説明

検査装置、検査方法および検査プログラム

【課題】複数の突起部を有する検査対象物を迅速に検査する。
【解決手段】検査装置は、検査対象物A載せる透明なテーブル12と、テーブル12の下面から光の強度が周期的に変化する光パターンを照射する光照射部と、光パターンが照射された検査対象物Aを、テーブル12の下面から撮影する撮像部22と、検査対象物Aの画像を処理して、検査対象物Aの表面の3次元形状を表す表面形状データを生成する画像処理部103と、表面形状データにより表される検査対象物Aにおける複数の突起部それぞれにおいて、テーブル12の上面に対する位置を示す値の代表値を決定する代表値決定部102と、複数の突起部それぞれにおける代表値の分布が予め設定された基準を満たしているかを判定する判定部101と備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複数の端子を備える電子部品等のような、複数の突起部を備える検査対象物を検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品等の検査対象物の形状を測定して良否を判定する形状検査装置が種々提案されている。例えば、レーザ変位センサにより検査対象物の表面にレーザ光を走査させ、検査対象物の表面の起伏を測定する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置によれば、検査対象物の形状を広範囲にわたって測定する場合、検査対象物の表面の検査範囲に対してレーザ光を走査し、レーザ変位センサと測定スポットとの間の距離変化によって検査対象物の変形を検出して良否判定が行われる。
【0003】
上記のレーザによる形状検査装置では、検査対象物の表面全体にわたってレーザ光を走査する必要があるため、検査対象物の表面情報を取得するのに時間がかかることとなる。そこで、強度は周期的に変化する光を検査対象物に当てて撮影した画像から、検査対象物の表面形状データを生成する、パターン投影法を用いた形状測定装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この装置によれば、検査対象物の広範囲な面情報を画像により瞬間的に取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−19822号公報
【特許文献2】特開2008−261679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、電子部品の生産ラインにおける検査のように、大量の検査対象物を連続して検査する場合等は、計測および判定にかかる時間のさらなる短縮が要求される。また、例えば、電子機器の端子の形状検査のように、複雑で細かい形状の良否判定をする場合には、検査精度および検査速度の双方の向上が要求される。そのため、本発明は、複数の突起部を備える検査対象物を迅速に検査することができる、検査装置、検査プログラムまたは検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示の検査装置は、少なくとも1方向に並ぶ複数の突起部を備える検査対象物を検査する検査装置であって、前記検査対象物を載せる透明なテーブルと、前記テーブルの上面に載せられた前記検査対象物に対して、前記テーブルの下面から光の強度が周期的に変化する光パターンを照射する光照射部と、前記光パターンが照射された前記検査対象物を、前記テーブルの下面から撮影する撮像部と、前記撮像部で撮影された前記検査対象物の画像を処理して、前記検査対象物の表面の3次元形状を表す表面形状データを生成する画像処理部と、前記画像処理部で生成された前記表面形状データにより表される前記検査対象物における前記複数の突起部それぞれにおいて、前記テーブルの上面に対する位置を示す値の代表値を決定する代表値決定部と、前記複数の突起部それぞれにおける前記代表値の分布が予め設定された基準を満たしているかを判定する判定部と備える。
【0007】
上記構成においては、透明なテーブルの上面に載せられた検査対象物を、下面から光パターンを照射した状態で、下面から撮影した画像を元に表面形状データが生成される。そのため、表面形状データが表す検査対象物の表面の3次元形状は、テーブルの上面を基準として捕らえることができる。代表値決定部は、これを利用して、複数の突起部それぞれについて、テーブルの上面に対する相対位置を示す値の代表値を決定する。判定部は、各突起部の代表点のテーブル上面からの距離の分布が所定基準を満たすか否かを判定する。これにより、検査対象物における複数の突起部の形成度合いの良否を、簡単な処理で判定することができる。このように、透明なテーブル越しのパターン投影および撮影と、テーブル上面を基準とした代表点決定および判定により、簡単な処理で、迅速な判定が可能になる。
【0008】
上記検査装置において、前記光照射部は、前記検査対象物へ照射させる前記光パターンにおける前記強度変化の位相を変化させる位相変化部を含み、前記撮像部は、位相の異なる複数の光パターンが照射された前記検査対象物をそれぞれ撮影し、前記画像処理部は、前記撮像部が撮影した、位相が異なる複数の画像に現れるパターンにより、位相シフト法を用いて前記検査対象物の高さ情報を計算して前記表面形状データを生成する態様であってもよい。
【0009】
上記検査装置において、前記代表値決定部は、前記突起部において前記テーブルの上面からの距離が周りより小さくなっている領域に含まれる点を代表点とし、当該代表点の前記テーブルの上面からの距離を前記代表値としてもよい。
【0010】
上記検査装置において、前記代表値決定部は、前記突起部において前記突起部表面が前記テーブルの上面に接している領域に含まれる点を代表点とし、当該代表点の前記テーブルの上面からの距離を前記代表値としてもよい。
【0011】
上記検査装置において、前記代表値決定部は、前記突起部における、前記テーブルの上面からの距離の平均値を計算し、当該平均値を前記突起部の前記代表値としてもよい。
【0012】
上記検査装置において、前記判定部は、複数の突起部における前記代表値の分布において、最大値と最小値の差を平坦度として計算し、当該平坦度と予め設定された基準値とを比較することにより、前記判定を行う態様であってもよい。
【0013】
上記検査装置において、前記判定部は、さらに、前記表面形状データから前記複数の突起部間の距離を計算し、当該距離が予め設定された基準を満たしているかをさらに判定してもよい。
【0014】
上記検査装置において、前記判定部は、前記表面形状データで表される前記複数の突起部を支える本体の形状が、予め設定された基準を満たしているかをさらに判定する態様であってもよい。
【0015】
上記検査装置において、前記判定部は、さらに、前記テーブルの上面に対する、前記複数の突起部の傾斜角度を前記表面形状データから計算し、当該傾斜角度が予め設定された基準を満たしているかをさらに判定してもよい。
【0016】
本願開示の検査方法は、少なくとも1方向に並ぶ複数の突起部を備える検査対象物を検査する検査方法であって、透明なテーブルの上面に載せられた前記検査対象物に対して、前記テーブルの下面から光の強度が周期的に変化する光パターンを照射する光照射工程と、前記光パターンが照射された前記検査対象物を、前記テーブルの下面から撮影する撮像工程と、コンピュータが、前記撮像工程で撮影された前記検査対象物の画像を処理して、前記検査対象物の表面の3次元形状を表す表面形状データを生成する画像処理工程と、前記コンピュータが、前記画像処理工程で生成された前記表面形状データにより表される前記複数の突起部それぞれにおいて、前記テーブルの上面に対する位置を示す値の代表値を決定する代表値決定工程と、前記コンピュータが、前記複数の突起部における前記代表値の分布が予め設定された基準を満たしているかを判定する判定工程とを含む。
【0017】
本願開示の検査プログラムは、少なくとも1方向に並ぶ複数の突起部を備える検査対象物を検査する検査プログラムであって、前記検査対象物を載せる透明なテーブルと、前記テーブルの上面に載せられた前記検査対象物に対して、前記テーブルの下面から光の強度が周期的に変化する光パターンを照射する光照射部と、前記光パターンが照射された前記検査対象物を、前記テーブルの下面から撮影する撮像部と、前記撮像部で撮影された前記検査対象物の画像を処理して、前記検査対象物の表面の3次元形状を表す表面形状データを生成する画像処理部とを備える測定装置から、前記表面形状データを受け付ける入力処理と、前記表面形状データにより表される前記複数の突起部それぞれにおいて、前記テーブルの上面に対する突起部の位置を示す値の代表値を決定する代表値決定処理と、前記複数の突起部における前記代表値の分布が予め設定された基準を満たしているかを判定する判定処理とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本願開示によれば、複数の突起部を備える検査対象物を迅速に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態にかかる検査装置の構成の概略を示す図
【図2】図1における測定部のさらに詳細な構成例を示す図
【図3】検査対象物への縞状の光パターンの投影および撮影の様子を模式的に表した図
【図4】検査対象物の3次元測定をする処理の一例を示すフローチャート
【図5】位置(z、y)における明るさの位相変化を表すグラフ
【図6】コンピュータ1構成の一例を示す機能ブロック図
【図7】検査処理の一例を示すフローチャート
【図8】検査対象物の例を示す図
【図9】端子における試料面からの距離hの分布の一例を示すヒストグラム
【図10】端子における代表点を例を示す図
【図11】検査対象物の3次元測定をする処理の他の一例を示すフローチャート
【図12】端子の傾斜角判定の例を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
[検査システムの構成]
図1は、第1の実施形態にかかる検査装置の構成の概略を示す図である。図1に示す検査装置100は、検査対象物の形状を測定する測定部5と、測定部5を制御する制御部4と、測定部5および制御部4へ接続されるコンピュータ1と備える。コンピュータ1には、モニタ2並びに入力デバイス3(マウス3aおよびキーボード3b)が接続されている。図1に示す検査装置100は、検査対象物の形状を測定し、形状の良否を判定する装置である。測定部5が制御部4による制御されて検査対象物の表面形状を測定し、コンピュータ1が測定データに基づいて検査対象物の形状の良否を判定し、結果(検査結果)を保存または出力する。例えば、電子部品の生産ラインにおいて、完成した電子部品の形状の良否を判定するのに検査装置100を用いることができる。以下、検査装置100が電子部品の形状判定に用いられる場合について説明するが、検査装置100の検査対象物は電子部品に限られない。
【0022】
図2は、図1の測定部5のさらに詳細な構成例を示す図である。図2に示す例では、測定部5は、投影プロジェクタ21(光照射部の一例)、撮像部22、テーブル12およびテーブル12を動かす駆動部13を備える。テーブル12は透明のガラス板であり、測定部5の筐体の上面に設けられる。テーブル12に上面に検査対象物Aが載せられる。テーブル12の下には、投影プロジェクタ21および撮像部22が設けられる。投影プロジェクタ21は、テーブル12の下面から縞模様の光パターンを検査対象物Aへ照射する。撮像部22は、テーブル12の下面から検査対象物Aに投影された光パターンを撮影する。
【0023】
図2に示す検査装置100は、3次元形状の取得に、三角測量に分類される格子投影法を用いる。縞模様の光パターンを、検査対象物Aに投影した場合、縞模様は検査対象物Aの形状にあわせて変形するので、その検査対象物Aの画像における縞模様の変形量を測定することで形状を測定することができる。以下、検査装置100の各部について、詳細に説明する。 テーブル12の上面は、検査対象物Aを設置する面(以下、試料面12aと称する)である。ここでは、試料面12a内で互いに直行する軸をXY軸とし、試料面12aに垂直な軸をZ軸とする。駆動部13は、X軸方向およびY軸方向にテーブル12を移動させるXY駆動部13と、Z軸方向にテーブル12を移動させるZ駆動部13とを備えてもよい。また、テーブル12の移動させる構成に換えて、投影プロジェクト21および撮像部22を移動させる構成にすることもできる。
【0024】
投影プロジェクタ21は、試料面12aの向こう側の検査対象物Aに、光の強度が周期的に変化する縞状の光パターンを照射するユニットである。そのため、投影プロジェクタ21では、光源6、集光レンズ7、グリッド8、テレセントリックレンズ9、10が順に並べて配置される。
【0025】
光源6には、例えば、コストの観点からLEDが好ましく用いられる。光源6には、その他、ハロゲンランプ、レーザ光源等を用いることができる。集光レンズ7は、光源6の光を集光し平行光に近づける。グリッド8は、この平行光に近い光を、強度が周期的に変化する縞状の光にする。
【0026】
グリッド8は、例えば、正弦波または余弦波のパターンを有するフィルムを備える。フィルムとして、例えば、波長が50μm〜500μm程度の正弦波パターンの格子フィルムを用いることができる。
【0027】
なお、グリッドの格子パターンは、明および暗の2種類の強度が交互に現れる格子パターンでもよいし、明から暗、暗から明への変化に余弦波または正弦波に相当する光の強弱を持たせるパターンであってもよい。このように余弦波または正弦波の強度変化を有する光を検査対象物Aへ投影することで、撮像部22で撮影する全ての画素で高さ解析を行うことができる。また、光パターンは、多重の輪の模様でもよいし市松模様でもよい。
【0028】
また、光パターンを生成する手段は、上記のフィルムに限られない。例えば、液晶パネルを用いて、強度が周期的に変化する縞状の光パターンを生成することもできる。
【0029】
また、グリッド8にステッピングモータを設けることにより、光パターンの縞の位置を移動(シフト)させることができる。ステッピングモータによるグリッド8の駆動は、例えば、制御部4からの信号により制御される。例えば、制御部4または測定部5に、マイクロステッピングモータを駆動するマイクロステッピングドライバを設けることができる。マイクロステッピングドライバを用いることにより、高分解能の光パターンシフトが可能になる。なお、コンピュータ1は、制御部4に対してグリッド8の駆動条件の設定をすることができる。
【0030】
グリッド8を通った、縞状の光パターンは、テレセントリックレンズユニット11を通って、試料面12a上の検査対象物Aに照射される。テレセントリックレンズユニット11は、テレセントリックレンズ9、10によりテレセントリック光学系を形成している。テレセントリックレンズ9、10により形成されるテレセントリック光学系は、像側テレセントリック光学系、物体側テレセントリック光学系、または両側テレセントリック光学系とすることができる。例えば、両側テレセントリック光学系の場合は、物体側、像側とも主交線がレンズ光軸Kに平行になるように、テレセントリックレンズ9、10が配置される。
【0031】
テレセントリックレンズユニット11を出た光による像では、被写深度内で、被写体寸法が変化しにくい。すなわち、テレセントリックレンズユニット11から出た光における縞の間隔は、光進行方向においてほとんど変化しない。そのため、後段における、光パターン照射され検査対象物Aの画像の処理において、縞の間隔変化を補正する処理が不要になる。
【0032】
撮像部22は、CCDカメラ15、テレセントリックレンズユニット17を備える。テレセントリックレンズユニット17は、テレセントリックレンズ16、18を含む。CCDカメラ15は、縞状の光パターンが照射された検査対象物Aを撮影する。なお、撮像装置は、CCDカメラ15に限られず、例えば、CMOSセンサ、ラインセンサ等を用いることもできる。CCDカメラ15は、テレセントリックレンズユニット17を通った光による画像を撮影するので、縞間隔の補正が不要な画像が得ることができる。
【0033】
このように、本実施形態の測定部5は、光源6、グリッド8、テレセントリックレンズユニット11を含む投影プロジェクタ21と、CCDカメラ15、テレセントリックレンズユニット17を含む撮像部22とを組み合わせ構成なので、水平分解能および高さ分解能が数ミクロンレベルの高分解能の3次元情報を取得することが可能になる。そのため、上記の測定部5により、例えば、電子部品の端子等の評価に適した3次元形状データ(表面形状データ)を得ることができる。 なお、測定部5の構成は、図2に示す構成に限られない。例えば、異なる方向から光パターンを照射する複数の投影プロジェクタを備える構成であってもよい。また、撮像部22は、必ずしもテレセントリック光学系を用いる必要はない。例えば、撮像部22は、光進行方向において幅が広がっていく光パターンを照射することで、投影面を広くとることもできる。また、撮像部22は、グリッドを投影面に対して傾けることなく光パターンを投影するアオリ投影をする構成であってもよい。
【0034】
[表面形状データの計算例]
次に、格子投影法を用いて検査対象物Aの表面形状データを計算する方法について説明する。図3は、測定部5における検査対象物Aへの縞状の光パターンの投影および撮影の様子を模式的に表した図である。図3(a)に示すように、投影プロジェクタ21からは、矢印D方向において強度が周期的に変化する縞状の光パターンが検査対象物Aへ照射される。図3(b)は、縞状パターンの一例を示す図である。試料面においては、Y軸方向において周期的に強度が変化する縞状の模様が投影される。検査対象物Aの表面においては、検査対象物Aの表面形状に応じて縞状の模様は変形する。図3(c)は、撮像部22で撮影される画像の一例を示す図である。検査対象物Aの表面形状に合わせて縞模様が変形している様子が画像に表れる。縞模様の変形量xと検査対象物Aの高さhとの関係は、試料面12aに対する光の投影各をαとすると、h=x/tanαで計算される(図3(d))。
【0035】
ここで、さらに高精度に測定を行うために位相解析には位相シフト法を適用することができる。位相シフト法による測定では、投影プロジェクタ21が投影する縞模様を1/4周期づつシフトさせ4枚の縞画像を撮影し、位相解析を行う。
【0036】
図4は、図1および図2に示す検査装置100が、位相シフト法を用いて検査対象物Aの3次元測定をする処理の一例を示すフローチャートである。図4に示す例では、検査対象物Aを試料面12aにセットすると(S1)、測定部5において、縞模様(格子パターン)の光がテーブル12の下から検査対象物Aへ照射される。これにより、格子パターンが検査対象物Aへ投影される。この格子パターンが投影された検査対象物Aの画像が撮像部22によりテーブル12の下面から撮影される(S2)。ここでは、光の強度が余弦波に相当する変化を示す縞模様の光が照射される場合を説明する。この撮影された画像には、検査対象物Aの表面形状に応じて変形した縞模様が写っている。また、投影プロジェクタ21は、余弦波の縞模様を1/4周期ずつシフトさせた光をそれぞれ投影し、撮像部22は、4枚の位相が1/4周期ずつシフトした縞模様の画像を撮影する。ここで、測定部5で撮影された画像のデータは、コンピュータ1の画像処理部(後述)へ送られる。コンピュータ1の画像処理部は、前記画像のデータを処理することで、位相解析を行う(S3)。位相解析では、画像中の各画素の位置(座標(x、y))において投影された光パターンの位相θを計算する。位置(x、y)における明るさは、下記式(1)で表される。
【0037】
【数1】

【0038】
aは、その位置での縞の明るさの振幅を示す係数であり、bは、その位置での明るさのオフセット量bを示す係数である。図5は上記式(1)を表すグラフである。図5に示すように、4枚の画像上の同じ位置(x、y)での明るさはI0、I1、I2、I3は、下記式(2)で表される。
【0039】
【数2】

【0040】
したがって、(x、y)における位相θは、下記式(3)により計算することができる。
【0041】
【数3】

【0042】
上記式(3)に示す位相θは、係数a、bによらない。このように、縞の明るさの振幅a項と明るさのオフセット量b項が計算式上でキャンセルされる為、外乱光の影響を受けにくく、高精度な測定が可能になる。そのため、位相シフト法を用いることにより、電子部品の端子の形状検査のような細かい検査に適した精度の測定が可能になる。
【0043】
このようにして各位置(x、y)の位相θが計算される。位相θが等しい点を結んで得られる線(等位相線)には、図3(c)に示した縞模様と同様に、検査対象物Aの形状に応じた変計量が現れる。そのため、各位置における位相θの変形量(位相差)を計算し(
図5のS4)、この位相差を高さ単位に変換する(S5)ことにより、各位置における検査対象物Aの高さを示す値が得られる。すなわち、検査対象物Aの表面の3次元形状を示すデータが得られる。
【0044】
なお、処理S4において、各位置の位相θが検査対象物Aによりどの程度変化しているかを示す位相差を計算する際には、予めコンピュータ1に記録された基準位相データを用いる。例えば、検査対象物Aが置かれていない試料面12aに同じ余弦波の縞模様を投影した場合の画像を予め撮影し、試料面12aにおける各位置の位相θを示すデータを算出して、基準位相データとして記録することができる。コンピュータ1は、この試料面12aの各位置の位相θを表す基準位相データと、検査対象物Aを置いた場合の各位置の位相θを表すデータとの差を計算することにより、位相差を計算することができる。各位置の位相差は、検査対象物Aの表面と試料面12aとの距離(高さ)に応じた値であるので、高さを示すデータに変換することができる(S5)。
【0045】
本実施形態では、検査対象物Aがテーブル12の上面に置かれた状態で光パターンの投影および撮影がなされるので、テーブル12の上面からの浮き量を、高さ情報として求めることができる。そのため、例えば、テーブル12の上面を実装基板に仮定して、電子部品の実装時の浮き量を判定することが可能になる。
【0046】
以上のとおり、位相シフト法では、検査対象物Aへ照射される光パターンにおける強度変化の位相を異ならせて、それぞれの位相に対応する複数の画像のデータを取得する。この複数の画像の同じ位置(x、y)における明るさを用いて、その位置(x、y)に投射された光パターンの位相θを求め、この位相θを基に三角測量の原理を用いて高さを計算する。
【0047】
なお、位相シフト法を用いた高さ情報を取得方法は、上記例に限られない。例えば、撮影する画像は4枚に限られない。3枚撮影すれば位相θの計算は可能であるし、4枚以上の画像を撮影して精度を高めることもできる。また、位相θの計算に用いる上記式(1)〜(3)も一例であり、その他の式を用いて位相θを計算することができる。
【0048】
このようにして位相シフト法を用いて得られた、検査対象物Aの表面の3次元形状を示すデータを、コンピュータ1が処理することで、検査対象物Aの検査が実行される(S6)。
【0049】
[コンピュータの構成]
図6は、この検査処理を実行するためのコンピュータ1構成の一例を示す機能ブロック図である。図6に示す構成では、コンピュータ1は、判定部101、代表値決定部102、画像処理部103、計測部104、ユーザインタフェース部(UI部)105を備えている。これらの機能部は、例えば、コンピュータ1のプロセッサがメモリに格納された所定のプログラムを実行することにより実現される。なお、処理を高速に実行する観点から、例えば、画像処理部103の機能は、コンピュータ1のプロセッサとは別に設けられた画像データ処理専用のハードウエア(画像処理ボード)で実現する構成とすることもできる。このようなハードウエアの例として、GPU(Graphics Processing Unit)、VPU(Visual Processing Unit)、ジオメトリエンジン、その他のASIC(Application Specific Integrated Circuit)等が挙げられる。
【0050】
画像処理部103は、撮像部22で撮影された画像を受け取り、検査対象物Aの3次元形状を示すデータを生成する。表面形状データは、例えば、XY平面における各位置(x、y)における高さ(例えば、試料面12aからの距離)を示す値で表される。画像処理部103は、例えば、撮像部22から送られた画像データに対して、図4の位相解析(S3)、位相差計算(S4)、高さ単位変換(S5)の処理を実行することにより、表面形状データを生成することができる。画像処理部103は、生成された表面形状データをコンピュータ1上のメモリに保存して、代表値決定部102および判定部101が使用可能な状態とすることができる。
【0051】
代表値決定部102は、画像処理部10で生成された表面形状データにより表される検査対象物Aが有する複数の突起部それぞれについて、テーブル12の上面(試料面12a)に対する突起部の位置を示す値の代表値を決定する。ここで、検査対象物Aが、例えば、複数の端子が付いた電子部品であり、当該電子部品を基板へ実装した場合に基板に全ての端子が確実に接するか否かを判定する場合に、代表値決定部102の突起部ごとの試料面12aに対する位置の代表値を判定に用いることで迅速な判定が可能になる。また、試料面12aに対する相対位置を突起部間で比較することができるので、試料面12aを基準として複数の突起部の形成位置のばらつきの程度を判定することが可能になる。
【0052】
代表値は、例えば、試料面12aからの距離の代表値であってもよいし、試料面12aから距離に加えて、XY方向の情報が含まれていてもよい。また、突起部表面のある一点を代表点として、代表点の座標を代表値としてもよいし、突起部表面の試料面12aからの距離の平均のように、統計的に計算された値を代表値としてもよい。
【0053】
なお、代表値決定部102は、表面形状データにおいて突起部それぞれが含まれる領域を示す領域データを用いて、各突起部の大まかな領域を特定し、各領域についてデータ解析を実行して突起部ごとの代表値を決定することができる。この各突起部を含む領域を示す領域データは、例えば、CADデータなど検査対象物の設計データから取得することもできるし、ユーザからの突起部の位置の入力により取得することもできる。
【0054】
例えば、表面形状データが、XY平面における各位置(x、y)の試料面12aからの距離を示す画像データである場合、領域データは、XY平面において各突起部が配置される領域を表すデータとすることできる。この場合、例えば、テンプレートマッチングのようなパターン認識処理により画像データまたは領域データを、画像データで表される各突起部が領域データの各領域に入るように調整(アライメント)してもよい。
【0055】
代表値決定部102は、突起部ごとに、試料面12aと突起部表面との相対位置の代表値を決定する。代表値決定部102は、例えば、突起部内での試料面12aと距離の分布を用いて代表値を計算することができる。具体的には、各突起部について、試料面12aと距離の突起部内での分布に基づいて突起部内の代表点の座標を決定し、代表点における試料面12aとの距離を代表値とすることができる。代表点の決定においては、代表値決定部102は、突起部において試料面12aからの距離が周りよりも小さくなっている領域または突起部表面が試料面12aに接している領域に含まれる点を代表点とすることができる。一例として、代表値決定部102は、このような領域の重心、または中心となる点の座標を計算し、この座標を代表点とすることができる。あるいは、突起部における、試料面12aと突起部表面との距離の分布のうち、最も頻度(度数)の高い距離の領域から代表点を決定することもできる。さらに、代表点を決めないで、突起部における、試料面12aと突起部表面との距離の平均値、中間値などを代表値として算出することもできる。このように、ここで計算される代表値は、突起部表面の試料面12aからの離れ量を、突起部ごとに表す値となる。
【0056】
判定部101は、代表値決定部102で決定された各突起部の代表値を用いて、複数の突起部の形状の良否を判定する。判定部101は、例えば、各突起部の代表値から、複数の突起部どうしの相対位置関係を示す値、あるいは、試料面12aに対する位置関係を示す値を計算する。判定部101は、この計算した値が、所定の範囲内であるか否かにより良否を判定することができる。判定部101の判定の基準となる前記所定の範囲を示すデータは、予めコンピュータ1のメモリに記録されることが好ましい。あるいは、UI部105を介して良否判定の基準となる値の範囲をユーザから受け付けることもできる。
【0057】
複数の突起部の相対位置関係を示す値および複数の突起部の試料面12aに対する位置関係を示す値は、各突起部の代表値により算出することができる。例えば、複数の突起部の代表値の最大値と最小値との差、平均値、分散等、の代表値の分布を示す値により、複数の突起部の相対位置関係が示される。また、複数の突起部における代表値の平均、中間値などにより、複数の突起部の試料面12aに対する位置関係が示される。
【0058】
UI部105は、ユーザとコンピュータ1との情報のやりとりを可能にするインターフェース部である。UI部105は、例えば、判定部101による判定結果をモニタ2へ出力したり、入力デバイス3を介してユーザから測定部5の制御指示や判定部101の判定条件の指示等を受け付けたりする。
【0059】
計測部104は、制御部4に対して、測定開始指示、測定終了指示、測定条件等を示す制御信号を出力する。また、計測部104は、UI部105を介して入力されたユーザの指示に基づいて、制御部4を制御することができる。
【0060】
[検査処理例1]
次に、代表値決定部102および判定部101の動作例を説明する。図7は、代表値決定部102および判定部101による検査処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、一例として、検査対象物Aが、図8(a)〜図8(c)に示すような複数の端子32a〜32eを有する電子部品30である場合について説明する。図8(a)〜図8(c)に示す電子部品30は、本体31の側面に複数の端子32a〜32eを備え、これらの端子32a〜32eは、屈曲して底面より下に延びている。電子部品30は、例えば、FPCのコネクタでよく見られる構造である。このような電子部品30を基板へ実装した場合、端子32a〜32eの下面が基板に接続される。そのため、端子32a〜32eの下面の高さは揃っていることが求められる。そこで、本実施形態では、この揃い度合いを判定する処理が実行される。
【0061】
図8(b)は、検査対象物Aである電子部品30が、端子32a〜32eを下にした状態でテーブル12の試料面12aに置かれた様子を側面から見た図である。端子(32a〜)32eおよび端子32fが試料面12aに接している。図8(c)は、テーブル12に置かれた電子部品30をテーブル12の下面から見た図である。このように、突起部である端子32a〜32eにより電子部品30がテーブル12上に支持された状態で測定を行うことで、実装状態に近い状態での検査が可能になる。
【0062】
図8(a)および図8(b)に示す状態の電子部品30に、投影プロジェクタ21により光パターンが投影され、撮像部22により撮影される。撮影された画像は、画像処理部103により処理され、電子部品30の下側の表面形状を示す表面形状データが生成される。
【0063】
図7のS61において、代表値決定部102は、画像処理部103が生成したこの表面形状データを入力する。代表値決定部102は、画像処理部10で生成された表面形状データにより表される電子部品30の複数の端子32a〜32eそれぞれについて、試料面12aから端子の表面までの距離hの代表値を決定する(S62)。
【0064】
代表値決定部102は、例えば、突起部それぞれが含まれる領域を示す領域データを参照し、表面形状データ中の各突起部の領域について、試料面12aからの距離hを基に代表値を決定する。図8(b)における点線で囲まれた領域Ra〜Rfは、領域データで示される各突起部の領域を示している。ここでは、代表値決定部102が、一例として、各端子において、試料面12aからの距離hが最小となる領域の中から代表点の座標を決定する処理を説明する。図8(d)は、図8(b)の端子32eが試料面12aに接する部分を拡大した図である。図8(d)に示す例では、端子32eの表面の一部が試料面12aに接している。ここで、測定部5による高さ方向測定の分解能をΔkとすると、試料面12aからの距離hがΔkより小さい領域R1、R2では、表面形状データ上では、距離hはすべて同じ値(ここではh=0)になる。図9は、端子32eにおける距離hの分布の一例を示すヒストグラムである。図9に示すヒストグラムにおいて、距離h=0が最小であるので、代表値決定部102は、距離h=0である領域から、代表点を選ぶ。図10(a)は、端子32eにおける距離h=0である領域Rと、代表点D1の例を示す図である。代表値決定部102は、例えば、距離h=0である領域Rの重心の座標を計算する。この重心の座標が代表点D1となる。
【0065】
なお、ここでは、代表値決定部102は、距離hが最小の領域から代表点を選んでいるが、代表点の選択はこれに限定されない。例えば、試料面12aからの距離hが所定値より小さい領域(例えば、図9に示すW)から代表点を選ぶこともできる。また、最も度数が高い距離hから代表点を選ぶこともできる。また、試料面12aからの距離hが所定の範囲内である領域R3における距離hの平均値を計算し、この平均値を代表値としてもよい。図10(b)に示す領域R3は、試料面12aからの距離hが所定の範囲内である領域の例である。このように、領域R3における距離hの平均値を代表値とすることができる。
【0066】
代表値決定部102は、全ての端子32a〜32eについて、それぞれ代表点の座標を計算する。判定部101は、それらの代表点の距離hの分布を計算する(図7のS63)。ここでは、分布の一例として、判定部101は、端子32a〜32eの平坦度(コプラナリティ)を計算する。平坦度は、例えば、端子32a〜32eの代表点における距離hの最大値と最小値との差で表される。判定部101は、平坦度が、所定の範囲内か否かにより、良否を判定することができる(S64)。これにより、迅速な判定処理が可能になる。
【0067】
[検査処理例2]
図11は、代表値決定部102および判定部101による他の検査処理の一例を示すフローチャートである。図11において、S61〜S64の処理は、図7におけるS61〜S64と同様に実行される。S65において、代表値決定部102は、各端子32a〜32eにおいて、エッジ検出を行い、エッジを基準にして代表点の座標を決定する。図10(c)は、検出したエッジおよび代表点の例を示す図である。エッジ検出は、例えば、表面形状データにおいて、距離hの変化が激しい部分(不連続が線状に連なるところ)を検出する処理である。エッジ検出により端子32a〜32eの輪郭が検出されると、代表値決定部102は、例えば、図10(c)に示すように、端子幅Mの中心線上であって、端子の先端から所定の距離Lにある点D2の座標を計算し、代表点の座標とする。
【0068】
判定部101は、端子32a〜32eのピッチを計算する(S66)。例えば、判定部101は、各端子32a〜32eについて、端子の代表点と隣の端子と代表点との距離(っピッチ)を計算する。判定部101は、ピッチが所定の範囲内であるか否かを判定する(S67)。
【0069】
判定部101は、さらに、S67におけるピッチ判定結果と、S64における平坦度判定結果に基づき総合判定をする(S68)。例えば、判定部101は、ピッチおよび平坦度のいずれも所定の範囲内である場合はOK、すくなくともいずれか一方が所定範囲外であればNGと判定することができる。これにより、平坦度に加え、ピッチも考慮した判定が可能になる。なお、ピッチおよび平坦度それぞれの判定結果をそのまま出力することもできる。
【0070】
以上、図11を参照して、平坦度に加えて、ピッチも判定する動作例を説明したが、判定項目はこれらに限られない。以下に、その他の判定項目の例を説明する。
【0071】
[傾斜角の判定]
判定部101は、表面形状データが示す各突起部表面の試料面12aに対する傾斜を計算し、計算した傾斜が所定の基準を満たすか否かをさらに判定することもできる。判定部101は、例えば、エッジ検出により、表面形状データ各突起部の輪郭(エッジ)を求め、この輪郭を基準にして突起部内の少なくとも2点を選択し、これらの選択した点を結ぶ線の試料面12aに対する角度を計算することができる。
【0072】
ここで、一例として、図12(a)に示すような形状の端子32fの傾斜の計算例を説明する。図12(a)は、試料面12aに垂直な面(XZ平面)における端子32fの断面形状を示しており、図12(b)は、3次元データの端子32fを含む領域(XY平面における領域)において検出された端子32fのエッジEfの例を示す図である。図12(b)に示す例では、端子32fのXY平面における形状として矩形のエッジEfが検出されている。判定部101は、端子32fの幅方向に2等分する線上であって、端子32fの先端から所定の距離L1にある点P2と、この線上であって点P2からさらに所定距離L2離れた位置にある点P1とを選択する。判定部101は、表面形状データから点P1、P2における高さ情報も含めた3次元座標を取得する。判定部101は、点P1、P2の3次元座標を結ぶ線と試料面12aとの角度θを計算する。判定部101は、この角度θが予め設定された基準範囲を超えるか否かにより良否を判定する。
【0073】
[本体のずれ、変形量の判定]
判定部101は、表面形状データで表される複数の端子32a〜32eを支える本体31の形状が、予め設定された基準を満たしているかをさらに判定することもできる。例えば、判定部101は、3次元形状データの示す、本体31の試料面12aに対向する表面の各点における試料面12aからの距離が所定の範囲内にあるか否かを判定する。具体的には、判定部101は、予め決められた基準面の各点における試料面12aとの距離と、本体31の各点における試料面12aからの距離との差を計算し、当該差が閾値を越える点の数、差の値などが所定の範囲内か否かを判断することができる。
【0074】
なお、3次元形状データのうち本体31の領域を決定する処理は、上記の突起部の領域を決定する処理と同様にすることができる。
【0075】
以上、本実施形態によれば、上記のコンピュータ1の検査処理により、例えば、電子部品における端子の平坦度判定のように、精密な判定を迅速に実行するができる。そのため、検査装置100を電子機器の生産ラインにおける電子部品の端子形状判定に用いることができる。
【0076】
また、測定器として、上記測定部5に代表される、格子投影法を用いた3次元形状測定器を用いることで、電子部品の端子の検査に適した3次元測定を行うことできる。例えば、格子投影法を用いることにより、非接触での測定が可能である。また、1回の撮影動作で測定対象領域全体を含む画像を取得する、面測定によりデータを取得するので、レーザ等を用いた走査型の測定装置に比べて速い測定が可能になる。
【0077】
さらに、位相シフトを用いることで、高さ情報を効率よく迅速に処理し、高精度の解析結果を得ることができる。以上のとおり、本実施形態によれば、例えば、電子機器の生産ラインにおける検査に適した構造の測定器および計算処理が提供される。
【0078】
なお、本発明の適用範囲は、上記実施形態に限られない。例えば、検査対象物は、電子部品に限定されない。また、上記実施形態では、測定器として、格子投影法を用いた3次元形状測定器を用いた場合を説明したが、測定器は、例えば、上記以外のパターン投影法(例えば、グレースケールのパターンやカラーパターン等を投影する方法)や、モアレ、焦点法、ステレオ法、その他の方法にを用いた3次元測定器であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 コンピュータ
2 モニタ
3 入力デバイス
4 制御部
5 測定部
6 光源
7 集光レンズ
8 グリッド
9 テレセントリックレンズ
10 画像処理部
11 テレセントリックレンズユニット
12 テーブル
12a 試料面
13 駆動部
15 カメラ
16 テレセントリックレンズ
17 テレセントリックレンズユニット
21 投影プロジェクタ
22 撮像部
30 電子部品
31 本体
32a-32e 端子
100 検査装置
101 判定部
102 代表値決定部
103 画像処理部
104 計測部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1方向に並ぶ複数の突起部を備える検査対象物を検査する検査装置であって、
前記検査対象物を載せる透明なテーブルと、
前記テーブルの上面に載せられた前記検査対象物に対して、前記テーブルの下面から光の強度が周期的に変化する光パターンを照射する光照射部と、
前記光パターンが照射された前記検査対象物を、前記テーブルの下面から撮影する撮像部と、
前記撮像部で撮影された前記検査対象物の画像を処理して、前記検査対象物の表面の3次元形状を表す表面形状データを生成する画像処理部と、
前記画像処理部で生成された前記表面形状データにより表される前記検査対象物における前記複数の突起部それぞれにおいて、前記テーブルの上面に対する位置を示す値の代表値を決定する代表値決定部と、
前記複数の突起部それぞれにおける前記代表値の分布が予め設定された基準を満たしているかを判定する判定部と備える、検査装置。
【請求項2】
前記光照射部は、前記検査対象物へ照射させる前記光パターンにおける前記強度変化の位相を変化させる位相変化部を含み、
前記撮像部は、位相の異なる複数の光パターンが照射された前記検査対象物をそれぞれ撮影し、
前記画像処理部は、前記撮像部が撮影した、位相が異なる複数の画像に現れるパターンにより、位相シフト法を用いて前記検査対象物の高さ情報を計算して前記表面形状データを生成する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記代表値決定部は、前記突起部において前記テーブルの上面からの距離が周りより小さくなっている領域に含まれる点を代表点とし、当該代表点の前記テーブルの上面からの距離を前記代表値とする、請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記代表値決定部は、前記突起部において前記突起部表面が前記テーブルの上面に接している領域に含まれる点を代表点とし、当該代表点の前記テーブルの上面からの距離を前記代表値とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記代表値決定部は、前記突起部における、前記テーブルの上面からの距離の平均値を計算し、当該平均値を前記突起部の前記代表値とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記判定部は、複数の突起部における前記代表値の最大値と最小値の差を平坦度として計算し、当該平坦度と予め設定された基準値とを比較することにより、前記判定を行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項7】
前記判定部は、さらに、前記表面形状データから前記複数の突起部間の距離を計算し、当該距離が予め設定された基準を満たしているかをさらに判定する、請求項1〜6に記載の検査装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記表面形状データで表される前記複数の突起部を支える本体の形状が、予め設定された基準を満たしているかをさらに判定する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項9】
前記判定部は、さらに、前記テーブルの上面に対する、前記複数の突起部の傾斜角度を前記表面形状データから計算し、当該傾斜角度が予め設定された基準を満たしているかをさらに判定する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項10】
少なくとも1方向に並ぶ複数の突起部を備える検査対象物を検査する検査方法であって、
透明なテーブルの上面に載せられた前記検査対象物に対して、前記テーブルの下面から光の強度が周期的に変化する光パターンを照射する光照射工程と、
前記光パターンが照射された前記検査対象物を、前記テーブルの下面から撮影する撮像工程と、
コンピュータが、前記撮像工程で撮影された前記検査対象物の画像を処理して、前記検査対象物の表面の3次元形状を表す表面形状データを生成する画像処理工程と、
前記コンピュータが、前記画像処理工程で生成された前記表面形状データにより表される前記複数の突起部それぞれにおいて、前記テーブルの上面に対する位置を示す値の代表値を決定する代表値決定工程と、
前記コンピュータが、前記複数の突起部における前記代表値の分布が予め設定された基準を満たしているかを判定する判定工程とを含む、検査方法。
【請求項11】
少なくとも1方向に並ぶ複数の突起部を備える検査対象物を検査する検査プログラムであって、
前記検査対象物を載せる透明なテーブルと、
前記テーブルの上面に載せられた前記検査対象物に対して、前記テーブルの下面から光の強度が周期的に変化する光パターンを照射する光照射部と、
前記光パターンが照射された前記検査対象物を、前記テーブルの下面から撮影する撮像部と、
前記撮像部で撮影された前記検査対象物の画像を処理して、前記検査対象物の表面の3次元形状を表す表面形状データを生成する画像処理部とを備える測定装置から、前記表面形状データを受け付ける入力処理と、
前記表面形状データにより表される前記複数の突起部それぞれにおいて、前記テーブルの上面に対する突起部の位置を示す値の代表値を決定する代表値決定処理と、
前記複数の突起部における前記代表値の分布が予め設定された基準を満たしているかを判定する判定処理とをコンピュータに実行させる、検査プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−7710(P2011−7710A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153271(P2009−153271)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(390027960)株式会社ニッケ機械製作所 (5)
【Fターム(参考)】