄物5の回転数、洗浄時間、及び洗浄液濃度(洗浄液の粘度)等の条件によって行うことができる。すなわち、これらの条件によって被洗浄物5の下面側のベベル部の洗浄幅を制御することができる。
あるいは、支持体9の直内側のスピンテーブル3上面の形状を変更することによって、被洗浄物5の下面側のベベル部の洗浄幅をハード的に制御することもできる。
【0043】
また、枚葉式洗浄装置1の外周部には、洗浄ノズル6から吐出した洗浄液の飛散を防止して回収するための排液カップ12を設けることができる。すなわち、被洗浄物5の表面側から振り飛ばされて飛散した洗浄液は排液カップ12で受け止められる。洗浄液はそのほとんどが被洗浄物5の表面側から振り飛ばされて排液カップ12により受け止められるが、図2に示すような洗浄液排出ライン15から流れ落ちた洗浄液も回収することができるようになっている。
【0044】
またこのとき、図3に示すように、旋回流形成部4内から被洗浄物5との隙間に放出された気体がさらに被洗浄物5の外周方向へ向けて流出するものであることが好ましい。
このように、旋回流形成部4内から被洗浄物5との隙間に放出された気体がさらに被洗浄物5の外周方向へ向けて流出するものであれば、外周方向へ向けて流出する気体によって、洗浄ノズル6から被洗浄物5の表面に向けて吐出された洗浄液が被洗浄物5の下面側に液侵するのをより確実に抑制することができるものとなる。これにより、例えば被洗浄物5の下面が、パターンが形成されたウェーハのデバイス面であった場合でも、そのパターンが洗浄液の薬液によって破壊される等といったデバイス面への影響をより確実に抑制することができる。被洗浄物5の外周方向に気体が流出するようにするために、図4、図5(B)に示すように、被洗浄物5の側面を支持する支持体9はスピンテーブル3の円周方向にそれぞれが間隔を持って形成されており、これら支持体間の隙間から気体が流出できるようになっている。
【0045】
また、支持体9を、図5(A)に示すようなストレートピン形状とし、ピン台16の上端と被洗浄物5との距離を小さくするようにすれば、被洗浄物5と吸着浮上テーブル2との距離Xも小さくなり、被洗浄物5の外周方向へ向けて流出する気体の流出速度が大きくなるので、被洗浄物5の下面側への液侵の抑制効果を高めることができる。ここで、ピン台16の上端と被洗浄物5との距離は、例えば0.2mm程度にすることができる。
【0046】
またこのとき、図1に示すように、さらに、被洗浄物5の有無及び破損を検知する被洗浄物検知センサー10を具備することができる。この被洗浄物検知センサー10は例えばCCDカメラとすることができ、被洗浄物検知センサー10によって、被洗浄物5を常時もしくは必要時に確認し、被洗浄物5の有無及び破損を検知することができる。
このような被洗浄物5の有無及び破損を検知する被洗浄物検知センサー10を具備するものであれば、被洗浄物5が無かったり破損している状態で洗浄ノズル6から洗浄液を吐出してスピンテーブル3内に洗浄液が漏液し、例えばその漏液した洗浄液の薬液が気化して被洗浄物5の下面に影響を与えてしまうのを防ぐことができるものとなる。特に薄い被洗浄物を洗浄する場合は、割れが発生し易いので、このようなセンサーを具備するのが有効である。
【0047】
またこのとき、図1に示すように、さらに、スピンテーブル3の下方内側への漏液を検知する漏液検知センサー11を具備することができる。
このように、さらに、スピンテーブル3の下方内側への漏液を検知する漏液検知センサー11を具備するものであれば、スピンテーブル3の下方に洗浄液が漏液したことをすばやく検知することができ、漏液した洗浄液による被洗浄物5の下面に与える影響を最小限に抑えることができるものとなる。下方の装置機構に洗浄液による腐食等の好ましくない事態が発生しないようにすることができる。
【0048】
またこのとき、洗浄ノズル6は、洗浄液に超音波振動を印加する超音波洗浄ノズル又はスプレーノズルとすることができる。
このように、洗浄ノズル6が洗浄液に超音波振動を印加する超音波洗浄ノズルであれば、超音波によって洗浄効果を向上することができ、スプレーノズルであれば、洗浄液をソフトに供給することができる。ここで、洗浄液に印加する超音波振動の周波数は特に限定されず、例えば1MHzといった高周波の超音波を印加するいわゆるメガソニックノズルであっても良い。
【0049】
またこのとき、図2に示すように、洗浄ノズル6から吐出した洗浄液を回収する排液カップ12を洗浄液の薬液の種類に対応して上下動して位置を変更することで、洗浄液を分液回収可能なものとすることもできる。すなわち、排液カップ12はその左右の部材12a、12bがそれぞれ独立して上下動できるようになっており、例えば12bの内側で洗浄液を受け止めて回収する場合と、12bを下げて12aを高くなるように上下動して12aの内側で洗浄液を受け止めて回収する場合というように分液回収できるようになっている。また、被洗浄物5の受け渡しを行う場合には、図2の右側に示した排液カップ12’のように部材12a’、12b’とも被洗浄物5より低い高さにすれば、排液カップが邪魔になることもない。
このようなものであれば、排液処理も容易であるし、分液回収した洗浄液の薬液を再利用することもでき、コストを削減することができるものとなる。
【0050】
またこのとき、図2に示すように、被洗浄物5を搬送するロボットハンド14を具備し、該ロボットハンド14で吸着浮上テーブル2上の被洗浄物5を非接触で受け渡しすることができるものとすることができる。そして、ロボットハンド14に上記したような旋回流形成部を形成したものとすることもできる。
このように、被洗浄物5を搬送するロボットハンド14を具備し、該ロボットハンド14で吸着浮上テーブル2上の被洗浄物5を非接触で受け渡しすることができるものであれば、被洗浄物5を非接触で洗浄して非接触のまま搬送することができ、薄い被洗浄物5であってもその破損を抑制しつつ被洗浄物5間の相互汚染を抑制し、洗浄後の汚れが被洗浄物5に再付着するのを抑制することができる。
【0051】
そして、このようなロボットハンド14を用いて吸着浮上テーブル2に被洗浄物5を渡す際には、例えば以下のようにすることができる。
まず、ロボットハンド14の旋回流形成部で旋回流を形成して被洗浄物5を非接触で吸着保持する。そして、ロボットハンド14が吸着浮上テーブル2の直上まで前進した後、所定位置まで下降し、同時に吸着浮上テーブル2もロボットハンド14との間隔が所定間隔となる受け渡し位置まで上昇し、吸着浮上テーブル2の旋回流形成部4にて旋回流を形成する。このとき、全ての排液カップ12、12’は下方に下げられている。
【0052】
次に、ロボットハンド14の被洗浄物5の吸着を解除すると、被洗浄物5は下面が非接触の状態で吸着浮上テーブル2により吸着浮上される。
その後、吸着浮上テーブル2が被洗浄物5の位置が洗浄位置となる位置まで下降し、支持体9により被洗浄物5の側面を支持する。
【0053】
また、吸着浮上テーブル2から被洗浄物5を受け取る際には、同様にロボットハンド14が吸着浮上テーブル2の直上まで前進し、吸着浮上テーブル2が上昇すると共に、ロボットハンド14が洗浄済みの被洗浄物5を保持する位置まで下降する。
次に、ロボットハンド14により被洗浄物5を吸着保持した後、吸着浮上テーブル2の旋回流形成部4の気体の吐出を止め、ロボットハンド14で被洗浄物5を搬送する。
【0054】
このようにして、吸着浮上テーブル2上の被洗浄物5をロボットハンド14で受け渡しすることで、被洗浄物5の下面を非接触の状態のままで受け渡しすることができる。
【実施例】
【0055】
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】
(実施例)
図4に示すような吸着浮上テーブル及びスピンテーブルを具備した、図1に示すような枚葉式洗浄装置を用い、直径150mm、厚さが90μmのシリコンウェーハを100枚洗浄した。ここで、吸着浮上テーブルとシリコンウェーハとの間隔Xを2.5mmとし、洗浄中のスピンテーブルの回転数を2000rpmとした。また、洗浄ノズルをメガソニックノズルとし、1MHzの超音波を洗浄液に印加して洗浄した。また、洗浄中に吸着浮上テーブルを上昇させ、スピンテーブルとシリコンウェーハの回転数に差を生じさせ、シリコンウェーハの支持体で支持される側面の位置を変更することを2回行うようにした。
【0057】
そして、洗浄後のシリコンウェーハの破損及び、洗浄中のウェーハの下面側への洗浄液の液侵に関して評価した。
その結果、洗浄後の破損及び下面側への洗浄液の液侵はなく、後述の比較例と比べ改善されていることが確認できた。
また、裏面の傷や側面の洗浄残も発生しておらず、また、基板の裏面の外周部のパーティクル数を評価したところ洗浄前より増加しているものは見受けらず、100枚の基板間の相互汚染による影響が抑制できていることが確認できた。
【0058】
(比較例)
図6に示すような、従来の枚葉式洗浄装置を用い、実施例と同様のシリコンウェーハを100枚洗浄し、実施例と同様な評価を行った。
その結果、洗浄後のウェーハの約20%で反り及び破損が発生しており保持して回転させることができなかった。また、洗浄されたものでも下面側への洗浄液の液侵も発生していた。
また、基板の裏面の外周部のパーティクル数を評価したところ、一部の基板で、特にテーブルに接触していた箇所のパーティクルが増加していることが確認でき、裏面の汚染あるいは相互汚染による影響を受けていることが確認できた。
【0059】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0060】
1…枚葉式洗浄装置、2…吸着浮上テーブル、3…スピンテーブル、
4…旋回流形成部、5…被洗浄物、6…洗浄ノズル、
7…旋回流形成部の凹部、8…旋回流形成部の吐出口、9…支持体、
10…被洗浄物検知センサー、11…漏液検知センサー、12、12’…排液カップ、
13…軸、14…ロボットハンド、15…洗浄液排出ライン、16…ピン台。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物の上面を洗浄液で洗浄する洗浄ノズルを具備し、前記被洗浄物を中心軸で回転させながら前記洗浄ノズルから吐出した洗浄液で前記被洗浄物の上面を洗浄する枚葉式洗浄装置において、少なくとも、
円筒状の凹部及び該凹部の内壁面に沿って気体を吐出する吐出口を有する旋回流形成部を上面部に複数有し、前記被洗浄物の直下に配設される吸着浮上テーブルと、
前記吸着浮上テーブルの周辺に配設され、前記吸着浮上テーブルの直上の前記被洗浄物の側面を支持する支持体を有し、前記支持体で支持した前記被洗浄物を中心軸で回転させるスピンテーブルとを具備し、
前記旋回流形成部の吐出口から気体を吐出させることによって該旋回流形成部の円筒状の凹部の中心部に発生する負圧と、該旋回流形成部内から前記被洗浄物との隙間に放出される前記気体によって前記被洗浄物を非接触な状態で吸着浮上させつつ、前記支持体で前記被洗浄物の側面を支持し、前記スピンテーブルによって前記被洗浄物を中心軸で回転させて上面を洗浄するものであることを特徴とする枚葉式洗浄装置。
【請求項2】
前記吸着浮上テーブルは上下動自在であることを特徴とする請求項1に記載の枚葉式洗浄装置。
【請求項3】
前記吸着浮上テーブルを上昇させて前記スピンテーブルの支持体と前記被洗浄物との接触力を低下又は非接触とすることによって、前記スピンテーブルと前記被洗浄物の回転数に差を生じさせ、前記被洗浄物の支持体で支持される側面の位置を変更することができるものであることを特徴とする請求項2に記載の枚葉式洗浄装置。
【請求項4】
前記スピンテーブルの回転を急加速させることによって、前記スピンテーブルと前記被洗浄物の回転数に差を生じさせ、前記被洗浄物の支持体で支持される側面の位置を変更することができるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の枚葉式洗浄装置。
【請求項5】
前記旋回流形成部内から前記被洗浄物との隙間に放出された気体がさらに前記被洗浄物の外周方向へ向けて流出するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の枚葉式洗浄装置。
【請求項6】
さらに、前記被洗浄物の有無及び破損を検知する被洗浄物検知センサーを具備することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の枚葉式洗浄装置。
【請求項7】
さらに、前記スピンテーブルの下方内側への漏液を検知する漏液検知センサーを具備することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の枚葉式洗浄装置。
【請求項8】
前記洗浄ノズルは、前記洗浄液に超音波振動を印加する超音波洗浄ノズル又はスプレーノズルであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の枚葉式洗浄装置。
【請求項9】
前記洗浄ノズルから吐出した洗浄液を回収する排液カップを具備し、該排液カップは前記スピンテーブルの周囲に配置され、前記洗浄液の薬液の種類に対応して上下動して位置を変更することで、前記洗浄液を分液回収可能なものであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の枚葉式洗浄装置。
【請求項10】
前記スピンテーブルは前記被洗浄物のスピン乾燥が可能であり、回転速度が最大で4000rpmで回転可能なものであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の枚葉式洗浄装置。
【請求項11】
前記被洗浄物を搬送するロボットハンドを具備し、該ロボットハンドで前記吸着浮上テーブル上の前記被洗浄物を非接触で受け渡しすることができるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の枚葉式洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−232528(P2010−232528A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80093(P2009−80093)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(590002172)株式会社プレテック (41)
【Fターム(参考)】